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エンパイアウォー②~洒落が通じる指揮官

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●屍人はボケない
「いや~、ホンマ助かるわぁ、この『水晶屍人』ちゅー奴は……文句もくだらん事も言わずに従ってくれるさかい」
 奥羽地方に突如現れた『水晶屍人』
 肩から水晶が生え動き出す死体、その異様さにも負けぬ光景がそこにはあった。
 ……何故か、ハリセンが彼ら『水晶屍人』を率いているのだ。
 理性もない『水晶屍人』がツッコミを入れる事はないが、その光景そのものが既にボケである。
「忙しくツッコミをする必要がなくて楽やでぇ、ちーと寂しい気もするがなぁ、まぁ、これも仕事やから仕方あらへん!」

●明らかに人選ミスだろ……
「皆の者、サムライエンパイアにて将軍の号令の元、遂にオブリビオン・フォーミュラである織田信長を討つべく行軍が開始された」
 信長を討つには、先ず『首塚の一族』とそれを守る軍勢を可能な限り多く、敵の本拠地へと送らねばならない……しかし、それを阻止すべく信長配下の魔将軍達も動き出していた。

「此度はその妨害の一手である『水晶屍人』と呼ばれる……まぁ、端的に言えば、水晶が生えたゾンビじゃ、噛まれると感染する系のな」
 感染して鼠算的に増えていく厄介な性質がある『水晶屍人』だが、戦闘力はそこまでではなく、知能がない故に、指揮官のオブリビオンさえ倒してしまえば奥羽の武士達だけでも対処できるらしい。

「故に『水晶屍人』に対しては『指揮官狩り』を行い、これを無力化する方針じゃ!……そして今回のターゲットの敵指揮官なのじゃがな……」
 猟兵達に緊張が走る……指揮官ともなれば屈強なオブリビオンが相手だと推測したからだ……が、そんな予想に反して花子は『ハリセン』を取り出すのだ。
「今回のターゲットはこれ、『ハリセン』のオブリビオンじゃ、ボケた芸人を何人も殺した曰く付きの妖ハリセンなのじゃ」
 妖ハリセンってなんだよ?、ハリセンでどうやって人が死ぬんだ?とか、様々な疑問が浮かぶだろうが、そこはオブリビオンだから仕方ないの一言でかたをつけてしまおう。

「で、コヤツはハリセンらしいツッコミ気質での、ボケに対してはツッコミをせねば気がすまぬらしくての、こっちがボケれば自動的に向こうから来てくれるのじゃ」
 『水晶屍人』が如何に強くないといっても、ボス級のオブリビオンと共に攻撃されたら厄介なのは間違いない。
 ボケるだけで、指揮官が前に出てくれるならば好都合とも言えるだろう。
「只管ボケ倒せば、その全てにツッコミを入れるので、疲れるじゃろうしスキも生まれるじゃろうな」
 更に付け食わられた情報に、何でこんな奴を指揮官に選んだのだろうと疑問に思うかも知れない。
 だが、オブリビオンの考えには、良くわからない事が多いので諦めて欲しい。

「ボケて戦うもよし、ボケに反応して出て来た所を狙う事に専念してもよしじゃ、先ずは一本、大将首でも落として戦の士気を高めようなのじゃ!」
 こいつの首どこだよ?と言う疑問は横に置いて、花子は猟兵達の転送を始めるのであった、


マカロニ男爵
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 敵が敵だけにどうしてもギャグ系になってしまうと思いますが、ボケるのを他の人に任せればボケずに成功させることも可能です。
 何げに戦争シナリオは初ですが、頑張って今回も完全勝利を目指しましょう。
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第1章 ボス戦 『ボケ殺しのハリセン』

POW   :    どついたろか!
【巨大ハリセン】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    何かツッコめや!
【つまらない】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【大量のハリセン】から、高命中力の【空気圧】を飛ばす。
WIZ   :    あーもうむちゃくちゃや!
【漫才師】の霊を召喚する。これは【猟兵disり】や【大音量】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:ロワぬ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は琥珀川・れにです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

新山・陽
wiz
どうもこんにちは。どこともつかぬ異世界から、貴方の背景のモブの座を狙う、通りすがりの社会人です。
全くわけがわからない? ならお互い様ですね。私達、気が合うのでは?
さてと、ボケはここまでにして参りましょうか(きりっ)

自分の精神に【暗号作成】で鍵を掛けて、猟兵disりに備えます。大音量は【気合い】で耐えてみます。

蔑みの眼差しで「そんな幽霊みたいな、足のうっすい漫才師がウケるわけなかろう。出る場所、ホラーと間違えたんじゃないか? 怖くもないが」と【精神攻撃】で【挑発】を試みます。

追撃があれば【見切り】で避け、UC【凍えた液鋼】を展開して【咄嗟の一撃】を試みます。
これぞツッコミ(物理)……あれ?



「ァアアアァァァァ…」
「ゥウウウゥゥ」
 悍ましい呻き声を上げながら、屍人は行進を続ける……その声は苦悶の声なのか、生者への怨嗟なのかは定かではない。
 最早焦点定まらぬ濁った瞳は気がつかない、その背後を既に一人の猟兵に取られているということを……。

「どうもこんにちは、どこともつかぬ異世界から、貴方の背景のモブの座を狙う、通りすがりの社会人です」
「ヴァッ!?」
 その猟兵こそ新山・陽、彼女は後ろから襲いかかる事もなく『水晶屍人』に対して懇切丁寧な挨拶を交わした。
 その行動、そしてその言動もかなりおかしい、背景モブを狙うとは一体どういう事なのか?、そもそも背景ならば話しかけて来ないのではないだろうか?
 そんな疑問を、そんなツッコミ所も、『水晶屍人』には理解できない……本能のままにただ遭遇した生者を噛み付こうと飛びかかる、彼等には洒落は通用しないのだ――が。

「意味わからんは、ワレェェェ!!!」
「おっと!!」
「ヴァアアっ!?」
 部下に通用しなくても、指揮官であるこのハリセンには通じてしまう、何故なら彼はハリセンだからだ。
 しかし、これで飛び込んできてくれる事を新山は知っていた、予測されていた攻撃を受けるほど彼女は甘くはない……だが、飛び掛ていた『水晶屍人』は不運だった、巨大ハリセンのツッコミという名の一撃で文字通り叩き潰されてしまったのだから。

「いや、酷い事しますね……従業員の扱いはもう少し考えませんと」
「うっさいわ!、こいつらは後で補充が効くからちょっと減っても別に良いんや!」
 潰してしまった時には「うわっ…やっば…」って顔?をしていたハリセンだったが、新山に逆にツッコまれると逆ギレしたようにそう返す……攻撃力は高そうだが、やはり、あまり指揮官に向いてはいないようだ。

「それより!、お前や、お前、何訳のわからん事を言っとんのじゃ!、背景モブになりたい!?、鏡見てみろ!、お前みたいのを背景に置いたら役者の方が負けてまうやろ!」
「私のささやかな願いを奪わないでください」
「そんだけ恵まれたもん持っておいて、なんでそんな事を願うんや!、ああもう、全く訳がわからんはっ!」
「全くわけがわからない? ならお互い様ですね。私達、気が合うのでは?」
「お互い全く意味わからんのに、気が合うってたまるかいっ!!!」
「あ、ご自身が意味不明な存在なのは認識なさってるのですね」
「あ……うっさいわ!!」
 漫才の様なやりとりをしている中でも、新山とハリセンの攻防は続く、岩をも砕くツッコミを連発するハリセンの攻撃を新山は躱し続ける。
 この会話自体も新山の誘い、ボケに対してツッコミと言うパターンがある以上、ボケた時が相手の攻撃のタイミングとなり、そのタイミングを見切る事でハリセンのツッコミを避け続けているのだ。

「あーもうむちゃくちゃや!」
 ツッコミを避けられ続け、フラストレーションが溜まり続けたハリセンの怒りが爆発した、ユーベルコードによって今まで屠ってきた漫才師の霊を召喚したのだ。
「さてと、ボケはここまでにして参りましょうか」
 敵の行動が変化した事で新山もその表情をきりっとさせて、相手のユーベルコードに対して何かを備えたようだ。

『なんや急にキリッとしおってぇ!?』
『顔だけじゃなくて、行動をおこさんかーい』
『参りしょうか(きりっ)だっておwwwwwww』
「ふははははは、俺が殺した中でも、特に極悪なdisり芸をもった漫才師たちだ、さあ、心を折られてしねぇ!」
 サムライ・エンパイアで『disり芸』とか、時代を先取り過ぎた漫才師である、この時代だと普通に無礼撃ちされそうだ。
 しかし、巫山戯ている様に見えてもユーベルコード、オブリビオンの力によりこの『dis』には力がある、少しでも心を痛めればそれは即座にダメージとして現れるであろう。

「…………(あ、ちょうちょだ……)」
「『『『効いてないっ!!?』』』」
 が、新山、これを軽くスルー……彼らの言葉に対し、『暗号作成』にて即座に精神にブロックをかけた彼女には全く効いていない、と言うよりも聞いていない。
 折角の『disり』も聞いている傍から右から左へと流されてしまえば意味はない、話を聞き流す事など置物上司歴10年を超える新山にとって十八番とも言える行動なのだ。

「くっ、あのキリッとした表情を一切変えないなんて、なんちゅう精神力や…」
『こ、こうなったら』
『騒音攻撃だぁ!!』
『ドンドンドンパフパフ!!!』
「………(イラ)」
 漫才師達も『disり』が通じないと見るや、単なる大きな音での攻撃に切り替える。
 鳴り物ではなく、口で言ってるだけにも関わらず地面を揺るがす程の騒音は、新山にも多少は効果があったらしく眉が1mmほど傾くも、未だキリッとしたままそれを気合で耐えていた。

『はぁはぁはぁ、ど、どないやぁ!!』
「いえ、これは…漫才師としてどうなんですか?」
『え?』
 騒音は多少は聞いてたはず、そう思っていた漫才師の霊達だったが……それを受けた新山は苦悶の表情ではなく、蔑みの目を向けていた。

「漫才師が面白いことも言わず、大きな音を立てるだけとか……どうなのです?」
『そ、それはそのーー』
『でぃ、『disり芸』の方があったし……』
『あ、あっちはウケるやろっ!?』
「そんな幽霊みたいな、足のうっすい漫才師がウケるわけなかろう。出る場所、ホラーと間違えたんじゃないか? 怖くもないが」
『『『な、なんやと!!?』』』
 漫才師達の霊の事をバッサリと言い伏せる新山、実際の所『disり』の方は聞いてなかったが、まぁウケる要素は特になかったから仕方がない。
 だが、この様に言われては漫才師達も黙ってはいられない、生前もやっぱりウケてなかった為、怒り心頭である。

『『『ぶっ殺すっ!!』』』
「手伝うでぇ!!」
 怒りのままに殴りかかってくる漫才師の霊、そしてそれに合わせて攻撃してくるハリセン……だが、彼ら【漫才師の霊】の攻撃手段は【disり】と【大音量】であり、それ以外の手段は猟兵に対して脅威となりえない。
「各個体は速やかに、これを解決せよ」
 そんな攻撃など新山には通じない、挑発によって呼び起こされた攻撃ならば見切るのは容易いと彼女は先程証明して見せたのだから。
 完全に見極めたが故に、既に準備してあったユーベルコード【凍えた液鋼(フローズン・リキメタル)】は速やかに展開され、冷気を纏う鋼球は即座に漫才師の霊とハリセンを取り囲み、咄嗟に一撃とまごう程の速さで攻撃を開始していた。

『『『ぎゃあああああああああ』』』
「くっそ、めちゃ冷たいでぇ!!?」
 冷気を纏う鋼球、その個体数は150体の突撃により漫才師の霊は凍結後、光の粒子となり消滅した……ハリセンもまた、鋼球を全て叩き落すまで、幾度となくその冷気の一撃を受け続けた。

「寒いあなた達には、それがピッタリですよ」
 鋼球を迎撃しながら逃げるハリセンに、新山は冷めた視線でそう告げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パリジャード・シャチー
・急にボケろって言われてボケられるわけないだろー。(現れるシャチぐるみ)うちはサメじゃないんだよ?分かる?シャチだよ。シャチ。海洋生態系の頂点。鮫も捕食する海の王者なんだよ。(なおこの女神の神性と権能に動物のシャチは一切関係ない)
・うちみたいな生粋のシリアスキャラにはこういう依頼は大変だよ。ねっ、そう思わないかい?
≪戦闘≫
・まんまと引っかかってやってきた敵の周囲にUCで不可視の刃を展開。不可視の風刃で敵の周囲を囲んで動けなくする
・うふふ。動いたらざっくりだよ、動かないと某グリモア猟兵にトラウマを与えた激辛攻撃だぜー。(早着替えしてメイド服になり、白蛇弓で激辛調味料に浸した鏃でのスナイピング)



「急にボケろって言われてボケられるわけないだろー」
「ボケとるやないかいっ!!」
「ひゃあっ!?」
 開始2行でハリセンを見事にフィッシュしたのは、パリジャード・シャチー、それも仕方がない事である、彼女は登場早々にシャチの着ぐるみを着用しながらこんな事を宣ったのだから。

「うちみたいな生粋なシリアスキャラにいきなり何をするんだい!?」
「その着ぐるみが既にギャグじゃボケェ!、真夏のクソ暑い中、なんちゅー格好をしておるねん!」
 ハリセンのツッコミを、パリジャードはギリギリで見切り回避する。
 その威力は地面を抉る強烈なものだが、バリジャードは着ぐるみを着た状態でも軽やかに動く……それもその筈、一見動きにくいシャチの着ぐるみに見えて、パリジャードの女神パワーで作られた魔法の着ぐるみなのだ。

「夏は涼しく、冬は暖かい素晴らしい着ぐるみなのだよ」
「神の力の無駄遣いやろ……なんや、お前……サメの神か何かなんかい?」
「サメ?、バカ言っちゃいけない!、うちはサメじゃないんだよ?分かる?シャチだよ。シャチ。海洋生態系の頂点。鮫も捕食する海の王者なんだよ!」
「え?、うん?、おおぅ!……じゃあ、シャチの神様なんやな?」
「いや、うちはシャチとは無関係の神様だよ?」
「関係ないんかい!!」
 ここまでシャチを強調しておいて、パリジャードは別にシャチと縁がある神ではないという事実が発覚。
 当然、これにはハリセンもツッコミを入れるしかない、と言うより、ここまでの彼女の言動全てツッコミ所しかないのだ……先程から、ハリセンはガンガンとツッコミをしながら、『水晶屍人』達と離されていっているのである。

「いやね、お遣いする白蛇の神様がね『因達羅』を名乗るから、それならうちは『舎脂』かなぁって?」
「やっぱり駄洒落じゃないかーーーいっ!!」
 舎脂とは阿修羅の娘にして因達羅(帝釈天)の妻となった女神であり、本場インド風に読むならばシャチーと読む……故に彼女は自身の名を『シャチー』と名付けたのだが、彼女のシャチ好きは其処から来ているとなると、やっぱり単なる駄洒落である。
 そんな駄洒落を根源としたシャチの着ぐるみを着て居るこの駄女神は、もはや歩くダジャレであり、存在自体がギャグなのだ……ハリセンのツッコミはますますヒートアップしていく。

「あいだっ!!?」
 ツッコミを入れるために自身の身を振りかぶろうとした刹那、ハリセンの身体に切り込みが入り、その動きを止めた。
 オブリビオンであってもハリセンはハリセン、文字通り紙一枚の身体はちょっと切れただけでも切断の恐れがあるが為、正体不明の斬撃には注意を払わなければならないのだ。

「ふっふっふー、だからうちはシリアスキャラだって言ったでしょー」
 パリジャードのユーベルコード【無双風刃(ムソウフウジン)】、ヒートアップしたハリセンのツッコミを避けながら、周りに不可視の風の刃を展開し、その檻の中にハリセンを誘い込んでいたのだ。

「くっ、ボケの塊に見せかけていたのは演技だったんか……」
「当然やん、うちは真面目なシリアスキャラだもん」
「…ん?、まて?、お前、何をしようとしてるねん?」
 不可視の刃の位置と強度が掴めず身動きが取れなくなったハリセンを尻目に、パリジャードは何やら、悍ましいまで赤い謎の液体が入った小瓶を取り出すのだ。

「うふふ。動いたらざっくりだよ、動かないと某グリモア猟兵にトラウマを与えた激辛攻撃だぜー」
「ちょ、まっ、そこでその攻撃方法の選択がボケだろぉ、あいだぁ!!?」
 今、ツッコミを入れようとすれば身体を切ってしまうんだが、やっぱりパリジャードはギャグの化身であり、ツッコミの化身であるハリセンも思わず身体を動かしてしまうのだ。

「いやいや、憎きサメも退治した、由緒正しき調味料ですよ?」
「サメが死ぬ激辛ってどんだけやん!!?、と言うかなんでメイド服に……あいだぁ!!?」
 何時の間にか早着替えによってメイド服の姿になっていたパリジャード……この調味料を使う時の決まりなのだろうか?、神の考えることはわからない。

「学習しない子だねー、それじゃあいくよ~」
「まて、アカン!、そんな体張るのは若手の仕事やでぇ!!!?」
「芸人ならビックになっても身体貼らないとダメだぞ」
 調味料を鏃にひたし、『白蛇弓・因達羅R』で容赦なく放たれたパリジャードの矢、嫌がるハリセンだが不可視の刃に囲まれて動くことが出来ない。

「あqwせdrftぐyhjp;@:「!!!???」
「あ、下手に動くと、あちゃ~聞いてないか」
 しかし、動く事が出来ないのは矢を受ける前までだった、受けてしまえばあまりの辛さに悶絶し、声にならない声を発しながらのたうち回る……そう、身体が切れるのもお構いなしに……。
 結局、ハリセンは刃のダメージと、激辛のダメージの両方を受けつつ、のたうち回りながらこの場から逃げ去る事しかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白鳥・深菜
ぴゃあまんざいっ!
それは【叫び舞う禍福の羽】で呼び出したレギオンによる
シュールな漫才芸である!

まず彼女らはピャアピャアとしか鳴かない!
何を言ってんだ!
ただ、それを補うように『パフォーマンス』として踊ったり歌ったりする!
いやいや、漫才をしなさい!

しかし、それ以上に。致命的な事がある。
相方の突っ込みを受けると、ボケ役は消える。
だって「一撃で消滅する」ってあるし。

まあ数だけは多い(合計200体以上)から、
多少ボケ役がくたばってもすぐ補充できますね?


まあそんなこんなでレギオンがボケ倒した後に
私自身は空から【青天白日の暗殺剣】で狩るわ。
相手の折り目辺りを狙って短剣で斬り裂いて、弱体化させる感じで。


鈴木・志乃
(ぶっつん)
【歌唱衝撃波なぎ払い】


うちゅーじんになりたーい!(たーいたーいたーいたーいえこーえこー)
いやもう今既にうちゅーじんなのかな分かんない
オラトリオだからこの世界的には宇宙人なんだろうけど(?)
宇宙人になりたい

わかったじゃあさいぼーぐになりたい(?)
機械の体がほしいウォーマシンでもいいかな
そうすれば無尽蔵にうごける
無理やりにでも動いていける
どれだけ疲れてても働けるぅ!!(何徹目かの謎テンション)

やぁやぁハリーセンハリーセルカルーセル?
よくワカンネ!(適当)
君の姿は……
あの空に輝くナンカ良く分かんない星のようだ!(適当口説き文句)
やぁ君僕と一緒にフライアウェイしないか!(念動力縛り上げ)



「ガライ、からい、からい、痛い、つらい……」
 地獄のような激辛地獄から何とか脱したハリセンであった、体中が切り裂かれているダメージを追っているのだが、それ以上に舌が辛い、そして痛いのだ。
 そんな哀れなオブリビオンの様子を遥か上空から伺う猟兵が一人……。

「だいぶ弱っている様ね、しかし獲物はとことん追い込むのが狩猟者のやり方なのよ」
 一見すれば天使……オラトリオにも見える姿だが、その頭に有るの山羊の角がそうではない事を表している、彼女は白鳥・深菜、キマイラの猟兵である。

「渾沌なる精神よ、白き羽根を広げ群れを成せ」
『ピャアアアアアアアアアアアア!!』
 白鳥はユーベルコード【叫び舞う禍福の羽】にて自身をデフォルメ化させたような使い魔(レギオン)達を召喚、その数は200にも及び、一斉に地上へと降り立った。

「ぴゃあまんざいっ!」
 白鳥の作戦は、一撃喰らえば消滅するが数の多いレギオン達に一斉にボケさせてツッコミを連発させ疲弊させる事、そして上空よりその隙を付いて一撃を食らわす事であるが……この作戦には問題があった。


『ピャアア』
『ピャアピャア』
「……え?、何やこのケッタイな生き物は……」
 彼らは『ピャアピャア』としか喋れないのだ、猟兵ではない使い魔である彼等に『なんやかんやで言語が通じる能力』は備わっていないらしく、流石のハリセンも言語が分からねばツッコミの入れようがないのだ。

『ピャア!、ピャア!』
「なんか歌ったり、踊ったりしてるやけど……うーん、そう言う物の怪の類なんやろうか?」
『ぴゃあ……』
 レギオン達も必死の『パフォーマンス』で歌ったり踊ったりするも、ハリセンはそれをボケとカウントせずスルー、まぁ漫才じゃないから仕方がない。
 レギオン達も主人の命令が果たせないと、肩を落とし悲しそうな声を発したが……其処に救世主が現れた。

「うちゅーじんになりたーい!」
「はい?」
「いやもう今既にうちゅーじんなのかな分かんない」
「なんでやねん!?……ぐぎゃっ!?」
 突然何かが来た、レギオンの歌に合わせて、急に変な歌を始めたのは鈴木・志乃、ダークセイヴァー生まれのキマイラフューチャー育ちのパフォーマーであり、猟兵だ。
 僅か2フレーズ目でハリセンのツッコミを誘引し、それをユーベルコード【魂の叫び(タマシイノサケビ)】の歌唱衝撃波によってカウンターを取る彼女の姿に、レギオン達の目に光が戻る。

「オラトリオだからこの世界的には宇宙人なんだろうけど(?)、宇宙人になりたい」
「いや、オラトリオってなんやねん!?」
 そもそもサムライ・エンパイアにオラトリオという概念はないし、異世界人であって宇宙人ではない……、そしてすかさずツッコミを入れるハリセンだが、いまいちツッコミにキレがない。
 ツッコミとはただ殴ればいいという物ではなく、ボケに対してキレのいい返しを必要とするのだが……鈴木の歌はシュールすぎてハリセンの理解が追いつかず、ツッコミのキレが悪くなるのだ。

『ピャアピャアピャアピャピャピャピャ~』
「な、何やお前らまで!?」
 そして、レギオン達も鈴木の真似をして歌い始める。
 鈴木のシュールさと言う中核を得たことで、謎生物の謎の歌にシュールギャグという属性を載せる事に成功したのだ。

「わかったじゃあさいぼーぐになりたい(?)」
『ぴゃあっぴゃぴゃあぴゃあーあぴゃああ?』
「何やこれは!?、一体どうすればええんや!?」
 ボケ殺しのハリセンも、シュールギャグ相手にどうツッコミを入れていいか狼狽えている、一人と200匹のカオスな空間に圧倒され始めていた。

「機械の体がほしいウォーマシンでもいいかな『ピャア!』、そうすれば無尽蔵にうごける『ピャピャア!』、無理やりにでも動いていける『ピャアッ!?』、どれだけ疲れてても働けるぅ!!『ピャアアアアアアア!!』」
「その願望は危ないでぇ!!?、と言うかこの子妖怪も困ってるがなって……結局ノルんかーーーいっ!!?」
 段々と息が合ってきた鈴木とレギオン達、無力だったレギオン達にもボケ判定が入るようになり、叩き潰されて消滅はしてしまうが、作戦通りの流れになってきた。

(あ、アカン……意味わからん過ぎて、ツッコミのキレが悪うて猟兵に当たらんわ、ちっこいのも何だか幾ら潰しても全然減らへんし…うっ、さっきの辛さの所為で喉が辛くなってきたでぇ……)
 ボケがシュール過ぎるのと、鈴木のテンションが高すぎて付いて来れなくなってきたハリセンに疲労の色が濃く映る……なお、レギオン全然減らないと言うのも錯覚ではない。

(よーし、そのままどんどん弱らせちゃいなさい)
 何故なら、白鳥はレギオン達を逐次補充しているからだ。
 彼女の羽一枚からレギオンが200体作成可能、これぞ数の暴力、幾らハリセンが潰しても、実は鈴木の【魂の叫び】が無差別攻撃だから多少巻き込んでしまっていたとしても、レギオンはそうそう尽きる事はないのだ。

「やぁやぁハリーセンハリーセルカルーセル?、よくワカンネ!」
「良く分かんないのはこっちじゃ、ボケェッ!!」
「ピャカァンネェ!」
「おまっ、今ちょっと喋りかけたやろ!!」
「君の姿は……あの空に輝くナンカ良く分かんない星のようだ!」
「あの星は太陽やぁ、それぐらいは分かれぇぇぇ!!」
「ピ○チュウ!」
「ちょ、その鳴き声はアウトや、ピー音、ピー音をはよ……うぐっ、ゲホゲホゲホッ!!」
 鈴木とレギオンの怒涛のボケ、そして先程の激辛地獄の後遺症により、遂にハリセンはツッコミの最中に咽てしまったのだ、そこに更に……

「やぁ君僕と一緒にフライアウェイしないか!」
「があぁっ、しもうたっ!?」
 鈴木の念動力によって締め上げられるハリセン、かくして獲物の披露はピークに達し、その上で金縛りにまでかけられたとなれば狩りの時間が訪れる。

「狩るべきを、狩る!!」
「え?」
 それはハリセンにとっては完全に死角、先程口にしてても見えてなかった太陽の光の中から白鳥は一気に距離を詰めてハリセンの折り目を短刀で切り裂いた。
 これぞ白鳥のユーベルコード【青天白日の暗殺剣(フェア・アサシネイション)】、音もなく飛んできて盲点を突く紀州の一撃は、ハリセンの折り目部分を縦に先、更には掴みの部分、其処を止めているガムテープまでも少し切る事に成功した。

「ぎゃああああああああああ、そこ、そこはあかん!、ここを切られたらワシはタダのジャバラになってしまうで!」
「其処が急所なのね!」
 他の箇所に受けたダメージとは明らかに違う反応、確かに繋ぎ目が無くなってしまえば、ハリセンは只の折り目が付いた紙に成り下がってしまうだろう。

「殺ったっ!!」
「ま、まだやぁ、させんでぇぇぇっ!!!」
 それに気がついた白鳥の返す刀が繋ぎ目を切り離そうとする刹那、【青天白日の暗殺剣】を受け回避できなくなっていたハリセンは、無理やり自身を巨大ハリセンに変身させる。
「どつ……くのは無理やっ!!」
 一瞬だけ巨大化したことで、何とか念動縛りを破り、白鳥の一撃で致命傷に至るのだけは回避したハリセンであったが、反撃の余力は既になく、巨大化を解除すると同時に『水晶屍人』の中へと逃げていくのであった。

「むぅ、更に弱らせると言う目的は達したけど、いざ獲物を取り逃がしてしまう言うのは狩猟者として悔しいわね」
「私は面白い子達と一緒にパフォーマンス出来たから、満足……かな?」
 とは言え、大ダメージを与えた事には代わりなく……あの様子では大型化のユーベルコードを使う体力も残されていないであろう、後詰の仲間もいるし二人は十二分な仕事を果たしたと言えるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神楽・鈴音
ボケ殺しのハリセン?
だったら、私が盛大な突っ込みを見せてあげるわ!
この賽銭箱ハンマーと、女神の加護を受けた女子力(物理)でね!

【SPD】勝負
UC発動させ、召喚した賽銭箱を念で操り浮遊させる
その上に乗って空中からハリセン探せば、水晶屍人とは戦わないで済むわね

ハリセン見つけたら、上から賽銭箱軍団と共に急降下!
周囲の屍人も合わせて、まとめて踏み潰してあげるわ!
「これぞ、女子力(物理)の成せる業よ!

敵の空気圧攻撃は、念で強化した賽銭箱をレンガのように組むことで壁にして【オーラ防御】
その後、自分の賽銭箱ハンマー中心に他の賽銭箱を集結させ、巨大ハンマーにして叩き潰す!
「賽銭箱にはこういう使い方もあるのよ!



「くそ、『水晶屍人』ども、わいを守るんやっ!!」
 今更になって『水晶屍人』に指示を出し、自身の警護をさせるハリセン……漫才師の霊が倒され、巨大化する体力も尽きた為の苦肉の策とも言えるだろう。

「猟兵どもがまた来るさかい、今度は右か、左か…わいの周囲を囲むんや!」
 自信を囲むように『水晶屍人』を配置するハリセン、これならば四方どこから猟兵が現れても対処は出来る、そう考えての支持だが、それは目論見が甘かったと言えるだろう。

「見つけたわ、喰らいなさい!」
「どわああああっ!?」
「ヴァアア!!?」
 突如、上空から四角い何かが降り注ぎ、ハリセンと、その周囲を守っていた『水晶屍人』はそれに押しつぶされてしまう。

「あいたたた……これは、賽銭箱!!?、誰やこんな罰当たりな真似をすんのは!!?」
「私自身を降り注がせただけよ、自分に罰なんて下さないわ」
「ぬぅ、貴様、わいと同じヤドリガミ……賽銭箱のヤドリガミか!!」
「え?、同じにはされたくはないんだけど……」
 上空より現れたのは賽銭箱のヤドリガミである神楽・鈴音、ユーベルコード【錬成カミヤドリ】によって召喚した40もの賽銭箱を念動力で浮かし、上空から奇襲を仕掛けてきたのである。
 『水晶屍人』は所謂ゾンビのような存在で飛翔能力もない為、空からくる相手は迎撃できない、ハリセンの指示によってヘタに集まったのが仇となり、かなりの数の『水晶屍人』が犠牲となったようだ。

「これぞ、女子力(物理)の成せる業よ!」
「な、なんやとぉ……」
 ここでハリセンは考える、漫才師の霊は倒されて使えない、巨大化は負担が多すぎて危険すぎる……自分が使えるユーベルコードは後一つ、だが、そのユーベルコードは相手に『つまらない』と言う感情を与えなければ成功率は低い。

(何か、滑るギャグをやらんと…せや、『disり芸』や、あいつらのアレ、全然ウケんかったし!)
 それは、漫才師の霊が滑べっていたネタ、奴らの真似をして盛大に滑ってやろうと、ハリセンは神楽を言動を見て口を開いた……開いてしまった。

「な~にが『女子力(物理)』や、その賽銭箱みたいに真っ平らな胸をしおってからに!」
「え?」
 ピキッ……と神楽と、その周囲の空気が凍りつくのを感じる、滑った!、確かな手応えを感じ、ハリセンは更に追い打ちを掛けていく。
「賽銭箱に『物理ハ女子力ナ姫(ぶつりはおなごちからなひめ)』って書いてあるけど、その胸に物理的な女子力(膨らみ)ないやん、おたくのご利益大丈夫なんかぁ~?、『女子力平野姫(じょりりょくたいらのひめ)』に改名したほうがええんちゃう?」
「………」
(押し黙った、成功したでぇ!、今必殺のぉぉっ!!)
「何かツッコめやあぁぁぁぁ!」
 神楽に『つまらない』という感情を与えたと確信したハリセンは、最後のユーベルコードを発動、大量に召喚されたハリセン達から無数の空気圧の弾丸が放たれる。

「阻みなさい」
「……え?」
 しかし、その空気圧の弾幕は神楽の念動力とオーラ防御で作られた賽銭箱の壁によって、余りにもあっけなく防がれた。
(な、なんや!?、威力がなさ過ぎる…失敗したんか!?)
 ウケた……ようには見えなかった、確かに『つまらない』と言う感情を与えたはずだ……そう思い込んでいたハリセンだが、違う、違うのだ。

「ふふ…ふふふ、あはははははははははっ!!」
「あ、あれでウケたんか!?」
「随分と、面白いこと言ってくれたじゃないっ!!」
「……あ」
 笑っている、『面白い』とも言った、だが当然、神楽はウケに訳じゃない……だって、その目は笑っていないのだから。
 『disり芸』を始めとするブラックユーモアは扱いが難しい、それなりに刺さる、それなりに痛い所を付きつつも『相手を本気では怒らせる事なく』上手い事を言わなければならないのだから。

「めっちゃキレとるーーー!!?」
「この紙くず、覚悟は出来てるんでしょうねぇ!?」
 そう、『disり芸』は相手をガチ切れさせたら、面白いとかつまらないと言う話ではなくなりネタとして成立しなくなるのだ。
 ネタでは無くなった物に『つまらない』などと言う感情は生まれない……怒りを生むだけだ、文字通りの意味で洒落にならないので、『disり芸』をする時は注意をするべきである。

「賽銭箱にはこういう使い方もあるのよ!」
「そんな使い方、あってたまるかーーーいっ!!?」
 神楽の『賽銭箱ハンマー』に【錬成カミヤドリ】の賽銭箱が連結し一つの巨大なハンマーと化していく、賽銭箱41個分の巨大ハンマーの全てが何故か鋼鉄化しているのは『物理ハ女子力ナ姫』のご利益か、はたまた乙女の怒りか……。


「天罰覿面っ!!!」
「ぐぎゃあああああああああああああああっ!!?」
 圧倒的質量によって叩き潰されたハリセンは、繋ぎ目が切れるどころか、折り目すら真っ平らにプレスされハリセンとしての体をなせなくなった。
 ハリセンでなくなった事が『ボケ殺しのハリセン』としての存在の死であったのであろう、残された紙くずは火を上げぬまま灰となり、やがて消滅していった。

「フンだ、あなたの方が真っ平らじゃない……」
 オブリビオンに盛大なツッコミ?を入れ、見事にトドメを刺した神楽ではあったが、その背中には哀愁が漂うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日
宿敵 『ボケ殺しのハリセン』 を撃破!


挿絵イラスト