エンパイアウォー③~軍神の走狗〜
幕府の明暗を分ける一大決戦が始まろうとしている。
寛永三方ヶ原の戦いを勝利で終えた徳川幕府軍。織田信長を討ち取らんと総力を上げて進軍する彼らを第六天魔軍将が阻む。
徳川幕府軍は本隊と分隊に分かれ、それぞれ東海道、中山道を通り、関ヶ原を目指す計画であった。しかし、中山道の要衝である「信州上田城」周辺は、すでに魔軍将が一人「上杉謙信」の手中に落ちていた。上杉軍は徳川分隊壊滅のため、着々と軍備を整えている。
上杉軍が本陣と定めた上田城は小さな山城のため、上杉の軍勢を全て収容できずにいた。今は各部隊が周囲の山岳地帯に陣を張っている状態だ。
望月・秀(沈着冷静な仕事人間・f14780)は俯き、地図を睨む。
「君達猟兵は徳川分隊に先行し、中山道に向かって欲しい。主力となる強力な部隊の撃破を依頼したい」
それが徳川分隊の壊滅を阻止する事に繋がる、と顔を上げた秀は続ける。主力部隊を殲滅し、戦力を削り取れば、不利を悟った上杉軍は撤退するはずだ。
猟兵の成果こそが戦いを決する。集まった猟兵達の緊張感が高まる。
秀は地図を指差す。
「私が君達を送る場所はここだ。ここから最も近い敵は『妖魔忍者』だ。彼らは忍者の里で造られた人間兵器。精神は完全に破壊されている。彼らは己を持たず、ただ使役される者。走狗以外の何者にも成れない」
秀の表情が歪み、目に憤りの色が浮かぶ。しかし、瞬き一つで普段通りの無表情に戻ると、彼は猟兵達に不意打ちに気をつけるよう告げる。忍者にとって己の気配を消す事は造作もない事。ましてや、戦いの場所は山中である。身を隠す場所には困らない。
秀は腕を組むと、猟兵達を見回す。
「上杉謙信は軍神と呼ばれる程戦術に優れている。神懸かった采配は凡人の想像を超えるだろう。この度の戦いには現れないはずだが、何を企むか分からない。くれぐれも油断しないで欲しい。皆の武運を祈る」
こふ
マスターのこふです。よろしくお願いします。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
敵は忍者のため、真正面からの戦いとはならないでしょう。隠遁術で逆に不意打ちする、敢えて身を晒し反撃する、罠を仕掛ける、など、猟兵の皆様のお好みでどうぞ。
第1章 集団戦
『妖魔忍者』
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POW : 忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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ゴッド・ゴッダー
▼心情
たまたま通りがかった全知全能の神に斬りつけるとは、言語道断この上ない!
不敬者どもめ、この神自ら神罰を与えてくれよう!
▼戦闘
ちなみに先程の攻撃だが、蚊に刺された程にも効いておらぬぞ。
どういう事か分かるか?……こういう事だ!
目にも止まらぬ早業で背後をとり、耳を引っ張る
そして耳元で「神の御声」じゃ!
そして残った忍者に告げる
貴様らとワシでは強さの次元が違い過ぎるのだ!
帰って「軍神」とやらに伝えい!
森羅万象を司り大宇宙を統べる全知全能の絶対神が、悪党に尻尾を振る三流の神の首を獲りに参ったと!
ゴッド・ゴッダーは信州上田城を目指し、山道を歩いていた。その時、突然、茂みから刀が突き出される。目にも留まらぬ速さで現れた刀は、ゴッドの腹に突き立ったかに見えた。しかし、実際には彼の皮膚を貫くどころか、傷一つ付けられず静止していた。彼は刀をへし折り、その先を睨む。
「不敬者め! 全知全能の神に斬りつけるとは言語道断じゃ! 神罰を与えてくれよう!」
厳かに神託を下したゴッドは、その場から一瞬で掻き消える。彼は己の腹を刺そうとした忍者の背後に現れると、耳元で人間には知覚できない程の大声を上げた。
忍者は耳や鼻、目から血を吹き出し、絶命した。ゴッドは、己と倒れ臥す忍者、両者の次元の違う格差に憐れみを持つ。
「帰って『軍神』とやらに伝えい! 森羅万象を司り、大宇宙を統べる全知全能の絶対神が、悪党に尻尾を振る三流の神の首を獲りに参ったと!」
ゴッドは姿を見せぬ忍者達に叫ぶ。しかし、返答は四方からの手裏剣であった。彼はその全てを叩き落とし、激怒した。
「神の慈悲を何と心得る! よかろう、報いを受けよ!」
成功
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ファルシェ・ユヴェール
戦となれば非人道が罷り通る、
…よくある事とはいえ、やるせないものです
嗚呼、感傷に浸って油断している場合ではありませんね
本物の忍びの気配を捉えきるのは難しいですし、
向こうから仕掛けてくるのを待ちましょうか
カウンターで抑え、武器落としを狙います
そうして隙を作れたならUC使用
取り出した宝石を翳し
「――我が騎士よ」
囁けば、中身のない騎士鎧が現れる
私自身は戦闘が得意とは言い難いですから
後は彼に任せ、自身は倒されぬよう守りに徹しましょうか
騎士の核とした宝石はネフライト
多くの石言葉のなかに「慈悲」の意を持つ石
己を持たぬ、既に心が殺された者達は
使い潰されても恨みひとつ抱くことすら出来ぬ
――ただの感傷、ですがね
戦の為ならば、如何なる非人道も罷り通る。有り触れた話だ。
猟兵として。そして、宝石商として。ファルシェ・ユヴェールは、様々な世界とそこで起きる争いを見てきた。遣る瀬無い思いは、彼の美しい紫の瞳を曇らせる。
気を取り直したファルシェは、片手に白銀の槍を構え、もう片手で宝石を握り締める。彼は、忍者の気配を捉えきるのは難しいと考え、自分からは仕掛けずに待つ事にした。
全神経を集中させていたファルシェは、振り下ろされた必殺の一撃に気付いた。彼は神速の刃を紙一重で躱し、槍を突き出す。槍は忍者に突き刺さり、手にした刀ごと手首から先を地に落とした。
忍者が新たな武器を構える前に、ファルシェは宝石を翳し、囁く。
「――我が騎士よ」
宝石が煌き、がらんどうの騎士鎧が現れた。騎士鎧は槍を構え、忍者に突進する。
心を殺され、己を持てぬ者達。使い潰されても恨み一つ抱けず、そのまま唯々死ぬ者達。
騎士鎧の核となった宝石の名はネフライト。幾多の石言葉の中に「慈悲」の意を持つ石。
「――ただの感傷、ですがね」
ファルシェは忍者との戦闘を騎士鎧に任せ、守りに徹する。見つめる彼の目前で忍者は破れ、唯死んだ。
成功
🔵🔵🔴
依神・零奈
軍神の手勢の忍者……ね
文字通りのただの傀儡と化していても手ごわそうだ
……それにしても上田が上杉の手に落ちるというのも
皮肉な物だね……
戦場は山中、相手は忍びの者、敵方の圧倒的有利だね
でも私達ならそれを逆手に取る事もできる筈
誘引策で行かせて貰うよ
常に【カウンター】で反撃できるように構えておきながらも
【だまし討ち】の為にただ敵陣へ進んでいるように見せかけるよ
こっちの用意した隙を突いて敵が攻撃してきたら
無銘等で敵の攻撃をいなしてUCで反撃を開始する
「今此処にキミの運命は確定した」
「陽に出た影は光に打ち消される」
舌禍による【呪詛】で周囲の敵に体を蝕む呪いを掛けて
周囲の敵を無銘刀で攻撃していくよ
「軍神の手勢の忍者……ね。文字通り『傀儡』と化していても手強そうだ」
戦場は山中。相手は忍。敵方が圧倒的に有利である状況に、依神・零奈は物憂げな溜息を吐いた。八百万神の一柱として日本を見守ってきた彼女は、上田が上杉の手に落ちた皮肉に過去を思う。
思い出を振り払った零奈は、後手に回った状況を逆手に取り、誘引策を取ることにした。彼女は足を無造作に踏み出す。一見隙だらけに見えるが、実際には無銘の日本刀が反撃に備えられていた。
数歩も歩かぬうちに、幾人もの忍者が襲い掛かる。零奈は無銘刀で攻撃をいなし、言霊を込めた呪詛を放った。囁きにも等しい声であったが、不思議と周囲に響き渡り木霊する。
「今此処にキミの運命は確定した。陽に出た影は光に打ち消される」
忍者達は誘い込まれた事を察した。彼らは即座にその場を離脱しようとしたが、飛び退いたはずの足が縺れ、その場に崩れ落ちた。呪いが体を蝕み、動きを害する。
藻掻く忍者は鬼火を放った。振り抜かれる無銘刀。鬼火は実体があるかのように真二つになる。
零奈は悠々と忍者に歩み寄り、順番に首を刎ねていった。
大成功
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薬師神・悟郎
主に恵まれなかったお前達を気の毒に思ったとしても手加減はしない
今日、この弓を引いたことは忘れないだろう
俺が討つのは己を持たない唯の道具ではない、素晴らしく恐ろしい技を持った忍びだ
変装、迷彩で存在感を消し、忍び足で隠密、不意打ちを狙う
聞き耳、第六感、野生の勘で情報収集+UC
地形の利用、念動力で小石や枝で物音を立て敵の気配を探り追跡
敵の位置を特定後、戦闘知識、医術で急所を特定
静かに弓を番い、視力、暗視、スナイパー、投擲で先制攻撃、暗殺
敵が複数いれば2回攻撃、範囲攻撃で撃破
終えれば、俺の居所を特定され追跡されぬよう存在感を消し早業で移動、逃げ足
この辺りの戦力を粗方撃破するまで同様の行動を繰り返すぞ
ルク・フッシー
お、オブリビオンのニンジャ……!
うう、太刀打ちできる自信はないです、けど…やるしかない!
【花宴描画】を使い、大筆の穂を毒属性・紫の塗料製の花びらに変えます
この無数の塗料を全方位に飛ばし、ニンジャや鬼火を打ち消します
毒属性の塗料がニンジャに触れれば、ニンジャが潜伏していようと体力を削る事ができるでしょう
さらに塗料は液体なので鬼火を消しやすいし、足元に撒き散らされた塗料はベチャベチャと音を立てて索敵をやりやすくするはずです
鬼火などがボクに接近したら、攻撃を大筆の柄で受けて相殺します
存在感を消し去り周囲を探っていた薬師神・悟郎は、同時に頭の片隅で主に恵まれなかった忍者を気の毒に思っていた。しかし、手加減など微塵もする気はなかった。彼が射抜く相手は、己を持たない唯の道具ではない。素晴らしく恐ろしい技を持った忍なのだ。今日、この弓を引いた事は忘れないだろう――。悟郎はフードの下で唇を引き結んだ。
鬱蒼と茂る樹の上に身を潜めた悟郎は、岩陰に小柄な少年を発見する。彼は少年の周囲に敵がいない事を確認すると、引き続き情報収集に戻った。
小柄な少年、ルク・フッシーは敵の忍者に怯え、自信を持てずにいた。彼は愛用の特大絵筆を固く握り締め、唾を飲み込む。そして潤んだ緑の瞳に決意を覗かせた。
ルクの持つ大筆の穂が紫色をした塗料製の花弁に変化する。彼を中心に、毒を帯びた無数の花弁が四方へと舞い上がった。呼応するかのように無数の鬼火が灯る。不規則に動きながらルクへと近づく鬼火は、舞う花弁に触れると音を立てて消滅した。
幾つもの鬼火が消えていく中、一つの鬼火が花弁を掻い潜り、ルクに近づく。彼はそれを大筆の柄で受け、相殺した。
花弁と鬼火が舞う幻想的な様に目を奪われるも、悟郎は微かな音を聞き逃さない。忍者が地面を紫に染める塗料に触れたのだろう。彼は念力で小石を音の方に飛ばす。小石が落ちるより早く、茂みから放たれた衝撃波が石を砕いた。
敵の位置を特定した悟郎は金の瞳を細め、静かに黒い弓に矢を番える。音もなく飛んだ矢は敵の急所を貫いた。その場に留まっては居所を特定されかねない。彼は即座にもう一本の矢を放つと、再び存在感を消し去り移動する。二本目の矢は、ルクに襲い掛かる忍者の首に突き立った。
敵の気配に慌てて振り返ったルクは、目の前で崩れ落ちた忍者に飛び上がる。首に刺さる矢に仲間の加勢を感じ、彼の強張っていた表情が解けた。
花弁の毒はそれに触れた者を緩やかに蝕む。徐々に動きが鈍る忍者達。周囲の気配が絶えるまで、悟郎の矢は幾度も飛んだ。
大成功
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