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エンパイアウォー⑤~首を垂れる黄金

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「皆様、サムライエンパイアにて戦争が発生致しました」
 ドレスの端を摘まみわずかに頭を下げた姿勢で、リコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)は集まった猟兵たちに告げる。
「お集まりいただきました皆様にはこの戦争を乗り切るべく、徳川家が遺した埋蔵金を探し出していただきます」

 リコリス曰く、徳川幕府は戦力と共に補給物資も集めようとしているという。
 しかし個人資産が徳川幕府の全資産を凌駕する魔軍将の一人、大悪災『日野富子』の買い占めにより補給物資の価格が高騰してしまい、このままでは予定される規模の幕府軍に対して十分な補給物資を揃えることは不可能だ。
 物資の枯渇は当然に士気に甚大な影響を与え、信長軍との戦闘がより過酷になることは間違いない。
「この買い占めに対抗するためには、神君家康公の埋蔵金が必要不可欠ということですわ。幸い埋蔵金の地図は徳川家からお借りすることが出来るのですが……少々問題が」
 地図を猟兵たちへと差し出すリコリスの表情はどこか浮かない。
「この地図が指し示すのは埋蔵金ではなく、埋蔵金に辿り着くための鍵の在処。埋蔵金を手にするためには盗掘を防ぐための仕掛けを乗り越えねばなりません」
 まず初めに埋蔵金が隠された部屋は魔術的に隔離されている。が、こちらに関しては猟兵たちであれば問題とならない。
 問題なのは神君家康公の施した謎である。
 この謎を解かなければいくら猟兵といえども埋蔵金を手にすることはできない。
「謎に関しては直接見ていただくのがよろしいでしょう。私からの説明は以上でございます」
 再度頭を下げ一歩下がったリコリスは、どこからともなく現れた1本の彼岸花を手に取る。
「経世済民――世を治め、民の苦しみを救うことという意味の、経済の元となった言葉だそうです。埋蔵金が民を救うのなら、今こそ表舞台に出ていただくべきでしょう」
 行ってらっしゃいませ、と言葉と同時に、彼岸花のグリモアが強い光を放った。
 舞い散る花弁に飲み込まれた猟兵たちはサムライエンパイアへと旅立っていった。


 猟兵たちが転送されたのは、小さな農村。
 地図を頼りに辿りついた小さな蔵の中にあった魔力で隠された扉を開くと、そこには地下へと続く階段が続いていた。
 猟兵たちが薄暗い中慎重に下りていくと、階段の先には蔵にしてはあまりにも似つかわしくない空間。
 華美とは言い難いが意匠の凝らされた装飾が壁や天井に施され、蝋燭の火が狐の像をぼんやりと照らし上げた、どこか厳かな雰囲気を漂わせる空間がそこには広がっていた。
 その雰囲気に徳川家の存在を確信した猟兵たちはすぐにその空間の調査へと行動を始める。

 調査の結果、鍵となるように感じたものは2つ。
 1つは狐の木像。
 木像を乗せた台にも扉が付いており、取手の代わりに何かがはまりそうな溝が彫られている。
 もう1つは像から少し離れたところに置かれた小さな机。
 そこには壱、弐、参、……とそれぞれ数字が掘られた12枚の檜の木札が置かれていた。
 木札の大きさは扉に掘られた溝と同じ大きさで、この中のいずれかを嵌め込めば何か起きると猟兵たちは気付いたようだ。
 そして机のうえにはもう一つ、端々が破れかかった古い巻物が置かれていた。
 慎重にそれを紐解くと、そこにはこのように書かれていた。

『汝、時を操りたくば我に木札を捧げよ』
『汝、豊作を望まば実りの時を見極めるべし』
『正しき時を見極めたらば、金色の実りが眼前に広がらん』

 狐の像は何も語らない。
 ただただ黙し、猟兵たちを試すのみ。


灰猫
 御覧いただきありがとうございます。灰猫と申します。
 本作の舞台はサムライエンパイア、エンパアイアウォーの謎かけシナリオでございます。

●注意事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●採用に関して
 まず初めに、プレイングには謎かけの答えが必須となります。
 その答えに至る経過や行動をプレイングとしていただければ、描写の参考に致します。
 また、今回の採用に関しては最初に届いた正答プレイングを優先するものとし、以降に届いた正答プレイングに関しては余力があればとさせていただければと存じます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『神君家康公の謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。

SPD   :    素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。

WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。

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🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黙する狐のヒント
・「実りの時」とは収穫の時ならず。「実りの時」とは、実がなるその瞬間を示すものなり。
・時の名の中に汝が欲する瞬間を明確に表すものあり。迷わば時の名を調べるべし。
亜儀流野・珠
狐、つまりお稲荷様と言う奴だ!
農業、稲作の神である稲荷神、その象徴である狐がいて、豊作やら実りの時やら金色やら…つまり稲の話だな!

で、十二の時から正しき時を…これは月を表しているのだろう。
ここで選ぶべきは…「七」、文月の七月だ!
文月は穂含月とも言うしな。この問いの答えとしては丁度良いんじゃないか?
収穫時期などだと一つの月に絞れんからな!
埋蔵金への道が開いたなら「千珠魂」で分身を出し「俺たち」と共に埋蔵金を運び出そう!
狐よ、埋蔵金の番、お疲れ様だ!
後は任せてくれ!責任を持って届けよう!



 狐像の前で、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)はふさふさとした尾を揺らしながら暗号の意味を考えていた。
 自分と同じ狐で祀られる存在というと、まず彼女が思い当たったのはお稲荷様だ。
 農業、稲作の神である稲荷神と共に暗号文が隠されていたとなれば、この文章は稲作の話である可能性が高い。
「そして、十二の時から正しき時を……これは月を表しているのだろう」
 木札の枚数は12枚。これは暦の数と一致する。
 そして珠は和暦の中に稲の穂が実る月という由来を持つものがあることを知っていた。
「ここで選ぶべきは……文月、つまり7月だ!」
 文月。この和暦は『含み月』『穂含月』が由来と言われている。
 実際の収穫時期はその時々の気象条件によってずれが生じるものの、名前の由来であればそれに左右されることはない。
 確信に至った珠は木札の中から『漆』と彫られたものを選び、それを溝へと嵌める。
「これでどうだ!?」
 珠がどこか祈るような気持ちで扉の変化を待っていると、カチリと小さな音を立てて内側から押されたかのように扉が開く。
 開かれた先では、空間いっぱいに押し込められた大判小判の山が静かに座していた。
「よしっ、あとは責任を持って届けるだけだ!」
 分身を呼び出した珠は手分けをして狐の下の空間から埋蔵金を取り出していく。
 小さな珠の分身が忙しなく大判小判の詰まった空間と取り出したものを寄せ置く場所を行き来する中、とある分身体が扉の反対側に何かを見つけ、それを指差しながら珠の服の裾を引っ張る。
 ――汝が努力の実る瞬間、確と見届けたり。
 ――収穫せよ。其れは汝が努力の証なり。
 刻まれた文字に珠はふと笑みをこぼし、狐像を見上げる。
「狐よ、埋蔵金の番、お疲れ様だ!」

 狐の像は何も語らない。
 ただただ黙し、豊作をもたらした狐とこの世界の行く末を見守るのみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト