4
エンパイアウォー①~降り注ぐ死

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー


0




●降り注ぐ死
 全長数メートルの巨大なクラゲが幾重にも複雑に絡まり合った塊、としか形容しようのない奇怪な生命体は太陽光を乱反射し妖しく輝いていた。
 青空に浮かび優雅に風に流されるままにぷかぷかと彷徨っているようにも見えたそれは、目標地点まで到達した事をきっかけに激しく燃え上がり、ゆっくりと落下を始める。その落下先は、徳川幕府有する宿場町。
「なんだいあれは?」
「空から赤い星が!」
 突如飛来してきた巨大な岩塊に対抗する術を持つものはおらず、民草や兵に出来ることは、救いを求めて祈り、愛するものを身体で庇い、僅かでも距離を取るために闇雲に走ることぐらいで。
 地面に着弾したクラゲ型の隕石が起こした大規模な爆発は、それらささやかな抵抗を、人々の平穏な暮らしを土地ごと吹き飛ばした。

●三人寄れば
「どがーん☆」
 爆発音を叫びながら、グリモア猟兵のキーラはテーブルに配置された宿場町を模したコマやトークンを手で雑に薙ぎ払った。
「つーわけで、今回の猟兵諸君の目標はクラゲ隕石の落下による大爆発を防ぐことだ」
 エンパイアウォーに参戦するべくグリモアベースに集った猟兵達に、コマを一緒に拾い上げて再び並べてもらうようにお願いしながら、依頼の説明を続ける。
「舞台はサムライエンパイアの宿場町、そこまで大きい拠点でもねーけど」
 幕府軍が魔空安土城まで進軍するためには、要所要所で休息や補給が必要になる、今回の目的地もまたその一つだ。
「配備されているのは僅かな兵、後はごく普通の民草ぐらいで、こいつらアテにはなんねー。せいぜい邪魔にならんように避難を自主的にやらせるぐらいしかねー、どのみち猟兵諸君が失敗すれば全員まとめて死ぬから心配無用だ。肝心要は猟兵諸君の力で解決してもらう必要がある」
 また並べるなら最初からやるなよ……冷たい猟兵達からの目線を受けつつ、キーラはテーブルの上空にクラゲトークンを数匹浮かべる。
「こいつらが今回の目的のクラゲ隕石だ。何十匹かのオブリビオンの集合体で……上空から振ってきて地面に到達すると大爆発して周囲を木っ端微塵にするように設定されてる。運動エネルギーとか忍法とか魔力とか理由はわかんねーけど、でけー燃えてる質量の塊が空に浮いてると思えば大体あってる」
 奴らのうち一体でも着弾すれば……小さな宿場町が灰燼と化すに十分な爆発を起こすだろう。
「こいつには三段階の対応が必要になるぜ。一個のタスクにつき、おそらく猟兵諸君一人でこなすのが精一杯。つまり、一個の隕石に対して最低三人必要になるわけでー、今回はチーム戦ってやつだな。好きだろ? そういうの」
 答えを待たずに指を一本立て、地面を示す。
「一つ目、落下を受け止める。クラゲ隕石は地面に着弾した瞬間に爆発するように設定されている以上、猟兵達が地面の寸前にでも受け止めれば問題ねぇ。但し、とんでもねー質量とエネルギーの塊が振ってくる上に無限に燃え盛ってるからな、落とさないように受け止め続ける負荷はハンパねー」
 ついでにと付け加え。
 「あと、宿場町の何処かに着弾するのは間違いねーけど、正確な場所が不明なんで、落下を確認したら素早く落下地点まで移動して受け止める必要がある。これが一つ目の課題だ」
 頑張って走ってくれよなと吹聴しつつ、二本目の指を立てる。
「二つ目、バリアを剥ぐ。クラゲ隕石は内部にコアがある。まー、いわゆる弱点だな。こいつをぶっ壊せば一発で爆発させることなく破壊できるが、コアは分厚い防壁に守られてる」
 弾力のあるぶよぶよとした身体、魔術的な防壁、電子的な干渉に関する耐性、諸々の要素でコアは厳重に防御されており。
「おまけに再生能力持ち。常にコアを狙えるようにするには、バリアをぶっ壊し続ける必要がある。もちろん、敵も反撃してくるだろーよ。こいつが二つ目」
 三つ目、と囁きつつ三本目の指を立てる。
「コアの破壊。といってもこいつも大人しくやられてくれるわけじゃねー。コア自身も反撃してくる上に、すげー素早く動き回る。他の二人が役割をきっちりこなし続けてくれないと、とてもじゃねーけど狙えないはずだ」
 三本の指を立て笑みを浮かべ。
「つまり、今回重要なのは役割分担だよ。『受け止める』『バリアを剥ぐ』『コアを壊す』三人一組。他の奴らが自分のタスクをこなしてくれることを信じて、自分の役割に集中する必要がある。そういうのもたまにはいいだろ?」
 互いの顔を見合わせる猟兵達を転移させるべくグリモアを展開させながら告げる。
「そんじゃあ、行くぜ猟兵諸君。未来を変えてやれ☆」


ぬえの
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ぬえのです。
 今回のシナリオは「上空から落下してくる隕石型の災害を三人で協力して迎撃するかっ こいいやつ」がコンセプトです。
 舞台は宿場町ですが、住人の避難等を考慮する必要はありません。
 役割分担して対応するというシナリオの構造上、三人一組で対応するようなプレイングを描いて頂けると盛り上がると思います。
 それでは、一緒にかっこいいリプレイを作りましょう。
25




第1章 集団戦 『水晶宮からの使者』

POW   :    サヨナラ。
自身に【望みを吸い増殖した怪火】をまとい、高速移動と【檻を出た者のトラウマ投影と夢の欠片】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    夢占い
小さな【浮遊する幻影の怪火】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【鍵の無い檻。望みを何でも投影する幻影空間】で、いつでも外に出られる。
WIZ   :    海火垂る
【細波の記憶を染めた青の怪火】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。

イラスト:葛飾ぱち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

星羅・羽織
坂上・貞信(f00110 呼び方:ていてい)、光・天生(f05971 呼び方:えんえん)と、チーム。

私は、隕石を、受け止める役。
任せて。私が、来たからは、楽々、解決。
なん、なら、ていていとえんえんは、見てるだけでも、いい(どやあん!)

まず、質量を、見積もる。
威力を変えた、魔法を、何度か打ち込んで、状態を確認。
止めるのに、必要そうな、威力を計測。
「大体、分かった。準備、いい?」

ていていとえんえんに、確認。
良さそう、なら、ぶっ放す。
『ルート・マジック』を、使って、受け止める。
宇宙<魔力>の力、うまく使えば、これくらい、簡単。
運動エネルギーを、時空のゆがみに、逃がして、中空に固定。

あとは、お任せ。


坂上・貞信
受け止めを羽織くん(f00376)に、
コア破壊を天生くん(f05971)に託しバリア剥ぎを担当。

フォワードと後詰を少年少女に任せるとは、
我ながら忸怩たる思いであるが。
まあ適材適所、務めを果たすとしよう。

羽織くんの受け止めに合わせ
【我が愛しき部下よ来たれ】で死霊分隊を呼びだす。

まずは『誘導弾』、対戦車ミサイルで派手にバリアを剥がし。
空いた所には『属性攻撃』で凍結弾を叩きこむ。
消化して羽織くんに涼を……というのは無理でも、
クラゲ型の生命体ならたっぷり含んだ水分の方はどうだろうね。

僕も解らない。効くかな。
兎に角間断なく、凍るなら肉を砕き銃弾を浴びせ続けろ。
天生くんの行く道だ、邪魔はさせないよ。


光・天生
坂上さん(f00110)、星羅さん(f00376)との連携出撃
コア破壊を担当

故郷であるこの世界に良い思い出は少ないけど。
俺の拳が何かを砕くことで、人々を救えるなら……!

バリアが破られ次第、飛び込んでUCを発動
今は二人に言葉をかける暇はない
ただ目配せによって感謝と健闘の祈祷を。

UCで俺は速く動くものを無差別に攻撃する鬼となる。
けれど問題はないでしょう。
この場において最も素早くあのコアこそ、俺が破壊すべき対象なのだから。

多少の反撃、UCによる超耐久力や【激痛耐性】で耐えてみせる。
UCによる超攻撃力から繰り出す【怪力】任せの【グラップル】……。
一撃でも当てれば、俺の……いや。
俺たちの、勝ちです――!



●嚆矢

 視界の彼方、天から降り注ぐ赤い熱球の進路を見上げ、光は通路をひた走りながら通信機に呼びかける。
「ごめんなさい、こちらは落下までに間に合いません。かなり遠いです」
「こちらはそこまで遠くないけど、同じく落下予測地点には間に合いそうにないね。申し訳ないけど」
 いまいち焦りを感じない飄々とした声音の坂上の返答。
「大丈夫、もう、いる」
 落下に従い、視界を徐々に埋め尽くす巨大な火球を金の瞳で見上げながら、羽織が答えた。お世辞にも足が速いとは言えない彼女だが、星と月のウィザードを標榜する彼女にかかれば進路を予測することも可能で。
「ならば落下先で待ち受けていればよいというところか。流石は魔法使い」
「なんなら、ていていとえんえんは見てるだけで、いい」
 どやあああ! と得意げな表情が浮かんできそうな通信に光は苦笑し。
「こちらも役目は果たさせて頂きますよ。今からそちらに急行するので、一旦通信を終えますね」
 一呼吸。周囲を見渡し、移動に巻き込んでしまいそうな民達がいないことを確認してクラウチングスタートの姿勢を取り。視界に映るこの世界に良い思い出が多いとは言えない。それでも。
「いきますか」
 ずどん、地面がひび割れそうな踏み込みと衝撃を残し、その姿はその場からかき消えた。

 貞信は走りながら天を仰ぐ。大きい。落下して爆発させるという単純な作戦だからこそなし得る質量と破壊力。これを少女一人に受け止めさせるのも忸怩たる思いがあるが、軍人なればこそ、その想いを表に出すことはせず。
「羽織くん、こちらからも隕石を確認できたよ。かなりの規模だけど、一人で大丈夫かな?」
「へーき、問題、ない」
 羽織が指先で宙に五芒星をなぞれば、煌めく星型の弾丸が五つ飛び出し。
「いけ」
 流星は尾を引きながら微妙にタイミングをずらして隕石に着弾し、淡く砕け散った。当然、その程度では隕石を止めるには至らない。その目的は威力偵察。自分の出力、隕石の持つ熱量、その落下を短時間だけでも止める方法と必要な魔力。生まれながらの魔法使いは的確に心の中で最適な構築を組み上げ、時間を導き出す。
「三十秒だけなら、ぎりぎり、なんとか、なる」
「三十秒ね、了解した」
 迫りくる隕石の炎が額を焦がす。その熱を無視して瞑目し、静かに魔法の構築を練り上げていく。
「あつい、なー」
 これだけの出力を出せば、おそらくしばらくは動くこともままならないだろう。仮に失敗すれば逃げることも敵わないかもしれない。それで構わない。後のことは。
「いくよ、ていてい、えんえん――『ルート・マジック』!」
 見開かれた金の瞳に映るのは星の輝きで、その視線に射抜かれた隕石は時間を奪われたかの如く中空でぴたりと動きを止めた。
「なるほど、別次元に落下エネルギーだけ転移させているのか。魔法使いとは器用なものだね」
「感心して、ないで、はやく」
 魔法の高負荷による頭痛。脳をかき回されるような痛みに顔をしかめる。
「これは失礼。大丈夫、僕の指示通りなら一秒後に」
 ぱちり、指を弾く音と共に飛来した大量の対戦車ミサイルが中空に固定されたクラゲ隕石に着弾し、大きな爆発の余波が砂埃を巻き上げた。
「対象に命中を確認、効果有り。防壁に小規模な亀裂を確認……これだけ打ち込んで、この損害か。こっちの自信がなくなりそうだ」
 苦笑いしつつ、予め配置していた死霊分隊に指示を下す。
「続けて属性弾の斉射を開始せよ」
 事前に配置されていた狙撃兵達の一斉斉射。その弾丸の属性は、氷。急速に熱を奪われ、全身をうねらせながら再生を開始していたクラゲ隕石の亀裂付近の脈動が止まった。
「凍結を確認。やはり構成成分の大半は水か」
 高い弾性を持つ肉壁の大半が水であるなら、凍らせてしまえば、その防御力は失われる。
「死霊達よ効力射を維持。肉を砕き銃弾を浴びせ続けろ……しかし」
 凍結部に銃撃を受けてパラパラと砕け落ちる肉片を払いのけ、天を覆うように展開されたうねる触手達を見やり。
「流石に停止しっぱなしとはいかない、か」
 息を吸い込み、軍刀を掲げ、よく通る声で同胞達に令する。
「死霊兵達よ、愚かで愛しき我が部下よ。羽織くんの邪魔を一切させるな。損害は気にしなくて構わない。身を挺して、彼女を守れ。」
 針のように鋭い触手の先端が一斉に羽織に向かうのを狙撃兵達が撃ち落とし、止めきれないならば死兵達がその身を犠牲に一瞬の時を稼ぐ。事前に十分に配備されていた坂上の部隊は瞬時に数を減らしていく。
「これでいい。泥臭い仕事は軍人の役目だし、ここから先は」
 天を見上げれば、そこには触手を足場に宙を疾駆するバーサーカの姿。
「ヒーローの役目だしね」
 死兵が作り出した僅かな防壁の隙間から光がクラゲ隕石の内部に上半身をねじ込む様を視界の端で確認し、羽織に目を向ける。
「まだいけるかい?」
「ぜんぜん、余裕」
 脳を焼き尽くす計算式、滴る鼻血を拭う暇もなく、全神経を魔法の維持に注ぎ込み、それでも羽織は笑った。

 怪火と触手に満ちたバリアの内側に飛び込んだ光を待ち受けていたのは、視界をちらつく何かだった。視認できないほどの速さで動き回る、目玉のような物体。おそらく、コアなのだろう。
 炎が身を焦がし、己がトラウマを脳から無理やり引きずり出される苦痛から目をそらすことなく受け止め、羅刹はぎりぎりと骨が軋むほどに拳を握りしめた。複雑な想いを抱える故郷。それでも、自らの拳で救える人がいるなら。
『神よ、我を許し給うな』
 天に唾棄するユーベルコード。信じて嫌う神を呪う起動ワードを切欠に天生の身体を漆黒の氣が覆っていく、その姿はお伽噺に出てくる悪鬼そのものにも見えた。
「嘲笑いたければ嘲笑いやがれ、クソヤロー」
 勇気も誇りも持たざるその姿を自嘲し、目線を上げる。この状態では抑制が効かない。それでもいい。どうせ、この場で一番早く動くものは決まっているのだから。
「いくぞ」
 絡みつく触手をぶちぶちと力任せに引きちぎりながら、拳を全力で振りかぶり、思い切り叩きつける。狙いはコアではなく、どこでもよかった。その豪腕が捉えたのはクラゲ隕石を構成する壁、その凍結部分。
 弾性に振動を逃せなかった巨躯が機能停止するほどの一撃。その時間はほんの一瞬で、彼にはそれで十分だった。伸ばした腕は動きが鈍ったコアを捉え。
「終わりだ」
 手の中で逃げようと蠢くクラゲ隕石の核が掌を灼く。もう遅い。くしゃり、羅刹の怪力が容易くコアを握りつぶした。

 コアを破壊されたことで自壊し骸の海に帰るクラゲ隕石を背に、地面に着地した天生を二人が出迎える。
「けっこー、やる、じゃん」
「なかなかだね」
 傷と煤にまみれたその笑顔に、少年は年相応の表情で笑って答えた。
「ええ、俺の、俺たちの勝ちです」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かにかま】
最初に手順を確認するね
(1)ボクが落下する隕石を受け止める
(2)ウィーリィくんとチェルノさんがどうにかする
OK?よし、行くよ!

【エクストリームミッション】を発動!
【空中戦】で隕石の落下先に飛行して回り込み、真正面から【スナイパー】で熱戦銃の攻撃を浴びせる事で落下スピードを落とし、空中で受け止める
そして逆噴射で【吹き飛ばし】て減速をかけながら方向を制御し、二人の向かっている方向へと着地させる

ミッションコンプリート!(ボクの分だけ、ね)


ウィーリィ・チゥシャン
【かにかま】
おいおい、随分と面倒だな。
けど、任せな。
キーラにサムズアップしてから現場に転移。

シャーリーが隕石を受け止めたら、チェルノと一緒に駆け付ける。
「よくやったシャーリー! あとは任せな!」
俺の仕事はクラゲ隕石を捌く事。
魚に比べれば楽なもんだぜ!
『料理』の腕前を活かし『料理の鉄刃』でぶよぶよの身体を捌き、『二回攻撃』で再生のスピードに負けない様に切り裂き続けコアを露出させる。
正直こいつで手いっぱいだが、これで十分だ。
締めにはチェルノが控えているからな。
てな訳で、後は頼んだぜ!


在原・チェルノ
【かにかま】
こんなのが落下したら周りの被害もバカにならないわよね
だから、あたし達で阻止しましょ?
という訳で、決めゼリフ
流星忍姫チェルノ、参ります!

コアが露出したら手裏剣の【範囲攻撃】で動きを制しながら【雷刃無尽】を放ち、敵の攻撃を【残像】ですり抜けながら【目潰し】で攪乱(攻撃してくる以上は探知手段があるって事だから有効よね?)、その隙にフォースセイバーの【2回攻撃】で急所を狙って【鎧無視攻撃】で【暗殺】!



●二本目の矢
 転移は突然だった。一瞬、視界が暗転し気がつけばサムライエンパイア。
「任せな」
「……ウィーリーくん、なんで虚空に向けてサムズアップしてるの?」
「いや、虚空には向けてねえから! さっきまで対象がいたから!」
 あらぬ方向にウィーリィが親指を立てる構図にチェルノがツッコむのもやむをえぬことであった。
「あのね、今は遊んでる場合じゃないでしょう? あの隕石が落下したら周りの被害もバカにならないわよね?」
「分かってるよ! タイミングの不幸だろ今のは!」
「ねー、ボク先行ってるよー」
 二人に頭上から声をかけたのは、愛機『ハイメガシャーク』に乗り込んだシャーリー。
「ああ、よろしく頼むぜ」
「シャーリーちゃん、無理だけはしないでね?」
 三人の中で一番機動力に長けたスターライダーが隕石を受け止める作戦で、当然彼女にかかる負荷は大きい。
「アイサー。りょーかいだよ。後は手順通りってことで」
 おどけて敬礼して答え、鮫を模したモンスターマシンのアクセルをふかせば、海を自在に泳ぐ様にその姿はたちまち青空へと溶けていく。

「さーて……無理しないでとは言われたものの」
 隕石の進路に先回りし、改めてその大きさと熱量を確認しスペースノイドは目を瞬かせる。距離を離していても肌を灼くその熱さが、触れればタダではすまないと警告している。
「まー、クラゲにビビったとあれば、宇宙海賊シャークトルネードの名が泣いちゃうからね! いくよ『エクストリームミッション』!」
 偉大な海賊であったと信じる祖先の名を汚さぬため、シャーリーは覚悟を込めてユーベルコードを唱えた。
 騎乗していた『ハイメガシャーク』が派手に駆動音を唸らせながら、彼女を守る鎧へと変形していく。頭部を覆うヘルメット内部にインターフェイスが映し出されたのを認め、マスケット銃の銃把の感触を確かめるように握り呟く。
「いくよ、シューティングスター!」
 背部のバーニアをふかし、隕石の落下先に回り込みながら光線銃の出力を調整する。ターゲットは狙わないでも当たる大きさだ。反動を気にする必要はない。弾丸は一発だけ撃てればよい。つまり。
「最大出力だ!」
 派手な蛍光色の熱線が銃口から飛び出し、クラゲ隕石に直撃した。押し返すには至らないが、銃身が焼け付くほどの一撃はわずかに落下速度を殺す。銃を投げ捨て、こちらに駆け寄る二人に軽く頷き。
「ウィーリィくん、チェルノさん、後はお願いするからね!」
 覚悟を決め背中のバーニアを全開し、隕石にぶちかましをかける。それは焼けた石を素手で拾うような無謀な行いに近く、圧倒的な熱が一瞬で頑強なスーツを溶かしていく。
『警告:機体の温度が急激に上昇。推奨:早急な離脱』
「いいから! このまま推力の維持に全リソースを回して!」
 インターフェイスがレッドアラートを示すのも構わず、シャーリーは隕石を支える手に力を込めた。元より逃げるつもりはない。ほんの短時間だけ受け止めさえすれば、自分のミッションは達成だ。残りのミッションは。
「よくやったシャーリー! あとは任せな!」
 徐々に減速して動きを止めたクラゲ隕石に飛びかかり、ウィーリィは炎の魔力を秘める巨大な包丁『三昧真火刀』を振り下ろした。
「俺も見たことない構造のクラゲだな……これでどうだ!」
 ぶよん。
「ちょっと、全然切れてないわよ?」
 纏う炎は切り裂いたものの、分厚い肉にまでは刃が通らず押し返されてしまう。
「いいから、そこで力を溜めとけって。これは――俺の仕事だからな」
 手伝おうかと心配してくるチェルノに案ずるなと頷きかけ、鉄鍋の称号を冠する料理人は品定めを始める。
「なるほど……やっぱりこのぶよぶよはゼラチン質なんだな。ここの構造は青魚に近いかな……ここは食用クラゲまんまでいけそうだ」
 今までに作ってきた料理、素材の構造、それらのうち該当するものを手早く当てはめていく。よし分かった。呟き、掌を返して大包丁の代わりに取り出したのは刃渡りの30cmほどの万能包丁だった。それはごく普通の料理用にしか見えず。チェルノが怪訝な顔で問う。
「あんなに大きいのでも無理だったのに、そんな小さいので大丈夫なの?」
「まあまあ、見とけって。せーの」
 すぱり。ウィーリィが軽く振るった包丁はクラゲ隕石の装甲を豆腐の如く易易と切り裂いた。対象の構造を把握した料理人が振るう刃は、急所を的確に捉え、食べやすい形へと加工していく。
「後でポン酢であえて酢の物にしてやるからな!」
 幸か不幸か食材には困りそうになかった。的確に振るわれる包丁と同じくらい防壁の再生速度は早く、隕石が放つ熱は瞬時にウィーリィから体力を奪っていく。
「厨房よりは涼しいぜ……とは言えないかな。正直長く持ちそうにない。チェルノ! 締めは頼んだぜ!」
「任せなさい! 流星忍姫チェルノ、参ります!」
 びしっと心のカメラに向けてしっかりポーズを決めつつ、ウィーリィが露出させたコアに向き合い、目を見開く。
「は、速い!」
 コアの傾向は聞き、対策は立ててきたはずだった。しかし、対象の速度はチェルノの予想を遥かに上回っていた。実験体であり強化された彼女の知覚を持ってしても、視認が追いつかないほどの機敏で不規則な動き。捉えるのは至難の技だ。
「ど、どうしよう。はやすぎるわ」
 ここまで仲間達を信じ見守っていたのは、自分の役割をこなすためだ。町の人々のためにも失敗は許されない。その手に託されたプレッシャーと重圧と予想外のアクシデントが手裏剣を構えたチェルノの手を震わせる。
「チェルノ……さん……」
「チェルノ!」
 数秒の迷いは、必死に自らの役割をこなす仲間達の呼びかけで吹き飛んだ。そうだ、迷っている時間はない。ぱしりと自分の頬をはたき、気合を入れなおす。
「単に速いだけなら、その機動を制限してやればいい!」
 コアが不規則に周回する進路を読み解き、ガラスの手裏剣を数発投げ込み、進路を絞る。パターンが絞られれば目で追える。追えるならば、殺せる。コアが繰り出す触手の刺突を軽く首を振って躱す。頬を掠め、血が滴る。コア本体にも攻撃性能がある、つまり何らかの方法でこちらを知覚しているのだろう。それならば。
「見えたわ」
 続けざまに放たれたコアの一刺しが忍者の額を確かに貫き――その姿は陽炎に紛れかき消える。ガラスの手裏剣による乱反射が生み出した目眩まし。
「残念ね。そっちは残像よ」
 冷たく告げる忍姫の手に握られた刺突剣。流星の如く鋭い一閃がクラゲ隕石の核を正確に刺し貫いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トール・テスカコアトル
【影帽子】

死が降ってくる
ここに住む人達を吹き飛ばす
具現化した死だ
怖い……怖いけど……怖いから
「トールが止める。……よろしくねお義兄ちゃん達」
止めるだけだ
トールはそれだけでいい

そしてそれは簡単なんだ
だってすっごく怖い隕石を前にして、トールの勇気は熱く負けじと燃え盛っているからだ
「……変身!」
『説明しよう!勇気をもって恐怖に打ち克ち、家族と共に戦うとき!トール勇気の戦士に覚醒するのだ!』
一番に降ってくる隕石に向かって飛ぶ
「トールの勇気は!……防御力!」
ブレイブ・アーマーは【勇気】で強まる
ニギ・アラが隕石を受け止める力をくれる
「うおおぉーーー!!」
勇気は、心は無限だ
「今だ!やっちゃえお義兄ちゃん!」


モルツクルス・ゼーレヴェックス
「弩級難度ミッションっすね連携必須とか……」
しかし!ならばこそ!我等がやらねば
「自分達のなんか、よく分からん絆をみせるっす!シャドウ・ハット!出撃!」
とはいってもモヤシ兄貴としては受け止めを義妹に任せねば
……この義妹、ドラゴンじゃなくゴリラなのでは?
無駄思考遮断【高速詠唱】で【火星術式】を起動
「料金は煮干しでいいっすよ!」
背中に又三郎を乗っけて【空中戦】でトールを追う
熱気【オーラ防御】
この【コミュ力】を持ってして彼女のタイミング併せ間髪入れずにバリアに杖を突き込む
フォルダを指定すれば中のデータを丸ごと消去できるように
この術は『バリアという一つ』を『破壊』する
「いっけぇ又三郎!今夜は猫まんま!」


鳴猫・又三郎
【影帽子】
モルツ分も【影帽子】

「へいタクシーにゃあ」
モルツの背中に乗り込む。煮干しやらん
全く只の猫に隕石を斬れとか酷い義妹に義弟だにゃあ
『死』を斬るよりも難しいにゃ
……しかし、猫まんまにゃ?
「じゃ、気張るとすっかにゃあ」
トールが止め、モルツが剥がす
するとあら不思議、そこにあるのは単なるでっかい石ころにゃあ
「……ふ――」
短い呼気を吐き切る前に事を成す【早業】
【ダッシュ】でモルツを駆け上がり跳ぶ
もうこの石ころの脆弱性は【見切って】るのにゃ【野生の勘】ってやつにゃ
そこに刃を通せば豆腐の如し【鎧無視攻撃】にゃあ
「――うぅにゃ」
息を吐ききって振り替えれば真っ二つ墜ちる岩
「要領は掴めたにゃ……次にゃ」



●三本の矢
 空に怪しく赤い星は降り注ぐ死そのものだった。最後に残った一際巨大なクラゲ隕石の進路を追い、三人の義兄弟が宿場町をひた走る。
「あれを壊すのは弩級難度ミッションっすね」
「大きいにゃあ」
「すごく、熱そうだね……」
 あの岩塊を受け止める負荷は如何ほどか。慄くトールを激励するように、モルツクルスが気勢を上げ隕石を指し示す。
「しかし!ならばこそ!我等がやらねば! 自分達のなんか、よく分からん絆をみせるっす! シャドウ・ハット! 出撃!」
「でも、隕石を受け止めるのはトールがやるんだにゃ?」
 又三郎の冷静な指摘にがっくりと肩を落とし。
「まあ、そこはモヤシ兄貴だから仕方ないんすよ。」
「ふふ。うん、トールが止めるよ……あとはよろしくね、お義兄ちゃん達」
 いまいち緊張感に欠ける会話にくすりと笑いをもらし、空を見上げて不審に気がつく。
「見て! あの隕石、進路が変わってる!」
 クラゲ隕石は風を大きく受けるように形を変え、落下先を町の中心部へと向けていた。
「陽動か。このまま走っても追いつけないにゃあ」
「しゃーないっすね! ここはプランBでいくっす!」
 モルツクルスは二人にアイコンタクトを送り自らの翼で高く舞い上がる。それだけで三人が互いの意図を汲むには十分だった。義兄の呼びかけに応じ、寝かした刀の腹にトールが足をかけ。又三郎はその表情を見て問う。
「トール、いけるかにゃ」
「大丈夫、今は一緒に皆がいるから」
 義妹の迷いのない瞳に頷き。
「飛んでけにゃ」
 身体を大きくしならせながら一振り、そのまま矢の如く天に向かってドラゴニアンを打ち出す。
「もう一丁っす!」
 宙に射出された先、オラトリオはドラゴニアンの手を握りしめ、隕石に向かい回転運動そのままに全力で放り投げる。
「そう、確かに怖いけど……今はそれでいい」
 太陽に放たれた矢の如く炎に迫る中、トールは高揚感と恐怖心がないまぜになって撹拌されていく心中を確かめるように『ニギ=アラ』の輝きを見やる。その小さな胸の中では大火に劣らぬ勇気の炎が燃え盛り、その熱に浮かされるかのように吠えた。
「……変身!」
 起動コードに応え、瞬時にドラゴニアンは勇気の戦士「ブレイブトール」へと姿を変じた。スーツがアーマーがリングが、勇気の名を冠したブレイブトールを構成する装備群が、何よりその魂に灯した勇気が彼女の力を極限まで引き出す。
「トールの勇気は! 無限大だ! 防御力全開!」
 叫び、落ちてくる火球に向かい怯むことなく手を掲げた。ずしりと伸し掛かる隕石の重さと熱波に砕けそうになる身体と心を奮い立たせる。

 義兄を回収すべく地上に戻ったモルツクルスに、鳴猫は片手を上げて呑気に呼びかける。
「へいタクシーにゃあ」
「オラトリアはタクシーじゃねえんすよね」
「只の猫は飛べないから仕方ないにゃ」
「はいはい。料金は煮干しでいいっすよ!」
 膝の丈ほどもない小さな義兄を背に乗せ、再び飛翔しながら問いかける。
「ところで、あのでっかい隕石を斬る算段はあるっすか?」
 義兄は肯定とも否定とも取れぬ表情でゆるゆると首を振り。
「全く只の猫に隕石を斬れとか酷い義弟だにゃ。あの大きさは『死』を斬るよりも難しいにゃ」
「……信頼してるっすよ、」
 いまいち掴みどころがないが、彼のことだ無為な賭けはするまい。隕石に迫ったところで目線を上げ、改めてその威容と熱量を認め、それを一身に受け止める義妹のタフネスに感嘆しながら声をかける。
「トール! こっちで合わせるっす!」
「わかった! いくね! せーの!」
 鋭い呼気、反動でアーマーが砕け散りそうなほどの拳打を巨岩に叩き込む。ほんの一瞬、隕石が宙空で静止するほどの豪打。その時間さえあればモルツクルスには十分だった。
「『戦の神よ、我を呪え。戦を憎む我を呪え。……もって我が敵を砕きたまえ』!」
 桜の木に戦神の旭光を纏わせ、そのままバリアに突き刺せば、杖を通し対象の構造情報が脳に直接転送されてくる。大量のノイズに引き起こされる頭痛、攻性防壁に灼かれる視界、異形の生物との同調による自我の欠損、そんな事はどうでもいい。深部へと潜った先で、目的の情報を見つけ展開する。
「ははーん、頑丈だけど中身は結構単純な構造っすね。これなら」
 ごく短時間でクラゲ隕石が纏うバリアの概念の全てを消すことは困難でも、特定の情報のみを無効化するならば容易い。フォルダの中身をまるごと、二度と戻らぬように破壊する。後のことは義兄がやってくれるだろう。託すように叫んだ。
「刀剣に対する防壁を無効化! いっけぇ又三郎! 今夜は猫まんま!」
「……ふ――」
 義弟を足場に飛び出した矢先、ケットシーの剣豪には時間が極限まで引き伸ばされたような奇妙な感覚を受けた。熱も重力も兄弟の必死の叫びも今は何処か彼方の出来事で。世界に存在するは、己と刀と宙に転がる邪魔っけな石ころのみ。
「――うぅにゃ」
 切り捨てるに、只の一呼吸すら必要なく。鯉口を切る様すら目にしたものはおらず。するりと鞘に刀身を納めるその背、真っ二つに断たれた巨大なクラゲ隕石は豆腐の如くなめらかな断面を晒していた。
「今夜はかつおぶし増しましにゃあ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


挿絵イラスト