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エンパイアウォー③~鬼は望む。待ち人の来たれるを

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●露払い
 下草生い茂る山の中。天頂から落ちる陽射しは肌を焼き、木立を抜ける風はじっとりと纏わり付く。そこここで何百何千の命が力の限り存在を主張する。声だけでこの数だ。実際には一体どれだけいることか。次世代を託すために命を燃やす昆虫たち。
 千曲川と江戸から続く中山道を見下ろす山岳地帯に散開したオブリビオンの軍勢。命を貪り徳川の治世を揺るがす存在。
 そこにいたのは棍棒を持った赤い肌の鬼。その数、ざっと二十。山合いの向こうから来る一行が現れるのを、今かとじっと息を潜めて待ち受けていた。

●戦争
「皆様、ようこそおいでくださいました」
 真白のローブに身を包んだ涅・槃(空に踊る人工の舞姫・f14595)が皆を出迎える。
「皆様も知っての通り、此度サムライエンパイアにてオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』が現れました」
 特殊な防御を張り巡らした『魔空安土城』を築き上げ、何らかの陰謀を成就させようとしているようだ。その情報を受けて徳川幕府軍が動き出したが、当然織田軍勢が行く手を阻む。
「我々猟兵はこの徳川軍を護衛し、先回りして織田軍勢を駆逐していく事となります」
 投影機を使い、マップと進路を映し出した。江戸を出発した北側の矢印の先、山の中の僅かな盆地に×マークが表示される。
「進路上の信州上田城が軍神『上杉謙信』によって占領されています」
 マップが拡大され、更に周囲に小さな点が灯る。街道の周囲を瞬く間におびただしい数が埋め尽くした。
「規模が小さい城内には収容しきれず、集まった戦力の大半が城外に展開しており、近付く事さえ困難な状況ですわ」
 気持ち悪いほどにびっしりと灯った小隊の数。これを切り拓くのが猟兵の仕事だ。
「幕府軍を強襲するために、街道の通る山岳地帯で待ち伏せているはずです」
 山岳地帯の動きにくさや敵の動き、それらに対策を立てていれば有利に動けるだろう。
「取り急ぎ街道までお送り致します。どうか皆様に武神のご加護があらんことを」


宮松 標
 こんにちは、宮松 標です。久方振りのシナリオですよぉ!
 できるだけ随時返却していく所存です!

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ということでバッタバッタと鬼を無双して退治しましょう!
 れっつ脳筋プレイ!
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:桜木バンビ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが出た場所は街道沿いの木立のそばだった。枝葉を大きく広げ落葉樹が作る日陰と、千曲川から吹き上がる涼風が心地よい。
 山の方へ視線を移せば、なだらかな斜面に広がる田園風景。この長閑な空間をオブリビオンに荒らされる訳にもいかない。更に奥へと目を凝らせば、木々の間に赤いものが見え隠れする。
 速やかに駆ける猟兵の背を、馬頭観世音菩薩の小さな石碑が見送った。
峰谷・恵
「召喚されないうちに片付けないと手間取りそうだからね」

敢えて遠距離攻撃せず一気に敵が集まっているポイントへ向かう(送れない範囲で敵から見えにくいルートで走る)。
敵が集まっている地点まできたら可能な限り多くの敵を範囲内に収めて全射撃武器によるフルバースト・マキシマムを発動、一気に数を減らす。
その後は敢えて敵の近接攻撃がギリギリ届きそうな距離を保って近距離攻撃を誘いながらMCフォートとアームドフォートで攻撃して(誘導弾+鎧無視攻撃+2回攻撃)敵の数を減らす。
敵の攻撃は可能な限り回避。かわせないものはダークミストシールドで防御(盾受け+オーラ防御+怪力)し、熱線銃で反撃


白波・柾
……ここは、俺が器物として祀られていた故郷の集落に似ているな
このような何気なくものどかな田園風景は、地元の人たちの思いと願いがこもっている
……なんとしても、守り抜かねばならない
行こう―――愛おしい世界を、救うんだ

待ち伏せならば、まずはあぶり出してから戦うのが戦の常だろう
「戦闘知識」をフル回転させつつ「地形の利用」を行い
敵が隠れていそうな個所、自分ならばここへ隠れるだろうという個所を洗い出す
そうして絞り出した個所を「目立たない」により射程範囲まで近づき
「先制攻撃」にて【千刃の鋩】であぶり出そう

攻撃を受けそうならば「オーラ防御」からの「カウンター」かつ「シールドバッシュ」で反撃を行いたい


チトセ・シロガネ
鬼退治ならオマカセヨ。自慢の怪力でデストロイネ!

山岳地帯なら視界や足場の悪さがネックだケド、逆にそれが大きな味方ヨ、【地形の利用・戦闘知識】で優位な位置を取るネ。
足場の悪さは【ダッシュ・ジャンプ・空中浮遊】を駆使すればノープロブレム、一気に敵陣に肉薄するネ。

相手がまとまっているならベストタイミングヨ。
【星剣抜刀】を発動、フルパワーで暴れまわるヨ!
【怪力・グラップル・地形の利用】で悪い鬼やそこら辺の岩を『亜空間アンカー』でキャッチ。
【敵を盾にする・投擲】で鬼や落ち武者を振り回しながら
【空中戦・属性攻撃】込みの『エッジオブハート』でバッサリスラッシュヨ!
混戦状態の恐怖をティーチングしてあげるネ!


依神・零奈
上田城が謙信公の手に落ちた……か
真田親子がもし味方にいたなら意気揚々と我が城を攻め落とす
算段を付けていただろうね

とはいえ今回の戦場は山中だけど……
敵方は戦力を分散させて待ち伏せ狙い……
強襲狙いの弱点は強襲そのもの、木々を隠れ蓑にして
敵小隊の近くまで進みこっちから無銘刀で強襲を仕掛けるよ
山岳地帯なら高低差を利用しない手はないね、高所から首を
狙うのも良さそうだ
混戦状態になったらUCを発動して【呪詛】で周囲の敵の
動きを阻害しよう、あとは他の小隊と合流される前に勝負を決めよう

なんだか懐かしい 鬼は人を浚い、人は鬼を畏れる 
時には神が人を鬼から守るなんて事もあったね
……さ、久しぶりの勝負といこうか



「……なんとしても、守り抜かねばならない」
 故郷の集落に似ているのどかな田園風景の中、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は一人呟き、決意を新たにする。
 建造物や草むらを上手く利用し、山際まで迅速に移動した猟兵たち。鬼たちは右手に先行するグループと、左手にいくつかのグループが互いに距離を取りながら周囲を警戒していた。この間に割り込めば簡単に分断できるだろう。
 先行グループよりも後続グループの方が危険度が高いと判断し、そちらへ多く割り振る形で二手に分かれる事にした。

 きっちり十数えて作戦決行。囮役が先行担当と同時に飛び出す。
「鬼退治ならオマカセヨ!」
 後続担当のチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)が陽光弾く銀の髪を揺らしてその身を曝す。高々と空中を浮遊するように、舞い踊るように、木を蹴って鬼たちの注目を一身に浴びた。
 1秒と満たない間を置いて、集中砲火が始まる。峰谷・恵(神葬騎・f03180)のフルバースト・マキシマム。鬼の背を灼き貫く弾丸や光線が連続して放たれ、的確にオブリビオンの数を減らした。
「召喚されないうちに片付けないと手間取りそうだからね」
 一通り撃ち尽くした後で弾倉やエネルギー残量をチェックしながら、誰ともなく囁く。だがそれを拾う者は全て肉塊へ成り果てていた。
 朽ちつつある倒木の上から依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)が鬼の首目掛けて日本刀を振りかぶり舞い降りる。山岳地帯特有の高低差。更に自由落下の重力加速度。加速に加速を重ねた刃は僅かな抵抗も許さず目標を易々と斬断した。
 流れるように神速の刃は別の鬼を屠る。秒単位の経過で混迷を見せ始めた戦場を察知し、次の手を打った。鬼たちに動く隙を与えぬよう、呪詛で阻害するために。
「帰依の御霊、倦む惰性を絶て」
 チトセが飛び越えた草むらに向けて様々な刃が降り注ぐ。鬼をあぶり出すべく放たれた柾のユーベルコード【千刃の鋩】による攻撃だ。
 案の定隠れてやり過ごそうとした数匹が恐慌状態で姿を現した。反撃に備えて防御のオーラを盾として構え、追撃する。向けられた棍棒をオーラで受け止め、そのまま叩き付け返した。
 柾が崩れ落ちる鬼から視線を戦場全体に移した時、山頂側から更に鬼が姿を現し加勢せんと駆け下りてくる。その勢いたるや、千曲川まで駆けても止まるそぶりを見せないだろう。
 つまり、ここで食い止めなければならない。真っ先に恵のアームドフォートが間断なく攻撃の華を咲かせる。それでも止まらない鬼を黒い霧や展開されたオーラが食い止めた。
「なんだか懐かしい。……さ、久しぶりの勝負といこうか」
 呪詛を振りまき刀を構える零奈。チトセの【星剣抜刀】が発動し脚部バーニアが火を吹く。
「混戦状態の恐怖をティーチングしてあげるネ!」
 その向こうで切り落とされた首が宙を舞い、光線が鬼ごと木を貫いた。呪詛を受けて動きが鈍った鬼は格好の的となる。落ち武者の霊を呼び出し抵抗を見せるが、猟兵の獅子奮迅たる戦いぶりの前には木偶に等しい。
 木陰を彩るブラスター。舞い散る血飛沫。異形の手足や頭が飛び交い、フォトンが縦横無尽に乱れ踊る。
 多少山が荒れはしたが、オブリビオンを一体残らず殲滅するのにそう時間はかからなかった。

 戦いを終えても耳を澄ませばどこかの剣戟がこだましている。上杉謙信の軍勢を滅ぼすには、まだ時間がかかりそうだ。
「上田城が謙信公の手に落ちた……か」
 街道の行く先へと零奈が視線を投げる。ここからではその姿を見通す事は出来ないが、思いを馳せる事はできた。
 真田親子がもし味方にいたなら――UDCアースの歴史では一時とはいえ徳川家康公についたことがあるという。
「意気揚々と我が城を攻め落とす算段を付けていただろうね」
 そんな”もしも”の世界が、いつかどこか”ここではない場所”で繰り広げられているのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

白峰・慎矢
雫(f05281)と一緒に行こう

おお、白雪がいれば心強いね。(白雪を優しく撫でながら)白雪、俺の代わりに雫を守ってあげてね。大丈夫、俺達なら上手くやれるよ。

よし、まずは俺が敵を引き付ける。あの図体に目立つ赤……注意して見ておけば、奇襲される可能性は低いはず。戦う時は「ダッシュ」で動きやすい場所を探しながら、木々を上手く使って囲まれるのを防ぐと良いかな。敵の攻撃は【守りの極意】を使って、盾にした鞘でしっかり攻撃を受けるよ。こう木が多いと、伸びるのも大変じゃないかい?
さて、これ以上ここを荒らされる訳にはいかないな。敵の隙を「見切り」できたら、雫に伝えて、一気に倒してもらおう。雫、今だよ!


白峰・雫
慎矢(f05296)と一緒に戦うよ

白雪を連れて初めての仕事が戦になるとは思ってなかったけど、頑張らないとね
(初陣の白雪を気にかけつつ)

慎矢が敵を引き付けたところを纏めて倒せばいいらしいから、目立たないように木の陰に隠れたりしながらチャンスを狙いつつ
敵が集まったら援護射撃を使って慎矢に当てないように気を付けながら、属性攻撃で【フォックスファイア】を強化して、敵の数に合わせて合体させたりして一気に倒すよ
「これで決めてみせる!」
白雪には周囲の警戒と敵が近づいてきたときに念動力で敵の牽制をしてもらおうかな



 後続担当とタイミングを合わせて飛び出すまでの僅かな時間。先行担当の二人と一匹が簡単な作戦を決めている。この戦いが白峰・雫(白狐の巫女?・f05281)の連れる白狐・白雪の初陣だ。
 少し不安げな瞳を揺らす雫に、白峰・慎矢(弓に宿った刀使い・f05296)は大丈夫と微笑んだ。白雪をそっと撫でれば心地良さげな顔を見せる。

 音もなく進むカウント。十を数え終えると共に後続担当の囮役が飛び出すのに合わせて慎矢が駆ける。突如目の前に現れた猟兵に僅かな動揺を見せるが、すぐに迎撃に移る鬼たち。
 その身体がどろりと形を崩し、燃え立つ炎のように揺らめいた。怨念と化した鬼は、その口腔から怨嗟の呻きを零しながら慎矢の後を追う。首を伸ばすように糸を引くように、上半身を細く長く。
 刀の鞘を盾に見立て、【守りの極意】によって極限まで引き上げた盾受けの技術で、迫るそれらを時に受け流し時に叩き落して捌いていく。上手く木々の間をすり抜け、複雑な進路を描いた。

 一見慎矢が押されているように見えて、実は戦場の主導権を握っていると解っていても、雫は心配せずにはいられなかった。
 木に隠れながらも視線はずっと追い続けている。足元では白雪が周囲を警戒してくれていた。

「こう木が多いと、伸びるのも大変じゃないかい?」
 気がつけばその場の鬼たちは伸ばした身体が絡み合い、身動きが取れなくなっているものもいた。
 慎矢の言葉が木々に反射し雫の許にも届く。いつ合図があっても良いように、攻撃の準備を始めた。敵戦力の把握と自戦力の割り振り。
「雫、今だよ!」
 待つ間もなく合図が響く。
「これで決めてみせる!」
 狐火を召喚して放った。複数で囲み、或いは合体強化して。慎矢に当てないよう、細心の注意を払い。怨念の塊と化した鬼を炎で包んだ。

 誰にも看取られず弔われず、鬼となってなお消えぬ恨み。現世への生者への羨望。相反する感情を糧にした呪縛が今、燃滅していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
ジノーヴィーさん(f17484)と一緒
※ジノさん呼び
▼アドリブ大歓迎

▼WIZ
これはなかなかの…(見上げる)節分にはまだ遠いと思うのです…
ふふっ、これ頑張ったらきっと沢山お賃金が出ますヨ
張り切っていきましょウ!

私も自然現象を利用し、風林火山的な感じのものをお見舞いしてみちゃいまスヨ!
荒れ狂う風や火の如く攻撃
ガードは山の如く
優しく癒すは林の如し
なんて♪(色々間違ってても気にしないが戦況だけはしっかりと把握

混乱しないようにですネ!了解デス
って…ジノさんがお二人?!
どちらがホンモノですか?!
ジノさーーん?!(返事をしたにも関わらず激しく動揺
凄いUCなのですネ!見分けがつきません…
(2人を見比べて


ジノーヴィー・マルス
リヴェンティア(f00299)と
呼び方:センパイ

アドリブ歓迎

うわ。気持ち悪いのがうんざりする数で群れてますよセンパイ。奴さん本気なんスねぇ。めんどくさ。
面倒だけど、戦争は猟兵としての大口の仕事だ。頑張って働かないとねぇ。

数には数。そこで「分身使って楽する」としますかね。
分身と協力しながら節分の豆代わりにVendettaの弾丸を【範囲攻撃】で撃ちまくる。
近寄られたら【咄嗟の一撃】【零距離射撃】で対応だ。
俺が二人居る事になるけど、センパイ混乱しないでくださいよ?

…ってやっぱ混乱してるよ。そういうユーベル何とかなんだから気にしなくていいのに。
ほらほら、もっと頑張ってセンパイ。



 六人にやや遅れて到着し、既に中腹で囲み始めているのを確認した二人。
「うわ」
 彼らの向かう先にうんざりする数が群れているのを見てジノーヴィー・マルス(Ennui blues・f17484)は閉口する。
「ふふっ、これ頑張ったらきっと沢山お賃金が出ますヨ」
 リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)が微笑んでみせた。よく見れば更に上の方で赤い影がちらちらと蠢いている。先陣を刺激しないよう大きく回りこんで挟撃するのが良いかもしれない。
「面倒だけど頑張って働かないとねぇ」
 そうしておしゃべりを続けながら移動を始める。節分はまだ遠いだとか、あと2週間で暦上は秋だとか。他愛もない世間話。ふと訪れる無言の帳。どこかの戦闘音が遠く高くこだまする。
 ガサリと下草を掻き分けた先の窪地に、思いもよらぬ伏兵が座り込んでいた。唐突なエンカウントに驚きを隠せていないのは相手も同じ。一拍の間を置いて戦闘態勢へ移行する。
「これはなかなかの……」
 立ち上がった鬼を見上げ、リヴェンティアが言葉を零した。どんなに大きかろうと三体ならば問題なく倒せるだろう。
「数には数で【分身使って楽する】としますかね」
 UCを発動してジノーヴィーがもう一人現れ、それぞれがガトリングを構える。
「俺が二人居る事になるけど、センパイ混乱しないでくださいよ?」
「混乱しないようにですネ!了解デス」
 注意を聞き振り返るリヴェンティアだが。
「って…ジノさんがお二人?! どちらがホンモノですか?!」
「……ってやっぱ混乱してるよ。そういうのなんだから気にしなくていいのに」
 残念ながら鬼の笑いは取れていない。落ち武者を召喚したり怨念の塊へと形状変化を始めたりと遊んでいる余裕はない。リヴェンティアへと弓引く落ち武者を、ジノ分身が蜂の巣にする。
「凄いUCなのですネ!見分けがつきません……」
 感嘆しながらも、カマイタチを怨念へと叩きつけた。
「ほらほら、もっと頑張ってセンパイ」
 声援を受けて張り切ったリヴェンティアの活躍もあり、ものの数分で片がつく。静かになったところで耳を澄まし、あちらの戦闘も終わったことを悟る。二人は踵を返して歩き出した。

 猟兵たちが去った後、痕跡が残る戦場に夏風が吹き抜ける。次に訪れるのは何者なのかも知らずに。

●●●おしまい●●●

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月05日


挿絵イラスト