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過酷! 貨物船ラリー開催!(障害物は帝国騎士)

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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 スペースシップ『ダルカー』にとって、年に1回の貨物船ラリーは最大の関心事だった。
 かつて事故により危機に瀕した居住船を救うため、1隻の貨物船が危険を冒して物資を届けたという逸話を元に開催されるようになったこの『ダルカー貨物船ラリー』は、その名のとおり規定量の荷物を運ぶ貨物船たちによって行なわれる、過酷なレースだ。毎年のように事故が発生して参加者が死傷するだけでなく、たまに宇宙海賊が出没してレース中の船を襲ったりもする……それでもこのラリーが中止されずに済んだ理由は、ひとえにこのスペースシップの人々が祭りのためなら死ねるほどのお祭り好きで、事故や事件も祭りのうちと思っているからに他ならない。

「とはいえ……此度ばかりはそうも言うてはおれんようじゃ」
 何故ヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)がそんなことを言いだしたのかと言えば、今年のレースの闖入者は宇宙海賊などではなく、恐るべき銀河帝国の略奪部隊であることが予知されたからだ。
「彼奴らはレースに参加する貨物船を宇宙バイク部隊にて待ち構え、積荷も船も――無論、搭乗者も――根こそぎ奪おうとしておる。被害を少しでも減らそうと思うのであれば……猟兵の皆々様もレースに参戦して先頭を取らねばならぬであろうの」
 優勝候補は3チームある。コース上のデブリもライバルもその強固な船体で蹴散らす『スペースマッコウ』、機動力と正確な操船によるデブリ回避でゴールを目指す『ニンジャ・パイレーツ』、小型偵察衛星をバラ撒き最適コース最短飛行を目指す『クレアボヤージュ』……猟兵たちも彼らに競り勝ち、一足早く帝国の略奪部隊に接触するのだ!
 そうして敵と接触できたなら、次は彼らを蹴散らす番だ。猟兵たちが使う貨物船に備え付けられた武装を使ってもいいし、宇宙服を着て単身突撃してみてもいい。後続の船に警報を発して避難を促しつつ敵宇宙バイク部隊を追い払ってやれば、撤退する彼らを追って、彗星に偽装した彼らの基地を発見できることだろう。あとは中にいる帝国騎士を倒してやれば任務完了……なのだが。
 ふと猟兵たちに訊くヤクモ。
「その後、再び優勝を目指そうという者はおるかえ?」
 ……え? 帝国軍を倒した後もレースに復帰していいの?
「無論じゃ。過去ダルカーラリーでは、宇宙海賊に襲われたチームが優勝したこともある。寄り道の分だけ難しゅうはなるであろうが、困難を承知で狙うてみるのも、レースを盛りがらせることに繋がるやもしれぬぞえ」


あっと。
 あっと。でございます。そんなわけで皆様には、貨物船レースに参戦しつつ銀河帝国の陰謀を打ち砕いていただきます。もしも3章で帝国騎士を倒した後にレース参加プレイングが残っていれば、改めてレース描写を行なう予定です。

 皆様はラリーにひとつのチームとして参加しても、別々のチームとして参加してもかまいませんが、特に言及がなければMSの側で同一チームか別チームかを勝手に判断します(同一チームでも別チームでも、有利不利はありません)。
 ラリーのライバル各チームには、それぞれ異なる有利能力値と不利能力値が設定されております。それを推理し適切な能力値によるプレイングを行なうことができれば、レースを有利に進めることができるでしょう。
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第1章 冒険 『スペースフォーミュラー1』

POW   :    攻撃や進路妨害で相手を邪魔する。

SPD   :    加速や機動力で追い抜きを駆ける。

WIZ   :    的確なコース取りや装置などを使い最適な走りをする。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロクガツ・クロッカス
祭りと海賊はスペースワールドシップの華!
ってわけじゃないけど、銀河帝国の思惑を阻止しつつダルカーラリーを盛り上げられるなんて一石二鳥じゃない?

【SPDを使用】
使う貨物船には【深宇宙航行駆動機・汎型(宇宙バイク)】を積んで、略奪部隊との戦闘に備えるよ
一応だけど、貨物船の代わりに宇宙バイクを使うのはレギュレーション違反だよね?
船に通用しそうな武装も持ってるけど……、性に合うのはスピード勝負かな。
優勝候補の『ニンジャ・パイレーツ』の胸を借りるつもりで、そして追い抜くつもりで!
デブリ地帯に入ったら【バトル・インテリジェンス】を発動!
動体視力の限界を超えたコース取りとデブリ回避で最速勝負を仕掛けるよ!



祭りと海賊はスペースワールドシップの華。
 ……なんてことはないのかもしれないけれど、宇宙はロマンに満ちている。ロマンとは冒険、危険、そして興奮。ロクガツ・クロッカス(光線銃とクロッカス・f06933)の場合はその最たるものが『地上』だったが、かといって銀河帝国の思惑を阻止しつつダルカーラリーを盛り上げる、そんな一石二鳥を楽しまぬわけじゃない。
 今まさに、電波フラッグがスタートを告げた。本当は相棒の宇宙バイクでコースを駆け抜けたかったところだが、流石に貨物船用の荷重規定は文字通り荷が重すぎる。だからこいつは貨物船の荷台で、敵が出てくるまでのお預けだ。だが……操るのが貨物船だからといって、彼女には負ける気なんて更々ない!
 初っ端から迷わずスラスター全開。早速ノロマな船たちを置き去りにして、狙う相手はただひとつ。
「優勝候補、『ニンジャ・パイレーツ』……胸を借りるつもりで行くよ!」

 瞬間……『ニンジャ・パイレーツ』の船が消えた。いや、まるで消滅したかのような素早さで、正面から飛来するデブリを避けていた……つまりデブリは何の前触れもなく、突如としてロクガツの目の前に現れたということだ。
「!?」
 だがロクガツがそれに気づいた時には、彼女の腕だけが別の生物のように、既に操縦桿を引いていた。彼女自身が反応できずとも、彼女のドローンは全ての軌道を計算済みだ。
「いける……!」
 デブリを僅か数メートルで躱し、彼女の船は再加速しはじめた。思わぬルーキーの登場に、『ダルカー』内の中継会場は騒然となる……そして驚きはロクガツへの声援に変わる!
 追いつけ、そして追い越してしまえ。
 両者は一歩も譲らぬというように、激しいデッドヒートを開始した。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪生・霜逝
わたくしは腐っても雪中「行軍護衛」機。
走るモノがあり、辿り着く場所があるなら、お役に立てることもあるでしょう。

【POW】使用。
わたくしは宇宙空間でもそれなりの時間、活動可能にございます。
貨物船の外に構え、妨害工作に専念いたしましょう。
強化【視覚】、【暗視】機能を起動。コース上のデブリを目視にて識別。
さらに移動するライバル船――ニンジャ・パイレーツの軌道を【追跡】(トラッキング)し、航路を推測。
妨害に適したデブリを見極め、内蔵砲台から【誘導弾】を【一斉発射】で【範囲攻撃】。
猛吹雪の如きデブリ弾幕による、【時間稼ぎ】を試みます。
「雪闇を突き進むも回避するも、わたくしの射程内にはございますが。ふふ」



はたして、両者の激しい競り合いに興奮していた中継会場の人々は気づいただろうか? 密かにロクガツ船のハッチが開いて、中から小さな何かが現れたことに。
 いや、気づかなかったほうが良かったのかもしれなかった。何故ならそれは一見不気味な、ジャンク同然の旧型機の体に人間の生首を取り付けたようなウォーマシンだったのだから。
 けれども人々の落ちつかない胸騒ぎとは裏腹に、彼――今はモデル名でもシリアルコードでもなく、雪生・霜逝(冬錆・f06571)という名で呼ばれている――は、優男然としたその表情を崩さずにいる。傍らの加圧カップの紅茶を優雅に嗜むと……その後金色の瞳をじっと前方へと向けて、内蔵カメラをこの宙域にあわせて最適化する!
「前方に大型のデブリを発見。視野内角速度を観測。接近速度……測定完了。わたくしは腐っても雪中“行軍護衛”機……走るモノがあり、辿り着く場所があるなら、お役に立てることをお見せいたしましょう!」
 霜逝の全身のハッチが同時に開放された。突然現れた光の筋の正体に観客たちが気づかぬうちに、彼から発せられた光――無数の宇宙魚雷の航跡は、一目散にデブリへと向かって伸びてゆく。
 同時……『ニンジャ・パイレーツ』も行動を開始した。急激に横方向へとスライドしはじめるとともに、同じだけ逆方向に向かって回頭。船体内で最も強固な頭部をデブリに向けつづけながらの回避は、咄嗟の判断にしては上出来すぎる、“爆発するデブリ”に対する防御姿勢!
 直後、宇宙魚雷がデブリを破壊した。無数の破片が猛吹雪となって『ニンジャ・パイレーツ』に吹きつけるものの……彼らはその中を最低限の減速で進み、落ちついたところで再び船を前方に向ける。
「威力による妨害工作を、技術で回避なさるとは……」
 残念そうに独りごちる霜逝の表情には、けれども不敵な微笑みすらも浮かんでいた。
「ですが貴艦は、いまだわたくしの射程内にはございますが。ふふ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

櫟・陽里
重量級が事故スレスレの綱渡りを限界ギリギリで攻める
…最ッ高に楽しい祭りじゃねぇか!

操縦技術と状況判断力は自信あるよ
SPDの加速力とコース取りで勝負したい
コース解析、行程計画の助手が見つかりゃ最高なんだけど…

序盤は『クレアボヤージュ』の最短ラインを拝借しちまうか!
ナビ頼むぜ?

ライバルを凝視しトレースしつつ
まず確認するのは
積荷の荷重位置と船の挙動
旋回力
外装の強度
燃費

耐久レースは完走者が勝者…か
ライバルの牽制や避けるべき障害物に気をつけ慎重に
スリルと操縦を楽しみつつも
実はしっかり自分のAIとナビに情報蓄積

後半、ここぞ!って時に加速
狙うは用心深い奴が着いてこれないギリギリライン
ちょっとは無茶も必要さ!



自分の視界の片隅で、そんな激しいレースが繰り広げられている。
 走り屋として決して負けてはいられぬと、操縦桿を握る櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)の手は心地の良い汗で濡れる。
 今日のパートナーは愛車の『ライ』じゃない。だが、愛車の維持費のためにしてきたバイトの中には、当然ながら宇宙配達員だって含まれていた。操縦するものが変わったくらいじゃ、陽里の速度への探求は止められない。重量級の貨物船が、事故スレスレの綱渡りを限界ギリギリで攻める。そんなの、最ッ高に楽しい祭りじゃねぇか!
 ……と、魂は滾るのだけれど。
「操縦技術と状況判断力は自信あるけど、コースを知らないと活かしきれないんだよなぁ……」
 無謀さだけで勝てるのは野良レースまで止まりであることを、彼はよく知っていた。だがナビゲーターがいないなら、ライバルの誰かをナビゲーター代わりにしてしまえばいい。そりゃあ最初は後塵を拝するだろうが……勝負はナビの不要になる後半戦だ。
「あの重心制御に燃料管理……ナビ役は『クレアボヤージュ』で決まりだな!」
 並み居るライバルたちから一歩抜け出て、陽里が追うのは優勝候補。ただ……完走者全てが勝者と言われるのが耐久レースだ。予期せぬ事故だけは避けねばならぬと、張り詰めた空気がコックピットに満ちる!
(「ほら、おいでなすった!」)
 早速“ナビ”と陽里の間に、割り込むようにデブリが現れた。『クレアボヤージュ』の正確なコンピューターは、デブリをほんの数十メートルで躱すのが最適コースと判断したのだろう……だが、それが最適なのはあくまでも『クレアボヤージュ』だけで、後を追う陽里にとってはまさしく衝突コース!
 けれども考えるよりも早く動いた指先は、容易く陽里の船を安全ルートへと導くのだった。その回避行動は、彼にとっては手痛いロス……けれどもその程度で優勝を諦めるほど、陽里は物分りのいい奴じゃない。
「それでこそ俺のライバルに相応しいぜ……」
 嘯く陽里の口許は、自ずと楽しげに吊り上がっていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リトル・アリトル
飛び入り参加でいくぜ!ゴー『エンパイアバスターズ』
《フェアリーランド》を使えば大きな貨物も運べるから実質運び屋だな、銀河帝国の野郎共にも死を運んでやるぜ!

帝国兵に喧嘩を売るようなチーム名でラリーにエントリー!

三機連結した特製の改造宇宙バイク、ソードフィッシュで【ゴットスピードライド】するぜ!
鍛えた【騎乗】技能を発揮する時だ。



ところでその頃……実は先頭集団よりもさらに前方に、密かな独走者がいたことに気づいた者はいただろうか? 規定の荷を運んでいるにしてはあまりに小さなその姿から、観客たちはそれを、併走する乱入者とばかり思っていたに違いない。しかしリトル・アリトル(エレクトリカルパレード・f05021)の三連宇宙バイク『ソードフィッシュ』は、紛うことなき『ダルカー貨物船ラリー』の出場チーム、『エンパイアバスターズ』のマシンだったのである!
(「あの大荷物がこんな壺の中に納まってるだなんて、きっと誰も思ってないんだろうな。レギュレーションに時空歪曲に関する規定がなくて助かったぜ」)
 一人でイシシと笑う電子のフェアリーは、小さな――彼女の身長からすれば抱えるほどの大きさではあるのだが――壺を抱えて宇宙の真っ只中を往く。ユーベルコード『フェアリーランド』。触れた荷物を壺の中に仕舞ってしまえば、彼女はもはや荷重なんて気にせずに、フェアリーゆえ搭乗者自身の重量すら気にせずに、ただ心の赴くままに進むのみ!
「今日のアタシは実質運び屋だな! ついでにチームの名のとおり、銀河帝国の野郎どもにも死を運んでやるぜ!」
 加速、加速、さらに加速。その度に彼女のバイクは変形し、小回りよりも速度重視の流線型へと近づいてゆく! その名のとおりゴッドスピードライドなフェアリーは、当然ながら独走したまま第一チェックポイントを通過していった。
 だが、その事実は……中継会場の観客たちも、はたまた彼女のライバルたちもまだ知らない。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーラー・ジュウナナサイ
【アレンジ歓迎】

うふふ、ヤクモさんがお困りでしたら、わたくしも一肌脱がせていただこうかしら
わたくし可憐な17歳に見えて(※実際見えません)メカニックなんですのよ
【メカニック】でピーキーに調整した純白の船『ホワイトバージン』で出場ですわ

さて、【見切り】で最適コースを割り出した後は、今度はわたくしに処理を施す番
【プログラムド・ジェノサイド】で、ピーキーな子を扱う手順を脳にプログラムします

後はプログラムを走らせるだけですわ。ぽちっとな
体が勝手に動いてエンジンを吹かせ、各種スイッチを操作します
常人では踏めないタイミングで加速、ピーキーさを存分に活かしますわ

結果は神のみぞ知る、ですわね。自動運転ですもの



……その直後のことだった。中継会場のメインスクリーンいっぱいに、唐突にマーラー・ジュウナナサイ(17歳ぴっちぴちギャル・f00029)の清楚で可憐(?)な姿が映し出されたのは。
「うふふ、ヤクモさんがお困りでしたから、わたくしも一肌脱がせていただいておりますのよ」
 純白の専用船『ホワイトバージン』の中で優雅なひとときを過ごす自称17歳エルフ(外見年齢とか実年齢は……おっとげふん)の手足だけが、貨物船の操縦中とは思えないほど忙しなく動き回っていた。
「少々驚かせてしまったかしら? わたくし可憐な17歳に見えてメカニックなんですのよ」
 会場では彼女の動きに狂気的な何かを感じて悲鳴を上げる者、自分の中での17歳の概念が崩壊して昏倒する者がちらほら出はじめて、大会スタッフが怒号を上げながら必死の中継切断作業を続けている――しばらくお待ちください。

 ……とりあえず17歳のほうについてはこれ以上コメントしないことにして彼女の動きのほうに言及するのであれば、実はこのそこはかとなく不気味な動き、彼女自身も止められないのであった。
「脳内プログラムが停止するまで、あとは自動運転ですもの」
 17歳概念にひき続き崩壊してゆく自動の概念。だが、この手動自動運転あってこそ本領を発揮できるのが『ホワイトバージン』という船だ。最高性能を追求した結果、それを出せる幅が極めて狭くなったエンジン。全く利かないか利きすぎるかが基本で、中間を維持できないスラスター。こんなピーキー・オブ・ピーキーなマシンの性能を、常人が引き出せるわけがない!
「結果は神のみぞ知る、ですわね」
 そう嘯くマーラーの手足の人間離れした動きが中継会場を阿鼻叫喚に陥れたのも、船の性能を引き出すためには尊い犠牲だったのかもしれない。操られる『ホワイトバージン』も変態的な機動を繰り返しながら、先頭集団を猛追しつづける……。

成功 🔵​🔵​🔴​

カイジ・レッドソウル
「れーす二出ナイト殲滅対象ニモ会エナイカ、厄介ダナ」
本機ハ破壊特化POWヲ選択スルノガ成功率ガ高イ
「所謂脳筋デイクベキカ・・・」
マッコウクジラに似た船「マッコウ宅配便シップ」を借りて出撃ダ

【ハッキング】ヲ使イ他ノ船二「宅配ハ『マッコウ宅配』ヲ宜シク」ト宣伝しながら、最短直進るーとを選択

障害物ヲ【サイコキネシス】デ攻撃シツツ、外に(ロボだから良いけど真似はダメ絶対)
運転ハ自動デ
「借リ物ヲ壊サセナイ絶対」
快く貸してくれたマッコウ宅配便の人の為にも
【かばう】【武器受け】【激痛耐性】【電撃耐性】使用可能ナモノ全テ使用
障害ハ本機1人で受け止メル
「本機ハ真面目二取り組ンデイル、ふざけて等イナイ・・・筈」



……と、このように、宙域内では至るところで激戦が繰り広げられていた。けれども優勝候補『スペースマッコウ』だけは、悠々とその巨体を宙に漂わせている……危険なデブリの衝突も、ライバルチームの妨害も、ものともしないその巨体。他チームが相争えば争うほどに、勝利は敵なき船へと転がり込んでゆく。
 その様子を赤いヘルメットの奥のカメラアイで見つめ、カイジ・レッドソウル(プロトタイプ・f03376)は思考過程を音声フィードバックする。
「アレヲ抜カナイト殲滅対象ニモ会エナイカ、厄介ダナ」
 だが……彼はそれを成し遂げるための準備を整えてきた。目には目を、マッコウクジラにはマッコウクジラを。仮想敵の船をそのまま小さくしたようなマッコウクジラ型スペースシップは、カイジが『マッコウ宅配便』から借りてきた宅配シップ。
「宅配ハ『マッコウ宅配』ヲ、『マッコウ宅配』ヲ宜シク」
「な……何だ!? ナビゲーションシステムが宣伝用マスコットに乗っ取られてる!?」
 スポンサーへの感謝なのか営業妨害なのか判断に難しいハッキング宣伝によりライバルたちから一歩抜きん出て、小マッコウは大マッコウへと近づいていった。だが……その先には『スペースマッコウ』でなければ耐え難い、デブリが密集する宙域!
 歴戦の『スペースマッコウ』船長は、電子パイプをくゆらせながら哀れみの眼差しを見せていた。
「残念ながら、我々の真似をできるのは我々だけだ……」
 だが次の瞬間、彼の青灰色の瞳は驚愕に見開いて、思わずパイプを取り落としそうになる!
「何っ……!? 船長が船の先頭に出て、自らを盾にして船を守るだと!?」
「借リ物ノ船ヲ、壊サセナイ絶対」
 念場シールドでデブリを弾き、それでも躱しきれなかったデブリは我が身で受けているカイジ! その本末転倒なデブリ対策はギャグのようにも思えるが……ウォーマシンの戦闘用装甲が、そこらの貨物船よりもよっぽど硬いのもまた事実。
「ヨイ子ノミンナハ真似シテハ駄目」
 そんな教育的電波を四方八方に発しつつ、『マッコウ宅配便シップ』は『スペースマッコウ』に並ぶ。そして、そのまま追い抜こうとしたその時……。

 前方からは入れ替わりに、『ソードフィッシュ』からの帝国部隊発見の通報が飛来したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『輸送船を狙う集団達』

POW   :    輸送船の兵装やユーベルコードでバイク集団を追い払う

SPD   :    相手以上のスピードで挑発、撹乱させて、その隙に輸送船を避難させる

WIZ   :    魔術やプログラムで輸送船に偽装を施したり、偽の輸送航路の情報をバラ撒く

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


進行方向の宙域に一定の範囲で広がるそれは、一見、デブリ群のようにも見えた。
 けれどもそれがデブリでないことは、それらをよく観察していればすぐに明らかとなったろう。デブリにしては白すぎるアルベド数。均一すぎる大きさと形状。そして極めつけは……こちらが近づくにつれ、明らかにこちらを取り囲むかのように展開する動き。
 統率の取れた動きで包囲網を構築中の宇宙バイク部隊は、次々に輝点をバイクの先端に収束しはじめるのだった。
 レーザーだ。何もせずとも向こうから近寄ってくるレース参加者たちは、彼らにとって都合の良い獲物!
 けれども、彼らはいまだ知らぬのだった。彼らが容易い相手と信じている先頭集団には、彼らの宿敵が混ざり込んでいる……このまま後続を避難させることも、敵の懐に飛び込み切り裂くことも、今の猟兵たちには自由自在なのだ。
リトル・アリトル
「おいでなすったな、まとめてお星サマにしてやるぜ!」
一対多数は最も得意とする戦場。

包囲網をまとめてなぎ払うべく6機のアームドフォートをデブリに【物を隠す】で紛れこませるように展開。

相手がこちらに襲いかかる瞬間の隙に合わせて【一斉発射】技能を最大限に活かした【フルブースト・マキシマム】で帝国兵に逆奇襲を仕掛けます。

「残念だったな、狩る瞬間が一番の隙なんだよ……まっ相手が悪かったと思って大人しく墜ちな」

派手な花火で迎え撃てば後続の猟兵たちが参加してくると信じて戦線を維持すべく、引き続き【フルブースト・マキシマム】で戦っていきます。

「そらそら、早く立て直さないとミニットマン達がやって来るぜぇ!」



だがリトルが選んだ道は、そのどちらとも違うものだった。
 小さな体に小さなバイク。その真価がはたして如何なるものか、彼女はよく知っている。
「残念だったな、狩る瞬間が一番の隙なんだよ……」
 おいでなすったな、と囁くリトルの表情は、可憐で可愛いフェアリー少女。だのに、その中に猛獣の舌なめずりを幻視せざるを得ないのは、はたして如何なる魔法であったろう?
「まとめてお星サマにしてやるぜ……まっ、相手が悪かったと思って大人しく墜ちな!」
「!」
 リトルが吼えるのと同時、無数の粒子ビームの軌跡が空間を明るく染めた! 標的に向かって加速中だった帝国の宇宙バイクのひとつが、その領域に囚われたかと思えばその瞬間に蒸発をする。敵襲か? どこからだ? おそらくそんなやり取りをしているのであろう、泡を食った敵は揃いも揃って、浮き足立って隊列を崩す……帝国略奪部隊の奇襲は、そのせいですっかり大失敗だ。
「そらそら、早く立て直さないとミニットマン達がやって来るぜぇ!」
 フェアリーは可笑しそうに笑いながら、逃げ惑う彼らに次の攻撃を浴びせかけてみせた。前の攻撃が一度止み、新たな攻撃が始まるその瞬間、ようやく敵は攻撃者に気づく……それは周囲のデブリの中に紛れた、6基もの浮遊球状砲台!
 宙域が未知の粒子ビームに切り取られる度に、敵は1台また1台と姿を消してゆく。彼らはそれでもまだ多くの僚機を残してはいたし、攻撃が行なわれる度に砲台の位置や軌道をひとつひとつ把握していった。
 だが……彼らは攻撃の真の意味に、いまだに思い至っていなかったのだ。すなわち――。

 ――ビームの紡ぎ出す光そのものが、後からやって来る猟兵たちの合図であって、レース参加者たちに危険を告げる警告だということに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーサー・ツヴァイク
【街角情報交換所】で話を聞いてやってきたけど…なんか派手にやりあってるな? これはあれか…乱入って奴だな!
レースに水差す不届き者には…お仕置きだぜ!

ここは先制攻撃に便乗し、俺のレイシューターの砲撃を加えてコソ泥だか何だか知らねえが、【一斉発射】でまとめてぶっ飛ばすぜ!
ついでにバンバンやってりゃ光に気づいて輸送船もコースを変えてくれる…はず! 多分!

…ん? 俺も最初からいなかったから乱入者だって? おいおい知らねえのかよ…ヒーローは遅れてやってくるんだぜ!


カイジ・レッドソウル
目標ヲ視認直チニ攻撃態勢二入ル
「スペースマッコウの船長ニ告グ、正面多数ニ帝国軍発見シタ進路変更セヨ」
「本機ハ殲滅二向カウ、追イツケバ競オウ。デハ」
そう言って帝国軍に向カッテ突進
船首二乗ッタママ敵ノ通信機器ヲ【ハッキング】【先制攻撃】「マッコウ宅配ヲ宜シク」ノ宣伝プログラムヲ流シ続ケ、遠距離ハ【サイコキネシス】近接ハ【天獄の雷】デ対処
剣にヨル【生命吸収】【2回攻撃】【なぎ払い】
船に関しては【かばう】
「本機ヲ狙エ」
【武器受け】出来たら【怪力】二任セテブチノメソウ
機械的二淡々ト処理シテイクガ、この船ヲ直接狙ウ者ニハ腹ガ立ツ(ちなみにマッコウ宅配シップは可愛い目のした桃色鯨)
あどりぶ、共闘、協力歓迎


エクサ・カラーヌド
楽シソウダナ…俺モ混ゼロヨ!

黄金龍(※宇宙バイクの名前です)二跨リ…
混乱二乗ジテ俺モ敵バイク部隊二混ザリコムカ。

防衛施設ヤラ貨物船二突ッ込ム帝国兵達二「アサルトウェポン」デ
援護射撃……ト見セカケテ。
「スナイピング+武器落とし」デ武器ヲガッチリ削イデヤロウ。
「飛んで火にいる夏の虫」ッテ奴二ナッタハズダ。

ナルベクバレナイ様二ヤッテイキタイ所ダガ、
バレテシマッタラ仕方ナイ。
「我影掴不能」デ周囲ヲ殲滅シツツ、
アサルトウェポンノ「2回攻撃+鎧無視攻撃+範囲攻撃(+ゼロ距離射撃)」デ包囲ヲ開ケタリ余裕ガアルトキニ追加掃討シタリシツツ、
「操縦+騎乗+野生の勘+見切り」デ離脱トイコウカ。

※アドリブ・絡み自由



ゆえにリトルの砲台に気を取られてばかりいた帝国兵たちは、その一撃を避け得なかった。
 新たに悪の宇宙バイクを過去へと還した光は、まばゆいほどのソーラーパワー。未知の攻撃源に気づいた敵が、揃ってその方向をふり向いたのならば……見よ、あのデブリの上に立つ人影を! 輝く主星の光を背にし、宇宙でも真っ赤なマフラーを棚引かせ!
「助けを求める声を聞き、ドーンブレイカー、ただいま参上! レースに水差す不届き者には……お仕置きだぜ!」
 ドーンブレイカー――アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は必殺武器のレイシューターを手に、邪悪な乱入者どもに向かって跳躍! え? 彼自身も乱入者なんじゃないかって? いいや……彼の場合は『ヒーローは遅れてやってくる』ってやつだ!
「コソ泥だか何だか知らねえが、罪なき人々を脅かすオブリビオンめ! その悪、光が打ち破ってみせる!」
 ただでさえ粒子砲が掃射されつづけるところに、ドーンブレイカーのデブリからデブリに跳躍しながらの光線銃乱射が加われば、2つの光は互いを補うかのように、敵の安寧の地を少しずつ削り取っていった。
 さらに減ってゆく帝国部隊。加えてその光はレース中の貨物船たちへの警告を、さらに遠くまで届かせる……これだけ激しい光であれば、よっぽど間抜けな船か既に近づきすぎた船以外、誰もこの戦いに巻き込まれる心配はない。
 そう……既に近づきすぎた船以外は。
(「やっぱり、優勝候補の3隻の位置が近すぎるな」)
 激しい戦いの中でも僅かに割ける思考を使って、ドーンブレイカーは思案した。どれだけ危険宙域を伝えたところで、既にそこにいる船たちには意味がない。
 だが、ドーンブレイカーはヒーローである。ヒーローは人々のため重荷を担いはするが、それを分かち合う仲間がいることもまた知っている! たとえば……カイジや、エクサ・カラーヌド(テレビウムのスターライダー・f02365)のような!

「船長! 隣の宅配便から緊急入電です!」
「何事だ? 無茶をしすぎて助けでも求めてきたか」
「いえ、それが……」
 ライバルであるカイジからの回線開放要請に、『スペースマッコウ』のブリッジは騒然となった。レース中の船同士の無線通信。それは場合によっては不正失格もありうる禁じ手のはずだ。
 しばし逡巡し、繋げ、と短く指示する船長。険しい顔で見つめた正面スクリーンには、騎士めいた姿のウォーマシンの顔がアップになった。
「『すぺーすまっこう』ノ船長ニ告グ、正面多数ニ帝国軍発見シタ、進路変更セヨ」
「そうやってライバルを出遅れさせるつもりかね?」
 船長のしかめっ面は変わらない。だが……次の瞬間カイジより発せられた言葉は、冷静で自信家な『スペースマッコウ』船長の目をも驚愕で見開かせていた!
「否、コレハ『猟兵カラノ要請』デアル。貴船ヲ出シ抜ク為ノモノデハナイ。コレヨリ本機ハ帝国軍ノ殲滅二向カウ」
「全速後進! 何があっても猟兵の邪魔にならんようにしろ!」
 船長自ら敬礼しつつ急減速と方向転換を開始した『スペースマッコウ』を尻目に、カイジは戦場へと船を向かわせていった。
「追イツケバ競オウ……デハ」
 それだけ伝えて通信を切った彼が次に為すべきことは、再びハッキング宣伝プログラムの放流を開始することだ!
『マッコウ宅配ヲ宜シク!』『マッコウ宅配ヲ宜シク!』『マッコウ宅配ヲ宜シク!』
 ピンク色のファンシーなクジラのマスコットたちが、今度は帝国の宇宙バイクのディスプレイ上で次々に踊りはじめた。彼女らをその出元ごと消し飛ばさんと、宇宙バイクらは宅配便へと宇宙魚雷やレーザー砲を向ける……が。
「狙ウナラ、本機ヲ狙エ」
 借り物の船に危害を加えようとする敵を、カイジは許しはしなかった。それは、全てが機械的な応答のはず……だが、彼はまるで怒り狂っているかのように、念力、手にした剣、内蔵電源によるサージ電流……彼の全機能を用いて敵を迎え撃つ!

「楽シソウダナ……俺モ混ゼロヨ!」
 そこへとさらに乱入してきた帝国制式宇宙バイクこそ、見た目を偽装した『黄金龍』に跨ったエクサであった。今や帝国軍は混乱の渦中にある……彼はそれを機銃で援護する……と思わせておいて。
 帝国バイクの宇宙魚雷発射口の中で、唐突に爆発が引き起こされた。けれどもその爆発の原因は、帝国兵らは幾度も同じ攻撃を受けるまで気づかぬに違いない。
「飛ンデ火ニイル夏ノ虫、トハコノ事ダナ」
 彼らが誰かを攻撃しようと発射口を開く瞬間を、エクサはその真っ只中で手薬煉引いて待っていたのだった。略奪部隊どもは再び思い知らされることとなる……狩る瞬間が一番の隙と。
 もっとも、そんな小手先の工作にいつまでも引っかかりつづけてくれるほど、帝国兵は甘くない。だからすぐさま“裏切り者”を見つけ出し、それを排除しようと集まってきた。
 その中心でエクサは悠然と構え、それから随分と古めかしい頭部テレビに、不敵な表情を映してみせる。
「ソレモ、計画通リダナ」
 彼の表情は突如として色とりどりのノイズに覆われて、それはすぐさま色すら失い、白と黒の砂嵐へと変化していった……だが、はたして如何なる技か!? 砂嵐は彼のテレビ内で暴れるに留まらず、顔の外……そして彼の周囲全体へと広がってゆく!
「あアァァ゙aaaaa――――!!」
 彼の周囲に集まっていた帝国バイクらの姿も、色とりどりのざらつきに、そして無彩の暴力の中へと呑み込まれていった。そしてそれらが不意に収まった後――どうにか砂嵐から逃れ得た幸運者を除き、その場に存在した痕跡すら残さずに消えている……ただひとつ、エクサのテレビの中に映る帝国バイク部隊の行軍シーンを除いては。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雪生・霜逝
【POW】使用。
敵襲――速い! 当機に工作の時間猶予無し。ならば、討つのみにございます!
船体を蹴り、宙へ跳躍。先行した猟兵が咲かせた花火に【迷彩】で身を紛れさせます。
【見切り】【武器受け】で致命的な被弾は躱しつつ、デブリを足場にバイク部隊へ直接接敵。
「進路妨害は迷惑行為にございます、御控え下さいま……せぃッ!」
足元の敵を片足で【踏みつけ】ながら、振り上げたもう片足の内蔵砲台で【一斉発射】【範囲攻撃】。
さらに来る敵には"鉄杭(パイル)"を押し込んで【捨て身の一撃】をお見舞いいたします。
……戻りは宇宙バイクをお借りしてどうにかいたしたい所存。



確かに敵の行動は速かった。特に同じく素早い『ニンジャ・パイレーツ』との死闘を繰り広げていた霜逝にとっては、事前工作を行なう猶予のないほどに。
 けれども彼に猶予がなかったのだとしても、猟兵仲間たちは彼の分まで補ってくれている。いや……それを補ってなお余りあることは、今まで遠巻きにから見ていただけの霜逝の目にも一目瞭然だった。
 これからは霜逝が恩を返す番だ。そしてそのための筋道は、彼の経年劣化した人工頭脳にもはっきりと描き出されている。
「この後は、討つのみにございます」
 今まで留まっていた船体を力の限り蹴り、宇宙空間へと跳躍した旧型雪中行軍護衛機の機影は、激しく明滅するビームや爆発に紛れて一時、帝国製レーダーにも捕捉できなくなった。次に彼の反応が現れたのは……1台の帝国宇宙バイクから僅か数メートル! すなわち、敵と文字通り目と鼻の先!
「進路妨害は迷惑行為にございます、御控えくださいま……せぃッ!」
 反応消失していた間にデブリを再び蹴っていた霜逝は、当初とは全く異なる方角から飛来して、敵バイクのコックピット風防ごと操縦クローン兵を踏み潰した。引き千切られた電子回路が真空放電し、宇宙バイクと霜逝の表面を伝うが、彼はもう一方の足も大きく振り上げる。そのまま、迷走を始めたバイクを開いた右脚と左脚でコントロールしつつ……そのまま高く掲げた脚から、内蔵兵器を射出する!
 まるで同士討ちに近い形を作るようにして、彼は向かってくる別のバイクまでガラクタへと変える……だが、彼の戦いはそれだけでは終わらない。
 内蔵兵器群を撃ち尽くした瞬間を狙い、さらに別のバイクが襲いかかってきた。だが……腕を後ろに回し、1本の鉄杭を引き抜いてくる霜逝。
 彼は、再び跳躍をする……そして飛び来るレーザーを装甲で弾きながら、それをまたもやコックピットのクローン兵目がけて突き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫟・陽里
参加者の実力は確認した
今の状況なら自力で離脱できるはず

なら真っ正面から戦ってやろうじゃん!

今回の相棒はこいつって決めた
機銃位は積んでるだろ
やってやろうぜサイ!(貨物船仮称)

弱い奴から奪うなんてバイク乗りとは呼べねぇな
生身で宇宙の戦場を駆ける覚悟はあるか?

他所で誰かやってた
デブリを破壊した細かい残骸の雨
あれ宇宙服だとホント嫌なんだよなぁ
避けようとする進行方向を予測されて銃で牽制されるとか…
バイクの下から爆風で突き上げ的な姿勢崩し技で制御失ったり
そんな他人の転倒に巻き込まれたり…
気持ちわかるーとか言いつつ実行

サイにヒトサイズのバイクを殴る強度があるか確認
大丈夫なら円形ターンで攻撃
宇宙では3D軌道!



ここまでくれば随分と、帝国宇宙バイクの数は減っていた。その間にレース参加者たちは随分と遠くまで離脱してしまって、宇宙バイクでは全速力を出しても追いつくまでかなりの時間がかかる。
(「流石はあそこまで俺を苦戦させてくれた奴らだぜ……もう巻き込んじまう心配は要らないな!」)
 にっ、と楽しげに唇を弓型に変え、ここからは陽里の反撃ターンが開始する。
「なら、真っ正面から戦ってやろうじゃん! 今回の相棒はお前なんだからな、やってやろうぜ『サイ』!」
 操縦桿を軽く叩いてスキンシップすると、陽里は燃えるような笑みを浮かべる。『サイ』はレース中、良く彼の期待に応えてくれた……だから今日は、この船が陽里の相棒だ!
「弱い奴から奪うなんて、バイク乗りとは呼べねぇよな!」
 相棒はそんな陽里の問いに頷くかのように、見る見る加速していった。前方では完全な作戦失敗を悟った略奪部隊が、泡を食って逃亡を企てている。
「生身で宇宙の戦場を駆ける覚悟もない、バイク乗りの風上にも置けない奴らは……」
 陽里は帝国兵たちが無視して通り過ぎていったひとつの不発魚雷に着目し、それを貨物船搭載の機銃で撃ち抜いてやった。
 装甲のない後方から高速でやって来る、爆発して細かな破片に変化したそれが、宇宙バイク乗りにとってどれだけ恐ろしいことか。陽里も内心同情しながら……けれども機銃でさらなる牽制。上下左右の逃げ道を奪われて、搭乗帝国兵は鎧装を無数の破片に傷つけられる。真綿で首を絞められるかのようにじわじわと空気を失っていったのだろうクローン兵は、次第に仲間たちから遅れていって……最後には『サイ』の三次元アクロバティック軌道に轢かれて、永遠に仲間たちの軌道から外れてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

スレイマン・コクマー
「僭越ながらこのスレイマン・コクマー、逃げ足には覚えがある!」
 敵陣の中を【逃げ足】で駆け巡りつつ、【秘術・祟荒霊使役】で妨害する攪乱戦術だ。
 宇宙バイクですれ違いざま、二柱をこっそり別々の敵機にとりつかせる。本体のオレが回避運動をしている間、悪霊ジンが破壊工作を、焔霊イフリートが爆破工作という寸法だな。
「雑魚と侮って、母艦を連れてこなかったのがミステイクだ。落とせるだけ落とさせてもらうッ!」
 リトルと違って、オレ自身からの攻撃はない。その違いに気づけなければ、宇宙の塵だぜお前ら。

 被弾して、秘術・祟荒霊使役が解除されたら一旦退くぜ。



「うわ、ひでえことをする奴もいたもんだぜ」
 何かに祈るようなジェスチャーをしながら、スレイマン・コクマー(人間の探索者・f00064)は逸れてゆく帝国バイクを見送った。正直、ここまで酷く遣り込められたなら、マトモな精神をしていたら二度と悪事など働こうとはしないだろう。
 けれどもスレイマンは独りごちた。
「とはいえ、相手は帝国だからな」
 オブリビオンたる銀河帝国の兵たちに、マトモな精神とやらを期待できるわけがない。これから敵拠点突入してやることを考えたなら、1体でも多くの兵を減らしておくのが吉だ。
「オレたちを雑魚と侮って、母艦を連れてこなかったのがミステイクだ。落とせるだけ落とさせてもらうッ!」
 ぐんと彼はバイクを加速させ、ほうぼうの体の敵部隊へと追いついてゆく。当然、周囲から集中攻撃を受けるが……彼はそれらをすいすいと避けると、勝利のウィンクとサムズアップを帝国兵らへと向けて、そのまま何事もなかったかのように飛び去ってゆく!
「僭越ながらこのスレイマン・コクマー、逃げ足には覚えがある!」
 銀河帝国のロボット同然の帝国クローン兵たちでさえ、思わず呆気に取られていたように見えた。そして……全員の「何しに来たんだこいつ」的衝撃がようやく収まった頃、唐突にひとつのバイクが故障して止まり、また別のバイクは突如燃え上がって大爆発!
「あーあ。オレ自身からの攻撃がないからって油断するからだぜ」
 とうに彼らから離れた宙域にて、スレイマンは手元のランプに目を遣った。
 そこには、悪霊ジンと焔霊イフリートの姿が描かれている……兵たちが彼本人に気を取られている間に、彼は召喚し使役していた2体の精霊を、近くの宇宙バイクたちに取り憑かせていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


当初は無数にも思えた帝国宇宙バイクの数は、今や片手で数えられるほどになっていた。彼らが必死に逃亡する先は、行く手に浮かぶひとつの彗星核。
 そこに彼らの秘密基地が存在することは、今や誰の目にも明らかであろう。事実、猟兵たちが見守る中で、彗星核のクレーターのひとつがゆっくりと開き、満身創痍の略奪部隊を内部に収容してゆく……。

 ……そして、その秘密の発進口の奥。
 そこに、瞳を紅く輝かせる鎧の人物がいた。
 鎧の男――帝国騎士は兵たちに労いの言葉を掛けることもなく、ただ入口の外、すなわち猟兵たちのいる宙域を見つめて“呼びかける”。

『大方、物見遊山でもしているのだろう猟兵どもよ。貴様らに見つかってしまった以上、この基地に隠蔽工作を施す意味などなくなってしまった。
 そして私は貴様らが、この基地の対宙兵器で撃ち落した程度では諦めぬことを知っている。貴様らに敗北を刻み込むには、帝国騎士たる私が直々に相手をしなければなるまい。
 良かろう。ならば、狩り(ゲーム)をしよう。偉大なる銀河帝国に楯突こうという命知らずは、この発進口に飛び込んでくるが良い……宙の先の貴様ら全てに念話を届かせるほどの、この強力なサイキックを畏れぬのであれば!』
リトル・アリトル
「チッ、自信過剰な野郎だぜ……まっお呼びとあれば即参上ってのが俺様のポリシーだしなっ!」

持ち前の【騎乗】技能を生かしてフルスロットルで発射口へ突撃。

「覚悟しなナルシスト野郎、その自信満々な顔を基地ごと吹っ飛ばしてやるぜ……第三宇宙速度でなッ!」

6機のアームドフォートを全機展開して【フルブースト・マキシマム】による【一斉発射】で彼の提案するゲームに真っ向参戦!

「悪いが、この後にゃパレードの予定があるんでな、早々に退場して貰うぜ大将」

基地ごと吹き飛ばす勢いで派手に戦いつつ仲間たちが参戦したなら攻撃は【援護射撃】に切り替えて皆を援護するように戦います。


ロクガツ・クロッカス
ううっ……、宇宙バイク(【深宇宙航行駆動機・汎型】)に武装を積んでたら出遅れるだなんて……。
プロ失格だしほんとに恥ずかしい……!
この鬱憤は頭の中でうるさい帝国軍のクズにぶつけるんだから!

持ち込んだるは六連装ミサイルポッド!
誘導マーカー弾は手持ちの拳銃に6発セットしてあるよ!
何も知らなきゃ豆鉄砲だと思うんだろうね……。
馬鹿にされようが6発しっかり相手に打ち込むまでは我慢……。
【残像1+フェイント1+見切り1】で敵の攻撃を捌きながら【早業1+2回攻撃1】で素早く敵にマーキング!

女傭兵ロクガツの出血赤字大サービス!!
一発おいくら万円のミサイル【一斉発射1】だああああーーーーー!!!!(ヤケクソ)



「チッ、自信過剰な野郎だぜ!」
 あらん限りの大声で悪態を吐くと、リトルは自身のバイクを発進口に向けて駆った。
「まっ、お呼びとあれば即参上ってのが俺様のポリシーだしなっ!」
 まるで床に叩きつけるのように、激しく機体を加速させ、敵の懐へと踊り込んでゆく超小型バイク。その後ろからは6基の球状砲台が、あたかも蛮勇の姫に付き従う騎士らのように追ってきている。
 それを見据えていた帝国騎士の手の中に、紅い光がちらつきはじめた。
『ほう……貴様は死を選ぶか』
 騎士の念話が猟兵らに届く。光は次第に棒状の形を取って、禍々しき光の剣となる!
『だが、歓喜せよ。皇帝陛下より賜りしこの刃にて最期を迎える誉れを!』
「だーれが喜ぶか!」
 リトルが精一杯憎々しげに表情を歪ませて吐き捨てたと同時、6基の砲台全てから光が溢れ出した。帝国騎士はサイキックの紅剣を振るう。紅い衝撃波が7つ生まれて……けれどもただでさえ小さい上に命知らずの速度を出す彼女と砲台はそれらをすんでのところで躱す。
「覚悟しなナルシスト野郎、その自信満々な顔を基地ごと吹っ飛ばしてやるぜ……第三宇宙速度でなッ!」
 粒子ビームが発進口内で暴れれば、辺りは見る間に無数の微細デブリの雲で覆われていった。
『蛮族め……矢張り貴様らは帝国が教導せねばならん』
 そんな中でも帝国騎士は悠然と構えたままではあるが、先程までの自信を思えば、攻めあぐねていることもまた事実ではあるのだろう。
「悪いが、この後にゃパレードの予定があるんでな、早々に退場して貰うぜ大将」
 挑発的なジェスチャーを作った小さな指先。ならば、乗ってやろう……帝国騎士の全身を、赤黒い雷が覆って燃え上がる!
「……なーんてな!」

 衝突の刹那……唐突にリトルが後ろに退いたため、帝国騎士の放った電撃はすっかり辺りの塵に吸収されるのみだった。
『退いたか……何ッ!?』
 だが驚愕が向けられた先は攻撃を避けられたことではなく、次の瞬間飛んできた小さな拳銃の弾でもなく……塵を裂くように現れた小型対艦ミサイルの群れだ。
 艦載型の反物質弾頭が着弾し、恒星級の高熱が発進口を舐め尽くす。爆風はそれでも飽き足らず、隣接する格納庫、ドック、弾薬庫、作戦室、幸運にも猟兵たちの追跡から逃げ延びたクローン兵たち……ありとあらゆる基地内施設を燃やし溶かし消し飛ばす!
『猟兵どもめ……この基地のレーダーすら欺くステルス艦を建造していたとでも言うのか!?』
 にもかかわらず帝国騎士自身はオーラのバリアにより耐えてはいたが、はたして彼の受けた衝撃はいかばかりであっただろうか? だが……彼の必死の推理を笑い飛ばすかのように、カラカラとした笑いが辺りに響く。いや実際は周囲は真空なので、無線を通じて聞こえてきただけではあるが。
「残念ながらそいつは違うよ」
 用済みになった、生身用に無理矢理改造してあった艦載用ミサイルポッドを無造作に放り投げたロクガツは、せいせいした風の表情をしてみせてはいた。けれども両目をよく見れば、そこはかとなく光を失って見えたのははたして気のせいか?
(「ビームの混乱に乗じたお蔭もあって、誘導マーカー拳銃弾含めて全発命中はしたけれど……あああああミサイル代は全部持ってけドロボー!!!」)
 瞬間……恐怖など感じぬはずの帝国騎士が、ぞくりと体を震わせた。
 1発おいくら万の出血赤字大サービス。それをバイクに積み込んでいたら、略奪部隊との戦闘に出遅れたという大失態。
 殺ス。必ずや帝国騎士を滅ぼしてみせる。
 そんな八つ当たりじみた殺気の渦は、帝国騎士すらをも圧倒しそうに思われるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マーラー・ジュウナナサイ
【合わせ希望アレンジ歓迎】

「ようやく自動運転が終わりましたわ」
ネクロオーブを持つマーラーと死霊術の騎士が歩いてきた
相手の猟兵を追い越し様、敵に聞こえないようぽつり
「貴方、わたくしに攻撃が向いた時が好機ですわ」

「やっておしまい」
冷たく言うと騎士が敵に斬りかかる
直線的な太刀筋。マーラーへの射線を通す事を優先したため
「オブリビオンなど死霊術で自由自在ですわ!」
マーラーはネクロオーブを掲げアピール
WIZの旗が自分に飛んだら、騎士を消して旗を【見切り】サマーソルトキック
白いドレスのスリットから脚がきわどい所まで見える
今だ

「予想された軌道を見切るなど容易いこと。
うふふ、わたくしお茶目な17歳なんですのよ」


雪生・霜逝
【POW】使用。
正面から向かってくるならば、むしろ好都合というもの。
接近戦闘で相手を釘付けにできれば、味方の攻撃もより通りやすくなるでしょう。
バイクの残骸を蹴った反動で、発射口に飛び込みます。
「さいきっく……失礼、機械仕掛けのわたくしにはどのような脅威か解りかねるのでございますが」
挑発するように軽く一撃。宙返りざま、【踏みつけ】を手の甲へ。
「その手の剣は飾りにございますか?」
敵の注意がこちらに向けば、後は真剣勝負にて刺し合うのみ。
【ベルセルクトリガー】で理性を飛ばし、我が鉄の身体をば、敵を討ち味方をかばう砦といたしましょう!


カイジ・レッドソウル
あどりぶ、協力歓迎

黒風鎧装ヲ展開シ、帝国騎士ト戦闘
「目標確認、任務最終段階ニ移行」
【サイコキネス】デ攻撃シツツ呪剣、フォースブレードデ【2回攻撃】

敵ノPOWハ【オーラ防御】デだめーじ軽減、鎖デ繋ガッタ場合【天獄の雷】ヲ
SPDハ【電撃耐性】デ耐エ【生命吸収】攻撃

戦闘終了後
「本機ハれーすニ戻ル。参加シタ以上最後マデ参加スルノガ礼儀ダ」
マッコウ宅配ノ為ニモ完走ハシナクテハ!
船ト自身ヲ繋ギ、【ハッキング】
安全装置ノろっくヲ外シ、【操縦】プログラムヲ本機ニ繋ギ
「らすとすぱーとダ。行クゾ!」
体ノ付加モ【激痛耐性】デ乗リキレ、最後ハ気合ダ
ふっ機械ニ気合ハ変ダナ
勝っても負けても言う事は
「マッコウ宅配ヲ宜シク」


櫟・陽里
敵を1人見逃した代償が居住船1隻まるごとって世界だ
逃げるわけねぇ確実に倒す
とはいえ…仲間が派手にやってるからな
バイクにつぎ込んでてマトモな火力武器も買ってねぇ俺に出る幕あるか…?
発進口以外に脱出口っぽいのがあったら壊しとく

敵が生身の剣士ならさすがに貨物船サイじゃ戦えねぇかな
ライに乗り換え飛び込む
サイバーアイで発進口の広さ形状障害物確認
どんなに狭くても駆け巡って見せるけどな!
細部見落とす迂闊な奴みたいだから
うるさくつきまとえばボロが出るだろ

ご自慢の剣も腕が振れなきゃ無用の長物
走り回りながら補修用ワイヤーを腕や剣にひっかけてみる
敵の念動力の鎖に捕まった場合も同じだけど
綱引きならバイクの馬力の見せ所


アーサー・ツヴァイク
※協力アドリブ大歓迎!

出やがったな銀河帝国の下っ端騎士!
毎度毎度偉そうなこと言いながらコソコソとした作戦ばかりしやがって…俺がぶっ飛ばしてやるぜ!
とりあえず障害になるものをレイシューターの【一斉発射】で吹き飛ばす。
邪魔な物がなくなったらあとは簡単だ、タイマン用のシャイニングブレイクを真正面から叩き込む! 銀河の向こう側までぶっ飛ばす勢いで行くぜ!



だが……帝国騎士はそれを跳ね除ける。一度皇帝に忠誠を誓った存在にとって、畏れるべきは皇帝ただ1人。そして設備こそ猟兵どもに破壊されども、この基地が偉大なる銀河帝国に属することは変わらない!
 騎士が静かに手を掲げたならば、ひとつのイメージが彼の姿に重なった。
 旗だ。銀河帝国の栄光を讃える、雄々しくはためく帝国旗。
 その精神的な旗はたとえ帝国を憎む者に対しても、思わず膝をつきたくなる衝動を植えつけんとする。全ては銀河帝国のために。そして全ては皇帝陛下のために! だが……猟兵はその誘惑に屈しない!
「失礼……機械仕掛けのわたくしには、どのような脅威か解りかねるのでございますが」
 左方からは自分を基地まで連れてきたところで最後の力を失った帝国宇宙バイクを蹴って、霜逝が真っ直ぐに基地へと跳躍。
「ようやく自動運転が終わりましたわ……あら、その旗は17歳になったわたくしを祝福してくださっているんですの?」
 右方からは『ホワイトバージン』より伸ばされた花道の上を、死霊の騎士を連れた純白ドレス姿のマーラーが悠然と歩き来る。
『被造物ごときと、誕生日と結婚式と葬式の違いも知らぬ女には、この旗が意味するものなど解らぬか』
 帝国騎士は改めて紅光の剣を構えた。その際の彼の尊大な物言いを聞いて、ドーンブレイカーもレイシューターを抜く。
「毎度毎度偉そうなこと言いながら、コソコソとした作戦ばかりしやがって! 随分とエリートぶってるみたいだが、お前みたいなのはエリートじゃなくて下っ端騎士って言うんだぜ!」
『私を容易い相手と思うのであれば……今すぐに飛び掛ってきてはどうだ?』
 そう訊いた騎士に望むところだと返したドーンブレイカー。ああ、お望みなら今すぐ真正面から挑んでやる……だが逸った肩に手がかかり、そんな彼を引き止めた。いつの間にかすぐ傍までやって来ていたマーラーだ。
「アーサーさん。わたくしに攻撃が向いた時が好機ですわ」
「何をするつもりだ……?」
 訊き返したドーンブレイカーを気にすることもせず、マーラーは今までとは異なった、ぞっとするほど冷たい声で死霊騎士へと命じた。
「……やっておしまいなさい」

 直後、死霊騎士は帝国騎士に向かって、剣を掲げて突進を開始する。マーラー自身は死霊騎士と同じ色に薄く輝くオーブを天に掲げたままで、何やら一心に精神を集中させている。
『成る程。その偽騎士を操ってご満悦のようだが……』
 帝国騎士は死霊騎士の剣をオーラの剣で弾いて、ぎろりと鎧の奥の赤い瞳をマーラーへと向けた。
『大方その間、貴様自身は碌に動けぬのであろう。帝国騎士の目は誤魔化せん……帝国騎士を甘く見たその罪、命をもって償って貰おう!』
「流石は帝国騎士の方ですわ! ええ、ええ……その瞬間を待っておりましたとも」
 帝国旗がマーラーを屈服させんと飛んだ。けれども何もかもを見通していたかのような瞳で、マーラーは自らの下僕たる死霊騎士を見る。
「オブリビオンなど、わたくしの死霊術の前には自由自在ですのよ」
 帝国騎士と斬り合っていた死霊騎士が消える。集中の必要から解放されたマーラーの肢体が跳躍し、優雅に、しかし鋭く空中で一回転舞って、旗をすんでのところで躱しきる。ドレスのスリットからは極薄宇宙服にぴっちりと覆われた脚が、際どい辺りまで覗く。
「予想された軌道を見切るなど容易いこと。うふふ、わたくしお茶目な17歳なんですのよ……今ですわ」
「……ああ、旗が戻るまでの間にケリをつけるぜ!」
 帝国騎士が新たにサイキックエナジーを収束させるより早く、ドーンブレイカーは動き出していた。
 自身と騎士の間に浮かぶ、邪魔な基地の残骸たちは、とにかくレイシューターを撃って撃って撃ちまくって吹き飛ばす。そして何も妨げるもののなくなった空間を、彼は……光の速さで跳躍する!
「【Select…FINAL ACTION!!】……これで決める、うおりゃあああああああ!!! シャイニングブレイクウウウウウウウ!!!!!」
 帝国騎士の邪悪なオーラを、ドーンブレイカーから放たれた輝きが絡め取った。そして……まるでその輝き自身に導かれるように、彼の必殺キックは吸い込まれてゆく!
「このまま……銀河の向こう側まで吹っ飛んじまえ!!」

 ……だが帝国騎士は辛うじてサイキックのオーラを張って、致命的なはずのその衝撃を、溶けてただれた基地の壁へと逃がしていた。
『猟兵め……味な真似を……!』
 瓦礫の中に半ば埋まった赤黒い鎧はそこかしこが砕け、宇宙空間用の密閉を失いかけている。それでも騎士は自らの血と、溢れる邪悪なサイキックの力で、宇宙鎧の傷を塞いで立ち上がる。
『猟兵よ。貴様が帝国の敵であることが惜しい。貴様ほどの力があれば、騎士に叙勲されることも容易いであろうに……』
「……その力で居住船1隻丸ごとふっ飛ばすような糞野郎になりてぇ奴なんていねぇよ」
 そんな騎士の言葉に答えた人物は、いつの間にか傍までやって来ていた陽里だった。
『どこから現れた』
「この基地、別の入口があったろ……ありゃ非常脱出口か? 俺は給料は全部バイクにつぎ込んでて、マトモな火力武器も買ってねぇからな。派手にやってる奴らを邪魔しちゃいけねぇって思って何かできる事はないかってうろついてたら、ちょうど見つけたんでぶっ壊しつつ飛び込んでみた」
 流石に非常脱出口は狭いからといって、せっかくいい感じになってきた『サイ』を近くに置いて、いつもの相棒『ライ』に乗り換えてきた陽里。彼は乗り物の上から騎士に話しかけるという非礼をわざと働きながら……哀れみにも似た表情を浮かべてみせる。
(「そうやって無駄に偉ぶってるから、俺みたいな奴にも足元を掬われるのさ」)
 よく見れば騎士の全身からは、ワイヤーのようなものが幾本も伸びて『ライ』へと繋がっていた。騎士が発進口のほうからやって来る侵入者にばかり気を取られていたせいで、陽里は『ライ』で走り回りながら補修用ワイヤーの網を張るのに困らなかった。騎士はシャイニングブレイクに弾き飛ばされた拍子に、見事にその網に絡まってくれたというわけだ。
 あとは……もう少しだけ彼の周囲を走り回って、腕を縛めてやればいい。こいつを切る? 宇宙の過酷な環境でも耐えるワイヤーは、そう簡単に切れるものじゃない。力で緩める? それはつまり……性能を知り尽くした陽里が操る『ライ』と、力で勝負しようって言うのか?
『おのれ……だが、これは避けられるまい!』
 騎士はワイヤーからの脱出を諦めて、全身のオーラを雷へと変えた。
『この技は我が命をサイキックに変える技……誇るがいい、私にその技まで使わせたことを! そして……死ねい!』
 赤黒い電撃がワイヤーを伝い、陽里を『ライ』ごと灼き殺さんとする。成る程、これならば確かに手足が使えずとも関係がない。だが……忘れることなかれ、この技はあくまでもサイキックであることを!
「どうやら、あの宇宙バイクの残骸の質量は、かなり軽かったようでございますね。跳躍の反動で勢いよく飛び去ってしまったために、わたくし自身は十分な速度を得られませんでした」
 ようやく帝国騎士の元まで到達できた霜逝の脚部が、電撃を陽里に伝えんとするワイヤーに触れた。霜逝の鋼鉄の肉体は、確かに電気を表面に通す……だが、雪中行軍護衛機たる霜逝は当然、山岳部での活動も想定された設計となっている。すなわち落雷対策など当然であり、既に大幅に傷ついた帝国騎士が生む電流などでは彼の内部機構は傷つかない。そして模造の精神しか持たない彼は――ああ、これまた騎士が万全の力であれば違ったのかもしれないが――電流に込められた邪悪なサイキックの力に、直接傷つけられることもない!

 そして唯一、念動力による破壊効果を及ぼせるであろう禍剣は、今まさに陽里により絡め取られているところなわけだ。
「その手の剣は飾りにございますか?」
 ワイヤーの上で宙返りした後、今度は為す術のない騎士の手の甲に降り立った雪中行軍護衛機は、自らの最終武装モードにトリガーを入れた。味方は庇い、敵は討つ……その単純で苛烈な動作モードが終わる条件は、周囲の全ての敵を滅ぼした時、だ。
「今デゴザイマス……」
 理性ではなく機械的応答から生まれた声が、無線を通じて周囲の猟兵たち全てに呼びかけられた。
「要請受領、目標確認。任務最終段階ニ移行」
 まずはカイジがその無線に応え、黒風鎧装を展開して飛来する。霜逝とは異なりサイキック発生装置を搭載する彼は、サイキック反応性の低さではなくアンチサイキック機能で帝国騎士のサイキックを防ぎ、自らもサイキックの剣を手中に生み出し素早く敵に斬りつける!
『ば……馬鹿な……! これが、猟兵の力……!』
 帝国騎士の命はもはや風前の灯で、誰から見てもその敗北は必至。あとはカイジでも他の誰でも、トドメの一撃を加えることは容易いだろう。

 ……が、そこでカイジは急に踵を返して、再び『マッコウ宅配便シップ』へと戻っていったのだった。
 何故……? 誰もが首を傾げる中で、彼はいちど振り返るとこんな言葉だけを残してゆく。
「本機ハれーすニ戻ル。参加シタ以上、最後マデ参加スルノガ礼儀ダ……ソシテ、ドンナニ優勝ガ遠カッタトシテモ、少シデモ優勝ノタメ努力ヲシナケレバ」
 あっこいつ、帝国騎士倒せることが確定したからって、一足先にレースに復帰するつもりだな?
 事実、カイジは少しでも優勝に近づくために、彼の端子を船の制御コンピューターに直接差し込んだ。
「らすとすぱーとダ。行クゾ!」
 唐突なハッキングで安全装置を外された『マッコウ宅配便シップ』のコンピューターは、操縦者の安全など顧みぬ急加速を繰り返し、猛然と戦いで遅れたぶんを取り戻さんとする。どんなに強烈なGだって、気合いさえあれば耐え切れるはず! ……機械が何故精神論で乗り切ろうとするのかは定かではないが。
『マッコウ宅配ヲ宜シク!』『マッコウ宅配ヲ宜シク!』『マッコウ宅配ヲ宜シク!』『マッコウ宅配ヲ宜シク!』
 宣伝文句の嵐が宙域に満ちる。まるで無茶苦茶なレースではあるが、それが猟兵の仕業とあれば、観客たちは痛快になる。
 だが……猟兵が皆こんな奴だと思われるわけにはゆかない。他の猟兵たちもとっとと帝国騎士に引導を渡し、然る後にカイジを追ってレースを再開するのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エクサ・カラーヌド
バイクレースナラ俺モ先ヲ急イダンダガ、貨物船ジャツマランナ。
レースハ降リル事トシヨウ。

トコロデ、ダ。アノ宇宙バイク部隊……オマエノ部下ダナ?
随分ト雑ナ訓練ヲシテイルモノダ。
貨物船ヒトツ落トセナイナド、帝国ノ名折レダトハ思ワナイカ。

トリアエズオ前ニ見セテオク。
宇宙バイクッテノハ…コウヤッテ乗ルモノダ!

何ダカンダ言イツツ普通二宇宙バイクデ突進、格闘戦ダ。
見切り野生の勘デ敵ノ動キヲ予測、
操縦+騎乗デ巧ク躱シツツ速度ト重量デ突進ヲカケル。

「インぺリアルフラッグ」ガ来ルヨウナラ、
スナイピング+武器落としデ防御シツツ、
「ユーべルジャック」デオ返シシテヤロウ。

俺ハオマエノ数倍ハ帝国ヲ知ッテルトイウコトダ。


リトル・アリトル
「ヒュウ、皆をやるじゃねえか!」

派手なバトルに抜け駆け上等な猟兵らしい仲間たちの降るまいに思わずニヤけてしまう。

「俺達も行こうぜ相棒、ハートに火をつけて!」

限界を超えた加速に震える相棒の宇宙バイク「ソードフィッシュ」を持ち前の【騎乗】技能でなだめつつトップスピードまで一直線!

「行くぜ、ナルシスト野郎……【ゴッドスピードライド】ッ!!」

三機の連結した宇宙バイクをより早く走れる形態に変化させながら、帝国騎士に突撃。

ラストアタックが取れたらそのまま帝国騎士ごとゴールを目指す!

「約束通りつれていってやるよ、宇宙のに果てまでな!」

楽しきゃ結果は二の次だが狙えるトップを狙わないほどには殊勝なタマでもない。


アーサー・ツヴァイク
みんな、ここは俺に任せて先に行け!!
お前達には待っている人いるんじゃないのか!
ここで足止めを喰らっている場合じゃない! さあ、早く行くんだ!
俺の事は案ずるな…大丈夫だ、すぐに追い付く!

…って、一度は言ってみたかったんだよなー。
俺のバイクはメイドインアルダワだからさ、そもそも宇宙でスピード出ないんだよね。だからレースは応援に徹するんだぜ。
…お前をぶっ飛ばしてからな!
今度こそ…銀河の果ての向こう側まで行ってこいや!

そういうわけで俺は攻撃に専念するぜ!


櫟・陽里
拳銃で敵の鎧の壊れてるトコを撃つか
ワイヤーを引き絞るか
出来る事はそん位だが確実に最後まで見届ける
かける言葉もねぇな

手早くサイの機体確認
必要なら簡易メンテ
ここまでは事前テスト代わりのウォームアップ
エンジンの効率良い出力、ブレーキ限界、挙動のクセ…
お前なかなか面白いぜ!
レースはゴールするまで分かんねぇだろ
抜く相手がいれば道に迷わない

残り距離が長けりゃ序盤はエンジンをいたわる最高速
技術で華麗なコーナリング
終盤は多少の無茶が必要
そろそろだ!最大出力
俺の集中力も最高速に対応できてる
速いならスレスレの走行ラインでも選ぶ
避けずに壊せるデブリの見極め
データじゃレースは支配できない
走行ラインの奪い合いも醍醐味



 ひゅぅ、と小さく口笛が鳴った。
 派手なバトル。そして抜け駆け。随分とこの仲間たちは楽しませてくれる。だからリトルの顔が思わずにやけてしまうのも、そりゃ当然といったところだろう……けれど彼らを見て「はい楽しかったです」で終わりじゃ、リトル・アリトルの名が廃る。
「俺たちも行こうぜ相棒、ハートに火をつけて!」
 再び『ソードフィッシュ』に跨って、そのボディを軽く叩いて呼びかけてやった。それに応えるのは相棒のエンジンだけじゃなく、赤いマフラーを棚引かせた広い背中もだ。
「ああ、みんな、ここは俺に任せて先に行け!」
 必殺武器レイシューターを構えたドーンブレイカーが見つめる先は、ただひとつ、ふらつきながらもどうにか再び立ち上がった帝国騎士だけだった。その仮面は彼の念動力により辛うじてその形を保つばかりであり……その隙間から覗く、血走って赤い生身の瞳が、憎々しげにドーンブレイカーを、そして猟兵たちを睨みつける。
「早く! お前たちには待っている人がいるんじゃないのか! ここで足止めを喰らっている場合じゃない……さあ、早く行くんだ!」
 この言葉、一度は言ってみたかったんだと感極まっているアーサーだったが、あと1発で倒せるまでに弱った敵が相手じゃサマにならない感じがするのは気のせいだろうか?
 だがしかし、彼がその気だと言うのであれば、ここは『お約束』通り彼が仲間たちに隠していた事実を明らかにして、死亡フラグを演出しておくべきだろう……実は、彼がここまで乗ってきたバイク『ライドラン』は、宇宙バイクでも何でもない、アルダワ製の地上用バイクなのだ!!
「俺のことは案ずるな……大丈夫だ、すぐに追いつく」
 頼もしさの中に一抹の寂しさを感じさせるドーンブレイカーの背中は、言葉とは裏腹に、彼にゴールの手立てがないことを物語っていた。かといって誰かに回収を頼めば、負担を増やし、順位を落とさせることとなる。ヒーローとして、そんな迷惑はかけられない。なぁに問題なんてない、しばらくすれば救助船も来ることだろうから、この場所でゆっくりと応援させて貰うとするさ……この諦めの悪い騎士をぶっ飛ばしてからな!
 するとそんなドーンブレイカーの足元に、ひとつの影が肩を並べたのだった。
「……オマエダケヲ残シタリハシナイ」
「いいのか?」
「バイクレースナラ俺モ先ヲ急イダンダガナ」
 古めかしいテレビに自嘲気味な笑みの表情を浮かべつつ、エクサはドーンブレイカーの横からさらに足を踏み出してゆき、帝国騎士の目の前で止まる。
「トコロデ……ダ」
 彼の行動の意味を慎重に図ると同時、僅かな休息の中に勝機を見出そうとする帝国騎士は、荒い深呼吸をしながら訊き返した。
『何の用だ?』
「アノ宇宙ばいく部隊ノコトダ……オマエノ部下ダナ?」
 彼の質問の意味が解らず、黙ったままの帝国騎士。エクサの詰問はまだ続く。
「随分ト雑ナ訓練ヲシテイルモノダ。貨物船ヒトツ落トセナイナド、帝国ノ名折レダトハ思ワナイカ」
 ほんの少し前までの帝国騎士であれば、きっと『所詮は雑兵であったか』などと答えたことだったろう。だが猟兵たちに無残なまでに遣り込められた今の彼にとっては、エクサの言葉を肯定も否定もできはしない。
「……トリアエズオ前ニ見セテオク」
 エクサが片手を挙げるのと同時、『黄金龍』は速やかに主の元へとやって来る。『黄金龍』――正式な名を『愚者の見上げし黄金龍』と言う――は、跳び乗った主を背に抱えて跳躍し、その名のとおり愚かなる帝国騎士を見下ろして、その野生の獣性を露にしてみせる!
『たとえこの命滅ぼされようと、帝国を侮辱する事は許さぬ!』
 騎士は偉大なる帝国旗を掲げたが、エクサはそれを易々と愛機の底で踏み躙り、顔のテレビを騎士へと向けた。顔は次第に砂嵐に変わり、けれども砂嵐はすぐにもう1枚の帝国旗と化して……騎士へと言葉にならぬ絶望を植えつける。
「俺ハ……オマエノ数倍ハ帝国ヲ知ッテルトイウコトダ」
 騎士の中から何かの力が抜ける。愕然と膝をその場について、彼はただ『黄金龍』に跨るエクサを眺めるのみ。
 だが……それで終わりにはできない。
「今度こそ……銀河の果ての向こう側まで行ってこいや!」
 哀れな騎士に向けレイシューターの連射をお見舞いするのはドーンブレイカー! ああ、そうしてやるぜとリトルも相棒のスロットル全開! ……って、まだ先に行ってなかったのか!
「当たり前だぜ! こんな美味しいとこを譲るワケにはいかないからなっ!」
 十分に暖まったエンジンは、凄まじいイオン流を後方にぶち撒けながら一気に加速した。歓喜に震える『ソードフィッシュ』は、危険な不安定さを孕みながらも帝国騎士へと猛進してゆく。一歩間違えれば基地の壁に激突あるのみ……だが、そんなスリルに怯えるようじゃ、宇宙バイクは乗りこなせない!
「行くぜ、ナルシスト野郎……ゴッドスピードライドッッッ!!」
 正面から『ソードフィッシュ』の衝突を受けた帝国騎士は、指先だけを何やらぴくりと動かした。だが彼はそれっきり、悲鳴を上げる余裕すらなくぐんぐんと加速しつづける宇宙バイクに攫われてゆく。
「お届け先は『銀河の果ての向こう側』で間違ってないな?」
 3連結の宇宙バイクは、たった1人きりの帝国騎士など、まるで存在しないかのごとく運んで遠くへ去っていった。どうやら、陽里がトドメを差すまでもなさそうだ……哀れな騎士に掛ける言葉もねぇと、彼は手早く『ライ』に跨り去ってゆく……もう1台の相棒、『サイ』の元へと。
「……よし。変なところに乗り捨てる羽目になったから心配したが、どうやらメンテの必要はなさそうだな」
 そうと判ればここからが本番だ。ここまでの『サイ』の航行データと、『クレアボヤージュ』との死闘のデータは、全てAIとナビの中に収まっている――エンジンの効率良い出力、ブレーキ限界、挙動のクセ……、当たり前だが『ライ』とは一味違う、そして『レース用貨物船』という特殊なチューニングゆえ今まで乗ってきた普通の貨物船とも異なる、興味深い特性の全てが今や陽里の前に明らかとなっているのだ。
「お前、なかなか面白いぜ! お前ならあのバイクだって追えるだろ?」

 優勝候補たちは確かに速かった。だが……今の陽里のライバルは、猟兵として同じ戦場で肩を並べたリトルだけだ。
 遥か前方にデブリが見えた。陽里の目がちらりとだけ制御盤に落とされて、現在位置とエンジン負荷を確認する。
(「今はまだ早めに軌道を変えればいいな」)
 無理のない操船で船体を労わりながら、その中での最高速を見極めゴールへ近づいてゆく。
 みるみる迫るスペースシップ『ダルカー』。レーダー画面はその手前に、幾隻もの貨物船が数珠繋ぎになっている様子を映し出している……この先のレースはデータじゃ支配できない、モノを言うのは技術と集中力だ!


「そろそろだ! 最大出力!」
 限界を超えた『サイ』の加速に、中継会場は歓声に包まれる。だが……彼が見せたのはそれだけじゃない。浮かぶデブリやライバル船を、ある時は華麗に避けてみせ、ある時は敢えて当たってゆく姿。ライバルたちも負けじと加速してゆくが……次の陽里はどんな対決で魅せてくれるのだろうかと、観客たちは総立ちになる。
「見えた……!」
 ようやく『サイ』の目が『ソードフィッシュ』を捉えた。もう、他の船たちは目に入らない――その巨体が災いし、戦場での減速を取り戻せなかった『スペースマッコウ』も、激しすぎる機動を強いられたせいで、そろそろ船体が限界を迎えつつあった『ニンジャ・パイレーツ』も、そして折角の強みを『サイ』に盗まれてしまった『クレアボヤージュ』も。
 けれども『ソードフィッシュ』も加速した。
「やるじゃねぇか! ……だが、オレは本物の“お届け物”つきだ!」
 もはや完全に動かなくなった帝国騎士を連れて、トップスピードで駆け抜けてゆく。人々に帝国の脅威からの解放を印象付けながらの凱旋ゴールだ……だが、勝者ははたしてどちらだ? あまりに速すぎる両者のゴールインの瞬間は互いに残像を作るばかりで、固唾を呑む人々の目には留まらない……!

「写真判定の結果……勝者、『ソードフィッシュ』!」
 アナウンスと同時に人々は、嵐のような歓声を轟かせた。そんな彼らに手を振るかのように、リトルは走りながら壺からレギュレーションの積荷を取り出して、計量ブースに放り投げるとそのまま去ってゆく。
「約束通り連れていってやるぜ、宇宙の果てまでな!」
 遠ざかり、点となり、そのまま消えてゆくライバルの姿を、ゴール後に待機所に向かった陽里は、ただ見送ることしかできなかった。

 彼女は本当に宇宙の果てまで、あの帝国騎士を連れていってしまうのかもしれない。きっと彼女は表彰式までには戻ってこないだろうが……『帝国軍の妨害に遭ったにもかかわらず、ルールの穴を突いた機体で優勝を掻っ攫い、しかし表彰式を欠席した猟兵レーサー』の存在は、ともに帝国軍と戦った仲間たちの名前とともに、『ダルカー貨物船ラリー』の伝説になるに違いなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月10日


挿絵イラスト