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村の秘密と少女――なのじゃ。

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「……寝静まったか」
「ええ、そのようよ」
 若き夫婦は、暗くした食卓の中、互いに血の気のない顔で言う。
「アナタ、大丈夫……? 顔色がとても悪い……やはり、次は私が」
「いや、君はもうダメだ……これ以上は、死ぬぞ……だから、次も僕が」
 悲壮な面持ちで、夫を気遣う妻。それ以上に悲壮ながら、決意の籠もった表情で言う夫。
「この村の平和がヴァンパイアから維持されているのは、"あの子"のお陰なんだ……だから、守らなきゃならない」
「……だとしても……」
 そこへ、来客。夫が立ち上がり、ふらふらとしながらも、出る。
「……大丈夫か、ロバート。エミリアも」
「村長……ええ、大丈夫です。"あの子"も含めて」
 ロバートと呼ばれた夫はやってきた、村長と呼ばれる初老の男性に向かって言う。村長は、うなずく。
「うむ……――ならば良かった。また、精の付く食物を持って来る故、よろしく頼むぞ」
「はい……村長も、気をつけて。この村のことを探ってくる輩が居るやも……」
「その時は――村の者たちに任せておけ」
 ロバートも、その妻であるエミリアも、村長に頷く。
 村長も頷き返し、そしてカンテラ片手に家を去るのだった。
 ――その家の奥では、銀髪の少女が黒い布のようなものを抱きしめて、ベッドで眠っているのだった。


「――……なんたる、悲壮たる有様じゃろうか」
 ――これが、ダークセイヴァーの世界か……悲痛な面持ちで、エルナちゃんは猟兵達を前にして語った。
「ダークセイヴァーのとある村の予知を見た。この村は、とある少女の力により守られており、一見平和じゃ」
 ――とある少女? 猟兵の一人が聞く。
「うむ。その少女は、村を襲おうとするヴァンパイアや、暗闇の獣を追い払うだけの力を持っておるようじゃ。だが、猟兵ではない」
 ――つまり、オブリビオン?
 その問いに、エルナちゃんは微妙な顔をして、首を傾げる。
「んー、どう言ったものか。オブリビオン同士が争うなどということがあるのかどうかは微妙じゃが、いずれにせよその少女はどうにもきな臭くてなぁ……――。
 村人は、その少女のことを隠匿したがるし、無理に聞き出そうとすれば、村をあげて排除にかかってくるようじゃしで、あちきだけでは手の打ちようがない」
 ――そこで、お前さんらの出番じゃ。エルナちゃんは言う。
「この村と、少女を調査してくれ。
 早くせんと……取り返しが、つかなくなるかもしれん」
 エルナちゃんの物騒な言葉に、猟兵達は皆疑問がる。
 彼女は背を向けると――こう語る。
「あちきの予知の結果じゃと……――この村は数日後には、銀髪の少女の吸血鬼と、それが従えた暗闇の獣に襲われ、灰燼へ帰す」
 ――それだけは、避けなければならんのじゃ。
 厳かに告げたエルナちゃん。猟兵たちの間に緊張が走る。
「この村の秘密を解き明かし、そして救わねばならん。
 お前さんらならやってくれると、あちきは信じとる」
 いつになく真剣な表情で、エルナちゃんは猟兵たちへ頼むのだった。


守護運命の人
 守護運命の人です。とうとう5本目です。多いような少ないような。
 はじめましての人は、はじめまして。
 お久しぶりの方は、お久しぶりです。
 「最高にハイって奴だァアアア」の方は、「俺のリプレイが裁く!」です。

 今回も宜しくおねがいします。

 今回はダークセイヴァー世界にて、割と真面目にダークな背景のシナリオを考えました。
 少女を救うため、村を救うため。猟兵達はいかに行動するのか――。
 これからの展開が楽しみでなりません。はい、ガチシナリオです。

 日常編は今回も無いので、エルナちゃんはやっぱりここまでです。
 残念だったな、のじゃロリおじさん。(ry)

 それでは、皆様の心の籠もったプレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『不穏な気配の漂う村』

POW   :    力づくで情報を聞き出す/罠を強引に突破する

SPD   :    村人に自分の存在を気づかせずに情報収集する

WIZ   :    交渉できそうな村人を見つけ出し情報を得る/罠にかかったふりをする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

弥久・銀花
ふむ、状況がまだ不明瞭ですね。

村人に気付かれないようにこっそりと草葉の陰に隠れて聞き込み(盗み聞きとも言います)して調査をしましょう。

いざってなればそのまま戦闘になるかもしれません。

油断しないで戦闘できる体調を維持しましょう。 もぐもぐ。 (村の畑から失敬した作物を1つ盗み食いしながら)

んぐ、これは大事の前の小事と言う物です、いいじゃないですかプチトマトの1つや枝豆の一房くらい。

……、もちろん悪いとは思ってます、後で謝りますよ。




(――ふむ、状況がまだ不明瞭ですね)
 弥久・銀花(人狼の剣士・f00983)は、村人に気付かれないようにと。こっそりと草葉の陰に隠れて思う。
 現在彼女は村の中でも村人の往来の多い、井戸周辺に居た。
 盗み聞き――もとい、聞き込みによる調査のためだった。そろそろ朝、村人たちがやってくる時間になるだろう。
 やがて、井戸に来るのは、おばさんと若い娘さんの二人組。
(……笑って、いますね)
 少しやつれてはいるが、彼女たちの顔はどこか明るい。悩みはあるけれど、希望がある。そんな感じに見えたことだろう。
「おはようさん、今日もどことなくいい天気だねぇ」
「そうですね。これもジャスミン様のお陰というか……」
(ジャスミン様?)
 銀花はその出てきた女性の名と思われる固有名詞を、記憶野に留める。
 ――様、とつけられるということは崇拝されている対象なのだろう。
「けれど、大丈夫かしらねえ。あの子もまだ幼いのに」
「そうですね……守られている」
(あの子、幼い……ということは女の子の名前――でしょうか。それに、守られている――)
 恐らくは、それがオブリビオンに対抗できる力を持った少女の名前。ということになるのだろう。
 一応、有力な情報を得られた。この情報を、他の猟兵に伝えるために、この場を離れようとして――
「おい、お前たち! 貴重な作物が少しなくなってるんだ! 何か知らないか?!」
「え? いや、アタシたちは知らないけどねえ――」
「そんな、今は少しでもあの夫婦のためにって、皆で言ってたとこじゃないですか。盗んだりしませんよ」
(んぐ)
 ――その下手人は、草葉の陰に居た。銀花は慌てて野菜を食べ、少し喉が詰まらせるが、堪えて飲み込む。
(――……これは大事の前の小事と言う物です、いいじゃないですか……プチトマトの1つや枝豆の一房くらい)
 銀花は心の中で言い訳をする。それというのも戦いになることを見据えて、腹ごしらえをしたかったのだ。
 ――しかし、なんというかまあ。その野菜はみずみずしく、美味しかった。
 この世界の情勢を見るに、これだけの野菜が作れるというのは、やはりこの村が稀有なほど平和ということだろう。
(――……もちろん悪いとは思ってます、後で謝りますよ。ごちそうさまでした)
 ――きちんとごちそうさまと手を合わせつつ、銀花はその場を離れるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トラゴス・ファンレイン
せっかく苦しい思いして守っとる村が数日後には灰燼なんて、報われんなあ。予知に出てきた旦那らが気の毒や。俺にもなんか出来ればいいんやけど。

・行動
【POW】
ユーベルコード『隠密遊戯』で透明化しながら罠を突破。村に侵入。
『隠密遊戯』は手が触れとるモンを一つ同じように透明化出来るんで、この件に詳しそうな村人一人「第六感」と「野生の勘」で選んで、隙を見て手ェ繋いで透明にしたところでちょっと強引に物陰までご案内。
…なあ、どうしてこの村はヴァンパイアや獣に襲われても平気なん?教えてくれたらちゃんと帰したるから、俺に聞かせてくれや。
騒がれたら面倒やし、ちょっと脅させて貰うわ。悪いなあ。

アドリブ・絡みも歓迎。




(せっかく苦しい思いして守っとる村が数日後には灰燼なんて、報われんなあ)
 ――予知に出てきた旦那らが気の毒や。そう考えるのは、トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)。
(俺にもなんか出来ればいいんやけど……っと、来よった来よった)
 村の外周にしかけられた罠を抜けて、『隠密遊戯』で透明化しながら村に侵入したトラゴスは、透明なままで村をうろついて、この件に詳しそうな村人を一人、己の「第六感」と「野生の勘」をアテに探し出していた。
 それは、教会の神父であった。何の宗教かは定かではないが、村人は教会に足繁く通っている。この神父ならば、何かしっているはずだ。
「!?」
 神父が一人になったところを狙って、スキを見て手を引くトラゴス。彼の『隠密遊戯』は、手を繋いだ一人をも透明化する。
「なあ、あんた。ちょいと聞きたいことがあるんやけどな?」
「き、キミは一体……!?」
 そのまま物陰までご案内し、高圧的な態度で脅すトラゴス。神父は驚くが、しかしそれでも冷静に事を構えようとしていた。
「……なあ、どうしてこの村はヴァンパイアや獣に襲われても平気なん?
 教えてくれたらちゃんと帰したるから、俺に聞かせてくれや?」
「……か、神よ……神の御使いよ、我を守り給え……――」
 問われた神父は、まず大仰に祈りを捧げる。そして、トラゴスの目を見据えて、こう言い放った。
「――賊よ。私は神の御使いを知っている。その加護があるからこそ、この村は襲われぬのだ」
「ふーん……――それっちゅうのは、ジャスミンっちゅう娘と関係があるんかいな?」
「! 何故貴様、その名を……!」
 先程聞かされた情報を元に、さらなる情報を引き出そうとトラゴスは聞いた所、ビンゴであった。
 神父は一瞬驚愕したが、しかし思い直したように、反応を変えた。
「――……まあ良い。貴様が多少の妙な術を使うとはいえ、ジャスミン様をどうこう出来るとは思えん。
 そうだ、ジャスミン様こそ神秘の遣い。我々を偉大なる力で守ってくれる神の御使いなのだ」
「ふぅん、それっちゅうのは、一体どういう力なんや? 教えてくれんかなぁ?」
「――それを知ってどうする?」
 トラゴスの重ねての問いに、神父はトラゴスを睨みつけるが……――
「――……なぁ、教えてくれんかいな? いてこましても、ええんやぞ?」
「くっ……」
 一般人である神父と、猟兵であるトラゴスの力の差は、歴然。
 ――神父はやむなく、口を開いた。
「……それは、私の口からおいそれと言うのははばかられる問題でな。詳しいことは神の言葉を伝える身の私にも分からん。
 だが、ジャスミン様のいつも持ちし"黒き布"こそ、古の神が遣わした秘宝なのであろうよ。私はそう見ている……」
「……"黒き布"、か――」
 トラゴスは、これ以上の情報は吐かないだろうと思い、神父の手を離した。
 神父は慌ててトラゴスから離れて、こう叫んだ。
「賊よ! 貴様の目的は知らんが、ジャスミン様のことを嗅ぎ回るとどうなるか、いずれ身を以て知ることに成るぞ!」
 そう捨て台詞を吐いていく神父を見送り、トラゴスは思う。
(黒い布、それが鍵みたいやな……さて、どうするか……)
 自分がこれ以上調べられることはないだろう。他の猟兵に情報を渡すために、一旦トラゴスは村を後にすることにしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

平賀・美汐
なーんか訳ありの村なのね。ヴァンパイアに対抗する術があるみたいだけど、緩やかに滅びに向かっているような気がするのよね。まるで命を削っているような・・・。
放っておけないから、この村のことを調査してみましょう。
まともに村人に聞いても教えてくれなさそうだし、ここは隠れながら聞き込みと行こうかしら。井戸端会議しているところや、集会場みたいなところで物陰に隠れて聞き込みしてみるわ。
もちろん、私は隠れたままでね。かくれんぼは得意なんだから!




(なーんか、訳ありの村なのね)
 平賀・美汐(幼い探索者・f06401)は村の集会場の隅に、小さな身体を駆使して隠れて様子を伺っていた。
(ヴァンパイアに対抗する術があるみたいだけど、緩やかに滅びに向かっているような気がするのよね。
 まるで命を削っているような……)
 これは放っておけない。美汐は、この村のことを調査するために、やってきていた。
 その視線の先に、目的とする人物がやってくる。
(あ、あれは予知で出てきたらしい、ロバートさんね!)
 事前にエルナちゃんから特徴を聞いていた美汐は、その痩せこけた男性、ロバートに注目する。
「ロバート!」
「ロバートさんじゃないか!」
「大丈夫かい?! やせ細って!」
 ロバートは集会場に現れると、その場にいた村の人間全員に囲まれ、心配されていた。
「ああ、大丈夫。大丈夫だよ。みんな。なんとか生きてる」
「お前さんとこのジャスミン様が、この村の希望なんだ! お前さんには、大変つらい思いをさせているが……」
「あ、アタシのとこのトマトで良ければいくらでも摘んでいっておくれ! アンタにゃ精をつけてもらわないと!」
「ハハ……ありがとう、みんな、ありがとう」
 村人達の熱い言葉を受けてたじろぐロバート。痩せこけてはいるものの、頼られてまんざらでもなさそうだった。
(ふむふむ……人望は厚いみたいね、ロバートさん。それにしては苦労性っぽいけど……)
 美汐はとりあえず観察を続ける――すると、ある村人から恐るべき言葉が飛び出す。
「しかし、神父様はあの子を神の御使いと言うが……――神の御使いが、なぜ血を吸うんだ」
(――!?)
 ――血を吸う、という重要ワードにびくっとする美汐。
 ロバートを含め、それを言った村人への視線が厳しくなる。
「エンリオ、心配なのは分かるが、あの子がいなければ俺たちがどうなるか、分かっていないわけじゃないだろう」
「う、ぐ……すまねえ、失言だった。実際に守られてるのは俺たちだものな……――すまねえ、ロバート」
 エンリオと呼ばれた村人は縮こまり、ロバートに謝る。
 それを聞いていた美汐。重要情報に、それどころではなかった。
(こ、これは凄い情報だよ! は、早くみんなに知らせないと……!)
 そそくさと、美汐は他の猟兵に知らせるため、集会場からこそっといなくなるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

藤塚・枢
SPD

何を支えに生きていけばいいのか、ということなのかな
明日を生きる希望をくれと、違和感を感じながらも縋る気持ちは分らなくもないし
騙されている方が幸せ、ということもあるかもね

村周辺の地形を利用して姿を隠し、影の追跡者の召喚を使って予知に出てきた人物3名を尾行しよう
とにかく見聞きした情報は漏らさずメモし、他の猟兵と情報を共有・交換する
同時に村の見取り図も作成
罠があるらしいし、それらも含めてチェックだね

遅かれ早かれ、暗闇の獣とやらとは戦闘になるだろうし、周辺の地形を調べて村人を脱出させる方向とかも考えておくよ
被害を出さずに解決したとしても、村人に諸手を挙げて喜ばれるかどうかは微妙なラインだけれどね




(何を支えに生きていけばいいのか、ということなのかな)
 藤塚・枢(スノウドロップ・f09096)は村の状況を見て、考える。
 彼女としては、明日を生きる希望をくれと、違和感を感じながらも縋る気持ちは分らなくもない。
(騙されている方が幸せ、ということもあるかもね……)
 村周辺の森林を調べ、猟兵たちが隠れて活動できる拠点をまず発見した彼女。
 とにかく見聞きした情報は漏らさずメモし、偵察や情報収集から戻ってくる他の猟兵と情報を共有し、交換をしている彼女。
 そういったことから、いつの間にか彼女は情報司令塔のような役目を果たしていた。
 常に彼女は見つけた隠れ場所に姿を隠しており、村には召喚した『影の追跡者』を放っていた。
(遅かれ早かれ、暗闇の獣とやらとは戦闘になるだろうし……――)
 彼らにはエルナちゃんの予知に出てきた人物3名を尾行させ、常に様子を見ていた。
 ――そのついでに、戦闘の際に必要だろう、村の見取り図も作成済みであった。
 村に仕掛けられている罠の早急な発見、回避と侵入を容易にしたのも、彼女の功績である。
(被害を出さずに解決したとしても、村人に諸手を挙げて喜ばれるかどうかは微妙なラインだけれどね……)
 手元にある村の見取り図に、戦闘が起こった際の村人の避難経路などを書き込みながら、彼女は思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンナ・フランツウェイ
行動はSPD。物陰に隠れ情報収集を行う。何故か嫌な予感がする…。

外敵を追い払える能力があるなら、村で大切にされていてもおかしくない。なら物陰から村の様子を見て大勢の人が来る…特に村長と呼ばれる人物が入っていく建物を見つけたい。

物陰へ隠れながらその建物に接近出来たら、隠れつつ聞き耳を立て少女に関しての会話を聞きたい。特に最近になって変わった所に関して。(様子が変、どこかへ一人で行くなど)

気付かれそうになったら退散しよう。手に入れた情報は他の猟兵へ伝える。




(何故か嫌な予感がする……)
 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は事前調査で分かっていた、村長の家の建物の外で隠れていた。
 目的は、中の会話を聞くため。時刻は昼頃である。
 ――先程、件のロバートと言われる男性も入っていった。恐らくは、集会。重要な会話がされるに違いない。
 やがて――。
「――しかし、このままではロバートの身が保たない! どうにかならないのか!」
「――ならん! 彼女はこの村の希望だ! ロバートには頑張ってもらうしかないのだ!」
 と、叫び声が聞こえる。聞き耳を立てなくとも、外にまで聞こえるほどの。
(……揉めてる?)
 アンナは更に聞き耳を立てる。潜まった声が、聞こえた。
「――だが、ジャスミンは……あの子は、私達の子だ……だから、私が血を与えるしか無い……」
「――ロバート! だが……!!」
「――もうよい! ロバートの決意は硬い。お前はその意気を無駄にしたいのかっ!」
 村長の声。それ以後、声はしなくなり、大勢の人が動く音。
(血を与えてる……だからあんなに痩せてたのか……――これ以上は気付かれそうだし、退散しよう)
 手に入れた情報を他の猟兵へ伝えるため、アンナはその場を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛菊・璃奈
素性を隠し、他の村から逃げて来た風を装って村に潜入…。

それらしくみすぼらしく見せかける為、姿は下着のみに、わざと件の少女を想起させる様な、黒っぽい全身をすっぽり覆う様なフード付きのマントと護身用として外観を偽装した妖刀…(他の装備や服は他の猟兵に預かってて貰うか、村の外れ等、見つからない場所に隠しておく)

自身の格好と【誘惑】を活用し、この村はまだオブリビオンの脅威が及んで無いと聞いた、数日滞在させて欲しい、何故この村は平和なのか?と情報を引き出したり捜索していくよ…。

力づくで排除してきたり、罠を突破する際は【妖剣解放】【オーラ防御】【なぎ払い】等、使うよ…。【呪詛】は使うまでもないかな…。




「…………」
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は素性を隠し、他の村から逃げて来た風を装って村に潜入することにした。
 それらしくみすぼらしく見せかける為、姿は下着の。わざと件の少女を想起させる様な、黒っぽい全身をすっぽり覆う様なフード付きのマントを被って、彼女は村に入る。
 マントの中に、護身用として外観を偽装した妖刀は持っていたが――他の装備や服は、拠点に置いてきた。今は、他の猟兵が預かっててくれている。
「ん? おい! 人だ! 人が森から紛れ込んできたぞ!」
「女の子だ! なんて格好なんだ! おい、誰か来てくれ!」
 やがて、村人が驚いて、璃奈の近くに集まってくる。
 彼女は寄ってきた村人に、衰弱した風を装って、こう切り出した。
「……この村はまだオブリビオンの脅威が及んで無いと聞いた、数日滞在させて欲しい……」
「オブリビオン? 要は分からんが、怪物のことか? 何はともあれ、村長や神父様を呼んできてくれ!」
 村人が声をあげ、他の村人が走っていった。
 他の村人たちは璃奈を疑うこともなく、それぞれ家から毛布を持ってきたり、食べ物を持ってきたりして介抱してくれようとする。
 すると、時間も経たない内に璃奈の元に、神父と村長がやってくるのだった。
「おお、なんと痛ましい……――案ずることはない、少女よ。神はお前を見放しはしないからな」
「しかし、お嬢さんや。どうやって、この村のことを知ったのじゃ?」
「…………――」
 とっさに、回答できない璃奈。回答を用意していなかった璃奈は、少しだけ考えて、すぐ答える。
「――……風の噂で。……何故この村は平和なのか?」
 ついでに質問を重ね合わせて、ごまかした。
「ふむ……それはだな、神の御使いが守ってくれているからだ。少女よ」
「まあ、積もる話は後でもええ。こんなか弱い女の子じゃないか、早く温かい所に案内してやらねばな」
(……疑われなかったけど、目新しい情報も得られない、か)
 村長たちに案内されながら、一応璃奈は潜入には成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
妹であるレティシア・ステラガーデンと共に行動
【spd】
偵察用蝙蝠を召喚し空から偵察
お目当ては確認出来る中で一番血の気が引いて、疲労が見える村人を探す
見つかればレティ(レティシア)に報告し、共にその村人まで移動
村人との会話はレティに任せるも会話が苦手な妹の為に所々フォローを行う
会話の流れを見つつ
「しかし吸血鬼に血を吸われたような顔色ね!」など揺さぶったり
「血を吸われたといえばレティ?私達のバカ親父は吸血鬼だったけど、吸血鬼衝動抑えるの大変だったわねえ。まさか血を吸う以外にもあんな方法で吸血しなくなるなんて思わなかったわね!」などあっけらかんと大嘘を聞かせ
村人に何か反応があれば「聞きたい?なら〜」


レティシア・ステラガーデン
姉であるフィーナ・ステラガーデン(f03500)と共に行動
【wiz】
フィーナと共に偵察用蝙蝠が見つけた村人の所へ行く
「どうかされたのですか?私は皆様のお力となるべくお姉さまと旅をしている聖者です。あの、お話だけでもお聞かせ願えませんか?お力になりたいんです」
聖者であることの証明に『生まれながらの光』で村人を回復させる
揺さぶりなどは姉に任せ、レティシアは聖者を前面に押し出して村人に寄り添おうとする




「……んー、なかなか居ないわね」
 偵察用蝙蝠を召喚し空から偵察しているフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、目当ての村人が居なくて唸る。
 一番血の気が引いて、疲労が見える村人――正直、それに該当するのが二名しかいなくて、悩んでいた。
「お姉さま、どうされたのですか?」
「いや、仕方ないわ。片方はよく動いてるし、もう片方は丁度やっと家から出てきたしね。接触するわよ、レティ」
 フィーナは妹であるレティシア・ステラガーデン(ダンピールの聖者・f00520)に告げると、隠れている場所から、村内部の通りへと向かう。
 ――彼女らが標的にしたのは、ロバートの妻、エミリアであった。
 というのも、顔色の悪く、疲労の色濃い村人はロバートとエミリアを除いて居なかったからである。
 そして、エミリアの方はロバートと違い、朝からあまり家から出てこなかったのだ。
 漸く一人で出てきたため、そこを接触しようということであった。
 ――村の通りの先からやってくるエミリアに、レティシアは話しかける。
「どうかされたのですか? 顔色がお悪いですが……」
「え? あ、はい……?」
 エミリアは戸惑ったように身構えるが、すぐにレティシアは自分の立場を明かす。
「私は皆様のお力となるべくお姉さまと旅をしている聖者です。すみません、失礼しますね」
「聖者様、ですか……――あっ」
 レティシアから漏れる聖なる光が、エミリアを照らすと……――エミリアの顔色に、僅かに赤みが灯る。
「――ありがとうございます、聖者様」
「あの、お話だけでもお聞かせ願えませんか? お力になりたいんです」
 そのレティシアの問いに、エミリアは逡巡する。
 ――……それもそうだろう。いきなり現れた相手が聖者だったとしても、こんなことを言われて、事情を話す気にはなれないだろう。
(じゃ、ここは私の出番かしらね)
 そこで、フィーナが揺さぶりをかけることにした。
「しかし、吸血鬼に血を吸われたような顔色ね!」
「――!」
 エミリアの顔が図ったように狼狽える。しめた、とばかりにフィーナは畳み掛ける。
「血を吸われたといえばレティ? 私達のバカ親父は吸血鬼だったけど、吸血鬼衝動抑えるの大変だったわねえ?」
「え? ――あ、はい、そうでしたね。お姉さま」
「まさか血を吸う以外にもあんな方法で吸血しなくなるなんて思わなかったわね!」
「――……!」
 エミリアは、その言葉に反応する。反応するが、しかし――。
「エミリア!」
(げっ)
 そこで、ロバートの声がする。彼が、やってきていた。フィーナはそれを見て、しくじった、というような顔をする。
 ロバートはエミリアの手を引くと、彼女を背中に隠して、フィーナ達を睨みつけた。
「私の妻は憔悴していまして、あまり外に出てはならないんです。エミリア、帰るぞ」
「――あ、貴方、でも……」
 ロバートは、エミリアの言葉を制す。フィーナ達に睨んだまま、こう言うのだった。
「――聖者様と聞きました。その力は本物のようですね、エミリアの顔色が戻ったことに感謝はします。
 ですが、これ以上余計な詮索をするようであれば、村長を呼んで即刻村を出ていってもらいますよ。では、御免」
 そう捲し立てられたフィーナとレティシアが何か言うよりも早く、ロバートはエミリアを連れていってしまう。
 取り残されたフィーナとレティシア。二人は顔を見合わせる。
「どうしましょう、お姉さま……」
「んー、しょうがないわね。他の猟兵のアプローチに任せましょ。
 あの妻の方は、何か解決策を悩んでるみたいだったし、それがわかっただけでも良しとしましょ」
「わかりました、お姉さま」
 フィーナの言ったことに、レティシアは納得して頷いた。二人は、猟兵たちの隠れ場所へと戻ることに決めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

赤月・碧
幸い私は隠密行動は得意な方だ
昼間の内に旅人・傭兵のフリをして訪れ、軽く村の地理を把握したい
食事を摂れるなら摂りたい所だ。村人へ直接詮索せず、安心してもらう為目につくようにして村を離れるぞ
他の猟兵が表立って居た場合に顔を見せておく意味もあるがな
夜を待って潜入を行う。念の為装備はダガーだけにしてボロ布でも纏っておくぞ
とはいえ猟兵だからな。効果の為でなく私自身に対する気休めだ
各家に忍び寄り聞き耳を立てるとする。誰か昼間に怪しい者が居ればそれに対する話も聞きやすいだろう
夜間出歩くものが入れば優先して後をつける。最優先は隠密だ。夜間に怪しい者いると解ってしまえば、ひそひそ話もしなくなるというものだからな




 ――その、夜のこと。
(幸い私は隠密行動は得意な方だ)
 昼間の内に旅人・傭兵のフリをして訪れていた、赤月・碧(ビーム出したいお年頃・f00875)。
 軽く村の地理を把握した上で、食事を摂るだけ摂って、安心してもらう為目につくようにして村を離れた彼。
 夜になって村に戻ってきて、潜入。念の為、装備はダガーだけにしてボロ布を纏っていた。
(目的は、聞き耳――だ)
 各猟兵が昼間に見つけておいた怪しい者達。それらが夜間にしている話を聞くために、彼は夜間侵入したのだ。
 尚、夜間出歩くものがいれば――後をつける。碧は隠密性を重視しつつ、各家を回る。
 神父の住む教会、村長の家からはこれといって情報は聞けなかった。
(とすると――やはりあの夫婦の家。それと、今の現状に満足していない、エンリオとかいう男)
 そして――今追跡しているのは、そのエンリオだった。
(まさか、夜中に出歩いてくれるとは。しかもこの方向は、あの夫婦の家と来ている)
 これは重要そうな話が聞けそうだと、碧は追跡を行い――やがて、エンリオが夫婦の家に辿り着くのを見届けると、聞き耳をたてるために家に近づいた。
「――エンリオ、俺を心配してくれるのは分かるが、大丈夫だ――」
「――大丈夫って、どうしてそう言い切れるんだ。ロバート。もしその子が本当に吸血鬼だったらどうする気だ――!」
「――やめて、ロバート。エンリオさん、ジャスミンが起きるわ」
 ロバート、エンリオ。そしてエミリアが言い争う声が聞こえた。
(……やはり血を吸っているのは明らか……ということだな。しかし、なかなか見えてこないな)
 ロバートとエミリア。彼らの娘であるジャスミンが、吸血鬼である可能性は分かる。
 ――しかしながら、だとすると何故ジャスミンは、オブリビオン達を追い払い、この村の平和を守っているのか?
(ダンピールである、とかならすぐわかりそうなもんだけど……そうでもないんだろうな。もう少し大胆に調べる必要があるのかもしれんな)
 碧はそう思うと、その夫婦の家をこっそりと、後にするのだった。

 ――そして、一日が過ぎていったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニレ・スコラスチカ
【SPD】
匂う、匂う。この村はきな臭い。大きな秘密を…異端を隠している香りがします。わたしが救わなければなりません。

派手に動けば余計に口を閉ざしてしまうかも。目立つのは得策ではないでしょう。村人達に勘づかれないように機を伺いつつ、"協力的そうな"村人が1人でいるところを狙って【インクイゼション】を。「少女はどこにいるか?」「少女のことを秘匿するのは何故か?」など役に立ちそうな情報を聞き出してみます。
わたしは異端審問官。異端を滅ぼす使命があります。あなたが異端ではないなら…答えてくれるはずですね?

事が終わった後は【気絶攻撃】で眠っていてもらいます。ご協力に感謝、あなたに平安のあらんことを。




 ――翌日。
「匂う、匂う。この村は――きな臭い」
 ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)は村の中で――とある村人に向かって、言う。
「大きな秘密を……異端を隠している香りがします。わたしが救わなければなりません」
「は、はいぃ……!」
 その勢いと、彼女が放ってきた拷問具の捕縛の恐怖に押された村人は、涙目で応える。
 ――彼女は他の村人達に勘づかれないように機を伺いつつ、彼女にとって"協力的そうな"村人が1人でいるところを狙って【インクイゼション】を放ったのだ。
「わたしは異端審問官。異端を滅ぼす使命があります。あなたが異端ではないなら……答えてくれるはずですね?」
「は、はひぃ! 審問官様! なんなりとぉ!」
「まず、1つ目の質問です。少女――ジャスミンは、普段どこにいますか?」
「は、はいぃ! ジャスミン様は普段、親であるロバートさんたちと暮らす自分の家で、黒い布を抱えて、日中でも寝て居られます!」
 村人に対し、拷問具は危害を加えない。これは、真実だ。
「2つ目の質問です……少女ジャスミンのことを秘匿するのは、何故ですか?」
「は、はいぃっ! この村を守るジャスミン様に無為に近づく者は村の平和を妨げる者である。それらの者からジャスミン様を守ろう、隠し通そうと、皆で決めたことです!」
 これにも、危害を加えなかった。真実だ。
 それを聞いた直後。ニレは村人を戒めていた拷問具の拘束を解くと、安心した村人の鳩尾に――、一撃。
「――はぐっ……!?」
「ご協力に感謝、あなたに平安のあらんことを――」
 ニレは気絶させた村人を物陰に運び、その場を後にする。
(……情報は得ました。後は彼らの仕事。情報を伝え、的確に処理させましょう)
 そう思い、仲間である猟兵達の元へ、ニレは戻ることにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

イデアール・モラクス
フン、キナ臭いなんてものではない村だな。
大方ヴァンパイアの餌場となっているのだろうが…その少女とやらが狡猾に用意したか?

・行動
いくら言い含め、意思を纏めようとしても集団には必ずハミ出す者がいる。
私は旅の占い師のフリをして村に入り、そういう孤立した者に当たりをつけて接触するぞ。
「占いだけでは食えなくてなぁ…」
接触したら今度は娼婦だと偽り、誘惑して色に溺れさせ、村の秘密を喋らせる。
「この村は妙だ…何を隠している?」
もしそれでも隠すようなら、人目を避けて色欲の触手で拘束し、快楽と吸血で追い詰めて吐かせよう。
「そろそろ吐き出した方がイイぞ…これ以上はカラダに負担があるかも知れんからなぁ?」




(フン、キナ臭いなんてものではない村だな)
 ――大方ヴァンパイアの餌場となっているのだろう……――。
 イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)はその程度に当たりをつけていたが、情報が集まるにつれ、彼女はそれ以上にキナ臭いと今では思っていた。
 故に、彼女は旅の占い師のフリをして村に入ると、情報にあったハミ出し者――エンリオという男に、目をつけた。
 他の猟兵の情報で、この通りを過ぎれば彼は一人になる。それをイデアールは狙って、そこで占いの道具を広げていた。
「――失礼、そこ往く男よ。不吉な相が出ているようだが」
「なにっ? ――占い師、か?」
 件のエンリオは冴えない風貌の男ではあるが、背丈と身体の屈強さはある若者であった。
「悩みがあるなら打ち明けるがいい……私が占ってやろう」
「……悩、み」
 エンリオは迷っているようだ――イデアールはそれもそのはず、と思う。
 彼の悩みとは、まさに村の秘密に関することなのであるから。
 ……だから、畳み掛ける。
「――そうか。ところで、話は変わるが……占いだけでは食えなくてなぁ……?」
「え、あ……」
 占いの道具越しではなく、立ち上がりエンリオの顎を触り、色目を遣ってみせるイデアール。
 妖艶な女性の誘惑。女っ気のないエンリオは、生唾を飲んだ。
「……この身体、試してみたいとは思わんか? そのお前の悩みを聞かせてくれれば、それでいい――」
「あ、あ……あぁ……」
 ――引きずり込まれるようにエンリオはイデアールに、物陰へと連れてゆかれる――その手は、食らいついた大蛇のように、、彼を離さなかった――。


 ――暫くして。
(……なるほどな)
 合点が行った、という表情になったイデアールは、エンリオ――彼から得た情報を反芻していた。
 ――ジャスミンという少女は起きている間は親であるロバート、エミリア夫妻の血を吸ってしまう、とのこと。
(それも、不本意に、だったか)
 ――吸血は彼女の意志ではなく、そんな自分が嫌で彼女は普段から伏せ込みがちであること。
(更に、村を守りたいという意志だけは本当で、力を使うのには抵抗はない、だったか)
 ――そこまで聞けば、少女が本体ではない。だが、少女ジャスミンには、なんらかの細工がされている――イデアールは確信していた。
「くくっ、早く話せばいいものを。だが、役得だったなぁ? エンリオとやら――」
 ――物陰から見える蠢く触手の向こうへと、イデアールはそう語りかけたのだった。
「まぁ、快楽に沈んでいるが良いぞ。その間に、終わる」
 イデアールはその場を後にするのだった。もうすぐ、計画が始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビッグ・サン
「さて、皆さんうまくやってくれると良いですがね~」

村から少し離れた墓地で、うつろな瞳の少女が、能天気な口調で呟く
そして、小さく呪文を唱え指を鳴らすと、彼女の周りの地面がモコモコとせり上がっていく

土くれが落ちると、半ば腐った死体や、骸骨が姿を現す

くっ

くっ

くっ

現れたゾンビに群れに満足げにビッグは笑うと、腕を村に向ける

「さあ腐れども、村を恐怖に陥れなさい」

ビッグが命令を下すと50を超える大量のアンデットが、のたのたと村に向かって進んでいく

腐った死体が迫ってくるのは、村人にとって恐怖でしかないだろう。

「あとは、仲間がうまくやってくれるのを、高みの見物としゃれこみましょうかね」


暗黒騎士・アングラング
同じ旅団のビッグ・サンが自作自演で村を守ってみせる作戦を立てていたから、付き合ってやろう。
安心しろ、私は演技力も超銀河級だ。

「たまたま通りがかっただけだというのに、大変な状況に遭遇してしまったぁ!」
サンのアンデッドが村を襲う現場に颯爽と現れ、黒いマントをたなびかせながらUCでなぎ払ってやろう。
光る剣での戦いも見せてやれば信用度も倍増だ。

「危ないところだったな、村人よ。こっちの小さいのは私の仲間だ。安心しろ」
「ところでこの村は誰かに守られているらしいが?」
我ながらなんてスムーズで隙のない聞きだし方だろうか……!


ルベル・ノウフィル
【オリュンポス】で参戦!
吸血鬼は僕の個人的宿敵でございます、士気高く

サン殿がゾンビを呼び出し村を襲うので、僕はリザレクトオブリビオンで死霊を呼び出し、ゾンビと戦わせます。

「いやあー、お世話になりますぅー、
僕らは通りすがりの悪の組織でございますぅー」
へこへこしながら村人に挨拶する

「何かお困りごとの際はぜひお申しつけくださいませ。
我々は正義ではございません。が、怪物退治が趣味でございまして……戦闘能力だけは高いのでございますよ」

尻尾をぱたぱたさせながら、死霊に曲芸を命じる。
「ほーら、よくなついているでございましょう?
 僕の死霊たち。でも、我が組織にはこれより強い者たちがたくさんいるのでございます」


アルテミス・カリスト
【オリュンポス】
「平和な村が滅ぼされる予知ですかっ?!
そのような非道、この正義の騎士アルテミスが許しません!」

とはいえ、情報によると、村の人たちの警戒心は非常に強いようです。
無策で村に近づいたら、かえって警戒されてしまうでしょう。

となれば、手段は一つ!
村の人に交渉し、用心棒をやりましょう!
そして村人からの信頼を得つつ、村を滅ぼすという吸血鬼から村を守ればいいのです!
(秘密結社の仲間たちが自作自演作戦を考えているとは、夢にも思っていません)

「出ましたね、ゾンビたち!」

大剣を抜いてかかっていきますが、騎士とゾンビは相性が悪いため
なんやかんやでピンチに陥るのでした。

「いやーっ、助けてくださいーっ!」




 ――計画は、始まった。
「さて、皆さんうまくやってくれると良いですがね~」
 村から少し離れた墓地で、うつろな瞳の少女が、能天気な口調で呟く――彼女の名は、ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)。
 いや、彼女ではない。失礼した。彼だ。大変、可憐な出で立ちをしているが、彼が正しい。
 彼――いや、希望に沿って彼女と呼称させていただこう。彼女は小さく呪文を唱えると、指をパチ、と鳴らす。
 彼女の周りの地面がモコモコとせり上がっていく――そこからは、大量のゾンビが現れていた。
「さあ腐れども、村を恐怖に陥れなさい」
 彼女は、命令を下す。
 50を超える大量のアンデッドが、のたのたと村に向かって進んでいくのだった。
 ――腐った死体が迫ってくるのは、村人にとって恐怖でしかないだろう――しかし、それが狙い。
「あとは、仲間がうまくやってくれるのを、高みの見物としゃれこみましょうかね」
 彼女は言う。
 ――秘密結社オリュンポスは、手段を選ばない。


「うわああ!? 動く死体だぁああ!?」
「きゃーっ?! なんてことなの!? きゃーっ!?」
 村人は迫ってくるアンデッドたちに恐れおののき、逃げ惑っていた。
 ――そこへ、やってくる者が居た。
「たまたま通りがかっただけだというのに、大変な状況に遭遇してしまったぁ!」
 演技力も超銀河級――そう自負するのは、暗黒騎士・アングラング(光と闇の剣を自在に操る暗黒宇宙騎士・f08676)であった。
 彼はフォースセイバーを振るい、アンデッドたちを蹴散らしてみせた。
 ――元々一撃で倒れるビッグのゾンビ達。全く容易いことではあった。
「いやあー、お世話になりますぅー、僕らは通りすがりの悪の組織でございますぅー」
 そう言いながら、召喚した死霊騎士と死霊蛇竜に戦わせているのは、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)。
 村人たちは、ゾンビを倒す彼らに呆気にとられていた。
「危ないところだったな、村人よ。こっちの小さいのは私の仲間だ。安心しろ」
「何かお困りごとの際はぜひお申しつけくださいませ。我々は正義ではございません――が、怪物退治が趣味でございまして……戦闘能力だけは高いのでございますよ」
 ルベル、アングラングの両名はゾンビを倒しながら、村人に向けて言うのだった。
 しかし、そこへ。
「お二人も居たんですね!」
 やってくるのは、アルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)であった。
 ――何故か、水浸しの姿で。いろいろ透けているのは、今回のサービス故であろうか。
 ルベル、アングラングの二人は顔を見合わせる。彼女は、彼らの自作自演作戦に参加していない。
(――居たのか、アルテミス)
(――居たみたいですねえ、彼女)
 彼女の生来のドジっぷりを思い、口裏を合わせられるとは思えない二人は、少し悩むのであった。
 ――だが、悩むまでもなかった。
「――何の騒ぎ?」
「あっ!?」
「ジャスミン様!!」
「へっ?」
((――出てきた!!))
 ルベルとアングラングの両者は、小さくガッツポーズをする。
 唯一、アルテミスだけが状況が分からず、小首を傾げていた。
 ――そこには、銀髪赤眼の、ツイン――いや、それにポニーテールを足した、トリプルテールという髪型の少女が、居た。
 腕に黒い布を吊っている。件のジャスミンに、間違いなかった。
 ――本来であれば、自作自演作戦を以て情報収集を考えていた彼らではあったが、いろいろな情報を集めた結果、ジャスミン本人を呼び出す作戦として、その自作自演作戦が採用されたのであった。
「――何遊んでるの? ゾンビ、迫ってくるだけで無害なのに」
「えっ!?」
「何と?!」
(――何ィ!? まさか、銀河級演技力の我が演技が見破られている?!)
(――ありゃま、これは想定外。演技は通じませんでしたか)
 オリュンポスの両名は、失策だったかと一瞬思ったのだった。
 ――唯一、アルテミスは村人と一緒に驚いていたが。そこは大目に見よう。彼女はピュアなのだ。うん。
 だが、完全なる失策とは言えなかった。ジャスミンと呼ばれる少女は笑顔を見せ、彼らに近づいてきたのだった。
「おんなじような力を感じる。その剣も、その操る術も。キミ達、腕は立つんだよね」
 ジャスミンは笑顔でそう言うと――急に真面目になり、森林を睨みつけた。
「来る。手伝って」
「!? け、獣だぁああああっ!?」
「に、逃げろぉおおおおっ!!」
 ――阿鼻叫喚。
 彼女が睨んだ森林からは――紅き異形の獣たる、暗闇の獣が姿を現していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――森林の影という影から、滲み出すように村へと迫ってくる、暗闇の獣。
 危機を聞きつけた猟兵たちは、その襲撃地点へと集っていた。
 タイミングは、最良であった。もう少し遅ければ、少女ジャスミンと接触前に、襲撃されていたことだろう。
「――良かった」
 少女ジャスミンがこぼす。本当に、安堵している声で。
「さっきも言ったけど、手伝って。キミたちにも、似た力があるのなら。お願い」
 ジャスミンは、持った黒い布を振り回す。それをしたが故に、彼女の力がやどり――ユーベルコードの発動を、猟兵は感知した。
 まちがいなく、彼女はオブリビオン、もしくは猟兵のいずれかであった。
 ――だが、オブリビオンであればこちらが宿敵たる猟兵だと分かるはず……?
 訝しむ猟兵たちであったが、暗闇の獣は待ってはくれないようだった。
「――行くよ!」
 突撃する、ジャスミン。ひとまずは、彼女と共闘する他ないようだ――!
雛菊・璃奈
「折角潜入できたし、できればバレ無い様にしたいけど…。バレたらバレたでしょうがないかな…。潜入の主目的はあの子を調べる事だったんだし…」

村人から遠間で潜入時に身に着けてたフード付き黒マントを目深に被る等して、少し見た程度では正体が判らない様にして戦闘。

一撃が脅威と見て、なるべく遠距離、咆哮の範囲外から戦闘。【呪詛】【生命力吸収】を込めて【unlimited】展開。ジャスミンを援護する様、敵の一撃等の攻撃に合わせて【unlimited】を連続斉射。咆哮は何本か叩き落とされても連射数で押し込み、敵の体に魔剣を何本も突き立てる事で透明化を封じる。

「援護する…敵の注意、引きつけられる…?」

アドリブ歓迎




 ――獣へと、突撃するジャスミン。
 彼女は、その黒い布で獣を打ち据えて、叩き伏せていく。
 ――しかし、数が数。彼女一人では到底戦い切ることはできない――そう思い、一人の猟兵が動いた。
「呪われし剣達……わたしに、力を……――」
 ――『unlimited curse blades』。呪いの剣が殺到し、ジャスミンの側に居た獣を刺し貫き、その命を奪った。
 それを放ったのは――村に潜入していた、璃奈。
 潜入時に身に着けていた、フード付き黒マントを目深に被って、呪いの剣を投射する。
「折角潜入できたし、できればバレ無い様にしたかったけど……」
 ――バレたらバレたでしょうがないかな――璃奈は思う。本来、あのジャスミンという少女を調べるための潜入であった。これだけ情報が出揃った上、彼女が村を守ろうとして戦っている今、おとなしく潜入を続ける意味はなかった。
 だから、彼女は出てきた……目深に被ったフードで、遠目で少し見た程度では村人たちに正体が判らない様にしつつ、だが。
 ともあれ、彼女は驚異となる獣の一撃を避けるため、なるべく遠距離。咆哮の範囲外から呪剣を放って攻撃する。
 獣がジャスミンを狙って動いた、その瞬間に合わせて魔剣を連続で斉射する。
 咆哮で何本か叩き落とされてもいいように、連射数はそれなりに。
 更に、敵の体に魔剣を何本も突き立てる事で透明化への対策も講じていた。
 ――ファーストアタックとしては、これ以上無い攻撃であっただろう。
 獣は璃奈の剣をまともに受けて生命力を削られつつ、その直後に跳んできた黒布の槍で突き刺され、その命を投げ出す。
 璃奈のことを認識したジャスミンは、やや無表情のその顔を微笑ませ、彼女に礼を言う。
「ありがとう。狐耳の白い子」
「援護する……敵の注意、引きつけられる……?」
「うん、キミの援護に合わせて、戦ってみる。ありがとう……後で名前、教えて」
 ジャスミンは璃奈に頷いて、黒布を振り回し、璃奈はその動きに合わせて呪剣を放ち、牽制と絶命、そして生命力の簒奪を行っていく。
 二人の少女は、初めて会ったとは思えない連携で、獣たちを蹴散らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

弥久・銀花
呼ばれて来てみれば、あれは狼の群れですね。 (大根の葉っぱを一枚だけ千切って来てムシャムシャ)

では、害獣退治の時間といきましょう。

私は剣による接近戦であの狼と戦ってきます。

今回の狙いは相手を確実にここで仕留める事です、手負いにして逃げられでもしたら後が怖いです。
次に襲ってくる時を予知できるとは限りませんからね。

なのでチャンスがあったら即座に四肢のどれかを鋭刃線閃で切断しましょう。

そうすれば戦闘力も速度もガクンと落ち込むので、逃がさないで仕留める事ができそうです。

よしんば逃げられたとしても、魔獣のひしめく森で生き延びられるとは思えません。




「――呼ばれて来てみれば、あれは狼の群れですね」
 銀花はスライディング気味に滑りながら、その場に登場する。
 刀を鞘から抜き放ち、構える――その口の端には、大根の葉っぱ。
 何故か、一枚だけ千切って来て、ムシャムシャしている――この村の野菜を気に入ったのだろうか。
 それはともかく。銀花の目の前には、今にも村人を襲わんとする狼を素体とする暗闇の獣の群れがあった。
「では、害獣退治の時間といきましょう」
 神速の踏み込み――銀花は、その群れに飛び込む。
 ――白嵐玉椿が、幾筋か、閃く……――一番先頭に居た獣達の脚が、纏めて薙がれ、血風が舞う。
 銀花の狙いは、相手を確実にここで仕留める事であった。
(次に襲ってくる時を予知できるとは限りませんからね――ここで仕留めねば)
 手負いにして逃げられでもしたら、後が怖い。なので、四肢を鋭刃線閃で切断する方法を取る。
 機動力を奪われた獣達は、地べたを這いずることとなる。一瞬の出来事であった。
 ――中には咆哮を上げ、広範囲攻撃を仕掛ける者も居たが……銀花も人狼の咆哮で応戦し、それを弾き返す。
 そうとなれば、獣達に抗う術はない。
 銀花は連続で踏み込みながら、まだ四肢の無事なものはその機動力を削ぎ落とし、這いずるものには絶命の一撃を加える。
 ――状況は、一方的であった。
「他愛もない、というべきでしょうか。まあ、獣程度には遅れを取りませんが」
 周囲の獣を一掃し終えた銀花は、愛刀・白嵐玉椿を鞘に納めて、一息吐くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イデアール・モラクス
ハッ!これは傑作だ、まさかこのような存在がいたとはな。
村を守らんとする行動は少女の意思?それとも…少女を支配している何者かの『お遊び』かぁ?
まぁどちらでも構わぬ、今一度は運命と謀略の狭間に踊ってやろう。

・戦法
「獣狩りは人間の仕事と相場は決まっていてなぁ?」
パチンと指を鳴らし召喚するは愛欲の軍勢、高速詠唱と全力魔法を乗せ素早く、大量の下僕を場に現界させる。
「放て!」
私を中心に槍隊で横列を敷き村への防波堤とし、その後方から魔法攻撃隊の一斉射で獣を撃つ。
私も炎の魔弾を放ち援護つつ、我らの斉射を抜けて来た獣がいれば槍隊の突撃にて串刺しにし、大鎌で斬り捨てよう。
「これが敵の陽動じゃなきゃ、良いがなぁ!」




「獣狩りは人間の仕事と相場は決まっていてなぁ?」
 そう言うと、イデアールは指を鳴らし――愛欲の軍勢-ルストレギオン-を召喚した。
 一列に並ぶ槍隊の男たち。彼らは村と彼女を守る防壁となり――その後方を、魔法攻撃隊たる男たちが杖を構え、備える。
「放て!」
 号令。魔法攻撃隊は一斉に光弾、氷弾を生成、獣たちへと撃ち込んでいく。
 ――まるで戦争のような光景であった。獣たちは次々に魔法に飲み込まれ、消し飛んでいく。
 その最中、イデアールは思考を回す。それは――少女ジャスミンについてのこと。
(村を守らんとする行動は、少女の意思? それとも……少女を支配している何者かの『お遊び』かぁ?)
 イデアールは考えながらも、自らも無数の炎弾を生成、放ち――爆風で獣を薙ぎ倒す。
「ハッ! これは傑作だ、まさかこのような存在がいたとはな!」
 ――まぁどちらでも構わぬ、今一度は運命と謀略の狭間に踊ってやろう。
 享楽の魔女は、この場にあっても享楽的であった。炎弾を次々に生成、魔法攻撃隊たる男たちとともに、魔法の嵐を形作るのだった。
 斉射を抜けて来た獣が、眼の前で槍隊に串刺しにされる――魔女は自らも大鎌を振るい、これの首を刈り伏せるのだった。
「これが敵の陽動じゃなきゃ、良いがなぁ! ――さあ、一斉掃射だ!」
 返り血を浴びる魔女は、大鎌を担いで号令。雨あられとばかりに、魔法を獣たちへと浴びせ征く――。

成功 🔵​🔵​🔴​

平賀・美汐
彼女が噂のジャスミンちゃんね。
猟兵なのかオブリビオンなのかわかんないけど、こうなったら共闘するしかないわね。いいわ、信じてあげる。
暗闇の獣に向かって突撃、速度を上げて獣の周囲をちょこまかと動き回ってフェイントを織り交ぜながらスピードで翻弄するわ。
獣が焦って大振りの攻撃をしてきた時がチャンス、その時にユーベルコード『シーヴズ・ギャンビット』で急所に一撃をお見舞いしてあげる。
でも深追いは禁物。無理せずヒット&アウェイに徹するわ。それと他に援軍がいないか念のため警戒しておくわね。




「彼女が噂のジャスミンちゃんね――猟兵なのかオブリビオンなのかわかんないけど」
 ――こうなったら共闘するしかないわね――美汐は遠目にジャスミンの姿を見ながらダガーを構え、戦闘の体勢を整える。
「いいわ、信じてあげる」
 美汐は、村の中へと迫ってくる暗闇の獣たちに向かって、逆に突撃。
 速度を上げていく、美汐。振り回される獣の腕を避け、その後方へ。
 振り向いて狙いを定めてくる相手に、横っ飛びでその狙いをずらす。
 時に、踏み込んで攻撃するかのように力を脚に込めて、しかし飛ばないフェイントも織り交ぜて。
 ――ちょこまかと動き回り、スピードで翻弄する美汐。獣の方はその動きに、どんどん焦れてくる。
 獣は面倒になったのか、咆哮で美汐を吹き飛ばそうとし、大きく息を吸うために大きな口を開ける――。
「――せいっ!」
 ――瞬間、その下顎と上顎が、振り上げられたダガーで縫い付けられた。
 獣は悶絶する。ダガーは引き抜かれ、直ぐ様その眉間を貫き、絶命させる。
 一頭、獣を仕留めて、美汐は一端下がる。戦場の様子を眺めて、獣の数と気配を確認する。
(森の中に気配はない……数が増える心配は、ないみたいね)
 それを確認すると、彼女は次に仕留めやすそうな獣を探し、再び突撃していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アンナ・フランツウェイ
ジャスミンの思惑がどうであれ、この場は共闘するしかない。少なくともこの場では頼りになりそう。村を守るという気持ちは本物みたいだし。

魔獣の姿が見えないようなら聞き耳で、魔獣が立てる物音を探り位置を特定する。ジャスミンにも魔獣の位置を特定できる方法は無いかと聞いてみる。

魔獣の一撃は見切りで軌道を見極め、魔獣の側面へと移動しながら回避。回避出来たら断罪式・薊ノ花で相手の首元を切り付け切断を狙う。切断しきれないようなら傷口をえぐるで確実に息の根を止めよう。




「……大丈夫、かな」
 アンナは、少しだけ不安そうに状況を見る。
 ――ジャスミンの思惑がどうであれ、この場は共闘するしかない。
(少なくともこの場では頼りになりそう。村を守るという気持ちは本物みたいだし)
 黒き布を振り回し、獣達を互角以上にやりあってみせる謎深まる少女を見て、しかしその心根を側で感じてみて、アンナは想う。
 目視する限りでは、獣の数はそれほどいないように見える――が。
(音がする。数は見えてるよりも多い)
 彼女の鋭い耳は、魔獣が立てる物音を探り、位置を特定していた。
 ――それが正しいのか、確かめるため、彼女はジャスミンにも聞いてみる。
「魔獣の位置を特定できる方法は無い?」
「この音だと、集団で奇襲を掛けようとしてるのが、あの辺りに」
 それは、アンナの見立てと同じであった。彼女はジャスミンに頷くと、アイコンタクトで意志を交す。
 ――刹那、二人の少女はそこへと突撃した。獣の音が、少女たちに迫る。
 彼女らは身を傾けるようにして、見えない獣の鋭い爪を躱しながら走り抜けると、暗闇の獣の側面へと滑り込む。
 ――処刑用の鋸が首を掻き切り、黒き布が首を締めて、獣の息の根を止める。
(……頼りになる。本当に)
「……合わせてくれて、ありがと」
 ジャスミンの感謝を受けて、アンナは少しだけ顔を赤くする。
「くす、変なの」
「……変じゃない」
 それを、ジャスミンにくすりと笑われ、アンナはむっとした視線を返した。
 ――微笑みと膨れっ面の、束の間の交流。それを一瞬の出来事として、彼女らは迫る獣たちに対し、鋸と布で応戦するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・ステラガーデン
何かしらこいつ。犬ころかしら?
教育がなっていないのかしら?私が躾けてやるわ!
引き続き妹のレティと行動しつつ
行動スタンスはジャスミンと共闘を重視するわ!吸血鬼か何かよくわかんないけど
小さい子が一人で闘ってる姿を見てほっとけないのよ。
ジャスミンにはアイテム「ブラッドジュース」を手渡すわ。
後々血が欲しくなって敵に回られても困るし
私のだからあまりあげたくないけど、仕方ないわね!
基本「オーラ防御」を展開しつつ
隙あらばUC「邪眼ノ開放」を仕様して動きを止めるわ!
『ほら。お座りしなさいよ。お座りしろって言ってんのよ!!』
動きが止まったら目配せして追撃を合図するわ!


レティシア・ステラガーデン
「きゃあ!?な、なんですかあれ!お姉さまどうしましょう!?」
引き続き、姉のフィーナ(f03500)と行動を共にし、ジャスミンと共闘を重視する。
戦闘は怖くて仕方ないけれど、姉のフィーナが放っておけないと言うなら思いは同じ。
私にとって、お姉さまのお考えが全てですから。
「えっと、あ!そうです、これならお役に立てるかもしれません…!」
ユーベルコード「神聖なる鎖」を使用。失敗した場合は、この世で一番の安全地帯だと思っている姉の後ろへ、泣きだしそうになりながら退避する




「きゃあ!? な、なんですかあれ! お姉さま、どうしましょう!?」
 ステラガーデン姉妹の妹の方、レティシアは獣たちを見て動揺する。
 その姉の方、フィーナは割と余裕のある表情で、獣を見ていた。
「何かしらこいつ。犬ころかしら? 教育がなっていないのかしら? 私が躾けてやるわ!」
 ――さあ、行くわよレティ! フィーナの号令で、姉妹はジャスミンの元へと向かう。
 彼女は今、布の槍で前後二体の獣の眉間を吹き飛ばしたところだった。
 姉妹はそんな彼女の近くまで行き、並ぶ。
「小さい子が一人で闘ってるなんて、ほっとけないのよ」
「せ、戦闘は怖くて仕方ないですけれど、私もお姉さまと同じです!」
「――……ん……ありがと」
 その姉妹の様子に少し面食らったようだったが、ジャスミンは素直に礼を言ってきた。
 フィーナは快活そうに、レティシアは少し恥ずかしそうに笑みを浮かべ――それに対して、ジャスミンもうっすらと笑みを浮かべる。
 ――そして、三人は共に突撃した。前方からは、二体の獣。
 こちらに飛びかかろうとしている獣に対し、フィーナの闇の眷属の血を宿した赤く輝く瞳が威竦め、動きをとめる。
「ほら。お座りしなさいよ……お座りしろって言ってんのよ!!」
「――えっと、あ! そうです、これならお役に立てるかもしれません…!」
 獣の動きが止まった所へ、レティシアが手枷と、首輪。そして拘束の鎖を投げ放つ。
 それらは誤ることなく獣へと拘束を施し、彼らが放とうとしていた咆哮、そして透明化の能力を封じてしまう。
「さあ、行きなさいジャスミン!」
「い、今です!」
「……ん!」
 短く応えたジャスミン。その拘束された獣の眉間を、先と同じように黒布の槍で正確に穿ち、風穴を開けて絶命させた。
「――ふーん、やるじゃないの!」
「お、お見事でした!」
「……そっちも、ね」
 三者三様、笑みを浮かべて、短い時間では在るが、交流するジャスミン。
 ――と、そこで唐突に、フィーナが思いつく。
「……あ、そうだ。後々、血が欲しくなって敵に回られても困るし――」
 と、取り出したのは――"ブラッドジュース"、と彼女が呼ぶ代物。要は、輸血パックに入った血であった。
「――私のだからあまりあげたくないけど、仕方ないわね! はい、あげるわ!」
「……くれる、の?」
 ジャスミンはそれを見て、フィーナの顔を見て――そして、貰って良いと判断した瞬間、飛びつくようにそれを取り、そして飲み始めた。
「わ、わ、急にそんなに飲んで大丈夫なんですか……?」
「――うん、凄い飲みっぷりね、貴女」
「……けぷ、大丈夫……――満足、できた」
 一気に飲み干してしまったジャスミンは――先程とは比べものにならないスピードで、布の槍を繰り出して、迫ってきていた透明の獣を一掃してしまう。
「これで本調子。いける。ありがと」
「ふふん、もっと讃えていいのよ!」
 ジャスミンはとても清々しそうに、フィーナに笑顔を見せた。フィーナはそれに対し、誇らしげに無い胸を張ってみせる。
「それじゃ、引き続きお願い」
「わかったわ! いくわよ、レティ、ジャスミン!」
「はい、お姉さま!」
 姉妹と少女の三名は、獣たちに再び向かっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トラゴス・ファンレイン
あのジャスミン言う娘、やるやん!
猟兵かオブリビオンかは知らんけど、俺も負けてられんわ。

・行動
まずは敵さんの足止めから。
ユーベルコード『閃光弾』使って、目ェくらんどる間に近くに居る個体からガンガンぶん殴って撃破していけたらええな。【SPD】が厄介やから、頭部を重点的に狙っていく。
【POW】は「見切り」で回避、難しいならスクラップシールドでガード。
【WIZ】で透明になっとる敵さんは「聞き耳」と「野生の勘」で大まかな場所掴めたら、とにかく空振りでもええから突っ込んでいこ!




 猟兵と協力し、獣を次々に打ち倒していくジャスミン――。
「あのジャスミン言う娘、やるやん!」
 遠目にそれを見ていたトラゴスは、服のポケットから出した閃光弾-スタングレネード-を手に、感心する。
「猟兵かオブリビオンかは知らんけど、俺も負けてられんわ」
 彼はそれを徐ろに、獣の集団に向かって投げる――瞬間、眩い閃光。
 獣たちの鋭敏な目を直撃するそれは、彼らにとって致命的な効果をもたらした。
「――よし、目ェくらんどるな、ほないくで」
 近くに居る個体から順に、神速で踏み込んで迫るトラゴスの拳が、頭部へと叩き込まれていく。
 一撃一匹のペースで、まさしくガンガンぶん殴って撃破していくトラゴス。
 くらんだ目の中狙いも定めず振られる腕を躱しながら、彼は的確に殴り、また一匹、また一匹と地面に獣を沈めていく。
「場所、分かるっちゅうねん。野生の勘をなめんなや!」
 透明になっていた獣すら蹴り飛ばし、その蹴った感触で大体どこに頭があるかを察知し、そして殴るトラゴス。
 ――ほんの、僅かな間。彼が突撃した獣の群れは、その全てが、その間にノックアウトされていた。
「なんや、歯ごたえないやんけ。よぅそんなんで村襲おうっちゅう気になりよったな、この犬っころどもは……」
 呆れたようにトラゴスは言って、周囲の様子を確認する。
 ――獣たちは、そろそろ猟兵によって駆逐されようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赤月・碧
うむ…うむ?
なんか偉いことになっている気がする
真面目に考えても仕方ないね?
こうなったらピックアップトラックで直接獣を轢き殺しに行くぞ
なるべく後ろから不意をつくよう心がける
「ふっとべ青春!!!」
何。宇宙バイクベースなのでジャンプもできるので上から叩き潰しにいくぞ
速度×重量×位置エネルギーの力を受けるがいい!
大丈夫。仮にスカして事故っても戦場の亡霊がもう一度轢き殺しに行くのでな!
なお本当の姿を開放する。大した変化はない。意識にノイズが走って、少しばかり運が良くなる程度だ




 ――そして。獣の群れに突っ込む男が居た。
 碧であった。彼のピックアップトラックが跳躍し――獣たちの集団を、纏めて轢き飛ばしていった。
「うむ……うむ?」
 調べていたジャスミンという少女と共闘しているという事実に、理解が追いついていないような。表情をしていた。
 ――真面目に考えても仕方ないね? ――こうなったら、ピックアップトラックで直接獣を轢き殺しに行くぞ。
 どうしてそんな思考になったのかは分からない。分からないが、碧の操縦は、次々に獣たちを跳ね飛ばしていく。
「ふっとべ青春!!!」
 尚、彼は今真の姿を開放しているが、外見に大した変化はなかった。
 しかし精神面では、彼の意識にノイズが走っており、更には少しばかり運が良くなっていた。
 ――それが顕著に見えるのは、ここまで危険なことをやっておいて衝突事故が起きていないことだろうか。(※オブリビオンを除く)
「何か絶好調だな! ――あ」
 勢い良く車体ごと跳んだ碧。それは少し車体を傾けながら獣に向かっていき――。
「のわーっ!?!」
 ――うん、この角度はマズかった。碧の車は獣にぶち刺さった後、弾かれるように横回転していった。
 当然、シェイクされる碧の身体。ピックアップトラックの車体は無事だが、彼の方は無事では済まない。
「――ふ、ふふ……瀕死になってこそ発動するユーベルコードもあってな……!」
 だが、彼はめげなかった。運転席に召喚されるのは、戦場の亡霊――彼は、助手席に逃げた碧の代わりにハンドルを握ると、再び獣に向かって特攻をかますのであった。
 ――獣の駆逐は、もうすぐだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

藤塚・枢
情報から仮説を立てると…つまり、だ
恐らく黒い布の所有者?使用者?を、吸血鬼に置換させるのではないだろうか
ヒーローマスクの亜種のようなものかな

まず肉体や能力を吸血鬼化させる
この段階では意識は人なのだから、人の敵を撃退するのは当然だね
でも意識も少しずつ、布の持つ吸血鬼の意識に置換されていく
最終的に身も心も布に潜む吸血鬼のものになる
そして吸血鬼と愉快な仲間たちが、オールナイトでパーティを開催
めでたくブラッドバスのできあがり、と
仮説は追々確認するとして、今は目の前のを始末しないとね

人形やナイフ投擲、鋼糸の罠でサポート
鏖の猟場で纏めて罠かけられると楽だけれどね
手榴弾を使う時は味方に声をかけるようにする




 ――やがて、最後の獣は罠にかかり、爆殺された。
「……ふむ、意外とあっけなかったね」
 戦闘中、村人の避難誘導や、他の猟兵を人形やナイフ投擲、鋼糸の罠でサポートしていた枢がトドメの主であった。
 鏖の猟場――鋼糸で纏めて罠かけられた最後の一団は、手榴弾の爆発で散滅した。
(――しかし、少女ジャスミンか)
 戦闘中も思考していた彼女。得られた情報から、このような仮説を立てていた。
 ――少女ジャスミンの現状は、あの黒い布が原因で、その所有者を吸血鬼に置換させているのではないか――?
(まず肉体や能力を吸血鬼化させる。この段階では意識は人なのだから、人の敵を撃退するのは当然だね)
 事実、この戦闘でのジャスミンの身体能力、並びに吸血願望は、吸血鬼そのものと言えた。
 この時点で、恐らく少女ジャスミンの肉体は完全に吸血鬼化されているだろう。
 先の輸血パックからの吸血を目の当たりにしている。ほぼ、間違いがないだろう。
(でも意識も少しずつ、布の持つ吸血鬼の意識に置換されていく。最終的に身も心も布に潜む吸血鬼のものになる……)
 ――そして吸血鬼と愉快な仲間たちが、オールナイトでパーティを開催。めでたくブラッドバスのできあがり、と――。
 以上が、彼女が立てた仮説であった。彼女の目線は、ジャスミンに向けられていた。
 ――その黒い布が、吹きすさぶ風ではためいていた。
「――……まさか」
 その仮説と、黒い布――枢の脳裏に、以前戦ったことのある"黒衣に意志を宿す吸血鬼"に思い至る。
 ただの布だと思っていた。しかし、万が一"あれが真の姿ではない"としたら……――!!


 ――そう、枢が気づいたときには、遅かった。
「――……えっ?」
 黒い布が、その体積を広げ――大きく広がるのだった。
 それに気づいた猟兵は一部。予測できて観察していた枢ですら、間に合わなかったのだ。
 ――何をするにも、遅かった。布は、ジャスミンを"飲み込んだ"。
「い、や……!! ――何、これ……――!! あたま、に――!!」
 ――正体を現した、黒い布に潜む――女吸血鬼の、意志。
 その名前を知っている枢が、その名を呼んだ。
「ゼラ――!!」
「――――」
 ――……空中に浮かび、冷たい目をした銀髪の少女が、フード付きの黒衣を身に纏っていた。
 その手が掲げられると――大鎌が召喚され、その手に納まった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「――――」
 猟兵達を、冷たい視線で見つめる――ジャスミン。
 しかし、その動きにはもう、先程の彼女らしい素振りは見えなかった。
 大鎌を持った彼女。既に、彼女はオブリビオンとなってしまった――猟兵たちの心に、絶望という感情が覆う。
 ――いや。
 ――――それにしてはおかしい部分が、あった。
「――あ……なに、これ」
 ――彼女の声。流される涙。
 猟兵たちはそれを聞く。その言葉を、その魂の――悲鳴を。
「――恨みたくない……戦いたくない……なのに、心が、心が、どんどん……――!」
 まさか――まさか。猟兵たちの中に、ある思考が浮かぶ。
 ――彼女の意識は、まだ死んでは居ない――!!
 その特徴を知る、ある猟兵が――進み出て言った。
「――黒衣だ、黒衣がオブリビオンの本体なんだ!」
「――――たす、けて……――!!」
 涙を流しながら、少女は大鎌を構えた。
 ――ゼラの死髪黒衣。それに飲まれた少女ジャスミンの、猟兵たちへ向けられる涙。
 幸いか――獣は全て駆逐した。既に、予知は一部防いでいる。
 ――彼女を、今なら救うことが出来る。その事実が、猟兵達の心に闘志となって燃え上がった。
雛菊・璃奈
「助けるよ…村を守ろうと戦った貴女を…私は絶対に…!」

【呪詛】を込めた【狐九屠雛】展開…。
慟哭の範囲外ギリギリくらいから遠距離戦…。

【狐九屠雛】を五発(以下①~⑤)程に分けて圧縮して敵を連続攻撃…。
①と②を敵がギリギリ回避できるくらいのタイミングで仕掛けてわざと回避させ続けて余裕を無くし、③を回避先へ回り込ませて確実に敵の鎌と黒衣に直撃させて凍らせる事で武器と動きを封じる。
追い込みに使ってた①、②は分裂させ、黒衣のみを凍らせる様に敵周囲に展開して追撃…。④、⑤は途中で眷族呼ばれた際の排除と、万一回避された時の伏兵弾…。

「その子は返して貰うよ、吸血鬼…わたしはまだ、その子に名前を教えてない…!」


藤塚・枢
色々手遅れだったらしい
ジャスミンさんが黒衣を手放す訳はないし、情報を整理してから強奪する時間もなかった

元の形が違う上に大量生産されているとは予想外だったよ
髪の長さでワールドレコードでも狙っていたのかい、少女趣味の変態オバサンは
前のと記憶共有とかしているのかな
していないような印象はあるけれどね

ゼラの戦術や情報を知る限り味方に伝えて連携を図る
ゼラの支配下に置かれて間もない今ならいける
これが身勝手な代償行為だって分っている
礼も報酬もいらないから、この醜い自己満足を満たさせてくれ

地形の利用をして遠距離からのだまし討ち、援護、罠設置に尽力
攻撃は全て黒衣へ行う
ジャスミンさんへの呼びかけも可能な限り続けるよ


平賀・美汐
悪いのは黒衣ってワケ?
ジャスミンちゃん、頑張りなさい! 私たちが何とか助けてあげるから! 私はハッピーエンドしか許さないんだからね!
ユーベルコード『コード・レプリカ』で【もう一人の私】を呼び出して、ジャスミンちゃんの左右に展開して動き回って隙を作るわ。隙ができたら【もう一人の私】と左右からダガーで黒衣を攻めるわ。狙い目は黒衣がジャスミンちゃんと接触してたり、掴んだりしている部分。幸いダガーはリーチが短くて小回りが利くから、細かく黒衣を攻めて衣装をひっぺがしやすくするわ。
引っぺがしやすくなったら【もう一人の私】と一緒にせーのでジャスミンちゃんから黒衣を引っぺがしてやる。
できれば皆も手伝って。


フィーナ・ステラガーデン
引き続きレティと行動するわ!
(ギリッと怒りに任せて歯をかみ締めつつ)
「ぼろ布風情がふざけたことしてんじゃないわよ!」
UC「死者ノ懇願」を使用するわ!死者達の手で黒衣を掴み
拘束、出来ることなら引き千切ろうと試みるわね!
「全力魔法」「高速詠唱」の技能も使っていくわ!

戦いの最中も出来るかぎりジャスミンに呼びかけてみるわ!
「ジャスミン!あんたがそのまま飲まれると村の人達まで犠牲になるわよ!」
ほっといて一緒に倒すとかはありえないわね!
なんとかして救い出すわよ!


レティシア・ステラガーデン
引き続き、姉のフィーナと共に行動する。
「ジャスミンさんっ!自分をしっかり保って!」
今ここで自分が声を上げなければ、ずっとお姉さまに頼りきりの弱い自分のままだ。
ほんの一言二言だったとしても。交流がもてたという事実は、人見知りのレティシアにとって大きな出来事。だから彼女を助けたい。
UC『生まれながらの光』使用。
「回復は、わ、私に、任せてください!」
姉のフィーナや猟兵たちが受けた傷の回復に専念する。お姉さまなら…そして、ここに集う猟兵達ならきっとジャスミンを救う事が出来ると信じ、祈りを込める
「戦闘で傷ついたジャスミンさんは、後で私が必ず回復させます…!だから…ジャスミンさんを助けて…!」


トラゴス・ファンレイン
よし、あの娘はまだ無事なんやな?
そのまま気ィしっかり持っててくれや、意識まで食われたらあかんで!

・行動
俺の戦闘スタイルやと、あの娘ごとぶっ飛ばしかねんからなあ。
今回は【WIZ】で召喚された眷属の始末と、ジャスミンの拘束に集中や。
眷属の方は大連珠を使いながら拳で応戦、俺への攻撃は「見切り」とシールドを使ったガードを状況に応じて使い分けて対処。
ジャスミンの方は機会伺って、ユーベルコード『絡目手』で拘束。
黒衣だけ引きはがす、とか出来ればええけど。

※アドリブ・連携等すべて歓迎


イデアール・モラクス
アッハッハ!成る程、これは驚いた…そうか、そういう手合いか!
なら私に任せて貰おうか…なに、美少女を裸に剥くのは大得意で大好きだからなぁ!

・戦法
確実に少女を救う為、今回は同じ事を狙う猟兵と協力。
「要は黒衣を脱がしてしまえば良いだけさ、滾るだろ?」
まずは高速詠唱、全力魔法で色欲の触手を無数に召喚、属性攻撃で威力を増した火球で牽制し気を逸らした隙に触手を絡ませて少女と鎌と黒衣を拘束。
「今だ!変態オブリビオンを引き剥がせ!」
巻きつきと少女への快楽責めで動きを止めたら仲間に合図、私も煉獄の大鎌で黒衣だけを串刺しにしたら少女から引き剥がし、炎で焼き尽くす。
「少女の柔肌は愉しかったかぁ?アーハッハッハ!」


弥久・銀花
宜しい、では皆で寄って集って黒衣を追いはぎしましょう。
恨むのならば黒衣がオブリビオンの本体と看破した人を恨んで下さいね。

責任をとある猟兵に押し付けつつ、しかし男性に裸にされると言う結末を回避する為にジャスミンに刀で斬り掛かります。

先ずは狙いやすいお腹の部分の黒衣を、脇腹を刃が撫でる様に突き刺し、斜め下へと斬り裂いて、大きく足を出せる様にします。

あの黒衣は単純な構造の様ですから、フードか袖と足を掴んで引っ張れば簡単に脱がせられそうです。



「皆さん、掴んでひん剥いてしまって下さい」


アンナ・フランツウェイ
黒衣さえなんとかすれば彼女は助けられる。なら彼女にダメージを与えず、黒衣だけを切り裂く。

ジャスミンの背後を取り、背後を取れたら咎力封じを使用して拘束を狙う。見切りを使い、 他の2つは外しても拘束ロープだけは外さない様にしたい。

拘束出来たら、断罪剣・ラストブラッドで黒衣を切り裂く。切り裂く時は鋸の刃の方で確実に切り裂けるようにしたい。あと刃がジャスミンの体を傷つけないよう気を付ける。

囚われの慟哭が来たら武器受けを使いガード。気合いも使ってでもジャスミンへ近づく。

短い交流ではあったけど、内心嬉しかった。だから処刑人である事関係無く、私は彼女の事を助けたい。待ってて、必ず助けるから!


赤月・碧
「(成仏中)」
戦場の亡霊(夢の中の自分が出てくるという真の姿の演出)は本体をピックアップトラック後ろの座席に寝かせたあと、車で適正距離に移動し
アサルトウェポンで荷台から眷属を狙撃して援護に務めるぞ
可能ならば、鎌を撃ってSPD攻撃を留めたいが、まあ無理はしない
あんまり操られているという状況を理解できてないだろうから、敵本体であるジャスミンは猟兵の命に別状がない限り狙わず遅延に専念する
うまく行ったのなら、きっと目を覚まして何も言わずその場を離れるだろう
なにせ恥ずかしいからな




 ――猟兵と、黒衣に支配されたジャスミンは、対峙する。
 その様をやや後方から見て、歯噛みするのは枢であった。
「元の形が違う上に、大量生産されているとは……予想外だったよ」
 頭を振って、まるで今までの自分の行動を後悔するかのように、静かに慟哭するように、枢は言う。
 ――色々手遅れだったらしい。ジャスミンさんが黒衣を手放す訳はないし、情報を整理してから強奪する時間もなかった。
 そう、後悔。後悔が募る。なぜ、自分は気づけなかったのか。
 だが――前とは違う状況故に、ゼラの支配下に置かれて間もない今という状況を見て、枢は確信していた。
「悪いのは黒衣ってワケ?」
 その側に居た美汐に問われて、枢は頷いてみせる。
「今ならいける……彼女から黒衣を引き剥がせば、彼女をゼラの支配から解放できるはずだ」
「ふぅん……そっか……――ぼろ布風情がふざけたことしてんじゃないわよ!」
「ジャスミンさんっ! 自分をしっかり保って!」
 ギリッと怒りに任せて歯をかみ締めつつ、叫ぶフィーナ。ジャスミンを気遣い、彼女に語りかけようとするレティシア。
 ステラガーデン姉妹の二人とは、一言二言の交流ではあったが――彼女を助けたい気持ちに、それを支配し我が物としようとするゼラという黒衣の吸血鬼への怒りに、変わりはなかった。
「あの娘はまだ無事なんやな? そのまま気ィしっかり持っててくれや、意識まで食われたらあかんで!」
 彼女たちとの交流も見ていたトラゴスもまた、ジャスミンへと声をかける。
「アッハッハ! 成る程、これは驚いた……そうか、そういう手合いか!」
 合点がいった、とばかりに呵々大笑するのはイデアールであった。
 散々疑問に思い、推し量っていたのである。今は答えが出て、やるべきことも決まっている。
 何より、吸血鬼の黒衣風情があの可憐な少女を好きにするのを見過ごすというのは、イデアールの矜持として絶対にありえなかった。
「なら私に任せて貰おうか……なに、美少女を裸に剥くのは大得意で、大好きだからなぁ!」
「宜しい、では皆で寄って集って黒衣を追いはぎしましょう」
「黒衣さえなんとかすれば彼女は助けられる……なら、黒衣だけを切り裂く」
 銀花が――アンナが――その言葉に同意する。
 そうだ。あの黒衣さえどうにかすればよいのだ――彼女は、それで帰ってくる。
 枢の目頭が、熱くなる。ただ一人、この中でゼラと戦った経験のある彼女。
 ――あまりに時間が経ちすぎ、救えなかった少女を思い出す。
 既に仕方のないことだったとは言え、ゼラの犠牲になり、救えなかった多くの少女たちのことが頭に過ぎる。
「――これが身勝手な代償行為だって分っている。礼も報酬もいらないから、この――」
 ――醜い自己満足を満たさせてくれ。そこまでの言葉は紡げなかった。
 何故なら、それを制したからである――璃奈が。
「あなたの気持ちはよくわかったけど、自分を責めないで……」
「キミは……」
 枢の目が見開かれる。璃奈は一度首肯してから、枢から目線を外す。そして、ジャスミンの方を見つめて、誓う。
「助けるよ……村を守ろうと戦った貴女を……私は絶対に……――!」
「――……うん、助け、て……!!」
 ――支配されているジャスミンの顔にも、覚悟の炎が灯る――。
 猟兵たちは各々の思いを胸に、その悲しき有様の少女と対峙した。


 ――激戦は、始まった。
「ジャスミン! あんたがそのまま飲まれると村の人達まで犠牲になるわよ!」
「――分かった、頑張る……! でも、だめ……それじゃ、捕まらない――!」
 フィーナは呼びかけながら、召喚した死者の腕でジャスミンを宙から引きずり下ろして、黒衣を奪おうとするが、それがなかなかうまくいかない。
 原因は、黒衣の召喚した、蝙蝠型の眷属であった。それをわざと掴ませることで、拘束から逃れていたのだ。
 ――だが、そこに救世主が、現れる。
「俺の戦闘スタイルやと、あの娘ごとぶっ飛ばしかねんからなあ」
 トラゴスであった。彼は跳ぶと、的確に眷属を殴り、撃ち落してその数を減らしていく。
 しかし、眷属の数は凄まじく多い。そんな無茶をやれば流石に見切っていたとしても、傷を負う。
「回復は、わ、私に、任せてください!」
「えらい助かるで、ホンマな」
 だが、すかさずその傷をレティシアが生まれながらの光で癒やしていく。
 故にトラゴスも、多少の傷を気にすることなく突撃が出来た。一応シールドなどで致命傷は避けるようにしていたが。
 ――他の猟兵も銃器や魔法などの遠距離攻撃で、眷属を落としていく。
「戦闘で傷ついたジャスミンさんは、後で私が必ず回復させます……! だから……ジャスミンさんを助けて……!」
「――大丈夫、だよ、レティシア……私、耐えてみせる……――!!」
(慟哭による遠距離範囲攻撃は、皆がジャスミンを応援し、彼女が気丈に振る舞っている限り――発動しない)
 レティシアとジャスミンとの会話を聞いて、枢は自らが教えたゼラへの対処法が有効に働いていることを知る。
(――あの戦いで得たことは、無駄じゃなかった。それが、一番の救い――)
 地獄を見てきた少女は、感慨深く心の中で想う――そして、だからこそ機は逃さない。
「ジャスミンさん、痛かったらごめんね!」
「――! だい、じょぶ……――!!」
 鋼糸が、ジャスミンの身体を捉えた。彼女の身体がようやく、固定される。
 そこへ、死者の腕が、蛸の脚が、触手が、拘束具が殺到し、彼女を地面まで引きずり下ろす。
「今だ!変態オブリビオンを引き剥がせ!」
「――ぁ、っ……! うん、お願い、っ……――ー!!」
 快楽の触手を巻き付けたイデアールの号令。そして、悩ましい声をあげるジャスミンの嘆願。
 ――それを見て動いたのは二人――否、三人であった。
「恨むのならば、黒衣がオブリビオンの本体と看破した人を恨んで下さいね」
「ジャスミンちゃん、頑張りなさい! 私たちが何とか助けてあげるから! 私はハッピーエンドしか許さないんだからね!」
「短い交流ではあったけど、内心嬉しかった。だから処刑人である事関係無く、私は彼女の事を助けたい。待ってて、必ず助けるから!」
 銀花と――二人に増えた美汐、であった。
 二人の美汐はそれぞれダガーを手にすばしっこく動き、黒衣を細かく、ズタズタに引き裂いていく。
 そして、その二人へと意識が集中した瞬間に、銀花は愛刀を振るう。その脇腹の布を突き刺し、大きく脚が露出するように切り捌いた。
 更に、アンナが断罪剣を反対側で振るう。それはジャスミンの身体を傷つけることなく、黒衣だけを鋸状の刃に引っ掛け、そのまま引き裂く。
「――猟兵風情が、図に乗るなァ――!!」
「「「――!」」」
 声が、二重になったような叫び声――それは唐突に、ジャスミンの口から放たれた。
 中空から、いつの間にか大鎌が現れ、至近距離に居る美汐と銀花、アンナを襲ったのである――。
 ――だが、その瞬間に重い発砲音。
「………………」
 ピックアップトラックの荷台に乗る、碧――否、碧の夢の中の自分――は。無言でその鎌を撃ち、穿ち、弾き飛ばしていた。
 手には煙を放つライフル仕様のアサルトウェポン。彼は的確に、正確に、静かに、仕事をこなしてみせた。
「美汐さん、掴んでひん剥いてしまって下さい!」
「せーの!!」
 銀花の声を受けて、二人となった美汐が、それぞれ反対方向に黒衣を引っ張った。
 頑丈なはずのオブリビオンの本体たる黒衣は度重なるダメージを受けて、真っ二つに引きちぎれた――!
 ――それはつまり、ジャスミンの解放を意味していた。
「少女の柔肌は愉しかったかぁ? アーハッハッハ!」
「ギ、ギギギァアアア――!?!」
 すかさずその黒衣を、イデアールの大鎌が襲った。鎌の先端で串刺しにされた黒衣は、そのまま煉獄の炎で焼かれていく。
 先程ジャスミンの声に重なっていた声が、悲鳴を上げた――ゼラの、悲鳴だろう。
「それ、トドメは譲ってやろうではないか。妖狐の少女、全力でかかれ!」
 イデアールは高く、大鎌を振り上げ、その猟兵に語りかけた。
 その猟兵は、そのお膳立てに感謝しながら、前に進み出た――冷たき炎の、狐火を従えて。
「その子は返して貰うよ、吸血鬼……わたしはまだ、その子に名前を教えてない……!」
「イ、ギ、ゥアア……ヤメ、ロォ……――!?!」
 それはまさしく、璃奈であった。彼女は未だ煉獄の炎で焼かれ続ける黒衣に向けて、冷たい視線で狐火を差し向ける。
 ――5方向から殺到した極寒の狐火は、黒衣に集まって集約――絶対零度と化し、黒衣を氷結させ――これを、粉砕した。


 村人達の、大歓声があがる――終わったのだ。
 黒衣の吸血鬼は跡形もなく消滅し、ジャスミンもまた無事に救出することができた。
「みんな――ありがとう」
 その御礼の言葉を、猟兵たちはそれぞれの胸中で、感慨深く受け取った。
 そして、彼女は笑顔でその一人ひとりに近づいていくのだった。
 ――まず最初に手を取ったのは、枢。
「貴女がいなかったら、私はあの黒衣ごと消されてたかも……ホント、ありがとう」
「キミが無事で良かった。そして、私の経験が役に立ってよかったと、思ってる」
 少しはにかみながら、枢はジャスミンと会話を交わす。どこかその表情は、誇らしげにも見えた。
 ――次に手を取ったのは、レティシアとフィーナのステラガーデン姉妹であった。
「ありがと。フィーナに、レティシア。あなた達と出会えて、本当に良かった」
「ジャスミンさんが無事で、ほ、本当に良かったです……!」
「もう、レティったら。涙もろいわねー……ま、私もだけど?」
 姉妹はジャスミンの無事な様子にほろりと涙を流し――そして、それに釣られて、ジャスミンも涙を流していた。嬉し涙を。
「吸血衝動は、もう大丈夫なわけ?」
「うん、綺麗さっぱり――とは、いかなかったけど。たまに、くらいに収まった」
「そ、そうなのですか! なら、一先ず良かったですね……」
 心配は杞憂だったかと笑うフィーナに、まだぽろぽろと笑顔で泣くレティシア。それに、ふっと微笑みを浮かべるジャスミン。
「レティシア、泣きすぎ。もう、次の人に声かけるからね?」
 ジャスミンはそう言って、次の猟兵の元へと。
 ――トラゴスであった。彼は少し面食らった顔をしていた。
「な、なんや。俺にもあるんか?」
「うん、でも伝言預かってるもの」
 ――伝言? トラゴスの疑問に、ジャスミンは頷く。
「"私はとんでもない過ちを犯しました、貴方もまさか神の御使いだったとは。
 見た目が悪魔っぽいからと、悪と決めつけてかかったこと、申し訳ありませんでした。
 今はただただ自分を恥じ入り、伝言を託す私をお許し下さい"――だって」
「――あー、あの神父か」
 自分が締め上げて情報を吐かせた神父のことを思い返し、トラゴスは合点がいったという呆れ顔になった。
「……頭固いけど、根は悪い人じゃない。許して、あげて?」
「ん、まああんたにそう言われたらな。ええで」
 苦笑しながら答えるトラゴスに、ジャスミンはにっこりと微笑んだ。
 ――そして、次の猟兵の元へ。今度は、美汐だった。
 美汐には顔を向けた途端、ほっぺたを挟まれて、彼女は目を白黒とさせた。
「ジャスミンちゃんよね? ちゃんと、ジャスミンちゃんよね?!」
「う、うん。ジャスミンだよ? それ以外の何物でもない、よ?」
「そ、そっか――良かった、大丈夫みたいね。最後、なんか凄い怖い声だったから……」
 あー、とばかりにジャスミンは納得がいった表情をする。美汐はほっと、胸を撫で下ろしていた。
「……美汐は、実はとっても優しい。それでもって、とても天真爛漫。悪く言えば、子供っぽい」
「なっ!? だ、誰がよ! 失礼ね!」
 怒り出す美汐に、ジャスミンはにこ、と笑ってみせる。
「冗談冗談。でも、美汐は魅力的だよ」
「……な、何なのよさっきから!」
 ――ふん、助けるんじゃなかったかしら!――と冗談で美汐は言って、そっぽを向く。それに微笑むジャスミン。
 とりあえずそうなった美汐は置いておいて、ジャスミンは次の猟兵の元へ。
「アッハッハ! 私にも何かあるのか、ジャスミン!」
 それは、イデアールであった。ジャスミンは――距離を少し置いて――語る。
「正直、貴女は近寄りがたい……けど、お礼は言わないと礼儀に劣る――ありがと」
「そうか、アッハッハッハ!! 律儀なことだな!!」
 短く、ただそれだけ。警戒されてしまったようだったが、イデアールはそれすらも大笑してみせた。
「フフ、いいな……凄く、いい」
「――! ――……」
 その言葉に去り際のジャスミンがびくと肩を震わせ、凄い微妙な表情で見つめてきたのだが、イデアールは気づいたのかどうなのか。
 ――ともあれ、次の猟兵のところへ……今度は、銀花であった。
 銀花は寄ってくるジャスミンに気づき
「まずは、あなたが助かって良かったです」
 銀花はそう言って、ジャスミンに握手を求めた。ジャスミンも、それに応じて握手する。
「……貴女には、村人から贈り物がある」
「贈り物?」
「これさ! たーんと食べなよ!!」
 と、村人らしきおばさんが持ってきたのは――籠いっぱいに収まった、村の野菜であった。
 銀花の目が輝く。ジャスミンはその光景を見て、にっこりと笑った。
「足りる? 足りなければ、また取りに来てもいいってさ」
「本当ですか! それじゃ、またごちそうになります」
 野菜の詰まったかごを受け取りほくほく顔の銀花。その顔を見て、ジャスミンも笑顔になるのだった。
 そして、更に次の猟兵――アンナであった。
「…………」
「…………」
 アンナとジャスミンは、互いに見つめ合って、しかし黙ってしまう。
 戦闘中は助けようと必死だったアンナ。だが、ジャスミンの様子を見て、少し想うところがあるようだった。
「助かって、良かった」
 でも、アンナはそれだけは言った。ジャスミンは、にこっと笑う。
「えへへ、アンナのお陰。でもアンナ、少し辛そう」
「……そうでもないよ」
 アンナがそう言うと、ジャスミンは彼女の手を取った。
「次は、私が助ける番だと思う。何でも、言って? 力になる! 私とアンナは、友達だから。そうするから!」
「……ありがと。でも、無理はしないで」
 ジャスミンの必死な様子に、アンナは少しだけ、口元に笑みを浮かべて、言う。
「じゃ、行くね? ごめん、他の人にもお礼言わなきゃ」
「うん」
 アンナは、ジャスミンを見送る。見送って、握られた手を見つめた。
「……友達……か」
 言い表しきれない感情が、彼女の中を渦巻いているようだった。
 ――一方のアンナ。きょろきょろとして、やがて目的の猟兵を見つけた。
「――居た!」
「!」
 何も言わずにその場から離れようとしていた、碧であった。傷は既に完治している。
 恥ずかしいのであまり話はしたくないのである。碧は歩みを止めない。だが、ジャスミンは叫んだ。
「もう行くの? じゃあ、これだけは言わせて――! 最後の射撃、カッコよかった! また、あの乗り物にも乗せてね!」
 その言葉は、碧に響いていただろうか。
 ――ジャスミンは叫び終えると、最後に――本当は一番気になっていた猟兵を、探して、それを見つけて、駆ける。
 そう、璃奈であった。先程、簡単な治療を済ませたところであった。彼女もまた、ジャスミンの元へ駆けてきていた。
 二人はそのまま、ぎゅっと抱きしめ合う。
「ありがとう、ありがとう……!」
「ううん、無事でよかった……!」
 ジャスミンと璃奈は抱きしめて、言い合う。そして離れ――改まって、璃奈が咳払いする。
「私の名前は、雛菊・璃奈」
「私はジャスミン……だよ」
 ああ、やっと名前を交わしあえた。二人は安堵の表情を見せた。
「璃奈、聞いて。私、決心したことがあるの」
 ――? 璃奈が首を傾げて、ジャスミンはにっこりを笑顔を見せた。
 ジャスミンは、とてもいい笑顔で、こう告げたのだった。

 ――私、猟兵になるため、頑張る!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月12日


挿絵イラスト