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エンパイアウォー③~信州上田城合戦~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「戦争だよ」
 グリモアベースの片隅に、少女はいた。
 いつもの場所、背もたれの無い椅子に腰掛け、猟兵達を見つめる肆陸・ミサキ(狩られるモノ・f00415)だ。
 ふと、これもいつものように集まってきた彼らにミサキは笑いかけ、そして言う。
「戦争だ」
 と。
「織田信長が率いるオブリビオンの軍勢、第六天魔軍将達が、サムライエンパイアを征服するためについに動き出したんだ──って、もう家光公から聞いてるよね」
 あらすじの共有を得た所で、説明を始める。
 いいかい?
 と、意識を切り替える一言を入れる。
「徳川が見据えた決戦は関ヶ原。だけどそこへ到達するために、中山道を通る必要がある。でも、その要衝、信州上田城を魔軍将の一人、上杉謙信の軍勢が押さえてる」
 このままでは、中山道へ近づく徳川軍は崩壊し、決戦での戦いは苦戦するのは必至だ。
「だから、君たちの力が必要なんだ。信州上田城に集まったオブリビオンの戦力を削いで、撤退に追い込むのが当面の目的だね。
 ……いいかい、皆。上田城は小さな山城だ。集まった軍に対して、その敷地は余りに小さい。それがどういうことか、わかる?」
 つまり、溢れ出た軍勢の、小分けされたグループが、山岳地帯に並んでいる状況だ。
「敵の数は多分、多くても20数体といったところか。僕が送れるのは、その敵に気付かれないギリギリの位置だよ。そこからどうするかは、君達の手腕に託す」
 言い終わって、グリモアを使って世界を繋いだミサキは改めて笑い、
「じゃ、みんな、いってらっしゃい」
 送り出した。


ぴょんぴょん跳び鯉丸
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 戦争ひゃっほぅやったぜこれ戦国むそ──ぁあんだ!!!!!

 じゃあ、よろしくおねがいします。
101




第1章 集団戦 『浪人』

POW   :    侍の意地
【攻撃をわざと受け、返り血と共に反撃の一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    怨念の返り血
【自身の返り血や血飛沫また意図的に放った血】が命中した対象を燃やす。放たれた【返り血や血飛沫、燃える血による】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    斬られ慣れ
対象のユーベルコードに対し【被弾したら回転し仰け反り倒れるアクション】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:箱ノ山かすむ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵は、サムライエンパイアの地に降り立った。
 そこは、信州上田城へ続く道の始まり。
 オブリビオンの気配ひしめくその道の先、猟兵達の動きは──。
白澪・彩葉
上田城、別の世界では真田がこもり秀忠の数万を抑え込んだのでした……よね?(うろ覚え
今回そこに巣食うのは軍神と名高い上杉謙信、これは激戦の予感がします。
でもその前に、後顧の憂いを絶つためにも溢れでた雑兵を蹴散らすとしましょうか。

【WIZ】
敵は20数体のグループでしたね。
それらしき一団を見つけ次第、すぐに接近しましょう。
相手もこちらを見つければ斬りかかってくるはず、射程圏内に全てのオブリビオンが入ったらユーベルコードでまとめて迎撃します。

この不可視の刃、それにタイミングを合わせて倒れることができますか?




 彩葉は、鋪装されない道を歩いていた。
「上田城……」
 登る道の先、別の世界での上田城は、既に過去を記すモノになっていて、
「真田が籠り、攻め入った秀忠の軍を退けた地……でしたか」
 うろ覚えだが、上田城での戦いは二度起きている。そして、徳川は二度ともそれに関与していて、二度とも撤退というべき結果になっていた。
 類似した別世界であり、ここで気にするべきではない。が、
「今回そこに巣食うのは、軍神と呼び称される上杉謙信。激戦の予感がしますね」
 油断は出来ない。
 後に控える魔軍将との激突は必ずある。これは、その前哨戦なのだ。
「後顧の憂いを断つためにも、溢れた雑兵を蹴散らすとしましょう」
 だから、他の猟兵の気配は感じつつも、先んじて彩葉は行った。
 歩幅を狭めつつも速度を上げて、早足から疾走へ、体を前倒しにして、無手にて見えだした敵陣に突っ込んだ。
 ……侍、ですか。
 刀を腰に下げた敵の姿は、この世界ではよく見る侍の出で立ちだ。オブリビオン化してしまった、かつて合戦にて散った者達と言うところだろう。
「止まれぇい!」
 武器を抜き、構えるそこへ、彩葉は一歩を跳ねて片足で着地。大きく曲げたその足を起点に、敵軍の真上へ飛んだ。
「舞い散るは夢の華──」
 泳ぐ様に宙へ浮いた彩葉から、桜の花びらが降り落ちる。
「なん」
 なんだ、と、そう見る最中に、すでにそれは起きていた。
「見惚れている間に、瞬間を見逃しましたね」
 ふわりと敵陣のど真ん中、着流しの裾が地面に擦れない様に払いながら、彩葉はそこに立ち、不可視の斬撃にて浪人を斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

依神・零奈
……この合戦の雰囲気、なんだか懐かしいね
ま、いいや……私の役目は現世に仇名す敵を討つ、それだけ

それにしても上田城ね、真田が守護した城へ挑むのも一興だったけど
今回は山中での戦い、敵が木々で自然の分断されてるのは
好都合だね、木々に身を隠しつつ敵に一気に接近して
一人一人討ち倒していこうかな
相手がこっちの技を見切ろうとするなら向こうから
仕掛けてくるのを待とう、乱戦状態なら相手も
そう長くは様子見できない筈だからね
仕掛けてきたら刀で攻撃を防ぎ【カウンター】で切り払いUCを発動
刀も悪くないけど私の本分はこっちだからね
禍言による【呪詛】で周囲の敵の動きを鈍らせてそこから
刀の連撃の出番




 鬨の声が聞こえる。
 合戦の、武士達が上げる声だ。
「……懐かしいね」
 耳に慣れた騒音だ。
 かつて、遠い昔に聞いたな、と。零奈はそう思う。
「上田城……昔、真田の親子が守護していた城か。攻め込むのも一興かもしれないね」
 ふ、と息を深く吐いて、それから浅く吸い、
「ま……私の役目は現世に仇名す敵を討つ。それだけ」
 隠れる様にしていた木の影から静かに出た。
 彩葉の斬撃が浪人達の中心に巻き起こり、円の様にばらついた並びは、間合いから逃れるように今は散らばっていて。
「容易いね」
 山中にあってそれは、不意討ちでの仕留めが驚くほどスムーズに行えた。
 注目が先陣に向いたのも大きいだろうが、地の利点を活かしたのが何よりの成功点だ。
 無銘刀を抜き、背後から素早く近づいて、平にした刀身を中心へ突き刺した。
「……っと」
 そして即座に横へ振り抜き、返す動きで両断する。
「一つ……!」
 その凶刃に気付いた周りの浪人が、零奈へと近付いて行く。
 振り抜いた動きの彼女へ即座に肉薄して、上段からの一刀が放たれた。
 が、
「鈍いね」
 呪いだ。
 零奈の言葉に込められた、鈍さを起こす禍言が、浪人の動きを阻害した。
 数瞬、刹那より少し長い時間は、体勢を整えるのには十分だ。
「斬らせてもらう」
 向き合う様に一歩を回して下げ、同時に刀を振って敵の手先を切断する。
 それから、前にある足へ重心を移し、振り上げた無銘を思い切りに振り下ろして、
「一の太刀、殯の掃持ち」
 縦に両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マグダレナ・ドゥリング
※アドリブ歓迎

「城攻め、とはまた稀有な体験だ、楽しくなってきた。」
「しかし露払いとはいえ、この数では少々盛り上がりに欠ける。」
「折角だ、派手にいこう。」

【エレクトロレギオン】を最大展開。数で圧倒するよ。
操作に徹するために僕本人はあまり戦いたくないな、【存在感】を抑えよう。

【視力】を駆使して相手の動きをよく見て【情報収集】していこう、細かい動きの確認がしたい。
相手のユーベルコードで倒れたところに追撃して確実に数を減らしていく。
ここでの僕たちの仕事は相手の戦力を削ることだからね。

「君達の大義は知らないが……」
「この世界において、僕は侵略者だ。精々、頑張って守ることだね。」
「さあ、戦争を始めよう。」




 急に戦場と化した道中の上、浪人達は刀を手に奮戦していた。
 唐突であっただろうそれに動じる事無い即座の対応は、戦慣れという経験があるからだろう。
 だが、そんな彼らが、理解出来ない存在もある。
「──なんじゃあ、こいつらぁ……!」
 それは、戦時中にはお目にかかることの無い、小さな兵士の群れだ。
 それも、狭い幅員を埋める程の並びが、列を成している。そういう、特異な集団だ。
「レギオン達だよ」
 その操縦者であるマグダレナは、レギオンの後方、敵を見渡す視界を確保する位置に居た。
「普通じゃ体験出来ない、稀有な城攻め。楽しくなってきたはいいが……」
 ふぅむ。
 顎に手を当て、敵の姿を見る。
 ……露払いとは言え少なすぎないか……?
 少しだけ、イメージが違うと、そう思う。
 合戦は大軍と大軍のぶつかりあい、そういう場面を想像するものだろう、と。
「ただの絡繰じゃあ! 斬って進めよやぁ!」
 思う間に、浪人が動いた。
 脇に構えた状態でレギオンへ接近し、下段を払う動きで耐久性の無いそれらを破壊する。
「やれやれ血の気の多い」
 ……10体程、か。
 刀による一撃の威力は、一振りでレギオンを纏めて処理出来るようだ。
 マグダレナは確認して、そうして一息。
「それじゃあ、派手に始めようか」
 レギオンの持つ射撃装備を、浪人へと向けた。
「──!?」
 射撃する。
 総勢100を越える軍隊の、一個の存在に向けた総斉射だ。
 弾速は比較的遅めで、弾きの刃が宙に無数の軌跡を描いて防ぐが、しかし。
「ぬ、ぅ、おおお!」
 数に圧倒される。
「かつての時代、火縄銃の最小口径は確か、8mmだったかな。レギオンのは5.56mmと更に小さいが、しかし──効くだろう?」
 被弾し、回転しながら仰け反るポーズで倒れる浪人は、自分自身のユーベルコードの効力で弾撃を殺していく。
「この戦、君達の大義は知らないが」
 だがその体の上、レギオンは飛び乗る様に群がって、銃口を向ける。
「この世界において僕は侵略者。精々頑張って、それを守ってくれ」
「ひ、や、やめ」
 そして、連続した射撃音の後、レギオンは行進を再開した。
「さぁ、戦争を、始めようか……!」
 指揮を執るのは、赤い瞳の侵略者だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
戦争ということは何でもありじゃのー
その本質は、何でもありというのを元侍とやらに教えてやらねばのー

ユーベルコード「月夜に跳梁跋扈せし銀狼」の人狼部隊を呼び出しツーマンセルでトラップを設置させるために散開させる
その際に、【迷彩】で姿を隠して移動させるようにする
その対処方法は、斬られ慣れを発動させない為に人狼達の【罠使い】【地形の利用】【破壊工作】を活かしたトラップ群
山の通路に設置された電脳地雷、木々に巧妙に張り巡らせたワイヤートラップ、はじけ飛ぶ破壊片、熱反応で起爆する電脳爆弾などで、ゲリラ戦術など知らない侍達を翻弄する

卑怯?戦争は勝てば何でも許されるじゃけーのー

絡みアドリブOK


月宮・ユイ
アドリブ◎
*身に<呪詛>宿す

山城とはいえ溢れる程の兵数ですか
城を押さえるのは軍神と呼ばれる程の相手
どう使われるにせよ、削れるうちに削っておくべきですね

《機能強化》<第六感>含め知覚拡大、加え<視力強化の呪>施す
<情報収集・学習>開始<知識>蓄積利用
《捕食兵装》武装圧縮成形
杭:<早業>多数生成、<生命力吸収の呪>込めた誘導・呪殺弾

相手は侍、接近戦は避けましょう。
山岳地帯の地形利用し姿隠し、
<存在隠蔽の呪>施し目立たない様射撃・暗殺。
鉄砲と違い、発射音も無く連射も可能で敵への誘導性有り、
貴方達に対処しきれるかしら
卑怯……生憎と使えるならあらゆる手、使わせて貰います


地鉛・要
【アドリブ連携可】
城から溢れた敵の掃討・・・
奴らには悪いが此処で速やかに死んで言って貰おう

俺が使う虫は状況に合わせ変化する
「素早い行動と相手のUCに合わせた状況」で弾丸の様に飛び穿つカブト虫を200匹
「蟲の動きの撹乱の為の状況」に合わせて毒針を絶えず飛ばす蜂を100匹
「確実な暗殺に向いた状況」で透明な蟷螂を60匹
被弾したら回避?ああ、いいとも・・・一撃勝負ならいざ知らず、360匹の蟲の群れ相手に一回攻撃する度に仰け反るなんて格好の獲物だ

これはゲームじゃないんだ、攻撃が休まる無敵時間なんて有ると思うなよ?

淡々と処理させて貰うぞ
この後の大物と俺達の未来の為にな




 メイスン・ドットハックは唸っていた。
 彼女が立つ場所は、仲間の猟兵が暴れまわる爆心地から少し離れた所。
 戦闘地域を視界に納められるギリギリ内側の場所にいた。
「うーん」
 どうしようかと、そんな思考があるのは、前提としての動きが決まっているからだ。
 ……ゲリラ戦術じゃ。
 浪人にしても猟兵にしても、相対した敵と始まる戦闘行為とは違い、メイスンが行うのは定めない敵への攻撃だ。
 当然それは、多少所ではない特異なモノ。
 既に始まった戦闘のただ中に、どうするのかと言えば。
「よし、出といでー」
 まずは47体の人狼を呼び出すことから始まる。
 並びに合わせ、向かって左から、二体一組のチームを作り、余った一体を置いて散開の指示を出す。
「戦争というのは何でもアリってことを、元侍とやらに教えてやらねばのー」
 散る背中が、不可視化で風景に溶け込むのを見送って、メイスンは仕掛けの具合を観察する。
 まず見たのは、侍達の背後、城へ続く道だ。
 それはこちらの進行ルートではあるが、今は何より、侍達の撤退ルートである意味合いが強い。
 なので、そこには人狼達が電脳地雷を仕掛けていく。
「それからあとはー」
 次に見たのは、道の左右。拓かれていない木々の並びだ。
 その根本と根本に、ワイヤーを走らせる。
 簡単なトラップだが、注視するのは木々の間隔が離れすぎていない場所。
「ワイヤーの両端、結んだ木には、爆弾を仕掛けておくのがええじゃろーの」
 爆撃の範囲が最も強く表れる、そういう間合いがあるからだ。
 それから、戦場の地面にも、一つ細工を施して。
 そうして仕込みが終われば、それらが活躍するのはこれより後。
「戦争は勝てば許される。卑怯なんて概念は、戦場には存在しないもんじゃけーのー」



「あ、と……」
 足元に、ワイヤーが張られるのを、ユイは見た。
 踏み出しかけた足を戻して、起きた現象を、木の影に身を隠しながら考える。
 顔を覗かせる先に居る浪人達は、とてもそういう小細工をするタイプには見えない。
 だとすれば、考えられる可能性は限られてくる。
「上杉謙信の仕掛けか……猟兵の誰かが仕掛けたもの、かしら」
 前者と考えるなら、起動するには遅すぎる気がする。
 それに、仕掛けた以上はそれを活かそうとするものだろう。浪人はともかく、軍神とまで呼ばれる魔軍将なら間違いない。
「仲間の仕掛けと、そう思うものですね」
 だから、結論としてはそれだ。
 そして、使える手であるならば、活用しない選択肢は無い。
「このワイヤー……爆発物が付いている……トラップですか」
 立ち上がり、後ずさる様に数歩をその場から離れ、張られたワイヤーが真ん中に見える位置に落ち着く。
 それから、ふぅ、と一息。
「──起動」
 多重展開する照準を、視界にある侍へ向ける。
 ロックオンし、圧縮形成した呪殺の杭弾を、浮かばせる様に多数生み出していく。
「小さな城とはいえ、溢れる程の兵……それを束ねるは軍神とまで呼ばれる相手。……削れる内に削っておくのが最良でしょう──ねっ」
 放つ。
 音の発さない杭弾は直線的に飛んで、浪人の腹や肩へと突き刺さっていく。
「なにやつ……!」
「おっと、気付かれましたか」
 真っ直ぐな形状の飛来物。どこから飛んでくるのかは、刺さった本人からすれば一目瞭然だ。
 だからユイの存在は瞬く間に知られ、浪人は刀を振りかぶりながら肉薄をし。
「では、起動です」
 杭弾でワイヤーを切断する。
 そうして発動するトラップは、木々の合間に差し掛かった浪人を、纏めて爆撃で吹き飛ばした。



 要の目が死んでいた。
 何を考えているのか良く分からない顔で、道の真ん中を堂々と歩いての接近を行っていく。
「そういう感じか」
 納得の頷きを一つ入れ、歩を進める度にユーベルコードを発動させていく。
「そうだな、200、100、60……位か」
 バランスが大事だなと、要は思う。
「また変な輩が出たな……!」
 迎える浪人達は、構えを厳にして隙無く睨み付けてきている。
 ……さて、バランスだな。
 改めて思い、歩みを止めて、発動していたユーベルコードの操作を行う。
 それは、三種に分けた蟲の群れだ。
 状況に合わせて使い分ける、応用を利かせた運用こそが、自分の強みだと要は理解している。
 だから振り分けた200は、直接的な攻撃用のカブト。100に当てた蜂は撹乱に。60とした蟷螂は鋭い鎌での急所へと、一撃喰らわすという配分だ。
「じゃあ、まあ、速やかに死ね」
 縦に二段、横並び。
 翅を震わせたカブトムシが、弾丸の様に射出された。
「──見切った!」
 横への一列だ。
 迎撃をする浪人の刀は、その一文字をなぞる様に振り、返す刀で二段目を斬り開く。
「どうかな」
 その間に、上空へ飛翔していた蜂達は尾を浪人へ向けていて、
「毒の針は小さく、強力だ」
 放たれる。
「ならば、無効化するまでのこと!」
 普通であれば骨すら溶かすことのある毒性が、身体中に突き刺さる。
 だが、浪人はその被弾を、まるでやられたかの様なリアクションで苦しみながら回り、倒れ伏すことで無効としたのだ。
 膝を折り、正面からの地面へ落ちて、
「え──」
 爆発した。
 メイスンの仕掛けた、斬られ慣れに対応するための仕掛けだ。
「熱量探知式の電脳爆弾じゃのー」
 吹き飛び、背中から墜落して息の詰まった浪人を、要は見下ろした。
 死んだ目で、何を考えているか分からない表情で、しかし。
「ゲームじゃないんだ。都合のいい無敵時間が長く続くと思うなよ」
 殺す、その意思だけは察せられた。
 だから、首元に迫る死の気配に浪人は喉を鳴らして、
「ま」
蟷螂の凶刃が急所を裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オウカ・キサラギ
SPD

隠れられる場所の多いところでの戦闘かー。
見つからず、気づかれず、狙い撃つ。
ボクの得意分野だね!

基本的に近づかず【迷彩】で姿を隠しながらスリングショットで攻撃!
着弾と同時に雷撃を発する宝石弾を使った【属性攻撃】で数人を巻き込めるように【スナイパー】で狙って【範囲攻撃】だ!
1回撃てばすぐに【ダッシュ】で移動して【早業】【クイックドロウ】で息をつかせずに攻撃を続けるよ!
もし反撃しようものなら【ジャンプ】【クライミング】で周囲の木を利用して回避しちゃうぞ!
更に防御を固めて狙撃に対応しようとしたら高火力で広範囲を攻撃できるとっておき宝石弾【輝き放つ金剛の弾丸】でまとめてドカーンってやっつけるぞ!


レイ・アイオライト
つまり、山岳地帯、森の中に潜みながら敵を倒していけばいい訳ね?望むところよ。

それにしても、こんな大軍を用意しておいて本命の上杉謙信は隠れてるなんて、神が聞いて呆れるわ。

【変幻ナル闇ノ曙光】で、山岳地帯に落ちる影や闇を利用して『目立たない』ように移動、闇と同化してる今なら、滅多に敵に気付かれないでしょ。
背後から『だまし討ち・暗殺』で首を掻っ切る。

ばれちゃったら……仕方ないわね、魔刀で『クイックドロウ』、無数の影の刃で『範囲攻撃』するわ。血と炎は影のオーラで『オーラ防御』よ。

叫ばれちゃ面倒だからね、効率的に敵を排除していくわよ……!

(アドリブ等歓迎です)


非在・究子
あ、新しい戦争(大規模イベ)の、はじまりだ、な。
ま、まずは、定番の、雑魚散らし、からか。
べ、別のグループに、援軍を、呼ばれたり、したら、厄介だよ、な。
だ、だから、こいつら、は、楽しい、楽しい、アトラクションに、ご招待、だ。
ゆ、UCを、使って、オブリビオン様の、デストラップダンジョン……そ、そうだな、マップの、世界観に、合わせて、『風雲Q子城』を、クリエイト、する、ぞ。つ、釣り天井とか、ら、らしい感じの、トラップを、存分に、味わって、言ってくれ。
……じ、時間以内に、脱出、できないと、最後に、城ごと、爆発四散、するから、な。が、頑張って、あがいてくれ。




 自分に似合った場所だ。
 木々の裏を静かに、素早く移動しながら、オウカはそう思っていた。
 身を隠すのに必要な物は揃っていて、生い茂る枝葉が日光を遮る薄暗い環境もそれに適している。
「ボクの得意分野だね!」
 見つからず、気付かれる前に、狙い討つ。
 利き手にスリングショットの握りを持ち、伸縮するゴム状の弦の部分に石をセット。
「さぁ、頼むよジュエルバレット」
 それは、不揃いに切り出された宝石だ。
 元々は無色透明だったその石は、軽くにぎって魔力を込めると、淡い黄色を宿していた。
 握りを前に、摘まんだ弦を引く。
「──行けっ」
 放たれた宝石は、風を切る音だけを残して飛び、浪人達の側の地面へと激突。
「ん?」
「お……!」
 瞬間、それは炸裂した。
 閃光と同時に乱れ走る線は雷撃だ。
 そしてそれが収まる頃には、
「次はこっち……!」
 オウカは木々を縫うように移動していた。
 二発目の石を乗せ、同じポイントへ射撃し、絶えない稲光を発生させ続ける。
「小癪な……では、これでどうだ!」
 見えない狙撃手に翻弄される浪人は、しかし戦闘のプロだ。
 持ちうる手段の中で、対抗する策を即座に選ぶ。
 それは、鞘に納めた刀を少し引き、根本を押さえる手の肌に刃を添えて、一気に引き抜くことで発生する。
「ッ」
 血だ。
 肉の裂けた部分から吹き出た血が、刃の反りに添って辺りへ散り、燃え上がる炎になって壁となる。
「そう来るなら、ボクはこうするだけだ!」
 正面から撃っても、先程までの効果は得られない。だからオウカは、拳ほどの石をセットして、斜め上へと向けたスリングを構え、
「冥土の土産を持っていけ、金剛石の弾丸だ!」
 飛び越える軌道で撃ち放った。
 放物線から緩やかに落下したそれは、浪人達のど真ん中に落ちて。
「──」
 爆発した。


 陽が出ている。
 直上から少し傾いた程度の太陽は、山影を道に射し、森の雰囲気は暗い陰りだ。
 その中で、身を溶かしたレイは泳ぎ、
「……?」
 音もなく、浪人の背後に浮き上がった。
 そっと、両手を喉へ添えて、静かに首後ろへと撫でる。すると、
「──」
 パクリと裂けた肉から、血液が吹き出した。
 呼吸として送られる筈だった空気が、その裂け目から一緒に漏れ出て辺りへ撒き散る。
 ……効率的に、ね。
 崩れ落ちる姿を遠巻きにして、レイは行く。
 闇の定義は様々だが、この場において、彼女が同化出来る範囲は広い。
 乱れ交わる戦場に射す影の中、敵の視界が重ならない意識の外、その闇に身を潜ませ移動する。今回で言えば、そういう意味合いだ。
 だから行き、音も無いまま背後を奪って、声を封殺して処理を成す。
 それは、敵に対応をさせないという、暗殺としての完成形と言えるだろう。
(……こんな大軍を用意しておいて、自分は隠れる。軍神が聞いて呆れるわね、上杉謙信……)
 そんな評価を得つつ、レイはただ、命を手折っていった。



「た、楽しい、楽しい、イベントタイム、だな」
 唐突に現れた究子は、登場以上に唐突にそれを発動した。
 戦場にまず生まれたのは石垣の壁だ。浪人を囲む様に正方形を作り、その上を四方から上る形の屋根を被せる。
 そうして、ガワが出来れば続いては内部の形成だ。
 仕切りは土の塗り壁で、扉に襖を使用する。気付けば地面は畳の仕様へ変わり、剥き出しの柱には梁が渡されて天井が張られていた。
「な、なんなんだここは……!」
 浪人達が驚くのも無理はない。
 突然の異世界に現れた見慣れた異質物なのだから。
 そう、そこは、和風だった。
「な、名付け、て、風雲Q子城……だ。」
 究子渾身のクリエイトアトラクションである。
 内容としては単純で、
「え」
 廊下の辺りを進むと、竹槍の敷き詰められた落とし穴があったり、
「な」
 部屋に入ったら襖を閉められ天井が落ちてきたり、
「ひぇ」
 左右の壁から無数の矢が飛んできたりするものだ。
 それは、オブリビオンの気配で自動発動するものだ。
 必ず死をもたらしてやると、そういう意図を盛り沢山にした、罠だらけの城だ。
「そ、そろそろ、だ。制限、時間、オーバーで、ゲームオーバー、になる、ぞ」
 それから、カチ、コチ、時を刻む規則正しい音が止まった瞬間に。
「爆発四散、だ」
 風雲Q子城は跡形もなく破壊された。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月03日


挿絵イラスト