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エンパイアウォー②~其は群青の高波の如く~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●多勢に無勢
 出羽国米沢藩。置賜郡の西側に建つ砦にて。
 砦に駐留する足軽たちが、槍を手に手に緊張の面持ちで一方を睨みつけていた。
 その視界の先に蠢くのは、緩慢な動きでこちらに接近する肩から群青色の水晶を生やした「人間」たち。
 その数は千人にも届きそうなほど、大量だ。一人一人を撃破するのは容易かろうと、あれら全てを同時に相手取るのは難がある。
「物見台からの報告です。敵軍の総数の見立てに誤りなし、こちらの手勢の数倍は優にあるとのこと。
 途中の村々を飲み込み、人数を増やしながらまっすぐこの砦を目指して進軍しているとのことです」
「やはりか……上様の後方をお守りするべくこの地に残ったが、これは想像以上の難敵よな」
 鎧兜を身に付けた武士が陣幕の内側で、険しい表情をしながら呻いた。
 敵は異形、動作は緩慢なれど数が膨大。加えて一度噛みつかれれば、すぐさまに味方に引き込まれてしまう。
 こちらの手勢はせいぜい二百。千にも届く敵軍を押し留めるには、どうしても人数が足りない。
 歯噛みしながらも、その手に握った太刀を強く握りしめる。
 ここで折れては武士の名折れ、何としてでも上様の座す江戸には軍勢を届かせない。
 だが。
「抑えきるにはもう数名、人手が欲しいところよ……江戸より援軍がはせ参じてくれればよいのだがな」
 そう、微かな望みを零すと。
 武士はゆっくりと天を仰いだ。

●戦の始まり
「サムライエンパイアで、遂に家光公が攻勢に打って出ましたねぇ」
 阿瀬川・泰史(酒と杯さえあればよし・f02245)がいつもより真剣な面持ちで、腕を組みながらそう告げた。
 遂に姿を現したオブリビオン・フォーミュラの織田信長、そして島原に築き上げられた魔空安土城。
 その城に張り巡らされた防御を破壊できるのは、江戸幕府が密かに有していた「首塚の一族」。彼らを守り抜き、彼らを守る兵を守り抜くことが出来れば、魔空安土城の防御を打ち砕き、織田信長の首へと手を届かせることが可能となる。
 そのために何としてでも、予想される苦難を打ち破り、江戸幕府側に付く兵たちを守らなくてはならない。
「既に予見されている苦難は五つ。そのうちの一つ、奥羽地方における水晶屍人の出現に、皆さんには当たってもらいますねぇ」
 水晶屍人は、魔軍将の一人たる陰陽師・安倍晴明が屍に術をかけて造り出した、肩から奇妙な水晶を生やした動く屍だ。
 戦闘能力自体は高くなく、一般の武士にも倒すことが出来るが、とにかく数が多い。加えて水晶屍人に噛まれた人間も新たな水晶屍人となってしまうため、次から次へとねずみ算式に数を増やしていくのだ。
 こうして作り上げた大軍勢を安倍晴明配下のオブリビオンが指揮して、各地の砦や町、城をその物量で飲み込むようにしながら、江戸に向かって南下しているのだ。このままでは江戸の護りのために兵を残さねばならず、織田信長を攻撃する手勢を減らすことになってしまう。
「水晶屍人に噛まれても、皆さんは屍人になりません。ですが噛まれたら痛いのは一緒ですからねぇ、敵軍を突破する時には注意してくださいねぇ」
 予想されている水晶屍人の人数は、およそ九百。千には届かないが、砦に詰めている兵士たちの数倍の数を誇る。これだけ数がいては、砦の兵士たちにすべてを任せるのは酷というものだ。
 敵軍に飛び込むのは必定、その上で敵の指揮官を探し出し、その首級を上げねばなるまい。
「今回の砦を襲撃する軍勢の指揮官は、常春の酒仙・香散見。羅刹の女性、という風袋ですねぇ。墨染の振袖に、手には朱塗りの酒杯。そこから滾々と香り高い酒を湧き出させている模様です。
 梅の香を思わせる名酒の香りを漂わせていることでしょう。探す際はそれを当てにしても、いいかもしれませんねぇ」
 常春の酒仙・香散見はその手の酒杯から湧き出す酒を、多種多様な攻撃に用いてくる。
 酒気の高い酒を振りかけ、炎に包む攻撃。滾々と湧き出る酒をぶっかけ、その酒気で酔わせ行動を封じる攻撃。さらにその酒を呷ることで修羅に変身することも出来るようだ。
「この指揮官を倒せば、あとに残った水晶屍人は烏合の衆。意気軒高な兵士達でも片付けることは出来るでしょう。まぁ、ある程度皆さん方で数を減らしておくに、越したことはないと思いますが、全滅まで持って行かなくても大丈夫ですよぉ」
 そこまで話して、泰史は指先に浮かべたぐい飲みのグリモアをくるりと回した。
 遂に始まったサムライエンパイア全土を巻き込んでの大戦。猟兵たちは勝利のために、その一歩を踏み出すのだった。


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 サムライエンパイアで戦争がはじまりました。
 頑張りましょう、皆さん。

●目標
 ・常春の酒仙・香散見×1体の撃破。

●特記事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●戦場・場面
(第1章)
 出羽国米沢藩の一地方にある砦です。二百人ほどの兵が詰めており、千人近くの水晶屍人による攻撃を受けています。
 水晶屍人の指揮のため、常春の酒仙・香散見が軍勢を率いています。
 猟兵は水晶屍人の軍勢の中に飛び込んで蹴散らしつつ、常春の酒仙・香散見を探し出して撃破する必要があります。
 常春の酒仙・香散見を倒せば残った水晶屍人は有象無象の集団のため、砦の兵にも駆除は可能です。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『常春の酒仙・香散見』

POW   :    八鹽折之酒
【盃から溢れる酒気の高い酒 】が命中した対象を燃やす。放たれた【竜胆色の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    花蜜酒
【春の花香る酒を呷る 】事で【白髪の修羅】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    春の杯
【赤漆の盃 】から【終わり無く沸く酒】を放ち、【立ち込める酒気】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:葛飾ぱち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠心禰・白雨です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

落浜・語
……なんつか、ヤだな。悪趣味で。
まぁ、やることやりますかね。

指揮官までの道が楽なほうが良いだろうし、そっちは他の人に任せて俺は水晶屍人達を減らすことを優先しようか。
先に、味方には近づかないよう、巻き込まれないように伝えてから、敵さんたちの中飛び込んで『人形行列』を使用。
安定と信頼の威力だし、最近呼び出せる数が増えたからな。纏めて吹っ飛ばしてしまおうか。
そのうえで、行けそうなら指揮官にも一撃、入れられればいいな。


雛月・朔
【WIZ】
武器:ヤドリガミの念動力、投剣『翡翠』

なるほど、たしかに徳川軍の背中を守るのも重要なお仕事ですね。承りました。
梅の香りのお酒というのにはとても興味がありますが、如何せん地上は死人の群れ。香りを頼りに探し出すのは悠長が過ぎるでしょう。【念動力】で空を飛び、地上から指揮官…香散見、を探します。
死人の群れの中に赤い杯を持っている存在であればすぐに見つかるでしょう。

『翡翠』は念動力で周囲に展開、いつでも飛ばせるようにしておき、空から香散見を見つけたらそのまま『翡翠』の切っ先を向けて相手の攻撃より早く『春雷』を唱え、天候を呪詛で捻じ曲げ空から雷を落とします。
この高さなら敵の反撃も届かないかな?


ルパート・ブラックスミス
黒騎士ルパート、参陣。
この戦争に負けて幕府が崩壊すれば、喩え滅亡を回避したとしても凄惨な戦国時代に突入しかねん。行くぞ。

専用トライクをUC【荒狂い破滅齎す戦車】形態に変形。敵軍に突撃し蹴散らす。

随時燃える鉛を付着させ炎【属性攻撃】に【武器改造】した短剣を【投擲】。
敵が酒気を撒くなら炎が反応する筈、それを目印にする。(【追跡】【失せ物探し】)

指揮官を発見したら、敵の炎を【火炎耐性】で耐えながら突撃。
【フェイント】だ、敵の注意をこちらに引いたらところを上空に飛ばしていた爆槍フェニックスを槍形態に変形させ【串刺し】にさせる。


初陣だ、期待しているぞニクス。(爆槍の愛称)


【共闘・アドリブ歓迎】


クラウン・アンダーウッド
さぁさぁ、パーティーの始まりさ!盛り上がっていこうじゃないか。

応援特化型人形を大量に展開、人形楽団による【楽器演奏】による【パフォーマンス】で周囲の人達を【鼓舞】する。

からくり人形達は先ず味方(主人)をナイフで攻撃して、血のように吹き出す炎でその身を紅く染め上げ、周囲の敵を炎を纏ったナイフで蹂躙していく。

ボクは懐中時計で周囲の【情報収集】をしつつガントレットで戦闘を行い、敵の首領を探し出す。
首領を発見次第、人形達と共に一気呵成に攻撃する。

多少の傷はヤドリガミの特性で癒し、それでも足りなければ地獄の炎で補う。

戦闘力の乏しいボクはタフさには自信があるんだ、最後までお付き合いしようじゃないか♪



●其は紅々と燃える炭火の如く
 ざり、ざり、と地面の砂礫を掻くような音が響き渡る。
 行軍の音にしては随分と鈍重で、しかし頻度の高いその音を響かせるのは、人にして人にあらず。
 水晶屍人。謎の陰陽師の手により生み出された、人より生じて人を喰らい、害するもの。
 それが幾百の群れをなして真っ直ぐに砦に向かってくるのを、【ヤドリガミの箱庭】の長である雛月・朔(たんすのおばけ・f01179)は普段のおちゃらけた風合いを隠して見つめていた。
 彼女の後方から、団員たる落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)、クラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)も姿を見せる。
 故郷であるサムライエンパイアの危機でもある。同胞たるグリモア猟兵の頼みでもある。加えて、家光将軍の助けとなる一仕事。
 気合十分、意気軒昂。四人が四人とも、本気の本気だった。
「なるほど、たしかに徳川軍の背中を守るのも重要なお仕事ですね」
「この戦争に負けて幕府が崩壊すれば、喩え滅亡を回避したとしても凄惨な戦国時代に突入しかねん。行くぞ」
 朔が澄み切った青色をした六振りの片手剣を自身の周囲に浮かべると、ルパートもトライクのエンジンをふかしながら前を見据えた。
 ルパートの隣に立つ語もクラウンも、手に手に自らの武器をスキの無いように構えている。
「……なんつか、ヤだな。悪趣味で」
「そうですね。人を食らい、飲み込み、自らの軍勢とする、死者を弄ぶ力に他なりません」
「では皆さん、後は手筈通りに。屍人に噛まれないでくださいね?」
「愚問だ。噛まれる前に叩き潰す。とはいえ自分の鎧に、牙を立てられるほど頑丈な歯とも思えんが」
「ルパートさんは別格だろう」
 そんな会話を交わしながら、朔がどんどんと自身のある高度を上げていく。それに呼応するようにして一等音高く鳴らされるトライクのエンジン音。
 そして、ヤドリガミ四名は一挙に飛び出した。
「さぁさぁ、パーティーの始まりさ!盛り上がっていこうじゃないか!」
 クラウンの発した言葉をその場に置き去りにして。

●其は漆黒の暴風の如く
 上空に飛び上がった朔は別として、地上を駆けて屍人と接敵する三名のうち、まず始めに敵陣に突っ込んだのはルパートだった。
 燃える鉛で強化したトライクの先端を槍のように尖らせて、屍人の存在など意識しないかのようにその只中に突撃を敢行する。
「我らが駆ける前には勝利の未来。しかし駆けた後には屍と瓦礫のみ!」
 その言葉通りに敵陣の只中を駆けては屍人を轢き潰し、通り抜けたあとに倒れ伏す屍だけを残すルパートの姿に、語もクラウンもただ笑う他なかった。
「いやはや、ルパートさん、豪快だ」
「ボクたちも負けるわけにはいかないね」
 ルパートの作った道を通って敵陣深くまで踏み込んだ二人は、同時に自らの武装を展開した。
 語は多数の小型の人形を。クラウンは楽器を手にしたからくり人形を。
 そしてそこから、二人の人形遣いは同時に地を蹴る。
「始めますよ、語さん!」
「任せた!」
 飛び出したクラウンの傍から前に出たからくり人形が、クラウンの肌へと手にしたナイフで傷を作る。
 それと同時に始まる大合奏。クラウンの応援に特化したからくり人形の手による鼓舞の演奏だ。
 その演奏を耳にした途端に、語の人形の動きも、ルパートのトライクの駆動音も、どちらも具合が良くなっていく。
「有り難い!」
「まだまだ、纏めて吹っ飛ばしてしまおうか!」
 ルパートが一気に駆け抜けて屍人を蹴散らす他方で、語の人形が連鎖的に爆発を起こしては周囲の屍人をどんどん消し飛ばしていく。
 そうして味方を鼓舞しながらも、クラウンの操るからくり人形の持つ、炎を纏ったナイフは、見る間に屍人の首を切り飛ばしていった。
「ここまで数を減らしていければ、朔さんの目にも指揮官の姿が止まりそうなものだが……ん?」
 手に嵌めたガントレットで屍人を殴り倒しながら、周辺に視線を巡らせるクラウンが、視界のある一点に目を留めた。
 無数に立つ屍人、その身体の隙間からちらりと見えた、艶のある朱色。
 そしてそれを、上空に陣取っていた朔も目にしていた。
「やっと見つけました……!背天の、走狗散らさん、穀雨の伴」
 詠唱の五七五を唱えながら、周囲に浮かべた翡翠の切っ先を眼科に見える朱色へと向ける。
 すると刹那の間を置いて、下る春雷。呪詛により捻じ曲げられた天候で俄にかき曇る空とともに、天から落雷が朱塗りの盃を手にする羅刹めがけて降り注ぐ。
「ぎゃぁっ!?」
 高い声色で戦場に響く悲鳴。それを聞きつけた地上の三名が、揃って悲鳴のした方へと視線を向ける。
「今の落雷……団長か!」
「あっちだな、よし!」
「ふふ、最後までお付き合いしようじゃないか♪」
 そう口々に告げては落雷の落ちた方へと、道中の敵を蹴散らし蹴散らし駆けていく。
 そして三人が再び顔を合わせた時に、目の前にいたのは。
「ぐうう……突然天候が悪くなったと思ったら!お前達の仕業だね、猟兵!」
 雷に打たれ、その額の角からぷすぷすと煙を上げながら呻く、花散見のその姿。
 その傍らへとまた一つ、朔の降らせた雷が地面をえぐってはオブリビオンの足元を揺らした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

隣・人
「ほう。御相手さんはお酒好きですか。だったら隣人ちゃんも酔わせに向かいますよ。さあ。大暴れと行きましょうか」
先ずは高速回転しながらそこらへんの敵をバッタバッタと殴り倒しますよ。それはもう隣人ちゃんの三半規管が壊れるほど
そして停止。戦場のど真ん中でけろけろしましょう
何処かで見ているでしょう酒仙が嫌悪したならば『配信動画』から三半規管を狂わせる超高速回転する回転椅子を放つのです
そしてお目当ての敵さんを回して部位破壊(三半規管)ですね
他猟兵の皆さん、今がチャンスだと思いますよ

「回転と呼ばれる拷問の時間ですよ。まあ。眩暈を起こさなくても【時間稼ぎ】には成るでしょう!!!」


アデライド・ベフトォン
【POW】
うわー。ゾンビがたくさん……こういう所にも出るんですねぇゾンビって。

では手始めに盾とSG-AXEを構えて群れに突撃、【シールドバッシュ】【吹き飛ばし】【怪力】の技能を使ってゾンビを蹴散らします!

匂いをたどって首級を見つけたら更に突撃です!浴びたら燃える酒らしいですが任意でも消せるみたいですね。
なるべく防ぎますが食らっても関係ありません。そのまま相手に組み付けば延焼を恐れてたまらず炎を消すでしょうしね。
そしてここでUC【グラップル・バイト】を発動!そのまま思い切り地面や他のゾンビに叩きつけます!

お山の大将もここまでですよ。酒を飲みたいなら帰って飲んで下さい。

(アドリブ、連携歓迎)



●其は舞い散る花弁の如く
 先の四名が指揮官たる常春の酒仙・香散見に接敵していたまさにその時。
 他方より敵陣営に切り込んでいた隣・人(六六六番外・f13161)とアデライド・ベフトォン(ハイカロリーパラディン・f14808)は、それぞれ別の場所から降り注ぐ落雷と、それに撃たれる花散見を見ていた。
「よし、見つけました!あそこですね!」
「ほう。御相手さんはお酒好きですか。だったら隣人ちゃんも酔わせに向かいますよ……ぐ、うぇっぷ」
 大将首の姿を認め、盾を構えて一気に突撃するアデライドは兎も角として。
 人は高速回転しながら敵をぶった切っていたその反動で、敵陣のど真ん中で突っ伏してリバースしていた。
 有り体に言えば酔っていた。酔わせに行こうとしていたら自分が酔っていたというのもなかなかに滑稽だが、とにかく自身の高速回転で三半規管をやられてリバースしていた。
 彼女の周囲に立つ水晶屍人が、本能的な嫌悪感を催したのか足を止める。そしてそれを、花散見も視界に入れたらしい。
「げっっ」
 小さく、嫌悪の声を漏らす花散見。
 それを人は聞き逃さなかった。
「ふふふ……回転と呼ばれる拷問の時間ですよ」
「なっ、ぎゃ……!?」
 人がにやりと嗤うや否や、猟兵たちの目の前で花散見が唐突に高速回転を始めた。
 人の放映していた配信動画の画面から、高速で回転する椅子が飛び出して花散見の足にヒット。彼女を座面に乗せてぐるぐると回転を始めたのだ。
 あまりにも唐突で滑稽な、しかしそれでいながら超高速で回転する椅子の速度に、花散見は言葉もない。発することさえ叶わない。
 しかしてアデライドが花散見のいる場所まで突破してきた頃には。
「ふ、ふぇ……うぇぇぇ……」
 三半規管を木っ端微塵に破壊され、足元も覚束なくなっている花散見が、そこでふらふらになっているのであった。
「まあ。眩暈を起こさなくても、時間稼ぎには成るでしょう!!!」
「ありがとうございます隣人ちゃん、この隙に!」
 人がぐっとサムズアップしたのを、アデライドが見ていたかどうかは、この際置いておこう。
 ふらふらな花散見の足首をぐっと掴むと、アデライドはその身体を高々と持ち上げた。
 そして。
「喰らいついた!」
「なっ、やっ、ぶ……!?」
 再び大きく振られる花散見の身体。しかし今度は回転ではない、弧を描くような往復運動だ。
 周辺の地面に叩きつけるようにびったんばったん、アデライドは容赦なく花散見の身体を振り回していく。
 そしてその手が何度目か、花散見を地面に叩きつけたところで、ようやくその手から解放された花散見は。
「うっぶ……うぇ、えぇぇ……」
 息も絶え絶えと言った様子で地面に這いつくばるのであった。
「お山の大将もここまでですよ。酒を飲みたいなら帰って飲んで下さい」
 アデライドの冷たい言葉が頭上から降り注いでも、なんの反応を返すでもなかったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

煌天宮・サリエス
ふむ、探さないといけないのですか……
千もいる軍勢の中から探すのはとてもめんどくさい。
なら、戦場全てを花で埋め尽くせばいいのです。

ユーベルコードを発動。
水晶屍人を殴りつつ、生み出した黒の花びらの半分を敵の攻撃に、残り半分を地に堕とし、花を咲かして散らし、散った花びらをまた地に堕とすことで少しづつ範囲を拡大させます。
そう、このコードは解除しない限り、花びらは花となり、花は花びらとなる循環が続く。

こうやって戦場を花園で覆いつくせば首領がどこにいたとしても、攻撃を届かせることができるでしょう。


依神・零奈
……死地に居てもなお心折れないその意気は良し
虚ろな存在になってもこれでも私は守り神……
現世を、ヒトを護るのが私の役目

……とはいえ、この軍勢から守り抜くのは骨が折れる
一気に指揮官を討ってしまおう、敵の数を減らしつつ……ね
UCを発動させ舌禍による災いで敵を混乱させ道中の敵の
同士撃ちを狙う、それでも行く手の邪魔になる敵がいれば無銘刀で
切り捨てて突破するよ。

指揮官は……あの酒気が厄介だね、恐らく呪詛の類……かな
【呪詛耐性】で酒気を凌ぎつつUCを発動し舌禍を紡ぐよ

「キミの運命は此処に確定した」
「酒も転じれは毒となる……体の調子はどう?」

【呪詛】で動きを鈍らせることに成功したら
【破魔】を宿した刀で攻撃


山梨・玄信
この手の敵は軍隊にとっては厄介じゃのう。
大将は…邪仙といったところか。

【POWを使用】
水晶屍人は範囲攻撃で蹴散らしつつ、高台や木の上など辺りを見渡せる場所を観察するぞい。軍を動かすには全体を見渡す必要があるからのう。
オーラ防御は常に展開しておき、不意打ちに備えるのじゃ。

指揮官を見つけたら味方の猟兵にも知らせ、そちらに向かうぞい。

酒は出来る限り第六感と見切りで躱すが、躱し損ねたらオーラと火炎耐性で耐えながらそのまま接敵してやるのじゃ!
範囲攻撃で牽制しつつ、2回攻撃で追い込み灰燼拳を確実に当ててやるぞい。

「酔いどれ仙人か。こういう手合いは厄介な場合が多いからのう。気を付けんとな」


アドリブ歓迎じゃ。



●其は空を覆う羊雲の如く
 花散見がようやく生気を取り戻したところで、彼女の立つ場所へと水晶屍人を蹴散らしつつ踏み込んだのは山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)と依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)の二名だ。
「大将は……邪仙といったところか。この手の敵は軍隊にとっては厄介じゃのう」
「虚ろな存在になってもこれでも私は守り神……現世を、ヒトを護るのが私の役目」
 並び立ち、各々の手に武器を構える二人を見て、花散見はその手に持つ酒盃を一層強く手に握った。
「ふ……ふはは!ここまで私を、晴明様の傑作たる水晶屍人をコケにしておきながら、猶も私を嘲り、侮るのか!
 いいだろう、老いも若きも男も女も、須く酔わせるのが私の酒、酔い潰して屍人に骨の一片まで食らい付くさせてやる!」
 高らかに告げながら酒盃を掲げる花散見。その手元からぶわっと、高く香る梅の香と酒の香。
 溢れ出す酒の芳しい濃厚な香りが辺り一帯に広がっては、二人を、猟兵を酒気で酔わせようと広げてくる。
 さらに玄信は、飛び散る酒の雫が深い紫色の炎を上げるのを見た。下草に燃え移った炎が即座に玄信と零奈の足元に燃え広がっては、その足を止めさせつつ足を焦がさんと迫り来ている。
「くっ、厄介な……!」
「待つんだ、これは……」
 たたらを踏んで火から逃れようとする玄信に対し、零奈が視線を向けるのは後方だ。
 その視線に釣られるようにそちらを向いた玄信は、何事かと同じ方向を向いた花散見は、揃って目を大きく見開く。
 黒い花弁が花嵐の如く舞ってはこちらに迫り来て、地面の下草を黒い花で埋め尽くしながら、水晶屍人を次々に花の中へと沈めているのだ。
「千もいる軍勢の中から探すのはとてもめんどくさい。
 なら、戦場全てを花で埋め尽くせばいいのです」
 花散目とそれに相対する二人を遠目に見ながら、煌天宮・サリエス(光と闇の狭間で揺蕩う天使・f00836)がその瞳をすうと細める。
 彼の足元から広がりゆく黒い花は花弁を散らしながら敵を切り裂き、同時に地面に落ちてはそこから黒い花を咲かせていた。
 咲かせては散り、散りては咲かせる無限の円環。
 そうして広がる黒い花は、地面を走っては燃え盛る竜胆色の炎も飲み込み、消し去っていた。
「くっ、こんな形で私の炎が……!」
「残念だったね、キミの運命は此処に確定した」
 地面が漆黒で飲まれゆく中、歯噛みした花散見に、零奈が冷たい声色で告げる。
 その言葉にハッとするや否や、その隙に接敵していた玄信の拳が花散見の下腹部へと深くめり込む。
「酔いどれ仙人か。この手の輩は酔わせては厄介だからのう」
「かっ、ふ……うぐっ!」
 身体をくの字に折り曲げた花散見の腹部へと、再度叩き込まれる玄信の灰燼拳。
 吹き飛ばされるのはギリギリで回避しながらも、その拳によって僅かに身体が浮いた花散見が口元を膨らませた。
 戻してしまうか、と思われながらもなんとか堪え、口を抑えて蹲る花散見の後頭部を見下ろし、零奈が告げる。
「酒も転じれは毒となる……体の調子はどう?」
「は……っ、うぐ……!」
 何ともない、と応えようとした花散見は気付いた。
 自分の身体が、発せられた言の葉によって縛られていることを。
 酒の飲みすぎと先程までの運動で酔いが回り、吐き気を催しているのではと思わされた自分の思考に縛られていることを。
 そうして思考の網に囚われた自分の身体は、最早動かない。動かせない。
 蹲ったままで身体を震わせるだけとなった花散見の、顕になった首元。
 そこに零奈は、破魔の力の宿った刀をぴたりと当てた。
「それじゃあ、さよならだ」
「待っーー」
 花散見が言葉で縋るも、それに応える道理など無く。
 一挙に圧し切られた花散見の、角の生えた頭が、ごろりと漆黒の花の上に転がる。
 ざぁ、と吹きゆく風に乗せて花弁が散るのと一緒に、塵と崩れ行くその身体が、砦から飛び出して水晶屍人を滅しにかかる兵たちの怒涛の声に、押されるようにして消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月02日
宿敵 『常春の酒仙・香散見』 を撃破!


挿絵イラスト