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エンパイアウォー②~死を映す煌めき

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●屍人の歩み
 某は死にたくないと申し上げた。消えたくないと申し上げた。
 何ものにも代え難い、ただただ心からの訴えを、慈悲深きあのお方は聞き届けてくださった。
 賜りしこの刃は、某を生かし、守ってくださる。
 そして皆が賜りし水晶は、死の淵から魂を掬い上げてくださった。

 ああ、素晴らしいと声を上げて、刃を真っ直ぐ街へと向ける。
「さあ、参ろう皆の衆。彼等にもまた、我等と同じ幸福を! 晴明様のご加護を!」
 山の麓の家々を、水晶を宿した皆が飲み込む。悲鳴を上げる村人達に皆が歯を突き立て、噛み切り、そして――その村人も、やがて水晶を宿し、『同じ』になる。

 水晶屍人の軍勢は、そうして群れを膨らませながら南へと向かっていく。

●死者狩り
「動く時は一斉にってのが定石なのかな、なかなか忙しいことになったねえ」
 グリモアベースに集まった猟兵達に、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が困ったように笑いかける。一体どこから手を付けたものか、彼自身も迷っているのだろう。
「聞き及んでいるかもしれないけれど、奥羽地方では大量の『水晶屍人』が発生しているんだ。よければ、こちらにも手を貸して欲しい」
 『水晶屍人』とは、『魔軍将』の一人である陰陽師『安倍晴明』が屍に術をかけて造り出した、肩から奇妙な水晶を生やした動く屍のことだ。知性を持たず、ただただ生者に襲い掛かるだけの代物だが、厄介な事に、これに噛みつかれた人間もやがて水晶屍人と化してしまうため、その数がかなりの勢いで増加しているのだ。
「雪玉を転がして大きくしていくようなものかな、進めば進むほど増えていくこの集団が江戸に着いた時にどれだけの規模になっているのか……そうなる前に、この集団を止めて欲しいんだ」
 幸い、水晶屍人は特定のオブリビオンを将とし、それに従って動いている。頭である指揮官を失えば、自然と統率を失うだろう。
「そうなれば、猟兵じゃないお侍さん達でも対処できるようになると思う、というわけで――」
 山間を侵攻中のこの舞台に突入し、群がる水晶屍人の大群の中から敵将を探し当て、仕留めて欲しい。
 一息にそう言って、オブシダンは一同のために転移の道を開いた。
「それじゃあ任せたよ、皆」


つじ
 戦争ですね! 気合入れていきましょう!
 今回の戦いは、多数の水晶屍人の中から敵将を見つけ出し、倒すという流れになります。
 いかに敵を蹴散らすか、いかに迅速に将を探すか、という辺りを重視していきます。

●敵将
 オブリビオンである刀、『梔子』を手にした侍です。元は奥羽地方で関所を守っていた人物。
 水晶屍人の種が撒かれる際に、それらを従える将として選ばれました。
 真っ先に命乞いをし、こうなってしまった彼の心は、もうとっくに壊れています。
 説得には応じませんが、殺し続ければいずれ刀を手放すでしょう。

●ご注意
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『梔子』

POW   :    その願いは何よりも強く
【持ち手を戦いへと駆り立てる魔性の刀】に変形し、自身の【移動能力】を代償に、自身の【持ち手の膂力と剣術の腕】を強化する。
SPD   :    その願いはどこまでも届く
自身に【持ち手を包む不可視の妖気】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    その願いは決して朽ちない
【渇望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【黒く燃える火種】から、高命中力の【非常に高い再生効果を持った黒炎】を飛ばす。

イラスト:オペラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠オブシダン・ソードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アメリア・イアハッター
屍人…
未来を奪うだけじゃなく、死後の尊厳も奪うとか、ダメだよ
絶対ダメ
全ての企み、潰しましょう、皆で!

山間を進行中ということは、それほど広くない道を纏まって歩いているのかな
まずは集団を狙いつつ、一番抵抗する敵が将であると判断し、それを狙い潰そう

山道の下の方から進み、敵先頭が見えたらUC発動
竜巻を放って敵を纏めて空に吹き飛ばし、自分も空へ
屍人を踏み空を渡り、空に飛ばされなかった強靭な敵、又は空からでもこちらに反撃してくる敵を将と判断し狙う
将を見つければ帽子についた音楽再生機をONにして、味方に将の位置を伝える

空では回避優先で敵の位置を知らせることを優先
正面には立たないようにして、嫌らしく立ち回ろう


火神・五劫
水晶屍人か…ふざけた術だな
戦局に関わることも勿論だが…
人の生死を冒涜するなど、捨て置けんわ!

【鳳火連天】を発動し空へ
『第六感』にも頼りつつ
数多の水晶屍人の進軍の流れを『見切り』
敵将の居場所を見定める

敵将の居場所を特定、向かう間に道中の敵を蹴散らす
鉄塊剣を振るい空から『衝撃波』を降らせ
敵群を『なぎ払い』

敵将の下へは『オーラ防御』を展開し急降下
持ち前の『怪力』で剣を振り下ろし鍔迫り合う
敵の膂力が上がっているゆえ
これだけでは攻撃を弾かれてしまうやもしれん

ならば、敵の移動能力が落ちていることを逆手に取るぞ
距離を取った位置に着地し
優位な間合いを維持しながら戦闘を継続しよう

※他参加者との連携、アドリブOK


鈴木・志乃
……普段秘匿してるUC発動
私、嫌いなんだよね
死人を操るワザ

さて空中に浮かんで屍人の攻撃が避けられそうなら
飛んで敵将を探しますか
必要があれば
【祈り、破魔、呪詛耐性】を籠めた
【歌唱の衝撃波】で全員纏めて
思い切り【なぎ払う】よ
(マイク片手に)

敵UC対策

自UCで敵の意思感情を根こそぎ奪って
UC自体を使えなくしてしまおうか
代償は私の人格即ち世界への愛(オブリビオンも含めた)

さてそのまま攻撃に移ろう
敵攻撃は第六感で見切り
光の鎖で早業武器受けからのカウンター
オーラ防御常時発動

必要に応じて死体を念動力で巻き上げ
嵐と化し敵にぶつける


プロメテ・アールステット
恩ある方…五劫殿の故郷だ
守る為に力を尽くそう

【武火装々】を発動
飛び上がり敵将を探してみよう
『地形の利用』『視力』『暗視』を活かし侍を集中的に探す
将ならば知性のない屍人とは振る舞いが違うはずだ
『戦闘知識』で見抜けるかもしれぬ
言葉を話せるのが敵将だけの可能性もあるな


怪しい者を見つけたら『追跡』
炎を纏わせた鉄塊剣で斬りかかる
敵の攻撃は『武器受け』から『怪力』で『なぎ払い』
炎の『属性攻撃』で『鎧砕き』


この世界で言葉を交わした人々の顔を思い出せば、炎よりも熱い怒りがこみ上げる
人を人形のように扱う、それのどこが加護か!
一人一人違う命を持つからこそ、人々は…そしてあの人は眩いのだ
その輝きを奪わせてなるものか


九之矢・透
命乞いしたって、みっともなくたって
生き延びようとする事自体は当然だ、けど
……これ、みんなか

『大鷲』

地上から見てもこの数じゃあ、敵将に辿り着くのは難儀しそうだ
なら空から探してみよう

山間なら身を隠しつつ、なるたけ迅速に
そうだな、そんなに死にたくないヤツだったんなら、
一番奥とか、真ん中あたりとか
水晶屍人達が守る様に動いている中心、とかかもしれない
全体を見下ろして、大群の動きから推測してみよう
侍なら、村人の中じゃ目立ちそうだしな

怪しい所があれば接近する
狙われる事もあるだろうけど、高速移動と見切りで躱していこう
攻撃範囲まで近づけたら「柳」を投擲
刀を守るような動きがあれば怪しいな

確信したら仲間にも共有だ



●翼持つ者達
 奥羽地方の一角、山間を行く道に、常とは違う喧騒がこだましていた。擦り切れた草鞋、そして少なくない裸足の足音。静かに地面を叩く無数のそれが低く唸り、亡者達の呻き声がそこかしこから響き渡る。
 言葉にならぬ声と共に歩く人々の肩には、揃って水晶が輝いている。前情報通りなれば、あれが『水晶屍人』ということになるか。
「ふざけた術だな。戦局に関わることも勿論だが……」
 それは、人の生死を冒涜するもの。捨て置くことなどできはしないと火神・五劫(送り火・f14941)が決意を滲ませる。
「未来を奪うだけじゃなく、死後の尊厳も奪うとか、ダメだよ……絶対ダメ」
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)もまた、迫り来る彼等の姿に、苦いものを感じていた。既に死した体とはいえ、それを人形として扱うのは余りにも――。
「――全ての企み、潰しましょう、皆で!」
 巻き上がる風に乗って、彼女は空へと飛び立った。

 この大軍の中、敵将を探し出し、仕留めるのが今回の主な任務だ。敵の主力が飛び道具を持たない水晶屍人である以上、飛べる者は空中から、というのは妥当な選択と言えるだろう。
 とはいえ、空中からの光景は、そこまで眺めの良いものではない。山を緑に染める夏の木々は、まるで変わらぬ雰囲気を感じさせるというのに、その隙間からは、絶え間なく動き続ける人の群れが覗いている。時折目を刺す光は、陽光を反射した水晶だろうか。
 緑の壁紙を一枚捲れば、そこにどれだけの数の屍人が居るのか。それを感じ取って、九之矢・透(赤鼠・f02203)が小さく呟く。
「……これ、みんなか」
 命乞いをしたって、みっともなくたって、生き延びようとするのは当然だ、と彼女は思う。けれど、この数、この規模は、個人に受け止めきれるものなのだろうか?
 早く、見つけてやらなくてはならない。猟兵としての使命の他にもう一つ意思を以て、彼女は『大鷲』の翼を打ち振るった。
 一方、鳳凰を描くオーラで飛翔した五劫と、黄金の炎を纏ったプロメテ・アールステット(彷徨う天火・f12927)もまた、その光景を見下ろしていた。
「見えるか?」
「今はまだ。何かしら敵の反応が見たいな」
 群れの進軍の流れを追って、そんな言葉を交わす。プロメテの視力を以てしても、ここから個人を探し出すのは難しい。だが、軍の『対応』の動きからならば、それを見切る事も可能かも知れない。
「ならば、ひとつ突いてみるか」
「引っ掻き回すんでしょ? 手伝うよ」
 鉄塊剣を手に降下していく五劫を追って、鈴木・志乃(ブラック・f12101)もまた敵陣へと降下していった。
「私、嫌いなんだよね、死人を操るワザ」
 事態の黒幕に対する嫌悪感を滲ませながら、志乃は手にしたマイクを口元へ。
「さぁ、道を開けてね――!」
 すぅ、と息を吸って、歌声を強く、吐息に乗せる。魔を祓う祈りを込めた歌声は、屍人達を薙ぎ払う衝撃波へと姿を変えた。
 歌唱の形を取った攻撃に、ある者は潰れ、ある者は吹き飛ばされ、水晶屍人の群れが割れていく。
「さて、敵将はどこかな?」
 また別方向へと衝撃波を振りまきながら、志乃は視線を巡らせた。
「――ッ!」
 裂帛の吐息と共に、五劫の鉄塊剣が衝撃波を生み出す。彼の纏った鳳凰のオーラを乗せたそれは、、正に火影という名に相応しい威容を誇っていた。
 行軍中の軍に道を作り出すような斬撃を再度放って、五劫はもう一度高みへと舞い上がる。
「そろそろ反応が出る頃だと思うが――?」
 上空からの大規模な奇襲攻撃だ、当然将であるなら捨て置くわけにはいかないだろう。屍人は屍人であるがゆえに、動揺の気配が薄い事が不気味ではあるが。
 ここは通信機のない世界である。オブリビオンにその理屈が通じるのか定かでないが、軍の命令は、波紋のように広がっていくもの。
「――そこか」
 上空のプロメテが、『そこ』に当たりを付ける。敵の全容の中の、中心からやや後方。そして、既にその場所には、羽を畳んで急降下した鷹が迫っていた。
 低空へ。敵側からも視線の通る上空から、木々の間を縫う位置まで降りた透は、眼下の敵の反応を見ながら目的の場所に向けて進んでいた。
「……そうだよな。死にたくないって思ってるんだもんな、アンタは」
 正面からは遠く、横や後ろからの奇襲にも対応できる場所。屍人達で作った壁の、一番奥。予測していたそこに、透は侍の一団を見て取る。
 着のみ着のまま、襲われた村人たちと違い、衣服の質が良く、一部は武装もしている屍人達。前情報通りなら、それが『最初の被害者達』だろう。
「大将は、アンタか!?」
 声を張り上げて問い、一団に向けてナイフを数本投擲する。飛翔の勢いを乗せたそれに、屍人達は身を乗り出すようにして立ち塞がる。即席の壁に阻まれ行くナイフ。だがその内一本が刀で弾かれるのを、透は見た。
「――!」
 そのまま刀が振り下ろされる。距離はかなり離れているが、しかし。その距離を一瞬で埋める衝撃波を察知し、透は身体を錐揉み状に回転させて無理矢理それを躱す。
 空中で体勢を崩せば、立ち直るのには一手間必要になる。細かい枝をへし折りながら、やむを得ず透は上へと、木々の上空へと逃れた。
「ここだ! 敵将はここに居るよ!」
 仲間達にそう伝えながら、彼女は上空へ舞い上がっていった。
 ――ああ、と透は表情を歪める。先程、一瞬だけ、『敵将』と目が合った。
 表面を覆う狂気の中に沈んでいたあれは、そう。怯えて、追い詰められた小動物の目だ。

 上空から振り下ろされる鉄塊剣は、断頭台を超える圧力を伴って敵を襲う。
「――ええい、その程度では!」
 死ねぬ。そう吠えて、将は手にした刃、梔子で以ってプロメテの攻撃を受け止める。
「ようやく見つけたぞ、覚悟してもらおう」
 彼女の怪力と、膂力を強化された敵将のそれが一時の拮抗生み出した、そこに。
「力比べか? ならば――!」
 五劫もまた鉄塊剣を振り下ろす。二本の剣を同時に言う返すことは困難だと判断したか、梔子の持ち手は鉄塊剣を受け流すように滑らせて、後方へと跳び退る。
「あ、あ、ああああ! お守りくだされ、晴明様ァ!!」
 その口から出てきたのは、悲鳴と助けを乞う言葉。それに従うように、屍人達の一部は敵将の盾となるように、そしてそれ以外は五劫とプロメテを足止めするように駆け出した。
「ええい、こんなものが護りだと――?」
 忌々し気にそれを振り払う五劫に続いて、プロメテはその剣に色濃い炎を纏わせた。彼女の怒りを表すように燃え盛り、炎は金色に輝く。
「人を人形のように扱う、それのどこが加護か!」
 そう、一人一人違う命を持つからこそ、人々は……そしてあの人は眩いのだ。だからこそ、その輝きを奪わせはしない。
 そんな決然たる言葉も、梔子を手にした彼には響かない。心動かした様子もなく、さらに後退して状況を立て直そうとする彼だったが、そこに、いつの間にか地面に降りていたアメリアが仕掛けた。
「離れて! 吹っ飛ばすから!!」
 仲間二人に警句を投げて、彼女は指先で地面をなぞる。
「そっこーでケリをつける!」
 瞬間、局所的な竜巻が吹き荒れる。『風の瞬き』、アメリアの発生させた渦は周囲の屍人達を巻き込んで、まとめて空中へと投げ上げた。
「う、おおっ!?」
 それは当然、竜巻の直撃位置にいた敵将も同様である。ミュージックスタート、自らの位置を仲間達への合図にし、自らも跳びあがったアメリアは、足場を失い、為す術もない屍人達の身体を次々と踏み台にして敵へと迫る。
 空中での戦いとなれば、彼女の右に出る者はそうはいない。同じく空中に投げ出された相手の死角へと素早く回り込み、縛霊手の拳を敵へと叩き込んだ――はずが。
「あああ、嫌だ! まだ死ねぬ! 某はまだ――!!」
「――うっそでしょ?」
 ぐるりと身体を捻って、無理やり突き出した刀で、アメリアの拳が防がれる。その衝撃を元に、空中を飛んで逃れようとする敵将だったが。
「でも、逃がさないからね!」
 拳が防がれるのを予見していたアメリアは、その五指を開いて、梔子の刃を握り込む。
「何――!?」
「よし、そのまま居てくれ」
 動きの止まった敵へ、五劫の鉄塊剣が、赤い軌跡を生み出した。
「う、ぐ、おぉ……!?」
 受け止めきることなど不可能な状態。斬り落とされた敵将の左腕が、斜めに裂かれた胴からは大量の赤が、零れる――!
「あ、がああああァッ!!?」
 次の瞬間、彼の身体が黒い炎に包まれた。ぶすぶすと肉の焦げる音と裏腹に、敵の胴の傷が塞がって、新しい左腕が生じていく。
「嫌だ! 嫌だ! 死ぬのは、ごめんだ――!」
「それを決めるのは、あなたじゃない……!」
 再生を続ける敵に、今度は背後側から飛び込んできたプロメテが剣を真っ直ぐに突き立てる。通常ならば、勝利を確信する一撃。だがその負傷もまた、黒炎が消滅させていく。
 プロメテを蹴りつけるようにして離れた敵将は他の仲間の身体を足場にしながら、反撃の刀を振るう。
「あっぶないなぁ!」
 アメリアがプロメテの手を引いて、その攻撃から身を逸らさせる。一歩、間合いから引いていた五劫の剣と、梔子がぶつかりあって火花を散らした。
「駄目だ、こんなところには、居られぬ――」
「……その意思、奪ってあげる」
 そこに追撃をかけるように、飛び込んだ志乃の身体が光に包まれる。
 『運命の問い掛け』、身体能力の向上、そしてその身体を構成する光は、敵の意思や感情を奪い取る力を持つ。
「ああ、あァ。しかし、某はァ……!」
 忘我の表情を浮かべながら、しかし刀から生じる黒い炎に炙られて、敵将は意識を飛ばすのに耐えている。力の拮抗は、しかしそれでもなお鋭い攻撃を放てる志乃が崩した。
 光の鎖で胴を捕らえて、苦し紛れの斬撃を躱しながら衝撃波を敵に叩き込む。吹き飛ばされた敵将は、光の鎖が巻き付いた場所で、真っ二つに千切れて落ちていった。

 眼下の森で、再度黒い炎が上がるのを、空中に居た猟兵達は揃って眼にする。
「うわぁ……そっか、あれでもまだやれるんだ」
「そうらしい。だが、頃合いだな」
 思わずアメリアが声を上げる。そしてプロメテが視線で示した先では、別の猟兵達の一団が、屍人達を相手に展開していた。ここから同じ場所に仕掛ければ、乱戦状態をさらに混乱させることになるか。
「仕方あるまい、こちらはこちらでやれる事をやろう」
 五劫が促すのに応えて、一行は味方が手薄な場所の屍人を殲滅するべく動き出す。最後に一度だけ、痛ましい、そんな表情で振り返った透が、翼を畳むようにしてそれに続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
しびと…
もう、しんじゃってるんだね
これ以上ふやさないように
…ねむらせなくちゃ

ぐ、と斧を握り
範囲攻撃
水晶屍人をかき分けるように
せんどうするなら前にいそうだけど
めいれいしてるなら後ろかもしれない
うーん
でもきっと、進む先が見えやすいところにいる
だとしたら、こっちからも見やすい場所にいるんじゃないかな
目線の高い位置にいるなら
シュネーにお願いして攻撃を仕掛け

あとは屍人がたくさんあつまってるところっ
守られていると予測して
武器受けにカウンター
どんどん屍人の中に入り
受けきれなければオーラ防御

素早く動く姿を見つけたら受けようと構える
きみは動いているけど、いきてないんだよ
だから、おわらせよう

刀を弾くつもりで攻撃を


蔵館・傾籠
水晶の屍。か。…いや、何も。個人的に散らしちまいたいだけだ。戦の覡を務める様になった切欠の一つなだけさな。
さて此度始めよう、彼処此方へ拡げよう、巡れや巡れ、【籠目籠目】。
戦場に伸ばす影は己の目と成り耳と成り。敵将を見つけたらば執着の蜘蛛の糸の如く、骸の海へ送るまで追い掛けてやろうな。
最優先は敵将を探し出す事とし、発見を他の仲間へ伝える事が可能ならばそれも念頭に。
敵勢を蹴散らす露払いは相棒の薙刀と共に。共闘の叶う猟兵殿が居たならば、彼等を護る壁に。力添えが必要とあらば存分に奮おうさ。
既に手の施しようがない者への対話は無駄と思うがね、せめて弄ばれ仮初に長らえた魂が癒えてくれる事を願うぜ。


マティス・ジュブワ
はぁ、こりゃまた大戦となったもんだなぁ
水晶生やした死人の群れと、それを率いるは壊れた男を操る梔子
……関所を護っていた男を滅びの尖鋭とするとはね、趣味のわりいこって

召喚するは百を超える機械兵器、十体ずつに別けて運用する
役割は他の猟兵達が将を索敵し、水晶屍人を倒す為の補助
要するに、屍共に抱きつかせて動きを封じさせる事により、倒す事を目的とする者にとっては倒しやすく、探す者にとっては障害としての脅威度を減らす

まぁ、戦闘力は低いから単体でなんとか出来るとは思えないが
……兵は神速を尊ぶ、他の猟兵達の足手まといにならん程度に動かせてもらうさ

と、本人離れた所で電子ゴーグルを装備して、まるで将の如く戦わせる


ジャック・スペード
水晶屍人か……
死を、そしてヒトの命を
愚弄しているように見えるな、コレは

仲間が敵将探しに集中出来るよう露払いを
戦場に到着次第、空に向けて銃を撃つ
其の音で屍人達の気を惹けたらと
知性のある将ならこんな陽動に乗らないだろう
コレで少しは探し易くなると良いが

群がる屍人達は召喚した炎の大剣を振り回し
炎の衝撃波で範囲攻撃して行こう
取り零しには零距離射撃で炎の銃弾を撃ち込み
囲まれた仲間がいれば援護射撃で道開く手伝いを

敵将発見後は屍人を蹴散らし其方へ加勢
剣振う腕に怪力込め此方も膂力で勝負しよう
衝撃波は剣で武器受けして防ごうか

屍人の有り様が幸福に見えるなど
その命を繋げる代わりに、ヒトのこころを失ったか
――気の毒だな



●地での戦い
 空を行く猟兵達が大軍に向かって攻撃を放っていた頃、地上でも別の一団がそちらへと仕掛けていた。それは山中を進行する彼等の、正面。
 がん、と大きく一つ、銃声が鳴る。合図のように、ジャック・スペード(J♠️・f16475)が天に向けて放った一発である。
「――ほう」
 感嘆にも似た声を一つ。届いた銃声によるものだろう、彼に気付いた水晶屍人達が、一斉にジャックの方を向いた。その虚ろな目、目、目。無数のそれは、彼が生身であれば悪寒を感じさせるようなものだったかも知れない。
「水晶屍人か……死を、そしてヒトの命を愚弄しているように見えるな、コレは」
 こんな見え見えの陽動に引っ掛かるなど――知性はもはや取りこぼして久しいのだろう。一斉にこちらに進路を変えた者達を一瞥し、彼はそう呟いた。
「そうか……もう、しんじゃってるんだね。これ以上ふやさないように……ねむらせなくちゃ」
 同じように、この光景の意味を悟り、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)も残念そうに、声を落とす。
「せんどうするなら、前にいそうだけど……めいれいしてるなら、後ろかな?」
「どちらもあり得るな。だが、その辺りの『探索』は任せられるだろう」
 敵将を速やかに見つけたい状況だ、居場所を予想するオズに、ジャックがそう返す。指し示されたのは空から示す仲間達と……。
「……ああ、でも俺も皆と前進しながら探りを入れる事になる。あまり期待はしてくれるな」
 蔵館・傾籠(傾籠の花・f11800)がそう答え、相棒たる薙刀で地面を突いて、瞑目。
 水晶の屍。これから立ち向かうこれらは、戦の覡を務める様になった切欠の一つだ。個人的にも、ここで散らしてしまいたいところ。
「さて此度始めよう、彼処此方へ拡げよう、巡れや巡れ」
 籠目籠目。詠唱と共に、生じた影達が、敵の軍勢の合間を抜けるようにして走り出した。
「さて、じゃあ俺は足止めに回るとしよう」
 そう仲間達に言い置いて、マティスは敵から距離を取るように背を向ける。
「だいじょうぶなの?」
「ああ、森はエルフの領分だ、そう簡単には見つからねぇよ」
 オズの問いにひらひらと手を振って返し、マティスは森の中へと向かっていく。目元を覆うように装着した電子ゴーグルには、俯瞰と各地の敵の映像が映し出されていた。
「はぁ、こりゃまた大戦となったもんだなぁ」
 溜息を一つ。エレクトロレギオンが発動し、彼に代わって100を超える機械兵が戦列に加わる。
「いや、しかし……関所を護っていた男を滅びの尖鋭とするとはね、趣味のわりいこって」
 まだ見ぬ黒幕を見据えてそう呟いて、彼は自分の『軍隊』を操作し始めた。きっと、この盤面の向こうには、黒幕たる彼等が座っているはずだから。
 10体で1組の隊を作った機械兵達が、猟兵の周りに展開し、彼等を援護すべく動き始める。先兵として、または壁として、屍人に立ち向かった機械兵達は、敵を捕まえ押し倒すように飛び掛かっていく。
「では、こちらも行こうか」
「うん!」
 シャックとオズの手の内で、それぞれにガジェットが展開する。ジャックの手の内には炎を放つ大剣が、そしてオズの手には蒸気を吹き出す大斧が握られる。
 迫り来る波を掻き分けるようにして、彼等は進んだ。エレクトロレギオン達が敵を足止めし、一ヶ所にまとめ上げたところをジャックの炎剣が薙ぎ払う。痛みで動きを止めるような相手ではないが、身体を蝕む炎は確実に敵を戦闘不能に陥れていくだろう。
 元々、この程度の相手に後れを取る猟兵達ではない。傾籠の無銘の薙刀が先頭の数体を纏めて薙ぎ払い、空いたスペースに飛び込んだオズの大斧が、真っ直ぐに突き立てられてさらなる突破口を作る。怯む事なき屍兵達は、構わずそこに喰らいついていくが、防御に長けたオズの大斧に阻まれ、喰らいつく事が出来ない。
 彼を守るように踊る人形、シュネーが背中に迫る者を貫いて、ジャックが空いた手に持ったリボルバーが、さらなる炎弾で援護射撃を行う。その銃声にさらなる敵が迫ってくるが、炎の衝撃波が、まとめてそれを迎え討った。
「……中々に忙しいな」
 壁の一角として彼等と共闘しながら、傾籠は五感を共有する追跡者達に意識を回す。
 そんな戦いが続く中で、彼等の『センサー』は、空から落下してきたそれを視界に収める事になる。

 人が、空から降ってくる。それはアメリアが巻き上げた竜巻の影響によるものだが、森の中で地上の群体を掻き分けていたこちらの猟兵達には、それは認識できていない。だが。
「……居たか」
 追跡者ごしにそれを見た傾籠が、その目を細める。刀を手にしたそれが、敵将であるのだと彼はすぐに把握する。同じように、展開させたレギオンを通してそれを見たマティスも、少しばかり表情を歪めた。
「おいおい、これはまたエグいな」
 上半身と下半身に切り離されながら、なおかつ落下の衝撃で下になった左半身は無残につぶれている。けれどそんな身体に燃え移った黒い炎が、ぶすぶすと肉を焦がす音を立てながら『癒やしていく』。
 苦悶と悲鳴の中で身体は繋がり、潰れた左半身が形を取り戻していく。
 ……ああ、生きてはいるだろうが、これは水晶屍人になるのと、果たしてどちらがマシなのか。
「敵将の場所を把握した。俺が先導する」
 露払いと案内を申し出た傾籠の言葉に同意するように、後方から追加された機械兵達が敵陣に飛び込み、極力真っ直ぐに、道を開いていく。恐らくは、マティスも後方で似たようなことを言っているのだろう。
「――ま、足手まといにならん程度に動かせてもらうさ」
「もう逃がさん。骸の海へ送るまで追い掛けてやろうな」
 体勢を立て直し、逃れようとしている敵将の元へ、猟兵達が進んでいく。最後の壁を薙刀で叩き切った傾籠はついにその目で、憔悴した様子の敵将を見た。
 ――既に手の施しようがない。対話にさほど意味は無いだろう。せめて安らかに、酷使された魂が癒やされるように、彼は願い、それを仲間達に託した。
「こっちへ、来るなァ!」
 衝撃波による不可視の斬撃。梔子から放たれるそれを、傾籠から入れ替わるようにして前に出たジャックが剣で受け、流す。刀身が、腕が軋むのに構わず、前に出た彼は大剣を叩き付けるようにして振るった。
 炎のスペードの印章を輝かせ、大剣が梔子に喰らいつく。だが、それだけでは押し切れない。ジャックに膂力で拮抗しうるなど、一般人には到底無理な話だ、このオブリビオンである刀が、それに手を貸しているのだろう。
 逆に押し返すようにしてジャックを振り払い、敵将は回り込んでいたオズへと梔子を振るい、大斧の一撃を打ち払う。
 しかし。
「もう、守ってくれる人は来ないからね」
 シュネーと共に辺りの屍人を叩き伏せたオズが言う。マティスと傾籠も少なくともしばしはここに敵が近づかないよう動くはず。
「ええい、寄るな! 無駄だ、無駄! 我等は死を超越した! 貴様らがいくら足掻こうとも――」
 苦し紛れの言葉と共に走る刃を、今度は地に大斧を突き立ててオズが止める。だがその延長線上へと届く衝撃波が、彼の身体を深く斬り裂いた。
「くっ――!?」
 服が裂け、その身に深く傷を負う。負傷を伴いながらもオズが敵の動きを止めたところで、ジャックの零距離射撃が放たれる。
 押し付けられた銃口が数度、銃声の度に跳ね上がる。
 巻き上がる炎、肉焦がす赤い炎の中に、溢れ出した黒い炎が混ざり込む。
「あ、がああああァ!!」
 火傷を上書きするように、治癒の炎が燃え広がる。
「その有様で、何が幸福だ」
 ああ、彼等も、この男も、確かに死を越えたというのはその通りだろう。目の前の敵の様子に、ジャックが言う。
「その命を繋げる代わりに、ヒトのこころを失ったか――気の毒だな」
「な――なんだその言い様は! 貴様に同情される筋合いは無い! 不幸などであるものか! 某は、彼等は、死ぬことなくこうして生き永らえて、動いているではないか!!」
 怒りに任せた刺突を、ジャックが上からの刃で叩き下ろす。強化された敵の技量を鑑みれば、へし折るには至らないが、今はそれで良い。
「きみは動いているけど、いきてないんだよ」
 オズが、思わず哀れむような声を出してしまった彼が、既に大斧を振りかぶっている。
「――だから、おわらせよう」
 低い音を立てて、一抱えもある重いものが、地へと転がり落ちた。


 黒い、真っ黒な炎が、転がり落ちたそれを焼き尽くす。
「――え?」
 そして次の瞬間には、力無く膝を付いていた死体の首から、同じような炎が上がっていた。
 か、ひゅ、そんな音を立てて、喉が空気を行き来させて、死体だったはずのそれは、跳ねるようにして猟兵達から離れていった。
「まだ、ねむれないんだね」
「……そういうことになるな」
 オズの言葉にジャックが頷く。すぐにでも後を追いたいところだが、こちらも負傷している。ここはまずは、味方への通信を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

法月・フェリス
【む兄】
基本は名前+君、シノギにはキャプテン呼び。志蓮は志蓮。

志蓮のサポートをしつつ、山の上から敵軍を観察するよ。
世界知識、野生の勘、地形の利用で崖崩れが起こしやすそうな場所を先に見つけておく。

敵軍を混乱させた後は戦場を俯瞰できる高い場所から視力、情報収集、迷彩の技能で状況を見つめる。
指揮は波状に伝わっていくものだから、その出発地点を見つけよう。あるいは戦場を動き回る伝令役を見つけ出し、彼らの集まる場所を見つければ将が見つかるはず。

見つけたらユーベルコードで味方猟兵と情報交換。
敵軍の動きは対応出来そうな人に伝えていくよ。
それが終われば志蓮の狙撃の演算補助。何度だって頭を撃ち抜かさせてあげる。


法月・志蓮
【む兄】
基本的に名前呼び。シノギはお頭、フェリスはフェリ

山間を進軍してる、って事は隊列は伸びてるだろうな……ならこうしよう

隘路となっている地点でフェリに聞いた内容を元に【早業】で【破壊工作】を仕込み、意図的に崖崩れを起こして敵軍を分断しよう
分断されれば指揮系統が混乱するだろう。統率されてない屍人なら侍でも対処できるらしいし、役に立ってもらおう

分断後の混乱の様子を山の上から【視力】【戦闘知識】を活かしてフェリと共に観察。立て直そうと指揮を取る将を見極める
発見できたら攻撃開始だ。《致命への道筋》で【狙撃】するぞ
暴れまわる無敵の馬鹿どもが隙を作ってくれる度に、何度だって急所を撃ち抜いてやるさ


ウィルバー・グリーズマン
【む兄】
うわぁ、多いですね
ここは魔本の力を借りるとしましょうかね……

まずは魔本を輝かせて、【ハイパーカウンター】状態になります
次に、近くにいるアニーの頭を魔本でちょっと小突きます。
……ほんのちょっとの威力ですよ、ええ
いやぁ、申し訳ない!(反省してない顔で)

後はもう、相手の攻撃を待つだけです
魔術【タイムクリエイト】で自身の周囲(自分は巻き込まない)を低速化
敵の斬撃をカウンターで9倍にして叩き返し……どうかしましたか、トウキ?

うおっと、マジですか!
単純ですがあれ当たるとヤバいですね
魔術によって動きは鈍りますので、格闘戦闘知識で拳を敵に受け流しながら逃げます

何でしょう……割と楽しいですね、この組手


シノギ・リンダリンダリンダ
【む兄】
あの水晶がお宝的に気になりますが…まぁ真面目にやりますよ

アニー様やフェリス様がサポートしてくれていますし【飽和埋葬】で召喚した死霊を4体1グループにして戦場にバラまきましょうか
敵が多いですし敵を盾にしたり、乱戦で傷ついた傷口をえぐったり
わんこ様の無茶な技もまぁ利用させてもらいましょう

アニー様を保護する会として小突いているのが気になりますが…
今はしょうがない事にしておきましょうか。トウキ様の相手も大変でしょうし

ボスを見つけたら私も前線出ましょうか
死霊達に道を作らせて、悠々と歩いていきます
近づいたら残ってる魔力を込めて【力いっぱい殴るだけ】
志蓮様の援護もあるし動けませんよね?当てますよ?


アニー・ピュニシオン
【む兄】の皆で参加するね!
っと、痛っ!ウィルバー先生、なにもう!(ぷくー)

…ここはゾンビの映画の世界みたいでとっても怖いね。
今回のアニーは、素敵な仲間達がいるから少し怖くないけれど、
見逃したらきっとたくさんの人が怖い目に会っちゃうから。

UC【Love※Crime】(SPD)で、アニーの背後で浮遊する光剣を増やし、
暴れている先生達に関わらず、ボスへの道を邪魔する水晶屍人さん達に突き刺す。
仲間がボスの元に辿り着いたら、屍人さんが仲間に近寄らないようにするね。
余裕があればボスの足止めもするよ。

最大の目的は、ボスを倒すことです。
その為なら、ある程度の事はやむを得ないものとします


野良・わんこ
【む兄】
「そう! わんこが! きた!!」
いい感じのピンチに現れてアブソリュートフレンズを使用。
会った事があればだいたい友達。
全員に無敵を付与する。
「無敵ですよ! いわゆるスター状態! さぁさぁどんどん突っ込んでください」
自身も敵に突っ込み「念動力」「吹き飛ばし」「衝撃波」で敵を派手にふっとばす。
敵将? 知らぬ。わんこは無双したいだけです。
「ワハハ。見ろ、人がごみのようですよ!」
折れた大木を念動力で操作。振り回してどんどん敵を吹き飛ばしましょう。
「これぞテキサス竜巻地獄!」
ついでにダイナマイトもばらまいておきますかね。


トウキ・ウィンター
【む兄】
あ〜、アタシこれ知ってるわ!ゾンビね!映画で見たっ💕
え、違うの?ふーん…ま、なんでも良いけど…仲間と弱い奴に手ェ出すってのは許せないわね。

カウンター…。ウィルバー、アニーを小突いてたのは流してやるから、アンタちょっと動くんじゃないわよ?
Fistで地形を破壊しつつその衝撃でウィルバーを殴ってカウンターを発動させる
アニーとシノギは逃げて〜っ😭
わんこは…大丈夫でしょ。
アタシはGuardすれば無傷だけど、敵は蹴散らされるから繰り返せば雑魚殲滅!
後はシレンかフェリスが大将を見つけるか、アタシらで見つけちゃえばRushを決めるだけ!

組の頭が下のモン傷付けてンじゃあ無いわよ。
ふてぇ野郎は死にな。



●蛮族
 ここ、サムライエンパイアには通信機、電話等はまだ普及していない。それでもおそらく、双方向通信可能な機器を持ち込むことはできるだろうし――。
「動いたそうだ。よかったね、まだ我々にも出番はあるようだよ」
 ユーベルコードという手段もある。『遠方よりの打開の声』、双方向に声を伝えるその力を駆使し、先行した猟兵達から情報を得る。法月・フェリス(ムーンドロップ・スポッチャー・f02380)はそうして、傍らの法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)にそう伝えた。
「ああ、安心した。仕掛けは無駄にはならなさそうだな」
 無論、敵将が生き残っている事に『いいこと』など一つもないけれど。真剣な面持ちのまま、冗談交じりの言葉を交わして、二人は揃って山の上から景色を見下ろす。
 溢れる緑の合間に、蠢く敵の一団を透かし見ながら。
「……喉元に食いつかれたわけだよね、敵のリーダーは。『これ』をやっても、今は自分のことで手一杯で反応がないかもしれないよ」
「それならそれで構わないだろ、屍人を減らす良い機会だ」
 それじゃやるか、と告げて、志蓮はあらかじめ仕掛けておいたそれを起動した。フェリスの情報分析と共に、選ばれた地形に施されたそれは、容易に崖崩れを引き起こした。
 もともと隊列などあったものではないが、集団を引き裂くようなそれで、指揮系統は大いに乱れるだろう。
「あとは、まぁあいつらが上手くやるだろう」
「ああ、そうだね」
 だと良いけれど、と苦笑するフェリスは、改めて狙撃銃を手にした志蓮に続く。
 敵将の場所を見定めて、そこに稲妻を降らすために。

「――了解です。では私も死霊を使って対応します。ところでフェリス様、あの水晶ってお宝的にはどれくらいの」
 残念ながらそこで通信が途切れたらしい。シノギ・リンダリンダリンダ(ロイヤルドレッドノート船長・f03214)はとりあえず、召喚した死霊達を敵陣にバラまくことにした。数の多い敵戦力への牽制、そして探索用だ。
 何にしても、指揮系統が乱れたとはいえ敵の数が――。
「多いですね」
「あ~、アタシこれ知ってるわ!」
 ため息を吐くウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)の横で、トウキ・ウィンター(桃鬼・f01434)が歓声を上げる。そう、どこかの映画で見たような。何となく言いたいことを察して、アニー・ピュニシオン(小さな不思議の国・f20021)も口を開いた。
「ゾンビの映画?」
「そうそれよ!」
「ここに居るのは、正確には『水晶屍人』ですけどね」
「それ何か違うの? ま、なんでも良いけど……仲間と弱い奴に手ェ出すってのは許せないわね」
 ウィルバーの解説を聞きつつも、トウキとしての判断基準は変わらない。
「怖くはないですか?」
「とっても怖い……けど」
 シノギの問いにアニーが言葉を濁す。弱冠7歳の彼女にこの光景は中々重いだろう。素直な感想はそれだが、しかし。
「けど、皆が居るから大丈夫」
 そう、捨て置けない使命があり、心強い味方が大勢居るのだから。
 そんな彼女の後頭部に、本の背表紙が落とされる。
「痛っ! ウィルバー先生、なにもう!」
「いやぁ、申し訳ない! 何しろこうしないと僕の寿命が持っていかれてしまいますから!」
 頬を膨らませるアニーに、朗らかな笑みでウィルバーが答える。魔本の輝きと共に力を得るこのユーベルコードは、定期的に味方を攻撃しないと寿命を削る危険なものだ。まぁ、今の一撃で帳消しに出来るのなら、大したデメリットではないが。
 とはいえ、とシノギが顎に手をやって吟味を始める。とりあえず、この場の『アニー様を保護する会』を代表して答えを出す必要があるのだ。
「待ってください、今アニー様を小突いたのとウィルバー様の寿命とどちらが大事か考えていますので」
「えっ」
「アタシ、仲間に手ェ出す奴は許せないって言わなかったかしら?」
「あっ」
 普通、ちょっとした一撃と寿命なら比べるべくもない気がするが、ここでその主張が通るかは別問題である。
「そんなピンチに! そう! わんこが! きた!!」
 この混迷の状況を打開すべく、野良・わんこ(灼滅者・f01856)が颯爽と現れる。
「ピンチでしたか?」
「僕のピンチかも知れません」
「よくわかりませんがわんこにかかれば万事解決です! はい、全員無敵! スター状態ですよ! じゃあどんどんやっちゃってください!!」
 雑な輝きと共に空間が塗り替えられ、わんこが『仲間』と認識した全てが揃って無敵になった。
「む、無敵……怪我しないってこと?」
 感嘆の声を上げるアニーの横で、トウキがウィルバーを手招きする。
「丁度良いわ、アンタちょっとそこに立って。カウンターできるんでしょ?」
「ええ、まぁ……どうかしましたか、トウキ?」
 魔本を輝かせたままの彼に向かって、トウキはおもむろに拳を振り下ろした。単純で重い拳の一撃は、ウィルバーの展開する時への干渉によって遅くなり、ウィルバーの手で逸らされる。
「うおっと、マジですか!」
 そして、そこからカウンター。九発同時に放たれる反撃の魔弾が、トウキを中心としたそこに着弾。無敵化したトウキはともかく、その周辺の屍人達が巻き込まれ、貫かれる。
「よーし、狙い通りだ、このままいくぜ?」
「このままって……繰り返す気です?」
 その通り、と笑ったトウキは、移動しながら次々とウィルバーに攻撃を加えていく。そして、その度の放たれる反撃によって、屍人達は次々と倒れていった。
「何でしょう……割と楽しいですね、この組手」
 ひたすら周りを巻き込む丁寧な仕事の合間に、わんこも魂が赴くままに働いている。
「ワハハ。見ろ、人がごみのようですよ!」
 巻き起こるのは他より一歩進んだ暴力のようなもの。衝撃波を撒き散らすのに飽きたのか、今度は念動力で浮かせた大木をぶんぶんと振り回し始めていた。とはいえ、それでももの足りなかったのだろう、最終的には高笑いと共に、ダイナマイトをぶん投げ始めた。
「どうですか! これぞテキサス竜巻地獄!」
 なんかもう地形がどんどん変わっていくが、きっと目的のためにはやむを得ないことなのだろう。

「……無茶苦茶だな」
「そうだねぇ」
 でもらしいと言えばらしいのかも知れないよ。大暴れする仲間を見やりながら、志蓮とフェリスはそう言葉を交わす。そして。
「――ようやく見つけた」
 志蓮がスコープを覗きこんだ。
「頼むぞ」
「ええ、何度だって頭を撃ち抜かさせてあげる」
 そしてフェリスが、狙撃のための演算補助に入る。

 敵将が近くに居る、フェリスからそんな連絡を受けて、アニーはそちらに向けて光の剣を展開する。『Love※Crime』、十字架にも似た彼女の光剣がずらりと並び、アニーの意思に従って飛翔する。
「道を開けてもらわないといけないから……我慢してね」
 あるものは正面から突き刺してその場から離れさせ、またあるものには上空からの刃でその場に縫いとめていく。
「それでは、私も前線に出ましょうか」
 シノギもそれに手を貸して、彼女の操る死霊達が、取りこぼしを抑え込み、道を作る。そこを悠々と歩いて、シノギは梔子の持ち主へと向かっていった。
 そして、当の敵将はと言えば。
「……なッ、今のは……!?」
 降り注ぐ稲妻に、何が起こったのか分らぬ様子で膝を付いていた。否、右足の膝から先が吹き飛んでいる。咄嗟に彼が出来たのは、刀を自分の影へと隠すことだった。
 ぱっと血の花が咲いて、彼の頭部に風穴が開く。雷鳴のように、一瞬遅れて銃声が届く。志蓮による狙撃である。
 刀から燃え上がる黒炎が、すぐさま敵を再生させる。狙いから逃れるべく走り出した敵は、またすぐに頭を撃ち抜かれて体勢を崩した。
「ぐ、あ、やめろォ……!」
 苦悶の声と共に、刀を振って『そちら』に斬撃を飛ばす。それにどの程度の効果があったのか、ここからでは窺い知れないが。
 そこに降り注いだ光剣が、彼を地に縫いとめる。
「ごめんね、痛いよね。でも――見逃したらきっとたくさんの人が怖い目に会っちゃうから」
 苦しげに言うアニーに代わって、シノギがそこへ進み出る。両の拳に魔力を纏わせて。
「動かないでくださいね。当たらないので」
 淀みなく歩き、構える。
「――とは言っても、動けないでしょうが」
「組の頭が下のモン傷付けてンじゃあ無いわよ。ふてぇ野郎は死にな」
 シノギとトウキの拳による連打が、敵将を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
――そもそも。
『彼』が死に至った理由とは何だったのでしょう?
それすらもオブリビオンの計略の内だったとすれば…
哀れな事だと。

ま、手心の理由にはなりませんが。

将たれば。
士気を上げるなら先陣、重宝されるなら後ろ…ってのが定石でしょうが。
…数に飽かすなら、後者?

家々や木々へと鋼糸を張り。
時に引いては屍人の首を狙い斬り、時に綱代わりに高所への移動へ用い。
敵の密集度、纏う気に、侍らしき衣装や鎧…
戦闘知識に視力にと、所在や方角くらいは見極めたく。

後は地に降り、巡らせた鋼糸を存分に活用。
範囲攻撃…には留めません。
眼に映る頸、全て落とすくらいの心算で。
UC――拾式。

せめて骸の海へと還す…
其処迄の道を拓きましょう


櫛橋・綴
◆(f02575)と同じ戦場

【地形の利用】【第六感】
『長針』からこの地の情報を吸い上げる
大将さんがいるとすれば
山間の見渡せるような…高いとこ?

「ね、おにーさんどう思う?」
お札を持つ巫女服の彼に問う
初めて会った人なんだけどね
同じ仲間なんだし話しかけても良いよね?

まるでゾンビだね
和製ぱにっくほらーだ

力になれるならば、と此処に来たのだから
これ以上増えないようにお手伝いしますかー、と
ぎらぎら水晶を生やした屍達を見やって

『短針』を指揮棒のように振るい
白い霧を喚び出す
それは「氷の属性の霧」
気道を通って身体の中から、足元からじわじわと
冷や冷やと動きを奪って屍達を侵食する

さ、リーダー目指してどんどん進もー


相楽・銀之介
同族の気配を察した(f00747)
兵を指揮する将ならば全体を見ているはず。
高い場所ならば全てを見渡せよう

「探し物をするのは得意なんだ。」
犬神たちは自由気ままに姿を隠してしまうから
探す術は自然と身についてしまったと苦笑◆失せ物探し

護符揃え『八頭一式』は犬神として顕現し共に戦う
さぁ行こう、お前たち。
私たちの大切な地を守りに。
かける言葉は穏やかだが決意を込めて

この地に生きる人々の想いで生まれた神として
人を想い慈しむ気持ちは捨てられんよ

ならばこの身にできることをしようと力を振るう
犬神達は全力魔法相当の動きを行う

【破魔】の力が宿る護符による五芒星型の結界
閉じ込めた敵にダメージもしくは味方を守る結界となる



●道を拓け
 敵の軍勢が、破壊工作や無敵化を駆使した猟兵達の攻撃で大きく揺れ動いている頃、別方向からもアプローチをかける者達が居た。
「将たれば――士気を上げるなら先陣、重宝されるなら後ろ…ってのが定石でしょうが」
 乱れる敵集団の動きを見ながら、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)が予測を口にする。まずは動き出すに当たって、敵の位置を絞り込みたいところだが。
「それか、指揮をとるなら、山間の見渡せるような……高いとこ?
 櫛橋・綴(真鍮撥条・f00747)もまた、そう言って首を傾げる。じゃらりと落とした鎖――『長針』と呼ばれるそれから地の情報を得て、それ向きのポイントを確認し始めるが。
「ね、おにーさんどう思う?」
 ふと、気まぐれに、初めて見かける巫姿の同族へと話を振った。そうして声をかけられた彼、相楽・銀之介(八頭一神・f02575)は、少し考えるようにしながらそれに答える。
「確かに、兵を指揮する将ならば全体を見ているはず。高い場所ならば全てを見渡せよう」
 ああ、とそれに頷きながらも、状況の分析を続ける。
「とはいえ、それは『この世界の、通常の軍であれば』……という条件がつくが」
「どういうこと?」
「この……彼等は、江戸を目指して行軍中だ。高台のキープなどを試みるには、まだ早かったのではないかと思う」
 ふむ、と横で聞いていたクロトもそれに付け加える。
「今回は敵の事情もあるようですし、ね」
 そう、この集団のリーダーとなっている男は、元々支配者ではなく実力でのし上がったわけでもない。集団の移動に合わせて、共に歩いている公算が高い。
「(そもそも、『彼』が死に瀕した理由は何だったのでしょうか……)」
 言いつつ、クロトの思考はその人物の人となりへと向けられる。普通に考えれば、それは水晶屍体の初期材料を探す際に行き合った、ということになるだろうが。
 哀れなことだ、と彼は心中で呟いた。
「ふうん、それじゃ、探しながら進もうか」
「ああ、そうしよう。……大丈夫、探し物をするのは得意なんだ」
 綴の提案に乗って、銀之介は護符を数枚散らす。舞い踊るそれは彼の声に従って、犬神達をそこに顕現させた。――従えたこの犬神達は自由気ままに姿を消してしまうから、銀之介自身も探し物が得意になってしまった。そんなことを思い返しながら。
「さぁ行こう、お前たち。私達の大切な地を守りに」
「ふうん、それじゃ俺も、これ以上増えないようにお手伝いしますかー」
 ぎらぎら水晶を生やした屍達を見やって、綴は『短針』を指揮棒のように掲げる。生まれたのは、白く輝く氷属性の霧だ。日光を反射するその眩い闇の中に、犬神達が溶け込んでいく。
「さ、リーダー目指してどんどん進もー」
 どこか緊張感のない言葉もまた、広がり行く霧の中に染み込んでいった。

 屍人達にちゃんとした意思があれば、突然生じた白い霧に疑念を抱いたことだろう。だが躊躇せずその中へと歩いて行った屍人は、体に張る霜と、鈍り行く足の動きに気付いたことだろう。
「和製ぱにっくほらーみたいな状況になったね」
「なるほど、わからなくもないです」
 綴のそんな感想に、霧の中でひと働きしていたクロトが答える。彼が得物としているのは、鋼糸。白い霧の中、森の中で張り巡らされたそれは、トラップとして十分な精度を誇るだろう。
 それだけに留まらず、武器として。指先の動きだけで鋼糸の一本を波打たせ、クロトは手近な一体の首を切断する。
「可能なら、早々にリーダーを特定したいのですが……」
「ああ、だが分らない内は、道を拓いて進むことに専念しよう」
 十分に犬神達が展開したのを感じ取りながら、銀之介は彼らへと呼びかけを始めた。
 ――この地に生きる人々の想いで生まれた神として、人を想い慈しむ気持ちは捨てられない。
 今はただ、できることを。きっと元は善良な人々であったろう屍人達に、犬神達は牙を剥く。その威を示した犬神により、敵は一体、また一体と霧の中に沈んでいった。
「方角くらいは特定できそう?」
「ああ、守りが厚い方、くらいは示すことができそうだ」
 銀之介の張り巡らせた即席の結界の中で、彼と綴は言葉を交わす。彼らの能力は、どちらかと言うと進軍する連中の足止めに向いている。その役目は十分に果たせたと言えるだろう、だから。
「こちらから進むのは、彼等に任せよう」
「適材適所だね。せっかくだし、もっと突出してもらおう」
 そんな仲間達に最高の形でバトンを渡すため、二人はもう一度その力を振るった。

 森の中を張り巡らせた糸を足場に、木々の合間、まるで空中に立つようにして、クロトも二人と同様の決定を下していた。
「せめて骸の海へと還す……其処迄の道を拓きましょう」
 ――拾式。ただの罠には終わらず、能動的に、張り巡らされた糸が敵に襲いかかり、一帯に鋭い斬撃を放ったように、まっすぐ道を形作った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花剣・耀子
何処に居るのか判らないなら、
敵将を鎧う屍人を剥ぎ取っていくとするわ。

機械剣のトリガーを引いて加速。
敵の只中に踏み込んで、斬り飛ばして征きましょう。
なるべく広範囲、視界に入る屍人すべてをなぎ払うように。

手応えが他と違ったり、
途中であたしの刃を止められたならアタリね。
おまえ、この程度では一緒に斬られてくれないでしょう。
可愛げの無い刀だわ。

死にたくない、消えたくない。
そのこころを否定することはできない。
その願いが、間違っていたわけじゃない。
――とはいえ、おまえがヒトを遣うのは、武器の領分を過ぎているのよ。
手放すまで斬り果たす。


死んでも、消えても、遺るものはあるのよ。
きっと、判らないのでしょうけれど。


白波・柾
俺の故郷の世界の位置大地とあるならば、この刃を振るうに足りる理由だ

水晶屍人に対する、ボス狙いの猟兵たちの露払いを行おう
「戦闘知識」と「地形の利用」を併せて利用しつつ
ひとを襲う個体を優先的に攻撃目標へ抽出
そのうち、集団でひとに襲い掛かる敵がいるならば最優先に
「殺気」を放ちこちらに「おびき寄せ」て意識を向けさせてから、
「なぎ払い」を併用した【正剣一閃】で攻撃する

攻撃を受けそうならば「見切り」を使用し相手の攻撃モーションを読み切り
「オーラ防御」からの「カウンター」かつ「シールドバッシュ」で反撃を行いたい
ボスを含めた敵に味方が襲われているなら「かばう」を使用し
攻撃を受ける時と同様に対処したい


芥辺・有
……うじゃうじゃと壮観だね

さっさと将を見つけ出せたら楽なんだが
とりあえずは目の前の奴らを退かさなきゃ進めやしないか

ある程度奴らを倒しつつ、こっちも辺りを窺う余裕がほしい
落ち椿で杭を花びらに変えて、周囲の水晶屍人を蹴散らす
花びらを潜り抜けて近付いてくるようなのがいれば蹴飛ばして倒しながら
周囲を窺う余裕ができたら水晶屍人の動きを観察する
屍人の動きの流れを読みつつ奴らの来る方向へ目星をつけるが、さて
まあ、最終的には第六感てやつか

もし大将を見つけたなら攻撃は見切り避けつつ、或いは戻した杭の蚦蛇で屍人を盾にしながら近付いて
懐に一息に潜り込んで、捨て身の一撃で蹴り飛ばす
……隙ができたなら串刺しに


菱川・彌三八
…その刀ァ見覚えがある
消えねェのか
何度も、そうやって
いいサ、お前ェさんがもうこれ以上はやめてくれと泣いて縋るまで
折り続けちやる

なァおい、この魍魎共はもう元には戻らねぇのか!
誰に聞くでもねぇが…胸糞悪ぃな
ぶっ壊すしかねぇなぁ分かってらァ
だからこうして、波を描くんでェ

大きくかちあげるように筆を振れば、うねる大波、弾ける白波
こいつで一気に押し流す
俺ァ兎に角数減らす方に尽力しちやるぜ
その刀持ってる奴ァ、みつけたら叩き潰せ
人様の気持ちをもてあそぶ、くそやろうサ

持ち主が何願ったか知らねェが、止めにゃならねぇ
ああ、死にたくねえか、あいにく俺もさ
怨霊なんざ絵空事だけで足りてらぁ
だが、未練くらい聞いてやる



●進む者たち
 故郷の世界の一大事とあらば、この刃を振るう事に迷いはない。
 大太刀のヤドリガミである白波・柾(スターブレイカー・f05809)は、決意を殺気の形で表出させる。それに中てられた屍人達は、揃ってそちらに向きなおる。進軍よりもそちらを選んだ水晶屍人達は――。
「俺の一刀―――受けてみろ!」
 正剣一閃、水平に薙ぎ払われた妖刀の閃きに、胴を両断されて倒れ込んだ。崩れ落ちて呻く屍人踏み越えて、さらなる敵が彼に迫る。
「……ほんと、うじゃうじゃと壮観だね」
 それらの第一波をまとめて蹴り飛ばして、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)が呆れたような声を上げる。既に仲間達の後押しを受けて進んで来ているというのに、まだ敵の圧力は和らいだように思えない。
「掻き分けてでも進むしかないだろう」
「そうね、何処に居るのか判らないなら……」
 敵将を鎧う屍人を剥ぎ取っていくまで。花剣・耀子(Tempest・f12822)が機械剣のトリガーを引いて、回転する刃を起動させながら宣言する。
 先程の礼と言うわけでもないだろうが、囮替わりに前に出た柾が、屍人達の伸ばす腕を戦盾で阻み、逆にそれで殴りつけるようにして押し返し――。
「「邪魔」」
 頭を下げた柾の上を、耀子の一閃が通過していき、赤い花弁の群れへと姿を変えた有の杭が、敵の合間を吹き荒れていく。ある者はまた真っ二つにされ、あるものはずたずたに裂かれて地面に転がる。そんな光景を気にしてかはわからないが、菱川・彌三八(彌栄・f12195)が声を上げた。
「なァおい、この魍魎共はもう元には戻らねぇのか!」
 それは、そう。きっと誰もが一度は考えてしまう可能性。ゆえに、それでも問わざるを得ない気持ちは、誰も否定することはできない。
「戻ったって話は聞かないね」
「あァ――じゃあぶっ壊すしかねぇなぁ分かってらァ!」
 彌三八の指が絵筆を操り、その場に青く、力強い波が描かれる。かち上げるような仕上げの一振り、それを皮切りに、深い青を湛えた大波が顕現し、付近の屍人達をまとめて呑み込み、押し流していった。
「ああ胸糞悪ぃ、さっさと行くぜ」
 豪快な技の冴えを以てしても気分が晴れないのは当然のこと、不機嫌そうに進む彼に続いて、四人は進む。
「さっさと将を見つけ出せたら楽なんだが」
「今まで蹴散らした中に大将が居るって可能性は?」
「ないわね、そんな可愛げのある相手じゃないわ」
 そんな言葉を交わしながら前進を続け――。

 ……そうして彼等はそこに至る。この軍勢の指揮官たるそれは、拳での攻撃を得意とする二人の猟兵の攻撃に晒され、人体として半壊したような形で吹き飛んできた。
「あァ、痛い、い……だ……」
 呻きながらも刀を握ったままのそれは、巻き上がる黒い炎に包まれて、ゆっくりと立ち上がった。ありえない再生速度で、失われていた体が元の形に戻っていく。
「その刀ァ見覚えがある……消えねェのか」
 彌三八がその眼を細めて、眉間に皺を寄せながら言う。彼は、かつてそれと相対した事がある。人心を惑わす魔の刀、その時の被害者は自身を無力と断じた少年だったが。
「いいサ、お前ェさんがもうこれ以上はやめてくれと泣いて縋るまで、折り続けちやる」
 絵筆の先が再度、青を取る。
「おめぇ達も知ってるかい? ありゃあ人様の気持ちをもてあそぶ、くそやろうサ」
「そうね、知ってるわ」
 機械剣を手に、耀子が応じる。こちらも、あれと一度戦った経験があるのだ。歪んだ形で願いを叶える特性があるのか、それともただ力があれば人は狂うのか、抱いた印象はきっと人それぞれだろう。
「お主等も……某を殺しに来たのか? なぜ、こうも……!」
 これは、怯えの色か。目の奥のそんな気配を察しながら、耀子が剣の駆動音と共に飛び込む。瞬間の一太刀は梔子の刃とぶつかり、激しい音色と火花を散らす。
 強化された膂力で以て耀子を押し返し、梔子の刃が彼女の胴へと突き込まれる。だが、かわす間もなく、庇いに入った柾の盾がそれを半ばで受け止める。
「一撃が軽いな!」
 敵の動きを見切った上でオーラ防御、だが万全の構えを感じさせないよう吼えて、盾に加えられた力を逸らすように身を捻る。そのままの動きで放つ斬撃が敵を捉え、鮮血が散る。が、浅い。体勢を崩しながらの敵の刃が衝撃波を生み出すのを、彼は見た。
「どいて」
 後ろからかかった声に、咄嗟にその身を退かせれば、入れ替わるようにして別の者が衝撃波へと身を晒す。そのまま裂かれ、真っ二つになったのは水晶屍人の一体だ。それを盾兼目くらましとして蹴り飛ばした有は、既に上へと跳んでいる。
 椿から形を戻した杭の一撃は、ぎりぎりで気付いた梔子によって切り払われる。さらなる反撃を、と踏み込む梔子を襲ったのは、柾の太刀の一閃だった。もはやかわすのには遅く、受けるのが精一杯といったそこに、着地した有が杭を放った。
 心臓を穿つ一突き。致命傷を負って尚絶命には至らず、二人を振り払うように、黒い炎が上がる。
それはまるで、呪いの、怨嗟の炎のようで。
「まるで怨霊だな、そんなのは絵空事だけで足りてらぁ」
 はっ、と笑い飛ばし、彌三八は問うた。
「だが、未練くらい聞いてやる。夢があったか? 女でも残してきたか? なァ?」
 ああ、と梔子の持ち手が、ただの守衛に従事していた侍が、肺に溜まった嘆きをこぼすように、息を吐く。
 特別なものは、何も出てこなかった。けれど、彼は願ったのだ。渇望したのだ。あの瞬間に、オブリビオンが現れたその時に、すべてを失った彼が言えることは、ただ一つだけ。
「死にたくない――何故だ? 某が、我等が一体、何をした?」
「ああ、死にたくねえか、あいにく俺もサ」
 けれどわかるだろう? と目で問いかけて、彌三八は絵筆を走らせる。――そのために何人犠牲になった。これから何人巻き込むつもりだ。そんなものは、どうしたって止めなくてはならない。
「その願いが、間違っていたわけじゃない」
 死にたくない、消えたくない、そんなのは当然のことだ。クサナギの名を冠した剣を構え、耀子は、続けて『梔子』へと言葉を投げる。
「――とはいえ、おまえがヒトを遣うのは、武器の領分を過ぎているのよ」
 最後の交錯は一瞬。
 波の波濤に、花散らす嵐。
 彼等の言葉に耳を傾けたためか、それとも終わらない苦痛に耐えかねたものか、男は『梔子』を手放して、自らの鮮血の中に沈んだ。うつ伏せに倒れたその顔がどんな表情をしていたのかは、もうわからない。
 そして、持ち主を失ってしまえば、このオブリビオンは無力に等しい。
「散りなさい」
 唸りを上げる耀子の剣が敵の刀身に喰らい付き、噛み千切った。

 まがりなりにも指揮を執っていた人物を失い、それまで抵抗していた水晶屍人達がそれぞれにばらばらの方を向く。目的意識を失ったこの状態ならば、徳川の侍達で十分に対処できるだろう。
 もっとも、猟兵たちの活躍によって、今回の軍の残党はほとんどいないだろうが。

 今回の作戦、安倍晴明の暗躍は、猟兵達の活躍によって半ばで押し留められた。払った犠牲は大きく、黒幕はいまだ健在。けれどこれから先の戦いの中で、彼等の刃は、きっとその喉元に届くだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


挿絵イラスト