エンパイアウォー②~屍人戦線を超えよ~
「集まったね? それじゃあ早速……説明を始めるよ」
機械的なキューブを宙に浮かせたそのままに、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)が集まった猟兵達へと告げる。
次いで空中へホログラフ画像を投影し、急いた雰囲気を湛えたまま口を開いた。
「寛永三方ヶ原の戦いで手に入れた『第六天魔軍将図』により8人の敵が分かったまでは良かったけど――どうもその彼らが軍勢を率いて、一大攻勢をかけて来たよ」
この異常事態に徳川幕府も動き出し、魔軍将・『織田信長』を討ち取らんと軍を率いて討滅に乗り出したらしい。
だが前述のとおり信長軍は余りに強く、このままでは敵本拠の術を解くことも敵わなくなる可能性があるのだとか。
「しかも不幸は続くもんでね……魔軍将・『安倍晴明』が、とんでもない術を行使し始めたんだ」
なんでも奥羽地方で大量の『水晶屍人』が発生し、諸藩が窮地に陥っているのだとか。
肩から水晶の生えたその異形は、術をかけられた屍が変異したものであるらしく、更には【噛まれた者も同様に『水晶屍人』になってしまう】という驚異の性質を持つ。
猟兵にこそ聞かないが、そうではないエンパイアの人達がどうかは言わずもがな。
「戦闘能力自体は高くないけど、数は確認できただけでも数千体以上――もうとにかく数が多すぎるんだ、このままじゃ藩が遠からず壊滅する……!」
そうなれば江戸への進軍を許すことになり、“最低でも”2割の兵力を置いて進軍せねばならない。十分な兵力が無いまま決戦に臨むのは――余りに危険というほかないだろう。
「けど……対抗策はある」
その数こそ脅威な『水晶屍人』ではあるが、戦闘能力の低さ以外にも、【知性が無い】という欠点を併せ持つ。
夥しい数の彼らを纏める指揮官のオブリビオンが居り、そのおかげもあって脅威度が増しているのであり……指揮官さえ撃破すれば後は奥羽藩の武士達でも対応出来るという。
「ただし忠告。あくまで敵の能力が効かないだけで噛まれると普通に痛いし、まとわりつかれれば隙を晒す事になる」
そして、と一拍置き。
「さっきも言ったけど数が余りに多い。だから指揮官も埋もれて見えにくいんだ。見逃さないよう気を付けて。……健闘を祈るよ」
それだけ言うとフロッシュはグリモアを起動させ――猟兵達を送り出す……。
青空
始まりましたねエンパイアウォー!どうも青空です。
今回はボス戦ですが、ルールは特殊。
「無数の雑魚敵の中に飛び込む」ところから始まり。
「彼らを蹴散らし、またはかき分けつつ、指揮官であるボス敵を探す」ことが目的となります。
闇雲に戦っているとそのまま体力が尽きて、指揮官に隙をつかれたり、また雑魚敵の波に押し流される可能性がありますのでご注意を。
それでは――皆さんの健闘を祈ります!
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『最強無敵究極天魔城』
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POW : 最強無敵究極天魔拳
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 最強無敵究極天魔忍者隊
【城内から忍者軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 最強無敵究極天魔砲
【両肩の砲身】を向けた対象に、【最強無敵究極天魔砲】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:8mix
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠砲撃怪獣・ガンドドン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ファランス・ゲヘナ
【心境】
「城を見逃しテ…どんだけいるんダ。B級ゾンビ映画みたいなオブビリオン...。」
【行動】
判定:SPD
「かつテ、とある宇宙攻撃軍総司令官が言っタ。「戦いは数ダ」とナ。」
分身しテ、雑魚を抑えてもらいつツ『自動哨戒機01号“竜牙”』を発進。
空中で『情報収集』しつツ、目標を探索すル。
発見したら『流星号』に搭乗。オレの『操縦』テクニックで巧みに回避しつツ、目標に接近すル。あ、現地に到着したら竜牙で味方に連絡も入れるナ。
『バス停』を懐から取り出シ、オブビリオンの小指に向かって『力溜め』した『鎧砕き』をかましてやるゼ。
忍者は分身に任せタ
アドリブ:歓迎
片桐・公明
機械的な装いを纏い
自作兵器『雲長』『翼徳』を引き連れ
妖刀『血吸』をその手に構え
普段とは全く異なる、溢れんばかりの荒々しい殺意を放ち
敵陣に真っ先に切り込む
「一番槍は片桐公明。あたしが頂くぜ。」
「かっ喰らえ『血吸』」
「どこ見ても敵、敵てき。さいっこうの空間だな。」
殺すことがとても楽しそうに敵陣中央で刀を振るう
近接攻撃は回避しつつカウンター気味に一閃
遠距離攻撃は手型兵器で防御と牽制を行う
戦いながら観察し、明らかに知性的な動きをしている敵を探す
(公明から離れようとしている、一定の距離を保ち近づかない、等)
「指揮官見っけ!あたしの手柄になりやがれ!」
見つけたらすべての武力を指揮官までの道を開くために使う
まるで黒い饅頭の様な、独特なフォルムを持ったブラックタールの猟兵、ファランス・ゲヘナ( ・f03011)は出発前ひそかにこう思っていた。
(城を見逃しテ……どんだけいるんダ。B級ゾンビ映画みたいなオブビリオン……)
そう、敵の図体は巨大であり、造形はまさしく城の如く。
超巨大オブリビオン『最強無敵究極天魔城』すら覆い隠すのは、やっぱりどれだけ夥しい数の『水晶屍人』が居ようとも、無理があろう。
……と、発見当初はその当然ともいえる感想を、彼も抱いていたのだが。
「不味いなこレ……全く見えなイ、影すらモ」
いざと勇んで到着してみれば――いるわいるわ屍の群れ。先を見れば敵ばかり。
しかも大小さまざまな化物達だけでなく、巻き上げられた戦塵や、おそらく指揮官から放たれているのだろう遠距離攻撃。視界は更に遮られる。
「見つけるには骨折れそうだナ、これハ」
「怪しい場所見つけりゃ良いって思ってたんだが……は、面倒なこったな」
その隣でつぶやいたのは、藍色の髪をもつ人間の猟兵、片桐公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)だ。レオタードの様な、或いは機械的な衣装を身に纏っている。
そして彼女が見上げる視線の先は――なんとスケール感の違いから遠近が分からないだけでなく、何らかの術の所為か半透明に揺らいで見えづらい始末。
「敵も馬鹿じゃねえ。対策は、練って来たってことか」
……確かにこれは探さないと見つけられない。後から湧く敵もあって、ただ指揮官を倒すだけじゃあ収まらなかろう。
「――まあ何だろうが答えは1つだ! ぶっ飛ばして、怪しい奴を叩けば良い!」
「だナ。そうと決まればまずは突っ込むカ」
言いながらファランスは準備をし始め、傍らより公明が飛び出した。
普段とはまるで違う、“闇”より放たれた様な荒々しい殺気を纏い、公明はメカハンド『雲長』『翼徳』を連れて敵陣へと跳び込んでいく。
「一番槍は……このあたし、片桐公明が頂くぜ!」
精密的な動作を可能とする『雲長』は公明の意思に従い拳を形作る。
そして彼女の腕の延長線上の様に動き、そのまま鋼鉄の砲弾よろしく『水晶屍人』を軽々しく跳ね飛ばした。
「どこ見ても敵、敵、敵……さいっこうの空間だな」
岩投げだろう投擲物を叩き落しつつ、敵群のド真ん中で獰猛に笑う公明。
近寄る間も無く今度は『翼徳』より放たれた弾丸が降り注ぐ。銃火器を仕込まれた左手型機械武装による、援護射撃が敵を近寄らせない。
ならば……と指揮官の命令か仲間を盾に複数の屍人が、暴れるメカハンドを潜りり抜けて遂に公明の元へたどり着く。
「――かっ喰らえ『血吸』」
されども刹那に体が裂かれ、次いで一瞬遅れて聞こえてくる声に、屍人達が振り向いてみれば……紋黒色の刀を手にした公明の姿があった。
カウンター気味に放たれた回避と一体の一閃により、切り裂かれたのだと、もし彼らに意識があったのならば理解できただろうか。
「ほらもっと来い、来てみろよ……お楽しみはこれからだぜ!!」
終わりの見えない敵の群れの中大立ち廻りする公明の――そのまた後方。
ここでふと傍を見てみれば、無人で飛ぶ謎のドローンが一機。しかもかなりアクロバティックな飛行をしており、小回りを利かせて砲撃を次から次へと回避して行く。
「少し見えにくいガ……マ、このままいけば何とかなりそうダ」
それの主こそファランス。今飛んでいるドローンは【自動哨戒機01号“竜牙”】と言い、AIにより無人運用が可能な代物。これにより情報収集していたのだ。
「さて動くカ。かつテ、とある宇宙攻撃軍総司令官が言っタ、『戦いは数ダ』とナ」
「という訳で突っ込むゼ!」
「隙を更に作レー!」
そして情報収集だけに留まらず、なんと大量のファランス達が出現し群がりし、彼女の作った亀裂を広げようと一斉に突撃していくではないか。
これも勿論ユーベルコード……名は【大軍団(ムレルモノ)】。1849体ものファランス(分身)を、1849mの範囲まで押し寄せさせる数の暴力。
2㎞近くの距離という限定距離こそあるが、この戦いにおいてはそれはネックなり得ない。
増えた事により屍人をより効率的に抑え、より大きく猟兵側へと流れを傾ける。
更に……多少遠くにいる公明への負担が減る事にもつながる故、結果的に大暴れは止まらない。
「何も数を出せるのは、お前ら『水晶屍人』だけじゃあないってことダ」
しかも個々の武力で言えば猟兵側が優位。その上で数が増えるのだから、その結果は推して知るべしだ。
あっというまに敵は押しのけられてはファランス達の銃に貫かれ、或いは公明に潰され切り飛ばされていく。
――そして戦い続けること数分、そこでとうとう動きあった。
ファランスのドローン、そして の目がその『違和感』を同時に捉えたのだ。
敵もやはり万能ならぬ一個体。支持優先で焦ったか僅かにほつれ……それがドローンに空間の歪みとなって映ったのだ。
「ここが怪しいナ。そっちはどうダ!」
「ああ……明らかに妙な動きしてるのが居たぜ!」
公明もまた、奇妙な動きをしている一群を見つけている。
大暴れしながらも規則性をもってジグザグに動いていたのだが、どうも【『水晶屍人』やたら穴が開く場所】があった。まるで何かに妨げられるように。
「流石にバレバレだ。……ステルスだからって油断してたな? アイツ」
映像越しと肉眼の違いこそあれど、だからこそ情報を共有し重ねて、見つけられた一点へと走り寄っていく。
「そうと決まれば後は1つ――突っ込んで切り開く! あたしの手柄になりやがれ!」
三度公明が敵を吹き飛ばし道を開け、そこへと切り込んで只管に猛進していく。
と……此処で向こうも気が付いたのか、『水晶屍人』の動きに規則的な物が混ざり始めた。集合させられ始めているのだ。
「ふム。迅速な指揮は見事だガ、それは『ここに居ル』と宣言しているも同義だナ」
他にないほど有力な答えを得たファランスもまた、突撃するべ専用バイク『流星号』へ乗り込む。車体が大きく傾く程カーブしつつ敵群を抜け、倒れそうで倒れないバランスを維持する脅威の操縦テクニックを見せつける。
《ゴゴゴゴゴゴ!》
しかしオブリビオンの指揮官も、ここでとうとう己から行動。
刹那ファランスの上空へ濃い影が落ちる。見上げ、理解した彼は思わず仰天した。
「……って待テ、城が丸ごと落ちて来とル!」
その正体は城一つそのものの質量とサイズを持った、指揮官の【拳】。驚きこそあれど体が覚えていたか、間一髪で避けることが出来た。
《ゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ……!》
だが更に城の彼方此方が開放されたかと思えば、忍者と思わしき者等の軍団が次々飛び降りてきた。
「チ、団体さんのお出ましかよ」
ファランスの【大軍団】にも匹敵する追加の敵群の登場に、一瞬怯んだせいか溜まってきた疲労を彼らも自覚し始めてしまう。
されども、いやだからこそ。
「全力で行くしかないカ!」
この敵相手に怯みなどしない。もう一度降ってくる拳を言葉通りの全力ダッシュでファランスは避けた。まだ敵も動き続け、肉の壁にならんと忍者達や屍人達が群がり、集合すべくひた走っている。
――だがしかし。
「“強さ”と“美しさ”の両立。それこそ諸葛流舞闘術の真髄……ってな」
改めて構えを取った公明から、並みならぬオーラがほとばしった。
ユーベルコード【諸葛流舞闘術(ショカツリュウブトウジュツ)】。これぞ武術と武闘の融合体術。
攻撃回数に重きを置いた体術は、拳により頭部を捉え、蹴りにより束ねて弾き、まだ集いきれていない彼らを跳ね飛ばし……一本の道を作り出す。
「ファランス!」
「あア、任せておケ」
そこへ一直線に割り込む『流星号』とファランス。その手には武器らしきものが握られており、恰も弓の言を引き絞るが如く――猛烈な力が溜め込まれている。
させるかと忍者達が飛び出すも、分身はいまだ健在だ。全くとり付くことも出来ず、そのままファランスは武器を振りかぶり。
「せいあぁッ!!」
思いっ切りぶん投げた。直後、何も無いように見えた空間から金属の音が鳴り響く。丁度小指のあたりに当たったそれは、鎧の如き装甲を見事に砕いていた。
「もう一発!」
「オマケだ!」
そしてまだ突進していたファランスと、分身のおかげで接近できた公明の一撃が同時に命中。更に金属片をまき散らし――されどここまで。
「ってあぁ! こら待ちやがれ!!」
「逃げたナ」
物凄い轟音を立てて砲弾をまき散らしたかと思えば、再び半透明の状態になり其処から逃走してしまった。……それでもダメージを与えた事と、どうやって見つけるかを割り出したのだ。有益な情報を得たと言えよう。
「よっしまだ足りねえし、それじゃまだまだ暴れてやるか!」
「敵はまだまだ多いからナ。少しでも減らしておこウ」
一先ず再び『水晶屍人』をかき分けるべく、気合を入れなおした二人は己の足と鉄の馬を駆り、群れへと突撃していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ラックラ・ラウンズ
なるほど!感染しないのならば、そのままぶん殴れますねぇ!
【力溜め】巨盾を構え前傾姿勢にチャージ、【ダッシュ】で突進です!水晶屍人を【シールドバッシュ】で吹き飛ばしていきましょう!
途中であいつらに噛まれ、引っ掛かれる?上等です、その傷から多数の蔦を生やしていき、私に触れようとする奴を燃やし、凍らせ、命を奪い行動できないようにしていき、即席の道を開通させていきましょう。
そしてあいつも巨砲を持っているのですねぇ!ならばこちらもですぞ!【誘導弾】【呪殺弾】を放ち、アイツの攻撃を相殺していきます。今の私ではあの巨体に対する有効手段は少ないですからねぇ。味方の援護にどんどん回っていきましょうかねぇ!
ステラ・テルキーネス
【心境】
「みなさん頑張りましょう。」
ここでボク達が頑張らないと徳川軍に被害が…そんなの見過ごせないです。
【行動】
・捜索
「ボクにいい考えがあります!」
ユーベルコードの若草妖鳥物語でセイレーンに変身します。
実はこのユーベルコードを使えば空を飛べます。
そして空中から敵ボスを探します。
どうですか!…大丈夫ですよね…(ドヤ顔から心配そうな顔)
空中からプリンセスハートを投下して、味方にボスのいる方向への道しるべにします。
・ボス戦
空中からプリンセスハートを投下して攻撃します。平和への『祈り』を籠めて…。
攻撃が当たらないように、最大スピードで旋回します、こ…こわい。
・他猟兵との絡みとアドリブOK
ハロ・シエラ
敵があまりに多すぎて逆に落ち着いてしまいますね。
のんびりしている暇はありませんので、焦らず急ぐと言う感じでしょうか。
さて、屍人が多いので空から指揮官を探すとしましょう。
ユーベルコードで高速で戦場を飛びまわりつつ【第六感】に従って位置を探ります。
大きい敵は見つけやすいかもしれませんが、私は特別視力が良いと言う訳では無いので、屍人の攻撃を受けるような高度で飛ぶ必要があるかも知れません。
その際は鎌で【なぎ払い】蹴散らしましょう。
指揮官を見つけたらそのまま突撃し【鎧無視攻撃】を仕掛けます。
出来れば【先制攻撃】で砲身を【部位破壊】します。
攻撃は命中率が高いので【オーラ防御】で耐える事も必要でしょうか。
……先陣を切った猟兵達から少し離れた、とある場所で。
まるで案山子の様な藁と布づくりの猟兵と、艶やかな黒髪をもつ少女の猟兵が並んで敵陣へと走り、風切って接近していく姿が見える。
「ふむふむ猟兵は“感染しない”と。ならば、そのままぶん殴れますねぇ! ……とはいえ何て数でしょうか! これではまるで水晶の絨毯っ!」
「ええ。何といいますか、そう見える程敵があまりに多すぎて……逆に落ち着いてしまいますね」
かたやラックラ・ラウンズ(愉快口調の荒れ案山子・f19363)。実は“様な”ではなく、れっきとした生きた案山子。
かたやハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。軍服に身を包んだ、真面目な雰囲気の少女剣士。
2人もまた『水晶屍人』の進行を止める為、この場に赴いたのである。
すると……そこへ新たな足音。
「しかし先ほど一瞬ですけど、とっても巨大なロボットが見えましたよね? あれが指揮官なんでしょうか」
その足音は人の物ではなく……さながら獣にも似ている。が、それも当然。なぜならばその猟兵の下半身は、正しく四足歩行の獣だからだ。
「恐らくはそうでしょうねぇ! と言いますかアイツじゃあ無ければ、正直誰なのかという!」
「ですよね。なら先程のを参考にすれば……」
水色の髪をたなびかせる、彼女の名はステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)。上半身は人であり、しかして下半身は幻獣の様な体を持つ女性だ。
「情報は手に入りましたし――のんびりしている暇はありませんので、焦らず急ぐと言う感じでしょうか」
合流したと同時、ハロが一つそう切り出した。その提案と同じことを考えていたか、ラックラもステラも強く頷く。
「それではそれでは、猟兵の進撃、その幕開けと行きましょう!」
「はい。皆さん、頑張りましょう!」
そのままラックラは盾をかまえ、ステラは思い切りスピードを上げて追い越していき。
「力を尽くして……この戦いを終わらせますよ」
ハロは間を縫うような走りで、『水晶屍人』達へと駆けて行った。
巨盾――タワーシールドを構えたラックラは、当然というべきか地上で屍人達と戦う選択をする。その戦闘方法は単純かつ明快だ。
「そぉれぇーっ!」
真っすぐに盾を構えたかと思えば、そのまま勢いを落とすことなく猛烈なダッシュを開始する。これぞシールドバッシュ――ならぬシールドチャージ。
案山子の様な見た目から度肝を抜きそうな、牡牛もびっくりの勢いで突き進むラックラを……元より弱い屍人達は止められない。
突進中の盾に触れるたび、まるで紙屑が如く吹き飛ばされていく。
「もういっちょぉ!」
またその体の構造故か、人間とはまた負担のかかり方が違う。グニっと柔らかく曲がったかと思えば、担いで叩きつけるようなシールドバッシュが襲い来る。
再び吹き飛ぶ屍人。が、しかし――チャージを行うには助走が足りない。
「うわぁ!?」
結果、加速がつく前にラックラは噛まれ、引っかかれ、強烈な力で握り込まれる。
このままでは万事休す……!
「――なぁ~んてねぇ?」
否、それこそラックラの狙いだ。
巨盾の突進が連続で出来ないなど百も承知。その上でユーベルコード【遺術・最果祈祷(イノリノハテニ)】を発動させていたのだから。
そして体から伸びるのは、赤く燃え盛る蔦、白く凍り付く蔦、そして命を食らう濁りある蔦。
「どうですか、効くでしょう?」
焼かれ、凍てつき、崩れ落ちる屍人達。そのまま盾を構えて進撃すれば、即席の道が出来ていく。なれば次は巨盾の出番だ。
「さてこのまま飛ばしていくとして……お二方のほうは、順調ですかねぇ?」
ラックラが目線を傾けた、その上空で――二つの影がスピードを上げて通り過ぎていく。……正体は勿論ステラとハロなのだが、どちらもユーベルコードを発動させており、まるで姿が違った。
ステラは【若草妖鳥物語(ステラ・セイレーン)】により孵化したての鳥の様な、ファンシーな殻付きのセイレーンとなり飛翔。
ハロは【ドラゴノート(ドラゴノート)】で呪いの力を利用し、軍服から軽鎧へとチェンジ。また武装が鎌へと置き換わっている。
「二手に分かれますか?」
「その方が効率が良いですね。……あとは高度でも分かれましょう!」
別箇所で暴れている猟兵達の方へと流れていくのを見るに、ラックラの負担がすぐさま大きくなることは無かろう。
それでも早く見つけるに越したことは無いと、ステラが高空へ、ハロがそれよりも低空を飛行し始める。
「では任せておいてください!」
自信たっぷりのドヤ顔でステラは告げ、そのままより高く昇っていく。
「……大丈夫ですよね……?」
途中でちょっと不安になったのも、またご愛敬だろう。
(視力にはそう自信がありません……ならもう少し低く飛ぶ必要もありますか)
ハロは突風さながらに高速で飛翔しつつ、指揮官のいる“歪み”を探していく。
大きな敵故に見つけることさえ出来れば後は簡単だが、それまでが大変だ。
低く飛ぶということは、同時に『水晶屍人』の間合いへも近付くということに他ならない。
「おっと……!」
予想通り、屍人達がハロを引きずり下さんと次々手を伸ばす。
――その腕が瞬く間に刈り飛ばされた事を知るのは、彼女が通り過ぎた後だった。また無言で旋回すると、乗せた勢いそのままに薙ぎ払い、二度切り裂いていく。
屍人達を追い詰めていく中で、着々と的を絞り進路を決めていく中。早々に“歪み”は見つかった。
先の戦闘で不調でも出たのだろうか。だが、猟兵達にとっては僥倖だ。
なればとまずはラックラが先行し。
「これなら何とかなりそうですねぇ! ……おや?」
……そこで何か妙な感覚を覚えたかユーベルコ-ドを発動させて立ち止まる。
彼が感じた“妙なもの”の正体。それは、すぐに上からの悲鳴で知ることになる。
「な、な、な、皆さん逃げて下さいぃ!」
「ステラさん何……いや、ちょっと待ってくださいよ?」
半透明で不確かながら否応にも理解せざるを得なかった。……【砲口】が此方を向いていることに。
「これはっ……!」
当然、ハロも狙われている。皆が咄嗟に走り、旋回して、回避行動をとった――刹那。
《ゴゴゴゴゴゴゴ!!》
眩い閃光と共に稲妻のような轟音が鳴り響いた。
「うぉわああぁ!」
「やああぁ!?」
「うくぅっ……!!」
そのまま爆風を伴って地表へは直線的なクレーターを刻み、空中へは戦塵へと穴をあけ筒状の道を作り出す。
間違いなく敵のユーベルコード。記憶に齟齬が無ければ、肩にある超ド級の砲撃を解き放ったのだろう。圧倒的なまでの、破壊力だった。
しかもデカいからかこちらまで装填音が聞こえて……。
「――これ是が非でも止めないと駄目な奴ですよねぇ!!」
「しかし止めると言ってもどうし――あっ」
「きましたぁ!?」
言いながら皆で思いっ切り逃げ回れば、再び火を吹く規格外の砲塔。敵も味方もお構いなしなのか、屍人がごっそり消えていく。
ラックラ達は無事だが、あれを利用して殲滅するのは余りに非効率だ。となると。
「もう空しかありません。ボク達なら空からいけます!」
「ここまでくると、直接砲を狙うしかありませんか……」
「じゃあ自分はちょっとお手伝いをしましょうかねぇ」
再び砲火が見えようとしている砲塔から逃げ、ステラとハロが今度は遠慮なしに上昇。空の雲を突き破らんばかりに上を目指す。
だが装填される方が早い。
ならば空中でもう一度避けるしか――と、2人が身構えたその時。
「残念賞ぉ! 命中するなど無しですぞ!」
しかたらも砲撃音が響いたかとおもえば砲塔があらぬ方を向き、指揮官の重心もぶれて思い切りたたらを踏んだ。
眼下を見れば、そこには巨砲を構えたラックラの姿がある。取り回しが悪そうなそれは、しかし今回の様な打ち合いにはぴったりの代物と言えよう。
「よしこれで……!」
決定的な隙を逃さずハロは砲塔へと一直線。下から放たれる誘導砲弾を嫌って無理やり捻った指揮官の、その無駄な動作の隙間に入り込み。
「はぁぁぁ――せぇっ!!」
《ギ、ギギゴゴゴゴゴ――!?》
まとわりつくように螺旋を描き、行きつく暇なく乱れ刈る。結果、砲塔の一部を破壊し切断してみせた。
されど執念か。許すまじ!とハロへ手が伸び……たが反対の方から音が上がり、バランスを崩して失敗に終わる。
「そんな事は許しませんよー!」
ステラが上からプリンセスハートを投下し、砲がなくなり重心がずれた今の状態を利用して妨害したのだ。
《ゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!》
明らかにわかる指揮官の“怒り”。残る片方の砲塔へ装填を完了させ、動力を注ぎ、持続する砲撃で一体を爆破するつもりらしい。
《ゴゴゴゴ――!》
そしてそのまま下に砲塔を向け――たところで、失策に気が付く。
「ハローハロー、態々どうもありがとうございます!」
ラックラの巨砲がこちらをむいているのだから。
慌てて体ごと上に傾け何とか事なきを得……られたのならば、彼らにとっては行幸だっただろう。
だが再びステラがプリンセスハートを投下したことで下を向かされ、とうとう逃れられず呪殺弾が砲口へと一直線。
「ダメ押しといきましょう」
更に旋風と化したハロが鎧をはぎ取り、内部からの圧力を受けて――砲塔は遂に大音響を立てて崩壊した。
が、そこまで。
「なっ! また逃げ出しました!」
「……逃げ足だけは速いですね」
「いやはや流石っ、もう見えませんねぇ」
重たい音を引きずりながら、またもや塵と雲の間に消えていく。
しかしそれも悪あがき。
――もうカウントダウンは始まった様な物だろう。
指揮官を追い詰めるべく、ラックラは、ステラは、ハロは武器を構えて、三度『水晶屍人』を相手取っていく。
……決着の時は近い。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
神酒坂・恭二郎
「こいつは派手な大舞台だねぇ」
雲霞のように押し寄せる兵達は圧巻だ。
余りに多過ぎて楽しくなってくる。
こう言う時は頭を叩くのが定石だ。
■戦闘方針
刀を引っさげ、脱力して【力を溜め】つつ【失せ物探し】で指揮官を探る。
相手の攻撃は【覚悟】を決め、【おびき寄せ】でこちらへと誘い、【見切り、カウンター】の【早業】で最小限の動きで切り伏せて体力を温存しつつ索敵する。
指揮官の居場所を見切ったら、霞の構えから【サイコキネシス】の突きを放ち、【衝撃波、誘導弾】の山なりの曲射でその装甲の隙間に【鎧無視攻撃】を狙おう。
「神酒坂風桜子一刀流・降流星(くだりながせ)……ってなもんか」
【アドリブ、連携歓迎】
ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブOK
○連携ご自由に
○VS.雑魚
超未来変形屋台バイク【IZAKAYA:げんちゃん】に飛び乗り出発進行!
寄らば鉈で斬り倒し、寄らねば銃で打ち倒し、まずは進めるだけ進む!
雑魚に囲まれたらUC【超爆装屋台ゲンチャンダー】で身長の倍のロボアーマーを身に纏い
その体躯から繰り出す【怪力】と重装甲ってことで全身が【盾受け】のような状態でボスの元へと急ぐぜ。
○VS.天魔城
出たな(多分)巨大ボス!
カモーン!DINNER!!普段はやらねぇが、ゲンチャンダーのままゲンチャンダイナーへタイアップ!
性能は変わらねぇがカッコイイだろ!巨大【オーラ防御】で防ぎ!
巨大【捨て身の一撃】タックルでぶっとばしてやるぜ!
「ははは! いや、こいつは派手な大舞台だねぇ」
遠間に響く大規模攻撃を見やり、また『水晶屍人』の集団を相手取り。
派手な着流しとサイバーな小物が目を引くサムライ、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は楽しげに笑っていた。
ここまでの戦いで指揮官を追い詰めこそしたが、それでも屍人達は今だに押し寄せ、収まる気配などない。
正しく雲霞の如くだ。
「ここまでくると、楽しくなって来るなぁ……!」
獰猛とも、冷徹ともまた違う気配をより一層濃くし、名刀『銀河一文字』を振るう。横一文字の後に柄打ちで遠ざけ更に一薙ぎ。
後方の相手を切り裂く、と見せかけて後方の、別の個体の頭を貫く。
切り上げて抜いた後に左右へ二度、刃を振り分け首を落とし……次の攻撃へとよどみなくつなげていく。
「だが何時までも続けてちゃあ、いくら優勢でも埒が明かないよな」
こういう時は先までの皆と同様の一手が友好――つまり、頭を叩くのが定石だ。
既にステルス機能も解けかけ、探ること自体はそう難しくなくなっている。最後の一手として、違和感を見つければもう終わるだろう。
しかし1人では難易度が劇的に上がる……と、恭二郎が周囲に目を凝らした、正にその時だった。
「そいやぁ! そら、出発進行!!」
渋い掛け声と共にエンジン音が鳴り響き、猛烈な勢いで特徴的な大型バイクがすっ飛んでくるではないか。
あれこそ、超未来変形屋台『IZAKAYA:げんちゃん』。名の通り屋台にすら変形する超絶バイク。
そしてそれを駆るのもまた猟兵……筋肉の鎧に身を包んだ男、ゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)だ。
「どけどけぇ! お前等じゃあ相手にならんぜ!」
右手には『大鉈・兜割り』を持ち、近寄る相手を力任せに一刀両断。
左手には『トラキュレンスライノ』を携え、遠目の頭蓋に風穴を開ける。
どうも集団の奥深く、進める所まで進もうというつもりらしいが――当然ながら途中で囲まれ限界が来る。
「甘いなぁお前等……ならば、こうしよう!」
「うぉ、なんだアレは!」
異様な機械音を流石に聞き逃せず、振り向いてみた恭二郎は驚き、次いで笑った。
何故ならば――バイクが屋台に変形するどころか、ゲンジロウの体にまとわりついていき、なんと身長の二倍はある【巨大ロボット】へと大変形をかましたからだ。
……これこそがゲンジロウのユーベルコード、内が一つ【超爆装屋台ゲンチャンダー】である。
《行くぞ!ゲンチャンダー、発・進!!》
アーマーであるらしきゲンチャンダーは見た目以上の滑らかさで駆動し、ラリアットの様な動きで屍人達を打砕いていく。
その怪力は言うに及ばず、盾にも等しいその体には傷一つ付ける事もかなわない。
ショルダータックルの様な体制から猛進すれば、吹き飛ばされる屍人達がもはやポップコーンのよう。
《もう一発だぁ!!》
軽く飛び上って繰り出すは、両手を組んでのアームハンマーだ。大地を思いきり隆起させ、屍人達は再び宙を舞う。
「負けてられないな、これは」
それを横目に、一輪刺しにした屍人を放り投げ、別の敵を蹴ると同時に三度刻んだ恭二郎は胸の内に炎を灯した。
向こうが力と機械で暴れるなら、こちらは鋭さと技で挑むのみ。
「そらぁ!」
Vの字を描く連携で一体を無力化し、その屍人を弾き飛ばして奥に居た数体を一辺に薙ぎ払う。
そこで敢えてタメを入れ、おびき寄せてから返す刀で振り向きざまに一斬……隠れていた敵の突進に合わせてカウンターで二斬。
ともすれば刃の形すら見えない早業でありながら――それは最適化された動作故に、体力を削らない。
(……見えて来たな、あそこか!)
そのやり取りの中でも見“失った”ものを“探し出す”が如く、指揮官の居場所を暴く。
そして歪みの中に……奴はいた。
ダメージで揺れる巨大人型ロボットは、だからこそか、見破られたことを悟ると恭二郎の方へ向き直る。
《ゴゴゴゴゴゴ――!》
何戦やろうとも、ダメージを重ねようとも、機械だからこそのブレの無さで拳を叩きつけてきた。
数に埒が明かないのならば、こちらはタフさで手が負えない。
対応するには中心を攻めるか、猟兵側もかの巨大ロボに並ぶほかないだろう。
「だが、無理じゃあないよな」
それでも恭二郎の顔には笑みが、信頼の証が浮かぶ。
歩法による回避の構えは解かずに、しかして拳を見据えた……。
《任せとけ!!》
その後ろから飛び出していく、ゲンジロウとゲンチャンダー。拳を受け止めるつもりが――そう思われたが、それは全くの見当違いだ。
《出たな巨大ロボ……ならコイツの出番だな! ――カモーン!DINNER!!ゲンチャンダイナーへタイアップ!》
声高らかにゲンジロウが宣言した、その刹那。
空中へ、人型巨大指揮官ロボへ、今度は暗い影が落とされる。
見上げた彼らの目に映るのは……ゲンチャンダーを更に巨大化させたような、指揮官と同等以上の巨大メカ。
《バトルトレースモード!【IZAKAYA:げんちゃんforDINER】!!》
――その名も、【超ド級爆操店舗ゲンちゃんダイナー】……!
その余りにぶっ飛んだ切り札に、勘づいていた恭二郎も少し驚きの表情を見せた。
だが……敵はそれじゃあ済まない。
中に居るのだろう忍者の度肝を抜かれた声すら、ここまで到達しそうなほど騒がしくなっていく。
《ゴゴゴゴゴゴ……!》
《よっしゃ来いっ!!》
轟音、一発。
喧騒冷めやらぬまま突っ込んできた指揮官ロボと、ゲンちゃんダイナーが両手をぶつけ合い、取っ組み合う。
巨大な人型のぶつかり合いはまさに『大迫力』の一言で、そのまま押された指揮官ロボが大きく足を踏み込めば衝撃波で地表の屍人達が飛び。
《そりゃああっ!!》
バランスを崩したチャンスにゲンジロウがゲンちゃんダイナーの拳を振りぬけば、起きた暴風で更に敵が宙を舞う。
指揮官ロボもまた拳を振るい、ゲンチャンダイナーを打ちのめす。――オーラで軽減されたらしく、カウンターでもう一発ゲンジロウも打ち込む。
舞う屍人達には気も留めず、二体のロボはまたもや正面から組み合う。
起きた爆発的な衝撃が、辺りを大きく震撼させる。
《ゴゴゴゴゴギギギ……!》
《ふんぐぅぅぅぅぅ……!》
押して押されて、そのまま根負けするまで続きそうな、シンプルな取っ組み合い。 されど。
忍者達がロボの体の砲身を開かせ、何やら命令を飛ばす。確かめるまでも無く、至近距離で砲弾をぶち込む気なのだ。
このままでは危ない。
……そう、“このまま”では。
《甘いわぁ!!》
《!!!?》
此処で大人しく組み合う、ゲンチャンダイナーじゃあない。いな、元よりこうやって収めるつもりだったのだ。
頼れる漢の武器でもある、オーラを乗せた、鋼鉄のヘッドバッドで……!
《はっははは、どうよ!》
重厚な音が鳴り響き、今度こそ指揮官ロボはたまらず後ろへ下がる。
体各所の小さな砲身すら暴発し、持続的にぶん殴られていくが、それを利用して下がろうとする指揮官ロボ。
《待たんかあぁっ!!》
逃がすかとばかりにゲンジロウも追いすがり、半ばタックルするような形で相手に膝蹴りを叩き込む。
が、そこまでだった。相手が逃げの態勢に入るのが、一歩早かった。
そのまま背を向けて逃走を図る。最後の最後で勝ちを拾ったのは……。
「――おっと。俺を、忘れちゃいないよな?」
……猟兵の方だった。
空中で霞の構えを取っていた恭二郎を、果たして指揮官ロボは、内部のシノビたちは気が付けたのか。
分かっていようといまいとも、それはもはや関係ない。
「いけえぇっ!」
ユーベルコード【サイコキネシス】を最大出力で行使し、誘導弾の様な精密さで放たれた刃が向かう先。
それは先のゲンチャンダイナーの一撃でついた装甲の隙間の、“炉心”。
衝撃波伴う刃の弾丸は――見事、その中心を貫いた。
「神酒坂風桜子一刀流・降流星(くだりながせ)……ってなもんか」
呟き、恭二郎が戻ってきた刀をつかんだと同時に、指揮官ロボは赤熱し、瞬く間に亀裂が生じていく。
そして中にたまったものを溢れ出させるかのように……指揮官ロボは大爆発。
猟兵達への影響を防ぐため、最大限オーラを纏ったゲンチャンダイナーが盾となる。
爆煙が静まったころには既に――指揮官ロボなど、夢幻の如く消えていた。
《よーっし!この戦い、取りあえずは俺らの勝利だな!》
「ああ、終わったな。後の残りは……」
恭二郎とゲンジロウの視線の先。まだ佇んではいるものの、説明の通り『水晶屍人』達は、抜け殻の様に佇んでいる。
数こそまだまだ多い。数千体以上は居たのだ、数人がかりで減らし切れるはずなどない。
が、幾ら多くともこれでは的相手に戦っているも同然だ。後は狩逃しの無い様にすればよいだけのこと。
「それじゃあ――少しばかり露払いしていきますかねぇ」
《どの道突っ切らにゃならんからな、俺も手伝おう!》
再び刀を構えた恭二郎と、ゲンチャンダーに戻ったゲンジロウは互いに同じ方向を見やり……駆け出す。
その後の結果など、もう言うまでも無いだろう。
――こうして怖ろしき『水晶屍人』、及び指揮官『最強無敵究極天魔城』との戦いは、ひとまず猟兵達の勝利で幕を下ろすのだった――。
大成功
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