エンパイアウォー④~渡来人の侵略・富士山の噴火を止めろ
●富士の樹海
「おぉおぉ。なんとまぁ人がわらわらとおるのぅ」
天空の飛翔する少女の妖は、行進していく10万の兵を眺めていた。
その背には黒き羽根。
その足には長い下駄。
その手には風を操る団扇。
その顔には赤ら顔で長い鼻を持った、天狗の面。
この妖、『天狗の人攫い』である。
「ありゃちと多すぎる。どれ、少し間引きせんとあかんな」
天狗は富士の山を見る。
かの火山を噴火さすれば、東海・甲信越・関東地域は壊滅的な混乱状態となる事は必須。
ともすれば、徳川幕府軍は全軍の2割以上の軍勢を、災害救助や復興支援の為に残さなければならなくなるだろう。
「山もたまにはガス抜きが必要じゃろうて。のぅ、タツノコ」
天狗はその手に掴んだ、『太陽竜の幼仔』の首を持ちながら笑顔で語り掛ける。
バサリと羽ばたく音だけがして、そして天狗と掴んだ仔竜は姿を隠した。
彼女達が向かうのは富士の樹海。
狙いは、富士の噴火である。
●グリモアベース
「遂にサムライエンパイアでの戦が起こった様じゃな」
集まった猟兵たちの前に眼鏡をかけた付け髭……ケーシー・ヒゲヨシ(付け髭ヒーローマスク・f00695)がふよふよと深刻そうな声で語り掛ける。
「こたびの戦争で最終的に重要なのは多くの兵を無事に送り届けることじゃ」
サムライエンパイアの危機。しかしこの危機に対してはサムライエンパイアの住人による対抗策が既に練られていた。
それこそが『首塚の一族』。
彼らは随伴者の数に応じて拘束力を増すユーベルコードを操る。その力で持って信長軍を攻略しようというのだ。
行軍する徳川幕府軍を、信長軍の攻撃から守りつつ、行く手を阻む信長軍の魔軍将達と戦っていくことこそが、猟兵達に課せられた任務となる。
「予知により、オブリビオン侵略渡来人『コルテス』の策略により富士の噴火が起き、多くの民が犠牲になり、その救援のために兵を裂かねばならぬと出ておる」
敢えて兵を直接狙わず、民を傷つける事で兵力を減らそうという非道な戦略である。
「わしが見たのはその儀式を行おうとしておる一人、『天狗の人攫い』じゃ」
今回の目的は『儀式を行っているコルテス配下のオブリビオン』を発見して撃破する事となる。
配下のオブリビオンは、天狗。
人を攫い、神通力で脅かし、天候を操る少女の姿をした人を人とも思わぬ妖である。
彼女は富士の樹海に隠された儀式場で、富士山を噴火させる為の『太陽神の儀式』を行っているらしい。
「この天狗の儀式場はかなり広いようでの。天狗自体がかなりの広範囲を移動しておる」
彼女は小さな竜(ケツァルコアトルの子供)を手に持ち、そして儀式を進めているらしい。
最終的に築いた儀式場の中心で小さな竜(ケツァルコアトルの子供)を殺し、その血を聖杯に注ぎ、祈る事でその儀式を完遂するのだそうだ。
だがそうなる前にこのオブリビオンを倒し、富士の噴火を止めて欲しい。
「元より人攫いとしての能力に長けた妖での。幼竜を持ったまま姿を晦まし逃げるのはかなり得意なようじゃ」
今回の依頼は『富士の樹海を探索して、人を攫う天狗やその儀式場を発見し、太陽神の儀式を行っている人を攫う天狗』を撃破する事になる。
敵は姿を晦ますのが得意な妖である。
ただ探すのではなく、何か捜索に関する工夫があるといいのかもしれない。
もしくは隠れて儀式を行うオブリビオンを奇襲する作戦などがあれば、それも有効だろう。
「このような依頼では苦労する敵やもしれん。しかし皆ならばやってくれると信じておる。わしも悲劇はみたくないからのぅ。よろしく頼むぞい、イェーガー!」
そしてケーシーはヒゲをひらひらさせて猟兵達を送り出すのだった。
ナイン高橋
ナイン高橋です。
遂にサムライエンパイアの戦争ですよ!
今回の依頼は、『富士の樹海で隠れて儀式してるオブリビオンを探して奇襲してぶったおうそうぜ!』です。
探す工夫や奇襲作戦なんかがあるとすっごく活躍できると思います。
特に『どの技能を使う』ではなく『技能を"どのように"使う』かが勝負どころです。
それでは皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
※シナリオフレームについて
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『天狗の人攫い』
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POW : 天狗の羽団扇
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD : 天翔る妖怪変化
全身を【妖気】で覆い、自身の【神通力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : 天狗の隠れ蓑
自身と自身の装備、【捕まえている】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:某君
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠天御鏡・百々」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゴッド・ゴッダー
▼心情
太陽神~~?
知らんなァそんな小物の名前は!
そもそも地上人同士の小競り合いなど、全宇宙を統べる全知全能の神であるワシには、これっぽっちも興味がないわい!
▼「動物と話す」技能
と言いたい所であるが、森の動物達が訴えてきおる!
この森とここに住む生命を救ってくれと?
ふむ、良かろう。して、そやつは今どこに?案内せい!
▼戦闘
小童め。そのような稚拙な術で、神の目を欺けるとでも思ったか
攻撃妖術を「神の人差し指」で軽々と弾いてみせ、力の差を見せつてくれるわ
十分に威圧した所で、鉄拳!……を寸止めして戦慄させる
これで思い知ったな?
太陽神とやらに伝えい、あなたごときは足元にも及ばぬ全知全能の神に叱られましたと!
●神の探索
「太陽神~~?」
富士の樹海の一角で凄ま爺い光と共に降臨なされた神がいた。
「知らんなァそんな小物の名前は!」
そう、ゴッド・ゴッダー(ゴッデスト・f20871)である!
森羅万象を司る全知全能の神である。
全知全能ってステシには書いてあるのにいきなり知らない事があるが、知らないのではない。
興味がないから覚えていないのだ!そういう事だ!
「そもそも地上人同士の小競り合いなど、全宇宙を統べる全知全能の神であるワシには、これっぽっちも興味がないわい!」
そういう事だぞ!
神様の前に人がどうこうなんてそんなのちっぽけな事なのさ!
「と言いたい所であるが、森の動物達が訴えてきおる!」
なんてこった、この神、自然界には優しい……。
「……ふむふむ。この森とここに住む生命を救ってくれと?」
かなりの縛りプレイをした結果、残った動物と話す技能で小鳥とうんうん話合っている神。
その慈愛に満ち満ちた姿はまさに奇跡の人である。いや神だった。
「ふむ、良かろう。して、そやつは今どこに?案内せい!」
飛び立つ小鳥に先導され、神は迷い無く歩み始める!
そして辿り付く怪しげな儀式の場。
「ふむ。邪悪なる波動を感じる」
だがそこに『天狗の人攫い』の姿はない。
小鳥の案内という事はこの場にいたのは確かかもしれないが、まだいるとは限らないのだ。
もうこの場での儀式の作業は終わり、移動してしまったのかもしれない。
「……小童め。そのような稚拙な術で、神の目を欺けるとでも思ったか」
神は無造作に何もない空間にその引き締まった筋肉に包まれた腕を伸ばすと、デコピンを放つ。
バチン!
「あいたぁっ!?」
姿を隠す妖術が一瞬で解除され天狗の少女の姿が現れる。
神の人差し指。それは相手のユーベルコードを弾き飛ばすまさに神の御業なのである。
「な、何故に妾の居場所が分かった!?」
天狗は仔竜を脇に抱えたまま神を前にあとずさりする。
当然である、己の妖術が効かなかった相手なのだ。
「ふん。力の差も分からぬか。小童」
神の威光を存分に発揮し、ゆっくりと近づいていく。
「なんじゃと……!?」
計り知れぬその力量に天狗はただただ戦慄する。
「我が鉄拳を食らってみるがいい!」
そして神はその拳を握り締めると大きく振りかぶり鉄拳を繰り出す!
「くっ!……?」
目を瞑り、痛みに耐えようとする天狗のその顔の前で寸止めされている神の拳。
「これで思い知ったな?」
構えを解いた神は、もはやこの天狗に神へ抗う意思がない事を確信していた。
「太陽神とやらに伝えい、あなたごときは足元にも及ばぬ全知全能の神に叱られましたと!」
そして天狗の少女は踵を返して逃げ出す。
もはや彼女にこの場で出来る事など、なかったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
探索かー。これは他の人に………そういえばあれがあったっけ。
使ってみるかな。
妖精ロボさん達を展開。
その行動範囲、半径凡そ2km。
行動範囲が広いとはいえそれほどカバーしていれば
捉えられない事も無いだろ?
それに探索は数。儀式場を見つけられる可能性も増える。
ボクは野生の勘と追跡で、妖精ロボは機械の目で。
見つけたらダッシュとジャンプで捕まえる。
事前に天狗の周囲に妖精ロボを潜ませて飛んだら目の前に飛び出させて怯ませるって言うのもありかな。
天狗狩りじゃー!
●探索は数だよアネキ!
今回の依頼は『富士の樹海で隠れて儀式してるオブリビオンを探して奇襲してぶったおうそうぜ!』である。
そう。まずは敵を探す探索が必要なのだ。
「探索かー」
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は富士の樹海で一人空を見上げていた。
いや樹木が邪魔だった。
「これは他の人に……そういえばあれがあったっけ」
他力本願でいこうかと思っていた矢先、何かを思い出したのかライアは荷物をガサゴソと漁り始める。
「使ってみるかな」
取り出したのは【ある猟兵から貰った複数体の妖精型偵察ロボ】であった。
成程。此度のような依頼では打ってつけのシロモノである。
「あの人も心配性だなぁ……まあ、折角だし使わせてもらうよ!」
そしてライアは妖精ロボを起動させ、探索を開始するのであった。
「妖精ロボさん達の行動範囲、半径凡そ2km。行動範囲が広いとはいえそれほどカバーしていれば捉えられない事も無いだろ?」
ライアは天狗と、そして儀式の場を探そうと狙いを定めて探索を開始する。
姿を隠したり妖術を使ったりする天狗だけではなく、彼女の行う、または行った跡である儀式場を探すのは有効な手だと思われる。「あとはボクの野生の勘と追跡術で!」
そしてライアの勘は見事に当たり、天狗の姿を機械の目で捕らえる事に成功する。
「やっぱり探索は数だよ!」
ダッシュとジャンプを繰り広げ、樹海の悪路を颯爽と猛スピードで移動するライア。
そして天狗の少女の元へと辿り付いたライアは妖気を纏い、飛んで逃げようとした天狗の周囲に隠蔽しながら追跡させていた妖精型ロボを目の前に飛び出させ怯ませると、武骨な剣を抜き放ちこう叫ぶ。
「天狗狩りじゃー!」
成功
🔵🔵🔴
ゼット・ドラグ
「コルテスの好きにはさせん。探索は苦手だが、やれるだけやってみよう」
探索に有利な技能はほとんどないが、見つければ何とでもなりそうな相手だ、頑張ろう。
樹海と言えば、樹が豊富だ。よじ登って高い樹に移りつつ、探索してみよう。後は、樹海は広大だ。常に他の猟兵を視野に入れつつ、敵を発見したら知らせ、他が見つけたらすぐに駆け付けられるような位置で探索を行おう。
敵を発見したら、氷の津波だろうが炎の竜巻だろうが、途中で力尽くようが突っ込んで【竜を殺す百の刃】を細剣に変形させ、連続突きを放つ。【リヴァイヴモード】の効果が発動したら攻撃力重視で一気に畳みかける。
飛んで逃げようとするならば、刀身を飛ばして奇襲する。
中村・裕美
「……確かに……探索は数ね」
自分もエレクトロレギオンを200体近く散開させて【情報収集】にあたる。姿は見えなくても体温や音などの
ついでに他の猟兵の探索ロボからデータを貰って他の天狗達がいないかとか探る。
敵を見つけた場合、あくまでまだ発見していない振りをして近づく。
裕美自身が目立つように動いて、レギオン達は木々など周囲の【地形を利用】して【目立たない】ようにしておく。
敵に十分近づけたら、「……その竜……こちらにいただこうか」と気を引いて、潜ませたレギオン達で【だまし討ち】レギオンは耐久力ないから、自分が攻撃を引き付けないと。
仔竜はオブリビオンなら儀式にならないように消すし、違うなら森に帰す
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
どんなに広い森でも、ボクの愛車ハイメガシャークにかかればひとっ走り!
【バトル・インテリジェンス】で周囲を警戒しながら儀式の場所を探索
儀式する以上は準備は必要でしょ?
つまり、どこかしら不自然なところが出来る
それを目印にすれば天狗の儀式場は必ず見つかるはずだよ!
発見したら近くの茂みに潜んでウィーリィくんが誘い出したところを熱戦銃の【スナイパー】の【クイックドロウ】で狙い撃つよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
天狗の目的は儀式を行う事。
つまりその場所さえ見つけられればその近くに奴がいる可能性が高いって訳だ。
シャーリーのバイクに荷ケツで乗せてもらい、森の中を捜索して儀式場らしき場所を探す。
場所の目星がついたらそこで『料理』開始。
七輪を焚いて天狗の好物である酒を熱燗にして香りを森中に行きわたらせ、つまみとしてメザシやエイヒレも焼いておく。
そして天狗が誘い出され、七輪の煙で透明化した姿が浮き上がったら『飢龍炎牙』で喰らい尽くす!
炎で焼き尽くされるのはお前の方だぜ!
●誘き寄せ
そこは樹海の中でも異質な雰囲気のする場所だった。
石の詰まれた不可思議な紋様。
かすかに感じ取れる邪悪な気配。
恐らくはこの場こそが、儀式の場である事は間違いないだろう。
いち早くバイクで駆け回りこの儀式場を発見した猟兵達は、未だに天狗が来ていない事を確認すると頷き合い、そして行動を開始した。
『料理開始』である。
料理人ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はあろうことか儀式場のなんか思いっきり生贄を斬り裂いて生き血を注ぐためにあるのよ?感のする石の詰まれた場所に空間が空いてこれ幸いと七輪をどすんと設置。
火を入れ団扇でパタパタと扇ぎながら、天狗の好物とされている酒を熱燗にして香りを富士の樹海に行き渡らせていく。
さらには網にはメザシやエイヒレも焼いて香ばしい匂いが充満していく。
そしてそれを貪り食う中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。
未成年しかいないのでお酒は一向に減らないが、おつまみはどんどん消えていく。
14,5歳の頃合いの新陳代謝をなめてもらっては困るのだ!
果たしてこの焦りを産む状況で天狗はこの料理を無視していけるのか!?
否!
人を下位の存在として見下している天狗がこの場をそのまま素通りする所以も無し。
「……もぐ……確かに……探索は数ね」
お酒が飲めないのでドラゴンエナジーで喉を潤しつつマヨネーズをかけたエイヒレをもぐもぐしていた裕美がピクリとその顔を上げる。
その瞬間、周囲に隠れていたエレクトロレギオン達が一斉に料理場となっていた儀式場を取り囲む。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
ウィーリィが突然、誰もいない場所に向かってユーベルコードを発動!
その炎が空間を焼き尽くす。
「ぬぅっ!何故に妾の居場所が分かったのだ!?」
炎を団扇で生み出した風を使って軽減しながら、透明になる術を使っていた人攫いの天狗がその姿を現す。
まんまと誘き寄せられた天狗を見事にその炎で捕らえにいった形だ。
「ぬぅ!そうか、周囲におるあの面妖な鉄の塊の所為か!」
天狗は何かに気付いたように周囲を飛び回っている裕美のエレクトロレギオンに視線を向ける。
そう、裕美はただ単純に食べていただけではない。
ユーベルコードによって召喚した機械竜200体近くを散開させて電脳魔術で情報収集を行っていたのだ。
姿が見えずも体温や音まで隠せぬという天狗の術の弱点を突き、さらには前回発見したという他の猟兵の探索ロボのデータも学習させて挑んでいたのだ。
「いや、七輪の煙で透明化してた身体が浮き上がってただけだ」
うん。食べてただかったかもしれない。
「……その竜……こちらにいただこうか」
ししゃもを口の端に咥えたまま裕美がのっそり立ち上がり、天狗の持つ儀式の生贄とされようとしているケツァルコアトルの子供を指さす。
「なんじゃ流石は人。竜すら食す気か」
軽口を返しながら、天狗はこの場を一度退却せんと、その身を妖気で覆うと神通力を透明になる隠蔽術ではなく、飛翔能力を強化するために変化させる。
「こやつはそろそろ活〆る。その後に捕りに来るがよい。火山の噴火に焼かれんかったらなっ」
そしてばさりと翼を羽ばたかせ空に逃げようとする。
「狙い撃つよ!」
しかしその瞬間に物陰より放たれた熱線。
「ぎゃっ!?」
飛び立とうとしたその隙を狙い撃ったのはマスケット銃を構えたシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)だった。
「儀式する以上は準備は必要でしょ?天狗の儀式場で待ち伏せは完璧だったね!」
バイクにシャーリー・ウィーリィ・裕美の順番でもはや乗組オーバー状態のまま樹海を走らせまくって儀式場を探しだしたのは何を隠そうシャーリーだったのである。
そして今は裕美のエレクトロレギオンと同調させているAI搭載型戦術ドローンに自分自身の身体の操作を補助させ、空中に逃げようとすれば正確無比な狙撃を早撃ちで繰り出せる位置についている。
「炎で焼き尽くされるのはお前の方だぜ!」
さらに地上からはウィーリィが炎を巻き上げながら接近戦を挑みかかり天狗の隙を作らせない。
「ぬぅ!やりおるわ猟兵共めっ!」
団扇を扇ぎ、妖気を身を包み炎と狙撃を防ぐが段々と追い詰められていく天狗。
「……今」
天狗がウィーリィやシャーリーに気を取られているタイミングで、裕美がドラゴンランスを持ってして突撃を繰り出す。
「甘いわっ」
しかしコルテス配下として儀式を任される程の技量を持つこの天狗は裕美の突撃にも回避。
逆に団扇から炎の風を生みだし裕美に反撃する。
「……甘いのは、そっち」
激痛耐性でダメージを無視しながら裕美はそっと槍を持たぬ方の手で電脳魔術を行使。
周囲を旋回していたエレクトロレギオン達が一斉に天狗に向かって射撃攻撃を繰り出してきた。
「なんと!?」
射撃の狙いはケツァルコアトルの子供を持つ手であった。
妖気で防御しているとはいえ、一点集中の攻撃には思わず仔竜を手放してしまう天狗。
「……この竜は、いただいた」
すかさず地面に落ちようとしていた竜の仔を飛び込むようにしながら抱きかかえると裕美は後方に移動。
「チッ、返さぬか!」
儀式には竜は必須。天狗は奪われた仔竜を取り戻そうと裕美を追おうとしたがその前に躍り出てくるのはエレクトロレギオンとそしてウィーリィだった。
「お前の相手はこっちだぜ!」
「チッ、邪魔な輩よっ」
ならばと飛んで無視しようとすれば、シャーリーの狙撃が頭をかすめる。
「……森に、お帰り……?」
裕美は天狗から離れると仔竜をそっと逃がす。
エレクトロレギオンは耐久性はない。時間稼ぎもそこまで期待は出来ないだろう。
ケツァルコアトルの子供は戸惑ったような様子を見せていたが、最後には一声鳴くと戦場とは逆方向にその場を去っていった。
「……よし」
裕美が一息ついた所で、背後から突然の熱風が走る。
「よもや猟兵如きにここまでコケにされるとはな!両手が使えればそなたらの炎や熱等、妾の妖術の敵ではないわ!」
両手持ちになった団扇を振り回し炎の竜巻を生み出し暴れる天狗がそこにいた。
「相当頭に血が上ってるね」
「これだけ暴れれば十分だろ、一旦引くぞ!」
シャーリーの宇宙バイクに乗り込むとドローンと戦闘機兵にその場を一時任せ、3人は一時退却をするのだった。
●仔竜守りし竜殺し
「チッ、猟兵風情がタツノコを逃がすとはやりおるわっ」
裕美に小さな竜(ケツァルコアトルの子供)を奪われ樹海に逃がされた天狗は苛立ちを乗せた声を出しながら儀式の生贄を探しに樹海を低空で飛行する。
「苦手な探索だが、やれるだけやってみた甲斐はあったようだな」
だが、焦る天狗の前に立ちはだかる者がいた。
高い樹の上から飛び降りて天狗の行き先を塞ぐように立つ猟兵。
サイボーグ。ゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)だった。
ゼット自身は探索に有用な技能などは持ち合わせていなかったが、だからこそ、樹海の木の上に登り他の猟兵達の動向を確認し天狗を追い詰める場所へと先回りしたのである。
「お主、妾は今ちと急いでおるのじゃ。邪魔立てするでない」
しかし天狗は相手が猟兵一人であるならばと、仔竜がいなくなり両手で扱えるようになった天狗の羽団扇をぞんざいに振るう。
属性と自然現象を合成させた現象を発現させる通力を持った団扇である。
そして放たれたのは『炎』の『竜巻』。
「火に煽られて死ぬがよい」
凄まじい熱量を持った業火の竜巻がゼットの身体を包み込む。
「ぐぅ……」
しかしゼットはその身を炎で焦がされながらも竜巻の中を突き進む。
「主、死にたがりか」
炎の竜巻に巻き込まれても突き進むその気迫に驚きつつも天狗は団扇を再度振るい、火力を倍増させる。
「ぐおおおお……!」
元より攻撃を防げていた訳ではない。
ゼットは威力の増した炎の竜巻にその身を灼かれ、途中で膝を付き、力尽きてしまう。
が。
「俺は未来永劫戦い続けなければならない」
その瞬間に、ゼットのユーベルコードが発動する。
リヴァイヴモード。
それはドラゴンの呪いにより死亡した瞬間に何度でも復活し、そのたびに戦闘力が増した状態で自身を強化する術である。
炎の竜巻の中で死亡したゼットは即座にその場で立ち上がり、そして再び歩み出す。
「なんじゃと!?」
炎の竜巻の中で確かにその身を焼かれながらも、何度でも立ち上がってくるゼットの対して、天狗は動揺し、何度もその団扇を奮う。
そのたびに火力が増す炎の竜巻と、力尽きてはすぐに立ち上がるゼット。
「コルテスの好きにはさせん」
そして幾度となく死と復活を繰り返し、その身を攻撃力重視で強化し続けたゼットは、天狗の元に辿り付くと変形武器【竜を殺す百の刃】を細剣の形にし構える。
「終わりだ」
炎の竜巻に包まれながらもその身を顧みずに連続突きを繰り出す。
「ぬぅっ!」
天狗はその翼をはためかせ空中に逃げようとするが、その動きを読んでいたゼットは竜を殺す百の刃の刀身のみを飛ばし空中に逃れようとして無防備だった天狗の真芯を捕らえるのだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月03日
宿敵
『天狗の人攫い』
を撃破!
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