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エンパイアウォー②~屍を率いる怨霊の姫

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #マイ宿敵

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●晴明の秘術
 肩から水晶を生やした屍の軍勢が、江戸を目指して行軍する。その軍勢を率いているのは、豪奢な着物を着た少女であった。
「晴明殿の術は素晴らしいわね。これだけの数の屍を兵に変えるなんて、私の力ではとても出来ないわ」
 その少女も異なる術理にて屍を操るも、清明の術はその十倍以上の『水晶屍人』を生み出した。更に、この軍勢はこの場のみに非ず。別のオブリビオンの指揮する部隊も数多くあるというあたり、流石は『魔軍将』といったところか。
「うふふ、江戸の町を蹂躙するのが楽しみね」
 怨霊の姫は死の軍勢を連れて江戸へと向かう。

●奥羽からの危機
「皆の者、寛永三方ヶ原の戦いは我ら猟兵の勝利に終わった。しかし、残る信長軍の魔軍将達が本格的に動き出したのだ! 今こそ戦争の時、我らの力で織田信長を撃破するのだ!」
 グリモア猟兵である天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は、エンパイア・ウォーが始まったことを宣言する。

「信長のいる安土城へ進むため、幕府軍は「首塚の一族」と共に10万の軍勢にて進軍している。魔軍将の謀略を破り、幕府軍を援護するのが当面の目標だな」
 魔軍将の謀略を放置すれば、幕府軍は大きく軍勢を減らすことになる。そうすれば、安土城の防護の破壊に支障が出る。先ずはこの対処が先決となる。

「貴殿らの任務は、奥羽にて発生している『水晶屍人』の対処だ」
 『水晶屍人』とは、魔軍将の一人である『安倍晴明』の術によって造り出された肩から奇妙な水晶を生やした動く屍だ。戦闘能力はそこまで高くは無いが、噛まれた人間を同族にする力を持っているため、雪だるま式に数を増しているらしい。
「水晶屍人の軍勢は、各地の砦や町を落としながら、江戸へと向かっている様子だ。もしもこの軍勢が江戸に迫れば、幕府軍は江戸の防衛に大きな戦力を割かねばならなくなってしまうのだ」
 江戸へと屍の軍勢が辿り着く前に、軍勢をどうにかする必要があると言うことだ。

「どうやら水晶屍人は、オブリビオンの指揮官によって率いられているようだ。つまり、その指揮官さえ倒せば、後は如何様にもできるというわけだ」
 水晶屍人には知性が無いため、指揮官さえ倒してしまえば、後は奥羽諸藩の武士達でも駆除は可能となる。
「しかし、指揮官たるオブリビオンは数百の水晶屍人の軍勢の奥にいる。如何にして屍人を突破し指揮官を見つけるか、貴殿らの知恵と力の見せ所だな」
 指揮官の下へと辿り着くための上手い方法や手段があれば、戦いを有利に進めることが出来るだろう。また、猟兵は水晶屍人に噛み付かれても、同族とされることは無いそうだ。
「この軍勢の指揮官は、怨霊姫。怨霊を利用しての配下を使った集団戦が得意なようだな」
 怨霊姫の召喚する軍勢は屍人の軍勢よりは少ないが、その戦闘力はなかなかのものだ。十分に注意して挑む必要があるだろう。

「サムライエンパイアに平和をもたらすため、この戦争に勝利しようぞ!」
 百々の鼓舞を受けた猟兵たちは、次々に戦場へと転送されていくのであった。


夢幻
 マスターの夢幻です。遂にサムライエンパイアで戦争が始まりましたね。勝利を目指して、一緒に頑張りましょう。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『怨霊姫』

POW   :    怨霊乱舞
【無数の怨霊の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    怨霊傀儡
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【怨霊を憑依させることで、自らの傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    怨霊家臣団
【レベル×1体の、怨霊武者】の霊を召喚する。これは【刀や槍】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:麦島

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

郁芽・瑞莉
オブビリオンの軍団に囲まれていようとも。
空からでは丸見えですし、なかなか阻止できませんよね?

という事でユーベルコードを発動して空を飛翔。
情報収集で相手の陣容を見て。
敵を発見したら先制攻撃の鎧砕きのランスチャージ!
飛翔速度MAXで突っ込みますよ!
「江戸の街を蹂躙はさせませんよ!」

相手の反撃は見切りと第六感を頼りに、
残像と迷彩で距離感を狂わせて回避しつつ。
2回攻撃の2回目、力を溜めていた状態から封印を解除して破魔の力を開放。
そのまま早業で砕いた鎧部分を串刺しにして鎧無視攻撃を行いますよ!
「死者の尊厳を踏みにじる輩に因果応報の報いを!私達が防ぎますよ!」


ハル・パイアー
「見た目は多少妙だが、良くも悪くも典型的な動死体、アニメイテッドか。こんなものに紛れて行軍するとは良い趣味のようだな」

小官はこれより敵指揮官の発見と撃滅作戦に従事します。
まずはUCを使用。設定は無重力で、周辺の敵群を宙に浮かせて無力化を試行。
その中でUCが無効だったもの、或いは知能のある特徴的な動きをするものを索敵。
その対象に向けてマーキング代わりの[クイックドロウ]重粒子熱線を照射します。

敵軍が浮遊せず無力化されなかった場合は、自身が宙に浮き[空中戦]。上空から敵の攻撃を[見切り]回避しつつ、同様に特徴的な存在を捜索し熱線を加えます。



 整然と整列して行軍を行う水晶屍人、江戸へと向かうこの軍勢に対処すべく、猟兵たちは動き出した。

「見た目は多少妙だが、良くも悪くも典型的な動死体、アニメイテッドか。こんなものに紛れて行軍するとは良い趣味のようだな」
「死者を冒涜するのは許せないです。そんなオブビリオンの軍団に囲まれていようとも、空からでは丸見えですよ」

 ハル・パイアー(STUFFED MAN・f00443)と郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)、共に空へと浮かぶ手段を持つ二人は、空中より敵指揮官である怨霊姫の姿を捜すことにした。

「我が身に宿った数多の人を超えし力よ、『転身再演 神霊閃』!」
「小官はこれより敵指揮官の発見と撃滅作戦に従事します。重力子干渉、開始……」

 瑞莉はユーベルコードによって自身の真なる姿を模した姿へと転身すると、霊力によって空へと飛び上がる。そしてハルは『グラヴィティストレンジ』による重力子干渉を行うことで空中に浮かび、瑞莉を追いかけて進んでいった。

「予想通り、綺麗な着物が一目瞭然です」
「あれが敵指揮官で間違いないでしょう。 !? 弓矢が来ます!」

 空から見通せば、屍人からの妨害も無く、敵将を見つけることも容易いだろう。しかし、空に浮かぶ姿は、敵将からもよく見えてしまうのだ。怨霊姫の指示を受け、周囲に召喚されていた怨霊武者の家臣団は、二人へ向けて弓矢による射撃を始めた。

「ここは小官にお任せ下さい。……区域内の重力子を再定義、グラヴィトンウェーブ射出」

 ハルは怨霊姫と周囲の怨霊家臣団の重力を無重力へと変える。すると、無重力化された敵達は宙へと浮かび上がり、弓矢による射撃も停止した。足場の安定無しに、弓矢の狙いを付けることは難しいというわけだ。

「何? 不思議な術を使うわね」

 重力という概念をよく知らぬ怨霊姫は少々困惑している様子だ。この絶好の機会に、瑞莉は全力のランスチャージによる先制攻撃を仕掛ける。

「江戸の街を蹂躙はさせませんよ!」
「くっ、怨霊達よ!」

 無重力による足場が不安定な状態でも、体を持たぬ怨霊であれば関係ない。怨霊姫が扇を振るうと、無数の怨霊が突進する瑞莉へと殺到し、かろうじてその初撃を逸らすことに成功した。だが、瑞莉の攻撃はこれで終わらない。すぐさま切り返し、再度の突進を行う。

「小賢しいわね……痛っ!」
「敵指揮官撃滅のため、援護します」

 家臣団が重力操作でまともに動けない中、再び怨霊を操り瑞莉へと対応しようとした怨霊姫だが、その腕をハルの重力子熱線が貫ぬいた。そうして怨霊操作を妨害された怨霊姫へと、瑞莉は残像を纏って突き進む。そして、遂に彼女の振るう刃の切っ先が怨霊姫を捉えた。

「死者の尊厳を踏みにじる輩に因果応報の報いを!」
「きゃあああ!!」

 破魔の力を解放した禍ノ生七祇は怨霊姫を串刺しにした。怨霊を操るだけあって、破魔の力は怨霊姫にも高い効果を発揮している様子だ。

 更に追撃を……と行きたいところであったが、そのタイミングでハルの重力操作の効果が切れ、怨霊家臣団がその動きを取り戻す。囲まれては不利と、十分な成果を得た二人は急いで戦場から離脱するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
希代の陰陽師として名を残すセイメイですか
真贋はさて置き此の軍勢を退けて進み
所在を突き止め直接お目にかかりたいものです

◆行動
【黒竜の災厄】でマイハンドと攻撃回数を増やし
愛用の黒竜剣で九連斬し【範囲攻撃】で突貫しボスへの道を切り開きますよー

はい、【気合い】を入れた【怪力】による重い斬撃かつ
【生命力吸収】でその屍を動かす呪力さえ喰らい尽くしましょう
うふふ、少しかすっただけでも【毒使い】による腐食毒で朽ち果てますよ

此処は私に任せて皆さんは先へ進んで下さい
大丈夫、冴え渡る【第六感】で致命的な攻撃は防げますし
【カウンター】を決めて時間は稼ぎます

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブ歓迎


月山・カムイ
あべのはるあきらが生み出した水晶屍人、ね
まさにゾンビ映画のゾンビといった所ですか……何かどこかで聞いた様な組み合わせですね、安倍晴明と増えるゾンビって

既に死したる者達ならば、動かぬ骸へ還してやろう
では、喰い散らかすと致しましょうか

先陣を切って、まずは指揮官への道を開く
まずは持ち込んだバイクで敵陣の真っ只中へ突っ込み、知性のない屍人の上顎と下顎を泣き別れさせるべく、絶影を振るう
囲まれた時こそが自分の真価を発揮するところ
無響剣舞・絶影を解き放ち、直径100m程度の射程に補足した屍人を切り刻み、味方が突入する為の安全地帯を確保
同時に敵の目をこちらに引きつける役割を担って見せる



「希代の陰陽師として名を残すセイメイですか」

 グリモア猟兵の話によれば、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)の目の前を行軍する水晶屍人は、『魔軍将』の一人である陰陽師『安倍晴明』の術によって作られたものだと言う。

「真贋はさて置き、此の軍勢を退けて進み、セイメイの所在を突き止め直接お目にかかりたいものです」

 安倍晴明は気になるところだが、今はこの水晶屍人の軍勢を退けるべく、この場の指揮官を討つことが先決だ。

「あべのはるあきらが生み出した水晶屍人、ね。まさにゾンビ映画のゾンビといった所ですか……何かどこかで聞いた様な組み合わせですね、安倍晴明と増えるゾンビって」

 カムイはどこか晴明と増えるゾンビに心当たりがある様子だが、いずこかの異世界にて、そういったものもあったのかもしれない。

「今はそれを考えるよりも、この場の戦いに専念しないとですね。既に死したる者達ならば、動かぬ骸へ還してやりましょう」

 水晶屍人は死体を変じさせたものだ。つまり、元の人間として蘇らせることはもう不可能。それならばと、月山・カムイ(絶影・f01363)は屍人を元の骸へ還し、指揮官への道を切り開くことを決意する。

「では、喰い散らかすと致しましょうか」
「私も共に戦いますよ」

 カムイの持ち込んだ宇宙バイク『ZX650』に二人乗りして、二人の猟兵は千にも届こうかという屍人の軍勢へと切り込んでいく。知性の無い屍人は、本能のまま攻撃を仕掛けようと向かってきたバイクへと寄っていくが……

「やはり戦闘力は低いようですね」

 カムイの振るう絶影によって、数体の屍人は上顎と下顎を泣き別れにされて崩れ落ちた。予想通り屍人は簡単に倒せる程度の力しか持たないようだ。屍人を倒しながら順調に進んでいく二人であったが、いくらか進んだところで、カムイの斬撃が敵の刀によって受け止められた。

「む? この敵は……!」
「水晶がありません。どうやら怨霊姫の配下の兵が紛れているようです」

 怨霊姫は召喚した怨霊家臣団を、屍人の群れの中にも配置していた様子だ。知性を持ち、技をもって戦う怨霊兵の強さは屍人とは一線を画するものだ。

「こちらは私に任せて下さい。いあいあはすたあ……拘束制御術式解放ですよ」

 怨霊兵に対抗するため、ミコは『黒竜の災厄』によって黒竜の残滓を解放する。それによって、ミコのスライムの体からはそれぞれに異なる武器を持つ、九本の腕が生み出された。

「黒竜剣による九連斬、受け切れはしませんよ」

 ミコの放つ斬撃は重く、鋭い。さらに少しでも傷を与えれば、呪力を吸い尽くされるか、腐食毒で朽ち果てるかの二つに一つだ。怨霊兵はそれなりの強さを持つとは言っても、所詮はただの配下。ミコの斬撃の前に蹴散らされていった。

 更に進んでいった二人であるが、敵軍の中心に近づくにつれて敵の攻撃頻度は増ししていった。そして、おそらく怨霊姫がいるところまでも、あと少しと行った地点で、ついには大量の敵に周囲を囲まれてしまう。

「囲まれた時こそが自分の真価を発揮するところです。――――音も無く、その身に刻め」

 カムイが発動した『無響剣舞・絶影』は周囲の敵群を微塵に切り刻み、戦場の中に味方が突入する為の安全地帯を確保する。

「此処は私に任せて皆さんは先へ進んで下さい」
「怨霊姫をお願いします!」

 二人は押し寄せる敵を撃退しつつ、後から進む味方達を先へと進ませる。終わり無く敵が迫ってくるも、ミコは冴え渡る第六感によって、カムイは敵の攻撃を見切ることで回避しながら、カウンターによる斬撃で敵を倒していく。そうして、二人は仲間達が通り抜けるまで、屍人を倒し続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノトス・オルガノン
◆SPD
※アドリブ、連携歓迎
深山路(f03237)と参加
死者の眠りを妨げる輩はどうも好かないな
猟兵にもそういった術を使う者がいるから、あまり大きな声では言えないが

さて、指揮官殿とやらにお目通り願おうか
UC:κυνηγετικό σκυλί
ニフタの鼻であれば、死臭の中を嗅ぎ分けて、香の香りやらを追えるだろう
屍人は極力【吹き飛ばし】で対応
可能であれば深山路も乗せて移動

無事にたどり着けたらそのまま突撃
すまない、深山路。無理はするなよ
深山路が敵の動きを封じたのを見計らって、ニフタの牙に掻ける


深山路・古月
ノトスさん(f03612)とともに

ノトスさんの駆るニフタの背に乗せてもらいます
それが適わぬならば徒歩(かち)で
犬の脚力には負けるでしょうが戦場を駆け抜けて見せましょう

並みいる雑兵は切って捨てますが、問題は指揮官をどう攻略するかですね
恐らくは、軍勢の中でも最も戦力が歩く、統制もとれている所にいる可能性が高いとは思いますが

怨霊の姫、ですか
私もこれでも陰陽師の端くれ
謹んで調伏して差し上げましょう

【破魔】の力を籠め、UC七星七縛符を使います
私が敵の動きを封じている内に、ノトスさん、お願いします……!

※アドリブ、他PC様との絡み歓迎



「死者の眠りを妨げる輩はどうも好かないな……猟兵にもそういった術を使う者がいるから、あまり大きな声では言えないが」
「そうですね。私たちで指揮官を倒せば、安らかに眠らせてあげることも出来るでしょう」

 行軍する屍人の軍勢を見て、ノトス・オルガノン(白百合の鎮魂歌・f03612)は不快さをその顔に滲ませる。屍人の軍勢はこの場所以外にも存在するとくれば、一体どれほどの死者が冒涜されているのか。せめて出来ることと言えば、深山路・古月(幽艶の藤狐・f03237)の言うように指揮官を撃破し、諸藩の協力を受けて屍人をただの死体へと戻すことだけだ。

「並みいる雑兵は切って捨てればいいですが、問題は指揮官をどう攻略するかですね。恐らくは、軍勢の中でも最も戦力が高く、統制もとれている所にいる可能性が高いとは思いますが……」
「ニフタの鼻であれば、死臭の中を嗅ぎ分けて、香の香りやらを追えるだろう。……おいで、ニフタ」

 ノトスはユーベルコード『κυνηγετικό σκυλί』を発動し、ニフタと言う名の大きな暗黒色の犬を召喚する。そして、古月と共にニフタに騎乗し、屍人の群れの中へと突き進んでいく。本来であれば無数の屍人を退けねば進めないところであったが、ありがたいことに先行する猟兵が道を切り開いてくれている。そのおかげで、二人は疲弊を最小限に抑えて敵群の中央部へと進むことが出来た。そして、香りを便りにニフタが強引に屍人の集団を突破すると、二人は指揮官たる豪奢な着物の少女の元へと辿り着いた。

「貴女が怨霊の姫、ですか。私もこれでも陰陽師の端くれ。謹んで調伏して差し上げましょう」
「うふふ。私を調伏する? いいえ、貴方達が、私の怨霊の仲間入りをするのよ」

 現れた猟兵へと妖しげに微笑む怨霊姫は、怨霊の群れを操り、二人へ向けて殺到させる。

「っ! ニフタっ!」
「これが怨霊姫の力……私も覚悟が必要そうです」

 ノトスの指示を受けたニフタが動くが、怨霊の群れの迎撃で手一杯、このままではいずれ押し負けてしまうことだろう。これではまずいと見た古月は、覚悟を決めて寿命を削るユーベルコードを発動させる。

「七星七縛符!! 私が敵の動きを封じている内に、ノトスさん、お願いします……!」
「無理をさせてすまない、深山路。今だっ! ニフタっ!!」

 古月の放った破魔の力の込められた符は、寿命を削る代償がある代わりに効果は絶大だ。符の力でユーベルコードを封じてしまえば、怨霊使役の能力に特化した怨霊姫は身体能力の低いただの少女も同然となる。そして、ニフタの牙が怨霊姫の体に深く突き刺さった!

「くっ、最初の負傷さえ無ければ……おのれ猟兵め……」

 怨霊姫は怨嗟の言葉を吐きながら消滅していく。余裕そうな様子を見せてはいたが、実際にはこれまでの猟兵の攻撃で大分消耗していたようだ。そこに、ニフタの牙がトドメとなったのだろう。

 猟兵たちが怨霊姫を撃破したことによって、水晶屍人達の統制は無くなり、烏合の衆と化した。それを確認した猟兵たちは、後のことは諸藩の武士達に任せ、次なる戦場へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月04日


挿絵イラスト