●サムライエンパイア
寛永三方ヶ原の戦いに勝利した猟兵達は、『第六天魔軍将図』を手に入れた。
そこに記されていた名前は8つ。
三方ヶ原で討ち取った武田信玄以外の『第六天魔軍将』達が、サムライエンパイアを征服せんと、一大攻勢をかけてきた。
徳川幕府軍は、この国難に立ち向かう為、諸藩からの援軍もあわせ幕府軍10万を招集。
幕府の総力をあげて織田信長の元に向かい、撃破すべく動き出すのであった。
●破滅の足音
奥羽地方で『水晶屍人』が大量に発生した影響で、奥羽諸藩が危機に陥っていた。
『水晶屍人』は『魔軍将』の一人である陰陽師『安倍晴明』が屍に術をかけて造り出した、肩から奇妙な水晶を生やした動く屍。
戦闘能力自体は、それほど高くはないものの、『水晶屍人』に噛まれた人間も、新たな『水晶屍人』になるため、時間が経てば経つほど不利になっていくような状況だった。
しかも、雪だるま式に増えた『水晶屍人』の軍勢が、『安倍晴明』配下の『異端なる術士西行』の指揮で、各地の砦や町、城を落としながら江戸に向かって南下していた。
このまま放っておけば、『水晶屍人』の軍勢が江戸に攻め込んでしまうため、徳川幕府軍は全軍の2割以上の軍勢を、江戸の防衛のため残さなければならなくなってしまう。
そうなれば、織田信長との決戦に十分な軍勢を差し向ける事が出来なくなってしまうため、猟兵達の出番となった。
●ガジルからの依頼
「サムライエンパイアの危機なんだよ!」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が慌てた様子で、今回の依頼を説明し始めた。
今回の目的は『安倍晴明』配下の『異端なる術士西行』を倒す事。
ただし、異端なる術士西行は、数百~数千の『水晶屍人』の軍勢に紛れ込んでいるため、まずは『水晶屍人』を蹴散らしていく必要があるようだ。
幸いな事に猟兵は噛まれても『水晶屍人』にはならないが、普通に攻撃を仕掛けてくるため、早く『異端なる術士西行』を見つけないと、苦戦を強いられる事は必至である。
『異端なる術士西行』は『最高の人』を生み出し、自らの身体にする事を目的にしているため、挑発の仕方によっては相手から姿を現すかも知れないと言う事だった。
ゆうきつかさ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
『異端なる術士西行』は沢山の人々を殺め、その遺骸を使って『最高の人』を生み出そうとしています。
また『水晶屍人』に知性はなく、指揮官のオブリビオンさえ撃破できれば奥羽諸藩の武士達でも駆除は可能です。
第1章 ボス戦
『異端なる術士西行』
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POW : 素材ともなれん端材共よ、我が身を守る栄誉をやろう
【幾万の犠牲者の遺骸を纏う異形の戦闘形態】に変身し、武器「【錫杖により放たれる雷霆】」の威力増強と、【犠牲者達の嘆きの念に包まれた血と骨の翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : 我が願い、我が望み、我が目指す最高の人よ顕現せよ
無敵の【心を除き全てが美しく皆を魅了する最高の体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ : 我がしもべ、我が忠臣、黒百合よ我が敵を封じよ
【幾万の犠牲者達の遺骸の素材と成得なかった】【部分を用い作り上げし呪詛に塗れた裁縫道具】【此が変じた狂妖、黒百合が妖糸、糸巻、糸車】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:灰猫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ヴァーリ・マニャーキン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナターシャ・フォーサイス
WIZ
死してなお使役するとは、なんと醜悪なのでしょう。
本来ならば、安寧を得て然るべきと言うのに。
本来ならば、楽園へ導かれて然るべきと言うのに。
人として怒りを覚えますが、使徒として赦しましょう。
貴方もまた、楽園へ導かれるべき哀れな魂なのですから。
黒百合や水晶屍人は天使たちが導いてくださるでしょう。
天使達もまた人ならざる存在、噛まれて被害を増してしまうこともないでしょうしね。
彼らの罪を、呪詛を、悲しみを祓い、道行きへと加えて差し上げてください。
西行さん、貴方へは私が。
この鎌で罪を祓い、杖と天使で闇を清め、弩でもって道標といたしましょう。
我々は、貴方を歓迎いたします。
二天堂・たま
水晶を生やした屍…敵将が作った、無限に増える軍勢か。
個としては他愛なくとも、群となれば脅威となるわけだ。
いちいち相手にする必要は無い。
ダッシュや野生の勘、UC:スカイステッパーで雑魚兵の隙間をかいくぐる。
その際ボビンケースの糸をロープワークの要領で網にし、すれ違いざまに捕縛して後続のルートを確保しておこう。
生憎刀剣も弓矢も持っていないが、ワタシの持つ“ケットシーの肉球”は触れた者の負の感情を浄化する“武器”なのだ。
水晶屍人や術士西行を踏み台にすることで攻撃できる。
ちと行儀が悪いのが難点だが。
神羅・アマミ
待ちに待った戦乱!
これこそが一族復興の鍵よ!
西行、其方は妾が武勲の礎となる名誉をくれてやろう!
屍人が大量に迫りくるとあらば、そこは妾も数で対抗を試みるぞ。
コード『特機』にてソードビットを展開じゃ。
「はー!まるで歯ごたえが感じられぬ弱き者どもよ!エンパイアに悪名を轟かせたという西行の異端術、実際に対面してみればとんだ期待外れ!いやはや残念無念!」
とかなんとか、安い挑発と共に雑魚を蹴散らしていけば乗ってくれるじゃろうか。
実際にノコノコ顔を出してくれるかはわからぬが、ビットは雷霆に対しては避雷針として活用し、裁縫道具には快刀乱麻の一撃を加えることもできよう。
彼奴のプライド、粉々に打ち砕いてくれる!
死之宮・謡
アドリブ&絡み歓迎
安倍晴明…彼奴、そもそも猟兵か何かだろう?(UDCアースで買った書籍を読んだ感想…何を読んでいるんだか…)
まぁ良い…実は、晴明と会うのを愉しみにしているんだ…前座は引っ込め…
周囲の雑魚ごと【押し寄せる銀灰の波濤】を連発して叩き潰す…雑魚は死ぬだろうが、流石に生き延びるだろう?
特定したら「先制攻撃」で侵食の「呪詛」を籠めた呪いの鎖(全力魔法)を放ち、接近までの時間を稼ぐ
接近後は崩壊の「呪詛」を掛けた大槍を「怪力」で振るい「鎧砕き」ながら「傷口をえぐる」様に「2回攻撃」で刻む…
前座とは言え、折角だ…この私を愉しませてくれよ!
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆心情
希代の陰陽師として名を残すセイメイですか
真贋はさて置き此の軍勢を退けて進み
所在を突き止め直接お目にかかりたいものです
◆行動
【黒竜の災厄】でマイハンドと攻撃回数を増やし
愛用の黒竜剣で九連斬し【範囲攻撃】で突貫しボスへの道を切り開きますよー
はい、【気合い】を入れた【怪力】による重い斬撃かつ
【生命力吸収】でその屍を動かす呪力さえ喰らい尽くしましょう
うふふ、少しかすっただけでも【毒使い】による腐食毒で朽ち果てますよ
此処は私に任せて皆さんは先へ進んで下さい
大丈夫、冴え渡る【第六感】で致命的な攻撃は防げますし
【カウンター】を決めて時間は稼ぎます
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブ歓迎
ファン・ティンタン
【WIZ】出来損ないは誰かな?
これまた随分と集めたね
数の暴力は厄介、早々に頭を炙り出して叩こうか
【挑発】の文言を声に張り上げながら、自身の周りに【哀怨鬼焔】の火壁を展開し雑魚を焼き払い【時間稼ぎ】しつつ機を待つ
そー言えば、黒百合、以前倒したけれど
アレの主ともなれば、これまた捻じくれた破綻者かな
聞いてみたいんだけれど―――出来損ないを使う術士が、最高に辿り着けるものなのかなって?
コレ程の水晶屍人の全権は、おそらく西行には無いはず
予想が当たっていれば、水晶屍人は私にも、西行にもある程度の視界障害となっているはず
【哀怨鬼焔】の紫焔と【第六感】をもって、攻めて来るだろう黒百合に【カウンター】を見舞おう
藤原・祐菜
拝啓、何故か主戦場から離れて東北にいる。
いわゆるクリスタルゾンビっちゅーやつな。無辜な人々を襲うのは許せへんで!!首を洗って待ってろ西行とやら!
と、ゆーわけで水晶屍人をサムライブレイドとフォースカトラスで蹴散らしながら進むで。
「この程度の雑魚なら猟兵の相手にもならんなあ?すぐに駆逐したる。せやろ?」と仲間にも同意を求め、挑発開始。量より質!戦いは質だよ兄貴!!(?)
西行には残像、盾受け、オーラ防御、武器受けで質量のある残像を作りながら吶喊。ユーべルコードには風水予測で回避!
「ゲームオーバーだ、ド外道ーーーーーーーー!!」
と、とどめの一撃をフォースカトラスとサムライブレイドでかましていきます。
●彷徨う水晶屍人
「拝啓、何故か主戦場から離れて東北にいる」
藤原・祐菜(黒狐修業中・f18628)は高台に立ち、仲間達と共に水晶屍人の群れを眺めていた。
思えば遠くに来たものだと言えば聞こえはいいが、大地を埋め尽くすほどの勢いで水晶屍人の群れが江戸に向かって移動を続けているため、とても笑えるような状況ではなかった。
「希代の陰陽師として名を残すセイメイですか」
黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)がスライム形態のまま、複雑な気持ちになった。
『魔軍将』の一人である陰陽師『安倍晴明』が、ミコの知る安倍晴明と同様の存在なのか、現時点では分からない。
だが、魔軍将の一人である以上、強敵である事は間違いないだろう。
「安倍晴明……か。彼奴、そもそも猟兵か何かだろう? まぁ、正体が何であれ、晴明と会うのを愉しみにしているんだ。……前座は引っ込んでもらおうか」
死之宮・謡(統合されし悪意→存在悪・f13193)がUDCアースで買った書籍を閉じ、高台を滑り降りていく。
その間も、水晶屍人の群れは虚ろな表情を浮かべたまま、江戸に向かって進軍を続けていた。
「……敵将が作った、無限に増える軍勢か。個としては他愛なくとも、群となれば脅威となるわけだ」
二天堂・たま(神速の料理人・f14723)も警戒した様子で、水晶屍人の群れに近づいていった。
どうやら水晶屍人の群れに知性はなく、何者かの命令に従って、江戸を目指しているようである。
「……とは言え、随分と集めたね。数の暴力は厄介、早々に頭を炙り出して叩こうか」
そんな中、ファン・ティンタン(天津華・f07547)が声を張り上げ、【哀怨鬼焔(アイエンキエン)】を発動させた。
それと同時に紫色の鬼火がファンのまわりを囲むようにして壁になり、傍にいた水晶屍人の群れを焼き払った。
次の瞬間、水晶屍人が唸り声を響かせ、一斉に襲い掛かってきた。
この様子では、猟兵達を敵として認識したのだろう。
まずは敵の排除が最優先とばかりの勢いで、猟兵達に攻撃を仕掛けてきた。
「なんと醜悪なのでしょう。本来ならば、安寧を得て、楽園へ導かれて然るべきと言うのに……」
それを目の当たりにしたナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)が水晶屍人の群れを見つめ、人として怒りを覚えた。
本来であれば、水晶屍人は楽園に導かれるべき哀れな魂……。
しかし、安倍晴明の邪法によって、本人が望まぬ形で現世に留まっているのだから、使徒として救う必要があった。
「じゃが、妾は、この時を待っていた! これこそが一族復興の鍵! 故に、西行とやらには、妾が武勲の礎となる名誉をくれてやろう! 」
そう言って神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)が、水晶屍人の群れに攻撃を仕掛けていった。
●水晶屍人、荒ぶる
「まあ、この程度の雑魚なら猟兵の相手にもならんなあ? すぐに駆逐したる。せやろ?」
祐菜が荒々しく息を吐きながら、仲間達に同意を求めた。
「ええ、一気にカタをつけてしまいましょう」
その気持ちに応えるようにして、ミコが【黒竜の災厄(コクリュウノサイヤク)】を使い、屠竜の魔女の影に潜む黒竜の残滓で、マイハンドと攻撃回数を増やした。
「無辜な人々を襲うのは許せへんで!! 首を洗って待ってろ、西行とやら!」
続いて、祐菜が半ば喧嘩腰に大声を上げ、サムライブレイドと、フォースカトラスで、水晶屍人を次から次へと蹴散らしていった。
だが、水晶屍人は虚ろな表情を浮かべたまま、アングリと口を開けて再び猟兵達に襲い掛かってきた。
「皆様、ご安心を……。必ずや、天使達が導いてくださるでしょう。天使達も、また人ならざる存在、噛まれて被害を増してしまうこともないでしょうしね。彼らの罪を、呪詛を、悲しみを祓い、道行きへと加えて差し上げてください」
そんな中、ナターシャが祈りを込め、【楽園の使徒(アンロック・イニシエート)】で天使達を率いる機械仕掛けの大天使に変身すると、【聖祓】の名を持つモノと周囲の味方達の威力増強し、機械仕掛けの切断翼で飛翔能力を得た。
その間も、水晶屍人の歩みは止まらない。
それはまるでナターシャに対して、救いを求めているようにも見えたが、血肉を求めているようにも見えた。
「それ以上、近づくのであれば、覚悟をした方がいいですよ。少し、かすっただけでも、腐食毒で朽ち果ててしまいますから……。その覚悟が出来ていると言うのであれば、掛かってきなさい!」
ミコも愛用の黒竜剣を握り締め、水晶屍人の群れに突貫すると、気合を入れた怪力による重い斬撃かつ生命力吸収で、水晶屍人を動かす呪力さえ喰らい尽くし、一気に道を切り開いた。
しかし、その道はすぐに塞がれ、まるで壁の如く水晶屍人が群がってきた。
「屍人が大量に迫りくるのであれば、妾も数で対抗するだけじゃ!」
それを迎え撃つようにしてアマミが【特機(トッキ)】を発動させ、柄尻のデジタル表示器に1と刻印された戦闘用ソードビットを召喚した。
召喚された戦闘用ソードビットは水晶屍人の身体を貫き、骸の山を築き上げていった。
「まぁ、これで死ぬような奴なら、それまでだ」
続いて、謡が【押し寄せる銀灰の波濤(メタル・クラッシュ・パニック)】を使い、灼熱の液化金属が形作る大津波を召喚し、水晶屍人の群れを飲み込んだ。
この中に西行が隠れている可能性もあるのだが、別に生け捕りにする必要がないため、あまり気にする必要はないだろう。
「おそらく、コレ程の水晶屍人の全権は、西行に無いはず」
そんな中、ファンが一気に距離を縮めていき、水晶屍人の中に紛れた西行を捜し始めた。
万が一、水晶屍人を支配する力があったとしても、それはこの中のごく一部。
そういった意味でも、自分の身を守るようにして、支配下に置いた水晶屍人で固めているはずである。
「確かに、いちいち相手にする必要は無いな」
たまが納得した様子で間合いを詰めながら、【スカイステッパー】を使い、水晶屍人の間を掻い潜り、ボビンケースの糸をロープワークの要領で網にすると、水晶屍人の群れを捕縛した。
「此処は私に任せて皆さんは先へ進んで下さい」
一方、ミコは水晶屍人の群れを迎え撃ち、仲間達を守るようにして陣取った。
その間も水晶屍人の群れが次々と攻撃を仕掛けてきたが、ミコはまったく怯まない。
「いや、その必要はない。まるで歯ごたえが感じられぬ弱き者どもを嗾け、何処かに隠れて震える事しか出来ない西行など相手にする価値なし! これがエンパイアに悪名を轟かせたという西行ならば、まったくの期待外れ。どうせ出てきたところで、雑魚じゃ、雑魚!」
アマミが小馬鹿にした様子で、わざと大声を出して、何処かにいるはずの西行を挑発した。
「……愚かな。それほどまでに死に急ぎたいのであれば、その望み……叶えてやろう!」
次の瞬間、西行が凄まじい殺気を放ちながら、猟兵達の前に姿を現した。
●異端なる術士西行
「この状況でノコノコと顔を出すとは……。よほど自信があるようじゃな。そのプライド……粉々に打ち砕いてやろう」
アマミが含みのある笑みを浮かべ、西行に戦闘用ソードビットを向けた。
「我がしもべ、我が忠臣、黒百合よ、我が敵を封じよ」
すぐさま、西行が黒百合を呼び出し、猟兵達を迎え撃つ。
黒百合は幾万の犠牲者達の遺骸の素材と成得なかった部分を用いて作り上げられた呪詛に塗れた裁縫道具。
そこから放たれた妖糸、糸巻、糸車は、すべて命中すれば相手のユーベルコードを封じる危険なシロモノ。
「……!」
それに気づいた祐菜が質量のある残像を作りながら、【風水観測(フューチャーサイト)】によって、10秒先の未来を観測した。
即座に観測した未来とは異なる行動を取り、間一髪で黒百合の攻撃を避けた。
「以前倒した黒百合の主と言うだけあって、これまた捻じくれた破綻者のようだね。でも、出来損ないを使う術士が、最高に辿り着けるものなの?」
その間にファンが【哀怨鬼焔(アイエンキエン)】を発動させ、紫色の鬼火を放って黒百合を消し炭に変えた。
「生憎、刀剣も弓矢も持っていないが、ワタシの持つ『ケットシーの肉球』は触れた者の負の感情を浄化する『武器』なのだ」
それに合わせて、たまが【ケットシー・インパクト(ニクキュウ・マジック)】を仕掛け、悪意と殺意を浄化する衝撃波を放った。
「な、なんだと……!?」
その途端、西行の中で渦巻いていた悪意と殺意が、蝋燭の火を吹き消す勢いで、心の中から消え去った。
まるで蝋燭の炎を消すかの如く容易に、悪意と殺意が消えたせいで、西行の心は真っ白になった。
そのため、何も考えられない。
何かすべき事があったはずなのに、それが重要であるとは思えず、行動する事を躊躇っているようにも見えた。
「まさか、これで終わりか。……折角だ。この私を愉しませてくれ!」
そんな空気を察した謡が西行を挑発しながら、侵食の呪詛を籠めた呪いの鎖を放った。
「この鎌で罪を祓い、杖と天使で闇を清め、弩でもって道標といたしましょう。我々は、貴方を歓迎いたします」
次の瞬間、ナターシャが西行めがけて、聖祓鎌「シャングリラ」を振り下ろした。
それは一瞬の出来事であったが、西行にとっては、全てがゆっくり動いているように見えた。
それ故に、苦しみが永遠に続くような錯覚を覚えつつ、罪の重さもろとも魂が引き剥がされるような痛みを感じた。
「ゲームオーバーだ、ド外道――――――!!」
それに合わせて祐菜がフォースカトラスとサムライブレイドを交互に振るい、西行の身体を続けざまに斬りつけた。
「ま、まだやるべき事が……」
その一撃を食らった西行が悔しそうな表情を浮かべ、崩れ落ちるようにして膝をついた。
それと同時に水晶屍人の群れが西行に群がり、唸り声を響かせながら、その肉を喰らい始めた。
その間に猟兵達は水晶屍人の群れから離れ、次の戦場に向かうのだった。
大成功
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