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エンパイアウォー⑤～埋蔵金を守る謎

作者：陵かなめ

　全国の商人から兵糧などの補給物資を購入しようとした徳川幕府。しかし、補給物資の値段が天井知らずに高騰していた。なんと、大悪災『日野富子』が個人資産により買い占めを行っていたのだ。
　大悪災『日野富子』の買い占めが続けば、予定される規模の幕府軍を動員する事ができない。この買い占めに対抗するには、もはや徳川埋蔵金を探し出すよりほかはない。
　ルビナ・ベイビーブルー（スペースノイドの電脳魔術士・f01646）は猟兵たちに向けて説明した。
「『徳川埋蔵金』って言うのはね、神君家康公が有事の為にと遺したものなんだよ。徳川家に伝えられた『徳川埋蔵金の地図』を借り受けたから、埋蔵金を探し出してきてほしいの」
　もちろん、地図に示された場所に向かうだけでは、埋蔵金を得ることはできない。
「神君家康公が埋蔵金の盗掘を防ぐために残したという『謎』を解かなければならないんだよ。でも、みんななら、きっと大丈夫だよね」
　そう言って、ルビナは徳川埋蔵金の地図を示した。

●埋蔵金を守る謎
　竹取の翁は素晴らしい姫を育てる。
　合戦武将は大挙して姫を求め、
　松は寸にして棟梁の機ありと称賛を贈る。
　それはひとえに姫の才だったか。
　ともあれ、平和の世には過ぎた物語である。

「答えの下にあるものは何か」

　提示された謎は以上である。
「みんな、分かった？　何て答えたらいいのかな？　ええと、答えは二文字になるみたいだよ。よく考えて謎の答えを示してね」
　そう言って、説明を終えた。

第1章 冒険 『神君家康公の謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●謎の道筋
　埋蔵金とは胸が躍る響き。
「そんな人もいるときくにゃー」
　話を聞いて駆け付けたクーナ・セラフィン（雪華の騎士猫・f10280）は、首を傾げて提示された謎を覗き込んだ。縦書きにしたり横書きにしてみたりして、頭を捻っている。
　そんなクーナの近くでくるくると旋回したのはパルピ・ペルポル（見た目詐欺が否定できない・f06499）。
「今回は私の懐に入るわけではないけれど、お宝探しは心躍るわね」
　なるほど、と、クーナが頷く。自分は興味がないけれど――。
「勝つ為に必要なら謎解きもやらないと、ね？」
「早々に謎を解く必要があるようですね。頑張りマッスル！」
　アンネリーゼ・ディンドルフ（オブリビオン料理研究所の団長・f15093）も、今日ばかりはいつもとは違う。おいしいオブリビオン料理は望めそうにないけれど、この謎を解くためにはせ参じたのだ。
「で、この文章にこの問いかけね」
　パルピの言葉を聞いて、皆、改めて謎を見る。
「答えの下にあるものー？　うーん、どこかなー？」
　リンゴ・スターアップル（魔法少女スターアップル・f19739）が、小首を傾げた。
　ざっと謎に目を通し、アンネリーゼがこう呟く。
「ふむふむなるほど。これは『答えの下』と『二文字』がミソですね」
「答えの下……まず答えを探さないといけないのかしらね」
　パルピが言うと、それぞれ思い思いに提示された謎から『答え』を探し始めた。
　とにかく、『答え』が見つかれば話は早い。
　皆がその考えで一致していた。
「……あ！　答さんみーっけ！」
　リンゴがぱあと表情を明るくし、指さす。
　それが分かりさえすれば、後は示す言葉を探すだけだ。
「まつ……いや、松平？」
　クーナが言うと、それぞれ互いに顔を見合わせ頷き合った。

●謎の回答
「では皆さん、答えをすり合わせてみましょう」
　アンネリーゼの提案に、それぞれが考えを述べる。
「私は最初に答さんをみつけたよ！」
　リンゴが元気良く、提示された謎の中から『答』を指示した。
「竹と合を重ねれば答、この文章でその下にあるのは松、と言うわけだにゃー」
「『竹＋合＝答』と考えて答の下には松と言うことですね」
　クーナとアンネリーゼが頷く。
　『竹取の翁』の『竹』、『合戦武将』の『合』。
　これらを縦にあわせれば『答』ができると言うのだ。
　その下にある文字『松』が一つ目の文字と言うことは、間違いないだろう。
「平仮名にして『まつ』でも二文字だけれど、これだと『え』が足りない。そこで、もっと文章をよく読んだのにゃ」
　クーナの説明によれば、文章の中に『え』の文字は一つだけ。『ひとえに』の部分だ。
「『え』の下には『平』があります」
「だから、答えさんの下は、松平さん☆」
　アンネリーゼとリンゴが続ける。
　すなわち、示す答えは『松平』となるのである。
　しかし……。
「松平……何でしょう？」
　アンネリーゼがふと首を傾げた。
「そんな苗字聞いた事があるようなないような」
　クーナも、何となく上を向く。
　ともあれ、三人はこうやって答えにたどり着いたようだ。
「へえー！　皆そう考えたのね」
　三人の意見を聞いていたパルピが可愛らしく小首を傾げた。
「わたしはね、『え』の下なら『平』の文字があるけど答はない、と最初考えたのよね」
　そして埋蔵金採掘場所の岩にちょこんと腰掛け、そう切り出す。
「その次に、『竹』と『合』で『答』になるって思ったわけ」
「なるほど、そのような道筋で」
　アンネリーゼが頷いた。
「これでいいのかしらって思っていたけど、どうやら君たちとも同じ答えね」
　と、パルピ。
「縦書きだったら答の文字が出ないからこれであってる、はずにゃー」
　クーナは不安を取り除くように、そう説明をつけ足した。

●示した言葉
「示す答えは『松平』」
　全員の意見が一致した。
　それまで道を塞ぐように鎮座していた巨大な岩が、猟兵たちの目の前で崩れていく。
　どういう仕掛けだろうか、ともあれ難所は突破したようだ。
「正解だったようだにゃ―。幸運招いちゃったのかにゃー？」
　クーナが崩れた岩の先を覗き込む。
「まだ少し掘り進める必要がありますか」
　アンネリーゼが言うと、さっそくリンゴがもっと愉快な仲間達を発動させた。
　25体の陽気な小人達が現れ、せっせとトンネルを掘り始める。
　特に硬い岩があるわけでもなく、すぐに埋蔵金の納められた宝箱が見つかった。
「これは、すごいですね」
　アンネリーゼが思わず感嘆の声を上げる。
　さすが、神君家康公が有事の為にと遺した埋蔵金だ。宝箱をこじ開けると、いかにもな金銀財宝が鈍い光を放っているのが見えた。
「これを動かくぐらいはできるわよ」
　そう言ったのはパルピ。
　火事場のなんとやら。怪力の技能を如何なく発揮し、ひょいと宝箱を持ち上げた。まさに、フェアリーナメタラアカンゼヨである。
　おお、と、拍手を送る一同。
「さすがに着服はしないわよ。必要経費なんだし」
　宝箱の中身は非常に気になるが、この場は拝むだけに留めておく。
　とは言え、パルピだけに運搬を任せるにはやはり少し酷だ。
　猟兵たちは手分けして発掘した埋蔵金を運び、徳川幕府に献上した。
　この埋蔵金があれば、大悪災『日野富子』の買い占めに少しでも対抗できるはずである。
　猟兵たちは謎を華麗に解き明かし、スッキリとした気持ちで帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月01日