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エンパイアウォー②~水晶を生やす屍の軍勢

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 寛永三方ヶ原の戦いに勝利した猟兵達は、『第六天魔軍将図』を手に入れる事となった。
 この『第六天魔軍将図』に記された名前は8つ。
 三方ヶ原で討ち取った武田信玄以外の『第六天魔軍将』達が、サムライエンパイアを征服せんと、一大攻勢をかけてきたのだ。
 徳川幕府軍はこの国難に立ち向かう為、諸藩からの援軍もあわせ幕府軍10万を招集。
 幕府の総力をあげて織田信長の元に向かい、撃破すべく動き出した。

 織田信長を撃破する為には、この徳川の軍勢が必須となるのは間違いない。
 行軍する徳川幕府軍を信長軍の攻撃から守りつつ、行く手を阻む信長軍の魔軍将達を撃破していきたい。


 グリモアベース。
 新たな戦争が勃発したことで、猟兵達はその対応に追われている。
「皆、お疲れ様。私からの依頼をお願いしてもいいかしら?」
 セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)も、今回の戦争ではできる限りの支援を行いたいと、依頼の紹介に気合を入れている。

 そんなセレインから依頼を受けたメンバー達が赴くことになるのは、奥羽地方。
 そこでは、大量の『水晶屍人』が発生し、奥羽諸藩が危機に陥っているのだという。
「『水晶屍人』は『魔軍将』の一人、陰陽師『安倍晴明』が屍に術をかけて造り出した、肩から奇妙な水晶を生やした動く屍ね」
 戦闘能力自体は高くはないが、『水晶屍人』に噛まれた人間も新たな『水晶屍人』となる為、雪だるま式に数が増え続けてしまう。
 その『水晶屍人』の軍勢は、『安倍晴明』配下のオブリビオンが指揮しており、各地の砦や町、城を落としながら江戸に向かって南下しているという。
 このまま『水晶屍人』の軍勢が江戸に迫れば、徳川幕府軍は全軍の2割以上の軍勢を江戸の防衛の為に残さなければならない。
 そうなれば織田信長との決戦に、十分な軍勢を差し向ける事ができなってしまうだろう。
「だから、できるだけ、此の軍勢を江戸に至る前に叩いておきたいわね」

 しかし、その軍勢全てを相手にする必要はない。
 平地を行軍する『水晶屍人』の軍勢の中に、軍を率いる『安倍晴明』配下のオブリビオン……『義勇兵の亡霊『マツムシソウ』』がおり、そいつを撃破すればよい。
「あとは奥羽諸藩の武士達でも、駆除は可能だそうよ」
 その為、『水晶屍人』の軍勢を蹴散らしつつ、その中からマツムシソウを探し出して撃破したい。
 幸い、猟兵は噛まれても『水晶屍人』にはならないが、攻撃によるダメージは受けてしまう。
 だからこそ、『水晶屍人』を手早く蹴散らす手段、または、マツムシソウを手早く発見する手段があれば、この場の戦いを早く終結できるかもしれない。

 説明を終え、セレインは最後にこう告げる。
「戦いは始まったばかりだけれど……サムライエンパイアの地も、私達猟兵なら救えると信じているわ」
 そうして、彼女は現地に参加する猟兵を呼び寄せる為、一足先にテレポートしていったのだった。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 サムライエンパイアでの戦争開始です。
 皆様のお力、お貸しいただきたく願います。

 こちらのシナリオは、1章構成、『義勇兵の亡霊『マツムシソウ』とのボス戦です。
 『水晶屍人』の軍勢を率いるマツムシソウを倒す為、敵陣を突破する方法、敵指揮官を発見する方法などが必要となります。
 そちらを手掛けた上で、指揮官との交戦プレイングを手掛けていただければと思います。

●注意
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●執筆予定
 現状、8月2日の夜執筆予定です。
 それまでに10人以上のご参加がありましたら、優先して執筆開始いたします。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 ボス戦 『義勇兵の亡霊『マツムシソウ』』

POW   :    我が贄となれ・・・
技能名「【生命力吸収】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    我らが復讐には誰も抗えぬ・・・
レベル×1体の、【能面】に1と刻印された戦闘用【一揆に参加した武者の亡霊】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    忘れるな、我は復讐の化身だ・・・
自身が戦闘で瀕死になると【生命力を吸収する自身の似姿の亡霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:Moi

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はコミュニ・セラフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラモート・アンゲルス
屍ですか。それは武士の方々でも倒せるのですね。

武士の方々に協力してもらいつつ、UC【主の守護者】を全体に照射して味方を増やすです。増える量は敵軍と味方軍の和、数としては十分だと思うです。後は味方軍にUC【祝福の加護】を発動して味方軍の戦力を上げるです。
自分はUC【階位上昇】【階位突破】【天使降臨】を発動して敵に挑むです。この姿はこの地域だと馴染みのないものですが六枚翼の天使、その偉大さは伝わると思うです。
 勝利と天は我らにあり!私を信じて敵を迎え撃つです!


梅ヶ枝・喜介
ふざっけんじゃねぇェエえええええええ!!!

戦争だからってよ!なにも関係ねェ町のモンまで手にかけるこたァ無いだろ!

連中は猟兵もおぶりびおんも関係ねぇのよ!ただ日々を必死に生きてんの!

それを!それをっ!テメーの都合で!好き勝手にする謂れが何処にあるっ!

その上屍人の軍勢だァ!?
仏サンを何だと思ってやがる!この天下で必死に生きる人間を何だと思っていやがるってんだ!!

ドタマに来たゼっ!ぶっ潰すッ!

軍勢の頭の居場所なんて決まってらァ!連中の動きの真ん中ヨ!
真正面から突撃してって木刀を大上段に振るい、軍勢を幾度も真っ二つに裂く!

その中でも一等動きの機敏なトコに頭目は居る!

見つけたぜ!往生せいやぁあああ!!!


美国・翠華
【アドリブOK】
ここにいる人達は生ける屍…私と一緒ね。
苦しみが終わらせられるだけマシなのかもしれないけど

弱い敵に対しては生命力吸収と
早業、怪力を駆使して蹴散らしていくわ。
敵の攻撃を受けたとしてもひたすら目の前の敵を倒しながら
進んでいくつもり

もし相手が復讐を望むなら
敵の指揮官がとどめを刺しに来るかもしれない
死にかけるまで戦って
それで現れたときにはユーベルコードを発動して
周囲の敵もろとも倒れるまで戦う。

…ある意味私も「屍人」だけど、生命力を奪えるかしら…?


ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎

敵の数が多い、というのは厄介ですが。
それならばこちらも頭数を増やせばいい。

UCを発動し、過去の自分を呼び出します。
さて、過去の私と共に●ダッシュで敵を破壊しながら駆け回ります。
死してなおこのように扱われ無念でしょう。
安らかにお眠り下さいませ。

多少強引になりますが、敵の首魁を発見出来れば●覚悟の槍と●鼓舞の剣、2人合わせて二槍二刀、四本の武器で攻撃します!
敵の数を増やそうが過去の私と今の私、2人の連携に隙はありませんわよ!

あなたもまた死したモノ。
この世にあなたの居場所はもうないのです。
帰りなさいな。


白澪・彩葉
水晶屍人に噛まれたら……まるで映画のゾンビのようですね。
幕府軍を守るため、早めに討ち取ってしまいましょう。

【SPD】
さて、ではマツムシソウを探すとして……この軍勢から探すには骨が折れそうですね。
なのでユーベルコードを使用して、幻を見せながら水晶屍人を誘導。
それで道を開けながら軍勢の中を探し回りましょう。

屍人の中でただ一人の亡霊、冷静になれば見つけるのは容易いはず。
見つけられたならその背後から破魔の力を宿した刀でバッサリとやってしまいましょうか。

これほど多くの敵に一斉に術をかけるのは久方ぶりなので、結構疲れてしまいますね。


ゼイル・パックルード
さて、楽しい殺し合いの始まりか
有象無象が集まったところで、と思うが、ウォームアップには持ってこいかな。それとも指揮官の采配で楽しませてくれるのかい?

【ダッシュ】で駆け抜けながら、UCと【早業】を駆使して敵陣に切り込んでいく
UCのデメリットは気にしない
敵陣では敵と敵の合間を【見切り】【残像】を発生させて、狙いを絞らせないようにする
ある程度亡霊どもを狩ったら、【残像】を発生させて移動させてから【ジャンプ】
離れて孤立しているヤツ、もしくは亡霊どもの守りの堅い場所を確認して指揮官がいる場所を探す
見つけたらナイフを投擲して、着地次第その場所へと突っ込んでいく
ジャンプ中に狙われたら鉄塊剣などで【武器受け】


ショコラ・リング
水晶屍人でございますか
UDCアースの放送で見た事あるような敵でございますね
ともあれ、立ち上がる人々の為にも一猟兵としてボクも馳せ参じるのです

迷彩を使い目立たない様にしながら高台などの敵全体が見渡せる位置へと移動します
後方や中衛などで水晶屍人に守られていそうな所に目星をつけて、第六感も頼りにしながら、マツムシソウを探すのです
見つけることができれば味方の位置取りと敵の位置取りから、最短距離を移動できるように、ルート上の水晶屍人を【神の杖】による狙撃で吹き飛ばしていきます
味方がマツムシソウと戦う間、水晶屍人の邪魔が入らない様に援護射撃を行いますし、余裕があればボクもマツムシソウへの攻撃に参加します


宮落・ライア
さぁ戦争だ。
とは言えまずは後手に回ってるのをどうにかする事からか。
相手は軍勢。その中の一人を潰せば勝ち。
どうすればいい?決まってる。
一切諸共薙ぎ払えばいい。
その一閃で斬り潰せれば僥倖。
例え当たらずとも他の猟兵が切り込む道が開ける。

分かっているだろう? 万の弱兵など寡兵と変わらないと。

軍勢の前に立ち大剣を構え力を溜める。
そしてマツムシソウが召喚した亡霊ごと屍人の軍勢を
頭から最後尾までど真ん中を衝撃波で薙ぎ払う。


鞍馬・景正
いずれ来るとは覚悟していましたが、遂に我が生まれの世界にも大乱が訪れましたか。

結構、武士としての本懐です。
私の育った江戸の地をただの一歩たりとも踏ませはせぬ。

◆戦闘
狙うは指揮官のみ。
愛馬に【騎乗】し、そのまま敵前衛に【霰】で矢を射掛けましょう。

そのまま駆け寄りつつ、【視力】を発揮して敵軍を観察。

腕や得物を振るって指揮しているらしき素振りの者、屍人兵から判断を求められるように視線を集める者を指揮官と判断。

後はその者目掛けて最短距離で疾走。

立ち塞がる敵兵は馬の突進で蹴散らすか、射抜きながら一掃し、マツムシソウを射程距離に収めれば【怪力】による【2回攻撃】の騎射で針鼠として料理してくれましょう。


石上・麻琴
■心情
はてさて、『魔軍将』の一人、『安倍晴明』が造り出した『水晶屍人』ですか……
陰陽道に関わる者としては、思うところがない訳でもないですが
ひとまずは、蹴散らすことと致しましょう

■戦法
ユーベルコードによって召喚した巨大な玄武を『水晶屍人』の軍勢の真上に落とします
衝撃波や玄武の攻撃で敵が慌てふためくようなら、指揮官が指示を出して指揮官の周囲にいる敵から軍を立て直していくはずです
そこを見つけ出し、他の猟兵に知らせましょう
指揮官を見つけたら、技能:破魔と技能:薙ぎ払いによる薙刀の攻撃で敵を蹴散らしつつ、指揮官に技能:鎧無視攻撃、技能:2回攻撃、技能:属性攻撃、技能:破魔による剣の斬撃で攻撃していきます


月夜・玲
水晶屍人ね……
全く、聞くだけで性質が悪いのが分かるよ
作った奴は相当根性がねじ曲がってるんじゃない?
こんなのを野に放つ訳にはいかないからね、オブリビオンも纏めて蹴散らしてあげる

●戦闘
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
両剣にエネルギーをチャージして攻撃開始
水晶屍人をターゲットに【エナジー開放】を使用して広域にチャージしたエネルギーを二振りの剣から放出!
数を一気に減らしてマツムシソウへ突撃しやすいようにしよう
屍人達の攻撃は『武器受け』でガードしつつ再チャージ
チャージ完了後は再度【エナジー解放】して『2回攻撃』!
屍人を優先して範囲攻撃で狙って、敵陣を撹乱するよ

●アドリブ等歓迎


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
希代の陰陽師として名を残すセイメイですか
真贋はさて置き此の軍勢を退けて進み
所在を突き止め直接お目にかかりたいものです

◆行動
【黒竜の災厄】でマイハンドと攻撃回数を増やし
愛用の黒竜剣で九連斬し【範囲攻撃】で突貫しボスへの道を切り開きますよー

はい、【気合い】を入れた【怪力】による重い斬撃かつ
【生命力吸収】でその屍を動かす呪力さえ喰らい尽くしましょう
うふふ、少しかすっただけでも【毒使い】による腐食毒で朽ち果てますよ

此処は私に任せて皆さんは先へ進んで下さい
大丈夫、冴え渡る【第六感】で致命的な攻撃は防げますし
【カウンター】を決めて時間は稼ぎます

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブ歓迎


ヘンペル・トリックボックス
さて、どのような因果で這い出て来ようとも過去は過去。あの忌々しい外道の居場所、吐いて貰いますよ……!

UCを発動、前鬼の炎【属性攻撃】による【範囲攻撃】で敵陣を崩しつつ、私は後鬼の肩の上から戦場全体を俯瞰。地形や陣形の密度、配置等を【情報収集】し、敵将の居そうな方向に当たりをつけながら進撃、出来るだけ派手に暴れるとしましょう。二体ともその巨体ゆえに【存在感】がありますから、そのまま【おびきだし】の目印としても効果はある筈です。

敵将を発見したら、速やかに前鬼後鬼による直接制圧。
加えて私自身は【目立たない】ように接近、手持ちの火行符に【破魔】の力を籠め、隙が生じた瞬間に火【属性攻撃】を叩き込みます。


アテナ・アイリス
ついに動き出したわね。わたしも全力でいくわよ。
でもまずは、戦うよりもマツムシソウを探したほうがよさそうね。
【ディバイン・フェザー】をつかい、空に舞い上がり、空中からマツムシソウの姿を探すことを優先する。
みつけたら、「セレーネの白弓」をつかって、音のなる矢をうって、味方の猟兵に場所を教える。
そのあとは、上空から【援護射撃】をおこなって、味方をサポートするわ。

「わたしが上空から探すわ。音で合図するからお願いね。」
「このスピードなら、あっという間に見つかるはずよ。」
「あれじゃないかしら?」
「あとは、任せたわよ。」

アドリブ・連携好きです。


藤原・祐菜
うちはあんまり賢こーないからな、本陣発見は仲間に任せるわ。
ちゅーか大体層の厚い場所が本陣ってのがセオリーやと思うけどどうなん?
どちらにせよ敵の数を減らしていけば東北地方の被害も減らせるし一石二鳥やろ!!

と、いう訳で敵を見つけたら突撃し、サムライブレイドとフォースカトラスで蹴散らしていくで。ボスを見つけたらほら貝吹いて仲間に知らせるんや。
「見つけたで!!親玉や!!」
仲間が見つけた場合は即座に合流行動を。

マツムシソウには残像、盾受け、オーラ防御、武器受けと防御技能を駆使して吶喊。さらには風水観測で未来を予測、仲間を支援。
事象を観測することが巫女の役目やからな。これぐらいは朝飯前や!(ドヤァ)


白波・柾
水晶屍人の同族を生み出す行為はさながら吸血鬼のそれだな
これ以上の被害を出させないため、微力ながら奮戦しよう

俺は突貫隊の露払いに専念しよう
「目立たない」を使用しつつ
水晶屍人は「なぎ払い」「吹き飛ばし」でもって突貫隊の行く手を阻む奴らを蹴散らそう
それでもどうしても数に勝る相手は一般兵を襲いくるだろう
その時は敵を「おびき寄せ」て俺自身が囮になり
味方の巻き添えの心配がないところへ誘導したなら
「先制攻撃」「鎧無視攻撃」「鎧砕き」をもって【千刃の鋩】でまとめて攻撃しよう
自分がダメージを受けるならば
「オーラ防御」と「激痛耐性」で耐え抜きたい




 サムライエンパイアで勃発した戦争。
 これに参加すべく、多数の猟兵達がこの世界を訪れる。
「さぁ、戦争だ……とは言え、まずは後手に回ってるのをどうにかする事からか」
 ヒーローを目指して戦うキマイラの少女、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は気合を入れつつも、冷静に状況を確認する。
「いずれ来るとは覚悟していましたが、遂に我が生まれの世界にも大乱が訪れましたか」
 瞑色の髪、瑠璃色の瞳を持つ羅刹、鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)は、この世界で戦い抜くことができることが、武士としての本懐だと考えている。
「私の育った江戸の地を、ただの一歩たりとも踏ませはせぬ」
 景正が言うように、まずはこの奥羽の地から、敵軍を江戸へと至らせぬよう防ぐ必要がある。
「さて、どのような因果で這い出て来ようとも過去は過去。あの忌々しい外道の居場所、吐いて貰いますよ……!」
 普段はとぼけた雰囲気の紳士、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)だが、今回ばかりは真剣な面持ちでこの戦いに臨む。
 さて、今回の戦いにおいて、止めるべき敵とは。
「希代の陰陽師として、名を残すセイメイですか」
 見た目は黒いスライムの塊である、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)が呟く。
「『魔軍将』の一人、『安倍晴明』……。陰陽道に関わる者としては、思うところがない訳でもないですが」
 陰陽師の少年、石上・麻琴(虹の彼方の空の星・f01420)も、安倍晴明に興味を抱く。
「真贋はさておき、此の軍勢を退けて進み、所在を突き止め、直接お目にかかりたいものです」
「その前に、彼が作り出した『水晶屍人』ですか……。ひとまずは、蹴散らすことと致しましょう」
 ミコもまた実際に本人と対面したいというが、麻琴が言うように、屍の軍勢を倒す必要がある。
「水晶屍人ね……。全く、聞くだけで性質が悪いのが分かるよ」
 気ままなスペースノイドの女性、月夜・玲(頂の探究者・f01605)も水晶屍人の作成主が相当根性のねじ曲がった奴だと呆れと憤りを隠さない。
「こんなのを野に放つ訳にはいかないからね。オブリビオンも纏めて蹴散らしてあげる」
「水晶屍人でございますか」
 齢7歳にして弓の名手であるキマイラの少年、ショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は、UDCアースの放送で見たことがあるような敵だと感じていたらしい。
「水晶屍人に噛まれたら……まるで映画のゾンビのようですね」
「俺には、水晶屍人の同族を生み出す行為はさながら吸血鬼のそれに感じたのだがな」
 神社の生まれという妖剣士の女性、白澪・彩葉(夢の終わり・f19166)、大太刀のヤドリガミである白波・柾(スターブレイカー・f05809)がそれぞれ水晶屍人を例える。
 果たして、ショコラはどちらの放送を見たのだろうか。
「ともあれ、立ち上がる人々の為にも一猟兵として、ボクも馳せ参じるのです」
「そうですね。幕府軍を守るため、早めに討ち取ってしまいましょう」
「これ以上の被害を出させないため、微力ながら奮戦しよう」
 いずれにせよ、倒さねばならぬ相手なのは間違いないと、彩葉も柾も認識を同じくしていたようだ。
「さて、楽しい殺し合いの始まりか」
 炎を操る傭兵、ゼイル・パックルード(火裂・f02162)は始まる戦争に熱を入れていたようだが、水晶屍人は有象無象といった認識。ウォームアップにはもってこいだと語る。
「ついに動き出したわね。わたしも全力でいくわよ」
 同じく、エルフのパラディン、アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)は始まる戦争に最初から注力する様子。
「でもまずは、戦うよりもマツムシソウを探したほうがよさそうね」
「指揮官がどんな采配で楽しませてくれるか、期待したい所だな」
 あくまで冷静な2人だが、大人で理知的なエルフと、炎揺らめく戦闘狂。その性質は大きく異なる。
「うちはあんまり賢こーないからな。本陣発見は仲間に任せるわ」
 神社の跡取り娘である妖狐の少女、藤原・祐菜(黒狐修業中・f18628)はそういうものの敵陣を見据えて。
「ちゅーか、大体層の厚い場所が本陣ってのがセオリーやと思うけどどうなん?」
 仲間達からはそんな祐菜の意見には賛否があったようだが、本人としては比較的ごり押し戦法のようで。
「どちらにせよ、敵の数を減らしていけば、東北地方の被害も減らせるし一石二鳥やろ!!」
 とにかく、屍の群れを蹴散らせばどうにかなると考えているようである。
「とはいえ、数が多すぎて厄介ですわ」
 故郷では女豹と呼ばれていた赤髪の令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイ(走れ悪役令嬢・f19488)は屍に思うことはあれ、戦況として告げる。
 現状、その数は把握できないが、いずれにせよ放置できる規模ではない。
「屍ですか。それは武士の方々でも倒せるのですね」
 そんな水晶屍人達に、とある概念が肉体と概念を持ったそんざいだというラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)が淡々とした態度で相手の力量を他メンバーへと確認する。
「ここにいる人達は生ける屍……私と一緒ね」
 一度、死の淵にあってから、UDCに無理やり生かされるという美国・翠華(生かされる屍・f15133)。
 しかしながら、彼らを苦しみが終わらせられるだけマシな存在だと話す翠華は一体、どれだけの苦しみを抱えているのか……。
「ふざっけんじゃねぇェエえええええええ!!!」
 一方で、そんな屍の群れを見て、武者修行の旅人である青年、梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)は激しく憤る。
「戦争だからってよ! なにも、関係ねェ町のモンまで手にかけるこたァ無いだろ!」
 周囲へとぶちまけるように、喜介は叫び続ける。
「連中は猟兵もおぶりびおんも関係ねぇのよ! ただ日々を必死に生きてんの! それを! それをっ! テメーの都合で! 好き勝手にする謂れが何処にあるっ!」
 怒りの矛先は、水晶屍人を創造した安倍晴明に向いているのだろう。
「その上、屍人の軍勢だァ!? 仏サンを何だと思ってやがる! この天下で必死に生きる人間を何だと思っていやがるってんだ!!」
 興奮冷められぬ彼は清明への怒りをなおも強めながらも、攻め来る軍勢に向けて愛用の木刀を抜く。
「ドタマに来たゼっ! ぶっ潰すッ!」
 その為にもまずは屍の軍勢を止めるべく、喜介はこの場の猟兵達と共に突撃していくのである。


 グリモア猟兵の話によれば、この軍勢は軍を率いるオブリビオン、義勇兵の亡霊『マツムシソウ』を倒せばいいとのこと。
 それには、屍……『水晶屍人』の軍勢を突破し、どこにその指揮官がいるかを探し出す必要がある。
 とはいえ、幸いにも猟兵達も小隊規模の人数がここには集っている。
 数の差では圧倒的に不利だが、それを覆す程度の力量は皆持ち合わせている精鋭部隊だ。

 猟兵達はそれぞれ散開していくが、まずは敵陣の突破をとライア、ミコ、玲の3人が動く。
「相手は軍勢。その中の一人を潰せば勝ち」
 ならば、どうすればいいかは決まっているとライアは言う。
「一切諸共、薙ぎ払えばいい」
 ここからでは見えぬが、マツムシソウもまた多数の亡霊を操るという。
 ならばこそ、それすらも纏めて切り裂かんと刀を抜くライアは軍勢の前に立ち、力を溜め始める。
 そばでは、玲が二振りの刃、『《RE》Incarnation』と『Blue Bird』を両手に構え、それぞれにエネルギーをチャージしていく。
 2人はほぼ同時に、敵陣へと刃を振るう。
「分かっているだろう? 万の弱兵など寡兵と変わらないと」
 裂帛の気と共に放たれたライアの刃はかなり先の敵にまで及び、無防備な屍を真横に寸断していく。
「エネルギー解放、広域放射!」
 さらに、近場では、玲の刃から連続して放たれる高エネルギーが水晶屍人の体をことごとく切り伏せてしまう。
 2つの波状攻撃で、あっさりと軍勢の前方は壊滅状態へと追いやられる。
 さらに、ミコが直後にユーベルコード『黒竜の災厄』を使って。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第弐の竜よ!」
 ミコが呼び寄せたのは、9つの腕。
 攻撃回数を増やすことで、それぞれに愛用の黒竜剣を持たせて突貫していく。
 彼女の気合と怪力の込められた斬撃が、広範囲の水晶を生やした屍達を薙ぎ払う。
 斬撃は相手の生命力を奪い去ってしまい、その屍を動かす呪力さえ喰らい尽くさんとするが、それだけではない。
「うふふ、少しかすっただけでも、腐食毒で朽ち果てますよ」
 強力な毒使いでもあるミコだ。彼女の刃は受けるだけでも致命傷となりかねない。
「此処は私に任せて、皆さんは先へ進んで下さい」
 少なくとも、今3人が倒した敵の中にマツムシソウはいない。
 さらに攻め来る敵へと攻め込む猟兵達だが、なおも後方からは夥しい数の水晶屍人が前進してくる。
「……この軍勢から探すには、骨が折れそうですね」
 大きく口を開き、仲間を増やそうと食らいついてくる水晶屍人達。
「堕ちたるは虚実の狭間、夢の中で散りなさい」
 そいつらに向け、彩葉は幻を見せつける。
 自らの幻につられて動いていく屍達へと彩葉は『無銘刀』で切り込みながら、軍勢の中、指揮官の姿を探す。
 次々に、敵の軍勢へと飛び込む猟兵達。
 柾は突貫する仲間達の露払いとなるべく、目立たぬように敵陣で
大太刀『星砕丸』で屍の群れを薙ぎ払い、遠方へと吹き飛ばす。
 そうして、柾は仲間達の突破口を作っていく。
「──出番ですよ、『前鬼』『後鬼』」
 ヘンペルはというと、二体一組の超巨大な式神『前鬼』『後鬼』の霊を呼び寄せる。
 それらの鬼は屍の集まる戦場で、大きな存在感を示す。
 ヘンペルは語気の方に乗り、戦場を俯瞰しつつ辺りをつける。
「ふむ、まだ後方でしょうか」
 敵もこちらの出方は察しているだろう。
 猟兵の攻めに合わせ、軍勢の中を移動しているのは十分考えられる。
「それなら、出てきやすくなるよう派手に暴れるとしましょうか」
 前鬼は業火を纏う戦斧を敵陣へと叩きつけ、後鬼は全身に霊力を宿し、拳や蹴りを直接水晶屍人へと打ち込む。
 敵指揮官を探していたのは、他にもショコラやアテナも該当する。
 明細を使ったショコラは目立たぬよう、戦場が俯瞰できる高台へと移動していた。
 前線がほぼ壊滅している状況なので、やはり中後衛のどこかに目を付け、ショコラはマツムシソウの捜索に当たる。
「わたしが上空から探すわ。音で合図するからお願いね」
 聖なる青白き光を纏ったアテナは空へと舞い上がり、空中から敵指揮官の姿を探す。
「このスピードなら、あっという間に見つかるはずよ」
 飛翔能力を最大限に生かし、アテナは戦場を飛び回って屍の中から敵影を探す。

 他メンバーは水晶屍人を倒しつつ、敵陣を突破していく。
 ダッシュするゼイルは胸の古傷から炎の光を輝かせる間、『耐炎ダガー』を素早く振り回し、次々に屍を切り刻む。
 行使するユーベルコードにデメリットはあれど、それにゼイルが気にかける様子はない。
 敵の噛みつきを避けるゼイルは嬉々として戦場を動き回り、その数を減らす。
 敵の数はまだまだ数えられぬほどにいる。
 それに厄介さを感じていたヴィヴィアンだったが、ならば頭数を増やせばよいとこの場に呼び寄せたのは……。
「生憎、覚えていませんが、力を借りますわ。かつての私!」
「お任せ下さい、今の私!」
 なんと、過去のヴィヴィアン自身がこの場に現れ、2人のヴィヴィアンが戦線へとダッシュしていく。
 『アリスランス・烈火』を握りしめ、彼女は大きく屍の群れを薙ぎ払い、軍勢の奥へと移動する。
 ただ、ヴィヴィアンはその最中、苦しむ屍達の苦悶の表情を見て。
「死してなお、このように扱われ無念でしょう」
 ――安らかにお眠り下さいませ。
 令嬢らしい慈しみも見せながらも、彼女は槍を叩きつける。
 屍の軍勢と対するのは、猟兵だけではないようだ。
 猟兵達の後方や、軍勢の側面などから、奥羽諸藩の武士達が駆け付けてきている。
「皆さんに協力をお願いしたいのです」
 ラモートは武士の一隊に助力を願う。
「願ってもない申し出でござるが、何を……」
 了承を得ると、ラモートは白剣を抜いて。
「影どもよ、主人の元を離れ『』に従え」
 刀身から放たれる眩い光。
 それは、敵味方全体へと照射し、味方となる影を次々に増やしていく。
 まだ、武士が集っていないこと、敵にもその全てに光を放射できず、ラモートが思う数を揃えることは難しい。
 とはいえ、十分な数の戦力を得た彼女は、さらにそれらの影を含め、猟兵や武士達の為にと加護を与えて。
「この祝福持って、討つべき敵を討ち取れ」
「「「おおおおおおお!!」」」
 皆の士気を高め、ラモートは共に敵陣へと飛び込んでいく。
 それでも、なお水晶屍人の軍勢は後から後からやってくる。
 翠華は長期戦も視野に入れ、UDCが憑依した戦闘用ナイフ『切り裂きジャック』を操り、早業、怪力を活かしつつ敵へと切りかかって体力を吸収していく。
 敵の数もあって、まれに水晶屍人が食らいついてきたり、腕を薙ぎ払ってきたりもするが、翠華は気にすることなく目の前の敵を倒し、奥へと進む。
「軍勢の頭の居場所なんて決まってらァ! 連中の動きの真ん中ヨ!」
 最初から、敵指揮官しか眼中にない喜介。
 彼は真正面から突撃し、目の前の敵のみに木刀を大上段から叩きつけていく。
 そうして、喜介は襲い来る軍勢を幾度も幾度も真っ二つに切り裂き、1体のみいるはずのオブリビオンを探す。
 そんな戦場を愛馬『夙夜』に乗り、景正は剛弓『虎落笛』を携えて駆け抜けていく。
「矢並み繕う籠手の上――たばしる霰が如く」
 景正は見るも鮮やかな弓捌きで矢を射て、自らの視野に広がる屍達へと矢を浴びせかけていく。
 景正はその間も視力を駆使し、敵軍の観察を怠らない。
「名就けしは十二天将が一つ、後三玄武水神家在子主亡遺盗賊凶将!」
 その時、麻琴が呼び出した巨大な玄武。
 それは自重を活かして落下し、敵陣へと落ちると同時に大きなクレーターを作り出す。
 当然ながら、そこにいた水晶屍人は一溜まりもなく潰れてしまっている。
 麻琴の狙いに反して、行軍を続けようとする敵が止まることはなかったが、その目立つ場所を歩く異質な存在はさすがに目を引く。
「あれは……」
「捉えましたよ……」
 麻琴は仲間達の伝達の為に後方へ、逆に景正は馬を走らせ最短距離で疾走していく。
 ヘンペル、アテナもそれに反応を見せる。
「前鬼、後鬼、そのまま制圧を」
 ヘンペルは後鬼の肩から降り、軍勢に紛れるようにして目立たぬよう敵指揮官へと接近していく。
「あれじゃないかしら?」
 空中のアテナは『セレーネの白弓』を引き、敵指揮官目掛けて音の鳴る矢を射放つ。
 地面目掛けて走る矢は風を切って、独特な音を出す。
 それに気づいたのは、近場にいた祐菜だ。
 『サムライブレイド』と『フォースカトラス』を手に進軍していた彼女は、躯の群れを蹴散らし進んでいた。
 その前方、空から放たれた矢が突き刺さった少し奥、クレーターとなった付近を進むひょっとこ仮面の男の姿を祐菜が捉える。
「見つけたで!! 親玉や!!」
 仲間達がどれだけ気づいているのか分からぬ状況もあり、祐菜はほら貝を吹く。
 その音を聞きつけたのか、あるいは他の手段で伝達ができていたのか、指揮官、義勇兵の亡霊『マツムシソウ』の元に続々と猟兵達が集まっていくのである。


 一見すれば、ひょっとこのような仮面を被った義勇兵の亡霊『マツムシソウ』。
 オブリビオンとなり果て、復讐の化身となったこの亡霊もまた、清明に利用されているとも言える。
 しかしながら、少なからず私怨で動く彼は自ら望んで戦争の末端に身を置いていると思われる。
 そのマツムシソウを倒すべく、軍勢と戦う仲間達に加護を与えるラモート。
 ――ユーベルコード【階位上昇】、【階位突破】、【天使降臨】。
 神々しいオーラと共に6枚翼の天使の姿をとる彼女は、別世界の戦場であれば戦乙女と崇められたかもしれない。
 その姿に馴染みのないサムライエンパイアとはいえ、ラモートの神々しさに見とれ、底知れぬ力が漲るのを感じる。
「勝利と天は我らにあり! 私を信じて敵を迎え撃つです!」
「「「おおおおおおおおお!!!」」」
 ラモートの姿は猟兵達だけではなく、徐々にこの場へと駆け付けてくる奥羽諸藩の武士達の力にもなっていたようである。
 集まってくる武士たちの姿を見ながらも、ミコは第六感を活かしつつ水晶屍人が襲い来るのを直感で判断し、『黒竜剣』カウンターを叩きこんで、その体を細切れにして地面へと沈めていく。
 そばでは、ライアも前方へと刃を薙ぎ払い、衝撃波で屍の群れを薙ぎ倒す。
 玲もまた、背後から襲ってきた水晶屍人の食らいつきを両手の刃を受け止め、それらへとエネルギーをチャージしていく。
「まだエネルギーは尽きていないからね」
 玲は再び、群がる水晶屍人達に向けてエナジーを解放する。
 それらから逃れようとする敵もいなくはなかったが、ほとんどの敵はなすすべなくその体を崩壊させていたようだ。
 交戦の最中、柾はこの場に、一般人……奥羽諸藩の武士達の姿が混じり出したことに気づく。
 水晶屍人はそんな一般人へと近づき、噛みつこうと狙う。
 確かに、武士達は指揮官さえいなくなれば、水晶屍人に勝つことはできるだろう。
 だが、被害はないとは言っていない。噛まれて水晶屍人になり果てる者だっているだろう。
「こっちだ、ついてこい」
 柾は彼らをできるだけ護ろうと、目につく敵へと自らの姿をさらして囮になってみせる。
 呻きながらもついてくる敵は柾へとかぶりつき、体当たりを繰り出してくるが、彼は全身に展開させたオーラ防御で耐えつつ戦場を駆け抜ける。
 ある程度、仲間達の被害が及ばぬところまで誘導が来たところで、柾はユーベルコードを使って。
「飛び道具は得意ではないが……」
 多数の投擲用刀剣を生成した彼は、それらを一気におびき寄せた敵へと投げつけていく。
 鎧を砕かれ、全身を崩す屍達。
「かたじけのうござる」
「後は我々が」
 ついてきてくれた武士達が後詰めにと、まだ動く屍にとどめを刺してくれていた。

 さて、この屍の群れの指揮官、義勇兵の亡霊『マツムシソウ』の姿を捉えた猟兵達。
 仲間達が立ち塞がる水晶屍人を突破しやすいようにと、高台から戦場へと降り立ったショコラが遠方から詠唱を始めて。
「捧げるは我が祈り 矢に纏いたるは神の怒り 全てを薙ぎ払う破壊の果てに創造を」
 詠唱が完了するのと同時に、ショコラは漆黒の矢を射放った。
 その矢は人智を越える速度で戦場を駆け抜け、軌道上にいた水晶屍人達を吹き飛ばしていく。
 ショコラはそのまま、援護射撃にと二の矢を番える。
 上空からも、『セレーネの白弓』を引くアテナが援護射撃を絶やさない。
「あとは、任せたわよ」
 彼女はしばらく、マツムシソウと交戦するメンバーに近づく水晶屍人を倒すことにしていたようだ。

 地上からは、先んじてマツムシソウへと仕掛けるは、景正だ。
 ただ、充分に猟兵達の強襲に備える余裕があったマツムシソウは自らの周囲へと武者の亡霊を出現させていた。
「我らが復讐には誰も抗えぬ……」
 能面を被った不気味な亡霊達は、手にする槍や剣で斬りかかってくる。
 それらを景正は馬の突進で蹴散らし、マツムシソウへと迫る。
 『虎落笛』に矢を番え、景正はマツムシソウの体をハリネズミにせんと矢を連射した。
 だが、敵も不気味な能面に覆われた棍棒で矢を破壊してしまう。
 その間に、ゼイルが亡霊を1体1体切り裂き、捉えたマツムシソウ目掛けてナイフを投擲する。
「所詮は数に任せた物量戦か? もう少し楽しませてみな」
「我が贄となれ……」
 頭上から襲撃するゼイルは相手が叩きつける棍棒を『鉄塊剣・獄』で受け止める。
 マツムシソウの好きを狙い、奇襲するのは喜介だ。
「見つけたぜ! 往生せいやぁあああ!!!」
 木刀による単純ながらも重い一撃。
 頭上に気を取られていたマツムシソウは、喜介による渾身の一撃を胴に受けて吹っ飛ぶ。
 丁度いい具合に、麻琴が迎え撃ち、八卦の紋が刻まれた薙刀『八卦烈光刃』で敵の体を幾度も切りつける。
 しかしながら、相手は大きく棍棒を旋回させ、近づく猟兵達をなぎ倒しながらも体力を奪い取る。
 そんな中、敵のその攻撃を予め予測していた祐菜が残像でその殴打を避ける。彼女の近場の猟兵はそれを察知し、身を屈めたり、飛び退いたりしていた。
「事象を観測することが巫女の役目やからな。これぐらいは朝飯前や!」
 ドヤ顔をする祐菜を狙い、マツムシソウがさらに棍棒を振るってくるが、翠華が力づくで敵を押さえつける。
「……ある意味私も『屍人』だけど、生命力を奪えるかしら……?」
「如何なる存在も、我が復讐は妨げられぬ……」
 翠華とて、水晶屍人との戦いで傷を負っている。
 互いに棍棒の殴打とナイフの斬撃による報酬が続く。
 しかしながら、両者とも、深手を負うことがトリガーとなるユーベルコードを持っている。
 先に追い込まれる翠華は、自らのナイフの封印を解き、UDC解放状態として。
「もう、負けないわ……!」
 威力を増したナイフは一撃で大剣が切り付けてきたかと思わせる攻撃力だ。
 それに、さすがにマツムシソウも僅かに怯む。
 だが、敵もオブリビオン。ただでやられたりはしない。
「忘れるな、我は復讐の化身だ……」
 そいつは自らの姿を映した亡霊を生み出し、自身と同様に不気味な能面が無数に張り付いた棍棒で殴り掛かってくる。
 猛然と襲い来る敵指揮官を、近づいてきた超巨大な式神、前鬼後鬼が押さえつけようとした。
 大きさはともかく、力はやはり相手が上。
 抑えるにも限界を感じる式神達の背後から、術者のヘンペルが迫って。
「お疲れ様でした。さあ、今度は私の番です」
 ヘンペルは破魔の力を込めた火行符を敵の体へと叩き込み、大きく炎を燃え上がらせる。
 亡霊も巻き込み、燃え上がる炎。
 その亡霊目掛け、駆け付けた彩葉が破魔の力を宿す刀で切り裂いてしまう。
「…………!」
 自らの現身である亡霊が消え、驚くマツムシソウ。
 だが、そこへとヴィヴィアンが過去の自身と共に攻め入る。
「敵の数を増やそうが、過去の私と今の私、2人の連携に隙はありませんわよ!」
 それぞれが覚悟の槍と鼓舞の剣を手に敵を挟み込んで。
「あなたもまた死したモノ。この世にあなたの居場所はもうないのです」
 二槍二刀、4本の刃が亡霊の体を切り刻む。
「……帰りなさいな」
 過去のヴィヴィアンが消えたその瞬間、マツムシソウの体勢が大きく揺らぐ。
「我が、復讐は……!」
 敵の仮面に亀裂が走ると同時に、そいつはぐらりと倒れ込む。
 素顔を拝む前に、マツムシソウの体は塵と化していった。
 ようやく、敵指揮官の討伐できたことを確認する猟兵達。
 まだまだ自分達が介入すべき戦場がある。あとは、奥羽諸藩の武士達に任せてよいだろう。
「これほど多くの敵に、一斉に術をかけるのは久方ぶりでしたので、結構疲れてしまいましたね」
 些か疲労も訴える彩葉だが、サムライエンパイアでの戦争はまだ始まったばかり。
 猟兵達は次なる戦場に向かうべく、この場から離脱していくのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月03日


挿絵イラスト