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【旅団】OX-MEN:C.O.N. 誘いの鐘の音

#キマイラフューチャー #【Q】 #旅団 #OX-MEN

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『これは旅団シナリオです。旅団「OX-MEN:フォース・ポジション」の団員だけが採用される、EXPとWPが貰えない超ショートシナリオです』

 12th Entry OX presents... ミ☆☆☆

「ねえ」
 薄暗い空。雲に包まれ、光は差さない。
「なぜ戦うの?」
 明ける事のない夜。
「己の」
 人々に未来はなく、抵抗に意味などない。
「己の―――立ち、位置を示すために」
 だが、その言葉だけはずっと覚えていた。

 オックスマンションの一室。集められた面々はそろって不思議な顔をする。
「潜入捜査ァ?」
「そうだ、これは世界の危機……」

 暗闇の中、何かが弾ける音がする。
 ひとつではない。続くように放たれたそれは彼らのもとに飛来し、扉に窪みを作る。
「こういうのって俺の役目じゃないと思うんだけど」
 隠れた壁に銃弾が弾ける。衝撃で砕けた欠片が転がった。
「ですよね! やっぱり殴って解決する方が性に合ってます!」
「いやそうじゃなくて」
 飛び出そうとする背中を引き留めれば、背後から差し出されるものがある。
「フーン、だったらこういう手もあるんだけど」

 辺りに青白い電流がはしる。その光は世界を変える。
「いけませんね、もう時間がありません」
「私の祈りが通じなかったとでも? まさか、そんなはずは」
 なおも雷は大地を満たし、力を解き放つ時を今か今かと待ち続けていた。
「まさか、諦めるっていうんじゃないだろうな!」
 そこへ、高い笑い声が響く。視線をそちらに向ければ、現れたのは一つの影。
「これは世界の人々が望んだ結末なのだよ!」

 暗闇の中。水の滴り落ちる音。
「それが、やらねばならぬ事だというのならば……」
「おいおィ、いいのかよ、お前はそれで」
 再び水滴が水溜りに落ちる。静寂にぴちゃん、という音だけが響いた。

 ビルの窓が砕け散る。二回、三回、四回……吹き上がる爆炎は連鎖的に広がり、辺りを赤く包む。
「わかりやすい! ドドーンと行っちゃおっか!」
「おっとぉ、ずいぶんと派手にやってくれてるじゃねぇの!」
「だけど、こっちの方が私たちらしいとは思わないかい?」
「確かに……いや、本当にそう!?」
 今度はこちらの番だ。ここに示された立ち位置は、誰にも侵す事の出来ない世界。

 今にも弾け飛びそうな光の前に、降り立つのは黒。
「遅れてすまない。状況は理解した」
 そこに並び立つもの。
「俺の立ち位置は――」

 OX-MEN:クラッシュ・オン・ザ・ナイトメア。


納斗河 蔵人
 遅れてすまない。納斗河蔵人です。
 今回は旅団シナリオという事で参加できるのは【OX-MEN:フォース・ポジション】の旅団員のみとなります。
 映画予告編をイメージしたOPでこれだけだと雰囲気しかわからないと思いますので、各自旅団シナリオスレッドとOP公開後に追記する部分を確認してください。

 この事件に関わっていると思われる企業について調べ上げ、この街にはびこる謎の病の原因と黒幕を探る事になります。小競り合いくらいはありそうですが本格的なバトルはここでは行いません。
 企業への潜入を発想の起点にしていますが、外部から探るのも忍び込んで探るのもアリです。
 いくつか例は出しますがそこから外れてももちろんOK。

 原因や目的も数パターン考えていますが、プレイングで良さそうなものがあればそっちになります。映画の予告編にも実際には使われないシーン、あるでしょう?
 なお、今回はOP公開後に追記される部分を除き、基本的にオックスマンは登場しません。後で遅れてやってくると思います。

 そんな感じで頑張っていきますのでよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『ライブ!ライブ!ライブ!』

POW   :    肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!

SPD   :    器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!

WIZ   :    知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!

👑1
🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 OX-MENを知らぬ者はいないだろうが、一応説明しておこう。
 OX-MENとは、己の立ち位置を示すもの。破壊する者、光を放つ者、癒す者……
 その立ち位置は様々だが、その力を猟兵として振るい、世界の危機を救う。
 これは、そんな彼らの戦いの。記されていなかった一ページである。
 
*****************************

 Chapter:0 安らかなる眠りの中で

 これは何処の世界の事だったか。医者が悲鳴をあげる。
「またです。今日だけで十人です。何かの異常としか考えられません」
 無理もない。この街では最近、原因不明の奇病が蔓延していた。
 道を歩いている時に。あるいは、食事中に。退屈な授業の最中に。
 突然眠りにつき、目覚めない。
 一人でいる時ならばまだいい。
 だが例えば車を運転している時。高所作業をしている時。
 突然眠りについてしまえば自分だけではなく、他者をも巻き込む大惨事となりかねない。
 老若男女、共通点はない。あるのは本当に、突然……同時に複数の人間が眠りにつく、という事だけ。
「ふむ……」
 黒い鎧の男、オックスマンはうなりをあげる。
 彼の明晰なる頭脳をもってしても原因は掴めない。
 ベッドに横たえられた患者たちに苦しむ様子はない。それどころかその表情は穏やかで、本当に見た目はただ眠っているだけなのだ。目覚めないだけで。
 だが、彼は破壊者。どんなものであっても、人々を苦しめ、滅亡へと追いやるものを破壊する。それだけが彼の使命だった。
「……原因を示す事ができなくてすまない。だが、状況は理解した。持ち帰り、探ってみよう。……こういった事柄を得意とする立ち位置の者もいるのだ」
 オックスマンはそれだけ告げると踵を返し、病院を後にした。
 
 強い日差しが照り付ける。オックスマンか兜の奥の目を細めた。
 その鎧は、黒。光を吸収し、熱をこもらせる。
 鎧自体に施された魔術的工夫により砂漠であろうと雪山であろうと、多少の悪環境には耐えうるオックスマンであったが、この世界の、この街の、この季節は暑すぎた。
「……脳細胞を破壊されるわけにはいかない」
「タピオカ~タピオカドリンク如何ですか~」
 タピオカドリンク。
 世界によっては急激な流行を見せているところもあるようだが、この街に於いては誰もが愛飲するソウルドリンク。
 その消費量は年間で一人当たり三十本にも上るという。
「あっ、お兄さん暑そうですね! そんな日にはこれですよ!」
「……ほう。もらおうか」
 Paradoxと書かれたカップを受け取り、オックスマンは兜にストローを差し込み、吸い上げる。
「なるほど、うまいな。俺には破壊する事しかできないが飲み物の味くらいはわかる」
 オックスコーラには及ばんがな、と付け加えながら街を歩けば、ふとあることに気付く。
 カップに掛かれたロゴと同じものが街中にあふれている。
 電化製品、公共交通機関、レストラン、ブティック……あらゆる場所で、そのロゴを見かけない事はなかった。
「……パラドックス社、か……」
 街の中心にそびえ立つビルを見上げ、オックスマンはつぶやいた。
 
 オックスマンはグリモア猟兵の力を借り、事件のあった世界から屋敷へと帰還する。
 オックスマンション。OX-MENの集う広大な屋敷である。マンションといってもいわゆる高層マンションではない。屋敷だ。
「遅れてすまない。状況を説明する。俺の立ち位置は破壊者だ」
 日差しは既に傾き、夕暮れへと近づいていた。
 集まったOX-MENの面々を前にオックスマンは口を開く。

*****************************

「……と、いったところだ。正直俺一人では手に負えん。君たちの力を貸してほしい」
「まるで眠り姫みたいだよね。眠ってるのはお姫様だけじゃないけど」
 状況の説明を終えたところで、最初に反応を示したのはカデルであった。眠りにつき、目覚めない。それは確かに魔法や、呪いの様で普通の状態ではないという事は明白であろう。
「ねぇねぇ、こういうのって何か噂とかは流れてないのかな?」
「ふむ……」
 と、オックスマンはうなりをあげる。
 実際のところ調査の手は十分とは言えない。医学的には原因不明、共通点は浮かんでいない、と言えど現地の医者や警察が見落とした何かを、市民が感じ取っていてもおかしくはないだろう。
「やはり共通項を見出せなければ、調査のアテのつけようがありません。目覚めない方達がどういった原因でこうなったのか……眠る直前の行動を調べてみるべきではないでしょうか」
 その言葉に同意するように続いたのはカプラだ。
 無節操に何らかの力が働いている訳ではない。そうであれば被害者はもっと多くなっていただろう。その事は状況から十分に予測できることだと言っていい。
 ならば、やはりそこには何か、見落としてしまいそうな何かがあったのだろう。
「なんとなくだが、今の状況は実験段階、なのかなァと。発動条件は詳しく調査してみてェな」
 実験段階。クロウの言葉は的を射ているのかもしれない。だとすれば、実験が終わった後に何がおきるというのだろう?
「何となく不思議で、あんまり怖くない事件なのかな? って思ってたんだけど……もっと大きな事に繋がっちゃうかもしれないんだね」
 カデルはその想像に身を震わせた。
「やはり第一に、本当に共通項がないのかどうか、裏を取るのは如何でしょうか。改めて確認してみたり新しい視点で見れば、以前は気付かなかった何かに気付けるかもしれません」
 なんにせよ、未だ手掛かりは少ない。まずは調査を進めるべきと、くしながまとめる。
 集まった時には赤く染まっていた空も、既にすっかり暗くなっていた。
 方針は決まった。ならば明日は行動あるのみだろう。
 柱時計がぼぅん、と鐘を鳴らした。
「そうだな、それでは明日は街の調査を……」
 ぼぅん、ぼぅん。鐘がなる。
「……なん……だと……?」
「うん? どうしたんだい、オックスマン」
 ぼぅん、ぼぅん、ぼぅん、ぼぅん、ぼぅん。
 八つの鐘が鳴り終わった時。その体がぐらりと揺らぐ。
 次の瞬間。
「グオォォォーっ! グオォォォーっ!」
「え!!! 何これいびき!?」
 オックスマンは床に倒れ込み、大きないびきをあげたのであった。
 
「駄目だね、目覚める気配がない。……メディックの見立てでも原因は不明だってさ」
 扉を開け、そう告げたのは新兵であった。
 オックスホーリーに引きずられ、寝室へと運ばれたオックスマン。
 オックスメディックの見立てでは、その症状はまさにこれから彼らが追うべき『奇病』そのものであった。
「つまり……こういう事か。オックスマンはまんまと発動条件を満たし、敵の術中にはまった、と」
 淡々と、そう告げたのは源次である。呆れにも似た空気が部屋を包む。
 元より調査を進めるつもりであったとはいえ、出鼻をくじかれたのは確かだ。
「なあ」
 と、そこでグラディスがくん、と鼻を鳴らし床に転がった何かに気付く。
「原因、これなんじゃねえのか?」
 拾い上げたのは、一つのプラスチックカップ。
 そこに描かれたParadoxのロゴ。
 その名は、ついさっきオックスマン本人の口から出たばかりだ。
 この事件が起きている街を、支配しているといってもいいほどの大企業。
「………………」
 沈黙。
 何故よりによってそこでタピオカドリンクを飲んでしまったのか。普段コーラばかり飲んでいるくせに。
 
*****************************

「……被害者たちの共通点調査と並行して、パラドックス社を重点的に調べよう」
「ふむ、とりあえずまずはパラドックス社に潜入。あるいは分担して情報収集と言ったところでしょうか?」
 なんとか気を取り直した源次の言葉にアマータが続く。
 確信までは至らない。しかし彼らの勘が告げている。この世界の、この街を牛耳るパラドックス社は『匂う』と。
「オッケイ、会社に入り込むなら任せな! セクシー秘書でもなんでもやろう!」
 ミルラが意気をあげる。セクシー秘書はきっと何人いてもいい。
「ボクは潜入もまあ出来るし、聞き込みは子どもの容姿である事を上手く使えば……」
 マルコは告げる。各自の立ち位置を活かし、互いを補うように行動するといいんじゃない? と。
「潜入ならできっけど、調べもんとかは任せるようになるかもなぁ。俺様犬だし…………あ、狼だったわ」
 と、自分にツッコミを入れながら、グラディスもまた陽動やら支援ならなんとかなるだろうと考える。 
「製造工場なんかも潜入先候補に挙がるかなぁ。闇雲に全部調べようとすると人手がいくらあっても足りない……のかもしれない。俺は直接じゃなくて間接的に……機械やセキュリティの方面から調査してみるよ」
 新兵が少し自信なさげに帽子をつまみながら告げれば、カデルが元気に続く。
「はーいはーい! ボクこの世界初めてだから誰かと一緒に行きたいんだよ!」
 ボク一人だと迷子の扱いにもされそうだし、と付け加えながら。
「私は眠る直前の行動を調べましょう。タピオカドリンクというアテはできましたが、他にも何かあるかもしれません」
「様々な製品を扱っているようですから、手掛かりを得られたのは大きいですね」
 カプラは、やはり被害者の方面からあたるようだ。
 アマータも状況を分析し、広げられた地図に印をつけていく。
「パラドックス社を調べるに当たって、やはり実際の店舗と……それと外回りの者、営業マンのような者がいるはずだ。潜入前にそれらと接触してみるのもいいだろう」
 源次が潜入前の情報収集を重視すれば
「俺はこの事件を裏で操るヤツがいるんじゃないかと思うんだよなァ。そこに繋がる手掛りが掴めれば……そう簡単に尻尾掴ませてくれなさそうだが」
 クロウは潜入によって得るべき目的を考える。
「障害はブレイクが得意なオックスクルセイダー、くしなんの羅刹パンチの出番ですね」
「いや、まずは穏便にね……」
 くしなの言葉にぎょっとしながら新兵がたしなめた。
 
 方針は決まった。
 メンバーはそれぞれ、自分の行動を告げ、あるいは共に行こうと誘い、確認を進めていく。
「破壊者も言っていましたが、やはりこの事件の裏にはオブリビオンがいるのでしょう。皆さんどうぞ油断なきよう……」
 カプラの言葉にメンバーが頷いた。
 
 オブリビオンは何を目的とし、如何なる手段で人々を眠りに落としたのか。
 そして、どこに潜み、事態を操っているのか。
 その正体は霧の向こうにあるように掴めない。
 だが、君達ならば! 必ずその謎を解き明かし、真実へと至る事ができる。
 
 OX-MEN:Crush on the Nightmare
 OX-MENよ! 悪の野望を、悪夢を打ち砕け!
 

 ※下記行動はあくまで例です。各自、自分の見せ場やキャラクター性を重視してプレイングをかけてください。
 
 POW:パラドックス社に社員や関係者として潜入し、内部から事件の黒幕を探る。
 
 SPD:パラドックス社の活動を外部から調査して、事件の核心に至る。
 
 WIZ:被害者たちを調べ、共通点や噂などから事件を引き起こした手段に迫る。
クーガー・ヴォイテク
クーガーは考えた。病気の原因を調べる、癒すのは実にメディックとしての仕事だと。
クーガーは考えた。必ずやこの病気を止めて見せると"祈る”【聖者の誓い】を立てる。
クーガーは考えた。全く持って検討も付かないと、因果関係すら結びつかない。
クーガーは考えることをやめた。やはり拳が一番早いだろ…そうに違いない

パラドックス社へと正面から
「たのもーーー!!状況は理解した。俺の立ち位置は癒す者"メディック"だぜ!!」
癒す者としてここの商品がたぶん原因だと調査に来たと乗り込む
偉そうなやつを見つけたら捕まえて話を聞こうとする
邪魔するやつは
「命を助けるのに時間が惜しいんだぜ!」
"怪力"による【聖者の鉄拳】で黙らせる



Chapter:1 漆黒は瞼の裏に

 翌朝。やはりオックスマンは目覚めない。
 メンバーたちはそれぞれ、己の役割を見定め目的へと向かっていく。
 そんな中、数人がオックスマンの部屋を訪れていた。
「癒すのは、メディックの仕事なんだがなぁ」
 クーガー・ヴォイテク(自由を愛する聖者・f16704)は眠り続けるオックスマンを前にぼやく。
 今のところ、直接身体への影響を及ぼしているものは見当もつかない。
 ならば精神面へのアプローチなのだろうか? クーガーは考える。
「オックスマン……タピオカに包まれてあれ」
 そう言って十字を切るのはミルラ・フラン(薔薇と刃・f01082)だ。
 しかし、だとしても今のところヒントはタピオカだけ。そこから因果関係を結び付けるには情報が少なすぎた。
「オックスマンが眠り姫になるとはね」
「でも、お姫様じゃないから、ええと……眠りオックスマン?」
 マルコ・トリガー(古い短銃のヤドリガミ・f04649)がこの状況を揶揄すれば、瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)はオックスマンの顔を眺めながら首をかしげる。
「グオォォォーっ! グオォォォーっ!」
 いびきがうるさい。
 いつまでもここにいるわけにもいかないし、と誰ともなしに部屋を離れていく。
「俺はもう少し様子を見ていくわ。お前さん達は先に行ってくれ」
 クーガーは眠り続けるその姿を前に考え込む。
 病気の原因を調べることは人々を救う事に繋がり、それはまさしくOX-MEDICとしての立ち位置にふさわしい。
 クーガーは両の手を組み、誓いを立てた。
 必ずこの病気を止めて見せる、と。
 それは『聖者の誓い』と言うべき祈りであった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

アマータ・プリムス
さて……当機は忍びこませていただきましょう
これだけ大きい建物なら清掃員が一人増えてもわからないでしょう
一応IDはハッキングで偽造しておきましたが

潜入に成功したら当機の影に隠れているグラディス様と一緒に怪しい部屋を探しましょう
もちろん目立たないように掃除もしながらですね

「怪しい所などはありましたか?」

影に隠れるグラディス様に時折語りかけ

見つけた怪しい部屋に忍び込みましょう
そこで当機は携帯秘書装置を使いハッキング
タピオカドリンクの成分、材料などの情報をすっぱ抜かせてもらいます

一通り情報を確保してグラディス様の方も終わりましたら何食わぬ顔で撤退です
安全な場所で手に入れたデータを皆様に共有しておきます



Chapter:2 セキュリティ・パラドックス

「IDは偽造しておきました。当機とミルラ様はひとまず潜入可能と思われます」
「オッケィ、それじゃあ私は秘書として潜り込むことにするよ」
 アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)の差し出したIDカードを受け取り、ミルラはひらひらとカードを振って見せる。
 パラドックス社へのハッキングは驚くほどあっさり成功した。
「監視カメラの方もあっさり入り込めちゃったしね……」
 映し出された映像を前に支倉・新兵(狙撃猟兵・f14461)がつぶやく。
 もちろん、アマータと新兵、この二人のハッキング能力は低くない。
 だがこの街を牛耳る大企業、という割にはセキュリティが甘い。
 そこに何かの意図があるのではないか、と思わなくもなかったが……IDなしでは潜入もままならないのも事実だ。
「虎穴に入らずんば虎子を得ずってやつかな。俺犬だけど!」
 グラディス・ドラモンド(30の軍団を統べる■■の公爵(自称)・f16416)が楽でいいじゃないか、と笑い飛ばす。
 罠の危険性がないとは言えないが、実際のところ敵はまだこちらの存在に気付いてもいないだろう。これくらいの気楽さでいいのかもしれない。
「まあ、ヤバくなったらうまく脱出するさ」
「当機とグラディス様も清掃員として潜入します。何かあればご連絡を」
「うむ……今回、俺が正面から乗り込む為にはミルラの力が必要だ。……だが、無理はするな」
 そう告げたのは叢雲・源次(蒼炎電刃・f14403)だ。
 内部の人間としてではなく、外部の人間として社内に入る。今回の事件、複数の視点が必要だ。
 彼はそういう立ち位置でパラドックス社へと潜入する予定でいるのだ。
「わかってるって。しっかり商談スケジュール、ねじ込んでおくさ」
 身体にフィットしたスーツ、眼鏡、纏め髪、ピンヒール……普段とは少し違った姿のミルラがウィンクして見せる。
「俺も狙撃の準備はしておくけど……直接的な援護にはそんなに期待しないでくれよ」
 接近されたらこう、だからさ、と指で作った鉄砲をこめかみに当てて撃つ動作をする。その分カメラやデータの方はうまくやるさ、と付け加えながら。
「んじゃ、行くとすっか! アマータ、頼むぜぇ」
「ええ、行きましょうか。ミルラ様もお気をつけて」
「そっちもね! それじゃ、OX-SERCHER、サーチに出るよ!」
 IDを通し、難なく社内に入り込んでいく三人を見送ると、新兵はカメラの監視に移り、源次は座して己の出番を待つ姿勢に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

聖護院・カプラ
オックスキャスターこと聖護院カプラです。

昏睡がタピオカドリンク(以下オカリン)を飲むだけで発動する……と、決めつけるのは早計でしょう。
オカリンの摂取に加えて追加の条件を満たした時に発動するのか、
オカリン自体に発動するものと発動しない物があるのか、
確かめておいた方がいい行いでしょう。

まず被害者へ面会に病院を訪れ、『説得』する事で関係者に聞き込みを開始します。
被害者の推定摂取時刻と推定昏睡時刻、摂取状況、オカリンの摂取量……
オカリン製造元が意図的に事を起こしているなら、何かしら共通項が浮かび上がる筈です。

そしてその情報は『誰を狙っているか』『何をしようとしているか』
を推測する材料になり得るのです。



Chapter:3 ティル・ザ・タイム

「事件には大企業が絡む……よくあるお話だけどワクワクするね!」
 セレネ・リノークス(電子の海の小さな聖者・f12480)は隣を歩くカデルに話しかける。
「初めての世界だけど、どんなところかなぁ?」
 二人は好奇心を抑えられない、と言った表情で笑みを浮かべる。
「おいおい、遊びに行くんじゃあねェんだぜ?」
「まあ、良いではありませんか。何事も楽しむ……いい行いです」
 杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が苦笑すれば、聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)は淡々と告げた。
「あっ、ごめんなさいなんだよ」
「遊びじゃないのはわかってるから大丈夫! 悪い子は許さないよ!」
 同年代の二人は気合を入れるポーズ。
 やれやれ、と肩をすくめながらもクロウは気を取り直し、状況を確認する。
「ンで、だ。俺たちは街の人間から情報を集めようって話なんだが……」
「昏睡がタピオカドリンク……オカリンを飲むだけで発動する……と、決めつけるのは早計でしょう」
「オカリン? なんだよその略し方」
 クロウはつっこむがカプラは続ける。
「オカリンの摂取に加えて追加の条件を満たした時に発動するのか……」
「あっ、それなんだけど!」
 はい、とカデルが手をあげる。促され口にしたのは――
「あのね、オックスマンが寝ちゃった時って時計が鳴っていたよね。ひょっとしたら発動条件には時計が絡んでいるのかも……!」
 その言葉に、クロウがほう、と感嘆の声をあげる。
 確かに、八時の鐘が鳴ると同時にオックスマンは眠りについた。これから聞き込みを進めるうえで、その視点は有効に働くかもしれない。
「なるほど、オカリンだけじゃなくて時計の音……うん、ありそうかも!」
「お前もオカリンって略すのかよ……まあいい、俺もそこは気にしておこう」
「ええ、一つの仮説として共有しておきましょう。いい着眼点ですね」
 三人の同意にカデルがえへへ、と笑みをこぼす。
 
 ――と、同時。
 ぼぅん、と鐘が鳴る。
「!?」
 また眠りにつくものが現れるのではないか。
 誰もがそう思い、辺りを見渡すが眠りにつくものが現れる様子はない。
 頭上を見上げれば駅舎の上に備え付けられた時計が七つの鐘を鳴らし終え、沈黙する。
 町中に響き渡るほどではない。彼らのいる広場一帯に時を知らせる役割を持つのだろう。
「っ、驚かせやがって……鐘の音と、タピオカ。それだけじゃあないのかもしれないな。ンで、あとは?」
「オカリン自体に発動するものと発動しない物があるのか、これも確かめておいた方がいい行いでしょう」
「あっ、そうだね! パラドックス社?のオカリンが原因なのか、調べておかないとね!」
「……もうオカリンにはつっこまねェぞ。……まァ、その辺はお前たちに任せるわ」
「あれ、一緒に行かないの?」
 セレネが首をかしげるとクロウは視線を空へと向ける。その先にそびえるのは、パラドックス社。
「その辺が重要ってのもわかるんだが……俺ァ目的、意図……被害者たちを眠らせる事で誰が、どんな利益を得るのか。そっちの方を探ろうと思ってる」
「なるほど、私もそれは考えていました。被害者の方からあたろうと思っていたのですが……」
「ああ、俺は街の住人や、様子……その辺の変化から追う」
「オッケー! ボクは学生さん中心で聞き込みしようと思ってるし、何かわかったら連絡するよ!」
「ボクもちゃんと共有するね!」
 ある程度の時間で一度集まろう、と確認し彼らはそれぞれの場所へと向かう。
 日は、まだ昇ったばかりだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーオ・ヘクスマキナ
さーて、キッチリお仕事しますかぁ
鎧の人、もといオックスマンさんも寝てるままじゃ大変だしね

調べ物は一番情報がある所から、って言うし
設備の保守点検に来た技術者にでも変装して。お邪魔しまーす
本職程じゃあないけどハッキングや潜入は得意だし、物理鍵も鍵開けでちょちょいのちょいっと

発症者の年齢層等を考えると、幾ら愛飲者が多いとはいえ「原因」がタピオカだけとは思えないってのは、まぁこの際置いておこう
オックスマンさんがカップ1つだけで発症した事と、そこまでの強烈な効果の割には奇病の規模が少ない気がするし…
「何がトリガーか」を重点的に探して、データを抜かせてもらおうかぁ

赤頭巾さん、周囲の警戒よろしくねー



Chapter:4 ビジター・スニーク・ノック

 朝日の差す中、機械の動く音がする。パラドックス社・食品製造工場。そこに一人の訪問者が現れた。
「どうもー、施設の点検に来ましたー」
 リーオ・ヘクスマキナ(魅入られた約束履行者・f04190)はいかにも作業員、と言った姿で受付をのぞき込む。
「あれ、いつものひとじゃないんですね」
「今日はちょっと違う所を調べないとなんで。管轄が違うんっすよ」
 IDを差し出し、名簿に名前を書き記す。当然偽名だ。
「大変だねぇ。場所はわかる?」
「大丈夫ですよー。んじゃ、失礼しまーす」
 リーオはタピオカだけが原因、とは思っていない。しかしトリガーの一つではあると感じているのも確かだ。
 それ以上の何か、を掴むためにリーオは進む。足下を通り抜けた猫が、すれ違いざまに「にゃあ」と鳴いた。
 
 そしてこの工場に潜入したものは一人ではない。
(映画って奴で見たのと同じだな)
 リーオが正面から乗り込んだならば、マルコは暗いダクトの中を這うように進んでいた。
 さすがにここはセキュリティ機能も働いてはいないようで、ゆっくりではあるものの施設中枢へと近づけているようだ。
(正面から行くって言ってたストレンジャーはともかく、クルセイダーは大丈夫かな。侵入や潜入は得意、って言っていたけれども) 順調さのせいか、そんなふうに他人の心配もしてしまう。
 それよりも自分の心配をしなきゃ、と歩を進めると何やら話し声が聞こえてくる。
「ええ……選定は済んでいます。時間までには必ず」
(電話……かな? 誰と話しているんだろう)
 気付かれないよう、慎重に。息を潜めて耳を傾ける。
「受け取りは……はいはい。じゃあ、午後という事で。確かに」
(何かを受け渡す……午後、か)
 それを確かめた方がいいだろう。いつまでもダクトに居たくはないけれど、とマルコは思った。
 
 他方、工場裏手。人通りのない路地を一人の少女が行く。
 朝倉・くしな(鬼道羅刹僧・f06448)である。
 それとなく、気楽な足取りで塀の扉の前に立ち、ノブをひねると扉は当然のように開く。
 ――もちろん、これには鍵がかかっていた。しかし、くしなの羅刹パワーはいともたやすくこの障害を破壊し、堂々たる潜入を果たしたのである。
(潜入の鉄則は、『バレる前にヤれ』です)
 鍵の壊れた扉を閉じれば、その歩みは堂々たるもの。侵入者であるという事など全く感じさせない足取り。
「うぉっ!? ……おい、なんでこんな時間にこんなところに……」
「ふっ!」
 こきゃ。
 こうして何者かと出会ったとしても気絶させてしまえば、まさに誰にも目撃されない潜入員です。
 ――後で大変なことになる気がしないでもないが、これで行けるというのならばいいのだろう。たぶん。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルラ・フラン
【WIZ】
オックスマン……タピオカに包まれてあれ(勝手に十字を切る)
オックスサーチャー、サーチに出るよ!

(身体にフィットしたスーツ、眼鏡、纏め髪、ピンヒール)
何処から見ても秘書だろう?

【誘惑】【存在感】【言いくるめ】をフル活用するよ
パラドックス社にもしれっと入り込んで、IDは無くしたとか言いくるめておくかね

偉い人に接近して「会社の今後の計画」とか「タピオカの進捗」とか聞き出そうか
それとなーく胸でも強調してニッコリ微笑む
クソババア(ヴァンパイアの母親)に顔と身体だけ似たことに今は感謝するわ、ホント

あ、セクハラにはそれとなく【暗殺】で画鋲とか踏んづけるように仕向けるんでよろしく



Chapter:5 シークレット・アイ

「私だ。例の件は間に合うんだな?」
 電話に向かって話しかける。パラドックス社、専務の立ち位置につくものである。
「そうか、わかった。ならば……そうだな、午後には確実に送ってくれ」
 がちゃり、と受話器を降ろすと男はやれやれ、と言った様子で傍に控える秘書へ声をかける。
「まったく、何事も予定通りには行かんものだな……おい、タピ……いや、お茶を頼む」
「はい、ただいま」
 すっ、と茶を差し出すのは秘書として潜入したミルラである。
 どうやらこの仕事入れ替わりが激しいらしく、今朝になって突然やってきた見覚えのない顔にも「また変わったのか」の一言で済ませてしまった。疑うという事をしないのだろうか、この会社の人間は。
「まったく面倒なことだよ……」
「お疲れ様です。先ほどの電話は一体?」
 どんな些細なことも何に繋がるかはわからない。ミルラは先の会話の内容を聞き出さんと水を向ける。
「ああ、ちょっとな。いつもギリギリになるまで報告もせん……まったく仕方のない奴らだよ」
 専務の愚痴は続く。
「しかし専務、そんな状態で今後の計画は……」
 ちらり、とミルラは自分の胸を見せつけるかのように専務に迫る。
「あ、ああ。これで六つ……あと一つも今夜には用意できるだろうさ……いや、君がそれを知る必要はない」
(……お、引っかかった。クソババアに顔と身体だけ似たことに今は感謝するわ、ホント。で、六つって何なんだい? そこまで教えちゃくれないかね)
 しかし、一瞬鼻の下を伸ばすものの咳払い。なんとか平静を保つ。
「そ、それよりも、今日の予定は?」
 意外と意志が強いね、などと思いながらミルラは手帳を取り出す。
「ええ、この後……」
 読み上げられるスケジュール。その中に一人、我々に聞き覚えのある名前がある。
「――11時より、この部屋でゲンジ・ムラクモとの商談、12時より――」
 ミルラはその立場を利用し、源次が潜入するための手はずを整えた。
 これにより秘書、清掃員(とその影)、商談相手という三つの視点と、遠隔で監視カメラを通じて俯瞰する視点。
 これらを駆使し、パラドックス社の悪事と、そこに潜む黒幕を見つけ出さなくてはならない。
 
 準備は上々。
 ミルラからの通信を受け立ち上がる源次に、映像から目を離すことなく新兵は告げる。
「監視カメラを掌握したといっても死角は多い。特に上層階は歯抜けもいいところだ。……悪いけど、うまくやってくれよ」
「承知した。こちらもカメラの目をごまかす必要があるときは連絡する」
 スーツ、名刺、訪問者パス。
 用意されたそれらを手に源次はパラドックス社の玄関へ向かう。
 受付は問題なく通過。もっとも、商談として予定された時間にはまだ早い、という事で待合室に通される。
 ――予定通り。ここから予定時刻まではある程度自由に動けるはずだ。
 出されたコーヒーには手をつけず(オックスマンとは違う)、まずは腕時計に手をやる。
「こちらディフェンダー、正面からの潜入に成功した」
「こっちでも確認してるよ。そこから2フロア上、何故か一台もカメラがないんだ。まずはそこから頼むよ。エレベーターは流石に動かせそうもないから、階段、かな……」
 戦闘補助ツール『インターセプター』の機能は良好。新兵の声もクリアに聞こえる。
 源次は扉を開くとまずは周囲を確認。
 それなりの上層階、役員向けフロア故にか人の気配は少ない。
 左目のアナライザーを起動し探ってみるが、そちらにも反応はないようだ。
「……承知した。このフロアのカメラはうまくごまかしてくれ」
「了解。気を付けて」

 そして一方源次が行動を開始した少し下のフロアでは。
(駄目だな。やっぱり上の方に行った方がいいんじゃねえか?)
(あちらにはミルラ様と源次様がいますから……こちらに見落としがないか調べるのも重要なことですよ)
 清掃員に扮したアマータとその影に潜むグラディスが各部屋を回り、怪しい場所がないか調べていた。
 しかしここまではさしたる収穫もなく、重要なデータは低層階にはないかと思われた。
(あれ?)
(どうかしましたか、グラディス様)
 と、そこでグラディスが何かに気付く。
(いや、ここの部屋の構造おかしくねぇか? だって扉があっちで、隣の部屋があそこで……)
(隠し部屋、という事ですか)
 ふむ、と感情を読み取らせぬ平然とした表情で掃除を続けながらアマータは思案する。
 グラディスの能力ならば比較的安全にその部屋を探ることはできるだろう。
(どうする? やるか?)
(お願いします。ただし、無理はなさらぬよう……)
(わかってるよ。我が同胞よ、よろしく頼むぜぇ)
 グラディスが影から顔をのぞかせ力を放てば、彼が率いる影の軍勢、その一部が姿を現す。
(よし、行け!)
 命じられれば一瞬にして彼らは影の中へと消えた。
 その先にあるものとは――
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

セレネ・リノークス
事件には大企業が絡む…よくあるお話だけどワクワクするね!
…遊びじゃないのは分かってるから大丈夫!悪い子は許さないよ!

【WIZ】
ボクは被害者側を調べてみようかな?
被害者の近しい人に会えれば楽なんだけど、会えない時は…近くの学校の学生さんは噂とか知ってそうな気がするんだけど、どうかな?
本音はできれば噂止まりじゃなくて、かかるまでの行動や状況がしっかり分かる話を数件集めたいんだけどねー。そういう人に会えたらラッキーって事で!
というわけで、色んな学生さんに声かけて聞いてみよう!真偽はこの際問わないよ!

聞いた話はちゃんとメモして…後でまとめてっと。
終わったら皆に連絡を入れるのを忘れないようにしないと。



Chapter:6 誘いの鐘の音

 ぱらり、と資料がめくられる。
 被害者たちの倒れた場所、時間に印をつけていく。
「なんだか、明らかに偏ってる……よね?」
「そうですね。散らばっているように見えますが、こうして印をつけてみれば一目瞭然です。いい行いをしましたね」
 カデルとカプラは病院を訪ねていた。
 眠り続ける被害者たち。
 まずはその場所。市内幾つかの、大通りや、広場。あるいは公共施設。
 彼らが倒れたのはそういった限られたポイント、十三か所に限られていた。
 それらを調べれば共通点を探る事が可能となるだろう。
 オックスマンが倒れたのはオックスマンションであったから、例外はあるのだろうが。
「問題は、時間、だね……」
「ええ、これはいい傾向ではありません」
 最初の被害者は皆、昼の12時、もしくは深夜の12時(こちらは気付かれたのが朝なので確実ではないが)に眠りについていた。
 だが、時を重ねるごとにその時間帯には変化が訪れる。
 ある日を境に被害者たちが眠りについた時間は11時か、12時へと広がっていく。
 おおよそ1時間ごと、0分ちょうどという事はやはり、鐘の音に何か理由がある、という仮説を強める事となるが、問題は――
「だんだん、眠り始める時間が早くなっている……よね?」
 そう、最新の被害者たち。彼らが眠り始めた時間は、朝、あるいは夜の8時。
 もしこのままその時間が早まれば今以上に多くの人間が眠りにつく事になるだろう。
「オカリンのほうも、確認できた被害者については眠りにつく少し前に摂取していたようです。彼らのソウルドリンクだそうですから、飲むこと自体は不自然に感じなかったのでしょう」
 視点が変われば常識も違う。二人にとっては明らかに不自然な状況もこの街の人間にとっては些細なことだった。
 それ故に答えにたどり着くまでに、時間がかかってしまったわけだが。
「これで、少なくともボクたちが眠りにつく事はなくなった、と考えて良いんだよね?」
「しかし問題は何をしようとしているか、です。妨害者も言っていましたが、それがわかれば真実は近づくでしょう」
 理屈はともかく、眠りにつく条件は見えた。
 次に知るべきは、なぜ彼らが眠りにつく事となり、黒幕はなぜそれをしたのか、だ。
 
 昼を過ぎ、街にも人の通りが多くなってきた。
「なるほど! ありがとねー!」
「いいっていいって。そっちも気を付けてねー」
「今日はどこの店でタピるー?」
「15時までは……あと2時間はあるね」
 セレネは去っていく学生たちに手を振り、メモに確認した事項を書きつける。
 やはり眠りについた学生はその日、直前にタピオカドリンクを飲んでいたらしい。
 そして、その場所も……
「やっぱり、時計だなぁ」
 セレネは学生たちに話を聞きながら、カプラとカデルから伝えられた被害者たちが眠りについた場所の確認を進めていた。
 見上げれば、そこにあるのは大時計。ちょうど1時の鐘がぼぅん、となった。
 見渡しても眠りにつくものは見当たらない。やはり八回の鐘――いずれそれよりも少なくなるのかもしれないが――が鳴らない限り、眠りは訪れないのだろう。
「それにしても……なんだか変な街」
 セレネはメモをめくる。そこには様々なうわさが書き連ねられている。
 地下には巨大な迷宮があるだの、夜が明けない場所があるだの、深夜に空飛ぶ城を見ただの、枯れない桜があるだの、寝ているだけで何でもやってくれる機械がある、などと荒唐無稽な噂ばかり。
 だが、その中で一つ、気にかかる噂があった。
「時計の鐘が鳴ると、青白く地面が光る、ねー……」
 その時間はついさっき過ぎたばかり。いずれにせよ昼間ではわかるまい。確かめるには夜中を待たねばならないだろう。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

グラディス・ドラモンド
よぉし、俺様はアマータと一緒に行くかぁ!!!
よろしくなぁ!!!!!!!!!!あ、はい、静かにします
俺の図体で変装っつーのはちと無理があらぁな、清掃員に扮したアマータの影に潜ませてもらうぜ!!ハッキングやらは任せて俺様は中の構造の把握、職員の話を盗み聞きさせて貰おうかぁ!閉まってる扉の中に誰が居るかわからねぇってのもあるだろ、影として伝って中を軽く探り、安全確認してからアマータを迎え入れた方が良いな!
後はあれだ、シャッテン・コーで五体程呼び出し周囲警戒も受け持とうじゃねぇか。俺様が道を作りアマータが探る。データを抜き取るってのが最優先だ、出来るだけスピーディーの終わらせんぞ。



Chapter:7 闇よ

 パラドックス社は全面ガラス張りだ。
 昼を過ぎ、日差しも入ってくるようになった。このフロアの調査は切り上げ、次に向かうべきだろう。
 ちょうどそう考えたタイミングでグラディスが放った軍勢たちは隠された空間の調査を終え、影の中へと戻ってきた。
 その報告によれば――
(なんかよ、地下から、上の方まで、シャフトってのか? 長い棒が伸びてるらしいんだよ)
 グラディスの『三十の軍団を統べる偉大なる公爵(シャッテン・コー)』は広範囲を探索できるが地下の闇は深く、影響を届かせることは難しそうだ。それほどに深い地下空洞から、社のビルの頂まで届くのではないかと思わせるほど伸びるシャフト。
(エレベーターか、荷物運搬用か……上の方は調べられそうですか?)
(そっちは問題ねぇ。もう何体か向かわせてる。ひとまず他の場所を調べようぜ)
 掃除を続けながらアマータは次のフロアへと移ると、部屋の中から怒鳴り声がする。
「おい、会談の予定が入っていた男はまだ現れんのか?」
「受付は済ませているようなのですが、待合室から姿を消してから戻っていないようで……」
「時間の守れん奴と商談なんかできるか! キャンセルだ、キャンセル!」
 この中にはミルラがいるはずだ。
 ならば隣の部屋から、と扉を開ければ何やら違和感を感じる。
「これは……」
「お? どしたどした」
 アマータが覗き込んだ先。そこには何かの回路の接続口。
「……なんでこんなところに?」
「罠の可能性もありますが」
 言葉と共に取り出されるのはタブレット型の機械、携帯秘書装置。
「試してみる価値はあるでしょう」
 
 階段を慎重に登り、扉を開く。
 源次が部屋に入ると、そこにはいくつかのベッドが並べられていた。
「ここは……」
 眠る人々。傍らにたたずむ何らかの装置。壁際に並べられた人型の何か。
「どうやら、俺たちの勘は正しかったようだ。パラドックス社の上層部に……今回の事件の黒幕はいる」
「その通りです!」
 ばっ、と瞬時に源次は構えを取る。しかし声の主はここにはいないようで、スピーカーから声が響くだけだ。
「ようこそ、猟兵。きっと来てくれると信じていましたよ」
「……」
 源次はそれには答えない。
 気付かれていた? いつから? 俺だけか? それとも全員?
 様々な考えが脳裏を高速で駆け巡る。
「ふふふ、まさか一人で来たわけではないでしょう。何人いるか知りませんが、あなたを捕らえれば仲間が助けに来るでしょう……」
 声は、淡々と告げる。お前を逃がすつもりはないと。
 気付けば、壁際には銃を手にした機械兵たちが並ぶ。
 命令が下れば、彼らは何のためらいもなく源次を蜂の巣にするだろう。
「生きていれば問題はない! 奴を捕らえ――」
 その瞬間。階下で巨大な爆発音がした。大きなビルの全体が揺れる。
「ぬっ!?」
「――今」
 一瞬の綻び。その隙を見逃さず源次は扉を蹴破り、包囲を突破する。
 しかし、その先の通路にも機械兵は大量に待ち受けていた。
 そこに新兵からの通信が入る。気付かなかったが、どうやら室内では妨害を受けていたようだ。
「メディックなにやってんの!? ああいや、今は好都合か! こちらスナイパー! ディフェンダー、無事!?」
「こちらディフェンダー。今のところはな――この先はわからんが。気付かれたのは俺だけのようだ」
「さすがにここからじゃ射線が通らない! ……誘導はする! 何とか切り抜けて!」

 その少し前。
 パラドックス社一階、正面玄関にその姿はあった。
「たのもーーー!! 状況は理解した。俺の立ち位置は癒す者"メディック"だぜ!!」
「し、侵入者!? 襲撃!? 警備ー! 警備兵ー!」
 玄関扉をぶち破り、止めに入った警備兵をぶん殴り、ついでにその辺に居たおっさんもぶん殴った。
「ここの商品がたぶん原因だ! えらい奴を出せ!」
「メディックなにやってんの!? ああいや、今は好都合か!」
 その様子をモニターしていた新兵から通信が飛んでくるがクーガーは止まらない。
 彼は眠りについたオックスマンを診る為に方針を決める話し合いの場に居なかった。その時の会話をすべて聞いていたわけではない。
 彼は考えた。考えた結果、拳で解決するのが一番早いだろう、という結論に至る。
 それ故にこんな暴挙に――しかし今回は、それが源次の窮地を救う事となった。
「命を助けるのに時間が惜しいんだぜ! 通せ!」
「ああ、もう……メディック、今はとにかく暴れて、突き進んで!」

 そして通信から聞こえる声でアマータ、グラディスの二人のもとにも源次の窮地は伝わる。
「グラディス様……」
「ああ、わかってる! お前ら、源次を助けに行くぞ!」
「当機はまだしばらく動けません……お願いします」
 情報の通りならば、あの数の機械兵の突破は無茶無謀無理というものだ。
 だが先ほど見つけたあのシャフトを降りることは、その図体や形状から察するに機械兵たちには難しいだろう。
「新兵! 俺の同胞で道を拓く! 源次をそこまで誘導してやってくれ! 俺もすぐ行く!」
 グラディスは影から飛び出し一唸り。
 影の軍勢と共に部屋を飛び出し、通路を駆け抜ける。
 残されたアマータの携帯秘書装置に集積されていくデータは、未だ30%を示していた。
 
 銃声が響く。無数の弾丸が宙を舞う。
 源次はその雨の中を紙一重で躱すが、銃弾は止まらない。
 ガラス張りの外壁が砕け、大きな音を立てる。
「そのまままっすぐ! 駆け抜けて!」
 機械兵たちのものとは違う弾丸が一筋。源次を追う先頭の一体が撃ち抜かれ倒れる。新兵の援護か。
「そこだ! 合図したら飛び降りる!」
「……」
 地上ははるか遠い。
「……猟兵とはいえ、この高さでは無事で済まないと思うのだが」
「ちゃんと考えてるから! いくよ、1,2……」
 いずれにせよ、このままでは蜂の巣にされるだけ。源次は覚悟を決め、合図と共に宙へと飛び出す。
 浮遊感、近付く地面。唐突に、重力に逆らいぐい、と引っ張り上げられる力が加わる。
「あっぶねええええ! おい源次、急げ急げ!」
 源次を掴んだのはグラディスと影の軍団。そのまま階下のフロアへと振り子の要領でガラスをぶち破り、突入する。
「すまん、助かった」
「礼は後! こっちだ!」
 このフロアにも機械兵は存在していたが先ほどまでと比べればはるかにマシ。
 銃声に一般社員たちから悲鳴が上がるが、グラディスと源次は駆け抜ける。
「おー? お前ら、何やってるんだ?」
「メディック! お前も一緒に!」
「お、おう?」
 階下からも、上層からも機械兵たちは迫りくる。
 いつの間にかここまで上がってきていたクーガーも交え、三人は扉を蹴破った。
 そこには縦に伸びる空洞と、一本のシャフトがあった。
「ここだ、この棒を掴んで下る!」
「どこに繋がっている?」
「判らねえ! だが道はもうここしかねえ!」
 機械兵たちは続々と迫りくる。もはや時間はない。
「南無三……」
「おい、逃げるのかよ!?」
「いいから行くんだよ!」
 そうして、三人は暗闇の中へと消えゆく。その先に何があるのかも知らず――
 
「まったく、侵入者とは……修理にどれだけの金がかかることか」
「恐ろしいです。しかし、機械兵たちは見事なものですね……」
「そうだろう? あれもわが社の――」
 話しながら尻に手を伸ばそうとする専務をするりとかわしつつミルラは思う。
(ディフェンダー、メディック、ペット――無事でいるんだよ)
 そして、データの回収を済ませたアマータもまた、慌ただしく行き交う人々の中で通信を試みるが返事はない。
(お三方とも、どうぞご無事で)
 パラドックス社内に残ることとなった二人は、ただ彼らの無事を祈るばかりであった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
アドリブ◎
隙間産業的な動き出来てれば
グラサン着用
ツッコミ担当
最後は仲間と合流

パラドックス社が怪しいのは十二分に理解してるが、
俺は外から調査するか

街の様子観察
睡眠の発動条件推察
被害者の近くに居た市民に話聞く(情報収集・聞き耳
犯人に繋がる手掛かりの人物やアイテム捜索
強引にでも

…この飲み物が元凶か?何の成分だ
しっかし突然の奇病ねェ…俺には計画的犯行に見えたが
用意周到っつーか
ただし無差別
何故殺さず眠らせる”だけ”なのか気になる
何らかの実験…
犯人の目的は金?違うな
謎の陰謀…
事件を陰で操る黒幕の意図が読めねェなァ
パラドックス社だけで動いてる、とも考えづれェ
他に動くヤツもいるんじゃね

眠るコトで誰が得をする?



Chapter:8 眠るもの、目覚めるもの
  
 午後の強い日差しが照り付ける。
 きらりと光るサングラスの奥でクロウの瞳が伏せられた。
 彼は今、テンプル・スパイラスなる地を訪れている。
 中心部から少し外れた場所に建てられたこの寺は、都会的なこの街にあってその古風な雰囲気が異質に思えた。
「この地には数多の龍が眠るとされておりましてな。タピオカは龍の世界の食べ物であったと。その力にあやかろうとして我々もそれを口にしたのが始まりであったと言われております。もはやそれを忘れてしまったものの方が多いようですが……」
「なるほどなァ、どいつもこいつもタピオカ飲んでる奴らばかりってのはそういう謂れだったってわけか」
 話をしながらも住職はタピオカドリンクに口をつけた。
 クロウはそれを止めることもせず、考えを巡らせる。
 視線の先には、一枚の絵。
 そこには翼をもつ龍。横たわる人間。それはまるで捧げられているようで――
(龍の世界ねェ。眠ってる、ってのも共通してるしそこに何かあるのかもしれねェな。魔術や、呪術の類か?)
「ところで」
 と、そこで住職が口を開く。
「あなた、この街の人間ではありませんな……タピオカドリンク、おひとついかがですか」
「いや、俺はいらねェ」
 丁重に断るクロウ。
「そう、ですか」
 それと同時。何やら不穏な、重圧感が辺りを包む。穏やかであった住職の表情が、憤怒へと染められていく。
「ァん?」
 クロウも気付く。警戒し、周囲を探る。
「ならば力づくでも協力していただきましょう! 猟兵はよき贄となる、そう聞いている!」
 クロウの足が大地を蹴る。転がる頭上を銃弾が飛び交う。
 見れば、それを放ったのは鉄の体を持つ機械兵たち。気配を持たないが故に察知が遅れたか。
「ちィ、パラドックス社だけで動いてるとは思っちゃいなかったが……当たりを引き当てちまったか」
 そのまま身を低くしながら、クロウは駆け抜ける。
 弾丸が耳元をかすめるが構わず、言葉を紡ぐ。
「古来より太陽神に司りし者よ。禍鬼から依り代を護られたしその力を我に貸せ──」
 その導きに応え飛来するは『杜の使い魔(モリノシキガミ)』、巨大な濡羽色の八咫烏。
 その脚はクロウに向かって伸ばされ、彼もまたそこへ向かって手を伸ばす。
「飛べ!」
 力強く翼を羽ばたかせればその身体は宙に舞い、ビルの隙間の向こうへと消え去っていった。
「……逃がしたか。まあいい。どうせ、最後の鐘が鳴れば眠りから逃れることはできんのだ」
 その姿を見送り、住職はつぶやく。
「我らが龍の目覚めの時は近い。……我らの命を、夢を捧げます」
 何処からか、ぼぅんと鐘の音が聞こえる。
 その数瞬後、パラドックス社の最上階が一瞬、青白い光を放つ。
 住職はその光景を嬉しそうに眺めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朝倉・くしな
やはり、私は潜入!【POW】
これでも侵入や潜入は得意なんです。任せて下さい
(鍵のかかったドアノブを羅刹パワーでバキってして開ける

潜入の鉄則は、『バレる前にヤれ』です
裏からこそっと入って堂々と歩いていき、出会った相手はバレる前にグラップルできゅっと気絶させます
ふっ、まさに誰にも目撃されない潜入員です

情報の方はなんか偉そうな人とか捕まえて恫喝しましょう
人から聞くのが一番ですよね
えーと何を聞けばいいんでしたっけ?まぁ指折り数えていればその内思い出しますよね
何も言う事がないなら知ってそうな人かもっと偉い人を聞き出しましょう

脱出の際は地形破壊で潜入の証拠隠滅です
絶つ鳥跡は濁さず抹消。まさに完璧な潜入です



Chapter:9 よもつへぐい

 工場内を歩き回り、リーオはタピオカの生産工程を追っていた。
 ちなみにいたるところに掲げられていたが、パラドックス社のタピオカシェアは100%だそうだ。
 しかし成分も工程もいたって普通で不審な点はない。
 何かあるとすれば――
「そこかしこに何なんだろ、変な模様だなぁ」 
 機械、壁面、床、場所によっては天井。
 いたるところに何やら奇怪な図が描かれているのだ。
 一つ二つなら見逃したかもしれないがこの数は明らかに、何らかの意図をもって描かれているとしか思えない。
「……でも、これにどんな意味が、って言われるとわからないんだよねぇ」
 機械をチェックするふりをしながらまた一つ、模様を写真に収める。
 こういうのに詳しいメンバーはいたっけ、などと思いながら次の場所へ。
 作業員たちとすれ違うも疑われずに済んでいるようだ。
「おつかれさまでーす」
「次の生贄、お前なんだって?」
「ああ、名誉なことだよ」
「すごいなぁ、俺も選ばれたいよ」
 ……
「え? 今なんかすごい事さらっと言ってなかった?」
 あまりに不自然すぎて逆に聞き逃しそうだったが、慌てて振り返る。
 幸いにも角を曲がった作業員たちにその動きは気付かれなかったようだ。
 だが、生贄などという言葉がそうそう出て来るはずもない。それも名誉だ、などと。
 その謎を追うべく、リーオはその身を翻した。

 みしり、と何かがきしむ音がする。
 そこに居たのは、くしなと一人の男。
「ぐっ、やめて……今日は大事な……」
「ほうほう、大事な……なんです?」
「大事な儀式があるんだ! 私はあれを見届けないと」
「ふむふむ、どこでです?」
「この工場の、祭壇だよ! 全部答えたから! だから離して!」
「はいどうも、ありがとうございます」
 こきゃ。
 気絶し、力を失った工場長を見下ろし、くしなは祭壇を……
「あれ、祭壇ってどこでしょう。案内図を確認しないと」
「祭壇なら、この部屋を出てあっちだよ」
 天井のダクトから声がする。どうやらちょうどこの部屋の上を通過していたらしい。
「おや、マルコさん。よくご存じで」
「猫たちが教えてくれたんだよ。……でも、なんで工場に祭壇なんてあるんだろう?」
「さて、私にはわかりませんが、そこで何かをしようというのならば調べなくてはいけませんね!」
「同感。じゃボクはこっちから行くよ。気を付けて」
 そういうとマルコの気配は遠くなる。
 くしなも祭壇とやらを目指すべきだろう。扉を開け、祭壇を目指す。
「ぬおっ……あれ、あんた一体」
「ふっ!」
 こきゃ。
 
 機械兵たちが見守る中、数人の男が祭壇に捧げられたタピオカを口にする。
 ぼぅん、と鐘が鳴る。
「あれはまさか……」
 陰に潜み、リーオはこの後起きる事を想像する。
 ぼぅん、と二つ目の鐘が鳴る。
「オックスマンと同じ、か」
 ダクトの中からマルコもその様子を確認する。
「むむ、怪しい雰囲気!」
 ぼぅん、と鐘が鳴ると同時。
 ばぁん、と扉が開かれ、くしなが祭壇へと乗り込む。
「えっ、くしなさん?」
 リーオは慌てるがもう遅い。くしなは一気に部屋の奥へと乗り込み、男の一人を締め落とす。
「ぐぇっ」
「し、侵入者!? こんなところにまで入り込んでくるなんて!」
「機械兵を動かせ!」
 ぼぅん。
 ダクトのふたが蹴り落とされ、マルコが部屋の中へと乗り込んだ。
「なんとなくこうなるような気がしてたんだよね」
 ぼぅん。
 銃から放たれた光が動き出そうとした機械兵の足を止める。
 まずは一体。続いて転がりながら二体目にも発射、命中。残すは後一体。
「あー、もう、色々探ろうと思ったのに。行くよ、赤頭巾さん!」
 ぼぅん。
 リーオの言葉と共に背後に宿した『赤頭巾さん』が姿を現す。
 眼にも止まらぬ動きで大鋏を突き立てれれば、残された機械兵もまた沈黙する。
「さあ、お話を聞かせてもらいますよ! なにをしていたんです!」
「生贄、って聞こえちゃったんだよねぇ……」
 ぼぅん。
「それよりも鐘を止めないと……これでいいかな?」
 祭壇の中心に備えられた時計を撃ち抜けば、鐘の音は六つで止まる。
 この一瞬の出来事に生贄となるはずだった男が叫ぶ。
「お、お前ら、なんてことを……! 俺たちの願いが……」
「はい、その辺りをしかと聞かせてくださいね!」
 くしなはやる気満々。
 が、突如。町全体に響き渡るほどの鐘の音が鳴る。
「えっ」
「一体どこから?」
 それと、同時。
 タピオカを飲んだ男は唐突に膝をついた。
「……どうやら、タピオカはあくまで前提条件。鐘の音がトリガーだったみたいだねぇ」
「ボクの数え間違いでなければ、この男が聞いた鐘の数は七つ目だったと思うんだけど」
 男は眠りにつき、目覚める様子はない。
「……やられましたね。いろいろ聞きだしたかったのに……」
「でも、色々な情報は得られた。最後の鐘の音が何処からしたのか、確かめないと」
「だねぇ。脱出しないと」
 マルコは促し、リーオもまた変装を解く。
 ――その時であった。
「えっ、なんですこれ」
 突如男たちの全身が青白く光りながら浮かび上がる。
「気を付けて、何かの攻撃かも」
 しかしそのまま、光だけが祭壇へと飲み込まれる。
 どさり、と体は一斉に崩れ落ちる。
 祭壇はしばらく光を放ち続けたが、やがて静かになった。
「これが生贄、って事かぁ」
「よくわからないけれど、ろくな事じゃなさそうだね」
「ひとまず、祭壇は破壊してしまいましょう。絶つ鳥跡は濁さず抹消。まさに完璧な潜入です」
「潜入かなぁ、それ」
 くしなの一撃で祭壇は崩れ去る。
 さすがにその音には気づかれぬはずもなく、工場の混乱の中を脱出する三人であった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・源次
潜入…とは言うが隠密行動は他の連中に任せる。

偽造された名刺・IDパス、そして事前にハッキングにより偽装された商談スケジュール(ハッキング班の誰かがやると信じて)

これらを携えて
正面から、正々堂々潜入させて貰うとしよう。

パラドックス社に入れたなら応接室か待合室に通される筈だ…だが、抜け出す理由はいくらでもある。おそらく社内に監視カメラの類などあるだろうが…

インターセプター起動
『こちらディフェンダー、正面からの潜入に成功した。監視カメラの位置を送る。無力化を頼む』

これで社内をある程度歩けるか…アナライザーやインタセプターで策敵をし可能な限り社員との接触を避けながら社内の探索を行い情報を探る



 
Chapter:10 その光の行く先

 ぴちゃり、と水が滴る。
 目を開けば、ごつごつとした岩肌。
 どうやら、洞窟のようだ。
「……」
 源次は頭を振り、意識を失う前のことを思い出そうとする。
 すると傍らから声がする。
「お、起きたのか。無理すんなよ」
 この声は……クーガーか。
 脱出の際に何発か銃弾を受けた傷を、メディックたる彼が処置したのだろう。
「……状況はどうなっている」
「駄目だな、外とは通信が通じねぇらしい。ああ、さすがに上るのは無理だぜ。だいぶ下ってきたからな」
 目の前には遥か上にそびえるシャフトが見えた。
「今、俺の影の軍勢に脱出できる道がないか探させてる。動けそうなら、あいつらが戻り次第移動しようぜ」
 シャフトを見上げる源次にグラディスが告げた。
 
「しっかしよぉ、お前が見つかるなんてヘマしたもんだな、オイ。いったい何を見つけたんだ?」
 影の先導に洞窟内を進めば、グラディスが源次に尋ねる。
「……眠り続ける人々と、何らかの機械。それと、黒幕らしき存在は猟兵の存在に気付いていた」
「あん? 猟兵に?」
「そうだ。しかも他の仲間をおびき出そうとしていた……」
「しっ」
 と、そこで影が何かに気付いた。
 薄暗い中、視界の向こうには先ほどまで彼らを追ったものと同型の機械兵が複数体見える。
「ぶっ壊して進むってのは?」
「いや、状況がわからん以上戦闘は避けた方がいいだろう。別の道はあるか、ペット」
「おう、大丈夫だ。こっちに行こうぜ」
 右へ、左へ。曲がりくねった道を機械兵たちを避けつつ進む。
 ――すると。
「おっ? なんだなんだ?」
 突如地面が光り出す。
 やがて洞窟全体は光に包まれ、三人を青白く照らした。
「なんだ、この現象は……」
「わからねえが、気を付けたほうがよさそうだ」
 洞窟のごつごつとした地面を慎重かつ迅速に進む。そうするうちにも光はなお強くなり、電流のようなものがはしる。
 辺りを見渡せば数体、崩れ落ちた機械兵が見えた。
「オイオイ、これなんかの兵器とかなんじゃねぇの!?」
「そう思うのならば急げ」
「あっちだ、その先は光ってねぇ!」
 彼らが洞窟を飛び出した瞬間。
 光はどこかへと集うように収束し、沈黙した。
「……なんだったというのだ」
 どうやら飛び出した先は高台であったらしい。
 街の方で一瞬、青白い光が輝いたが、三人はそれに気付く事はなかった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
大変、オックスマンが眠り姫になっちゃった!
でもお姫様じゃないからええと…眠りオックスマン?

でも、実際に「どういう状況で被害者達は眠ったのか」を確認出来たのはよかったんじゃないかな。
オックスマンが寝ちゃった時って時計が鳴っていたよね。
ひょっとしたら発動条件には時計が絡んでいるのかも…!

なので、ボクは被害者たちをもう一回調べてみるんだよ。近くに音が鳴る時計がなかったかとか、時計が近くになかったかなとか。
時計ももしかしたらパラドックス社のものだったりして?

よーしボク頑張ってOX-MENのみんなと一緒に調査をするよー!
わかったことはみんなと共有するね!
初めての世界だけど、どんな所かなぁ?

絡みアドリブ◎



Chapter:11 生贄

 アマータが手に入れたデータ。
 そこにはパラドックス社に送られてくるエネルギーの総量……それらの変動が詳細に記されていた。
「ふむ……」
 昼の12時と夜の12時にエネルギーの数値が大きく上がっている。この時間に充填されているのだろう。
 しかし、ずっと変わり映えの無かったデータの動きに、1月ほど前から変化が起きる。
「午前と午後、12時だけのチャージだったはずが、11時と12時の4回になり、そのうちに10時、11時、12時と増えていますね」
 それまでは毎回ほぼ使い切っていたはずのエネルギーは数が増えるごとに当然大きく余剰を示していく。
「エネルギータンク増設……また増設……全部で、7つですか」
 そして、今日。チャージは8時、9時、10時、11時、12時の五回が行われている。
「増設されたタンクももう少しでフルチャージ……パラドックス社はこのエネルギーを使って何をしようというのでしょうか」
 このデータの意味するところはまだ分からない。
 だが、もはや長居は無用だろう。
 アマータはいかにも仕事を終えた清掃員、といった顔で平然とパラドックス社を離れ、仲間たちのもとへと向かっていった。
 
 送られてくるデータに専務は喜びの声をあげる。
「おお、どうやらエネルギーは無事に送られてきたようだな! これで私も一安心だ!」
「よかったですね、専務」
 その言葉に専務は大げさに喜んで見せた。
「いやー、先ほどの襲撃でどうなるかと思ったが思ったが、はっはっは」
 と、笑いながらミルラの肩に触れる。セクハラだ。
 そのまま彼は席についたが尻に刺さった画鋲に悲鳴を上げた。
「な、なんでこんなものが私の椅子に……」
 尻をさすりながら画鋲を取り除き座りなおすと、時計をちらり。
「まあいい、君、タピオカドリンクを」
(……? こいつは計画にはかかわっていないって事かい?)
 疑問に思いつつも、ミルラは冷蔵庫に山のように納められたタピオカドリンクを一つ取り出し、専務へと手渡す。
「どうぞ。それで、エネルギーはどこに……?」
「あん? なにを言っとる。このビルの頂上のエネルギータンクに決まっとるだろうが。この街のエネルギーはそこから賄われているんだ」
「エネルギータンク……」
 ミルラはつい、ビルの上の方を向いてしまう。
「それより、そろそろ出かける時間だぞ。準備をしてくれ」
「あ、ああ、そうですね。車を回してきます」
 ミルラは思う。それが、パラドックス社の目的なのか、と。

 街のはずれ。聞き込みを終えたメンバーは集合地点へと集まり始めていた。
「なーなつの星がつどうときー、わーれらがりゅうはてんにまうー」
「なあに、それ?」
 カデルの歌にセレネが尋ねる。
 病院での聞き込みと調査の最中、カデルは子供たちにつかまり、一緒に遊ぶことになっていた。
 これは子供たちがみんな知っていた歌で、どの子もどの子も延々と歌い続けるので彼女も耳に残ってしまったのだ。
「テレビとかでも毎日かかってるみたい。みんな上手だったよ」
「眠りにつく人々が増えて、子供たちも不安だったでしょう。いい行いをしましたね」
 今日も少なくない人間が病院へと担ぎ込まれてきた。
 やはり11時や12時の鐘と共に倒れていたようで、推測を更に革新へと近付ける形となっていた。
「集合時間は何時だったっけ。まだもうちょっとかかるかな」
「あ、それじゃあその歌ちゃんと聞かせてよ! ボクたちだけで相談してるわけにもいかないし」
「ほう、それはいい行いです。私も聞かせてもらいましょう」

 龍がこの地を目指して飛んでいく
 鐘が鳴る、鐘が鳴る
 だけど炎が氷になって、彷徨う扉は閉じられた
 我らが龍は眠りにつく
 友よ、友よ
 三つ首の獣に立ち向かえ
 七つの星が集う時、我らが龍は天に舞う
 終わりはない、終わりはない
 眠れ、眠れ、わが友よ
 そこに至るは十三の光
 今こそ目覚めの時は来た
 
「……よく、こんなの子供が覚えたね」
「うん、だからボクもすごいなって」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マルコ・トリガー
フーン、奇病ねぇ
オックスマンはパラドックス社のタピオカドリンクを飲んで眠り姫になった
なら、製造工場にでも探りを入れてみようか

映画ってやつで見たんだけど、工場に潜入する時は【暗視】を使ってダクトって場所を進めばいいんだよね
機械やセキュリティ解除は得意じゃないから仲間に任せて、ボクは工場内を【目立たない】ように【忍び足】で物的証拠を探したり、会話を【聞き耳】で盗み聞きしようかな
怪しい場所があれば【鍵開け】で中を確認しよう
【雲竜風虎】で猫たちにも潜入の協力してもらおう。ボクには【動物と話す】のは簡単な事だから彼らから何か情報が得られると良いね

まあ、仲間と協力して解決の糸口を見つけられるといいかな



 Chapter:12 十三の光
 
 この街に乗り込んだメンバーのうち、9人。
 すなわち、クロウ、カプラ、新兵、くしな、セレネ、マルコ、カデル、アマータ、リーオは、町の一角に集っていた。
「……と、いう訳で三人とは連絡が取れない。救出に行こうにも、流石にそのシャフトは機械兵に見張られてしまっているから……」
「……あいつらなら大丈夫に違いねェ。今は状況を確認しようぜ」
 クロウの言葉に新兵はパラドックス社での出来事について、続きを語りだす。
「ひとまず監視カメラのジャックは続けてる。えーと、とりあえずディフェンダーの見つけたものを報告しておくよ」
 源次はパラドックス社内の一室、上層部しか入れないであろうフロアで、眠り続ける複数の人々と何らかの機械を発見している。
 しかし、そこに入り込んだと同時に何者かが侵入を察知し、機械兵たちに取り囲まれた。
「その後はさっき説明した通り。正面からは無理だったんで、通信も届かないような地下に一か八かで脱出した、ってわけ」
 危機ではあったが得る物も多かった。潜入した価値は十分にあったと言えるだろう。
 そして社内で手に入れた情報はそれだけではない。
「……では、当機から続けて報告を。パラドックス社は何らかのエネルギーを貯蓄しているようです」
「そのエネルギーはパラドックス社の頂上のエネルギータンクに送られている……そうだね?」
 と、ここで新たな声がする。そこに居たのはミルラであった。
「あれ、ミルラさん。潜入を続けていたのでは?」
「いい加減引き出せそうな情報もなくなってきたんでね。車を回す、って言ってそのまま抜け出してきたよ」
 と、笑ってみせる。
「とにかく、専務……アタシが秘書として乗り込んだ奴はそれで街中にエネルギーを供給してるって言ってた。でも、どうやらそれだけじゃあなさそうだね」
 やはりパラドックス社はクロに違いない。そのことは工場に乗り込んだ三人も同意する所だ
「ええと、タピオカ工場なんだけど。生産する機械に何か……変な模様なのがついてて。写真撮ってきたんだけど見てくれる?」
 リーオがスマホの画面を示すと、反応を示したものが一人いる。
「こいつは……」
 クロウだ。彼はその模様を見つめると、記憶の糸を辿る。
「そうだ、こいつは俺が調べに行った寺にあった模様だ。なんでも、龍が眠っているとかなんとか……」
「龍? あれ、どっかで聞いたような」
「さっきの歌ではないですか」
「あ、そうだそうだ」
「……あの寺もパラドックス社とグルに違いねェ。タピオカは龍の世界の食べ物だとか言ってたし、この模様も意味があるんだろうな」
 追跡がされていないことは確認している。それでも襲撃を仕掛けてきた相手だ。油断はできない。
 
 少し話がそれた。話を続けるよ、とマルコが口を開く。
「それで、工場の奥に何故か祭壇があって……そこで、儀式が行われていたんだ」
 タピオカを飲んだ直後に鐘の音を聞き、眠りにつく。
「やっぱり、タピオカと鐘の音には繋がりがあったんだね」
「データから推測はできましたが、実証されたといったところでしょうか」
 しかしそこで起きた事はそれではなかった。
「その後、眠った人たちが光り出して……祭壇にその光が飲みこまれたんだ。青白い光だった」
 マルコが続ける。
「青白い光だと?」
 と、そこで男の声。そこにあったのは源次、クーガー、グラディスの姿。
「三人とも! 無事でしたか」
「なんとかな。メディックの奴がいて助かったぜ」
「おう、それが俺の立ち位置だからな」
「それよりも、青白い光だ。俺たちが地下で見た、あの光に違いない」
 洞窟の中を走り抜けた光。強大なエネルギー。
 その反応が現れたタイミングは儀式の時間と一致する。
「なるほど、祭壇に吸収された光は地下を通ってどこかへ運ばれたという事ですか」
「……あっ、その洞窟はパラドックス社に繋がってたんだよね?」
 ばらばらであった幾つかの情報が一つに繋がりつつある。
 眠りの被害者たちから奪われた光は地下を通り、パラドックス社へと運ばれる。
 そして源次たちが脱出に使ったシャフトから頂上のエネルギータンクへと運ばれる……
「そっか、だから鐘が鳴ると地面が光るって噂があったんだ!」
 眠りによってパラドックス社が得る利益。
 それは被害者から抜き出したエネルギー……
「ううん、エネルギーを集めるだけじゃない。それを使って、何かをしようとしてるんだ」
 カデルが気付く。セレネとカプラも気付いた。
「あの歌が……彼らの目的という事ですか」
「クロウの言っていた伝説、パラドックス社はそれを信じているんだ……」
 あの歌。子供たちが歌っていたあの歌だ。
「いや、むしろパラドックス社がこの歌を広めていたのかもしれない」
 歌詞を書き起こし、現在の状況と突き合わせる。
 いまだ不明なところはあるが、もはや間違いはないだろう。
「何者かが、眠りのエネルギーを用いて龍を目覚めさせようとしている」
「ですが、どうやって? それもまた何か儀式のような……」
 その疑問に答えるように。どこからか声が聞こえた。
 
「そう、その通りですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・新兵
さて、調査開始か
とは言え俺じゃ直接潜入してドジ踏んだ日にはこう(頭に拳銃を当てる仕草)するよりない…適材適所、外からパラドックス社監視と行こう

偵察用ドローンを社屋周囲に展開、更にセキュリティにハッキングし監視カメラや端末をジャックし社屋内外の映像を探る…俺自身は社屋を一望出来る高所でスコープ越しに様子を見つつ、各種デバイスで送られる映像をチェック
監視カメラを掌握するので直接潜入する仲間がセキュリティに引掛からない様操作したり通信で警告を飛ばす…なんて援護も出来ると思う

…今はまだ出番はないだろうけど建物や周囲の地形把握も併せて怠らずに実行
いつでも、何処だろうと、何が起ころうと狙撃できるように



Chapter:13 パラドックスマン

 監視カメラの向こう。白い帽子と白いスーツの、体格がいい男がこちらを見つめていた。
「いやはや、まさか監視カメラを乗っ取っていたとはね。流石にセキュリティはもっと高度にしておくべきでした」
 全員の視線はモニターに集まり、各々が瞬時に臨戦態勢に入る。
 この場所も悟られているのか? そんな予感がよぎった。
「……罠だったって事か」
「別にそういう訳ではないのですがね。ともあれ、よくぞその結論にたどり着きました。正直感心していますよ」
 白スーツの男はククッ、と笑う。
「何もんだ、てめぇ!」
「では、名乗らせていただきましょう。私はパラドックスマン。偉大なる龍のしもべ……お察しの通り、この街の人間をエネルギーとし、彼の龍を目覚めさせようとしております」
「そいつはどうも……だが、なんでその事をこっちに教える?」
 そこでパラドックスマンは帽子の奥の目を光らせ、尊大に言ってのけた。
「もう手遅れだからですよ!」
 ぼぅん、と鐘の音がする。それと同時にパラドックス社頂上が青白く光り出す。
 そこにあったのは、宙に浮かぶ鐘。
「あっ、大変だ! この街の人はみんなこの時間になったらタピオカを飲むって! そう言ってた!」
「……そりゃあ、鐘くらい鳴らそうと思えば自由に鳴らせるよな……!」
「さすがにこの街全てを眠らせるにはこの特別な鐘が必要ですがね。おまけに一度鳴らすのにエネルギータンク一つ分の力が必要と来てる。しかし、この鐘が鳴り終えた時、この街は眠りに包まれ……」
 先ほどまで晴れ渡っていたはずの空が曇りだす。
 雷鳴が、轟いた。
「そして目覚めの時が訪れる!」

 OX-MEN:Crush on the Nightmare
 to be continued...
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月24日


挿絵イラスト