もうあの声を、虚しく響かせないために
●その悲鳴、聞こえることはなく
「いやぁぁぁぁ!! 助けて!! 助けて、お母さん、お姉ちゃ――」
研究施設みたいな施設で天井から鎖で両手を、床から同じく鎖で両足を拘束された少女は叫び声をあげていた。
少女の頭には何やら電極のようなものがつけられている――否。海馬に電極がブッ刺さっているとはまさにこのことか――比喩するまでもなくまさにそのまま、頭に電極を刺された少女は流れてくるそれに必死の叫び声をあげていた。
――が、この部屋には彼女以外誰もいない。学校の教室1つくらいはあろうかというこの部屋に、彼女以外の存在はいなかった。
「あ、あああ、あっ――あぁ……」
やがてその体が一瞬ビクンと震え、瞳からはハイライトがなくなっていき、顔はだらしなくぶら下がるように下を向く。それを待っていたように部屋の扉が開いた。
「どうだ?」
入って来た存在達は少女の顔をツンツンしたり、足を蹴とばす――まるで、人間じゃなくて『モノ』として扱っているかのような接触行動をする、が――。
「あー、まただめだな。死んでる」
「これで何回目だ? そろそろストックなくなんないか?」
「通算121回目だな。いい加減さらう人間のストックもなくなりそうだな」
「よし、そうとなればさっそく――いや待て、今誰かいなかったか?」
会話していたうちの1人が異変に気づいた。首をかしげる存在達の中、気づいた者、その視線の先にはダクト。そう――わずかに、ダクトが外れていたことに気が付いたのだ――。
●その声、届くことはなく
「はっ……はっ……つ、伝えないと――」
研究施設の入り口付近を一人の少女は走っていた。背丈からして高校生くらいか。先ほどどこかから脱出してきたのか、その体にはところどころ傷がついている。亜麻色のツーサイドアップの髪が揺れ、息も絶え絶えに少女は走る。
「――妹なら、妹ならヒーローだから――いや、あの子じゃなくても、ヒーローならだれでもいい――」
とにかく、今見たことを伝えなければ。あの、人体実験のありさまを。
好奇心は猫を殺す、とはよく言う。だが、こうして見て何もしないのも――何か、モヤモヤする。というか――あれを見て、ヒーローに知らせない理由がない。
「はぁ、はっ――ここ、なら、大丈夫、でしょ――」
死角となる位置で腰を下ろし、息を整える。肩から掛けたかばんからノートを出す。結城香澄、と表紙の名前欄に書かれていたそのノートのページには何やら女の子の名前がずらりと並んでいた。
「みんな、やられてたんだ――伝え、ないと――」
少女はスマホを取り出す。しかし、その画面は暗いままだ。そうだ、電池が切れてたんだっけ。
――追手がいつ来るかもわからない。彼女にはとりあえずここで体力を回復させるしかなかった。
●而して、予知には響き
「集まってくれてありがと。ヒーローズアースの予知案件よ」
猟兵たちを集めたマリア・ルート(黒き面影に囚われし根源姫・f15057)は集まった猟兵たちに話を始めた。
「ヒーローズアースのある研究施設で非人道的な人体実験が連続で行われているの。それを一般人の女子高生――『結城香澄』っていう女子高生が潜入して脱出をしたんだけど、息も絶え絶えで研究施設の入り口すぐ傍で動けなくなったみたいなの。その勇気は評価できる、けど――勇気と無謀は違うものよ」
このままではいつ彼女が囚われるかわからない。彼女が囚われれば、重要な証拠を失ってしまう。それに――。
「彼女がこの日スマホで友人に送ったメッセージの中に――オブリビオン、というキーワードがあったの。オブリビオンがこの事件に絡んでいる可能性は高いわ」
となれば、猟兵たちの出番だ。研究施設に入って、オブリビオンを倒さないといけない。被害者が増える前に。
「研究施設は監視カメラ数台で見張られているわ。ただ、警備員とかはいないみたいね。ダクトとかから侵入、脱出もできるけど、たぶん傷はつくわね。ビスや鉄板がそこかしこに出ているから」
だがそれでもどうにかしてしまうのが猟兵だろう。マリアが期待の目を向けている。
「ついでに――いや、ついでに、と言っちゃだめだけど――囚われている子供たちの救出も努力目標でやってほしいわ。そうした方が、後願の憂いなくやれるでしょうし」
何をかは言わない。何をかは言わなかった。でもやる存在はいるのではないかと思っての発言だ。
「じゃ、そんなわけで。研究施設近く、ばれない位置までグリモアで送るから、頑張って。期待してるわ」
と終わらせて出撃準備をする中、マリアがふと思い出したようにつぶやいた。
「――結城、ね……いや、まさか、ね」
もしそうだとしたら――と、ふと思いつつも、準備を進めることにした。
結衣謙太郎
届けたかった。その苦しい声を。1人では無謀すぎるとわかっていても。
でも、みんなでやれば、その声、響かせ、届けられるよね。
第1章 冒険
『強化人間工場から救い出せ!』
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POW : 強行突破だ!無理やりセキュリティブチ抜いていざ救出!
SPD : 警備の網をかいくぐり、スマートかつスピーディーにレスキューだ
WIZ : 改造の影響なり、手荒く扱われてたりで弱ってる子だって居るかも。なので救護します!もう大丈夫だよー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●響く足音
『おい! いたか!?』
『いえ、こっちには!』
足音がいくつも響く中、死角の壁にもたれかかり息を殺している香澄。
「充電器、持ってくる、べきだったなぁ……」
荒い息は時折殺され、再び荒くなる。体力が回復するまでここでしのぐとか考えているが、これじゃいつまで続くかわかったもんじゃない。
それでも――動けば見つかるリスクは高まる。故にここで回復して、一気に外に駆けだすしかなかった。
長坂・由有子
何の衝動かは知らないけど、無茶すりゃ死ぬしかないわな。
そうならんよう全力は尽くしてみるけど、最後は結城香澄の運否天賦次第、かな。
さて、非道外道の報いはまた今度、今はその犠牲者をどうにかせんとね。
【救出】
手の込んだ仕掛けは私には向かない。なんで正面突破、ドラゴニックエンドで扉をド派手に破ってみようかね。
周囲を手当たり次第破壊して、こっちに注意を向ければ、後発の猟兵たちもやりやすくなるだろうて。
監視カメラにわざと映る、人の気配のする方に踏み込む等、わざと人目を惹く行動もする。
香澄や囚われの少女の救出も出来るならするけど、あくまで陽動、囮が主眼。さんざ引き付けて、脱出ルートを開けてやるのが私の目標。
●響かせる破壊の声
「さて、全力は尽くしてみるけど」
長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)は研究施設の正面玄関にドラゴンランスを向けると。
「手の込んだ仕掛けは私には向かないからね」
研究施設の正面玄関に思いっきり、投げた。派手にドアが破壊され、大きな破壊音が響く。そのまま槍を引き抜くと全力で走りだした。
『なんだ今の音!?』
『こっちからしたぞ!』
敵たちが由有子の破壊行動の音を聞き、その方へ向かう。
由有子は瞬間的に建物の構造を把握し、集まってくる敵たちの方向へあえて向かう、と目の前でその視界から逃れるように横へ曲がる。
監視カメラとかがあってもお構いなし、むしろあえて映るように動いている。と思えば素早く跳びあがって監視カメラをセイバーで破壊する。一閃と共に黒い煙を上げて監視カメラがその役割を失う。
由有子はまた手当たり次第に道を塞ぐ壁やらそこらをセイバーで破壊していった。自分が目立てば後に続く者たちも楽になる。そう、これは囮である。
――道中、捕らえられてる子供たちが鉄格子の向こうに見えた。しかし今ここで開けてしまうと囮の自分につられた敵にやられかねない。とはいえ見過ごすわけにもいかず、深く考えるのが苦手な由有子は、槍を投げつけて鉄格子の上の方を破壊した。上ならば敵も子供たちも乗り越えられないだろうと見込んでだ。
気づけば由有子は8人くらいの敵に追われていた。そして――それは確実に囮としての役割を果たしており、死角にいた香澄にドカン、ドカンという破壊音を足音の代わりに聞かせた。
「この音――それに、足音がやんだ――もしかして、今なら気づかれずに――」
香澄はこの騒ぎに乗じて入口方向に動き出す。入口のドアが派手にやられているのを見た香澄は、助けが来たことを実感するのだった。
成功
🔵🔵🔴
ニトロ・トリニィ
SPDを選択
非道な人体実験か…
許す事は出来ないよね…
絶対に止めないと!
見つからないように潜入…
勇敢な女子高生や子供達の事が心配だけど、急がば回れって言うからね。
僕は〈情報収集〉を使いながら〈目立たない/忍び足〉で気配を消しつつダクトを移動して救出対象を探そうかな。
ダクトの中では《バウンドボディ》で体の形を変えながら進めば何とかなるかな?
うわぁ… クモの巣が顔に!
あ… 怖がられる可能性もあるから、〈礼儀作法〉はちゃんとしないとね。
だって… ダクトから黒い粘液が落ちて来たら怖くない?
アドリブ・協力歓迎です!
アンナ・フランツウェイ
人体実験か、どんな世界でも人間の考える事は同じか…。…許さない。でも優先事項は香澄と子供達の救出。同じ境遇だった者として必ず助ける。
正面から突入した味方が囮をしているけど、最低限の人数は残しているはず。なら私は残りの敵を片づけ、救出に向かう猟兵達の手助けをする。
潜入経路はダクトから。傷がついても【激痛耐性】と【気合】で耐える。あの施設で受けた人体実験に比べたらこのくらい…!
潜入後は監視カメラに注意しつつ索敵しながら進み、敵を発見したら背後や側面から奇襲。【傷口をえぐる】で痛みで怯んだ隙に【気絶攻撃】。拘束しその辺の物陰に放り投げておこう。
とにかくひたすら奇襲を繰り返し、敵戦力を削いでいくよ。
●ダクトの猟兵たち
「人体実験か、どんな世界でも人間の考える事は同じか……許さない。でも優先事項は香澄と子供達の救出だね。同じ境遇だった者として、必ず助ける」
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は両親に売られ呪詛天使計画の被験者となった苦い思い出を思い出しながら思いっきり破壊された正面玄関を見つめる。
「正面から突入した味方が囮をしているけど、最低限の人数は残しているはず。なら――見つからないためには、いくしかないわね、ダクトあたりから」
ちょっと声色が変わった気がしたが、施設内を探索して入れそうなダクトがないか探す。すると――
「あら? これ――入れそうね」
アンナが見つけたのは、何やら蓋からこぼれている黒い粘液、そしてそれが『吸い込まれていく』様――
――そのダクトの中では。
「勇敢な女子高生や子供達の事が心配だけど、急がば回れって言うからね……この辺りから忍び込めばいいでしょ。ダクトの中では体の形を変えながら進めば何とかなるかな?」
ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)が体をスライムのように伸ばしては輪ゴムをはじいたようにダクトの中を進んでいた。ブラックタールにバウンドする体を持たせるUCを組み合わせたものだ。
「でも少し外の空気も感じるなぁ……もしかして完全に入り切れてない?」
そう、アンナが見つけたのはニトロの体の一部。そこからニトロも空気を感じていた。
「これでよし、と」
察したニトロがズルッ、と残ってた部分をダクトに入れる。これがアンナにいい情報を与えたことを、彼はまだ知らない。
「あ――うわぁ……クモの巣が顔に!」
ダクトの中は傷つくようなものだけではない。こういうのもある。でもある意味ニトロが引っかかって囮になっているともいえる、こういうのは。
場所は戻って、ダクトの外。
「――ああもう、怨念がまた主導権を……」
アンナは頭を抱えていた。――アンナは実験により呪詛天使の魂が宿っている。それが出てくることがあるのだ。多重人格というよりは、1つの体に2つの精神と魂がある感じか。で、これが最近主導権争いが激しくなっているのだ。悩みの種でもある。
「ま、とはいえ、ここから行けるなら、行ってみようかな」
先ほどニトロの一部が入っていったダクトの扉を人型が通れる程度に少し開け、そこから侵入する。
「うわぁ、狭いな……」
当然ながら人型で体を変えることもできないアンナにはこの通路は狭い。加えて。
「いったっ……説明会でも聞いたけど、ビスとかが傷つくな……」
ダクトにあるビスや鉄板がアンナを傷つけていく。
「でも、あの施設で受けた人体実験に比べたらこのくらい……!」
負の記憶も、時には気合の要因になりうるものである。
再び視点はニトロの方へ。
「お、あそこ――かな。救出対象は」
人型が下の方に見えたので、そこへ降りる――と。
「ん? このダクト――開いてない?」
そう、普通はここから内側から開けるのだが――そのダクトへの道はなぜか、開いていた。
「手間が省けたね、一気に行くか」
ズルンとスライムが落ちるようにニトロはある部屋に落ちる。
アンナもダクトの中を進む。と、誰かの後姿が見えた。ニトロだ。自分以外に同じことを考えていた存在がいたと知ったアンナはその後を追いかけることにした。そして――ニトロが落ちた方向へ進む。
一方ニトロは。
「助けに来ましたよ」
落ちた後人型に戻り、救出対象の少女に話しかける。
――だがその少女は。瞳にハイライトがなく、顔はだらしなくぶら下がるように下を向いている。天井から鎖で両手を、床から同じく鎖で両足を拘束されており、頭には電極が刺さっている。そしてその少女は――動かない。
「――死んでいる」
ニトロは周りを見渡す。学校の教室1つくらいはあろうかというこの部屋。この1人と1つのブラックタール以外誰もいないのは不思議なほど。とりあえず外を見ようとした、その時――
『いたぞ! 侵入者だ!』
『よし、捕まえて実験台にするぞ!』
『よしきた!』
大量の研究員が侵入してきた。ヴィランだろう、おそらく。
そして相対したニトロは――
「たっ、助けてくれー!」
ダクトに叫ぶことにした。いるのだろうか?
「ん? 今のは――声、だね」
届いてた! アンナに聞こえたその声に、部屋の様子を覗く。
「――なるほどね」
大体察すると出口付近でじっと待つ。そしてニトロが追い詰められて敵が横を向く――今だ!
「いくわ」
再び呪詛天使の声色になりダクトから勢いよく飛び出す! 発射するように飛び出した勢いのままラストレクイエムで敵を刺す!
『がっ――』
そのまま引き抜くと2人目を柄で殴って気絶させ、3人目を蹴り飛ばして壁にぶつける。
「まず1人」
『クソがぁぁ!』
1人目が突撃してくるのでこれをいなし、こけたすきにラストレクイエムを上に投げ、エグゼキューターを取り出すと鋸刃状の刃で赤い部分を抉る。
『――――!!』
声にもならない悲鳴を上げて転げまわっているうちに左手にエグゼキューターをつかみなおし、落ちてくるラストレクイエムを前にジャンプしながら右手で取るとその勢いのまま峰打ちを3人目に浴びせ気絶させる!
「2人目ね」
転げまわる1人目には手枷、猿轡、拘束ロープの3点セットのUC、咎力封じを浴びせる。うまく命中し、むぐーという声だけが響くようになる。
「よし、どうにかなったわね」
「ありがとうございます。よく気づきましたね」
「別に――」
そう、ニトロは何も適当にダクトに声をかけたわけではない。
「いつから気づいてたの?」
「かなり前です。ダクトを通る時、後ろからの風の圧が来るのを感じましたから――」
人型だと靴とかによりなかなか感じられず気配だけですむかもだが、あの時ニトロはブラックタールの力全開でやっていた。感じれてもおかしくはない。
「なるほどね。これから――私は残りの敵を片づけ、救出に向かう猟兵達の手助けをするけど」
「ああ、じゃあ僕は引き続き救出対象を探します――ここは『ハズレ』みたいですからね」
扉に向かうアンナとダクトに向かうニトロ。進む道は違えど、その気持ちは同じ。軽く手を上の方で合わせて一つ音を鳴らすと、それぞれの道に向かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
久遠・翔
派手に動いたっすね…
そうなると逆に俺は動きやすくて助かるっす
入口付近にある防犯カメラの死角に入りUCで概念を変更し、この施設以外の存在は映らないように変更
目立たない・第六感・地形の利用・逃げ足・迷彩・ダッシュで隠密行動し、生き残っている防犯カメラの概念を変えつつ聞き耳・ハッキング・情報収集などを使い子供達の位置を特定
捕らわれた場所に移動して扉を鍵開けで開錠
子供達には静かに、助けに来ましたと微笑んで安心させた後(誘惑使用)に出口まで誘導します
途中見つかった場合は即座に敵を手早くカメラワークの外で気絶攻撃・マヒ攻撃で倒した後即座に移動します
もし香澄さんを見つけた場合助けに来ました猟兵だと説明します
●細工と発見
「派手に動いたっすね……」
ドカン、ドカンと響く音を聞きながら久遠・翔(性別迷子・f00042)はうんうん、と頷いていた。
「そうなると逆に俺は動きやすくて助かるっす」
早速入口から入るとすぐ近くの防犯カメラを見つけるや否やその死角に入り込み、素早く壁を駆け上がって監視カメラを抱え込むように掴むと右手の人差し指を鍵に変え、監視カメラに刺し、概念を変更する。
「よし、これでこの施設以外の存在は映らないように変更できたっす」
すぐに指を戻しながら床に着地し、すぐに音のする方向とは違う方向へとダッシュと隠密行動でまるで忍者のように進みながら次のカメラ探しを始める。
(……これもハズレっすか)
いくつ改変したかも最早忘れたカメラから情報を抜き取るも、良い情報は全くない。彼、いや彼女が求めているのは囚われた子供たちや香澄の居場所だ。しかしアタリがない。
(もしやどのカメラにも映らない死角があるっすか……?)
思考しながら進むと、ふと目についたものは――上だけが不自然に破壊された鉄格子。
「ん? あれはなんで上だけ……?」
気になって近づいてみる。人影がいる。翔は素早く鉄格子の向こう側に上から入ると。
「あ、誰か来た!」
「た、助けに来てくれたんですか!?」
「い、いや、殺すつもりだろ! 騙されないからな!」
中にいたのは大量の囚われた子供たちだった。一部武器のつもりか鉄パイプを構える子供もいた。
「大丈夫っすよ――助けに来たっす」
翔はにこやかにほほ笑むと子供たちも警戒を解いて喜ぶ。それを後ろ目に見ながら鍵開けで鉄格子のカギを開ける。
――囚われの鉄格子の扉は開かれた。一斉に子供たちが出ようとする。
「あーあーあー! 待つっす! まだ敵がいるかもしれないっす! 固まって行動するっす!」
はーい、という声と共に翔のもとに駆け寄る子供たち。中には年端も行かない子から女子高生くらいの子まで様々だった。そんな中小学生くらいの女の子が翔に抱き着くとにこやかに言った。
「おねーさん、ありがとう!」
「お、おね――俺は男っすよ!?」
「え、だって、ここに膨らみが――」
「男っす! あーもう、早く出るっすよ!」
付き合ってると終わらないかと思った翔は真っ赤な顔をしながら子供たちを連れて外に出た。そして自分の来た道を通り入口に向かう。
しかし、団体での移動は見つかりやすいものだ。
『なっ、実験体候補まで――それをはn』
「嫌っす」
翔は手早くカメラの死角に肘うちで吹き飛ばして壁に激突させるとそのまま麻痺毒をナイフに塗り首に刺す。
「しばらくそこでじっとしてるっす」
声帯を麻痺させられた敵は声も出せないまま翔の次の手刀で気絶させられた。そのまま子供たちと先を急ぐ。
「見えた!入口っす!」
光の方向に向かうとそこには人影が1つ――
(くっ、ここにきて――!)
ナイフを構える翔。と。
「――え? その子たちって――」
「か、香澄ぃ……!」
連れてきた子供の1人である女子高生がその人影に駆け寄る。
「この人が――この人が助けて――ぐすっ……」
「え、そう、なんですか――あなたは……?」
「――助けに来た猟兵の久遠・翔っす。結城香澄さんはあなたっすか?」
「うん、そうだけど――久遠・翔? その名前って、確か――アイシャが――うん、そうなら信頼できる」
香澄は一つ頷くと翔に向かって一言。
「私にできることなら、何でも言って。あなた達なら信頼できるから」
――以前の事件で妹と仲良くなったことがここで役立つとは誰が想像しただろうか。
とはいえ、子供たちは無事逃げ出せ、香澄も猟兵と合流できた。さて、次は――
大成功
🔵🔵🔵
キャサリン・ファーナビー
先輩猟兵のキアと参加
グリモア猟兵の予知とは違った感覚を覚え、引き寄せられるように立ち寄る。
悪辣な所業も見過ごすことができなかったが、一人では善い事を成せる自信が無かったため、知り合いの猟兵にも声をかけた。
「信頼できる人の力を借りたかったの、手伝ってくれてサンキューね、キア」
突入前にいつもの痛み止を注射し、サイキックの下準備をしておくわ。
入り口は先に突入してくれた猟兵がめちゃくちゃにしてくれたのでそこからはいる、目標としてはセキュリティセンターへ乗り込むことね。
隠密行動が得意なキアに先導してもらって私は後ろからついていく、彼女の死角や曲がり角など怪しい箇所は私の分身を先行させてクリアしていくわ。
キア・レイス
「無理はするなよ、私が先導する。何を感じたのかは知らないが、もし感覚が正しいなら全力を出すべき時はまだ先だ」
戦友であるキャサリンに頼まれて参加する。
私たちの目標はこの施設の防御の要を落とす事だ。
猟兵の戦いを支援できるし、囚われた子供の救助の助けにもなる。
目立たず忍び足で静かに入り口から侵入、とりあえずは警備員や戦闘員が現れる方向に向かって移動する、警備室があるならそこから送り出されているだろうしな。
視界が通らない所はキャサリンの分身に任せ、敵と鉢合わせたらナイフで暗殺する。
盗みや失せ物探しで地図でも見つけれたらありがたい。
上手く辿り着けたら警備システムは銃と破壊工作の知識で徹底的に壊しておく。
●警備室破壊工作
「っ、なんか――変な感覚を感じる……から来てみたけど」
キャサリン・ファーナビー(偽りの中で生まれた正義を探す者・f16709)はグリモア猟兵が予知で見るそれとはまた別の違った感覚を覚え、引き寄せられるように立ち寄ってきた。
「とはいえ――1人でできるとは思ってなかったから、信頼できる人の力を借りたかったの、手伝ってくれてサンキューね、キア」
連れてきた眼帯の女――キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)の肩を叩く。
「無理はするなよ、私が先導する。何を感じたのかは知らないが、もし感覚が正しいなら全力を出すべき時はまだ先だ」
キアがキャサリンにそう言いつつ状況確認をする。思いっきり壊された入口から子供たちが大量に逃げ出している。猟兵のうちの1人と話しているのは今回のキーマンの香澄か。となれば、もう遠慮は不要。
ふと横を見ればキャサリンが痛み止めの注射をしている。準備できたと言ったところか。これはサイキックのための下準備であり、これやってないと頭が痛くなってしまうのだ。
「よし、行くぞ」
「頼りにしてるわよ、キア」
キアが先頭に立ち中へと入っていく。忍び歩きをしながら歩いていると破壊音が聞こえている。他の猟兵もうまいことやっているようだ。
「とりあえず警備室があるかどうかだな」
あえて人の気配のする方へと足を勧める。そうすることで警備室の居場所を突き止める作戦だ。
『どうなってんだよこれ……』
『なあ、俺らやっぱりヴィランとしてこの研究関わったの失敗じゃあ……』
『馬鹿を言え! 俺らは選ばれたんだ! ならその使命を果たすのが筋だろうが!』
目の前にヴィランらしき敵が3人いた。
「悪いな」
『ぐあっ……!?』
キアは素早くその後ろに回りナイフで気絶させていく。ヴィランは殺してはいけない、というお決まりがあるので、気絶にとどめておいた。赤い飛沫は出させたが。その隙にキアは持ち物を漁り始める。と、後ろを向いて。
「キャサリン、大丈夫か?」
「ええ、こっちは大丈夫よ」
キャサリンが何をしているかというと、視界の及ばないところに自身の分身を送り出し怪しい個所をクリアしていっているのだ。先遣隊と言えばいいのだろうか。
「予想通り、チルドレンはみんな逃げたみたいね」
「そうか、じゃあ遠慮なくやれるな。――と、これは、地図か?」
キアは漁った荷物から地図のようなものを発見した。そこには研究施設の地図が書かれており、そこには――
「――このすぐ近くじゃないか、警備室」
「え、私達、セキュリティセンターのすぐ近くにいたのね」
すぐ傍の扉から警備室に行けることが書いてあった。
バタン、と扉が開き警備室に突入する二人。
早速防犯カメラの映像を見る、が――
「な、んだ――これは?」
映像がおかしい。それはまるで、『この施設以外の存在は映らない』ような――なるほど、これがあったから警備も団体ではなくまばらだったりしたのだろうか。これがとあるシーフによるものだということを彼女らは知らない。
一見するとこれなら無害そうにも思えたが――
「ユーベルコードによるものだとしたらいつ直るかもわからないしな、徹底的にやるか」
「ええ、キア、任せたわ」
「ああ」
警備室のコントロールシステムや統括システムはキアが構えた銃によって電気を走らせながら破壊されていった。黒い煙とバチバチ言う電気、そして完全に暗く黒くなったスクラップを残して。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『スペクター』
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POW : 無音致命の一撃
【その時の状況に最適な暗器】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 不可視化マント
自身に【生命力で駆動する姿を隠せる透明化マント】をまとい、高速移動と【自身の気配を掻き消す超音波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 無法の手管
技能名「【恐怖を与える・傷口をえぐる・恫喝・殺気】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●これだけやればだれでも感づく
「オブリビオン――はい、なんかそういう言葉が聞こえたんです。少年のような姿の方と大人の方が何か話しているとき聞こえました」
結城香澄は猟兵から問われたオブリビオン、という言葉についてそう語る。
「アイシャが――ヒーローやっている私の妹が以前オブリビオンに関わる事件に巻き込まれたことがあったから存在は知ってたんですが――」
そう足していく香澄。ともあれこれでオブリビオンがこの案件に関わっていることが分かった。猟兵の必要性も増してくるものだ。
「私は友人が子供たちが神隠しにあうと噂のこの辺で行方不明になったから、調べて侵入しただけなんだけど――とんでもないものを目にした気分で……見つかったらどうしようと思ってました。ありがとうございます。百聞は一見に如かずですね。代わりにダクトとか通ったらこんな傷ついたけど。てへへ」
事件のデータ――被害にあった子供の名前とかを書き記したノートを見ながら柔肌に傷がついた香澄は語る。その口調には信頼と安堵があった。これで無事に情報を伝えきって逃げ出せる、と思いきや――
「何をしている貴様ら!」
露出度の高い女が猟兵や香澄たちに声をかける。今までの敵たちとは違った感じだ。
「被検体候補まで逃がすとは――おのれ」
暗器を取り出すと女たちは睨んできた。ここは研究施設、となれば――もしかして彼女たちは『実験体』? 否――オブリビオンだ、これは。
「あれ……! 牢獄から子供たちを持っていってたり少年のような方とよく一緒にいたりしてました!」
ならば護衛とかそういう類だろうか。香澄が怖がるように後ろに隠れる。
どちらにせよ、邪魔をするなら排除するのみだ。
長坂・由有子
気づかれた主たる原因は私だろうし、責任ぐらいはとるよ。
オブリビオン相手なら遠慮はいらんだろう?命がいらん奴からかかってきなよ。
(戦闘)
【巫覡載霊の舞】を使用しながら戦う。
「なぎ払い」を使用しながら、できるだけ多くの敵を巻き込んで攻撃する。
まずは香澄の安全の確保に努める。「かばう」を使用しながら、香澄に向かってくる攻撃を受ける。無駄に受けるつもりは無いけれど、香澄には一切触れさせないつもりで臨む。
条件上、攻撃を多数受ける恐れがあるが、撃退して最後に立ってさえいればいいぐらいの覚悟を持って戦う。
距離のある敵には、薙刀、懐に飛び込まれたら、セイバーを使用し、距離に応じて、武器を使い分けて応戦する。
●声に応えて守り切る
「まあ、気づかれた主たる原因は私だろう」
由有子は薙刀を振り回して香澄を庇うように立ちながら。
「あれだけ破壊工作すればだれでも気づくだろうしな。ま、その責任くらいは取るよ」
香澄に迫ってくるスペクターに薙刀で応戦しながら。
「オブリビオン相手なら遠慮はいらんだろう?命がいらん奴からかかってきなよ」
挑発するようにスペクターに言い放つ。
『なめやがって――』
四方八方から跳びかかってくるスペクターに対し、中距離に入れば薙刀で、近距離に来ればセイバーに持ち替えて1体ずつ倒していく。1つ1つの攻撃は衝撃波を併せ持ち、当たったスペクターの体力を奪い取り、その柔肌から赤い飛沫を出させていく。そうして香澄を護る姿はまるで弁慶のようで。
「あの、どうしてそこまでして私を――」
「決まっている」
由有子は敵を斬りながら言う――
「あなたの、そして今まで被検体となった者たちの――声には出なかったけど、出ていた悲鳴が聞こえたからさ」
由有子は自分が寿命を削っているのはわかっていても、香澄には攻撃を与えさせない、庇いきるつもりでいた。撃退して、最後に立っていればいい――そう思いながら。
成功
🔵🔵🔴
ニトロ・トリニィ
アドリブ歓迎です!
犠牲になった人達の無念を晴らす為にも、先に進まなくちゃいけない…
それを邪魔する者は…誰であろうと倒す!
なんてカッコつけた事言ってみたんだけど、今回は守らなきゃいけない人が居るからね。
今は彼女の盾となるよ!
あ… 今から炎や触手が出てくるけど、怖がらないでね?
〈盾受け/激痛耐性〉を合わせた〈かばう〉で守りつつ、《蒼炎ノ一撃》を使って攻撃だよ!
ただ炎を出せるだけだと思って油断した敵には… 腰から生やした蒼き灼熱刃で〈2回攻撃/なぎ払い〉を合わせて焼き切ってやろう!
技能で防ぎきれなさそうな攻撃が来た時は、ブレイズキャリバーの炎を物質化する能力で蒼炎を盾の様に展開して防ぐのもありかな?
「犠牲になった人達の無念を晴らす為にも、先に進まなくちゃいけない……それを邪魔する者は……誰であろうと倒す! っていうことだよ」
続くニトロが由有子の言葉に補足する。
「――なんてカッコつけた事言ってみたんだけど、今回は守らなきゃいけない人が居るからね、なら今は香澄の盾となる、そういう話だよ!」
スペクターの攻勢が勢いを増していき、自分の方にも向かう中、ニトロはふと香澄の方を振り向く。
「あ……今から炎や触手が出てくるけど、怖がらないでね?」
「大丈夫です、超常的なものは慣れっこなので」
妹がヒーローだからこそなのかそれとも。慣れとは怖いものである。
「よかった、じゃあ遠慮なく行ける」
近接してきて今まさに香澄の首を斬ろうとしていたスペクターにニトロは自分の右手から蒼い炎を出す。不意を突かれた攻撃にスペクターは動転してのたうち転げる。しかしそれでも消えることはないUCの炎はスペクターを燃やしていく。
『臆するな! ただ炎を出すだけだ!』
怖気づいてしまう他のスペクターに別のスペクターが檄を飛ばす。それに応えたかのように再びスペクターが向かっていく。1体が犠牲となり攻撃を喰らい、そしてもう1体がニトロに攻撃を――
「油断したね?」
ニトロはこの時を待っていたかのように腰から蒼炎に包まれた触手を生やす。まるで刀のような斬れ味を持つそれを薙ぎ払い、スペクターたちを次々に切り裂いていく。通常触手と言えば打撃系だが、斬撃系になったことで殺傷力は増している。そして斬れたところから炎を受けるので、切り傷を焼く、その痛みが襲いかかる――
――だが、それも、護るべき対象を失えば終わりだ。
『隙ありっ!』
「きゃああああ!!」
ニトロを飛び越えた上から香澄に刃が降りる――香澄がぎゅっと目をつぶる。
――香澄が恐る恐る目を開ける。
「大丈夫、護るって言ったでしょ」
ニトロが手から放った蒼炎を盾の様に展開して防いでいた。蒼炎にダガーが刺さっており、香澄が目を開けるや否やそのままスペクターは地面に投げ出される。
「僕らブレイズキャリバーは炎を物質化する力を持っていてね……危なかったなぁ」
『く、くそ、なんてことだ――』
暗殺者にとって隙を見た一撃が防がれるというのは致命的だ。その後のプランに大きな影響が出てしまう。大将首狙いの作戦は失敗してしまった。スペクターたちの目には焦りが見えていた。
成功
🔵🔵🔴
キア・レイス
キャサリンのフォローに入る
「気を抜くなよ、キャサリン。隠し球があってもおかしくない」
少女を自身の後方に下がらせキャサリンと共に庇うように前に出て、キャサリンのサイキックで行動不能にできた護衛らしきオブリビオンを確実に銃撃で処理していく。
しかし、見た感じ女が持っている武器は近接戦向けのそれがほとんどに見える。
私たちを侮っていたのかはたまた…
どこか不穏に感じて【俊鋭感知】を発動させて周囲の様子を覗き見る。
「気を付けろ!見えない奴がそばにいるぞ!」
咄嗟に庇うようにバヨネットによる近接戦に切り替える、見え無い上に敵の位置が近すぎて誤射が怖い。
「索敵は私がする、キャサリンは姿を現した敵を押さえ込むんだ」
キャサリン・ファーナビー
引き続きキアと行動
「少年のような…ね…私の変な感じが当たったっぽいかも」
産みの親のはずだがオブリビオンと化してるので私を覚えているかわからない。
今はそれよりも目の前の敵と結城と言う少女の安全を守ることが必用だ。
「そろそろ力を使わせてもらうわね」
超能力による拘束を試みるわ。
女たちはそれなりに数がいるみたいだけど、見える範囲の敵全てに1本の長い紐を通してがんじがらめに縛り上げるイメージで金縛りにして時間を稼ぐ、暗殺向けの武器しか持っていないなら近寄らせないようにするだけで彼女たちは手も足も出せないでしょうし。
私は見えている敵を確実に動かさないことに集中する。
「キア、トドメはお願い!」
●予感へと向かうため
「少年のような……ね……キア、私の変な感じが当たったっぽいかも」
キャサリンが香澄から得た情報をもとに思考する。もしかしたら自分の産みの親のあいつかもしれない。もっとも、オブリビオンと化してるのでキャサリンを覚えているかはわからないが。だが今はそれよりも目の前の敵と結城と言う少女の安全を守ることが肝要だ。
「なら、遠慮はいらないわね。そろそろ力を使わせてもらうわ」
「気を抜くなよ、キャサリン。隠し球があってもおかしくない」
キアが左腕を真横に出し道を塞ぐような動作をして香澄をキアの後方に下がらせ、自分はキャサリンと共に庇うように前に出る。
スペクターたちの軍団が襲いかかってくる。キャサリンはその中でも自分の見える範囲の敵全てに1本の長い紐をサイコキネシスを用いて肉薄させる。
『くっ、なんだこれは!』
スペクターに直接危害を加えるわけではないが動き回るそれに翻弄されるスペクターたち。
「かかったわね」
キャサリンが指を一つ弾くと一気に紐ががんじがらめにスペクターたちを縛り上げる。そう、金縛りだ。暗器しか持っていないならば、近寄らせないようにするだけで手も足も出せなくなる。そう見込んでだ。その後もキャサリンは見えている敵を確実に動かさないことに集中する。
『くっ、殺せ!』
「ああ、望み通りにしてやる」
キアががんじがらめになったスペクターたちを確実に銃撃で処理していく。抵抗するすべもなくあっさり命の灯を絶つスペクターたち。ここまでは順調だ。
「しかし、見た感じ女が持っている武器は近接戦向けのそれがほとんどに見える。私たちを侮っていたのかはたまた……」
と、キアが考えていると、はっ、と気が付いたように叫ぶ。
「気を付けろ!見えない奴がそばにいるぞ!」
UCでとっさに見えないやつがいるのを察知したキアは咄嗟にキャサリンを庇うようにバヨネットによる近接戦に切り替え、感知した場所に突き刺す。なぜ近接武器にしたかと言うと、見えない上に敵の位置が近すぎて誤射が怖いと感じたからだ。
『馬鹿な、透明化がばれた、だと――』
透明化して見えないスペクターが赤い飛沫を上げる――すなわち、何もない空間からいきなり赤い飛沫が出る。どんなホラーだこれ。人が倒れた音がするや否やキャサリンが素早く音のした方向にサイキックによる縛り上げを行う。
「索敵は私がする、キャサリンは姿を現した敵を押さえ込むんだ」
「ええ、キア、トドメはお願いね!」
予知とは違う予感。徐々に確信になりつつある予感。それへと向かうため、ここで足止めを喰らっている場合ではないのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
久遠・翔
ま、まさか香澄さんがアイシャさんの姉だったなんて…後でその後の話を聞きたいっすけど今は…(目の前の敵を見て)
不可視のマントに暗殺術なるほどアサシンタイプっすか
けど、残念っすね…殺気が隠せていません
UC起動して目立たない・第六感・地形の利用・逃げ足・迷彩・ダッシュ・2回攻撃・盗み攻撃・暗殺を含めて姿を消し、気配も消して相手に攻撃していきます
その際不可視のマントを盗み攻撃で盗み、皆に見えるようにします
暗殺者であるならば殺気を消せ
その殺気で場所がバレバレっす…殺気を殺す事も大事っすけど、まぁ、骸の海で反省するっす
数テンポ遅れて紫電が相手の体に走り焦がしていきます
すみません、俺の攻撃は時を盗むんでね?
●衝撃の事実がわかったけど
「ま、まさか香澄さんがアイシャさんの姉だったなんて……」
翔は以前ヒーローズアースの案件で知り合って(詳しくはID6960番の報告書を参照)仲良くなった結城アイシャの姉が今ここにいることに衝撃を受けていた――が。彼女もまた猟兵だ。
「後でその後の話を聞きたいっすけど――今はこっちっすね」
切り替えて目の前の敵に意識を向ける。飛んでくるスペクターに対応しながら違和感を感じ、そして納得する翔。
「不可視のマントに暗殺術――なるほどアサシンタイプっすか。けど、残念っすね……」
翔は右手のナイフで飛んでくるスペクターに対応しつつ、左手のナイフで――虚空に刺す。
『ぐあっ!? な、なぜわかった!?』
「殺気が隠せてないっす」
そう、どうしても目立たないように心がけようとしても気配で察知されてしまうように、殺気を感じるとどうしてもそこから目立ってしまう。そしてスペクターのマントではそれは、隠せない。
「【暗殺者であるならば殺気を消せ】――俺の昔聞いた教えっす。殺気で場所がバレバレになるからっす……殺気を殺す事も大事っすけど、まぁ、骸の海で反省するっす」
不可視のマントをはぎ取るとそのまま自分が纏い、こっそりと、しかし大胆に敵の波へ。しばらくして猟兵たちは敵の波が増えたのが見えた。しかしそれは増援ではない――翔が不可視のマントをはぎ取って見えるようにした奴らだ。気配も完全に隠して不可視のマントを次々剥ぎ取り、そして一撃で仕留める姿はまさに暗殺者(アサシン)。
素早く香澄や他の猟兵のもとへ戻り何重にもなった不可視のマントを脱ぎ捨てると、スペクターの一部に数テンポ遅れて紫電が走り、その身を焦がしていく。
「すみません、俺の攻撃は時を盗むんでね?」
左手にナイフを構えながら右手でナイフを空に投げて遊ばせながらまだまだ余裕と言った感じで翔は立ちはだかった。
成功
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アレクシア・アークライト
不可視のマント――。
ってことは、触れば分かるってことよね?
それなら、私にとっては丸見えなのと何も変わらないわ。
・3層の力場を情報収集用に、残り9層の力場を防御用に展開。
・情報収集用の力場を広範囲に広げ、それに触れるものの姿形や動きを把握。
・把握した者に対し念動力を放って身体を縛り、また、UCによる磁場で金属品を空中に固定し、動きを阻害する。
・念動力で暗器を取り上げて身体に突き刺し、そこからUCで電撃を流し込んでいく。
最大威力の電撃で一発で殺してあげる――なんて慈悲深いことはしないわよ。
貴方達も今までこういうことを散々やってきたんでしょ?
その痛みと苦しみをじっくり味わってから骸の海に還りなさい。
●力場とはこう使うものよ
「不可視のマント――ってことは、触れば分かるってことよね? それなら、私にとっては丸見えなのと何も変わらないわ」
自信たっぷりに言い放つアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)。
「ほら、もう引っかかった」
アレクシアが1つの方向を見ると空中に不自然に固定された暗器がいくつか。素早くそれに近づくとマントをはぎ取り、丸見えにする。――抵抗できないのかって? しただろう――だが。
『くっ、なんだこれは――体が、動かないぞ――おい! お前ら! 早くやれ!』
動けなくなったスペクターの合図で他のスペクターたちが暗器を構え死角からアレクシアに襲い掛かる――
「悪いわね。それ、通じないから」
が、謎の力場に封じられ、うまくいかない!
どういうことか説明しよう。
アレクシアはUDCエージェントとして身体と念動力が強化されており、12層の力場を用いて戦うことができる。ここでアレクシアは3層の力場を情報収集用に、残り9層の力場を防御用に展開した。うち、情報収集用の力場は広範囲に広げ、それに触れるものの姿形や動きを把握した。このために「私にとっては丸見え」だったのだ。そして把握した者に対しては念動力を放って身体を縛り、また、UCによる磁場で金属品を空中に固定し、動きを阻害する。こうすることで他の猟兵からは金属品が不自然に空中に浮いている状況が見えるのだ。そしてアレクシアはその方向――感じていた方向――に行き、マントをはがして見えるようにする。ここで攻撃が来るも、展開しておいた防御の力場がそれを弾いた――ということだ。
力場の使いこなし方が鍛えられたそれであり、さすがはUDCエージェントというところか。アレクシアは弾いたスペクターや力場に引っかかったスペクターたちから念動力で暗器を奪い取ると。
「最大威力の電撃で一発で殺してあげる――」
と言う。すると暗器が持ち主のスペクターの方を向き、突き刺さっていく。そしてアレクシアから暗器を通して強い電流が流れる――
「――なんて慈悲深いことはしないわよ。貴方達も今までこういうことを散々やってきたんでしょ? その痛みと苦しみをじっくり味わってから骸の海に還りなさい」
――否! ほどほどに強い電気を長時間流す作戦だ! いわゆるドッキリなどで使う電流ビリビリは一瞬で痛みを感じ、というものだ。それが、もし長時間浴びるのを強いられたら――?
『い、イタイイタイタイタスケテタスケテタス――』
スペクターたちの悲鳴が響き渡るが、それでも電気を止めることはなかった。もはやスペクターたちの処刑人みたいなアレクシアだった。
成功
🔵🔵🔴
アンナ・フランツウェイ
こいつらが研究施設の主に従うオブリビオン…。なら…慈悲は掛けない。
まずは処刑斧を振るい発生させた【衝撃波】を、あえて避けられる軌道を放ち、油断したスペクター達が無法の手管を仕掛けてくるまで待つ。
無法の手管を仕掛けて来て、周囲にある程度まとまった数のスペクターがいるのを確認したら【拒絶式・呪詛黒百合】を発動。
それにアンタ達の脅し以上の恐怖…世界に棄てられた者の恨みを見せてやる。(真の姿、黒き両翼の呪詛天使へ変身)
黒百合の花をまき散らし、怨念…いや「私」が生み出す生命力を吸い取る呪詛(【呪詛】【生命力吸収】)でスペクター達の命を奪い尽くしてあげる。
我が呪いの黒百合に抱かれ、…永遠に眠りなさい。
●怨念
「こいつらが研究施設の主に従うオブリビオン……」
肩を震わせながらアンナが処刑斧を振る。衝撃波が出るが、明後日の方向だ。
『どこを狙っている? まさかここまでして、今更命乞いなどするわけではあるまいな!』
スペクターたちが集団でアンナに向かってくる――否。
『そこの娘ぇぇ!』
「い、いやぁぁぁ!」
狙いは香澄だ! 明後日の方向に飛ばしたアンナは取るに足らないと判断したか!
「……ああ、そうさ。命乞いなんかしない。なぜなら――」
アンナの白い片翼が黒く染まり、頭の白い花も黒くなっていく。香澄に迫るスペクターたちを斧で軽く防ぎ、峰うちのように吹き飛ばすと、アンナの白い部分がすべて黒に染まり、緑の短髪も腰まで伸びるロングヘアになっていく。
「アンタ達の脅し以上の恐怖……世界に棄てられた者の恨みをこれから見せてやるからよ」
――呪詛天使、完全降臨。入れ替わり立ち替わっていた主導権が、完全に呪詛天使のものとなり、心を怨念が支配する。
ふと、彼女の足元に、一つの百合が。それは瞬く間に黒く染まり、周囲に広がっていく。ものの数秒で、庭くらいの広さの黒百合の世界ができた。
「これは怨念……いや『私』が生み出す生命力を吸い取る呪詛。我が怨念は全てを包む――『拒絶式』呪詛、黒百合」
ゆっくり言い放つその言葉とともに、一帯が呪詛に包まれていく。スペクターたちが呪詛に対抗できる手段を持っているはずもなく、1人、また1人と倒れていく。血も流すことなく力のみを奪われていくそれは、怪奇現象というべきか死神、あるいは天使による優しい死に方と見るべきか――
「我が呪いの黒百合に抱かれ……永遠に眠りなさい」
胸に手を当てつつ黒百合の庭を歩きながらつぶやくアンナであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『レプリカマスター『ショウ』』
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POW : レプリカカスタマイズ
自身の創造物に生命を与える。身長・繁殖力・硬度・寿命・筋力・知性のどれか一種を「人間以上」にできる。
SPD : スーパーヒューマンクリエーション
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【人間の複製体】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ : 体内に埋め込んだ対人間用強毒爆弾
【人間と人間の血を引く種に極めて有効な爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:姫柴有佑
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「キャサリン・ファーナビー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●小さな体に悪意を詰めて
『おいおい、こんなところで何してんのさ』
『マ、マスター!』
倒れたが意識の残っているスペクターが後ろを向くと、あきれたようにため息をつく少年がいた。
『てめぇらが遅いから見に来てみれば、なぁんだ、みすみす取り逃がすようなつっかえない奴らだったかー。せっかくもう少し頑張れば解放してやろうと思ったのにさー。10年くらい』
『マスター、違います! これは』
『は? ろくに言うことも聞けねぇような壊れ物には用はねぇんだ』
『ま、マス』
瞬間、話していたスペクターは大爆発した。この少年のUCだろうか。
『てめぇらに爆弾しかけといてあるのを忘れたか? 生殺与奪は俺が握ってるんだからな』
そこまで言うと少年は振り向いて去ろうとする。
『ま、これで31体目の処分だな、安心しろ、次のてめぇはうまくやってくれるだろうよ』
「……人を」
『あ?』
香澄が猟兵たちをかき分け前に出てきて少年を呼び止める。
「人の命を、尊厳を、なんだと思っているのかなっ……!」
『ん? あー、てめぇ潜り込んでいたか? こんな奴いたか? まぁいいや、どうせてめぇも俺の実験台になる運命だからな』
「だから……!」
『さあどうしてやろうか、こいつらみたいにしてやろうか!? あるいは体をゲル状にして時空旅行の実験でもしてみるか!? いや、いっそあの失敗作みたいな実験に使っても面白そうだな! 人工ヒーローや人工ヴィランにしてやっても面白いだろう! いっそ解剖して素材にするのもいいな! ああ、想像が止まら――』
「そういうのがどうかしてるの! あなたに――あなたに、心はないの!? もういい……あなたの企みはここでつぶさせてもらう!」
叫ぶ香澄に少年は足を止め振り向く。
『――ほぉ? そこまで言うからには俺を止める自信あるんだろうな? このオブリビオンとなった、レプリカマスター『ショウ』様によ!』
長坂・由有子
マッドの見本市が開かれるとしたら、こんなんがずらっと並ぶんかねえ。
まあ、非道外道の報い、しっかとその身に受けなさいな。
【pow】
ドラゴニックエンドを使用。
創造物を盾にするようなら串刺しでまとめて貫く。
創造物に対して思うところはない訳ではないが、手は抜けない。
許して貰おうとも思わないし、存分に恨んでもらって構わない。
回避は最低限、次の動作、攻撃のためのつなぎととらえ、多少の被害は勘定に入れておく。
香澄のフォローも忘れない。あれだけ煽ってるんだから、狙われてもおかしくない。攻撃が行くようなら、しっかりとかばう。
今まで楽しくやってきたんだ、今すぐ果てても満足だろう?なあ、レプリカマスターさんよ。
●非道外道の報いを
「マッドの見本市が開かれるとしたら、こんなんがずらっと並ぶんかねえ」
長坂はショウの言葉に嘆息してそう評する。
「下がっていな香澄、あれだけ煽ってんだ、集中的に狙われてもおかしくない」
『は、はい!』
前に出てきた長坂の後ろに香澄が慌てて走る。
『ああ? あんだけ煽って自分は後ろで高みの見物かよ?』
「お前が言う言葉じゃないな」
長坂はショウを串刺しにしようと接近戦を仕掛ける。
「今まで楽しくやってきたんだ、今すぐ果てても満足だろう? なあ、レプリカマスターさんよ」
『ああ、でもここで負けるわけにもいかないな! そら、来い!僕の玩具よ!』
ショウがポケットから適当にものを放り投げるとそれが生命を手に入れたかのようにショウをかばう。
「ふん、生命を作るタイプのユーベルコードか。――思うところはない訳ではないが、手は抜けない。許して貰おうとも思わないし、存分に恨んでもらって構わない」
長坂は止まらない。創造物ごとショウを串刺しにかかる。
「恨むなら、お前に生命を作った悪を恨め」
じたばたしていた創造物が動きを止め、ショウに少し槍が刺さる。
『いったいなあ、注射はそんな豪快にうつものじゃないぜ?』
「そうか、おまえにはこれが注射に思えるか」
注射というものが出るあたり、人体実験の科学者というべきか、あるいは子供というべきか。
「ならわたしたちがあなたに思いきり注射してあげよう。入れるのは、正義としての心の強さ。あなたのような悪と過去に染まりきったものには苦痛でしかないだろうな」
長坂は創造物に抵抗された傷を見せながらもそう吐いた。回避を最小限にしてタンク、そして一番槍を買って出る強さ。これもまた、その正義としての心だろうか。
成功
🔵🔵🔴
久遠・翔
香澄さんに対しての攻撃を庇って受けながら敵を見て宣言
黙れ外道
俺と同じ名前ってだけで吐き気がするっす
人を道具の様に考えている貴方に慈悲など与えません
真の姿開放し純白のドレス姿になるが…いつもと違い、何か所かに透明な防護幕のような防具が展開している
庇った香澄さんに微笑み、貴女の啖呵…俺も乗りますよ?と言います(無自覚に魅了45の微笑み向けて)
高速で相手をかく乱し、UCを放ち概念を入れ替えます
今回は「人間」を「自身」に入れ替えます
ダメージはないので爆弾を使って吹き飛ばそうとしますが…一番ダメージを食らうのは相手になるっす
貴方が部下にやった事を自分で食らって反省しろ
爆炎に紛れ、隠密状態で2回攻撃します
●うっかり?
『はっは! どうだ!』
「く、しまった!」
一瞬のスキをついて長坂の横を抜けたショウ。
『さあ、お前にはまずたっぷり痛みを』
「させないっすよ」
香澄に迫るメスを翔が庇って払い落とす。
『くっ、猟兵貴様――』
「黙れ外道」
翔の服が、サラシが音を立ててはじけ飛び、純白のドレス姿になる。
「俺と同じ名前ってだけで吐き気がするっす。人を道具の様に考えている貴方に慈悲など与えません」
いつもと違い、いくつか透明な防護幕のような防具が展開しているその姿で翔は香澄に微笑む。
「安心するっす、貴女の啖呵……俺も乗りますよ?」
あ、でもまずい、こいつがほほ笑んじゃうと――
「う、ううっ……あ、ありがとう……大好き……」
「わ、わかったから離すっす!」
ほら! 無自覚の魅了にやられて香澄が抱きついてきた! 慌てて振りほどいて後ろに行かせるとショウに高速で近づく――そして。
(概念の改変を――!)
――しかし翔はうっかりなのか否か。無数の手の影に猿轡と目隠し、拘束ロープを放ってしまった。
「んなっ!? ち、ちがっ、これじゃないっす!」
『ははっ! 運にも見放されたなぁ!』
ショウが軽々よけながら囮とばかりにそれらにあえて食らわせるように人間の複製体を作り出す。
「――いや、これはこれで使えるっす」
囮に翔は右の人差し指を変化させた鍵を入れ、概念を改変させる。こっちが本来使いたかったコード。そしてそれは、特性のある道具にしか使えないが故、これは好都合だった。そして改変は、『人間』から『自身』――つまりと言わんばかりに囮の姿がショウに変わっていく。
「貴方が部下にやった事を自分で食らって反省しろ」
翔は爆弾を囮ショウに放つとそれを爆発させる。すぐに爆風の中に潜り込み追撃――
『あめぇよ!』
「っ!」
キィン、と鈍い音が鳴る。翔のダガーとショウのメスが火花を散らしていた。
『所詮は複製、ダメージは俺には入らねえんだよ。むしろ処分してくれてありがとなぁ?』
「くっ――」
――これではやってることはあいつと変わらないっす。
翔はいったんバックステップしてショウに再び目を向ける。その目はまだギラついていた。
苦戦
🔵🔴🔴
ニトロ・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!
人体実験は時として医療技術の進歩に貢献してたりするんだけど…
君のそれは何を生み出すんだい?
…そうかい、残念だよ。
犠牲になった人達も、君を倒せば少しは無念を晴らす事が出来るだろうね。
僕は相手のUCで生命を与えられた者達の相手をしようかな。
心があるかも知れないし、最大火力まで上げた《蒼炎の一撃》で苦痛を感じる前に焼き尽くしてあげよう!
攻撃を受けるかも知れないし、〈盾受け/激痛耐性〉を発動しておこうかな。
彼にも攻撃を加える事が出来るのなら、火力を上げて刃の形をギザギザにした蒼き灼熱刃で行おうかな。
犠牲になった人達が受けた苦痛を思い知ってもらうよ!
「人体実験は時として医療技術の進歩に貢献してたりするんだけど……君のそれは何を生み出すんだい?」
ニトロの問いかけにショウはにやけて答える。
『んなもん決まってるじゃねえか、俺が満足する俺の兵器だよ、従順な――そう、こいつらみたいにな!』
生命を与えられた玩具や遺体を再び生み出すというその答えに、ニトロは首を横に振る。
「……そうかい、残念だよ。犠牲になった人達も、君を倒せば少しは無念を晴らす事が出来るだろうね」
その右手には蒼い炎。どことなく怒りで色を増しているようなそれを一気に振り払い、創造物を一気に焼き払う。どことなく、創造物が、ありがとう、と言っているような気もした。蒼炎による火葬は救いなのか否かわからない。だが、それでも、ニトロがすべきことは明白だった。
(目の前のこいつを――倒す! これ以上の犠牲者が出る前に!)
ニトロは一気に距離を詰めると蒼き灼熱刃――腰からはやした触手でショウに斬りかかる。
「犠牲になった人達が受けた苦痛を思い知ってもらうよ!」
『はっ、お前らも犠牲の上に立っている存在だろうに!』
その言葉が本当かはわからない。記憶を失っているニトロにとって、自分という存在はこういう実験の上に生まれたのかもしれないし違うかもしれない。しかしそれでも、目の前で犠牲者を出しているこいつを許すものにはならない!
「これ以上、目の前で邪な野望の犠牲者を生むわけにはいかない! 猟兵として、それは譲れない!」
刃がショウの胸をえぐる。赤いしみが服につく。しかしそれでもなお彼は笑みを絶やさない。
『ふふ……俺が死んでも次の俺が出る。そしてその俺が俺の体で実験する。そう考えれば、俺が受けた傷なんてたやすいぜ』
(なんという……! こいつ、自分の命ですら遊び道具にしてる! 何度も躯の海から蘇れることをいいことに!)
狂ってる。改めてそう感じずにいられないニトロだった。
成功
🔵🔵🔴
アンナ・フランツウェイ
清々しい程の外道ね。なら遠慮はいらない。彼の所業の犠牲になった者達よ、呪詛天使の名の元に報復する事を許しましょう。さぁ…報復の時だ。
生命を与える事が出来るという事は私の呪詛が通じるという事。
ならスペクターの時のように大鎌を振るい【呪詛】を纏わせた【衝撃波】を発生させ、生み出された生命に命中したら呪詛でその生命を蝕み、死滅させてやるわよ。
生命共を片づけたら飛行しながらショウへ接近。【武器改造】で鋸刃に変えた終焉剣を突き立て、【傷口をえぐる】と【生命力吸収】で追撃しながら【呪詛】…ショウの研究で犠牲になった者達の呪詛を流し込む。
さぁその身で味わうと良いわ。アンタを憎み死んだ者達の嘆き、苦しみを!
●呪詛天使流裁き
「清々しい程の外道ね。なら遠慮はいらない」
呪詛天使の姿でアンナはそう評する。大鎌を回しながら戦意を見せるアンナにショウはニヤリと笑みを浮かべる。
『来いよ、そんなところで曲芸してないでさ』
「ええ、行ってやるわ――アンタの遺体を作りにね!」
『レプリカども行け! やつを殺してやれ!』
ショウの後ろから生命を与えられたであろうレプリカたちがアンナに襲い掛かる。
しかし――アンナには相性は悪い。生命を与える事が出来るという事は呪詛が通じるという事。そしてアンナは呪詛天使だ。つまりどういうことか。
スペクターの時と同じだ。大鎌を振るい、呪詛を纏わせた衝撃波を発生させる。そうすれば生み出された生命に呪詛がその生命を蝕み、死滅させることができる。レプリカが生命を持った以上、これからは逃げられず、呪詛の前に倒れるしかない。
アンナはそのままショウに接近していく。そして腹の傷口に鋸の刃みたいにした自身の剣を刺すと、その傷口をえぐっていく。
「さぁその身で味わうと良いわ。アンタを憎み死んだ者達の嘆き、苦しみを!」
『痛いだろうが! 俺を改造する気かお前は!』
「それをアンタが何人にやってきたと思ってるの? 今更そういう言い逃れは通用しない」
まさにそれを裏付けるかのようにいくつもの呪詛が刃に宿り、ショウを蝕んでいく。
「アンタはここでいくつもの呪詛に引きずられて深淵に堕ちるのがお似合いよ!」
一気に引き抜いた刃とともにショウの子供の体から赤い飛沫が勢いよく上がった。
成功
🔵🔵🔴
アレクシア・アークライト
実験が手段じゃなく、目的になっちゃってるよーなマッドサイエンティストの御登場ね。
いえ、オブリビオンだから、“実験をする”ってところで思考が止まっているのかしら。
なんにしろ、今までしてきたことの代価はきっちり払ってもらうわ。
・UCを用いて全能力を増強。
・先程と同様に力場を展開し、敵が生み出した部下や爆弾は念動力でその動きや威力を封じ、雷撃で潰していく。
・雑魚を片付けたら、一気に接近して力場と雷を収束した攻撃を仕掛けるとともに、UCで敵の四肢をゲル状に溶かす。
人の身体を弄るのが好きなのよね?
なら、最後にそれを貴方自身に体験させてあげるわ。
貴方が骸の海から蘇るのは、どうやら今回が最後みたいだしね。
「実験が手段じゃなく、目的になっちゃってるよーなマッドサイエンティストの御登場ね」
アレクシアは呆れた顔で言い放つ。
「――いえ、オブリビオンだから、“実験をする”ってところで思考が止まっているのかしら。――なんにしろ、今までしてきたことの代価はきっちり払ってもらうわ」
アレクシアは変化の力で自身の念動力を増幅させ、スペクターたちにしたような力場の展開をしていく。
『なめやがって……』
ショウが生命を宿らせたレプリカたちを放っていく。その中には爆弾や実験の失敗作などもあったが、それらすべてが彼女の力場に捕らえられ、雷撃でつぶされていく。
『俺の、俺の成果を、こうもいとも簡単に……』
「心のない――いえ、心のない奴に生み出された心なんて所詮こんなものよ。それらに同情を覚えないことはない――けど、それらを生み出すあなたの方が許せない」
「猟兵さん!」
香澄が後衛の位置からアレクシアに言葉を投げかける。それにアレクシアはにこっと笑うだけ。でも、それでよかった。香澄が一つうなずく。満足したように。アレクシアもそれでいいかのようにショウに接近する。そしてその胸倉を掴む。ショウは先ほどの抉りでかなり弱っており抵抗も少なく簡単につかめた。こうして持ってみるとその重さは子供のそれだ。だが――だからなんなのだ。
「あなた、人の身体を弄るのが好きなのよね? なら、最期にそれを貴方自身に体験させてあげるわ」
アレクシアは力場をショウの方に持ってくると、自身も使っている変化の力をショウに流し込む。すると――
『お――おい、お前、これ、は――』
ショウは驚くしかなかった。自分に何か不可思議な力が流れてくると思えば、自分の四肢がゲル状になっていくではないか。まるで、溶けているかのように。
『人体変化に俺の体が耐えきれなかったか? ――馬鹿な! 俺がこの体で拒絶反応などが起こるはずがない!』
「あくまで冷静ね。でも――残念。【実験は成功しているのよ】」
『何――!?』
「それは私の思うとおりに姿形を変える術。顔とかまで溶かしてないだけむしろ私に感謝してくれてもいいはずだけど?」
『……くそっ……』
地団太をする足もない。溶けた足が地面にへばりつく。そのショウに一つ、雷の攻撃が走る。
『が、がはっ――』
ゲル状の身では、雷のような電気がよく通ってしまう。全身に回る感電は痛かろう、辛かろう――
「――ああ、そうそう。貴方が骸の海から蘇るのは、どうやら今回が最後みたいだしね。だから私もこういうことしてみたんだけど」
『最後だと? 嘘だ、なぜだ!』
その答えを示す、猟兵が――
成功
🔵🔵🔴
キア・レイス
キャサリンのフォローに入る
「ああ、思いっきり、気のすむまでやれ」
キャサリンの予感が当たったか、なら彼女になるだけこの少年の相手は任せる。
私は彼の手下らしい護衛が現れないかに気を配り、キャサリンの邪魔をさせないように先手をうって銃で遠距離から倒そう。
【俊鋭感知】は可能な限り連続で発動させる。
どこに人間のレプリカを潜ませているか分からないし、その場で作ったりでもされたらキャサリンの邪魔になるからな。
それに先程の爆発は脅威だ、さっき倒した女たちのように見えない状態から近づかれ爆発されたら大ダメージは確実、抱きつかれたりでもしたら死んでしまう。
事前から周囲を知覚して近寄らせる前に倒さなければ。
キャサリン・ファーナビー
「まだ私みたいな人間を作ろうとしているみたいね、マスターを自称するわりに失敗作を作ったりしてるみたいだけど?」
一応声をかけてみる、答えや反応が聞けたらラッキー程度の物だけど、最後だろうし答えて来そうならそれを待ってみようかしら。
どうせ、ここで倒すのだから。
「キア、こいつの手下がいたらそっちをお願い。私は…こいつを倒すから」
自分の額に手を当て、ユーベルコードを発動する。
ヒーローになるにも猟兵として活動するにも、お前のせいで苦労ばかり。
「でも生きてるだけマシかな…お前に殺された子も沢山いたし」
無数の空気の塊を作り上げ、同時に連続で何度も殴り付ける。
さながら日本のコミックの主人公の必殺技のように。
●因果断絶の刻――キャサリン・ファーナビーとレプリカマスター『ショウ』
「まだ私みたいな人間を作ろうとしているみたいね、マスターを自称するわりに失敗作を作ったりしてるみたいだけど?」
『んなっ――て、てめえ! あの時の出来損ないか!』
驚きを隠せないショウ。中学生の時にさらって改造した女が、今目の前で自分と対峙していたのだから。
――否、1人じゃない。
「キア、こいつの手下がいたらそっちをお願い。私は…こいつを倒すから」
「ああ、思いっきり、気のすむまでやれ」
キアがいる。今のキャサリンにはキアという仲間がいる。
『出来損ないめ……おとなしくしてればよかったものを!』
ショウが残った力でレプリカ人間たちを呼び出す、しかしキアがそれを許さない。
(キャサリンに存分にやらせるためにも、私が頑張らなければいけない。そう――この戦いに、誰も乱入させないように)
銃声が鳴り響く。レプリカ人間たちが近づくこともできないまま倒されていく。感知の力を全力で使い、ヘイトを一身に受け、単騎無双の集団戦のように。一見地味に見えるが、ショウにしてみれば来るはずのものが全く来ないのだからイラつかせることはできる。そして何より、キャサリンに存分にやらせるために。自分は裏方に徹するまでだ。
「覚えてる? 私を試験管の中で改造して、偽りの記憶なんか埋め込んで、悪の手先になれず不良品として処分して……」
『んなもん大量にいたからな、いちいち覚えてないが――ああ、お前だけはめっちゃ抵抗してたな。嫌な思い出だ』
「そうね、私にも嫌なメモリーだわ。ヒーローになるにも猟兵として活動するにも、お前のせいで苦労ばかり。過去も家族も何も無い、あるのは無駄に強い力と使う度に痛む頭」
『そのままのたれ死んでればよかったものを……』
キャサリンはショウの目の前に立つ。もう手を伸ばせばすぐに殴れる距離で。
「でも感謝もしているのよ? 私は『生きる』ことができてるんだから」
『あぁ? お前なんかに生きていられると、こっちが――』
一発。ショウの右の頬が殴られる。
『何すんだてめ――』
もう一発。ショウの左の頬が殴られる。
「私は渇望した。何もないなら……せめて【善い事】をしてみたい、って。復讐の代わりに、って。そしたら、世界は叶えてくれた」
――そして、こうして、復讐す(いっぱつなぐ)るチャンスをくれた。この機会を逃すわけにはいかない。
「私みたいな子をこれ以上増やすわけにはいかない。絶対に――」
キャサリンは自分の脳に念動力をかけ、念力の増幅をする。そして無数の空気の塊を作り上げ――動くこともかなわないショウを、殴る! 殴る! ただひたすらに!
『お前、自分が何してるかわかってんのか!?』
「ええ、存分にわかっているわよ! でもね! 今私、清々しい気分! やっぱりこれが一番痛くないし一番自分の力を扱えるからかしら! ああそれとも――」
――これが、ショウに作られた感情。「殺しに強盗……もっと派手で悪い事をやるデース!」などと言っていた、その感情が生んでいるものか。ならば今だけはショウ様様である。悪である宿敵をこうして殴ることに、何のためらいも感じないのだから。
『やめろ……やめろ! それ以上やれば、お前、自分がどんな状態かわかっているのか!』
「頭? 今は全然痛くないわよ!」
『なっ――ばか、な――』
実は嘘だ。それは念動力で脳の痛覚を遮断しているだけ。負担はとても大きい。それにアドレナリンだろうか、だんだん彼を殴るのに快感すら覚えてくる。
「猟兵さん! それ以上は、それ以上は――」
さすがに見ていられなくなって飛び出そうとした香澄をキアが制止する。
「やめておけ」
「でも……っ!」
「ああ、やりすぎなのはわかる。私にも思える。だけど、な――」
キアはキャサリンを見ながら。
「宿敵というのは、そういうものだ。どれだけやってもやりたりない。機会も多いわけじゃない。だからこそ、存分にやりたいんだ。
――ほら、日本のコミックにもあるだろう? 悪辣な科学者に生み出された生命が、時を経てその科学者に復讐するもの」
これはまさにそれなんだ。
悪辣な科学者(ショウ)に生み出されたキャサリンが、その報いを、そのお礼を、その復讐を、しているだけなんだ、と。
だから、存分にやれ、といって送り出したんだ、と。
「それを邪魔するのは――無粋だろう?」
香澄は俯いたまま静かに頷く。――自分の妹にも、確か宿敵がいた。あれと戦う時、妹も――アイシャも、そんな気持ちなんだろうか。
『ハァ、ハァ、ハァ――』
「ハァ、ハァ、ハァ――」
ともに息も荒げてきたころ。勝負の決着はすでについたも等しい。キャサリンは思いを全身に込め、拳を握る。
「これで――終わり」
そしてその最後にして最期の拳を――胸に、たたきつける。
「さよなら」
それは無気力で、暗い過去を持って、でも、【善い事】をしてみたいと願った猟兵の、過去との決別。
――即ち、因果断絶の刻。
動かなくなったショウを後ろに見ながらキャサリンは皆の場所に戻る。
「猟兵、さん――」
「キャサリン」
「ええ――私は、もう、大丈夫。だから」
キア、これからもよろしく。
その呟きに、キアもただ。
「ああ、こちらこそ」
そうつぶやき、施設を後にするのだった。
後に香澄の流した情報により、この研究施設の様々なものが押収され、ショウたちの研究成果も、明るみとなり、そして――どこか安らかに、灰となっていった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月28日
宿敵
『レプリカマスター『ショウ』』
を撃破!
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