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笑顔の先は、死か日常か

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●???
 ランプにテーブル、クローゼットに大きなベッド。多種多様な家具に飾られた屋敷はもはや生活の場というよりは一種の博物館のようになっていた。
 その形は異様というより、異形。家具を構築するパーツは全てどこかで見覚えのある素材でできているが、こんな形で利用されているのは見たことがない。
 その屋敷の通路を、一人の少女が力のない足取りで歩いている。片手には鎌を持ち、もう片方の手には赤く染まる何かを引き摺っている。聞き取れないような小さな声で何かを呟き続けながら、少女はそれを無造作に地下牢に放り込んだ。
 それは素材だ、これから屋敷の家具となる、小さな人間。今はまだ生きているが、翌日になれば加工しやすくなっているだろう。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 そう呟きながら、少女はまた力のない足取りで歩き始める。それはさながら奴隷のように、少女は自分の意思とは関係なく、再び素材を探しに屋敷の外へ出ていくのだった。

●グリモアベース
「はい、皆来てるわね!今回の任務を説明するわよ!」
 どこかご立腹な様子でグリモアベースにやってきたアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は、集まった猟兵達の顔を見るなり早口で自分の予知した事件を語り始める。
「ダークセイヴァーには潜伏しているヴァンパイアが少なからず居るのは知っているわね?その内一人の潜伏場所に当たりがついの」
 きっかけはとある村の近くにある禁忌の森と呼ばれる場所で起きた異常だった。この森は入った者が生きて出てきた試しがない、呪われた場所として恐れられていた。
 しかし近づかなければ問題はない。村人は森からできるだけ遠ざかるようにして暮らしていたが、ある日を境に森に近づいてないにも関わらず次々と人が消えるようになったのだ。
「曰く村の人が消える前、森から黒衣を身に纏い、大鎌を携えた少女が来るのを見たとか。
 この黒衣の少女こそが件の潜伏しているヴァンパイア、貴女達には彼女の撃破をお願いしたいの」
 ただし、そう言うとアンノットは震えるほど強く拳を握り締めて、我慢できないと言わんばかりに叫んだ。
「少女本人はオブリビオンじゃないわ、敵の本体は身に纏っている黒衣そのもの!コイツはなんの罪もない女の子に憑依して、自分の身体として利用しているのよ!」
 一息に感情を吐き出したアンノットは何度か肩で息をすると、熱くなってごめんなさいと猟兵達に頭を下げる。そうして落ち着いた口調で任務の手順を語り始めた。
「目撃証言から考えるにヴァンパイアの住み処は禁忌の森の奥にあるはずよ、まずはここを突破して。ただ禁忌なんて名付けられてるだけあって、一筋縄でいける場所じゃないみたい」
 そう言いながらアンノットは一枚の地図を取り出す。それは禁忌の森とその周辺地帯のかかれた地図だが、肝心の森の中は何も書かれておらず白紙となっている。
 というのも禁忌の森は常に深い霧に覆われており、一度足を踏み入れれば自身の足元すらまともに見えなくなるほどの視界不良に襲われる。
 それだけではない、霧の成分は一種の幻覚作用をもたらすことが確認されており、猟兵と言えど長時間吸い続ければ前後不覚や平衡感覚の消失といった不調を起こす危険がある。
 これらの理由から森の中は正確な地図を描くことが難しく、それが足を踏み入れた人々を外に出さない理由の一つとなっている。
「森を進む手段は色々あるけど、何かしらの対策は必要ね。どうにかして霧を吸わないようにするとか、一時的に霧を吹き飛ばしてしまえるような突風を起こすとか、同行者が居るときははぐれないように互いの身体を紐かなにかで結んでしまうのも手ね。
 あとは力業だけど霧の影響が出る前に一直線に駆け抜けてしまうとか、森は周囲を山に囲まれた盆地になってるからやろうと思えば怪しい地点に向けて降下するなんてこともできそう」
 外から見た森はミルクの海みたいになってるから、そこから目標を見抜ける目と安定した着地手段があればだけど。そう注意事項を付け加えながらアンノットは説明を続ける。
「それから村の人は森の中こそ知らないけど、森の影響を遠ざける方法なら沢山知ってるはずよ。話を聞いてみると以外な対策方が知れるかも」
 一通りの説明を終えるとアンノットは真剣な眼差しで猟兵達を見つめ、深呼吸をした後に語り始める。
「過去の亡霊が、少女の持つ未来を奪おうとしている、これは赦されてはいけないことよ。慎重に、されど確かな怒りを込めて、黒衣のヴァンパイアをぶん殴ってきて!」


マウス富士山
●オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
 ダークセイヴァー世界にて不気味な森の探索と、少し特殊なヴァンパイアとの戦闘を楽しんでいってください!
 今回のシナリオの最終目標は「黒衣のヴァンパイアの撃破」その前段階として「禁忌の森の奥へと進む」というのが第一目標になっています。奥と言っても森の端っこにあるのか、それとも森の中心にあるのかはわかりません、視覚がほとんど奪われた中で慎重な探索が必要になります。

 冒険メインのシナリオですが、力こそパワーな作戦でも問題ありません。猟兵の皆さんのプレイングを心からお待ちしています。
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第1章 冒険 『禁忌の森』

POW   :    道なき道をひたすら進む

SPD   :    迷わないように事前に対策する

WIZ   :    村人から森の情報を得る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルンハルト・マッケンゼン
【行動方針:POW】アドリブ大歓迎!
霧に包まれた深い森、か。かつて戦ったラオスの山々を思い出す……。
あの時も、敵の司令部を探してジャングルを捜索したものだ。
ロング・レンジ・リコネッサンス・パトロール、略してLRRP。
「OK, 状況は理解した。サーチ・アンド・デストロイ、いつもの通りだな。戦術的に…フッ」

ユーベルコード、影の追跡者の召喚を使用。
シャドウチェイサーと共に住処を探し森をひたすら進む。
偵察の本分は“迅速に、静粛に、精確に”。
何か痕跡があれば全て敵に繋がる情報だ。
もちろん、私の身に異常が生じるのなら、それはそれで有用な情報だが……
必ずや、この森を踏破して、猟兵同志達に偵察結果を伝えよう!


エコリアチ・ヤエ
俺はまどろっこしいのは好きじゃねーんだ。
という訳でだ、とりあえずは布切れなんかで口元は覆っておいて、あとは霧の影響が出るまでに一点突破あるのみだ。
もし協力できそうな他の猟兵がいるならばそれもたまにはいいかもしれない。

目を凝らして操られている少女や連れ去られた人間の痕跡を[追跡]する。また怪我などしていたならば[戦闘知識]によって血の痕跡などもわかるかもしれん。
もし目的地にたどり着く前に霧の影響を濃く受けてしまいそうならオルタナティブ・ダブルを使用しもう一人の自分を召喚する。召喚したばかりならばまだ影響を受けていない可能性もあるだろう。問題なさそうなら自分で自分を抱え目的地へと突き進もう。



●禁忌の森
「濃い霧だ、戦場を思い出すな……」
「なんだアンタ、こういう場所の経験があるのか?」
「昔の話しだがな。……霧の影響もある、無駄話は少なくいこう」
 霧というよりは、もはや白い暗闇の中でベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)とエコリアチ・ヤエ(多重人格者の戦場傭兵・f00287)は布で口元を覆うという簡素な装備で禁忌の森の奥へと向かっていた。
 ベルンハルトの召喚した影の追跡者が先行し、その後を二人が追う。無論何の手がかりもなしに進んでいるわけではない、目印にしているのは森の入り口で見つけた何かを引き摺った痕跡だ。
 こんな分かりやすい跡があるものかと始めベルンハルトは半信半疑だったが、エコリアチはこれを森を進むための目印にすると決めた。
「見ろ、大きな跡の両脇に小さな線みてえのが五本ずつ。引き摺られてるのは人間だ、それも大きさから考えてガキの可能性が高い」
「罠じゃないのか?」
「そうだったら好都合、罠の確認に来たヴァンパイアを逆にとっちめてやればいい」
 重要なのはヴァンパイアの潜伏先を見つけること。しかし子供の命が危機に瀕しているかもしれない、それを見捨てるのは猟兵として正しいことなのか。
 命か任務か、数秒の思索の後ベルンハルトはエコリアチの考えにGOサインを出した。

「……ヤバいな、ここまでずっと血の跡が続いてやがる」
 その言葉の意味をベルンハルトはすぐに理解した。ここまでおよそ十分と少し、その間出血が止まっていないということは、痕跡の主の傷は深い。
 急いだ方がよさそうだ。ベルンハルトが少しだけ歩みを速めた瞬間、彼が踏み締めた地面が沈んだ。
「おい、大丈夫……か!?」
 突然バランスを崩したベルンハルトを支えようとして、エコリアチもまた地面が柔らかくなったような感覚に襲われ、一緒に倒れ込む。
 倒れているはずなのに立っているような感覚がする、自分が何かに触れているのか触れていないのかわからない、悪い夢の中にいるような気分だ。
「くそっ、頼んだ!」
「おう、任された!」
 即座にオルタナティブ・ダブルを発動させたエコリアチは召喚したもう一人の自分に自分達を担ぎ上げさせ、そのまま森の奥へと進む。
「ここまでの地図だ、届けてくれ!」
 ベルンハルトもまた、倒れた瞬間呼び戻した影の追跡者にここまでの経路が描かれた地図を持たせ森の外へと逃がす。
 禁忌の森の洗礼を受けながら、二人の猟兵は霧の奥へと進んでいった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フォルク・リア
村人から森に関する情報を収集する。

森の近くの村に行って、森の霧に関する
対策を教えて貰う。
村で聞き込みをして、先ずは森の中か
霧について詳しい人を探す。
聞く事は霧の出る時間帯やそれが濃い場所、
口を布で抑える等の霧への対策方法。
加えて、幻覚が起きてしまった場合の回復し易い方法
(気付け薬など)について何かあれば聞いて、
必要な物があれば村で調達。
それが村人の所有物であれば代金を支払い
譲ってもらう。
「無理を言って悪いけど。
今回の行方不明事件の解決に
必要な事なんだ。どうか、協力してほしい。」

有用な情報があれば仲間に知らせる。
また、仲間が何か情報を得ていたら
聞いておく。


木目・一葉
早速仕事に取り掛かろう
情報不足の森には近づけない
だから僕は――

【WIZ】村人から森の情報を得る

僕のコミュ力で得たい情報は下記の通りだ
1.森に向かう足跡と人を引きずった跡の有無と詳細
2.人が消えた時の状況と最後に確認した場所、その人達の共通点
3.禁忌となる直前までの森と館の情報(地図確認含む)
4.人が最初に消えた時期と、他に何かなかったかどうか
5.黒衣に利用される少女について

1~3の目的は森の中のルートを特定、予測する為
この中でも2は、囮作戦の可能性も考慮した為
4と5は、少女がこの状況に陥った理由と、発端を知る為

またこのとき他猟兵がいたら同行し、メモした情報を共有化する



●小さな村
「今回の行方不明事件の解決に必要な事なんだ。どうか、協力してほしい」
「確かに解決してくれたら嬉しいんだが……森には近づいたことがないから霧の対策なんてわからないし、誰かが居なくなるなんてもう慣れっこなんだよ、わるいね」
 何もかも諦めたような顔をして去っていく村人の背中を見て、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は小さくため息をついた。自分達を襲う未知があるのなら、それを解明して身を守ろうとは思わないのか。
 もしかしたら無駄足だったかもしれない、こうなったら危険を承知で自分で調査をするか。そうフォルクが考え始めた時だった。
「ごめん、あなた猟兵だよね?」
 背後から声をかけられフォルクが振り向くと、そこには自分と同い年くらいの少女と小さな少年がいた。
「この子が森の入り方を知ってるらしいんだ、一緒に聞いていかない?」
 少女、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)の言葉に、フォルクは目を丸くした。

「これだよ、森の近くに生えてる葉っぱ。よくわかんないけどこれをぐしゃぐしゃにして布に塗ったやつで口を抑えると森の中でも気持ち悪くならないんだ」
 フォルクは少年から渡された厚く幅の広い葉っぱをしげしげと観察する。試しに一欠片千切って匂いを嗅いでみると、柑橘類を思わせる爽やかな香りがした。もしかすると霧の作用を中和する何らかの成分が含まれているのかもしれない。
「ねえ、キミ。他に何か知ってることはない?黒い服を着た女の子が森に出入りしてるとか」
 一葉の質問に少年は少しだけ俯くと、村にあったことをポツリポツリと話始めた。
 最初に人が消えたのは一週間ほど前、ジルという少女が突如として行方不明になったらしい。彼女は身体が弱く森に行くことなどできるはずがないため村は騒ぎになった。
 しかし常に何らかの脅威に晒されているこの世界の人々にとって人が消えるという話は事故が多いから気を付けよう、程度の広がりしか見せなかった。
 そしてその日以降、次々と人が消えるようになった。大人達は家に隠り、自分達に被害が及ばないことを祈るだけだったが、少年は親の目を盗んで外出し人が拐われる瞬間を見たという。
「あれはジルだった!黒い服を着て、でっかい鎌でドアを壊すと家の中に入って、人を引き摺って出てきたと思ったらそのまま森の中に入ってったんだ! 」
 黒衣の少女、それは予知で見たヴァンパイアの特徴と一致している。寄生されている少女というのは、そのジルという子で間違いないだろう。
 猟兵と名乗る人がいたら同じ話をしてほしいと少年に言い残すと、二人の猟兵は立ち上がった。
 最初の事件から一週間、あまり時間をかけている余裕はないのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・エイド
【SPD】
この霧は厄介だな…念のためマスクをつけていく。

ここらへんか…
高所にたどり着いたオレは目を閉じて獣人に変身する。感覚を研ぎ澄ます…静まった森という自然に似合わぬ音を…見知っている気配と違う匂いを…第六感を頼りに確かな目標地点を定める。
狙いが決まれば、ダガー片手にUC活用する。そしてUDCメカニックである俺様特性の武器、翼型飛行剣で誰よりも早く素早く飛んで見せる!
霧対策として飛んでる間は出来るだけ息を止めるんだ

ここだァ!!
着地する時は捨て身の一撃で他の猟兵に分かりやすいパフォーマンスとして周囲の霧を払ってやる!



●とある山頂
「ここらへんか、聞いてた通りだな」
 禁忌の森を取り囲む山脈、その内一つの山頂にたどり着いたアイ・エイド(変人腐れ狼・f10621)は森を見下ろしながら手にした地図を広げた。
 それは森に突入した猟兵がユーベルコードを使って森の外まで持ち出したものだ、そこには元の持ち主が途中まで進んだのであろう経路が描かれている。
 写しは何枚か残した、ならばこの一枚は自分が好きに使っても問題はないだろう。アイは地図と自分の視界に映る森を何度か見比べると、深い呼吸と共にその姿を獣人へと変えた。
 鋭利になった感覚により、禁忌の森の現状は手に取るように理解できる。後はその中から自然にふさわしくない異物を見つけ出すだけだ。
 古い血の臭い、独特な土と草の香り。森全体から漂うそれらの臭いを掻き分け、アイは地図と同じ臭いを見つけた。
 その臭いを辿る、先へ先へと。そして地図の臭いの最先端にツンとした薬物の臭いを感じた。
「……見つけたァ!!」
 叫びと共にアイは翼型飛行剣を広げる、彼自身が作り上げたこの剣は条件さえ整えば空中での移動を可能にする。今こそ、その性能を発揮する時だ!
 「行くぜ!メンタリティ・ギャンビット!!」
 獣の身体能力にユーベルコードを加え、アイの身体は重力から解き放たれた。霧の対策の必要はない、この速さなら息を止められる間に目的にたどり着くことができる!
 高さと速度、その二つが掛け合わさることで生まれる破壊力は着地地点周囲の霧を巻き上げ、狼煙のように立ち上らせた。
 ド派手なパフォーマンス、だがそれは他の猟兵達へ確実に自身の現在位置を伝えることができただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐田・忌猿
【行動方針:POW】
少女の泣き声を聴いた気がした。
外道に利用され、望まぬことを強要される理不尽を放置する訳にはいかない。

大凧に乗って、鬼面の忍者が上空から森を見やる。
【暗殺】の知識を用いて、身を隠すなら何処かとせめてもの当りをつける。
何か爆発のような物が見えたので他の猟兵も活動しているらしい。
それを見やり、別の怪しい場所を目掛け大凧から飛び降り。
着地地点の無人を確認し、光を纏ったニードロップで着地する。
地形も変える衝撃なので、一時的にせよ周囲の霧は晴れるだろう。
霧の晴れたエリアを探索開始。
探索済の場所には被り予防のため苦無を刺しておく。
「我等が同胞が行くまで耐えてくれよ少女よ。待たせはせん」



●禁忌の森上空
 一人の忍びが大凧に乗り遥か上空から禁忌の森を見下ろす。彼の名は佐田・忌猿(鬼面忍者・f10152)、民草の無念によって生まれた鬼面の忍者だ。
 そんな彼の魂が少女の泣き声を聞いた。外道に利用され望まぬ行為を強要された者の悲痛な叫び、放置することなどできるものか。
 森を睨み、思索する。自分ならこの森のどこに隠れるか……と、その瞬間。一陣の風が森の中へと飛び込み、霧を空高く舞い上げた。他の猟兵も活動しているようだ、自分も急がねば。さながら台風のように中心に霧のない地点ができた森を見下ろすと、忌猿の脳裏に雷光が走った。
「そうか……そういうことか!」
 答えにたどり着いた忌猿は上空から苦無を投げ放つと、森の中に一筋の線を描く。それは他の猟兵を目的地へ導くための目印、一直線に続く苦無の群れを辿れば、皆黒衣の少女の潜伏先にたどり着くだろう。
「当機立断、破釜沈船、いざ行かん!」
 覚悟と共に忌猿は大凧から飛び降り、霧のない地点へと降下する。
 森は広いが周囲を山に囲まれ上空からの奇襲がありえる、霧の幻覚は強力だが自身も影響を受ける可能性がある。ならば、隠れるべき場所は一つ!
「天より下されし廣矛の御魂をここに……」
 静かに祝詞を唱えた忌猿は、直後烈火のような気迫で着地地点を睨む。
「天之八街、滅っ!」
 叫びと共に地面に着地……否、着弾した忌猿は周囲の霧と大地を巻き上げ、土の中に隠された扉を掴んだ。
 周囲には続々と猟兵が集まってきている、戦力は充分だろう。
「少女よ、待たせはせん。同胞と共にすぐに向かう」
 覚悟と共に、忌猿は地下へと続く扉を開け放った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『悪趣味な博物館』

POW   :    正面から堂々と入る、窓を割って入る

SPD   :    窓や裏口から侵入、関係者を装って潜入

WIZ   :    関係者から屋敷の情報を得る、屋敷の図面を入手

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●禁忌の森 地下
 地下深くに作られた巨大な空洞に、巨大な屋敷が建てられている。その無意味な構造は持ち主の自己顕示欲の現れなのだろうか。
 屋敷の中には無数の家具が展示物のように並べられており、さながら博物館のようになっている。そしてその家具はただ一つの例外もなく、人間を素材に作られていた。
 屋敷の中にはヴァンパイアの使い魔の一種であろう、青白い肌をした使用人が動き回り家具の手入れをしている。彼らはここの警備員でもあるが、端から見る限り知能は高くないように見えた、しっかり準備すれば騙すのは難しくないだろう。
 正面突破、潜入、騙し討ち……中に入るための手段は様々だ。自分が最も得意とするもので挑もう。
アイ・エイド
【SPD】アドリブOK
引き続き獣人なオレは
屋敷の外で集中する
小さな足音とそれ以外の足音の場所、
特に血の匂いが多いとこ、第六感的に怪しい場所があったら
他の猟兵に伝えておくぞ!

ぐるる…
オレは唸りながら周りの猟兵を見て判断した。
オレは子供に変装する
敗北感から
顔伏せてんだろうな
目が死んでる?
霧のせいだろ…

こんなふざけた趣味の野郎だ!
ここにゃ人狼もいるし、
変わり種もいいんじゃねぇか?

囮として迷子を装う
嬢ちゃん…
ジルだったか?
率直にジルや他の人に
合わせて欲しい!!と頼み込むぜ!

まぁ、
家具とか言われても
オレ村人知らねぇな

ジルの居場所を
教えてくれたら黙るが
気呪の紐を
手に巻いてっから、
戦闘態勢も
とっちゃいるぜ!


エコリアチ・ヤエ
付近に使い魔など人気がないことを確認した後、窓ガラスを三角割りで割り屋敷に忍び込む。使う道具はファイブエレメンツソードの一本を使えば問題なくいけるだろう。
侵入した後は何かしらの痕跡がないか追跡する。道中使い魔などに遭遇した場合、背後から気付かれずに殺れそうな場合リザレクト・オブリビオンやファイブエレメンツソードを飛ばし一撃で仕留める。
万が一正面から遭遇してしまった場合だまし討ち、あるいは呪詛によりまず周辺の味方に連絡が取れぬよう口封じをしよう。口封じをしたらファイブエレメンツソードで喉笛を掻っ切ってやれば良い。
もし連携がとれそうな味方がいれば一緒に行動する事も辞さない。それこそ護衛なら任せろ。


木目・一葉
煙を目指し、霧の効果を中和する葉っぱを用いて館には辿り着けた
仲間の中には正面突破する者もいるだろう
ならば自分は彼らと異なる戦いをしよう

【SPD】関係者を装って潜入

化粧で白い肌をより青白くさせ、使用人らしく見える服装を着る
裏口からの潜入タイミングは仲間の行動に合わせる
潜入したら身を隠して通り過ぎる使用人達を観察
その中で他と異なる行動をとる者に影の追跡者を使用
理由は、
使用人の中には必ずジルという少女の身の周りの世話をしたり、使用人を統率するメイド長みたいな存在がいる筈だ
それは何かしら混乱が起これば真っ先に少女の元へと駆けつけるハズ
それを追跡することで、屋敷の中のその少女の位置を特定し、仲間に伝える



●地下の屋敷 廊下
 屋敷の使用人達の動きは酷く規則的だ。まず当てもなく屋敷の中を歩き、何か異常があればそれに対応する。出来の悪いプログラミングで動くロボットのような行動パターンだが、動きの悪さは数でカバーしているようだ。
 今、使用人の一人が割れている窓に気づいた。他の使用人がへまをしたのか、素材が予想以上に抵抗したのか、ともかく壊れてるのなら直さなければならない。
 壊れた窓に近づき、穴の様子を確かめようとした瞬間、その背後から音もなくナイフが振り下ろされた。

「こいつで二人目、気付かれないようにってのは疲れるもんだ」
「これで少しでも楽になるといいんが……」
 サイズの違いに苦戦しながらも、エコリアチと一葉は使用人から剥ぎ取った衣装を身に付ける。使用人に対して変装がどれだけ効果があるかはわからないが、着のみ着のまま潜り込むよりもずっとマシだろう。
 衣装に身を包んだ二人は使用人の亡骸を適当な家具の中に隠すと、屋敷の外に待機していたアイに合図を送る。
「来たな、獣人性能お見積もりだ!」
 既に姿を獣に変えているアイは、その鋭い感覚によって屋敷の内部を外から観察する。
 森の中で感じたものと同じキツイ薬物の臭い、おそらくは家具に使われている防腐剤だろう。
 屋敷全体に染み付いた酷い臭いにアイは思わず顔をしかめる。しかし懸命に臭いをかぎ分け続けていると、屋敷のものとは明らかに違う臭いを捉えた。
 汗と土と、少しの血の臭い、生きてる人間の臭いだ。パチンと、アイの第六感がその臭いに反応する。嗅覚だけでなく聴覚も臭いのもとに集中し、その位置を探ろうとした時だった。
 アイの身体が背後から羽交い締めにされる、振り向くとそこには使用人の顔があった。探索に集中過ぎて周囲の警戒を怠ってしまったようだ。
「ち、違うんだよ!森に父ちゃんやジルがいるかも知れないって聞いたから……ここに居るんなら会わせてくれよ!」
 咄嗟に村の関係者を装うアイだったが、生気を感じぬ顔をした使用人はその言葉に反応することはない。異常を知らせるためのものか、使用人がどこからかハンドベルを取り出す。
 マズい!アイが咄嗟に気呪の紐を振るおうとした瞬間、彼の頬を掠めながら、使用人の喉にナイフが突き立った。
 手から零れ落ちたベルを音が鳴らないようキャッチしたアイは、額の汗を拭うと窓から身を乗り出していたエコリアチに向かって手を振って無事を伝える。
「……ガキの演技はないんじゃないか?」
 23歳、ギリギリアウトな演技を突っ込まれたアイの瞳が、一瞬で曇った。

「その生きてる人間が件の少女なら、その世話をする役が必要なはず……」
 アイから屋敷の中の情報を受け取った一葉達は、身を隠しながら見晴らしのよいエントランスへと移動する。変わらず悪趣味なインテリアで飾られたそこには無数の使用人が行き交い、ちょっとしたパーティー会場のようだ。
「エコリアチさん、時間は?」
「そろそろ、ってか今だな」
 その言葉と共に突如として屋敷全体が揺れる、と同時にエントランスに猟兵が流れ込んできた。正面突破が始まったのだ。
 対応するように使用人達がそれまでやっていた作業を止め、猟兵のもとへ向かうなか、ただ一人他の使用人とは逆方向へと向かう者が一人。
「あれだ!」
 その姿をターゲットに、一葉は影の追跡者を召喚する。それは使用人達の間をすり抜けながら、屋敷の奥へと進んでいく。
 共有した視界から対象の歩んだ経路を確認し、二人の猟兵は屋敷の奥へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

佐田・忌猿
大事なのは少女を救うこと。
そして、それは自分の手によるものでなくても良い。

両手を眼前にクロスし窓を割って飛び込む。
派手に突入し目に付くヴァンパイアを手刀で倒しながら、広い場所に飛び出して跳躍、先程にはかなり劣る出力のニードロップで建物を揺らす。

「掛かって来るが良い下等な蛭共! さもなくばこの屋敷をば更地に変えるぞ!!」

■行動指針
・建物をニードロップで揺らし、挑発で敵を引きつけて陽動する。
・手刀と蹴りで敵を蹴散らし闘う。
・敵勢力が増えて守勢に回れば武器受けをしつつ、両腕を顔の前に構えて無敵城砦。一歩も引かずに耐え続ける。
・他の猟兵がその間に状況を打開することに賭ける。


ベルンハルト・マッケンゼン
他参加者との絡み、アドリブ大歓迎!
【方針:POW】

ダイナミックエントリー、か。灼熱のエンテベを思い出す、な。
屋敷の玄関に急行、かつての癖で無言で指を三本立て、
一本ずつ折りながら最後にウィンク。
豪快にユーベルコード“Eisernen Hand“を扉にぶっ放し、
愛用のアサルトウェポン、シュネルフォイヤーを構えて勢いよく正面から侵入する。
「エントランス、クリア! Go, Go, Go!」

所詮、雇われ戦争屋。どのみち陽動だろう。
使用人共を蹴散らせながら、派手に暴れまくる。
その間に、他猟兵の誰かが動いてくれれば、それで十分だ。
……まぁ、報酬はきっちりと請求させてもらうが、な。
戦術的に…フッ



●地下の屋敷 エントランス
 指と頭部のシャンデリアが出迎える豪華なエントランスでは、使用人達が世話しなく働いていた。
 家具の埃を落とし、防腐剤を継ぎ足し、破損箇所を修復する。生物で作られているこの屋敷の家具には常にメンテナンスが必要なのだ。
 主から与えられた命令を淡々とこなしていると、正面扉を貫通し何かが室内に飛び込んできた。
 金属製の、何か筒のようなもの。それが何か確かめようと使用人達が近づいた瞬間、爆音と共に彼らの肉体は四散した。
「GO!GO!GO!」
 叫びと共に扉が蹴破られ、ベルンハルトが屋敷の中に飛び込む。目に写るものは全て敵だ!ある弾を全部ぶちまけろ!
 シュネルフォイヤーの弾丸がシャンデリアを吊るす鎖を切断し、群がる使用人を押し潰す。始めに撃ち込んだグレネードの炎が使用人の身体を包んでいく。もはやエントランスは地獄の様相だ。
 奇襲は成功、このまま押しきる。……と、考えていたが。
「なるほど、モテる男は辛いな……」
 どれだけ倒しても次から次へと使用人がわいてくる、足場は倒れた使用人によって時間が経つほど悪くなる。想像以上の物量が徐々にベルンハルトを苦しめていった。
 リロードのためマガジンを取り出した瞬間、その腕を女性の使用人に組み付かれる。
「情熱的なレディだ、しかし今日は先約があるのでね……お相手は彼にしてもらってくれ」

 その言葉と共に屋敷の窓が叩き割れ、一人の忍が屋敷の中に飛び込む。
 鬼面忍者忌猿は広間の様子を瞬時に確認すると、ベルンハルトに組み付く使用人に向かって急降下する。
「滅!」
 気合い一閃。強力な膝落としにより敵を文字通り打ち砕くと、その勢いのまま屋敷の床に皹を入れる。
「掛かって来るが良い下等な蛭共! さもなくばこの屋敷をば更地に変えるぞ!!」
 その叫びに答えるように使用人達が屋敷の奥からわき出てくる、忌猿はその群れの中に飛び込むと鍛えられた格闘技で彼らを蹴散らし始めた。
 手刀で心臓を、蹴りで頭を打ち砕き、まさしく一騎当千の戦いを見せるが、やはり時間の経過と共に徐々に押し込まれていく。
「マスケット!」
 ベルンハルトの叫びに忌猿がはっと上を向くと、そこには火縄銃を構えた使用人が一列に並んでおり、全ての銃口は忌猿に向けられていた。
 咄嗟に両腕を構え無敵城塞を発動し、一斉に放たれた弾丸を防御。その間に装填を終えたベルンハルトの自動拳銃が使用人達を凪ぎ払う。
「派手なパーティーだ、まだ続けられるか?」
「我等がここを抑えていれば同胞達の負担が減る、いくぞ!」
 勝ち目の見えない無間地獄、ならば自分達がこの地獄を引き受ければいい。その間に猟兵達が逆転の切っ掛けを見つけることができれば、自分達の勝利だ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

アイ・エイド
【WIZ】
もうヘマは出来ねぇな…なーむ。
周囲を警戒しつつ
さっき襲いかかってきた使用人が他に鍵とか地図とか持ってないか探るぜ。

さーて、嬢ちゃんっぽいのや先行った2人の臭いや足音は覚えてっから、
警戒を最大限に追跡開始!
途中使用人がいるようなら、気弾銃で弾速は最大限に早業で心臓を狙い撃ち暗殺だ…!

あ、地図が手に入ってれば、部屋に当たり付けて侵入口を確認!
気呪の紐を操って目立たないようにそっと鍵開けて窓から侵入する!


神酒坂・恭二郎
・SPD指定 アドリブ歓迎
どうにも悪趣味でいけないな。
展示物の端々を見やり、小さく息を吐く。
ヴァンパイア共はいつもこれだ。
今回の以来の件も悪趣味極まる。

不愉快を覚えつつも、今やっている事はひたすら地味だ。
最初に大きく力を溜めた後は、刀を地面に突き立て風桜子を小さく放ったトンネル堀り。潜入口は迷彩し、後は地道に地面を掘って屋敷の下に移動する。
潜入手段は多い方が良いと、買って出たことを少し後悔する。
屋敷の下部まで掘り進んだ所で待機。仲間の攻勢に合わせ、円に床をくり抜いて潜入を図る。
「あっちが派手にやってる間に、こっちもお仕事しないとな」
折悪く遭遇した敵は、物を言う間も与えずUCで切り伏せよう。



●地下の屋敷 土の中
「方向、こっちであってるか?」
「ああ、臭いがドンドン近づいてるぜ!」
 地下の屋敷の更に地下、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は屋敷の外で合流したアイ・エイドと共に少女の居る場所への直通通路を掘り進めていた。刀を土に突き立て、それを通じて風桜子――こう書いてフォースと読む――を流し込むことによって地面を割る。ようは土を端に押しのけているのだが、こうすることで土を外に運び出す作業の省略とトンネルの壁を固め補強することが同時に行える。
 刀をスコップ代わりに使っているのを見たら師は怒るか呆れるか……まあ人助けに必要なことだ、最終的には許してくれるだろう。
「あっちが派手にやってる間に、こっちもお仕事しないとな」

 道は恭二郎が作る、それをリードするのがアイの役割だ。先程彼の第六感が反応した生きた人間の臭い、それを追って自分も屋敷に飛び込もうとしたところで恭二郎と合流した。
 猟兵の増援があることを考えると屋敷の中で経路を確保するよりも、屋敷の外からヴァンパイアのいる最深部への直通通路を作った方が効率がいい。その考えに賛同したアイは自分の鋭い感覚を最大限に活用することにした。
 暗い土の中では方向感覚などすぐダメになってしまう、認識の八割を視覚に依存している通常の人間にとって暗闇の中を真っ直ぐ進むというのは想像以上に難しい作業だ。それは手掛かりのないトンネルの中であれば尚更だろう。
 しかしアイの五感を持ってすれば暗闇などあってないようなもの。記憶した臭いと足音のもとを探り、そこに向かって進むだけだ。
 トンネルを作り始めて一分足らず。恭二郎の刀が土とは違う、硬質な感覚を捕らえた。

 エントランスで戦闘が起こっているからと言って、全ての使用人がそちらに向かっているわけではない。むしろ派手な戦闘が起きているからこそ内部の警戒は最大にされていた。
 ゆえに彼らに落ち度はない。ただ、侵入者が攻撃が速過ぎただけだ。
「悪い、時間がないんでな」
 振りぬいた刀を降ろしつつ、床にくり抜いた穴からアイを引っ張り出した恭二郎は目の前の扉を見た。
 使用人のものとは比べ物にならない大きな気配、アイの追っていた臭いのここから来たものだ。
 黒幕との決戦を確信した二人の背後から、猟兵達の足音が近づいてくるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木目・一葉
屋敷の奥へと向かい、影の追跡者で経路も確認済
だがエントランスでの喧騒は続いている
「連れてくる」
敵の群れと正面から戦う者はきっと頼りになる仲間に違いないから

【Pow】
使用人のハンドベルを集め、それを手に変装したまま屋敷の奥からエントランスへ出る
ベルを佐田さんの破壊した窓の外へと投げる
この音で使用人は窓の外へ向かうか、気をとられる筈
この隙にエントランスと奥の通路を結ぶ扉へ仲間を誘う
仲間が扉へ進んだら、その扉の前で追いかけてくる使用人を待伏せ
迫る使用人の数に「ヒィ……!」と小さな叫びをあげつつもグラウンドクラッシャーを仕掛ける
この地形変化で使用人達を足止めし、すぐ扉を閉める
あとは家具等でその扉を塞ぐ



●地下の屋敷 廊下
(どうする……?)
 一葉は迷っていた、エントランスの喧騒は一層の激しさを増している。しかしエントランスにいる猟兵達の援護に向かえば、後に来る猟兵達をヴァンパイアのもとに誘導できなくなる、経路を正確に記憶しているのは自分だけだ。
 悔しさに歯嚙みをしながらエントランスに背を向けた瞬間、影の追跡者から共有された視界がターゲットにしていた使用人が斬る倒されるのを見た。
 刀を持ったぼさぼさの髪をした男と屋敷の外で会った人狼の猟兵。それは間違いなく援軍であり、彼らの背後には侵入経路であろう穴もある。その光景を見て、彼女の中から迷いは消えた。


 燃え上がるエントランス、いよいよ猟兵達の顔にも疲労が見えていた。その絶望的な状況の中で、やけに明るいベルの音が鳴り響いた。
「皆、奥の通路へ!」
 そう叫びながら、一葉は道すがら回収したハンドベルを次々と窓の外に投げ捨てる。カランカランと澄んだ音が鳴り響く度に、多くの使用人たちが屋敷の外へと殺到していく。侵入者を見つけた使用人が鳴らそうとしたこのベルには、やはり他の使用人を呼び寄せる効果があるようだ。
 大半の使用人が外に飛び出していくと同時に、エントランスで戦闘していた猟兵達は奥の通路に離脱する。それを確認した獲物である斧を構えた。
 全ての使用人が外に向かったわけではない。一部の使用人、それでも数十を超える動く使者が一葉を狙う。
「ヒィ……!」
 思わず小さな叫びが出る、武器を持つ手が震える。それでも彼女は構えを解かず、獲物を振り下ろした。
 グラウンドクラッシャー。単純故に重い一撃を受けたエントランスは、それまでに蓄積されたダメージも合わさり崩壊を始める。
 瓦礫に呑み込まれていく使用人達を見ながら、一葉もエントランスを離脱した。道は埋められ、使用人達も簡単には這い上がってはこれないだろう、これで増援を気にせずヴァンパイアと戦うことができるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地下の屋敷 最深部
 そこは手に入れた素材を家具にするための工房だった。拷問器具まがいの道具があちこちに並べられ、それらには錆びのような血の跡がこびりついている。

 ジルは部屋の真ん中で、うずくまるように座り込んでいた。

「……キレイな服を見つけたの」

 猟兵達の気配に気付いたのだろうか、彼女は呟くように語り始めた。
 箪笥の奥に綺麗な黒い服がしまわれていた。試しに身に着けてみたら、人の身体が宝石みたいに綺麗に見えた。綺麗だから、より綺麗にしなきゃいけないと思った。それがいけない事だというのはわかっていたけど、とても綺麗で、凄く綺麗で、綺麗でキレイできれいで、『屋敷』によく似合うと思った。

 その言葉と共に部屋に飾られていた大鎌が一人でに動き出し、少女の手に掴まれる。

「ガマンしてきた。でも、もうガマンできない。それはとってもイケないことだから、だから私を……」

 その言葉を言い終える前に、彼女は立ち上がり猟兵達に刃を向ける。その表情は笑いながら、両目が腫れ上がるほどに涙を流していた。

 死してなお、人から未来を奪おうとするオブリビオン。その暴虐に終止符を打つ時だ!
ベルンハルト・マッケンゼン
他参加者との絡み、アドリブ大歓迎!
【方針:POW】

敵を見て、ニヤリと笑う。
「ブーヘンヴァルトを思い出す、な。あの時遭遇したのは魔女だったが……まぁ、似たようなモノか。戦術的に…フッ」

敵の異形や部屋の惨状は気にしない。
「あぁ、分かっている。そちらにはそちらの事情があるんだろ? だが……知ったこと、か。我等は猟兵、ただ狩るだけだ」

まずは挨拶代わりに愛用のアサルトウェポン、シュネルフォイヤーで射撃。
柱や調度品、家具の陰に飛び込んで敵の攻撃を回避。
陰に身を隠しながら、間のタイミングを図りユーベルコード“Eisernen Hand”をカウンターで最大火力使用。

撤退はしない。味方の援護を待ち戦い続ける。


フィロメーラ・アステール
【祈り】は聞き届けたー! つまり【救助活動】が欲しいってことだな!
「本当に綺麗なものを知りゃ、そんなマヤカシには負けないぜ!」

【スーパー流れ星キック】を発動!
【破魔】【属性攻撃】【全力魔法】を纏いながら【ダッシュ】【ジャンプ】し、空中からの【スライディング】により【残像】を放つほど加速!
【気合い】を込め、【空中戦】で軌道修正しつつ【踏みつけ】攻撃だ!

これ実は魔力をぶつけて動きを封じるのがメインだ!
ダメージはあんまりない! 大部分が【パフォーマンス】だぜ!
この輝きでみんなを【鼓舞】して【勇気】を与えるぞー!

トドメは任せたー!
「未来を掴もうとするみんなの意志、希望ってヤツをな! よーく見とけ!」



●工房の戦い
「祈りは聞き届けた!」
 真っ先に戦場に飛び込んできたフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、高らかな宣言と共に黒衣を指さす。
「意識はあるんだろ服野郎!未来を掴もうとするみんなの意志、希望ってヤツをよーく見とけ!」
 言葉と共に構えをとり、気合を込めるフィロメーラを囲むように光の奔流が渦を巻く。その力に危機感を抱いたのか、黒衣の中から染み出すように小さな鎌を持った眷族が召喚される。50体以上の眷族の出現にフィロメーラの背筋に冷たいものが走るが、そんな彼女の隣を一人の猟兵が駆け抜けた。
「昔を思い出すな……あの時遭遇したのは魔女だったか」
 黒衣の少女を見ながら、ベルンハルトはかつての戦いを思い出していた。当時戦った相手はどのような信念を持って自分と相対していたのか、今では想像することしかできないが……。
「我等は猟兵、ただ狩るだけだ。そちらの事情など知ったことか」
 シュネルフォイヤーをフルオートで放ち、目に映る眷族を次々と消滅させる。無論敵もただ倒されるだけではなく手にした鎌を投げ付けて反撃してくるが、ベルンハルトは手近な家具をを蹴り倒し、即席の盾にすることでそれらの攻撃を防御する。
 生半可な数では太刀打ちできないと判断したのか、眷族の大半がベルンハルトに狙いを付ける。その一瞬の空白があれば、妖精が空を駆けるのに充分だった。
「本当に綺麗なものを知りゃ、そんなマヤカシには負けないぜ!」
 フィロメーラの叫びに反応した眷族が彼女に向かって鎌を投擲するが、既にその場には急加速により空間に焼き付いた残像しか残っていない。跳躍したフィロメーラの足元に光の奔流が収束し、夜空を照らす星の輝きと変わる。
 その光を落とさんと黒衣は少女の身体を操り迎撃の用意をするが、突如として彼女の周囲で爆発が起こり体制を崩される。
「敵は複数だ、一人に意識を向けるのは危険じゃないのか?」
 ベルンハルトの笑みに、今度は黒衣が危機感を覚える番だった。
「スーパー! 流れ星!! キーーーック!!!」
 輝く流星は地下を照らし、少女の纏う黒衣に直撃する。派手な見た目は味方を鼓舞するパフォーマンス、その正体は敵を捕らえる拘束技だ。蹴りの反動で宙返りをしながら地面に着地したフィロメーラは、少女の無事を猟兵達にサムズアップで伝えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エコリアチ・ヤエ
うーむ……服を壊すなり引き剥がすなりでこの状態が治るのか否か……。とりあえず俺が纏ってる使用人の服は引きちぎるぜ。息苦しいしな。
どのみち戦闘だ。真の姿を解放する(真の姿はタトゥーのような肌色。爪は伸び、タトゥーは怪しげに発光。フードを目深に被る)
「我の力とくと味わえ」
戦闘はリザレクト・オブリビオンに装備しているファイブエレメンツソードと木の杖を使用。呪詛なども使っていく。
また一応少女自体を傷つける行為もやめようか。狙うは少女が纏う服、あるいは攻撃力を削ぐための大鎌だ。
それによりこちらが傷つく分にはある程度許容しよう。ユーベルコードを使ってる時だけは必ず攻撃は回避なり防御なりする。


木目・一葉
【Pow】
僕は真の姿を開放しない
人の姿で、人である彼女に呼びかける
仲間と連携し、タイミングを見計らってグラウンドクラッシャーを仕掛けて、彼女の足場を破壊して身動きを取れにくくする
接近したら彼女の大鎌を斧で防ぎつつ、声をかける
この戦いにはジルの助けも必要だ、ジル自身の為にも
「ジル、生きることを諦めないで
ガマンを、悲劇を止めようとした君の意志をもう一度強くもって」
例え傷ついても、僕は止めない
「今君を救えるのは、君自身のその意思だけだ
勿論、もう君を今までのように一人にしない
僕達がいる
君を後押しする
罪の無い人々に攻撃させたりしない
だからもう一度、ソイツに抗ってほしい
今このときだけでも!負けないで!」



●黒衣の呪詛
「服を壊すなり引き剥がすなりでこの状態が治るのか否か……」
 動きにくい使用人の服を破りながら、エコリアチは星の輝きで拘束されたジルを観察する。おそらく少女の精神を蝕んでいるのは黒衣に宿った呪詛の類だ、少女を救うのならばこちらも同じ力をぶつけるのが確実だろう。
「我の力とくと味わえ」
 先程までとは一転し厳格な口調と雰囲気を纏ったエコリアチは真の姿を解放する。肌は黒く、タトゥーは怪しげに発光し、爪は鋭く伸びる。フードを目深に被り表情を隠した彼の姿はどこかの伝承に伝えられる神のようだ。
「呪詛を破るには本人の意志が必要だ、呼びかけを頼めるか」
「……はい!」
 その言葉に一葉は武器をしっかりと握りながら返事をする。彼女は人として、人の姿で、人であるジルに呼びかけるのだ。
 エコリアチがリザレクト・オブリビオンで二体の死霊を呼び出すのを確認すると、一葉はジルに向かって駆け出した。

 騎士が大鎌を武器で抑え、蛇竜が黒衣から召喚される眷族をその牙で砕いていく。その隙を付いて一葉はジルの足元をグラウンドクラッシャーで破壊し身動きを封じると、少女の身体を抱きしめた。
「ッ!?」
 黒衣に触れた瞬間、ドス黒い感情が一葉の中に流れ込んでくる。意識を塗り潰そうとしてくる泥のような呪詛、それに耐えながら一葉はジルの意識に語り掛ける。
「ジル、生きることを諦めないで。ガマンを、悲劇を止めようとした君の意志をもう一度強くもって!」
 一葉の言葉に、抵抗する少女の身体が強張る。
「今君を救えるのは、君自身のその意思だけだ!だけど、もう君を今までのように一人にしない!」

 僕達がいる。

 君を後押しする。

 罪の無い人々に攻撃させたりしない。

「だからもう一度、ソイツに抗ってほしい!今このときだけでも!負けないで!」
 その心からの叫びに、ジルの瞳が大きく開かれた。
 同時に蛇竜が一葉を黒衣から引き剥がし、五つの剣が大鎌に突き立てられ魂を砕く呪詛を流し込む。
 慟哭を上げる少女の声に、ジルのものとは別の女性の声が混じる。少女に根付いていたヴァンパイアの魂が分離を始めているのだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫、届いた!」
 心配しているのは一葉の身体なのだが、そんなことはお構いなしに彼女は立ち上がる。
 ジルの心はまだ諦めてはいない、その事実が一葉の心を奮い立たせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐田・忌猿
・POW指定
何故この少女が泣かなければならないのか。
オブリビオンに怒りがこみ上げる。
こんな事はもう終わりにしなければならない。

「もう誰も傷つけなくて良い。少し待っているのだ」
少女の前に立ち塞がり、両手を広げて行く手を制する。
武器の機動力を自ら封じ、少女の攻撃を受け止め、味方への攻撃を庇おう。
力の及ぶ限りになるが、少女が他の誰かを傷つけるのを防ぎたい。
愚かな選択だが、少女の心の傷を減らすためなら力が湧くのだ。

UCで身体能力向上。【挑発】で攻撃誘導。
慟哭に対し【属性攻撃】で炎を纏って相殺。、大鎌に対し【武器受け】で防御を試みる。
反撃として少女を傷つけない【優しい】【暗殺】【マヒ攻撃】で点穴を狙う。


アイ・エイド
アドリブOK
オレはゼロシールドで他の猟兵たちに攻撃が飛ばねぇように近接の防戦を挑む!ただ冷静に布に対して隙が出来るように敵の攻撃を盾受けしたり、鎌に向けて盾でぶん殴る!!

大丈夫、泣くほど痛ぇんだろ?その痛みは、涙は、お前のもんだ。ずっとあらがって1人で頑張って戦ってた証だ…!!

だから!布許さねぇぞ!
隙を見て腐れ人狼を発動!どんなデメリットでも知らん!!気合いで!例え捨て身の一撃になろうとも!
意地でもお前や鎌にだけ有効な腐食毒を食らわせてやる!!



●慟哭の行方
 何故、この少女が泣かなければならないのか。慟哭を聞いた忌猿の面の下で、怒りの血涙が溢れだす。だが、この怒りをぶつけるのは彼女ではない。
「もう誰も傷つけなくて良い。少し待っているのだ」
 そういうと忌猿は少女の前に立ち、ゆっくりと両手を広げた。それは少女の痛みを全て受け止めようという、覚悟の現れだ。
 ジャスティス・ペイン。少女のために自らの機動力を捨て、その身を盾にするという不利な行動をした忌猿の肉体に大きな力が宿る。直後、黒衣の呪詛が混ざった少女の慟哭が衝撃波となり彼の身体に叩きつけられた。
「ぬうっ!?」
 その四肢に炎を宿し慟哭を相殺するが、殺しきれない呪詛が忌猿の身体を傷付ける。あまりの呪詛の大きさに体勢を崩しかけた忌猿の身体を、一人の猟兵ら支えた。

「寝るのは早いぞアンタ……」
「……無論!」
 アイの言葉に、忌猿は震える足を立たせる。少女の慟哭を受け切ったその身体には更なる力が宿っていた。
「大丈夫、泣くほど痛ぇんだろ?その痛みは、涙は、お前のもんだ。ずっとあらがって1人で頑張って戦ってた証だ…!!」
 アイは優しく、だが力強い声でジルを激励する。そして鋭い視線でその身に纏う黒衣を睨み付けた。
「だから!布、許さねぇぞ!!」
 叫びと共にアイは自らの中に眠る狼の因子を解放する。その腕にはアイの肉体すら蝕む猛毒が宿り、崩壊した肉体から血が流れだす。
 耐え難い激痛に歯を食い縛りながら、アイはジルに向かって駆け出した。強化された肉体は二人の距離を一瞬で縮め、互いの攻撃範囲に潜り込む。
 拘束を破り、引き摺られるように少女が大鎌を振り上げると、視認するのが難しいほどの速度で振り下ろされる。強化された五感で攻撃を捕らえたアイは、その攻撃に盾による殴打を重ねた。
「ジルは傷付けねえ!テメエだけを砕く!」
 獣の腕に宿った腐食毒が瞬時に刃を錆び付かせ、切れ味の鈍った大鎌を瞬時にアイが抑え込む。動きを封じられた少女の懐に、鬼面の忍者が飛び込んだ。
 放たれた手刀は点穴を付き、少女の身体から自由を奪う。肉体を寄生先に依存している以上、ヴァンパイアの動きもこれで封じられるはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神酒坂・恭二郎
・PQW指定
「俺じゃああの子は救えないな」
慟哭する少女を見やり苦い息を吐く。
経験上、ああなった対象を救えた事例は少ない。
だが、諦めない者が多くいるなら手助けをしたい。

方針は沸き続ける眷属達を居合いと突きのフォースの二連衝撃波で蹴散らし、少女を救おうとする猟兵達の邪魔をさせない。
味方が危ういようなら、オーラ防御で庇ってダメージ軽減の支援を行う。
少女が手遅れなら、汚れ役として介錯はこちらでやる。
だが救える兆しが僅かにでもあれば、力をため捨て身の一撃に破魔の念を込め、リスク覚悟で大鎌か呪衣に剣刃一閃を仕掛けたい。
「繋がれたバトンって奴を、俺で台無しにするのは野暮ってもんだ」


木目・一葉
【SPD】
まだ体は動く、心に震えなんてない
何よりジルが応えてくれたのだ
大鎌を抑え込まれ、自由を失っている少女へともう一度近づいて、黒衣の引きはがしにかかる
「ジル、ありがとう。
君の強い意思が、君自身と村の人を救ったんだ。
今からソイツを引き剥がす!」
魂が剥がされつつあるのなら、あとは黒衣自体を剥がす
動きの封じられた彼女から黒衣を引き剥がしにかかる
剥がされた黒衣がジルの元へと戻ろうとしたら、妖刀解放により切り刻む
「彼女の意思は彼女だけのものだ
お前は去れ!」
もう決して黒衣をジルに近づけはさせない



●決着
「このままじゃ、あの子は救えないな」
 慟哭する少女を見やり、恭二郎は重い息を吐く。分離は進んでいるようだが、経験上あそこまで寄生の進んだ魂は引き剥がす際に一部を持っていかれる。文字通り身を引き裂かれる激痛だ、良くても発狂悪ければ絶命……それならば。
 そう思いながら刀に添わせた手が、上から押さえ付けられる。
「ジルは、応えてくれたんだ」
 そう言いながら恭二郎を真っ直ぐな瞳で見つめる一葉に、彼は再び重い息を吐き……不敵な笑顔を浮かべた。
「そうだな。繋がれたバトンって奴を、俺で台無しにするのは野暮ってもんだ」

 点穴により身体が麻痺しているにも関わらず、黒衣は少女の肉体を強引に動かして自らを抑え込む猟兵を振り払う。同時に一葉に狙いを定めた黒衣は、少女の身体から異音を発しながら大鎌を振り下ろした。
 硬直した筋肉を無理矢理動かしているのだ、その小さな身体にどれだけの負荷と痛みが襲っているのか。その事実に静かな怒りを燃やしながら、恭二郎は大鎌と一葉の間に割って入った。
 錆びて切れ味が落ちているが、その質量を高速でぶつければそれだけで致命傷を与えられる。それに対して恭二郎は避けるでも防ぐでもなく、さも相討ちを狙うように風桜子を刀身に宿した銀河一文字を引き抜いた。
 負傷覚悟の捨て身の一撃……否、攻撃の軌道に割り込むように振り抜かれた刃は振り下ろされた大鎌を弾き上げ、円の軌道を描きながら再び刀を振り抜ける位置に戻る。
 剣術における高度な防御技の一つである切落、それを成功させた恭二郎は隙を晒した鎌に向けて剣刃一閃を放つ。
 ただ対象を両断することだけに特化したユーベルコードは、見事呪われた大鎌を切り裂いた。

「今だ、引き剥がせ!」
 恭二郎の言葉に頷いた一葉は妖剣解放を発動し、ジルの纏う黒衣を睨む。
 纏う怨念は一葉の魂を軋ませ、確実にその寿命を減らしていた。しかしその程度のこと、構うものか!
 怨念を通じて世界を見る一葉の視界は、ジルと黒衣を繋ぐ根のようなものを捕らえる。
 「彼女の意思は彼女だけのものだ、お前は去れ!」
 叫びと共に放たれた刃はジルの肉体を躱し、的確にその繋がりのみを断ち切る。それと同時に彼女の身体から黒衣を引き剥がすと、勢いよく刃を突き立てた。
 憑いていた身体を失い、猟兵の刃を直接受けた黒衣は、青白い炎を上げながら灰へと還っていく。
 その事を確認した一葉は、急いでジルの元に駆け寄った。
 気を失い、長い寄生の影響か顔色も悪くなっているが、その胸はしっかりと鼓動を鳴らし、息もちゃんとしている。
「……ジル、ありがとう。君の強い意思が、君自身と村の人を救ったんだ」
 少女の未来を脅かす吸血鬼の影は、今ここに討伐された。


●エピローグ
 誘拐された村の人々は猟兵達の懸命な治療により一命を取り止め、調査によって屋敷にあった家具はかなり昔の犠牲者によって作られていることも判明した。ジルは最後まで人を殺めようとするオブリビオンの意思に抵抗していたのだ。
 誘拐騒動は収まったが村の人々の生活は変わらない。大人達は森の霧を恐れ、近付かないようにして生きている。
 しかし子供達の生活は少し変わった。頻繁にジルの家に遊びに行くようになり、自分達なりに森の霧への対抗策を探している。危険はある、しかし少女を筆頭に子供達は自分達の平和が薄氷の上にあることを学んだ、きっと無謀な間違いを犯すことはないだろう。
 自分達の周囲は理不尽に溢れている、しかしそれに負けてはいけない。苦しいからこそ、諦めず立ち向かわなければならないのだ。
 そんな子供達の様子を見て、とある猟兵は安心したように世界から旅立つ。綻んだように頬笑む彼女の視線の先には、恐怖に立ち向かう人々の新たな日常が広がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月05日


挿絵イラスト