●海といえば海
「お疲れ様でしたーっ!」
いきなり元気に労いの言葉をかけるのは、グリモア猟兵の秦田・麻弓。バトルオブフラワーズからこっち、賑々しく忙しい日々が続いていた猟兵たち。この上また、大変な事件が起こりそうな気配まである。
「なので今日だけでも、思い切り羽を伸ばすのはどうでしょうかっ」
彼女はそう言って、皆で遊ぶのに持って来いの――否、自分が遊びたいリゾートの紹介を始めた。
選ばれたのは、スペースシップワールドにて数多く運営されるリゾート船のひとつ。それはそれは綺麗な空と綺麗な海と、綺麗な浜が広がっている。雲一つ、ごみ一つ、そして売店の一つもなく――。
「え、えーと…食べ物とか飲み物とか、遊ぶ物とかは持ち込み自由なので…」
本当に海しかないその空間に戸惑う猟兵たちに、ごまかすように補足をする麻弓。実際ごまかそうとしているらしいが、向けられた冷ややかな視線に早々に観念したようで、さらなる補足を始めた。
「ほら、リゾート船っていっぱいあるじゃないですか。で、どこも色々工夫してると思うんですけど、ここの人ってなんか、その…そういうセンスがなかったっぽくて」
コアマシンからの生産によって船内の人が生きていく分には問題ないが、リゾートとしては開店休業状態であるということらしい。どこの世界も世知辛い物なのかもしれない。
「でも逆に考えれば、なんにもないから何するのも自由ですよっ!ほら、アイデア次第!お店とかイベントとかも自由にやって良いですし、色々用意して手作りのビーチ、絶対楽しいですよっ!」
どう考えても無理筋のフォローをグリモア猟兵はゴリ押してくる。しかし確かに、何も気にせず思う存分遊べるというのは一理あるだろう。
「屋台とかステージとかも、もしも作ったりしたら片付けないで置いて行って欲し…じゃなくて置いて行っても良いそうですしっ!」
どうも裏がありそうだが。
相良飛蔓
お世話になっております。相良飛蔓です。ご覧いただきありがとうございます。
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
この船にはあらかじめ用意された飲食店や娯楽用品といったものはありません。危険のない海洋生物は元気に生きてたりします。
物品は何でも自由に持ち込みOK、どんな遊びでも自由にOKです。お店をやってもイベントやっても、お好きに弾けていただきたいと思います。
お呼びいただければグリモア猟兵も絡んだりしますので、お気軽に誘ってやってください。
今回「👑5」ということで、2~3名様分のプレイングでシナリオが終了してしまうため、(特にお誘いあわせの上でご参加いただく場合)プレイングの提出タイミングに開きがありますと、相良の執筆速度の都合もありまして採用できない確率が高くなってしまいます。ので、勝手ながら7/25 8:30以降を目安にプレイングをいただけるととても助かります。
以上、ご検討の方よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳶沢・成美
遊び疲れた人の為に足つぼマッサージ店でもやりましょうか
「秦田さん、口開けのお客としてどうですか?」
【神農伝承術】を使って医術的に効果的な足つぼマッサージを行う
足の指を一本一本揉んだり、足首を動かしたり
ちょっととがっている棒で足の裏をギュ、ギュっと押すなんてことも
「健康だと痛気持ちいいくらいなんですが、悪いところがあると痛いですよ」
激痛が走るかもしれないけど、終わったら足スッキリするはずだから
アドリブ・絡み・可
藍沢・織姫
夏に砂浜でやる事と言えば…(調べる)
スイカ割り!これやってみましょう。よく冷えた西瓜を、こうやってビニールシートに置いて、棒で豪快に叩き割って食べるそうです!
それから、砂山でお城を作ったりもするそうです…あれ、これ結構難しい…
アドリブ等歓迎
遊び方とかが何か違ってても本人は楽しんでいるのでまあいいかで済ませます
ヴィリヤ・カヤラ
説明で色々とダダ漏れてた気もするけど
気にしちゃダメだよね、
海は楽しむものって聞いたし!
とりあえず日差しはあるから服装はパーカーかな。
食べる所が無ければ……カキ氷の屋台を用意してみよう、
シロップと冷凍のフルーツを乗せた簡単なものだけど、
ここなら材料の確保もしやすいと思うし。
暑いと冷たいものが美味しいしね
あと、食べる場所用にビーチチェアと
パラソルがいくつか欲しいから、
麻弓さんの手が空いてたら手伝ってもらおうかな。
お礼はカキ氷で良いかな?
他に何か出してる人がいたら一緒に見学もどう?
……ここって出店してみたい人を募集したら
集まるんじゃないかな?
その噂で遊びに来る人も
呼べそうな気がするし、どうなのかな?
皇・美虎
・SPD
ほーん…ほんっとに何もねぇただの浜辺だねぇ
しっかし、船ん中がぜーんぶ海と浜しかないだなんて、随分粋な船だこった
水平線の彼方まで続く海、天井を見上げりゃあ星の海…いいねぇいいねぇ
こいつァ良い絵が描けそうだぜ…っしょっと
つーわけで、あたいはここの風景がでも描いてるぜ
ついでに買った水着も着りゃあ風情も感じれて筆が乗るってもんさ
お、そこの兄さんに姉さん、それに秦田のグリモア猟兵さんも記念に似顔絵でもひとつどうだい?
今ならお足は取らねぇよ
風景画が一段落したら描いてやっから、それまで乳繰り合ったり遊んでいておくれよ
※アドリブ、絡み大歓迎です
●楽しむがいちばん
「説明で色々とダダ漏れてた気もするけど」
ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は、まったくもって隠れていないグリモア猟兵の策謀を思い
「気にしちゃダメだよね、海は楽しむものって聞いたし!」
特に害もないので考えないことにして、炎天の下での設営を開始した。艦内は常夏、陽射しも強い。ダークセイヴァーで太陽の猛威に曝されることなく育った肌には酷であろう、パーカーを羽織り自己防衛もばっちりである。
「食べる場所用にビーチチェアとパラソルがいくつか欲しいから…」
手伝いを求めて見回すヴィリヤと、遊ぶ気満々のグリモア猟兵の目が合った。にっこり笑顔を向けると、へらっとした笑顔が返されて――
「お礼はカキ氷で良いかな?」
頼りないながらも人手は確保され、設営は順調に進んだ。
一方こちらも炎天の下、遊ぶ方面で楽しむ予定の藍沢・織姫(紺碧の歌姫・f03959)。
「夏に砂浜でやる事と言えば…」
と、調べて行きついたのがこちら。
「スイカ割り!これやってみましょう」
よく冷えた西瓜をビニールシートの真ん中において、割るための棒を用意すれば準備完了。出店準備を一通り済ませたヴィリヤと、その手伝いをしていた麻弓も元気な声に引き寄せられて覗きに来る。その様子に興味を示しつつも、その遊びの詳細を知る者は…どうもこの場にはいないようだ。外界と隔絶されて育ったダンピール、いい加減な妖狐、記憶の曖昧なバーチャルキャラクター。UDCアースの日本出身の20歳女性なら言わずと知れたこの遊びに、一目で分かる足りない物がある。不足は補填されないまま、棒は豪快に振り下ろされた。
「綺麗に割れました!」
言葉の通り綺麗に割れた西瓜を囲み、笑う三人の誰の顔にも目隠しはないし、それに対するツッコミもない。ともあれ、皆楽しんでいるようなので気にすることもないだろう。
●お足はケッコウ
ひとしきり遊んで笑って楽しんで、次の遊びに差し掛かろうという所。
「秦田さん、口開けのお客としてどうですか?」
掛けられた声にグリモア猟兵が振り向くと、シンプルに設営された施療場所にて、にこやかに腰掛ける鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)の姿があった。彼が用意したのは足つぼマッサージ店、遊び疲れた人の疲れを取り除いてあげようという物である。少年のそもそもの柔和な表情に加えて、ユーベルコードで強化されたコミュニケーション能力がさらに人懐こさを強調する。勧誘を受けた麻弓もご多分に漏れず釣り込まれて笑顔で腰掛けると、その向かいで足を抱えて成美が施術を開始した。
普段積極的に触れ合うような部分でもないし、いくらかの気恥ずかしさもあるが、純粋な施術行為であるため勿論よこしまな気持ちではない。受ける側は邪念をたっぷり含有していそうなニヤけ顔ではあるが…
それはともかくとして、足の指を一本一本揉んだり足首を動かしてみたり、成美の行うのはとても丁寧な施術である。強化されたのは対人能力だけではない。持てる医療技術も研ぎ澄まされ、それはとても的確で、気持ちの良いマッサージである。会話を交えて反応を見ながら、次の段階として成美は小さな棒状の器具を取り出した。
「健康だと痛気持ちいいくらいなんですが、悪いところがあると痛いですよ」
足を掴んで固定しながら、少しとがったそれで強く力を込めて圧力を加える。足の裏は全身の各部の神経と繋がりが深いとかで、刺激する部位によって効果のある場所が細かく違う。そして当該部位に疾患や不調があると、想像を絶する痛みを齎すという。
「はぁぁ…」
幸いこのグリモア猟兵は至って健康体であったようで、痛気持ち良い方らしい溜め息を吐いている。能天気な彼女には心身ともにストレスがない。問題なさげなことに頷くと、施術者も引き続き丁寧に仕事を進めていく。
「ほーん…ほんっとに何もねぇただの浜辺だねぇ」
眩い陽射しに手をかざし、皇・美虎(壁絵描きのお虎・f18334)が海を見渡す。その出で立ちは涼しげなブルーの水着姿で、腰周りを彩るパレオも目に鮮やかである。ちなみに彼女は腰から下に虎の首から下を持つ『虎タウロス』であり、パレオを巻いている腰は虎主体で見た場合の腰である。毛皮の色との対比もまた美しい。
「しっかし、船ん中がぜーんぶ海と浜しかないだなんて、随分粋な船だこった。こいつァ良い絵が描けそうだぜ…っしょっと」
画架にキャンバスを固定して、海に向かって設置すると、楽しげに金の瞳を輝かせ、様々な画材を次々広げる。画題を画面に捕まえんとするその目はたとえば、肉食獣のようであり。そしてその目は、抜け目なく次の獲物にも狙いを付ける。
「お、そこの兄さんに姉さん、それに秦田のグリモア猟兵さんも記念に似顔絵でもひとつどうだい?今ならお足は取らねぇよ」
思い思いに海を楽しむ猟兵たちへ、美虎は目をやり声を掛ける。きょとんとする者、楽しみにする者、反応はそれぞれであるが、概ね良好な反応である。絵師は頷き、よく乗る筆を走らせて言った。
「風景画が一段落したら描いてやっから、それまで乳繰り合ったり遊んでいておくれよ」
「乳繰…っ!?」
言葉を選ばぬその発言に、成美は苦笑し、麻弓は絶句する。身を捩って乗り出したその様子は、引いてるとか閉口してると言うよりは『良いの!?』って表情である。少年の苦笑はさらに深くなりながらも、丁寧な施術は疎かにされず器具を押し込む手も熱心で――
「痛ぁっ!?」
急に襲い来た激痛にグリモア猟兵は声を上げて腰掛けたそこから転げ落ちた。患部がどこかは分からないが、ひとまずは言行が悪かったということで良かろうか。
●あしたからほんきだす
砂山からお城を作ることの意外な難しさに楽しそうに唸る織姫の下へ、種々の冷凍フルーツに、先ほど割った西瓜も加えてアレンジされたカキ氷。「はい」と差し出されたそれは、ヴィリヤの屋台の品物である。ひんやりと美味しそうなそれに声を上げ、お礼を言って口に運び、期待を裏切らぬ味にまた声を上げた。
それは約束の報酬として、グリモア猟兵にも届けられる。激痛のために座りこんだままに受け取り、目を輝かせて幸せそうな笑顔で食べると、その様子にヴィリヤも微笑み返す。マッサージを終えた成美にも手渡され、筆を一心に操る美虎の傍らにも置かれ。
一通り楽しんでから、麻弓は少し困った顔をする。言ってしまえば『リソースを払わずに集客のアイデアを集めよう』というリゾート船サイドの陰謀があったわけだが、どうにもセンスや技術の問われるものが多く――というか問われない商売を探す方が難しいだろうが――彼女的にはクライアントのお眼鏡に適わないかもしれないという懸念があるようだ。そんな様子を気にしたわけでもないだろうが、ヴィリヤの口から一つの意見が発せられた。
「……ここって出店してみたい人を募集したら集まるんじゃないかな?その噂で遊びに来る人も呼べそうな気がするし、どうなのかな?」
「それですっ!!」
せっかく外に頼るなら、徹底的に頼ってしまうのもアリだろう。そんな結論ににわかに表情を明るくしたグリモア猟兵は、それを誰かしらに報告するためにどこかしらへ駆けて行った。宣伝にもセンスは求められそうであるが、そこは関知すべき所でもないだろう。
装置の陽射しも天頂を越え、段々に水平線へと近付いていく。あともうちょっと、思う存分に楽しもう。そうしてまた次の日からはオブリビオンとの戦いの日々である。がんばれ、猟兵諸君。
大成功
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