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情報の対価は盗賊王の遺産!?

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「ねぇねぇ、そこの君っ! 手が空いているのなら手伝ってほしい案件があるんだけど、いいかなっ?」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が、猟兵たちに声を掛けてきた。
「今回はアックス&ウィザーズ世界でオブリビオンが大暴れするって予知をキャッチしたんだよっ! でもちょ~っと特殊なケースでね……?」
 レモンはあはは~っと苦笑いしながら説明した。
「オブリビオンの出現自体は間違いないんだけど、今回はどこにいつ現れるといった情報が全くないんだよ……。ごめんなさいっ!」
 集まった猟兵たちは顔を見合わせる。これでは手の打ちようがないじゃない。
 だが、レモンは望みはあると彼らに伝えた。
「辺境からやってきた古美術商が、オブリビオンの情報を掴んでいるらしいんだよっ! 古美術商は、あたいがこれから転送する街の宿に泊まっているよっ!」
 なるほど、それならばその古美術商に聞き込めば解決だ、と安心した猟兵たちにレモンは待ったを掛ける。
「それがね? その古美術商は情報提供の代わりに対価を要求してくるんだよね。その対価っていうのが、街のはずれの洞窟に眠る伝説の大盗賊の遺産なんだって……っ!」
 つまり、猟兵たちがその大盗賊の遺産を見つけ出さなければ、古美術商から情報を得ることが出来ないというわけだ。
「問題の洞窟はね、とても道が入り組んでいて、罠や暗号などの仕掛けがたくさん仕掛けられてるって話だよっ。力自慢の猟兵なら真正面から挑んでみてもいいけど、罠を解除したり、マッピングしたり、暗号を解いて突破してゆくものアリじゃないかなっ?」
 また、古美術商を納得させるお宝を得るために、猟兵たちの審美眼も必要だ。
「色々と手順が多くて大変だけど、急がば回れって言うし、猟兵のみんななら出来るってあたいは信じてるからねっ! それじゃあ、行くよっ! しゅっぱ~つっ!」
 レモンのグリモアが輝くと、猟兵たちの転送を開始するのだった。


七転 十五起
 七点十五起(なぎてんはねおき)と申します!
 今回はアックス&ウィザーズのお話をお届け致します。
 武器と魔法と竜の世界、楽しんで参りましょう。
 内容はお宝探して情報をゲット! そして情報をもとにオブリビオンをやっつけてもらう流れです。
 リプレイは猟兵たちが洞窟に入るところからスタートです。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『盗賊王のお宝探し』

POW   :    真正面から真っ向勝負。力技で障害物を乗り越える

SPD   :    敵対生物の気配を探る、隠された道を見つける、罠を解除する等

WIZ   :    宝の地図や隠された暗号を読み解く、快適な野営方法を提案する等

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

緋神・美麗
大盗賊の遺産かぁ。どんな財宝が眠ってるのかすごく興味深いわね。ちょっと本気出してみようかしら。
【WIZ】
猫型PDAにマッピングデータを入力して隠し部屋や隠し通路がないかを推測するわ。
通路の壁面に暗号とかがないかも注意しておくわ。暗号らしきものを見つけたら写真に撮って画像解析して分析したり全力で暗号解読に取り組むわね。



情報が欲しかったら伝説の大盗賊の遺産を持ってこいと、辺境からやってきた古美術商は言った。よくよく考えたらとんでもない無茶振りである。だいたい、存在するかどうかも分かっていないから伝説といわれているのだ。まさに霞を掴むが如き要求である。だが、文字通り世界を股にかける猟兵たちには、身の危険よりも冒険心が勝る者も少なくなかった。
「大盗賊の遺産かぁ。どんな財宝が眠ってるのかすごく興味深いわね。ちょっと本気出してみようかしら」
 緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)もそんな冒険魂を燃やす猟兵のひとりだ。
「まずはマッピングよ。データとして蓄積させていけば、この洞窟の構造を解析できるはずだわ」
 猫型PDA片手に洞窟探索を開始。
 洞窟を進んでゆくと、入り口付近は日光のおかげで視界が良好だが、洞窟の深部はほとんど光が差さないため、次第に薄暗くなり、視界も悪くなってゆく。
 緋神はひとまず、明るい部分のマッピングデータをくまなく入力し終えると、今度は壁を注視する。撮影を行い、怪しい部分がないか画像解析を行う。しかし、光の届く範囲内の岩肌に異変は見られず、仕掛けや隠し通路の手掛かりも見当たらない。
「どうやら空振りのようだわ。それに、これ以上進むためには松明か、それに代わる照明器具が必要よね……」
 目の前の暗黒の闇には、罠や仕掛けが数多く待ち受けているはずだ。
 残念だが、一度、出直す必要がありそうだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ!お宝探しとは海賊の腕がなるというもんじゃ。
わしも若いころはよくお宝を隠してたからのう。
手口は熟知しておるのじゃ。

通路を曲がった直後やら、デコボコした壁や床の死角やら、
過去の経験から罠を見抜き解除しながらズンズン進んでいくぞい。

もし、罠にハマっちまっても、クイックドロウで先にぶっ壊すとかもありじゃな。

あとはお宝を隠したのはアックス&ウィザーズの昔の盗賊なんじゃろう?
その世界の種族しか考えておらん罠じゃと、わしみたいなデカいマシンには効かん罠もありそうじゃ。
例えばありがちな罠じゃと、
毒ガスとか、息しとらんから効かんじゃろうし
頭を射抜く矢とか、わしじゃと肋骨の隙間を抜けていきそうじゃ。



入れ違いで洞窟にやってきたのはウォーマシンのブラスターガンナーのバーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)だ。大盗賊の遺産と聞いて、自分の若い頃を思い出してお宝探しに馳せ参じたのだ。
「ガハハハッ! お宝探しとは海賊の腕がなるというもんじゃ。わしも若いころはよくお宝を隠してたからのう。手口は熟知しておるのじゃ」
 自信満々で洞窟の奥へ進んでゆくバーソロミュー。彼も灯りの類を持たずにそのまま進んでいってしまう。しかし、そんなものなどいらぬと言わんばかりにズンズン先へ進んでゆく。彼には自身の経験をもとに行動を開始する。
「通路を曲がった直後やら、デコボコした壁や床の死角やら、そんなところに罠が仕掛けてあると相場が決まっておるんじゃ!」
 バーソロミューの言葉通り、手探りで壁の突起やら床の物陰からゴロゴロと罠が見付かるではないか。それを見付けては熱線銃(ブラスター)で破壊してゆき、更に奥の暗闇を掻き分けてゆく。
「ガハハハッ! 楽勝じゃな! 所詮、アックス&ウィザーズの昔の盗賊が仕掛けた罠! マシンのわしにはお見通しじゃ!」
 明かりもなく、暗視技能もなく、奇跡的に洞窟の奥地を進んでゆく彼のおかげで、道中の罠の解除はほぼ完璧と言えよう。
「毒ガスの罠や弓矢の嵐も、マシンのわしにかかればちょろいもんじゃ……む?」
 バーソロミューはふと立ち止まる。罠は確かに事前に解除できた。誤って作動させても、クイックドロウで難を逃れて奥までやってきた。やってきたはいいが、視界が暗闇でゼロのため、彼は自分自身がどこにいるのか見失ってしまった。それに道中に価値のあるお宝があったとしても素通りしている可能性が高い。
「ガハハハッ! 道に迷ってしまったわい!」
 やはり、照明の類を持ち込むべきだったと今更ながら彼は思い知る。
 このあと、数々の罠を強引に突破しつつ、バーソロミューは命からがら洞窟から脱出。道中の安全はある程度確保できたが、肝心のお宝の情報は、未だ猟兵たちは入手できぬままであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

城田・紗希
罠の先のお宝かー。
実家の罠屋敷を思い出すなぁ…実家って言っても親戚の家だけど。お宝はご飯だけど。

まず野生動物対策に、トラバサミを仕込んでレプリカクラフトで…作ったはいいけど何だっけこれ(名前をど忘れ)
罠対策は荒いレプリカクラフトを雪下駄代わりにして、あと罠は見かけ次第こわs…解除するよ!

洞窟ってことは、落とし穴とかボタンとかは少ないかな?
地面付近のワイヤーとか紐を探しつつ、壁のボタンとかも警戒して……
……あれ、この罠って作動済み?


緋神・美麗
明かりを用意してないとか迂闊も良い所だわね…。しっかり準備してリトライね。
街まで戻って頑丈で小ぶりなランタンを3つと十分な燃料を用意するわ。2つは予備ね。暗闇の先はランタンを灯してサイコキネシスで先行させるわ。手に持ってるといざという時邪魔だし、もし敵がいたら居場所がまるわかりだからね。
罠解除の道具や鍵開け道具、ロープなんかは多目的万能ツールに揃ってるからそれでカバーするわ。
あとはさっきと同じで猫型PDAにマッピングデータを打ち込みながら暗号がないかも注意深く探しつつ進んでいくわ。今度こそお宝ゲットするわよ。


ルイズ・ペレンナ
大盗賊の遺産と聞けばわたくしも泥棒の端くれとして興味はありますわ
ちゃんと金銭に換えられるお宝だと良いのですけれど

【SPD】
道中は懐中電灯で照らしながら進みつつ、光届かぬ闇の先を「暗視」で目を凝らしてみましょうか

具体的には高くなってる天井だとか、壁面の亀裂や隙間、床の穴底とかかしら
月並みですけど、一見して見えない場所や簡単に手の届かない場所が怪しいという方向で探索しますわ

仮に高い天井や狭い隙間に仕掛けがあっても
わたくし変幻自在のブラックタールですの
伸縮自在の「バウンドボディ」で
普通なら届かぬ先に手を伸ばして御覧に入れましょう



街に戻った緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は雑貨屋に立ち寄っていた。
「明かりを用意してないとか迂闊も良い所だわね……。しっかり準備してリトライね」
 彼女は頑丈で小ぶりなランタンを3つと充分な燃料を購入。そして、ベルトポーチに納められた多目的万能ツールの中身を確認する。
「罠解除の道具や鍵開け道具、ロープもよし。これである程度はカバーできるわ」
 いざ、再挑戦しようと洞窟に出かけた緋神。そこで彼女は2人の猟兵の姿を見かける。
 ひとりは城田・紗希(人間の探索者・f01927)。洞窟の入口の目の前でユーベルコード『レプリカクラフト』によるトラバサミの偽造複製を行っていた。
「罠の先のお宝かー。実家の罠屋敷を思い出すなぁ……」
 その言葉を聞いていたブラックタールの女性のルイズ・ペレンナ(怪盗淑女・f06141)が怪訝な表情を浮かべる。
「なんだかあなたのご家庭、複雑な事情を抱えてそうね?」
「実家って言っても親戚の家だけど。そしてお宝はご飯だけど」
「もしや欠食児童ですの!?」
 ルイズは踏み込んではいけない家庭の暗部を聞いてしまったような気がして気まずくなった。だが城田本人はあっけらかんとしていた。
「よーし出来ました! これで野生動物対策は万全……って、これ、名前なんだっけ?」
「トラバサミですわ」
「そう、それです! これを雪下駄代わりにして……」
「えっ?」
 ルイズは目を見開いて驚いた。目の前のセーラー服の少女がトラバサミを雪下駄のように履いているのだ。一体何のために??
「これで罠は見かけ次第こわs……解除するよ!」
「いや、そんなことしなくても私が解除できるわよ……」
 見兼ねた緋神が2人の背後から声を掛ける。猟兵たちは軽く自己紹介を済ませる。
 照明器具を持っていない城田へ、緋神がランタンをひとつ貸し与えた。
「わたくしは自前の懐中電灯を持っていますわ」
「あら、ルイズさんは用意がいいのね?」
 緋神の言葉にルイズはくすりと悪戯めいて微笑む。
「だって、わたくしも泥棒の端くれですもの。それに、大盗賊の遺産と聞けば興味はありますわ。ちゃんと金銭に換えられるお宝だと良いのですけれど」
「大丈夫ですよ。古美術商が買うって言ってるんですから」
 トラバサミを装備した城田が頷く。
 かくして、3人は洞窟内の探索を開始する。

「洞窟ってことは、落とし穴とかボタンとかは少ないかな?」
「どうかしら? とにかく、不用意に怪しい部分は触らないようにね?」
 緋神が非常時に両手が開くようにサイコキネシスでランタンを宙に浮かせたまま先行し、城田がトラバサミをガッションガッションと響かせてその背を追う。後詰めはルイズが懐中電灯と暗視技能を駆使して光の届かない高い天井や壁面の亀裂や隙間、床の穴底を注意深く観察する。
 先駆者が大半の罠を破壊してくれたおかげで、今回の探索はかなりスムーズに奥まで進むことが出来た。たとえ罠があっても、緋神のツールと城田がトラバサミできっちり破壊してゆく。もちろん、ここまでのマッピングは緋神のPDAにデータとして集積してゆく偶然だが、この3人、意外と相性が良いみたいだ。
「あれ? あの岩の突起、怪しいですね」
 城田が指差した空間に灯りを照らすと、不自然に削られた三角形の岩が並んでいる。
「見てください。天井にも似たようなオブジェクトがありますわ」
 ルイズも天井を指差し、懐中電灯を向けた。
 どうやら、これはパズルになっているようだ。
「上下の組み合わせで道が開けるのかしら?」
 ようやく暗号解読の機会が巡ってきたと意気込む緋神。あれこれ推理するうちに、彼女は天井の突起が床の天井の隙間と噛み合うようにすればいいのだろうと結論付けた。
「でも、あんな高い場所は手が届かないわ。射撃で撃ち落とせっていうの?」
「どうやら、わたくしの出番ですわね?」
 ルイズはその体をユーベルコード『バウンドボディ』でぎゅ~んと天井へ伸ばした。
「わたくし変幻自在のブラックタールですの。伸縮自在のこの身体で、普通なら届かぬ先に手を伸ばして御覧に入れましょう」
 ルイズが岩の突起を抱きしめると、元に戻る柔軟性を生かして天井から思いっきり引っぺがしていった!
「これでOKですわ」
 ルイズが地面の突起と組み合わせると、地面が光り輝き始める。
「おおっ、なんか光りましたよ!」
 城田がオブジェクトへ一歩進み出た、その時だった。
 不自然に城田の右足が深く沈んでゆくのだ。これはもしや……。
「……あれ、これって罠のスイッチ?」
 次の瞬間、岩壁が轟音を立てて崩れ始める! 3人は緊急退避!
 だが振り返った緋神が足を止める。
「ねぇ! あれを見て!」
 彼女が指差した先……岩壁が崩落したあたりに、荘厳な銀色の扉が出現!
「間違いないですわ! これは隠し扉ですわよ! 城田さん、お手柄ですわ!」
「えっ、私デスカ!?」
 思わぬ収穫に喜びあう猟兵たち。ようやく、大盗賊の遺産の手掛かりを得ることが出来たのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ギャンビット・メレナス
オレと同業の者がいるという噂を耳にしたガ、目的の洞窟とはここか、タル。しかしこの暗さ、灯りを持って進むのが賢明だナ。1フランの灯火(懐中銃:ライター)で目先を照らしながら進むカ。
ン?罠が解除ないし壊されていル?誰かが既に先を行っているのは間違いなさそうダ。お宝と聞くと惹かれるガ、持ち帰るため、何とか皆で協力したいところダ。お宝の場所までに解明困難なギミックや鍵があれば、手元の灯りを利用して影を盗み、コピーから直接解答をもらうのも手かもナ。(SPD:シャドウスティール)
後は、洞窟の踏破となれば、崩落の可能性もあるだろウ、ビクトワールの加護(懐中銃:アンカー付きワイヤー)が役に立つかもしれないナ。


シェーラ・ミレディ
【WIZ】
お宝だと!?
大盗賊の遺産と言うなら、絵画が一点だけということもないだろう。金銀財宝の山じゃないか? 一攫千金ではないか!
ほう、成程。古物商に渡さなければならないのか。ふぅん。
……何、少しばかり手間賃を頂戴するだけだ。構うまい。

先ずは灯りを用意しておく。ランタンがあればそれだ。火は色々と使えるからな。
事前の情報から隠し扉まではスムーズにたどり着けるだろう。後は僕の豊富な技能の出番だ。仕えそうなのは【鍵開け】【情報収集】【学習力】【早業】【盗み】辺りか?
……最後の盗みはアレだ、宝をちょっと懐に入れるだけだ。気にしないでくれたまえ。



遺産の扉は発見された。猟兵たちはすぐさま回収へ行動を移す。
「オレと同業の者がいるという噂を耳にしたガ、目的の洞窟とはここか、タル」
 1フランの灯火(懐中銃:ライター)で暗闇を照らしながら、問題の銀の扉までやってきたのはブラックタールのギャンビット・メレナス(変幻自在の怪盗紳士・f05402)だ。
「ン? ここまでの道程の罠が解除ないし壊されていル? 誰かが既に先を行っているのは間違いなさそうダ」
 すんなりと目的地へ辿り着けたのは、他の猟兵たちの頑張りがあったからである。
「シカシ、オレひとりでは持ち運べる財宝の量は限られる、タル。持ち帰るため、何とか皆で協力したいところダ……ン?」
 扉の前で思案に暮れるギャンビットは、誰かがこちらへ近付いて来るのに気が付く。
「灯りガ……他の猟兵カ?」
「おっと、先客か?」
 ミレナリィドールの少年、シェーラ・ミレディ(四連精霊銃・f00296)はギャンビットの姿をランタンで照らした。
「僕は猟兵のシェーラ・ミレディだ。君もお宝が目当てなのか?」
「如何ニモ。オレは義賊の怪盗紳士、ギャンビット・メレナス、タル」
 シルクハットを掲げて挨拶をする怪盗紳士に、シェーラは思わず顔を綻ばせた。
「君もシーフか! ちょうどいい。協力しないか? 大盗賊の遺産と言うなら、絵画が一点だけということもないだろう。金銀財宝の山じゃないか? 一攫千金ではないか!」
「協力は吝かではない、タル。ダガ、待て。その財宝は、オブリビオンの情報と引き換えに古美術商に引き渡す事になっている、タル」
 ギャンビットの言葉に、シェーラはしばし考え込む。
「ほう、成程。古物商に渡さなければならないのか。ふぅん」
 確かに、情報を得るためには遺産とやらを見付けて引き渡さねばならない。
 だが、全て手引き渡す必要があるのか、と問われれば否であろう。
(……何、少しばかり手間賃を頂戴するだけだ。構うまい)
 もとより、自身の高価な身体を維持するために東奔西走している毎日だ。自分が対価を貰っても文句は言われまい。
 かくして、シーフコンビは目の前の扉の開錠に挑む。
「こんなときこそ、僕の豊富な技能の出番だね? 鍵開け、情報収集、学習力、早業、盗みと必要な技能は揃えてあると自負している」
「ン? 盗む必要があるかは定かではないが、心強い、タル」
「任せてくれたまえ。早速、開錠に取り掛かろう」
 銀色の扉をピッキングすれば、さほど時間掛からずに扉が開かれる。
「ふっ、僕にかかればこのとおりさ」
 得意満面の笑みを浮かべるシェーラだったが、ガンビットが灯りを暗闇に向けると事態は一変する。
「ム? おかしい、タル。また扉がある、タル。シカモ、2つダ」
「なんだって?」
 2人の前に、今度は赤と青も扉が現れた。その中央の石板に文字が刻まれている。
『愚者は土塊を掴み、賢者は財宝を掴む』
 シェーラは自身の有する多種多様な技能を活用し、この石板の言葉を推理する。
「つまり、どちらかが財宝の部屋で、どちらかが罠というわけだ。土塊を掴むという事はだ、最悪、ここが崩落して生き埋めになるってことかもしれないな」
「ン? ならば、崩落事態を防いでみる、タル」
 ギャンビットはビクトワールの加護(懐中銃:アンカー付きワイヤー)を岩肌に引っ掛けると、自分たちの頭の上に網状に張り巡らせる。
「コレで、多少の崩落は凌げるはず、タル」
「やるじゃないか、ギャンビット!」
「過信はできぬガ、な? サテ、どちらの扉を開けるべきで、タルカ?」
「いや待て、ちょっとここに文章が気になるな」
 シェーラは石板の更なる文字を発見する。
『賢者とは、分け与える者であり、多くの友人を持つ者を差す』
「つまり、この石板の情報を人事るならば、愚者は遺産を独り占めしようとするものだ。遺産を独り占めにするなら、ここに単独で来なければならない。すると、どちらの扉を開けても、恐らく罠が発動するのか……?」
「ならば、オレたち2人が同時に扉を開ければ、罠を回避できるかモ、タル」
 シーフコンビは暗号の解読に成功!
 恐らく、遺産を残した盗賊王は、多くの人へ自分の遺産を分け与えたかったのだろうが、やむなくこんな洞窟の奥地へ隠さざるを得なかったのだろう。だから独り占めされることを嫌い、このような罠を仕掛けたのだろうか。
「まぁ、今のなっては憶測の域を寝ないがね? ギャンビット、青い扉は任せた。僕は赤い扉をこじ開けよう」
「承知した、タル」
 シェーラは再びピッキング作業に取り掛かり始めた。そしてギャンビットは青い扉の鍵穴へ灯りを当て、鍵穴の影を注視する。
「自由が欲しくはないカ? ならば、共に来イ」
 彼のユーベルコード『見抜かれた自由への渇望(シャドウスティール)』が発動!
 なんと鍵穴の影から鍵が出現! それを鍵穴に差し込むと、いとも簡単に開錠できてしまった。
「早いな、ギャンビット!? まぁ、僕も今しがた終わったんだが」
 シェーラもほぼ同時に鍵をこじ開けることに成功。
 そして2人は、同時に扉を開けた……。その先には……。
「す、すごいぞ! 金貨の絨毯だ! 床一面に金貨がばら撒かれているぞ!」
「フム、宝石の類や刀剣類、絢爛豪華な調度品まデ……! これは見事、タル……!」
 遂に、2人は伝説の盗賊王の遺産を発見したのだ!
 2人は急いで街の人を呼び、その財宝を持ち運ぶ事にした。
(さて、予定通り手間賃は戴いてゆこう)
 こっそりと金貨と宝剣を懐に忍ばせたシェーラがほくそ笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『店の売り子手伝い』

POW   :    とにかく通りかかる人に声をかける

SPD   :    自分の特技を披露して衆目を集める

WIZ   :    商品の配置や看板などを魅力的なものに改善する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「本当に存在したなんてな……。あ、いや、君たちの活躍は耳に届いてたさ。ありがとう、助かったよ」
 猟兵たちは情報を得ようと古美術商に詰め寄る。だが、古美術商は首を横に振った。
「君たちは何か勘違いしていないか? 私は蒐集家ではない。古美術商、つまり商人だ。こんな素晴らしい“商品”を売らずにどうするっていうんだ?」
 まさか、と猟兵たちは顔を見合わせる。引き渡せば情報を貰えるという約束ではなかったのか?
「まさか! 君たちには、これからこの街でこの財宝を売る手伝いをしてもらうよ。全部完売するまで、情報は渡せないので、そのつもりで頼むよ。ああ、もちろん、売り上げの一部は君たちの報酬として支払おう。それでいいだろう?」
 目の前の古美術商の要求に、猟兵たちはみな肩を落として溜息を吐く。
 世界を救うためだ。ここはひとつ、古美術商の鼻の穴を明かしてやるくらいに売り捌いてやろう!
シェーラ・ミレディ
【WIZ】
タダ働きでないだけマシだとは言うものの、何とも狡賢い商人だな!
まぁ、財宝を捌かねば情報が得られないのであれば仕方ない。売り切る策を考えるとしよう。

先ずは古美術商から近場にいる馴染みの客を聞き出して、紹介状を書いて貰うぞ。次に財宝の目録を作り、聞き出した客を訪ねて回る。
紹介状と目録を見せ、【礼儀作法】【コミュ力】【言いくるめ】【誘惑】辺りを使いながら売り込めば、本人に興味がなくとも好事家仲間を紹介してもらう事は可能じゃないか?(【情報収集】)
後は芋づる式に客を見付けられるはずだ。

嗚呼、売り文句に「現品限りですので、売れてしまった場合は悪しからずご了承ください」と加えるのを忘れずにな。



商人の言い草に、シェーラ・ミレディ(四連精霊銃・f00296)は呆れ返っていた。
「タダ働きでないだけマシだとは言うものの、何とも狡賢い商人だな!」
 いいように顎で使われる猟兵たちの気持ちを代弁するシェーラ。しかし、従わねば情報を得ることが出来ず、オブリビオンによってこの世界が蹂躙されてしまう。
「まぁ、財宝を捌かねば情報が得られないのであれば仕方ない。売り切る策を考えるとしよう」
 幸い、彼にはあらゆる状況下において対応できる多種多様な技能を有している。ひとつひとつは熟練度は浅いが、その組み合わせ次第で臨機応変に対応できることが強みだ。
 シェーラはしばらく街を散策しながら思案に暮れた後、再び古美術商の元へ戻ってきた。
「どうした? まだひとつも売れていないじゃないか?」
「その前に、聞きたいことがある。この街の周辺に、君の馴染みの客がいるはずだ。教えてくれないだろうか?」
「おお、勿論だとも。今すぐ紹介状も書いてやろう」
 紹介状の事を頼もうとした矢先、古美術商が手配してくれるとあってシェーラは胸を撫で下ろしていた。
「それは助かる。ところで、君は売り歩かないのか?」
「ん? ああ、私ほどの商人ともなると、顧客の方が足を運んでくるのだよ。今日もこの後、7件の商談を抱えている」
「まったく、いつの間にそんな手回しを……」
 シェーラは目の前の古美術商の抜け目のなさに感心しつつも苦笑いを浮かべてしまう。
「というわけで、ここから遠方の顧客の紹介状を君に手渡そう。なかなかの上客なんだが、屋敷に引きこもりがちの女主人でね? まぁ、礼儀作法には気を付けることだね」
 なんだか体よくこき使われる羽目になったが、シェーラはぐっと堪える。
「……心得た」
 とにかく、これでまずは第一段階クリア。
 シェーラの作戦は此処からだ。

「まさか街から丘ひとつ超える羽目になるとは……」
 町から出発して1時間弱のところに、ポツンと一軒の屋敷が現れた。彼は屋敷の扉を叩くと、中から中年女性のメイドが顔を出した。
「どちら様でしょうか?」
「突然の訪問の非礼は詫びよう。僕はかの辺境の古美術商の紹介で、伝説の大盗賊の遺産の品を拝見しに参上したシェーラ・ミレディという者だ。ここに住まう女主人に用件がある。これを目通し願いたい」
 彼は持ってきた財宝の目録と、古美術商の紹介状を中年メイドに手渡した。
「おや、あの方のお知り合いでしたか。では、応接間へご案内いたします」
 シェーラは屋敷の中に通され、応接間のソファーに腰かけて女主人を待つことに。すると、再び中年メイドが戻ってきた。
「申し訳ございません。主様はお身体が優れないので面会は難しいとのことです」
「なんと。では、出直すとしよう。お大事にと伝えてくれたまえ」
 シェーラは空振りだったかと肩を落として立ち上がるが、それを中年メイドに制止された。
「待ってください。主様は商品はこの場で買うので置いておくように、と。これが代金です」
「なっ!?」
 はちきれんばかりに金貨が詰め込まれた麻袋を5袋も手渡され、喜びと驚きで目を白黒させるシェーラ。更に今度は銀貨の詰まった麻袋が追加された。
「これは私の分でございます。……まだ、財宝はあるのでしたら、この銀貨の分だけで買える品々をいただけませんでしょうか。その、また、貴方様の端正なお顔を見たくて……」
 どうやら、シェーラの美貌の誘惑に、中年メイドはイチコロのようだ。
(なんだか昔を思い出すな……)
 彼は元々、ある富豪の婦人の元で寵愛を受けていた。だが、ある時、なんやかんやの後に暇を出され、いつの間にか猟兵生活を送っていたのだ。
(まぁ、好都合だ。すこし情報を引き出してみるとしよう)
 シェーラは誘惑技能の影響か、周りの空気をキラキラと煌かせるような雰囲気を醸し出しつつ、中年メイドの手を取った。
「時に“お嬢さん”、主様のツテで他の好事家への紹介状を貰いたいんだ。主様へ伝えてもらえないだろうか?」
「は、はい……♪」
 こうして、シェーラは芋づる式で行く先々の女性客をオトして荒稼ぎをしていったのだった。
 勿論、クレーム対策として『現品限りですので、売れてしまった場合は悪しからずご了承ください」と加えるのを忘れずに』という謳い文句を添えて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋神・美麗
ん~、財宝取ってこいはともかく売るのまでやらされるとは思わなかったわね。というか、手伝いじゃなくて丸投げってどうなのかしら。ピンハネしてもいいって事かしらね。まぁ、とりあえず全部捌かないとね。
まずは『伝説の大盗賊の遺産』であることを大々的にアピールする看板を作って、財宝も1つ1つ磨いて綺麗にして見栄え良くレイアウトしていくわね。
あとは【存在感】【コミュ力】【言いくるめ】を駆使して売り子を頑張るわね。お客様に出来るだけ丁寧に対応しながら無理のないレベルで出来るだけ高く買ってもらえるよう全力を尽くすわ。



「ん~、財宝取ってこいはともかく、売るのまでやらされるとは思わなかったわね」
 この展開は想定しなかった緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は街の広場で急設の露店をこしらえていた。
「というか、手伝いじゃなくて丸投げってどうなのかしら?」
 ピンハネされても文句は言えないのでは、と魔が差しそうになるが、すぐに首を横に振った。
「ううん、とりあえず、この財宝を全部捌かないとね」
 まず緋神は財宝をひとつひとつ丁寧に磨き上げるところから始めた。財宝とはいえ、長い間、洞窟内で眠っていた代物だ。土砂等で汚れている品々も多数あった。ひとりでこなすには量が多いが、それでも全力で取り組めばある程度の数を揃えることが出来た。ワゴンの中に見栄えよくレイアウトすれば、財宝の輝きが一層引き立つ。
 次に看板作りだ。大きく太い文字で『伝説の大盗賊の遺産、ここに現る!』と書き記した羊皮紙を木の板に張り付けて露店に立て掛けた。これで準備は万端だ。
「あとは呼び込みね! いらっしゃいませ! あの伝説の大盗賊の遺産が、貴方にも手に入る絶好のチャンスよ!」
 緋神の声の存在感と会話術は、たちまちお客の心を掴んでいった。
 偶に文句を言うクレーマーに対しては、口先で受けて立って言いくるめてしまう強気な商売姿勢を見せる。
「だいぶ売り捌けたわね。ちょっと安く売りすぎた気もするけど、いくらで売れとは指定されていないもの。別にいいわよね?」
 街の一般家庭でも無理のない範囲で購入できる値段設定を考えたら、かなりの破格で売り捌いたことは事実。だがそれでも、まだまだ財宝の在庫は残っている。緋神の活躍に、他の猟兵も波に乗ってゆきたいところだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希
とりあえず、レプリカクラフトでお宝の偽物を荒く作って、早造りのショーとして客寄せしようかな。
精度は(意図的に)荒くしてるから、質屋に持ち込まれてもすぐ偽物ってバレるはず?

あとは、レプリカは安めに、本物は高めに売ろうかな…。
さすがに、リクエスト受けて作るレプリカは(気まぐれに作るレプリカより)高くするけど…。
それでも、レプリカは手が届く程度には安めにしとこうかな。

一応、安く売っても問題ない、偽物は何個か見つけておく。
(偽物か怪しいものは目利きの効く人に預ける意味でしまっておこうかな…)



街の広場の露店にて、城田・紗希(人間の探索者・f01927)は財宝と睨めっこをしていた。
「次はこれですか? わかりました、こうやって、こうで、こんな感じです!」
 ユーベルコード『レプリカクラフト』で、お客からリクエストされた商品(財宝)を偽造してみせる。作りは非常に荒いが、ものの十数秒で作ってしまうのでお客になかなか好評を博していた。周囲の見物客もそこそこ多い。
「レプリカは銅貨1枚、本物は金貨10枚、どうですか? あ、レプリカを転売しようと思っても無駄ですよ?」
「分かってるって。うーん、でも俺はレプリカでいいかなぁ?」
「私は本物を買おう。はい、金貨10枚ね」
「ありがとうございます!」
 城田の作戦により、客引き自体は順調だ。
 だが、余興で作ったレプリカまで売ってしまったため、それに満足してしまうお客が現れ始めてしまった。いくら粗悪品とはいえ、高額品の代用で満足させてしまっては肝心の遺産が売り捌けない。もちろん、面白い余興のついでに本物を買うお客も少なくないが、少々城田が想定してる売れ行きとは違う結果となってしまった。
「う~ん、ちょっと想定外です……」
 だが、レプリカ制作ショーの客引きの効果自体は有効だ。販売は他の猟兵に任せてみるとしよう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ルイズ・ペレンナ
あら複製品ですの?よく出来ていますわね
せっかく人も集まっているようですし状況を利用しない手はないですわ

複製は複製、本物の持つ輝きには敵わない……
という方向で財宝を売ってみましょうか

具体的には裕福そうな商人や身分の高そうな人物への売り込みですわね
【礼儀作法】で相手を誘うにふさわしい品格と上流の物品の価値が分かる淑女のように振る舞いつつ
「複製品と比べると、より本物が持つ価値と品位が際立つと思いますの。正に貴方に相応しい逸品ですわ」
「見る人が見れば物の価値は分かるもの。一流の商品を扱ってこそ一流の商人ですわ」
例えばそんな風にお客様を持ち上げつつ財宝の価値をアピールし、なるべく高く売りつけましょう



「あら複製品ですの? よく出来ていますわね」
 ルイズ・ペレンナ(怪盗淑女・f06141)が、露店に並べられた複製品を手に取って眺めていた。この複製品の物珍しさが、客足を伸ばし続けている要因だ。
(せっかく人も集まっているようですし、状況を利用しない手はないですわ)
 ルイズは早速、見物人の中から身なりが上等な男に近付いた。
「いらっしゃいませ。いかがです? こちらはどれも本物ですわ。お手に取ってご覧くださいまし」
「では、早速……。ふむ、これは純金かな? ずっしりとした重さが心地いいね」
「さすがはお客様! 貴方なら違いが分かると思っておりましたの!」
 ルイズは礼儀作法を重んじ、その黒く輝く蠱惑的な肉体から発せられる上品な品格をもって、違いや価値が分かる淑女として振る舞う。そうすることで、上流階級と思しき客と話を合わせて商談に持ち込む作戦だ。
 そうとは知らずに男は上機嫌! ルイズの言葉にドヤ顔で言い放つ。
「当り前さ! 私は複製品には目もくれないさ!」
「すばらしいですわ! 分かってらっしゃいますのね? 複製品と比べると、より本物が持つ価値と品位が際立つと思いますの。正に貴方に相応しい逸品ですわ」
「そうだろう、そうだろう? うん、決めたぞ。その黄金の椅子を貰おうか!」
「ありがとうございます! やっぱり違いが分かる男性ってカッコいいですわね!」
 そういったルイズは、つぅーっと見物客の男性へ流し目を送ると、男たちは途端に財布の中身を確認しだした。
「お、俺も実は違いが分かる男でね! 本物しか身に着けないことにしているんだ!」
「オレだって、その、その金の首飾りくらいは毎日身に着けるくらいの品格は持ち合わせているぜ!?」
 その後、男たちは争うようにルイズへ金貨の袋を差し出してきた。
 そんな彼らに、ルイズは女神の如き微笑みで言葉を掛ける。
「見る人が見れば物の価値は分かるもの。一流の商品を扱ってこそ一流の商人ですわ。それを買い取ってくれる貴方がたは、一流のお客様ですわね?」
「「ああ、もちろんだとも!!」」
 こうして、ルイズの作戦は効果覿面。男たちはすっかりルイズ目当てに、財宝をどんどん購入してゆく。
(もう、どうやらわたくし、男性の心まで盗んでしまったようですわね?)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディスターブ・オフィディアン
WIZで行動
一つ一つの商品の来歴や由来を調べ鑑定し、売り口上と合わせることで魅力を高めてみよう
盗賊王の遺産にどんなものがあったのか、オレも興味があるしな
後はおびき寄せで客を集めていくぞ

「この金貨は千年前に滅びた王朝で使われていたものだ。特にこのコインはレリーフのグリフォンが幸運の象徴と言われていてな。お守り代わりに持ち歩く人間が多かったのだ」
「その壺の塗装は偶然によるものが多くてな。今も再現できず、当時の数もごく少数。現存する物は国宝級の扱いという代物だ」
「その宝石。それはダメだ、売れない。
 古くから持ち主に幸運をもたらすと言われ盗賊王も生涯手元から離さなかった逸品で――金貨十枚では売れんな」



「おお、これは……!」
 ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)は、まだまだ売れ残っている大盗賊の遺産の数々を鑑定し、感嘆の声を漏らしていた。
「盗賊王の遺産にどんなものがあったのか、オレも興味があったが、まさかここまで歴史的価値のある品々ばかりだったとはな……!」
 なかにはすでに滅んだ王朝に所縁のある物品であったり、存在自体が幻と言われていた貴重な芸術品が含まれていたのだ。他の猟兵たちが鑑定しなければ、その付加価値は誰も知ることがなかっただろう。
「辺境の古美術商とやらは、これらを全て売れというのか。……恐ろしいことを注文してきたもんだな……」
 依頼者の古美術商は確かに商才はあるのだろうが、恐らく売り物の本当の価値は理解できていないのだろう。ディスターブは肩を竦めながら、鑑定をいましばらく続けることにした。

 さて、鑑定を終えたディスターブは、客を呼び寄せて商品の価値を説明してゆく。
「この金貨は千年前に滅びた王朝で使われていたものだ。特にこのコインはレリーフのグリフォンが幸運の象徴と言われていてな。お守り代わりに持ち歩く人間が多かったのだ」
 判りやすい解説と付加価値を強調することで、多少値が張る商品でも客の購買意欲を促進させる見事な口上を披露した。おかげでまずは金貨が飛ぶように売れてゆく。
 その傍らで、余にも珍しい玉虫色の壷をを手に取った男性にディスターブは声を掛けた。
「その壺の塗装は偶然によるものが多くてな。今も再現できず、当時の数もごく少数。現存する物は国宝級の扱いという代物だ」
 国宝級と聞いて、壷を持つ男の手が震える。聞けば、この男は歴史研究家らしく、物珍しい品々の中でまさかと思って手に取った品がこれだったそうだ。男は言い値で買うと言い張り、実際ディスターブに大量の金貨の入った袋を強引に押し付けたのだった。
 更に、いかにも裕福そうな女性が手に取った宝石に対して、怪訝な表情でディスターブは告げた。
「その宝石。それはダメだ、売れない」
 女性は金貨ならあるわ、と10枚を差し出してきた。それでも、ディスターブは首を縦に振ろうとしない。
「古くから持ち主に幸運をもたらすと言われ、盗賊王も生涯手元から離さなかった逸品だ」
 彼は金貨10枚を女性からかっさらった後、右手を彼女の前に差し出した。
「――つまり足りないんだ、金貨10枚では売れんな」
 女性は幸運のためならと金貨の袋7つをディスターブに預けた。
「いいだろう。貴女に幸運が訪れることを祈ろう」
 ディスターブの活躍によって、財宝はあっという間に在庫が尽きていった。これで、古美術商からの依頼はすべて完遂だ。
 さぁ猟兵たちよ。今度こそ、情報を手に入れるのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「すごいじゃないか、あれだけの財宝を全て売り払ってしまうとは!」
 金貨の袋の山に頬擦りしながらにやける古美術商に、猟兵たちは呆れ返っていた。
「ん? ああ、すまななかった。情報、情報だね? 忘れてはいないよ、本当さ」
 で、どこにその怪物はいるのか、と君たちが尋ねると、商人は街の北の空を指差した。
 するとちょうど遠方からワイバーンが、君たち猟兵のいる街へ向かってまさに飛来してくる最中であった!
 どういうことだと猟兵たちに詰め寄られた商人は、気まずそうな表情で白状し始めた。
「ここへ来る間、街の北にある山の谷間でワイバーンの巣があってね。その鱗があまりにも綺麗なので一枚引き剥がして頂戴してきたんだ。怒ったあいつは、どうやら私を追ってここまで来てしまったようだね。いやぁ、殺される前に財宝を売り払ってくれて助かったよ! では、私はこれにて失礼……」
 そう告げると、あっという間に街から逃げてゆく古美術商に、君たちは思わず眩暈を覚えた。
 こうなったら、もはや選択肢はない。
 猟兵たちよ、ワイバーンの脅威からこの街を守るのだ!
シェーラ・ミレディ
は?!
いや待て逃がすか!

銃を撃って恐怖を与え、逃げる商人の邪魔をしつつダッシュで追い掛けるぞ!
出来れば馬か何かを盗こほん、拝借して! 騎乗したい。
あれだけの大金を抱えて逃げたのだ、その分足が遅くなっているはず。

鱗を取り戻したとてワイバーンが大人しくなるでもないだろうし、オブリビオンは殺さねばならないが。だからと言って街を危険に晒した商人を野放しにして置けるものか!

逃げ切られてしまったら、知り合った女性客から商人の情報を聞き出してでも追い詰めるぞ。
僕をコケにして、逃げ切れると思うなよ……!

……どうせ街の外に出るのだから、ワイバーンを挑発する等して誘き寄せるぐらいはできないだろうか。



「では、私はこれにて失礼……」
 古美術商が猟兵たちの目の前から忽然と姿を消していった。
 その場に居合わせていたシェーラ・ミレディ(四連精霊銃・f00296)は、目の前で起きた出来事に、一瞬、理解が追い付かなかった。
「は?!」
 シェーラの思考処理能力が目まぐるしく巡りまくる。
(散々、僕たちを虚仮にしておいて、危険が迫ったら逃げるのか! というか、原因は古美術商自身だったじゃないか!)
 怒りが込み上げてきたシェーラの行動は早かった。
「待て! 逃がすか!」
 シェーラはワイバーン討伐よりも先に、古美術商を追う事にした。
 古美術商が宿泊している宿屋の部屋に踏み込んだシェーラ。だが既にもぬけの殻だ!
「あれだけの大金を抱えて逃げたのだ、その分、足が遅くなっているはず」
 急いで宿屋の女将にシェーラは聞き込みを開始。
「あら、シェーラさん。先程は綺麗な赤珊瑚の指輪を見せてくれてありがとうございました。大事にしますね、ふふっ」
 実は先程の商談で、女将はシェーラと商談をしていた仲だった。
「古美術商はどこへ向かったか、聞いていないか!?」
 鬼気迫る表情で女将に詰め寄る彼に、女将は西の方角を指差した。
「これから西の都へ向かうと、行ってましたよ?」
「自身がワイバーンに追われているのに、人の多い場所へ向かうのか……!?」
 絶対に捕縛せねば、と改めて決意を固めるシェーラ。
(どこかで馬か何かを盗こほん、拝借して! 騎乗したいところだが……!)
 焦りながら宿の周囲を見渡すシェーラ。すると、ひとりの下男が馬を引いて近寄ってきた。
「この馬は、女将からの珊瑚の指輪のお礼だそうですぜ、旦那? 隅に置けませんねぇ~!」
「い、いいのか? では、遠慮なく拝借させていただく! 女将のよろしく伝えておいてくれっ!」
 すぐに騎乗すると、シェーラは街の西の出口を目指した。
「鱗を取り戻したとてワイバーンが大人しくなるでもないだろうし、オブリビオンは殺さねばならないが! だからと言って、街を危険に晒した商人を野放しにして置けるものか!」
 彼の正義の心が、目の前の悪を許すなと熱く燃え盛る!
 その執念が、遂に古美術商が乗る馬の背を捉えた!
「止まれ! 止まらないと撃つぞ!」
 馬上から精霊銃の花鳥風月を構えるシェーラに対し、古美術商は振り返るもなおも馬の速度を上げていった。
「なんで追いかけてくる!? あのワイバーンは、君たち冒険者が倒せば済む話だろう!?」
「自分で原因の種を蒔いておいて、よくそんな口が利けるな!?」
 シェーラは宣言通り、花鳥風月で威嚇射撃を開始! 古美術商の顔の真横を魔法弾が掠めてゆく!
「ひ、ひぃ!? 本当に撃ちやがった!?」
「言ったはずだ、止まらないと撃つ、とね?」
 二発目、三発目とクイックドロウ発砲! 今度は古美術商の乗る馬の顔を掠めれば、馬が恐怖を感じて急ブレーキ!
「あ、こら! 暴れるな、暴れるな!? って、く、来るな、来るなぁ!?」
「捕まえたぞ、商人……!」
 シェーラは古美術商を馬から引きずり降ろし、胸倉を掴んで言いくるめた。
「後でたっぷり詫びを入れてもらうぞ。だから、あの岩陰から出てきてはいけない。無論、逃げるなんてもってのほかだ。僕は君をどこまでも追い掛ける。いいな?」
「す、すみませんでした! あの岩陰で大人しくしています!!」
 古美術商が震えながら避難していったのを確認したシェーラ。振り返れば、すぐ前方にワイバーンが向かってきていた。
「どうせ街の外に出るのだから、あれを挑発して街から遠ざけようと思っていたが。なるほど、勝手に古美術商を追ってきたか。よほど鱗を剥ぎ取られたのが怒り心頭なのだろうか?」
 そういえば龍の逆鱗という言葉を聞いたことがあるな、とシェーラは頭に思い浮かべた。龍の鱗には、1枚だけ触れると龍を怒り狂わせる逆さ向きに生える鱗があるらしい。
「……まさか、本当に逆鱗に触れたのか、あの商人……!?」
 つくづくマッチポンプな展開に、呆れ返ったシェーラはもはや乾いた笑いしか出てこない。
 そして間近で咆哮するワイバーン! そこへ集まってくる猟兵たち!
 街は遠ざかり、周囲は遮るものがない平原地帯。
 猟兵たちよ、今こそワイバーンを討ち果たすのだ!!

成功 🔵​🔵​🔴​

三原・凛花
とりあえず今はワイバーンを何とかしよう。

召喚した『聖霊』を、【呪詛】と【衝撃波】を使ってワイバーンに取り憑かせるよ。
この『聖霊』に取り憑かれた者は絶対に死ななくなる代わりに、あらゆる不幸に襲われるの。
例えば【急降下】に失敗して地面に思い切りぶつかったり、火を吹こうとしたら口の中で爆発したり…

不死になってるから殺し切るのは無理だけど、ダメージは与えられる筈だよ。
『聖霊』と五感を共有する私も痛いけど、【激痛耐性】で我慢するね。

不幸でのたうち回らせてある程度ダメージを与えたら、『聖霊』をわたしの元へ戻すよ。
このままいなくなればいいんだけど、どうやっても『聖霊』はわたしの元に帰ってきちゃうんだよね…



街の西の平原へ誘き寄せられたワイバーンの前に、ひとりの幸薄そうな黒髪の奴隷服姿の少女、三原・凛花(『聖霊』に憑かれた少女・f10247)が立ち塞がる。
「商人は後で懲らしめるとして、とりあえず今はワイバーンを何とかしよう」
 三原は早速、ユーベルコードの『聖霊』召喚を行う。彼女の身体の中から、『聖霊』と呼ばれるUDCモンスター……つまりオブリビオンが出現した。
「ほら、今度はアレに憑依して……」
 手の中の赤子のしゃれこうべに念じると、『聖霊』がワイバーンに向かって宙を舞う。ワイバーンはすかさず追い付かれまいと急上昇、そのままワイバーンブラストの構え!
「でも、逃がさない……」
 三原が執念を呪詛技能として、しゃれこうべを通じてワイバーンへ怨念を送る。するとワイバーンは金縛りにあったかの如く、空中で数秒間ほど動きが止まる。
「そこだよ、取り憑いちゃえ」
 命令された『聖霊』は、衝撃波を撃ち込みワイバーンの不意を突くと、その体に潜りこむように憑依していった。もとより呼び出された『聖霊』は、ワイバーンに発見されにくい存在。憑依されたワイバーンは、何が起きたのか理解できないでいた。
「教えてあげるね? このユーベルコードで呼び出した『聖霊』に取り憑かれた者は、絶対に死ななくなる代わりに、あらゆる不幸に襲われるの。例えば……」
 三原が言い終わる前に、ワイバーンは急降下! 咆哮を上げながら衝撃波ブレスの予備動作が始まる! このままでは、三原の身体がブレスの爆風で跡形もなく木端微塵になってしまうだろう!
 だが、三原はその場から一歩も動かず、恨めしそうにワイバーンを見上げていた。そして彼女は告げた。
「例えば、『あなたはブレスを吐こうとしたけど、不幸にも咳込んで失敗してしまう』んだよ……。かわいそうに」
 三原が言葉を投げかけた途端、ワイバーンは大きく咳込んでしまう。そして喉からブレスのエネルギーが暴発して口の中で爆発!
 更に三原は告げる。
「あとはね、『あなたは爆発の衝撃で意識が遠のき、そのまま地面に墜落する』から、すごく痛いよ……?」
 ワイバーンは白眼を剥いたまま、三原の十数メートル先の平原へ自由落下して地面と激突! まるで予知のような『聖霊』の不幸が立て続けに発生していく。その一方で、三原自身は全身を打ち震わせて何かに必死に耐えていた。
「痛い……! 喉が痛い……、背中が痛い……!」
 現在、三原と『聖霊』は五感を共有している。つまり、憑依された対象(ワイバーン)の受けた痛覚も、『聖霊』を通じて三原に全てフィードバックされてしまうのだ。奴隷時代で培った激痛耐性がなければ、とうに意識を手放していてもおかしくはなかった。
 その後も、ワイバーンは何度か急降下を試みるが、全て理不尽な不幸に見舞われて失敗に終わり、その度に三原は全身の激痛に耐えるのであった。
「でも、これは長くは続かない。このままいなくなればいいんだけど、どうやっても『聖霊』はわたしの元に帰ってきちゃうんだよね……」
 彼女の言葉通り、一通りワイバーンへ不幸を振り撒いてきた『聖霊』が三原の体の中へ戻ってきた。ワイバーンは傷ついた体で、一体、何が起きたのか分からないまま猟兵たちと対峙を続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋神・美麗
財宝取ってきたりそれを売り捌いたりさせられた挙句にワイバーンに手を出した尻拭いをさせられるとか本当に良い根性ね。散々いい様に利用してくれたこと、これを倒したら覚えてなさいよ。
ワイバーンには悪いけど八つ当たりさせてもらうわよ。お互い運が無かったってことで我慢してね。
飛び回られて頭上からブレスやダイブされるのも厄介ね。まずは翼を潰して落とすわ。
超小型ハイメガキャノンの誘導弾で片翼を潰して地上に落ちたらもう片翼をライトニングセイバーの二回攻撃で根元から斬り捨てるわ。
「もうこれで飛べないでしょ」
後はワイバーンが息絶えるまで斬り刻むわね。
その後は古美術商に死ぬほど反省してもらうわ。



理不尽な不幸で傷を負ったワイバーン。目の前の小さな存在――猟兵たちを黄金の相貌で睨み付ける。
 駆け付けた緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)が、岩陰に隠れる古美術商へ向けて言葉をぶつけた。
「財宝取ってこさせたり、それを売り捌いたりさせられた挙句、ワイバーンに手を出した尻拭いをさせられるとか、本当に良い根性ね。散々いい様に利用してくれたこと、これを倒したら覚えてなさいよ」
「も、申し訳ありませんんんッ!!」
 古美術商の悲鳴めいた謝罪の声に、彼女は思わず口角が上がる。
「逃げずにちゃんとそこにいるのね。安心したわ。さて……」
 超小型ハイメガキャノンを指に嵌め、サイキックエナジーを手先に集中・増幅させてゆく緋神。
「ワイバーンには悪いけど八つ当たりさせてもらうわよ。お互い運が無かったってことで我慢してね」
 ワイバーンは目の前の敵が、臨戦態勢に入ったことを悟った。そして高く高く舞い上がる!
「飛び回られて頭上からブレスやダイブされるのも厄介ね」
 超小型ハイメガキャノンをワイバーンの片翼へ向けて狙いを定めると、サイコキネシスによる誘導弾を発射させた!
「まずは翼を潰して落とすわ! 喰らいなさいっ!」
 放たれたサイキックエナジー弾が、意思を持ったかの如く自在に飛び回る! ワイバーンはこれを回避せんと高速旋回飛行! そのまま急降下! これはブレスではない。爪による一撃が緋神に迫る!
「今よっ!」
 だがこれを予測していた緋神は、サイキックエナジー弾をワイバーンの背後から急降下させる! 目の前の獲物に気が向いていたワイバーン、気付くも旋回が間に合わない! 破れかぶれで爪を振り下ろしにかかるワイバーンだが、左翼への誘導弾の直撃のほうが早かった! 翼の被膜が破裂!!
 空中でバランスを失い、爪の一撃は空振りしてゆく。そしてそのまま、今日何度目かになる墜落に至る! 緋神はこれを待っていた!
「その翼、落とさせてもらうわ!」
 ライトニングセイバーを具現化させると、遠く離れたワイバーンの身体をサイコキネシスで引き寄せる! 同時に大地を蹴って龍へ駆け寄る緋神!
「いやぁーっ!!」
 雷の刃を振り上げ、引き寄せたワイバーンの翼の関節を狙ってまずは一太刀! 噴き出す竜の血潮を浴びながら、返す刀で今一度、関節部分を斬り付けた!
「これで、どう!?」
 血液がプラズマ熱で蒸発する! 振り上げられた刃が、ワイバーンの強靭な翼を根元から断ち切ったのだ!
「もうこれで飛べないでしょ」
 そのまま、うまく立ち上がれずにもがくワイバーンを滅多切りにする緋神。
 だが、さすがは竜種。緋神が竜の全身を斬り刻んでも、その戦意は衰えることはなかった。不意に放たれる片側の翼からの爪の急襲!
「まだやる気? でも、あいつを倒すには、もっと多くの猟兵たちの援軍が必要ね」
 なんとかオーラで防御した彼女は、一旦、体勢を立て直す事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城田・紗希
(古美術商に聞こえるように)「要は、前哨戦のワイバーン倒して、古美術商のフリしたオブリビオンを倒せばいいんでしょ?」
……うんまぁ、古美術商のはオブリビオンじゃないんだろうけど、ちょっと釘刺しとかないと。また変なものに手を出されても困るし。

ワイバーン対策は、炎の矢を可能な限り斉射する。
実体のない炎の矢だから風で消えるはずだし、急降下しづらいように斜めから…。
……実体あったっけ?(うろ覚えだけど気にせず発射)

余裕があれば、行商人の周囲にも炎の雨を注ごうかな。
「あーっと、狙いがそれたー」…うん、棒読みだけど気付かれないでしょ。



古美術商の悪辣ぶりを聞いて駆けつけてきた城田・紗希(人間の探索者・f01927)は、敢えて古美術商に聞こえるように言い放った。
「要は、前哨戦のワイバーン倒して、古美術商のフリしたオブリビオンを倒せばいいんでしょ?」
「ひぃ!? 私は化物じゃありませんんんッ!!」
 怯える古美術商の声に、やれやれと呆れ返る城田。
(……うんまぁ、あの古美術商はオブリビオンじゃないんだろうけど、ちょっと釘刺しとかないと。また変なものに手を出されても困るし)
 また金目のものに目が眩んで、再び猟兵が出動せざるを得ない状況になったら堪ったもんじゃない。これは城田なりの指導であった。
「えーっと、片翼とはいえ脅威は健在。ひとまずウィザード・ミサイル全弾発射ですね」
 城田のレベルで生成可能な炎属性の魔法の矢は85本。それらをワイバーンの正面を避けて背後と左右両側に出現させる。
「正面だとブレスの風で掻き消されるし、だったらそれ以外を取り囲んで……」
 ワイバーンは前方以外炎の矢に対して、ただじっと動かずに固まっていた。
「……そういや、あの矢って実体あったっけ? ま、いっか。いっちゃえー!」
 一斉に放たれる炎の矢! だがじっとしていたワイバーンが突如として咆哮! 衝撃波のブレスが城田に直撃!
「うわっ!! まだこんなに元気なんですか!?」
 古美術商が隠れていた岩陰まで吹っ飛ばされた城田は、全身が炎に包まれるワイバーンの姿を見る。だがそれでもワイバーンは倒れない。
 戦況を覗き見た古美術商が、城田に対して唐突に助言をしてきた。
「あいつは火竜ですよ!? 炎で焼くなら、もっと火力が必要かと……」
「そういうことは早く言ってよ! あ、そこ、あぶなーい」
 イラっとした城田は、自身が放った炎の流れ矢をしゃがんで回避。古美術商の目の前に着弾すると、一瞬だけ火柱が上がる。
「ひぃぃぃ!? 死にたくないですぅぅ!」
 泣き喚く古美術商は放置することに決めた城田は、頑健な竜の対処に手をこまねいていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シェーラ・ミレディ
良し、商人は捕まえたしワイバーンも誘い出せたな。初手としては上々だ。
後はワイバーンを倒し、商人から迷惑料を徴収すれば完璧だな!

流石に借りた馬でワイバーンと戦うのは拙いな。
確り言い含めた上で商人に預けておくぞ。
逃げたら、わかっているな?

「彩色銃技・純情一途」でワイバーンの翼を狙い、撃ち落とそう。
ジャグリングするように、4丁の銃を撃って反動で放り投げ腰のガンホルダーで受け止め、というのを繰り返して連射する。
敵の攻撃を受けないよう、出来るだけ足を止めないようにしたいものだな。

他に攻撃を仕掛けている者がいたら、此方に注意を引き付けようか。
何、派手な動きは得意だ。


ディスターブ・オフィディアン
レプリカクラフトを使用し、平原に無数の毒矢の罠を仕掛けよう。
毒の種類は、効果は短時間だが即効性のある麻痺毒。空中で翼を封じ墜落させてやる。

飛竜の知恵での回避を避けヤツを罠にかけるには――商人の服に早着替えし挑発して囮になろう。
残像、見切り、第六感を駆使しながら攻撃を回避し、罠の位置までおびき寄せて、急降下してきたところへカウンターの騙し討ちだ。
毒属性攻撃に罠使い、戦闘知識も技能として載せておくか

「なかなか勢いのある急降下だ。そのまま首の骨でも折るがいい――墜ちろ」
「オレと知恵比べをするならばエルダードラゴンになってから出直してこい」



片翼を失うも、いまだ脅威は衰えぬワイバーン。それを見据えるミレナリィドールがいた。
「良し、商人は捕まえたしワイバーンも誘い出せたな。初手としては上々だ。後はワイバーンを倒し、商人から迷惑料を徴収すれば完璧だな!」
 シェーラ・ミレディ(四連精霊銃・f00296)は、借りた馬が傷付かぬよう、一時的に戦闘から遠ざかっていた。だが、ここは討って出るべきだと判断。馬を古美術商へ預ける事にした。
「この馬は宿屋の女将の馬だ。傷を付けてみせろ」
 シェーラは羊皮紙に書かれた金額を古美術商へ突き付けた。
「そのときは、この迷惑料の2倍、いや5倍を請求してやるぞ」
「そ、そんな!? 折角の儲けが手元に残らないですよ!?」
「その儲けの殆どは、僕たち猟兵が稼いだのだがな。それに君は、危うく街ひとつを滅ぼすところだったんだ。迷惑料が5倍で済むことを幸運に思いたまえ。……あと、逃げたら、わかっているな?」
「は、はいぃぃぃ!」
 恐怖を与えつつ言いくるめることに成功したシェーラ。腰のガンホルダーに差された4丁の精霊銃のひとつを手に取り、岩陰から飛び出した。
「ワイバーンめ、この僕が相手だ!」
 颯爽と岩陰から飛び出した彼が見たものは、目を疑うような光景だった。
「助けてください! 死にたくありません!」
 それは、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)の第二人格『偽計の颱』が、まるで舞台で演技を披露するが如く、古美術商の服装に近い恰好で右往左往している様だった。街の衣装屋で購入してきたものを着替え技能で着込んできたのだ。
「……君も猟兵か? 一体、何を……?」
 シェーラが尋ねると、ディスターブこと偽計の颱は、紳士的な口調で顔面蒼白のまま縋り付いてきた。
「ああ! ここは危険です! さぁ、あちらへ、あちらへ逃げましょう!」
「ちょっと、待て! 引っ張るな!?」
「いいから! はやく逃げましょう!!」
 偽計の颱が強引にシェーラを引っ張ると、更に街から離れた平原へ誘い出した。
 ワイバーンも偽計の颱を本物の古美術商だと思い、飛べぬがゆえに地面を歩いて追い掛けてくる。
 その間の攻撃を、偽計の颱は第六感や残像、見切りをフルに駆使して回避し、竜を翻弄。付き合わされるシェーラも銃撃で狙いを逸らすなどして凌いでいた。
「おい、いい加減にしたまえ! 何が目的だ、君!?」
 シェーラはワイバーンに向き直り、銃を構える。
 すると、ディスターブの人格が変化。第一人格『叡智の灯』へ変化する。口調は不遜な物言いに変わり、ワイバーンへ告げた。
「よもや仲間が翼を欠いてくれたとは嬉しい誤算だったが、オレのやることは変わらねぇ。かかって来いよ。俺は丸腰だぜ?」
 挑発を受けたワイバーンは片翼のまま、自分の脚力のみで大地を蹴って飛び上がる! これはワイバーンブラストの構え! 咆哮とともに衝撃波のブレスが来る!
「させるか! ユーベルコード! 彩色銃技・純情一途(アトラクティブガンアーツ・ピンポイントショット)!」
 シェーラはジャグリングをするように、4丁の精霊銃を撃って反動で放り投げ腰のガンホルダーで受け止める動作を繰り返す事で、矢継ぎ早に弾丸を放ち、一途に一点を集中攻撃することにより対象の動きを一時的に封じることが可能なのだ!
 狙うはもちろん、残った片翼の被膜! 整列して飛んでゆく弾丸の群れが、竜の片翼に突き刺さり、大きな穴を開けた! 態勢を崩して、今一度、墜落をしてゆくワイバーン!
「恋する乙女は強かろう?」
 シェーラのユーベルコードが炸裂したのを機に、地上で待ち構えていた叡智の灯は、いつの間にか持っていた荒縄を掲げてほくそ笑む。
「なかなか勢いのある“急降下”だ。そのまま首の骨でも折るがいい。――墜ちろ」
 縄を引っ張ると、草むらの中から幾つもの矢がワイバーンに向かって射出される!
 当然、ワイバーンは飛竜の知恵で回避を試みる。だが、片翼はもがれ、もう片翼は破れ、回避行動自体がもはや不可能な状態であった! 竜の身体に幾多のも矢が突き刺さる!
 ディスターブは、今の罠の攻撃でワイバーンが瀕死に陥ったことを察知する。
「ワイバーンの装甲の薄い場所は、戦闘知識で把握済みだ。オレと知恵比べをするならば、エルダードラゴンになってから出直してこい」
「やるな、君! 僕が派手に暴れて注意を惹き付けるまでもなかったか」
 シェーラがディスターブに駆け寄ると、ワイバーンの動向を注視する。彼もまた、猟兵たちの勝利が目前だと悟った。
「ここは一旦下がろう。オレの仕掛けた矢の罠がゴロゴロあるからな。味方が巻き添えにならないよう、場所を変えようぜ」
「分かった! おい、ワイバーン! こっちで決着を付けるぞ!」
 猟兵2人が駆けてゆくと、瀕死のワイバーンは怒りを露わにしながら追い掛けてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
ワイバーンとも、何回目だろ…
相変わらず、大きいね~

光刃剣を二刀流で構えて【空中戦】で空に舞い上がって攻撃を仕掛けていくね
さすがにワイバーン相手に力押しはできないから
【見切り】【第六感】で回避重視の行動を行うね
大ぶりな攻撃があったら
【2回攻撃】で連撃を畳み込みますっ!

敵の攻撃が当たってしまったら
マントを翻して【オーラ防御】や
光刃剣を回転させてシールドとして使い
ダメージを軽減するよ

相手がもう少しで倒せそうなら
最後の攻撃が来そうだし、冷静に対処してから
【高速詠唱】と【全力魔法】の
ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストで
一気に仕留めに掛かりますっ!

わたしの全力全開、味わってねっ!!



怒り狂う瀕死のワイバーンが地を這ってシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)の元へ突っ込んできた。それを彼女は冷静な態度で、二振りの光の剣――光刃剣『エレメンティア』と精霊剣・六源和導を目の前でクロスさせる。
「ワイバーンとも、何回目だろ……? 相変わらず、大きいね~」
 そして、彼女は風の精霊エアリィを呼び出して願いを告げた。
「お願い! わたしの体を宙に浮かして、エアリィ!」
 風の精霊は契約者の願いに応え、シルの小柄な体を鳥のように空へと舞い上がらせた。
「ここからは空中戦でいくよ!」
 シルはワイバーンの周囲を素早く飛び回り、光の剣二刀流で切り掛かっていった! 光の2連斬撃は、まるで空中で妖精が演武を行っているかのような華麗な光景である。
 ワイバーンも傷だらけとはいえ無抵抗のまま黙ってはいられない。残る片翼の爪で、飛び回るシルを捕らえんと必死に振り回す!
「わっ!? 危なかったっ!!」
 シルの第六感が功を奏し、ギリギリのところで爪の一撃をマントと光刃剣でパリング防御! オーラ防御も相まって、竜の爪を弾き返す!
「そして、その動きはもう覚えましたっ!」
 2回目以降は完全に動きを見切り、素早く急旋回することで難なく一撃を回避してゆく!
 次第にワイバーンの動きが鈍り、爪を振り上げる体力の気力も尽きてきたようだ。
 ここでシルは大技を繰り出しにかかる。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……。六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 精霊剣・六源和導に魔力の六元素が剣先に集い、光球となったかと思えば急激に膨張を開始! 臨界点を突破した魔法エナジー光球が、ワイバーンの心臓を目掛けて発射された!
「ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!」
 光球は勢いよくワイバーンの心臓を貫通し、そのまま地面に着弾! 着弾点半径20mに魔力爆発が発生し、ワイバーンの肉体ごと全てを灰と塵に変えていってしまった!
 残ったのは骨まで炭化したワイバーンだったモノと、半径20mのクレーター。
 まさにシルが放ったユーベルコードは、トドメに相応しい破壊の一撃であった。

 猟兵たちの勝利後、古美術商は迷惑料として売上の4割を街へ返還、5割を猟兵たちの報酬として差し出した。残りの1割はというと?
「私にも生活があるんです……! 帰りの旅費だって工面しないといけないんです!」
 ……と古美術商が泣き付くので、二度とオブリビオンにちょっかいを出さない事を約束させた上で持ち帰らせることを許した。
「これからは心を入れ替えて商売に励みます!」
 涙目で何度も猟兵と街の人々に頭を下げる古美術商であった。

 ――のちに、彼がこの街を拠点として巨万の富を築き上げ、街の発展に貢献することになるのだが、それは、また別の機会に語るとしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト