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朝露の花を探して

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●白霧の森
 視界を遮るかのような濃霧は冷たさを覚えるほどに白い。
 空を覆うような木々はとてつもなく大きく見えてしまう。
 そして風の吹く音がまるで、恐ろしい獣の吐息のようにさえ思えてしまうような。そんな夜更けのことだった。
「……ねえ、ほんとうに行くの?」
 寝静まった夜更けの森を前に、囁くような声が木霊する。
 その音にさえ身を震わせた少年は、恐る恐るとランプを片手に先を行く少女を窺うように見た。
 そんな少年に、少女はランプを揺らしながら眉を釣り上げて肩越しに振り返る。
「森の向こうに『あの花』がある、っていったのはロイでしょ? こんなところで立ち止まっていてもしかたないわ、はやく行かなきゃ!」
「ロッカ、でも、あぶないよ。ぼくたちだけでこの森を進むなんて……」
 大人だって避けて通る森だ。きっと何かいるに違いない。
 少年はそう言って少女の服の裾を引っ張る。それに頬を膨らませた少女は、強引に少年の手を取るとその手を引くようにして歩みを進めるのだった。
「だいじょうぶよ、お母さんのためだもの。それに、わたしたちだって冒険者なんだから!」
 ーーその森で、何が待っているのかも知らないまま。

●冒険のすすめ
「やあ、親愛なる君」
 とても気持ちのいい冬晴れの日のことだ。
 拠点となるグリモアベースに集まってくれた猟兵を見上げたクリス・ホワイト(妖精の運び手・f01880)は、こんな日こそ冒険に行こうじゃないかとその猫手で招いてみせる。
「今回僕が案内するのは、剣と魔法と竜の世界だよ。そこで君にはちょっとしたお手伝いをしてほしいんだ」
 剣と魔法と竜の世界ーーアックス&ウィザーズ。様々なダンジョンにモンスター、そしてドラゴンが生息している世界だ。けれど、今回の目的はダンジョンでなければドラゴンでもない。
 クリスは手にしていたステッキでコツリと床を打つと、その予見について話しはじめる。
「とある村に、冒険者に憧れる小さな兄妹いたんだ。ふたりは母の病を治すために、穢れを祓う効果があると言われている朝露の花を採ろうと子供たちだけで森へ入り込んでしまう」
 それを勇敢というひともいるだろう。危ういというひともいるだろう。子供たちの好奇心と正義感は強く、果てしない。それが例えただの冒険者の真似事であったとしても、そのとき確かに子供たちは小さな冒険者だった。けれど。
「森にはもちろん、危険なモンスターもたくさんいる。子供たちだけではまず花を探すことさえ出来ないだろう」
 だから、親愛なる君にちょっとしたお手伝いをお願いしたいんだ。
 クリスは猟兵を見上げて、その意思を確かめるように目を見る。きっとやってくれるだろう、優しい君だから。しかし、クリスには少しばかり今回の冒険には懸念があった。
 予見を思い出すように目を伏せれば、脳裏に濃霧の森が蘇る。あの霧は、あまりにも濃く、白く、見通すもの全てを拒絶するような奇妙さがあった。
「霧の様子が、少しおかしかった。それから、その奥に何かがいるみたいな気配もあったーー君たちには、それを調べてもらうのが最終的な目的になるかもしれない」
 現状では行ってみないことにはこれ以上分からないと、申し訳なさそうに尻尾が下がる。ともあれ。
「まあ、まずは子供たちのお手伝いさ。やり方は君に任せよう。準備はいいかい?」
 シルクハットを被り直したクリスが、線を描くように現れたグリモアに手を翳す。グリモアが強く光り輝いたなら、それが猟兵を次なる世界へ送る合図だ。
 そうして猟兵を送り込み、消えていく光の砂粒を最後まで見送ったクリスは冒険へ赴く彼らの健闘を祈ってそっと目を伏せた。


atten
お目に留めていただきありがとうございます。
はじめてのおつかいに危険を添えて、皆さまにお届けします。

▼ご案内
舞台はアックス&ウィザーズになります。
子供たちを危険から守り、また奇妙な森の様子を探りにいきましょう。
今回は心情描写なども力を入れていきたい所存です。
皆さまのプレイングをお待ちしております。
よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『めざせ!いちにんまえのぼうけんしゃ!』

POW   :    体を張って肉食獣を追い払う

SPD   :    肉食獣の居場所を特定し、仲間に伝える

WIZ   :    『宝物』と思える品物を上手く発見させ、二人を満足させる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ファレリア・リトヴァール
ふふ、随分と可愛い冒険者ですわね。
それにお母様の病を治すためとあらば是非手を貸してさしあげたいですわ。

まずはお二人にとっての『宝物』、朝露の花を見つけませんとね。
クリスさんに詳細を聞いてから森の奥を探せば見つかりますかしら。
病が治せれば他のものでもいいのでしょうけれど、
あいにく私には知識がありませんもの。

花が見つかったとして、どうやってお二人をそこまで案内しましょうか。
優しい歌を歌ってお二人を誘導してみますわ。
アックス&ウィザーズですもの、
精霊や妖精の導き、とでもお二人が思ってくれたらいいのですけれど。


栗花落・澪
紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)と連携

空からそれらしき花や比較的安全な道の有無を確認
足跡や排泄物などの痕跡の無い道を見つけたら
子供達の通る道に先回り

翼を広げて木陰に腰掛け
神秘的で【優しい】高音で【祈り】の【歌】を歌うね

歌は他の猟兵達に治癒を施し
子供達を安心させるためのもの

目が合ったら優しく微笑みかけ
口元に指を当てて「しぃー」

「ここで会ったのも何かの縁…君達には、特別な加護を与えてあげる」

2人の手を取り目を閉じて「どうか彼の者に聖なる守りを」と呟く
暗示みたいなものだけどね
体を光らせ、安全な道まで光源となり誘導

「僕の事は内緒だよ」

別れの際には空へと飛び去るように見せて
紫崎君の元に合流するよ


紫崎・宗田
栗花落・澪(f03165)と連携

戦闘が苦手なチビ(澪)の代わりに
【地形を利用】し【目立たない】ようにしながら
持ち前の【視力、聞き耳、第六感】全て使って警戒

周辺を護衛しつつ敵の気配を確認したら
気付かれる前に【早業】の【先制攻撃】で
即座に【暗殺】する

子供達の近くまで迫る敵が居るなら
敵にのみ向けた【殺気】で牽制後
一体ならその場で仕留め
複数居るようなら澪の体の光を視認出来て
かつ子供達に気取られない位置まで敵を誘導
【薙ぎ払い、ユーベルコード】による【範囲攻撃】でまとめて処理

澪もいざって時に闘う術は持ってるからな
信頼してはいるが…何があっても動けるよう
合流するまではいつでも【庇える】体制は維持しておくぜ


ウォルター・ハイデルベーレ
POW:体を張って肉食獣を追い払う
使用武器:バトルアックス

自分に出来るのは、子供達が大きな怪我をしないよう、先回りして危険な獣を倒す事くらい。しかし、位置の特定は不得手故、できれば連携を取りたいところでありますな…

それにしても、うちの娘も前にやったなぁ…。怪我して帰って来たもんだから、まー…大騒ぎ。
…怪我して帰ってきちゃあ、親も悲しむし、やるせないもんさ。

(アドリブ大歓迎。よろしくお願いします)


シャオ・フィルナート
この森…普通の草食動物達も居るのかな……
居そうなら【動物会話】で
子供達の言う花が本当にあるか、見覚えがあるかを聞く
それから肉食獣に襲われにくいルートを知っているかどうかも

知っている子がいれば
必ず肉食動物達から守ってあげる事を条件に
花の元に無事辿り着けるまで
その子達をさり気なく誘導してほしいと交渉

了承をもらえたら持ち歩いている動物用のおやつをあげて送り出し
影ながら【追跡】し見守りつつ【見切りと第六感】で敵の気配を察知
可能な範囲で敵を処理し
どうしても危険そうな場合には【楽器演奏】を通して
誘導役の動物達に危険を知らせ
子供達を少しその場所から離してもらう

※プレイングの順番変更お任せ
アドリブ自由


ジゼル・スノーデン
森で、宝物…!いいな、私も探し……
(こほん)うん、子供の夢は大事だ。ふたりの冒険が良いものになるように、頑張ろう。

そして、宝物か……どんなものなんだろう
朝露の花というくらいだから、朝に花開く露を含んだ花なのだろうか。

肉食獣のことはほかの人に任せて、宝物にふさわしい花を探してみよう
彼らの夢と、勇気に報いるだけのものだ。朝焼けの景色が美しい場所に咲く花がいいな
祝福に満ちた場所に咲く花
そして…うーん、そこで歌っていようか
二人が、声をたどってここに来れるように

まるで花が歌って、ふたりを待っていたかのように。【歌唱】スキルを使って歌っていよう。光明の歌を
もちろん、姿は見られないように隠れておくぞ



●はじまりのうた
 月の光さえ届かない、霧が白く烟るような森の中。少年と少女はランプの灯りだけを頼りに歩いていた。
 風の吹く音も、揺れる木々の音も。すべてが恐ろしい何かに思えてしまうくらい、その暗闇が心細い。きっとひとりであったなら、立ち止まってしまっていただろう。繋ぎ止めた手のひらを強く握り返して、少年は先を歩く少女に声をかける。
「ねえ、ロッカ。やっぱり帰ろうよ」
「だめよ、お母さんのために『あの花』をみつけるって、決めたんだもの」
「でも、でも……ほんとうにあるかも、分からないんだよ?」
 あの花。
 それはふたりが探しにきた、穢れを祓うといわれている小さな花のこと。肌寒い朝に降りた朝露に花開くことから、朝露の花と呼ばれているというのは本に書かれていた古い言い伝えだった。
 霧の森の奥深く、そこにある小さな湖畔の傍に咲いているとも本には書かれていたけれど、少年も少女も森の湖畔なんて見たこともない。随分と前から、この森は立ち入り禁止になってしまっていた。朝露の花が本当に実在するかどうかさえ、今はもう誰も分からないのだ。
  少年は拭えない不安を胸に、手にしていた古い本を抱えて視線を落とす。

 ーーその時だった。
 ふわりと優しく心に触れるような、柔らかな歌声が聞こえてきたのだ。ふたりは目を合わせると小さく頷きあって、静かな足取りで歌声を追いかける。
 はたして歌声を追った先にいたのは、琥珀色の髪を風に揺らした少女と見紛うほど可憐な容姿をした少年だった。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)である。
「こんばんは、小さな冒険者さん。ここで会ったのも何かの縁……君たちに、特別な加護を与えてあげる」
 神秘的な光景に目を瞬かせるふたりに、澪は優しくその手を取って微笑みかける。そして目を瞑って呟いたのは、優しい祈り事。聖なる守りが、ふたりを守りますように。
「僕のことは、内緒だよ」
 翼を広げて空へと舞い上がってゆく澪は、本に描かれる天使のようで。不安を潜めていた少年と少女はその出会いに感謝して、振り返らずに先へ進むことを決意するのだった。

 と、いうのは表舞台のほんの一部分に過ぎない。
 少年と少女が進む足取りを表舞台と称するのなら、それを取りなしているのは舞台の裏。そう、澪をはじめとして猟兵たちは既に動いているのだ。
「ーー来たか」
 空から舞い降りた澪を迎えた紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)も同じく、周囲の警戒を怠らずに護衛を続けている。子供たちがここまで安全に歩けていたのも、彼が黙々とモンスターを闇に葬っていたからに他ならない。
「うん。これで少しはふたりの不安を癒せたかな?」
「ああ、そうだな。……っと、」
 安心した様子を見せる澪の、その背後。霧に乗じて襲いかかるモンスターの存在に即座に反応した宗田は、手にしていた漆黒の巨大槍ですばやく撃ち貫く。五感に加えて第六感さえも鍛え上げた彼は、目を瞬かせた澪を見下ろして不敵に笑ってみせた。
「気ぃ抜いてんじゃねえぞ、チビ」
 なんて。戦闘が苦手な澪のために、はじめから何があっても庇えるように気を巡らせていたことは彼の心の内だけの秘密である。

●ふしぎのもり
 少年と少女は森の奥を目指して進んでいく。少しの音や影に怯えることはあっても、先までの不安を抱えた様子はない。
 その小さな冒険者たちの後方にはやはり、猟兵の影。表舞台と地続きで舞台の裏も進んでいるのである。
「なるほど、朝露の花というのは実在する植物なんだな」
 木の根元にしゃがみこんでいたシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は納得するように深く頷くとゆっくりと立ち上がる。与えられたドングリを手に走り去って行く仔リスを見送って青薔薇の紋章が刻まれた銀色の篠笛を持ち直していれば、行動を共にしていたウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)もバトルアックスを担ぎあげて問いかけた。
「リスは子供たちを誘導してくれそうでありますか?」
「ああ、なんとかやってくれそうだ。だが……、」
 この森は懸念にあった通り、やはりどこかおかしいのかもしれない。
 白く烟る霧を見上げて、シャオは頭を振る。草食動物たちに話を聞くまではよかった。ドングリを渡せば花の有無を教えてくれたし、その道案内も仔リスは買って出てくれた。仔リスは子供たちを安全に導いてくれることだろう。
 だが、気に掛かったことがひとつ。誰もこの森を抜ける道を知るものがいなかったのだ。まるでこの森が行き止まりとでも言うような、そんな不自然さをシャオは感じていた。
 難しげな顔のシャオを見下ろしたウォルターは、その肩を労わるように軽く叩く。この森の謎も気がかりではあったが、いまは朝露の花のもとへ子供たちを誘導することが最優先である。
「なんにせよ。自分たちは、後は子供が怪我をしないよう危険な獣を倒すだけでありますな」
 我が子が怪我をして帰ってきたら、親も悲しむしやるせないものだと。いつかの我が家を思い出しながら、ウォルターはそう言うと忍び寄る獣の気配にバトルアックスを振り下ろす。森の奥へ進むにつれて、獣の存在も増えていることにふたりは気付いていた。
「……ああ。俺たちも出来ることをしよう」
 草陰に薄らと光る双眸を数え、シャオも罪咎の剣を構えて静かに頷く。霧のことも気掛かりではあるが、今は目の前の獣を倒すしかない。背中を預け合うように立ったふたりは、そして同時に地を蹴るのだった。

●うたうはな
 仔リスが道案内してくれている。
 そんな少し不思議で、どこか素敵な冒険に子供たちは胸を躍らせながらも気付けば森の奥深くまで来てしまっていた。
 霧に混じえてしずやかな水の匂いがするのは、湖畔の近くまで来ている証拠だろう。立ち止まった仔リスにお礼にビスケットを渡した子供たちは、やがてまた聞こえてきた歌声に顔を見合わせる。
 柔らかくて優しい歌は、けれど初めに聞いたものとは違った。海を思わせるような豊かで優しい声と、きらきらと輝くような美しい声。その歌は、柔らかな二重奏を響かせていたのだ。
「天使さまかな?」
「次は精霊さまかも?」
 行こう、とどちらともなく繋いだ手を握りしめて走り出す。ふたりが辿り着いた湖畔で目にしたものは、まるでそこだけが光り輝いているように霧の中で薄い光を浴びた一輪の蕾だった。
「ーーあった!」
 いつの間にか、朝を迎えていたのだろう。
 霧は晴れないけれど、朝露がおりた蕾が花開く瞬間を手のひらに受け止めたふたりは、そうして大きく花のように笑いあう。
 白い濃霧に覆われた、白霧の森。そのしずやかな湖畔には、子供たちの笑い声と、まるで花そのものが歌っているかのような優しい歌声が響いていた。

 小さな冒険は、こうして幕を下ろした。
 笑い合う子供たちを木の後ろから見守っていたジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)とファレリア・リトヴァール(白花を纏う紫輝石・f05766)は穏やかに微笑み合う。ふたりの歌声による演出は、きっと子供たちの心に美しい景色を残したことだろう。
「ーー上手くいったみたい」
「ええ、よかったですわ」
 お母様の病を治すためとあらば、是非手を貸してあげたかったのだというファレリアにジゼルも同意を示すように深く頷く。子供の夢は、大事なものだから。この冒険がふたりにとって良いものになったなら、猟兵のお手伝いは大成功と言っていい。
 とはいえ、冒険はお家に帰るまでが冒険である。
 お互いに手を取り合い助け合った猟兵たちが、そうして子供たちの帰路も同じように見守るのも当然の流れだったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『幻惑の霧を越えて』

POW   :    力に任せたり気合いで解決(自傷行為等)

SPD   :    見なければ惑わされない、かもしれない。ダッシュで走り抜ける等

WIZ   :    幻と現実の齟齬を見つける等

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Interval
 小さな冒険は終わった。
 では、次に待つのは大きな冒険だろうか?
 子供たちを無事に森から帰した猟兵だったが、しかし猟兵たちも森を出ようとしたそのとき。その行く手を阻むように、濃霧によって道は遮られてしまった。
 これでは森から出ることが叶わないと猟兵が怪訝な顔で森を振り返えれば、静けさに眠る森はもはや消え失せ、その姿を変えていた。
 白い。白い。ーーどこまでも白く、先が見えない。
 右も左も、前も、後ろさえも。
 真っ白な霧にすべてが隠されて、自分以外の存在どころか自分さえ分からなくなってしまうような。
 そんな不気味なほど真白い濃霧が、辺り一面に立ち込めていた。
ファレリア・リトヴァール
あのお二人(子供達)は無事帰れましたかしら。
帰れたのなら、焦る必要はありませんわね。
焦りは観察力も判断力も鈍らせますわ。

先程までは森だった筈ですのに、
木も見えないほどの霧が出てくるなんて
ただの自然現象とは思えませんわね……?
まあ、白は紫を引き立ててくれると思っておきましょう。

視界は悪い(無い?)として、
地面やそこにある筈の木の根、周りに生えている筈の木の感触はありますかしら。
お友達(サモニング・ガイスト)の炎ですと森を燃やしてしまう危険性もありますわね、
瓊嵐で霧を吹き飛ばせるか試してみますわ。
もちろん仲間は巻き込まない様注意いたします。



●幻惑の霧
 白く深い霧の中に閉じ込められた。
 そう気付いたのは、視界を遮るほどの濃霧が立ち込めてすぐのことだった。
 先ほどまでの霧とは違う。その異質さが身に染みるようで、ファレリア・リトヴァール(白花を纏う紫輝石・f05766)は注意深く周囲を見渡した。
「ただの自然現象とは思えませんわね……?」
 しかし、焦る必要はない。子供たちは無事に帰れたのだから。
 焦りは観察力も判断力も鈍らせるということを知っているファレリアは、こんな時だからこそ冷静さを忘れずに足元を見やる。先ほどまで森だったのならば、地面や木の根、何らかの感触があるはずだ。
 その考えに違わず、視界は変わらず先も見通せないほどの白さだったが、触れれば地面の感触が分かった。根を辿ればそこにある樹木も分かるだろう。
「お友達の炎ですと、森を燃やしてしまうかもしれませんわね。――それならば、」
 ファレリアは持ち慣れた蒸気機関式拡声器、鳴り渡る玉響に手を添えて囁く。
「煌く玉よ、我が意のままに――」
 拡声器に変化が起きたのは、ファレリアが囁いてからすぐのことだ。
 ぴきり、と割れるような音を立てて拡声器は剥がれ落ちていく。霧の中で煌いたそれが宝石で出来た花びらだと、見るものがいればきっと気付けたことだろう。花びらは風を纏い、ファレリアを中心として嵐のように吹き荒れていく。
 その風を持ってしても霧を吹き飛ばすには、至らなかった。
 しかし、見えたものがある。風が霧を裂いたその一瞬、ファレリアはそこに道を見たのだ。
 道が見えたのなら、他に道がないのなら。今このときに進むしかないと、そう判断したファレリアは風が止まるよりも早く、その道へ踏み込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウォルター・ハイデルベーレ
子供達が無事で何よりであります。
シャオ殿、協力感謝でありました。

さて今度は自分たちがこの状況を脱して帰る番でありますな……
まぁ、立ってるって事は足下が地面ってことだろ?……近くに誰か居るなら、避けるであります…よっ!

ユーベルコード【グラウンドクラッシャー】で周囲の地形を破壊し、周囲の霧を払うと同時に目印とする。
破壊された地形、他の霧との差や状態を観察し、齟齬や霧の原因を探る。

もしも原因が現れれば、大声やホイッスルで仲間に位置を知らせるでありますよ。

(アドリブ大歓迎です。宜しくお願いします)



その一方で。
 ウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)も濃霧の中で気配を探っていた。先ほどまで隣にいたはずの存在も、既に消えている。この霧によって分断されたのだということは、ウォルターにも分かった。
「今度は自分たちがこの状況を脱して帰る番でありますな……」
 さてどうするべきか、などと彼は考えない。
 幾多の戦場を渡り歩いてきた彼の思考は明朗快活、そして大胆なものだ。今ここに自分が立っているということは足元が地面ということだと理解するが早く、ウォルターはそのバトルアックスを握り締める。
 振り上げられたバトルアックスが、力強く地面に叩き付けられる。響き渡るのは、地を割るような轟音だ。グラウンドクラッシャーと呼ばれたその名に相応しく、周囲の地形さえ破壊してしまうその一撃は衝撃破を伴い、ウォルターが立つ場を中心として周囲すべてを破壊していく。
 崩れていく土草、浮き上がる木の根。そして僅かに漂うしずやかな水の匂い。雨の日のような、濡れた土の匂いだ。目を細めたウォルターはバトルアックスをゆっくりと持ち上げると同時に、顔を上げる。
「……向こう、か?」
 地形が変わったせいだろうか。風の流れが変わったのだ。
 その風の流れにひとつの道を見たウォルターはバトルアックスを掲げ直し、悠然とした足取りで先へ進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジゼル・スノーデン
ふむ、霧か。
こういう時は慌てずに、まず冷静になるんだ。
そもそも、周りには猟兵が他にもいたはずなんだ。変に暴れては同士討ちになってしまう。
しかし、なんだろう、ミルク粥の中にでもいるみたいだ。

「カノープス、来てくれ。風を起こせ」
ユーベルコード「カノープス召喚」を使ってみる。光るクラゲなんだけど、風を起こせるんだ

それで霧が晴れないなら、断じてこれは霧なんかじゃない。
こんなひとところに吹き溜まって、動かない霧があってたまるものか
これでも海辺の守護者だ、霧には慣れているんだ

とりあえずは、カノープスの「周囲の注目を集める光」を使ってみる、誰かと合流できたらいいのだが



「……ふむ、霧か」
 霧の向こうでさまざまな音が反響しているようで、ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)は冷静に周囲に視線を巡らせる。こういう時は慌てずに、まず冷静になることが重要だということは彼女にもよく分かっていた。霧によって分断されたとしても、周りには他にも猟兵がいるはずだと確信する彼女は森の音に耳を済ませる。
 唸るような風の音。地を割るような音。
 まるでミルク粥のように真白い霧の中で見えるものはなくても、聞こえるものがある。
 そしてジゼルは祈るように目を伏せて、そっと語りかけるのだ。
「カノープス、来てくれ。――風を起こせ」
 それは、光を宿したクラゲの姿をしていた。
 まるで彼女の言葉に応えるようにゆらりと揺れるクラゲは、音もなく風を舞い起こしていく。静かに、静かに。けれど。
 霧が晴れることは、なかった。
「やっぱり。断じてこれは、霧なんかじゃない」
 こんなひとところに吹き溜まって、動かない霧なんてあるはずがない。そう断じた彼女は白い霧を鋭く見つめる。海の守護者として暮らした彼女は海によく慣れ親しんでおり、霧にも造詣が深い。だからこそ、この霧の不自然さもよく分かっていた。
 この霧は自然のものではない。となればやはり、この森は普通の森ではないのだろう。古びた魔法の残滓なのか、それともオブリビオンによるものなのか。もっと探る必要があると、ジゼルはカノープスに次なる命令を示す。
「カノープス、照らしてくれ」
 霧は晴れないけれど、この光であれば通るはず。
 その思惑通り――照らされた霧の向こうに、薄く人影が映る。それが猟兵の影であると見たジゼルは、そうして先へ進むことを決めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウォルター・ハイデルベーレ
今はまだ、その時ではないでありますな……。
真の姿にはならずこのまま道を進むであります。

風向きが変われど霧は晴れず……。普通の霧でないことは確かでありますな。
それに、ふいに獣が飛び出してこないとも限らない。要心して損はないであります。

あとは、水の……濡れた土の匂い。霧のせいか、地形破壊でひっくり返した土のせいか……それとも別の何かか……。

ま、進んでみないことには、な~んにもわからないでありますなぁ。


栗花落・澪
宗田(f03527)と連携

うぅ……この霧なんかぞわぞわするよぅ…
纏わり付くような無気味さに腕を摩りつつ
とりあえず僕は空から様子を見るね

僕の持つ杖の輝きを紫崎君の目印に
逆に僕自身も紫崎君の炎を見失わないよう飛距離に注意しながら
【空中戦】技能を飛行技術として使用し
障害物にぶつからないよう進む

時々【歌唱、聞き耳】により音の反響も確認してみるね
障害の無い道は音の返り、響きが違うはずだから
多分通り道ならそれである程度の見当は付けられると思う
後は…水の気配があれば有り難いね

一番手っ取り早いのは他の猟兵さん達の発する目印かな
地形の破壊跡や明かり
その他あらゆる目印を見つけたら紫崎君と共有するよ

アドリブ歓迎


紫崎・宗田
澪(f03165)と連携

霧か……めんどくせぇな

「仕方ねぇ……あんま離れ過ぎんなよ」

【属性攻撃】により小さな炎を纏わせた武器を松明代わりに持ち
チビと逸れないよう注意しながら
【視力、暗視、聞き耳、第六感、野生の勘、見切り】の中で使えそうな技能は積極的に使用し
他の猟兵共の気配を探るぜ

片手を伸ばして自然の気配を探り
誤って炎をぶつけないよう注意しながら
木や岩等が邪魔な場合はぶっ壊して進む
大木が崩れる音や地鳴りがすれば
それで気付く猟兵も居るだろう
…敵の気配にも警戒はするがな

途中長い蔦等を見つけた場合
一度澪を呼び寄せた後その片側を持たせる
明かりだけじゃいつ分断されてもわからねぇし
この方が安全だろ



●幻惑の霧を越えて
 歩けど歩けど視界を遮る濃霧から抜け出せる道筋は見当たらない。
 けれど、進むうちに分かることはあった。
 まず、森の中ということに変わりはないということ。
 次に、霧は晴れずとも一時的に払うことはできるということ。
 自然により発生した霧ではないということ。そして――自分だけではない、猟兵たちそれぞれが、それぞれの方法で打開策を探っているということ。
 己が見出した道を信じて歩き続けるウォルターは、現状を整理するように思い返す。
「水の、濡れた土の匂い。霧のせいか、それとも……」
 僅かではあったが、風向きが変わった瞬間に感じたものは確かに水の匂いだった。それが果たしてどこから来たものなのか、ウォルターも考えてはみたけれど。深く考えるよりも早く、ウォルターはからりとした笑みを浮かべる。
「ま、進んでみないことにはなーんにも分からな、い……ッ!?」
 ふいに、前方から轟音が森中に響き渡る。樹木が薙ぎ倒されるような、岩ごと地面を抉るようなそんな音だ。
 獣の仕業かと警戒を見せたウォルターだったが、しかし断続的に響くその音に、それが自分と同じように周囲を破壊して気配を探っている猟兵によるものだと気付く。これならこの音を目指して辿れば、合流できるだろう。
「これは行くしかないでありますね!」
 漂う水の匂いが、揺らめく白霧が、先ほどよりも濃くなっている。歩む道を確信したウォルターはそうして、しっかりとした足取りで奥地を目指して進んでいった。

 それからしばらく。
 森ごと破壊するような音は、なおも続いている。
 はたしてその発生源となっているのは紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)だった。
 自らの武器に纏わせた小さな篝火を松明代わりに持ちながらも、進行の妨げとなっている大木や岩を容赦なく壊しながら進んでいるのである。
「これくらい音を立ててりゃ気付く猟兵もいるだろ。……おい、あんま離れ過ぎんなよ!」
 敵の気配はない。ならば遠慮することもないだろうと周囲の気配を探りながらも、宗田は上を見上げて声を掛ける。翼をはためかせて空から様子を探る栗花落・澪(泡沫の花・f03165)を考えてのことだ。
 その声に応えるように高度を落とした澪は、聞き耳を立てて音の反響する度合いを確かめながらもゆっくりと宗田の傍へ降り立った。
「この霧、なんかぞわぞわするよぅ……。でも、よかった。上から見たらやっぱり皆も森の奥に向かっているってすぐに分かったよ。光ったり、霧が動いたり、色んな動きが見えたんだ」
「そいつは良かったな。俺らがこのまま音を出してれば、そのうち誰かしら合流出来るだろ」
 それに、水の匂いが強くなってきた。宗田は傍らへ戻って来た澪を見下ろして、それからその先を視線で促してみせる。
 どれほど歩いて来ただろう。霧はますます濃くなってきていたが、進み続けて辿りついたその場所、その道中とは異なる大きく開けた場所には宗田、そして澪にも見覚えがあった。
 あの子供たちが朝露の花を摘んでいった湖畔が、この先にあるのだ。つまりは来た道を再び戻ってきていた、ということになる。
「――チビ、止まれ」
 薄らと見えてきた湖畔を前に、澪がそれ以上先へ進むのを防ぐように宗田が腕で制す。怪訝そうにその表情を伺う澪だったが、しかし宗田は目を細めて前を見据えていた。
 この湖畔へ足を踏み入れば、霧は晴れるだろう。まるで誘うように纏わりつく濃霧に宗田の第六感は語る。後方から聞こえてくる猟兵たちの足音は近い。これより踏み入れるなら、機を見るべきだろう。
「どうやら森の主のお出ましみたいだな」
「……タダじゃ森から出られない、ってわけだね」
 聖なる杖を握り締めて、溜息を飲み込むように澪も頷く。
 見据えた先、湖畔の水際――そこに、猟兵を見つめる黒き牡鹿がいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Interval
 猟兵が意を決して足を踏み入れた、その湖畔。
 そこには人間よりも大きい程に立派な体躯の牡鹿がいた。
 牡鹿のしなやかな蹄が土を踏みしめると、傍から結晶が生まれていく。命が芽吹くように蕾が開き、花が舞う。黒き牡鹿は雄々しくしなる角を青く煌かせながら、その目を瞬かせた。
「なぜ」
 それは葉を揺らす程度の、静かな声だった。
 牡鹿は猟兵をまっすぐに見つめ、問いかける。
「なぜ、おまえたちは――われわれを、おこすのだ」
 なぜ。なぜ。なぜなぜなぜ。
 それは最早、問いではないのかもしれない。
 数多の嘆き、怒り、悲しみ、諦め。さまざまな感情を押し込めたような、僅かに揺らめく水面のような、そんな吐息がまた葉を揺らす。
「ゆるせない」
 虐げるもの。奪うもの。壊すもの。
 森の静けさを掻き消す、人間そのもの。
 すべてが許せないと感情を滲ませた牡鹿は、それらを抑えるようにゆるやかに目を伏せ――けれど、牡鹿が再び目を開いたその時。
「かえさない」
 鏡が割れるような、雷が落ちたかのような。激しい音が辺りを駆け巡るが早く大量の結晶が生え、そして猟兵たちの退路は断たれたのだった。
ファレリア・リトヴァール
まあ……、結晶の蕾に、花、ですの?
美しいですわ……この様なものを生み出せる存在が、
その様な様な問いを投げかける存在が、果たして悪なのでしょうか。
とは言え、そちらが戦う気であれば、応戦しない訳にはまいりませんわ。
私達が無事に帰る事も含めて任務なのですもの。

植物人間達を瓊嵐で攻撃しますわ。
合体されては厄介になるでしょうから、弱い内にまとめて倒してしまいたいですもの。
身の安全は守らねばなりませんわ。

けれど、この牡鹿は本当に敵ですの?
牡鹿から見れば私達こそが森を荒らす侵入者に見えていますの?
だとしたら誤解は解きたいところですけれど……話を聞いて下さるかしら。


ジゼル・スノーデン
ああ、お前も守護者なのだな。この森を守るもの。森の、静けさを。
だが、森は開かれている。訪れるものを拒んではいけないんだよ。力で拒絶してはいけないんだ。それは閉じることで、守れているようで違うんだ。

【WIS】で行動

サモンガイストで、葉っぱ人間を焼き払う
……森そのものには被害が及ばぬように気をつけて、行おう

変化は、恐ろしいな
変わっていくことは必然で、喜ぶべきことだが、変わらずにいることも同じくらい尊くて
……お前の気持ちは、わかるよ
でも、それを恐れてはきっと守ることもできないんだよ
多分大切にするということはとてもとても、難しいことで
お前が、それを誤ってしまったことを私は残念に思うよ



●開かれた森
 黒き牡鹿が生み出した結晶は、霧を抜けて注がれる僅かな光に反射してきらきらと煌めいている。エメラルドにも似た硬質の輝きは、けれど花開く生命のように色鮮やかに見えた。
 周囲を囲むようにしてそびえる結晶に、ファレリア・リトヴァール(白花を纏う紫輝石・f05766)は思わずと感嘆の息を漏らす。
「美しいですわ……」
 結晶の蕾、結晶の花。煌めく鉱石の息吹を見渡せば、霧の中でもその美しさがよく分かった。
 この様なものを生み出せる存在が、はたして悪なのだろうか。ファレリアの心に僅かな疑念が過ぎる。けれど。黒き牡鹿がオブリビオンならば、それは骸の海から染み出した過去のものに過ぎないのだろう。そしてそれは、猟兵とは相容れない存在であるのもまた確かなことだった。
「……あなたが戦うというならば、私も武器を取りましょう。無事に帰ることも含めて、私たちの任務なのですもの」
 知性も、理性も、その牡鹿には残っているように見えた。それでも猟兵の言葉を聞き入れることはないのだと、牡鹿の目を見たファレリアは理解する。
 それゆえに。猛々しい嘶きを合図として植物人間を生み出していく牡鹿ーーヒューレイオンを悲しげに見つめ、ファレリアも自ずと鳴り渡る玉響を手に取ることを選んだ。
「ーー煌めく玉よ、我が意のままに!」
 生み出された植物人間が合体するよりも前に一掃すべく、そうしてヒューレイオンの結晶にも負けない輝きを灯した宝石の花びらは戦場に舞い散っていった。

 時を同じくして。
 ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)もまた、植物人間を残さず散らそうと動き出していた。
「ああ、お前も守護者なのだな」
 森を守るもの。黒き牡鹿、ヒューレイオン。
 守る対象は違えど、同じ守護者としてジゼルはその心を思い馳せるよう目を伏せる。
「かえさない。かえさないかえさないーー!」
 牡鹿の嘶きがまた、葉を揺らした。
 森を傷付けるもの。奪うもの。壊すもの。すべてこの森の中で朽ちてしまえばいいと、その嘶きに呼応するように植物人間の数は増えていく。
 きっと、守りたいという思いに貴賎はない。
 それでも、とジゼルはそっと目を開く。
 例えこの森の静けさを守りたかったのだとしても。森は開かれている。訪れるものを拒んでも、閉ざしても、それは守るようでいてきっと違うものだとジゼルは知っていた。
「変化は、恐ろしいな。……お前の気持ちは、分かるよ」
 ジゼルの眼前へ迫る植物人間の鋭い蔓が、その頬を裂く。鋭い痛みに触れても、ジゼルは目を逸らさなかった。
 変わっていくことは必然だ。変わらずにいることもまた同じ程に尊いけれど。変化を恐れていては、守るものも守れない。
 ーーヒューレイオンはきっと、守れなかった過去の骸だった。自分と同じようでいて、けれど誤ってしまった存在。その存在を目に焼き付けるようにジゼルはまっすぐに見つめて、カノープスを召喚する。
「闇夜の灯台、指し示すもの。風を起こし、道を示せーー」
 たとえ、その道が交わらなくても。
「私は、恐れない」
 襲い掛かる植物人間をカノープスの巻き起こす風が振り払い、開けた視界の中でジゼルはヒューレイオンと向き合い静かに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウォルター・ハイデルベーレ
POW
なるほど、湖の匂いか…
逆戻りではありますが、他の猟兵と合流できてなによりであります。

で、コイツは環境破壊や森を荒らす人間に怒る森の主って所か。
自分もやったのは悪いと思うが、あれは仕方がなかっ……話通じない感じであります?

退路も断たれたし、これはやるしかないでありますなぁ

【真の姿を解放】し、UC【トリニティ・エンハンス】で攻撃を強化。

技能【範囲攻撃】で牽制と同時に周囲の結晶を粉砕し、他の猟兵も戦いやすいよう場を整えるであります。

そして【力溜め】しつつ、タイミングを見、【属性攻撃】で炎を纏わせた斧で重い一撃を食らわせる!

さー、生きて帰るまでが冒険でありますよー

(アドリブ歓迎)



●閉ざされた道
 風に裂かれた葉が森に舞う。分断され一掃されてしまえば、それはただの葉でしかない。その様子を確かめながら、ウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)は少しばかり眉を顰めた。
 黒き牡鹿、ヒューレイオンからしてみれば猟兵は森を荒らすものでしかなく、あの子供たちさえ森を侵すものにしか見えないのだろうけれど。それでも、子供たちにも守りたいものはあったのだ。どちらが悪いとも言いきれない。仕様のないことであったと、ウォルターには割り切るしかなかった。
「退路も断たれたし、これはやるしかないでありますなぁ」
 戦わずに済むのであれば、その方が良い。それは幾多の戦場を駆け抜けたウォルターにとっても共通の認識である。
 それでも、生きるためには。帰るためには。
 戦うのしかないのだと、ウォルターはバトルアックスを手にして、大きく息を吸い込む。
 ぶわりと空気を変えて巻き上がるのは炎、氷、そして風の魔力だ。トリニティ・エンハンス。自身の攻撃力を強化するために使われた魔力はウォルターを囲むように吸収されていき、そして全て吸い込むと同時に彼が振り回したバトルアックスはーー周囲の結晶をまとめて、ぶち壊した。
「生きて帰るまでが、冒険でありますよ!」
 己を鼓舞するようにウォルターは声を張り上げる。
 そんな彼に襲いかかるのは、結晶が壊されたのを皮切りに一際大きく嘶いたヒューレイオンの蹄だ。
「いらない、いらないいらない! にんげんは、いらない!」
「……やっぱり話は通じなさそうであります、なッ!」
 蹄をバトルアックスで受け流そうとしたウォルターに、更にヒューレイオンの青く煌めく角が鋭く伸びる。負けずとその先端を遮るようにウォルターの炎も猛り、そうして1人と1体の鍔迫り合いは激しく森に響くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
宗田(f03527)と連携

牡鹿さんが
ただ静かに過ごしたかっただけだとしたら
無闇に干渉した僕らも確かに悪い
そこは素直に謝るよ…ごめんなさい

それでも
あの子達も愛する人を救う為に必死だったんだ
怒りに任せて暴れるつもりなら
見過ごすわけにもいかない
人も自然も好きな僕としては複雑だけど…

【空中戦】で敵の周りを飛行し狙いを分散させながら
【全力魔法】と【催眠、歌唱】により
牡鹿と召喚された者達をまとめて翻弄
UCで敵の疲弊と視界妨害による足止めを狙い
紫崎君に攻撃の隙を作る為のサポートに徹する
出血を伴う被害には癒しの歌を

愛する自然に攻撃される気分はどう?

ここはとっても素敵な森だよ
霧で見えないのが残念なくらいに、ね


紫崎・宗田
澪(f03165)と連携

奴隷生活の長かったチビにとっては
時折視界に入る自然の美しさだけが救いだったらしい
自分の髪に咲く花と同じそれに
感じる物があったんだろう

複雑な心境は承知だ
俺はいつでもチビを【庇える】よう注意しながら
前戦で積極的に仕掛けるぜ

燃焼だけは勘弁してやるから
多少ぶっ壊すのは許してくれよ?

【残像】を残す程の【早業】で【先制、2回攻撃】
【視力、聞き耳、第六感、野生の勘、見切り】で使える技能は積極使用し
敵の隙を突きながら
【薙ぎ払い、範囲攻撃】の【衝撃波】による【吹き飛ばし】や
【怪力】と合わせての【気絶、麻痺攻撃】
場合によりUCで大地や周囲の自然をぶっ壊して
【地形利用】による体勢崩しも狙うぜ



「牡鹿さんはきっと、ただ静かに過ごしたかっただけなんだよね」
 だとしたら、無闇に干渉した自分たちも確かに悪い。
 そう素直な気持ちで栗花落・澪(泡沫の花・f03165 )は呟く。ごめんなさい、牡鹿さん。
 言葉が通じなくても、届かなくても。澪はあえて、言葉にすることを選んだ。ただ、申し訳ないと思う気持ちが本当であっても、怒りに任せて暴れる牡鹿を見過ごすことは出来ないというのもまた事実。澪は力強く牡鹿を見据えると、その翼をはためかせて空へ舞い上がる。
「あの子たちも愛する人を救うために、必死だったんだ。……だから、僕も戦うよ」
「ーーってな訳だ。燃焼だけは勘弁してやるから、多少ぶっ壊すのは許してくれよ?」
 空を翔ける澪を視界に収め、自らもその巨斧を構えた紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)が不敵な笑みを浮かべる。
 壊す。その言葉に反応したヒューレイオンもまた、高々と蹄を上げて力強く嘶く。その息吹に葉が揺れて、植物人間が続々と生み出されていくのよく見えた。
「何度作っても無駄だよ! 香り高く舞い遊べ!」
 合体されるよりも早く。生み出されていく端から、澪の指先が示す方へと吹き荒れる花嵐が植物人間を蹴散らしていく。自由に空を駆け抜けるその姿は正しく天使のようでもあり、すばしっこい様は小鳥のようにも見えた。
 指揮者のように指先が踊れば、また花嵐も右から左、そして左から右へ。吹き飛ばされていく植物人間はその数こそ脅威的なものだが、どうやらその機動はあまり高くないらしい。
 しかし。
 僅かでも、撃ち漏らした植物人間がいたのだろう。その視界の外から伸ばされた、植物人間の操る蔓が澪の足を捕らえた。

 短い悲鳴をあげて、澪のバランスが崩れていく。戦闘中であっても空を飛ぶことも容易ではあったが、けれど視界の開けた空中へ行くということは自ら的になるということでもある。360度すべてからの攻撃を見切ることは猟兵であれどむずかしく、またバランスを崩して乗り風を逃せば落ちるのも瞬く間のことであった。
「ーーチビ!」
 そうして地に落ちかけた澪を受け止めたのは、いつでも庇えるようにと備えていた宗田だ。滑り込んだ先で澪を受け止め、大きな怪我はないことを確かめると、宗田は知らずと小さく安堵の息を漏らす。
「背中任せるぞ、俺も全力で行く」
「……うん! 傷は僕が癒すよ、任せて」
 謝るでもなく、礼を言うのでもなく。次を見据える2人の間には、確かな信頼があった。瞬く間、大きく頷いた澪から視線をヒューレイオンへ移した宗田は巨斧を手に前線へと駆け上がっていく。
「そんなに眠っていたけりゃ、1人で眠ってろ!」
「うるさいうるさいうるさい! もう、だれもかえさないーーおまえも、しんでしまえ!」
 結晶も壊され、葉も裂かれ。何もかもが傷だらけだった。
 ヒューレイオンはそれでも追撃をやめることなく、猟兵を言葉で、行動で、すべてを使って拒み続ける。抑えきれなくなった感情に突き動かされるように振り下ろされるその蹄を見切り、交わし、そして。
 宗田の怪力によって、ばきりと鈍い音を立ててヒューレイオンの青い角はへし折られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャオ・フィルナート
★→アイテム
【】→技能

少しだけ…可哀想だとは思うけど、ね
まずは、大人しくなってもらおうかな…

★氷麗ノ剣から放出させた水による
【属性攻撃+UC】で敵の足元に渦潮を発生
足を絡め取る事に成功したら凍らせ足止め

右眼のみ★金星眼に覚醒し
目を合わせさせる事で【生命力吸収、催眠術】で
動きを鈍らせる、混乱で自滅などを狙う

見えない敵は…まとめて倒せばいいだけ、でしょう?

【見切り】で敵の挙動に注意
SPD、WIZ攻撃の動きを見せたら
【属性攻撃+範囲攻撃+UC】で
自分を中心に氷の津波を発生させ一掃を狙う

あぁ…味方巻き込まないようには気をつけるけど…
もし氷像出来ちゃったら…【UC回復】だけしておくね…

アドリブ自由



 角を折られ、その体幹を崩したヒューレイオンに次に襲いかかったのは足先から生まれる結晶ごと巻き込んだ渦潮だった。
「……少しだけ、可哀想だとは思うけどね」
 絡め取られた足先から凍っていくその様を見据えながら、シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は小さく呟く。憐れむことはとても容易で、忖度することだって出来た。それでも、その気持ちに寄り添うことはない。猟兵であるからこそ、シャオは追撃の手を弛めはしなかった。
「いやだ、いやだいやだ……! もう、なにもうしないたくない……!」
 凍っていく体さえ拒むように、足が自壊することさえ厭わずにヒューレイオンは身を捩って、その鎖のように繋ぎ止める氷を蹴り壊す。ヒューレイオンが距離を取るように後退すれば、そこからまた結晶は生まれていった。揺れる葉も同じように、また人形を象り植物人間は瞬く間に繁殖していく。しかし、それも最後の力を振り絞るようなものだった。
 傷だらけの体、折れた角。それらを辿るようにシャオは視線を向けていく。辿り着く先は、緑の目。
「……もう、眠った方がいい」
 結晶と同じ、エメラルドのように煌めく目と藍色の目が交差する。
 どうしたって、ヒューレイオンの願いは叶わない。失われた過去の存在に、取り戻せるものなんてない。子供ようにすべてを拒み続けたところで、開けた森はこれからも変わっていくし、これからも生き続けていく。そこにヒューレイオンが望む日々はもう二度と訪れない。
 それを理解しているからこそ、シャオはその緑の目を見た。眠りたいのであれば眠らせてあげようと、藍色から移ろうように金星眼に覚醒した右目はヒューレイオンへ催眠術を施す。
「いやだ、いやだ……ッ!」
 葉が踊る中。ヒューレイオンの世界はぐらりと傾いていく。
 そして。
「ーー凍てつけ」
 氷の津波が、すべてを呑み込んでいく。
 葉も、草木も、湖も、そしてヒューレイオンも。時が止まったかのような、白銀の世界が訪れた。
「……終わりにしよう、ヒューレイオン」
 シャオがそう言うと、ぱきりと軽い音を立てて氷像は崩れていく。
 その様を見届けて、しばらく。
 やがて霧が晴れた森は不思議といつもの姿を取り戻しており、降り出した雪だけがそこに在ったものの名残りを思わせるようだった。

●道の跡で
 猟兵が去り、森には静けさが戻っていた。
 けれど、その森を閉ざしていた存在はもういない。
 村へ戻った子供たちは冒険譚を夢のように語り、やがて森にはまた人が訪れることもあるだろう。
 そして開けた森は、人と共存するように生き続けるだろう。

 ーー溶けた氷の、その下で。
 春を待つ、小さな蕾が芽を出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月12日


挿絵イラスト