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寛永三方ヶ原の戦い~百鬼夜行

#サムライエンパイア #【Q】 #寛永三方ヶ原の戦い #武田二十四将

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「……家光さんの懸念が当たったか」
 グリモアベースの片隅で、閉じていた瞼をそっと開いた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)のポツリとした呟き。
 その呟きが気になったのか、猟兵達が優希斗の傍へとやって来る。
「皆。サムライエンパイアの織田信長が武田信玄の復活を目論んでいる可能性が予測されたよ」
 切っ掛けは徳川・家光による『甲斐の虎』復活の可能性の示唆。
 その可能性について猟兵達が予測、集中的に予知を行なった結果、機先を制してこの可能性が真実であることが証明されたのだ。
「【Q】が成功した結果、幸いにも武田信玄が復活するよりも前に攻撃を仕掛けることが出来るようになった。具体的には、オブリビオン武田信玄軍及び、それを率いる武田信玄配下として有名な武田二十四将への攻撃をね」
 この作戦にもし失敗すれば、武田信玄は蘇ってしまう。
 そうなった場合、恐らくその先に待つのは阿鼻叫喚の地獄絵図だろう。
「だから、皆にはこの武田二十四将を止めるために、徳川軍と共に出陣し、各二十四将を倒すべく死力を尽くして欲しいんだ。どうか皆、協力して貰えないだろうか?」
 優希斗の問いかけに、猟兵達は其々の表情を浮かべるのだった。


「先程も軽く述べたが皆には今回、徳川軍と共に出陣し、彼等を囮にして敵部隊に強襲、直属の護衛部隊を撃破後、武田二十四将との決戦に向かって貰う」
 合戦である以上、大量の戦力を投入するのは作戦として当然のことであろう。
「ただ今回の作戦、致命的な問題があってね。先ずは、徳川軍全体の戦力についてだ」
 実は徳川軍には家柄だけで武士となった者も多く、慢性的な実力不足という問題を抱えている。
「更に言えば、この織田・武田連合軍に、徳川軍は一度大敗を喫している。その時の事があるから、士気は最低で戦う前から既に負けが決まっている様な状態になっていると思った方が良い」
 つまり、先ずは味方である徳川軍の陣頭に立つなり、予め何らかの手を打って徳川軍の士気を上げ、合戦を行える状態を作り上げなければならない。
「最も、皆が戦う武田二十四将が誰なのか、その護衛部隊が誰なのかまでは分からない。だからこそ皆には現場判断でその都度、その都度対応して貰う必要がある」
 口で言うのは簡単だが、実戦となると難しいだろう。
 だがそれでも誰かがやらなければ武田信玄がオブリビオンとして蘇り、結果として更なる苦境に立たされるのは猟兵達だ。
「だから、俺は皆のことを信じて送り出す。武田二十四将を止め、武田信玄のオブリビオンとしての復活を妨げてくれることをね。どうか皆、宜しく頼む」
 言葉と共に戦場へとテレポートさせる優希斗に背を押され、猟兵達はグリモアベースを後にした。


長野聖夜
 ――過去の英霊達が亡霊として蘇る。
 いつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 と言う訳で、オブリビオン武田信玄復活阻止のための全体依頼です。
 尚、今回のシナリオに関しましては7月30日(月)迄に完結させるという時間的制約もございますので、下記日程でシナリオを執筆させて頂く予定です。
 その為、状況によっては(特に第1章・第2章)は、プレイングを却下させて頂く可能性もございますので、その点も考慮に入れてご参加をご検討頂ければ幸甚です。
 但し第1章でプレイングを却下された場合、プレイング内容にもよりますが、第2章でのプレイング採用率が上がりますので、プレイングの却下=プレイングの不備では無い点は、ご承知おき下さい。
 以下、執筆予定です。
 第1章:7月23日(火)夜~7月24日(水)夜。
 第2章:7月25日(木)夜~7月26日(金)(此方は7月27日(土)まで伸ばすかも知れません)。
 第3章: 7月27日(土)夜~7月28日(日)。
 プレイングは、この日程が入る様に送信して頂ければ、と思いますので下記期間が受付期間となります。
 第1章:OP公開直後~7月24日(火)19時頃迄。
 第2章:第2章冒頭執筆後~第2章成功達成度確定前迄。
 第3章:第3章冒頭OP執筆後~。
 尚、プレイング期間の詳細については業務連絡としてリプレイ冒頭、或いはマスターページにて告知致しますので、ご確認頂ければ幸甚です。

 ――それでは、どうか良き合戦を。
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第1章 冒険 『三方ヶ原の徳川軍』

POW   :    陣頭に立って力を見せつける事で、徳川軍の戦意を高揚させます

SPD   :    兵士一人一人への細やかな配慮や事前準備によって、士気を上昇させます

WIZ   :    演説や説得によって、徳川軍のやる気を引き出します

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウィリアム・バークリー
「優しさ」「礼儀作法」を使って、幕府の征討軍の方々に言葉をかけ、士気を引き上げます。

徳川方の皆さん、ここまでの行軍、お疲れ様です。
いよいよ寛永三方ヶ原の戦いが始まります。敵の中枢はぼくたち猟兵が叩きますが、足軽などの敵戦力の大部分は、武家の皆様にお願いする事になるでしょう。
三方ヶ原の戦いは、徳川が天下を取るまでに遭遇した最大の危機の一つ。ですが、今回は違います。ぼくたち猟兵が付いていますから。
敵にどんな策があろうと、ぼくらが中枢を叩けば機能しなくなります。安心して、相対する敵軍を討滅してください。

最後に、生まれながらの光で、近くの方々だけでも疲労を祓います。

では、互いに武運を「祈り」ましょう。


雨咲・ケイ
まさかあの武田家と戦う機会が巡ってくるとは
思ってもいませんでした。
これは血が滾りますね……ふふふ。

【WIZ】で行動します。

年若い武士達の説得を行いましょう。

「私は、現在13歳です。
この国でいう元服もまだ行っていません。
ですが、この国の窮地と聞き
居ても立っても居られず馳せ参じました。
相手は、あの天下に武名を轟かせた武田家です。
この戦は皆様にとっても、一生に一度あるかないかの
大舞台となる事でしょう。
正に男子本懐の極みではありませんか?
どうか、私達と共に戦ってください」
(短刀で耳の脇のサイドの髪を切って
覚悟を見せます)

……かなり勢いに任せて言っちゃいましたが
大丈夫でしょうか?(汗)

アドリブ歓迎です。




 ――三方ヶ原。
 嘗て、徳川軍が武田軍に敗れたその地。
 そして……。
(「徳川が天下を取るまでに遭遇した最大の危機の一つ、ですね」)
 意気消沈し、塞ぎ込んでいる様にも思える若武者達の様子を見ながら、ウィリアム・バークリーが内心で日本の歴史を思い起こす。
(「流石に私の年齢の方はいませんが……やはり生まれたての子鹿の様に震えているのは、まだ元服したての若武者の方が多い様ですね」)
 陣中見舞い代わりにウィリアムと共に若武者達を眺めていた雨咲・ケイが、武者震いを堪えきれずにぶるり、と一つ身を震わせながらしたり顔で頷いた。
 今回は、噂の武田家と戦うまたとない機会。
 そんな機会が巡ってきた事に、古武道を学んできた戦士としての悦びが抑えきれない。 
「徳川方の皆さん、ここまでの行軍、お疲れ様です」
 士気を挫かれ意気消沈している若武者達を労うウィリアムへと、顔面蒼白の若武者が何人かの若武者達と共に振り向いた。
「お前達は、怖くないのか……?」
「何がですか?」
「だってあの武田軍だぜ! 昔、徳川家康様を打ち破ったというあの有名な……」
「し、しかも話によれば、家康様はこの地で武田信玄に敗れたそうじゃないか。そ、そんな所にオブリビオンという化け物として武田信玄がまた姿を現した、なんて……」
 震え声で呟く若武者に、ウィリアムは確かに、と頷きを一つ。
「この地で、徳川軍は武田軍に一度敗れています。ですが、今回は違います。今回はぼく達猟兵……骸の海を討滅する者達がいますから」
 そう言って、ウィリアムがケイと共に江戸幕府のお墨付きの証、天下自在符を取り出して若武者達に見せる。
 不意に見せられたそれに足を震わせていた若武者達もその場に平伏し、恐縮した表情になった。
 平伏した中の一人、まだ元服して間もないくらいであろうか。
 その位の少年の前に膝を折り、ケイがそっと問いかけた。
「あなたには、私が何歳くらいに見えますか?」
「えっ……?」
 ケイの問いかけに、少年が曖昧な表情を浮かべて軽く頭を振る。
 そんな少年に対して、ケイが自信ありげに微笑んだ。
「私は、13歳。まだ貴方達の国で言う、元服をしている年ではありません」
「えっ……?!」
 ケイの告白に、呼びかけられた若武者がひゅっ、と息を呑む。
「本当に?」
 流石に目を丸くしながら問いかけてきた別の若武者に、ケイが滾る心を抑える様にしながら首肯し、ですが、と話を続けた。
「まだ元服していない私でも、この国の窮地と聞き、居ても立っても居られず馳せ参じました。それだけの価値がこの地にはあると思いましたし……なによりも、皆様と力を合わせれば武田軍を必ず倒すことが出来る、そう確信したからです」
「ぼく達猟兵は、確かに敵の中枢を叩く事は出来るでしょう。それがぼく達の役割です。ですが……」
 ケイの言葉を引き取り、続けたウィリアムがその場で一度言葉を句切る。
「足軽を初めとする大多数の武田軍に関しましては、全面的に皆さんにお任せすることになります。と言うより、武田軍の大部分は、皆さんに討滅して貰う必要があるのです」
「だ……だけど……」
 ウィリアムの呼びかけに恐怖に顔を引き攣らせる少年武者達。
 そんなへっぴり腰の少年武者達に対して、ケイはにっこりと闘志を滾らせながら微笑んだ。
「貴方方もよく分かっての通り、敵はあの天下に名を轟かせた武田軍です。ですが……だからこそ、思いませんか? こんな一生に一度あるかないかの大舞台で手柄を立て、そしてその名を轟かせることこそ、正に武士の、男子の本懐の極みだと」
「武士の、男子の本懐の極み……」
 ケイのその言葉に、若武者の一人がピクリ、とその耳を欹てる。
 その様は、今回の戦いで得ることの出来るであろう自らの勇名に想いを馳せている様で。
「此処で私達が功を立てれば或いは……と?」
 ここぞ、とばかりにケイが畳みかける様に頷き話を続けた。
「はい。此処で皆さんが功を立てることが出来れば、きっと皆さんの勇名は、江戸中へと広がっていくことになるでしょう。そして皆さんの勇名が轟けば轟く程、武田軍は怯み、私達は私達の役割を果たすことが出来ます。そこで……」
 そう告げたところで。
 ヒュッ、と懐から一本の短刀を抜き、そのまま目にも留まらぬ早業で、自らの耳の脇のサイドの髪を切り落とすケイ。
 目前で突然行なわれたそれに、何事かと驚きの表情を浮かべる少年武者達を、ケイは闘志を迸らせながら見回した。
「これは、私の覚悟です。皆様と共に最後まで戦い抜き、必ず武田軍に勝利するという私の誓いを籠めた断髪の義。今、この瞬間からこの戦において、私の命、皆様にお預けしたいと思います。ですから、どうか……」
 そう言って切った髪を束ねて若武者達に差し出すケイ。
 若武者達がそのケイの姿に魅入られた様に息を呑み……程なくして、分かった、と言う様に首肯してケイの髪を受け取り、おおっ、と自分達自身を鼓舞する様に雄叫びを上げ、槍を、刀を手に取って天に掲げる。
「……かなり勢いに任せて言っちゃいましたが、大丈夫でしょうか?」
 燃え上がる若武者達に聞こえない様な小声でウィリアムに囁きかけるケイ。
 その額にはほんの少しだけ汗が滴っていた。
 そんなケイと士気を上げた若武者達の此処までの遠征の疲労を少しでも減じるべくその手から聖なる光を放射しながら、ウィリアムが頷く。
「大丈夫だと思いますよ。皆さん、きっとぼく達と共に戦ってくれる筈です」
 そう告げるウィリアムに疲労を癒されながらケイはグッ、と両拳を握りしめ、武田軍との戦いに転じるべく踵を返した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジョン・フラワー
【花簪】
よろしくね、簪のアリス!
ここはお茶会の会場かな?

やあアリスたち! 何を不安がっているんだい?
手強い相手と戦うのが恐ろしい?
そりゃそうさ! 恐ろしくない戦いなんてないよ!
でもキミたちは運がいい! 悪いやつらの襲撃を知ることができたんだ!
そして僕らがここにいるんだから、悲しい未来はありえないのさ!
みんなを笑顔にするためにきたんだもの!

頼れそうに見えない? うふふ、僕はこのとおりキュートだからね!
でもとっても力持ちなんだ! 手を握ってくれたら伝わるかな?
簪のアリスだってすっごく強いんだよ!
こんなに頼れる仲間がいるのに怯えてばかりじゃ勿体ない!
それじゃあ戦場に誘惑だ! さあいこうアリス!


月舘・夜彦
【花簪】
……簪のありすとは

徳川軍の武士達の武器を見せてもらいます
私も侍、武器の大切さは理解しているつもりです
刀であれば釘目が緩んでいないか等、確認は出来ましょう
どんなに優れた者でも武器が使い物にならなければ意味を成さない
こうした準備でさえ勝利を掴む過程と思えば重要さが分かる
それに……ただ戦いを待つよりも気が紛れませんか?

サムライエンパイアの世界を見たいとの事でオオカミ殿をお連れしましたが
彼等にも「ありす」なのですね……不思議なお方です

一度負けを知ると「次も」と不安になるのは分かります
しかし彼の言う通り、今回は我々猟兵もおります
我々とて負ける為に戦う訳ではございません
「次こそ」勝つ為に居るのです


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携可

力を見せつけるとか、人前で演説とか、僕の柄じゃないな
ひとりひとり、地道に呼びかけていこう

明らかに戦意喪失している侍を探して
天下自在符を見せた上で香草茶を差し出し、一緒に飲もうと誘う
空気が和んだらしっかりと言葉を尽くすよ

貴方もすごく不安だろう
かつての武将が理由もわからず蘇ろうとしていて
それともう1度戦うことになるなんて、普通は誰も考えないよ
怪異や魑魅魍魎が現れない限り、刀すら振るう機会はないし
これだけの大規模な戦となれば尚更だ

ここに来たのは上様の命かもしれない
それでも貴方の刀は誰かを守れるんじゃないかな

僕達はこの世界を守るため全力を尽くす
だから、貴方の力を貸して下さい




 ―― 一方その頃。
(「流石に人前で力を見せるとか、演説するとかは僕の柄じゃ無いな」)
 戦場の概要を知悉していた館野・敬輔が内心で呟きを一つ。
 若武者達の方は、どうやら既に他の猟兵達が鼓舞しているらしい。
 だとすれば此処は大多数では無く一人、一人、明らかに戦意喪失している侍達に声を掛けていくべきだろう、と思い香草茶を携え、辺りを見回す。
 すると……。
「よろしくね、簪のアリス! ここが、お茶会の会場かな?!」
 テンション高く、ざっくばらんに隣に立つ男に呼びかける桃色の髪の青年。
(「……簪のありす、とはな」)
「ええ、どうやらその様ですね」
 その青年……ジョン・フラワーの呼びかけに応じた月舘・夜彦が不思議そうな表情を浮かべて静かに頷き返しながら、香草茶を用意していた敬輔に気がつき声を掛けた。
「あなたも陣中見舞いですか?」
「ああ、その通りだ。君達も?」
「その通りだよ、黒鎧のアリス! 手強い敵と戦う事を不安がっているアリス達の応援にと思ってね!」
「アリス……」
 ジョンの言葉にどう言ったものだろうか、と言う表情を浮かべる敬輔。
「不思議な方だとお思いですか? ジョン殿にとっては、あなたも含め、全てがアリスとなる様なのです」
「そうなのか」
 夜彦の説明に、納得した様に首を縦に振る敬輔。
 敬輔とジョンと夜彦。
 この奇妙な3人連れが、其々に侍達を鼓舞する為、侍達を訪問するのであった。


「勝てる……勝てる筈が無い、最強の武田軍に。上様は一体、何を考えていらっしゃるのだろうか……」
 小さな声音で、溜息をつく壮年の侍。
「我等の命、最早これまでか……」
「いっそ、この場から逃げてしまうというのも……」
「これ! 滅多なことを言うでない! そう思う気持ちは分からなくは無いが」
「やあアリスたち! 何を不安がっているんだい?」
 既に気持ちで負けており、口々に不安や嘆き、憂いを口に出す侍達に最初にそう声を掛けたのはジョン。
 ジョンの隣の夜彦が、もし、と呼びかける。
「宜しければ、私に武器を見せて頂けませんか? 私も侍、武器の大切さは理解しているつもりです」
「それは構わないが……お主達は……?」
「うふふ、キュートなオオカミの登場だよ!」
 侍の一人の問いかけに朗らかな笑みを浮かべたジョンがそう告げ、侍達がお互いに顔と顔を見合わせるのに、敬輔がその懐から天下自在符を取り出して見せた。
「僕達はこういう者だ。戦いの前に共にお茶でも、と思って話しかけてさせて貰った」
「! こ、これは天下自在符?! すると、貴方達は猟兵、ですか……?!」
 呆気にとられた表情でポカン、と口を開けた侍に敬輔が頷く。
 続けてその場にいた侍達はその場で丁寧に一礼し、それから敬輔に勧められた香草茶を有難い、と言った様子で受け取っていた。
「噂に名高き猟兵の皆様に我等が武器を見て頂けるなど、何という僥倖! 是非、検めて下さいませ……!」
「そう、固くならないで下さい。私達としては、ただ戦いを待つだけよりも気が紛れるのではないかとそう思っただけなのですから」
 地に置かれた刀を抜き放ち、目を細めて刀を検分する夜彦。
 敬輔から出された香草茶を恐縮しながら啜る彼等と刀を交互に見ながら、フム、と夜彦が頷きを一つ。
(「釘目の緩みなどは然程では無さそうですね。すると問題は……この方達の気持ち、ですか」)
「うんうん! 黒鎧のアリスのお茶はとても美味しいね、アリスたち!」
 敬輔の用意した香草茶を啜って満足そうに頷くジョンにそうですね、と口々に同意を示す侍達。
 口調が固く感じられるのは、刀を検められている事に対する緊張か、はたまた先程の不謹慎な言葉を聞かれてしまった事への気まずさか。
(「それは人其々、か」)
 侍達の様子を具に観察しながら一つ頷く敬輔の事は横に置き、ジョンが軽く小首を傾げた。
「キミ達、やっぱり手強い相手と戦うのは恐ろしいかい?」
 ジョンの問いかけに侍達がギクリ、と身を強張らせる。
 侍達の様子から確信を得たジョンがうんうん! と大きく首を縦に振った。
「そりゃそうさ! 恐ろしくない戦いなんて無いからね!」
 ジョンの言葉に香草茶を飲んでいた侍達が思わず、はっ、とした表情になる。
 自分達の不安や恐怖を、ジョン達猟兵が理解してくれるとは思ってもいなかったのだろう。
「そうだな。貴方方が不安になるだろうことはよく分かる。嘗ての武将が理由もわからず蘇ろうとしていて、それともう1度戦うことになるんだからね。そんな事、普通は誰も考えないよ」
 ジョンの言葉を引金に、弛緩した空気を漂わせた侍達に相槌を打つ敬輔。
 ジョンと敬輔の言葉に漸く気持ちが解れたのだろう。
 侍達は、そうなのです、と大きく頷いていた。
「貴方方は、こう言った怪異と何度も戦ったことがあるかも知れませぬ。ですが、私達は……」
「この様な戦の経験など殆ど無い。確かに代々の徳川家に仕えてきた家の者としては、上様のお力添えになればとも思いますが……やはり、恐怖はあるのです」
 侍達の一人の呟きに、他の侍が続けてそう話をした所でジョンが大きく首肯した。
「ふふっ、その通りだね! でも、キミ達は実に運が良いんだよ!」
 パチン、と指を一つ鳴らして指鉄砲を作って侍達に向けるジョン。
「運が……良い?」
「この様な戦いに巻き込まれたことが、運が良い、と?」
「その通りさ! だってキミ達は、悪い奴等が襲撃してくるよりも先に、襲撃されることを知ることが出来たのだからね!」
 怪訝そうな侍達に、真実を告げるジョン。
 ジョンの言葉にざわつく侍達に簡単に事情を説明する敬輔。
「……まあ、最悪の事態は免れている、と言う意味では運が良いかもしれない。けれども、こう言った怪異や魑魅魍魎が現われない限り、貴方達が刀を振るう機会はないし、これだけの大規模となれば尚更不安だろうね」
「でも、大丈夫! キミ達には絶対に悲しい未来は訪れない! なんせ、この場に僕らがいるんだからね!」
 侍達の懸念材料を確認して頷く敬輔に対して、自信満々にパチン、と指を鳴らして侍達に自分達の存在を誇示するジョン。
 ジョンの自信にざわつく侍達の様子を気配で感じ取り、彼等の刀を検めていた夜彦がフム、と内心で頷きを一つ。
(「サムライエンパイアの世界を見たいとの事でオオカミ殿をお連れしましたが、オオカミ殿にとっては彼等も「ありす」なのですね……」)
 不思議なお方だ、と夜彦は思う。
 そしてもしかしたらジョンは、アリスラビリンスで救われるべき対象である『アリス』と、彼等を重ね合わせているのかも知れない、とも。
 そう思いながら、刀を検めていた夜彦がそっと口を開いた。
「貴方方は良き刀を持っているようですね。手入れも行き届いています」
 その言葉に、ジョンの発言に呆気にとられていた侍達が夜彦の方へと視線を移す。
 その視線を受け止めながら、例え、と静かに言の葉を紡ぐ夜彦。
「貴方方がどれ程優れた方達であったとしても。武器が使い物にならなければ意味を成しません。貴方方はその事をよく知っていらっしゃる様ですね」
 ――それは逆も然り、なのですが。
 内心でそう付け加える夜彦の表情には気がつかなかったのだろう。
 自分達の刀の手入れについて褒められた侍達は、満足げな表情を浮かべていた。
 そんな彼等に対して、敬輔が告げる。
「そんな優れた刀を持っている貴方方であれば、例え上様の命令で此処に来たのだとしても、そしてこの未知の敵に対する恐怖を持っていたとしても、貴方方にとって大切な誰かを守るために、その刀を振る事が出来るんじゃないかな? 勿論、その時には僕達も協力する。皆を守るために、僕達も最善を尽くす」
「黒鎧のアリスの言うとおりさ! だって僕達はみんなを笑顔にするためにきたんだもの!」
 敬輔の言葉を引き取り、活気づいた表情で侍達に満面の笑顔を浮かべるジョン。
 夜彦がそれに同意する様に静かに頷くその様子を見て、侍達が微かにざわめき出す。
「拙者達にも守れるものがある、と言うのか」
「そしてそんな私達を守るために、貴方方が力を貸してくれると……?」
「その通り!」
 侍達の問いかけに頷くジョン。
 そんなジョンの頷きにしかし、と怪訝そうな表情を浮かべる侍もいる。
「だが……見た限り、貴方はそれ程強そうに見えないのだが……大丈夫なのか?」
「僕が頼れそうに見えない?」
「……失礼ながら」
 話に食いついてきていることが分かっているからだろう。
 怒った様子も見せずに軽く問いかけるジョンのそれに、申し訳なさそうな表情をしながら首肯する侍に、ジョンが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「うふふ、まあ、僕はこのとおりキュートだからね! でもとっても力持ちなんだ!」
 そう言って、ギュッ、と怪訝そうにしている侍の手を握るジョン。
 握りしめられた手に籠められた馬鹿力を感じたか、侍が思わず、と言った様子で目を瞬いた。
「ふふ、少しは分かって貰えたみたいだね! 勿論、簪のアリスだってすっごく強いんだよ! こんなに頼れる仲間がいるのに怯えてばかりじゃ勿体ない!」
「……ふむ」
 ジョンの言葉に何となく理解を示しつつも、微かに迷う表情を見せる侍達。
 その侍達の表情に浮かぶは、嘗てこの地で徳川家が武田軍に敗れたと言う記録から来る不安。
「……一度負けを知ると、『次も』と不安になるのは分かります」
 後一押し、と判断したか静かに囁く夜彦。
「ですが、彼の言うとおり今回は我々猟兵もおります」
 夜彦がそこで、コホン、と一つ咳払いをする。
「我々とて負けるために戦うわけではありません。『次こそ』勝つために、此処にいるのです」
「でも、勝つためには、貴方方の大切な誰かを守るためには、僕達だけの力では足りない」
 夜彦の言葉に繋げてそう続けるは、敬輔。
 何時の間にか侍達は敬輔達の言葉に真摯に耳を傾け、次の言葉を待っている。
「僕達は勿論、この世界を守るために全力を尽くす。それでも足りないんです。だから……」
 そこで言葉を句切り。
 敬輔が静かに一礼を一つした。
「どうか、貴方達の力を貸して下さい」
「……分かりました」
 敬輔の言葉に静かに頷き。
 夜彦が返した刀を携え、侍の一人が立ち上がる。
 他の侍達も又、まるで水面に広がる波紋の様に静かにその場で立ち上がり、口々に力を貸す事を約束してくれた。
 その様子に、満足げにジョンが微笑み。
 武田軍が布陣を指差した。
「それじゃあ戦場に誘惑だ! さあいこう、アリス!」
『オオッ!!!!!』
 ジョンの煽動に応じる様に。
 敬輔達の周囲にいた侍達が、一斉に鬨の声を上げて駆け出した。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
武田信玄か。優秀な戦国大名ではあったようだね。
二十四将は一堂に会した事はないはずだが、オブリビオンならではといったところか。
……まあ、まずは徳川の将兵諸氏をなんとかせなばならないね。

将兵を集めて力を見せて士気高揚を狙う
「やあ、徳川の将兵諸君。我々は君達と共に戦う為にこの地に来た者だ。
 先程の戦いに敗れたそうだが、それは忘れたまえ。
 その時、我々はいなかった。とはいえ、小数の私達が加わって何が変わるのかとい者もいるだろう。
 当然の事だ。だから、まず私が力を示そう」
『アララトの流星』で地形を破壊、分かりやすく力を示す。
「この程度の事は我々には造作もない事だ。戦友諸君、次の戦は勝ち戦だぞ」


オリヴィア・ローゼンタール
気持ちだけで勝てるわけではありませんが、気持ちが萎えていれば勝てるものも勝てませんからね
発破のひとつもかけておきましょうか

長きに渡る太平の世、実に素晴らしい
ですがそれは無限に享受できるものではなく、打ち破る者が現れるまでの束の間の平穏なのです

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏って攻撃力を増大
大岩を真っ二つに斬り裂き力を見せる(怪力・パフォーマンス・威厳)
確かに我々は人智を超えた力を持っていて、大きな戦力となるでしょう
ですが、その後にこの世界を守り続けるのは貴方たちなのです
何のためにその腰に刀を差したのか、貴方の背には誰がいるのか、今一度思い出してください




(「気持ちだけで勝てるわけではありませんが……」) 
 戦いに向かうべく壮年の侍達と若武者達が立ち上がり、猟兵達と共に戦場に向かっていく様を見つめながら、内心でそう思うはオリヴィア・ローゼンタール。
 オリヴィアの表情から彼女が何を考えているのかを推測したのだろうか。
 シーザー・ゴールドマンが全てが分かっているかの様に泰然と頷く。
「ふむ。確かに気持ちだけで勝てるとは思わないが、このままでは勝つも負けるもないだろう。徳川将兵諸氏には、一つ奮起して貰わなければね」
「ええ、そうですわね」
 シーザーの言葉に、オリヴィアが祈りを捧げる様にしながら頷きを一つ。
 そもそも気持ちが萎えていれば、仮に勝てる戦だとしても勝てないものだ。
 なれば彼等を勝つ気にさせるためにも、発破の一つを掛ける事に異存は無い。
「特に、彼等の様な若い命が奮起しているのならば尚更そういうものだよ」
 そう告げてシーザーが視線を向けたのは、猟兵達に率いられる若武者達。
 彼等の様な次代の者達にこの戦いを経験させ、次の戦いに生かす機会を作るためにもこの鼓舞は必須であろう。
 シーザーの呼びかけにオリヴィアが再度頷き、続いて周囲で縮こまっている20~30代位の侍達を見やった。
 若武者や、壮年の侍達の中には奮起しようとしている者もいるが、天下の徳川軍の中核を為す筈の彼等の士気の低さは、このままでは如何ともし難い。
「お、俺達がやらなきゃいけないことなのか、これは……?」
「俺達があの武田軍と戦う……そんな事、出来る筈……」
(「長きに渡る太平の世、実に素晴らしいものですわね」)
 だが、その太平の世の中でその猛禽の様に鋭い爪を失った者達の、何と多い事であろうか。
(「武田信玄か。優秀な戦国大名ではあった様だね」)
  そんな名高き戦国大名が率いる数多の将達の中でも、特に秀でているとされる武田二十四将。
 本来であれば同じ時代に集う筈の無かったかの名将達が、オブリビオンと化してこの地に集い、徳川軍へと牙を向けた。
 彼等の士気は挫かれ、戦えなくなるのも宜なるかな。
 ――けれども。
「徳川の将兵諸君。我々は君達と共に戦う為にこの地に来た者だ」
 今は、そんな彼等の力が必要なのだ。
 シーザーの呼びかけに、徳川軍の将兵が彼の方へと視線を向ける。
 その視線を正面から堂々と受け止めながら……シーザーが威風堂々と語り続けた。
「嘗てそう昔では無い、戦国の時代。この三方ヶ原において、君達徳川の軍が武田軍に敗れた、と言う話は私も聞いた。だが、今はその事を忘れたまえ。それは所詮、徳川家康の時代の事であり、過去の戦の事だ。此度の戦の主役であり、これから私達の戦友となる君達と私達の戦いの物語では無い」
 嫌味の無い、それでいて勇壮さを感じさせるシーザーの演説に、侍達は言葉も無い、と言う様に唖然としている。
「今、皆さんが享受している太平の世。これは、皆さんの先人が残した偉大なる遺産です」
 自らの存在感を示し雄弁に言葉を紡ぎ上げ、侍達の注目を自分達に集めさせたシーザーに追随する様にオリヴィアがそう呟き、祈る様に静かに両手を組む。
 先人が残した偉大な遺産、と言うオリヴィアの言葉に興味を持ったか、その場にいた多くの中堅の侍達が何時の間にか、彼女達の話の続きを促す様に静かに佇んでいた。
「そうだな。この太平の世は、今君達が得ているものは、非常に得難いもの。それは間違いないだろう」
「ですがそれは、無限に享受できるものではありません」
 相槌を打つシーザーに頷きながら、非情なる現実を突きつけるオリヴィア。
 オリヴィアのその言葉に、侍達は思わず、と言った様子でお互いに顔を見合わせ合い、首を傾げた。
「貴方方が享受しているその平和は、それを打ち破ろうとする者が現われるその時迄しか繋ぐことの出来ない、束の間の平穏にしか過ぎないのです」
 それは、自分自身でも知らない嘗ての記憶に裏打ちされたものであろうか。
 それとも別に理由があるのだろうか。
 真実は定かでは無い。だが……。
「オリヴィアの言う通り。今、諸君の目前にいる武田軍は、正しく諸君の束の間の平穏を打ち破ろうとする負の想念の塊の様なものだ。このまま放置しておけば、恐らく諸君の平穏は砕かれてしまうであろう」
 真実を告げるシーザーの言葉に思わず、と言った様子でざわつく侍達。
 静まり給え、と大きく両手を振るい、彼等を制するシーザー。
「そんな存在を砕くために、私達猟兵が此処にいるのだ。だが、私達だけではあの武田軍全軍を相手にすることは難しい。そこで、戦友諸君、君達の力を私達に是非とも貸して欲しい」
「皆さんの力が集まれば、それはより大きな破邪の光となり、あの闇を祓うことが出来るのです」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 オリヴィアの呼びかけに、侍の一人が思わず、と言った様子で声を上げた。
 ちらり、とオリヴィアが彼を見やれば、彼は一瞬怯みながらも、コホン、と咳払いを一つ行い話を始める。
「貴方達が幕府に認められた治外法権の存在であることは知っている。そして、貴方達が多くの怪異を倒したことがあると言う話も。だが……そんな貴方達が数人俺達と共に戦ってくれるだけで、本当にあの武田軍を打ち破ることが出来るというのか?」
「成程。諸君の懸念は当然のことだ。ならば先ずは私達の力を実際に示すとしよう」
 そう告げたシーザーがオリヴィアに目配せをすると、オリヴィアもまた、首肯を一つ。
 それに頷きを返し、シーザーがオリヴィアと共に周囲を見やると、そこにはお誂え向きの様に巨大な岩が鎮座した場所があった。
『砕けたまえ』
 シーザーがそう小さく呟き、すっ、とその岩の周囲を指差す。
 彼の右腕に刻み込まれた魔王紋と常時自らの身に纏われたオドが目に見えぬオーラセイバーを覆って光弾へと変化させた。
 目前で行なわれている魔法の様な光景に侍の口から思わず、おお、と声が漏れる。
 その声を聞きながら、シーザーが指先に集った光弾を解き放った。
 そして……次の瞬間には、その巨大な岩の周囲を爆散させ、巨大な岩のみを、空中へと放り出している。
 あまりの速さに何が起こったのか分からないという表情の侍達の事を思考の外へとやり、オリヴィアが破邪の聖槍に周囲に漂う炎の精霊達を宿すと、炎が黄金の穂先と絡み合って金色の光を放ち、全てを灼き尽くさんばかりに吠える。
 オリヴィアの呼び出した炎が大気を震撼させたことを、その時この場にいた全員が本能的に理解した。
 圧倒的な威厳と共に、黄金の炎を纏った破邪の聖槍を携え宙を駆けて目にも留まらぬ速さで槍を振るうオリヴィア。
 刹那、シーザーによって空中に放り出された巨大な岩が真っ二つになると同時に爆発し、小石の礫となって、パラパラ、とシーザーが破壊した大地へと降り注いだ。
 ――それは、あまりにも常人離れした圧倒的な力。
 オリヴィアが、自分達の力について問いかけた結果を目の当たりにし、放心している青年侍へと視線を移した。
「これが、私達の力です」
「……」
 その侍青年の瞳に宿るは、畏怖。
 そのまま何も言えずに固まっている彼の隣にいた同僚と思しき人物が、でも、とオリヴィアへと問いかけた。
「それだけ圧倒的な力を持つ貴方達ならば、別に俺達の力を借りなくても、あの武田軍に勝つことが出来るんじゃ無いのか?」
 男の問いかけに、微かに憂いげに眉を潜め、静かに頭を振るオリヴィア。
「貴方の言うとおり、我々は人智を超えた力を持っています。これは確かに、大きな戦力となるでしょう」
「では……」
「ですが、此度の戦いは私達の力だけでは足りないのです。それ位、武田軍の力は圧倒的なのです。だからこそ、皆さんの力を私達に貸して欲しいのです。……この戦いの後、この世界を守り続ける、貴方達に」
「私達の力は人智を越えており、この程度の事ならば造作も無く行うことが出来る。だが、そんな私達だからこそ、武田軍がどれ程強力であるのかも理解できるし、私達だけでは無く……戦友諸君の力を借りなければ勝つことが出来ないことが分かるのだ」
「貴方達は力を持っている。故に、敵の力を正確に把握することが出来る……だからこそ、尚更俺達の力が必要だと……そう言うこと、なのか?」
 侍の問いかけに、はい、と頷き返したのはオリヴィア。
「そして、もう一つ。私達は、思い出して欲しいのです。貴方方が何のためにその腰に刀を差したのか、貴方の背には誰がいるのかを」
 そのオリヴィアの言葉に、侍達は自らの腰に帯びた刀を見やる。
 ――そうすること、暫し。
 覚悟が定まったのであろう。
 侍達の表情に、覚悟の光が宿り始めるのを見てひっそりとシーザーが笑い、大仰に手を広げ、丁寧な一礼を一つ彼等へと捧げた。
「それでは行こうか、戦友諸君。嘗ての三方ヶ原の戦いの様な『負け戦』では無く、私達と君達の手で作り上げる『勝ち戦』のために」
 シーザーの呼びかけに応じて、侍達が一斉に抜刀し、オオオオオッ! っと雄叫びを上げる。
 そして、既に武田軍に向かって前進を開始している壮年の侍達と、若武者達と共に、『勝ち戦』に向けて駆け出していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
実力不足に負け戦のトラウマ……やれやれね。
仕方ないわね、ちょっと発破かけてあげましょうか。

まずは兵たちの前に出て、その腑抜けた根性を罵倒するわ
「貴方達ね……何、その腑抜けた面は」
「これじゃうちの村の子供の方がマシね」
「負けた時のこと女々しく毎晩夢に見て、漏らしてるんじゃないの?」
「玉無し侍は髷斬ってお母さんのとこに帰りなさいな」

多少なり根性見せてくるなら【超★筋肉黙示録】を発動
創造した書籍を兵たちに読ませ、勢いで「誰でも筋肉を鍛えれば最強になれる」と「言いくるめ」るわ
「見なさい!」(正拳突きで大岩を砕き、震脚で地面を砕く)
「これぞ鍛錬の為せる業!即ち、筋肉は最強!」
「はい復唱!」




(「始まった、みたいね」)
 西の方で上がる侍達の雄叫びの声を耳にしながら、荒谷・つかさが静かに息を吐き、自分の周囲でだらりと力を抜き、絶望の表情を浮かべている侍達を見やる。
(「全く、あれだけ他の将兵達が士気を取り戻しているのに。実力不足に負け戦のトラウマで未だにウジウジしている奴等がいるなんて……やれやれね」)
「貴方達……この状況で何でそんな腑抜けた面していられるのよ」
 周囲にいた将兵達の様子に呆れた表情を浮かべたつかさの言葉に、将兵の一人が何処かいじけた様に口を尖らせた。
「だってよぅ……あの武田軍、だぜ? あの家康様が……」
「それは所詮、噂話でしょ? 真実は闇の中よ。と言うか、そんな事で未だにウジウジしているとか……それなら、余程うちの村の子供の方がマシね」
「なっ、なんだとぅ?!」
「お、俺達をなんだと思ってやがる! 天下の徳川様の軍団だぞ!?」
 経験はさておき、外見はまだ年若い巫女服羅刹にしか見えないつかさに罵られることで、その心中にあるプライドが刺激されたのだろうか。
 口々に突っかかってくる侍達に対して、へぇ、とつかさが口元に不敵な笑みを浮かべた。
「ただの女々しい漏らしやかなんかじゃないかと思ったわ。それとも……玉無し侍って所かしら? だったら貴方達は、髷斬ってさっさとお母さんのとこに帰りなさいな」
「こっ……この女……!」
「いっ、言わせておけば……!」
 思いつく限りのつかさの罵詈雑言に遂に堪忍袋の緒が切れた将兵達がつかさに向かって突っかかってくる。
 突っかかってきた侍達の腕を軽くつかさが掴み上げ、そのまま戦の負担にならない程度の加減をしながら技を決めた。
「ぐっ……ぐええっ?!」
「ちょっ、おまっ、俺達はみ、みか……」
「アンタ達みたいな女男が味方なんてこっちから願い下げよ。武田軍相手にびびってちびって戦えずにいるアンタ達はね」
 ふん、と胸を張って返すつかさに、技を見事に決められた侍達が怯んだ表情になりながらもブツクサと呟いている。
「俺達には大した力なんてないしよぉ……」
「そりゃ俺達だって何とかしたいさ。けれども、その為の力がなぁ……」
「ふ~ん……じゃあ、これでも読んでみなさいな」
 傲然とした態度でそう告げて。
 ポン、とつかさが取り出したのは、1冊の【超★筋肉黙示録】と書かれた本。
 表題のタイトル【超★筋肉黙示録】は、何やら金箔で縁取られた文字がデカデカと真昼の月の如き輝きを発し、強烈な存在感を醸し出している。
「こ、これは……?」
「いい? 筋肉は最強! 誰でもこの本を読んで筋肉を鍛えれば最強になれるのよ!」
「そ、そんなバカな……」
「ふ~ん、信じないのね? じゃあ、これが目に見える証拠よ! 見なさい!」
 叫びながら何時の間にか此方へと担いで持ってきていた巨大な岩に向かって正拳突きを見舞うつかさ。
 腰を深く落とし、真っ直ぐに突き込まれた拳が巨大な岩の中心点を撃ち抜き、ぴしり、と巨大な岩に罅を入れる。
「せいやっ!」
 つかさの叫びと同時に、罅の入った中心点から罅が岩全体へと広がっていき、程なくして轟音と共に岩石が砕けて粉々になった。
「す……すげぇっ……」
 唖然とする侍達に向かって、良い? と問いかけるつかさ。
「これぞ鍛錬の為せる業! 即ち、筋肉は最強!」
「き、筋肉は最強!」
「はい、その通り! 復唱よ! 筋肉は最強!」
『筋肉は最強!!!』
 つかさの呼びかけに応じて復唱し、目がグルグルと回っている様にも見える侍達を見て、つかさが満足げに頷きを一つ。
「筋肉は最強! その最強の筋肉を身に付けた貴方達も最強! さぁ、私に続いて武田軍を蹴散らしなさい!」
『筋肉は最強! 筋肉は最強!』
 つかさの号令と共に何かに取り憑かれたかの様に、『筋肉は最強!』を連呼し、突進していく徳川軍の勇敢なる若者達。
 違う意味で危険な何かが生まれ落ちそうな不安を孕みつつも……彼等は、動き出していた他の軍と合流し、武田軍を確実に蹴散らしていった。
 

 

成功 🔵​🔵​🔴​

白雪・小夜
「この世界もごたごたしてきたかしら、仕方ないわね…」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

「兵士一人一人への細やかな配慮や事前準備によって、士気を上昇させます(SPD)」に挑戦します。
 ユーベルコード「氷結殺気(ヒョウケツサッキ)」を敢えて使い
 味方にこれだけ恐ろしい存在がいる事を示し、士気を高めようと試みます。
「シャキッとなさい!弱音を吐く子は背中を叩いてあげるわ!
…この私がいるのだからそんなに恐ることもない
敵の猛威など…この目で殺してあげるわ!」
 最大の目的は、この行動を成功させる事です。
 その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとする。
「…これでいいのかしら」


鞍馬・景正
三方ヶ原の頃、当家は北条家に仕えておりましたが。
三増峠の戦いで苦杯を嘗めた点では同じ。

なのでその雪辱戦――と行きたいところですが、徳川には武田遺臣の方も多い以上、そちらにも配慮した【鼓舞】を一考せねば。

◆鼓舞
将兵たちの前に出て、軽く話を。

まず信玄公に三河時代の神君様が敗れた事は事実。
しかしその後は武田の優れた軍法を取り入れ、成長してきたのが現在の徳川の筈。

つまり徳川は武田の最強たる力を受け継いでおり、条件は五分以上。
過去の最強と雖も怖れるに足りず。

◆戦闘
そう励ましても士気が奮わぬなら、【鬼騎乗崩】で単騎掛け、首の一つや二つも奪ってきましょう。

御覧の通り、敵は不死でも無敵にも非ずと示す為に。




「この世界もごたごたしてきたかしら、仕方ないわね……」
 局地的な戦いが始まりつつあるその中で、白雪・小夜はそう思う。
 まるで白雪を思わせる小夜の様子を見ながら、鞍馬・景正が小さく頷きを一つ。
「数ヶ月前にも、江戸の町を焼き払わんとオブリビオン達が動いたことがございましたが……此度の戦の規模は、あの時の戦とは比べものになりませぬ。しかも、かの武田信玄公の復活。何かの凶兆の印の様に思えてなりませぬ」
(「特に、かの武田軍には、三方ヶ原の頃こそ北条家に仕えておりましたが、三増峠の戦いで苦杯を嘗めさせられた点は、徳川家と同じ。その折の雪辱戦、と行きたいところでございますな」)
「……そうね。ならば尚更、此処で踏みとどまるわけには行かないわね」
 内心で徳川軍の士気を如何にして上げるか思案する景正に頷きながら、小夜はもう一度後方を見やる。
 左翼の軍は動き、右翼も他の猟兵達の発破により動き出し、徐々に徐々に武田軍へと滲みよっている。
 自分達がいる中央の隊の士気を取り戻し、一気阿世に攻め崩すことが出来れば、恐らく自分達の目的を達し、敵の中枢へと向かうことが出来るだろう。
(「ともあれ……現在の徳川には、武田遺臣の方も多い。或いはそれが、徳川の士気を下げる要因の一因となっているのかも知れませぬな」)
 なれば、武田遺臣の者達にも配慮出来る鼓舞を行なわねば。
 そう結論づけた景正が、自分達が属している隊の将達の前に立つ。
 幸運にも景正が、嘗て江戸を襲撃したオブリビオンを撃破した猟兵の一人である事を知る者達が将達の中にいた。
 故に、景正の演説に耳を貸そうという者は少なくない。
 コホン、と咳払いを一つしながら景正が正々堂々と将達の前に出て、訥々と語り始めた。
「まず信玄公に三河時代の神君様が敗れた事は事実。この事は、この場に集う者達もよくご存知の筈」
 詰まること無くはっきりと真実を告げる景正のそれに、ざわつき浮き足立つ徳川軍。
 その様子を見て小夜が周囲を凍てつかせんばかりの凍える……それこそ雪色として形として視る事が出来るのでは無いかと思える程の殺気を示し、彼等のざわめきを鎮めた。
「話は最後まで聞いてから、浮き足立ちなさい」
「ありがとうございます、小夜殿」
 将達を制した小夜に一礼し、景正は、しかし、と言の葉を紡いだ。
「その後武田の優れた軍法を取り入れ、成長してきたのが、現在の徳川でもある筈」
 ――その意味するところは、即ち……。
「現在の徳川は武田の最強たる力を受け継いでおり、条件は五分以上。過去の最強と雖も怖れるに足りず、と言う事です」
「我等が、我等こそが最強だと、景正殿は仰るか?」
 代表してそう問いかけてきた将に、景正がその通りと深く首肯した。
「ですが、例え今の我等が最強であったとしても、嘗てのかの武田軍の勇名は、今も尚我等将達の不安を煽るばかりです。本当に私達の力で、かの武田軍に勝つことが出来るのでしょうか……?」
 ――コォォォォォォッ。
 弱音を吐いた将の言の葉が終わった時。
 全身を突き刺す様な悪寒が将達の間を駆け抜けていく。
 その全てを貫き通さんばかりの凄まじい殺気は、人々の背筋を瞬く間に凍り付かせ、或いは慄かせた。
 その殺気を放つ主……小夜は弱音を吐いた将を一瞥し、雪の様に白い息を吐きながら叫ぶ。
「シャキッとなさい! 弱音を吐く子は背中を叩いてあげるわ! ……この私がいるのだからそんなに恐ることもない! 敵の猛威など……この目で殺してあげるわ!」
(「これは、賭けね」)
 もし、自らの目から放たれるこの射貫く……凍てつくと言った方が正しいかも知れないが……殺気を叩き付け、それによって将達が動けなくなれば、この部隊の動きは遅滞し、結果として動き始めている左翼も、右翼も、武田軍に押し潰され、作戦そのものが水泡に帰す。
 だが、動けなくなるよりも多くの将達が動いてくれれば……それによって武田軍の勢いを削ぎ、自分達が敵部隊の中枢に向かうことが出来る隙さえ出来れば……陽動とも言えるこの作戦は成功する事になる。
 ある程度の犠牲も覚悟している小夜にとっては、これは十分乗るに値する賭けであった。
 それに加えて、先程の景正の激励。
 2人の羅刹の戦う意志と思いは……。
 
 ――不意に近くの弓を手に取り、それを告げたのは、一人の将。

「征くぞ、皆の者」
 その将の一言に応じる様に、次々に他の将兵達もまた武器を取り、馬に跨がり身構える。
「我等の前には、氷の姫君と驍名高き鞍馬の武士がいる。かの者達と力を合わせれば……我等徳川軍の前に、叶う者無し」
『我等徳川軍に叶う者無し!』
 そう叫び、次々に馬を駆って武田軍の布陣へと勇猛果敢に突進していく徳川軍。
 景正が愛馬夙夜の背に小夜と共に跨がり、将達と肩を並べて、武田軍へと突進していく。
「景正殿! 我等の勝利の為にその力を!」
「お任せあれ! 行くぞ、夙夜! 鞍馬・景正、推して参るっ!」
 叫びながら夙夜に跨がると同時に藍韋威胴丸で全身を覆い、先行して、単騎掛けを行なう景正。
 その背から凍える様な殺気を小夜が叩き付け、武田軍達を射竦め足止めしていた。
「すわっ、新手か!」
 思わず、と言った様子で叫ぶ武田軍の一人を、鞘の中では静謐としていた濤景一文字を振り抜き、怒濤の一閃を解き放つ景正。
 景正の一閃は、音も無く目前の敵の首を薙ぎ払い、その首を景正が素早く掴み取り、堂々と天に掲げた。
「敵は不死でも、無敵でも非ずっ! 徳川の者達よ! その刃を我等と共に!」
 景正の叫びに応じる様に、徳川軍の士気が一気に上がる。
 士気を一気に上げた徳川軍に対して武田軍が足止めを行なおうとするが、小夜の全てを凍てつかせ、貫かんばかりの殺気に身動きが取れ無くなり、一気に崩れ落ちていく。
 これに呼応する様に両翼の兵達もまた、鬨の声を上げ将達の指揮に従い、次々に武田軍を打ち破っていった。
「景正殿! 小夜殿! 此処は私達に任せて、どうか先へ!」
「ありがとうございます! それでは、私達はいざ中枢へ! 夙夜!」
 景正の叫びに応じる様に。
 愛馬・夙夜がそれに頷き、敵の中枢に向かって駆けていった。
 両翼の猟兵達も又、各将兵達によってその背を押され、次々に敵陣の中枢へと踏み込んでいった。

 ――かくて猟兵達の戦いは、次の段階へ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鬼百足』

POW   :    懊悩の苦鳴
【激しい苦鳴】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    蟲尾
【百足の尾】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    火炎鎖
【自身が繰り出した炎】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎が変化した溶岩色の鎖】で繋ぐ。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


*業務連絡:次回執筆予定は7月26日(金)夜~7月27日(土)です。これに伴い、プレイング受付期間は第2章冒頭執筆後となります。尚、受付締切は人数にも依りますが、7月26日(金)19:00頃になるかと思います(諸事情により、マスターコメントと執筆期間が変更となっております。ご了承下さいませ)。何卒、宜しくお願い致します。*

 ――武田軍、中枢。
 徳川軍の大攻勢により、無事敵陣を突破し、中枢へと辿り着いた猟兵達。
 その猟兵達を待ち受けていたのは……。
「我等が主のため、此処から先にお前達を行かせるわけには行かぬ!」
 ――百鬼夜行。
 そう言っても差し支えないであろう、その足が百足となった『鬼女』達の群れ。
 ――と、その時。
「主等。努々奴等を侮るな。奴等は手強いぞ」
 鬼百足達の最奥、恐らく彼女達の将たる者の声。
 深く響く様な声に鬼百足達が一礼し、万全の態勢を整え、用心深く猟兵達の動きを探りながら襲いかかって来た。

 ――さぁ、猟兵達よ。
 戦いの時だ。

 かの鬼百足の群れを討ち、最奥に潜む二十四将を討て。

 ――この世界を、守るために。
 
ウィリアム・バークリー
武田軍を名乗っていようとも、所詮は魑魅魍魎が跋扈する異形の軍勢。
化外の者どもはぼく達が討滅します。

Active Ice Wall展開。トリニティエンハンスとスチームエンジンで『スプラッシュ』の制御力を引き上げてから、Disaster行きます!
今回は、大地を砕いて噴出する氷の溶岩。たとえ百の脚があろうとも、大地を砕いてしまえばどうなりますか?
自分達に影響が及ばないよう、なんとかActive Ice Wallを制御して防ぎ、Spell Boostで更に威力を上げたElemental Cannonで敵陣中央を打ち抜きます。
これがぼくの「援護射撃」。
敵は算を乱しました。立ち直る前に殲滅をお願いします!


シーザー・ゴールドマン
【POW】
百足か。後ろに退くことのない虫として戦国武将たちに好まれたそうだね。
そういえば武田には百足衆なる集団もいたそうだ。
……まあ、今は関係なかったね。それでは討たせて貰おう。

オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーに『破壊の魔力』を込めて具現化。
剛柔自在の剣術で振るって戦う。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
攻撃に対しては見切って回避と同時にカウンター
(第六感×見切り→カウンター)
敵POWUC対策
苦鳴、空気振動による攻撃だね。
発動を『見切り』、身に纏うオーラ防御を振動させる事によって相殺しよう。


雨咲・ケイ
彼ら(説得した若武者達)は無事でしょうか……?
と、今はこちらの心配をせねばなりませんね。
彼らの為にも早々に終わらせましょう。

【POW】で行動します。

長引くと私達も徳川軍も不利になりそうですね。
短期決着を目指して、防御よりも攻撃重視
でいきましょう。

【魔斬りの刃】による【2回攻撃】で
積極的に攻め、弱っている敵がいれば、
そちらから優先的に潰していきましょう。

敵の攻撃は【オーラ防御】と【盾受け】で
防ぎながら前進し、軽い攻撃に対しては
【シールドバッシュ】で反撃します。

可能であれば周囲の味方との連携を意識します。

アドリブ・共闘歓迎です。


荒谷・つかさ
オリヴィア(f04296)と共闘


百足の妖、か。
そういえば、オリヴィアは虫苦手だったわよね。
(怯んでるの見て)……やっぱりか。
わかったわ。ざっくり掃除したら私が前に出るから、援護よろしく。

オリヴィアのコードに合わせ【轟烈鬼神熱破】を拡散モードで掃射(範囲攻撃、なぎ払い、属性攻撃)
こちらは目くらましと着火による攪乱が主目的、本命は破壊力に長けるオリヴィアのコードの方

オリヴィアの砲撃が着弾し始めたらタイミングを見て突撃、外れてこっちに向かってくる敵を迎撃する
零式・改三を怪力で振り回し、鎧砕きの技能で的確に甲殻を砕いて殺す
敵の攻撃は可能な限り見切り、避けきれないなら武器受けとオーラ防御での軽減を狙う


オリヴィア・ローゼンタール
つかささん(f02032)と共闘
自身は後衛で援護

むし……!?(虫が苦手)
いえ、皆さんに発破をかけた私が怯んでいるわけには……!
あ、つかささん! ご一緒に戦いませんかっ!?

【先制攻撃】【属性攻撃】【紅炎灼滅砲】で機先を制して破壊光線を掃射
【全力魔法】【なぎ払い】で周囲一帯を焼き尽くし、空白地帯を作る
近寄ら、ないで、ください――!

掃射後も破壊光線による砲撃を続ける
前線で近接戦闘をするつかささんに炎を放とうとしている敵を優先的に排除
鎖で繋がれれば即座に破壊(部位破壊)を試みる
つかささんを捕らえさせはしません!

無差別攻撃は【オーラ防御】【呪詛耐性】で凌ぐ




「彼らは、無事でしょうか……?」
 風が通り、涼しく感じる様になった耳の脇の部分を気にしながら、雨咲・ケイがちらりと剣戟の音鳴り響く後ろの戦場を振り返る。
「今は皆さんのことを信じましょう。他の各隊の説得も成功しているでしょうから、持ち堪えてくれると思います」
 同じ戦場を駆け抜けてきたウィリアム・バークリーの言葉に束の間目を瞑り、程なくしてその眼鏡を軽くかけ直し、そうですね、とケイが首肯を一つ。
「それに今は、彼等の事だけでは無く、此方の事を心配した方が良さそうにも思えますしね」
「ええ。その通りです」
 ケイがそう呟き、それに同意する様にウィリアムが共に視線を向けたその先には。
 明らかに硬直した様子で身動きを取れなくなっている様に見えるオリヴィア・ローゼンタール達と……無数の鬼百足達の姿があった。


「ふむ、百足か。嘗て百足は後ろに退くことのない虫として、戦国武将達に好まれたそうだね」
「そ、ソウナンデスカ……」
 さして動じた様子も無く泰然たる態度戦国武将豆知識を披露するシーザー・ゴールドマンと、聞いているのか聞いていないのかさっぱり分からず、ただただ顔色を青ざめさせ、全身を凍り付かせたかの様に身じろぎ一つしないオリヴィアの2人。
 気のせいだろうか。
 鬼百足達の姿を認めてから、オリヴィアの紅のアンダーリム眼鏡がずれている様に見える。
(「む、むし……!?」)
「そういえば、武田には百足衆なる集団もいたそうだが……と、オリヴィア?」
 接近してくる鬼百足達に対抗するため、周囲のオドを真紅のオーラと化して色濃く活性化させ、その黄金色の瞳を輝かせながら、ふとあることに気がつき、オリヴィアに問いかけるシーザー。
 それに対してオリヴィアは、い、いえ! と力強く頭を横に振った。
「み、皆さんに発破を掛けた身として、怯んでいるわけには……!」
 と、へっぴり腰になりながらも両足でその場に踏ん張って立ち、鬼百足達を迎え撃とうとするオリヴィアの背後から。
「オリヴィア?」
 聞き馴染みのある、同じ旅団の仲間……荒谷・つかさの声がその耳に届いた。
「あっ! つ、つかささん!」
「ふむ、君はオリヴィアの知り合いなんだね」
 後ろから呼びかけられ、驚きながらもつかさの方を振り返り、何処かほっ、と胸を撫で下ろした表情になるオリヴィアと、静かに首肯するシーザー。
 シーザーの問いには、つかさがまあね、と軽々と零式・改三を構え、その胸にさらしを巻き、両腕を鬼の腕へと変貌させ、口元に見る者を何処か凍えさせる様な微笑みを閃かせた格好で答える。
「あなたは……」
「シーザーだ。君にとっては知り合いの知り合い位の間柄だね」
 シーザーの言葉にそうみたいね、と軽く頷き返すつかさ。
「それにしてもシーザー、物知りね。オリヴィアへの話、聞いていたけれど、中々興味深かったわよ」
「そうか。まあ、この戦いにはそれ程関係ない話だと思うがね」
「そ、それよりもつかささん! 宜しければ、ご一緒に戦いませんか!?」
 必死の表情で願い出るオリヴィアにそうよね、とつかさが頷きを一つ。
「オリヴィアは虫、苦手だったわよね」
「……はい」
 コクリ、と諦めた様に頷くオリヴィアにやっぱりか、と相槌を打つつかさ。
「じゃあ、前衛は私がやるから、後ろからざっくり掃除してくれる? そうしたら、打って出るわ」
「はっ、はい、お任せ下さい!」
「ふむ、それならば私も前に出よう」
 オリヴィアの回答に、納得した、と言う様に頷きかけながら。
 自らの魔力を籠め、不可視であったオーラーセイバーを両手剣として実体化させるシーザーの様子に、ふぅん、と面白そうに鼻を一つ鳴らすつかさ。
(「私の風迅刀みたいに、光を屈折させて不可視化させているのかしら。それとも、所謂魔力の類いかしら、ね」)
 つかさがそんな事を考えている間に。
 オリヴィアが両掌に無数の炎熱の力を収束させていく。
 と、その時。
「つかささん、オリヴィアさん、援護します! Active Ice Wall!」
 後方から、盾の様に周囲に展開される無数の氷塊の群れ。
 足場にも盾にも、また術者によっては武器にもなるそれらの無数の氷塊の群れを見て、つかさがああ、と誰なのかを察して頷きかけた。
「ウィリアム、ね」
「はい!」
 つかさの呼びかけに応じながら、ルーンソード『スプラッシュ』の鍔に取り付けたスチームエンジンを起動、更に自らに風の精霊達の加護を付与して『スプラッシュ』の先端を大地に突き刺し、瞬く間に大地に描き出されていく黄色と赤と青、そして深緑色が混ざり合った巨大な魔法陣を展開し、それを制御するウィリアム。
 更に、全てを焼き払うオリヴィアの炎熱の破壊光線。
 オリヴィアが解き放とうとするその破壊光線に合わせる様に、明鏡止水の心のままに、自らの両掌に炎の精霊達を収束して両手を胸の前に掲げて無数の炎の精霊達を解き放とうとしていたつかさの脳裏には、この先に待つであろう未曾有の大惨事がありありと思い浮かんでいた。
「……荒れるわね、この戦い」
 そんなつかさの言葉が引金となったか。
『Elemental Power Critical……Liberate……Disaster!!』
 ウィリアムの高らかな叫びと共に、一糸乱れぬ動きで肉薄してきていた無数の鬼百足達の大地が、氷の溶岩によって陥没し。
『近寄ら、ないで、ください――!』
 オリヴィアの両掌に集中していた炎熱が295本の極光を思わせる破壊光線となって解き放たれるのに合わせて、炎の精霊達と合成した自らの熱き魂の心を散弾の様に放出するつかさ。

 ――程なくしてそれは、先陣を切って挑んできた鬼百足達を焼き尽くし……その周囲一体を、ぺんぺん草一本残らない、荒野へと化させるのであった。


「グッ、グァァァァァァ!」
 それは、激しい苦鳴。
 大地を焼き尽くされ、その反動からであろう身動きが取れなくなっていた鬼百足達の呪詛の呻きを、自らの闘氣に感応し、白光の結界を放つアリエルで受け流し、ウィリアムの呼び出した氷塊を蹴って空中に飛び出し素早くその身を翻して肉薄しながらほぅ、と思わず息をつくケイ。
「長期戦になれば、それだけ徳川軍にも不利になりそうなところ。此処は短期決戦と行きましょうか、とは思っておりましたが……その結果がこれ程の大惨事になるとは」
「見事なものだね。この一瞬でこの戦場一帯が、草一つ残らない荒野に化すとは」
 特に驚いた様子も見せずに冷静に呟きながら、実体化したオーラセイバーを八相に構えて大地を蹴って肉薄、ヒュッ、とオーラセイバーで弧を描くシーザー。
『破壊の魔力』が籠められることで巨大な両手剣となったオーラセイバーが苦悶の叫び事鬼百足を輪切りにし、一瞬で消滅させる。
「でも、まだこれでも全力じゃ無いのよ。オリヴィアの破壊光線も完全に着弾してないし」
 つかさが肩に担いでいた零式・改三を片手で軽々と振るい、あっさりと何体かの鬼百足の首を纏めて刈り取っていく。
 その一閃を辛うじて躱した鬼百足たちの隙を見逃さず、その両手に氣をのせて、刃と化させ、鋭い斬撃を放つケイ。
 光り輝く手刀による連撃は、弱っていた鬼百足の胴を抉ってその傷口を貫き消滅させ、放たれたもう片手の一閃が、別の鬼百足の頭部を掻き切っていった。
 オリヴィアが続けざまに両掌の中で破壊光線を放出するための魔力を籠め、更にウィリアムが『スプラッシュ』を大地から引き抜いて突き出して、その先端で積層型立体魔法陣を展開しながら、強大な魔力を放出させる術式を、その口で諳んじている。
 その間に鬼百足達の後衛がひゅっ、と片手を振るった。
 無詠唱で放たれる無数の炎が、快調な前進を続けていたつかさ達に迫り来る。
「……っ!」
「つかささんは、やらせません……!」
 詠唱しながら、状況を見て取ったウィリアムが微かに眉を顰めながら、Active Ice Wallを維持する魔法陣を展開している左手を振るって、ケイとシーザーに向かって襲いかかろうとする炎と2人の間に割って入ってそれらを受け止める盾とする。
 盾となった氷塊はその場で崩れ落ちて水と化し、つかさに迫った炎の中に潜む様に展開されていた溶岩色の鎖はオリヴィアが咄嗟に放った破壊光線が撃ち落とした。
「脇が甘いですよ!」
 鎖を断たれて驚愕の表情を浮かべた鬼百足の脇腹に向けて、ケイが光り輝く手刀を叩き込み、その身を真っ二つに切断する。
「君達だけでは、どうやら役者不足の様だね。とは言え、油断は禁物だが」
 シーザーが自らの周囲のオドの流れを通じて鬼百足達の苦鳴の叫びのタイミングを読み取り、次の苦鳴の叫びを上げようとする鬼百足の懐に潜り込んで下段からオーラセイバーを撥ね上げる。
 撥ね上げられた両手剣による一撃が、下段から鬼百足を両断し、更にその隣につかさが立って零式・改三を横薙ぎに振るい、シーザーに襲いかかろうとしていた鬼百足を裁断。
 シーザーとつかさに向かって氷塊をよじ登り空中から襲撃を掛けようとしていた鬼百足達を、オリヴィアの放った破壊光線が撃ち抜く。
(「よし、此処ですね……!」)
 長い詠唱を完成させたウィリアムがタイミングを見計らい、『スプラッシュ』の先端で描き出した、炎と氷、風と大地という相反する精霊達の力を取り込み、赤と青と緑と黄が混在した魔力収束式仮想砲塔積層型立体魔法陣による魔力収束式仮想砲塔に向かって命じた。
『Elemental Power Converge……Release. Elemental Cannon Fire!』
 ウィリアムの叫びに応じる様に、光の光線と化した相反する精霊達の力がぶつかり合った魔力の塊が、鬼百足達の中心に着弾し、爆ぜる。
 全てを粉砕する爆発が、中衛にいた鬼百足達を爆発四散させ、散らせていった。
 激しい魔力の消耗による目眩を覚えながらも叫ぶウィリアム。
「敵は算を乱しました。立ち直る前に殲滅をお願いします!」
「任せたまえ」
 シーザーがそれに頷き、破壊の魔力を籠めたオーラーセイバーを自らを円の中心点に見立てて回転しながら振るう。
 振るわれた刃が、次々に鬼百足達の無数の足を吹き飛ばし。
「此処が正念場と言ったところでしょうね」
 弱っていた鬼百足の拳を、アリエルで受け止めて逆に押し返して鬼百足の拳を叩き潰し、そのまま氣を籠めた光り輝く両手の手刀を一閃し、纏めてケイが薙ぎ払い。
「終わらせるわよ、オリヴィア」
「はい! つかささん!」
 つかさが零式・改三で敵を纏めて叩き斬るのに合わせる様に、オリヴィアの破壊光線が鬼百足達に反撃の隙間を与えることも無く焼き払っていく。
 ――かくて。
 鬼百足達の戦力は、瞬く間に半減していった。
 故に、鬼百足達は次の手を打つ。
 先のウィリアムの爆発により、分断された戦力に。
 シーザー達の側面に回り込ませ……彼等に奇襲を掛けさせるという次の手を。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携可

僕もわかっている
ここで二十四将を多く討ち取らない限り
サムライエンパイアに未来はないって

だから今は、己の身をひとつの剣に
…全力で、鬼百足を殲滅する!!

お前らにかけている時間はない
そこを退いてもらう!!

【魂魄解放】発動
見慣れぬ世界だけど、守るべき世界なのは同じ
…お願い、力を貸して

「地形の利用、ダッシュ」+高速移動で懐に飛び込み
「先制攻撃、2回攻撃、怪力、なぎ払い、範囲攻撃、マヒ攻撃」+衝撃波で黒剣を真横に振り抜き、一気に蹴散らす

百足の尾は「視力、見切り」で注視し回避
間に合わなければ「武器受け、オーラ防御、激痛耐性」で可能な限り軽減

あとは、大将だけか
この戦場の将は、誰だ…?


鞍馬・景正
――笑止。
嘗て武田には勇猛無比なる甲州兵が従っていた筈。

それを斯様な化生で置き換えたつもりならば、遠慮なく討たせて頂く。

◆戦闘
愛馬に【騎乗】したまま、速力を落とさず突撃。
敵の苦鳴が味方たちの足を止めぬ内に、露払いを務めさせて頂きます。

先頭の敵と衝突寸前に抜刀、そのまま【太阿の剣】を叩き付けます。

騎馬の突進力と【怪力】を相乗させ、斬撃の【衝撃波】による【範囲攻撃】で道を切り拓かせて頂く。

【2回攻撃】による【早業】で一体でも多くの敵を斬り捨てながら、敵将目掛けて突き進みましょう。

徳川家・元書院番、鞍馬景正。
上様の、そして徳川の士たちの【覚悟】を一剣に込め、世に仇なす輩は悉く骸の海に送り返す所存。


ジョン・フラワー
【花簪】
おや! 随分と可愛らしいお嬢さんたちだ!
どう? 僕とお花畑でいいことしない?
きっと素晴らしい思い出になるはずさ!
だめかな?

お嬢さんたちにフラれなければそのまま平和に足止めでもいいけれど
フラれちゃったらちょっと強引にお付き合いしてもらおうかな?

尻尾の攻撃はダンスのお誘いかい? だったら手を取らないと失礼だ!
でもひとりずつ相手にしてたら真夜中の鐘が鳴っちゃうな
ここはみんなで楽しもうじゃないか! 具体的には振り回して薙ぎ払うよ!
この鎖は情熱的なキミの気持ちみたい。だってとっても熱いんだ!
つまり僕と遊びたいってことだよね! たくさん振り回しちゃうよ!
簪のアリスぅー! 当たったらごめんねーっ!


月舘・夜彦
【花簪】
百鬼夜行とは言葉通りですね
オオカミ殿は初めての戦いと思いますが、力の強さは先程把握致しました
あとは我々の力を見せるのみ
しかし奴等も「お嬢さん」とは面白い御方ですね

目視にて敵の数を確認した後、数が多い所を狙います
ダッシュにて駆け込み、早業・先制攻撃による抜刀術『陣風』
2回攻撃・なぎ払い併せ1体でも多くの敵に攻撃を与えます
オオカミ殿が狙っている相手へも追い討ち

敵からの攻撃は残像・見切りより躱してカウンターによる斬り返し
火炎鎖に警戒、なぎ払い・武器落としより炎を払って対処
苦鳴は不可避として激痛耐性にて耐える

オオカミ殿は……なんとまた
力強いとは言え、平然と相手を振り回すとは……お見事です


メンカル・プルモーサ
……む、流石に数が多い…ならばこちらもまずは数で……
…【愚者の黄金】により大柄な武士の像を400体ほど生産、【浮かびて消える生命の残滓】により命を与える……基本は筋力増強、一部は指揮官として知性を増強させるよ…
…武器はあらかじめ圧縮収納術式【アバドン】で持ち込んだ刀や大槍を持たせて…鬼百足の軍勢の軍勢に攻め込ませる……
【闇夜見通す梟の眼】で鬼百足を分析、仲間達や黄金武士の援護をしつつ…
箒で飛んで空から鬼百足の中でも連携の中心となる者を探して【空より降りたる静謐の魔剣】で攻撃して連携を崩していくよ……




 (「む、流石に数が多い……ならばこちらも先ずは数で……」)
 第一陣と言っても過言では無い猟兵部隊の側面を突き、確実に猟兵達を仕留めようと動き出していた鬼百足達の様子を、その時、少し離れた位置で観察していた猟兵がいた。
 名を、メンカル・プルモーサ。
 袖口に仕込んだ圧縮収納術式【アバドン】に収納していた素材をばらまき、杖の先端に月の装飾の施された愛杖シルバームーンを大地に突き立て、周囲の地形に干渉。
 ふわり、とスノウ・クラッシュの所々に輝く雪の輝きが、周囲の青き魔法陣から生まれ出でた風に押される様に舞い、それに合わせる様に、鬼百足達の周囲を包囲する400体程の大柄な武士の像を生産する。
 メンカルは淀みなく目を瞑ったままに次の術式の詠唱に移行、それを諳んじた。
『造られし者よ、起きよ、目覚めよ。汝は蜻蛉、汝は仮初。魔女が望むは刹那を彩る泡沫の夢』
 ――ピチャン。
 水が滴る様な澄んだ音が周囲に響き、メンカルが製造した大柄な武士の像へと仮初めの命を与え、そして命じた。
「行って」
『承知! 者ども、我に続け!』
 メンカルの意志に応じ、知性を強化された400体の内、40体の黄金の武者像が主の命に応じて、圧縮収納術式【アバドン】に収納していた刀や大槍を持って前進を開始。
 ジリジリと鬼百足達に接近し、鬼百足達の退路を断つ。
「読まれておったか!」
「――笑止。嘗て、武田に従っていた勇猛無比なる甲州兵が、この様な化生に置き換えるとは」
 ――パカラッ、パカラッ、パカラッ……!
 黄金の武者像たちによる包囲網の向こうから、聞こえてくる蹄の足音。
 疾風を思わせるその足音を高らかに鳴らし、鬼百足達へと肉薄するは、愛馬・夙夜の背に跨がり、鞘の内で静謐なる空気纏いし愛刀・濤景一文字の柄に手を置く、鞍馬・景正。
 更に……。
「お前達に掛けている時間は無い! 此処で一気に殲滅させて貰う!」
「格好良いよ~、黒鎧のアリス! おやおや! 随分と可愛らしいお嬢さん達だね!」
「百鬼夜行とは言葉通りとは思いますが、オオカミ殿にとっては奴等でさえも、『お嬢さん』なのですね……全く、面白い御方です」
 黒剣を鞘から抜剣した館野・敬輔と、キラリと輝いた笑顔を浮かべるジョン・フラワー、そんなジョンの言葉に軽く肩を竦めて息を吐く月舘・夜彦もまた、戦場に推参している。
『くぅ、増援……!』
『怯むでない! 今こそ、我等が主の教えを守り、かの猟兵達を一人でも討ち取るのだ!』
 口々に叫び意思表示を示す鬼百足達。
 そうして、苦鳴の叫びを鬼百足達が上げるよりも先に。
「……その嘆きに皆が足を止めるよりも前に……露払いを務めさせて頂きます」
 夙夜の脚力を生かして一気に肉薄していた景正が、目に見えぬほどの速さで、濤景一文字を抜刀、居合いの要領で撥ね上げた。
「徳川家・元書院番、鞍馬景正。いざ、参る!」
 鞘より抜き放たれ様に振るわれた濤景一文字は、一瞬で『静謐』なる空気を断ち切り、『怒濤』の荒波を呼び起こして空間を断罪。
 その一閃は、鬼百足達の敵襲を伝える悲鳴よりも疾く鬼百足達は、青紫色の血飛沫を天空へと撥ね上げながらどう、とその場に崩れ落ちた。
「第一波、黄金武士達による威圧行動及び景正による一閃からの鬼百足達の攻撃妨害成功……敬輔、ジョン、夜彦、黄金武士達。今」
「ああ……分かっている」
 分析・解析用ガジェットを多数召喚して鬼百足達の行動及び、仲間達の情報を収集・解析しアルゴスの眼で収集した情報と統合して仲間達の名を諒解したメンカルが、まるで何処かの魔法使いの様な飛行式箒【リントブルム】で空中から出した指示に敬輔が応じ、抜剣した黒剣を正面に構えて小さく祈りの言葉を捧げる。
(「見慣れぬ世界だけど、守るべき世界なのは同じ。……お願い、力を貸して」)
 分かっている。
 この場で二十四将を一人でも多く討ち取らなければ、サムライエンパイアに未来が無いと言う事も。
 その為に、今はただ、全力を尽くさなければならないというその事実も。
 だから……。
 ――分かっているよ。
 ――想いは同じ。
 ――例え、私達の故郷とは違っていても……私達と同じ様な目に遭う人が出るのを放置しておけないから。
「……ありがとう」
 敬輔の祈りに応じる様に。
 黒剣から吹き出した白い靄の様な魂達が敬輔の全身を覆い、その霊達の力を後方へと集約させて、ダン、と大地を蹴る敬輔。
 黒剣に喰らわれた少女達の魂が敬輔の体を、景正の愛馬に勝るとも劣らない程にまで加速させ、敬輔が大地をガリガリと削り、摩擦を生じさせていた黒剣を振り抜く。
 魔を切り裂く白き斬撃が強烈な衝撃波となって、空間を断ち切られて音を喰らわれ、未だ驚愕覚めやらぬ鬼百足達を切り裂かんと襲いかかった。
『やらせるなっ!』
『カウンターを!』
 何体かの鬼百足達の叫びが轟き、百足の足でその体を吹き飛ばさんと、上空から攻撃を仕掛けてくる鬼百足達と敬輔の間に、メンカルが呼び出した黄金の武士像が割り込みそれらの攻撃を受け止め、その大槍で百足達を刺し貫いている。
『上だ! 上の女を狙えっ!』
 状況を見て取った鬼百足の叫びに、周囲に集まる10体ほどの鬼百足達が上空を見つめてその手を振るって、渦の様に回転する炎を解き放つ。
「……予想通り。ジョン、夜彦、今」
 自分への炎による砲撃を飛行式箒【リントブルム】で弧を描いて躱し、黄金の武者像達の内、36体のそれらが、指揮官黄金武者の内の1体の指揮を受けて主に迫る鬼百足達に刀を振るって主への攻撃を妨害。
 自身への攻撃を黄金武者達に防御させたメンカルの指示に応じる様に、ジョンが大仰に両手を開いて鬼百足達に呼びかけた。
「さあさあ、お嬢さん達! こんな所でそんな事していないで、僕と一緒にお花畑でデートでもしない?」
『ふざけたことを抜かすな、猟兵!』
 ジョンの呼びかけに怒気と共に、拳を振り上げ襲いかかってくる鬼百足。
 そんなジョンをフォローする様に音も無く夜彦が鬼百足の側面に接近、夜禱を抜き放って鬼百足に無数の斬撃を解き放つ。
 一閃から、幾重にも分裂した斬撃にズタズタに斬り裂かれた鬼百足が、ズン、と音を立てて倒れるその様子を見ながら、夜彦が静かに息を吐く。
「オオカミ殿は、初めての実戦でもあるのです。力の程は先程しかと見せて頂きましたのでその点頼りにさせて頂きますが、油断は禁物ですよ」
「だって、彼女達は美しいお嬢さんだよ! 口説かないと失礼に値するじゃ無いか!」
 冗談とも本気とも付かない表情で天真爛漫に叫ぶジョンに、思わず口元を綻ばせる夜彦。
「本当に……面白い御方ですね」
「されど、貴奴等は世に仇なす、斯様な化生でもありましょう。此処で見逃す道理は一切ありませぬ」
 宥める様にそう告げながら愛馬・夙夜にて戦場を駆け抜け疾風怒濤の如き勢いで、濤景一文字を逆袈裟に振るう景正に、ジョンがまあねぇ、と少しだけ残念そうに溜息を一つ。
「僕のデートのお誘いに彼女達が大人しく乗ってきてくれれば、平和的な解決をしても良かったんだけれど! まぁ、フラレちゃったみたいだから、仕方ないね! 少し強引ではあるけれど、デートに付き合って貰おうかな!?」
 爽やか青年風味に叫びながら、その実オオカミの如き鋭い野生を感じさせる眼光で鬼百足の一体に狙いを定めるジョン。
 鬼百足が高速移動で攪乱しながら、纏めて薙ぎ払ってくる敬輔と、愛馬・夙夜で戦場を駆け回り、一太刀で次々に空間事間断無く彼女達を断ち切り翻弄してくる景正を纏めて打ちのめすべく尻尾を振るう。
「尻尾の攻撃はダンスのお誘いかい? だったら手を取らないと失礼だ!」
 叫びながらその尻尾を……がっしりとジョンが両手で掴み上げた。
「さぁて、今回はひとりずつ相手にしてたら真夜中の鐘が鳴っちゃうな。と言うわけで、ここはみんなで楽しもうじゃないか!」
 ――ブォン! ブォン、ブォン!
 快活な声を上げながら、尻尾を掴み上げた鬼百足をグルグルと自らを軸にしてブンブン振り回して回転させて、周囲に群がろうとする鬼百足達と互いに接吻をさせ合うジョン。
 ジョンによって作られた間隙を逃さず敬輔が大地を駆け抜け、黒剣に纏った少女達の魂による刺突を繰り出し串刺しにする一方、夜彦が夜禱を横薙ぎに振り回し、ジョンによって振り回され同士討ちする羽目になった鬼百足達を切断して討滅していく。
「……残るは数十、ですか。それにしてもオオカミ殿は……なんと、まぁ」
 滅茶苦茶に鬼百足を振り回しているジョンの様子を見て、微笑を口元に閃かせて呟く夜彦。
『焦るな! 陣形を組み直せ! この者達の好きにさせるな!』
 指揮官らしき鬼百足の檄を聞いて、鬼百足達が再び陣形を立て直そうとするが……。
「貴様達の好きにさせるものか。夙夜!」
 居合いの一閃で抜刀した濤景一文字を左右対称に振るって陣形を立て直そうとする鬼百足達を次々に景正が斬り裂きその動きを止め、そこにメンカルの呼び出した黄金武者達の群れが一斉に迫って刀を縦一文字に振り下ろして真っ向両断にし、或いは大槍で鬼百足達を一纏めに串刺しにする。
 そうし、陣形を立て直す暇を与えぬ間に、ずっと上空から戦況を見定めていたメンカルが、ひゅっ、とシルバームーンを天空へと掲げた。
「お前が、指揮官。それならば……『停滞せし氷の雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣』
 その、メンカルの呪に応じる様に。
 周囲に展開された無数の魔法陣から、250本の大小様々な形状と大きさを持つ氷剣を一本の巨大な長剣へと変化させて、杖の先端を隊列の中央に向けて突きつけ、解き放つメンカル。
 解き放たれた長大な剣が、それまで指示を出していた指揮官であろう鬼百足を貫いた矢先、傷口からみるみるその身を凍てつかせていき氷の彫像となり、そして……。
「そこだ」
 敬輔が黒剣を振り抜いて放った衝撃波が氷の彫像に叩き付けられそのままガシャン、と全てを破砕させる凄まじい音を立てて分解、かの存在を消失させる。
『!』
 指揮官である鬼百足が落ちた事に、他の鬼百足達が動揺して動きを止めたその瞬間……。
「この鎖は情熱的なキミの気持ちみたい。だってとっても熱いんだ!」
 ジョンによって振り回された鬼百足が動揺し足の動きを止めた鬼百足達を容赦なく殴打し、そのまま問答無用で地に伏せさせる。
「イヤッホー! 簪のアリスぅー! 当たったらごめんねーっ!」
「……これが、オオカミ殿の力ですか。平然と相手を振り回す……お見事ですね」
 ヒラリ、ヒラリ、とジョンが振り回す鬼百足の軌道を見切り、時にはサイドステップやバックステップを、或いは雫珠を用いてそれらの攻撃を受け流しながら感嘆の声を上げつつ、夜彦が残った残存戦力を一閃し、次々に駆逐する。
 既に統率が取れておらず我武者羅に攻撃するばかりの鬼百足達の攻撃の中に含まれる炎は、メンカルの呼び出した黄金武者達が盾となってその攻撃を受け止める。
「上様の、そして徳川の士達の【覚悟】を籠めし一太刀を受けよ!」
 その影から飛び出した景正が、羅刹特有の膂力と怒濤の如き空間を断つ程の力を帯びた濤景一文字を横一文字に振り抜いた。
 振るわれた刃によって生み出された真空波が、敬輔の解き放った少女達の霊の衝撃波と絡み合って全てを斬り裂く鎌鼬となり、その炎を真空状態で掻き消し纏めて屠る。
『……是の剣は、金鉄の剛きより玉石の堅きまで、自由に伐れて天下に刃障になる物なし――太阿の剣、ここにあり』
 ――キン。
 景正の納刀により、生まれたたった一つの澄んだ音と共に。
 静謐に包まれたその空間で、辛うじて生き残っていた鬼百足達が一斉に地面に崩れ落ち、そして消滅した。


「……此処までみたいだね」
 黒剣を鞘に納めて少女達の亡霊に内心で礼を述べながら、敬輔が上空のメンカルに問いかけるのに、メンカルが静かに首肯を一つ。
「……最奥、敵が来る」
 ――凄まじい闘気を纏った、二十四将が一人が。
「……であるならば、それは私達が討つべき相手でしょう。上様の、そして徳川の者達の想いと『覚悟』と共に」
 静かに残心し周囲に告げた景正が、愛馬・夙夜の腹に蹴りを入れ、最奥部へと一気に駆け抜けていく。
 その景正を先頭とした、ジョン達猟兵達もまた、最奥部にいる武将の元へと駆け抜けた。
「後は大将だけなんだろうけれど……誰なんだろうね。この戦場の、将は……?」
 敬輔の不安を孕んだ呟きは、風に乗って露と消えた。 
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『戦国武将』

POW   :    合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


*業務連絡:次回執筆予定は、7月28日(日)19時30分~7月29日(月)夜の予定です。プレイング受付期間は、第3章冒頭OP公開後~7月28日(日)19:00迄となります。何卒、宜しくお願い申し上げます*

「十分に注意するよう、申しつけた筈であったが、やはりあの者達では役者不足であったか」
 二刀をダラリと無造作に下ろしながらその武者は訥々と語る。
 その身に41箇所の傷を負ったかの武者は勇猛さと謙虚さを同居させ、酷く落ち着いた声音で訥々と語り続けた。
「お初にお目に掛かるな、猟兵達よ。我が名は小幡虎盛。または鬼虎と呼ばれし者」

 ――小幡虎盛。

 かの者は亡くなる直前、子供達に遺言としてこの言葉を遺したという。

 ――善く、身の程を知れ。

 武勇に優れ、『鬼』と呼ばれし剛将であり、勇将でありながらも、斯様な謙虚さ、そして己が力量を正確に計ることの出来る、武田五名臣に名を連ねる歴戦の勇者。

「主等の実力は確かな者であろう事は認めている。故にこの血は此度の戦に滾っておる。お主達の力、是非とも見せて貰おうか」

 ――ユラリ、ユラリ。

 ゆっくりと、しかし確実に歩み寄るその様は、猟兵達の全神経を張り詰めさせ、歴戦の武将と退治する胸の苦しくなる様な重圧を、猟兵達に与えていた。

 ――だからと言って、此処で退くわけにも行かない。
 今も尚、オブリビオン武田軍との戦いに命を賭け、彼等の足を止めてくれている徳川軍のためにも。
 そう思い、猟兵達は真正面からかの敵と相対する。

 ――鬼と呼ばれし、その武将と。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
小幡虎盛か、歴戦の兵(ツワモノ)だね。
力を見せろというのであれば見せるとも。そして、満足したら骸の海に還ると良い。

『ウルクの黎明』を発動。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーを具現化、飛翔して間合いを詰めて初撃を。
(先制攻撃×空中戦)
その後は先の先を取ったり後の先を取ったりの変幻自在の剣術で戦闘。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
敵の攻撃は見切って回避してカウンター
(第六感×見切り→カウンター)
敵POWUC対策
ロボ化後は、残像を残しつつの機動戦で翻弄を試みます。
(空中戦×見切り×残像)


白石・明日香
他の方との絡みやアドリブは大歓迎です。
…そもそもあんた誰?いや、そんなことはどうでもいい!そんなモブい立ち絵姿なのは許せん!専用の立ち絵を用意してから出直して来い!
というわけで周囲の皆と連携して突撃。真っ先に突撃して皆に害が及ばぬようにモブ小幡の周囲にある無機物を片端から薙ぎ払っておく。モブが変形したら残像を展開してかく乱しつつ、具足とか鎧の出っ張りを「踏みつけ」て駆け上がり「鎧無視」して面隠しの目の隙間に「目潰し」よろしく攻撃を叩き込む。攻撃後はモブの背後を駆け降りるように離脱。やられるまで繰り返す。


雨咲・ケイ
敵将は小幡虎盛殿ですか……。
良い勝負になりそうですね。
この一戦も糧とさせて頂きましょう。
では、参りますよ。

【WIZ】で行動します。

先に戦国兵団の霊から片付けましょう。
敵からの攻撃は【第六感】で反応して
【盾受け】と【オーラ防御】で防ぎつつ、
【スナイパー】による盾の【投擲】を
【2回攻撃】で行って着実に仕留めていきましょう。

小幡虎盛に対しては、可能であれば
味方と連携しながら攻めていきます。
【シールドバッシュ】で牽制を行いながら
【目潰し】で隙を作り【サイキックブラスト】
を撃ち込みましょう。

アドリブ・共闘歓迎です。


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携可

貴様か…
歴戦の勇者とは聞いているが

猛者故の重圧は厳しいが
退く気なんか最初からない

血が滾っているのならその血を全部抜き切って
骸の海に叩き込んでやる
お前らの野望はここで砕く!

真の姿解放
赤黒く禍々しい全身鎧と黒剣、口元は面頬で隠す、瞳は両目とも赤
残酷かつ冷酷な性格に

乱世斬は「地形の利用、第六感、見切り、残像」で身を屈めて回避
間に合わなければ「武器受け、オーラ防御、激痛耐性」で真正面から受け止め軽減

しのいだら「カウンター、咄嗟の一撃」で【憎悪と闘争のダンス・マカブル】発動
「2回攻撃、怪力、鎧砕き、生命力吸収」を乗せ、武者鎧の上から強引に叩き付けるように18連撃(※味方攻撃なし)


オリヴィア・ローゼンタール
身の程を知れ――なるほど至言です
しかしそれは、貴方自身へと跳ね返る
すでに滅びた過去の残滓たる貴方に
貴方の身を置く場所は、もうこの世にはないのです

白き翼を具えた真の姿を解放
【属性攻撃】【破魔】で聖槍と四肢に聖なる炎を纏う

大型化した聖槍を【怪力】で縦横無尽に振るって斬り打ち穿つ(ランスチャージ)
【全力魔法】で炎をさらに強化し、巨大な炎の斬撃で【なぎ払う】
巨躯に見合った重い斬撃……!
ですが簡単に押し負けはしません!

天高く舞い上がり(ジャンプ・空中戦)、脚部に炎(属性攻撃)と【オーラ防御】を集中
【衝撃波】を後ろに放つことで加速し、【鎧砕き】【踏みつけ】【熾天流星脚】で蹴り抜く
その鎧ごと蹴り穿つ――!


ウィリアム・バークリー
“鬼虎”小幡虎盛。オブリビオンと化したとはいえ、生前の性は今もお持ちのようですね。
それでは、「礼節(礼儀作法)」をもって、お相手させていただきます。

ぼくの役目は、後方からの「援護射撃」。
スチームエンジンとトリニティ・エンハンスの二重強化で、「全力魔法」氷の「属性攻撃」「高速詠唱」「鎧無視攻撃」のIcicle Edgeを矢継ぎ早に放ち、回避・防御に専念せざるを得なくさせます。
隙を見てはStone Handで牽制。

武者鎧と合体して巨大化したら、Slipで転ばせます。その身体で立ち上がれますか?

一対一の真っ向勝負じゃなくて申し訳ありません。でも、戦場の武士道は勝ち残るためのもの。よくご存じでしょう?


ジョン・フラワー
【花簪】
強くてすごくて勇ましい……つまりアリスかい?
やあアリス! 僕とお花畑でいいことしない?
それとも元アリスと言うべきかな?

それにしても鎧ははさみが通らないな
そうだ! その硬い鎧を脱いでもらえばいいんだね!
悪いオオカミみたいだけど大丈夫! やましいことはひとつもないとも!
鎧にだって継ぎ目はあるさ! そこをちょきちょきっと部位破壊だよ!
その前に、簪のアリスにはさみを失礼! これをやらないと調子が出なくてね!
ワオ! 元アリスってばパワーアップもできるのかい!
僕のはさみとどっちが強いか勝負だね!

元アリス……いや、鬼のアリス。夢の時間はもう終わりさ
目覚めてお家に帰るんだ! 家族が君を待ってるよ!


月舘・夜彦
【花簪】
小幡虎盛、武田信玄と彼の父である信虎に仕えた武将とは
オオカミ殿は恐らくご存知無いと思いますので教えます
彼は前線に立ち、体に多くの傷を残しながらも戦い続けた者
つまり、とても強い方です
……ありす?

私もこの時代に生きる侍
貴方のような名のある武将と戦える事、光栄に存じます
小細工は不要、己が力を見せるのみ
――いざ、尋常に勝負

攻撃は残像・見切りより躱して抜刀術『静風』のカウンター
鎧無視攻撃もあれば、この刃も届きましょう
乱世斬は武器受けにて防御
霊は第六感にて位置を把握、先制攻撃にて狙う
2回攻撃・早業より斬撃を繰り出し、なぎ払い

オオカミ殿、お気になさらず
力を発揮出来るならば、私を斬っても構いません


メンカル・プルモーサ
…小幡虎盛…UDCの方の話だけど、生涯参加した36の戦場全てで感状を貰った名将だね……

…本人の戦闘力もだけど…兵士まで召喚されて指揮の元連携されると厄介だな…
…●戦国兵団で召喚される霊に対して【世界鎮める多なる調べ】を使い、兵士の霊を眠らせるよ…すぐに起こされるにしても多少の時間稼ぎにはなる…
…そして重奏強化術式【エコー】による全力魔法の【精霊の騒乱】による氷の嵐による範囲攻撃…氷結により兵士の霊を倒すだけでなく弓や火縄銃を使えなくするよ……
…兵団を無力化した後、残るは小幡虎盛…【鳴り止まぬ万雷の拍手】による目潰しや【支え能わぬ絆の手】により、足場崩しなどで妨害を行い、他の人の手助けをするよ…


鞍馬・景正
奇縁と申すべきか。

我が祖父、曽祖父は北条綱成閣下の指揮下でしたが、
閣下の父君、福島正成公の甲斐進行を阻んだ将のひとりこそ彼の鬼虎。

──徳川家旗本、鞍馬景正。
赫々たる武功を誇りし古の名将に、我が剣の全てを揮いましょう。

◆戦闘
巨躯と化した相手に正面から当たるのは不利。
ならば【鬼騎乗崩】で不意を衝く。

愛馬に【騎乗】した状態で突進。
狙うのは二刀の内、一刀の届かぬ側面やや後方。

迎撃の刃には、踏み込みの足捌き、肩の起こり、目線の向きなど、すべての動作から太刀筋の狙いを【見切り】、【第六感】も信じて回避と共に跳躍。

すれ違う瞬間、渾身の【怪力】を込めた【鎧砕き】の打ちで、防がれようとそのまま両断させて頂く。


荒谷・つかさ
武田五名臣、小幡虎盛。
相手にとって不足なし……いいえ、いいえ。
話に聞く歴戦の猛将と死合えるだなんて、なんという僥倖なのかしら。
(感情の高揚と共に真の姿へと変貌)
この闘気、この重圧……ああ、血が滾ってたまらないわ!

零式・改三のみを以て真っ向からの剣戟戦闘を挑む
サイズ差を気にすることなく、己の怪力と技量でもって正面から打ち合っていく
チャンスと見たら【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】発動
周辺のなるべく高い地形からジャンプして高所を取り(ジャンプ、地形の利用)
重力加速度とブースターの加速(吹き飛ばし)を乗せた城塞をも砕く一撃を叩き込む(鎧砕き)

我が名は荒谷・つかさ、炎風の羅刹也!
鬼将、お相手仕る!




「……奇縁と申すべきか」
 愛馬・夙夜の背に跨がり疾風の如く戦場を駆け、辿り着いた鞍馬・景正が目前の小幡虎盛の姿を認めて、静かに瞼を閉じその鞘に佩いた武州康重を静かになぞる様にしながら、ふっ、と息を吐く。
「奇縁か、猟兵」
 ダラリと構えていた双刀を改めて構え直しながら問うてくる虎盛に、静かに頷きを返す景正。
「我が祖父、曾祖父は北条綱成閣下の指揮下でしたが、閣下の父君、福島正成公の甲斐進行を阻んだ将の一人こそ、彼の鬼虎」
「上条河原の折の事、か。確かに奇縁だな」
「と言うか、あいつ何なの? 一体何処のどいつなのあれ?」
 景正の隣に不意に浮かび上がった魔法陣。
 その魔法陣から姿を現した赤いレオタードに身を包むは、銀髪をポニーテールに纏めた、深紅の刀身を持つ、全てを食らうクルースニクを構えた少女。
 その名を、白石・明日香。
「ねぇねぇ、あれって凄い相手なの!?」
 同様に鬼虎が発している威圧を意に介さず、あっけらかん、とした表情で隣の月舘・夜彦にくい、と小首を傾げて問いかけるジョン・フラワー。
 明日香達の問いかけに夜彦がそっと内心で溜息を一つ。
(「まあ、確かにオオカミ殿がご存知とも思えませんが……」)
「小幡虎盛、武田信玄と彼の父である信虎に仕えた者です」
「……UDCの方の話ではあるけれど、生涯参加した36の戦場全てで武勲を立て、感状を貰ったという名将でもあるね……」
 夜彦の説明に付け足す様に。
 飛行式箒【リントブルム】に横乗りし、カタカタと無数の情報が収集されている改造タブレット【アルヴィス】を覗き、その記録を確認した後に、アルゴスの眼を通して、周囲の情報、共に行動している猟兵達の情報解析を行なったメンカル・プルモーサが小さく呟き、鬼虎を見つめている。
「? 赤眼鏡のアリスは何を言っているのかな?」
 キョトン、と眼を瞬くジョンにそっと息をつき説明を付け加える夜彦。
「彼は数多くの戦場で前線に立ち、体に多くの傷を残しながらも戦い続けた者……つまりとても強い方、と言う事です」
「ええいっ! ならば尚更許せん!」
 夜彦の説明に何故かご立腹の表情を浮かべる明日香。
「明日香、何が?」
「あいつが凄い奴らしいってのは分かったが、何よりも……フガフガ!」
 何やら不穏な事を口走ろうとした事を空気で察した館野・敬輔が明日香の口を塞ぎつつその両の瞳を赤く変え、赤黒く禍々しい全身鎧を身に纏い、まるで血の様に赤く蠢く線の引かれた黒剣を携え、口元を面頬で隠し、鬼虎の威圧感に冷汗を垂らしながら言の葉を紡ぐ。
「……貴様だったか。歴戦の勇者とは聞いているが、これだけの重圧……噂通りの相手、と言う事か」
「う~ん……簪のアリスや黒鎧のアリスの言葉を借りれば、強くて凄くて勇ましいって事だから……つまり、アリスかい?」
「……ありす?」
 ジョンの言葉に、パチクリ、と思わず眼を瞬かせる夜彦。
「ふむ、それだったら、是非ともデートのお誘いを……やあアリス! 僕とお花畑でいいことしない? それとも元アリスと言うべきかな?」
「桜の花を見ながら一献等であれば粋だが……今、我が最も見たいのは、我が血を滾らせるお主等猟兵達の力の程、だ。血桜という名の花畑であれば、幾らでも付き合おうぞ」
「武田五名臣、小幡虎盛。相手にとって不足なし……いいえ、いいえ」
 明日香と敬輔のボケとツッコミはさらりと流し、ジョンのお誘いに律儀に答えを返しながら、一歩距離を詰めてくる鬼虎に、口元に鱶の笑みを閃かせ、零式・改三を肩に担いで姿を現したのは、荒谷・つかさ。
「歴戦の兵との戦い、か。どうにも楽しそうだね、つかさ」
 シーザー・ゴールドマンが何処か愉快そうに問いかけると、つかさがゆっくりと首肯を一つ。
「ええ、ええ……話しに聞く歴戦の猛将との死合いだもの。……何という僥倖なのかしら」
 ――ドクン、ドクン。
 高鳴る胸の鼓動と昂揚を抑えきれず、口元に笑みを閃かせたままに、その角を鋭く長く鋭敏にさせ、巫女服がはだけたさらし姿でその腕を深紅の鬼の腕へと変貌させていくつかさ。
『アラヤ』と呼ばれし鬼へとその身を変貌させながら、つかさは見る者によってはぞくりとその背筋を震わせる様な妖艶さと獰猛さの綯い交ぜになった笑みを浮かべている。
「この闘気、この重圧……ああ、血が滾ってたまらないわ!」
「つかささん……」
 つかさのこれから始まる死合いへの渇望をピリピリと肌で感じ取りながらも静かに呼びかけたのは、その背に一対の白き翼を、全身を白銀の輝き著しいセイントグリーブで覆ったオリヴィア・ローゼンタール。
 気がつけば、破邪の聖槍の先端に取り付けられた黄金の穂先が、闇夜を照らし出す照光の如き焔を纏っている。
「身の程を知れ――成程、至言です」
「そうか、主等は我が子等に伝えし言葉を知っているのか」
 オリヴィアのゆっくりとした呼びかけに鬼虎が軽く感心した、と言う表情を浮かべながら問いかける。
 それに静かに頷きを返しながら、オリヴィアが冷厳なる狩人の様に真実を告げた。
「ですがその言葉は、今の貴方自身へと跳ね返る。既に滅びた過去の残滓たる貴方に」
「……ほぅ」
 オリヴィアの言葉に、愉快そうに呻く鬼虎。
 まるで、静かに続きを促すかの様なそれに、小さく祈りを捧げながら言の葉を紡ぐオリヴィア。
「貴方の身を置く場所は、もうこの世には無いのです」
「だが、現に我はこの地で生を営んでいる。であれば、その終わりの時は自らの手で決めるべきであろう。……そう、この血の滾る戦場でな」
「“鬼虎”小幡虎盛。オブリビオンと化したとは言え、生前の性は、今も尚お持ちの様ですね」
 ルーンソード『スプラッシュ』の鍔に取り付けられたスチームエンジンを起動させ、自らに精霊達の加護を宿してその魔力を強化しながら姿を現しそう問いかけたのはウィリアム・バークリー。
「これは……良い勝負になりそうですね」
 ウィリアムと共に戦場を駆け抜け、つかさ達と合流したまま鬼百足達の戦線を突破してきた雨咲・ケイもまた、両拳を眼前でガツンとぶつけて身構えた。
 古武道を嗜んできたケイにとって、この様な強敵と相見える機会というのは、どれ程の強大な重圧の前であっても、その内に潜む獣が吠え、又その血を滾らせていく。
(「この一戦もきっと、私にとっての大きな糧となるでしょう」)
「さて、君は私達の力を見たいのだったね。勿論、見せろというのならば喜んで見せるとも。それで満足したら、骸の海に還ると良い」
 大仰に両腕を広げ、尊大にけれども嫌味無くそう告げるシーザー。
 右手を握り込むと同時に、シーザーが常時纏うオドが真紅のオーラと化して彼の全身を覆い、更にその瞳が金色に鋭い輝きを示す。
 キラキラと眩い光の粒子がシーザーの周囲にちらつき真紅のオーラを更に紅く、紅く染め上げていった。
(「まあ、人の身の器では、限界もあるのだがね」)
 ただ……限界となるこの力で、果たして何処まで鬼虎に自らの刃が通じるのか。
 興味深くて興味深くて……肩の震えが押さえきれない。
「……準備は出来た様だな」
「貴様……退くこと無く俺達が準備を整えるのを待っていた、とでもいうのか!?」
「当然であろう。我が望は強敵である汝等猟兵との全力での戦いであるが故に。改めて、名乗ろうか。我が名は、小幡虎盛……否、鬼虎。さあ、猟兵達よ。いざ、尋常に参られよ」
「我が名は荒谷・つかさ、炎風の羅刹也!」
「――徳川家旗本、鞍馬・景正」
「月舘・夜彦。貴方の様な名のある武将と戦えること、光栄に存じます」
「雨咲・ケイ」
「ウィリアム・バークリー」
 名のある武将のその態度に敬意を表し、何人かの猟兵が名乗りを上げ、そして一騎阿世に襲いかかった。


(「……本人の戦闘力もだけど……兵士まで召喚されてその指揮の元連携されると厄介だな……」)
 アルゴスの眼を通じて情報を解析しながら、メンカルの不安の入り交じった静かな呟き。
「黄泉の門より出でたる我が同胞達よ。今、此処に集いて我と共に血塗られし道を歩め!」
 そのメンカルの懸念を裏付ける様にじっくりと双刀を翻しながら、呪を諳んじる鬼虎。
 彼の求めに応じる様に、地面から無数の兵士達が姿を現し、其々に火縄銃、及び弓矢を一斉に構え始める。
「それならば、こうするまでです! Icicle Edge!」
『スプラッシュ』の先端で描き出された青と深緑色に彩られた魔法陣に命令を下すウィリアム。
 同時に魔法陣が薄らと輝きを発し、185本の極低温の氷柱の槍が大地と水平に舞い、一斉に鬼虎に向かっていく。
 無数の氷柱の槍と共に、同じく槍の様に愛馬・夙夜に跨がり疾駆する景正と、氷柱の槍を目眩ましにしたケイも一気に戦場を駆ける。
 カチリ、と火縄銃に点火し、一斉射撃を行なおうとする戦国兵団達。
 と、その時。
『誘う旋律よ、響け、唄え。汝は安息、汝は静穏。魔女が望むは夢路に導く忘我の音』
 短く、けれども美しく。
 周囲に青き魔法陣を展開、シルバームーンの先端を戦国兵団に突きつけたメンカルの歌の様なその術が完成すると同時に、フワフワと、まるで粉雪の様な白光が風に乗って吹雪の様に戦国兵団達に降り注いだ。
 強烈な眠気に誘われたか、クラリとその場で千鳥足でよろける戦国兵団達に向けて、ケイがアリエルをまるでブーメランの様に投擲。
 束の間眠りに落ちようとしていた戦国兵団達の身を、アリエルが纏う自らの氣に反応して生じた銀色の輝きが光輪の刃となって切り裂き、的確に負傷を蓄積させていく。
「私達が戦国兵団を制圧します。景正さん達はそのまま鬼虎の元へ」
「ご助力、感謝致します。どうかご武運を!」
 戻ってきたアリエルを受け止め、続けざまに第二射を解き放つケイの後押しに応じた景正に続く様に、敬輔、ジョン、夜彦、明日香をメンカルの術式の範囲から逃れた弓兵部隊が射り、火縄銃部隊が銃弾を解き放ち、弾幕を形成。
 それに対抗する様にウィリアムが解き放った100を優に超えた氷柱の槍達が、無数の矢や鉄砲玉とぶつかり合い、パリン、と鋭い音を立てて破砕され、次々に矢と銃弾による初手を削いでいく。
「赫々たる武功を誇りし古の名将よ、我が剣の全てを揮いましょう」
 左の刀の届かぬ側面やや後方へと夙夜を進ませながら武州康重を抜き放ち、気合い一声、その場を駆け抜けようとする景正。
 だが、鬼虎は慌てず騒がず、落ち着いた様子のままに、ただ、2,3歩摺足で前に出るのみ。
(「むっ……この気配は……!」)
「キェイッ!」
 景正が擦れ違う直前、景正を見る様子も無く、下段から刀を撥ね上げる鬼虎。
 咄嗟に、夙夜から飛び下りた反動を生かして自らの怪力を乗せて武州康重を唐竹割りに振り下ろすが、41の傷を覆いし猛者は、その一撃に怯むこと無く敢えてその一太刀を武者鎧の肩で受け止める。
 甲冑を断っても尚、刃毀れする事が無いと歌われし剛健な打ち刀でも尚、鬼虎の鎧は完全には砕けず、軽く罅が入るに留まった。
「そのまま両断させて頂くつもりであったが……斬り込みが浅かったか」
「我が不意を衝こうとするその肝の太さは感嘆に値するが……ただ一太刀で我が破られる程、甘くは無いぞ、鞍馬の剣士」
 左刀の一太刀で夙夜の足を斬り裂き、一歩その場を退いて右刀の背で明日香の全てを食らうクルースニクを軽く受け流した鬼虎が小さく呟き、戦場に散らばった岩の破片や天幕、そしてその天幕に飾られし36の感状と自身である武者鎧と渾然一体となり、身長2倍程の巨大な武者姿と化した。
 巨大化するや否や、それに合わせて巨大化した双刀をその重さを感じさせる事の無い速度で軽々と振るい、戦場全体を包み込まんばかりの勢いで大地を斬り裂く衝撃波を叩き付ける。
「ワオ! 元アリスってばパワーアップも出来るのかい! 僕のはさみとどっちが強いか勝負だね! ……と言うか、この鎧じゃはさみが通らなそうだな」
 放たれた衝撃波にその毛皮を切り裂かれ、激しい裂傷を作りながら、チョキチョキ、と軽くはさみを試し切りの様に手元で動かすジョンがその場でポン、とその手を叩く。
「そうだ! その堅い鎧を脱いでもらえば良いんだね!」
(「悪いオオカミみたいだけど大丈夫! やましいことはひとつもないとも!」)
 戦場全体を飲み込まんばかりの衝撃波を残像を曳いて移動、それでも避けきれず納刀したままであった夜禱を抜き放ち、衝撃波を真正面から斬り裂き、辛うじて被害を最小限に抑え込んだ夜彦が、自分の考えに目をキラキラと輝かせているジョンの様子を見て、彼が何を行なおうとしているのかを察し、大丈夫、と言う様に頷きを一つ。
「オオカミ殿、お気になさらず。力を発揮できるならば、私を斬っても構いません」
「流石は、簪のアリス! それじゃあ、ちょっとはさみを失礼! これをやらないと、調子が出なくてね!」
 衝撃波を受けきり、宵衣の服の裾事その身を斬られ、その腕から血を滴らせつつも安心させる様にそう答える夜彦にジョンがにっこりと笑ってはさみを夜彦に向けて放ち、その腕にチョキリ、と切り傷を入れる。
 その、夜彦の血を吸い取るかの如く。
 ジョンのはさみが鋭いぬめりを帯び、更にジョンの桃色の瞳がおとぎ話に出てくる悪いオオカミの様な、異様な煌めきを帯びた。
 ジョンのその様子に、何が今起きようとしているのかを察する敬輔。
(「助け合い、とはこういうことを言うのか?」)
 周囲に存在していた無機物であった障害物は既に鬼虎が吸収し、自らが巨大化するための力としていたため利用こそ出来なかったものの、黒剣に漆黒のオーラを這わせて、盾として辛うじてその一撃を受け止めた敬輔が、今は紅と化した右の青の瞳に異様な輝きを帯びさせながらそう思う。
 一瞬、明日香をツッコミがてら一発切りつけた方が良いだろうか、と言う考えが脳裏を過ぎったが、直ぐに頭を振ってその考えを吹き払い、チョキチョキと勇ましい音と共に突進するジョンに合わせて一気に接近。
「俺に合わせろ!」
「分かったよ、黒鎧のアリス!」
 叫びと共に上段から黒剣を振り下ろした敬輔に合わせる様に、側面からはさみを鎧の隙間に向かって突き立てるジョン。
「鎧にだって継ぎ目はあるさ! そこをちょきちょきっと、部位破壊だよ!」
 愉快そうなジョンの叫びを背にしながら、敬輔が淡々と黒剣による斬撃を解き放った。
 それは……。
 ――上段からの一閃。
 ――下段からの二閃。
 ――横一文字による三閃。
 ――袈裟による四閃。
 ――逆袈裟による五閃。
 ――下段からの袈裟六閃。
 ――続けざまの下段からの逆袈裟七閃。
 そして……。
「血が滾っているのなら、その血を全部抜き切って、骸の海に叩き込んでやる!」
 一瞬身を引くと同時に解き放った刺突の八閃が、ジョンが鎧の隙間にハサミを突き立て、そこから8回斬り裂き生み出した41箇所から49箇所に増えた傷口の一つに突き刺さる。
 すかさずそのまま一気に振り下ろし、九閃目を叩き付ける敬輔。
 休む間もなく十閃目に移行しようとしたその時、鬼虎はクワッ! と瞼を見開き、そのまま縦一文字に双刀を振り抜いた。
「……っ!」
 バックステップで最初の一打を躱す敬輔とジョンだったが、双刀が大地に突き刺さると同時に解き放たれた巨大な衝撃波が続けての連撃を中断させる。
 その隙を見逃さず、ケイとメンカルが足止めを行なっていた戦国兵団達が火縄銃を構えてカチリ、と火を入れ射撃を行ない敬輔達を撃ち落とそうとするが……。
「あなた達の好きにはさせませんよ」
 ケイがその火縄銃部隊の懐に潜り込んでアリエルを振るって戦国兵団の動きを鈍らせた所に、メンカルが重奏強化術式【エコー】で、複数の魔法陣を同時に起動。
 雪の粉の様に舞い、戦国兵団達の一部を眠りへと落とし、その動きを妨げた状態を維持しながら、シルバームーンをクルクルと回転させて魔法陣達に触れさせ、各魔法陣を鳴動、最大最強の術の一つの詠唱を開始。
『世の理よ、騒げ、暴れろ。汝は天変、汝は動地。魔女が望むは安寧破る元素の乱』
「合わせます。Icicle Edge!」
 シルバームーンに急速に収束する膨大な魔力の存在を察知したウィリアムが『スプラッシュ』の切っ先をクルクルと回転させると、それに呼応する様に青と深緑色の魔法陣が輝きを発した。
 そして……。
 氷嵐と氷柱の槍が重なり合い、全てを貫き凍てつかせる台風となって、戦国兵団を襲撃する。
「お見事です、オオカミ殿。皆さん」
 襲撃され千々に乱れる戦国兵団の様子を冷静に観察し、夜禱を一閃させて、目前の戦国兵団を纏めて薙ぎ払いつつ夜彦が賞賛の声を上げた。
「この刹那、狙わぬ理由はありますまい」
『弓馬刀槍、すべてが合わさった武士の神髄をお見せしよう』
 夜彦の声音に応じる様に、それまで敵の衝撃波による攻撃を見切り、夙夜から一度下馬し、状況を具に観察していた景正が頷きながら再び夙夜に跨がり、今度は右刀の側面やや後方より、天へと飛びながら無銘脇差を抜き放ち一刀両断にせんと振りかぶる。
 夜彦もまた景正に呼応する様に大地を蹴って高みに登り夜禱を横薙ぎに振るった。
 敬輔とジョンによる無数の連撃に瑕疵を負い、更に戦国兵団の動きが途切れたその隙を狙って、鬼虎の懐に潜り込んだケイのその鳩尾へと叩き付けた両掌から放たれた高圧電流による感電で、微かに反応の遅れた鬼虎の右肩から左脇腹に掛けてまでを景正の無銘脇差が深々と斬り裂き、夜彦の横一文字の一閃が鬼虎の体を横薙ぎに斬り払う。
 ――それは並のオブリビオンであれば、致命傷になる一撃。
 だが……。
「良いぞ、良いぞ……これでこそ血の滾る戦いというものよ!」
 巨大化したその体から、尚もその血を滴らせながら。
 愉快げに呟き双刀を振り抜き景正と夜彦を吹き飛ばし、大地へと叩き付ける鬼虎。
「ですが……まだ、これからです」
 ウィリアムが左手で描き出した魔法陣をフリスビーの様に鬼虎の足下に滑り込ませて彼の立つ場所を凍てつかせることで、一瞬足止めを行ないながら、断言する。
「ぼく達の戦力は、こんなものではありませんから」
 告げるウィリアムの言葉には、何処か確信が宿っていた。


 ――それは、メンカルも分かっていることだった。
 アルゴスの眼で状況を把握し、飛行式箒【リントブルム】に跨がっていたメンカルがちらりと目配せを送ったのは、つかさ、オリヴィア、シーザーの3人。
 明日香が巨大な鎧を踏み台に鬼虎の至近に迫り、次の一閃を繰り出すべく、面隠しの目の隙間を全てを食らうクルースニクで貫こうとするが、それは鬼虎の右刀で軽々といなされる。
 だが……。
「さて、一気に攻めさせて貰おうか」
 そのいなしている隙を見逃さず、メンカルからの指示を受けたシーザーが強大な魔力を使用して戦場を飛翔、それにオリヴィアとつかさが追随した。
 シーザーがオドを収束させて大剣として具現化させたオーラセイバーを空中で一回転による側転を行ないながら大上段から振り下ろす。
「ふむ……先程までは地上からの攻撃であったが……今度は正面から空中で堂々と、か」
「力を見せろと言ったのは君であろう? それならばこうするのが最も早いと思ったのでね」
 全身に更に多くの傷を作りながらも、尚、勢い衰えること無く双刀を交差させて何時でも迎撃出来る態勢を整えた鬼虎に振り下ろされるシーザーのオーラセイバー。
 真紅の光を帯び、空中での摩擦熱により加速された刃が先程明日香を振り落とした右刀とぶつかり合い、鋭い音と共に、火花を散らせる。
「一人だと思わない事ね!」
「簡単に、私達が押し負けはしません!」
 風の精霊達の力を利用して大地を蹴って空中へと舞い、肩に担いだ零式・改三で刃事、鬼虎を叩き斬らんと薙ぎ払うつかさ。
 その一撃は、シーザーによって右刀を一時的に封じられていた鬼虎の左刀に叩き付けられている。
 同時に山を砕かんばかりの鈍い音が、戦場一帯に轟いた。
 そこに双翼を羽ばたかせ、天空へと飛翔したオリヴィアが破邪の力を纏う炎の精霊達に協力を呼びかけ、自らの四肢と破邪の聖槍へと纏わせ、更に……。
「神よ、かの勇猛なる武将に安らかなる眠りを……!」
 祈りの言葉を紡ぎ、己の炎を一際際立たせた。
 それは、さながら神の裁きを齎すメギドの火。
 巨大な炎を帯びた破邪の聖槍を撥ね上げる様に振るうオリヴィア。
 破邪の聖槍の先端の黄金の穂先が裁きの炎の中で一際強く輝き、ズシリ、とした重さの籠められた強烈な一撃と化す。
 天空で双翼を羽ばたかせる裁きの御使いの如きオリヴィアの破邪の一閃が、双刀をシーザーとつかさによって抑え込まれていた鬼虎の胸に吸い込まれる様に命中し、ジョン達によって大きく穿たれていたその傷口を抉る様に焼き払った。
「ぐっ……!」
 破邪の焔によるオリヴィアの一撃は、鬼虎にとっても流石に想定外だったらしく、鬼虎が遂に微かに苦悶の呻きを上げる。
「流石の鬼虎殿であったとしても、この連続攻撃は堪える様ですね」
 ケイがすかさず、シーザーが抑え込んでいた左手に向けて自らの闘氣が表面に集中し、ダイヤモンドの様に硬化させる銀の輝きを帯びたアリエルを叩き付ける様に投擲。
 投擲されたアリエルが容赦なく鬼虎の右手を打ち、その痛みからシーザーと拮抗させていた力の一部が雲散霧消する。
「見事だね、ケイ」
 尊大ながらも余裕を持って礼の言葉を掛けながら、シーザーがひゅっ、と自らの全身に纏ったオドを利用して光学迷彩を使用、陽炎の様に姿を消す。
 一瞬シーザーの姿を見失い、その索敵を行なおうとした鬼虎の左刀に零式・改三を自慢の怪力で食い込ませ、そのまま滑り込む様に体を前転させて左刀の背に飛びのり、左刀から引き抜いた零式・改三をつかさが妖艶な笑みを浮かべたままに鬼虎の左腕の腱に突き刺した。
「ぐおおおおっ?!」
「シーザーにばかり気を取られていると、こうなるわよ、鬼将!」
 つかさの一撃に口元を歪めた鬼虎を艶然とした笑みのままに見返して冷たく、愉快そうに告げるつかさ。
 そのつかさの意図を理解した、阿吽の呼吸で。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
 気合いと共に破邪のルーンの力を引き出したオリヴィアが、神々しいばかりの輝きを発して聖なる炎の威力を爆発的に上昇させた炎を乗せた破邪の聖槍を、ジョンと敬輔によって穿たれた大きな傷に向かって突き立てた。
 一瞬だが、双翼の羽ばたきを意識的に止め、重力に引かれて落ちていく落下運動にその身を任せて、突き刺した胸から左足までをギャリギャリ、と言う肉を貫き切り裂く音と共に引き裂いていく。
「成程、そう言う戦い方もあるね。それでは私もオリヴィアに倣おうか」
 シーザーが感心した、と言う様にそう告げながら、具現化しているオーラセイバーにオドを集中して肉薄、オリヴィアとは逆に景正達によって生じた右胸の深い切り傷に抉り込ませる様に滑り込ませようとするが、そうはさせじと再び右刀を振り上げる鬼虎。
 だが、その時には。
『観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛。魔女が望むは舞台を止めし大喝采』
 無数の魔法陣を展開していたメンカルがシルバームーンの先端の月の装飾から鬼虎を照らし出す眩い閃光と、喝采に似た大轟音による幻覚を周囲の精霊達に呼びかけ発動させ、その光と轟音によって、一瞬鬼虎の目を眩ませていた。
 その間にシーザーのオーラセイバーは刺し貫く事を最も得意とする細剣へとその姿を変えて滑らかに夜彦達の穿った傷を貫き、そのまま叩き斬ることを目的とした両手剣へと変形する。
 そして……オリヴィアと同じく、意図的に飛翔する事を止め、重力に捕らわれることを選ぶシーザー。
「ごがぁぁぁぁぁ?!」
 両手剣が易々とその肉と骨を斬り裂き、凄まじい血飛沫を上げながら鬼虎の体を切り裂いていく。
 重力の落下を用いた強烈な二撃は、如何な歴戦の勇者と言えども堪える物があるらしく、鬼虎はこの時初めてグラリとその身を大きく傾がせた。
「今だ! 行くぜ!」
 グラリと傾いだ鬼虎の様子に気がついた明日香が鎧の出っ張りとも言うべき部分を踏み拉いて鬼虎の顔面に正面から相対。
 全てを食らうクルースニクを容赦なく突き出し、面隠しの目の隙間を貫き……それを脳髄近くまで達させる。
「ぐっ……ガァ……!」
 そのまま我武者羅に体を振るい、明日香を振り落とさんと暴れ回るが……。
「潮時だね。敬輔、ジョン、夜彦、景正、ケイ、ウィリアム」
 アルゴスの目で情報を解析、次の行動の最適解を見出したメンカルが呼びかけながら、鬼虎の立つ地面へとシルバームーンを向け、大地に向けて命じる。
『繋ぎ止める絆よ、弱れ、停まれ。汝は摺動、汝は潤滑。魔女が望むは寄る辺剥ぎ取る悪魔の手』
 連続した魔力の消耗に疲労を隠せないながらも、メンカルが周囲の青き魔法陣命じてウィリアムが凍てつかせた大地の物理情報を改竄させて、その足場を崩落させる。
「ぬぉぉっ?!」
 突然の大地の陥没には、流石の鬼虎も対応することが出来ず、見事にそのまま大地に足を突っ込み、物理情報を改竄された氷の泥濘に足を突っ込んだ。
「今度は捕らえさせて貰いますよ。……Stone Hand!」
 すかさず、と言った様子で地面に手をつき、大地に仕込んでいた地の精霊達に呼びかけ、岩石で出来た大地の精霊の腕を召喚するウィリアム。
 それは、メンカルによって作り出された陥没した大地に沈み、がっしりと鬼虎の両足を掴んで放さない。
 それでも尚、まだ動く左刀を地面に叩き付けて戦場全体を斬り裂く衝撃波を呼び出して応戦しようとする鬼虎だったが、右腕をつかさに貫かれた分、勢いが減じている今の彼の衝撃波には、針に糸を通す程度には細いものだが、避けられるだけの地帯が幾つか存在している。
「今が好機! 此処を逃すわけには参りませぬ!」
 愛馬・夙夜と人馬一体となった景正がその細い地帯を見事にすり抜け、既に動きがほぼ鈍っている右腕の側面を潜り抜け、武州康重に素早く刀を持ち替え、今まで以上に早く、重く、全てを砕く強烈な一太刀を大上段から真っ向両断に振り下ろし、罅の広がりつつあった鬼虎の鎧を打ち砕き、その剣閃のままにその体の奥深くまで武州康重の刃を刻み込めば。
「これであれば、十分間に合います」
 夜彦がその傷口を抉る様に夜禱を、一閃。
 ――それは、刹那の一撃。
 鬼虎の左肩から右脇腹に掛けてをパックリと鮮血を迸らせながら夜彦が引き裂きつつ。
「……オオカミ殿」
「元アリス……いや、鬼のアリス。夢の時間はもう終わりさ。目覚めてお家に帰るんだ! 家族が君を待ってるよ!」
 ハラリ、と夜彦の髪を宙に舞わせたジョンのハサミが、疾風怒濤の如き勢いで傷だらけの鬼虎に八の太刀を見舞い、オリヴィアにより焼け爛れたその傷を大きく広げ、更に砕かれた鎧をズタズタに斬り刻み。
「今度こそ…… お前らの野望、砕いてやるぜ……!」
 ゴボリ、と自らの口から血の泡を吹き出しながら。
 敬輔が黒剣を再び振るい、既に深手を負っている鬼虎を形作っていたパーツを分断する。
 無機物と戻ったそれらの部品を明日香が全てを食らうクルースニクを振るって処理するその間に。
 ケイが肉薄し、腰を深く落としてその腕のサイキックエナジー増幅器、ルミナスを氣を用いて光と為さしめる。
 光は吸い込まれる様に鬼虎の腹部に叩き込まれ。
 そこから放たれた再度の高圧電流に、鬼虎がビクンとその身を撥ね上げさせ、全身を痺れさせて完全に身動きを取れなくされていた。
「今です、つかささん、オリヴィアさん!」
 ケイがそう叫ぶ間にも。
 つかさとオリヴィアはウィリアムが用意した氷塊の塊を駆け上り、遙かなる高みにまで上り詰めている
 オリヴィアは後方に向けて破邪の聖槍から衝撃波を発生させたその反動と、双翼で更に一気に上昇し。
 つかさもまた、風の精霊達によるブースターで天を駆け、更に零式・改三の峰に取り付けられた誉を起動させてオリヴィアと同じかそれ以上に高い場所まで上り詰め。
 ――そして。
「行くわよ、オリヴィア!」
「はい、つかささん! ……鬼虎、小幡虎盛。あなたをその鎧事蹴り穿つ――!」
 ――キラン!
 眩い太陽を背にオリヴィアが背後に向かって破邪の聖槍にて衝撃波を解き放ち、風に煽られる様に翼を広げて一気に加速。
 その足に、聖なる炎と白銀のオーラを覆いながら。
『重剣術奥義……』
 一方でつかさは零式・改三を大上段に構え、この高みに登る時に使用した誉によるブースターと風の精霊達の召喚による追い風、そして重力に引かれて落下していく時に発生する摩擦熱をも全て炎の精霊達の力を借りて破壊力へと還元しながら一気に落下。
 それはさながら、破邪の流星と紅蓮の彗星。
 流星と彗星は重なり合い、一つの強大な焔となって鬼虎を真っ向から焼き尽くす。
『猛き炎よ、我が脚に集い、破邪の流星となれ――!』
 オリヴィアの蹴りが直撃し、鬼虎の全身を裁きの炎が包み込むその間に。
 摩擦熱により凄まじい炎と加速を帯びた零式・改三が唐竹割りに振り下ろされた。
 迷い無きつかさの一撃は、全身を聖なる炎で焼き払われていた鬼虎を周囲の大地事砕き、そして微塵も残らず粉々に砕いていく。
「私達の勝ちよ……鬼将!」
「そうか……敗れたのは、我か……」
 砕かれた体からヒラヒラと舞い落ちる何かを見つめながらウィリアムが呟いた。
「一対一の真っ向勝負では無くて申し訳ありません。でも、戦場の武士道は勝ち残るためのもの。よくご存知でしょう」
「……その通りだ。けれど、よく身の程を知れ、猟兵達よ。此処から先、お主等を待つであろう戦は……将、達は……」
 その言葉を最期に。
 小幡虎盛……『鬼虎』と呼ばれし者は、その最期を迎えるのであった。


「む……? 彼は、何か興味深い物を落としていった様だね」
 最後まで周囲を警戒していたシーザーが鬼虎の最期の場所にハラリと落ちた巻物に気がつき、それを手に取る。
 手に取ったそれには『第六天魔軍将図』と書かれていた。
 パラパラとそれを眺めるシーザーの瞳に、好奇心の光がちらついている。
(「もしやこれは、織田信長軍に集った『偉人武将軍団』の名前なのでは無いかな?」)
「シーザーさん、何か見つけましたか?」
 残心を終え、興味深そうに巻物を眺めるシーザーの様子が気になったか、ケイが問いかけた。
 その問いに静かにシーザーは一つ頷きそして景正達全員を見やる。
「一先ず、この戦場は私達によって制圧できた。徳川軍にもその事は伝えるべきであろう」
「……そうですね」
 ――止めこそ、させませんでしたが。
 それでも奇縁を持つ相手とこうして雌雄を決することが出来たという事実に、景正が感慨深い物を深く噛み締めながら頷くのに、つかさ達もまた頷きを返しその場を後にする。

 ――武田二十四将 五名臣 小幡虎盛。
 
 今此処に、討ち取ったり。
 

 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月29日


挿絵イラスト