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ロマンスと激情の恍惚なる塔

#UDCアース

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#UDCアース


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●Princess Start
 新年にも関わらず――いや、だからこそだろうか。
 都心の駅の裏側、労はせずともやや行き辛い裏路地にその建物はあった。
 見た目は五階建ての、上品な仕事人がひと時の宿とするような――尤も、表札にあるご休憩の文字が全てを物語っているのだが。
 ――いわゆる「愛の宿」で、恋人たちは新年の思い思いに睦みあっていた。

 ――突如として、かの宿から爆ぜる閃光と轟音。
 愛と欲望の渦巻く建物は一瞬の内に瓦解し、愛を語り合い、情欲の炎を燃やし欲望をぶつけ合う耽美なる光景は一瞬の内に阿鼻叫喚を挙げ、瓦礫が肉体を押し潰し、業火が全てを焼く地獄絵図と立ち代っていった。
 爆炎と轟音が絶え間なく愛のお宿を崩壊させていく中、それを妖しく取り囲む光の方陣と、更にその周囲で呪詛じみた祝詞をおどろおどろしく紡ぐ声。

「素晴らしきかな、素晴らしきかな。人の欲望、真に素晴らしきかな」
「愛は爆ぜ、命を紡ぐは神に捧ぐ」
「愛などいらぬ、世の中金よ」
「リア充爆発しろ、もうしたけど」
「お金の力で恋人ゲットです!!」

 声が響き渡り、光の方陣に禍々しい黄金の雷が下りると、その場所には一柱の神が立っていた。
 降臨した邪神は信奉者の思い思いの呪詛を孕んだ祝詞に、受肉を喜びながらも誰にも聞こえないように呟いた。
「――欲は欲でも、管轄が違うと思うのだがなぁ」

●爆発の力は如何ともしがたく強く
「よく……英雄が名乗りを挙げると、背後で大きな爆発が起こると聞くね」
 UDCアースで書店などの片隅で売られているような、薄いが一ページ一ページ自体はそれなりに厚い、子供向けの絵本のページを見つめながら長い黒髪の女は唐突に語った。
「あの爆発は良い。派手に名乗りを締めてくれる。……中には、名乗りを挙げることで英雄の力を高め、名乗りが終わることで極まった力が背後でスパークする、なんて説明をつけたものもあるのだよ。面白い解釈だがね」
「いいからさっさと事件の説明しろよ」
「……少しは様式美というものを考えたまえ」
 絵本を畳み、気分で変わる色をした今日の翼は燃えるような赤、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは立ち上がるとグリモアを輝かせ始めた。

「さぁ、語ろうか。今回の舞台はUDCアース、狂気と狂気の渦巻く太古の邪神と戦うべき世界だ。君達には邪神の復活儀式を止めて貰いたい」
 スフィーエの話に依ると、とある建物を盛大に爆破し、建物の中にいる人々の命と阿鼻叫喚を引き金として邪神降臨を行うという。
 尤も爆破は引き金に過ぎず、既にその建物に教団員が呪詛を絶え間なく送り続けた結果、召喚儀式を行うだけの力が既に蓄えられているらしい。
 その建物というのは――駅の裏通りにある、初見は五階建ての上品なビジネスホテル。
 しかし表札に書かれた文字が、一部の猟兵達の顔に嫌な感情を浮かばせた。
 その様子をスフィーエは意地悪く笑いつつ説明を続け、
「平たく言えば『連れ込み宿』という奴だね。ちなみにホテル名は『ツーカー・キャット』というらしい。どうでも良いか……ああ、既にUDC組織に話を通して人払いはしてあるし、いかがわしい物も置いてない種類の宿だから安心したまえ」
 そうなってはもう普通の上品な無人のホテルとあまり変わらないよと陽気に語って続ける。
「ここまで言えば呪詛と爆破の意味が分かるだろう。独り身をこじらせた男と女の邪教団がリア充爆発しろを実行してくれたのだよ。クレイジーだろう?」
 しかも無駄に理想が高いらしく、教団員同士で欲を満たすという発想に至れないあたりどうしようもないと陽気に笑った。
 しょーもなっ!!と声を挙げる猟兵を後目に彼女は続けた。
「まずは爆弾の所在と儀式会場の特定をやって貰いたい。どうやらその宿の近くであることは確かなようだが、具体的な場所までは分からないらしくてね」
 教団のアジト自体はかのホテルの近くにある個人経営の少し大きめの本屋、尤もそれは偽装に過ぎず裏では邪教の事務所になっているわけだが。
「ただ儀式の準備のため、大多数の団員は出払っている。潜入は容易いだろうし、仕掛けた爆弾の設計図や場所を示す計画書なども探せばあるのではないかな?」
 保証はできないがね、と続け。

「とはいえ、少数ながらも団員が残っているのも事実。色々と鬱屈した男やら女やらを抱き込んで警備を緩めたり、直接情報を聞き出したって良い」
 片目を瞑り微笑むスフィーエ曰く、見目麗しい者多い猟兵ならそうしたハニートラップも容易いだろうと、どこか楽し気に店員に偽装している男二人と女一人の肖像を映し出した。

「勿論、直接ホテルに入って爆弾を除去しても良いがね……」
 それにしても何の情報も無しでは、非効率極まりないだろうからおすすめはしないがと語ってから、とはいえ爆弾を早く除去すればするほど、手早く儀式会場に乗り込みやすくもなるだろうと補足した。

「尤も爆破が無くなって儀式会場に乗り込んだとしても、不完全な形で邪神の復活は行われるだろう。その為の嫉妬と怨念は十分に溜まってしまっている」
 ――最後の引き金に使われるものが、教団員の命だとしてもねと皮肉めいた笑みを浮かべて。
 勿論、不完全ながらもの儀式を遂げる為の妨害はあるだろうとも付け加え。

 一頻り語り終えた彼女が熱燗を一口啜ると、ほんのりと色づいた顔で周囲の猟兵達を見回し、頭を下げた。
「……場所が場所で動機が動機。思うところが無いわけではない者もいるかもしれないけど……それでも、本当に爆破することが許されることじゃない。どうか、君達の手で止めて欲しい」
 周囲も大変なことになるしね、と彼女は微笑みながら顔を挙げて。
「君達も独り身が寂しければ、全てが終わった後に私に楽しい英雄譚を聞かせてくれたまえ。食事でもしながらね。美女となら役得だろう?」
 自分で言ってれば世話はないと苦笑する猟兵を、悪戯っぽく笑いながらスフィーエは送り出すのであった。


裏山薬草
 初めましての方は初めまして、ご存知の方はお久しぶり、裏山薬草と申します。
 まずはOPに目を通して頂き、真にありがとうございます。

 舞台はいわゆるアレですが、お色気シーンのようなものはありません。悪しからず。
 リア充爆発しろと言って、本当に爆発させて邪神を復活させるという迷惑極まりない教団の野望を阻止しましょう。

 第一章ではホテル内の爆弾を突き止めながら、邪教の儀式会場を突き止めていく形になります。
 方法はいろいろありますが、直接爆弾を取り除く行動をとる場合は、スフィーエも言った通り何の情報もなしに行うのはお勧めしません。
 また儀式会場が分かったとしても、爆弾除去前に乗り込めば爆破が行われ、人命被害は出ませんが周辺の建造物に甚大な被害が出るのでこれも非推奨です。

 第二章以降は、儀式中断を妨害する教団の尖兵や、復活した邪神との戦いを描いていく予定です。

 今回も皆様と一緒に楽しい物語を紡いでいけたら良いと思います。
 裏山薬草でした。
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第1章 冒険 『教団の計画を阻止しろ』

POW   :    設置された爆発物を取り除く

SPD   :    教団に潜入して計画書を入手

WIZ   :    教団関係者に接触

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●誰ぞ彼が妬んだか
 ――近頃というには、もう十年以上も馴染んでいるその呼び名であるが。
 下手な安宿よりも上品で部屋も良く、設備も揃う上に値段も質を見てみれば破格の安さ、二匹の猫が鳴き声を挙げて向かい合って頷きあっているロゴマークが印象的な、ブティックホテル「ツーカー・キャット」
 恋人たちが愛を睦みあう場として、比較的大きく立派に聳え立つこの宿が、満たされぬ思いを抱えて鬱屈した者共の妬みを引き受けてしまうのは、ある意味仕方のないことなのかもしれなかった。
 ――飽く迄、建物に罪はないのであるが。
 グリモア猟兵が語ったように、既にUDC組織を通じ、オーナーの一身上の都合により臨時休業という名目で人払いは済んではいるが、長くは続かない。
 営業が再開され恋人たちが集まるか、人払いの目的に感づいた邪教団が建物だけでもと爆破を急ぐか――手早い対応が、猟兵達に求められていた。
神楽火・天花
神楽火・皇士朗(f03876)さんと協力してチャレンジ!

教団のアジトになっている本屋さんに行って、留守番してる人たちに話しかけます。
「ここに魔法使いになれる本があるって聞いたんだけど、ありますか?」
「あたし、魔法使いになりたいの!」
「もしかして……お兄さんたち魔法使いなの?」
って感じで話を進めて、できれば儀式場の場所のヒントくらいはゲットしたいなぁ。
それができなくても、皇にいさんが計画書を手に入れるまでの時間稼ぎくらいはしたいところ。


神楽火・皇士朗
神楽火・天花(f03853)と協力し、教団アジトへの潜入を敢行する。
天火が教団員の目を引いていてくれる間に潜り込み、爆弾を仕掛けるための計画書の入手を目指す。
第二目標は爆弾の設計図の入手だが、こちらに関しては深追いは禁物だ。見つかる前に退散する。

サイバーアイの助けを借りつつ鍵を開け、調査を進める。アジトの構造も記録しておきたいところだ。
もし教団員に見つかってしまったら……その時は仕方がない。仲間を呼ばれる前に無力化する。殺してしまわないよう刻印は使わず、徒手空拳でみぞおち等の急所を狙って攻撃する。
「少し痛いだろうが、死ぬよりはマシだと思え」




「ここに魔法使いになれる本があるって聞いたんだけど、ありますか?」
 神楽火・天花(デュアルマジカルガール・f03853)の声に、あくびをかみ殺していた店員……実は邪教団の一員であった三人の店員が一斉に目を丸くした。
「あたし、魔法使いになりたいの!!」
 突拍子もない発言に頭でも打ったのだろうかと、邪教団員達は心配にもなったが、ここで救急車なり警察なりを呼んで大事にはしたくない、適当にあしらって穏便に帰って貰うのが良いだろう。
 邪教団員の一人が、笑顔を浮かべながら少女に目線を合わせるようにし、
「魔法を使って、何がしたいんだい?」
 ……その目に、下心らしい何かがうかがえるのは、きっと気のせいなのだろう。
 断じて、天花がピンクの瞳にやや跳ね返った黒のくせっ毛が仔猫を思わせるような可愛らしい少女だからというわけでは……無いと思いたい。
「うん!! 魔法を使って、人様に迷惑をかけるようなのをやっつけたいの。ドッカーンって」
 完全な嘘はついていない。
 神殺しの一族に生まれ、異界より伝来した魔術を以て邪神を討っているのだから。
 だがそれを……人様に迷惑を自分たちの大敵、カップル同士を爆発させたいと勝手に解釈した彼は、そうかそうかと笑いながら半ば私物化しているコーナーより、人目も憚らず愛を紡ぎあう男女を格好いい魔法使いが爆発させる漫画を楽しそうに読み聞かせた。臨場感がやたらと籠っているのは、気のせいではないだろう。
 ……繰り返すが、彼はロリコンの類ではないと思いたい。多分。
 気を良くしている彼をもっと持ち上げ、情報を聞き出そうとした天花は無邪気な子供らしく、魔法のシーンを妙に臨場感たっぷりに語る彼にこんな疑問を投げかけた。
「わぁ凄い。もしかして……お兄さん魔法使いなの?」
「!!!?!!?」
 ……魔法使い、という言葉は世界に依ってはさした意味は持たないだろう。
 それがアックス&ウィザーズやアルダワ魔法学園などであれば、イエスかノーかでただ答えれば良いだけの質問ではあるが、ことUDCアースに於いては特定の男性にとっては非常に悲しい質問であった。
 特に、こじらせて恋人たちを爆破しようなどと考える邪教団員にとっては、破邪の聖剣に比肩する言葉の一撃であった。
 がっくりと肩を落とす邪教団員・栄太はこれ以上の言葉を紡ぐこともなく、流石に居た堪れなくなった他の教団員の悲しい沈黙が残るのみであった。

 その一方で、天花と同じ神殺しの一族である神楽火・皇士朗(アームズ・オブ・スティール・f03876)は教団の事務所に潜入しようとしていた。
 グリモア猟兵が語っていた通り、潜入自体は容易い――が、万一のこともある。
 だが警戒はすれど不安はない。
 頼れる一族が、上手いこと引き付けておいてくれるだろうから――自分は自分のできることをするだけだ。心配はいらない。
 ……その妹が、男を言葉で盛大に突き刺して意気消沈させていることは預かり知らないことではあるが。
 閑話休題。
 既に超科学の目を以て裏口の鍵を開け侵入していた彼は、続く教団の事務所としての一室――倉庫と銘打たれた扉を開けると、やや長めの階段を下り事務所としている一室に辿り着いた。
 地下にあることを除けば、LEDのライトが明るく、エアコンも快適な優良な清潔感のあるオフィスといった見た目に意外性を感じながらも、構造の一つ一つを正確に記録していった。
 他の猟兵の調査の役に立たせる為だ。
 とりあえずは物音を立てないように、慎重に机や戸棚を探る。
 目標は爆弾の設置計画書だ。できれば設計図なども入手しておきたいが、深追いはしない――その判断は正しく、設置位置に関わる計画書らしきものを一つ見つけた彼は、気付かれる前にオフィスを抜け出そうとするが、
「貴様、そこで何を……」
「少し痛いだろうが、死ぬよりはマシだと思え」
 鳩尾に一発、表で店員のふりをしていた教団員とはまた別の、地下の警備にあたっていた一人がベルを押す前に気絶させる。
 とりあえずいつ目を覚ますかは分からない、ただ目的の書は一つ入手できた――あとは、ほかの猟兵に任せよう。
 そうして彼は地下の構造と計画書の一つを手に、帰還するのであった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ベルリリー・ベルベット
恋人たちが妬ましくて爆発させるの?
変なの。
恋人が欲しいなら、手に入れちゃえばいいのにね。

教団員の殿方を見つけて【誘惑】するわ。
お兄さん、ちょっとお話し聞かせて頂戴な。
甘えた声を出したり、悩みがあるなら聞いてあげたり、優しくして油断させながら。

聞き出す情報は、爆弾の設計図や計画書の場所・内容についてを優先。
余裕があれば、儀式会場の場所についても聞きたいところね。

無事に情報をゲットできたら、さっそく設計図を入手しに行こっと。
電波が届く場所なら、スマートフォンか何かで他の猟兵にも情報を周知。

設計図が保管されている場所に鍵がかかっていたなら【鍵開け】を。
こういうのは得意なの。

※他の猟兵との同行も歓迎



●食虫誘花
(恋人たちが妬ましくて爆発させるの? 変なの)
 ――欲しいなら、手に入れちゃえばいいのにね。
 ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)の口元には、疑問と微笑みの両方の感情が伺えた。
 書店に現れた彼女の美貌に、男は息を呑み、女は不機嫌を顔に浮かべながら休憩室に引きこもる。
 栄太からは「ちょっと歳喰ってる」という声が聞こえるあたり、手の施しようはないのかもしれない。
 美貌に笑顔を浮かべながら見惚れていた男に近づくと、そっと手を重ね誘惑するように声をかけた。
「お兄さん、ちょっとお話し聞かせて頂戴な」
 そこからの男は夢心地であった。
 この世のものとは思えない美少女に、甘えられ、思うがままの不満や怒りを慰められ優しくされ、野望に共感を持ってもらう。
 もう味わえないであろう、偽りの甘美な時間の前に、導かれるままに花火と称した爆弾の設計図の情報を漏らすのも仕方のないことで。
 既にこの男、邪教団員・備伊助の逞しい妄想力には、邪神様に祝福されながら、この少女と生涯を過ごす未来が浮かんでいた。
 そんな哀れな妄想から立ち返り、決意した彼が声をかけようとすると、その少女は消えていた。
「え、まさか幻……?」
 実際には、妄想に気取られている間、隙を縫ってベルリリーが裏口まで行っただけなのであるが。
 引き続き男が放心をする無様な光景が描かれたのであった。

 そして当初の予定通り、ベルリリーは爆弾の設計図を証言を元に突き止めると、それを持ち出した。
 机の引き出しに、鍵がついていたがそうしたことを得意とする彼女には何の障害にもならず。
 それから彼女は、電波の届く地上に戻ると入手した情報を携帯で伝達したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鵜飼・章
何とも邪神が気の毒になる話だね
仲間が得た情報、特に地下の構造を事前に聞く

一般人大学生客を装い本屋に向かう
【コミュ力】で不機嫌そうな女性の機嫌を取ろうかな
「すみませんお姉さん。本を探しているんですけど」
実在しない本の名前を挙げ一緒に探して貰う
彼女の言葉には愛想よく応対
楽しく話してリア充気分にさせる

恋愛相談まで話題を誘導できたら
【動物と話す】気持ちで特に優しく愚痴を聞こう
そうなんだ、辛かったね
どうしたの?
何か僕で力になれることはある?
罪の意識を煽って儀式会場と残りの計画書の在処を自白させ、仲間に共有

可能なら回収まで行いたいけど
無理せず怪しまれる前に撤収
個人的にも興味深い話が聞けたよ
有難う、お姉さん



●蜜の誘惑は続くよどこまでも
(何とも邪神が気の毒になる話だね)
 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は、予知の内容と召喚される邪神について、多少の同情が禁じえなかった。
 確かに鬱屈した情念と管轄違いの欲で呼び出される――気の毒といえば、気の毒だろう。
 だが鬱屈した情念を持っているからこそ、付け込み易くもなる。
「すみませんお姉さん。本を探しているんですけど」
 不機嫌そうに、意気消沈している男と放心している男から少し離れた本棚の影で書物の埃を払っていた女の教団員に声をかけた。
 至って事務的な対応に対し、それでも笑顔と愛想良く、存在しない本の題名を言うと、当然の如く躊躇われるが。
「お姉さんだけが頼りなんです」
 見た目は美しいとは言える方であり、物腰も柔和な彼に頼られては、男運に優れない女が多少の気を良くするのも当然であり。
 事務的な言葉にも愛想良く自分を満たしてくれる彼の話術に嵌るのも不思議ではなく。
 それからというもの、女教団員の椎子は共に彼と(ありもしない)本を探している間に様々な会話を続けた。
 男に対して何故か運悪く振られ続けたことなどを今は本棚の影で囁いた。
「そうなんだ、辛かったね……」
 同情するように肩を叩く彼に、陥落した彼女は付き合いを申し込めば、(演技であろうが)彼は快く受諾する。
 ついに夢にまで見た春に喜ぶが、椎子ははっと気づく。
「どうしたの? 何か僕で力になれることはある?」
 顔を青くする椎子に問いかけると、彼女は震える声で、警察にここの地下の戸棚の裏にテロの計画書があることと、ホテル「ツーカー・キャット」の裏にあるマンホールにテロリストのアジトがあること。
 自分もそれに加担しかけていたことを涙ながらに話し、それを慈愛と虚無の混在した眼で受け入れるように彼女の腕を叩くと。
「個人的にも興味深い話が聞けたよ。有難う、お姉さん」
 夢心地に浸らせてあげたままに、彼はまた後でと言ってから書店を後にし、仲間に計画書の残りの場所と儀式会場の所在を伝えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・エクル
【POW】

仲間から共有された爆弾の設計図と設置位置を元に爆弾を解除するためホテルに向かうよ。

爆弾の設置場所に到着したら

オルタナティブ・ダブルで、女性人格の「ヒメ」に力を貸して貰うよ。二人で爆弾を解除だ。

機械の取り扱いならボクの専売特許だもんねー。

持ってきたハッキングツールを使って爆弾を【ハッキング】

起爆できないようにするよ。

爆弾の解除に成功しても失敗しても部屋の窓から脱出だー。【クライミング】で窓や出っ張った壁、排水管をうまくつたって下まで降りるよ。

なんでそんな面倒なことをって?だって、その方がカッコよきない?アニメや映画に出てくるスパイみたいで!

「ヒメ」
口調:~です ~ます

性格:誇り高い



●爆発するのは華麗なる“スパイ”リッシュ・アクション
 爆弾の構造も場所も分かったなら、物事の最後の一押しは、肝心の爆弾を無力化することだ。
 中性的な容貌をした多重人格者の少年七那原・エクル(トレイルブレイカー・f07720)は、仲間から得られた情報を元にホテル「ツーカー・キャット」の一室にて爆弾解除の準備を進めていた。
 部屋に着くや否や、彼はその身に宿るもう一つの人格である「ヒメ」を具現して、ベッドの隠し床に仕掛けられていた爆弾を慎重に取り出す。
「じゃあ、しっかり頼むよヒメ」
「はい。エクルこそ」
 肝心の無力化について具体的にどうするのかプランがあったのも、この多重人格者の少年の強みであるだろう。
 機械に精通している彼は、まず起爆装置を無力化することを選んでいたのだ。
 設計図が分かっている以上、彼の持つ優れたハッキング能力も合わされば、仕掛けなど在って無きが如し――信管の周りに張り巡らされた多くのトラップ、ダミーの信管や非正規の手段で解除を試みた際に発動する起爆装置、同時に解除しなければならない二つの罠などを、己の半身であるヒメと共に容易く潜り抜ける。
 そうして他の部屋も華麗に無力化していった彼らは、最上階の部屋のそれを解除し終えると、夜景を眺めてからエクルの体内にヒメを戻し。
「やっぱ最後はこの方がカッコいいよね。アニメや映画に出てくるスパイみたいで!!」
 子供らしい無邪気な笑顔を浮かべ、窓を開けると壁の出っ張りや排水管などを器用に掴みながら下っていく。
 普通に戻っても問題はないのだが、それはそれ、浪漫というものだろう。
 かくして、爆弾を華麗に無力化した少年の健康的な赤茶の肌が、下る壁のパステルカラーに映えて輝くスタイリッシュなスパイの活躍と相成ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


●半死半生
「なあ……魔法使いって……」
「言うな……俺なんて、こじらせて幻まで見ちまった……」
「どうしてどうしてあなたあなたあなた返事して返事して」
 淀んだ空気が書店内を満たす。
 こじらせていた男二人と女一人は、今日一日で心に計り知れない打撃を負っていたのであった。
 こんなことならば、自分達も儀式に参加していればいい……とは思ったがそこはそれ、よりにも依ってくじ引きで書店員役になるとは。
 恨みっこなしとはいえ、このようなことになるのなら、と運命を呪わずにはいられなかった。

 ……だが、彼等は知る由もない。
 彼らの属する場が盛大な花火を挙げる計画を立てていたのと同様に、それを阻止する者たちの働きが、着実に進行していることを。
オリアナ・フォルケ
本屋へ向かう私は恋に破れ、肩を落とした哀れな少女。
「はぁ…リア充ってなんですの?大晦日に煩悩と共に払われてしまったらよかったのに……」
もちろん、心の中で払われてしまえと思っているのはアナタ達のことですけれど。

「ねえ、店員さんもそうは思いませんこと?」
そう話を振りながら同類だと思っていただくための布石、
恋愛指南書や呪いについてかかれた本をレジへ。
勧誘でもされれば会場の場所、一発ですわよね?

「ねえ……私、口の堅さには自信ありますのよ。」
「その証拠にほら、この通りいかにも傷心中だというのに
相手への悪口など一つも申しておりませんでしょう?」
だから、何かあるなら教えて欲しいと【言いくるめ】作戦ですわ!



●今こそ楔を
「はぁ……リア充ってなんですの? 大晦日に煩悩と共に払われてしまったらよかったのに……」
 ――もちろん、心の中で払われてしまえと思っているのはアナタ達のことですけれど。
 淀み切った空気の店内に入ってきたのは、そんな空気にも劣らない重苦しい雰囲気を纏った金髪の少女、名はオリアナ・フォルケ(恋愛成就の金色フォーク・f09185)といい、食器のヤドリガミの彼女は心の中で舌を出した。
 いかに恋愛成就の為に使われてきたフォーク、恋人達の心と心に突き刺さってしっかり止める……かもしれないヤドリガミでも、流石に彼らのような存在に福を齎すことはやりたくはないのかもしれない。
「ねえ、店員さんもそうは思いませんこと?」
 いつの間にか、いくつかの本を手に沈み切って死んだ魚のような目をしていた三人の店員の元に。
 ちなみに持ってきた本といえば、恋愛指南書や呪いの類。
「ああ、うん……うん……」
「だよなぁ……」
「イケメンイケメンイケメンイケメン返事して返事して返事して既読スルーとか既読スルーとか」
 既に心に上げて落とされた耐え難い傷を抉られ、正気を失っていた彼らには、演技を演技と見抜く力もなく、オリアナの呪いじみた空気(尤もそれは別の要因に依るものなのかもしれないが)に力なく同意を示していた。
「わかりますわ……軽薄な愛の愚かさ。人目も憚らず振りまく幸せオーラ」
 三人の店員がはっと目を向け。
「ねえ……私、口の堅さには自信ありますのよ」
 態々口八丁で言い包める必要も、この様子ではないとほくそ笑みながら、直接的に聞いてしまおうと言葉を出す。
「その証拠にほら、この通りいかにも傷心中だというのに、相手への悪口など一つも申しておりませんでしょう?」
 ――だから、私も入れて欲しいの。決して邪魔にはなりませんわ。
 ここが、どういう場所か承知の上で来た――正気を失っていた彼らには彼女が新たな同類にして同志足り得る存在だと、錯覚していた。
 こうなったらもう、つまらない書店員など辞めだ。
 新たな同志を引き連れ、儀式に参加させて貰おう――。
「やりましょう」
 と、栄太。
「喜びこそすれ、邪険になどしませんよ」
 と、備伊助が続き。
「同じ女として、仲良くしましょ――」
 椎子の差し伸べる手を取り、立ち上がる。
 場所は分かっていても、同じ教団員の案内に越したことはない。

 かくして、猟兵達はリア充の爆破(物理)という無茶苦茶な暴挙を食い止め、邪神降臨の儀式会場を突き止めて向かうのであった。
 心を弄ばれた(?)邪教団の三人には申し訳ないのかもしれないが、実際に爆破をするよりはマシだと思って貰おうか。
 はてさて、年明けの大仕事、始まるのは人々の悲鳴か、それとも邪神を討つ猟兵達の凱歌か……。
 物語は、次へと続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ロッジ・ゴーレム』

POW   :    ゴーレムパンチ
単純で重い【コンクリートの拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    サンドブラスター
【体中から大量の砂粒】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ジャイアントロッジ
予め【周囲の無機物を取り込んでおく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●色はとりどり、愛は選り取り見取りとはいかず
 ――都内某所、ブティックホテル「ツーカー・キャット」地下、厳重に隠されたとある邪教団の一部屋。
 外の景色など一切見えず、ここだけ外界と切り離されたような一部屋だったが、照明のLEDだけは利き、真昼のように明るく。
 広さでいうならば、二十人が余裕で走り回れるほどはあるだろうか――その部屋の中央、青黒く禍々しい異様な気配を放つ幾何学模様があった。
 それを囲み、幾何学模様の方陣を修正している者、儀式の供物を用意している者など、暗く死んだ魚のような目をした男女がせわしなく走り回っていた。
「リア充爆発しろリア充爆発しろリア充爆発しろリア充爆発しろ」
「邪神様邪神様、どうかリア充共に金の力で鉄槌を」
「邪神様の為、昼夜も寝ずに夕方に寝て働いてました」
「苦節5年、地道な工事で漸く出来ました」
 ――何故、その労力を恋人作りに向けられないのだろう。
 ただ、何を難しいとするか、何を頑張れるかというのは――人それぞれであり、邪神を召喚するこの労力の方が、恋人を作ることより容易くまた価値があった、ということかもしれない。
 一際立派なローブを羽織っていた教祖と思わしき男性の下に、今日もまた喜ばしい声が響いた。
 記憶が正しければ、フロントにしていた書店の店員をさせていた筈だったが、同志を連れて来ることは大手柄だ。
「教祖様!! また新たな同志が来てくれました!!」
「おおでかしたぞ、この際書店のことは不問と、す、る……」
 喜びを以て、満たされぬ思いを憎きカップルにぶつけようとお決まりの教示を為そうとしていたところ、彼らが連れてきた同志達のただならぬ様子にこれ以上の言葉を紡ぐことは敵わず。
 そう、彼らが連れてきた同志こそ、かの教団の野望を食い止めんとする猟兵達だった。
 ある猟兵が掌から信管の数々を落とせば、それが教団がホテルに仕掛けた爆弾の起爆装置であることを示し、気付いて爆破のスイッチを押しても空しくスイッチを押す乾いた音が響くだけ。
 妙に人入りが少ないと思っていたら、この野望が気付かれいつの間にか阻止されていたとは。
 そしてまんまと引っかかった同志にも後で仕置きをせねばなるまいが、それよりも大事なことはある。
「何者かは知らぬが見事だと褒めておこう。だが我らリア充爆破(物理)教団、ここで大儀を止めるわけには」
「止めろ!! 割とマジで!!」
「うるさいっ!! 者共!! 出会え、出会えーっ!!」
 いつの時代だよ、と突っ込む猟兵を後目に、教祖を含む数人の教団員が何やら悍ましい呪文のような何かを呟くと、周囲の床や壁を隆起させ、それを大きな人型の怪物に仕立て上げる。
 その数は不明だが、一列に並び侵攻をふさぐように立つ様は、正に偉大なる壁(グレートウォール)といったところか。
 これでは、儀式を無理矢理妨害するようなことは不可能だろう。
「やむを得ん!! 儀式は続行、生贄は我らが為す!! 一刻も早く邪神様を降臨させ、憎きリア充共に裁きの鉄槌を下すのだ!!」
 いやもう諦めろよ、とか、こんな壁や床から怪物作って地盤沈下などの問題はどうするのかとか、死んだらリア充にもなれないぞなど、正直なところ突っ込みどころはたくさんあるかもしれない。
 だが、ここで、はいそうですか、と引き返す選択肢など猟兵達にはなかった。
 聳える邪教の岩人形達の壁を前に、それを破る猟兵の戦いが始まった!!
 ……心なしか、岩人形達もげんなりとしているような様子なのは、気のせいだろう。
鵜飼・章
※アドリブ等歓迎

ヒトの情念から生まれた岩人形
この子たち、とても哀しい目をしてる…可哀想に(既読スルーしながら
いや、通知が凄くてスマホの充電が切れそうだ。参ったな
乙女の心を弄んだ罪滅ぼしはするよ

極力単独では動かず他の仲間と連携
後衛から敵の攻撃に目を配り注意喚起
【投擲/スナイパー】による遠距離攻撃と
UC【現在完了】で支援し隙を作る
蜂、蠍、蜘蛛を放つタイミングは
仲間の攻撃中や直後に合わせさり気なく刺す
装甲の薄い部分をよく狙ってね

僕が止めをさせる時は
魔導書から出した暴れ馬を突撃させ人形を破壊
知ってる?
人の恋路を邪魔すると馬に蹴られて死ぬよ
【恐怖を与える】で儀式中の信者達に圧をかけ
進行を少しでも妨害する


神楽火・皇士朗
やれやれ、そんなことのために人の道を踏み外すとは。救いようのない馬鹿共だな。
だが、どんなに下らない理由だったとしても外道は外道だ。この人形共を叩き潰して、お前達にはとことん反省してもらう。

接近し、対神迫撃徹甲鎗『ベーオウルフ』をゴーレムに叩き込む。
「ドラゴンの鱗も貫徹する特別製だ。じっくり味わえッ!」
杭を突き刺した状態でブラッド・ガイストを発動。『ベーオウルフ』の封印を解いてゴーレムを動かしている魔力を食らい尽くしてやろう。
「おれは少々悪食でな。……さあ、砂は砂に帰れ!」
反撃のパンチは軌道を見切り、その場に残像を残して回避。
「それは残像だ。残念だったな」


神楽火・天花
いつもの天花の出番は終わり。この先はアタシがやる。
っていっても、固いやつの相手は苦手。ここは秘術『静心神武』で力を蓄えながら距離を取って戦うわ。
岩のゴーレムなら……水の属性攻撃が効きそうね。ウィザードロッドから水の刃を飛ばして、他の猟兵の攻撃に合わせて援護射撃。
「引き裂け、巨蟹の爪」

……恋人がいないとこんな風に駄目な大人になってしまうのね。それならいつもの天花が欲しがるのもわかる気がする。
まあ、アタシには関係ないことね。人の世にはいらないものを消すことがアタシの役目。
それ以外のことは、アタシには必要ない。



●三者三様
「……恋人がいないとこんな風に駄目な大人になってしまうのね。それならいつもの天花が欲しがるのもわかる気がする」
 岩や鋼で出来た巨体の影に守られて、悍ましい呪文と情念を注ぎ満たされぬ憎しみを迸らせ、儀式を続ける教団員達を見て天花は呟いた。
 その顔は、演技とはいえ無邪気に魔法使いに憧れて書店員に質問した様相は見られず、多重人格者故のもう一つの人格、神殺しの戦闘の為に刷り込まれたであろうそれが露わになり、冷たい視線を送っていた。
「ほかにやりようは無かったのかとも思うけどね。この子たちも、とても哀しい目をしてる……可哀想に」
 彼女の呟きに反応するように言葉を返し、章は聳える巨体を眺めた。
 下級の化生を憑依させ産まれた岩人形の感情はその顔に伺い知ることは敵わないが、心なしか生み出された理由のどうしようも無さに極々僅かなりとも辟易しているようだった。……恐らくは、のレベルではあるが。
 ……同時に先ほどから喧しく通知音を鳴らす携帯は、それ故に充電が切れそうであることだけは危惧しているが、通知音の要因は見ないことにもして、憐みと諦観の入り混じった視線が続く。
「……どっちにしてもまあ、アタシには関係ないことね。人の世にはいらないものを消すことがアタシの役目」
「ああ、どんなに下らない理由だったとしても外道は外道だ。この人形共を叩き潰して、とことん反省してもらう」
 神殺しの戦闘人格を発現させた同じ一族に応えるのは、皇士朗。
 本当に救いようのない大儀を掲げた教団だが、行わんとしていたこと自体は大量の虐殺を引き金とし、世界に混乱を齎す邪神の召喚。
 断じて許されることではない――神殺しの一族の使命を改めた、正義の熱い心を宿した視線を向けて。
 ――三人の猟兵達の戦いが始まった。

「心静かなれば、すなわち武は真なり」
 いつもの天花の役割はここで終わり、この先はアタシがやる――とは言ったが、目の前のゴーレムはいかにも丈夫そうだ。
 だからまずは準備を整えようと秘術を発動させていた。
「真なる武には神宿り、禍事征す神武とならん」
 戦闘力こそないが、神の使いであるイスカを呼び出し、ゴーレム達から距離を取っていく。
 同時に章も極力単独で動こうとはせず、距離をとる天花に合わせて魔導書を開き後方支援の態勢をとっていた。
 そして、肝心の前衛はというと。
「ドラゴンの鱗も貫徹する特別製だ。じっくり味わえッ!!」
 竜殺しの英雄と名高い存在の名を関する杭打機を手に、かの英雄さながらに颯爽と踊り出る皇士朗。
 だがゴーレムも鈍重な身の上なれど、ただ黙ってそれを受けようとする訳でもなく、巨体に見合った剛腕を振りかぶろうとするが。
「岩のゴーレムなら……水属性が利きそうね」
「なら僕は土手を崩す存在(もの)にしよう」
 皇士朗の接近に合わせ、天花の魔術杖から放たれる水の刃が振りかぶられた腕を弾き、章の魔導書から放たれた土竜の幻がゴーレムをよろめかせる。
 いずれも土の結合を弱めるモノと、土手を破るモノの一撃が確かな隙を作り。
 竜殺しの英雄が、杭を突き刺した。
 岩よりも硬いとされる鱗をも貫く杭の前では、分厚い装甲も薄紙に等しい。
 無論、英雄の一撃がそれだけで終わる筈もなく。
「おれは少々悪食でな。……さあ、砂は砂に帰れ!!」
 その血をベオウルフの杭打機に捧げると、突き立てた杭の封印を解いてゴーレムの体に流れる低級神の魔力を残らず喰らい尽くす!!
 あっけなく砂と化して消えたゴーレムに戦慄しながらも、教団は続けて嗾ける。
 だが先ほどの牽制の一撃で活躍することで杖に神を宿し、力を蓄えていた天花の放つ水の刃が、今度はその腕を斬り落とす寸前にまで追い込む。
 馬鹿な!?銃弾も跳ね返すぞ!?と驚愕する教団員に対して、
「議論は既に終わっている。≪現在完了≫」
 返すように章が詠唱を紡ぐと、三匹の毒虫――手足の神経を奪う蜂、視界を奪う蠍、意識を乱す毒蜘蛛を一斉に嗾けて。
 本来人の身もなく、神経のない筈の岩の身体から動くためのあらゆる力を奪ったゴーレムに対し、更に力を高めた天花の、
「引き裂け、巨蟹の爪」
 まさに詠唱の通りというべきか。
 美しく鋭い二つの水で出来た刃が、伝説の大大怪獣の爪の如く、綺麗に岩の巨体を両断するのであった。
 ……無論、ゴーレムも反撃をしなかったわけではなかった。
 一体を屠った皇士朗の横から別の一体がその巨椀を以て叩き潰そうとしていたが、
「危ない!!」
 戦場を注意していた章の警告が届くと同時、拳の軌道を見切り立っていた場所に残影を既に残しており、その拳は虚しく空を切っていた。
 その影の主は何処にあるか、といえば。
「それは残像だ。残念だったな」
 既にゴーレムの頭の上に飛び乗り、神殺しの杭打機を打ち込んだ後であった。
 無論のこと、その血を代償に神殺しの力を発現させて内部の魔力を食い尽くしたのちに離脱するが、喰らい切れていなかったのか、ぎこちなく動き反撃を叩き込もうと見苦しく拳を動かす姿を、
「警告にはこれがいいかな」
 章の魔導書から放たれた暴れ馬の幻影が蹴飛ばし、崩れかけていた身体を完全に打ち崩し、砂に帰すのであった。
 その暴れ馬の幻影にゴーレムであった砂を足で踏み焦らせながら、静かな笑みを儀式を続ける教団員に向けて。
 ――ねぇ知ってる?
「人の恋路を邪魔すると馬に蹴られて死ぬよ」
 ……何も変わらない柔らかな声が、逆に恐ろしく。
 いくばくかの教団員の手が僅かに躊躇いを見せ始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

オリアナ・フォルケ
純愛・狂愛・略奪愛!
ええ、私はあまねく愛を応援致しましょう!
…けれど、いえだからこそ。
嫉妬などという自分磨きから逃げた感情には我慢なりませんの。
アナタ達、愛に対する覚悟が足りないのではなくて?

岩と岩の隙間があればそこを狙って突き刺したり、
飛んできた砂粒を薙ぎ払うことで視界を確保したりしながら戦闘。

愛に障害はつきもの。
一人では太刀打ちも出来ないような大きな大きな壁を
支え合い、結び付きを強めながら乗り越えるだなんてまさにビッグイベント!
それをわかってらっしゃるなんて、アナタの生みの親少しはおやりになるようね。
なれば特別に、無機物じみたアナタにも【恋の熱視線】で愛を教えて差し上げますわ!!


ベルリリー・ベルベット
絡みやアドリブ歓迎

他人の足を引っ張ることしか考えられないなんて、可哀想な人たち。
でもね、ここまで来たからにはリリたちも負けていられないのよ。
他の猟兵と協力できそうなら積極的に協力するわ。

「おいでなさい、デカブツ」
挑発しつつも、フック付きワイヤーを相手の体に引っ掛けて跳躍。
『2回攻撃』の【早撃ちシンデレラ】で撹乱して、仲間が攻撃する隙を作るわ。
余裕があればリリも敵に接近して、『属性攻撃』で水属性を付与した蹴り技をお見舞い。

攻撃をまともに食らうと厄介そう。
防御じゃなく、当たらないように『見切り』での回避につとめるわ。



●フォーク・ダンスに水蒸気爆発を添えて
「純愛・狂愛・略奪愛!!」
 先んじて見事な連携で砂の山と化したゴーレムであったが、教団が嗾けるそれにはまだ終わりは見えない。
 焦りながら儀式を続ける教団員に恍惚とした顔でオリアナは語る。
「ええ、私はあまねく愛を応援致しましょう!! ……けれど、いえだからこそ」
 上機嫌だったその顔に不快の念が陰り、
「嫉妬などという自分磨きから逃げた感情には我慢なりませんの……アナタ達、愛に対する覚悟が足りないのではなくて?」
「そうね」
 浮足立ち、ゴーレムを嗾けようと憤りの声を挙げる教団員に冷たく響く声。
「他人の足を引っ張ることしか考えられないなんて、可哀想な人たち」
 ベルリリーの冷たく憐みを孕んだ声が、場に立つ教団員達の怒りを更に掻き立てる。
 欲しいなら、手に入れればいいのに。
 態々持つ者を引き摺り下ろす心境なんて理解したくもない。
 炎と氷を思わせる少女達の、正論を潰す岩の暴虐が迫らんとしていた。

「おいでなさい、デカブツ」
 軽業師の商売道具である鉤爪付きのワイヤーを岩の巨体に引っ掛けると、ベルリリーは軽やかに宙に舞った。
 見る者を魅惑する白い装束を翻し、懐から取り出したナイフをコンマ一秒にも満たぬ速度で投擲し、目にあたる部分に打ち付ける。
 それで視界を潰せる相手ではないが、単純な隙を作るには十分で――オリアナが、その身の丈もあるフォークを、岩の関節から盛大に突き刺して核を穿つには十分であった。
 砂の山と化したゴーレムの前に立つ少女へ、残りのゴーレムの一体が砂礫をまき散らせばオリアナがそのフォークでさらりと薙ぎ払い、ベルリリーに別の一体が殴り掛かればそれを容易く見切って躱し、砂礫と拳の同士討ちを招いた。
 即興の連携なれど、目的を同じとし、妬み殺生に走る者への憤りを持つ者同士、年も近い二人の少女のそれは実に華麗で。
 思わず、フォークのヤドリガミは恍惚と叫ぶ。
「まさにビッグイベント!! ――アナタの生みの親少しはおやりになるようね」
 愛に障害はつきもの、巨大な壁を協力して破る。
 そこに支えあいの絆が生まれることの、なんと素晴らしいことか。
 教団員にそこまでの考えは絶対になかっただろうが、オリアナの言葉にクスリとベルリリーは微笑むと、
「それじゃ、もっともっと盛り上げるのよ。出来る?」
「ええ、ええ!! 特別にこの無機物にも――愛を教えて差し上げますわ!!」
 応えるように、オリアナはその紫の瞳から、情熱を込めた視線をゴーレムに向けるが、その視線の危険性に気付いたゴーレムが弱弱しく逃げようとするも。
「ダメよ、目をそらしちゃ」
 ナイフ投げの隙からの、強かな――水の刃を乗せた踵落としが逃げんとしていたゴーレムを場に固定して。
 焦がれるような熱視線が岩の分厚い胸を揺さぶり自壊させていき、生じたヒビの隙間から立ち込めた激しい熱が、水の刃の残滓と呼応し――いわゆる、水蒸気爆発を盛大に起こすことで、残りのゴーレムを纏めて砂に帰した。
 爆発から軽やかに距離を取ってヤドリガミの近くに着地したダンピールは、鮮やかにハイタッチを交わすのであった。

●この逃げるは恥であり完全な無駄である
 ――急に用意したゴーレム達は、僅か六名の猟兵の攻撃を押し留めた末に崩壊した。
 我々はいつから敗北していたのか。
 崩れたゴーレム達の前で、邪教団の長は叫んだ。
「なぜ勝てぬのだ!!」
 ある教団員が答えた。
「それは、邪神様が降臨なさっていないから」
「その通りだ!! 今こそ我らが命を糧に、邪神様を復活させる時!! 邪神様!! 我らが命を糧に、憎きリア充共に鉄槌を!!」
 ……猟兵達の奮闘に追い詰められた彼等は、自らの身に仕掛けた自決用の爆弾を一斉に点火した。
 猟兵の止める間もなく、跡形もなくその身を消し去った彼等。
 ……果たして、自決を選ばなければならなかったのか、疑問は絶えないが――儀式会場に怪しく輝く方陣は、彼等の命を糧に更に禍々しく輝き。
 その場が強い閃光で満たされると、方陣の中央には一柱の神が降臨していた。
 不完全な形とはいえ、その威圧感に息を呑む猟兵達だが、ひしひしと感じていた。
 こいつを倒さなければ、終わることはないと。

 ――ついに不完全とはいえ復活してしまった邪神。
 罪を償う間もなく、そのために身を捧げた邪教団達。
 様々な感情が交差する中、物語は最終決戦を迎えるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『イネブ・ヘジの狂える王』

POW   :    アーマーンの大顎
自身の身体部位ひとつを【罪深き魂を喰らう鰐】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    カイトスの三魔槍
【メンカルの血槍】【ディフダの怨槍】【カファルジドマの戒槍】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ネクロポリスの狂嵐
【腐食の呪詛を含んだ極彩色の旋風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・綺里枝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●邪神降臨
 降臨した邪神は、人となんら変わらない姿をしていた。
 かつてこの邪神が王として過ごしていた時代と国であるならば、誰もが王とし崇め称える風貌ではあったが、人間と何一つ変わらない。
 しかし――かの者の持つ威圧感は、それが人知を超越した神であることを雄弁に物語る。
 尤も、本来の力を得てはいないようだが――完全な力を得て蘇っていればどうなるか、考えたくもない。
 戦慄する猟兵達を見回し、周囲に残る教団員の血の跡を見やり、邪神は呟いた。
「……余の授けた財宝は、かようなことに使わせる為ではなかったが」
 財宝を通じ強欲な人間を操り復活を果たす――その為に、邪教の長に戯れに与えた結果、妙な教団をおっ立てる始末。
 実際に降臨自体には奔走してくれたようだが、なんか違う。
 それも人間の底力……決して、褒められた目的ではなかったが、ある意味では神の予想を裏切ったという点では嫉妬の情念を褒める……べきだろうか?
 だが、結果としては不完全な儀式の末に、中途半端な力しか持たない肉体。
「なんとも半端な身体よ。余は強く怒っておる。……故に汝らの血と肉を以て、我が肉体を補おうぞ」
 狂える王は、殺意の目を猟兵達に向けるのだった。
「その後は余を愚弄した彼奴等を生み出すような『リア充』とやらにも仕置きをせねばなるまい」
 ……やはり微妙に儀式の情念に毒されているかもしれない。
鵜飼・章
※アドリブ等歓迎

神様仏様邪神様…僕はいけない子だ
この状況でこの技を使ったらどうなるのか
無邪気な好奇心が止められないんだ

UC【閉じた時間的曲線の存在可能性】を使用
自爆した教団員達をゾンビとして蘇生し
数の暴力で邪神を取り押さえ行動を妨害
今の気分はどう?
【傷口をえぐる】様に無邪気に色々訊く

僕より人間味豊かな邪神みたいだ
怒るかな
怒りそうだな
挑発(してるつもりは無いけど)で邪神の注意をひき
僕は攻撃の回避に集中する
皆僕の事は構わず攻撃するんだ

爆発してまでリア充になりたがったヒト
たぶん何もかも間違っているけど…僕が人間になりたいのと一緒かな
きみ達の事は忘れないよ
ところで椎子さんは無事かな…
一応安否を気にする



「神様仏様邪神様……僕はいけない子だ」
 禍々しく強大な気を放つ邪神を前に、章は目を掌をで覆い、地下の天井を仰いだ。
 その様子を邪神は唇を歪めて皮肉を言い放つ。
「ほう、余を前に抗うことの愚かさを知ったとでもいうか」
 殊勝なものだ、と尊大に笑う邪神にいやいや、と首を振り穏やかな微笑みのまま、それでもやや昂揚したように全身から魔力を漂わせた。
「この状況でこの技を使ったらどうなるのか。無邪気な好奇心が止められないんだ」
 ――ユーベルコード「閉じた時間的曲線の存在可能性(タイムマシーン)」
 戦場で意識を失うか死亡している者を生ける屍と変えて、行使する邪法。
 邪神を蘇らせる為に、その命を捧げた教団員達をゾンビに変え、敢て知性は無くして肉体の損傷具合だけは綺麗にしたまま嗾ける。
 それを鬱陶し気に、邪神は呪詛を含んだ極彩色の風で灰燼に帰して行こうとするが、払いきれず。
「ねえ、今の気分はどう? 彼らがきみの為に命を懸けてくれたんだよ」
 下賤な人間ですらない肉人形を嗾けられ追いやられ、プライドを傷つけられた邪神に更にそれを抉るように無邪気に笑いながら、邪神の目を引き付けて。
「怒るんだ。僕より人間らしい」
 皮肉でも何でもない素直な感想だが、それすらも邪神を煽るばかり。
 ゾンビの壁を縫って吹き付ける風は回避しながら、彼自身にそのつもりはなくも挑発と相成っていた。
 そんな邪神を見ながら、壁となり邪神を押し留めるゾンビに、
(爆発してまでリア充になりたがったヒト……僕が人間になりたいのと一緒かな)
 きっと何もかもは間違ってただろうけど、忘れないよと、どこか虚無的な目で思うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●ハニートラップの末路
(ところで椎子さんは無事かな)
 一時的に引っ掛けただけの相手だが、安否は一応気にかかるらしい。
 呼び出したゾンビの中にはいないようであったが、気付かなかったか、爆発に紛れて逃げたのか……いずれにしろ、消息は不明といったところだろう。
 ちなみに、書店員に同じく化けていた栄太、備伊助も同様に消息は知れないそうな。
神楽火・天花
「そう、不完全なのね? ……それなら殺せるわ」
ユーベルコードで三人目――「正義のヒロインの天花」を呼んで連携攻撃をしかけるわ。
「古き時代の王、アナタの居場所はここにはない」
「あなたの欲望、あたし達が撃ち抜く!」

二人がかりで二丁の精霊銃を撃って攻撃。雷の属性攻撃のシャワーを浴びせてあげるわ。互いに援護射撃しあって隙を減らし、三人目の派手なアクションで視線を引いてアタシがだまし討ちするって戦法も使う。
「この星からいなくなれ」

もし本体のほうにカイトスの三魔槍が直撃しそうになったら、三人目のあたしが割り込んで盾になる。
「正義の味方は仲間も守るものだから、ね」


神楽火・皇士朗
命を賭して目的を果たしたといえば聞こえはいいが、人類の敵に捧げるとは……。
「お前達が愛さなかった人々を守るために、おれはお前達の死を踏みにじる。否定されるのが己の価値だと自ら言ってしまったことを、地獄で悔いるがいい」

刻印の力を全開にして、炎の紋が肌に浮かんだ真の姿の上に対神機械化装甲を装着。完全戦闘形態へと変身する。
「イネブ・ヘジの狂える王、貴様を骸の海へと帰してやるぞ」

焔切景光を抜き、接近戦を挑む。罪深き魂を喰らう鰐だろうが、恐れはしない。攻撃の兆候を見切り、残像が残る高速移動で回避して懐に飛び込む。
自分の間合いに捉えたら、捨て身の一撃を食らわせてやる。まあ、実際には二回攻撃だが。



●神殺し
「そう、不完全なのね? ……それなら殺せるわ」
 不完全と語った言葉と、数多のゾンビに押され思うように抜け出せない邪神を冷たく見やりながら、天花はユーベルコードを用い「三人目」の人格――明るく賑やかな白い天花でもない、冷徹な黒い天花でもない、正義のヒロインとしての天花の姿を呼び出した。
 一方で、同じ神殺しの一族の皇士朗は邪神を押し留めるゾンビ達と、生前のその末路について思いを馳せた。
(命を賭して目的を果たしたといえば聞こえはいいが、人類の敵に捧げるとは……)
 だが、その死を悼むことはない。
「お前達が愛さなかった人々を守るために、おれはお前達の死を踏みにじる。否定されるのが己の価値だと自ら言ってしまったことを、地獄で悔いるがいい」
 その身に刻まれた神殺しの刻印の力を最大限に発揮すると、その身体に燃え盛るような印を輝かせ、
「我が身は鋼にして、邪を討つ剣なり。イグニッション・アーマライズ!!」
 殺神機甲形態(ヴリル・フォーム)――命を代価に、邪悪を討つ戦闘の為の魔人と化し、丁度ゾンビを漸く払い除けた邪神を睨みつけた。
「イネブ・ヘジの狂える王よ」 
「古き時代の王、アナタの居場所はここにはない」
「あなたの欲望、あたし達が撃ち抜く!!」
 神殺しの一族が、続けざまに殺すべき邪悪な神に、その戦意を向けた。
 鬱陶しい死人共を払い除けて僅かながらに消耗した邪神は、その戦意に不遜な憎悪を以て返す。
「……何と不遜なる人間共か。汝らこそ余の血肉となり、歯向かうことを地獄で悔いるが良いわ」

 口火を切ったのは黒い天花と、ヒロインの天花が派手に放った紫電と雷霆の精霊銃のけたたましい雷の弾幕だった。
 こっちこそが神罰だ、と言わんばかりの激しい雷鳴に打ち据えられ邪神は碌な身動きも取れず。
 隙を見て反撃を叩き込もうとしても、同じ身の違う人格の為す連携にそれは無く、纏うローブを焦がしていくばかり。
 だが漸く――ヒロインの天花が調子づいたように、派手に身をひるがえし格好をつけて銃を討とうとした。
 それを好機と見た邪神は彼女に魔槍を解き放とうとするが、その一瞬の隙を黒い天花の銃が邪神の脚を穿つ。
「この星からいなくなれ」
 冷たく言い放った黒い天花に気を取られていれば、その隙に接近していた皇士朗が、刀を手に切り込んでいた。
 歯噛みしながら、後方に飛んで邪神は避けるが、魔人の猛攻は止まらない。
 反撃に罪深き魂を喰らう顎を嗾けても、炎すらも切り裂き道を作り出した逸話持つ刃にそれは掻き消され、場にその影を置いていくほどに速く駆けて迫り。
「――貴様を骸の海へと帰してやるぞ」
 命を削りながら極限まで戦闘力を高めた、神殺しの魔人の捨て身の刃が、狂える王の腹を深く切り裂き――返す刀で、肩を強く切り抜けた!!
 両方から血を盛大に噴き出し、よろめく姿に銃を向ける天花が視界に移れば忌々し気に睨みつけ、魔槍を投げつけるが――それは、ヒロインの天花によって阻まれる。
「正義の味方は仲間も守るものだから、ね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オリアナ・フォルケ
そもそも復活の目的は?
惨めにうろたえる人々が愛いとか、
蹂躙することこそ愛のカタチだとか
理由がおありならいいんですのよ。
信念無き行動に追従する部下無し。
モテて~とだけ騒いでも、
努力や工夫なくして愛を得ること叶わずですわ。

もうお分かりよね。
アナタの敗因はそう……
愛が!!足りておりませんわ!!!

範囲外の告白を蹴るが如き潔さで飛んできた槍を払ったり、
意中の相手を貫くような勢いの突きを放ったりしながら戦い、
【恋愛式・超理論】で説法をかましてやりますわ!

それに比べ書店にいらっしゃったAとかBとかCとかそんな感じの方々!
けっこう見込みあったと思いますのよ。
だって諦めない心とか、愛を貫くのにピッタリですもの!



●追求
「お聞きしますわ。そもそも復活の目的は?」
 神殺しの刃で二度も深く切り込まれ、浅くない傷を負いながらも立つ邪神にオリアナは問いかけた。
「惨めな人々が愛いとか、蹂躙が愛のカタチだとか、理由がおありならいいんですのよ」
「……余は生まれ以ての王ぞ。余こそ、この世の富と財宝を占め、余以上に満たされた者を認めぬ為に……」
 問い詰めるような口ぶりに、邪神は肩を竦めて、物分かりの悪い子供を見下すように言葉を続けようとした。
 だが、オリアナは勢いよく柏手を打ち、指を突き付ける。
「そのご自分以外に満たされた者を認めない狭量な心!! 信念無き行動に追従する民無し。何をしても、努力や工夫なくして愛を得ること叶わずですわ」
「ええい話を聞け。王には愛など……」
 自分の意にまるで沿いそうもないヤドリガミの言葉に邪神は苛立つが、それも構うことなく更に言葉は続く。
「もうお分かりよね。アナタの敗因はそう……愛が!! 足りておりませんわ!!」
「話を聞けと言っておろうが!! 最初から要らんわそんなもん!!」
 とうとう尊大に取り繕うこともできなくなったのか、邪神は掌の裏を話を聞かない罪人を喰らう顎に変え叩こうとするが、彼女からしてみれば範囲外の告白を跳ねのけるノリで叩き落とし。
「それに比べ書店にいらっしゃったAとかBとかCとかそんな感じの方々!!
 けっこう見込みあったと思いますのよ。
 だって諦めない心とか、愛を貫くのにピッタリですもの!!」
「……余を取るに足らぬ愚民以下と申すか……いねぶっ!!?」
 意中の相手を射抜くような突きを喰らい、膝を折る邪神にマシンガントークのように愛を語れば、邪神の褐色の顔に疲労の色が強くにじみ出て。
 周囲の地形をも陥没させる熱烈な愛の持論に降臨して一番の精神的な消耗を強いられるのであった……。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・エクル
再び暗黒の世界へお還りなさいな

ドラゴンさんを変身させて竜騎士の槍にするよ

デフレクターシールドを構えて敵の攻撃を盾受けして防ぎつつ距離を詰めてリーチのある槍で突き攻撃と、なぎ払い攻撃で攻めるよ。基本はリーチを維持、敵が攻撃を行う瞬間に合わせて不意を突いてユーベルコードをブチ混んでみようかな

ちょっと強引だけれど、盾を構て敵に突進盾ごと体当たり、体制を崩した所をドラゴンランスで攻撃、地面に串刺しにすると同時にユーベルコードを発動するのもいいかもしれない



●鰐と竜
「……再び暗黒の世界にお還りなさいな」
 陥没した地面の中央に立ち、頭を掻き毟ってある意味一番のダメージを受けた邪神は、憐みとも同情ともいえる声に淀んだ目つきで返した。
 その目には、疲労と強い怒りが入り混じる。
「愚民が余に指図をするな。余はイネブ・ヘジの王。余の還る場所は、余のみが手にする財宝と従う民のみに生存を許す、黄金の千年王国也」
 その意志の強さだけは、王の矜持なのだろうか。
 再び掌を怪物の鰐に変え、声をかけてきた少年エクルへと淀んだ闘志を以て殴り掛かった。
 それをエクルは、巨大な機械盾を以て受け止める。
 分厚い複合装甲が鰐の強靭な噛みつきを物ともせずに弾き、眉間目掛けて竜騎士の槍を突き出す。
 それを頭を横に動かして回避するも、槍の穂先が白髪を断ち、皮膚を削り――追撃の薙ぎ払いに依る柄の殴打が決まり、邪神がよろめいた。
 無論、それで邪神も手を緩めることなく、鰐に変えた手で再び喰らいかからんとするが、それを見越していたエクルの槍捌きは速く、槍の石突を以て下から邪神の顎をかち上げるように殴打して。
 その隙に盾を構え突進し、更に体勢を崩したところを、地面に縫い付けるように鳩尾へ綺麗に槍を刺し穿ち、槍を竜に変え傷口を喰らわせる手並みは見事であったが。
「――故に、余より優れたる者、一切合財の存在を認めぬ」
 ……本質的には、この邪神も教団員と変わらないのかもしれない。
 しかし、あまりにも高いそのプライドが、鳩尾を竜に喰らわれながらも、手に宿した鰐を突き動かし、エクルの華奢な肩を食い破った――!!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

神楽火・天花
「正義の味方」の天花はやられた仲間を助けに行く。きっとあの子ならそうする。それなら、アタシはそれをサポートしよう。
左手のフルガレイターだけで攻撃しながら、右の指先で魔法文字を中に描いて詠唱。
「紅き竜の怒りの牙よ、灼熱の鏃となれ」
もう一人の自分の動きに合わせて、ウィザード・ミサイルの魔法の矢を二本ずつ七連射。援護射撃と直撃狙いをまぜて翻弄する。
……もう一人のアタシの行動も含めて、ここまでが囮。本命はミサイルを撃っている間に右手で抜いたトニトレイターでのだまし討ち。
頭と心臓を狙って、一発ずつ。
「ヒューマノイド型は急所がわかりやすくて助かるわ」


神楽火・皇士朗
奴もそろそろ限界のはずだ。ここは兇星滅衝破で一気に叩く!
アームドフォートで鎧砕きの一斉発射をお見舞いする。
「AGHE(対巨人榴弾)装填。ターゲットロック。……発射!」
射撃後アームドフォートを分離し、刻印(ドライバー)を最大出力で稼動させる。
「あらゆる存在はやがて来る未来のために世界から去らねばならない。それがさだめというものだ。それを拒絶するお前は、世界から未来を奪う悪に他ならない。……だから、滅ぼす」
機械化された脚力で高く跳躍し、重力と魔力を乗せた必殺の蹴りを叩き込む。
この技はエネルギーの消耗が激しく、捨て身の一撃になるだろうが、それでも構うものか。



●英雄の一撃
「させないよ!!」
 噛み千切ることに特化した魔獣の顎に変えた手を以て、食い破った肩を今度は本格的に噛み潰してしまおうと生臭い顎を更に開いた瞬間、一人の少女――ヒロインの天花の身を挺したタックルが邪神の身体を崩して防いだ。
 忌々し気に、崩れた体勢を手早く立て直すと邪魔をした害虫を一呑みにせんと、鰐の顎を広げ小柄な彼女目掛けて振り上げる。
(あの子ならそうする……だから)
 アタシは、それをサポートする。
 黒い天花の冷たくも正確な紫電を宿した射撃が正確に鰐の目に当たる部分を穿ち、鰐に転じた腕を元の腕の姿に戻す。
 左手の精霊銃で紫電をけたたましく放ち、邪神の集中を乱している間に、ヒロインの天花が薙刀を振るい邪神を更に追い込んでいく。
 その一方で、ヒロインの方が薙刀を振るうと同時に、右手で宙に印を描き赤い輝きを浮かべると、
「紅き竜の怒りの牙よ、灼熱の鏃となれ」
 正に詠唱の竜の牙の如く、二本連なった炎の矢が七回連射され、邪神の衣を焦がしていく。
 前衛に立つ人格と、援護射撃を行う人格の連携、援護射撃に徹しているかと思えば直接的に狙ってくる攻撃も織り交ぜる炎の矢。
 どれもを交わしても前線で薙刀を振るい追い詰めてくる分身、その全てを鬱陶し気に、身体から放つ極彩色の風で纏めて吹き飛ばそうとするが……その、術を放たんと力を溜めたことで極々僅かな隙を作ったことが致命的。
「ヒューマノイド型は急所がわかりやすくて助かるわ」
 最後の七連射目を終えたと同時、本命として右手で抜き放っていた雷霆を宿せし銃の弾丸が、邪神の眉間と心臓を貫き、焼き焦がしていた。
 尤も、それで死に追いやられていない辺り、邪神もまた生命の領域を逸脱しているのだが、決して少なくないダメージを負わせることには成功した。
 ――あとは、同じ一族の頼れる彼に任せれば良い。

「そろそろ限界のはずだ。AGHE(対巨人榴弾)装填。ターゲットロック。……発射!!」
 思考を司る脳を、生命維持を司る心臓に大きな損傷を負わされ虫の息に追いやられた邪神に、ここが好機と言わんばかりに皇士朗は背負った個人用砲台から、全ての弾丸を撃ち尽くす勢いで放った。
 爆発の轟音と衝撃が地下から地震を起こすのではないかと思うほど響き渡り、邪神を覆っていた邪悪な魔力の障壁を完全に打ち砕く。
 撃ち尽くし、無用の長物となった砲台を放ると、彼はその身の刻印の力を最大限にまで――命を削ることも厭わない勢いで高めていく。
 その力を、より高めていくように、決意を固めていくように彼は邪神に言い放った。
「あらゆる存在はやがて来る未来のために世界から去らねばならない。それがさだめというものだ」
「では余の築く千年王国の為、余より優れ満たされているという者は去らねばならぬな」
 もはや逃げられないと分かっていても、邪神は気高き神殺しの決意をあざ笑う。
「それだからお前は、世界から未来を奪う悪に他ならない」
「では汝らは余の未来を害す悪に他ならぬな……命令する、滅べ。命乞いすらも許さぬわ」
 ああ言えばこういう、減らない口――それでも、己より優れた者、満ちた者を一切認めない狭量で傲慢な魂か。
 人々の未来を守る決意と勇気を称えた神殺しの英雄をあざ笑う声が響き続けた時に――遂に、英雄が、弾けた。
「……なら、その前に、俺が、滅ぼす」
 機械化されたサイボーグの脚を強く稼働させ、駆動音と熱量を迸らせながら皇士朗は高く跳び――空中で、鋭くその足先を突き出した。
「イグナイトドライバー、ブレイズ・アップ!!」
 その足先に、刻印と魂から生ずる全ての魔力を乗せ、激しいスパークが生じ。

「王に牙向く罪深き魂よ!! 滅びよ!!」「過ぎ去りし刻の影よ、在るべき場所へ帰れ!!」

 王の顎が、英雄の捨て身の飛び蹴りとぶつかり合い、戦場に激しい閃光を巻き起こし、そして――。
 片腕を消し飛ばされ、身の殆どを焼き焦がされた愚かな邪神と、全ての力を乗せた一撃で消耗から膝を着きながらも、無傷で邪神を追い詰めた英雄が背中合わせとなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葡萄原・聚楽
生まれ持ったものがどんなに良くても、あんな心じゃ一生醜いままに決まってる。
己の為に他人を害す事を、正当と思うなよ。

武器「鋼糸:人形操り」を通して、武器「爪の刻印:人形」に血を。
ユーベルC「ブラッド・ガイスト」で、パペットを凶悪で喰らいつく形に強化。

範囲攻撃は厄介だ。
糸のリーチ利用して接近し過ぎず、すぐ避けられるようにしながら、パペットで噛み砕く(技能「鎧砕き」)
鰐で喰らいつこうとしてきたら、その悪い口を糸でふん縛る(技能「武器受け」)
鰐の首喰い千切って『頂く』のも良いな(技能「敵を盾にする」or「生命力吸収」)

王様、その半端だって身体どうにかしてやるよ。
喰らい尽くせば“半端”ではなくなるだろ?



●死して屍拾う者なし(拾いようがない)
 王の終末は近かった。
 英雄の命と誇りを賭した一撃で片腕を落とされ、魔力に依る凄まじい熱量で身体の殆どを焼き焦がされ、見るも無残な姿になっていた。
 白い髪の殆どを黒く焦がした王は、その状態でも新たにやってきた猟兵に殺意と憎悪の目を向けた。
 その向けられた猟兵――見た目は艶やかな髪と肌を持ち、黄緑と紫のオッドアイを持つ、まるでヘテロクロミアの黒猫を思わせる美(青)少年、葡萄原・聚楽(サイボーグのパラディン・f10987)は、指先から糸を垂らして言った。
「王様、その半端な身体どうにかしてやるよ」
「だま、れ……余は、半端に……あら、ず……余より、すぐ、れ……かん、せ……され、……」
(生まれ持ったものがどんなに良くても、あんな心じゃ一生醜いままに決まってる)
 余より優れ完成されし存在は無い。
 その言葉に憐みともとれる言葉を飲み込みながら、彼は指先から垂らした糸に血を伝わらせ、操り人形(パペット)の封印をほどき、牙を開いたような恐ろしい形に変えた。
「己の為に他人を害す事を、正当と思うなよ」
「だ、ま、れ……愚民、がぁっ……」
 残った片腕を鰐に変えて喰らいかかろうとする邪神の勢いは、死にかけのそれではない……と言いたいが、実際は猟兵を相手にするにはあまりに拙く。
 聚楽が指先から嗾けた糸が、幾重にも鰐の口へ巻きつけられ、その動きを完全に閉じ込めて。
 捕食形態に変わったパペットが縛り付けられた鰐から、邪神の身まで――既にほとんど意味をなしていないが魔力による防護諸共、喰らい尽くしていく。
 反撃を警戒し、間合いは慎重に保っていたが、この様子ではその心配も最早不要だろう。
 パペットが邪神を喰らう、悍ましい咀嚼音が暫く鳴り響いた後、文字通り髪の毛一本すらも残さずに、血の跡だけを残したかつての王に彼は皮肉を込めて決めた。
「喰らい尽くせば“半端”ではなくなるだろ?」

●ロマンスと激情の恍惚なる塔
 以上をもってして、新年の早々に恋人達の逢瀬を物理的に爆破しようとした迷惑極まりない邪教団の野望は潰えた。
 惜しむらくは、邪教団が生きてやり直す機会が永遠に失われてしまったことであるが――それは、彼等が自分で選んだことだ。
 死して花実は咲かぬもの。
 花実を得たくば――妬み引き摺り下ろすよりも、自分の手で勝ち得るしかないのだろう。
 妬み引き摺り下ろすのでなく、妬んでも己を高めるか、別の道を行くかの折り合いをつけられなかったことが、かの教団と王の不幸であったのかもしれない。
 だがその不幸から始まる更なる不幸の連鎖を断ち切ったのは、己を高め努力する猟兵達の力だったのだ。
 ある者が人を抱き込み、ある者が忍び、またある者が爆弾を取り除き。
 そして、不完全ながらも蘇った邪神すらも冥府に帰した、猟兵達全員で得た大勝利と言って良いだろう。

 一時のロマンスと激情の渦巻く塔(ファッションホテル)は、何も知らない。
 知らず知らずの内に蓄積された呪詛も、その呪詛が物理的な爆発を引き起こしたであろうことも。
 何も知らずに、また恋人達の一時を包んでいくのだろう。
 願わくば、二度と妬みと怒りによる害が起こらぬように。
 黄昏に染まりつつパステルカラーの建物を背に、猟兵達は彼等の在るべき世界に戻るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月15日


挿絵イラスト