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侵略の氷皇竜

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 アックス&ウィザーズ世界――広大な森を切り開いた地にあるレッドフォレストの町は、日が暮れた頃から雪が降り始めていた。
「……は?」
 住人は、呆気に取られた。何せ、初夏である。肌を焦がすような暑さはあれど、雪が降る要素などどこにもなかったはずだ。
「異常気象ってヤツかね」
「雪が降って喜ぶのなんて、子供ぐらいなもんよ」
 夜の酒場で、積もることなく溶けていく雪を眺めながら男達は笑う。子供の頃の自分なら、確かに喜んだだろうという想いはある。不幸中の幸いは、雪が積もる事なく溶けてくれる事だ。これで積もられようものなら、笑い話ではなく家に閉じこもって陰鬱な気分でいただろう。
「ま、軽い夕立だと思えば――あ?」
 男の一人が、思わず杯を取りこぼす。それを見て、一緒に飲んでいた男が視線を追って――同じように、目を見張った。
「な、何だありゃあ!?」
 雪を降らせていた雲、そこから飛び出す影があった。かなり大きなサイズの鳥だ。しかし、そのフォルムはフクロウなどとは似ても似つかない。ならば、夜に飛ぶなどどんな鳥なのだろうか? その疑問は、すぐに晴れた。

『クア!!』

 氷凝鳥、そう呼ばれる氷のような鳥だ。レッドフォレストの町を覆う灯、その宝石のような輝きを目指して、氷凝鳥の群れが町に迫った……。


「氷凝鳥には貴金類や宝石、光り物を集める習性があってな。もしかしたら、それで夜の町へ襲撃をかけたのかもしれんが……」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は豊かな顎髭を撫でながら、言葉を続けた。
「アックス&ウィザーズ世界のレッドフォレストという町が、オブリビオンに襲われる。おぬしらには、それを助けてやってほしいのじゃ」
 不幸中の幸い、最初に町を襲う氷凝鳥は本隊ではない。後ろにもっと多くの氷凝鳥が控えている――なので、先に着いた氷凝鳥を処理しながら、町の人達が避難するのを助けてやってほしい。
「……問題は氷凝鳥ではなくてな。こいつらが現われ、雪が降った原因が問題なのじゃ」
 そう、その問題こそが氷皇竜メルゼギオス――かつて勇者一行に倒されたという、竜の一体である。その戦闘能力は凄まじく、その名の通り冷気を操る力に長けている。例えば、本来なら雨でしかなかったはずの夕立を冷やし、雪に変えてしまうほどのものだ。
 この氷皇竜メルゼギオスがレッドフォレストの町を横切ろうと、移動している。レッドフォレストは住人の規模が数千ある、それなりに大きな町だ。氷皇竜メルゼギオスがたどり着いてから避難しても、被害が大きすぎる。
「とはいえ、氷凝鳥も面倒な相手じゃ。ゆえに、避難の時間をおぬしらに稼ぎ、その戦う姿で町の人々を勇気づけてやってくれ」
 ガングランはそこで一度言葉を切り、改めて告げた。
「氷皇竜メルゼギオスは強敵じゃ。本気で戦わねば、とても勝てぬじゃろう。だからこそ、氷凝鳥どもに避難の邪魔はさせられん。多くの命が失われるか否かの瀬戸際じゃ、どうか頼むぞ」


波多野志郎
これもドラゴンってヤツの仕業なんだよ。どうも波多野志郎です。
今回はアックス&ウィザーズ世界で、氷皇竜メルゼギオスと戦っていただきます。

第一章ではレッドフォレストの住人が避難する時間を稼ぐ夜戦を。第二章で氷凝鳥の群れとの集団戦、第三章で氷皇竜メルゼギオスとの決戦となります。

いかに強大な竜と相対するか? それは皆様のプレイング次第です。それでは、アックス&ウいザーズ世界で、皆様の活躍をお待ちいたしております。
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第1章 冒険 『夜戦』

POW   :    夜で視界が悪いが接近戦で戦う

SPD   :    夜で視界が悪いがスピードを生かしてかく乱や暗殺で戦う

WIZ   :    夜で視界が悪いが魔法で戦場を見えやすいようにして魔法攻撃で戦う

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミンリーシャン・ズォートン
空から次々姿を現した氷凝鳥達を見上げ

時間を稼げば良いのならば
先ずは自身の魔力で作られた光の羽衣を暗い空へと放ち、町と離れた場所へと誘導を試みます

氷凝鳥達が羽衣にくいつくようならそのまま魔力で羽衣を動かし続け時間を稼ぎますが、鳥が町へと飛んでくるようならば、UCを発動

アイスレイピアを抜剣し、ありったけの魔力を注いで氷の力を解放し、巨大な鳥籠を作り出し、氷凝鳥が中に入れば更に鳥籠の入り口を凍らせ、閉じ込めてみます

さぁ、皆さん今のうちに避難しましょう!

早く動けない高齢の方や幼子を連れた人がいれば手をかし、怪我人がいれば生まれながらの光で癒して避難のお手伝いをします

大丈夫、あなた方に手は出させません。


デナイル・ヒステリカル
数は少なくとも町の人々にとって驚異と成り得る、ということですか。

周辺被害を0とする努力を欠かすつもりはありませんが、この後やってくる氷皇竜と呼ばれるブリビオンの戦力は未知数です。
住民の皆さんに安全な場所まで避難を呼びかけると共に、先行して襲いかかってくる氷凝鳥へと対処しましょう。

UC:オーバークロックをスタート
氷凝鳥の光り物を集める習性を利用し、僕自身が放つ稲光で敵を引き付けます。
追いかけてくる敵を引き離しすぎないよう注意しながら、家々の屋根から屋根へ強化された機動力で跳躍を繰り返し、
多数の敵を僕の背後の直線上に並べ雷撃で焼き落とします。


ジャン・ストレイン
【SPD】

夜の闇に紛れて動くのは得意なんだ。
それに時間をかけるのは好きじゃあない。
寒いのも嫌いだしな。
じゃあ行くか。

上着を脱いで身軽になった状態で加速し、白と黒、二振りのナイフを構えて闇夜を疾走。
音は立てず、気配は闇に溶け込ませ、息遣いも風に紛れさせ。
目標に近づき、反応される前にシーブス・ギャンビットで仕留める。
他の目標に気付かれる前に素早くその場を離れ、再び宵闇に紛れて気配を薄め、目標に静かに近づき殺すのを繰り返す。

寒い夜は殺したくなる衝動が強くなるから丁度良い。
相手は人じゃないけど。

「俺なんかでも救えるものがあるなんてな」

汚れた手でナイフを握りしめ、避難が終わるまで淡々と闇討ちを続ける。


カルナ・ボーラ
納涼にはちょうどいい機会だ。
最近、めっきり暑くなってきたからな。

んぁ? 冗談だよ、冗談。
納涼するにはまだ時期尚早ってくらい俺にもわかるさ。

さて、駄弁ってないで仕事だな。
視界が悪いつっても、月明かりくらいはあんだろ?
そしてそんだけ明るいなら充分だな。

んで、奴さんも光り物が大好き、と。
それなら適当にコインでも放り投げて誘導するなりして避難している連中の助けでもするか。
ああ、あんたらはあんたらでシーツでもなんでも身を包めるようなものでも被ってろよ。
少なくともそれで襲われる可能性は減るだろうし、なにより今夜は冷えるだろうからな。


テリブル・カトラリー
【POW】
氷凝鳥か…恨みはないが、やらねばな。

暗視機能で視界を確保、ブーストで自身を吹き飛ばし、早業、
移動しながら氷凝鳥の位置を見切り、追跡。
超高熱の機械刀を怪力の膂力で振るい、
氷凝鳥達を属性攻撃で斬り落として行く。

銃器は流れ弾の危険があるか…
光物を集める習性、…物は試しだ。

住民が逃げる方向と逆にダッシュ、ジャンプで飛び、
【換装・戦争腕】発動。
戦争腕から光線を発しなぎ払い攻撃、
後は出力を調整し、光りを発して注意を引く
(パフォーマンス、おびき寄せ)。

さぁ、向かってこい。
まだ後がつかえているのだからな。


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
氷皇竜……名前を聞くだに強そう……いや、強ぇんだろうな。
ともかく、どんな奴か想像すんのは後だ! 街の人たちの避難を助けねえと……!

《幻想虚構・星霊顕現》で無数の光の粒子を空中にばら撒く。
これを灯り代わりにして戦いやすくする&街の人たちが逃げやすくするんと同時に、光り物に惹かれるっていう氷凝鳥の目を街や街の人から逸らすようにする。
制御が難しいユーベルコードだけど、片手間でも出来そうだったら避難を助けるために〈援護射撃〉を撃ったり、〈鼓舞〉で街の人を勇気付けたり出来ねえかやってみる。

攻撃が飛んできそうな場合は〈敵を盾にする〉ことでやり過ごしたり、最悪〈逃げ足〉を活かして退避。


オリヴィア・ローゼンタール
ふむ、あの鳥たちは配下というわけではなく、ドラゴンの性質に引き寄せられたようですね
とはいえ容赦する必要もなし、手早く片付けましょう

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏い、攻撃力を上げつつ松明代わりに
最前線で戦い、敵の位置を知らせる目印に(存在感・パフォーマンス)
この程度の夜闇は慣れたもの(暗視)ですが、こうすれば他の方々も戦い易いでしょう

建物の上に【クライミング】し、そこから【ジャンプ】することで近接【空中戦】を仕掛ける
【怪力】で聖槍を振るい、氷凝鳥を足場代わりに(踏みつけ・騎乗)して更に【ジャンプ】して別の標的へ向かう
空中でも【衝撃波】を起こすことで方向転換可能


ソラスティベル・グラスラン
今まさに無辜の民が襲われ、惑い、助けを求めているのです!
ならば躊躇いはありません、行かねばなりません
なぜならわたしは、『勇者』なのですからっ!!

翼を広げ空へ!【空中戦】
氷鳥が町に辿り着く前に立ち塞がり、この先へは行かせませんっ

迫りくる群れに、【範囲攻撃】の津波の如き灼熱の息吹を!
この黄昏色の炎は祖たる竜の力、わたしの部族の誇り!
暗き空にあっても尚人々を照らす、決して褪せぬ希望の『光』となりて!

氷鳥の群れを焼き落とし、強い明るさで此方へと誘います【誘き寄せ】
大斧と盾を構え耐久戦の準備は万全【盾受け・オーラ防御・見切り】

さあ、わたしは此処にいます……全力の【勇気】を以て、受けて立ちましょう!!


霧島・絶奈
◆心情
夜戦であり防衛戦ですか
こう言った戦いもまた、趣深いものですね

嗚呼、存分に楽しみましょう
勿論、目的を見失わない程度に

◆行動
『暗キ獣』を使用

視界が悪くとも、追撃ではなく迎撃なら戦い様はあります

我が燐光放ちし霧を誘いの手としても活用
まるで誘蛾灯にでもなった気分です

また我が軍勢も密度を維持出来る範囲で広範囲に亘り展開し壁とする
軍勢には軍勢をぶつけるのも常道でしょう
それに、地を駆ける獣とて跳べぬ道理はありません
槍屍兵達とて、それは同じ事

私自身も【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】【精神攻撃】
敵に【恐怖を与える】事で足並みを乱し、足止めを図ります

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


フレミア・レイブラッド
POW

わたしは元々吸血鬼だし、夜闇に不都合はないわ♪

町を覆う様に周囲に【念動力、情報収集】で念動力の空間を展開。
空間内に侵入した敵の位置や行動を念動力で完全に把握。
他の猟兵にも念動力を利用して情報を送る等しての共有とテレパシーでの通信網も構築しておこうかしら。
わたし自身は町中を【残像、ダッシュ】で高速で移動し、魔槍【怪力、早業】で叩き落としていくわ。
空中の敵は【サイコキネシス】で拘束して地面に叩き落とし、一匹ずつ処理して倒させて貰うわ。

自身の眷属である雪花(雪女見習い)と可能であれば【虜の軍勢】でエビルウィッチを召喚。住人の護衛と避難の手伝いを指示し、任せるわ。


雛菊・璃奈
氷皇竜…また厄介そうな相手だね…。わざわざこんな大きな町に来るなんて…

一旦、防衛は他の猟兵に任せて、最初は戦闘環境の構築と住人の避難支援を実施…。
町を見渡せるような高所に陣取り、【呪詛、高速詠唱、全力魔法】で町の各所や避難ルートに敵の接近で自動的に発動する迎撃用の呪縛術を設置…。
更に町を【呪詛】により氷皇竜等が到着した際の影響や攻撃を弱める呪術結界を展開するよ…。

完了次第、元々の【暗視、視力】と霊魔のレンズで敵の魔力を可視化する事で敵の位置を把握し、戦闘に参加…。
【フォックスファイア】を自身の周囲に灯りと迎撃用で展開し、黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】と併せて敵を撃ち落としていくよ…。


イーファ・リャナンシー
氷凝鳥…初めて見るわ
でも、光り物が好きなのは他の鳥たちと同じってところかしら

ともかく住民が避難する時間を稼がないと…
小さな私じゃぜんぜん陽動にもならなそうだし【サモニング・ガーディアン】で巨人の霊を召喚して戦うことにするわ
暗闇には私の周りを飛び回る装飾品相当の10の燐光と、巨人が使う煉獄の炎で対策するつもりよ
もちろん、巨人にも戦力としてたくさん頑張って貰うけれど、私も遊んでるわけじゃないわ
敵の目が巨人にむいた間に私も小さな身体を活かして暗躍するの
出来るだけ燐光を小さくするか、体から離して自分を目立たなくしながら死角から【全力魔法468】を使って攻撃するわ

たくさん着ちゃう前になんとか逃がさないと


村崎・ゆかり
私は住民が避難するまでの囮を務めるわ。その間に避難誘導お願い。

光り物を集める鳥か。この子達みたいね。黒鴉召喚。
さあ、第一陣の式神は、あたしの耳目となって戦場を細大漏らさず見渡しなさい。

周辺に不動明王火界咒の炎を灯し、光り物に引かれる敵の習性を利用してこちらに引きつける。
氷凝鳥が近づいてきたら七星七縛符を使って行動を封じていくわ。
とどめに第二陣の式神にカードを運ばせての自爆攻撃で、炎の「属性攻撃」の不動明王火界咒を至近で発動させ焼き払う。

焼けば焼くほど、炎に惹かれて集まってくればいいんだけど。
思惑が外れたら、町の屋根上を駆けながらカードを飛ばして、地対空攻撃で少しでも数を減らしていきましょう。


セゲル・スヴェアボルグ
逃げる時間を稼ぐためなら、接近戦をして町人から距離を取っておかねば効果は薄かろう。
文字通り、壁になれというのであれば、喜んで引き受けよう。
一羽たりとも通すつもりはない。
となると、おびき寄せのために、光物は持っておいた方がいいか。
最近の壁は割と装飾が豪華なものも多いようだしな。

あとは寄ってきた鳥ども朱竜回禄で焼鳥にして、灯りの代わりにしてやればよい。
まぁ、暗視もあるので暗いこと自体はさしたる問題ではないし、
取りこぼした奴は槍で薙ぎ払ってやるとしよう。


仇死原・アンナ
町の住人を救う為にも…先駆け共を倒してやらないとね…

他の同行者と共闘

「飛んで火に入る夏の虫…いや鳥か……ここが貴様らの死地とも知らずに!」

【ブレイズフレイム】を使用し、周囲を照らして同行者達の視界を確保する

自身の灯を利用し敵群を[挑発、おびき寄せ]て攻撃

鞭による[ロープワーク、マヒ攻撃]で縛り上げ
拷問具を放ち[部位破壊、傷口をえぐり]敵を地上に落下させる

落下させた後は妖刀を抜いて[早業、串刺し、暗殺]で速やかに止めを刺す

まだまだ先は長いけど…ますます寒くなってゆくのかな…?

寒いのは嫌だな…

アドリブ絡みOK


アテナ・アイリス
戦いはほかの人に任せて、避難誘導を行うわ。
UC『ディバイン・フェザー』をつかって、上空から観察し、必要に応じ指示や手助けをする【鼓舞・誘惑・存在感・コミュ力】。
逃げ遅れた人や、動けない人とかがいれば、抱えて避難所まで連れていく。
もし、敵がきたら、剣やブラスターで攻撃するわ。時間がないから一瞬で片付けるわよ。
全員避難するまで、捜索を続けるわよ。

「慌てなくて大丈夫よ。こっちに歩いて進んでね。」
「貴方達は、この人たちを運んでね。頼んだわよ。」
「大丈夫よ、わたし達が守るから。」
「今は、相手している暇はないのよ。悪いけど瞬殺させてもらうわ。」
「これで大丈夫ね。」

アドリブ・連携好きです。


御剣・刀也
POW行動

は。竜か
面白い。そいつとやり合うまでの露払いと思って、この夜戦も、鳥どもも蹴散らしてやるか

夜で視界は悪かろうとも、第六感で気配と音を頼りに鳥を斬り捨てていく
町人の方に向かおうとするやつから優先的に斬り捨てて、犠牲者を減らす
殺気を放って、鳥を牽制しつつ、動きが鈍った奴、住民を狙おうとして此方を意識した奴を優先的に斬り捨てる
此方を標的に変えたら、逃げつつ、障害物などを利用して数を減らし、突出して追いかけて来たのを斬ってはまた逃げるを繰り返す
「さて、鳥とは言え、夜の中で戦うのはいささかまずいな。ま、それでも負ける気は無いけどな!」



●夏に降る雪
 曇天に覆われた夜空から、雪が舞い散る。雪のメカニズムは、ごくごく単純だ。地上の水分が温められ水蒸気になり上昇、それが上空の冷えた空気で極小の水と氷の粒になる――これが、俗に言う雲である。この雲から落ちる水分が気温の高さによって氷になるか否か、それが雨と雪の差になる。
 すなわち、日中三十度近い温度となった大気を冬のそれに及ぶほど低いものに広大な範囲で急激に下げられた――その結果が、この夏に降る雪である。
「氷皇竜……名前を聞くだに強そう……いや、強ぇんだろうな」
 気候にさえ影響を与える、そんな相手に鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は想いをはせた。しかし、すぐに現実へと意識を引き戻す。
「ともかく、どんな奴か想像すんのは後だ! 街の人たちの避難を助けねえと……!」
「氷皇竜……また厄介そうな相手だね……。わざわざこんな大きな町に来るなんて……」
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が見やるのは、レッドフォレストの町だ。昏き森を始めとした、いくつかの森の交差点。そこを切り開いて建てられたのが、レッドフォレストの町だ。人や物資の流通路であり、常時数千人規模が住まう町――アックス&ウィザーズ世界では、さまざまな首都や主要都市を抜かせば大規模と言える町だ。

 ――ヒュウ。

 不意に、鳥の鳴き声が夜空に響いた。雲から姿を現した、氷凝鳥達だ。まだ群れの本隊ではない先遣隊に過ぎないが、すぐに数えられる数ではない――デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は眼鏡越しにその光景を見て、こぼす。
「数は少なくとも町の人々にとって驚異と成り得る、ということですか」
 レッドフォレストの町では、既に人々の喧騒が聞こえてきている。本当の異常気象が、ここから始まるのだと気付いたのだろう。

「わたしは元々吸血鬼だし、夜闇に不都合はないわ♪」

 フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は、レッドフォレストでもっとも高い教会の尖塔に立ち、微笑んだ。フレミアを中心に展開されるのは、大規模なサイコキネシスだ。
 まさに夜に君臨する吸血姫――フレミアは念動力で触れる情報を処理しながら、その赤い瞳を上空へ向けた。

「さぁ、夜は始まったばかりよ。竜退治前に、一仕事と行きましょう」

●先駆ける者達
 フレミアの念動力越しの声を聞いて、町の外に立っていたセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)が呟いた。
「文字通り、壁になれというのであれば、喜んで引き受けよう」
 一羽たりとも通すつもりはない、そこにはセゲルの強い決意があった。ただ、それを成すのはかなりの困難を伴う――数千人規模の町を、カバーしきるのは物理的に不可能だからだ。
「おびき寄せのために、光物は持っておいた方がいいか。最近の壁は割と装飾が豪華なものも多いようだしな」
 ズン……、とセゲルは重盾【スィタデル】を地面に突き立てる。そのセゲルの横で、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)が身構えた。

「飛んで火に入る夏の虫……いや鳥か……ここが貴様らの死地とも知らずに!」

 ゴォ! とブレイズフレイムの炎を身にまとい、アンナは炎の軌跡を夜に刻みながら駆け出した。地上から空へ駆ける、逆方向の流星だ――アンナの言葉に、セゲルは口の端から真朱の炎をこぼして笑った。
「飛んで火に入る夏の鳥、そいつはいいな」
 セゲルの口から放たれた朱竜回禄(ブランド・カタストロフ)が、灯に引き寄せられていた氷凝鳥を燃やす。火に飛び込む蛾を連想させるその光景に合わせ、アンナも回避した氷凝鳥を鎖の鞭で絡め取り、引き寄せた。
「逃さない……!」
 じゃらん! と引きずり落とされた氷の鳥へ、アンナはアサエモン・サーベルを突き立てる! 狙いはその銘にふさわしく喉元へ、えぐるようにひねってから薙ぎ払った。
 だが、氷凝鳥達は誘われるように数を増やしていく。その光景に、セゲルが応龍槍【ギュールグルド】を構えて笑って見せた。
「これで先走った連中か。大した数だ――」
 不意に、背後から天を貫く雷が落ちた。セゲルとアンナは、それに一瞬だけ意識を向けるのみだ。
「向こうは任せましょう……」
「おお、少なくともここは俺達が食い止める」
 多勢に無勢、戦場が広すぎるのならば仲間を信じて任せればいい――それもまた、猟兵達の強さの一つなのだから……。

●光と闇
 一条の電光で夜闇を貫くのは、デナイルだ。レッドフォレストの家々の屋根から屋根へ――雷霆万鈞システム(セルフ・オーバークロック)で青白く瞬く稲妻をまとったデナイルの疾走は、まさに稲妻そのものだ。
「こっちだ」
 住宅街をデナイルは駆け抜ける。意識して、避難する人々から離れるように――下の道に誰もいない事を確認すると、デナイルは屋根の上から細い路地へ飛び降りた。
『ヒュウ!』
 数羽の氷凝鳥が、それを追いかける――着地の寸前、デナイルは上空を振り返り右手をかざした。

「ぶっ飛べ……!」

 雷鳴と同時、天に向けて電撃が放たれた。路地に入り込む事により直線に並んでいた氷凝鳥達がそれに巻き込まれ、内側から爆ぜて氷の粒子を撒き散らす。それを見たのだろう、二羽の氷凝鳥が距離を取ろうとした。

「――――」

 その二羽の氷凝鳥が、白と黒の斬撃に首を切り飛ばされる! デナイルはわずかに見た、夜に紛れて文字通り暗殺した、ジャン・ストレイン(クロネコ・f20038)の姿を。
「ナイスフォローです」
 デナイルの言葉を、無音で着地したジャンは首を左右に振った。
「夜の闇に紛れて動くのは得意なんだ」
 そして、時間をかけるのは好きじゃあない――そう言い残すとジャンはすぐさま走り出した。音は立てず、気配は闇に溶け込ませ、白い息遣いも風に紛れさせ――衝動に背を押されるように、ジャンは自ら夜の闇へと溶けていく。その間にも、光からはぐれた氷凝鳥を一羽、また一羽と丁寧に白霧で首を切り落とし、黒霧で刺殺した。
 命を奪う感触が、ナイフの柄越しにする。その度に、衝動が疼きを増していった。もっと、もっと――殺人鬼の殺意が、黒く黒く染まっていくのだ。
「寒い夜は殺したくなる衝動が強くなるから丁度良い。相手は人じゃないけど」
 上着を脱いで身軽になったからこそ、肌を突き刺すような寒さを感じる。ジャンは汚れた手でナイフを握りしめ、呟いた。

「俺なんかでも救えるものがあるなんてな」

 白霧と黒霧――二つの刃を手に、今宵殺人鬼は守るために命を奪い続ける。その背を見送って、デナイルもまた電光となって駆け出した。
 光と闇が刹那交差し、レッドフォレストの町を再び駆け巡った……。

●暗キ獣
 喧騒から遠ざかるように、闇へ闇へ――霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は敢えて、避難する人々から離れていく。
「夜戦であり防衛戦ですか、こう言った戦いもまた、趣深いものですね」
 敵も守るべき者も膨大だ、だからこそ絶奈は微笑む。それは平穏を愛する聖女のものであり、また殺戮を嗜好する獣のものでもあった。
「嗚呼、存分に楽しみましょう。勿論、目的を見失わない程度に」
 人の気配がないのを確認し、絶奈は歌うように演じるように唱える。

「闇黒の太陽の仔、叡智と狡知を併せ持つ者。私を堕落させし内なる衝動にして私の本質。嗚呼……、此の身を焦がす憎悪でさえ『愛おしい』!」

 暗キ獣(ソラト)の発現――蒼白き燐光の霧をまとう、異端の神々の似姿がそこに出現する。人の避難が終わった場所では、その燐光は煌めく灯となって妖しく輝いていた。
「まるで誘蛾灯にでもなった気分です」
 くすり、と絶奈は視線を上げる。迫る氷凝鳥が、不意に『闇』に覆われた。ぞぶり、と闇から染み出すように現われたのは疫病を纏う屍獣の群と屍者の軍勢の槍衾だ。
「地を駆ける獣とて跳べぬ道理はありません」
 槍衾が、壁となって夜空に起立する。それはまさに黙示録の再現、蒼白き第四の騎士が率いる死者の軍勢だ。

『ヒュ――』

 引き寄せられた哀れな蛾に、絶望する間も与えない。何よりも、まだ夜は始まったばかりなのだ。絶奈は獣と病を引き連れて、レッドフォレストを所狭しと走り抜けていった。
●光の道
 夜のレッドフォレストの町は、まさに宝石箱をひっくり返したような輝きに満ちていた。この異常事態に、皆が避難をしているからだ。実に皮肉な事だが、この絶景こそが氷凝鳥の群れを呼び寄せるのだ。
「慌てなくて大丈夫よ。こっちに歩いて進んでね」
 ディバイン・フェザーで上空から避難する人々に告げ、アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)が誘導していく。避難は順調に進んでいる、しかし、それは明かりもまた集まっている事を意味しているのだ。
「私は住民が避難するまでの囮を務めるわ。その間に避難誘導お願い」
「ええ、こっちは任せて。気をつけてね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)の言葉に、アテナは柔らかい笑みで答える。
「貴方達は、この人たちを運んでね。頼んだわよ」
「はい!」
 アテナが町の冒険者に指示を与えるのを見て、ゆかりは人々とは逆の方へ走り出した。その手には、白紙のトランプカード――霊符『白一色』がある。
「光り物を集める鳥か。この子達みたいね」
 ゆかりが、『白一色』を上空へと放つ。そして、印を組むと唱えた。

「急急如律令! 汝は我が目、我が耳なり!」

 カードが、瞬く間に黒鴉の群れとなって夜空に飛び立っていく。黒鴉召喚(コクアショウカン)によって呼び出した式神達へ、ゆかりは命じた。
「さあ、あたしの耳目となって戦場を細大漏らさず見渡しなさい」
 その命を受けて、黒鴉達は町に散っていく。自身の五感を共有した黒鴉は、夜空からレッドフォレストの輝きを見下ろし、それに群がってくる氷凝鳥達を発見した。
 ゆかりは、すぐさま走り出す。建物の屋根へと駆け上がると、こちらへ舞い降りようとしていた氷凝鳥へ、トランプを放った。

「ノウマク サラバタタギャテイビャク――」

 ゴォ! と不動明王火界咒の不浄を焼く炎が、氷凝鳥を燃やした。その炎に誘われるように集まってくる氷凝鳥達へ、ゆかりは再び無数のトランプを放っていった。
『ヒュ!?』
 ばちん! とゆかりの七星七縛符によって氷凝鳥達が動きを止める――そこへ再び黒鴉が召喚され、自爆する!

「――行かせるもんですか」

 人目がないからこそ、素直にゆかりは言ってのける。この先には、守るべき人達がいる――だからこそ、ゆかりは次々と霊符『白一色』を展開していった。

●空で『勇気』を歌う
「今まさに無辜の民が襲われ、惑い、助けを求めているのです! ならば躊躇いはありません、行かねばなりません――なぜならわたしは、『勇者』なのですからっ!!」
 決意に満ちた表情で翼を広げ、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は夜空へと舞い上がった。高く飛べば、それだけ気温は下がる――芯まで突き刺すような冷気の風を切り裂いて、ソラスティベルは町へと向かう氷凝鳥達の前に立ち塞がった。
「この先へは行かせませんっ」
『ヒュウ!』
 邪魔をするならば蹴散らすまで、そう言いたげに先頭の氷凝鳥達が一鳴きする。ソラスティベルは自身へ迫る氷の鳥達を前に、大きく息を吸い込んだ。肺に刺さるような冷たい冷気が、一気に熱を帯びていき――次の瞬間、夕焼け色の炎が夜空を焼き焦がした。
「この黄昏色の炎は祖たる竜の力、わたしの部族の誇り! 暗き空にあっても尚人々を照らす、決して褪せぬ希望の『光』となりて!」
 ソラスティベルの黄昏竜の息吹(ドラゴンブレス)が、氷凝鳥達を焼いていく。炎に投げ込まれた氷像のように一瞬で焼き消えていく敵だが、次がまた迫っていた。

「さあ、わたしは此処にいます……全力の【勇気】を以て、受けて立ちましょう!!」

 竜の翼を模した漆黒のバックラーを眼前に、雷の竜の名を冠する蒼空色の巨大斧を振りかぶってソラスティベルは身構える。一羽の氷凝鳥がその鉤爪で襲いかかれば、ソラスティベルはオーラを集中させたモナークで火花を散らして受け流し――サンダラーを一直線に振り下ろした。
 ズサン! と雷に打たれた大木のように、氷凝鳥が真っ二つに切り裂かれる。それに怯まぬ氷の鳥達へ、ソラスティベルは黄昏竜の息吹(ドラゴンブレス)で応戦した。
 ボォ!! と黄昏色の炎が、幾度も夜に花開く。無辜の民を守るため、勇者の戦いがそこにはあった。

●光は導き、人狼は守る
 ソラスティベルが戦う上空を建物の屋根で見上げ、カルナ・ボーラ(解体する眼差し・f14717)が口笛を吹いた。
「たーまやー、だったか? 納涼にはちょうどいい機会だ。最近、めっきり暑くなってきたからな」
「えっと……」
 カルナの軽い調子に、ミンリーシャン・ズォートン(綻ぶ花人・f06716)は少し反応に困ったように考え込む。その評定に、カルナは小さく肩をすくめた。
「んぁ? 冗談だよ、冗談。納涼するにはまだ時期尚早ってくらい俺にもわかるさ……さて、駄弁ってないで仕事だ」
「はい。時間を稼ぎませんと」
 カルナの言葉に、ミンリーシャンは真剣な表情でうなずく。数千人規模の避難となれば、避難場所も一つではなく複数となる――それを全部カバーしなくてはいけないのは、至難の業だ。
 ミンリーシャンは光の羽衣を風になびかせ、上空へ舞い上がらせた。それは、まさに撒き餌だ。光り輝く物を求める氷凝鳥にとって、その光は何物にも代えがたい輝きだった。
 だからこそ、氷凝鳥達は集う。その動きを見て、ミンリーシャンは深呼吸を一つ、アイスレイピアを抜剣した。

「――さぁ、いきましょうか」

 ありったけの魔力をアイスレイピアへ――ミンリーシャンの青い瞳が、強い意志の輝きを示す。

 直後、ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギンン!! とレッドフォレストの上空へ、巨大な氷の鳥籠が生み出された。ミンリーシャンの†.゚・~Freezing World~・゚。†(ヒョウケツノセカイ)によって生み出された、氷の鳥籠が氷の鳥達を凍てつかせていった。
「な、なんだ、あれは!?」
 思わず、住人達の足が止まる。そこへ、ミンリーシャンの凛とした声が響いた。
「さぁ、皆さん今のうちに避難しましょう!」
「ほら、行った行った」
 鳥籠から逃れた氷凝鳥を視線で追いながら、カルナも言う。キン、と澄んだ音を立ててカルナは親指で金貨を弾いた。

「んで、奴さんも光り物が大好き、と」

 いくつもの篝火に照らされ輝きにコインに、氷の鳥が誘われる――それをカルナは獣の爪を振り下ろして完全に破壊した。舞い散る氷の中、カルナは振り返らずに言う。
「ああ、あんたらはあんたらでシーツでもなんでも身を包めるようなものでも被ってろよ。少なくともそれで襲われる可能性は減るだろうし、なにより今夜は冷えるだろうからな」
 こんなのは前座にもならない、そうカルナは避難する人々とミンリーシャンを守るように屋根の上を駆けていく。それを呆然と見送った住人へ、ミンリーシャンは微笑んで言った。
「大丈夫、あなた方に手は出させません」
 ミンリーシャンは足をもつれさせる子供を抱きとめ、優しく抱え上げる。その笑顔に子供も、こくりと小さくうなずいた。

●巨人は猛り、獅子は吼える
 レッドフォレストの外。イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)は、曇天に舞い飛ぶ氷凝鳥を見上げた。
「氷凝鳥……初めて見るわ。でも、光り物が好きなのは他の鳥たちと同じってところかしら」
 イーファは羽ばたいて、まだ避難が終わっていない人の流れを見る。そして、困ったように呟いた。
「ともかく住民が避難する時間を稼がないと……でも、小さな私じゃぜんぜん陽動にもならなそうだし」
 フェアリーの小ささでは、さすがに遠くからは氷凝鳥達も気付いてくれないだろう。陽動にはなってくれない……だから、イーファは発送を逆転させた。

「うん、お願い」

 ズン……! と町に縦揺れが響いた。次の瞬間、そこに立っていたのは見上げんばかりの巨人だ。サモニング・ガーディアン――かつて忘都を守護した巨人の霊をイーファが召喚したのだ。
「おお、派手だな」
 その巨人の横に降り立ったのは、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。他の場所は仲間達が埋めてくれている――それを確認したからこそ、この場へ駆けてきたのだ。
 そして、特にこの場所を選んだ理由がある。それは、強大な気配がこちらに向かっているのを感じるからだ。
「は。竜か。面白い。そいつとやり合うまでの露払いと思って、この夜戦も、鳥どもも蹴散らしてやるか」
 刀也は獅子吼の柄に手をかけ、一人言い捨てる。そして、改めて巨人の肩に乗っているイーファを見上げた。
「フォローは任せろ。ぶちかませ」
「うん」
 イーファがうなずくと、空を見上げた巨人が煉獄の炎を打ち上げた。煉獄の炎による柱が、雲を貫く。何事か、と氷凝鳥達が巨人へ向かってたかるように集まってきた。

「――えい!」

 アポロ、メルクリウス、ウェヌス、ルナ、マルス、ユピテル、サトゥルヌス、ウラヌス、ネプトゥヌス、プルート――イーファを覆う十の燐光が、渦巻いて一つの巨大な光線となって氷凝鳥達を撃ち抜いていく。その全力魔法の一撃から逃れた一部の氷凝鳥達を、刀也は巨人を足場に跳躍して追った。
「さて、鳥とは言え、夜の中で戦うのはいささかまずいな。ま、それでも負ける気は無いけどな!」
 氷の鳥が放つ氷の攻撃を、刀也は獅子吼による抜刀の一閃で薙ぎ払う! その斬撃の勢いを利用して、横回転――加速させ、剣刃一閃で氷凝鳥達を断ち切った。
「行かせるかよ」
 そして、刀也は殺気で氷凝鳥達を牽制する――その場にいたままでは、氷凝鳥達は抑えきれない。そう判断した刀也の行動は早かった。
「大通りを後退しながら誘導する。来れるか?」
「わかったわ」
 イーファは刀也の誘導に合わせ、巨人を大通りへと向かわせる。その間も散発的に魔法で牽制、刀也も町の地形を利用しながら足止めしていく。
 本来ならばこの町を交通の要所として人々を歓迎する大通りは、招かざる鳥達と猟兵達の戦場へとなっていった……。

●宇宙の輝き
 テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は、夜空を見上げて暗視機能をオンにした。そうなれば、雪の降る空を飛ぶ氷凝鳥の姿が見えた。

「氷凝鳥か……恨みはないが、やらねばな」

 テリブルはブースターを起動、噴射の加速で真っ直ぐに上へ飛んだ。旋回し隙を伺っていた氷凝鳥がちょうどそこを通るタイミングに、超高熱の機械刀を振り上げた。
『ヒュ――!?』
 熱と斬撃が、氷凝鳥を見事に焼き切る! ブースターの噴射が途切れた瞬間、テリブルは周囲へ視線を巡らせた。

「銃器は流れ弾の危険があるか……光物を集める習性……物は試しだ」

 住人の流れは、多くが途切れ始めていた。それだけ、避難が進んでいるという証拠だ。だから、真っ暗となった町の方角へテリブルは向くと換装・戦争腕(ウォーアーム)を起動。宇宙船から召喚したレーザーの追加兵装に換装した腕、その掌から光線を発しなぎ払った。ヒュオン! と振るわれた光線がかき消えた直後、ボボン! と空中でいくつかの爆発が見えた。
「さぁ、向かってこい。まだ後がつかえているのだからな」
 掌を振って、光の軌跡を描きながらテリブルは再びブースターを起動する。人の流れからあえて離れながら、氷凝鳥を誘導して引き離していった。

「Linking to the Material, generate archetype code:X……!」

 嵐は幻想虚構・星霊顕現(ガーディアンズ・ファンタズム)によって、無数の光の粒子をばらまく。その輝きは、避難場所への誘導灯となっていた。
「うわ、きれい……」
 子供が目を輝かせ、思わず足を止めてしまう。それを見て、ホタルのように粒子を舞わせ、子供の前へ飛ばした。
「それがどこに逃げればいいか、教えてくれるよ。着いていけるか?」
「うん!」
 ツンツンと粒子を突きながら、子供は粒子を追っていく。走るなよ~、とそれを見送って――嵐は、振り返りざまのスリングショットで氷凝鳥を撃ち抜いた。
「させないって」
 次に向かって来ようとしていた氷凝鳥に、嵐が狙いをつける。その瞬間、上空からのレーザーが氷凝鳥を貫いた――テリブルだ。
 見えない虚空で、小さな光が揺れる。テリブルが手を振っているのだと気付き、嵐も手を振り返した。短いやり取りを終え、二人はそれぞれの役目へと戻った。

●聖槍の炎
 頭上では、氷凝鳥達の数がどんどんと増えていた。
「ふむ、あの鳥たちは配下というわけではなく、ドラゴンの性質に引き寄せられたようですね。とはいえ容赦する必要もなし、手早く片付けましょう」
 建物の壁を蹴り、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が大きく跳躍する。タイミングを合わせ、氷凝鳥の眼前へ――オリヴィアは破邪の聖槍へと炎の魔力をまとわせた。
『ヒュウ!』
 放たれる氷の礫、オリヴィアはそれを破邪の聖槍を振り払って打ち砕く! そして、氷凝鳥の上へと降り立った。
「失礼しますね」
 ヒュオン! とオリヴィアの振るった破邪の聖槍が足場の氷凝鳥を切り裂いた。落下する直前、オリヴィアは大きく跳躍する。

 再び上へ跳んだオリヴィアは、破邪の聖槍を振りかぶり――ドン! と衝撃波を加速に利用して空中で方向を変えた。その先にいたのは、ちょうど旋回を終えた氷凝鳥だ。
『ヒュウ!?』
 ズン! と炎を宿した黄金の穂先が、氷凝鳥を貫く。そして、再び足場に跳躍――その繰り返しだ。飛べないオリヴィアが、縦横無尽に空を跳び回り続ける。

『……聞こえる? 避難が終了するわ。一度、集まって』

 フレミアの声が届き、オリヴィアは大きく衝撃波で上に跳びながら町を見下ろす。無数の大河のように輝いていた町の篝火が、すっかり消えていた。
「わかりました、戻ります」
 オリヴィアは衝撃波で落下の速度を殺しながら、レッドフォレストの町へと戻っていった……。

●そして、次の戦いのために――
「邪魔よ……」
 璃奈が呪槍・黒桜を振り払い、呪詛を込めた衝撃波で氷凝鳥達をなぎ払っていく。それに合わせ、アテナも弓で援護していった。
「これで大丈夫ね」
 避難が無事に終わった、そう微笑むアテナに、璃奈も小さくうなずく。あれだけの数がいて、混乱による軽傷者以外怪我人がいないのは奇跡に近い。
「氷皇竜への備えも、しておいたよ……」
 璃奈自身は、戦闘環境の構築と住人の避難支援を行なっていた。その影響か、町に降る雪が目に見えて弱くなっている。氷皇竜が直接訪れない限り、この冷気が強くなる事も防げるだろう。
「だから、氷凝鳥との戦いは少しは楽になるわ……」
 璃奈が空を見上げれば、そこには氷凝鳥達が集まり始めていた。あれだけ倒してなお――否、あれでさえ先行していただけなのだ。
 ならば、この後の数はいかほどになるか――璃奈だけではない、他の猟兵達も厳しい戦いが待っている事を自覚していた。

「さあ、次からが本番ね」

 眷属である雪花と虜の軍勢で召喚したエビルウィッチを従え、音もなくフレミアが降り立つ。彼女の言う通り、これからがお互いにとって本番だ。互いに全力を傾けた総力戦が、ここに始まろうとしていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『氷凝鳥』

POW   :    爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ   :    大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●氷凝鳥の群れ

 ――おかしい。

 氷凝鳥達には、その疑問を答える術はなかった。本来ならば、もっと冷気に満ちていておかしくないはずだ。あの生きた災害――氷皇竜が向かってきているのならば。
 氷凝鳥達にとって、それが猟兵が町に施した呪詛の結界によるものだと知るよしもない。だから、その疑問は今は捨て置く事にした。
 もっと大きな問題は、町から輝きが消えた事だ。あのキラキラした輝きは、あそこに今もあるはずだ――誰かが隠したというのならば、暴き出すまでのこと。

『ヒュウ!!』

 氷凝鳥達は、怒っていた。あの輝きは、自分達の物だ。それを奪う者は何者であろうと許さない――氷凝鳥の群れは、怒りのままに集まり、レッドフォレストの町へと今まさに降りようとしていた……。
村崎・ゆかり
本隊が来たわね。あたしは邀撃に上がるから、地上からの火力支援よろしく。

飛鉢法で「目立たない」よう上空へ上がり、「高速詠唱」「先制攻撃」で素早く先手を取り、降下体勢に入っている鳥たちに、「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「2回攻撃」「衝撃波」を乗せた不動明王火界咒を次々に放っていくわ。「衝撃波」で「薙ぎ払い」を仕掛ける。

防御は「オーラ防御」を「全力魔法」で対応するわ。
囲まれないよう、死角に入られないよう、小刻みな動きを繰り返し、黒鴉召喚で呼び出した式神の高空からの視点を元に、踏みとどまるべきか一時退避するべきか判断する。

あたしの背後には、この世界の人々が暮らす町がある。絶対に抜かせないわ!


ミンリーシャン・ズォートン
――来ましたね。

住民の避難を最優先に行動
引き続き、動けそうな人に声をかけ、子供やお年寄り、病気の人に手をかし逃げるように声をかけます

私も積極的に手をかしますが、敵が住民に迫ってくるようならば安心させるように、住民に優しく声をかけ距離をとります

「私が氷凝鳥達を引き付けます。――必ず逃がしますので、生きる事を諦めないで下さいね」

住民から離れると屋根の上に飛び、迫る氷凝鳥達に向けて光る大量の金木犀の花弁にて応戦

きっと光に誘われてもっと多くの氷凝鳥が集まるだろうけれど、住民を救う為ならばその後私が傷つこうと構いません

「負ける訳には行かないのです……!」

剣術や体術、持てる力を振り絞り守る為の闘いを――。


ソラスティベル・グラスラン
―――来ましたか!!
増援を含めた本気の氷凝鳥を迎え撃ちます!
息は少々切れど【勇気』は未だ十二分っ、続けて参ります!

今度は容赦しません、耐久戦は終わりです
敵は無数、近づかれれば鋭い爪の一撃が襲い来る、ならば!
わたしの魂に宿る竜、その力の一端を今こそ見せましょう!

勇猛なる気質を骨に、練気を鋭爪と成す
……見えませんか?しかし確かにここにあります
貴方たちを切り裂く、竜の巨腕が!【範囲攻撃・怪力】

人々の避難は完了しました
ですがあの町には、皆さんの営みが、
積み上げてきた大切なものの数々が残されているのです
それを砕き無に還そうと言うのなら、
この『勇者』が相手になりますッ!!【鼓舞】


オリヴィア・ローゼンタール
なるほど、確かに先遣隊とは規模が違いますね

【神聖竜王の召喚】で白き翼の竜王を呼び出し、その背に【騎乗】し【空中戦】を仕掛ける
跳躍ついでの空中戦では心許ないですね
ならば頼りになる仲間の力を借りるとします

白く輝く竜王の【存在感】(パフォーマンス・おびき寄せ)で敵の目を惹き付ける
刮目せよ、天上の輝きは今ここにあり

竜王が【殺気】と共に咆哮を放ち、本能的な【恐怖を与える】ことで怒りを萎えさえ侵攻を躊躇わせる
群れへ向かって吶喊させ、爪牙で蹂躙する(グラップル)
自身も【属性攻撃】で炎を纏った聖槍を振るい【衝撃波】を起こして【吹き飛ばす】

粗方片付けたところで【全力魔法】で強化した破壊のブレスを放つ


御剣・刀也
何でこの町を狙うのか知らねぇが、お前らの思い通りにはならねぇよ
手めぇらをさっさと片付けて、次は竜だ。分かったらとっとと消えろ

爪の一撃は間合いに入らないように注意しつつ、間合いに入ったら第六感、見切り、残像で避けてカウンターで斬り捨てる。避けるのが間に合わないなら日本刀を放してグラップルで拳で受け止めて握力で爪を握りつぶす
氷柱雨は第六感、見切り、残像で避けながら突っ込んで斬り捨てる
空に飛んで逃げようとしたら翼を斬り捨てるか、日本刀を放してグラップルで足を掴んで地面に叩きつける
「生憎様、俺は日本刀しか使えない訳じゃないんだよ。分かったら見識の浅さを恨んで消えな」


デナイル・ヒステリカル
距離を置くことで対象を俯瞰すると共に、攻撃が到達するまでの時間を作り、回避に余裕をもたせる。
理に適っています。
あの鳥は光に群がる本能だけの存在ではないようですね。

あの鳥たちが街に到達するまでに遠距離攻撃で数を減らす算段でしたが…
単純に打ち上げるカタチの攻勢は見切られてしまう恐れが在ります。
想定よりも数を減らすことが出来ないかも知れません。

ならば僕は彼らの意識の外。別方向からの攻撃を準備します。

UC:ノイジーレイニーを発動
鳥たちが高く飛ぶ空のさらに上
音も無く飛来する槍と、それらを追うように轟く雷

地上からの攻撃とタイミングを合わせれば敵集団に混乱をもたらせるはずだと判断しました。


仇死原・アンナ
多いな…だが残らず倒してやる…!

他の同行者と共闘

[氷結耐性]を施して戦闘開始

鉄塊剣を振るい[力溜め、衝撃波、範囲攻撃]を用いて敵群を蹴散らそう

拷問器具を解き放ち[投擲、吸血、傷口をえぐり]敵の行動を阻害

敵の攻撃は[武器受け、見切り、ダッシュ]で回避防御
同行者を[激痛耐性でかばったり]しよう

「面倒だ…石打ちの刑で討ち落としてやる!」
[地形を利用]し地面を鉄塊剣で抉り飛ばし【燃石打ちの刑】を使用
さらに[属性・鎧無視・2回攻撃]を重ねて地獄の炎で燃える石を撃ち放って敵群を討ち落としてやろう…!

いよいよ竜退治か…
[覚悟]するしかないね…

アドリブ絡みOK


テリブル・カトラリー
分かっていたが、やはり数が多いな…

空中戦、上空でオブリビオンイーターから楔を射出し、当った対象から生命力吸収。
武器改造、破壊工作、光を放つ戦争腕に吸収したエネルギーを大量に送り込み、パージ。
上空へ怪力で投げ飛ばし、クイックドロウ、戦争腕を撃ち抜き(スナイパー)周囲の氷凝鳥を巻き込んで爆破。

全員、離れていろ!
自身は下へ落ちていき周囲に離れるよう呼びかけつつ
【オーバーコート】発動。約10mの巨体に。

飛翔能力で上空へ再度飛びあがり、
巨体に見合う大きさの超高熱の機械刀を光源に。

ブーストで自身を吹き飛ばして加速、
身体を高速回転(残像)させながら移動し、
触れた氷凝鳥を轢きなぎ払いながら機械刀で属性攻撃。


フレミア・レイブラッド
とりあえずは只管あの鳥を落とせば良いワケね♪
わたしの眷属にも氷凝鳥がいるから呼び出そうかとも思ったけど、この状況だと味方に落とされかねないわよね…。

一章で召喚したエビルウィッチには【ファイアーボール】での対空攻撃を指示。
自身は【ブラッディ・フォール】で「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(フレミアがテイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。街中の適当な無機物を全て【文明侵略】で黒竜へ変化させ、更に【ギガンティックダイウルゴス】も召喚し敵を黒竜の群れで蹂躙。
数には数で対抗するわ♪
わたし自身背中の翼で飛び【クリムゾンキャリバー】で空中戦を仕掛け、黒竜の群れと共に殲滅するわ


雛菊・璃奈
呪詛結界が有効に機能してるみたいで良かった…。
なるべく、街に被害を与えたくないしね…。

【暗視、視力】と霊魔のレンズで敵の魔力を可視化する事で敵の位置を把握し、後は【フォックスファイア】を自身の周囲に展開し、【呪詛】で強化…。
灯りと敵の迎撃に配置し、黒桜から放つ呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】と併せて敵を撃ち落としていくよ…。
場合によっては1章で街の各所に仕込んだ呪縛術も発動…。
…多分、氷皇竜には半端な術式は効果が無いだろうし、使える時に使うのが良さそうかな…。

呪力で強化したわたしの狐火…耐えれるものなら耐えてみると良い…。


イーファ・リャナンシー
本隊のお出まし?
とりあえず、避難は何とか終わったけれど…あの子たちなんか余計に怒ってない?
いいわ、人間だって生きるのに必死なの
文句があるって言うのなら相手になってあげるから

どうもこっちからガンガン攻撃すると高いところに逃げられちゃうみたい
降りてきたところを見計らいつつ、小さな体を活かして死角から攻撃を仕掛けるわ
文字通り鳥瞰的視点で見られたとしても、目に映らなければ問題ないはず
場合によっては【スピリット・アウェー】を要所要所で使いつつ、不可視状態による攻撃と回避を取り入れるつもりよ
もちろん、自分の疲労状態とも相談しつつ、持続可能な戦闘のために、乱用は避ける方向で
攻撃には【全力魔法480】を使うわ


カルナ・ボーラ
ったく、馬鹿みてぇな数だな
ていうか実際馬鹿だろ。そんだけ大勢でやってきて、全員分のお宝があると思ってんのか?

いや、よく考えたら充分すぎるくらいにはあるか
なにせこれから数が減るんだからよ

そんなわけでさっきからあちこち突ついてくる奴らを砕いていくか
悪いがこれは俺のキラキラだ、テメェらのじゃねぇよ

とはいえキラキラのお陰で狙いがわかりやすい分、迎え撃つのは楽だが一人で戦い続けんのも流石にしんどいな
まぁ、狙ってくれるってんならそれだけ囮にもなれるってことだろ
なんかドバーッといい感じの戦い方をしているやつでもいたら試してみるか

おう、わりぃ。ちょっと楽させてもらうぜ


鏡島・嵐
判定:【SPD】
……怒るとこはそこなんか、こいつら。
(ビーストマスターとしての経験、シャーマンとしての感受性と〈動物と話す〉技能によりなんとなく察したらしい)
そんな理由で街を荒らすんはさすがにダメだろ。
前哨戦だからって気は抜けねえな、こりゃ。まあ、最初から気ィ抜くつもりなんか無かったけどさ。

《我が涅槃に到れ獣》使用。……出番だぞ、クゥ。
クゥを走らせて向こうが撃ってくる氷柱の弾幕を〈見切り〉〈敵を盾にする〉のも併用して躱しながら、〈フェイント〉を織り交ぜつつ〈属性攻撃〉で撃ち返す。
近くに仲間がいるんなら〈援護射撃〉を飛ばして支援したり、上手く連携で効率的に数を減らすように動くかな。


霧島・絶奈
◆心情
さて、引き続き愉しむとしましょう
天高く飛ぶ…確かに強みでしょう
ですが慢心と油断に繋がるのならば、それは悪手です

◆行動
『暗キ獣』を使用

引き続き我が燐光放ちし霧を誘いの手としても活用
ほらほら、飛んでばかりでは、私を倒せませんよ?

我が軍勢を集結させ積み上げる事で私を高所まで押し上げさせます
勿論、軍勢の方に近づけば喰らい付き刺し貫きますが…

私自身は【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】【精神攻撃】し敵に【恐怖を与える】
身が竦めば回避も覚束ないでしょう

更なる高度に逃げられたなら『ジャッジメント・クルセイド』を併用し追撃
どれ程高く飛ぼうと無意味です

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


アテナ・アイリス
これは、数が多いわね。なら、先制攻撃を仕掛けるわ。
UC『ディバイン・フェザー』をつかって、上空に飛び上がる。
「アーパスブレード」と「クラウ・ソラス」の二刀流で、スピードを生かし、【2回攻撃】などをつかって、連続攻撃で、氷凝鳥を倒していく。
残念だけど、今のわたしの相手ではないわね。さっさと終わらしましょうか。
氷皇竜メルゼギオスが来る前に、全滅させるわよ。

「なんて数なの。」
「先制攻撃を仕掛けるわ。援護お願いね。」
「手数で勝負よ!」
「あからた、片付いたようね。」

アドリブ・連携好きです。


セゲル・スヴェアボルグ
空を飛ぶのは何も奴らの専売特許ではない。
俺の頭上をそう易々と飛べると思うなよ?
オブリビオンと言えど飛行高度には限界はあるだろう。
その程度で回避できると思っているのであれば短絡的だな。

逃げ場さえ狭めてしまえば後は追い詰めるのみ。
エレクトロレギオンをそれぞれ数体で1体の敵に当たらせる。
倒せそうならそのまま任せればいいし、
そうでなくても動きさえ封じているのならば
俺が槍投げで貫いてしまえばいい

無論、陸上に逃げようとするやつを優先して倒す。
槍で止まらぬなら体でとめればいいだけの話だ。
空で俺から逃げられるとは思わん方が良いぞ。



●天を埋め尽くさんと――
 レッドフォレストの町、決して狭くないこの町のどこにいようとその光景は見る事ができた。
「――来ましたね」
「――来ましたか!!」
 ――だから、ミンリーシャン・ズォートン(綻ぶ花人・f06716)とソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は同時に言った。瞬く間に、夜空に氷凝鳥が溢れていく。世界が割れてこぼれだしたかのような光景に、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は息を飲んだ。
「なるほど、確かに先遣隊とは規模が違いますね」
「ったく、馬鹿みてぇな数だな。ていうか実際馬鹿だろ。そんだけ大勢でやってきて、全員分のお宝があると思ってんのか?」
 感心半分呆れ半分で呟いたのは、カルナ・ボーラ(解体する眼差し・f14717)だ。カルナの言う通り、数えるのも馬鹿らしい数だ。だが、そこまで考えているモノが氷凝鳥にいるとも思えない。
「距離を置くことで対象を俯瞰すると共に、攻撃が到達するまでの時間を作り、回避に余裕をもたせる。理に適っています。あの鳥は光に群がる本能だけの存在ではないようですね」
 上空で旋回を続ける敵に、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)はそう判断した。その答えは正しい、実際にこの数で距離を取っての攻撃手段を氷凝鳥達は持っているのだ。先遣隊の状況を見てその選択をしたというのなら、決して侮れる敵ではない。
「本隊のお出まし? とりあえず、避難は何とか終わったけれど……あの子たちなんか余計に怒ってない?」
 イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)は、氷凝鳥達が抱いている怒りを感じていた。しかし、その理由までは読み取れず、小首を傾げる。
「……怒るとこはそこなんか、こいつら」
 ポソリ、とこぼしたのは鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)だ。ビーストマスターとしての経験、シャーマンとしての感受性――そして、動物の言葉を理解できるからこそ察せられた氷凝鳥達の怒りにため息をこぼす。
「あんな理由で街を荒らすんはさすがにダメだろ。前哨戦だからって気は抜けねえな、こりゃ。まあ、最初から気ィ抜くつもりなんか無かったけどさ」
「いいわ、人間だって生きるのに必死なの。文句があるって言うのなら相手になってあげるから」
 イーファが、空を飛んだ。村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)も、飛鉢法(ヒハツホウ)で浮かび上がりながら言う。
「あたしは邀撃に上がるから、地上からの火力支援よろしく」
「そうね。先制攻撃を仕掛けるわ。援護お願いね」
 アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)が聖なる青白き光をまとい、真っ直ぐに天へと――次々と飛んでいく仲間を見送り、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が微笑んだ。
「とりあえずは只管あの鳥を落とせば良いワケね♪」
 フレミアの眷属にも氷凝鳥がいるが、仲間に攻撃される可能性も高い――ならば、とエビルウィッチへ視線を向けた。

「やりなさい♪」

 フレミアの命令を受けて、エビルウィッチは炎の火球を撃ち込んだ。

●群がり、貪る

 ――爆音が、夜空へ轟いた。

『ヒュウ!!』
 火球の炸裂に、数羽の氷凝鳥が砕け散る。だが、それはまさに群れのほんのわずかな一部に過ぎなかった。
「手数で勝負よ!」
 その爆風を突っ切り、アテナがアーパスブレードを振り上げクラウ・ソラスを薙ぎ払う! 翼を切られ落ちていく仲間の姿に、氷凝鳥達は即座に散開した。
「空を飛ぶのは何も奴らの専売特許ではない。俺の頭上をそう易々と飛べると思うなよ?」
 その道の一つを塞ぐように、セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)がその青き翼で回り込む。応龍槍【ギュールグルド】を豪快に振るい、セゲルは氷凝鳥達を追い込んでいった。
『ヒュウ――!!』
「今度は容赦しません、耐久戦は終わりです」
 その反対側、ソラスティベルへと氷凝鳥達がその鋭い爪で襲いかかっていく。しかし、ソラスティベルへと届く寸前、火花を散らして爪が弾かれた。
『ヒュウ!?』
「勇猛なる気質を骨に、練気を鋭爪と成す……見えませんか? しかし、確かにここにあります。貴方たちを切り裂く、竜の巨腕が!」
 爪を阻んだのは、見えない竜の巨腕だ。竜の剛勇なる魂(ドラゴニックレゾン)――ソラスティベルの魂に宿る竜、その力の一端が氷凝鳥達を嵐に巻き込まれた木の葉のごとく粉砕していく!
 ――本来なら、この挟撃だけでもかなりの動きを制限できただろう。しかし戦場は空、立体的な空間を塞ぎ切るのはほぼ不可能と言っても過言ではない。
「何でこの町を狙うのか知らねぇが、お前らの思い通りにはならねぇよ。手めぇらをさっさと片付けて、次は竜だ。分かったらとっとと消えろ」
 御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、レッドフォレストの町の建物の屋根を駆けていく。自身に放たれる氷の雨を、残像のみを残す速度で見切り、掻い潜った。
「ぬるい」
 ヒュガ! と刀也の獅子吼による袈裟懸けの斬撃が氷凝鳥を両断する。その間隙に、別の氷凝鳥が死角を飛び抜けようとするが――それを防いだのは、カルナの獣の爪だ。建物の壁を蹴って飛び上がり、カルナは押し潰すように氷凝鳥を切り裂いた。
「よく考えたら充分すぎるくらいにはあるか――なにせこれから数が減るんだからよ」
 ズサァ、と建物の屋根に着地、カルナは群がるように迫る氷凝鳥の群れへ言い捨てる。
「悪いがこれは俺のキラキラだ、テメェらのじゃねぇよ」
『ヒュウ!!』
 よこせ!! そう言ったような気がしたのは、気のせいだろうか。上空から町へ迫る氷凝鳥達が、輝きを求めて町へと侵入しようとする――そのおびただしい数を前に、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が告げた。
「天高く飛ぶ……確かに強みでしょう。ですが慢心と油断に繋がるのならば、それは悪手です」
 飛ぶという、戦場を平面ではなく立体に活用できる絶対的アドバンテージ。それを物量で潰すように、絶奈は暗キ獣(ソラト)によって召喚した屍者の軍勢を足場に空へと駆け上がっていく。正気あるモノであれば、おぞましささえ感じる死の群れが上空から迫る氷の鳥達を槍衾で迎え撃った。

「我ら光と影。共に歩み、共に生き、共に戦うもの。その証を此処に、その連理を此処に。……出番だぞ、クゥ」

 足元から響く獅子の咆哮と共に、焔を纏った黄金の獅子クゥが嵐を背に町を駆ける。嵐はクゥの背で、落ちてくる氷の欠片を手した。即座に構えたスリングショットで射出、援護射撃を撃ち込んでいく。
『ヒュウ……?』
 町に近づいた氷凝鳥達が、戸惑う。本来ならばもっと冷気に満ちた、自分達に適した環境になっているはずだった。しかし、おかしい。アレが近づいているのならば、この程度なはずが――。

「呪詛結界が有効に機能してるみたいで良かった……。なるべく、街に被害を与えたくないしね……」

 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が、黒い桜の花びらと共に舞う。呪槍・黒桜を璃奈が振るうと、ドォ!! と呪詛による衝撃が氷凝鳥達を巻き込み打ち砕いていった。
「多いな……だが残らず倒してやる……!」
 それに続いたのは、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)だ。渾身で振るう錆色の乙女から放たれた衝撃波が璃奈のそれと重なり、暴風となって吹き荒れる!

『ヒュウ!!』

 お返しとばかり放たれた氷凝鳥達の氷柱雨を、アンナは錆色の乙女で受け止める。ビキビキビキ……! と命中した箇所から、氷が覆っていく――そのはずだった。しかし、アンナが事前に自身に施していた氷結耐性は、飲み込むはずだった氷を内側から砕き、剥がしていく。
「この程度……?」
 アンナはすかさず、赤錆びた拷問器具を投擲。ガキン! と拷問器具に捕まった氷凝鳥が砕かれた。
 その激しい戦闘音を背後で聞きながら、ミンリーシャンは音もなく降り立った。その腕に抱かれていたのは、小さな子供だ。はぐれ、逃げ遅れたのだろう子供へミンリーシャンは小さく微笑んだ。
「私が氷凝鳥達を引き付けます。――必ず逃がしますので、生きる事を諦めないで下さいね」
「……ん」
 こくん、とうなずいた子供に、「いい子ですね」とミンリーシャンは優しく頭を撫でる。撫でられ、照れたように赤くなった子供が不意に息を飲んだ。
「ッ!? お姉――」
 ちゃん、と続くはずだった子供の言葉が、黄金色に光輝く金木犀の花びらにかき消された。隙を狙って急降下した氷凝鳥を、ミンリーシャンの金木犀の花宴(ハナウタゲ)が粉砕したのだ。
「――大丈夫ですよ」
 何事もなかったように微笑み、ミンリーシャンは子供を避難先の建物へと託す。そして、他に逃げ遅れた者がいないかと捜し始めた。

『……ヒュウ』
『ヒュウ!!』

 低く飛んでは、敵の思惑にハマる事になる――そう悟った氷凝鳥達は、一度距離を取ろうと上昇する。飛べるというアドバンテージ、それを考えれば正解のはずだ。ただ問題があったとすれば、猟兵側が一枚上手であったという事だ。

「天来せよ、輝く翼の竜の王。破壊の吐息で邪悪を打ち砕け――!」

 オリヴィアが神聖竜王の召喚(サモン・ドラゴン)によって召喚した白き翼の竜王の背に乗って、飛翔する。その輝きに、氷凝鳥達は誘われるように群がった――それもオリヴィアにとっては織り込み済みだ。
「こっちです!」
 ヒュオ! と風を切りながらオリヴィアが駆る竜王が舞い上がる。それを氷凝鳥達が追いかけた、その時だ。

『オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 殺気と共に放たれた竜王の咆哮に、氷凝鳥達の動きが一瞬止まる――わずか一瞬、一秒あるかないかの隙。だが、それで十分だった。

「今よ!」
「ノウマク サラバタタギャテイビャク――」

 スピリット・アウェーによって透明になっていたイーファの全力魔法と、肩に乗せて一緒に姿を消していたゆかりの不動明王火界咒の炎が完全な不意打ちとして叩き込まれたのだ。
 ドドドドドドドドドドドド! と巻き起こる爆発。何とか散った氷凝鳥達も、無数の電光が逃さない――頭上という飛ぶ者の死角から繰り出された、デナイルの騒がしい雷雨システム(ノイジーレイニー)だ。

「対象を穿て……!」

 轟く雷鳴が、レッドフォレストの町に響き渡る! その騒音を雨のように浴びながら、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)が呟いた。
「分かっていたが、やはり数が多いな…」
 ドン! と変形させた黒剣【オブリビオンイーター】を構え楔を射出、突き刺さった氷凝鳥から生命力を吸収していく。空中をブースターで舞いながら、テリブルは次の目標を捜した。
 四方八方、三百六十度どころではない。いたるところに的がある、まさに撃てば当たるという状況だ。
「ここまで来ると笑えてくるな」
「そうですね」
 ニコリともせず淡々と言い捨てるテリブルに、その背中の死角を補うように構えたオリヴィアが律儀に答える。やるしかないのだ――その決意と覚悟を持って、猟兵達は迫る氷凝鳥の群れを押し返していった。

●無限でなくば、終わりは来る
 膨大な数の氷の鳥も、決して無限ではない。どれだけの数を誇ろうと、限りがあればいつか終わりは来る――問題は、そこに至るまでの道のりが困難であるという事だ。
「はあ、はあ……」
 呼吸を整えながら、ミンリーシャンは仕込み杖の柄を握り直す。あらん限りの剣術と体術でしのぎ、削り、耐えきった。体は悲鳴を上げている、それでもなお引かない理由は簡単だ。

「負ける訳には行かないのです……!」

 住人を救うためなら、自分が傷つく事も構わない――ミンリーシャンを支えているのは、その強い決意だ。心が肉体を凌駕する、それは戦いの中ではおうおうとしてよくある事だ。だが、それにも限度はやはり存在する。
 一人には、限界がある。だからこそ――仲間がいるのだ。

「あたしの背後には、この世界の人々が暮らす町がある。絶対に抜かせないわ!」

 ミンリーシャンの横へ降り立ったのは、薙刀『紫揚羽』で紫の軌跡を描いたゆかりだ。ドォ! とミンリーシャンに迫ろうとしていた氷凝鳥が衝撃波に打ち砕かれ、ゆかりの肩でイーファが放った魔法が追撃した。
「大丈夫?」
「はい」
 ゆかりは式神で、イーファは自らの目で、俯瞰的視点で戦場を見ていたからこそのフォローだ。ミンリーシャンも呼吸を整え終え、黄金色に光輝く金木犀の花びらを引き連れて駆け出した。
「このまま、突っ切りましょう!」
「任せて!」
 先行するゆかりの衝撃波と、イーファの全力魔法が氷凝鳥達を粉砕していく。逃れた分を、ミンリーシャンはその手を振るい金木犀の花びらを操って切り裂いていった。
「地上側も、そろそろ仕舞いかな?」
 カルナは屋根の上を疾走しながら、言い捨てる。氷凝鳥達がそれを追いかける――カルナは身を低く駆け抜け、路地へと滑り込んだ。氷凝鳥達はそれに続いて――。

『ヒュウ!?』

 ヒュガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ! と無数に繰り出された亡者達の槍衾に、氷凝鳥達が打ち砕かれた。カルナが滑り込んだ先にいたのは、絶奈の暗キ獣(ソラト)による軍勢だった。
「おう、わりぃ。ちょっと楽させてもらうぜ」
 餅は餅屋だ、そうカルナが肩をすくめると、生き延びた氷凝鳥達が飛び上がろうとする――絶奈は、それを天から降り注ぐジャッジメント・クルセイドの光で薙ぎ払った。
「どれ程高く飛ぼうと無意味です――それに、身が竦めば回避も覚束ないでしょう」
 その直後、その一角で一気に気温が上昇した。

「……多分、氷皇竜には半端な術式は効果が無いだろうし、使える時に使うのが良さそうかな……」

 璃奈が結界の効果を己の呪詛へと転用したのだ。無数の狐火が燃え上がり、町の一部にいくつもの火柱を立ち上げた。
「呪力で強化したわたしの狐火……耐えれるものなら耐えてみると良い……」
『ヒュ――!』
 ジュ! と一部でも触れた端から氷凝鳥達が燃やされていく! その一角を見下ろし、テリブルが一気に落下した。

「全員、離れていろ!」

 その声と共に、テリブルが全長の約5.5倍――巨大なパワードスーツを装着する。10メートルを超える巨体、その肩へ刀也とクゥを駆る嵐が跳び乗った。
「頼む」
「掴まっていろ」
 ゴォ! とテリブルの巨体が宙を舞う。その巨体に相応しい機械刀を灼熱の光に包み、氷凝鳥達を薙ぎ払っていった。
 風にあおられながら必死に逃れようとする氷の鳥の頭上を取ったのは、刀也だ。
「生憎様、俺は日本刀しか使えない訳じゃないんだよ。分かったら見識の浅さを恨んで消えな」
 刀也は氷凝鳥を掴むと、一際高い教会の建物へ力の限り叩きつける! そして、逆手で引き抜いた刀で手近な氷凝鳥達を切り刻んでいった。
『オオオ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
 クゥの咆哮が轟き、ビクリ! と氷凝鳥達の動きが止まる。氷を拾っては援護射撃を繰り返し、嵐が地上へ叫んだ。
「そっちだ、頼む!」
「ええ、任されましたっ」
 嵐の言葉に答え、黒竜を駆りフレミアが氷凝鳥達を追い立てていく。遅く届く敵には、情け容赦なく黒竜の群れで蹂躙した。
「数には数で対抗するわ♪」
 自身も背の翼で飛び、黒竜を従えてフレミアが上昇していく。氷凝鳥達の逃げ場を奪っていくその動きは、頭上でも行なわれていた。
 セゲルのエレクトロレギオンで召喚された、機械兵器の群れだ。

「ここは通行止め――だ!!」

 そして、怯んだ氷凝鳥達へセゲルは応龍槍【ギュールグルド】を投擲した。ドドドドドドドドドドドドォ! と触れれば砕けると言わんばかりの勢いで、氷凝鳥達が破壊されていく――!
「あからた、片付いたようね」
 アテナが二剣を振るいながら、そう判断した。あれほどいた氷凝鳥達が、既に先遣隊達よりも少なくなっている――質が量を凌駕した、その結果だった。
 だからこそ、アテナは手を緩めない。献身の思いを胸に、追い込んでいく。
「面倒だ……石打ちの刑で討ち落としてやる!」
 ダダダダダダダダダダダダダン! と燃石打ちの刑による地獄の炎に包まれた燃え盛る石が上空へと打ち上げられていく。天へと上がる流星群は、無慈悲に氷凝鳥達を燃やし、撃ち抜いていた。

「人々の避難は完了しました。ですがあの町には、皆さんの営みが、積み上げてきた大切なものの数々が残されているのです――それを砕き無に還そうと言うのなら、この『勇者』が相手になりますッ!!」

 そして、ソラスティベルの竜の剛勇なる魂(ドラゴニックレゾン)が氷凝鳥達をまとめ、押しやっていく。町から、少しでも遠くへ――己も鼓舞して、ソラスティベルは守るべき町から敵を引き離す!

「撃ち抜け――!!」
「破壊の吐息をここに!!」

 そして、氷凝鳥達の群れをデナイルが落とした騒がしい雷雨システム(ノイジーレイニー)の電子精霊の槍が貫き、オリヴィアが全力魔法で強化した竜王の破壊のブレスが吹き飛ばしていった。
 ――そこに、もはや欠片も残らない。あれだけいた氷凝鳥達の群れが、完全に猟兵に駆逐された瞬間だった。

「いよいよ竜退治か……覚悟するしかないね……」
「ああ、そうみたいだな」
 アンナの言葉に、刀也も同意する。冷たい風が、強大な気配を連れてくる。それはまさに嵐の先触れのような――災厄の気配だった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『氷皇竜メルゼギオス』

POW   :    アブソリュート・ゼロ
【物体を一瞬で分子レベルまで氷結させる冷気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    アイシクル・ミサイル
レベル×5本の【標的を高速追尾する氷結】属性の【鋭く尖った氷の棘】を放つ。
WIZ   :    アイス・リバイブ
全身を【無限に再生する氷の鎧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷を瞬時に回復し更に負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はノエル・スカーレットです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●氷皇竜メルゼギオス
 ヒュオ――と一陣の風が、レッドフォレストの町へと行き着いた。その体はもちろん、心の芯まで凍てつかせる風は一体の竜が放ったものだった。

 暗雲から、ゆっくりとその巨体が姿を現す。その巨体を氷で覆う、氷皇竜メルゼギオスだ。

「あ、あああ、あ……」

 その威風を、つい覗いてしまった町の住人がいた。見ただけで悟ってしまう、あれは『駄目』だ。戦うとか、抗うとか、そういう想像の埒外だ。どこの世界に台風や地震、雪崩や津波と戦おうと思う人間がいるだろう? アレはそれだ、自然災害に等しい決定した『終わり』だ。

『ア、ギィル――』

 メルゼギオスが、喉を鳴らす。これは戯れだ、戯れで数千人の人間へ絶望を刻む――!

『アア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 轟く咆哮が、レッドフォレストの町を比喩でなく揺るがした。撒き散らされた冷気に、再び雪が降り注ぐ。天候さえも捻じ伏せる皇の二つ名を持つ竜は、定められた『終わり』を与えようと動き出した。

「……ちがうよ」

 だが、一人の子供が呟く。まだ、『終わり』は来ていない、と。絶望の中に残された一欠片の希望――猟兵がいてくれる限り、終わっていない。その希望は、確かに町の人々の胸に刻まれていた……。
デナイル・ヒステリカル
迫り来る竜の偉容を視界に納め、先ずはその戦力を分析します。
広範囲の無差別凍結。厄介な遠距離攻撃。瞬時の回復能力。

……どうやらグリモア猟兵の言葉は間違いなかったようですね。
本気で戦わねば勝てない、と。

ならば今は出し惜しむ時ではないのでしょう。

真の姿を解放。
自身を構成する全てから色が抜け落ちてひび割れが走り、その奥からは緑光が漏れ出します。
この状態へ移行したことによるメリットは単純明快。
出力の極大化です。

鎧を貫通し回復能力を越える大威力攻撃の為。
そして一秒でも長く行動を封じ、再生を阻害し後続の味方の攻撃を有効打とする為。

UC:轟く雷鳴をチャージ
この一撃は反撃の狼煙
決定的な隙を見極め、放ちましょう


村崎・ゆかり
さながら「雪すら退く冷気」ってところね。これが氷皇竜……。
だけど私達は退かない。冬はもう終わりよ。今は生命輝く夏なんだから!

飛鉢法で機動力を確保しつつ、巫覡神霊の舞で戦闘力向上。
攻撃が強力だというなら、攻撃させなければいい。「破魔」を込めた七星七縛符で氷竜の力を抑え込む!
成功するまで何度でも!
七縛符が効いたら、「全力魔法」「高速詠唱」「先制攻撃」の不動明王火界咒。ただしこれは目くらまし。
本命は執金剛神降臨。これでもまだ竜に比べればちっぽけだけど、あたしの「全力魔法」を込めたものよ。先端が独鈷杵になった槍で、「衝撃波」「薙ぎ払い」を叩き込む。

竜の攻撃は「オーラ防御」を「全力魔法」で展開して防ぐ。


ミンリーシャン・ズォートン
氷皇竜に冷気の攻撃は効かない……私の体術も、剣術も、私の攻撃はどれも決定打に欠けるものばかり

……だけど、大丈夫
私には出来なくても
私達なら

私は他の猟兵の援護に専念

氷皇竜へ氷の道を作り出し
近接が得意な仲間達への足場を作ったり
受け身がとれない危険な状態の仲間に氷で身体を支える又は滑らせる等
衝撃を受けないよう援護

仲間が攻撃する為
一時的に動きを止める必要があるのなら残る魔力を全て注いで氷の槍を降らせ氷皇竜の動きを封じます

闘いが終わったら
共に力を合わせた仲間達へお疲れ様でしたと声をかけ
私達を信じてくれた子供や街の人へ優しく微笑み

私達を信じてくださり、ありがとうございました。
さぁ、皆さん、帰りましょう!


御剣・刀也
お前か
なるほど。確かに皇とつくだけある。背中見せて逃げんじゃねぇぞ?
その瞬間てめぇは真っ二つだがな

アブソリュート・ゼロは第六感で起こりを察知して、射程圏外に逃げる。無理なら建物などを盾にしてダメージを極力減らす
アイシクル・ミサイルは追尾してくるので日本刀で撃ち落とすか、そらしてミサイル同士をぶつける等して突っ込み、捨て身の一撃で斬り捨てる
アイス・リバイブで回復したら、それだけ追い詰められているということなので、回復できないほどの一撃を打ち込む
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。来いよ!てめぇとおれら、どっちの鼓動が先に止まるか勝負だ!!」


オリヴィア・ローゼンタール
氷皇竜……確かに絶望と呼ぶに相応しい脅威ですね
ですが、だからといって私たちに諦めるなどという選択肢はありはしません

【神聖竜王の召喚】を維持
貴方ならば勝てると信じていますよ(祈り・鼓舞)

【氷結耐性】【オーラ防御】で竜王と自身を包み込み、吶喊する
氷の棘の弾道を【見切って】回避
追尾してきたものは尻尾で【なぎ払い】、或いは聖槍を振るって【衝撃波】を起こし撃墜する

竜王の爪牙を用いた取っ組み合いに持ち込む(空中戦・グラップル)
自身も【怪力】を以って聖槍を振るい、氷の鎧を砕く(属性攻撃・鎧砕き・部位破壊)
生身が露出したところに竜王を噛み付かせ、【全力魔法】による破壊のブレスを直接体内に撃ち込む


霧島・絶奈
◆心情
嗚呼、なんて素敵な相手なのでしょうか
闘争における最高の瞬間
それを膠着状態として永遠に愉しませてくれるなんて!
さあ、存分に愉しみましょう、この逢瀬を…

◆行動
『暗キ獣』を使用

我が軍勢を嗾け物量で攻めましょう

攻撃する端から回復し強化する力
それはいつまで続くのでしょう?
「いつまで私を愉しませてくれる」のでしょう?
飽和するまで永遠と攻撃を加え続けます

私自身は【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】【精神攻撃】し敵に【恐怖を与える】
何時までも何時までも、痛いだけで死ねないというのは恐ろしい
永遠に続く責め苦に心折られるまで…ずっと私と踊り続けましょう?

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


イーファ・リャナンシー
何なのあの再生能力は…滅茶苦茶じゃないの
【フェアリー・リング】を使って氷の鎧の生成や能力強化をもたらす力を引き剥がすわ
これさえ打ち消すことさえ出来ればそれなりに戦えるはず…!
精度が上げられるよう、敵の動きはつぶさに観察しておくわ
そうやって【アイス・リバイブ】が解除されたところに【≪全力魔法492】を叩き込んで、すぐさままた【フェアリー・リング】を使うつもりよ
キャパシティオーバーな時は、仲間の攻撃に合わせて【フェアリーリング】を発動しつつ、仲間の攻撃が上手く機能するようにアシスト、場合によっては【全力魔法492】を込めた状態で使うことも考えてみるわ

出来ることをやるしかないんなら出し惜しみはなしよ


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
ッ、思った通り、いや、思った以上に強ぇ。まるで歩く天変地異ってやつだな……!
……怖ぇ。けど、やるしかねーよな……!
おまえにとっちゃ足下の街なんて取るに足らねーんだろうけど、こっちはそういうわけにはいかねえんだ……!

無限再生する氷の鎧ってのが厄介だから《逆転結界・魔鏡幻像》で正反対の力をぶつけて相殺する。他の攻撃も、打ち消せるもんがあるなら自分や仲間を守るんも兼ねて打ち消しを試みる。
あとは炎や熱の〈属性攻撃〉を仕掛けたり、手近な距離にいる仲間を〈援護射撃〉〈鼓舞〉で盛り立てたり、向こうの攻撃を〈フェイント〉〈目潰し〉で妨害したりして、戦闘を有利に進めるように持っていく。


ソラスティベル・グラスラン
……恐ろしい、です
ですが、同時に……ふふ、ワクワクしていますよ
まるで、英雄譚のようではないですか!!【鼓舞】

恐るべき冷気
彼の竜から広範囲に放たれるそれを回避は困難
【盾受け・オーラ防御】で軽減し!せめて味方を【かばう】!
後は、【気合】で耐え抜きますッ!!


凍る
意識が消えかける
それでもここで倒れてしまえば、町が、民が

ならば【勇気】を手に立ち上がるのです…!

此処に誓うは、不退転の意思!
勇者とは、―――誰より、前に立つ者ッ!
これがわたしの、【勇者理論】!!!

災厄の化身たる竜へ飛ぶ
碌に動かない体を意思一つで支え、大斧に激しい雷を宿す
勇者の大斧よ、蒼雷の竜よ、今こそ応えて
暗雲を晴らす、刹那の力を―――ッ!!


フレミア・レイブラッド
会いたかったわ、氷皇竜メルゼギオス。
さぁ、心行くまで戦いを楽しみましょう。

互いに皇の名を関する竜同士…どちらが上か試してみるとしましょう♪

【ブラッディ・フォール】で「終焉を呼ぶ黒皇竜」の「黒皇竜ディオバルス」の力を使用(黒皇竜の翼や尻尾等が付いた人派ドラゴニアンの様な姿に変化)。
自身の周囲に【念動力】で膜を張り、冷気の影響を抑え、防御力を高めるわ。
敵の氷の棘や冷気を【インフェルノ】で相殺。
敵の動きを【見切り】、【残像】を残す程の高速で敵の周囲を飛行しつつ【インフェルノ】や【黒皇竜の一撃】で攻撃。
敵のアブソリュート・ゼロには【カタストロフィ・ノヴァ】で対抗するわ!
力尽きるまで消し飛ばすのみ!


雛菊・璃奈
信じてくれてる人達の為にも、負けるわけにはいかない…!

【九尾化・魔剣の媛神】の封印解放…。
無限の魔剣を展開し、一斉斉射で敵のミサイルを迎撃…。
【見切り、第六感】とUCによる超神速で敵の攻撃を回避しながら接近し、九尾乃神太刀の不死と再生を無効化する力とバルムンクの竜殺しの力による二振りの剣での連続斬撃で追い込んでいくよ…。
神太刀は『神を断つ刀』…不死殺しの刃と竜殺しの刃は貴方の無限の再生を止める…!
アブソリュート・ゼロはUCで解放した呪力で【呪詛、オーラ防御、全力魔法、高速詠唱】による呪力守護壁で防御…。
最後は無限の魔剣の力を集約させた【ultimate】の一撃で完全に息の根を止めるよ…!


仇死原・アンナ
あれが竜…
巨大だ…何より寒い…
だが…屠ってやろう…ワタシは処刑人だ…!

同行者と共闘

[氷結耐性]を施し戦闘

[ジャンプ、空中戦]で空を飛び回りながら
鉄塊剣を振り回し[怪力、鎧砕き、2回攻撃]で敵を攻撃し
さらに[串刺し、傷口をえぐる、部位破壊]も使用
敵が絶命するまで氷の鎧を破壊し続けてやる

敵の攻撃は[オーラ防御、武器受け]で防御し
[見切り、残像]で回避いよう

「氷を支配する竜よ、地獄の炎で焼き裂かれよ!」
[力溜め、属性攻撃、衝撃波]を利用した【火車八つ裂きの刑】を振り放ち
敵も氷をすべて融かし焼き尽くしてやろう…!

戦いが無事に終わったら、暖かい物でも食べたいな…

アドリブ絡みOK


カルナ・ボーラ
やべぇのは雰囲気だけじゃ無さそうだな。
こうもカチンコチンだと爪も立てられねぇじゃねえかよ。

つーか、なんだこの冷たさ。
さっきから寒さで鼻ん中がツーンと痛むは、そうでなくても全身は悴むはでしんどいんだけど。
このまま行くと文字通り手も足も出せなくなんじゃねえの、実際手足も凍ってきてるし。

……まぁ、いいか。いや、よくねーけど、それでどうにもならなくなるカルナさんってわけじゃないからな。

んじゃ、仕掛けさせてもらうぜ。
あんたのやることには興味はねーが、その向こうには興味があるしな。

あぁ、あんたの所為で“見えなくなってる”もんがあんだろ?
こうも雲が厚くちゃ、せっかくの月夜が台無しだろうがってことだよ。



●威風堂々
 暗雲から、ゆっくりとその巨体が姿を現す。どこまでも澄んだ氷塊の色、荒々しくありながら神々しさすら感じさせる巨竜の氷像がごとき竜が大地に降り立った。
「……どうやらグリモア猟兵の言葉は間違いなかったようですね。本気で戦わねば勝てない、と」
 その威風から戦闘能力を察知して、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は呟く。広範囲の無差別凍結。厄介な遠距離攻撃。瞬時の回復能力――デナイルの周囲に表示されるステータスは、どれもこれもが文字通り『桁』が違った。
「さながら「雪すら退く冷気」ってところね。これが氷皇竜……」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)も、体の奥から来る震えを感じていた。恐怖ではない、もはやその威風堂々たる皇に相応しい姿は見た者に感動させ与えるのだ。
 まるで、雪山の山頂から凍てつく光景を目撃したような――もはや、現実感さえ喪失させる圧倒的光景。氷皇竜メルゼギオスの姿は、それを思わせた。
「だけど私達は退かない。冬はもう終わりよ。今は生命輝く夏なんだから!」
「氷皇竜……確かに絶望と呼ぶに相応しい脅威ですね。ですが、だからといって私たちに諦めるなどという選択肢はありはしません」
 吹き抜ける肌を裂くような冷たさを前に、言い切ったのは白き翼の竜王に跨ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だ。金の瞳に宿るのは、いくつもの絶望を踏み越えてきた者の強い意志だ。

『ア、ギィル――アア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「――ッ!」

 レッドフォレストの町を揺るがす、メルゼギオスの戯れ。叩きつけられる衝撃さえ伴う咆哮を前に、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)はぽつりとこぼした。
「……恐ろしい、です」
 その恐怖を、誰が笑えただろうか? いや、ソラスティベルの声色にこそ笑みが宿っていた。
「ですが、同時に……ふふ、ワクワクしていますよ。まるで、英雄譚のようではないですか!!」
 まさに神話伝承の領域に踏み入った敵だ。一歩、また一歩と地響きを立てて歩み寄る巨竜に、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が吐き捨てた。
「ッ、思った通り、いや、思った以上に強ぇ。まるで歩く天変地異ってやつだな……!」
 体から勝手に、力が抜ける。捕食者を前にした被捕食者は、抵抗しない。逃げるのは逃げられると悟った時だけ――絶望と諦観が、抵抗を奪うからだ。
 寒さからか恐怖からか合わない歯の根の震えに、しかし、嵐が強引に一歩前へ踏み出した。
「……怖ぇ。けど、やるしかねーよな……! おまえにとっちゃ足下の街なんて取るに足らねーんだろうけど、こっちはそういうわけにはいかねえんだ……!」
 嵐の言葉に、笑みさえ浮かべうなずいたのはミンリーシャン・ズォートン(綻ぶ花人・f06716)だ。
「氷皇竜に冷気の攻撃は効かない……私の体術も、剣術も、私の攻撃はどれも決定打に欠けるものばかり……だけど、大丈夫。私には出来なくても――私達なら」
 一人ではない、ここには多くの仲間がいる――ならば届くはずだ、届かなければ嘘だ。そして、何よりも――。

「信じてくれてる人達の為にも、負けるわけにはいかない……!」

 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が告げた想いこそが、全てだ。
 勇者。復讐者。冒険者。探索者。討伐者。聖者。邪悪。ヒーロー。ヴィラン。漂流者。不思議の住人。呼び方は、どうでもいい。いかなる過去にも立ち向かい、現在を守り未来へ導く者をどんな世界でもひとまとめにこう呼ぶのだ――猟兵、と!

 だが、それはまた過去も同じ事。オブリビオンと呼ばれる存在の一つ、氷皇竜メルゼギオスは猛った。

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 アブソリュート・ゼロ、あらゆる運動エネルギーを喪失させる絶対の冷気が巨竜を中心に放たれた。

●自然の脅威
 ――ほんの刹那、瞬きさえ必要のない一瞬で世界は凍った。
「やべぇのは雰囲気だけじゃ無さそうだな。こうもカチンコチンだと爪も立てられねぇじゃねえかよ」
 何気なく呼吸しただけで、肺が疼く――カルナ・ボーラ(解体する眼差し・f14717)が白い吐息と共に言い捨てた。
「つーか、なんだこの冷たさ。さっきから寒さで鼻ん中がツーンと痛むは、そうでなくても全身は悴むはでしんどいんだけど。このまま行くと文字通り手も足も出せなくなんじゃねえの、実際手足も凍ってきてるし」
 気を抜けば、意識が持っていかれる。そして、そうなれば『終わり』だ――その自覚を持って、カルナはこちらへ歩み寄る氷皇竜メルゼギオスへ言い捨てた。
「……まぁ、いいか。いや、よくねーけど、それでどうにもならなくなるカルナさんってわけじゃないからな。んじゃ、仕掛けさせてもらうぜ。あんたのやることには興味はねーが、その向こうには興味があるしな」
 カルナは、身構える。パキリ、と凍った地面を踏みしめ曇天を指で示した。
「あぁ、あんたの所為で“見えなくなってる”もんがあんだろ? こうも雲が厚くちゃ、せっかくの月夜が台無しだろうがってことだよ」
 次の瞬間、カルナの『視線』が走る。解体する眼差し(スライス・アンド・ダイス)の『視線』が冷気を切り裂き、メルゼギオスへと届いた。しかし、その厚く硬い体表に薄っすらと切断痕を刻むのがやっとだ。決して軽い一撃ではない、受けた側がおかしいのだ。
 まるで小枝に当たったかのように歩を緩めない巨竜の姿に、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は聖女とは真逆の笑みを浮かべて言った。
「嗚呼、なんて素敵な相手なのでしょうか。闘争における最高の瞬間、それを膠着状態として永遠に愉しませてくれるなんて!」
 ぞぶりと、歓喜と共に疫病を纏う屍獣の群と屍者の軍勢の槍衾が、絶奈の背後から現れる。蒼白き燐光の霧をまとって異端の神々の似姿暗キ獣(ソラト)へと変身した絶奈が、思いのまま軍勢を解き放った。

「さあ、存分に愉しみましょう、この逢瀬を……」

 咆哮が、気勢が、氷となった大地を埋め尽くしていく。究極の個へ挑む物量は、しかし、群がる端から蹴散らされていく。槍も爪牙も疫病も、届いているはずだというのにそれらはすべて身を覆う氷に塗り潰されていった。
「何なのあの再生能力は……滅茶苦茶じゃないの」
 死の河という物量を凌駕する再生能力、メルゼギオスのアイス・リバイブをその目にしてイーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)がこぼす。乾いた笑みが漏れる……否、乾いた笑いしか出ない。
「あれが竜……巨大だ…何より寒い……だが……屠ってやろう……ワタシは処刑人だ……!」
 自らに氷結耐性を施し、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)が跳んだ。アンナが振りかぶった錆色の乙女がまとうのは、絶対の凍気の中でさえ燃え上がる地獄の炎だ。放たれたアンナの薙ぎ払いの斬撃を、メルゼギオスはかわしも受けもしない。溶かされた氷は瞬時に凍てつき、傷跡を塞いでいく――そして、メルゼギオスはその場で横回転。その尾でアンナを襲った。
「ちょ!?」
 それを見て、イーファは即座に全力魔法で牽制する。巻き起こる爆発、振り払われるはずだった尾の軌道がそれで、地面を砕いた。
「お前か――なるほど。確かに皇とつくだけある。背中見せて逃げんじゃねぇぞ? その瞬間てめぇは真っ二つだがな」
 その間隙、メルゼギオスの巨体へ一気に駆け上がった御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が獅子吼を抜刀した。放たれた居合の一閃はメルゼギオスに切り傷を刻むが、己の血すら凍らせる冷気がすぐに傷跡を刻むのみだ。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥ!!』
「ハッ――!」
 メルゼギオスの前蹴り、その一点に集中させた足の爪が自分に迫るのを見て刀也は笑うしか無い。まるで塔を叩きつけられているような気分だ、その鋭い一撃を刀也は第六感任せに紙一重で回避した。
「ハハハ、ふざけやがって!」
 刀也が笑うしかなかったのは、その迫力や威力からではない。バキン、と氷を踏み砕き、メルゼギオスが腰を落とす。氷塊による異形の左腕を前へ、右の拳を腰のあたりに引く――笑いの原因は、その動きに確かな術理があったからだ。
 人を真似たのか、あるいは二足歩行が行き着く領域が同じなのか。体術と呼べるものが、そこにはある。
「今は出し惜しむ時ではないのでしょう」
「ええ、まったく」
 デナイルの評価に、ゆかりは全力で同意する。ゆかりが巫覡載霊の舞によって豪奢な薙刀を持つ、金色に光り輝く神霊体へと変身した。その横で――デナイルは、己の真の姿を呼び起こす!
 バキン、とデナイルの体に亀裂が走り、その奥からは緑光が漏れ出す――次の瞬間、全てから色が抜け落ちた欠片をこぼしながらデナイルが駆け出した。

「――さぁ、いきましょうか」

 抜剣し構えた状態のアイスレイピアを眼前に構え、ミンリーシャンが†.゚・~Freezing World~・゚。†(ヒョウケツノセカイ)を発動させる。バキン――! と青い瞳が見通す全域に駆け巡らされたのは氷の道、メルゼギオスを囲む牢獄がそこに生み出された。
 ミンリーシャンが生んだ氷の道を足場にしてデナイルが緑の軌跡を描いて襲いかかり、ゆかりが薙刀を振るって衝撃波を放つ。電光と衝撃が轟くそこへ、頭上へと舞ったオリヴィアが白き翼の竜王の首を撫でた。
「貴方ならば勝てると信じていますよ」
 オリヴィアにとっては真摯な祈りであり、竜王にとっては何物にも勝る鼓舞となる――咆哮と共にメルゼギオスの頭上から竜王が襲いかかった。
『ジャアア!!』
 それに迎撃の左拳をメルゼギオスが返す。その拳打をオリヴィアは、破邪の聖槍を振るって起こした衝撃波で威力を相殺した。
 ゴォ!! とメルゼギオスの拳と竜王の爪が激突する! 氷の地面が砕けるほどの衝撃が、戦場を駆け抜けた。

「我が眼前に立ち塞がる全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」

 璃奈が、莫大な呪力のオーラを纏う九尾の姿へ変化していく。九尾化・魔剣の媛神によって開放された璃奈の真の姿だ。呪力に耐えきれず、周囲の氷が砕け散っていく――そして、呪力は無限とも言える終焉の魔剣を構築していき、一斉に掃射した。

『アギィル――!!』

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガ! とメルゼギオスはアイシクル・ミサイルによって終焉の魔剣を撃ち落としていく。だが、量の差は明白だ。鋭く尖った氷の棘から逃れた魔剣が、巨竜へと突き刺さっていった。
『ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
 わずらわしい、そう言いたげに璃奈へとメルゼギオスは尾の一撃を放つ。その一撃を庇って受け止めたのは、ソラスティベルだ。
「ぐ、う――!!」
 オーラに包まれた竜の翼を模した漆黒のバックラーが、軋みを上げる。体中が上げる悲鳴を強引にねじ伏せて、ソラスティベルはメルゼギオスの尾を完全に受け止めた。
『―――!』
 直後、ドン! とメルゼギオスの顔面で爆発が起きた――嵐の炎属性を込めた、援護射撃だ。
「頼んだ!」
「ええ!」
 嵐に答えたのは、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)だ。その姿は普段とは違う――ブラッディ・フォールによって変身した、黒皇竜の力を宿した姿だ。黒き揺らし、黒き鱗と爪に覆われた足で跳躍――黒の龍鱗を宿した拳を握って、フレミアは言った。

「会いたかったわ、氷皇竜メルゼギオス。さぁ、心行くまで戦いを楽しみましょう。互いに皇の名を関する竜同士……どちらが上か試してみるとしましょう♪」

 激突する黒と蒼、質量の違う二つの皇の拳が互いを否定するように炸裂した。

●氷の皇

 ――それは、まさに神話の再現だった。

 メルゼギオスへと迫る、死の軍勢。それを蹴散らす氷皇竜が周囲を破壊すれば、瞬く間に氷の道が再生され取り囲んでいく。炎が踊り、魔剣が降る。電光と衝撃が巨竜を打ち、皇竜へ竜王が挑んでいく――その一瞬一瞬が、まさに見る者の常識を塗り潰すものだった。
「それはいつまで続くのでしょう? 「いつまで私を愉しませてくれる」のでしょう?」
 夢見るような、歌うような呟きで絶奈が微笑む。蒼白き第四の騎士、世界を滅ぼす四分の一の力にさえ抗う強大なる生命に、尊敬の念さえ抱く想いだった。

 傷を負えば負うほど、強くなる――氷皇竜メルゼギオスの膨大な生命力。だが、いかに膨大であろうとそれは『無限』ではないのだ。

『アギィル――――!!』
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず。……幻遊びはお終いだ」

 メルゼギオスのアイシクル・ミサイルを嵐は逆転結界・魔鏡幻像(アナザー・イン・ザ・ミラー)で対抗した。まさに鏡写し、放たれた同数の鋭く尖った氷の棘はまったく同じ軌道で相殺される!
 吹き荒れる暴風、激突の衝撃で起こったブリザードが視界を白く染め上げる。嵐はそのまま吹き飛ばされながら、叫んだ。

「来るぞ!!」

 そのホワイトアウトした純白の中を、メルゼギオスが前へ出る。繰り出される左拳、それを迎撃したのは――ゆかりだ。
「オン ウーン ソワカ。四方の諸仏に請い願い奉る。其の御慈悲大慈悲を以ちて、此の時此の場に御身の救いの御手を遣わしめ給え!」
 ゆかりの背後に姿を現したのは、甲冑と金剛杵で武装した執金剛神だ。ゆかりが突き出す薙刀『紫揚羽』の動きに合わせ、執金剛神が金剛杵を放ち――メルゼギオスの左腕を覆う氷を粉砕した。
 メルゼギオスが、衝撃に一歩後退する。即座に氷で覆って回復しようとした、その時だ。

「あっちへ行っちゃいなさい!」

 その氷が、イーファが展開した亜空間へ繋がる光のゲート――フェアリー・リングに飲み込まれていく! 無限とも思える回復能力、それを奪ったイーファが一瞬。オリヴィアは、決して見逃さなかった。

「行きます!」

 オリヴィアの気勢に背を押され、竜王が駆け抜ける。メルゼギオスの首元、そこへ竜王が牙を突き立てるのと同時、オリヴィアが全力魔法を発動。零距離での破壊のブレスが、炸裂した。

『ガ、アアアア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 喉を内側から灼くブレスを受けて、メルゼギオスは竜王を強引に引き剥がしオリヴィアごと投げ飛ばす! オリヴィアのフォローを受けた竜王のブレスは、確かにメルゼギオスへ大ダメージを与えた。だが、まだだ――メルゼギオス側も、もちろん猟兵側も。

「此処に誓うは、不退転の意思! 勇者とは、―――誰より、前に立つ者ッ! これがわたしの、【勇者理論】!!!」

 災厄の化身たる竜へと、ソラスティベルが飛ぶ。視界が凍る。意識が消えかける。それでも、ここで倒れてしまえば、町が、民が――『終わる』。

「ならば勇気を手に立ち上がるのです……!」

 それが勇者、ソラスティベルが目指す者。その憧憬を勇気と共に大斧へ――碌に動かない体を意思一つで支え、大斧に激しい雷を宿す!

「勇者の大斧よ、蒼雷の竜よ、今こそ応えて暗雲を晴らす、刹那の力を―――ッ!!」

 頭上から落ちる雷撃。あるいは、その一撃だけならば対応できたかもしれない。それほどの危うい紙一重、その刹那を待っていたのはソラスティベルだけではなかった。

「PSIプログラム実行……収斂完了」

 メルゼギオスの足元、握り締めた拳に雷に匹敵する放電現象を宿してデナイルが突き上げる!

 ――ドン! と二条の電光が、上と下からメルゼギオスを挟撃した。ソラスティベルの我が名は神鳴るが如く(サンダラー)が竜の鱗を焼き切り、デナイルの轟く雷鳴(ライトニングストライク)が巨竜の動きを止めた。
「この一撃は反撃の狼煙だ」
「ええ、この好機逃しません」
 デナイルの言葉と同時、ミンリーシャンの†.゚・~Freezing World~・゚。†(ヒョウケツノセカイ)がメルゼギオスを包囲していく。その氷の道を進軍するのは、絶奈の疫病を纏う屍獣の群と屍者の軍勢だ。
「何時までも何時までも、痛いだけで死ねないというのは恐ろしい。永遠に続く責め苦に心折られるまで……ずっと私と踊り続けましょう?」
「神太刀は『神を断つ刀』……不死殺しの刃と竜殺しの刃は貴方の無限の再生を止める……!」
 絶奈の【Guilty】による乱舞が、璃奈の妖刀・九尾乃神太刀の斬撃が、メルゼギオスを捉える。それだけではない、屍獣の群と屍者の軍勢は璃奈の魔剣を次々と手に取ると巨竜へと突き立てていった。

『アギィル、アアアアアアアアアアアァアアアアアアァアアアアアアッ!!』

 しかし、メルゼギオスの心は折れない。巻き起こすアブソリュート・ゼロ――物体を一瞬で分子レベルまで氷結させる冷気を渾身で開放する!

「ならば、力尽きるまで消し飛ばすのみ!」

 それを真っ向から受けて立ったのは、フレミアだ。放つのは、黒皇竜の一撃カタストロフィ・ノヴァ――全てを凍てつかせるゼロと全てを破壊するノヴァが、今、ここに激突した。
 黒皇竜と氷皇竜の力の激突は、その間にあるモノ全てに存在を許さない。完全なる空白を生み出す爆発――その爆風を刀也は一気に駆け抜けた。

「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。来いよ!てめぇとおれら、どっちの鼓動が先に止まるか勝負だ!!」

 刀也の捨て身の獅子吼が、メルゼギオスを切り裂いた。吹き出る竜血、それでもなお膝を屈しない氷皇竜へ、アンナは錆色の乙女の刀身にまとわせた地獄の炎を放った。

「氷を支配する竜よ、地獄の炎で焼き裂かれよ!」

 切り上げた刃の軌道に沿って走った地獄の炎が、大きくメルゼギオスを焼き切る! なおも前へ出ようと踏み出す巨竜を――カルナは見上げた。

「邪魔だ――」

 ヒュガ! と解体する眼差し(スライス・アンド・ダイス)の『視線』が、空へと通る。両断されて崩れ落ちる巨竜、曇天さえ切り裂いた『視線』の先に確かに月が浮かんでいた。

「――月が見えないだろう?」

 ようやく見えた月に、カルナは晴れ晴れとした気分でそう言い捨てた。

●――――歓声

 レッドフォレストの町が、大きく揺れた。しかし、それは絶望からではない歓喜から来る揺れだ。
 数千人の歓声が、夜空へ響く。その声を聞きながら、アンナは小さくぼやいた。
「暖かい物でも食べたいな……」
 仲間達が、誰からともなく笑みをこぼす。食欲があるという事は、生きているという証だ。
「お疲れさまでした……あら」
 仲間達にミンリーシャンが労いの声をかけていた時、町の一部の人々が耐えきれなくなったように避難場所から雪崩出てきた。ふと、ミンリーシャンはその中に自分が助けた一人の子供の姿を見つけた。ミンリーシャンは、優しく微笑んだ。

「私達を信じてくださり、ありがとうございました――さぁ、皆さん、帰りましょう!」

 ここに、氷皇竜の脅威は去った。絶望は希望へと、猟兵達の勇気ある戦いは伝説としてレッドフォレストの町に長く語り継がれていく事だろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月29日


挿絵イラスト