●
ダークセイヴァー。
夜と闇に覆われ、異端の神々が跋扈するこの世界の人々は、すでにヴァンパイア……オブリビオンに支配されて久しい。
ヴァンパイア達は眷属となるオブリビオンを呼び寄せ、世界をさらに破滅へと導く。
この世界を守る為、多くの猟兵達がこの世界へと身を投じている。
彼らの活躍もあり、ヴァンパイア達は次々に骸の海へと還されてしまっている。
――このままでは、ダークセイヴァーにおけるヴァンパイアの優位性が崩れてしまう。
そう考えるヴァンパイア、眷属もちらほらと現れていたようだ。
オブリビオン、『アネモネ・ブランシュ』。
黒い翼を持つ彼女は生前、忌み子として幽閉され、外の世界を知らぬままに生涯を終えたとされる。
別に、人々を恨んでいるわけではない。ただ、彼女は愛されたかっただけだった。
しかし、オブリビオン……眷属として復活した今、彼女は自分を求めてくれるヴァンパイアの為に力を尽くし、クモ達を使って各地の集落を襲撃している。
恨みを返す為というわけではない。
ただ、求められるままにアネモネは人々を襲う。これが自らの存在意義とでもいうように。
「猟兵……厄介な存在ですね」
このままでは、愛情を注いでくれる大切な人達までもいなくなってしまう。だからこそ、ここで手を打っておきたいとアネモネは考えていた。
「アモウ、いますか?」
「なんだい、アネモネ姉さん」
アネモネが呼び寄せたのは、8本の足を持つあどけない少年の仕草をした『深海蜘蛛アモウ』だ。
自身に好意を寄せてくれる配下。それでも、アネモネは距離の取り方にやや戸惑いを見せながらも、彼へと指示を出す。
「……この地域にある浜辺の集落を襲おうと思います」
「襲えばいいんだね? 今回の人間はどんな顔するかなあ」
無垢な少年に見えて、アモウは人間に憧れるあまり血を吸い殺す残忍な面がある。
猟兵を釣り出すのであれば、彼で十分とアネモネは考えていた。
最悪、別のクモ達を使って自ら攻め立てれば、猟兵とて無事では済まないだろう。
「それじゃ、行ってくるよ、姉さん。無事を祈っててね」
早速、現地へと向かうアモウ。その後ろ姿を、アネモネはやや冷めた表情で見つめていたのだった。
●
グリモアベース。
様々な世界における予知を行う金髪エルフ、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)は自らが目にした事件の解決に当たる猟兵を求め、呼びかけ続ける。
皆、忙しいことは重々承知してはいるが、それでもと呼びかけを行う彼女は、足を止めてくれた猟兵へと感謝を示す。
「ありがとう。話を聞いていただいて嬉しいわ」
セレインは笑顔を浮かべ、一息ついてから話を始める。
依頼は、ダークセイヴァーのオブリビオン討伐だ。
このところ、ダークセイヴァーのヴァンパイアが猟兵に討伐され続けていることを彼らも察しているらしい。
「オブリビオンの中に、猟兵を誘い出して狙おうと目論む者がいるようよ」
セレインが予知したのは、アネモネ・ブランシュという黒い翼を生やした堕天使だ。
この地に生まれ育った彼女は黒い翼を持って生まれたが為に、迫害に遭いながらも亡くなったそうだ。何らかの種族の血を引いていたのだろう。
そんな彼女はオブリビオンとなり、ヴァンパイアの眷属となった。愛を求めながらも自らを求めるヴァンパイアの為にと、人々を襲い続けている。
「アネモネはとある浜辺の街に狙いを定め、クモと融合したような少年アモウを差し向けているわ」
その少年は、水中に住まう大蜘蛛『深海蜘蛛アモウ』だ。
彼はアネモネを姉さんと慕い、彼女の指示通りに動いている。
あどけない少年のような姿をしているが、人間に憧れる彼は襲った人間の血を吸いつくしてしまうのだという。
「アネモネはアモウを囮として、皆が来るのを待っているようよ」
別のクモを従えているのを、セレインは予知で目にしている。警戒は行ってしかるべきだろう。
一通り説明を終え、参加する猟兵を確認した彼女は先んじてダークセイヴァーへとテレポートする。そちらから参加希望のメンバーを彼女が召喚するのだ。
「それでは、現地でまた。よろしくお願いするわね」
セレインは笑顔を浮かべ、グリモアベースから姿を消していったのだった。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
とある波辺の村に現れた蜘蛛の姿をした少年。
人々を襲ってくるようなので、討伐を願います。
どうやら、彼は猟兵を誘い出す為の囮のようですが……。
こちらのシナリオでは、
第1章は、『深海蜘蛛アモウ』とのボス戦。
第2章は、『もく』との集団戦。
第3章は、『籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』』とのボス戦に臨んでいただきますよう願います。
まずは、浜辺の集落に住む人々を襲う深海蜘蛛アモウの討伐を願います。
彼は彼で人々を楽しんで襲っているようですが、どうやら猟兵を誘い出す為の囮になっていることも自認している様子です。
彼を倒し、後続のオブリビオンの討伐を願います。
章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆しますので(前章終了から半日以内を目途に)、そちらが確認できましてからプレイングを手掛けていただければ幸いです。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『深海蜘蛛アモウ』
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POW : ボクの世界へようこそ!
【吐いた糸】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に張り巡らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : きみはとてもおいしそうだ!
【血を欲する本性】に覚醒して【完全体の蜘蛛】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ゆるさない、ゆるさない、ゆるさない
レベル×5体の、小型の戦闘用【毒蜘蛛】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:moya
👑11
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操吊・蜘蛛
うーん、なんとなくシンパシー。なんてね。ボクは安物でもヒーローなわけで、はりきってブッ飛ばしちゃうぞー。
「蜘蛛の巣」で君の糸を上書きさせてもらおうかな。お互い化物同士だ、こりゃー負けらんないなぁ。とりあえず、こういわなきゃいけない気がする。そのキレーな顔をフッ飛ばしてやるっ!(怪力、罠使い、呪詛)
あとは先回りしてそこら中にボクの巣を張ってしまおう。相手は蜘蛛使いらしいけど……ボクにも蜘蛛としての矜持があるからね、対抗意識さ
煌天宮・サリエス
……オブビリオンを見ると、私に刻まれた死者達の記憶が私の感情が復讐せよと私に語りかけてくる。
ユーベルコード【破綻式:天堕機神】を起動。
周囲の無機物を取り込み、鋼鉄の天使が君臨する。
融合する際に使う無機物は、『惨劇の記憶』の呪詛を漂流物に流し込むことで調達する。
ロボの武装はロボのサイズの2分の3の大きさの斧槍で、吐いた糸や張り巡らされた糸を断ち切るような【範囲攻撃】を行う。
相手の攻撃は【オーラ防御】と【武器受け】、『時天使の秘盾』による【盾受け】によって、糸の威力を減衰させ受ける。
囮の蜘蛛も、堕天使も……すべて、すべて等しく滅ぼし、この地に救済をもたらそう。
アウレリア・ウィスタリア
黒い翼
堕天使
忌み子
そう、ですよね……
ボクは……私は会わないといけない気がします
別に会ったからといって何か変わるわけではないのですが
……ボクはお前の主人に会いたい
だからお前を滅ぼします
手首を切り裂き流れ出た血を血糸に
蜘蛛の糸には血の糸で対抗しましょう
手に持つ鞭剣には【蒼く凍てつく復讐の火焔】の焔を纏わせ
毒蜘蛛を凪ぎ払い凍てつかせましょう
戦場に障害物や死角があれば血糸で罠を張り巡らせ一網打尽にしましょう
出来そうになければ空と陸を駆け回り
敵に囲まれないように気をつけて攻めましょう
接近する隙があれば鞭剣で首を狙いましょう
首をはねれば、その無垢な悪意を黙らせることができるでしょうから
アドリブ歓迎
スピネル・クローバルド
WIZ判定の行動
アドリブ等歓迎
■心情
囮を使って私達を誘き寄せる、ですか。
ですが悪しき目論見を打破するためにも、放ってはおけませんね。
■行動
フォックスファイア(UC)で戦います。
【存在感】や【殺気】で、囮となっている敵の注意をこちらに惹きますね。
戦闘では、毒蜘蛛を召喚されたら
UCを【属性攻撃】で炎属性を強化しつつ【高速詠唱】で唱え
【全力魔法】で攻撃しますね。
一体の毒蜘蛛に一体ずつの狐火を当てて、毒蜘蛛を消滅させます。
毒蜘蛛の攻撃は【見切り】で避けたり【盾受け】や【武器受け】で防御。
毒蜘蛛に攻撃されても【毒耐性】で耐えますね。
深海蜘蛛アモウに対しては
狐火を合体強化させて、一気に集中攻撃しますね。
宇冠・龍
由(f01211)と参加
「由、お互い頑張りましょうね」
愛することは尊いことだと思いますが、人々に被害が出ている以上、その愛を正しいこととする訳にもいきません
弱肉強食が世の摂理とはいえ、私たちもオブリビオンを狩る猟兵なのですから
(待ち伏せですか……浜辺の村なら、海から伏兵が襲い掛かってくる可能性もありますね)
【竜逢比干】で夫の霊を召喚
海に逃げ込まれることも考慮し、広範囲の冷気で海を凍らせます
そのまま人々を巻き込まないように、毒蜘蛛を一掃していきましょう
水辺に住まうなら、その身に浸された海水は凍ることで絶対の鎖となるはず
氷と風を纏った槍をアモウに刺し込み、氷結させて動きを封じます
宇冠・由
お母様(f00173)と参加
「後ろはお任せ下さい」
お母様も、人々も守り切ってみせますわ
待ち伏せ結構、囮結構、策ごと全部まとめて受け止めるまでです
決意と想いを胸に、人々をかばうように、他の方が行動しやすいように立ち回ります
私は空飛ぶヒーローマスク。空中戦は大の得意、燃える身体で相手の注意を引きつけおびき寄せますわ
(そういえば、蜘蛛って飛びますし、意外と足速いんですよね。注意しませんと)
地を這う蜘蛛の糸にはかかりませんし、ブレイズキャリバーの炎で焼き切って差し上げます
二振りの火炎剣で糸に絡まった人がいれば助け、張り巡らせられた糸を次々に焼いて地の利を向こうから取り戻します
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと
(糸で近づきにくい)
遠目だば、あんな美少女を倒すなんて忍びない
せめて倒す前にぜひお近づきになりたいよ
UC【突き食む求愛】
おや、やっかいな毒蜘蛛がこちらに
僕たちの距離を阻むというのか
障害は小鳥たちで取り除いて見せよう
道は開いた、エウトティア、行くぞ!
僕も剣の攻撃で支援して行こう
なんと!とても美しい少女…いや、少年だったのか
しかし美人…本当は女の子ではないのかい?
※アドリブ大好き。追加省略絡みご自由に。
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加。
レニー殿(f00693)と連携するのじゃ。
ふむ、一見少女に見えるが…まあ、レニー殿が喜んでおるようじゃし指摘するまでもないかの。
(属性攻撃+援護射撃)
まずは毒蜘蛛に対応しないといかんのう。数が多いようじゃが耐久面は普通の毒蜘蛛とあまり変わらぬようじゃな。それなら対処のしようはあるか、視界内の毒蜘蛛に敵意を向けて風の精霊で一掃するのじゃ。
(動物使い+騎乗)
さて、道は拓いたようじゃの。このまま巨狼マニトゥに騎乗してレニー殿と共に進み『深海蜘蛛アモウ』へ斬り込むのじゃ。
マニトゥ!お主の牙で切り裂いてやるのじゃ!
※アドリブ・連携歓迎
リーヴァルディ・カーライル
…ん。お前達がどんな存在で、どんな目的があるにせよ。
罪もない人達の生命を脅かして良い理由にはならないわ。
心の傷口を抉るような邪神の精神攻撃を呪詛耐性と気合いで耐え、
左眼の聖痕の封印を解きUCを発動
敵の動きを暗視を頼りに見切り、殺気を感じたら武器で受け流すように心掛け、
黒炎を利用して“分身の呪詛”を多重発動する
…お前を助けに来る者は誰もいない。
その点だけは憐れんであげる。
無数の残像を敵の周囲に展開して突撃させ、
囮にした黒炎の分身達が敵の時間を焼き動きを止める時間属性攻撃の後、
生命力を吸収する大鎌を怪力任せになぎ払うわ
…だけど、人々の営みを破壊するならば容赦はしない。
骸の海に還るが良い、深海蜘蛛。
●
ダークセイヴァー某所。
事情を聞いた猟兵達は、オブリビオンが襲うという浜辺の集落を護る為に現地へと赴く。
「由、お互い頑張りましょうね」
人派ドラゴニアンの女性、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)が同伴の女性へと声をかける。
「後ろはお任せ下さい」
宙に浮かぶうさぎのヒーローマスク、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は、家族であり恩人でもある龍を含め、この地の人々も護りきろうと意気込みを見せる。
「囮を使って私達を誘き寄せる、ですか」
長い金髪を靡かせた妖狐の少女、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は敵の狙いに注目する。
猟兵の動きに着目したヴァンパイアやその眷属。彼らがいかにこの世界で奢りを見せているかを感じさせた。
「悪しき目論見を打破するためにも、放ってはおけませんね」
話して分かる相手ならば、スピネルだって進んで会話しただろう。
だが、相手は、この世界を牛耳る者達。会話どころか、自分達以外の存在など見下すことしかしない連中だ。
今回の首謀者となるのは、そんな連中の1人。黒い翼を持つ堕天使と呼ばれる女性だ。
「黒い翼、堕天使、忌み子……そう、ですよね……」
そんな敵の特徴を聞いた黒猫の仮面を被ったオラトリオ、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)は何か予感めいたものを感じ取ったらしい。
「ボクは……私は会わないといけない気がします」
別に会ったからといって、何か変わるというわけではないとアウレリア本人もわかっているのだが、心のどこかでそれを望んでいるように、彼女は感じ取っていたのだろう。
浜辺の集落ではすでに、異形の姿をしたモノが集落民を襲っていた。
「きみの血をボクに頂戴」
その上半身だけを見れば非常に美しく、女性と見紛うような容姿をした美少年だ。
だが、それ以上に下半身の異常さで、人々に嫌悪感、恐怖を抱かせる。
「ひ、ひいいっ……!」
「ヴァンパイアの眷属だぁ!!」
集落民はその姿を見ただけで、必死に逃げ始める。
水中に住まうというオブリビオン『深海蜘蛛アモウ』。
名前が表すように、その下半身は蜘蛛のように8本脚になっている。
「傷つくなぁ、ちょっとだけ血を吸わせてもらえればいいのに……」
なお、人間を羨むからこそ、人の血を吸う彼のちょっとは数人の全身の血を吸い取る量だ。致死という状況では済まず、アモウがやってくるだけで大量殺人にも発展しかねない。
「うーん、なんとなくシンパシー。なんてね」
蜘蛛の因子を持つ強化人間の操吊・蜘蛛(アラクネー・f16833)は、そんな敵の姿を眺める。
血と人間の執着に関してはさておき、蜘蛛は敵の姿に少なからず共感する部分があったようだ。
敵影を遠くに見たオラトリオの青年、煌天宮・サリエス(復讐謳いし星の聖者・f00836)。
右頬に傷を持つ彼は、敵影を見ると薄暗い笑みを浮かべて。
(「……オブビリオンを見ると、私に刻まれた死者達の記憶が私の感情が復讐せよと私に語りかけてくる」)
――如何なる存在であろうと、オブリビオンは排除を。
仲間と共に、サリエスは接敵していく。
囮となる敵の注意を引こうと、スピネルは自らの周りへと多数の狐火を燃え上がらせて。
「そこまでです。それ以上はさせません」
強く存在感を示し、彼女は殺気を放つ。
猟兵の登場を受け、アモウもそちらを振り返り、小さく微笑んで。
「やって来たね。猟兵……」
思惑通りといった様子の彼へと、龍は告げる。
「愛することは尊いことだと思いますが、人々に被害が出ている以上、その愛を正しいこととする訳にもいきません」
この世界のオブリビオン達は、自分勝手に人々を搾取している。
「弱肉強食は世の摂理とはいえ。私たちもオブリビオンを狩る猟兵なのですから」
「ボクは安物でもヒーローなわけで、はりきってブッ飛ばしちゃうぞー」
龍は海からの伏兵を気にかけつつ目の前の敵を威嚇すると、蜘蛛が気合を入れて戦闘態勢を整え、距離を詰めていく。
「ふふ、ボクと遊ぼうか」
戦いが始まろうとする中、彼は糸を広範囲へと吐き出してくる。
「うわっ!」
「きゃあああっ!」
糸は逃げる人々を捕え、その体を拘束してしまう。
そこにさらに駆け付けた【依頼掲示板前広場】の2人。
「あんな美少女を倒すなんて忍びない。せめて倒す前に、ぜひお近づきになりたいよ」
凛とした態度のダンピールの少年……もとい少女。レニーこと琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は敵の姿を見てそう連れの相方へと告げた。
「ふむ、一見少女に見えるが……」
猫耳の巫女、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)はすぐ、敵が少年であることを察する。
(「……まあ、レニー殿が喜んでおるようじゃし、指摘するまでもないかの」)
敢えて黙ったまま、エウトティアはれにに続いて敵へと向かっていった。
●
猟兵達が駆け付けたことで、集落民から猟兵へと意識を向けた『深海蜘蛛アモウ』。
「きみ達は一体どんな味がするのかな?」
敵は周囲に糸を吐きかけて、自らの力を高めていく。
陣地を広げようとする敵を見据え、サリエスはユーベルコードを行使して。
「機神は天より堕ちる。世界を穢し喰らう異形となりて堕ちていく」
浜辺に漂着していた物、敵の襲撃によって壊れた建物。
それらへと惨劇の記憶を流し込んだ上でサリエスは合体していき、この場へと3m50cm程のロボット……鋼鉄の天使を君臨させた。
呪いによって力を得た天堕機神……ヴァリアントマキナ。
さらに飛んでくる蜘蛛の糸は、『時天使の秘盾』で受け止めつつ、サリエスは広範囲に展開した邪魔な糸を斧槍を大きく振るって、切り裂いていく。
「逃げろ、血を吸われるぞ!」
まだ、集落民が叫び逃げ惑う中、アモウへと近づく猟兵達。
蜘蛛はまず相手が張り巡らす蜘蛛の糸を自らが出す糸で上書きすべく、地面へと糸を放射していた。
それに気づいたアモウは可愛らしく微笑んで。
「へえ、きみも蜘蛛糸を操るんだ」
「お互い化物同士だ。こりゃー、負けらんないなぁ」
蜘蛛の姿をした物同士、罠の掛け合いといったところだろうか。
罠といえば、待ち伏せを懸念していた宇冠親子。
(「待ち伏せですか……浜辺の村なら、海から伏兵が襲い掛かってくる可能性もありますね」)
そう考えた龍は虚空に向けて呼びかける。
「強き猛き尊き者、共に歩みてその威を示せ」
空中に象っていくのは、武装した竜型ドラゴニアンの霊。
それは、龍の亡き夫。彼は愛妻の呼びかけに応えて、氷ブレスを海に向かって吐きかける。
敵の退路を断つことも考慮し、龍は広域を凍り付かせてしまう。
(「待ち伏せ結構、囮結構、策ごと全部まとめて受け止めるまでです」)
決意と思いを胸に、由は敵の出方を窺う。
「何をしているのかな。ぼくが逃げるわけないのに……」
どこか慢心もあったのだろうか。アモウには自らの優位を示すように自らの存在を示す。
そして、どこからか呼び寄せた多数の毒蜘蛛をこの場へと召喚して。
「さあ、いってきなよ。捕えて僕のところに連れておいで」
近づいてくる猟兵達へと、アモウはそれらをけしかけてくる。
炎の体を噴出させた由は、飛びかかってくる毒蜘蛛が逃げる集落民へと襲い掛かることも懸念して。
(「そういえば、蜘蛛って飛びますし、意外と足速いんですよね。注意しませんと」)
例え、燃える体を具現化しようとも、空中戦では誰にも引けを取らないと自負する由。
「私は空飛ぶヒーローマスク。空中戦は大の得意ですわ」
人々を庇うように戦場の外側に位置し、彼女は他メンバーが立ち回りやすいようにと炎の剣を操って近寄ってくる毒蜘蛛を断ち切る。
龍もまたそんな家族の姿を視界に入れながらも、夫の霊に風を伴った槍で連続突きを繰り出させて毒蜘蛛を一掃させていたようだ。
冷静に戦況を見ていたアウレリアは何を思ったか、自らの手首を切り裂く。
「……ボクはお前の主人に会いたい。だから、お前を滅ぼします」
流れ出た血は糸となる。
――蜘蛛の糸には、血の糸で対抗を。
アウレリアは周囲の家々を使い、血糸で罠を張り巡らせていく。
「おや、やっかいな毒蜘蛛がこちらに」
「さすがに対応しないといかんのう」」
敵との接触を求めるれには、近づいてくる毒蜘蛛がその距離を阻もうとしてくるように感じたらしい。
エウトティアはそんな相方の姿を見つつも、毒蜘蛛達へと敵意を向けて。
「奔れ! 風の精霊よ!」
彼女の声に応じて、前方へと駆け抜ける風の精霊。
その道筋にいた毒蜘蛛が一瞬にして姿を消してしまう。
「数が多いようじゃが、耐久面は普通の毒蜘蛛とあまり変わらぬようじゃな」
そう確信して、敵を蹴散らすエウトティアのそばでは、敵に近づこうと群がる毒蜘蛛へと小鳥が羽ばたく。
「障害は小鳥たちで取り除いて見せよう」
それは、れにが召喚した小鳥達。
花びらを纏ったそれらは、アモウ目掛けて飛んでいく途中の毒蜘蛛達を蹴散らしていく。
周りへと浮かび上がらせた多数の狐火の勢いを、炎の属性付与で強めるスピネル。
「お願いしますね」
彼女は高速詠唱を始め、毒蜘蛛達へとそれらを投擲する。
1体の毒蜘蛛に1つの狐火を命中させていき、その姿を消し去っていく。
しかしながら、毒蜘蛛の動きは速い。
素早く単騎で近づいてくるそれに気づいたスピネルは、自身の持つ書物を盾代わりにして避けようとする。
一応、スピネルは毒耐性を持つが、噛みつかれないに越したことはない。
なにせ、この毒蜘蛛をけしかけてくる親玉は人の生き血を吸うオブリビオンなのだ。
毒蜘蛛はアウレリアの方にも向かう。
だが、すでに彼女は自らの血でできた糸を辺りへと張り巡らせており、それにかかった毒蜘蛛達を逃さない。
「大人しくしていてください」
アウレリアは、もがく毒蜘蛛を見もせずに、それらをけしかけてきたアモウへと歩み寄っていく。
「……ん。お前達がどんな存在で、どんな目的があるにせよ。罪もない人達の生命を脅かして良い理由にはならないわ」
そこに、遅れて駆け付けたのは、全身の白い肌を黒い衣服で包み込むリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)だ。
攻撃のチャンスは先に駆け付けたメンバー達が作ってくれている。
だからこそ、リーヴァルディも全力でユーベルコードを行使して。
心の傷口を抉るような精神攻撃を気合で耐えながらも、彼女は左眼の聖痕の封印を解放していく。
「……今こそ我が身を喰らい顕現せよ、黒炎覚醒」
己の身を黒炎に食らいつかせたリーヴァルディは、一気に敵へと飛び込んでいった。
●
浜辺の集落に波打つ音だけでなく、剣戟の音が響き渡る。
由が続き、両手の2本の火炎剣を振るって糸を切り裂き、近場で糸に捕らえられた集落民を解放していく。
「あ、ありがとう、助かった……」
感謝の言葉を由へと口にし、集落民はこの場から離れていく。
さらに、糸を切り裂き、焼き払うことで、高まったアモウの力を弱体化できるはず。
地の利をこちらに取り戻すべく、由は炎の刃を振りかざす。
サリエスもまた、天堕機神の斧槍で毒蜘蛛と合わせて糸を切り裂いていく。
そうした間に、エウトティアはようやく敵へと踏み込む道を確保して。
「さて、道は拓いたようじゃの」
「道は開いた、エウトティア、行くぞ!」
ある程度糸と毒蜘蛛が減ったタイミング、王子様然と魔法剣『エペ ド ルーン』を掲げたれにが叫ぶ。
「ふむ、続くのじゃ、レニー殿」
彼女に続き、エウトティアは巨狼マニトゥを駆って後を追っていく。
そのアモウのそばには先に接近していた蜘蛛が互いの糸による応酬を繰り広げていて。
「……ボクにも、蜘蛛としての矜持があるからね」
蜘蛛として負けてはいられないという対抗意識から、彼女は果敢に糸で攻め続けていた。
その戦いを近場で見たことで、れにはようやく敵の性別を把握して。
「なんと! とても美しい少女……いや、少年だったのか」
確かに、蜘蛛というには、敵の上半身はあまりにも麗しさを抱かせはする。
アモウも褒められたことはまんざらでもないようで。
「ふふ、ありがとう」
「しかし、美人……本当は女の子ではないのかい?」
求愛を続けるれにの体から魔法の小鳥はさえずり、飛び立っていく。
「残念だけれど、ボクは男の子だよ。お兄さん」
なお、アモウはれにの性別には気づかず、その体を糸で捉えようとしていた。
「とってもきれいなお兄さん。きみの血を残らず吸ってしまいたいな」
整った口の中から煌めく牙。
それがれにを襲おうとしたところで、巨狼が飛び込む。
「マニトゥ! お主の牙で切り裂いてやるのじゃ!」
跨るエウトティアの呼びかけもあり、大きく口を開いたマニトゥがアモウの体へと喰らいかかった。
「おっと……」
危機を察して飛び退くアモウ。
とはいえ、完全には避けられなかったのか綺麗な肌に傷がつき、溢れ出す血が滴り落ちる。
「一気にいきますよ」
その血が地面へと落ちる前に、スピネルが全ての狐火を合体強化させて集中攻撃を浴びせかけた。
敵に休む暇を与えず、龍が手にした『氷風の槍』をアモウの体へと突き入れ、傷口から体を凍らせようとしていく。
少しずつ傷が深まってきていたアモウは、喉が渇いたような仕草をして。
「ああ、もう駄目だ……」
血を欲する欲求に抗えず、アモウは全身を本物の蜘蛛へと変えていった。
「姉さんごめん。こんなにも美味しそうなんだ。……食べていいよね?」
大きく口を開く敵の体目掛け、黒炎を纏うリーヴァルディが飛び込む。
相手の食らいつきを黒い大鎌で受け流し、彼女は周囲へと分身の呪詛を多重発動させて。
「……お前を助けに来る者は誰もいない。その点だけは憐れんであげる」
「そんなわけないよ。ボクには姉さんが
……!?」
無数の残像を敵の周囲に展開して突撃させたリーヴァルディは、囮としたその分身達に敵の時間を焼かせていき、アモウの動きを止めてしまう。
「囮の蜘蛛も、堕天使も……すべて、すべて等しく滅ぼし、この地に救済をもたらそう」
その機を逃さず、サリエスの操るロボが手にする斧槍の刃が一閃する。
飛び散る赤い血。
アモウは蜘蛛の姿を解き、美少年の姿に戻って苦しむ。
「まだ、まだだ……」
怪しく瞳を輝かせ、食らいつこうとしてくるアモウに対し、蜘蛛が叫ぶ。
「とりあえず、こう言わなきゃいけない気がする。そのキレーな顔をフッ飛ばしてやるっ!」
飛び込む蜘蛛が術式によって硬化させた拳を振るい、怪力で殴り掛かる。
「うああっ……!」
蜘蛛の宣言通りに吹っ飛んだ敵の方向には、リーヴァルディが待ち構えて。
「人々の営みを破壊するならば、容赦はしない。骸の海に還るが良い、深海蜘蛛」
生命力を吸収する大鎌を、力任せに薙ぎ払っていく。
さらに血飛沫が飛び散る中、焔を纏わせた鞭剣を手にしたアウレリアが迫り、アモウの首を跳ね飛ばす。
「その無垢な悪意も、これで黙らせることができるでしょう」
「ね、姉さ……」
綺麗な身体は徐々に崩れていき、集落の地面の土と同化するようになくなってしまったのだった。
大成功
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第2章 集団戦
『もく』
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POW : じめじめ、うつうつ
【闇】【湿気】【周囲の幸福】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : もくー
全身を【ふわふわとした雲】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : おいしいー
【不安】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【自身の分体】から、高命中力の【幸福を喰らう雲】を飛ばす。
イラスト:lore
👑11
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海辺の集落で、オブリビオン『深海蜘蛛アモウ』を討伐した猟兵達。
あくまでアモウは囮だと知らされていたこともあり、メンバー達はすぐにこの地を攻めてきたと思われる本命のオブリビオンの捜索に当たろうとする。
しかし、息つく暇もなく、周囲に怪しげな雲が湧きたってくるのを猟兵達は目にして。
「さすが、猟兵といったところでしょうか……」
四方八方だけでなく、頭上にまで発生しているどんよりとした黒い雲の向こう側から、女性の声がする。
姿を目にすることはできないが、この女性こそが集落をアモウに襲わせた姉さんこと、『アネモネ・ブランシュ』であるのは間違いない。
「ですが、ここまでです」
アネモネの声に応じて、周囲の雲が一斉に猟兵達へと敵意を示す。
この黒い雲もまたオブリビオン。
周囲の人々から、幸福な気持ちを奪い取って食べるという『モク』だ。
猟兵達を包み込むそれらは、メンバー達の幸福も食べようとしているのだろう。
モクに囲まれた猟兵達は罠にかけられたこの状況以上に、集落民の安否を気にする。アネモネが彼らを襲いかねない展開なのだ。
「そのまま、その雲に幸福を食われながら果てていきなさい」
そこで、モクに包まれる猟兵達は冷静になって考える。
アネモネにとって、この地の人々はいつでも襲うことのできる存在という認識のはずだ。
だとすれば、彼女の狙いはあくまでいつ現れるか分からない自分達猟兵がメインであり、集落民は二の次だと思われる。
だから、アネモネの気を引きつつ、この雲……モクを霧散させてしまえばいい。
誰かが気を引いていれば、討伐に専念するのもいいし、モクを突破できるだけの手段があれば、それを使ってアネモネの牽制を直接行うのも手だ。
ともあれ、敵の策にかかった状況を現状を打破するべく、メンバー達はそれぞれ動き出すのである。
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと。
蜘蛛の次は雲か。
美少女型と違って
こういうよく分からない系の敵はどう扱えばいいか分からない(不安)
そんな事よりアネモネ聞いているんだろう、
まだ見ぬ君の姿が気になる、姿を見せておくれ。
手の甲に熱いキスをしてあげるよ?
と、アピール【存在感】【パフォーマンス】
違う意味で【恐怖を与え】てある意味けん制になれば。と。
雲が…増えてきたな。
【贄の天涙】本来は回復に使う技だが、雲に僕の血を混ぜて相手の雲の効果を薄めてしまおう。
当たれば猟兵は回復もするだろう。
雲は基本的には他に任せた!
さあ、アネモネ!さあ!
※アドリブ大好き。追加省略おまかせ
宇冠・龍
由(f01211)と参加
「……初めて見ました」
雲に擬態する生物などは過去いましたが、意思ある雲そのものが敵とは。世界は広いですね
高いところにいると攻撃が届きません
飛んで行ってもいいですが、戦闘しながらの長時間飛行となると不安が残ります
そうです、なら高い足場を作りましょう
先程凍らせた海に氷風の槍を突き立てます。槍から発する冷気と、夫の氷の吐息で更に氷結させ、円錐の氷山を作成
その上に夫婦で立ち並び、落ちないように恥ずかしながらも夫と手を結びます
(彼と一緒なら、いつだって不安なんてありません)
その身には、幸福が沢山詰め込まれているのかしら? 破魔を宿した衝撃波の風で一閃、雲を切り裂き吹き飛ばします
宇冠・由
お母様(f00173)と参加
※別描写でも構いません
私はアネモネの注意を引いて、もく討伐をしやすくします
「伏兵をするのが貴女だけと思わないでくださいな」
あえて伝えることで注意をこちらに向けさせます
先の戦闘でいつの間にか潜ませていた【十六夜月】の狼たちと連携してアネモネの妨害
その牙と爪は糸を容易く割きます
狼は群れで行動する狩のプロ、空中から飛来する私と一緒に縦横無尽の三次元的な攻撃を繰り出します
もしモク側担当の猟兵に行動が向かいそうなら、その攻撃をかばい、火炎剣を投擲して牽制
二振りの火炎剣は私の身体から生み出した一部
例え失ってもまた手先から作れますから安心
スピネル・クローバルド
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との絡み歓迎
■心情
なるほど、集落をすぐに襲わないのは、私達を誘き寄せる為ですか。
何とも狡猾な相手ですね。
ですが、卑怯な手に私たちは屈したりしませんよ。
■行動
ジャッジメント・クルセイドを使用して戦います。
【高速詠唱】で素早く攻撃準備し【属性攻撃】で光属性を強化
その後は【範囲攻撃】で纏めて敵を巻き込みつつ
【全力魔法】で攻撃しますね。
相手からの不安の感情を受けたら、
【覚悟】や【勇気】で不安の感情を打ち消しますね。
後は、【地形の利用】も駆使しつつ
敵に囲まれない様に位置取り戦います。
敵の撃破の優先順は、弱っている対象から確実に倒していきますね。
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加。
レニー殿(f00693)と協力するのじゃ。
うむうむ、レニー殿は毎回熱心じゃのう、いつかきっとレニー殿に相応しい娘御が見つかるのじゃ。
うーむ、もくもくして実体が無さそうじゃな。水気を抜いたら萎んだりしないかの?
【精霊の唄】を歌い、「水涸れ」の「塵風」を巻き起こすのじゃ。
ついでじゃ、レニー殿の【贄の天涙】も風に取り込んで『もく』に叩きつけるとするか。
蜘蛛に雲とは洒落が利いておるではないか、じゃがわしは雨天より晴天が好きでの、邪魔な雲は退場して貰えるかの?
※アドリブ・連携歓迎
アウレリア・ウィスタリア
幸福?
ボクに幸福なんて無い
ボクは黒い翼を持ってしまったから
故郷では悪魔として幽閉された
その故郷も滅ぼされた
何故ここに立っているのかも曖昧なボクに幸福なんて無い
キミには幸福があるのですか?
【空想音盤:追憶】の花を結界のように纏い
会話を…いえ、言葉をかけつつ近づく敵を切り裂く
ボクが覚醒したのは七歳、八歳だったか
幸福だった思い出は確かに残ってる
けれどそれ以上に絶望をこの身に宿している
だからこそキミに尋ねたい
幸福っていったい何だったのでしょう?
キミのいう幸福とは何なのですか?
答えはきっと自分の中にしかない
けれど尋ねてみたいとそう思ったのです
回答の有無に関わらず
尋ねた後は魔銃を手に敵の殲滅に移りましょう
煌天宮・サリエス
幸福なんて曖昧なものを吸収して……生命力の方が分かりやすくていいのに。
と思いながら、『呪いの武器袋』の中にあるビー玉を触媒にして、【破綻式:怨呪闇縛】を起動。
ビー玉を闇の粒子に変え、粒子を編むことで鎖を作り出している。
そうやって、大量の鎖を作りだしたら1体につき1本、もくに向かって飛ばしユーベルコードと動きを封じる。
封じた後は『聖呪の神煌銃』を使い、1体1体丁寧に撃ち抜いて倒していく。
この時、『惨劇の記憶』から流れる【呪詛】を籠めた銃弾を使用する。
幸福を喰らうその身には、人々の惨劇より生まれた呪詛は珍味としていいのではないでしょうか。
アレンジ歓迎
リーヴァルディ・カーライル
…ん。ここまでは予定通り。
後はこの包囲を破り敵の元まで向かうだけ、ね。
いくら群れようと、数で私を止められると思わないで。
【黒炎覚醒】を維持しつつ“血の翼”を広げ空中戦を行うわ。
黒炎の魔力を溜めて【朱凰炎帝】を発動
時間停止の結界で周囲の雲の動きを止め、
大鎌から生命力を吸収する呪詛の斬撃を放ち、
敵の群れをなぎ払う時間属性攻撃を行う。
…ん。お前達の特性は把握しているわ。
次に備える、攻撃の予測。闘いの中で不安を感じない瞬間なんて無い。
…だけど果たして。止まった時の中で同じように動けるかしら?
…もっとも、お前達にこの声は届かないけど…。
第六感が殺気を感じたら武器で受け止めて防御し、
奇襲を警戒しておくわ。
●
浜辺の集落で一戦を終えた猟兵達。
気づけば、一行は全員黒い雲に囲まれてしまっていた。
「……初めて見ました」
人派ドラゴニアンの未亡人、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は自分達を取り囲むオブリビオンを注視して。
「雲に擬態する生物などは過去いましたが、意思ある雲そのものが敵とは。世界は広いですね」
「蜘蛛の次は雲か」
一方で、紫の髪と瞳のダンピール、琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は現れた敵に戸惑いを隠せない。
「蜘蛛に雲とは、洒落が利いておるではないか」
チーム【依頼掲示板前広場】として、レニーことれにの相方としてやってきている赤褐色の肌のキマイラ少女、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は、自分達を包み込む敵を観察する。
「うーむ、もくもくして実体が無さそうじゃな」
(「美少女型と違って、こういうよく分からない系の敵はどう扱えばいいか分からない」)
れには先ほどの自信ありげな態度から一変し、不安がっていたようだ。
「……ん。ここまでは予定通り」
経緯と状況はどうあれ、敵が手の内を先に見せたことに、銀のウェーブヘアを靡かせるリーヴァルディ・カーライル(f01841)は小さく頷いて。
「後はこの包囲を破り、敵の元まで向かうだけ、ね」
ともあれ、この雲……オブリビオン『モク』を晴らさねばならない。
雲の向こうには、先ほど交戦した『深海蜘蛛アモウ』をけしかけた『アネモネ・ブランシュ』らしき女性オブリビオンがすでに姿を現しているのだ。
「なるほど、集落をすぐに襲わないのは、私達を誘き寄せる為ですか」
狡猾な相手に、赤い瞳を持つ妖狐の少女、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は辟易としながらも、『精霊樹の一枝』を握りしめて。
「ですが、卑怯な手に私たちは屈したりしませんよ」
スピネルは相手に呼びかけ、敵意を向ける。
避難する集落民が襲われぬようアネモネらしき女性の気を引きつつ交戦し、モクを討伐したいところ。
「伏兵をするのが貴女だけと思わないでくださいな」
龍の義理の娘であるうさぎを象ったヒーローマスク、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は、女性オブリビオンへと一言呼びかけて注意を自分達へと向ける。
そこで、女性が小さく含み笑いして。
「御覧の通り、伏兵は用意しましたが……、幸運を吸い取るモク達。簡単には突破できませんよ」
「幸福? ボクに幸福なんて無い」
黒猫の仮面で顔を隠す、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)はそっけない言葉で否定して。
「ボクは黒い翼を持ってしまったから」
故郷で、悪魔として幽閉されていた過去を持つアウレリア。
その故郷も滅ぼされ、何故ここに立っているかすら曖昧だと自認する彼女は幸福なんて無いと語る。
「キミには幸福があるのですか?」
アウレリアが問いかけるは、雲の向こうの女性。
しかし、女性王ビリオンは答えることはなく。
「さあ、モク達、やるのです」
ふわふわ漂う黒い雲達が一斉に攻撃態勢を取る。
それら……モク達は猟兵達の幸運を吸い取ろうと、ふわふわ宙を彷徨うように大きく盛り上がり、力を強める。
「幸福なんて曖昧なものを吸収して……生命力の方が分かりやすくていいのに」
思ったことを口にする黒翼のオラトリオ、煌天宮・サリエス(光と闇の狭間で揺蕩う天使・f00836)。
彼は『呪いの武器袋』からビー玉を取り出し、ユーベルコードを使い始めたのだった。
●
相手の幸運を食べてしまうというオブリビオン『モク』。
そいつらは一部、全身をふわふわとした雲に変え、猟兵達の攻撃に耐えようとしていた。
残りは海辺からの潮風に含まれる湿気で自分達を強化し、幸運を食らう雲を飛ばして攻撃してくる。
「水気を抜いたら、萎んだりしないかの?」
エウトティアは湿気で膨らむ敵に対し、【精霊の唄】を歌う。
「精霊よ! 幻想のおもむくままに歌え!」
この場の環境を活かして攻撃するモクに、エウトティアは水涸れの塵風を巻き起こす。
「武具に宿りし無辜なる死者の怨嗟を束ね、此処に呪縛の闇鎖を織りなそう」
呪いのビー玉を触媒とし、サリエスもユーベルコード【破綻式:怨呪闇縛】を起動させる。
ビー玉を闇の粒子へと変え、それを編むことで鎖を作り出していく。
「好きにはさせないわ」
そうして組み上がる大量の鎖はモク達へと個別に伸びていき、敵のユーベルコードと動きを封じんとしていく。
動かず無敵状態となったモクもこれで動けなくなる。ユーベルコードが使えなければ、再び無敵化することもできなくなるはずだ。
自分達の周囲への攻撃はそれでもいいが、龍は頭上の敵がフリーとなっていることに気づいて。
「高いところにいると、攻撃が届きません」
翼を羽ばたかせて飛んでもよいが、さすがに戦いながら長時間飛行となれば不安が残る。
また、不安は出来れば感じたくないところ。敵はそれを察して、攻撃し、幸運を食らってくるのだ。
「いくら群れようと、数で私を止められると思わないで」
一方で、リーヴァルディは逆に血の翼を広げ、空中戦に臨む。
「……ん。お前達の特性は把握しているわ」
先ほどの戦いと同様、黒炎を纏う彼女はその姿を維持し、その炎の魔力を溜めながら別のユーベルコードを発動していく。
「次に備える、攻撃の予測。闘いの中で不安を感じない瞬間なんて無い」
リーヴァルディは炎を発するが、モク達を狙うわけではない。
敢えて狙いを外すことで、周囲へと結界を築いていたのだ。
何やら不穏な空気を感じたモク達は自らの体をふわふわした雲へと変えようとするが、その前に時間停止の結界が発動する。
空中のやや高い位置にいたモク達は結界によって完全に時間を止められ、硬直してしまっていた。
そして、その周囲に幾筋もの光が降り注いでくる。
地上でモクに包まれていたスピネルが高速詠唱し、発動させた【ジャッジメント・クルセイド】だ。
「不安なんてありません。それだけの覚悟が私にはあります」
多少、モクが不安を与えてこようとも、スピネルはその感情を打ち消す。
時に周囲の地形を確認しつつ、スピネルは自らの力で強めた光をさらに降り注がせて纏めて敵を巻き込んでいく。
現状打開の為、敢えてその場から動く者もいる。
「そうです。なら、高い足場を作りましょう」
龍は呼び出した夫の霊と共に、先ほど凍らせた海まで移動していく。
すると、彼女を包むようにモク達もついてくるが、凍った水面へと着地した龍は『氷風の槍』を突き立て、冷たい風を発する。
さらに呼び出した龍型ドラゴニアンの夫の霊に力を借り、氷のブレスを吐いてもらう。
合わさる氷の力によって、凍った海の上に円錐状の氷山を作り上げ、足場をなしていく。
龍と彼女の夫を包み込むモク達は雲を発して攻撃を試みるが、冷気に遮られて攻撃できずにいたようだ。
由も母とは別方向へと動く。
「私に力を貸して」
彼女はいつの間にか【十六夜月】を使い、歴戦の狼の群れを現していて。
「さあ、私に続くのです」
声と気配から、アネモネらしき女性オブリビオン目掛けて牽制の為にと攻撃を仕掛ける。
「愚かな……モクは邪魔してくるのはわかっていることでしょう?」
女性オブリビオンは前方へとモクを集めてくる。
しかしながら、由の呼び出した狼たちはモクへと食らいつき、爪でその体を切り裂いていく。
そして、由は先ほどの戦闘と同じく燃え上がる体を現し、宙から飛来して女性オブリビオンへと二振りの『火炎剣』で襲いかかる。
アネモネは先ほどの蜘蛛が発した糸に包まれていることも考え、由はそれらを狼と共に切り裂きながら三次元的にモク、女性と合わせて攻撃を仕掛け、妨害を行う。
「アネモネ、聞いているんだろう。まだ見ぬ君の姿が気になる。姿を見せておくれ」
そんな中、後方かられにが自らの存在感を示しつつ、女性へと呼びかけた。
「手の甲に熱いキスをしてあげるよ?」
「何を言っているのやら……」
ちょっとしたリップサービスなのだろうが、れには大まじめだ。
同時に、彼女は由とは違った形で相手の牽制にも当たる。恐怖を与えられたら思惑通りだが、思った以上にアネモネは肝が据わっているようだ。
さらに、アウレリアもまた呼びかけを行っていて。
「ボクが覚醒したのは七歳、八歳だったか」
己の血糸をネモフィラの花びらへと変えた彼女。
「幸福だった思い出は確かに残ってる。けれど、それ以上に絶望をこの身に宿している」
それらの花びらを結界のように纏い、アウレリアはモクを切り裂きながらも相手女性へと言葉を投げかける。
「だからこそ、キミに尋ねたい」
――幸福って、いったい何だったのでしょう?
――キミのいう幸福とは、何なのですか?
アウレリアはその答えが自らの内にしかないことを悟ってはいる。
だが、幸せを食らうという敵に囲まれたこともあり、それらをけしかけてきた敵に尋ねたくもなったのだ。
「そんなもの……、私が知るはずもありません」
「…………」
なんとなく、アウレリアは悟る。彼女は不遇のままにその生涯を終え、オブリビオンになり果てたのだろう、と。
女性オブリビオンは一言答えると、さらにモクを猟兵達の周りへと呼び集めてきた。
交戦するメンバー達も徐々に敵を倒して霧散させてはいるが、これではキリがない。
「雲が……増えてきたな」
れにはそこで、自らの血を雨のように周囲へと撒いていく。
本来、このユーベルコード【贄の天涙】は回復に使う技。
仲間達の癒しにも当たるが、それだけでなく雲の効果を薄めることを期待し、さらに雨の勢いを強めていく。
「雲は皆に任せた! 僕はアネモネに用があるんだ」
「うむうむ、レニー殿は毎回熱心じゃのう」
そんな相方に、エウトティアも目を細める。
――いつかきっと、レニー殿に相応しい娘御が見つかるのじゃ。
エウトティアは一層塵風を強め、血の雨を自らの塵風へと取り込む。
風はより強まり、唸りを上げ、モクを次々に霧散させていくのだった。
●
女性オブリビオンの牽制は続く。
アウレリアも問答で気が済んだのか、魔銃『ヴィスカム』を発砲して集まるモクを次々に消し飛ばす。
由はそのアウレリアやれにが言葉をかける間も、女性オブリビオンを攻め立てようとしていた。
【十六夜月】の狼達は群れで行動をする狩りのプロ。
召喚主である由と連携し、女性オブリビオンをモクと共に果敢に攻め立てていく。
女性はどうやら防戦一方といった様子。
それなら、両手の『火炎剣』を振るって狼と合わせて切りかかっていくのみだ。
モク達の勢いは弱まってきている。
その母、龍は夫の霊と共に凍った海上に作り出した円錐状の氷山の上に立ち、落ちないように手を結ぶ。
(「彼と一緒なら、いつだって不安なんてありません」)
霊となり果てた夫だが、それでも共にあるのは間違いない。
幸福をたくさん詰め込んだこの身から、破魔を宿した衝撃波の風で周囲を一閃し、集まっていたモクを全て切り裂き、吹き飛ばしてしまった。
猟兵が集まる場所の頭上では、リーヴァルディがモクを時間ごと止めてしまっている。
「止まった時の中で、同じように動けるかしら?」
もっとも、その声は止まってしまったモク達に届くこともなく。
リーヴァルディは取り出した黒い大鎌『過去を刻むもの』で呪詛の斬撃を浴びせかけ、生命力を奪いながらもその存在を消滅させていく。
徐々に雲が晴れていくのは、頭上だけではない。
スピネルの降り注がせる光は、確実に弱った敵を狙い撃つ。
その光で晴れていく敵も多かったが、無敵状態になった敵もすでにサリエスが呪いの鎖で拘束済みだ。
機を見て動こうとしたところを、サリエスは動いた鎖で判断し、『惨劇の記憶』から流れる【呪詛】を籠めた銃弾を装填した『聖呪の神煌銃』の銃口を向ける。
「幸福を喰らうその身には、人々の惨劇より生まれた呪詛は珍味としていいのではないでしょうか」
動き出したところをサリエスはすかさず狙い、撃ち抜いたモクを消し飛ばしてしまう。
エウトティアはモク達と女性オブリビオンへと呼びかけながらも、塵風を操り続けて。
「わしは雨天より晴天が好きでの、邪魔な雲は退場して貰えるかの?」
残るモク達を一気に吹き飛ばし、集落から黒い雲を一掃してしまう。
メンバー達の前方にいたのは間違いなく、今回の事件の首謀者である『アネモネ・ブランシュ』だった。
「アネモネ……。思った以上に、麗しい姿をしているではないか」
「くっ……」
黒翼の堕天使の姿に、れにが素直な印象を口にする。
その一方で、女性オブリビオン……アネモネは全てのモクを倒され、苦々しい顔をしていたのだった。
大成功
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第3章 ボス戦
『籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』』
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POW : 死か愛か
【黒き羽根】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 不浄の疾駆
自身の身長の2倍の【漆黒のバイコーン】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 籠の世界の童話
戦闘用の、自身と同じ強さの【清らかな白き守護騎士】と【英知に満ちた魔法使い】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
イラスト:MAKI
👑11
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●
浜辺の集落を襲撃してきたオブリビオンの討伐へと駆け付けた猟兵達。
クモの姿をした美少年『深海蜘蛛アモウ』、黒い雲の姿をした『モク』達の群れ。
2種のクモ達を討伐した猟兵達はこの地の襲撃、そして、猟兵達の釣り出しを行った女性オブリビオン、籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』の姿をようやく捉えていた。
「さすがは、猟兵といったところでしょうか」
蜘蛛と雲を使って猟兵を追い詰めたはずのアネモネ。
その策を正面から潰された彼女は僅かに顔を歪めていたが、すぐに冷静さを取り戻す。
「……まあ、いいです」
2種のクモ達を失ったことに関して、彼女はさほど悲しみを見せる素振りはないようだ。
このアネモネ・ブラッシュという女性は黒い翼を持って生まれ、忌み子として故郷の者達から幽閉された過去を持つ。
外の世界を知らぬまま、生涯を終えた彼女は、オブリビオンとして復活することとなる。
アネモネは愛を求めながらも、愛を信じられぬまま拒絶し続け、ヴァンパイアの眷属として活動を続けていた。
――全ては、自分を認めてくれるヴァンパイアの為に。
クモ達を使って猟兵達をつり出して倒す策も、ヴァンパイアの為にと独断で企てたことだ。
だからこそ、彼女はその失敗をヴァンパイアに知られ、自らが求められなくなることを恐れている。
「……私があなた達を倒せば済むこと」
黒い翼を広げるアネモネは、この場に2本の角を持つ漆黒のバイコーンを召喚して騎乗する。
さらに、この場に清らかな白き守護騎士と英知に満ちた魔法使いを呼び出し、バイコーンの手綱を引く彼女は猟兵達から距離を取って。
「始めましょう。猟兵。私の全てをかけ、貴方達を倒します」
力を高めるアネモネは、守護騎士、魔法使いを猟兵達へと向かわせてきた。
この女性オブリビオンを倒せば、集落民を襲う脅威も亡くなるはず。
猟兵を狙ったアネモネを倒すべく、猟兵達はさらなる戦いへと乗り出すのである。
アテナ・アイリス
相手は、バイコーンを呼び出したのね。それならこちらも対抗しないとね。
UC【サモン・ユニコーン】を使って、純白のユニコーンである、トゥインクルを呼び出し騎乗する。
堕天使アネモネ、わたしが相手するわ。トゥインクルを操って近づき、アーパスブレードで切りつける。
守護騎士と魔法使いは、他の人に任せたわよ。
ダメージを受けても、相手に一撃を与えて、UC【籠の世界の童話】の解除を最優先する。
「堕天使の相手は私がするわね。」
「おいで、トゥインクル。一緒に戦いましょう。」
「(迂回しながら)そちらは任せたわよ。」
「この一撃に賭けるわ。」
アドリブ・連携好きです。
リーヴァルディ・カーライル
…ん。愛を求めて吸血鬼の眷属になったね。
だけど、肝心の主はお前の事を愛しているのかしら?
…今の状況、とてもよく似ていると思わない?
お前がアモウを見殺しにした、あの時と…。
…主の吸血鬼は知らないのかしら?
それとも、知っていて放置したのかしら?
“血の翼”を維持して空中戦を行いつつ、
呪詛の言葉で精神攻撃を行い敵を挑発し、
アルビダを釣りだせないか試みる
第六感が捉えた敵の目立たない気合いや殺気の存在感を、
魔力を溜めた両眼に残像として可視化(暗視)して見切り、
攻撃を先読みして回避し隙を伺いUCを発動
怪力の掌打から生命力を吸収する血杭を放ち、
傷口を抉る闇属性の2回攻撃で仕留める
…お前の愛を終わらせてあげる。
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加。
レニー殿(f00693)と一緒に参加するのじゃ。
レニー殿は説得を試みるのじゃろうか?それもよかろう、やってみるとよいのじゃ。
じゃがその為には邪魔者をどうにかしないといかんのう。すまぬが、わしの連れが【アネモネ】殿と話をしたいそうでな、お主らはちと遠慮してくれぬかの?
説得の時間を稼ぐ為に、【アネモネ】が召喚した【守護騎士】【魔法使い】【バイコーン】を【氷縛の鎖】で捕縛するのじゃ。【バイコーン】の動きが止まったら巨狼マニトゥを嗾けてアネモネの落馬を狙ってみるか。
マニトゥ、少しの間あの者共を抑えてくれぬかの?
スピネル・クローバルド
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との絡み歓迎
■心情
遂に現れましたね、2種のクモ達を操った方ですか。
どんな相手であれ、負けませんよ。
■行動
ジャッジメント・クルセイド(UC)を使用して戦う。
【高速詠唱】でUCを唱え、【属性攻撃】で光属性を強化し
【全力魔法】で一気に敵に向けてUCを放ちますね。
敵が、籠の世界の童話を使用してきたら
私は【スナイパー】でアネモネ・ブランシュを狙い撃ちして攻撃。
もし守護騎士や魔法使いに庇われるようなら
それらを先に倒しておく。
敵の攻撃に対しては【見切り】で避ける様にし、
避けきれない時は【武器受け】や【盾受け】で防御し
その後【カウンター】を狙いますね。
アウレリア・ウィスタリア
そうか、キミは私とは違うのですね
私は絶望に堕ちたけれど
幸福だった時間がある
その思い出がある
(でもその幸福のせいでより深い絶望に染まったのだけど)
だから誰も信じられない
自分さえ信じられない
外の世界を知って絶望を抱えながら今を生きる私
……ボクがキミに希望をみせましょう
ボクが見た青く輝く空にかかる七色の光
美しいと感じた儚げなあの光をキミに捧げましょう
上空で魔銃を構える
アネモネたちの攻撃を観察し隙を見つけて
【今は届かぬ希望の光】を放つ
空にかかる七色の架け橋
ボクはこの光をこの世界に届けたい
七つの剣、これをすべて避けきれるというのならやってみてください
例え避けたとしても八本目のボクという剣がお前を撃ち抜く
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと
君には居場所がある。
だけど、その場所は間違っている。
君を救える王子が必要のようだね。
僕にその役目は務まるかは分からない。
だけど、僕は、いや猟兵達は全力でヴァンパイアの眷属という立場から君を救う。
君の消滅をもって。
UC【血統覚醒】
この姿なら話を聞いてくれるだろうか。【コミュ力】
君は眷属になる為に存在しているのか?
自分の誇りを忘れちゃいけない。
覚醒を解除して優しい言葉をかけて【言いくるめ】る。
「解放してあげるよ」優しく剣を突き付ける。
消滅するにしても、穏やかな気持ちの方がいい。
完全に説得できなくても動揺させればいいな。
※アドリブ大好き。好きに追加省略してOK。
宇冠・龍
由(f01211)と参加
指輪を慈しみながら、アネモネと対
(私も子供のころは愛を知りませんでした。けれど、あの人との出会いがそれを変えた……)
もし私も彼と出会わず、愛を知らずにいたら、彼女と同じようなことをしていたのかもしれませんね
【談天雕竜】で百羽に及ぶフクロウを、武器たる閃光弾を足に抱えて召喚
先の氷山頂上から辺り一帯を見下ろし狙いをつけましょう
まずは目を奪いましょうか
百の閃光弾を投降、強烈な光でアネモネ共々騎士と魔法使いの動きを封じ、
そのままフクロウを弾丸の如く降り注がせ突進
音なく忍び寄る野鳥の狩人、アネモネ中心に襲わせ童話の住人を消してしまします
宇冠・由
お母様(f00173)と参加
(愛するって何でしょう……?)
誰かのための気持ちなら、私はお母様をお父様を愛しております
それは誰にも譲れませんわ
決意と愛を胸に、戦いを挑みます
お母様が閃光で敵の動きを封じる間、光を背にして特攻
二振りの火炎剣を投擲し牽制
黒い羽根の雨を、そしてお母様の霊の雨も掻い潜りながら接近
「貴女の言う愛ってなんですの?」
大人たちの言う愛、一人一人違うらしいそれは一体なんなのか
彼女の愛を確かめながら、燃える身体で抱擁を
地獄の業火でそのまま黒い羽根を燃やし尽くします
(こんな異形でも、お面だけの存在であっても、お父様お母様は一緒にいてくださいました)
きっとそれは幸せな事なんだと思います
煌天宮・サリエス
忌み子として幽閉された過去は同情しますが、オブビリオンとして蘇り人に害をなすというのなら討つしかないわけだ。
さあ、この地に花を咲かせましょう。ユーベルコード【祝福と災禍の花園】を起動。両手から、光と闇――白と黒の花を生み出し周囲に舞い散らせる。
地に落ちた花びらは、種子となり地に花を咲かせ、また花びらとして散る。
そうやって、増やした闇<黒>の花びらを敵に向かって舞い散らせ、ダメージと共に生命力を吸収する。光<白>の花びらは、自分含む味方に舞い散らせ吸収した生命力を分配します。
もし、来世なるものがあるならば、いい人生を送れればいいですね。
●
海辺の集落での戦いは、佳境を迎える。
「さすがは、猟兵といったところでしょうか」
黒い雲が晴れた向こうに姿を現していたのは、黒翼を背に生やした銀髪の女性、籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』。
ダークセイヴァーの勢力図を破壊しようとする猟兵達を倒すべく、この場へと釣り出した張本人だ。
「遂に現れましたね。2種のクモ達を操った方ですか」
金髪ウェーブヘアの妖狐、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は相手の姿を見つめる。
――全ては、自分を認めてくれるヴァンパイアの為に。
ヴァンパイアを敬愛するような態度も見せるアネモネ。
「……ん。愛を求めて、吸血鬼の眷属になったね」
そんな敵へと、銀髪黒衣のダンピール、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が問いかける。
「だけど、肝心の主はお前の事を愛しているのかしら?」
「…………っ」
アネモネは言葉を詰まらせながらも、何かを呟く。
釣り出しの上での討伐の策が失敗しかけた状況に、恐れを抱いていたのだろう。
そんな彼女に、黒いチャイナドレス姿の人派ドラゴニアン、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は自らの指輪を慈しみながら思う。
(「私も子供のころは愛を知りませんでした。けれど、あの人との出会いがそれを変えた……」)
――もし、自分が夫と出会うことなく、愛を知らずにいたなら。
アネモネと同じようなことをしていたかもしれないと、龍は考える。
(「愛するって、何でしょう
……?」)
その龍の義理の娘であるうさぎのヒーローマスク、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)はしばしの間、疑問を抱く。
だが、誰かに対する気持ちであれば。
「私はお母様を、お父様を愛しております。それは誰にも譲れませんわ」
決意と愛を胸に、戦いを挑む由。
そんな娘に、龍も両目を細めていたようだ。
一方で、アネモネは詠唱を完了していて。
「……私があなた達を倒せば済むこと」
黒い翼を広げるアネモネは、この場に2本の角を持つ漆黒のバイコーンを召喚して騎乗する。
「バイコーンを呼び出したのね。それなら、こちらも対抗しないとね」
話を聞いて新たにこの場へと参上した、アンダーポニーテールのアテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)もまた、虚空を見て呼びかけて。
「おいで、トゥインクル。一緒に戦いましょう」
アテナは【純白のユニコーン】を呼び出して騎乗する。
さらに、アネモネはこの場に清らかな白き守護騎士と英知に満ちた魔法使いを呼び出した。
「そうか、キミは私とは違うのですね」
一通り敵の様子を見て、猫の仮面を被っていたアウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)も自らとの違いを悟り、構えを取る。
「忌み子として、幽閉された過去は同情しますが」
アネモネと同じく、黒い翼を持つ煌天宮・サリエス(光と闇の狭間で揺蕩う天使・f00836)。
ただ、全てのオブリビオンは、彼にとって復讐対象でしかない。
「オブビリオンとして蘇り人に害をなすというのなら、討つしかないわけだ」
そして、先ほどの戦いから、アネモネへと執着していた琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)。
「君には居場所がある。だけど、その場所は間違っている」
彼女は変わらず、アネモネへと呼びかけ続ける。
「レニー殿は説得を試みるのじゃろうか?」
露出の高い褐色肌のキマイラ少女、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)はチーム【依頼掲示板前広場】として、共にこの依頼へと参加したれにのことを気にかけて。
「それもよかろう、やってみるとよいのじゃ。じゃが……」
エウトティアは前に出て邪魔をしようとする守護騎士と魔法使いに視線を向け、これらの対処をせねばと脳内で対処法を巡らす。
「君を救える王子が必要のようだね。僕にその役目は務まるかは分からない」
エウトティアの存在をレニーことれには強く感じ、アネモネへと言葉をかけながらも真紅の瞳を輝かす。
「だけど、僕は、いや猟兵達は全力でヴァンパイアの眷属という立場から君を救う」
――君の消滅をもって。
覚醒した彼女は、ヴァンパイアへと変身する。
アネモネは危機を感じたのかバイコーンの手綱を引き、猟兵達から距離を取って。
「始めましょう。猟兵。私の全てをかけ、貴方達を倒します」
守護騎士と魔法使いを差し向けてくるアネモネ。
「どんな相手であれ、負けませんよ」
スピネルは『精霊樹の一枝』を握りしめ、この場の仲間と共に黒翼の堕天使に対して仕掛けていくのである。
●
猟兵が対するは、籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』。
彼女は距離を取り、猟兵達へと守護騎士と魔法使いを差し向けてくる。
「堕天使の相手は私がするわね」
後方へとバイコーンを下げさせる敵に向け、アテナが騎乗するユニコーンを走らせる。
「堕天使アネモネ、わたしが相手するわ」
「くっ……」
守護騎士、魔法使いをけしかける間は、アネモネは戦うことができない。
だからこそ、アテナは逃げる彼女を追い、水のように透き通った刀身を持つ長剣『アーパスブレード』で斬りかかっていく。
ただ、敵もオーラを展開しつつ、決定打を浴びぬようにと回避防御に専念する。傷を受けると、守護騎士や魔法使いが消えてしまうからだろう。
そんなアネモネを、背中に血の翼を生やしたリーヴァルディが宙を飛びながら追いかける。
「……今の状況、とてもよく似ていると思わない? お前がアモウを見殺しにした、あの時と……」
『深海蜘蛛アモウ』。アネモネが最初に集落を襲わせたクモだ。
「……よくわからないわね」
素知らぬ顔で、敵はリーヴァルディの飛ばす呪詛の言葉から逃れようとする。
「……主の吸血鬼は知らないのかしら? それとも、知っていて放置したのかしら?」
「…………」
精神攻撃を続け、リーヴァルディはアネモネを挑発するが、敵は冷静さを保って集落を逃げ続けていく。
ユーベルコードの効力もあるのか、守護騎士、魔法使いを出したままの状態では、アネモネも集落の外に出ようとしない。
「そちらは任せたわよ」
迂回しながら敵を追うアテナが仲間達へと呼びかけると、サリエスがユーベルコードを展開して。
「さあ、この地に花を咲かせましょう」
ユーベルコード【祝福と災禍の花園】。
サリエスは両手から生み出した光と闇――白と黒の花を周囲へと舞い散らせた。
アネモネはそれらを避け、バイコーンで集落を駆け抜けていく。
だが、サリエスが地に落ちた花びらは種子となり、花を咲かせる。そして、また花びらとなって散るのを繰り返す。
白と黒の花びらが舞う中、白い翼で空を舞うアウレリアもまたアネモネへと呼びかける。
「私は絶望に堕ちたけれど、幸福だった時間がある。その思い出がある」
その幸福があったからこそ、深い絶望に染まった彼女。
――だから、誰も信じられない。
――自分さえ信じられない。
外の世界を知り、アウレリアは絶望を抱えたまま生きている。
「……ボクがキミに希望をみせましょう」
彼女が見た青く輝く空にかかる7色の光。
美しいと感じた儚げなあの光をアネモネに捧げようと、アウレリアは集落上空で魔銃『ヴィスカム』を構える。
だが、敵のバイコーンは疲れすら見せずに集落を駆け、照準を定めるのが難しい。
その間、猟兵達を攻めてくるのは、ユーベルコード【籠の世界の童話】によって、召喚された守護騎士と魔法使い。
騎士は果敢に剣で攻め立てて猟兵達の邪魔をしてくるし、魔法使いも炎の風や氷の雨を発してくる。
アネモネと同等の力を持つ彼らは、抑えとしてはあまりにも強い。
ぼやぼやしていれば、アネモネがバイコーンを走らせる間に2体の召喚物によって猟兵達も戦線を崩される危険すらあるが……。
スピネルもアネモネへと指先を向け、天から光を降り注がせていく。
敵もそれぞれ剣や魔法で応戦してくる。
やむなくスピネルも『精霊樹の一枝』でそれらの攻撃を受け止め、カウンターとしてさらに光を降らせていく。
「守護騎士、魔法使い、私を護るのです」
バイコーンが避けられぬと判断したアネモネが指示を飛ばすと、魔法使いが炎を飛ばして光を相殺し、さらに騎士が盾で受け止めて主を護ろうとする。
アネモネもそれらが倒されると、一気に追い詰められると分かっているのだろう。
だが、防御面に力を割けば、それだけ猟兵達にとって攻撃のチャンスも増える。
先ほど凍らせた海の上に作った氷山の頂上から、龍は集落を見下ろして。
「悪鬼百鬼と数えれば、七転八倒列を成す」
龍がこの場へと呼び寄せたのは、百羽にも及ぶフクロウ達。それらの足には武器として、閃光弾を抱えていた。
「まずは目を奪いましょうか」
アネモネと騎士、魔法使いを狙って降り注ぐ閃光弾が破裂し、強烈な光で目を灼いていく。
「「…………!!」」
その光を背に、炎の体を具現化した由が特攻して。
両手に出現させた『火炎剣』を投擲し、彼女は敵を牽制していた。
まだ、攻撃には出ないアネモネへ、由は接近して。
「貴女の言う愛って、なんですの?」
大人達の言う愛は、一人一人違うと言う。
ならば、アネモネの愛とは一体何なのか、由は興味を抱きながらも燃える剣で攻め立てる。
そして、もう1人。
「この姿なら、話を聞いてくれるだろうか」
ヴァンパイアの姿をとったれにがアネモネへと近づいていく。
「すまぬが、わしの連れがアネモネ殿と話をしたいそうでな。お主らはちと遠慮してくれぬかの?」
氷の鎖を空間から放ったエウトティアが騎士と魔法使い、それにバイコーンら召喚物達の足を止めようと絡めつかせていく。
「君は眷属になる為に存在しているのか?」
エウトティアが抑える間、相方のれにがアネモネへと迫り、コミュ力を働かせて呼びかけを行う。
「私はただ、頼られる人達の為に尽くすだけ。それがヴァンパイアの眷属であっただけです」
もはや、他メンバーの攻撃に防戦一方となってきていたアネモネ。
「自分の誇りを忘れちゃいけない」
「…………」
覚醒を解除し、優しい言葉をかけて言いくるめようとするれに。
しかし、そんな彼女から、アネモネは視線を逸らしてしまうのだった。
●
バイコーンを駆るアネモネが集落を駆け回る間に、彼女の召喚した守護騎士と魔法使いが力を行使し、猟兵達を攻め立てる。
対する猟兵達は召喚物である2体をやり過ごしながらも、アネモネへと攻め込もうとするが、なかなか敵陣営は隙を見せない。
その硬直状態を打破したのは、アテナだった。
龍が放つフクロウ達がアネモネと、彼女を護る2体を纏めて閃光弾で襲わせる間、ユニコーンを駆るアテナが一気にアネモネへと近寄って。
「この一撃に賭けるわ」
アネモネの間合いへと入り、アテネは彼女の体を『アーパスブレード』で切り裂いた。
「ああっ……!」
辺りへと飛び散る鮮血。
直後、白き守護騎士と魔法使いの姿が消えてしまう。
「そこ、逃しません……」
さらに、スピネルが全力で強化した光を持って、ジャッジメント・クルセイドを唱え、なおもバイコーンを巻き込んでアネモネへと光を降り注がせていく。
「皆さん、今です!」
スピネル達が仲間達へと呼びかける。
散々集落を動き回った上、攻撃を防いでいたアネモネだ。
ここでしっかりと抑えねばまた【籠の世界の童話】を使われ、騎士と魔法使いを呼ばれかねない。
「マニトゥ、少しの間、あの者共を抑えてくれぬかの?」
敵の隙を見て、エウトティアが巨狼マニトゥをバイコーンへとけしかけていく。
エウトティアの指示で低い体勢から高く跳躍し、マニトゥはバイコーンの喉元へと食らいついた。
痛みによって大きく嘶くバイコーンは前足を高く上げ、背からアネモネを落としてしまう。
「…………っ」
しかし、堕天使と呼ばれたアネモネだ。
黒い翼を羽ばたかせ、態勢を整えつつ着地するアネモネへとれにが近づく。
少なからず、アネモネは動揺しているはず。
それまで、言葉をかけてきていたれにも、アネモネをオブリビオンという枷から解いて消滅させるしかないと悟る。
「解放してあげるよ」
ただ消滅させるにしても、穏やかな気持ちで。
そんな願いを込め、れにはアネモネへと切りかかった。
「まだ……、まだです……!」
敵は黒い翼を大きく羽ばたかせる。
舞い散る黒き羽根がれにへと命中したところで、アネモネは彼へとルールを宣告した。
「そこから、動かないでください」
ユーベルコード【死か愛か】。
それは、【黒き羽根】が命中した対象にルールを宣告し、それを破った者に大ダメージを与えるというものだ。
「くっ……」
どんなダメージが来るか分からぬ為、れには迂闊に動くことができない。
さらに舞い散る黒い羽根の中、この場のメンバーは羽を食らわぬようにと策を練る。
リーヴァルディが魔力を溜めた両目でそれらの羽根を食らわぬようにと羽根が飛び散る範囲から退避する中、由が逆に地獄の業火でそれらの羽根を燃やしつつ攻め入って。
(「こんな異形でも、お面だけの存在であっても、お父様お母様は一緒にいてくださいました」)
それが幸せなことなんだろうと考えながらも、由は燃える体で相手へと飛び込む。
「は、離れなさい……!」
この場の母、霊となった父。
敢えて、不利な行動を取って両親を護ろうと、由はアネモネを押さえつける。
そこで、サリエスがさらに白黒の花びらを舞わせた。
すでに舞っていた黒い羽根はほとんど由が燃やし尽くしており、サリエスの花びらが集落中へと降り注ぐ。
闇……黒い花びらはアネモネやバイコーンの周囲に降り注ぎ、その体力を奪い取り、その生命力を光……白い花びらがサリエスを含め、アネモネ達から受けた仲間達の傷を癒す。
「う、ううっ……」
消え去っていくバイコーン。アネモネも傷が深まり、苦痛に悶える。
「もし、来世なるものがあるならば、いい人生を送れればいいですね」
「まだです……。来世など、私にはまだ……!」
サリエスの呼びかけを否定し、強引に翼で飛び上がるアネモネ。
しかし、由は空中戦も得意であり、しっかりと相手を捕えて離さない。
「なにものにも染まり、なにものにも染まらぬ七色の光。貫け、天空の光剣」
また、上空では、魔銃を構えたアウレリアが照準を合わせていて。
「空にかかる七色の架け橋。ボクはこの光をこの世界に届けたい」
アウレリアは銃口から発したのは、虹色に輝く7本の光剣。
「七つの剣、これをすべて避けきれるというのなら、やってみてください」
煌めくそれらの剣は、次々にアネモネの体を傷つけていく。
さらに、アウレリア自身が8本目の剣となり、魔銃を発砲するが、アネモネはその前に地面へと落下していく。
地面へと落下する前に由が手を離すと、翼を羽ばたかせてアネモネが態勢を整え直す。
「再び……来なさい、バイコーン……!」
アネモネは新たなバイコーンを呼び出そうとするが、攻め入るリーヴァルディが飛び込む。
「……限定解放。……刺し貫け、血の聖槍……!」
一時的にヴァンパイア化したリーヴァルディは、怪力の掌打をアネモネの腹へと叩き込む。
「……お前の愛を終わらせてあげる」
変身を解除した彼女は直後、血杭を撃ち出して仲間の傷を抉るように深く埋め込んでいく。
「か……ぁっ……」
吐血するアネモネももはや、限界だった。
その表情はあまりにも、絶望に満ちていて。
「……申し訳、ありません」
おそらく、眷属として仕えていたヴァンパイアの名を呟き、アネモネはその場へと倒れ込む。
少しずつ消え去っていくその体。
その後に1枚だけ、黒い羽根が舞い落ちたのだった。
浜辺の集落に、人々が戻ってくる。
オブリビオンに襲撃された人々は、猟兵達に感謝を示す。
消え去ったクモ達に堕天使。
彼らが求める愛、それは自分達を認めてもらいたかっただけなのではないか。
そんなことを考えつつ、集落民から祝福された猟兵達はこの地を去っていくのである。
大成功
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