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目指せ、アイドル猟兵!

#UDCアース

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#UDCアース


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●アイドルを夢見る家出少女
「ったく、オヤジもオフクロも、アタシのこと分かってくれねーんだから。アタシはこの街でアイドルになるまで、絶対家に帰らないからな!」
 UDCアースの東京、渋谷。多くの人でごった返す街に、一人の少女が降り立った。長時間、夜行バスに揺られたせいで凝り固まった身体を、伸びをして解きほぐす。
 少女の名前は真理江。16歳の高校一年生である。
「ここがアイドルスカウトの名所、渋谷かぁ」
 アイドルになるという夢を追って家を飛び出した真理江は、初めて見る大都会に目を輝かせた。きらっきらという擬音が聞こえてきそうなくらい。
 しかし現実は厳しい。見た目は可愛い少女だが、それだけで簡単にアイドルになれるほど世の中は甘くはない。そうそうスカウトから声がかかることなんか……。
「ヘイ、そこのカノジョ! アイドルにならないかい?」
「うん、なるっ!」
 軽薄そうなグラサンのスカウトマンに声をかけられ、ホイホイとついていく真理江だった。

●目指せアイドル!
「という事案……もとい、事件が予知されました」
 猟兵たちを集めて事件の説明をするのは、ヘルメス・トリスメギストス(f09488)。エルフの執事である。
「これがただの誘拐なら警察の出番ですが、予知されたということはオブリビオン……邪神教団が絡んでいるということになります」
 この予知を元に調査をおこなったところ、渋谷の街で何人もの少女が行方不明になっていることが判明したという。行方不明になっているのは家出少女などで、姿が見えなくなっても騒ぎになりにくいという共通点があった。
「おそらく、このスカウトマンは何らかの目的でお嬢様がたを連れ去っているのでしょう。そこで皆様には、わざとアイドルとしてスカウトされて潜入調査をおこなっていただきたいのです」
 だが、誰でも簡単にスカウトマンに声をかけられるとは限らない。こちらからスカウトマンを探したり、逆にスカウトマンに注目されるようなパフォーマンスをして声をかけさせたりしてもいいだろう。
 また、スカウトマンに対して魅力をアピールすると、スカウトされやすくなるようだ。
「なお、スカウトマンが声をかける相手は女性に見える方に限られます。それ以外の方は、情報収集をしてスカウトマンの目的を調べたり、スカウトマンの追跡をして拠点を探したりしていただくのもよいかと思います」
 スカウトマンの目的や拠点が分かれば、邪神教団の目論見を阻止することも可能となるだろう。
「アイドルを夢見るお嬢様がたのためにも、どうか事件を解決してください」
 ヘルメスは丁寧に一礼し、猟兵たちを夢見る少女が集まる渋谷の街に送り出したのだった。


高天原御雷
 はじめまして、高天原御雷と申します。以前のシナリオに参加してくださった方は、またシナリオに目を通していただき、どうもありがとうございます。

 今回はUDCアース・渋谷が舞台です。
 一章では、謎のスカウトマンにスカウトされていただきます。キャラクターのアピールポイントなどありましたら書いていただけるとスカウト率が上がります。
 また、スカウト対象外の方は、情報収集やスカウトマンの追跡などをしていただいてもよいと思います。
 その他の行動も大歓迎ですので、ご自由に行動してください。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『甘い誘惑』

POW   :    街を歩き回ってスカウトマンを探し出す

SPD   :    家出少女としてスカウトされる

WIZ   :    監視カメラや聞き込みでスカウトマンを特定する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリア・ティアラリード
「乙女の夢を利用するなんて、お姉ちゃん許せません」

私は憤っていました。乙女の夢を邪な企みに利用するなど
でも具体的にどうすればいいのか…
聞けばスカウトされやすい場所、立ち回りというものがあると聞きます
であれば、お姉ちゃんもそんな感じに囮としてアピールしてみないと

早速そこへ行くと、スカウトマン達に見せつける様にこの身体を強調
《挑発的》にたわわなバストを揺すりながら《誘惑》的にお尻を振って誘われ待ちです!

「でも、折角だし立派なアイドルになってみたい…かも?」

上手い事お声頂ければ、全力で愛想良く《手をつないで》《言いくるめ》ちゃいます
そうですね、水着グラビア位だったらOKしてもいいかも知れないですね♪



●頑張るお姉ちゃん系アイドル
「乙女の夢を利用するなんて、お姉ちゃん許せません」
 アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)は憤ってた。アイドルを夢見る乙女を邪悪な企みに利用することに対して。そして家出少女という困っている人を騙すことに対して。そう、彼女は困った人を見過ごさない完璧超人お姉ちゃんなのだ。
「でも、悪いスカウトマンさんを探すには、具体的にどうすればいいのかしら?」
 おっとりと首を傾げるお姉ちゃん。先のことも考えずに飛び出したあたりに、お人好しな性格が見て取れた。
「そういえば、スカウトされやすい場所、立ち回りというものがあると聞きます。であれば、お姉ちゃんも損な感じに囮としてアピールしてみないと」
 アリアお姉ちゃんは、人の集まる犬の像の前に行くと、周囲の人たちに見せつけるように、たわわな胸を挑発的に揺すりながら、お尻を誘惑的に振り始めた。周囲で待ち合わせをしていた人々は、何のパフォーマンスかと目を白黒させて言葉を失っていた。
 しかし、努力は必ず報われる。そう、胸を揺すり尻を振るアリアに、グラサンをかけた軽薄そうな男が近づいてきたのだ。
「ヘイ、ユー! そのチャーミングなボディでアイドルっちゃうかい?!」
 なんだか変なノリだが、それでこそ邪神教団のスカウトマン。アリアが探していた相手に間違いなかった。
「は、はい、折角だし立派なアイドルになってみたい……かも?」
「オーケー! ならばまず、ユーのアイドルパゥワーをスカウトってみちゃおう!」
 スカウトマンはアリアを見つめながら、グラサンの横についたスイッチを押す。それと同時に、どこかでダイスが振られる音がした。えーと、挑発と誘惑のスキル分を足して3回かな。あ、高いほうがいいってことで。
「ユーのアイドルパゥワーは、94! おお、ビューティホー! これはトップアイドルを目指せるくらいのハイレベルなポテンシャルをフィーリングッ!」
「まあ、本当ですかっ、嬉しいですっ!」
 思わず本気で喜んで、スカウトマンの両手を掴むアリア。
「ユーは、アイドルのためにライフをサクリファイスるブレイブ、あるかい?」
「そうですね。水着グラビアくらいだったらオーケーですよ」
 スカウトマンが何を言っているか、後半部分はよくわからなかったものの、なんとなく頷いたアリア。
 こうして、アリアはスカウトマンについて行ったのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

曽我林・梅
よーし、この梅ちゃんがひと肌脱ぎましょう!
容姿は「量産型モブキャラ」と称されることもある地味メガネに見えるかも知れないけど、こう見えてマジックナイトかつシンフォニアなのよ。
つまり、歌って踊って戦える、アイドルとしての才能に満ちているといっても過言ではないわ!
……ちょっと言いすぎかしら。
ともかく、それなりに人通りがあって演奏していてもおかしくないところ…ググってみたけどツタヤ前?とかでシンフォニック・デバイスを構えて歌うわ!
こっそりシンフォニック・キュアも使って癒やしの歌声を披露するの!
明るいノリのいい曲ならアイドルっぽいかしら。
スカウトされたり見かけたりしたら猟兵のみんなにも情報共有するわ!



●三つ編み眼鏡系アイドル
「よーし、この梅ちゃんがひと肌脱ぎましょう!」
 人通りのあるところを探し、有名レンタルショップの前に立ったセーラー服に三つ編み眼鏡という少女は曽我林・梅(人間のマジックナイト・f04274)。
 梅はシンフォニック・デバイスを構えて路上ライブを開始した。雑踏の騒音にも負けない、透き通った歌声が人々の耳に届く。この歌声は誰の声だ。あのセーラー服の子だ。やべー、可愛い。といった観衆の声が聞こえてくる。本人は地味眼鏡などと言ってるが、セーラー服に三つ編み眼鏡は正義だと思います。
「やあキミ、良い歌声だね。アイドルになってみないかい?」
 梅の歌が終わったのを見計らって、聴衆をかき分けてグラサンの男が近づいてくる。え? さっきとノリが違うって? いや、ちょっとあれ書くの疲れるんで……もとい、邪神教団のスカウトは何人もいるのだ!
「え、わたしがアイドル? べ、別にそんなつもりで歌ってたわけじゃないですし、わたしなんか『量産型モブキャラ』っていわれるような外見ですし」
 いきなり話に食いつくのも不自然と考え、一度は断る梅。
 しかし、スカウトマンはグラサンを光らせて猛然と持論を語ってきた。
「何を言う、三つ編み眼鏡にセーラー服!これぞ王道!これからの時代こそ、キミのような正統派アイドルが輝く時代なのだ!」
「そ、そう、なのでしょうか?」
 その勢いに思わず圧倒される梅。
「では、キミの持つアイドルパワーを測ってあげよう、このスカウターで!」
 スカウトマンはグラサンのボタンを押す。えっと、セーラー服、眼鏡、三つ編みのコンボと歌声で、ダイス10回かな。
「アイドルパワー85! トップアイドルには一歩届かないが、正統派アイドルとしてブレイクする潜在能力は大きいぞ! 何より、眼鏡三つ編みは、『三つ編みを解く』と『眼鏡を外す』のあと二回変身を残しているしな!」
「は、はぁ、それなら、アイドルやってみようかしら」
 こうして、梅はスカウトマンとともに渋谷の街に消えていった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ペンテシレイア・メガエラー
◆SPD
アマゾネスなペンテシレイアは、猟兵のとなった過程が文字通り、「家出娘」です。
きっと、餌付け程度でコロッと騙されやすい磨けば輝く、野性味溢れるアイドルの原石に違いありません。感情表現が激しい彼女は、愛らしくも尻尾をブンブン振りながらアピールします。

「アタシモ森ノミンナカラ”アイドル”ッテ、呼バレテタぞ!」

スカウト対象になったら、交渉の際に食べ物に吊られて、ガチで騙されてついて行ってしまいます。

「オォ、イクゾー! ツイテイケバ、 ニク!ニク、イッパイ喰エルカー?」



●野生派アイドル?
「アイドルカ。アタシモ森ノミンナカラ『アイドル』ッテ、呼バレテタゾ!」
 アマゾネスの森の次期女王候補のくせに、勉強が嫌で家出して猟兵になったという経緯を持つ、バーバリアンのペンテシレイア・メガエラー(人狼のアマゾーン・f06903)ほど、今回の潜入調査に向いた経歴の猟兵もいないだろう。
 だけど、言葉くらいはきちんと勉強して欲しいな。書くのが大変だし、皆さんも読みづらいからね。
「コレ、ウマイナ!!」
 屋台でドネルケバブを受け取って齧ったペンテシレイアは、そのあまりの旨さに尻尾を千切れそうなくらいの勢いで振りまくる。ところで、ペンテシレイアさん、任務のこと覚えてますかね?
「オッチャン、モウヒトツ、クレ!」
 屋台のオヤジにおかわりを頼む人狼娘。しかし、彼女には常識の勉強が足りなかった!
「お嬢ちゃん、美味しそうに食べてくれるのは嬉しいんだけど、先にお金くれるかな?」
 露出の高いアマゾネスの衣装に人狼の耳と尻尾という格好でも、猟兵の能力によって一般人に不自然に思われることはない。しかし、一つ目のドネルケバブの代金を払う前におかわりを要求してきた少女の行動に、店主は警戒心を強めた。
「カネ? モッテナイゾ」
 堂々と言い放つペンテシレイア。アマゾネスの森では、お金なんかいらなかったのでしょうね。
 だが、その言葉を聞いた店主は何かを察したような顔をする。
「そっか、嬢ちゃんも苦労してるんだな。俺にも、ちょうど嬢ちゃんと同じくらいの年の娘がいてなぁ。女房と分かれて以来、もう10年も会ってねえんだけどよ」
 いきなり身の上話を始めた店主。いや、ドネルケバブ売ってねえで、たまには娘に会いに行ってやれや。
「というわけで、嬢ちゃんには特別サービスだ。こいつを持っていきな。もちろん、金はいらねえぜ」
 ペンテシレイアに、山盛りのドネルケバブを手渡す店主。
「嬢ちゃんの身の上は知らねえが、帰れる場所があるんなら、ちゃんと家に帰るんだぜ」
 そう言うと、オヤジは屋台を引いて去っていったのだった。
「ニク、ウマイナー」
「おや、これはこれは、なかなか逸材の予感ですな」
 いつの間にかペンテシレイアの前に現れていたのは、グラサンをかけたスカウトマン。
「こんがり焼けた健康的な肌! 露出の多い衣装を恥じらいなく着こなす精神力! そして豊満なボディ! あとは可愛らしい耳に尻尾! ……耳と尻尾?」
 最後の方で首を傾げるスカウトマン。しかし、一般教団員である彼はあくまで一般人。違和感はスルーされた。
「さあ私のスカウターよ、彼女の潜在能力を示すのです!」
 グラサンの操作とともに……えっと、こんがり肌、ナイスバディで+2個、耳と尻尾で+5個で8個のダイスが振られる。
「おおっ! アイドルパワー95! あなたなら、最高のアイドル間違いなしでしょう!」
「アイドル? ソレ、ニク喰エルノカ?」
 すっかり任務を忘れて、肉のことしか頭にないペンテシレイアさん。
「ええ、アイドルになれば、肉は食べ放題ですよ」
「オォ、イクゾー! ニク、ニク!」
 尻尾をブンブン振りながら、グラサンについていくペンテシレイアだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

夕闇霧・空音
ちょうどボロボロの制服を着込んでいるので
スカウトされる方向で行こうかしらね。
その格好でいかにもそわそわしながらあるきまわってみるわ。

ちょっと泣いたふりをしたりして
家出少女風にしてみる。

スカウトされたらそうね
「お家が貧乏だからアイドルになって家族に楽をさせたいと思ったけど家族からアイドルになることを反対されて、しかも妹からもやめて!と言われてショックで…」
みたいな感じで同情を誘えばスカウトされるかしらね。
うまいこと言いくるめてみるわ。



●メカっ娘系アイドル
「ちょうどボロボロの制服を着込んでるので、スカウトされる方向で行こうかしらね」
 渋谷の宮下公園近くを歩いてスカウトマンを探しているのは、ボロボロなセーラー服を着た夕闇霧・空音(サイボーグの咎人殺し・f00424)だ。この格好なら、間違いなく家出少女認定でしょう。
 空音の足や腕、側頭部などからは金属光沢が見て取れる。悪の忍びに囚われて改造手術を受けた名残であろう。なんて不憫なのか。
 だが、今回の任務においては、彼女の容姿は強烈なアドバンテージを有していた。アイドル業界にメカっ娘の需要は確実にあるのだ!
「ヘイ、そこのメカっ娘なカノジョ! こんなところでどうしたんだい?」
 猟兵の能力によって、メカっ娘なことに違和感を感じず、むしろアイドルの素質として受け取ったグラサンのスカウトマンが声をかけてきた。
(かかったわね)
 内心、スカウトマンが釣れたことに安堵しつつ、泣いたふりをしながらスカウトされるように話を持っていく。
「お家が貧乏だからアイドルになって家族に楽をさせたいと思ったけど家族からアイドルになることを反対されて、しかも妹からもやめて!と言われてショックで……」
「オウ! それはもったいない! キミなら絶対トップアイドル間違いなしなのに!」
 そう言うと、スカウトマンはグラサンを操作する。えっと、クールな性格とメカっ娘属性の組み合わせの効果はばつぐんだ!ダイスが10回振られる。
「キミのアイドルパワーは87! これならアイドルデビューしてご家族を安心させてあげられるよ。うちの事務所でデビューしてみないかい?」
「ほんと? わかった、行くわ」
 こうして、空音はスカウトマンにスカウトされることに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】
ヤーシブってあれっすよね、マンガとかに出てくる超都会……ちょいと怖いっすけどまあ、聞き込みのやり方なんて古今東西変わらんすお仕事、お仕事

日常会話くらいは【学習】してきたっす

駅前の店のおばちゃんに
「へい、お姉ちゃん、冷コー一つ。ところで自分の妹、アイドルになるって田舎出ちゃって」

相手に応じて不快に思われないように【礼儀作法】に気をつけて行くっす

寝っ転がってるじいさんに酒あげて、自分も飲んで
「よう旦那、まずは飲んで」

【コミュ力】で反応を探りながら聞き込みっす
色んな人に聞いて裏を取るっす

得た情報はもちろんみんなに共有して、スカウトマンを突き止めるっす!

「……無事でいて欲しいっすね……」



●スカウトマンの正体を探れ
「ヤーシブってあれっすよね、マンガとかに出てくる超都会……」
 今回の事件の場所を聞き、緊張しながらもきちんと学習してきたのは、モルツクルス・ゼーレヴェックス(戦争大好き(自称)・f10673)というオラトリオの青年だ。モルツクルスは幼い頃、外界を知らずに育てられてきたという。その境遇にペンテシレイアの姿が重なり、恐怖する書き手。
 駅前の喫茶店に入ったモルツクルスは、店のおばちゃんに注文しようとする。
「へい、お姉ちゃん、冷コー一つ」
 よかった、このレベルなら話が通じる! 死語だけど!
「あー、アイスコーヒーですね、サイズはどれにします?」
 目の前に出されたメニュー表を見て固まるモルツクルス。書かれているサイズはまるで呪文のようだった。
「え、えっと、普通のをお任せで……」
「承知しました、それでは、トールアイスライトアイスエクストラミルクラテを承ります」
(た、大変っす! ここ、邪神教団の運営する店かもしれないっす!)
 謎の呪文を聞いてSAN値が削れた気がするモルツクルス。大丈夫だ、その呪文、書いてる書き手もわからない。
「あ、と、ところで、ちょっと聞きたいことがあるんすけど、自分の妹、アイドルになるって田舎出ちゃって。このあたりで、家出少女が行きそうな所ないっすかね?」
 運ばれてきたトールアイス(以下略)を受け取りながら、店員に聴き込むモルツクルス。
「家出少女? んー、多いのは宮下公園の方かしらね? 最近、アイドルにならないかっていうスカウトマンが出没するっていうし」
「ありがとうっす。行ってみるっすよ」
 トール(以下略)を飲み終えたモルツクルスは、早速、宮下公園のあたりに向かう。寝っ転がっている老人をみつけると、懐から酒瓶を取り出し、こういう場合の礼儀に従って声をかけた。
「よう旦那、一杯どうっすか?」
 自分も飲みつつ、老人に酒を勧める。
「このあたりで、最近、家出少女がアイドルにスカウトされてるって聞いたんすけど」
「ああ、ついさっきも、ボロボロの制服を着たメカっ娘が怪しい男についていってたねぇ。アイドルがどうとかいってたけど」
(メカっ娘……? 仲間の猟兵っすかね?)
 いえす。空音のことです。
「そういうこと、前にもなかったっすか?」
「ああ、ここ1~2週間でたまに見かけるようになったねえ。家出した女の子を狙って声をかけてるんだろうけど、騙されてないか心配だよ」
 心底心配そうに話す老人。
「で、その怪しい男が何者か、知らないっすか?」
「うーん、何者なのかまでは分からないねぇ。あ、けど、前に女の子に渡そうとして落とした名刺を拾っておいたんだったな……」
 老人は懐から一枚の名刺を取り出す。
「酒の礼じゃよ。持っていくがいい」
 老人から渡された名刺には、『邪神アイドル事務所』と書かれていた。
「ビンゴっすー! ありがとうっす、旦那」
 アイドル事務所の情報を仲間に共有し、名刺に書かれた住所に向かうモルツクルスだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

井艸・与
アイドルに憧れる少女の心につけ込むとはいただけねえな
俺は街の人に聞き込みをしてスカウトマンを探すとしようか
少女と同年代くらいの人を中心に聞き込みをしてみよう
もしかしたら、邪神教団のスカウトマンに声をかけられた人もいるかもしれないからな
話を聞くときは「コミュ力」を使って話しやすい雰囲気を作るぜ
スカウトマンの外見特徴や話し方、声をかけられた場所を聞こう
一応、スカウト以外のことも話されなかったかも聞いておこうか
聞き込みで情報を得られたら、その情報を元にスカウトマンを探すぜ
スカウトマンを見つけられたら、その後はこっそり尾行して動きを掴むとしよう



●少女たちへの聞き込み
「アイドルに憧れる少女の心につけ込むとはいただけねえな」
 渋谷の街で聞き込みをして回るのは、井艸・与(人間のUDCエージェント・f03832)。邪神教団に対処するための組織に所属するエージェントだ。
「やあ、君たち。このあたりでアイドルにスカウトされたことはない?」
 コミュ力を活かして話しやすい雰囲気を発しながら、女子高生くらいの少女たちに声をかけ情報収集をする与。だが……。
「きゃあっ、イケメンに声かけられちゃった!」
「ねえねえ、一緒にカラオケでも行きませんか?」
 思いっきりナンパに思われていた!
「いや、ごめんね、また今度」
 任務なので女の子と遊んでいる場合ではないと逃げ出す与。
 そんなこんなで、なんどもナンパに間違われた挙げ句。
「あ、私、そのスカウトマンに声かけられたことあるー。怪しいから断ったけどね」
 ついに、スカウトマンのことを知る少女に巡り合った。
「そいつのこと、何か詳しく覚えてない?」
「んー、サングラスかけてるくらいで、普通の人だったかなー? あ、でも、邪神に命を捧げるとか言ってたかなあ」
 これは『当たり』だと、UDCエージェントの与の勘が告げていた。
「他にもっと覚えてることはない?」
「んーと、あ!」
 少女の目が、近くのクレープ屋に止まる。
「もしかしたら、甘いもの食べたら、何か思い出すかも?」
「あはは、ちょっと待っててね」
 少女の思惑を悟った与は、特盛のクレープ(1500円)を買って少女に渡す。
「そういえば、もらった名刺、かばんに入れっぱなしだったんだ」
 クレープをたいらげた少女から渡されたのは、『邪神アイドル事務所』と書かれた名刺だった。
「どうもありがとうね」
 少女に礼を言うと、与は仲間に情報共有し、名刺に書かれた住所に向かったのだった。
 なお、クレープ代はUDCの経費で精算できたらしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
アイドルってあれだよね
歌って踊る人!
ふふ、潜入捜査だっていうのはわかってるけど、やっぱり興味はあるよね
よーし、スカウトされるように、頑張って踊っちゃお!

・方針
家出少女としてスカウトされる

・行動
路上でダンスパフォーマンス
装備「The great gig in the sky」から音楽を流しながら【スカイステッパー】を使用し、まるで空を舞うかの様な【パフォーマンス】
ひらりひらりと、何かが見えても気にしない
ヤドリガミだからね!
踊ってる最中に観客や件のスカウトマンが来てくれたら、そっと【手をつないで】笑いかけ、ちょっとした踊りに誘ってみたり

アピールポイントは、笑顔!
皆で楽しく踊ろう!

絡みアドリブ歓迎


栗花落・澪
女の子の純粋な夢に漬け込むなんて許せないね

万一無差別な聞き込みを見られたら怪しまれそうだし…
路上【パフォーマンス】で歌おうかな

「聞いてくれてありがとうございます」
【優しい】【歌唱】を聞いて足を止めてくれた人達に
持ち前の明るさを生かして
雑談も交えながらこの辺りのスカウト事情についてさり気なく聞き込み

「お姉さん達可愛いから、モデルでもアイドルでもすぐスカウトされちゃいそう。
でも悪い人も多いから気をつけてね?」(笑顔)

なるべく一箇所に止まらず定期移動
時には歌だけじゃなくフルートの【楽器演奏】

※本人は調査として動いてますが外見がアレなのでスカウトお任せ
その場合は性別訂正したいのをグッと堪えて笑顔で承諾


アマータ・プリムス
眼鏡をかけて【変装】しつつ【目立たない】ように装備の携帯秘書装置を使い監視カメラを【ハッキング】して【情報収集】スカウトマンの特定を試みる
「目当ての方が写っていればいいのですが」
「見つけましたこの方ですね」

スカウトマンを特定したらわざとスカウトされに行きます
街中に眼鏡をかけたヴィクトリアンメイド服の女性がいればきっと声をかけてくるはず
「当機の得意なことですか?歌は確かに得意ですが」
【歌唱】を使ってアカペラで一曲披露します
「アイドルに興味?ないと言えば嘘になります。あのキラキラした衣装には心惹かれますね。なれると言うのなら是非に」


花邨・八千代
アイドル…?アイドルって、どう目指すもんなんだ…?
よく分からんけど目立てば良いってことかね、一応見た目は女に見える筈だしなァ
売りは活発ボーイッシュ系、だな…
格好よさの合間に見える可愛さ、括目しとけや

◆行動
とりあえず街中を駆け巡るか
なんつったっけ、パルクール?街中を飛んだり跳ねたりして移動するアレ
【空躁】使ってそれをやるぜ、「怪力」で動きを補助だ
たまに目立つ場所に飛び出しつつスカウトマン探しついでに疾走するぜ
「ちっと通るぜ、悪ィな」
スカウトマンらしい奴を見付けるか一通り街中を巡ったら一端中止だ
話を聞いて情報収集、必要ならついてって拠点特定するぜ



●イェーガー・カルテット
「見つけましたこの方ですね」
 蒸気で動く不思議アイテム『携帯秘書装置』を使って監視カメラをハッキングしていたヴィクトリアンメイド服姿のアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が、目的の人物を発見して顔を上げた。
 アマータの手元の装置には、渋谷駅前で少女たちに声をかけるグラサンの人物が映っていた。
「では、皆様。ライブの準備はよろしいでありますか?」
 後ろの3人に向かって振り向く。さあ、ライブの始まりだ。

「皆さん、今日はこれからゲリラライブをしようと思います。僕たち4人、イェーガー・カルテットの歌と踊り、楽しんでね」
 女性に間違われそうな容姿の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が、渋谷の駅前でゲリラライブを宣言した。
 何が始まるのかと足を止める通行人たち。あっという間に人垣ができる。
 シンフォニアである澪の優しい歌声が、人々の耳に届いていく。
 そこに、同じくシンフォニアであるアマータの歌声が、機械のように正確に重なった。
 通行人の心を掴む歌が、そこにはあった。

「よーし、スカウトされるように、頑張って踊っちゃお!」
 歌う二人の後ろで踊り始めたのは、アイドルに興味津々なアメリア・イアハッター(想空流・f01896)。空に憧れる少女……の姿をしたヤドリガミ(本体は帽子)である。
 帽子についた高性能再生機「The great gig in the sky」から、澪とアマータの歌のバックミュージックを流しながら、まるで空を舞うように踊る。いや、【スカイステッパー】を使って空中を飛び回っているので、本当に空を舞っていた。ひらりひらりと翻るミニスカートに、観客の半分(男性)の視線は釘付けだ!

「アイドルってどう目指すもんかよく分からんけど、格好良さの合間に見える可愛さ、刮目しとけや」
 活発ボーイッシュ系を売りにするのは花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)。【空躁】を用いてビルの壁面や駅の屋根を飛んだり跳ねたりするダイナミックな動きで、アメリアとはまた違った雰囲気のバックダンスを披露する。こちらは、女性の観客から、かっこいい……という声が上がる。

「皆さん、聞いてくれてどうもありがとうございました」
 歌が終わり、澪がゲリラライブの終了を告げると、人々は名残惜しそうに散っていく。
 そんな中、4人にグラサンの男が声をかけてくる。
「キミたち! 輝くものを持ってるね! アイドルになる気はないかい? それとも、もうどこかの事務所に所属してるの?」
 『邪神アイドル事務所』の名刺を出しながらスカウトマンが勧誘してきた。
「当機たちは、どこの事務所にも所属してはいないのであります」
 眼鏡をかけたアマータが、ボーカル兼マネージャー役として回答する。
「それじゃあ、どうかな? キミたちならトップアイドル間違いなしだよ! キミはメイドロボ系アイドルにぴったりだ!」
 メイド服を着たミレナリィドールであるアマータを見て、スカウトマンはグラサンを操作する。メイド服のロボはポイント高いので+5個に、眼鏡で+1個、機械的な口調で+1個で、8回ダイスが振られる。
「アイドルパワー79! 十分に人気が出るポテンシャルだ!」
「アイドルに興味?ないと言えば嘘になります。あのキラキラした衣装には心惹かれますね。なれると言うのなら是非に」
 アマータは、スカウトマンの勧誘に首肯するのだった。

「キミのダンスは素晴らしかった! 空を舞うような軽やかな踊り! なんだかずっと空中にいるんじゃないかって気がしたよ! ぜひアイドルとして踊らないか?」
 スカウトマンは続いてアメリアに声をかけた。まあ、【スカイステッパー】で一度も着地しなかったですからね。
 スカウトマンはグラサンを操作する。ダンスパフォーマンスで+5個、そして翻るミニスカートに+5個で合計11回のダイスが振られる。
「アイドルパワー……あれ? 77? 思ったよりも上がらないな?」
 首を捻るスカウトマンと書き手。もっと高得点出そうなのになー。
「ま、まあ、とにかく! キミなら空飛ぶダンサー系アイドルとして大人気間違いなしだ!」
「うん、私、踊るの大好きなの!」
 アメリアは笑顔でスカウトマンに答えたのだった。

「キミの歌、すごく良かったよ! アイドルやってみないかい?」
 次に声をかけられたのは澪だ。
「ええっ? ぼ、僕?!」
 自分が勧誘されるとは思っていなかった澪は、驚きの表情を浮かべる。だが、こんなに可愛い娘が男だなどと、誰が思うだろうか。
「キミのその笑顔と容姿はまるで天使のようだ! 背中に天使の羽まで見えるようだ!」
 まあ、オラトリオの澪には、実際に羽が生えているわけですが。
 グラサンを操作すると澪に向いて……優しい歌声で+5個、可愛い外見で+2個、天使の羽で+1個で、9回のダイスが振られた。
「アイドルパワー91! まさにアイドルになるために生まれてきた僕っ娘天使系アイドルだ!」
「えっ、あ、あの、その……。は、はい、よろしくお願いします」
 澪は内心で様々な葛藤をした挙げ句、性別を訂正したいのをグッと堪えて笑顔で承諾した。

「キミの力強いダンス、感動したよ! まるで空を飛んでいるように建物の間を飛び回る……! その活発さを活かしてアイドルをやらないか!」
 最後に声をかけられたのは八千代だ。【空躁】と怪力を組み合わせた動きは、まさにパワフルだった。
 スカウターが発動し……ボーイッシュな外見と言動に+3個、身体能力の高さに+2個で、6回ダイスが振られる。
「アイドルパワー91、92、93……、バカな、まだ上がっていくだとっ?!」
 驚愕するスカウトマン。グラサンの表示が97になった瞬間、グラサンが煙を吹いて爆発した。
「アイドルパワー計測不能なんて素晴らしい! キミなら全国の女性たちのハートを鷲掴みにするヤンキー……もとい、活発ボーイッシュ系アイドルとして大ブレイク間違いなしだ!」
「そ、そうか? そう言われると悪ぃ気しねぇな。いいぜ、アイドルでもなんでもやってやろうじゃん」
 八千代は深く考えずにアイドルになることを受け入れた。

●『邪神アイドル事務所』
 こうして、猟兵たちはスカウトされたり、情報を集めたりして、各自、邪神アイドル事務所へと集った。
 事務所にいるのは、グラサンをかけた一般人のスカウトマンたちだけ。猟兵たちの手にかかれば制圧は一瞬だった。
 そして、事務所に監禁されていた真理江という家出少女を助け出す。

「た、助けてくれてアリガト」
 ぎこちなく猟兵たちに礼を言う真理江だが、次の瞬間、何かを思い出したような表情になる。
「そ、そうだ! 他にもスカウトされてた子たちが、邪神の復活の儀式のためとかって、連れて行かれちまったんだ! アタシはヤツラの企みを偶然聞いちまって閉じ込められてたけど、あの子たちも助けてあげて!」
 真理江の頼みに力強く頷く猟兵たちだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『神の降臨を実況中継します!』

POW   :    動画の撮影場所を探す

SPD   :    ネットを通じて配信者、関係者に接触

WIZ   :    動画を解析、中継の妨害工作

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●神(アイドル)が降臨する実況中継!
 突如、アイドル事務所に置かれていた一台のパソコンに生中継動画が流れ始めた。画面にはシスター服のようなものを纏った女性が映っている。
「ふふ、私は祈谷・希。邪神アイドル事務所の社長にして敏腕プロデューサーですわ。これから、我が事務所が誇る新人アイドルたちのお披露目をさせていただきますわね」
 カメラが切り替わると、そこには可愛らしい少女たちが勢揃いしていた。全員、きらびやかなアイドル衣装に身を包み、夢と希望に溢れた表情をしている。
 そして、少女たちは踊りながら歌い始めた。

 その少女たちを見た真理江が表情を青ざめさせ、画面に向かって叫ぶ。
「みんなっ、だめだっ! このままじゃ邪神が復活しちまう!」
 真理江が偶然聞いた計画によると、この生中継動画には特殊な魔術的加工がされており、視聴者の魂を吸い上げて邪神復活の生贄にするらしい。動画を見ただけで生贄にされるとか、なにそれ怖い。
「この動画の再生数が100万回を超えると、邪神が復活するんだって!」
 画面に表示されている動画の再生数は、加速度的にグングン伸びており、このままでは近いうちに邪神が復活してしまうだろう。なんとかして阻止しなくてはならない。

「アタシにいい考えがあるんだ」
 真理江が真剣な表情で猟兵たちを見つめる。
「見た所、ミンナの中には、アイドルの素質がある人が多いみたい。だから、相手に対抗できるアイドル動画を流して視聴者を奪っちまえば、邪神復活を防げるんじゃないかな!」
 真理江の話によると、このアイドル事務所には撮影機材や動画配信設備が用意されているという。さらに撮影スタジオやプールなども完備されているため、動画を撮影して生配信することが可能だ。
「だから例えばプールで水着運動会を開いて中継すれば、向こうの視聴者を横取りできると思うんだ。あ、モチロン、水着が恥ずかしい人は他の動画を流してもオッケーだぜ」
 こうしてアイドル陣が視聴者を奪っている間に、調査班が動画コメントやネット書き込みなどでこちらに視聴者を誘導したり、動画の撮影場所を突き止めたりすればよいだろう。
「こっちが完全に視聴者を奪っちまえば、あの祈谷・希って人も怒ってこっちに乗り込んでくるだろうからな!」

 こうして、アイドル動画対決が始まるのだった。
アリア・ティアラリード
「邪神アイドル事務所だなんて…!」

でも動画勝負じゃ歌もダンスも出来ない私に何が出来るのか…
早速詳しそうな猟兵さんに聞いてみましょう

ふむふむ…
私が水着姿で色々する所や運動会を実況…それなら出来そうです

と言う訳で手渡されたのは、かなり際どいビキニ
流石に恥ずかしいけど、お姉ちゃん【恥ずかしさ耐性】で頑張ります!
まず撮影係の猟兵さんの前で準備体操
【存在感】のある巨乳をお尻を【挑発】的に見せつけて

次はこれ…なんでしょう。ばらんす、ぼーる?
上でポーズを取ったりリズム取ったり楽しいですね
あっ、これならダンス出来ない私でも…♪

モニタの前の視線を全力で【おびきよせ】て【誘惑】しちゃいます!

真の姿(水着)・POW



●頑張るお姉ちゃんの動画
「邪神アイドル事務所だなんて許せませんね!」
 アイドルたちを邪神復活の道具にする邪神教団……邪神アイドル事務所に憤りを覚えるアリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)だが、動画対決と言われて困惑していた。
「動画勝負じゃ歌もダンスもできない私に何ができるでしょうか?」
 その呟きに答えたのは、動画対決とか言い出した元凶、家出少女の真理江だ。
「そういうことなら、プロデュースはアタシに任せな! アリアは体型がいいんだから、それを活かせば邪神アイドル事務所の動画なんて敵じゃないぜ!」
 そして、おもむろに取り出した水着をアリアに手渡す。それは、かなり際どいビキニだった。
「ええっ、こ、これを着るんですかっ?!」
 さすがに驚きを隠せないアリア。しかし、真理江が畳み掛けてくる。
「いいか、アリア。この動画対決には邪神の復活、そして視聴者たちの命がかかってるんだ。恥ずかしがってる場合じゃないんだ」
「そ、そう、ですね。流石に恥ずかしいけど、お姉ちゃん頑張ります!」
 恥ずかしさにぐっと耐えたアリアは、ビキニに着替えてカメラの前に立つ。それだけで彼女の存在感のある胸や挑発的なお尻は視聴者を魅了した。ぐんぐんと伸びていく動画再生数。
 なお、カメラでの撮影や機材の操作には、猟兵たちにやられたグラサンのスカウトマンたち(実は一般人のアルバイトだった)が協力していた。
「よーし、それじゃ、次はバランスボールに乗ってみようか!」
 指示を出していく真理江。こいつ、ちょっと調子に乗りすぎじゃないか?
「ばらんす、ぼーる? なんでしょう、これ?」
 首を傾げながらアリアはスタッフ(グラサン)に渡されたバランスボールに乗る。ぽよんぽよんと弾むボール。
「あっ、これなら、ダンスできない私でも……♪ 上でポーズ取ったり、リズム取ったりも楽しいですね」
 モニタの前の視聴者の視線を誘惑して釘付けにするアリアの動画再生数は、ぐんぐんと伸びてくのだった。

「よーし、この調子で邪神アイドル事務所の動画に勝つぜ! あ、ただ、水着って言ったのは、ちょっとアタシの言いすぎだったかも。水着に限らず、ミンナの得意分野の動画でオッケーだぜ!」
 反省する真理江と書き手。深夜テンションはヨクナイです。
「プロデュースとか撮影とか機材の準備とかはアタシとスタッフ(グラサン)がやるんで、ミンナは自由に動画を作ってくれよな!」
 動画投稿、お待ちしてます!

大成功 🔵​🔵​🔵​

曽我林・梅
水着じゃなくてもいいとはいえ、この季節外れの時期にプールを使えるってそれはそれで楽しそうじゃない?
せっかくだしわたしも水着で参戦するわ!
手持ちの水着がないから借りるわね。これがシンプルで着やすいかしら(いわゆるスクール水着を選ぶ)
あら? ところで水着を着て何をすればいいのかしら?
運動会、ってことはとりあえず……そう、泳げばいいのね!
よく分からないけど泳ぐのは得意よ!200メートルだろうが300メートルだろうが喜んで泳ぐわ!
そうね、タイムを測ってもらって好成績だったら1曲歌わせてもらうわね。
世界記録に届かなかったら……何か罰ゲームを受けるわ! 内容は真理江プロデューサーに任せるわね!
頑張るわ!!



●世界記録に挑戦してみた
「この季節外れの時期にプールを使えるって、それはそれで楽しそうじゃない? せっかくだからわたしも水着で参戦するわ!」
 動画撮影を始めたのは、三つ編み眼鏡少女の曽我林・梅(人間のマジックナイト・f04274)だ。
「これがシンプルで着やすいかしら」
 梅はスタッフが用意した数々の水着の中からスクール水着を手に取ると、更衣室で着替えてきた。
 スクール水着姿の梅が画面に映ると同時に大量のコメントが流れ、再生数が急上昇していく。
「三つ編み眼鏡にスクール水着……。アタシたちはとんでもない逸材を発掘しちまったのかもしれねえ……」
 思わず唸る家出少女改めプロデューサーの真理江。
 三つ編みと眼鏡を引き立てるスクール水着が梅の魅力を何倍にも増幅している。今の梅は凄まじいアイドルオーラを発しているのだ。
 そして画面に25メートルプールが映し出される。事務所に付属しているものだ。
「とりあえず泳いでみるわ。タイムが良かったら一曲歌わせてもらうわね」
 梅は画面に向かって笑顔を向ける。視聴者から応援コメントが書き込まれていく。
『タイムが世界記録に届かなかったら罰ゲーム』
 突如、プロデューサーの真理江によって画面に表示されたテロップ。
 それを見て視聴者のコメントが乱舞する。
『罰ゲーム内容は視聴者コメントから採用します』
 ちょっと真理江さん!? 書き手が責任とれないようなこと言わないで頂けます!?
 だが、真理江が出したテロップは視聴者を熱くするには最大の効果を発揮した。ぐんぐんと上がっていく動画再生数。もはやテロップの罰ゲーム発言を取り消すことは書き手にも不可能だ。
 こ、こうなったら、梅には自力で世界記録を出してもらうしかない!
 泳ぐならSPD判定だが、梅のSPD判定の成功率は58%。泳ぎを補助する技能は持っていないため、ダイスを振る回数は一回。書き手は100面ダイスを持つ手に汗を握る。
 そして、運命のダイスが転がっていき……。出た目は04。成功率の10分の1以下なので大成功!
 プールに勢いよく飛び込んだ梅は、完璧なフォームでプールを泳ぎ切り、なんと世界記録を出してしまった!
 これには視聴者も呆然。それもそうだろう。いきなり生中継で世界新記録が出てしまったのだから。書き手もびっくり。
「ふう、いいタイムだったみたいね。それでは歌います。歌は【シンフォニック・キュア】」
 シンフォニックデバイスを片手に水着姿で可憐な歌声を披露する梅に、称賛のコメントがやむことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花邨・八千代
なるほど…つまりアイドル力(ぢから)を見せつけるってことだな?
測定不能のアイドルパワーを発揮する時がきたみてぇだな。
この力、存分に奮わせてもらうぜ。

◆動画
だが水着は着ない、だって今の時期寒いじゃん。
下半身に訴えかけるより熱さ追及していこうぜ。
むこうが夢と希望でくるならこっちはパワーオブ力だ。
「アルミホイルで巨大球体作り」だ!
現場にあるだけのアルミホイル集めて撮影開始だ。
有り余る「怪力」を使って素手アルミホイルを丸めていくぞ。
金づち?いらねェなァ。
つやつやピッカピカの球体作ってやるぜ。

うん?アイドルのやることじゃない…?
細けぇことは気にすんな!



●アイドルパワーを見せてみた
「なるほど、邪神アイドル事務所の陰謀をぶっ潰すために、アイドル力(ぢから)を見せつけるってことだな?」
 にやりと不敵な笑みを浮かべるのは花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)。
「アンタの測定不能なアイドルパワー、活かす時だぜ」
 真理江プロデューサーが八千代に期待の眼差しを向け、水着を取り出そうとし……。
「おっと、俺は水着は着ない。だって今の時期寒いじゃん」
 季節は真冬。まったくもってその通りな意見であった。いや、一応屋内プールだから寒くはないよ?
「え、それじゃ、アンタは何をするの?」
「向こうが夢と希望で来るなら、こっちはパワーオブ力だ」
 自信満々に胸を張る八千代は、お題を口にする。
「『アルミホイルで巨大球体作り』だ!」
「え……?」
 耳を疑った真理江プロデューサー。
「聞こえなかったか? 『アルミホイルで巨大球体作り』だ!」
 どうやら聞き間違いとか幻聴とかの類ではないらしい。
 とりあえず、スマホを取り出して調べる真理江と書き手。
「へえー、アルミホイルって、こんなにピカピカになるのか」
 感心する真理江。うん、書き手もびっくり。
「というわけで、普通サイズのを作っても面白くねえ。有り余る怪力で金づちなんか使わずに素手でアルミホイルを丸めて固めてやるぜ!」
「面白いじゃん! スタッフ! 近くのコンビニやスーパーからありったけのアルミホイルを買ってきて!」
 グラサンのスタッフたちは、慌てて街に飛び出していった。

 しばらくして。
 カメラに映る八千代の前には、大量のアルミホイルのケースが置かれていた。
「よっしゃ。というわけで、俺はこのアルミホイルで球体を作るぜ!」
 道具を一切使わず、素手でアルミホイルを丸め、叩いていく八千代。
 それは、はじめはぐしゃぐしゃな表面だったが、八千代に叩かれるたびに金属光沢を放つ綺麗な球体になっていく。
「だが、これだけじゃあ面白くねえ! これを雪だるま式に大きくして、バカでっかい球体にするぜ!」
 アルミホイルを追加して叩いて、一回り大きな球体にする。それを繰り返し、超巨大な球体を作るのだ。
 ガンガン消費されていくアルミホイル。ガンガンぶっ叩いていく八千代。
「アルミホイルが足りない! もっと買い占めてきて!」
 真理江からの指示が飛ぶ。慌ただしく駆け回るスタッフたち。なにげにこの動画のスタッフが一番忙しいかもしれない。

「よっしゃ、完成だ!」
 満面の笑みの八千代の前に、ピッカピカな表面をしたツヤツヤの超巨大球体が鎮座していた。
 アイドルとは別の方向性ではあるが、八千代の独特なパフォーマンスは動画視聴者たちに受け、多くの再生数を獲得した。そして、それによって邪神アイドル事務所の動画の視聴者を減らすことに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
アマータ殿と連携希望っす

先ずは真の姿を解放

「段々若返るんすよね……これで十五歳くらいっす」
生っ白さと女顔活かして女装

【世界知識】と【礼儀作法】でこの世界の「お嬢様」を体現してやるっす!【コミュ力】は演技力を兼ねる!

この【地形を利用】して、黒髪ウィッグに桃色大胆ビキニ、薄手パレオで体の線をボンヤリさせて想像力刺激っす!(やけ)

「……何でも無いのよ」
プールサイドでチェアに座って、物憂げにため息、熱に浮かされたような表情、潤む瞳
(恥ずかしいっすから!)
日に当たった事のない白い肌が、朱に染まる
もうどうしたらいいか分からず、お嬢様はメイドのなすがまま……ヤバいっす

【WIZ】動画の魔法加工とか興味深いっす


アマータ・プリムス
※モルツクルスと連携希望
「この時期にプールというのも中々乙なものですね」

【世界知識】と【変装】を使いモルツクルス様を完璧な水着美少女に仕立て上げます。

「今回もいい仕事をしました」

仕立て上げたら配信を始め、当機も髪を下して背中がぱっくりと開いた黒の競泳水着を着てプールを泳ぎます。
しばらく泳いでいるとなんだかモルツクルス様のお顔が赤いのでプールから上がり熱を測るためにおでことおでこをくっつけます。

「お顔が赤いようですが大丈夫ですか?」

そのまま百合百合な感じで介抱を続けます。

一応裏で携帯秘書装置を使いサイトを【ハッキング】して動画を解析【情報収集】もしておきます。


栗花落・澪
【Sky Girls】で連携

僕達の音楽で
皆を夜空の旅にご招待してあげるよ

カメラ機材を借りて屋外撮影
星空をバックに僕は天使の翼を広げ宙に舞い
メインボーカルとして【破魔】の力を宿した【優しい、歌声】で
ポップス曲を奏でる
この星空に合うように柔らかな笑顔で
明る過ぎず暗過ぎない穏やかな気持ちで聞ける歌を
間奏の踊りは心から楽しむよ

サビ入り直前に【パフォーマンス】として周囲に無数の鈴蘭を散らせ
アメリアさんの協力で氷の花を降らせながらサビの盛り上がりへ
画面越しに見れば月光が反射して
輝く星の欠片が降り注ぐように見えれば成功

※日中生放送になる場合
青空をブルーシート代わりにクロマキー合成で星空演出

アドリブ歓迎です


アメリア・イアハッター
【Sky Girls】で連携
アナタもキミも、全員で!
私達と一緒に、空を飛びましょ!

・行動
メインボーカルの澪の周りを【スカイステッパー】を駆使しながら跳び回り、空中ダンスを披露する
澪が歌っている最中はバックで目立ちすぎないように、しかしポップス曲に合うように陽気に踊る
たまーにサブボーカルとして参加したり

間奏に入れば、澪の手を取って一緒に踊ってみたり
二人の仲良いところも見せちゃおう!

サビ入り直前に澪の技に合わせて【Ice Cloud】を使用
澪を中心に冷気を振りまき、鈴蘭を凍らせて氷の花を降らせる
幻想的な輝きの中で、私達の笑顔と、視聴者の笑顔が輝けば成功だね!

・補足
澪の呼び方…つゆりん

アドリブ歓迎



●Sky Girls
「僕たちの音楽で皆を夜空の旅にご招待してあげるよ」
「アナタもキミも、全員で! 私達と一緒に空を飛びましょ!」
 無数の星々が煌めく満天の星空をバックに視聴者に語りかけるのは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)とアメリア・イアハッター(想空流・f01896)の二人、『Sky Girls』であった。
 なお、背景の星空は事務所にあったパソコンを使ってグラサンのスタッフたちがリアルタイム合成しているものである。
 スタッフが構えるカメラの前で、澪は天使の翼を広げて宙に舞う。オラトリオである澪のその姿は、さながら天使のようであった。その澪の周りを飛び回り、空中ダンスを披露するのはアメリア。可憐な衣装が似合うその姿は、まるで空を舞う妖精であった。
「いくよ、アメリアおねーさん」
「うんっ、つゆりん!」
 柔らかな笑顔を浮かべた澪の優しい歌声がポップス曲を奏で始める。

『僕たちには翼がある どんな過去にも囚われず飛ぶために』

 邪なものを浄化するようにメインボーカルの澪が穏やかなメロディを口ずさんでいく。その姿はまるで、聖歌を歌う天使であった。その澪の周囲をアメリアがポップス曲に合うように陽気に軽やかにステップを踏みながら舞い踊る。空を飛ぶ天使の周りを妖精が祝福しているかのような神秘的な光景だ。
 妖精……アメリアも透き通るような声で心からの気持ちを込めて歌う。

『無限に広がる空を跳んで 広い世界を見に行こう』

 曲が間奏に入ると、妖精は天使の手を取り、ワルツを踊る。天使の翼から鈴蘭の花びらが舞い、白く美しく凍りついたかと思うと、月光を反射して輝く星の欠片のごとく地上に降り注ぐ。それは地上にいる人々すらも満天の星空を飛んでいるかのように錯覚させるかのよう。
 そして天使と妖精は声を合わせて歌う。

『さあ 一緒に星空を翔ぼう』

 歌い終えた天使と妖精の満面の笑顔は、見る人々の心を安らぎで満たしていった。それは図らずも、邪神アイドル事務所の動画を見た人々にかけられた呪術を解除する効果をも発揮していた。
 こうして放送された『Sky Girls』の動画の再生数は物凄い勢いで伸び、後々まで伝説のライブ動画として語り継がれるのだった。

●お嬢様とメイドが百合百合してみた
「自分、真の姿に近づくと段々若返るんすよね……これで15歳くらいっす」
 真の姿が『5歳の自分』であるモルツクルス・ゼーレヴェックス(影を扱き使う・f10673)は、真の姿を解放することにより、色白の少年に若返っていた。中性的な顔立ちのオラトリオだけに、こうして見ると美少女に見えなくもない。
「モルツクルス様、化粧が終わりましたら、こちらのパッド入りの水着をご使用ください」
 そのモルツクルスを完璧な美少女に仕上げるため、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)がモルツクルスに化粧を施していく。事務所にあった耐水性の高い化粧品を使っているので、プールに入っても安心だ。
 こうして、黒髪ウィッグを付けて、桃色の大胆なビキニに薄手のパレオをまとった美少女アイドル、モルツクルス……改めクルスちゃんが誕生したのであった。
「今回もいい仕事をしました」
 満足気に呟くアマータは、自分も髪を下ろして、背中が大きく開いた黒の競泳水着に着替えるのだった。

 配信される動画に映るのは二人の美少女がプールを泳ぐ姿。
 お嬢様風な雰囲気を纏うクルスちゃんと、それに従うメイドとして振る舞う、機械のように精巧な顔立ちとスタイルをしたロボッ娘なアマータ。この二人の美しさに視聴者は釘付けになり、クルスちゃん派とアマータ派とで論争に発展していた。
『美少女なお嬢様こそ最高!』
『いや、メイドさんな美少女ロボこそ至高!!』
 お嬢様とメイドロボのどちらが素晴らしいか。神ならぬ人間には決して答えることのできない深遠な問いがそこにはあった。
 だが、そこに変化が訪れる。
 泳いでいるクルスちゃんの顔が赤くなってきたのだ。
「クルスお嬢様。お顔が赤いようですが大丈夫ですか?」
 アマータによってお姫様抱っこをされてプールから上がるクルスちゃん。日に当たったことのないような真っ白な肌が朱に染まっていた。
 アマータは、クルスちゃんに膝枕をしてプールサイドに横たえると、おでことおでこをくっつける。
「お熱はないようでありますね」
「……何でも無いのよ」
 クルスちゃんは紅潮した頬で物憂げにため息をつき、一瞬アマータから目を逸らす。しかし、それから熱に浮かされたような表情で潤んだ瞳をアマータへと向けた。
(この体勢で見つめ合うなんて、めっちゃ恥ずかしいっす!)
(これも視聴者数を稼ぐためです。当機の知識によると、この展開こそ視聴者が求めるものです)
 実際、アマータの読み通り、動画は『メイドさんとお嬢様の百合展開キター』というコメントで埋め尽くされ、再生数もうなぎ登りであった。
 アマータはここぞとばかり、視聴者(とモルツクルス)にとどめを刺しに行く。
「お嬢様、少しお身体を楽にされたほうがよろしいかと」
「なにを……きゃっ」
 アマータの手が、クルスちゃんのビキニの水着のトップスの紐をするりとほどく。
 (男だとバレないように)慌てて胸を隠すクルスちゃんだが、すでに水着はアマータの手の中だった。
(ちょっ!正体がバレちゃうっす!)
(大丈夫です。そうして手で隠していれば、成長途中ということで誤魔化せます)
 膝枕状態でメイドに大胆な格好にされた、真っ赤な顔のお嬢様。(小声で話すために)顔を近づける二人。動画はもはや熱狂の坩堝と化していた。
 こうして、しばらくメイドさん主導の百合っぽい展開が続くのだった。

 動画の作成後、二人は動画の解析をおこなった。
 アマータは携帯秘書装置を使い、邪神アイドル事務所の動画を解析し情報収集を。
 モルツクルスは邪神アイドル事務所の動画に組み込まれた呪術的な加工について調べつつ、魔法による動画加工技術について実験をおこなう。
 こうして、相手の視聴者を奪いつつも、別方向からのアプローチもおこなっていくのであった。

●儀式阻止成功
「ちょっとあなた方! ウチの事務所の動画配信の邪魔をしないでくださる?!」
 叫びながら事務所に飛び込んできたのは、シスター服をまとった女性。動画で見た、邪神アイドル事務所の社長、祈谷希その人だった。
「あなた方のせいで、私の動画再生数が伸びなくなって、邪神復活計画が水の泡じゃない! どうしてくださるの?!」
 ヒステリックに叫ぶ祈谷社長。
 あ、ちなみに、祈谷希を名乗る邪神教団の巫女は何人もいるようなので、この祈谷希はちょっと特殊な性格ということでお願いします。
「とにかく、私の計画を邪魔してくださった報いは受けていただきますわ」
 祈谷社長から立ち上る邪悪な気配が強くなっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『黄昏色の信心』祈谷・希』

POW   :    偉大なる先駆者からの加護
自身の身長の2倍の【強化された眷属『黄昏の信徒』】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    神からの愛と赦しを貴方に
【麻袋を被り巨大な鋏を携えた屈強な拷問者】の霊を召喚する。これは【人切り用の巨大な鋏】や【手足や首を縛って吊るし上げにする鎖】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    肉と魂が死んだ時、貴方は『黄昏の救済』に召される
レベル×5体の、小型の戦闘用【拷問具を装備した歪な人形】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は火奈本・火花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アイドルが邪教の巫女と戦ってみた
「あなた方はここで皆殺しにさせていただきますわ」
 祈谷希から強力な邪教の力が解放される。
 さあ、猟兵としてのバトルが始ま……
「スタッフ、カメラは止めずにそのまま中継! アイドルVS邪教の巫女という特撮ものとして放送するぜ!」
 無茶苦茶なことを言いだしたのは真理江プロデューサーだった。
 ちょっと! オブリビオンとの戦いを中継しちゃダメでしょ!
「いや、さっきの配信を見ただろ? 少しくらい派手にやっても特殊効果と言い張れるし、ヤバイシーンはリアルタイムで編集する!」
 まあ、最近の技術とか凄いですしね。
「それに、さっきのアマータの動画解析で分かったんだが、ソイツ、普通の方法じゃ倒せないらしい」
「ふふふ、よく分かりましたわね。そう、私に通常の攻撃は効果ありませんわ」
 酷薄な笑みを浮かべる祈谷希。
「だけど、対処方法は分かってる。モルツクルスがヤツラの動画の呪術を解析して、それを転用した魔術的な攻撃方法を構築してくれた!」
 このアイドルVS邪教の巫女の特撮動画を見た視聴者から少しずつ魔力を分けてもらい、それを触媒である真球(アルミホイル製)に集めた上で、祈谷希に魔術的な攻撃をおこなう仕組みだという。
「そのためには、大勢の視聴者からの動画再生数が必要だ!」
 動画再生数が祈谷希へのダメージとなるので、猟兵たちはアイドルとしてのパフォーマンスをおこないながら戦って目立つことで、敵を攻撃したことにできるのだ。もちろん、普通に戦闘をおこなうことも再生数を伸ばすことに繋がるので、いつもどおりに戦っても構わない。
 ただし敵は全力で攻撃してくるので油断は禁物だ。
「とにかく、アイドルやヒーローとして目立ちながら戦ってくれよな!」
アリア・ティアラリード
モルツクルスさん、アマータさんと連携希望

「キラキラ輝いてアイドルの可愛さ、みせつけちゃいます♪」

私も可愛いアイドル衣装を借りて【早着替え】で真の姿にっ!
衣装にふさわしくいつもより可愛く【存在感】全開!

攻撃する時もカメラ目線は忘れず
【ダッシュ】の時はあざとく胸を揺らしたり
くるっと可愛くスカートを舞い上げギリギリのカットを演出してみたり…ギリギリですよ?
借りてる服なので少し気まずいですが、防御する時はことさら服で受けて
キワどいヒロインピンチのサービスシーンで視聴者を【誘惑】しちゃいます!

締めはアマータさんの歌声をBGMに、三分身モルツさんのダンスをバックに
本体に『虹色飛翔七連剣』!!華麗な一撃です


アマータ・プリムス
モルツクルス様、アリア様と連携希望
いつものロングのメイド服と違いミニのアイドル衣装で登場。
【世界知識】と【変装】を使いアイドルになりきる
「一曲お相手願いましょう」

【歌唱】を使い歌いながら人形のネロを使いアリア様とモルツクルス様と協力して当機は踊るように戦います。
敵が人形召喚を使ってきたら【範囲攻撃】で薙ぎ払う。
信徒を召喚したら【フェイント】と【だまし撃ち】を使って本体狙い。
基本はアリア様とモルツクルス様のサポートでピンチになったら真の姿とUCを使い主導権をネロに変更して当機が戦う。
戦闘中は極力ギリギリで攻撃を避け衣装を破いてく。

「アンコールはありません。今宵の舞台はこれで終わりです」


モルツクルス・ゼーレヴェックス
アマータ殿、アリア殿と協調っす【戦闘知識】で連携とるっす!

十歳まで若返ってるっす!

今度はゴスロリ衣装を借りてファンタジーなロリお嬢様っす!さらに!

「「「ごめんあそばせ」」」

我が秘術【自己複製】にてロリクルスが三人に増えるっす!

「あちら、ずいぶんなけんまくで」「イヤですねはしたない」「こちら、ゆうがにキメましょう!」

「「よくってよ!」」

ここは既に自分達の事務所!
【拠点防衛】の利を活かし【地形を利用】して多いに目立つっす
プールで濡れ、スタジオで踊りながらも【礼儀作法】で麗しく【コミュ力】活かしカメラ意識!

多彩な魔術で【属性攻撃】を華やかに魅せるっす!

「「「さあ、ゆいごんは、ございません?」」」



「邪教の巫女『黄昏色の信心』である私を倒そうなどと、思い上がるのもいい加減にしていただこうかしら」
 ついに本性を現した祈谷希が、眷属である信徒や拷問者の霊、それに拷問具を持った人形を召喚する。
「ふふふ、あなたがたには、これから拷問を受けて悲鳴を聞かせてもらいましょう」
 邪教の巫女が、その名に相応しい恍惚とした表情でサディスティックな笑みを浮かべる。アップになったその表情に『邪教の巫女』というテロップが表示された。

●お姉ちゃんとクールとロリ
 サディスティックな笑みを浮かべる祈谷希に対するは、アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)、それに10歳まで若返って女装したモルツクルス・ゼーレヴェックス(影を扱き使う・f10673)の3人……いや、モルツクルスが3人に増えているので5人のアイドルたちだった。

「キラキラ輝いてアイドルの可愛さ、見せつけちゃいます♪」
 変身ポーズとともに可愛らしいアイドル衣装に一瞬で早着替えしたのはアリアだ。その魅惑的なボディの存在感は、普段の3割増しであった。そんなアリアの映像に『癒やされたいお姉ちゃんアイドル』のテロップが重なる。
 動画視聴者たちは、アリアの魅力的な容姿に釘付けになっていた。胸を強調するデザインの衣装を着たアリアのJカップ98cmのバストは、もはや見るものを魅惑する凶器。視聴者の口コミで動画再生数がグングン伸びていき、多数のコメントが書き込まれる。
 動画を見た視聴者から魔力が集められ、真球(アルミホイル製)に集まると、そこから激しい雷撃が迸り、祈谷希に直撃する。
「くっ、何も知らずに動画を見ている視聴者から魔力を借りるとは……なんて酷いことを!」
 動画を見た視聴者を生贄にしようとした祈谷希には言われたくないと思う猟兵たちであった。

「続いて当機の番でございますね。視聴者の皆様は、ご機嫌いかがでありますか?」
 普段のクラシックなメイド服ではなく、ミニスカートのアイドル衣装で登場したアマータ。豊富な知識を元にアイドルになりきった彼女は、機械的な口調の中にも、人形らしくない微笑を浮かべる。それはアマータだからこそできる、計算し尽くされた完璧な微笑み。クールキャラが時折見せる笑顔というレアリティが、そこにはあった。画面には『クールなロボッ娘アイドル』という説明が表示された。
 動画を見ているクールキャラスキーな視聴者たちが、アマータのその仕草にノックアウトされないことがあろうか。いやない。
 クールキャラ好きな視聴者からのクール好きパワーが真球(アルミホイル製)に集まると、クールな氷のつららが生成される。
 氷のつららは、祈谷希の身体を貫き、苦悶の声をあげさせた。

「次はわたしたちね。ごめんあそばせ」
 画面は3人のゴスロリ衣装を着た10歳くらいのお嬢様たちを映し出す。
 視聴者たちは、さっきまでこんな娘いたっけ? と疑問に思うが、それも当然。モルツクルスが真の姿に近づいたことにより、10歳まで若返った姿なのである。アマータの変装術や化粧テクニックによって完璧なお嬢様の姿になった上に、【自己複製】の秘術で2人のモルツクルス……いや、ロリクルスを生み出したことで、ロリクルス・トリオとなった彼らは、画面に向かって花のように笑いかける。その笑顔の横に『ロリ……じゃなかった、幼い美少女アイドル』という文字が表示された。
 これには、画面の前のロリコン……もとい、紳士の方々も驚愕を覚えざるを得なかった。一人でも破壊力が大きいロリ……いや、幼い美少女が、なんと3人もいるのである。破壊力は3倍どころか3乗。
 紳士な方々の触りたくても触ってはいけないという強い想い……。それを集めた真球(アルミホイル製)から見えざる手が伸び、祈谷希に絡みつき、その動きを封じた。

「くっ、身動きが……」
 紳士パワーの前に身動きを取ることができない祈谷希。その隙を逃す3人、いや、5人ではない。

「このチャンス、逃さないわ」
 アリアがカメラ目線で律儀に攻撃宣言をしてから、祈谷希に向かってダッシュする。
 いや、ダッシュというには、やけにゆっくりとした走りだ。まるでわざと胸が揺れるような走り方で身体を上下に揺すりながら走っているようだった。
「それでは、一曲お相手願いましょう」
 アマータは歌唱力を活かした完璧な音程で歌を歌い始める。さらに人形のネロを呼び出すと、歌いながらネロとワルツを踊る。
「こちらも準備はよくってよ!」
 ロリクルス・トリオもアマータとネロのダンスに混ざって踊りながら、自身の周囲の空中に幾何学的な魔法陣を浮かべていく。

「これで! 切り刻みますっ!! 虹色飛翔七連剣(ラ・アルカンシェル)!!!」
 それまで視聴者の目を意識してゆっくりだったアリアの動きが突如鋭くなる。祈谷希に一瞬で肉薄すると、紅、橙、黄、翠、碧、藍、そしてピンクの光剣を取り出し、乱舞するように祈谷希に7本の剣の連撃を叩き込んでいく。
 一撃一撃が祈谷希の身体を斬り裂くたびに、祈谷希からくぐもった悲鳴が聞こえる。
「ネロ、今です!」
 そこに飛び込んできたのは、アマータの人形のネロだ。アリアによる連撃の隙を埋めるように、フェイントを交えた薙ぎ払いで祈谷希を大きく弾き飛ばし、事務所の壁に激突させた。
「さあ、ゆいごんは、ございませんか?」
 3人で声を重ねるロリクルス・トリオの背後には、炎、氷、雷の魔法陣が浮かんでいた。別属性魔法の同時詠唱。それは自己複製が可能なモルツクルスだからこそ可能な魔術奥義。
 一斉に発射された業火が祈谷希を燃やし、極寒が祈谷希を凍らせ、豪雷が祈谷希を貫いた。

 『最近のエフェクトは迫力あるな』『あの娘の殺陣もすごかった』『あの人形、まるで生きてるみたいに動いてたな』と、次々と書き込まれていくコメント。再生数もどんどん増えている。視聴者たちは、アイドルが邪教の巫女を倒したという筋書きを一切疑っていなかった。
 しかし、祈谷希と戦っている猟兵たちは戦慄を禁じえなかった。あれだけの攻撃を叩き込んだのに、祈谷希を倒しきれなかったことに。ゆらりと立ち上がる祈谷希。その全身は傷だらけであるにも関わらず、表情には不気味な笑顔が張り付いていた。
「手応えはあったのですが……」
「当機の分析では、ダメージは入っているようであります」
「ただし、視聴者の再生回数分のダメージってとこっすね。普通の攻撃が効かないとか、チートもいいところっす」
 本来なら祈谷希を倒してもおかしくない3人のコンビネーション。しかし、祈谷希に与えることができたダメージは、『アイドルがかっこよく戦って再生回数が伸びた分』であった。
「ふふ、たまには拷問を受ける側に回ってみようと思ったのですが、この程度でおしまいですか?」
 間違いなくダメージは受けているものの、ふらつく足取りで立つ祈谷希。その瞳には狂気としか言いようのない光が宿っていた。
 再生数を増やすしか祈谷希を倒す手段がないと理解した猟兵たちは、再生数を稼ぐパフォーマンスを決意した。

「それでは、こんどは私からいかせていただきますわね。私の拷問で、いい声で鳴いてくださいまし」
 祈谷希に召喚された信徒が、巨大な棘付き鉄球を振り回してアリアへと投擲する。
 アリアはわざとスカートがギリギリまで捲れ上がるようにして鉄球を回避。わざと棘が掠るようにして、衣装を破かせる。
「くっ、やりますね」
 ピンチになったヒロイン的な演技も忘れずに、次々と鉄球を紙一重で見切って避けていく。そのたびに舞い散るアリアの衣装。
「そ、そろそろ、これ以上は危ないでしょうか……」
 布の面積が減ってきたアリアに、再度鉄球が放たれる。さすがにこれ以上衣装が破れると放送できないことになってしまうので、鉄球を大きく回避しようとして……。
「あっ!」
 足首に鉄球の鎖が巻き付いているのに気がついた。
「ふふふ、こちらも闇雲に鉄球を振り回していたわけではありませんわ」
 祈谷希の声とともに、身動きできないアリアに鉄球が迫る。

「させませんっ」
 その鉄球を弾き返したのは、アマータの人形のネロだった。ネロによって薙ぎ払われた鉄球は明後日の方向に飛んでいった。
「ふぅん、では、貴女にはこちらね」
 祈谷希が呼び出した拷問者の霊が、巨大な鋏と鎖を手にアマータへと向かう。
「鎖に捕まると危険でありますね」
 相手の狙いは、鎖によって手足の動きを封じてからの鋏の一撃であると見抜いたアマータは、【Acta est fabula】を発動し、人形のネロに自身を操らせて戦闘力を向上させた。
 飛躍的に運動能力が向上したアマータは、鋏にわざと服を破かせてピンチを演出しつつ、鎖に注意を払って回避していく。
「まさか、当機の計算で避けきれないなんて……」
 カメラ目線で、追い詰められていくクールヒロインのセリフをいうのも忘れない。
(そろそろ、衣装がギリギリでありますね。十分に視聴者も増やせたでしょうから、そろそろ反撃するであります)
 ネロに反撃の指示を出した瞬間。急に身体が動かなくなった。
 否。ネロがアマータを操るのに使っていた操り糸が拷問者の鋏によって切られたのだ。
「しまった、であります……」
 演技ではなく本心からの言葉。
 ネロのサポートがなく、さらに動揺によって隙が生まれてしまったアマータは、拷問者の鎖に両手を捕らえられ、屈強な体躯の相手の目前で宙吊りにされてしまう。
「ふふふ、もう逃げられませんわね。そうね、まずは邪魔な服を全部切ってしまおうかしら」
 祈谷希の指示で拷問者が鋏をアマータの服に向ける。ここまでピンチを演出するために、アマータの衣装はボロボロになっている。その衣装に鋏が近づいてきて……。

「そうはさせなくってよ!」
 アマータを捕らえていた拷問者の霊を倒したのは、ロリクルスが放った魔術の一撃だった。
「よくも邪魔をしてくれましたわね」
 激昂した祈谷希が、ロリクルスたちを睨む。
「あちら、ずいぶんなけんまくで」
「イヤですねはしたない」
「こちら、ゆうがにいきましょう」
 挑発するロリクルスたちに、祈谷希の拷問具を装備した無数の人形たちが迫る。
「こんなかわいくないおにんぎょう」
「わたしたちのまほうで」
「もやしてしまいましょう」
 ロリクルスたちは炎の魔術の魔法陣を展開すると、拷問人形の群れへと炎の矢を雨のように降らせる。
 炎の矢が当たった人形は一撃で燃え尽きる。しかし、いかんせん数が多かった。
「ちょっと」
「かずがおおすぎて」
「たおしきれませんわ」
 モルツクルスの【自己複製】で生み出された分身のロリクルス2人が、本体をかばって拷問人形たちに捕らえられる。
「ふふふ、私の人形の遊び相手になってもらおうかしら」
 祈谷希の指示で、2人の幼い少女は人形たちに服を破かれ、拷問にかけられそうになり……その姿が消え失せた。放送できない事態になる前に、本体のロリクルスが【自己複製】を解除したのである。
「なるほど、あなたが本体というわけですね。器用な術を使いますこと」
 本体のロリクルスに人形が殺到し、拷問用の鎖や荒縄に捕らえられる直前。
「虹色飛翔七連剣!」
 アリアの七色の光剣によって切り裂かれ、人形たちは消滅していった。

 『ヒロインがピンチになる展開はやっぱり王道だな!』『あの服の破け方、よく分かってる』『それに、あの敵役の娘も、ちょっといいかも』息もつかせぬ展開に視聴者はどんどん増え、再生数もうなぎのぼり。その視聴者の魔力を攻撃魔術に変え、真球(アルミホイル製)から魔術が放たれ、祈谷希に大きなダメージをあたえる。
「そんなっ、この私がここまでダメージを受けるなんて……」
 祈谷希から、焦りを含んだ声が漏れる。このまま戦えば、猟兵の勝利も近いに違いない!

 ダメージを受けて肌色が多くなるだけで、敵が苦しむ様子を見た猟兵たちは、ちょっと複雑な気分になるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕闇霧・空音
さて…茶番は終わりにしようか?
私はいつもどおりに戦わせてもらおう。
敵の動きをよく確認し、SPD重視で攻撃を仕掛ける。

フリーズゼロで攻撃を仕掛け、敵とその周囲に現れる敵を
まとめて撃破する。
だがああは言いつつも魅せる戦いはするつもりで

敵の攻撃を華麗にかわしつつ
自分のユーベルコードを打ち込んでいくとしよう。



●拷問者との戦い
「さて……、茶番は終わりにしようか?」
 クールな口調で涼やかに告げるのは、夕闇霧・空音(サイボーグの咎人殺し・f00424)。彼女は魅せる戦いで敵を倒すつもりであった。
 真理江プロデューサー、『冷静なメカっ娘』とか空気読まないテロップ表示するのやめたげて!
「ふふふ、あなたからは拷問しがいがありそうな匂いを感じますわ」
 祈谷希が浮かべた酷薄な笑み。空音が眉をひそめる。
「あなたは自分の快楽のためだけに人に拷問を加える。私が知っている中でも最低の部類ね」
「ふふふ、拷問こそが我らが神へ近づくための神聖な儀式! それを受けられる幸福に感謝してほしいですわ」
 恍惚とした表情を浮かべる祈谷希を見て、これは倒さなければならない敵であると再確認する空音。
「一気に勝負を付けさせていただくわ」
 着ているボロボロのセーラー服を翻しながら、一気に祈谷希との距離を詰める。
 それを迎撃すべく、祈谷希が身長4メートルにもなろうかという眷属の信徒を呼び出す。呼び出された眷属は、祈谷希の動きをなぞるかのように手に持った鎖付きの棘付き鉄球を振り回し、空音へ向かって放り投げた。
 空気を切り裂いて巨大な鉄球が空音へと迫る。しかし、空音は疾走する速度を落とすことなく、逆に地を蹴る速度を加速させた。鉄球は空音の頭上数センチを通り過ぎる。
「なっ」
 さすがの祈谷希も、その行動は予想していなかったのか、驚きの声を上げる。
 このスピードには眷属の巨体では対応できないと考え、鋏と鎖を持った拷問者の霊を召喚する。拷問者は手に持った鎖を数十本に分裂させ、迫り来る空音を捕らえようと放った。
 空音は跳躍すると、伸身宙返りの形で鎖を飛び越え、身を捻りながら着地する。そこは、すでに祈谷希の背後だった。
「八寒地獄を今この両腕に……封印開放! フリーズゼロ、発射!」
 空音は両手を砲身状に変形させると【封印兵装フリーズゼロ】を発射し、周囲にある全てを絶対零度の光線で凍らせていく。
 祈谷希が召喚した眷属も拷問者の霊すらも、絶対零度の中では動くことすらできない。全身を凍りつかせ、崩れ去っていく。
 祈谷希もまた、絶対零度の光線を浴びて凍りついて……その唇がにやりと歪む。
「そんな、私のフリーズゼロの中で動けるなんて……」
「ふふふ、言ったでしょう? 私に通常の攻撃は効かない、と」
 絶対零度の空間の中、空音に近づいてくる祈谷希。封印兵装を使ったクールタイムのために身動きが取れない空音の細い首に祈谷希の手がかかろうという瞬間。

 『すげーアクション!』『あれ、ワイヤーつかってるのか?』『合成じゃね?』といった視聴者の熱い想いが真球から熱線として放たれ、祈谷希に直撃した。
 絶対零度に近い状態から、急激に高温に熱せられると、熱衝撃によって物体は破損する。
 今まさに、祈谷希の肉体には熱衝撃が加えられ、絶大なダメージを負ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

曽我林・梅
(いつの間にか水着からいつものセーラー服に着替え)
ついに黒幕が現れたわね!
こちらも本気を出していきましょうか…!!
(真の姿を開放して、髪は梅の花びらのような薄紅色に、瞳は花のおしべのような金色に色を変える。束ねていた三つ編みが自然と解け、波打つ髪が風に揺れるように広がる)
マジックナイト梅ちゃん、ただいま参上よ!
(特撮っぽく自分の背後で意味もなく梅ちゃん爆弾を爆発させる)

え、待って……あのちっちゃい人形、可愛くない!?
敵とはいえ直視して攻撃できないわ…!(眼鏡を外す)
よし、これなら何が何だか分からないわね!
梅ちゃん爆弾で爆撃して隙を作りつつ、ルーンソードで煙の中から颯爽と現れて敵に斬りかかるわ!



●このアイドルは、あと二回変身を残している
「ついに黒幕が現れたわね!」
 画面に映るのは、白の生地に紺の襟、青いスカーフとロングスカートというセーラー服姿をした曽我林・梅(人間のマジックナイト・f04274)。三つ編みに眼鏡をかけた彼女がアップになると同時に、『三つ編みメガネアイドル』のテロップ。
「ふふふ、あなたのような地味な娘が私にかなうかしら?」
 他のアイドルたちに比べて華が足りないと侮った祈谷希が信徒を召喚し、梅に向かって棘付き鉄球を投げてくる。
「きゃっ!」
 間一髪で回避する梅。
「ふふふ、やはりあなたの容姿では、あの忌々しい魔術装置を発動させるだけの視聴者の熱狂は引き出せないみたいね」
 ちらりとみやった真球(アルミホイル製)から攻撃が飛んでこないことに安堵した祈谷希は、調子に乗って鉄球攻撃を繰り返してくる。
「それなら、こちらも本気を出していきましょうか……!!」
 攻撃が途切れた隙をついて、梅が真の姿を解放した。その漆黒の髪が梅の花びらのような薄紅色に変化する。そして、瞳は花のおしべを思わせる金色に。さらに、束ねていた三つ編みが自然と解け、波打つ髪がふわっと風に揺れるように広がった。
「マジックナイト梅ちゃん、ただいま参上よ!」
 梅の背後で【梅ちゃん爆弾】が爆発し、特撮っぽい演出が加えられた。
 梅ちゃんは、祈谷希に向かって(どこからともなく取り出した)ルーンソードを構える。

「ふふふ、威勢のいいナイトだこと。どこまでその元気が続くかしら?」
 変身程度では視聴者の熱狂は引き出せないと判断した祈谷希は、拷問具を持った不気味な人形の群れを召喚し、マジックナイト梅ちゃんを襲わせようとする。
 しかし、その人形をひと目見た梅ちゃんの反応は早かった。
「え、待って……。あのちっちゃい人形可愛くない!? 敵とはいえ、直視できないわ……!」
 まるで女子高生がファンシーな人形でも見たかのような反応をするマジックナイト梅ちゃん。
 ちなみに召喚されたのは、三章扉絵のボスイラストの足元にいる人形です。あれが可愛く見えるなら、梅ちゃんはお医者さんに行ったほうがいいんじゃないかな……?
「直視できないなら……こうよ!!」
 なんと、マジックナイト梅ちゃん、自ら赤縁の眼鏡を外したっ!?
「よし、これなら何がなんだか分からないわね!」
 眼鏡の下から現れたのは、三つ編み眼鏡という地味な印象とは程遠い、きらっきらの美少女。風になびく薄紅色のゆるくウェーブした長髪。整った上品な顔に、金色に光る瞳。自信に溢れた明るい表情は、みんなを明るく照らす、まさにアイドルだった。

 この梅の二段階変身に対し、動画視聴者の反応は劇的だった。
 最初の変身は、(特撮モノの撮影だと思っている視聴者にとっては)変身ものとしては普通で、目の肥えた視聴者の心を揺さぶるには至らなかった。しかし、眼鏡を取ったら美少女という展開は昔からの王道。まさにお約束。だがそれだけに、それを体現できるアイドルは限られている。梅は、その稀有なポテンシャルを秘めたアイドルだったのだ。
 さらに、この変身が二段階だったことも、視聴者を驚かせるための重要な要素であった。
 『三つ編みメガネの娘が変身して眼鏡を取ったら美少女とかサイコー!』などというコメントが狂喜乱舞する。王道は王道故に、多くの人に受け入れられやすいのだ。再生数がぐんぐん伸びていき、真球(アルミホイル製)から超強力なエネルギー波が放たれ祈谷希に直撃する。
「そんな……たかが髪を解いて眼鏡をとった程度で……」
 視聴者心理を理解出来ない祈谷希がダメージに膝をつく。
「これが皆から託されたパワーよ!」
 【梅ちゃん爆弾】で祈谷希を無差別爆撃した梅は、爆煙の中を突っ切って祈谷希に肉薄する。そして、視聴者の熱狂的パワーが込められたルーンソードで祈谷希を斬りつけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
魔術はともかくアルミホイルって
それでいいのか祈谷希

【飛行戦術】を生かし
【破魔】の力を宿した【全力魔法】と
【催眠、誘惑】効果のある【優しい、歌唱】で
見栄えに拘りつつ敵を翻弄
うっかり視聴者に催眠かけないようにしなきゃ

敵の攻撃は極力【見切り】

視界妨害兼【パフォーマンス】で
周囲に花を散らせ踊るように回転し花嵐を作る
花の魔力は絶大だよ
お姉さんも囚われてみる?(コード使用)

あの…ごめんね
1つだけ誤解を解かせてください

僕は男です…!!(少女声)

※以下ネタ枠
歌声対策された場合とカメラが僕に向いた場合に【エンジェルスマイル】使用
笑顔を見せるだけで敵が跪…自分で言うのもなんだけど怖い技
誰が女王様だ

絡みアドリブ歓迎


花邨・八千代
え…こいつを、使うってのか…?このアルミ太郎を…?(アルミホイル製真球)
くっ、だがこれも敵を倒すため…!すまんアルミ太郎…!
おい、祈谷希!倒されるんなら派手にやられろよ!それがアルミ太郎への弔いだ!

◆戦闘
【羅刹旋風】だ、「怪力」を乗せて派手にいくぜ。
ぶちかます瞬間は一気に距離を詰めて確実に当てにいく。
「2回攻撃」で「傷口をえぐる」ぞ、ガンガンいこうぜ!
「捨て身の一撃」で全力の一撃をお見舞いしてやろうじゃねェか。

最後の瞬間は切ないな…。
お前のことは忘れないぜ、絶対に……!
アルミ太郎ォーーー!



●回想シーン
 祈谷希との戦いの前。
「魔術はともかく、アルミホイルって、それでいいのかなあ?」
 この現状にツッコミを入れてくれた常識枠の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が首をかしげる。いや、書いた書き手も、どうしてこうなったのか知りたいくらいです。恐るべし、ゼロタイムラグシナリオメイキングシステム。オープニング書いた時には、まさかアルミホイルが鍵を握ることになるなんて想像もしてませんでした。
 一方、その真球(アルミホイル製)を作った花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)が愕然と呟く。
「え……こいつを、使うってのか……?このアルミ太郎を……?」
 愛情をかけて育てた我が子を戦地に送り出す心持ちで苦悩する八千代。というか、アルミ太郎なんていう名前があったんかーい。
「くっ、だが、これも敵を倒すため……! すまんアルミ太郎……!」
 八千代は、きっ、と祈谷希を睨みつける。
「おい、祈谷希!倒されるんなら派手にやられろよ!それがアルミ太郎への弔いだ!」
 こうして、猟兵たちと祈谷希の戦いが始まったのだった。

●ラストバトル
「くっ、あなたたち、もう許しませんわ……」
 猟兵たちと祈谷希との長い戦いも、いよいよ終りが見えてきた。
 動画再生数も大台を超え、すでに祈谷希には数え切れないほどの魔術が炸裂している。その姿は、いつ骸の海に還ってもおかしくないほどにボロボロだ。だが、邪教の巫女としてのプライドが、彼女を現世に繋ぎ止めていた。
 一方、その祈谷希に攻撃を加えるための魔術装置の要である真球、アルミ太郎もまた、満身創痍だった。その鏡のように磨かれてつやつやだった表面には曇りが目立つようになり、ところどころ、ヒビまで入ってきている。魔術を放つのも、あと数回が限界と思われた。
「アルミ太郎、あと一息だ、頑張るんだぜ!」
 アルミ太郎に励ましの声をかけ、八千代が祈谷希に向き直る。

「ガンガン派手に行くぜ!」
 『パワー系アイドル』と紹介された八千代が、拷問具である金属の鎖を振り回しながら祈谷希に突撃していく。
「ふふふ、拷問具対決というのも面白いですわね」
 祈谷希も眷属の信者を召喚し、鎖付き棘鉄球を振り回す。拷問具同士の対決の様相となった。
 先に動いたのは祈谷希の召喚した信者だ。棘鉄球を八千代に向けて射出する。
「そうはさせないよ!」
 鉄球に破魔の力が宿った魔法が当たり、その軌道を逸らす。
 魔法を撃った澪が画面に映し出される。澪は天使の翼を広げ、空中に浮いていた。さらに天使のように優しい歌声を響かせると、祈谷希の眷属の信者が眠りに落ちる。なお、テロップには『天使』と表示されていた。
「よっしゃ、チャンス!」
 眷属を無力化した隙に、八千代が一気に踏み込む。
「くっ」
 祈谷希も拷問者の霊を全面に出し、鎖で八千代の攻撃を受け止めようとする。
 ぶつかり合う鎖と鎖。
 八千代の怪力によって捨て身で放たれた一撃は、拷問者が持つ鎖を砕き、そのまま拷問者にめり込み消滅させた。だが、拷問者を倒した代償に、八千代の鎖も千切れ飛ぶ。
「ふふふ、そこまでのようですわね! 行きなさい、人形たち!」
 祈谷希は、鎖を失った八千代に拷問人形の群れを向かわせる。
「花よ、香り高く舞い遊べ」
 拷問人形たちに降り注ぐ花びら。それは歌いながら空を踊る澪から舞い落ちていた。
「【Orage de fleurs】(オラージュ・ドゥ・フレア)」
 澪が拷問人形たちに指先を向けると、花びらは嵐となり、人形たちを切り刻んでいった。
 これで祈谷希を守るものはなにもない。
「こいつで、とどめだぁっ!」
 祈谷希の傷口をえぐるように繰り出された八千代の全力パンチが決まり……。

「まだ……倒れるわけにはいきませんわ!」
 祈谷希から発せられた邪悪なオーラで八千代は吹き飛ばされた。

●祈谷希の最期
「はぁ……はぁ……、まさか、私がここまで追い詰められるとは……」
 八千代を吹き飛ばした祈谷希だが、その身体は半分透けていた。骸の海への消滅が近い証拠である。
「ですが……最期の力で、動画を見ている人間たちに狂気を植え付けることは可能ですわ」
 邪教の巫女としての責務だけは何としても果たそうという執念であった。
 慌てて動画配信を中断しようとするスタッフたち。
「無駄ですわ。動画配信システムは、すでに乗っ取らせていただきました。さらにリミッターを解除し、視聴者との魔術的な結びつきを最大限まで高めてあります」
 この状態で祈谷希が最期の力を発動した場合、動画を見ている人々が狂気に染まり、最悪邪神化してしまうことも考えられる。それだけは何としても避けねばならない。

 今にも消えそうな身体を引きずりながら、カメラに入ろうとする祈谷希。その姿が、カメラの奥に映し出される。
「ふふ、あと少しカメラに近づけば……」
 邪悪な笑みを浮かべる祈谷希。

 だが、その時、澪がカメラの目の前に降り立った!
 そして、画面の向こうの視聴者たちに向かって【エンジェルスマイル☆】を発動しつつ、にっこりと天使の微笑みを向ける。
 『おおおっ、天使だ!』『天使がいる!』とコメントが荒ぶる。祈谷希によって魔術的な結びつきが強くなってしまっているため、【エンジェルスマイル☆】による魅了効果が最大限に発揮されてしまったのだ。
 そして、視聴者から天使に向けられた熱狂はアルミ太郎に収束し、祈谷希に天使の光として降り注いだ。
「そ、そんな、私が敗れるなんて……!」
 画面には、天使のようににっこりと微笑む澪と、その後ろで跪いて骸の海に消滅していく祈谷希の姿が映っていた。

●さらば、アルミ太郎
 八千代は、アルミ太郎だったものの前に立っていた。そこには、もはやアルミ太郎の面影のない、アルミホイルの残骸の山があるだけだ。先程の祈谷希を消滅させるほどの大魔術に、ボロボロだったアルミ太郎の身体が耐えられるはずもなかったのだ。
「お前のことは忘れないぜ、絶対に……! アルミ太郎ォーーー!」
 こうして、アルミ太郎という尊い犠牲の上に、祈谷希の邪悪な企みは阻止されたのだった。

●残酷な真実
「皆さん、あの、僕、言っておかないといけないことがあるんです」
 祈谷希の消滅を確認し、澪はそのままカメラの向こうの視聴者に向かって話しかける。
「あの……ごめんね。1つだけ誤解を解かせてください」
 澪の真剣な表情に、天使萌えに目覚めてしまった視聴者たちが正座して傾聴する。
「僕は男です……!!」
 少女声で語られた真実のショックのあまり、視聴者たちはここ数時間の記憶を失ったという。
 その後、天使萌えや可愛い男の子萌えに目覚めた人々が増えたとか増えなかったとか。

●エピローグ
「ミンナ、世話んなったな!」
 家出少女の真理江が猟兵たちにお礼を言う。
「おかげで、アタシ、自分がなりたいものを見つけられたぜ。オヤジやオフクロに反発するためだけじゃない、本当にやりたいことをな!」
 真理江が浮かべるのは、渋谷に来たときの夢見る少女の顔ではない。夢を現実に変えていこうという決意に満ちた顔だった。
「そのためにも、アタシ、実家に戻ってちゃんと勉強するぜ! ……そう、アイドルたちを育てる一流のプロデューサーになるためにな!」
 夜行バスに乗って実家に帰っていく少女を、猟兵たちは複雑な心境で見送ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日
宿敵 『『黄昏色の信心』祈谷・希』 を撃破!


挿絵イラスト