わくわく満開ビーチ ~はにとら・くらいしす!~
●なんもかんも全部夏のせい
今年も夏がやってきた!
夏と言えば! 海!
熱砂煌めくビーチサイドで男女が開放的になってくっついたりくっつかなかったり! 惚れたり腫れたり! 輪ゴムみたいな固さの海の家の焼きそばを食って笑ったり! 並んでかき氷食ったり! 普段と違うアイツの姿にドキッとしてみたり! 精一杯アピールしてるのに気付いてもらえなかったり! あまずっぺぇなぁオイ!!
そんな開放的な!
スペシャルイベントが!
目白押しの! この! 季節に!
「仕事の依頼よ」
ディアマンテ・ロサ(FRAGILE・f12402)が全く平素のテンションで語った。
えー。この時期にやる依頼なんだからもうちょっとなんかあるでしょ、しっかりしてよー。心なしか夏のテンションに緩んだ猟兵の一人からの突っ込みに、女はイエローダイアモンドの瞳を猫めいてすいと細めた。威嚇じみている。
「……愛想を振りまいたら成功率が上がるなら、そうするけどね」
こういう女であった。
「端的に説明すると――貴方――いいえ、貴女方にはハンターになってもらうわ」
なんて?
集った猟兵らのクエスチョンマークを無視してディアマンテは続ける。
「近々、UDCアースのとある浜辺にオブリビオンが出現するわ。……オブリビオン達の名は『風魔衆』。聞いての通りニンジャの末裔……らしいけど、彼らの来歴についてはともかく。同じ風魔衆として使える人間を手っ取り早く集めるべく、浜辺で人集め……いわゆる逆ナンね……を始めようとしているわけ」
ディアマンテは額に寄った皺を伸ばすように人差し指を当ててぐりぐりと指圧。
彼女も彼女なりに戸惑っているのだろう。『予知した身にもなってくれ』と顔に書いてある。猟兵らが覚えた戸惑いはそれ以上だったろうが。
「つまり、風魔衆はくノ一を使って現場の男性らを誑かし、攫って風魔衆に組み入れようとしているわ。……なので、皆には海水浴場の男性客の心を先に奪って欲しい、というわけ」
「あのう……その、……逆ナンした人はそのあと、どうすれば?」
清楚な猟兵の一人が怖ず怖ずと聞くと、ディアマンテは事も無げに答える。
「現場には対UDC組織の職員が多数紛れ込んでいるわ。皆記憶消去銃を携行しているから、男が釣れたらセーフポイントに連れ込んで頂戴。待機している職員が、あとはよしなにしてくれるわ」
ディアマンテは背後のディスプレイにビーチの地図を表示。重なるように、無数の赤い光点が点った。シャワールームの影、海の家の裏、岩場の影、などなど。好きに選べるだろう程に選り取り見取りだ。
「ナンパ→連れ込み→UDC職員による処置、……もとい、保護の流れで、今回彼女たちが捕まえようとしている健康な男が減れば、自ずと彼女らから打って出てくるでしょう。そうして炙りだした敵を一網打尽にして、作戦は終了よ。何か質問は?」
「ツッコミならあるけど」
「却下よ」
スピード感~。
「ナンパの行程は主に女性猟兵の仕事になると思うわ。……男性を堕とせる様な男性がいるならその限りでは無いかも知れないけど。……とにかくサポートはするから、頑張ってきて頂戴」
ディアマンテはぞんざいにも聞こえる口調で言うと、指を鳴らして現地への“門”を開いた。
煙
夏だぞ。
お世話になっております。煙です。
知能指数を限度一杯まで引き下げ、ご笑覧戴けますと幸いです。
同時公開の鍼々MS・三味なずなMSのわくわく満開ビーチも必見ですよ。
同時参加も可能ですので、お楽しみ下さいませ。
●章構成
一章:逆ナン開始!
二章:絶賛逆ナンタイム。浜辺の視線はキミのもの!
三章:vs風魔衆 スタイリッシュビーチアクション!
状況と次第については、随時断章でお伝えします。
一章・二章においては、要望の無い限りは引き渡しシーンは描写されません。ナンパ成功=成功となります。
●概要
・難易度:ゆるゆる。
・平たく言えば浜辺での逆ナンシナリオです。
・シナリオの性質上、一・二章は女性(ないし男性をナンパできる容姿の男性)に参加者が限定されます。ご注意ください。三章は参加自由です。
・三章構成の内、いずれか一章を選んでご参加頂くスタイルです。お好みの状況をご確認の上ご参加下さい。
・過激すぎる描写は行いません。が、リビドーを制限することは致しませんので、思うままにプレイングなさって下さい。ヤバいなと思ったらヤバくないようにマスタリングしたり致します。
・中学生男子が感じる程度のリビドーとパッションによるアホみたいな感想叙述が起きる可能性はあります。不快でない範囲で留める努力をしますが、ある程度心を広く持ってご参加戴けると幸甚です。
●描写範囲
今回の描写範囲は『一日辺り三名様程度、一章辺り二〇名様上限』で考えております。
夏なのでなんかバグって伸びたりするかも知れませんが、基本はその程度とお考え下さい。
それでは真夏の空騒ぎと参りましょう。
よろしくお願い致します。
第1章 日常
『水着ショッピング』
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POW : 直感で選ぶ など
SPD : 実用性で選ぶ など
WIZ : デザイン性で選ぶ など
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●日本の夏、逆ナンの夏
逆ナンの夏て。
海水浴場は日焼けした老若男女で溢れかえっている。
猟兵達には既に水着を纏うものも、未だラッシュガードやパーカーでその姿を隠しているものもいた。
今ならば、まだ敵――風魔衆の魔の手は及んでいない。
転送された猟兵はノリノリな者も、イマイチ気の進まない顔の者も、恥じらって真っ赤になる者もと様々だ。全ての表情が違って皆いいのだ。
さあ、猟兵達よ! ビーチに踏み出し、全ての男を狩り尽くせ!
水着をまだ買ってない人は海の家に併設された水着売り場がある。
いきなりナンパが難しければ水着を試着、店員のハートを試し撃ちしてみるのもいいだろう。
【Summary】
◆作戦達成目標
一人以上の男性客を逆ナンすること
または、水着の購入
◆作戦補足
作戦の主軸は魅力のアピールとボーイハントになりますので、プレイングには、『どんな行動を取ってナンパするか』『衣服(水着)のアピールポイントはどこか』などを書くといいと思われます。成功すれば、渚の男子達の視線は貴女のものになるでしょう。……本人的に要る要らないはともかく。
また、水着をお持ちでない場合、ここで選んで購入出来ます。その場合、店員の反応が作戦の成功率の目安になると思われるので、店員を唸らせるような着こなし振りを見せつけるといいでしょう。
◆戦場詳細
海水浴客でごった返す栄えた海水浴場。老若男女様々な層の海水浴客が思い思いに楽しんでいる。例年ナンパの名所として知られており、今年もそれ目当ての若い男性客が沢山いる模様。入れ食いだぜ!
◆補遺
のろけになっても構わないので、のびのびやりましょう。
だって難易度ゆるゆるだもの。
◆プレイング受付開始日時
2019/07/20 15:30:00
◆プレイング受付終了日時
2019/07/22 23:59:59
ユア・アラマート
◎シャル(f00330)と
やれやれ、折角夏を楽しんでいる一般人の被害が出たら大変だな
…というわけで、お前もいつまでも渋っていないでいくぞシャル
なに、お前なら黙っていたって男が近寄るよ
【誘惑】なら得意だからな、手近な男性に…できれば数人連れ立っているのがいいな。見つけたら声を掛ける
こんにちは。…ああ、ちょっとこの子(シャル)が気になる人がいるらしくてね。声をかけさせてもらったよ
シャルは慣れていない分おどおどするだろうし、理由付けにはちょうどいい
照れ屋だから、一人じゃ勇気が出ないらしい
もし、よかったら、少し静かな所で私達と話さないか?
あっちの岩場とか良さそうだろう
そこなら、色々できそうだからな…?
シャルロット・クリスティア
◎ユア(f00261)さんと
え、あの、逆ナンって……。
男の人を?誘惑して??連れ込む???
えっ、あの、マジで言ってますかそれ。
私に??それをやれと???
そんな、いくら仕事でも……いえ、我儘言ってはいられませんか……。
うぅ……分かりました……分かりましたよぅ……。
ですが、そうはいってもユアさん、具体的にどうすれば……。
(何かあることないこと吹き込まれて言われるがまま。
疑問を抱くことがあっても正しいか間違ってるかの判断がいまいちつかない)
うぅ……学友たちにはとてもじゃないですけど見せられませんね……。
●「逆ナンっていうのはね、夏のレジャーだよ」「へええ」
「やれやれ、楽しい夏にまたぞろ厄介ごとを持ち込んでくれたものだ。折角皆が楽しんでいるんだから、被害は未然に防がないとな」
クロスホルターネックに際どいカッタウェイの入った赤基調の水着を着こなした妖狐がサングラスを外し、片手で折りたたんでハンドバッグに仕舞う。弾けるほどに美しい夏の果実を赤い水着に包み込み、明るいグリーンの瞳を魅惑的に瞬かせる女の名はユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)。
誘惑拐かしお手の物、男を手玉に取って海千山千の貫禄を匂い立たせながら、軽く後ろを振り向く。
「というわけでシャル。いつまでも渋ってないで行くぞ。ほら、タオルを外して」
伺った後ろには、ぷるぷると借りてきたハムスターめいて縮こまって震えるシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)。
「ええ……ええええ……あの、ちょっと待って下さいユアさん、少しいいですか」
「うん」
「逆ナンって『メジャーな夏のレジャーだよ』みたいな事おっしゃってましたよね」
「言ったね。転送前に」
「いえ、よく分からないままついてきた私も悪かったかも知れませんけれど!! 逆ナンって男の人を口説き落とすことだって言われたんですけど! 別の猟兵の人に!!」
「だから夏のレジャーじゃないか」
「絶望的な意識の差!!!」
頭を抱えるシャルロット。ユアとは対照的に男慣れしていない彼女からは初々しいオーラが立ち上りまくる。
「逆ナンをしろと私に言ってます? マジで言ってます? 男性を誘惑して? 物陰に連れ込めと???」
「くどいなあ。そうだって言ってるじゃないか。大丈夫だよ、お前なら黙っていたって男が近寄ってくるから」
「そっちの心配してないんですよねぇ今?! いえその男性が私に魅力を感じないわけがないとかそういう話じゃなく! いくら仕事だってやれる事とやれない事がありますよぉ!!」
「そうは言ってももう依頼として請けてここに居るんだから、覚悟を決めないと。どんなに強いバケモノが出ようがお前は銃を手放さないだろう? その時の覚悟を思い出して。ほら、早く」
「無茶苦茶言いますねこの人!?」
半べそのシャルロット。その身体からべりっとタオルを剥ぎ取りレジャーシートに投げ捨てるユア。
「ひゃあっ!?」
露わになるシャルロットの水着。ちょっと攻めたローライズビキニ、トップスはセーラー服風のラッシュガードで秘している装いだ。布越しにビキニの生地が透け、逆に男子の探究心を煽る仕様になっている。仕様か?
「ほらおいで。人命が掛かってるんだ、のんびりしちゃいられないよ。……大丈夫、終わったら一夏の思い出になってるから。きっと。ほら、行くよ」
「うぅ……我が儘言ってはいられませんか……分かりました……分かりましたよぅ……」
斯くして、自信満々なユアと周りからの視線に頬を染めるシャルロット、体型も対照的な凸凹コンビは夏の海に繰り出したのである。
「……学友たちにはとてもじゃないですけど見せられませんね……」
「後で写真を撮ってあげようか」
「断固拒否します!!!」
凸凹であった。
「……はぁ……ですが、そうはいってもユアさん、具体的にはどうすれば……」
「難しい事はないよ。お前はそうだな……声が震えてもいいから、これを読めるようにしておいてくれ」
「……嫌な予感がするう」
提示された紙片を開いたシャルロットがまたしばらくユアにごねた経緯については、ここでは省くとしよう。
「こんにちは。今、少しいいかな?」
「え? 俺達?」
四人連れだった、日焼けした少年達を狙ってユアは声をかけた。何人か居てくれた方が話が早い。纏めて捕まえてしまえばその分仕事が速く済む。
(おい、スゲェ美人だぞ?!)
(なんだオイ、知り合いか?)
(いや、こんな美人、知らねぇけど……)
「え、ダイジョブだけど、何?」
ひそひそした応対役以外の会話を聞くもユアは表情を崩さない。人好きのする笑みを浮かべたまま続ける。
「よかった。ちょっと、君達の中に気になる人がいるって娘がいて……声をかけさせて貰ったんだ。もしかしてもう先約があるかな?」
「いやっ全然! むしろ相手探してたとこで――あでっ?!」
(余計な事言うなバカ!!)
(クリーンに行け!!)
後ろから小突かれる応対役。ユアの狐耳には全部筒抜けなので悲しい努力であったが。
「それならよかった。……で、この娘なんだけどね」
ずい。
ユアは後ろに隠れたシャルロットの肩を引っ掴み、ぐいんと自分の前に出した。
「~……、」
言葉を詰まらせるシャルロット。整った顔は不安に染まり、瞳は潤んで身体はおどおどと震え、庇護欲――或いは嗜虐心を誘う目つきで少年達を上目遣いに見上げる。
透けるような金糸の髪に、肌を晒す事に慣れていないような所作。
(よし、いいぞ、シャル。やれ)
(ホントにやるんですかもう……どうなっても知りませんよ?!)
不安げに振り向く金髪の少女、その背を押すように耳打ちする銀髪の美女、とでも映ったろうか。実際のやりとりは極めてシビアだった。
「あ、あのっ……どうしてもっ、伝えたい事があってっ……その、奥の、あなたに……」
「えっ俺
……?!」
大柄な少年が自分を指さすのに、真っ赤な顔で頷くシャルロット。
「私の気持ち……聴いて、くれますか……?」
「も、ももも勿論ッ!」
(殺す)
(殺すテメェ)
(ハッ? 金髪女子から逆ナン? 殺)
ブワッ、と湧き上がる他三人からの黒いオーラ。しかし間髪入れず、ぱん、ぱん、と音。
「はいはい、そういうわけでね。続きはもう少し静かなところで話をしないか。こんな開けた場所じゃこの娘――シャルも、話しにくいだろうしね」
ユアだ。手を叩き、クロスホルターネックの位置を直すように指先に赤紐を絡めて言う。
「あっちの岩場とかがいいだろう。……大丈夫、安心するといい。なにも君達に興味があるのはシャルだけじゃないって――そこでなら、教えてやれるからな」
「「「えっ」」」
「誰も見ていないなら、色々とできるだろう? ――どうかな?」
「「「行きます
!!」」」
「決まりだ。行こうか、シャル」
「はっ、はい!」
シャルロットに釣られた一名とユアに釣られた三名は、フワッフワの足取りで二人のディーヴァに付いていくのだった。
そうだな、物陰なら色々と(記憶消去処置とか簀巻きにしてトレーラーに監禁もとい保護とか)できるだろうからな。
少年達に合掌である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュシカ・シュテーイン
◎
ぎゃっぁ、ぎゃぎゃ逆ナンってぇ、そぉ、そういうことなんですかぁ!?
そのぉ、あのぉ、私ぃ、今回は自体させていただくというのもぉ……
えっぇ、ほぉ、報酬ぅ……うっぅ、ううううううぅ、わぁ、解りましたよぉ!
水着が以前知り合いの方に見繕っていただいたぁ、黒のフリルな水着……なんですけれどもぉ、そのぉ、変な所とかぁ、見えちゃったりしてませんぅ、よねぇ?
このショールのような布もぉ、少し引っかかりそうでぇ……ひゃっぁ!
だだだ男性が来たぁ、といわれましてもぉ、私あまり男性とお話ぃ、それもぉ、こんな恰好だなんてぇ……
ううぅ、もしぃ、そこ往く方ぁ……えぇとぉ、今ぁ、もぉ、持ち合わせなどはぁ……(法石を取り出す)
●行くぜ南極探検隊(ふたつもある)
「そう難しくないお仕事のようですしぃ、早めに終わらせて海を楽しむというのもぉ、いいかもしれませんねぇ」
これは周りの様子が結構緩みきっていて、作戦難度的にはそう高くないのだろうと肌で感じ取った時のリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)。
「ぎゃっぁ、ぎゃぎゃ逆ナンってぇ、そぉ、そういうことなんですかぁ!? そのぉ、あのぉ、私ぃ、今回は辞退させていただくという方向でぇ……」
これは『逆ナン』という単語の意味を、同行する知り合いの猟兵から聞いた瞬間、顔を真っ赤にして手を右に左にわたわたと振るリュシカ・シュテーイン。
「えっぇ、ほぉ、報酬ぅ……うっぅ、ううううううぅ、うぅぅうぅうう……」
これは先月仕入れた法石の残債分がこのまま行くとちっとも払いきれず、この依頼の報酬がそこそこ出る事を思いだし、肌の露出と羞恥心と報酬と自分の店の進退を天秤に乗せてその傾きの間を彷徨うリュシカ・シュテーイン。
「わぁ、解りましたよぉ! します、しますってばぁ!! 逆ナンぅ……」
これは『お前が行かなかったら別の猟兵が行くだけだし、嫌なら止めても――』と意地悪に言われて、決まらない覚悟を勢いで押し切ったときのリュシカ・シュテーイン。
「うぅ……なんだか視線が痛いですよぉ……変な所とかぁ、見えちゃったりしてませんぅ、よねぇ?」
そういうわけでリュシカは砂浜を歩いていた。彼女が纏うのは以前、知人に選んで貰ったという黒の水着である。いや、視線が痛いのは十中八九それと、彼女の類い希なるスタイルのために他なるまい。変なところなどない……強いて言うなら完璧すぎる事が罪なのだ……。
桃色の髪はアップに纏めて、ティアラを思わせる美しいバレッタで留めている。恥ずかしげな表情とは裏腹、彼女の肢体は完璧オブ完璧、黒のオフショルダーフレアビキニで守る胸は南半球が隠しきれていない。
全ての男に南極探検隊になりたいと言わしめるほどの無双のバストは形よく、しかも巨大だ。ほどよく柔らかそうな肉付きをしつつもくびれた理想的なウエストラインからフレアビキニのボトムに続く。ボトムからはショールめいた布が伸び手に繋がっており、太腿に巻いたガーターリングと相俟ってまるで踊り子めいた雰囲気を醸し出している。
攻めたファッションと相反するように、羞恥のせいで上気した頬もそのままに歩く独り歩くリュシカを、渚の男達が放っておく訳がない。
すぐに色黒の、遊んでそうないわゆるチャラ男が餌の匂いを嗅ぎつけたようにやってくる。
「ちょっとそこのお姉さん、一人~?」
「もしツレとか居なかったらさぁ、俺たちと遊ばない?」
「……ひゃっぁ、あのあのあの、もしかして私ぃ、でしょうかぁ
……!?」
「そうだよ、他にいねぇじゃん」
なるほど。確かに左右見回してもリュシカ以外に一人歩きする女性はいない。
(ああぁっ、私あまり男性とお話するのにぃ、慣れていなくてぇ、それもぉ、こんな恰好でだなんてぇ……)
ぐるぐると目を回してしまいそうになりながら、リュシカはなんとか受け答え。
「そ、そうですねぇっ、その、特にぃ、友人などはぁ、いませんけどもぉ」
「え~~~マジで? 一人じゃ寂しいじゃん~」
「俺たちマジこの辺詳しいし、メシとかおごるし、一緒に遊ぼうぜ?」
「ぇえぇ、あ、食事はちょっと魅力的……じゃなくてぇ……!」
「まあまあイイからイイから!」
「一名様ご案内~!」
押し強く陽のテンションでずいずいと来る男達に押し切られるようにリュシカは半ば引っ張られるように歩き出し、人気のない方へ三人で消えていくのだった。
しばらくして物陰から「押し売りー!?」とか、「美人局ー
!?!?」とか聞こえて、記憶消去銃のフラッシュが光ったという話である。なおこの感じのやりとりが、その日、更に十数件行われたとか。
後にリュシカは言う。
「うぅう、もう逆ナンなんてこりごりですよぅ……」
大成功
🔵🔵🔵
ユエイン・リュンコイス
◎
逆ナン…うん、知ってる知ってる。本で知識も仕入れたし、こうして水着も買った。失敗する要素が見当たらないね(慢心)
ボクの容姿自体はまぁ、低くはないとは思うけれども。
さて、お相手はどうしようか。軽薄そうなのか、それとも不慣れな雰囲気の人が良いか…場合によりけりかな?
(なお、飽くまでも人形である為、彼女の美的感覚も人形目線での基準。GIジョーからソフビまで守備範囲)
そうだね、こちらが場慣れしてない雰囲気で行こうか。やや気恥ずかしがる様な感じで。実際そうだし、そういう方が与し易しと相手が乗りやすいだろうからね。
……なのに何で誰も近づいてこないんだい?(当然の如く機甲人形を引き連れている人形少女)
●美少女+ロボ=無敵
ビーチは煌めき、太陽燦々。絶好のナンパ日和に違いない。
輝く太陽の下、またひとり、任務に就いた猟兵が浜辺を往く。
「逆ナン……いわゆる、行きずりの見知らぬ女性に声をかけ、交友関係を持とうとする行為『ナンパ』の逆バージョンだね。うん、知ってる知ってる。本で知識も仕入れたし、こうして水着も買った。失敗する要素が見当たらないね」
豪語するのは黒のフレアビキニを纏った猟兵――ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)である。体躯はすらりと細く、鎖骨の隆起や臍の起伏がくっきりと出、豊満な肢体とはまた一味違う、花開く前の危うい色香を孕んで見える。ハイビスカスの髪飾りが可愛らしく、端整な顔立ちも相俟って、これは渚の男達も色めき立とうというところなのだが――
「……学習は済んでいる。男心をくすぐるおしゃべりの極意百選(富岡出版)も読破インプット済み。どんなシチュエーションだろうと完璧にこなしてみせるとも」
ガション。ガション。
「容姿も決して低くはないはずだ。任務に当たるに支障があることはないだろう」
ガション。ガション。
「……なのになんで誰も近づいてこないんだい?」
ガション。
ユエインが首を傾げるのと同時に、横で彼女の友たる機甲人形『黒鉄機人』が合わせて首を傾げた。その全高はユエインを容易に抱え上げて動き回れるであろうほど高い。あれっ原因が明白では?
ユエインは左右を見回すが、目が合う男子という男子が次々と、黒鉄機人を見るなり不自然に回れ右をしたり横を恐れるように抜けていったりとバリエーション豊かな回避行動を取る。
「困ったな……これじゃ作戦どころじゃな……」
「うおおおーっ?! 何ですかそれはァッ!」
頓狂な声が響いた。見れば、ずり落ちた眼鏡を押し上げて一人の少年が駆け寄ってくる。年の頃は十四、五歳というところだろうか。
「こっ、この質感、滑らかな動き! しかも触ると――熱いっ! こ、これ本物の金属ですか?!」
「あ、え……そう、だけど」
「すごいッ! すごすぎる! 真夏のビーチでこんなに気合の入ったコスプレをするなんて! あのっ、よかったらこのコスプレについて聴かせて貰えませんか?! 中の人が話しづらければその、お連れのあなたでも構いませんから!!」
「……」
謎のベクトルで少年が釣れた。ユエインはシミュレーションになかった絡まれ方にしばらくフリーズした後、状況を整理する。
要約すればこの少年、ユエイン自身ではなく黒鉄機人に釣られて声をかけてきたという事になる。こんな可愛い水着を着た女子そっちのけで。そりゃ黒鉄機人はカッコいい、轟熱の右掌による無双の一撃はどんな敵だって打ち砕く。見惚れて貰えれば鼻が高い、というのもある。
「……いい、けど。でも彼のことばかりじゃなく少しはボクのことも見て欲しい、かな」
気恥ずかしげに髪を指先にくるくると巻き付けつつ、ジト目で流し目気味に言うユエイン。場慣れしていない雰囲気を醸し出しつつ、空気を読めない男を窘める雰囲気を演出。けど本当はこっちも見て欲しい、という絶妙な空気感を醸している。奇跡のバランスだった。男はこういう瞬間『あ、イケるんじゃね』とか思うモンである(偏見)。
ユエインの一言で今更ながらに性別を意識させられ、眼鏡少年、見る間に赤面
「あぇっ、あ、す、済みませんッ! いや、あんまりにもクオリティ高かったもので、つい……」
「……いいよ。男の子だしね」
黒鉄機人はカッコいいしね。
「行こう、向こうなら静かだし、話しやすいと思うから」
ユエインは少年を誘うように見返りながら歩き出した。銀糸の髪が潮風に靡いて、少年を誘う。慌ててユエインを追う少年。……青春の一ページめいた構図に、黒鉄機人の足音が続いた。
ガション。ガション。
大成功
🔵🔵🔵
瀬名・カデル
◎
逆ナンってボクにも出来るかな?
頑張って男の人を狩るんだよー!(ぶんぶん)
水着を着るのってボク初めて!
どんなのか良いか店員さんに聞きながら着たいな~!
店員さんあのね、逆ナンが出来る水着を下さーい!
あと、ボク羽があるからそれを出せるのが良いなぁ。
選んだのはハイネックのビキニ。
水着ってなんだかぴったりするんだね!
お胸はもうちょっとあった方が良かったかな?
(パレオを見ながら)わ、これとってもひらひらふわふわしてドレスみたい!これをつけたらとっても素敵だと思うんだ!
あときっと暑くてバタンキューしないように麦わら帽子もかぶらなきゃ!
ね、店員さんどうかな?
ボク、男の人誘惑できる…?
上目遣いで尋ねてみるよ。
●彼女はキュートな有翼人
「水着を着るのってボク初めて! どんなのか良いか店員さんに聞きながら着たいな~!」
わくわく満開ビーチにまた一人の猟兵が降り立つ。少女の名は瀬名・カデル(f14401)。花も恥じらう十七歳。その年より幼く見えるベビーフェイスは、かつては自分を祀る神殿より一切出た事がなかったという特異な来歴によるところが大きいのだろう。要するに世間知らずで純粋な少女なのである。
そのピュアッピュアな少女に逆ナンと言う概念を教えてしまったこの依頼はちょっと罪だったかもしれない。
「逆ナンってボクにも出来るかな? 頑張って男の人を狩るんだよー!」
ぶんぶんと手を振り楽しげに笑いつつ、然りとて彼女はまだ水着を持っていなかったがために海の家近くの水着屋に足を向けた。
「いらっしゃいませー(お、カワイイ子が来たな)」
カデルが入店した時点で副音声が聞こえるほど店員の鼻の下が伸びる。男の鼻の下には伸縮性があるのだ。ここテストに出ますよ。
「何かお探しですかー」
「うん! 店員さん、あのね、逆ナンが出来る水着を下さーい!」
「ファッ
?!!?!」
す、素直~~~~!!!
カデルのスピード感について行けなかった男性店員が目玉をひん剥くのを余所に、カデルは注文を並べる。
「あと、ボク羽があるからそれを出せるのが良いなぁ。首の後ろで留めるようなやつとかあるかな?」
「アッハイただいま少々お待ち下さい!!」
男性店員、カデルのマイペースを崩さない言葉に目を瞬きつついくつかの候補を出す。案内されたコーナー-の水着はいずれもホルターネック。
「ホルターネックですとこの辺りが売れ線でしょうかね、後はこれにパレオを合わせるですとか……」
「パレオ?」
「ええ、はい、ビーチファッションでは定番なんですけどね、言ってみれば腰布ですね。ふわふわひらひらしてまして、脚出すのに抵抗がある方ですとか日焼けを嫌う方にもお勧めしてるんですが、丁度お客様の翼と同じ色味のものがありまして」
店員、淀みなく応える。カデルは猟兵なのでその翼に関しても違和感を憶えられる事はない。むしろ個性の一つと認識して会話が進む。
「えっ、そうなの? それも見てみたいなあ」
「承知しました! 後は何かご用命のものはありますか?」
「うーん……あ、じゃあ、暑くてバタンキューしないように麦わら帽子もかぶらなきゃ!」
「喜んでー!」
店員も調子が出てきた。姫の注文に応える召使いめいて店員は注文のものを棚から取り、次々と試着台に並べる。
「こちら候補ですので、どれでもご試着いただけます!!」
「ありがとう!」
花咲くような笑みで言って、カデルは台から商品を抱え、試着室へと脚を進める。
――数分の後。
しゃっ、とカーテンが引かれた。
「ね、店員さん。……どう、かな?」
試着室から姿を現したカデルは水色のハイネック・ホルタービキニを纏い、翼と同系色のパレオを纏って、麦わら帽子の鍔を上げ気味に、店員に向けてはにかんで見せた。線の細い体つきだが締まるところがキュッと締まり、くびれたボディラインは端整で、当人が少々気にしている様子のバストの薄さなど問題にもならない。
むしろ育てたい男子の方が多いだろう。店員は思わず仰け反った。
「た、大ッ変よくお似合いですお客様ア!!!」
「そうかな、えへへっ……うれしいな! ねえ、ボクでも男の人、誘惑できると思う……?」
とどめの上目遣い。今まさに誘惑されてるのは俺だ!!! 店員の心の叫びなどカデルが知るよしもない。
「したい放題じゃないでしょうかァー!!」
しょうかァー しょうかァー うかァー……
浜辺の水着ショップに、店員の叫びが木霊した。
瀬名・カデルが生み出した夏の奇跡に、早速一人が誘惑されたという話であった。
大成功
🔵🔵🔵
火奈本・火花
「逆ナンですか。……全力は尽くしますが、眷属相手に射撃する方が自信はありますね」
■行動(POW)
私は初心者サーファーとして、泳ぎにきた一人客を装って行動しましょう
「サーフィンの練習に来たのですが、一人だと物足りなくてですね……」
隣に座ったりして『コミュ力』で会話を楽しみましょう
仲を縮めつつ、肩を触れさせたりして意識させるつもりです
次を期待させるように『誘惑』しつつ、浜の岩場の影へ
「こういうの、ひと夏の出会いと言うんですかね……?」
■水着
胸には自身が無いので、フリルの付いたチューブトップでボリュームアップしています。それが可愛さにも繋がるかと
重ね履きしたホットパンツで活発さもアピールしましょう
●乗り熟せ男心
「……正直なところ、眷属相手に射撃する方が自信があるのですが」
えんじ色のチューブトップ・オフショルダー・ビキニはフリル盛り盛りでボリュームたっぷり。スレンダーな印象の体躯に彩を添える形になる。ボトムスは黒のタイサイドデザイン。そこにホットパンツを重ね穿きし、活発さを表現している。
暗めのカラーリングのみ図義と対照的に、白い膚が陽光に煌めき麗しい。眼鏡にショートカットの、ガード固めの印象の美女だったが、当人のさばさばとした印象とは裏腹、口元の泣き黒子が艶を滲ませる。
サンダルで熱砂の上を往くは火奈本・火花(エージェント・f00795)。普段は熟達のUDCエージェントとして活躍する猟兵である。
「……任務ですしね。全力を尽くしましょう」
サーフボードを小脇に抱え、火花はターゲットを探して海岸線に視線を彷徨わせる。浜辺でボードを横に置いて一休みするサーファーの姿を認めると、火花は息を一つ吸い、その横へと歩いて行った。
「こんにちは。お隣、よろしいですか?」
「えっ? あ、ああ、いいけど」
濡れそぼった髪を掻き上げる男は趣味サーファーという風情で、年の頃は火花と同じほど。面食らった様子の男に構わず、彼の横に拳一つ分の距離を開けて座り、火花は切り込むように続ける。
「私、実は独りで練習をしに来たんですけれど、少し物足りなくって。なかなか波に乗れる距離も伸びていきませんし。……ちょっと疲れてきた時に、あなたを見つけて。先ほどからお上手だなと思って見ていたんです」
強めのコミュ力の発揮。基本的に褒められて嫌な人間なんぞいない上に、美女から褒められた男と来れば尚更である。秒で鼻の下が伸びる。
「えっ、いやそんな、オレなんか趣味でやってるぐらいで、そんな上手いもんでもないんだけどなぁ」
「いいえ、上手ですしとっても楽しそうに波に乗られていました。私もあんな風にしてみたいです。サ-フィン、始められて何年ぐらいなんですか?」
「三年ぐらい前かな、だからオレも全然初心者みたいなもんなんだけど」
照れまくりやや紅潮した頬を沖の方に向けつつ頭を掻く青年。そこに少しだけ肩を寄せ、火花は青年の顔を覗き込む。至近距離だ。青年からは火花の長い睫毛まではっきりと見えた事だろう。
「私はついこの間からだから、三年も先輩ですよ。……よかったら私にサーフィンを教えて下さいませんか?」
殺し文句。
「お、オレに教えられる事なら何でも教えるけど!」
撃墜。秒。
恐るべきは火花のコミュ力とさりげない距離の詰め方だろう。肩が触れるか触れないかの距離まで詰めてから、「決まりですね」と笑って身を翻し、立ち上がる。
「あちらの岩場の影から行きましょう」
「あ、ああ、うん」
「……ふふ」
慌てて立ち上がりボードを手にする男に、火花は少しはにかんだ風に笑う。
「どうしたの?」
「……いいえ。ちょっと、自分でも大胆に誘いすぎたかなって思ったんです。夏って、凄いですね――きっと、こういうのをひと夏の出会いって言うんだなあって、思って」
「……ひと夏で終わらせなくってもいいじゃないか。これから、色々教えるしさ。……その、連絡先とかも」
「本当ですか? ……じゃあ、私のも、後でお伝えしますね――」
笑い合いながら甘酸っぱい会話をしつつ、二人は岩陰に歩いて行く。渚の青春の一ページであった。
――実に見事なエージェントの手並みであった。
その後も彼女の微笑みと、さばさばとして見えてけれど甘え上手な距離の取り方に何人も陥落したのだと、対UDC職員の日誌に記録が残されたというのは、別の話。
大成功
🔵🔵🔵
夕闇霧・空音
そういえば身を隠してからというもの…水着選びなんて考えたこともなかったわね…
水着を購入してみようかしら
【購入の仕方】
私に似合う水着はなにか…妹に聞こうかしら…
いや、ついでにびっくりさせたいからここは直感で選んでみようかしらね
そう、私に似合うのはきっと黒系よ。
それで上下のビキニタイプ。
ふむ、デザイン的にはあまりこりすぎずにこの…
サイバーなラインの入ったタイプね!
…うーん、せっかくだから色んな人に聞いて回ってみようかしら
ついでに、店員さんにも…でもこのメカな体で
果たしてナンパできるかしら…
とりあえず近くの人で試してみようかな…
(アドリブ歓迎)
●束の間の日常に、彩
燦々と照る太陽にはしゃぐ人々。あまりに平和な砂浜。隠遁生活をしていた夕闇霧・空音(凶風・f00424)には物慣れない光景だ。その身に纏うは黒のセーラー服。浜辺を歩くには些か似つかわしくない装いである。
ふと、擦れ違う女性が華やかな水着をその身に纏うのを見て、空音は思案する。
(――そういえば身を隠してからというもの、水着選びなんて考えたこともなかったわね)
空音はこの事件の発端となった『風魔衆』に囚われ、苛烈な強化改造手術を受けた過去がある。今でこそ彼女は手に入れた力により風魔衆の支配を逃れ、隠れ里に隠棲しているが、現在の穏やかな生活に至るまではそれこそ戦いの連続であった。
それ故に、彼女は一般の世俗とはやや遠い場所にいる。触れられなかった日常の匂いに惹かれるように、空音は海の家に併設された水着売り場へと歩いて行く。
「いらっしゃいませ~」
どこかホンワリして満足げな店員に軽く会釈をすると、空音は店内に足を踏み入れる。売り場はかなり広く、水着の種類は数多い。自分に似合うものと考えたときに、無数の選択肢が浮かんできて背を向けたくなる。いっそ妹に訊いてしまおうか――いや、しかし、折角買うと決めたのなら、驚かせてやりたいという気持ちもある。
(……ここはもう、直感で選んでみようかしらね)
悩み出したらキリがないのは目に見えていた。故に、空音はまず色から絞って決め始める。
(私に似合うのは――きっと黒系ね。いつも着慣れているし)
黒に狙いを絞って視線を走らせる。黒と一言で言ってもフリルが付いたもの、オフショルダーになっているもの、その中でもホルターネック、チューブトップ、などなど微に入り細を穿つような違いがある。
(あまり可愛らしかったり懲りすぎたデザインは止めて……このサイバーなラインが入ったタイプがいいわね)
空音は嘗ての改造手術により、その四肢に風魔衆の技術の粋を篭めた改造を受けている。
多数の武器を内蔵した四肢とのマッチングを考えれば、華やかさよりもエッジなデザインを合わせるが吉との判断か。
「店員さん、試着室を借りていいかしら?」
「ハイ喜んでー!」
ノリノリの返事を受けて、空音は選び取った水着を持って、試着室の方へ歩き出す。
数分後。水着を纏って空音は試着室のカーテンを引いた。落ちつかなさげに胸の収まりや紐の食い込みを直す。
たわわなバストは電子回路めいて白のラインの入ったクロスホルターネック・ビキニにホールドされている。意匠を合わせたボトムスもオーソドックスなデザインながら、機械化された空音の四肢に違和感なく映えた。黒の水着に白のライン。ラインの純白は彼女の脚装甲の色とマッチしてい
る。
「……どうかしら、店員さ」
「グレエエエエエエエエエエェェェト!!」
店員は天に拳を突き上げて喰い気味に叫んだ。
「夏休みバイトしに来て本当によかった……サンキューゴッド……」
「……店員さん?」
訝しげに首を傾げる空音にハッ、と我に返った様子で店員はブンブンと縦に首を振る。
「大丈夫ッス! 大変よくお似合いですよお客様!!」
そのたわわとか鼠径部とか、と口走りそうな調子でギリギリ止まる店員。気を付けろお前ギリギリだぞ。
「そ、そうかしら?」
「はい! バッチリです!!」
店員の押しの強さに空音は数度目を瞬くも、安堵した風に胸をなで下ろす。
「……それなら、よかった。じゃあ、これにするわ。とりあえず近くの人で試してみようかな」
「お買い上げありがとうございまーす! ……ん? 試すって何を……?」
試し切りでもしそうな調子で言う空音に問い返す店員。空音は片目を閉じて、
「ボーイハントよ」
グリモア猟兵からの指示を諳んじるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
宗田・きいちご
◎
ボーイハントなんてぇ……ふふ、楽しそうですねぇ。
この夏のために用意した、普段のナース服風の水着。
これを着たら男の子は見てくれるかなぁ?
えへへぇ、こんにちはぁ、浜辺のナースさんですよぉ?
一緒にこのお注射水鉄砲で遊びませんかぁ?
大丈夫ですよぉ、怖くないですよぉ、大きいですよぉ?
むむぅ……逃げられちゃったぁ……
宗田の自慢のお注射なのになぁ?
あ、そこのお兄さんはどうですかぁ?
おっきいのぶすっとしていっぱいぴゅーっとして宗田と遊びませんかぁ?
わあっいいんですかぁ?本当?嬉しいですぅ!
えへへぇ、1名様、ごあんなーい♪
●ボーイハント(物理)
「ボーイハントなんてぇ……ふふ、楽しそうですねぇ」
グリモア猟兵からの説明にノリノリで唇を撫でたのは宗田・きいちご(甘めのヤブナース・f18735)。転送前からやる気満々で身だしなみを整えるのに余念が無かった彼女の出で立ちは、普段の装いを元にしたナース服風の水着だ。この夏のために用意したとあって、似合い方とフィット感がハンパない。
赤基調、黒ライン入りの水着である。襟付きデザインの変形ビキニと黒のオーバーニーソックス風のレッグガードにナースキャップ。変形ビキニを豊満な胸が押し上げ、もうなんて言うか胸の前の方ぱっつんぱっつんです。張り裂けそうさオレの胸も。
ボトムはタイサイドデザインで、サンダルと合わせ十字架のモチーフをあしらっている。極めつけは手に持った巨大な注射器型水鉄砲だ。
「男の子達、ちゃんと宗田の事見てくれるかなぁ?」
桃色の髪を潮風に靡かせ、るんるんと夏の浜辺を行くきいちごの前に、まずはじめに通りがかったのは中学生ほどの男子数名だ。きらりと目を光らせ、きいちごは少年達の前に踏み出す。
「えへへぇ、こんにちはぁ、浜辺のナースさんですよぉ?」
「うわっ、」
「えっえっ、知り合い? 誰かの姉ちゃん?」
「いや、知ンねぇけど!」
突如声をかけられた少年達、戸惑う! 戸惑うのが視線はもうそのぱっつんぱっつんの胸元にわかりやすく向いていた。ちっちゃくたって野郎である。
「一緒にこのお注射水鉄砲で遊びませんかぁ? 大丈夫ですよぉ、怖くないですよぉ、大きいですよぉ? 痛くしませんからぁ」
「ちゅ、注射ァ!?」
「それ刺すの?! 刺すのはやばいっしょ!」
「ちょ、おい、行こうぜ! なんかヤベーし!」
その年頃ってよくあるよね、過剰に女子避けたりするヤツ。彼らもそうだったようだ。あとヤベーのはきいちごの物言いだけじゃなく彼らの下半身もである。前屈みで退散するのが証座であった。
「あっ、ちょっとぉ! ……むむぅ……逃げられちゃったぁ……宗田の自慢のお注射なのになぁ?」
ぷぅ、とむくれるきいちごの前に、今度は見るからに遊んでいそうなじゃらじゃらピアスの男が通りかかる。きいちごはすかさず果敢にトライ。
「そこのお兄さんはどうですかぁ?」
「ん? オレ?」
よく見ればワイルドだが整った顔をしている。きいちごはとろけるような笑みを浮かべて、注射器を片手に提げて男に歩み寄った。
「そうですぅ、そこのかっこいいお兄さん。おっきいのぶすっとして、いっぱいぴゅーっとして、宗田と遊びませんかぁ?」
言い方ァ~~~~~。男もスイッチが入ったのか秒で悪い顔。犬歯を覗かせてニイと笑って、
「いきなりかよ、ビビるわ。けどキミみたいなカワイイ子なら全然イケるし。え、今すぐ?」
「はい、いますぐ。……もしかして先約とかあったりしますぅ?」
「……いや? 無いね! いいぜ、どこでする?」
絶妙な間。あっこれこいつクズだな、とご賢察いただける程度には間があった!
「わあっいいんですかぁ? 本当にぃ?」
「もちろんさ、宗田……ちゃんでいいのかな?」
耳聡く名を聞き取っていたらしい男に、きいちごは甘い笑みもそのままに応える。
「はい、宗田・きいちごです! ふふ、嬉しいですぅ! じゃーあ、こちらですぅ! えへへぇ、一名様、ごあんなーい♪」
片手に男の手を引いて、きいちごは人の少ない岩場の影に歩き出した――
その後、しこたまおっきいのをぶすっとして、いっぱいぴゅーっとしたらしいという話である。
「ちょい待っこれお前話が違ッ――!」
「はーいキャンセル不可でーす♪」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
グッバイ貞操。注射器 in Men's 尻。
合掌。
大成功
🔵🔵🔵
リコリス・シュピーゲル
◎
ぎゃくなん
この世界では女性が男性をお誘いしても下品にならないのかしら?
…もう少し勉強しておくべきでしたわ
ドレス(水着)に関しては事前に得ていた黄色のものでよろしいでしょう
淡い黄色で爽やかさがありますし、透け感あるカーディガンのおかげでドレスのような印象にもなりますの
足元が少しばかり涼しいのが何とも言えない感覚なのですけど…
とりあえず世間知らずの箱入り娘のように波打ち際でもお散歩しつつ、「情報収集」で私に興味がありそうな殿方を炙り出しましょうか
そしてその方に近づき、この辺を案内してほしいと「誘惑、言いくるめ」ですわ
近づく理由というネギを背負ったカモを逃がすほど、海の男は優しくないのでしょう?
●幻のエスコート
ぎゃくなん。
『逆ナンパ』の略。面識のない女性に接触を図り、交友を誘う行為を俗称する『ナンパ』の逆用語。
「この世界では女性が男性をお誘いしても下品にならないのかしら? ……もう少し勉強しておくべきでしたわ」
お嬢様、下品ではないですが一般的にちょっと稀です。
リコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)は一人、波打ち際を水着姿で往く。スペースシップワールドで催された水着コンテスト向けに誂えた水着である。
淡い黄色を基調とした水着だ。普段は一部編み込み、あとは下ろして靡くに任せたウェービーな金髪を、今日はアップに纏めてリボンで留めている。他の猟兵のほとんどがセパレートタイプのビキニスタイルを選択する中、リコリスはあえての低露出、檸檬の柄の入ったフリル付・ワンピースタイプの水着を選択。爽やかな色彩の水着を上から透け感のあるロングカーディガンでカバーしている。カーディガンの裾にはフリルが施され、まるでドレスのような印象を与えている。
更には、カーディガンとワンピースタイプの水着で固めた上半身とは異なり、下半身の無防備さにも注目したい。右足はアンクレットのみ、左足はガーターリングアンクレットを、編み上げのリボンで繋ぐワンポイントを入れている。アシンメトリーな意匠だ。リボンで巻かれた脚は、それだけで解くときの事を連想させる。想像力たくましい男達には覿面に効くだろう。
要所を押さえたコーディネート。肌の露出面積だけが魅力に繋がるわけではない好例である。
「……足元が少しばかり涼しいのが何とも言えない感覚なのですけど……」
まだ着慣れない――というよりは、無防備な水着姿で歩く事に慣れぬためか、リコリスの歩みは常よりもゆっくりだ。その様子がまた、当人の常の物腰と相俟って、箱入り娘感を強く演出する。――それでいい。物慣れぬ、世間知らずな娘と思わせておいた方が事がスムーズだ。
リコリスは砂浜に目を走らせる。猟兵達が次々と男性をハントしていくのを見つつ、彼女もまた的を絞った。
選ぶのは、自身を獲物を見るように見詰めている青年。リコリスはゆったりとした歩調で歩きながら、たった今目が合った風を装い、青年と視線を重ねる。目が合った青年が何かを言う前に、足を向けて近づく。
「もし、そこの方。この辺りの事情にはお詳しいですか?」
「俺に言ってんだよね。ああ、まぁ毎年来てるし。どうかしたの?」
熟れた受け答えだ。反応も早い。顔も――おそらく整っている方だ。普段美男揃いの猟兵を見ていると麻痺しがちだが。
リコリスは頷き、右掌と左手の甲を重ね、抱えるように胸元へ。
「ああ、よかった――実は、執事とはぐれてしまいましたの。見ず知らずの殿方にお願いする無礼を承知で、この辺りを案内していただけませんこと?」
風に流る髪を指先で梳り、ひと夏の冒険をしに来たお嬢様然とした言葉。
「俺で良けりゃ請け負うよ。どこへ案内して欲しい?」
青年はニッと笑って安請負い。それに切り込むように、リコリスは無防備な笑みを浮かべて、
「勿論、屋敷では感じられない――ドキドキしてしまうような場所まで」
夢見る乙女のような台詞に青年は目を丸くして、一拍置いて笑った。
「っはは! そりゃいいな。……じゃ、ドキドキをプレゼントするとしようか。手を借りていいかい?」
「ええ。エスコートしてくださるんでしょう?」
伸べたリコリスの手をスマートに取り、男が歩き出す。考えているであろうデートコースが役に立つことはないのだが――リコリスはそれを笑うことなく、男の後ろに従うのだった。
――束の間、二人で渚を往く。
大成功
🔵🔵🔵
ポケッティ・パフカニアン
男を盗って…もとい釣ってこればいいのね?このセクシーフェアリーに任せときなさい!
水着はコンテストのやつでいいでしょ?あたしに似合ってると思うし。でしょ?頷きなさい!
あたしは利口なフェアリーだから、自分の特徴ぐらいしっかり理解してるわよ。
体が小さくてインパクトが足りないなら、大きく見せればいいのよ。ズバリ近づく!
こういう時、フェアリーには便利な技があるのよ。肩に乗る!
ふふん、このセクシーボディが目の前に来るのよ?まさに目と鼻の先よ?
元々がデカいやつほど、この距離感を演出するのは無理でしょ?そうでしょ?はい、あたしの勝ち!
触るだけでハードルが高いデカブツ女どもには負けないわよ!もちろん釣る数でね!
●冴えたハートの盗み方
「男を盗って……もとい釣ってこればいいのね? このセクシーフェアリーに任せときなさい!」
自信満々に言いながら“門”を潜り、夏の空の下に解き放たれた(自称)セクシーフェアリーが一人。その名もポケッティ・パフカニアン(時織りエトランゼ・f00314)。
常の格好からしてチューブトップにホットパンツという露出多めの格好なのだが、今回のポケッティの格好はそれよりも更に布面積が減り、真夏の開放感のせいか心なしかバストが増量して見えるほどである。
似合ってるでしょ? 頷きなさい! などと言われようものなら頷く男が沢山いるだろう。
薄紫基調、柄染め抜きのタイサイドボトムと、中央にリングをあしらい、そこを取っかかりに布地とネックタイを延ばしたバンドゥビキニが眩しい。チューブトップだったとすれば絶対に見えないであろう二つの山の真ん中が! 渓谷が! 見えるのである!!
これは凄まじいことである。なんせもう普段じゃ見えないもんが見えるのである(大事なことなので二度記述した)。その時点で充分すぎるほどのアドなのに二つの山はそびえ立つグランドキャニオンの如しであった。恐るべし、ポケッティ・パフカニアン。ちっちゃくたってビッグだぜ。
タイサイドボトムは攻めに攻めたローライズで、鼠径部のラインがくっきりと見え、無駄な贅肉など一片もないことを余人に教えている。健康的なくびれが暴力的なサイズの双丘と渾然一体となって襲いかかってくる。双丘ってサイズじゃねぇ、あれはもう連峰だ……!
……いやしかし、しかしだ。
思い出して欲しい。ポケッティ・パフカニアンは当人が自称するとおりフェアリーである。
猟兵は余人に、存在として違和感を与えぬ。これは大原則ではあるが、その小さな身体で彼女はどのようにフルサイズの人間男性を、軽く七倍以上はあろうかという相手を誘惑しようと言うのだろうか――?
――ふふん。サイズの差なんて織り込み済みよ。
ポケッティは自らがフェアリーであること、その体躯の小ささも、しかして、猟兵の性質としてそれを相手に『気にさせない』事ができるということを把握していた。
相手が違和感を覚えないなら、支障はない。
身体が小さくてインパクトが稼げないのなら――
文字の通りに、距離を縮めて稼げばいいのだ。
「ねぇ、ちょっとあんた!」
「ん? 俺?」
不意に投げかけられた声に、振り向いた高校生程度の少年の目と鼻の先にいるのは――ポケッティだ。腰に手を当てて、その爆発的な胸を堂々と張る。
もう目の前でいきなりVRで美少女が現れたようなモンである。思わず少年も仰け反る。
「うぇっ!?」
「なぁによ、随分な反応じゃない? せっかくこんな美少女が話しかけてあげてんのに」 少年の肩にひらりと舞い降りて、ポケッティは足を組んで器用に腰掛けてみせる。カチコチに身を固くする初心そうな少年。
「あ、や、その、ちょっ……近い、近いっ」
「近くしてんのよ。そのくらい分かりなさいよね。ちょっとあたしに付き合いなさい!」
「え、えええ?!」
「ほら、キリキリ歩く! 向こうの岩の影とかいいわね! ――ちゃんと歩いて行けたら、ご褒美あげるわよ」
餌を吊り下げるのも忘れない。首筋を小さな掌と指先でそっと撫でてやれば、「っひ、ひゃい!」と裏返った声で返事をしながらギクシャクと歩き出す少年。ちょろい。
――なるほど、人間ではこの距離感を演出することは不可能――正にフェアリーにのみ許された技である!
(――触るだけでハードルが高いデカブツ女どもには負けないわよ、もちろん釣る数でね!)
少年の肩で揺れながら、ポケッティはにまりとほくそ笑むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
青葉・まどか
◎
色々と思うところはあるけど、邪神教団の暗躍を見逃すなんてできないよ。
逆ナンなんてやったことないけど、ガンバリマス。
男性に積極的にグイグイいくよ。
胸が強調されるようにビキニのトップスのリボンの結び目を調整。
恥ずかしくない、恥ずかしくない。これは人命救助の一環だから恥ずかしくない!
なんて声をかければいいのかな?
そんなことを悩みながら水着で浜辺に行けばバストに周囲の男性達から集まる視線。
……そんなに胸が好きなの?
胸をガン見していた男性に近づき「やだ~!エッチな目で見てる~」
胸を男性に当てながら「見てるだけでいいのかな?」
含みを持たせてセーフポイントに連れ込みます。
「あっちで二人っきりになりたいな」
●魅惑の果実に触れたくて
邪神教団に連なる悪、許すまじ! ……と正義の心にせき立てられてやってきたのはわくわく満開ビーチ。……いや正直、普段の事件と毛色が違い過ぎて思うところがないではないのだが、作戦は作戦である。
青葉・まどか(玄鳥・f06729)は、水着コンテストで披露した水着姿となってビーチの熱砂を踏む。
ボトムはタイサイドデザイン、トップスはフロント対デザインの大胆な水着である。布面積は少なく、カラーリングも紅白二色のシンプルさだが、まどか本人のプロポーションの良さも相俟って、それは欠点とはならず、むしろストレートに彼女の魅力を表現する事に成功していた。リボンの意匠を統一したサンダルで砂を蹴立て、手を頭の後ろで組んで抜群のスタイルを無防備に見せつけながら、集まる視線を気にしない風を装って砂浜を歩いていく。
逆ナンなど、当然のように初体験だ。なんせ花も恥じらう十三歳の少女である。しかし、
(……皆そんなに胸が好きなのかな……)
一角の猟兵であるまどかには、……いやもうこれは猟兵でなくても分かるだろう、突き刺さる視線はどれもこれもまどかの胸をガン見しているのがわかった。……仕方あるまい。大多数の健全な男子ときたら、そこに山脈があったら一時は目が吸い寄せられるものなのだ。悲しい事に。
(……それなら)
まどかは水着の位置を直すのを装い、フロントタイのトップスの結び目を調整、よりバストが強調されるように仕向ける。心なしか視線の温度が上がった気がする。
(恥ずかしくない、恥ずかしくない。……これは人命救助の一環だから恥ずかしくない!)
まどかは自身に必死に言い聞かせついでに気取られない程度に浜辺を視線で走査。見惚れるように自身を見詰める、やや年上――一六,七歳ほどか――の少年に狙いを定めた。さりげなく歩みを彼の方に向ける。
なんと声をかけたものだか最初は悩んだものだが、ここまであからさまに視線が集まるならば、それをストレートに言えばいいだろうと着想。距離を詰めてから、今気付いたという風に、少年と視線をピタリと合わせる。
「!」
慌てて視線をそらそうとする少年。しかしまどかは逃がさない。
「ねぇ、あなた私の事、ずっとエッチな目で見てたでしょ! やだぁ、やらしい! そういうの分かるんだよ、女の子って」
「はっ?! ハァ!?! いや見てねーし! 全然見てねーし!!!」
言い逃れが小学生レベルであった。慌てて首を振って否定するものの、真っ赤な顔が雄弁に事実を語っている。
(積極的にグイグイ行かなきゃ……!)
一方のまどかはすでにマインドセットが済んでいる。目を逸らす少年の視線の先に滑り込んで、
「うそつき。さっきまで私の胸ばっかり見てたくせに。知ってるんだよ――だって私も見てたもん、あなたの事」
「えっ」
恥ずかしくない恥ずかしくない。これも人命救助のため。何度も自らに言い聞かせたまどかの口からはするすると誘うための言葉が出てくる。
おっとここで少年を逃がさぬとばかり腕を絡め身を寄せる! 思わせぶりな台詞で戸惑わせ、その隙を奪った形だ。これが初とは思えない手管!
「ね……見てるだけでいいのかな?」
身を寄せれば必然、絡んだ腕に胸が押しつけられる。真っ赤を通り越してゆでだこのようになった少年を上目遣いに見ながら、まどかはトドメに少年の耳元に甘い声で吹き込む。
「あっちで二人っきりになりたいな。……そしたら、今度はこっそりじゃなくてまっすぐ、私の事見てくれるでしょ?」
こうまで言われて落ちない男がいるものか。少年は絞り出すように「うん」と答えるのが精一杯であった。
一瞬。本当に一瞬だけ、こんな都合のいい話があるものだろうか、と少年は思ったという。まぁ結局欲に負けて付いていったわけだが。
……ある訳ねぇんだなあ、これが。至った岩影で、記憶消去銃のフラッシュがまた一つ。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
逆ナンねぇ…まぁ、簡単に言えばみんな魅了して連れ込んでしまえば良いのよね♪
「フレミア様、もう少し言葉は選んだ方が良いかと…」
とりあえず、面白そうだし、といった感じで参加。
【虜の軍勢】で「イケナイ☆パパ活邪神教団」で虜にした元「邪神エージェント」と「薔薇の迷宮と双子の悪意」で虜にした「黒い薔薇の娘」を召喚。
二人の眷属を伴って、水着を買いに行くわ♪
どんなのが良いかしら?ダークセイヴァーじゃ海水浴なんて危険だし良くわからないのよね。
エージェントの子はこの世界出身だし、頼りにしてるわよ。
あ、折角だし、貴女達も水着を買って参加なさい♪
この紐みたいな水着とか面白そうかしらね♪(露出度高めの水着中心に物色)
●サマー・コレクション
ビーチを歩くは三つばかりの影。先頭を我が物顔で往く一人が金の髪をさらりと払い、気楽な調子で言葉を紡ぐ。
「逆ナンねぇ……まぁ、簡単に言えばみんな魅了して連れ込んでしまえば良いのよね♪」
ざっくりした理解。間違っては居ないのだが。金髪の少女の左を固めるワンピースの少女が困ったように口をつぐむ。彼女はUDCアースの出身――ひいては、UDC組織にかつて身を置いていた来歴を持つ。
「フレミア様、もう少し言葉は選んだ方が良いかと……」
「あらどうして? 何か間違っているかしら?」
「いえ、おおよそ間違っていないとは思いますが、その……今回の件はナンパをする演技をするだけで構わないとの事ですし……」
フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が言うと途端にシャレにならなく聞こえる。なんせ付き従う二人の少女もかつてフレミアに隷属する事を選んだ眷属である。
「演技でも構わないし、本当に籠絡してしまっても構わないという事でしょ? なら問題ないじゃない?」
「お戯れを」
もう片方の眷属が言う。――こちらはゴシック風のサマードレスに身を包み、フレミアの右脇を歩く。
「私たちがおりますでしょう、フレミア様。妬けてしまいますわ」
「可愛い事を言うのね。……ふふ、冗談よ。折角の夏だし面白ければそれでいいわ、貴女達も一緒に楽しみましょう? ――ほら、まずは水着を買いに行くのよ。貴女達の分もね。案内して」
「はい。では――あちらの店まで」
フレミアの享楽的な台詞に応じて、ワンピースの少女が先導するように進む。彼女はUDC
行く手には海の家併設の水着ショップ。数人の猟兵が水着を買ったそこへ、フレミア達もまた足を向けるのであった。
「いらっしゃいませ!」
バイトだろうか。高校生ほどの少年が店番をしている水着店であった。店員は積極的な案内をしにかかっては来ないが、見目麗しい少女らの登場に目を輝かせる。
ワンピースの少女は水着コーナーを一望し、大凡の位置を把握するなり、フレミアに問いかける。
「フレミア様、どのような水着がいいかなどのご希望はあられますか?」
「そうね……ダークセイヴァーじゃ海水浴なんて危険だし、よく分からないのよね。おすすめなんてあるかしら?」
「フレミア様ならなんだってお似合いになりますわ。……この地での昨今の流行と言えば、オフショルダーのビキニでしょうか。普段からフレミア様は肩をお出しですし、違和感なく着られるものかと」
「じゃあ、それを一着と……そうね、折角だから何着か見繕っていきましょう。貴女達も好きなものを選びなさい。あら、この紐みたいな水着とか面白そうかしらね?」
フレミアが手に取ったビキニ……って言うか紐は、カバー面積が限りなく狭すぎてフレミアが着用しようものならポロリ待ったなしの過激な仕様。
「流石にそれは男共が色めき立ち過ぎるのではないでしょうか」
「万一脱げたら……ということも御座いますし」
「……以外と細かいことを気にするのね、貴女達」
いや細かくはねえが。フレミアの美貌で砂浜ポロりはヤバいものがある。しかもこの浜はナンパ男だらけなのだから。
やがて選ばれた候補は、赤系基調の水着に絞って尚十数着。
「端から端まで全部着て試しましょ。――どれが一番似合うか、きちんと教えて頂戴ね♪」
「「仰せのままに」」
眷属の少女二人が傅くのを満足げに眺めながら、フレミアは試着室に足を向ける。
そこから始まるのは正にファッションショー――しかも露出強めの水着ばかりを用いてのことだ。フレミアが満足する頃には、店員の少年は息も絶え絶えとなっていたという話である。刺激が強すぎて。
大成功
🔵🔵🔵
太宰・寿
◎
とりあえず声をかけないといけないんでしょうけど、恥ずかしいですね……。
私、近所のおじいちゃんくらいしかお茶に誘ったことないんですけど、難易度高くないです?(まがお)
とりあえず水着を買いましょう。
話はそれからです。
選ぶ水着はオフショルダーでいきます。
色はパステルピンク。
ちょっと可愛すぎるかもしれませんが、好きな色ですし。
大人っぽいものに憧れますが黒系、あんまり似合わない気がするんですよね……。
暑いので、白の麦わら帽子も被りましょう。
服を見るのは好きなので、楽しいです。
あとは、ちゃんと着こなせていたらいいんですけど……どうでしょう?
●夏の日差しに背伸びして
猟兵達は日夜激しい戦いを繰り返している。依頼をこなす中でオブリビオンと命を懸けた死闘を演ずることもしばしばだ。
……なので、そうしたシリアスな――命の掛かった仕事に慣れたものには、逆に今回のような依頼はやりにくいのかも知れなかった。なんてったって依頼の趣旨がボーイハントである。温度差で風邪を引きそうな話だ。
「とりあえず声をかけないといけないんでしょうけど――」
太宰・寿(パステルペインター・f18704)は周囲を見回した。まだあどけない少年から寿よりも大分年上の青年まで、老いも若いも様々な年齢層の男性がひしめいている中、寿は落ちつかなさげに身じろぎをする。
「恥ずかしいですね……」
根本的な問題であった。
そもそもとして寿が男性に対して誘いをかけることなど、近所の老爺を茶に誘うときくらいのもので、老爺が寿を見る眼も孫を見るそれといった風情でほのぼのしたものだ。
そこから一転飛躍でボーイハント。大人の階段の上り方がアポロ十一号並である。
(と、とりあえず! 先に水着を買ってしまいましょう! 話はそれからです!)
なんと声をかけたものかとか、そういったことを考え出すと際限がない。寿は夏服の襟元を寛げてパタパタと風を入れながら、水着店へと足を向けた。
「いらっしゃいませ~!」
明らかにテンションの高い男性店員が寿を明るく迎える。何かいい事でもあったんだろうかと寿が訊きたくなるレベルの明るさ。
「お探しのものお決まりでしたらご案内できますよ!」
カウンターから身を乗り出す店員。多分バイトだ。高校生くらいだろうか。
「あ、はい、ええと……パステルピンクの水着を探してまして。ちょっと可愛すぎるかも知れませんけれど」
「おねェさん可愛いんでオールオッケーだと思いますよ!! パステルピンクですね、少々お待ち下さァい!」
少年店員、テキパキ動いていくらかのカラーを見繕い、候補となり得そうなものを集めてドサリと台に置いた。
「こちらとかこちらとかですかね。無地だとちょっと寂しいんで、適度にこう、フリルとかリボンとか付いてるヤツとかがカワイイと思うっす」
「へぇ……」
店員の解説を聞きながら寿は提示されたものから幾つか候補を見繕っていく。
「大人っぽい黒とかにも憧れるんですけれどね。でも、あんまり似合わない気がして」
「あー、そんな事無いと思いますけどねぇ。でもそう思われるんでしたら、好きな色に大人っぽいワンポイントを足すとかどうッスか? 例えばほら、こういう」
店員が手にしたのはガーターリング。太腿辺りに巻く装飾ベルトだ。金の環とパステルピンクのベルトを繋げて作られたもので、水着との調和を崩さないカラーだ。
「片足だけこういうの巻くと大人っぽさが出ると思うんですけど、どっスかね」
「……いいかもしれないです。つけてみてもいいですか?」
「勿論!」
打てば響くような応答に、寿は顔をほころばせて笑った。
「あっ、それと麦わら帽子も扱っていたら見せていただけますか?」
「喜んでー! 試着室あちらなんで、お好きなものを着てみて下さいよ!」
少年の熱意溢れる声に推されるように、寿は選び取った水着を持って試着室へ向かうのだった。
数分後。しゃっ、と試着室のカーテンが開く。
「……どうでしょう?」
パステルピンクのオフショルダートップスは、肩掛けのストラップを廃したデザイン。胸下と背にクロスしたストラップが来る。肩からうなじのラインを遮る布地が紐一本すらなく、シルエットが艶めかしくありのままに映る。
普段研究室で過ごすが故か透けるように白い寿の膚にパステルピンクのストラップがクロスして重なり、見映えて美しい。
二段フリルが双丘の下に影を作る。ボトムスはタイサイドデザインとなっており、右脚には店員推奨のガーターリング――
「あっ、」
忘れていた、とばかりに麦わら帽子をかぶってはにかむ寿を見て、店員はグッと拳を固めた。
「……エクセレントです、お客様……ッ!!!」
「え、エクセレント」
「完璧ッス!!!」
「あ、あはは……」
入魂のガッツポーズを取る店員を見つつ、寿は物思う。
……この分なら水着は大丈夫そうだけれど……果たして、なんと声をかけたらいいものだろうか、と。
結局「お茶しませんか」と正直にブッ込んで、でもその衒わなさが好評を博すのは――その十数分後のお話。
大成功
🔵🔵🔵
立花・乖梨
《郷に入れば郷に従えってね。行くよ「私」 》
「本当にしなきゃいけないのです、です……?」
UC「七天六花」―《暴食》と共に。
逆ナンなんて初めてなのですよぅ、
知識欲旺盛な暴食はやる気満々です
水着ですか?
暴食はよく動くので、ハイレグと明るめのパーカーで快活な、健康的な太腿を、ベルトでより腰元を強調するスタイル。
わ、私はその……他の"私達"よりお姉さんですから、お、大人っぽく……。
《ボクも何すればいいか分かんないけど…声掛けて、手を引いて、連れ込めばいいでしょ?》
「そ、それはちょっと可哀想ですよぅ?まずは優しく、相手の心を傾けて……」
《やっぱり本職(無自覚ハニトラ)?》
「やっぱりってなんですかぁ!」
●デュプリケーション・コンプレックス
「郷に入れば郷に従えってね。行くよ『私』」
「あうぅ……本当にしなきゃいけないのです、です……?」
「当たり前でしょ。でなきゃいつまで経ったって仕事が終わりやしないもん」
砂浜の一角で交わされる会話は――瓜二つの二人の女によるものだ。
否、厳密には彼女らは一人。立花・乖梨(bye-stader・f05235)である。彼女の傍らに立つ、瓜二つの青い目の女は、ユーベルコード『七天六花』により現れた彼女の人格の一つ――『暴食』である。
「ねー。『私』は逆ナンとかしたことある? コツとかやり方とか知らないの?」
「私も初めてなのですよぅ……」
知識欲旺盛な『暴食』は未知の領域に踏み込むとあって、やる気満々だ。群青をしたハイレグカットのスイムワンピースに、色とりどりの花柄があしらわれた白基調のパーカーを纏っている。腰と左腿にベルトを巻き、そのウェストラインの細さと脚の付け根をより強調している。活発かつ活動的な『暴食』自身を示すようなコーディネートだ。
対する乖梨はといえば、彼女の髪先を思わせる臙脂色基調のフラワーパターン・フロントタイビキニ。暗めの色合いだが色調を変えて種々の花柄がちりばめられているため、落ち着いているが地味ではない絶妙なバランスを保っている。
ボディチェーンや右腿のガーターリングなど、『暴食』と同様の発想ながらややアダルティな印象を与えるデザインを揃え、上から薄手のロングカーディガンで覆っていた。
快活さの『暴食』、落ち着いた魅力の乖梨と、一粒で二度美味しいとはまさにこのこと。
「うーん、じゃあ、もうぶつかってみるしかないじゃんね。何すればいいかよくわかんないけど……要するに声掛けて、手を引いて、セーフポイントに連れ込めばんいいでしょ?」
すべきことを端的にざっくばらんに纏める『暴食』に乖梨が難色を示す。
「そ、それはちょっと可哀想ですよぅ? まずは優しく、相手の心を傾けて……」
つらつらと語る乖梨に『暴食』は目を瞬く。やり方に拘りあり、ということは。
「やっぱり本職なんじゃない?」
無自覚ハニトラ術の。
「やっぱりってなんですかぁ!」
「ボクから見ても『私』はそういう所あるからなー。……まあ、『私』は『私』のやり方でやればいいし、ボクはボクのやり方でやればいいんじゃない? ってわけで、そこの二人いただき!」
「あぁっ、またそうやって先走る……!」
駆け出す『暴食』を追いかけ、乖梨もまた走り出す。
「こんにちはー! ねぇねえお兄さん達、ボクと遊ぼうよ!」
「え、俺達?!」
突然声をかけられた大学生らしき二人組が思わず手に持ったかき氷を落としかける。それにも構わず、『暴食』は続けた。
「そうだよ! 一緒に遊んでくれる人、今探しててね……」
「ああもうっ、待ってくださいようぅ」
後ろから走って付いてきた乖梨の首を抱き込むようにして、『暴食』は青年二人に流し目をくれる。
「お姉ちゃんも一緒だし、二人対二人でちょうどいいと思うんだけどなー?」
(巻き込まれてます私ー!?)
それぞれのやり方でやるどころかいきなりダシにされた乖梨が戦慄する間にも話は進む。
「えっえっ、マジで? おれたちで良いの?」
「お兄さん達がいいの! それともボクたち相手じゃ不満?」
「「と、とんでもない!」」
「なら決まりだね! じゃ、あっちで遊ぼうよ、ね、お姉ちゃん!」
「え、えぇぇ……」
『暴食』に引っ張られるように歩き出す乖梨。傍らから、これ見よがしの至近距離からのウインクが飛んでくる。二点先取とでも言いたげな『暴食』に、むううっ、とむくれる乖梨。
――負けないのですよぅ!
ムキになればあとは早いもの。
乖梨対『暴食』の逆ナンデスマッチが、夏の炎天下でまさに幕を開ける――!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『輝く砂浜の攻防』
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POW : 水着を見せつけてアピール
SPD : 遊びに誘うアピール
WIZ : 食べ物や飲み物でアピール
👑11
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●開幕! ナンパバトル!
「む――」
「――我らの他に先客がいる様子!」
「如何する」
「……まだ目が潰えたわけでもない。奪われたのならば奪い返すまで」
「我らは我らの主命を果たすのみにて。――猟兵如き、何するものぞ!」
「散れ! 男共を虜にして集めよ!」
猟兵達の活躍により、次々と年頃の男性が逆ナンされ(てからUDCエージェントらにより収容され)ていく中、浜に混じるプレッシャーがある。
一般人はそれを気取る事など出来ないが、猟兵達には明白に分かった。――これはオブリビオンの気配!
浜のあちこちで、男性に声をかける女性が増え出す。その中には明らかに猟兵ではないと分かるものたちがいた。練達の猟兵である君達は、オブリビオンの気配を決して見誤る事はない。
――穫られたのならば取り返せ!
作戦第二段階、激アツナンパバトルの開幕である!
≫≫≫≫≫MISSION UPDATED.≪≪≪≪≪
【Summary】
◆作戦達成目標
以下の二つの達成目標がある。
プレイング内に番号を記述し、どちらかを選択の上参加されたし。
1.一人以上の男性客を逆ナンすること
2.逆ナン中の風魔衆・下忍より、
ナンパ対象を魅力で奪い取ること
◆作戦補足
作戦の主軸は一章と同様、魅力のアピールとボーイハントになります。一章同様の単独ナンパか、既に逆ナンしに行ってる風魔衆とナンパバトルを繰り広げるかを選べます。
ただし、この時点では敵も積極的戦闘態勢を取っていないため、実力行使を選んで攻撃すればこちらが悪者になってしまうでしょう。そこだけは注意が必要です。
◆敵対象
風魔衆・下忍×多数
◆敵詳細
読んで字の如くの下級忍者。とはいえそれなりの力を備えており、数が揃えば脅威となり得る。
今回相対する個体は、骨格レベルの高度な変装能力を有しており、絶世の美女の姿に変じてビーチの各所で男性を誘惑しているようだ。
◆戦場詳細
老若男女でごった返す海水浴場。
一章時点からナンパ男の数は減っているが、なんのまだまだ入れ食い状態。
引き続き、猟兵達の魅力が試される……!
◆補遺
相変わらずゆるいです。
プレイングの雰囲気によってメロウになったりギャグになったり忙しいかと思いますが、思いのままにプレイングなさってくださいませ。
◆プレイング受付開始日時
2019/07/27(土) 08:30:00
◆プレイング受付終了日時
2019/07/29(月) 23:59:59
アウレリア・ウィスタリア
◎
うーん、逆ナン?
とにかく男の気を引けば良いということでしょうか?
浜辺で【幻想ノ歌姫】を発動して
誘惑の意思も込めて愛の歌を奏でましょう
歌に寄ってくる男性がいれば何人いても構いません
誘いましょう
仮面は歌い終わったときに外せば良いかな?
歌を聞くだけで良いのですか?
いえ、もちろんそれだけでも構いませんよ
ただ歌を誉めてもらったのならお礼もしたいので…
ボクは小柄ですから
男性相手だと自然と上目遣いになりますね
そういえばこのネモフィラ色の水着
ボクが厚着が苦手なのもありますけど
露出が多いらしいですね?
とても涼しげで良いと思いませんか
ハーメルンの笛吹きではありませんが
歌を奏でつつ人気のない場所に連れ込みましょう
●Temptation.
「うーん、逆ナン……というのはどういうことでしょう。とにかく男の気を引けば良いということでしょうか?」
波打ち際、一人難しげな顔をして歩くアウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)。怜悧な美貌を猫の仮面で隠した少女である。
彼女もまた夏の装いをしている。いつもとは異なるサイドシニョンアレンジの髪に、ネモフィラのブーケを片手に。水着は黒のビキニ下にドレスのように生地を継いで、胴回りを大胆にカッタウェイしたデザインビキニだ。カラーの基調となるのは彼女のトレードマークであるネモフィラの色。ボトムはローライズ気味で、トップスから前掛けのように垂れた部分が覆い隠しているために、捲らなければその仔細が確認できない。男の目と興味を惹いて止まぬデザインである。そして脚は何にも覆われず、モデル並のスタイルを誇示するようにすらりと伸びる。息を呑むほどに白い膚。魅惑のコンパスが男達を誘惑するように砂を踏む。
アウレリアは元来厚着を好まない。水着に装いを変えても同じ事だ。水着のカラーリングも合わせ、非常に涼しげで視線を集める格好である。……少なくとも服装については、当人にはまったく魅了の意思はない辺りがまた罪作りだ。
――さて、いくらか悩んだものの、男の気を惹くとあれば、彼女には一つ得手がある。
(難しい事は分かりませんが、声を届けるのは得意ですから)
寄せて返す波の前で、アウレリアは深く息を吸い込み、ユーベルコードを発現。奏でるは、『幻想ノ歌姫』。襷掛けにしたショルダーキーボード『玉咲姫花忍』に魔力を通し、出力を増幅。煌めくようなアルペジオから、コードを鳴らしつつ歌うのは愛の歌。その声はガラスのように透き通り、切々と愛を歌う。
甘く、しかし寂寞に満ちたメロと、思いの丈を伝えるように高まるサビ。アウレリアが歌い出せば、足を止めずにいられる男はいない。彼女の声に一人、また一人、花に惹かれる蝶のように男達が足を止める。
張り詰めたような最高音を長く長く伸ばし、ヴィヴラートを掛けながら弱め。吸う呼気すらも歌の一部。しっとりとした歌い終わりをアルペジオで支え、最後に鍵盤を一撫でして曲を終えるアウレリア。
自然巻き起こる拍手を前に、アウレリアは静かに顔に手をやり、仮面を外した。
露わになる人形めいて整った顔に、男達が度肝を抜かれたように目を瞬く。アウレリアはそのままに一礼。短い演奏で一〇人あまりを惹き付けたアウレリアは、最後に仮面を外す事で彼らを残らず釘付けにしたのだ。
湧いた男達が我先にと、アウレリアの周りに集まる。その狂騒はある程度は彼女の歌に篭められた誘惑の力によるものだが、まず最初に男達を留めたのは彼女の純粋な演奏技術によるものだ。聴いて貰えなければ、誘惑も何もない。
「スゲェ上手いな! 曲とか出してんの?」
「アーティスト名なんて言うの? 今のオリジナル?」
「上手くて美人とかマジスゲェよ、オリジナル出してるならぜってぇ買うし!」
「……ありがとうございます。聴いて貰えて、褒めて貰えて、嬉しいです」
アウレリアは小柄だ。その身長は一五〇センチメートルを割る。集まる男達に上目遣いをくれて、彼らの目を集めつつ、アウレリアは薄く笑って人気の少ない岩場の影を示した。
「褒めていただけたお礼をしたいですし、あちらでボクともう少し、お話をしませんか? 質問にもお答えしますから」
それに否を唱える男がいようものか。男達はアウレリアの甘言に誘われるまま、歩き出す少女に従って岩場の影を目指すのだった。
先頭を歩くアウレリアがキーボードを奏でる。――その様ときたら、ハーメルンの笛吹きもかくやという光景だったという。
大成功
🔵🔵🔵
橙樹・千織
◎WIZ
1で行きましょうかねぇ
水着は先日のコンテストで着た物で
なんぱ…はしたことありませんがきっと何とかなるでしょう
何というか…その、地図読むの苦手でして
甘味処を探しているていで男性にお手伝いをお願いしましょうかねぇ
あの、すみません…申し訳ないのですが、この海の家がどちらなのか教えていただけませんか?
こっそり【礼儀作法・コミュ力・誘惑】などの技能を活用してしまいましょう
あとはそうですねぇ…そっと手を添えるくらいであれば、私にも出来そうですかねぇ
ふふ、せっかく来たのですし、ご一緒に甘味はいかがですか?
ここの裏手に秘密の甘味処があるというのです。
ね?ご案内いただいたお礼にごちそうさせてくださいな?
●綺麗な華にはなんとやら
ぱ、と花の咲くように和傘が開く。
毛先に至るにつれ色の抜けて金に光る黒髪を潮風に流し、桃色基調のフロントリボンビキニと、同色のボトムを翻して歩く女性が一人。橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)である。水着には藍色の花模様があしらわれ、洋風のデザインの中に和風の意匠が取り入れられた和洋折衷の装いとなっており、和傘が違和感なく溶け込む。
ボトムはフィッシュテールスカート風のデザインで、白い脚の影に覗く裏地にもまた藍花が咲き誇る。右脚には和風のガーターリングが巻かれ、健康的な太腿の魅力を引き立てている。
男を引っかけるという作戦目的に対し、充分すぎるほどの容姿である事は間違いない。
(なんぱ……は初体験ですが、きっとなんとかなるでしょう)
千織は男達に声をかける口実についてまったく迷わなかった。……というのも、彼女は地図を読むのが不得意である。地図を頼りに目的地にたどり着くのに毎度難儀するのだが、今度ばかりはそれが幸いした。真実をそのままに話せば、演技をする必要もない。
「あの、すみません。伺いたいのですが、今、お時間よろしいですか?」
「ぁン?」
砂浜を歩き、千織が声をかけたのは強面の、いかにも遊んでいます――という風な男性であった。日焼けに金髪、ピアスにタトゥー。
「何、オネーサン。何か用?」
「なんと申しますか……その、地図を読むのが苦手でして。申し訳ないのですが、この海の家がどちらなのか教えていただけませんか?」
「……」
地図を提示する千織に対して、男は逡巡する事しばし。やがて掠めるほどに微かに、邪な笑みを浮かべる。世間知らずな箱入り娘とでも高をくくったか。千織とてそれには当然気付いていたが、おくびにも出さぬ。
「OK、OK。連れてってやるよ。あっちの方だぜ。付いてきなよ」
「まあ、ありがとうございます! では、参りましょうか」
千織は無防備に男の腕に手を添え、男の導きに従って歩き出す。
しばらく進めばすぐに人気は失せ、客の気配もなく静かになっていく。男と他愛ない会話を交わしながら歩き付いた先は、岩場であった。
「付いたぜ。この岩場の裏手だとよ」
「ご親切にありがとうございます。 秘密の甘味処というだけあってひっそりとしているのですね。ね、ご案内いただいたお礼に一つご馳走させてくださいな。とびきりの甘味をお約束しますよ」
「そりゃ良いね。じゃあ、お言葉に甘えようかな」
男は歩き出す千織の後ろを固めるように進む。その先に甘味処などあるわけもない。男が千織を案内――否、追い詰めたのは、入り組んだ岩場の奥地だ。
入り組んだ岩場の奥に進めば、すぐにごつごつした岩に囲まれた袋小路に突き当たる。
「あら――」
千織が不思議そうな声を上げ、男を伺うように振り返った瞬間、男は腕を伸ばして千織の口を塞がんと襲いかかり――
「残念です」
「はぇっ?」
ぽん、とその身体が宙に浮き、強かに地面に叩き付けられた。
溜息交じりの呟きは言わずもがな千織のものだ。――何が起きたか。千織は身を捌いて男の腕を絡め取り、岩場に押しつけようと突進してきた男の力をそのまま流用して、軽く脚を払ったのだ。そのまま力を地面に向けて流し、背中から強かに叩き付けてやる。空かし片手投げ。
「グェッ」
叩き付けた砂地が同心円状に爆ぜた。骨や筋に影響の無いよう加減した投げだったが、一般人である男には充分すぎる威力だった。蛙の潰れたような声を上げ、目を回す男。千織は男を掴んでいた手をそっと離し、音もなく背中を向ける。
「嘘を吐かれなかったなら、本当に餡蜜程度はご馳走したのですけどね」
その麗しい水着に、一所の綻びも無し。
したたかな台詞を零す千織の背で、隠れていた対UDC組織職員の記憶消去銃が、パッ、また一つフラッシュを散らした。
大成功
🔵🔵🔵
ジュリア・ホワイト
◎
さあ、戦いだ
いや、ボクの知る戦いと大分勝手が違うけど
力なき市民を悪から守る戦いには違いない
「とはいえボクはあまり女らしくないからね…。どうしたものか」
水着は用意したけど
余り飾り気がない…
まぁ臆していても仕方ない
下忍達を邪魔しに行こう
無策では厳しいけど、機先を制せばあるいは
まず下忍を見つけマークしよう
そして彼女が声をかけようとした相手に先に声をかけるんだ
「やあ、お兄さん。ボクと遊んで行かないかい?」
「一人で水遊びしているのも退屈でね。夏は刺激的な方が良いと思うだろう?」
絶世の美女に化けた敵が声を掛けてる相手を奪うのはボクでは難しい
が、それは相手も同じ事
先手はこの勝負、大きなアドバンテージになる
●キミの魅力はオーヴァードライブ
風魔衆の魔の手は最早海水浴場のそこかしこに伸びており、鼻の下を伸ばす男も一人二人の騒ぎではない。――牧歌的な光景にすら見えたかも知れないが、その実、オブリビオンの魔の手はが一般人の間近まで迫った、危機的な状況である。
それを理解しているからこそ、ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は“門”から飛び出すなり、左右に目を走らせ、油断なく戦況を観察する。
(――さあ、戦いだ。力なき市民を悪から守る戦い。……いや、いや、ボクの知る戦いと大分勝手が違うけど)
まあナンパバトルだからなあ。仕方ねえなあ。
色気を競うバトルとあって、普段の戦いとは全く毛色が違う。故、残虐無双の動輪剣も、詠唱ロケットランチャーも、特大ビームキャノンも使えない。
「ボクはあまり女らしくはないからね……。どうしたものか」
思案げに呟くジュリアの水着は、青基調のスポーティなビキニだ。健康的な体付きによくマッチした水着は、ボトムスのタイが一部鼠径部をなぞるように位置し、その食い込みが芸術的なヒップラインに彩を添えている。トレードマークのホイッスルはいつものまま胸に下げているので、監視員のお姉さんと言ってもそのまま通る感じの様相だ。十七才の健康的な美少女といった風情であるが、それも煩悩丸出しのおっぱい星人共を相手にするにはやや訴求力に欠ける、か。
「む、むむむ」
対する下忍らはどいつもこいつも爆発的プロポーションを『それ紐ですか?』みたいな水着をで覆ったモデル顔負けの美女(の顔を被っている様子)である。逆ナンに精を出す下忍らに対抗し、負けず劣らずのプロポーションの猟兵が正面奪取を試みるのを見ながら、ジュリアは自分の身体を見下ろしてぺたすぺたすと胸を叩いた。
……。
「まあ臆していても仕方がない。……下人達を邪魔しに行こう」
別の意味でメラリときたことだし。うん。
「ねえ、そこのお兄さん――」
一人の下忍がしなを作り、視線の先の男性の背に声をかけた刹那。暴走機関車、もといスポーティなビキニの美少女が後ろから走ってきて下忍を撥ねた。撥ねた? 撥ねた。撥られた下忍は頭から砂浜に突っ込んで沈黙。この間、二秒足らず。
「お兄さんってば! 聞こえないかな?」
そしてシームレスに成り代わる。砂山に突っ込んだ下忍の沈黙を後目にして。
「……ん? おれか? 呼んだ?」
自分が呼ばれたとは思わなかったのか、振り向いた男にジュリアは輝くような笑みを向ける。
「ああ、呼んだとも! ボクと遊んでいかないかい?」
「えッ」
「いや何、海まで来て一人で波と戯れているというのも退屈でね? ボクもちょっと刺激が欲しくなったんだ。お兄さんも見たところ一人のようだし、夏は刺激的な方が記憶に残ると思うんだ。違うかな?」
「あーいやそりゃそうだと思うけど……! 声かけられるとかめっちゃビビるわ」
「どうして? お兄さんとなら楽しく遊べそうな気がするから、声をかけただけさ。イヤじゃないなら行こうよ。かき氷を食べたり泳いでみたり、きっとすることは沢山あるさ!」
そのまま男の手を取って、ジュリアは小走りに砂浜を走り出す。先程の激走など記憶に御座いませんとばかり、波打ち際をごく普通の少女のペースで。
つんのめるように男が付いていくところまで、実に絵になる夏の光景が展開された。
……絶世の美女に化けた敵から主導権を奪い取ろうと思えば、それは並大抵の事ではあるまい。しかし機先を制して掠め取るのならば話が別だ。ジュリアは下忍が声をかけるその一瞬前に、誰にも見られずに先手を取って敵を沈黙させつつターゲットを奪い取る策に出たのであった。そしてそれは上手く奏功した。ジュリアの作戦勝ちである!
「~~~~ッかハッ、けほっ!! ……おのれ猟兵
……!!」
あ、生きてたんですね。
「者共、猟兵が攻勢に出ておるぞ、備えよ……!」
『『『応!』』』
内耳通信機で通信しつつ、風魔衆もまた男子の昂ぶりを煽ること風の如し。
猟兵vs風魔衆のナンパバトルは加速していく――!
大成功
🔵🔵🔵
ミア・ウィスタリア
【2】クックック……出たわね真夏の破廉恥忍者共……
残念だけどこのアタシがいる限りアンタ達に出番はないわよ?
このパーフェクトボディを持ってすれば逆ナンなんて朝飯前よ!
(浜辺で謎の高笑いをする幼女)
あぁ、水着はコンテストの奴でいっか。今年は結構際どい奴にしたしね。
という訳でぇ?まずはサンオイルを用意しまぁす❤
そしてぇ、その辺で逆ナンされている……あぁ、あのお兄さん押し弱そうでいいわね。アレにきーめたっ。
風魔衆の反対側からぱたぱたと走って男性に近付く。
もぉ〜!お兄ちゃんどこ行ってたのぉ!アタシにオイル塗ってくれる約束でしょー、とか言って拉致するわ
ダメ押しで腕にしがみついて胸当てれば完璧でしょ!
●妹って属性として強いところないですか?
「クックック……出たわね真夏の破廉恥忍者共……」
今まさに逆ナン日和の真っ盛りを迎えたわくわく満開ビーチに、ピンクの悪魔が降り立った。
「残念だけどこのアタシがいる限りアンタ達に出番はないわよ? このパーフェクトボディを持ってすれば逆ナンなんて朝飯前よ! 目にモノ見せてやるわ!」
響き渡る高笑い。言動だけ聴いていたらどっちが破廉恥なんだかよく分からなくなるところだ。だが生憎ここに突っ込み役はいない。なので話はこのまま進む。
一通り高笑いをし終えて砂浜を睥睨するのはミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)(ろくさい)である。六歳? 六歳である。その水着はワンピースデザインではあるのだが、いかんせんカッタウェイどころではない感じの透け具合。事実上ビキニ、みたいな代物であった。水着コンテストにもこれで出場したという。
トップスとボトムスの間はフィッシュネット地で繋がれ、その合間合間のアクセントに、布地が文様めいて挟まる。肌を覆っているフィッシュネット地が余裕で下地を透かすので、むしろ脱いでいるより半端に隠れていて扇情的である。そしてそのバストラインとヒップラインは神様が気合を入れる時期か力の量かを間違えたような有り様。うわっこれメロンだよ母さん!
花飾りの付いた鍔の広い帽子といい、手にしたサングラスといい、前述のスタイルといい、六歳離れした圧倒的なポテンシャルのボディを見せつけつつ、彼女が右手に取り出したのはサンオイルである。
ミアが狙いを定めたのは今まさに数人の風魔衆に逆ナンを喰らっている、細身の押しの弱そうな男性だ。三方を囲まれて縮こまる男の方へ、ミアはサンオイル片手に駆けだした。
「ねーぇ、一緒に遊ぼうよぉ。ホントに何にも裏とかないったらぁ」
「アタシ達じゃ不満ー? お兄さん結構メンクイなんだねぇ。でもアタシ達顔だけじゃないよ、一緒に来てくれたらいっぱい教えてあげるんだけどなぁ」
「えっと、その、あの……何と言ったらいいかその……」
押し強くグイグイとくる風魔衆三人娘の攻勢に、今にも落ちそうにぐらつく青年の元にミアが駆け込む。風魔衆が腕を抱え込もうと近づいた所に割り込み、飛びつくように男性の腕を奪い取る!
「もぉ〜! お兄ちゃん、どこ行ってたのぉ!」
「お、お兄ちゃんんん?!!」
男性、驚愕の表情。僕妹とかいないんだけど!! という顔をする男性に、いいから話を合わせなさい! とばかり視線を合わせるミア。誘惑と精神感応はミアの得手の一つだ。テレパシーめいて伝えながら、(別にしなくてもいいけど)その六歳とは到底思えないロケットバストをぽんよぽんよ押し当てる。ぽんよぽんよ。
「こんな所で油売ってるなんて、話が違うわよね。油は油でもアタシにオイル塗ってくれる約束だったでしょー、一人でどっか行っちゃうなんて許さないんだから!」
「あ、ああ、えーっと、そうだったね……」
ぽんよぽんよ。
「ご、ごめんよ。あの……僕、妹と行かなきゃだから……」
「そういうことだから他当たってよね。お・ば・さ・ん❤」
(((っこ、この猟兵ッ
……!!)))
ダレガオバサンジャイテコマスゾコノガキ、みたいなオーラを発する風魔衆を尻目に、男性の手をとって歩き出すミア。
実に見事な妹系強襲作戦であった。残された風魔衆をやり場のない怒りが襲う――!! なんたって今は殴った方の負けだからネ!
あ、鹵獲された男性はこの十五秒後に物陰で処置、もとい保護されました。健全で、猥褻が一切無い。
大成功
🔵🔵🔵
三咲・織愛
◎【1】
ぎゃくなん……
んん。それ自体はちょっと私には荷が重いのですけどー……
でも一般人の方に被害を出す訳には行きませんし
……はっ。ここで少し頑張ってみたら殿方の気持ち的なものを学べるかも……?
水着はコンテストの時の物にしましょう
以前、胃袋を掴むといいと聞いた事があるのですけど、
さすがに一般人の方の胃袋をぎゅっとしたら死んでしまいますよね
一先ず怪力は封印しましょう
一人で来ている人、がいいですよね
いるんでしょうか、そんな人。……聞けばいいのかしら
えっと、お一人ですか?
私も一人なの。一緒に遊びませんか?
やっぱり一人だと付き合ってくださるんですね! 勉強になります!
でも一人で来てるって変わってますねぇ
●外見百点、ダイヤモンド級(ただし拳も)
「ぎゃくなん……」
途方に暮れた顔で砂浜をさくさくと踏むのは三咲・織愛(綾綴・f01585)。
聞けば、ぎゃくなんというのは「逆ナンパ」の事で、特定の相手を持たない女性が、男性を誘って親密な関係を築こうと働きかける事をいうのだとか。
「んん、それ自体はちょっと私には荷が重いのですけどー……でも一般人の方に被害を出す訳には行きませんし……」
年頃の乙女としての恥じらいと、猟兵としての責務の間で揺れ動く織愛の心。依頼を受けて砂浜に降り立ったはいいものの、彼女は未だ男性に声をかける事が出来ていない。
だって、まずそもそもどうやって声をかけていいかが分からないのだ。これが例えば気の知れた仲の彼だったりしたら愛称を呼んで手をとって、波打ち際まで駆けていけば、あとは自然と遊べるだろうと思うのに、何のバックグラウンドもない相手に声をかける事のなんと難しい事か……!
(ムーくんに聞いてきたらよかったでしょうか……)
男心について。ここにもし居たら、果たして賢者はそこまで教えてくれたろうか。
(織愛よ……飢えた者に魚を与える事は容易だが、故事に倣うならば与えるべきは魚そのものではなく、魚を捕らえるための智慧であろう)
――イマジナリ・ムルヘルベルの語りが脳裏に閃く。
(そうっ。そうですよね!ここで少し頑張ってみたら、殿方の気持ち的なものを学べるかも……!)
織愛の桃色の瞳に芯の強い光が宿る。臍を固めたように、織愛はラッシュガードの前を開け、砂浜に向けて歩き出すのだった。
その姿、純情可憐な年頃の乙女。
織愛は豊かな胸をブラウン基調の、アクセントに紅白水玉をあしらったトップスで覆い、同色のフレアボトムを合わせている。きゅっとくびれた腰、すらりと伸びた脚は眩しいほどに白く、水着とのカラーの対比が夏の日差しに眩しい。普段は揺蕩うに任せる栗毛を二本の三つ編みに纏めて、サイドに一房ずつ垂らすヘアアレンジ。常よりも可愛らしいイメージの髪型に、均整が取れつつも豊かなボディラインが合わされば、釣れない男などいるわけが、
「以前、胃袋を掴むといいと聞いた事があるのですけど、さすがに一般人の方の胃袋をぎゅっとしたら死んでしまいますよね……一先ず、怪力は封印しておきましょう」
前言撤回。
賢者!! 賢者ー!! 早く来てくれー!!
言動に不安しかねぇー!!
「一人で来ている人を探すのがいいでしょうか。うん、きっとそうですよね。……でもいるんでしょうか。そんな人」
います。ガールハントに来ているナンパ男達の中でソロ活動をしてる奴らがいます。
「……訊けばいいのかしら。うん、そうしましょう」
男からの立場に入れ替えれば『ヘイ彼女、一人?』となるので文法的に誤りではない。織愛は砂浜を歩く男性らの中から、一人道行く男達を見繕ってさりげなく声をかける。
「えっと、お兄さん、お一人ですか?」
「へっ? あ、ああ、一人だけど?」
「よかった、私も一人なの。一緒に遊びませんか?」
「えっマジ?! よ、喜んでェ!」
「やったぁ! やっぱり一人だと付き合ってくださるんですね! 勉強になります……!」
「ん? 勉強?」
「あ、いえいえ、こちらの話です。……でも一人でいらっしゃるって、変わってますねぇ」
「う゛」
アッ、刺さった……
織愛は当然ながら彼が独り身なのを揶揄した訳ではない。ないのだが。
「海に来るとなれば、仲のいい方と一緒に来るのでは、と思うのですけど」
「ぐっ」
「私にはよく分からないですけれど、でも一緒に来てくださって良かったです!」
「……」
「えっ、えっ、あの、どうされたんです? 肩を落とされて」
――織愛が男心を理解するのはまだ先っぽかった。すん……と気落ちした様子の男を宥めるのに、しばらくの時間を要したという。(そして宥め終わった十秒後ぐらいにUDCエージェントに引き渡した。踏んだり蹴ったりの男に敬礼)
その後、織愛は過激派から物陰で掴みかかられたのを投げ飛ばしたり、チャラ男に急に手を取られ岩場に引きずり込まれそうになったところを払い腰で地面に叩き付けたり、下心を持った男達を相手に八面六臂の活躍を見せたのだが、それは別の話。……男心については残念ながら、何の成果も得られなかったという。
大成功
🔵🔵🔵
イデア・ラケル
【SPD】作戦.1
(角と耳は一般人には見えない)
アタシのは白のフリルがついた水着なんだけど、ちょっと刺激的すぎるかも!
でも刺激を求めてる人たちにはちょうどいいかも。
ねぇねぇそこの男子、アタシもスイカ割りに参加していい?
おっきいスイカだねー。よいしょっと、すごい重いよーねぇ持ってみてー。
じゃあアタシ先やるね!目隠ししてもらっていい?
ん……ごめん、アタシ背高くて。膝立ちするね、はい遠慮なく巻いて!
んーうまく割れなかった……おねがーい!
すごーいちからつよーい真っ二つ!ねぇここあっついね、向こうの涼しい所で食べない?
ねぇ……さっきからずっと見てたよね?アタシが声かける前から。
……手、繋いで。行こ
●大玉スイカを巡る戦い
砂浜のあちこちがキャットファイト寸前の緊張を孕んでいる。
未だかつてこの砂浜で、ここまで壮大なボーイハント・バトルが繰り広げられた事があったろうか? いやない! 右を向いても左を向いても逆ナン合戦、風魔衆が左腕に胸を押しつければ猟兵が右腕に身体を寄せる! 飛び散る火花! 伸びる男共の鼻の下!
「……な、なんか今年はメチャクチャ女子がガッついてねぇ?」
「あ、ああ……しかもスゲェ美人だらけだし……」
砂浜の隅っこでクーラーボックスを囲む高校生数名が『これは俺達ももしかしてもしかするのでは?』みたいな事を言わずにせよ考えた折、彼らの視界の端を少女が横切る。
白のフリルをあしらったフレアビキニを纏う少女であった。が、胸元の布地が悲鳴を上げんばかりにぴちぴちに張り詰めている。溢れんばかりの、たわわで危険な夏の果実。ローライズ気味のボトムが、ガーターリングが、肉付きの良い腰回りと太腿に食い込み、むちりと魅惑のラインを描く。ちゃんと水着を着ているのに、直視してはいけないような感覚を覚える背徳的な光景。
胸に目をやれば眩しすぎる北半球と対面する。どうやらモテない気味の少年らの目が一瞬で釘付けになる。ちょっと刺激的すぎる。
「もしかしたらあんな子とさぁ、おれらも……」
「いや、まさか――……でも、周りの空気からしてもしかしたらもしかするのか、オレらでも?」
「夢見ちゃうなぁ、オイ……いや、まあ、とりまスイカ割ろうぜ、スイカ。せっかく持ってきたし」
少年達はクーラーボックスを開く。大玉のスイカを取り出した折――不意に、横合いから声が掛かった。
「わぁー、おっきいスイカだねー」
「?!」
きゃらりとした少女の声。少年らが弾かれたように振り返った先に――スイカがあった。二つ。
スイカ? いやいや。それは声をかけてきた少女のバストの連峰であった。
「ねぇねぇ、アタシもスイカ割りに参加していい?」
悪戯っぽく笑って問いかけるのは、先程少年達が見惚れた少女、正にその人――イデア・ラケル(螺旋の花・f03935)である。呆けたような少年達も、話しかけられれば何とか応じる声を上げる。
「あ、ああ、いいよ、勿論!!」
「一緒にやろうぜ!!」
うわずった声に滲む細やかな下心。
イデアとてそれに気付かぬではないのだが、気付かぬふりで手を叩く。
「やったぁ、優しーい! ねぇ、じゃあ誰から割りに行く? アタシからやってもいい?」
「「「どうぞどうぞ!」」」
三人組の少年らに交わりなし崩し的にスイカ割りに雪崩れ込むイデア。
「ねー、目隠ししてもらっていい?」
「あ、ああ、うん」
「あっ……ごめん、巻きづらいよね。アタシちょっと背高くてさ」
軽く前傾し、胸を強調するポーズを取りながらの上目遣い。
「はい、遠慮なく巻いて!」
「うお、お、お」
イデアの無防備な色香が少年達の理性をグラインダーに掛けるように吹っ飛ばしていく。よたよたと歩き出し、スイカを求めてバットをぶんぶん。予定調和の空振り転倒、揺れる乳に「きゃあっ」と嬌声。
「んー、うまく割れなかった……ね、おねがーい! 割って!」
「俺が!!」「おれがやる!!」「いやオレだ!!」
ヒートアップする少年達。我先にと目隠しを巻いてバットを手にし出す少年達を煽るイデア。
「ねぇ、ここあっついし、割れたら向こうの涼しいとこで食べようよ。最初に割るのだぁれかな」
まさしく悪魔的な誘導。スッ転んだりミスリードをしたりしてスイカ相手に四苦八苦の戦いを演じる少年らを手玉に取り、イデアは指を唇に当てる。
「ちゃんと出来たら、アタシが声かける前からずうっと見てたとこ、もっと近くで見せてあげるよ」
焚きつけるような一言に、少年達の盛り上がりが最高潮に達したことは言うまでもない。阿鼻叫喚のスイカバトルを笑覧しつつ、イデアは岩陰のエージェントに連絡を打つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
望月・十慈子
名探偵とは推理だけに非ず。秘密を探りだすための交渉術も必須なのです。
逆ナン、華麗にこなしてみせましょう。名探偵にかかれば朝飯前の間食も同然ですよ。
水着に着替え、向かうは海の家。
メニューのここからそこまでください。
海の家の硬い焼きそば……麺の伸びたラーメン……薄味のイカ焼き……海を見ながら食べると不思議ととても美味しく感じますね。
あ、やっべナンパ忘れてた。
海の家でご飯食べてる男の人を探して声をかけます。
ご飯一緒にどうですかぁ?誰かと一緒に食べると美味しいですし!
じゃあメニューのここからそこまで、2人前で。
あとは適当なタイミングでいいからいいからと海の家の裏に連れてって処理してもらい食事に戻ります
●迷探偵は二度食う
名探偵。
男なら一度は名乗ってみたい職業であるが、此度それを自認するのは浜辺の男達ではなく――
「――逆ナン、華麗にこなしてみせましょう。名探偵にかかれば朝飯前の間食も同然ですよ」
桃色の髪の少女であった。髪は腰下に垂れるほどに長く豊かで、同色の兎耳と尻尾が目を惹く。キマイラであろう。あと朝飯前になんか食うのを間食に数える人初めて見た。
それはさておき。道行く男の誰もが、行き過ぎる度に彼女を振り向く。
纏うのは白色、タイサイドデザインのボトムに藤色のフレアトップの水着。それそのものはシンプルで華美な装飾などはないが、彼女の水着姿が男達を惹きつけて止まない理由は、爆発的なスタイルにあった。
また胸の話かよって? 胸の話だよ
!!!!!
フレアトップはヴェールのようにたわわな果実二つを覆い隠しているが、それでも重なった巨大な双丘のクレバスまでは隠せるものではない。すれ違う男すれ違う男、皆の視線がその谷間に吸い寄せられる。
しかして当人はどこ吹く風だ。いくら視線が集まってこようと、それが腹の足しになるわけでもなし。
「――仕事を始めましょう」
きりり、と表情を引き締め、名探偵――望月・十慈子(もちもちうさぎ・f06633)は熱砂の砂浜を踏み出した。目指すは海の家だ。
「名探偵とは推理だけに非ず。秘密を探りだすための交渉術も必須なのです」
プロっぽいことを呟く。なんせ彼女は事務所を構え普段から探偵業を営む、文字の通りのプロである。油断なく回りに目を配りながらカウンター席に進み――
「失礼。メニューのここからそこまでください」
「はッ?」
いや注文するんかーい。問い返すような店主の声に「ここから、そこまで、ください」と繰り返す。マジかこのうさぎ。指し示した範囲はメニューの七割くらいを網羅する範囲だ。マジかこのうさぎ。
「お、お嬢ちゃん、ここからここまでの間違いじゃないんだよな?」
メニューの列の間違いでは。店主は訝しんだ。
「焼きそばからイカ焼きまでです」
マジだこのうさぎ。目がマジだった。
海の家の店主は叩きつけられた一万円札にクラクラしながらパックの焼きそばや作り置きのタコ焼き、イカ焼きをトレーに次々と乗せる。ゆでおきのラーメンの麺を軽く温め直してレトルトのスープに放り込むなど、いかにも調理手順を簡便化した海の家メシがトレーの上にうずたかく積もる。
「ありがとうございます」
「ま、毎度どうも……」
十慈子はトレーを受け取るなり、海の見える席に陣取って、割り箸をくわえてパキンと割る。
ゴムめいた食感の焼きそば。対照的にゆるゆるソフトに伸びきったラーメン。味の薄いイカ焼きにタコの足りないタコ焼き、衣からクリスピーさの失せた唐揚げにレトルト待ったなしのカレー、脂でテッカテカしてケチャップを弾くフランクフルト……
ケチを付け出せばいくらでも付くそんな品々。だが、夏の海というスパイスがそれらの短所を七難隠す。
「海を見ながら食べると――不思議ととても美味しく感じますね」
ふわ、と思わず頬が綻ぶ。
寄せて返す夏の海を見ながら食べる焼きそばの、紅ショウガの香りが爽やかに鼻を抜けた。
やはり夏の海はいい――十慈子は、めくるめく海の家グルメの世界に没頭していく。
わくわく満開ビーチ ~孤独のグルメ~
完。
「あっやっべナンパ忘れてた」
完じゃねえよ!! 作戦完全にそっちのけで飯食ってたろこの迷探偵!!
ちゅるり、と焼きそばを啜り終え、他のメニューも平らげると十慈子は席を立つ。再び店内を視線走査。一人で食事をしている男性に目を付け、ロックオン! 弾む足取りで彼の横に歩み寄り、
「こんにちはぁ。お一人ですかぁ?」
ちょっと鼻に掛かった声で聞く。そのナイスバディと相俟ってあざとい、あざといぞ望月十慈子。
「あ、ああ、一人だけど――」
「よかったぁ! じゃあ、ご飯一緒にどうですかぁ? 誰かと一緒に食べると美味しいですし!」
「いいけど――あ、じゃあ、ここ座りなよ」
男が隣の席を示すなり、にこにこしながら十慈子はその席に滑り込んで、「すみません」と店員を呼び止めた。
「じゃあメニューのここからそこまで、二人前で」
どんだけ食うんだよオメーはよ
!!!!!
そのあと、彼女の食うペースに付いていけなくなった男を物陰に連れて行ったり、その要領で何人も食い倒れさせながら、十慈子は食事を続けるのだった。その栄養どこに行ってんだ。胸なのか。また胸の話かよ。そうだよ
!!!!!!!
大成功
🔵🔵🔵
真守・有栖
◎がたくさん
其処の貴方。
えぇ、貴方よ!やっっっとつかま……見つけたわっ
突然だけど、私と一緒に世界を救って欲しいの!
わぅう……っ…ご、ごめんなさい!狼たる者、名乗りもせずっ
私は有栖。狼のありす、よ!
え?ありすな水着がきゅーとでせくしーでめるへんでうるふで似合ってる、ですって?えぇ、そうでしょう……!って、
わほん!
えぇ、大変の一大事で大惨事なのよ!?
(すっと手作りのちらし)
ありすでうるふなわんだーらんど。
その名もありす・ざ・うぉーたーわーるど!
わくわくでわふわふなばーちゃるなせかいがとっっってもぴんちでぴんちのぴんちなの!!!
これは是非とも一緒に世界を救わねばいけないわよね!?さぁ、いきましょうっ
●真夏のワンダーランドにご招待!
燦々と太陽の照る浜辺の隅っこ。美女と飢えた若い狼たちがワイワイと行き交う、そこはまさに夏恋交差点……。いまだ番を見つけられずに、肩を落として歩く男の背を、不意に澄んだ声が撫でた。
「――ねえ」
「……ん?」
「其処の貴方」
「……オレ?」
男は背を振り向く。呼びかけに応えると、そこには――
「えぇ、貴方よっ!! やっっっとつかま……いいえ、見つけたわっ!!」
銀髪の少女がいた。
「捕ま……?」
「聞き違いよっ!!!」
銀髪の少女、圧倒的断言。どういうわけだか圧がメチャクチャに高い。ずい、と一歩歩み寄りながら「聞き違いよ」ともう一回言った。大事なことなので。
男は仰け反りながら少女を矯めつ眇めつと見た。
紫水晶の瞳、狼のようにぴんと立った獣耳。整った顔に自信満々の笑みを浮かべた年頃の少女だ。リボンを編み込んだお下げをサイドに配したロングヘア。オフショルダーの、エプロンドレスめいたデザインの水着に身を包んでいる。不思議の国のアリスのオマージュだろうか。デタッチャブルカラーやガーターリング、水着のボトム、エプロン部分のエンドにもフリルが配され、可愛らしい印象を与えるコーディネートだったが、露わな肩から暴力的なサイズのバストへのラインが否応なしに目を惹いた。
……決して露出度の高い水着ではない。それどころか隠れた面積の方が多いというのに、エプロン部分の陰に覗く腰のライン、そしてたわわな北半球が、布の下から圧倒的な存在感で訴えかけてくる。
それが、その彼女が、目を強い意志の光に輝かせながら――男に訴えるように言うのである。
「突然だけど、私と一緒に世界を救って欲しいの!」
「なにて?」
男の思考回路が限界を超えた瞬間であった。なにて?
あまりにポカンとした男の様子に気付いたか、少女はまたやってしまった、とばかり耳をぺしょりと伏せさせ唸る。
「わぅう……っ、ご、ごめんなさい!狼たる者、名乗りもせずっ。私は真守・有栖。狼のありす、よ!」
いやそういうことじゃねえんだけどなあ、みたいな男の視線に気付いてか気付かずにか。名乗る少女は真守・有栖(月喰の巫女・f15177)。名乗ったので説明義務は果たしたとばかり、有栖は再び身を乗り出す。男、仰け反る。
「大変の一大事で大惨事なのよ!! このままだと大変なことになってしまうわ! 貴方の力が必要なの!」
ずい、と有栖が突き出すのはお手製のちらし。
勢いに負けて男が受け取ると、そこには味わい深い筆致の絵で宣伝が記されていた。
『ありすでうるふなわんだーらんど。
その名もありす・ざ・うぉーたーわーるど!
へいわでたのしいわくわくわふわふばーちゃるなせかいが、いきなりやってきたにんじゃたちにおそわれて、ぜったいぜつめい!
とっっってもぴんちでぴんちのぴんちなの!!!
おねがい、そこのあなた! わたしといっしょに、うぉーたーわーるどのへいわをまもって!』
「という訳なのよ!」
「なるほど、ミリも分かんねぇ」
「切れ味高すぎる返答だわっ?! ど、どのあたりがわからないのかしら!」
「その水着が可愛いって事くらいしかわかんないかな……」
男の素直な感想。多分大多数の男が頷く意見だ。
「え? ありすな水着がきゅーとでせくしーでめるへんでうるふで似合ってる、ですって? えぇ、そうでしょうそうでしょうそうでしょう! ふふふ、この賢狼にして玲狼にして俊狼の私をもっと褒めてくれてもいいのよ!」
いやそこまで言ってねえ、とは男は口にしなかった。胸を張ってるのがあんまりにも可愛かったのと、その張った胸が大迫力の連峰だったので。
「今ならウォーターワールドを救う為の冒険を二人で出来るのよ! これは是非とも一緒に世界を救わねばいけないわよね!? さぁ、いきましょうっ!」
いやもう、勢いがすげえな。男は仰け反ったまま思った。
でもまあ、こんなに可愛い少女と一緒に冒険、というのは確かに胸の躍る響きだ。ちらしに依ればVRのゲームらしいし――一つ、乗ってみるのも悪くないか、と思う。
「OK、分かった分かった。ついていくよ。……だからとりあえず」
「わふぅ?」
「……ちょっと下がってもらっていいかな」
身を乗り出しての無防備な上目遣いと輝くたわわの北半球。よこしまな目をしまうのに苦労しながら、男は頬を掻いて何とか絞り出すのだった。
そのあと慌てて身を引いた有栖が転びかけたり色々ハプニングがあったりしたのは――まぁ、余談であろう。
……しかしわふわふばーちゃるな世界って、どんなんなんだろうな。
大成功
🔵🔵🔵
赫・絲
◎・2
逆ナンねー
自分からはしたコトないけど……ま、なんとかなるでしょー
海辺を眺めて【情報収集】
落としやすそうな人狙っていくよー
過去にナンパされた時のことを思い出しつつ、それをちょっと応用してみよっかな
あれー?久しぶりじゃん!
下忍が声をかけてる人の腕を取りながら、間に割り込むように
こっちに気を引けたら、きょとんとして慌てたそぶり
あっ!ごめんなさい、人違いだったみたい……
ぱちりと手を合わせて上目遣い
視線が向いて欲しいとこに向いたらこっちのもの
ねえおにーさん、お詫びにちょっと私と遊ばない?
1人で来ることになっちゃって寂しかったんだよねー
ね、ダメかな
【コミュ力】を活かして人懐っこく見えるようにするよー
●スウィート・スウィート・ラッピング
「逆ナンねー。自分からはしたコトないけど……ま、なんとかなるでしょー」
お気楽な調子で呟くのは赫・絲(赤い糸・f00433)。軽い物腰と相俟って些か真剣味に欠けるように見えるが、実際の所、絲は街でナンパされる事海千山千の猛者である。培ったコミュ力も並ならぬ。人でごった返す海辺を見る眼は飄々としつつも鋭く、狙い目の男を逃さぬようにと情報収集に余念がない。
(こういうときは……普段ナンパしてくるタイプを思い出して、似たようなタイプを攻めていけばいーかな)
過去に自分をナンパしてきた男達を思い出す。皆一様に遊び慣れていそうで、決まって背がそれなりに高く、容姿に自信があるらしい。物腰は明るく、押しが強い。装飾品を多数身につけている。身なりに(自分なりに)気を遣っているので、装身具や衣服は高価なものである事が多い――といったところだろう。
男が女を誘うのは、自発的に誘ってでも近づきたいからだ。
そこに仕掛ける。飢えている男達の事だ、モデル級の恵まれたスタイルと美しい面差しをした美少女――絲に言い寄られれば、悪い気などするわけがない。進んで飛びつく事だろう。
(知ってる知ってる)
絲は自分の美しさを知っている。そういう少女だ。
――それに加え、今回は敵を邪魔する、というミッションもある。フリーな男達を捕まえる他、風魔衆からシェアを奪い取る行動も取らねばならない。言うならば魅力と魅力の力比べだ。
(上等じゃない)
望むところだとばかり絲は薄く笑うと、浜辺の片隅で誘う風魔衆と、それにやや乗り気で応じる軽そうな男の組を見つけ、小走りに距離を詰める。
「あれー? 久しぶりじゃん! 卒業式以来だよねー!」
空気を読まぬ大声。読めないのではない。読まないのだ。風魔衆の話を聞く男の耳を、強制的に自分に引き寄せる。
「なっ」
「お? えっ?」
声を上げる風魔衆を完全スルー。
目を瞬いて首を傾げる男の腕を取り、絲は切り込むように続けた。
「海来るんなら教えてくれたら良かったのにー」
「え、えーーっと……」
男は目を白黒させる。それも当然だろう。突如現れた、全然知らない超美少女が自分の腕を抱きしめている。一種男の夢みたいな状況である。絲が纏うのは赤と白のストライプ・リボンめいた水着。まるでプレゼントをモチーフとしたような大きなリボン様のビキニが、『ほどいてご覧』と挑発するかのようだ。
左腿のガーターリングも同じ柄で揃え、右脚には星のヘナタトゥ。トレードマークの編み込みリボンは今日は髪を束ねるアクセントに用いてヘアアレンジ。
そして何より、柔らかな丸みを帯びながらも無駄なく研ぎ澄まされた美しいボディライン。白い膚。眩しすぎる。
「え、えっと、キミ、誰かと間違ってない……?」
魅了されたようにしばらくぼうっとしていた男の指摘。それに合わせるように絲は伸び上がって相手の顔を覗き込み――はた、と気付いた風に目を丸くしてみせる。
「あっ! ごめんなさい、人違いだったみたい……お兄さん、知り合いにちょっと似てて」
ぱちりと手を合わせて上目遣いをキメる。手を合わせる音に惹かれるように男の視線が落ちれば、行き着く先は魅惑の谷間。男の視線がそこに惹かれたのを確認するや否や、絲は首を傾げながら、下から男の顔を覗き込んだ。
「……ねえおにーさん、お詫びって言っちゃなんだけど、ちょっと私と遊ばない? これも何かの縁だしさ」
ぐい、とそのまま男の腕を引く絲。風魔衆など既にアウトオブ眼中。
「一人で来ることになっちゃって寂しかったんだよねー。ね、ダメかな……?」
「あ、えーと、でも――」
風魔衆の方を見ようとした男の腕を、絲が自分のたわわにギュッ。
「おねがい!」
「喜んでぇっ!!」
「んなっ……」
顎が外れそうなばかりにぱかーんと口を開く風魔衆を尻目に、絲は男の腕を掴んだまま岩場の方へステップ。並んで歩いて行く途中でくるりと風魔衆を肩越しに一瞥、べ、と赤い舌を出してみせた。
残念。恋とナンパは落とした方の勝ちなのだ。絲はそのまま、弾むような足取りで男と共に歩いていく。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『風魔衆・下忍』
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POW : クナイスコール
【ホーミングクナイ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【クナイ手裏剣の連射】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : サイバーアイ演算術
【バイザーで読み取った行動予測演算によって】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 居合抜き
【忍者刀】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●わくわく満開ビーチ ~ホット・リローデッド~
何人も先回りで奪い取られ、挙げ句の果てに歓談中に強引なドリブルで男達を掻っ攫われ続け、風魔衆らの我慢は遂に限界に達した。怒り心頭である。
正に鳶に油揚を掠われ続けて幾度かと、数えるのも面倒になった頃合いで、一人の風魔衆がいよいよ我慢できんとばかりにシャッ、と苦無を抜く。
「……こ、の、猪口才なァッ
……!!! 者共!! もう構わぬ、猟兵を血祭りに上げて仕切り直すぞ!!」
変装した姿のままの抜刀だ。故、周囲の男達もそれほど奇矯とも思わなんだか、美女の時代がかった口上になんだなんだと足を止めて集まる。
「遂に本性表したってワケね。魅力で勝てなくなったら実力行使ってめっちゃダサいわよ、それ」
「喧しいわ!! 斯くなる上は貴様ら、一人残らず寸刻みにして魚の餌にしてくれるッ!!」
風魔衆は完全に戦闘態勢に入った! 対する猟兵らは浜辺の一般人を守りながらの戦いを強いられるが――
「ようやくおれたちの出番が来たって訳だな。――さて、そんじゃ、一体残らずぶちのめして、浜辺に平和を取り戻すとしますか!」
浜辺の喧噪に紛れていた男性猟兵らも戦列に加わる! これならば、一般人の被害を抑えながらの戦闘も困難ではあるまい。
――真夏の浜辺のバカ騒ぎも、ここで終わりだ!
敵、『風魔衆』下忍、多数! 戦闘開始!
グッドラック、イェーガー!
≫≫≫≫≫MISSION UPDATED.≪≪≪≪≪
【Summary】
◆作戦達成目標
風魔衆・下忍の撃破
◆敵対象
風魔衆・下忍×多数
◆敵詳細
肉体改造を含む多数の修行を積んだ最新鋭の忍者。
とはいえ、下忍と銘打たれているとおり単体での戦闘能力はそこまで高くない。
群れを成すと脅威になるため、チームワークを阻害しながら戦う事が肝要だろう。
迂闊な事をしなければポロリとかはない……はずだ!
◆戦場詳細
逆ナンの舞台となったわくわく満開ビーチ。
いまだ海水浴客が大量におり、彼らを避難させるか、守りながらの戦いを強いられる。
とはいえ風魔衆は完全に殺る気(主に女性猟兵を)なので、一般人を狙って攻撃行動を取る事は無さそうだ。女性猟兵が戦場を人気のない方に移すなどの誘導は、十分に可能であると見られる。
◆補遺
難易度は緩いです。水着を見せたい男子も、腹筋を見せたいメンズも、まだ参加してなかったそこのホットガールも纏めて歓迎しております。カッコよくシメようぜ、夏。
◆プレイング受付開始日時
2019/08/01 21:00:00
◆プレイング受付終了日時
2019/08/03 23:59:59
ムルヘルベル・アーキロギア
なぜだ……なぜだかわからぬが、ワガハイはこの仕事に参戦せねばならぬ気がする……
猟兵の責務……いや違う、ワガハイがいないと何か血みどろの大惨劇が起きそうな予感……予知……アアアアアーッ!!(わけもわからず震える賢者)
そんなわけでおっとり刀で転移されてきたワガハイ、水着などないのに海水浴など来てもなあと思っておったらアイエエエニンジャ!? ニンジャナンデ!?
あっそういえば説明されておったな! なんと状況にそぐわぬオブリビオンであることか!
ここは【T.T.Y.F】で、後方から猟兵たちを援護するとしよう!
フハハハハ、我が叡智ここにあり! あの怪力エルフ娘がいない今こそワガハイ本来のキャラを発揮する時!
●叡智の虹、砂浜を彩る
いざ尋常に勝負とばかり、渚の美女らが苦無を抜き、俄に緊張感に溢れるわくわく満開ビーチに、ひゅーんとゲートが開いてまた一人、少年猟兵が転送されてくる。
――彼は謎の焦燥感に駆られていた。なぜだかは分からない。しかし己が行かねば何か致命的な……取り返しの付かぬ惨事が起きるような……そんな気がしたのだ。
そう、それは猟兵の責務、全ての過去を狩り尽くすべしという崇高な使命に基づくものではなく。はたまた、グリモア猟兵としての予知・予測能力に従ってのものでもなく――
強いて言うなら、彼はきっと、虫の報せに突き動かされたのだ。
「チミドロ・フェス……胃が圧縮されて死……す、救わなくては、防がなくてはならぬ……そんな真夏の大惨事が起きるなどと……予測できるのはワガハイだけッ……ワガハイが……ワガハイが……アアアアアーッ!!」
大丈夫か。今度は予知までしたかもしれない。真夏のビーチが血に染まる予知を。
ぷるぷる震えながら地面に着地したのは我らが永遠の少年、ムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)である。
実のところ賢者、今年は水着を用立てていないので、何もなければ海に来る用事なども無かったのだが閑話休題、そこに防がねばならぬ惨劇があるとなれば過去を断ちに来るは吝かではない。
さて今回の相手は、
「イヤーッ!!」
クナイ・ダートの投擲!! 嵐めいてその数、十数!
「アイエエエニンジャ!? ニンジャナンデ!?」
ムルヘルベルはクナイ・ダートを三連続側転回避! 夏の海、紐みたいな水着、そして……ニンジャ!
なにかキメたとしか思えないロケーションと事物の羅列だが、全てニンジャ真実である!!!
「チイーッ!! すばしこいネズミめ!」
「誰がネズミであるか!! ……そういえば説明されておったな、風魔衆とやら! 真夏の太陽の下に忍とは、なんと状況にそぐわぬオブリビオンであることか!!」
「ぐうっ、言ってくれる!」
ド直球な指摘である。ムルヘルベルの言も宜なるかな、風魔衆は揃いも揃って肌色丸出しで紐みたいな水着着用であり、まったくもって忍ぶ気のないありさまだ。痛いところを衝かれたとばかり顔をしかめる風魔衆だが、黙っているばかりでもない。
「しかし貴様のように真夏の砂浜にマフラーぐるぐる巻きで降り立った猟兵に言われたくはないわ!!」
「ぬぐっ! い、意外と真っ当な指摘を……!」
ニンジャの返しに一瞬言に詰まる賢者であったが、しかし慌てず騒がずユーベルコードを起動。何も口喧嘩で勝ちに来たわけではない。
「場にそぐうそぐわぬの話よりも我々にはすべきことがあろう。オヌシらは人々を拐かしに、ワガハイらはそんなオヌシらを倒しにきた。ならば相争うのみが定めよ!」
きゅいいいいん、と音。賢者の五指に集中する魔力が高まり、空気を軋らせる。
「我が魔閃の輝きを見よ、ニンジャ共よ! オヌシらが如何に潜もうとも、我が光輝で全てを暴き貫いて見せよう!」
「舐めるな猟兵ッ! イヤーッ!!」
再びクナイ・ダートの嵐が吹き荒れる! ムルヘルベルはバックステップから身を翻しジャンプバックフリップ、右手を打ち振るように振る。
「フハハハハハ!! 我が叡智ここにあり!!」
広げた五指からプリズムの光。ユーベルコード『T.T.Y.F』! 指先に集った虹色の魔力光が、術式により変更・収束、魔力光線として連射される! 放たれた光線はクナイ・ダートを打ち砕きながら風魔衆の身体を貫き通す!
「グワーッ!?!」
「今だ! 往け、猟兵達よ! ワガハイが、この叡智の虹にてオヌシらを照らそうぞ!」
ムルヘルベルは地に降り立ちつつ、広げた十指より極彩色の魔力光線を連射し、多数の風魔衆を猛撃する! それに突き動かされるように、格闘戦を行う猟兵達が前線に飛び込んでいく――!
(あの怪力エルフ娘がいない今こそワガハイ本来のキャラを発揮する時よ――!)
どこかで『ムーくん!』と彼を呼ぶ声が聞こえた気がする。ムルヘルベルは気のせいだと思う事にした。またちょっと震えた。
大成功
🔵🔵🔵
伊美砂・アクアノート
【SPD 羅漢銭・須臾打】
―――いやはや、ようやくバトルというワケだね!
やー、しかしキミ達、女忍者の割には色仕掛けが下手なのではないかね?
この真夏のめくるめくアバンチュールに、ナウなヤングの一人二人も
捕まえられないなんて…
あ、もしかして修行の日々で青春のドキドキとか未経験なのかしら―?
【コミュ力7】で敵ニンジャを煽りつつ、【地形の利用5】で物陰に誘引
武器とかあんまり振り回すと目立つだろうし、基本的に手持ち武器の
暗器で戦うよっ!
【早業18、暗殺11、投擲10】でコインを投げつけ射撃
びっくり仰天隠し武器なら、ニンジャにだって負けないかんね!
あ、服装は海の家のおねーさんみたいな格好で向かうよっ!
●黄泉路送りに六文銭
「やあやあ、待ちくたびれたよ! いやはや、ようやくバトルというワケだね!」
ムルヘルベルが戦端を切り開き、方々でドッカンドッカンいいだした砂浜。
熱砂をザッ、とビーサンで蹴立てて進み出るのは伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)だ。彼女の装いはといえば、水着ではなく――海の家で直前まで働いていました、といわんばかりの法被とTシャツにハーフパンツといったラフな装いだ。
「やー、しかしキミ達、女忍者の割には色仕掛けが下手なのではないかね?」
男性的な口調でんん? と首を傾げながらの問いかけ。
「「「何おうっ
!?」」」
色めき立つ数名の風魔衆。それにも構わず伊美砂は軽い調子で続ける。今度はきゃらっとした女性的な口調だ。
「この真夏のめくるめくアバンチュールに、ナウなヤングの一人二人も捕まえられないなんて……あ、もしかして修行の日々で青春のドキドキとか未経験なのかしら?」
「せ、せ、青春のドキドキくらい体験済みだっ!!! 色仕掛けのイロハも全て習得済みよ!!」
「貴様ら猟兵が邪魔をしなければ今頃浜は我らの世界だったというのに……!」
「猟兵の所為にしちゃあいけないね。それに――その言い振りだと、猟兵に魅力で負けた事を認めるようなものだと思うよ?」
口調が定まらずゆらゆらと変動する、伊美砂の独特の語り口調。彼女は多重人格者だ。複数の人格が主導権を取った順に発話するので、このような語り口になる。
「ぐううっ……! 黙れ!!」
「ムキになるのは図星の証拠、ねぇ」
伊美砂は煽るような言葉を次々投げかけながら、地面を蹴って岩場の方へ走り出す。次々と投げ放たれる苦無を分銅鎖を回転させ叩き落としながら、岩陰に滑り込む。
「者ども、囲んで確実に討ち取れ!」
岩を飛び越え、または回り込み、次々と殺到する風魔衆。伊美砂はチラリと振り向き、その位置座標を頭に叩き込んで、左手を払うように打ち振りながら向き直る。
陽光に、煌めく七の羅漢銭……!
「うっ?!」
「づっ、ああ!」
「きゃあっ!?」
次々とコインが風魔衆の手を、胸を撃ち抜き、血の飛沫を散らす。風魔衆の手から苦無が零れ落ち、次々とその身体が地に落ちてドサリと音を立てた。
伊美砂が放ったのは『羅漢銭・須臾打』! その射出までのタイムラグは限りなくゼロに等しい、四十六分の一秒! 銃の達人のクイック・ドロウに匹敵する高速の抜き打ち銭投げである!
ぱっと見完全に浮かれた海の家店員にしか見えない伊美砂であるが、その実体は第一線級の猟兵である!
「びっくり仰天隠し武器なら、ニンジャにだって負けないかんね!」
「こ、小癪なッ……!」
立ち上がって再び苦無を構えようとする風魔衆らだが、既に伊美砂は向き直って攻撃態勢に入っている。浜からはこの岩陰の様子はよく見えまい。ならば、武器を大っぴらに使っても目立つ事はない!
ジャッ、と伊美砂の右袖から飛び出すタクティカル・マチェット。三十センチばかりの刃渡りのある鉈。エッジは蛤刃となっており、刃持ちは抜群だ。ぱしりと右手で受け止めクルクルと指の股でグリップをロールしてキャッチ。左手はフリーにし、羅漢銭を常に放てるよう備え、伊美砂は輝くようなウインクを一つ。
「さ、それじゃあ掃除を始めようか。安心して遊べる夏の海のためにもね!」
――同時に、疾駆! 体勢を立て直す最中の風魔衆目掛け、伊美砂は羅漢銭を連射しつつ打ちかかる!
「舐めるな、猟兵――ッ!」
応ずる風魔衆もまた抜刀して応戦! 夏の海、余人の知らぬ岩陰にて、剣乱豪華な殺陣が繰り広げられる!
大成功
🔵🔵🔵
セラータ・ファルチェ
◎
『こういうの、アルもいた方が動きやすいんだが…仕方ない。
ほら、そんなところにいるとお前達も巻き込まれるぞ、さっさと逃げておけ。』
盾の騎士として、一般人を巻き込むことは許さない
なけなしのコミュ力で周囲の海水浴客へ避難を促してから戦闘開始
『本性表したら随分と…。
五月蠅い。叫ぶな、そんなに騒がなくても聞こえている!』
とりあえずは“スナイパー”による“マヒ・気絶攻撃”で敵を攻撃
敵が固まっている場所には“範囲攻撃”となる着弾すると爆発するタイプの弾を撃ち込む
『五月蠅いのも暑いのもお断りだ…Arrivederci』
間合いを詰めてきた敵の攻撃は“武器受け、野生の勘”で回避。
“零距離射撃”で終止符を撃つ
●その盾は決して貫けない
「こういうのはアルもいた方が動きやすいんだが……仕方ないな」
男――セラータ・ファルチェ(蒼蒼の盾・f03368)は猟兵が全力を振るいだした砂浜の片隅で嘆息する。
アル――アルバ・ファルチェとは、彼の双子の弟だ。一卵性故にその姿は非常に似通っているが、物腰はセラータとは正反対。コミュニケーション能力に長け、女性を口説いたりもワケなく行う彼がいたならきっとこの場もより楽に切り抜けられたろうが――今、彼はこの場にはいない。双子とて四六時中共に在れる訳ではないのだ。
セラータは、既に先行したムルヘルベルや伊美砂の戦闘の隙を見て、十秒間の思考集中を済ませている。
「小癪な猟兵共め! 苦無の雨を受けるがいい!!」
風魔衆が周囲に無差別に苦無を撒き散らす。当然のように猟兵達は各々それを回避するが、一般人はそうも行くまい。
巻き込まれそうな一般人を見るや否や、セラータは右手を閃かせた。一般人のギャラリーがいる方向へ立ち塞がるように駆けながら、振り上げた右手を、撒き散らされる苦無に向ける。
その手にあるのは黒銀の銃、『Zanne d'argento nere』。
BLAM!!! 号砲めいてセラータの銃が火を噴く!
「うおっ!?」
「な、何だ、今の?!」
夏空の下でもはっきりと見える火花と共に空中で弾け散る苦無。銃を構えたセラータが、ギャラリーを守るように立ち塞がる。
「そら、そんなところにいるとお前達も巻き込まれるぞ。これは見世物でも何でもない。さっさと逃げておけ」
「さ、撮影とかじゃねえのかよっ!?」
「やべぇ、逃げろ!」
呆けたようにセラータを見ていた観衆が我先にと逃げ出すのを肩越しに見ながら、セラータは内心で頷く。これでいい。
盾の騎士として――無辜の民が傷つくのだけは、決して看過し得ぬことだ。
「一般人に手出しはさせない。本性を現したな、外道共」
「味なマネをする!」
「者ども、苦無を持て! 彼奴を生かして帰すな!」
「ああ――五月蠅い、五月蠅い。吼えるな、そんなに騒がなくても聞こえている!」
今一度四方から放たれる苦無の嵐。
セラータは降り注ぐ苦無を掻い潜り、左手に抜いたバスタードソードで弾き散らしつつ、右手の銃を連射する。抜刀して弾こうとした風魔衆らが、まさに銃弾を弾こうとした刹那、銃弾が爆炎を散らして爆ぜた。
「ぐあっ
……!?」
「この弾丸、爆ぜッ
……?!」
セラータが放ったのは範囲攻撃用の爆炎の銃弾。叩き落とそうとすれば爆ぜて敵を害する種の弾丸である。爆炎弾は数体を同時に巻き込み、その脚を一瞬だけ止める。
それこそがセラータの狙いだ。間近での閃光と爆炎に視界を奪われよろめくオブリビオンらの隙を逃さず、セラータは立て続けに放つ銃弾で撃ち倒していく!
「クッ、小技ばかりを使う! これならばどうだッ!」
風魔衆の一人がギラリと眼を光らせ、走るセラータの軌道を予測しスプリント。セラータの放つ銃弾を掻い潜りながらの接近!
「殺ったッ!」
忍者刀を逆手抜刀、首狙いの居合一閃――! しかし!
「五月蠅いのも、暑いのもお断りだ。お引き取り願おうか」
セラータの野生の勘が、冴える技能がその上を行った。身を屈めながらの、バスタードソードによる流し受け。火花を散らし忍者刀を受け流す。敵の攻撃の下を掻い潜って、風魔衆の顔面に黒銀の銃を突きつける。
――零距離。敵が目を見開く。
「おの、れえええっ!」
「Arrivederci」
さよならだ、とセラータが言い放つなり、終止符を打つ如く銃声が鳴り響いた。
風魔衆の顔面を銃弾が貫いた。纏う虚飾の変装もろとも、風魔衆は塵屑となって大気に散る――!
大成功
🔵🔵🔵
鵜飼・章
◎
夏の海は生ゴミが食べ放題だなあ
鴉達すごく喜んでる…良かったね
お陰でいつの間にか周りに人がいない
過程より結果が大事だよね
あれ、まだ誰かいる
逆ナンですか?
僕好みのタイプはカブトムシだから…
ああ風魔忍の人か
じゃあ戦闘しよう
相手も飛び道具使いみたいだし
ポーチに忍ばせた拷問具の針を投げて
クナイを射ち落とす
驚く間も与えず急所を貫いて掃除していこう
最後の一人は浜辺に組み敷いて
額に拳銃を押し付けてみる
ばーん
なんてね、これは水鉄砲
びっくりした?
僕の予想だけどきみって所謂
『男運が悪いひと』?
最後にまた駄目なカードをひいちゃったね
締めは【悪魔の証明】で
虫だったら可愛がってあげられたのにな
それじゃ
来世までさようなら
●その在り方は虫に似た合理性をしていた。
「うーん。夏の海は生ゴミが食べ放題だなあ」
黒い瞳の鴉たちが浜辺に打ち棄てられた焼きそばのパックやら、たこ焼きのパックやらを啄む。逃げ出した一般人達が放り出していったものや、マナーがいまいちな人々の廃棄物、その内訳は様々であったが、鴉たちにとっては関係ない様子であった。うめえクワー。
「すごく喜んでる……良かったねえ」
戦場と化した海岸線を鴉を引き連れて歩くのは鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)。彼が生ゴミを暴食する鴉らを引き連れているためなのか、はたまた戦闘の危険を訴えた猟兵がいたためか、周囲はいつの間にやら閑古鳥。わくわく満開ビーチはどこへやら、今やしおしお閑散ビーチの有り様だ。
「過程より結果が大事だよね、うん」
そのマイペースさは特筆すべきかも知れなかった。
「我らの策を悉く台無しにしてくれる、忌まわしき猟兵共め
……!!」
そんな章の前に数名の、胸がバーンでウエストがキュッで尻がドーンでほぼ紐だけみたいな水着を着た美女らが躍り出る。敵意満々の彼女ら――事前の説明によれば『風魔衆・下忍』に、章は事も無げに応えた。
「あれ、まだ誰かいたの。逆ナンですか?」
「痴れ言を!! それは貴様ら猟兵を狩り尽くしたあとのことよ!」
「ごめん、僕好みのタイプはカブトムシだからちょっと無理かな」
「はっ?」
問一……細身で均整のとれた身体を水色のラッシュガードとガンベルト、黒のスイムパンツで包んだ、切れ長の目のイケメンに、出会い頭にカブトムシ以下判定されて、(まあ元々ナンパしたわけでもないが)誘う前に完全敗北した年頃の女子の心境を答えよ。
「あ、あんまりよおおぉぉ!!」
かわいそうな風魔衆。ちょっと涙目だ。
でもしょうがない。カブトムシって男子の夢だからね、永遠にね。
「お、おのれ猟兵ッ!! 精神攻撃とは小癪な!」
「我ら風魔衆の苦無術、その身でとくと味わうがいい!!」
「ああ、なんだ、風魔忍の人か。じゃあ戦闘しようね」
どこまでもマイペースな章に、風魔衆が散開して襲いかかる! 雨霰と投げ放たれる苦無を掻い潜りながら、章はポーチから『針』を抜き出す。
――それは少年の日の思い出。その針は、果たして何に使うものか。見るものが見れば分かるだろう。
展翅針だ。標本にするために虫に打つ針。しゃり、と擦り合わせた針が、扇大にぎゃらん、と膨れた。
「なッ――」
それに目を奪われた風魔衆が最初の標的となった。その展翅針は最早、『人を留めるのに相応しいサイズ』と言っていい。手挟んだ針で苦無を弾きながら、章は腕を振り抜き、身のひねりと併せて針を投擲した。空を斬り裂く針が、陽光を浴びて、まるで一条の光線の如く飛び、
「っあ
"……、」
一人の風魔衆の胸の中心を貫き通す。そこからは瞬く間だ。
頽れる女がカバーしていた範囲にはもはや苦無は飛ばぬ。そこに身を滑り込ませ、章は展翅針をただ、淡々と、続けざまに敵三名の急所に撃ち込んだ。――痛みすらない。舞う風魔衆は、まるで蝶が板に留められたように、次々と貫かれて死んでいく。
「っ、貴様……ッ!」
章に襲いかかった風魔衆は五名いた。しかし、瞬く間に残るは一名。一瞬での形勢逆転に声を詰めつつも、忍者刀を逆手持ちに駆け寄せる、最後の一人。
針を投げ尽くした章が飛び退く。同時に、彼の背後から黒い風が吹いた。
「!?」
黒い風――? 否、それは鴉らであった。けたたましい鳴き声と羽音、羽がかすめるような近距離での羽撃き。怯んだ風魔の忍が蹈鞴を踏んだときには、既に章が飛びかかっている。首に喉輪を叩き込み、そのまま組み伏せて額に銃を押しつける。
「ばーん」
緊張感のない声とともに引き金が引かれ――
「ッ……!」
身を縮める女の顔に、びしゃり、と水が注いだ。
「は――?」
「なんてね、これは水鉄砲だよ。びっくりした?」
――生と死の狭間で戦っていながら、それを洒落にするようなことをして。事も無げに冗句と虚言を重ねる男が――理解出来ない、と、風魔衆の目に明らかな恐れが浮く。
章は肩を竦めた。
「僕の予想だけどきみって所謂、『男運が悪いひと』かな――最後にまた駄目なカードをひいちゃったね」
自嘲の台詞かに聞こえるが、言う章の声は涼しいものだ。
彼は飛び退き、指を鳴らした。――舞い上がった黒き群れが、戦意を挫かれた風魔衆の弔風となる。
「あ、あああああアアアッ――!?」
群がる鴉が、藻掻く女を啄み、引き裂き、食らった。血が飛沫いて、暴れる女の動きが鈍っていき、やがて止まる。その光景を見てなお、章の声はまるで昂ぶることなく静かだった。
「きみが虫だったら可愛がってあげられたのにな。――それじゃ、来世までさようなら」
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
◎
あ、逆ナン終わった?(海の家でラーメン20杯食ってた端役)
そんじゃー仕事しますかねぇ…
一般人はひとまずセーフ、狙われるのは女の猟兵か…オーケーオーケー
なら、俺がターゲットを引いてやろう
別にフェミニストでも何でもねえけど…柔肌に傷が付くのは、あんまり見たくもないしな
UC、起動
強烈なヘイト、機動力強化…増強パルス、準備完了だ
俺とダンスを踊ってくれ──死ぬまでな
【挑発】【おびき寄せ】を併用しながら【ダッシュ】【ジャンプ】【フェイント】【早業】【見切り】で高速機動、ヘイトを買いつつターゲットを集中させる
治癒と強化のパルスを振りまいて、支援も忘れない
じゃ、後は気持ちよくぶちのめしてくれよ?主役ども。
●コールド・プレイ
過激な戦闘音は高鳴りを増し、海の家を揺らすほどの余波を伴い出す。――そんな中、もぬけの殻になった海の家で、一つきり、麺を啜る音が響いていた。
ズッ……ズルル、ズズズッ、ごびごびごび。ぷへー。
「そ、そこのキミ!! 早く避難したまえ!」
ズズッ。
「ラーメン食ってる場合じゃないぞ! 向こうで巨乳美女が刃物振り回して、それを止めるために何人もが武器を」
ズ……
パチン。
箸を揃えて丼に置き、声をかけられた少年が立ち上がった。年の頃は十七・八といったところ。サングラスにクロークめいたパーカーを羽織った、細身だが良く鍛えられた体つきの少年だ。パーカーの前から、はっきりと割れて浮き出た腹筋が覗く。
「逆ナン終わりか。オーケーオーケー。そんじゃ一仕事しますかねぇ。アンタは早く避難しとけ、俺は慣れてるんだ」
「は……? 慣れてる?」
大量に重ねた丼を残し、少年は声をかけてきた男の肩を叩いて海の家を出た。
大きく伸びを一つ。
「そう。端役の仕事の中には、ややこしい状況をシンプルにする事も含まれてるのさ」
見返りながらサングラスをずらして笑ってみせるその端役――ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は、ウインク一つを置き土産に、サイバーウェアを順に起動。
そして、飄風を纏って跳んだ。
敵の狙いは女性猟兵メイン。攻撃を加える男性猟兵には反撃するものの、自発的な攻撃をするならば女性から狙う傾向にある。巻き添えなどを食わなければ一般人は一先ず安全と言っていい。戦況を分析しながら、ヴィクティムは最前衛目掛けて駆けた。
「フェミニズム振りかざすわけじゃねえが、柔肌に傷が付くのは見たくねえ。――小細工させてもらうぜ」
呟くなり、ヴィクティムはユーベルコードを起動する。拡張コード、『BlessDancer』。その瞬間から、ヴィクティムはオブリビオンの敵意をかき立てるヘイト・アピールと、味方猟兵を支援する各種増強パルスを無尽蔵に放出する電波塔となる。
ヴィクティムが纏う、ヘイトを掻き立てる電子ヴェールが翻るたび、各所で戦う風魔衆の意識がそちらに惹き付けられる。
「クッ……! 意識が散る、そのすばしこい鼠を潰せ!」
オブリビオンらとて意に添わぬのだろう。何故とも知れず湧き上がる敵意に惑わされれば、本来対していた敵猟兵との争いが疎かになる。
その原因がヴィクティムにある事は明白だ。故にそこから潰そうとする事は間違いではなかったが――
「ヘッ、熱い視線だぜ。ヤケドしちまいそうだ。いいぜ、お嬢さん方。俺とダンスを踊ってくれ。――死ぬまでな」
風魔衆らが目論見を達するためには問題が一つある。
片目を閉じるその端役を殺す事は、不可能に近い困難を伴うということだ。
降り注ぐ苦無の嵐を、ヴィクティムはフィジカル・エンハンサーによって強化した身体能力により難なく潜り抜けつつ、味方に治癒と強化のパルスを送る。自らは回避タンクとして機能しつつ、味方に能力強化と負傷回復の効果を及ぼす、破格の性能をしたバッファーとして立ち回る。
「ハッ――遅すぎるぜ。俺をオトしたいなら、その倍は持ってきて貰わなきゃな!」
「このっ、言わせておけば――!」
「ならば望み通り受けるがいい! 風魔刃車、三途奈落……!」
七体ばかりの風魔衆が一斉に息を合わせ、ヴィクティム目掛け全方位より苦無を多重同時投擲! 避ける隙間すら存在しない、敵を押し包み絶殺する飛刀の結界――これぞ、風魔衆が誇る合わせ技。『風魔刃車・三途奈落』!
しかしヴィクティムが動揺を見せる事はない! 彼は即座にディフェンス・プログラム『Alcatraz』を起動! 自身を中心にして、二五〇枚からなる障壁を発生、全方位を同時防御してみせる。火花を散らす障壁の隙間から笑いを零し、ヴィクティムは女達を揶揄するように言った。
「情熱的だな、ブーブス。いいのかい? 俺にばっかり夢中になっちまってさ」
「何
……!?」
――敵が総力を尽くしヴィクティムを攻撃したその隙を、他の猟兵が見逃すわけがない。ヴィクティムの支援を得て高い戦闘力を得た他の猟兵らの攻撃が牙を剥く。
遠距離からのアサルトライフルでの狙撃が、切り込んだ猟兵の抜刀一閃が、次々と風魔衆を駆逐する!
「バカなッ……」
バズ・オフ
「さぁ――消えちまいな、ホット・ティッツ。その節操のない胸も、そろそろ揺らし納めだぜ」
割れ、夏に降る雪めいてさらりと散る障壁の内より踏み出しつつ、ヴィクティムはサングラスを下げて悪餓鬼のように笑ってみせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クロト・ラトキエ
◎
くそ暑い(コンプライアンスの為日本語)!
今年は(事情により)浮かない程度の薄着が精々…。
あちこちでアベック(死語)がイチャコラ、友達以上恋人未満がドギマギ、皆さんは当然逆ナン中。
海の家でぼっちでイカ焼き齧る身にもなってください、
一杯で何時間粘るんだよ…
みたいな店員の視線AKY(あえて空気読まない)にも限度があるんです!
えぇ。僕だって…
僕だって逆ナンされる側になりたかった!
そっち?とか言わない。おじさんとのお約束!
八つ当たりでは無いです。
でも消えて。すぐ消えて。
こんな所に居られるか、僕はクーラーの効いた部屋に帰らせてもらうぞ!
(UC炎の魔力で攻撃力強化して、一般人に近い側の敵から順に攻撃、の意
●かなしみのイカ焼き
時は暫時遡る。
今や血と絶技乱れ飛ぶバチバチ決戦ビーチがまだわくわく満開ビーチだった頃の話だ。
――あえて言おう。Fxxkin' hot、と。
えぇ、分かっていただけると思いますけれども、右を向いても左を向いてもアベック(私語)がイチャコライチャコラしているわけです。あそこにいる少年少女は友達以上恋人未満なテンションでしょうかね、まだ手を繋ぐのもやや躊躇うような、この夏に乗って友達から恋人にステップアップしようかと、どちらからともなく狙っているのが見えますね。甘酸っぱい事です。僕にも少しばかり分けて欲しい。その甘酸っぱさを。ジュゴー。薄まったメロンソーダを啜ります。いい加減これほぼ水じゃないですかね。
そうして女性猟兵の皆さんは絶賛逆ナン中で、ああ、あちらでは見覚えのある猟兵さんが腕を取って風魔衆から男性を奪取。強引すぎると見える手管でも、美貌があれば許される。あれはおじさんでも歓迎しちゃいますね。なんせ可愛いですから。イカ焼きを齧って無聊を慰めます。これもうほとんどスルメじゃないですかね。焼きすぎでは?
……逆ナンをする女性猟兵も、辺りを練り歩くカップルアベックも、皆生き生きとして見えるなか、僕ことクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、店員から向けられる『この人メロンソーダとイカ焼きだけでなんぼほど粘るねん……』という視線をスルースキルA.K.Y(アエテ・クウキ・ヨマナイ)によって回避し続けてきましたがそろそろ限界です。さっきから視線が刺さる回数が増えてきてるんですよねぇ。
……後詰めになるのが今回の男性猟兵の仕事とはいえ! 僕だって好きで固いイカ焼きを齧っている訳ではないのですが!
「……ああ……せめて、そう、許されるならば……」
拳を握り固めます。待つしかないもどかしさに混ざり、悔悟めいて浮かぶのは――たった一つの強い思い。
――えぇ。包み隠さず独白しましょう。
僕だって……
――僕だって逆ナンされる側になりたかった!
そっちかーいとか言わないでくださいね! おじさんとのお約束です!
だって考えてもみてください、事が起きるまでぼっちで海の家でイカ焼きを齧る身となり、店員からの冷たい視線に耐えてきたわけです! 少しくらい何かしらの役得があってもいい! そう思いませんか!? 思わない?! 然様ですか……僕は悲しい……。
――などとクロトが耐え忍んでいた数時間が終わったのが、数分前の事だ。
浜の各所で爆発音が響き、苦無が飛び交いだしたのを皮切りに、クロトは両手のグローブをカキンカキン鳴らしながら海の家を弾丸特急で飛び出したのであった。
逃げ惑う一般人らの間で苦無逆手に戦うおっぱいバルンバルンの美女ら目掛け、クロトは迷う事なく驀進!!
しかし当然ながら抱きつきに行くわけでもナンパしに行くわけでもない。数時間A.K.Yを維持し続けたクロトの精神はすり切れる寸前だった。
駆け来るクロトに反射的に身構える風魔衆だが、その重圧に負けたように数名が蹈鞴を踏む。
「なッ
……!?」
「何だこの猟兵のプレッシャーは
……?!」
固いイカ焼きともう色水ライクになったメロンソーダが彼にもたらしたものです。
「これは八つ当たりではありません。ありませんが! 貴女達には!! 可及的速やかに!!! 消えて貰います
!!!!」
クロトは夏の暑さと職務ストレスのあまり普段のシリアスでミステリアスな物言いも何もかもポイして、鋼糸を四方へ放った。
夏の陽光に炙られた鋼糸が、まるで生きているようにうねって炎に包まれる!
「うおおおこんな所に居られるか、僕はクーラーの効いた部屋に帰らせてもらうぞ
!!!!!」
「な、なんとォーッ?!」
「ぎゃああああーっ
?!!?!」
炎纏う鋼糸が檻の如く重なり合い、灼熱の絲籠めいて風魔衆を包囲、轢断、焼灼!! 一瞬にして塵に帰す!
「次は誰です!! この仕事はいつ終わりますか!! 前に出てきなさい今すぐにーっ!!!」
クロトは素早く糸を巻き上げ、次の敵を捜して熱砂の上を飛び駆けていくのだった。
……お疲れ様です。ホントに。
大成功
🔵🔵🔵
花剣・耀子
◎
……、あっ、うん。はい。出番ね。
別にビーチの様子に気付かず水着だったら大盛り無料フェアで大盛りにして貰ったうどんと戦っていた訳ではないのよ。
海の家のうどんって美味しいわよね。
わかめおむすびも付いてくるところが花丸よ。
柴漬けも美味しくて言うことがないのだけれど、
気付かなかった訳ではないのよ。
おおよその状況は把握したわ。
風魔衆が此方を狙ってくるなら、囮になりつつ距離を取りましょう。
個々に速度の差があるなら追いついてきたものから斬ってゆくわ。
集団で来られるのは厄介だもの。
各個撃破に努めましょう。
なあに、舐めてかかって油断しているとでも思ったの。
――おまえたちを斬るのに、手を抜くわけがないでしょう。
ユーゴ・メルフィード
◎
ようやくわしらの出番なのですじゃ
浜辺のアイス売りから、戦うコックさんにチェンジなのですじゃ
まずは浜辺に一般人が多く残っているならば
一般人を喧騒から離れた場所に誘導するようにしますのじゃ
ただいまアイスクリームのタイムサービス中なのじゃ!
と【サモニング・パティシエ】を発動、先生お願いしますのじゃ!
一般人や猟兵の皆さんには、
食べると体力が回復する美味しそうなアイスクリームを
余裕があれば風魔衆にも、
釘が打てるレベルのとっても硬いアイスキャンディを見舞うのじゃ
後者は当たるとカロリーが爆増するのは、お口チャックですじゃ
バレたら一般人が少ない方角か、または風魔衆を分散するように、
逃げ回って撹乱しますのじゃ
●ポップ・スウィート・チェーンソー
「アイスー、冷たくて甘ーいアイスクリームはいかかがですかのうー」
朴訥で人好きのする、暖かみのある声が響いていた。わいわいと、老若男女が引き寄せられて集まっている。
「すっごく美味しい~!」
「コクがあるのにすっきりしてて、こんな美味しいアイス初めて!」
「嬉しいご意見ですのじゃ!」
人だかりの中央でクーラーボックスを抱えアイスを売るのはユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)。純白のコックコートとコック帽に身を包んだ、見ての通りのシャーマンズゴーストである。
逆ナンが終わるまでは仕事がないと言われていたので浜辺でアイスを売り出したところ、これがドッカンドッカンの大当たり大繁盛。飛ぶように売れるアイス、人々が零す笑顔。思わずユーゴの声にも喜色が滲む。
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませーーなのですじゃ! おいしいおいしいアイスクリームはいかが――おや」
そのユーゴが、思わずといった風に動きを止めた。なんせ目の前で硬貨をちゃらりと出したのは――同じ猟兵だったのだ。
「……一つ、いただけるかしら」
アイス屋が猟兵だったと思わなかったのか、途中で気付いたが引っ込みが付かなかったのか――心持ちぎこちなく硬貨を見せるのは、花剣・耀子(Tempest・f12822)である。フリル付きの白ビキニに、海の輝きを写し取ったようなパレオを翻して、モデル並の体躯を惜しげもなく晒している。
髪は高めに一括りにしただけの無造作なスタイルだったが、それだけでも様になってしまうのでもとの器量の良さが窺えた。水色のサングラスで目元を隠し、どこか落ち着かなさげに、耀子は視線を彷徨わせる。
「これは、ご同業の。もう逆なん? はおしまいですかのう?」
含みゼロで『お疲れ様ですのじゃー』などと付け足しつつ首を傾ぐユーゴのなんと眩しい事か。
「ええ、まあ、その、はい。そんなところよ」
メニューからアイスを選びつつフワッフワした返事で返す耀子。
――言えない。さっきまで海の家にいましたなどと。
より料理の美味そうな海の家――余談だがそれはクロトが詰めた海の家とは別の店舗だ――に入ってみたところ、水着だったら大盛り無料フェアだったので冷やしてんぷらおろしうどんをいただいていたなどと。
――海の家のうどんって、美味しいわよね。わかめおむすびも柴漬けも付いてきて花丸よね。花剣ポイント満点よ。
「む?」
耀子は記憶を手繰る。食べ始めてしばらくは無心で取り組んでいた。仕方ない。大盛りでサービスだったし。美味しかったし。
「これは、……なるほど、ようやくわしらの出番ということですかの」
ひとしきり戦い終えてふと外を見たら逆ナンはそろそろ終わりかけていた。
――いや気付かなかったわけではないのよ。ないの。そう。あたしが行かなくても他の猟兵の仕事が素晴らしくて、仕事がつつがなく進んだだけの事よ。
「……もし、お嬢さん」
「――はっ。何かしら」
記憶旅行に出ていた耀子にかかるユーゴの声。
「お嬢さんの言ったとおり、逆なんの効果が出たようですじゃ」
ユーゴが長い指先で示した先へ目を向けると、痺れを切らせた風魔衆が、癇癪を起こしたように苦無を四方八方と投擲するのが見える。
「……出番、ね」
きり。表情を引き締める耀子であった。相手がユーゴでなければジト目の一つ二つ拝領していたかもしれないが、ユーゴは鷹揚に頷き、しゃん、とシルバーフォークを抜く。
「その通り。さすがのお手並みでしたのじゃ! では、皆を救うためにも行くのですじゃ!」
朴訥な声は、この状況に至るまでに耀子が寄与したことを全く疑っていないようであった。
えいおー! と腕を振り上げるユーゴ。まぶしい。耀子は小さく手を上げて応じた。えいおー。目は少しだけそらした。
良心がとがめることって、あると思うの。
作戦の分担はシンプルだ。
「あちらは今危険なのですじゃ! 皆さん、向こうの防波堤の方に隠れて欲しいのですじゃ~!」
まずユーゴが一般人の避難誘導を担当する。爆音や剣戟の音に不安になる人々にはアイスクリームを振る舞い、「大丈夫、わしらが絶対に守るのですじゃ!」と勇気づける。
ユーゴの正体、ひいては前線で戦う者達の正体を、人々は知らぬ。しかし怖じずしっかりとした声で言い聞かせるユーゴの言葉は、不安に駆られた人々の救いとなる。
避難が次々と進む中、うどん大好きッ子……もとい、耀子は日傘を『機械剣《クサナギ》』に持ち替え戦場へとひた走る。そういえば永海の里でもうどんに食いついてましたねあなた。
ユーゴが避難誘導する人々の元へ、敵を近づけさせないのが耀子の役割だ。
どるん――、と耀子の手の内で、機械剣が目を覚ます。殆ど地を這うほどの低姿勢での疾駆。他の猟兵らと戦闘する最中の風魔衆を、突っ切りがてら強襲、唸りを上げる刃で斬り捨てながら駆ける!
「なっ――!?」
突如として花嵐の如く闖入し、耀子はせせら笑うような軽い口調で言った。
「こっちにいらっしゃい。――もっとも、その度胸があるようなものがいるとは思っていないけれどね」
逆ナン作戦を意図せずボイコットしたときのお茶目さはどこへやら。敵と向き合えば、花剣・耀子の目は刃の如く尖る。……その目が雄弁に告げている。
――おまえたちを斬るのに、手を抜くわけがないだろう、と。
「こ、このッ
……!!」
「貴様などを恐れるものかよ!! 弔い合戦だ、その首を頂くッ――!!!」
苦無が雨霰と耀子めがけて唸り飛んだ。耀子は青く美しいパレオを風のように翻して一転、獰猛な唸りを上げるクサナギで襲い来る苦無を斬り払う。
火花を散らし、チェーンソーの回転に負け、苦無の悉くが弾き散らされるッ!!
追い来る風魔衆を引き付けながら駆ける耀子の元へ、不意に声が飛ぶ。
「浜辺のアイス売りから、戦うコックさんにチェンジなのですじゃ! とっても冷たくて夏にぴったりのアイスキャンディは――」
ユーゴだ! 十指にアイスキャンディを手挟み駆ける彼の背に、侍るように走る――アイスクリーム職人の霊! ユーベルコード『サモニング・パティシエ』により召喚されたゴーストである!
「いかがですかーっ、なのじゃ!!!」
ユーゴが力一杯叫び、アイスキャンディを投擲するなり、それに合わせるように職人の霊が指を鳴らす!
「ヌウーッ!?」
「奇っ怪、な……ッ!?!」
ユーゴが投げたキャンディを辛くも避けた風魔衆が見上げた空に――ぴし・ぱし・ぴき・ぴきと音を立てて析出するのは、職人が召喚せし無数の特製アイスキャンディ……!!
「――ただいま! アイスクリームのタイムサービス中なのじゃ!」
ユーゴが今一度、号令の如く叫ぶなり、職人の霊が腕を振り下ろす。雨霰とアイスキャンディが降り注ぐ!
なすすべもなく氷雨を浴びる羽目となった風魔衆が逃げ惑う。
「ぎゃっ、いたっ、いたたた?!」
「こ、小癪なあっ……て、あれ? えっ?」
――当然というかなんというか、その降り注ぐアイスキャンディがただのアイスキャンディの訳がない。着弾した風魔衆は次から次へと……なんというか、太った。単純に膨れた。
それこそ、その霊の能力。彼が繰り出すスイーツは摂取カロリーを爆増し、対象をデブらせるのだ……! ある意味恐ろしい能力である。ダイエット中に食らいたくない。
この状況においては効果覿面であった。己の肉体を爆発的なプロポーションに調整していた風魔衆の計算が崩れ、ヒモめいた水着が次から次へとぶちん、ばちんとはち切れる!
「「「「「きゃあああああああああっ
?!!?」」」」」
身体を強ばらせて要所を手で覆いつつ、風魔衆らが悲鳴を上げる。男ならば喜ぶ光景だったかもしれないが――
「――斬り果たすわ」
生憎。
そこにいたのは、凍った目をした涯ての剣鬼であった。
ユーゴが作った致命的な隙を、機械剣で縫うように耀子が駆けた。修羅が旋風伴いて、駆けた後には血の花が散る!
クサナギがオブリビオンらを情け容赦なく食い荒らし――その一帯を、残らず平らげるが如く暴れ回る――!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
◎
【推し】
ようやく暴れられる!
紛れて大人しくしてるのは得意じゃねぇんだ
って、は!?ギター!?弾けねえし斬れねぇし
斬れるんならまあいいか
渡されたギターを手に戦う
アレスが陣を展開するのに合わせて【暁星の盟約】
力が流れ込むようなそれに返す様に
鼓舞するように歌い
風の魔力を靴に送りダッシュで距離を詰め2回攻撃
クナイは…数が多いのが面倒だな
見切り避けたりアレスに任せたり
またはギターで叩き落とす
もっと細かい色々はアレスが何とかしてくれるだろ
だから俺は連携されるより早く一人ずつ叩き潰す
ギターに水の属性を纏わせ
跳ね上げる様に斬り
続いてきた敵をとっさの一撃蹴りで対処
陣の内で疲れ知らずに跳びまわる
さあ次はどいつだ?
ラビット・ビット
◎
【推し】
待ってくださーい待って
そのまま戦わないで!
これを使ってください
脈絡なくアレスさんとセリオスさんに声をかけ
とりだすのは
【推しを守る伝説の武器】~!
やっぱりアレスさんには盾でしょうね
ああ~剣も水着仕様でパワーアップして欲しい
特別仕様に進化!
なぜなら見た目がかっこいいからです
セリオスさんはギターとかどうですか?サマーミュージック的な
弾けない?殴るなどにも使えますよ折れませんしビットくん的には斬るのもおっけー
武器渡したら下がりますよ
ろくろうさんと一緒に見物人の整理しながら
撮影です!下がってくださーい
とかいって言いくるめ
見物人にもうちわを渡して
ひゃー!アレスくんかっこいい!
はい皆さんご一緒に!
アレクシス・ミラ
【推し】
◎
鎧は脱ぎ、水着にはなったが…騎士として戦う事は変わらないさ
帯剣していた赤星を抜こうとする、と…
…え?ビットくん?
この盾を僕に?うわっ、赤星まで進化した!?
君の力かい?ありがとう!ああ、この武器で皆を護ろう
セリオスのは…が、楽器?え、それ斬れるのかい!?
地に展開するは【天聖光陣】
この光陣の範囲が、僕達の戦場だ
セリオスが攻撃に集中できるように光柱で援護し、苦無も撃ち落とそうとする
落とし損ねたものは盾とオーラ防御で受け止める
一般客やビットくんの方に流れ弾がいきそうになれば
水属性を纏わせた剣で叩き落とすか、光柱を障壁のように放つ
僕がいる限り、誰にも当てさせないよ
この浜の平和…取り戻してみせる
●夏模様のジェミニ(feat.ビットくん)
どかんばかんがきがきんと最早耳に馴染んだ爆音と剣戟がビーチを席巻するなか、避難する人の流れに逆らうように、二人の青年が善戦に向けて歩いていく。
「ああ――ようやく暴れられる!」
「嬉しそうだね、セリオス」
「当たり前だろ? 紛れて大人しくしてるのは得意じゃねぇんだ」
「だろうね。君はそういうタイプだ」
軽い言葉を交わしながら行くのは、好対照なコンビであった。
かたや長い黒髪をアップに纏め、シニカルな笑みを口元に湛えて歩く青年――セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)。夜空めいた色から白へのグラデーションがかかったハーフパンツ風の水着はシンプルだが彼の雰囲気に良く調和している。首元に巻いた翼飾りが伸びと共に跳ねた。袖の余った薄手の黒シャツをルーズに着熟している。その襟元から覗く薄い胸、白い膚は、男性というのに危うい色香を匂い立たせるようだ。
もう一方はカラーリングからして真夏の海を覆わせるコーディネート。白シャツに、金ラインのアクセントが入った青海の如き色の水着。腰にはいつものロングソード『赤星』を帯び、足下をグラディエーターサンダルで固めている。セリオスが夜を囁くならば、彼は昼を謳うかに見えた。貴公子然とした佇まいの青年の名は、アレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)。
いかにも正反対な印象を与える二人であったが、無二の親友同士にして名コンビである。
「じゃ、一丁かましてやろうぜ、アレス。準備はいいか?」
「ああ。鎧は脱ぎ、水着にはなったが……騎士として戦う事は変わらないさ。いつだって準備はできているよ」
「そうこなきゃな。じゃあ、行くぜ……!」
既に先行した猟兵が戦う砂浜へ二人が特攻しようとした、まさにその刹那!
「待って待って待って待って~~~~!! 待ってくださーーーーい!! 待って!! そのままで戦わないで!」
待ったが掛かった。それもかなり大きめに。踏み込もうとしたセリオスがずるべしゃ、と転ぶのを、慌ててアレクシスが助け起こす。
「いってえ……何だってんだよ! やっと暴れられるってのに!」
鼻の頭に付いた砂を払いのけながらセリオスが振り返れば、その先には銀髪に麦わら帽、肉付きの薄い身体をパーカーとハーフパンツで包んだ美少年が息せき切らせて追いかけてくる。
少年と言ったものの当人の公式見解としては二十一歳らしい。猟兵の外見年齢は一切アテにならないものである。
息を切らしつつも二人に追いついてふんぞり返るのは、ラビット・ビット(中の人等いない!・f14052)であった。
「どうしたんだい、ビットくん。そんなに息を切らせて」
まさに抜剣しようとしていたアレクシスも不思議そうに、突然の知人の登場に首を傾げる。
「ふっふっふ! なんだと訊きましたね! よくぞ、よくぞ訊いてくれました! これをね! 使ってもらうためですよ!!」
しゅばっ、とポーズを決めたラビットが、精神を集中し手を翳すと、その先に光の球が生まれる。光の球は三つに分化し――まず、そのうち一つがむくむくと動き出す。
「アレスさんと言えば――やっぱり盾でしょう!」
光球は目まぐるしく形を変じ、やがて盾の形に凝り固まる。深い海の色に、金のラインが入った美しいカイトシールドだ。
「これは……この盾を、僕に?」
「そうです! そのために来たんですからね!」
自身の前まですいと漂ってきたカイトシールドをアレクシスが手に取ると、それはしっくりと彼の手に馴染む。まるで、使い慣れたいつもの盾のように。
「そしてそして~~~!! ビットくんとしては水着仕様ということで剣もパワーアップして欲しい~~~!! なぜならその方がかっこいいからです!!」
二つ目の光球は変形せぬまま飛び、アレクシスが腰に帯びる聖剣『赤星』に重なる。
「うわっ?!」
鍔部分の星飾りが伸長、より豪奢で華美なな装飾となって際立つ――これこそ『赤星』特別仕様、feat.ビットくんだ!
「あ、赤星まで進化した……!」
「ビットくんパワーがたくさん詰まった逸品ですからね! 役立ててください!」
――これこそ、想像力より推しの専用装備をを創造する、ラビットのユーベルコード――『推しを守る伝説の武器』である! そのまんまだなオイ!!
「ありがとう、ビットくん! この武器と力で、必ず皆を守ってみせる……!」
「……おい、盛り上がってるところ悪いけど、俺にはねぇのかよ」
蚊帳の外だったセリオスが半眼になった瞬間、ビットくんはウザめにちちち、と指を振る。
「なんのために三つ用意したと思っているんですか! この夏のセリオスさんの最強装備は……これです!」
ラビットがくるりとターンして最後の光球念を注げば、光は変形して瞬く間に形を取る。生み出されるのは――
「……おい」
「はい?」
「なんだこれ」
「ギターですね。サマーミュージック的な」
ギターだった。
ビジュアル系バンドが持ってそうなとんがったヘッドの、漆黒のギターだ。ボディエンドに二本の紅いストライプが入れられている。
「ギターですね。じぇねえだろ?! 弾けねえし斬れねぇしなんの役に立てろってんだこれ!」
「が、楽器じゃあ……確かにそうだね」
ふしゃー! と猫のようにキレるセリオス、困ったなと言わんばかりにそれを宥めるアレクシス。しかしこともなげにラビットが続けた。
「弾けない? ノープロですよ。殴るなどにも使えますよ。折れませんし。ビットくん的には斬るのもおっけーです」
「え、それ斬れるのかい?!」
「なんだ、斬れるんならまあいいや。早く言えよな」
「えぇぇ……」
ラビットの雑な説明とそれを逡巡もせずに受け入れるセリオスの速度の間でよろめくアレクシスを余所に、セリオスはギターヒーローよろしく漆黒のギターのヘッド付近を引っ掴み、まるで斧をそうするように肩に引っかけて戦場へ向き直った。
「よし、そんじゃあ……今度こそ行くぜ、アレス!」
「あ、ああ! 行こう、セリオス!」
「頑張ってきてくださいね! ビットくんはろくろうさんと一緒に後ろの方で一般の方をそそのか……誘導して、遠くから応援してますから!」
後退するラビットを背に、今度こそセリオスとアレクシスは戦場へと吶喊する!
アレクシスが先行して駆け、戦場のど真ん中に印を刻むが如く、抜き放った聖剣を砂浜に突き立てる。その瞬間、ごうっ、と音を立てて半径四十四メートルの円状範囲に、光の陣が展開された。ユーベルコード、『天聖光陣』。アレクシスの意に従い、聖なる光の柱にて敵を足下から貫く範囲攻撃陣だ。
「この光陣の範囲が僕らの戦場だ。……セリオス! 援護は任せてくれ、君は君が思うままに暴れればいい!」
「任せとけ! 」
それに合わせるようにセリオスが歌い上げるのは、黒歌鳥が赤星に捧ぐ歌。『暁星の盟約』である! その歌は天聖光陣の上にある場合のみしか機能せず――従って、アレクシスがいなければただの美しい囀りに過ぎぬ。――しかし、
求むるは今
拓くは明日
闇夜に最果てが迫る時
青き星はその空に暁を見た
払暁の赤星よ
――暁を知る星よ
汝の力と叡智以て
深奥に眠る光を我が手に!!
今、彼のそばにはアレクシスがいる。
歌が陣の光を束ね、魔力へと還元し、セリオスの身体へ流し込む……!
「――行くぜ!!」
セリオスは、蒸気魔力ブーツ『エールスーリエ』にあふれる魔力を流し込み、足下で魔力を爆ぜさせて駆けた。まるで羽撃いた黒歌鳥のように、鋭く、敵へ向けて低空を飛翔する。
「ぬっ……?! 新手か!!」
「ええい、囲め囲めぇ!! 苦無を持てッ!!」
雨霰と降り注ぐ苦無を、ギターの広いボディでラケットめいて打ち払いつつ前進。ギターに水の魔力をまとわせる。水が自然とボディの縁、エッジ部分に鋭い刃として集まり――まさに斧の如く結実する!
「ッらぁっ!!」
斬り上げ、横薙ぎの二連撃。一呼吸で放たれた斬撃を防ぐに能わず、一体が声もなく斬り裂かれて塵に還る。
「おのれえっ!!」
全方位から放たれる苦無の連射を、しかしアレクシスが見逃さない。
「させるものか!」
光の柱を立ち上らせ、苦無を弾き散らす。生まれたスペースにセリオスが滑り込み、苦無の嵐から逃れる――
二人の連携は当意即妙、互いが互いのことを熟知した動き方だ……!
「ああ……やっぱり推しが二人で動いてるのは最高ですね……! しかもビットくんが作った武器を使って……! はい! みなさん、アレスくんとセリオスくんを応援しましょう!! さん、はい!」
「「「「「かっこいい! かっこいい! L・O・V・E アレクシス
!」」」」」
「「「「「かーわいい! かっこいい! L・O・V・E セーリオス
!」」」」」
後ろの方で撮影と言い張って一般人を誘導したらしきラビットが、一般人に内輪を渡して騒いでいる。
「気が散るってんだよなあ
!?!?!?!」
「ま、まあまあ……」
歯を剥くセリオス。その背に追いついてあやすように言うアレクシス。
「セリオス、油断は禁物だよ。僕も協力する。――一気に倒そう」
「仕方ねぇなあ――乗ってやるよ」
アレクシスは水を纏わせた赤星を、セリオスは水の刃を帯びたギターをそれぞれ構え直す。
「小癪な猟兵どもが――一丁前に連携などと!」
「我らの鉄の結束を、その程度で破れると思うな――!」
「ゆくぞ者共! 『風魔刃車
』……!」
「「「「「「「「『三途奈落』ッ
!!」」」」」」」」
八体の風魔衆が一斉に息を合わせ、アレクシスとセリオスを押し包むが如く、全方位より苦無を多重同時投擲! 身を滑り込ませる空隙すらない、鼠一匹通さず、敵を押し包み絶殺する飛刀結界――風魔衆の絶技、『風魔刃車・三途奈落』である!!
しかしセリオスは不敵に笑う。
「歌声に応えろ――力を貸せ!!」
アレクシスが、赤星を胸の前に真っ直ぐに構える!
「星を護りし夜明けの聖光、我が剣に応えよ!!」
三途奈落の刃嵐を、アレクシスが全力で四方に迸らせた光の柱が阻む! 最大出力を解放したことで陣が維持できなくなり、掻き消えていく。しかしそれとスイッチするように、セリオスが水属性の魔力を全力解放、周囲に水弾をまき散らし、苦無を相殺して弾き散らす!
「何ッ」「だとおおぉぉ
……!?」
目を瞠る風魔衆らの声が響く中、周囲にキラキラと散る、セリオスの魔力を帯びた水滴。
――そこに、アレクシスが源を同じとする――『根源』の魔力を以て、光を徹す。
「見るがいい。これがすべてを護る――星の剣だ!!」
吼えて、アレクシスは剣を一閃。その剣から無数の光閃――『天星の剣』が放たれ、セリオスが散らした水滴をプリズムのようにして乱反射! 驚きから立ち直れぬままの風魔衆ら八名を、次々と釣瓶打ちに穿ち、斬り裂き、塵へと還す――!!
「――この浜の平和は、僕達が取り戻してみせる!」
「そうさ。趣味の悪いナンパゲームはこれで終わりだぜ。さぁ、次はどいつだ?」
アレクシスが強く思いを告げ、セリオスが獰猛に笑う。
二つの星が瞬く下に、悪の蔓延る試しなし……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
◎
……そもそも、ナンパしてくるような男が、役に立つと思っていたんでしょうかね?
元の形が無くなるまでいじるならわかりますが。
ともあれ、暴れるならば制圧しましょう。
行くぞ相棒!
変身、アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
水着の上にフィルムスーツ、WaveMaster、そして攻撃力重視の装甲を纏い、一気に加速!
先ずは開幕一人、追撃のブリッツランツェで海を割りながら、彼方へと蹴り抜いてあげましょう!
その後は海上を走って戻り、他の奴らの相手をしますよ!
そして体感させてあげましょう。
時を、置き去りにする速さを!
予測した所で、回避は出来ない事を!
――OverClock!
●時の向こう側
浜での大乱闘スマッシュ猟兵ズな光景を、海の上より眺める一人の猟兵がいた。変形した高出力宙間装甲二輪――愛車『NoChaser』に跨がり、波を蹴立ててモーターボートめいて浜に迫るのはトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)。その出で立ちはスポーツタイプのワンピーススイムウェアの上に、薄手のシャツ一枚というものだ。褐色の肉体美をラフな服装でくるみ愛車を駆る。
トルメンタは浜を目指しながらも、ぼやくように口を開いた。
「……そもそも、ナンパしてくるような男が、役に立つと思っていたんでしょうかね? 元の形が無くなるまでいじるならわかりますが」
辛辣ゥー。
少女だてらに鎧装騎兵団に所属する彼女の意見としては、心根が半端な男を集めてなんの役に立つのか――というところであった。
あくまで素体を欲しがっていたので、風魔衆流の改造術や修行のカリキュラムなんぞがあるんでしょう。多分。
「ま、俺には関係のない事ですが。――暴れるならば制圧あるのみ! 行くぞ相棒!!」
トルメンタは引き波をNoChaserで蹴立てて愛車もろともに高々とジャンプし――太陽を背に、マシンベルトを駆動!
「変身ッ――アクセルユニゾン!」
『MaximumEngine――Mode:Formula』
一瞬でNoChaserがばらばらに分離し、各部が変形。即座に装甲としてトルメンタの身体に纏い付く。NoChaserはトルメンタが騎乗する宙間戦闘二輪にして、彼女の身体を覆うマルチパーパス・コンバット・アーマー・ユニット――多目的戦闘装甲ユニットでもあるのだ!
水着の上からプラズマブースター及び高攻撃力の青き装甲を纏うと、トルメンタはその二つ名の如く流星めいて空を駆け下りた。そのままの速度で浜へ着弾! 轟音がして、肌理の細かい砂が土柱めいて吹き上がり、浜で戦う風魔衆らの度肝を抜く。
「な、何奴――ッ!?」
「名乗る意味もありませんね。なぜならあんたは、あと数秒で海の藻屑だからです」
舞い上がった砂柱の内側から声がするなり、その横っ腹を突き破ってトルメンタが駆け出る! いや、駆け出るなどという生半な表現ではその速度を表しきれぬ。砂柱が、彼女の速度で内側から裂けたかに見えた――言葉で表すのなら、『射出』という表現が最も適切だろう。
そう。トルメンタは弾丸の如く己を射出し、最も近い敵に襲いかかった。目を見開いた風魔衆が忍者刀を跳ね上げるよりも、その初動よりも遙かに早く、速く、疾く!!
「遅いっ、遅い遅い遅い遅いッ!!」
上段蹴り、吹き飛ぶ風魔衆に一瞬で距離を詰めミドルキックからスイッチして身を翻してのバックキック、跳躍跳び蹴りで追いついてからの、やや上から踏みしだくような連続ストンプ!
「あぐっ、がっ、ぶっ、ごぼっ
……?!」
連続攻撃の応力を証明するように、風魔衆がまるで水切る石のように海を跳ねて吹き飛ぶ。トルメンタは音速を超えるスピードで疾り、海を割りながら尚も追撃、蹴撃、蹴撃、蹴撃ッ――
「予告通りでしたね!」
……この怒濤の連撃をして、『追撃のブリッツランツェ』と称する! 最後の一撃が風魔衆の顔面を捉え、その身体を海底に叩き付けるように打ち下ろした。派手な水柱! オーバーキルダメージを受けた風魔衆は為す術なく爆発四散!
「さぁ――エンジンが暖まってきたところで、続きと行きましょう!」
トルメンタは水面を蹴り飛ばす。上段でも何でもなく水の上を蹴り離し、海面を走って浜へ駆け戻る!
「なんたる速度……!」
「軌道予測が追いつかぬッ?!」
風魔衆が己の眼を光らせるも、トルメンタの速度を捉え、その動態予測をするのは最早不可能だ。
「当然でしょう。俺と相棒の最高速は、時を置き去りにする速さ! 喩え予測できたところで――あんたらじゃあそれを捉える事など出来はしない!」
トルメンタは砂浜まで駆け戻り、地を踏んだ瞬間にNoChaserに命じる。
「相棒、最高速だ! ――OverClock!」
『TurboBoost Over――Acceleration』
プラズマブースターが高音の軋みを上げ、トルメンタの身体は時の流れさえ歪めて加速する。身構える五体の風魔衆に一瞬で肉薄――その反応を許さず、顎を、胸を、腹を、顔を、背を! 青き装甲の蹴撃が打ち貫くッ!!
「ばッ」「か……な、」
――余人には、トルメンタが消え、再び現れた瞬間には五体の風魔衆が吹き飛んでいた――その様にしか見えないだろう。砂を摩擦熱で焦がしながら着地するトルメンタのアーマー各部が開き、強制排熱。
「さぁ、次は誰ですか?」
トルメンタは装甲の下で、皮肉げに笑み問いかけるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
杜鬼・カイト
【兄妹】
◎
迷彩色の海パン
黒いラッシュガード
ラッシュガードの前は開けてないから、ぱっと見女の子っぽく見えたりするのかな?
といっても、水着は男物。
いやあ、オレ男だからね。当然でしょ!
(普段のセーラー服姿は棚上げ)
いやあ~、兄さまと水着デートできるなんて嬉しいです!
でも、邪魔者がいるのはいただけないですね……
邪魔な奴らは、さっさと壊しちゃいましょうか【殺気、呪詛】
客の避難を優先させる兄さまを援護
自分が敵に背を向ける形になろうと、常に兄さまのほうを注視
兄さまが攻撃されたら【篝火花は赤く燃ゆ】で身体強化をし、自分の背後にいる敵ごと葬る
「オレの兄さまに疵をつけるな!!」
兄さまの動きに合わせて攻撃
杜鬼・クロウ
【兄妹】
◎
夕日色のサーフパンツ
麦藁帽子
グラサン
程良い筋肉美
群れられっと面倒だが客の避難優先させる
持ち堪えてろ(出来るだろとは言わず。命令に近い
比較的安全な処へ一般人を誘導
万が一敵が来たら弟へ任せる
避難後、戦線へ
ココヘ来るまでずっと浜辺でコイツと一緒だったンだぜ?
誤解されるわベタベタされるわ地獄だった(頭痛の種
あァ憂さ晴らしさせろや、オラァ(恫喝・八つ当たり
シュノーケルを代償に【無彩録の奔流】使用
敵の攻撃は首だけで避けたり体捩じって回避(第六感・見切り
咄嗟の一撃で回し蹴り
敵が連携したら此方も連係(阿吽の呼吸
何物にでもなれる流水の剣で敵の心臓を突く(属性攻撃・2回攻撃・部位破壊
息ぴったりじゃねェし
●何がわくわくだ畜生、と彼はうめいた
「あァくそ……なんで俺がこんな目に遭わなきゃなんねぇッてんだ……」
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)のぼやきが熱砂の浜に浮く。
今日の出で立ちは夕日色のサーフパンツにサングラス。鍛え上げた肉体には女性らが見惚れて止まず、男でも一度は振り返るような理想的な筋肉が乗っている。ゴツめのゴールドチェーンが首元にジャラリと揺れ、よく似合っていた――しかしながら、麦わら帽の鍔を押し下げる彼の表情はいまひとつ、精彩を欠いたものであった。なぜか。
「いやぁ~、兄さまと水着デートできるなんて嬉しいです! あ、かき氷とか喰います? 海の家とかたくさんありますよ!」
「デートじゃねェし仕事だ馬鹿! 真面目にやれ!」
「ちぇー」
傍らを歩く少女――否、少年が唇を尖らせた。あまり堪えた様子はない。
……こいつである。その名も杜鬼・カイト(アイビーの蔦・f12063)。クロウの弟である。
黒のラッシュガードの前を閉め、ラインの浮きにくいグリーンカモのハーフパンツ風水着を纏った、クロウと同じオッドアイの少年だ。可愛らしく編み込みを交えたヘアアレンジに、よく表情の動く中性的な顔。身体の線は細く、背もさして高くない事から、一見しただけでは男性か女性か判断に迷う事となるかも知れない。ハーフパンツがメンズなのは明白だが、そこに視線をやるまでは混乱するだろうし――その細い指先をクロウの手にしっかりと絡めていたなら、視線をやってからも混乱が続くだろう。君らどういう関係? って。
そう。実際そういう目で見られた。何度も。
事ここに至るまで、クロウとカイトは二人で一般人の避難誘導をメインに行動してきた。
『群れられっと面倒だが――客の避難を優先する。それまで持ち堪えてろ』
戦端が開かれるなりニヒルに告げたクロウの言葉にカイトは目を輝かせて曰く、
『さすが兄さま! はい、自分の身は守りますし、兄さまもオレが護りますから! 任せてください!』
――初手からそんな感じだったのだが、まあとにかく。彼らはほかの猟兵が敵を圧倒している隙に、主にクロウが一般人を下がらせ、カイトがその援護をして円滑に戦闘を展開させる――言わば縁の下の力持ち的な役回りをしてきたのである。まあ、一般人と接する時間はほかの猟兵達よりも必然的に長い。
……そう。その最中に、一般人を誘導しつつ、時折身を挺し彼らを護るクロウを援護する、カイトの口から飛び出した台詞と言えば――
『オレの兄さまに疵をつけるな!』
『兄さまとのデートを邪魔する奴らなんて、全員壊れて砂浜に染み込んでしまえばいい――』
『兄さま! お怪我はありませんか?!』
『――兄さまに疵をつけた女を――オレが許すわけないよね?』
『ズタズタになって全部ブチ撒けて! ゴミみたいに死ねよ!!』
うーーーーーん! ヤンでデレ!
まあそんな調子でクロウを支援するカイトが常にべったりだったため、向けられる視線の温度が大変に生暖かったり、どこぞのウサギ――(ビットくんですよ
!!!!!!!)が二人の戦いぶりに熱視線を向けていたりといろいろあり、クロウの心労はトップギアだ。妙な誤解を受けること、もはや両手の指では数え切れない。
歩きながらクロウは今一度、大きなため息をつく。――一体俺が何をしたってんだ……
ようやく一般人の避難を終えて前線に向かう彼の顔がいまいち浮かないのはそんな背景があるためであった。
当然ながら風魔衆が彼の心境を慮るわけもない。クロウとカイト、二人の接近を認めるなり苦無を逆手に持って構えを取る!
「猪口才な……! 次から次へと蛆のように、よくもまあ湧いて出るものだ、猟兵! 今引導を――」
「蛆ィ? ……おまえ、今兄さまのことを蛆って言った? 言ったよねぇ
……!!!」
悪口聞いたら二秒でボカン。殆ど定型句に近い罵倒文句にキレるカイト、あまりの反応に目を剥く風魔衆、疲れ果てて天を仰ぐクロウ――
――あァ。もういいや。
クロウも事ここに至って色々なことがめんどくさくなってしまった。手で弄んでいたシュノーケルをぽいと放り上げると、それを『代償』とし、鞭の如く撓る黒の流体剣を召喚する。
「俺ァな。ここまでコイツを止めたり、誤解を解いたり、何だり、散々面倒くせェことをしてきてんだ。……それもこれも、元を正しゃテメェらがこんな騒ぎを起こしたからだよなァ? ……その憂さ晴らしさせろや、オラァ!!!」
「兄さまをバカにする奴らは――オレがみぃんなブチ壊す!!」
エッなにこの二人怖い。
風魔衆が、なんかヤバい連中にケンカ売っちゃったと悟った瞬間には戦闘は始まっていた。
先陣を切るのはクロウ。その右手に握られるは黒の流体剣。ひとたび振るえば鞭の如くびゅるりと撓り、ただ剣を振るうその数倍の速度で敵に襲いかかる。先端が音の壁を突き破り、派手なソニック・ブームの音を奏でた。
「ッあ」
目にも留まらぬ速度であった。翻った先端が風魔衆の一体の首を狩り飛ばす。流体剣の射程は通常の剣とは比べものにならない――七メートルも伸びての間接距離斬撃である!
「奇っ怪な
……!!」
「者共、剣は伸びるぞ! 見たままの射程だと思うな――」
風魔衆がクロウの斬撃に気を取られたその瞬間、弾丸のようにカイトが突っ込んだ。クロウが刈った首が地に落ちるその前に、妖刀を右手に引っ提げて駆け抜け、
「後悔して死ね」
赤と青の瞳が陽光に煌めいたその瞬間には、峻烈なる斬撃が風魔衆を襲っていた。
カイトが駆け抜ける軌道上にいた三体が、胸を貫かれ、首を飛ばされ、そして最後は峰で頭を砕かれて立て続けに絶命する。
「どうしたどうしたァ! 男誑すしかできることのねェ三下かよ、テメェらはァ!!」
カイトの突撃に浮き足立つ敵をさらに揺さぶるようなクロウの挑発。振り回した流体剣が飄風の如く襲いかかるのを、風魔衆は回避するので精一杯という様相だ。
「クッ、言わせておけば
……!!」
「『三途奈落』を構えよ!!」
下忍の指揮官らしき落ち着いた忍者が、飛び退きながら指示を下す。生き残った数名の風魔衆が飛び退いて、指揮官を中心に隊伍を組んだ。かと思えばすかさず散開、クロウとカイトの周囲を分身を曳きながら旋回する!
敵のただならぬ気迫に、思わずクロウも構えを改める。
「こいつァ――……カイト!! 気をつけろ!」
「分かってますよ。大丈夫――オレは、兄さまから離れませんから」
どこかピントのずれた回答だったが――カイトは大真面目だ。敵にまるで無防備に背中をさらし、クロウだけを見つめる。
クロウは鼻を鳴らし、「勝手にしやがれ」と呟いた。――知っているのだ。カイトが、ふざけてそうしているのではないという事を。
「食らってくたばれ、猟兵共――」
「風魔衆が奥義、その身で味わうがいい! 『風魔刃車・三途奈落』――ッ!!」
クロウとカイトの周囲から、まるで結界の如くに無数の苦無が雨霰と降り注ぐ!!
瞬間――またも、クロウが先に動いた。
「オラァッ
!!!!」
飄風!
クロウが勢いを乗せて振り回した流体剣が、空中の苦無を一気に弾き飛ばしながらも、まるで蛇のように鎌首もたげて敵へ伸びる。クロウの繊細な操作――腕の撓りを克明に写し取り、切っ先が立て続けに二体の風魔衆の心臓を貫いた。
「かっ、」
「ぁ……?」
それに続いて――彼女らが零すその呻きよりも素早く動くのはカイト。敵に背を向け、ただ最愛の兄だけを見つめる――歪んだ独占欲に根ざす行動を取った結果、彼の戦闘能力は劇的に向上している。ユーベルコード――『篝火花は赤く燃ゆ』である!
「何度も言ってるよね……それとも聞こえなかったかなぁ? ならもう一回言ってやる。オレ以外が、兄さまに、疵を、つけるなァッ!!!」
クロウが振り回す流体剣の側面を蹴り、それすら足場としながらカイトは黒い風となって駆け、風魔衆らに迫った。流体剣をかろうじて避けた風魔衆らの首を、斬、斬、斬斬斬斬ッ!!
次から次へと首が飛び、瞬く間に塵に還っていく風魔衆。
「こ、こんな、出鱈目なッ――!?」
「出鱈目でも何でもねぇさ」
「おまえらがオレたちより弱かっただけのことだろ」
クロウとカイトは無慈悲に告げて、最後の一体を断ずる。
胸をクロウの流体剣が貫き、首をカイトの刀が断った。首だけとなれば、もはや発せる言葉もなく――風魔衆下忍、この場、最後の忍びは、辞世すらなく塵へと還った。
「やっぱり兄さまとオレ、カンペキに息ぴったりですよね!」
「息ぴったりじゃねェし」
刀から血を払いながら調子に乗るカイトにすげなく言うクロウであった。
――疲れた。いろんな意味で。もうちょっと心労のない依頼がいい……などと思う。
……ただ、まあ。
これでこの浜に迫るこのアホみたいな脅威も、終わりのはずだ。
浜に戻る静謐、一般人らが上げる喧噪が戻ってくるのを感じながら、クロウは流体剣を放り出すのだった。
わくわく満開ビーチ――これにて、一件落着である!
大成功
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