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葡萄酒よりもなお紅く

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●鮮血はなお紅く
「食事、持ってきたぞ」
 そう言って汚い扉を開けると同時に漂ってくる悪臭に、思わず顔をゆがめる。
 岩肌に覆われた壁面や、地肌が露出した床にはあちこちに渇いた血がこびりついて。
 乱雑に転がされている数々の拷問具は、使用した跡が生々しく残っている。きっと、使われた後も碌に洗ってすらいないんだろう。
 そして、その部屋の中央には男が一人、寝転がっていた。
 ……いや、寝転がっていた、というよりも。まるで、ボロ雑巾のように『打ち棄てられて』いた。
 上半身を覆う布は無く、下もボロボロのズボンに裸足。
 痩せこけた身体のあちこちには痛々しい傷跡が無数に走り、傷んだ髪は手入れの様子は全く見受けられず、髭も好き勝手に伸び放題。
 ここで今まで何をされてきたか、想像に難くない様相であった。
「なぁ……そろそろ、話してもいいんじゃないか?」
 黙っていても、こんな仕打ちが続くだけだろう。
 そう言いながら、打ち棄てられた男の傍に食事を置くのは、ここの牢番だ。
 牢番が見やれば、男のその身体を戒めるものは何もない。しかし、きっと必要もないんだろう。
 こんな状態で、どうやって逃げおおせようと言うのか。
「俺からもあの人に口添えしてやるからさ。そうすれば、すこしはマトモな……」
「……駄目だ」
 牢番の言葉を遮って、男が掠れた声で言う。
「これ以上……抵抗の目を潰すわけにはいかないさ……それに」
 そうすれば、お前の立場も悪くなるだけだ。せっかく助かったんだから、わざわざそんな真似をする必要はない、と。
「……馬鹿な奴だよ、お前は」
 悲しげに牢番が呟いた。
 どうやって警備の目を掻い潜って潜入したかは知らないが、無駄と解っててもまだ抵抗を諦めきれないのか。
 それに比べて自分は。
 抵抗を早々に諦めて、家族の、村の……自分の命のために、あの騎士に隷属を誓っている。
 村にとっての裏切り者は、この男と自分たち……果たして、どちらだったのだろう。

●照らす光はより強く
「……以上が、私の予知した内容です」
 そう言葉を切るシャルロット・クリスティア(f00330)の表情は暗い。
 グリモア猟兵の察知する事件で気分の良いものもあまりないのであろうが、こう言う内容であれば、より気分が重くなるのも無理のないことか。
 とは言え、落ち込んでばかりでは話が進まない。
 シャルは自身の頬を軽く叩いて、「よし」と一声。
「それでは、今回の作戦内容を説明しますね。
 今回、皆様方に向かっていただきたいのは、ダークセイヴァーのとある山間の村落になります」
 この村は、ヴァンパイアの……正確には、ヴァンパイア勢力であるオブリビオンの支配下に置かれているらしい。
 領主の館に在留するオブリビオンの撃破。これが今回の任務となる。
「ただし、領主館の周囲には警備や護衛も配備されているようです。皆様方であれば、強行突破もできるかもしれません、が……」
 悩むような、すこしの間。意を決したのか、シャルは再び口を開いて。
「……すみません。今回は強行突破は無しでお願いします。
 警備には、無理矢理従わされている村の人々も多いようでして……今回の意図が『村の解放』である以上、彼らに少なからず被害が出るこの手法は使えないと判断しました」
 独断で、選択肢を狭めてしまい、本当に申し訳ありません。
 深々と頭を下げるシャルに、思うところのある猟兵達もいるかもしれない。
「……もちろん、他の当てがないのにこんなことを言っているわけではありません」
 顔を上げたシャルが、説明を続ける。
「村はずれの……裏山、とでも言えばいいでしょうか。そこに洞窟を利用して作られた牢があるんですが……そこに捕らえられている男性が、どうやら『警備の目を掻い潜って潜入に成功した』ようでして。
 結局、潜入した後に捕まっちゃったみたいなんですけど、彼を救出して、その手段を聞き出すことが出来れば、我々も領主館への潜入は可能だと思います」
 もちろん、その洞窟牢にも牢番や見張りはいる。
 それでも、領主館に比べたらその数は少なく、やろうと思えばその目を掻い潜ることも可能、かもしれない。
「それと……ここの牢番たちも、オブリビオンに従わされている村人たちのようです。職務には忠実ですが、心から忠誠を誓っているわけではないと思います」
 戦闘能力もそう高くはなく、ともすると説得も可能かもしれない。
「救出後の作戦は、情報を得てからまた改めてになってしまいますし、簡単なことではないと思いますが……どうか、皆様方の力を貸していただきたいのです。よろしくお願いします」
 ……あ、そうだ。準備を始める背中に、何か思い出したのかシャルは一つ声をかけて。
「……牢番や警備の人たちを……できればですけど、あまり責めないであげてくださいね。きっと、あの人たちも、ただ生きたかっただけでしょうから」
 お引き留めしました。ご武運を。
 そう言って敬礼するシャルの笑顔は、どこか悲しげであった。


ふねこ
 さんどめまして、ふねこです。
 前回ちょっとネタ気味だったので今回はシリアスです。
 年替わりに陰気なのをぶち込んでいく勇気。
 例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
 以下、補足情報です。

●洞窟牢。
 山間の横穴を利用して作られた牢屋です。周囲は木々に囲まれています。
 入口は一か所で、中には牢と詰所があります。あまり複雑な構造ではなさそうですが、いかんせん文字通り山の中なので、壁をぶち破るのはまず無理でしょう。
 見張りは入り口に一人、中に何人いるかは不明です。交代時間は不明ですが交代自体はまずあるでしょう。
 救出対象以外の囚人は今はいないようです。

 第二章以降は冒頭に軽くシーン挟んで情報出す形になると思います。
 拠点となるであろう村については、シャルやリプレイ登場外の猟兵さん達が根回ししてくれると思いますので、皆様は気にせず作戦目標に注力していただいてOKです。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『拷問地下牢』

POW   :    正面突破で拷問地下牢を破壊して重要人物を救出する

SPD   :    鍵を盗み出すなどして秘密裏に重要人物を救出する

WIZ   :    牢番や拷問吏を騙して重要人物を救出する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御手洗・花子
【影の追跡者の召喚】、『情報収集』を駆使して交代時間や警備の巡回ルート、牢屋の間取りなど必要そうな情報を予め収集し仲間と共有する。

「新しく牢番に配属されましたハナコです、よろしくお願いします」
「この人の見張りはもう子供でも大丈夫だからと配属されたのですが…」
普段の口調を辞めて普通の子供のように振りまい油断をさせ、『コミュ力』で牢番を信用させて牢番を交代してもらう。

可能ならば『催眠術』で「村にこんな娘がいたかも」などと錯覚させたりして疑念を抱く可能性を除去する。

「さて迎えに来たぞ希望の種子よ、今までよう耐えたの…今こそ芽吹きの時じゃ!」


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「洞窟牢に囚われた彼を見捨てることは出来ません」

以下の手段で救出に向かいます。
・【SPD】
・方針:夜中に潜入して救出
・UC:INVISIBLE-GHOST(インビジブルゴースト)
:自身と触れている対象の透明化

「ユーベルコードを断続的に使用して透明化しながら潜入しましょうか」
「牢のカギが無ければ作ってしまいましょうか(【鍵開け】【メカニック】【破壊工作】)。この世界の鍵であれば魔法錠以外は作れると思います」
※錠前内の凹凸の位置を電脳ゴーグルで解析し、金属を凹凸に合うようにフォースセイバーで成形し鍵を作成

(救出に成功したら)
「私に触れて下さい。それで透明化出来ます」


セロ・アルコイリス
誰も悪くなんかねーでしょ。
好きですよおれ、そーゆーの。

【SPD】
盗人ですから。
極力物陰に潜んで、足音や気配殺して隙をつきてーですね。
もし失敗する人がいるようなら『学習力』で同じ轍を踏まねーようにしますよ。

強行突破する人がいるなら、周囲を警戒してしばらくは潜んでます。

囚われの君に会えるなら、その怪我を見てなんかもやっとするかもです。
なんだコレ、知んねーココロですね。

逆に隷属を選んだヒトに会えるなら、頑張ってんなァ、と労いてーです。
あんた達が笑えるようにしてーから協力して欲しい、ってね。

(常にへらへら、アドリブは歓迎ですよ)


結城・蓮
フラウロス(f08151)と一緒に行動しよう。
久しぶりだね、血風姫。その呼び名を聞くのも久しぶりだ。
こうしてキミと組める事を光栄に思うよ。その期待に応えられるよう頑張るとしよう。

人の心は弱いものだ、裏切りを責めるべきではないよね。
守るための苦渋の選択だからね。尊重はしてあげたいかな。

さて、お願いするよ、プリンセス。
幻影の姫君を使って姿を隠して、フラウロスが注目を集めるのを待つよ。
ま、あの態度にあの容姿だ。目立たないはずがないからね。
彼女が気を引いている間に透明のまま牢番から鍵を盗み出すとしよう。
対象を助け出したらすぐに撤退だ。
説得には興味はないからね。まあ、生きていてくれたら嬉しいけど。


フラウロス・ハウレス
REN(f10083)と共に向かおう
久しいな、トリッカー。今はRENと呼ばれているのだったか?
貴様の手腕、頼りにさせてもらうぞ

それにしても……ふん、この手の裏切りの類は、管理社会には必ずあるものよな
裏切ったものを咎めるつもりはない。生きる為の手段だ、力無きものに命を懸けて抗えなどと云えようはずもない
だが、いざ叛逆が成った時、窮地に立たされるのも確かなのだ
此度は妾達が介入してしまうことがこの者にとっての不運だな

では、行くとしようか
真正面から歩み寄り、わざと当てないようにアースシェイカーを地面に叩きつけよう
くくっ……下手に動くなよ?狙いが狂っては困るからな

首尾を為したら撤退だ
長居は無用だからな


ユア・アラマート
誰だって死にたくはないんだから、そこに罪は無い
自分の行い疑問があっても、それを変えられないのなら
それこそ、私達みたいな連中の出番じゃないか

WIZ判定
艶災を利用して、牢の入り口周辺にある木々に火をつける
火事だと洞窟内に声をかけ、見張りやあわよくばその奥にいる他の見張りまで外に出して気を引かせれば、侵入しやすくもなるだろうしね

首尾よく見張り達が外に出てきたのを確認できたら、忍び足技能を使って内部に潜入
中にいる別の猟兵たちと協力して囚われている男性の救出に向かうよ
途中、中に残っている見張りがいれば至近に炎を巻かせて動きを抑制

手荒な真似をしてすまないね。これでも一応助けに来たんだ
じっとしてもらえるかな


オズ・ケストナー
早く助けてあげたいけど、木に隠れて暗くなるまで様子をみよう
そしたら交代の時間もわかるかも

交代の人と話しているタイミングで忍び込みたいもんね
そしたら中にいる人数もひとり減らせる

狼煙を用意
煙が上がる前に遠ざかる

近くで煙が上がってたら不審に思って見にこないかな
あとは反対側の茂みに石を投げこんで物音を立てたり
誰かが起こした騒ぎで見張りの目をくぎ付けにして侵入

あとは灯りを目指して静かに鍵を探すね
警備の人には会いたくないし部屋にかかってないかな
誰かが持ってても
スペアかマスターキーがあるかも

見つかっちゃったら気絶させるつもりで
ごめんね

重要人物さんには靴を持ってきたよ
手当は逃げてから、もうちょっとがまんしてね


アイシス・リデル
わたしみたいに力があるから戦ってるんじゃなくて
力がなくても、誰かを助けたくて戦ってる人たちがいるんだ
人間って、やっぱりすごいね

中に戻る人たちを対象にして、追跡体のわたしたちが洞窟の中を見てくるよ
中に何人の人がいて、どこで何をしてるか
囚人さんが洞窟の中のどの牢に捕まってるか
もし見つけたら「もうすぐ、出られるからね」って声を掛けておくね
わたしは洞窟の外で他の猟兵の人たちにそれを伝えるよ

もし見つかっちゃった時は、お話で少しでも〈時間稼ぎ〉してみるね
……本当に訊きたいことでも、あるから

「ねえ、今のままで本当にいいの?」
「……そっか。あなたも誰かを守りたくて、必死に戦ってるんだね」
「でも、もう大丈夫だよ



●反撃の靴音
「そろそろ時間?」
「うん、ちゃんと調べてきたから、間違ってないよ」
「わしの方も確認しておる。大丈夫じゃ」
 周囲の木々の隙間から、洞窟牢の様子を伺う猟兵達。
 既に日は落ちて、周囲を照らすのは、月と、星と、洞窟の入り口にかかっている篝火くらい。
 周囲は静かなものだ。風で草木が揺れたり、時折虫の鳴く声こそすれど、それ以外の音はほとんどない。
 当然だ。当のオブリビオン以外で、誰が好んでこのような場所に近づこうと思うだろうか。
「交代の人と話しているタイミングで忍び込みたいもんね……」
 早く助けてあげたいという気持ちを何とか抑え込みつつ、オズが呟く。
 ……今回の作戦は、一度始まってしまえば、止まることはできない。
 どれほどスムーズに、密やかに救出が成功したとしても、いつかは『囚人の脱走』と言う結果が、必ずオブリビオンの耳に届くことになる。
 そうなれば、敵の警戒度も上がるし、何より、牢に関わっていた村人たちがどのような目に遭うことか。
 だからこそ、事前の情報収集を猟兵たちは重視していた。
 御手洗・花子とアイシス・リデル。
 影の追跡者と、ブラックタールの身体を分裂させて生み出した小さな分身。
 メカニズムこそ違えど、隠密性の高い分身に、中に入っていく食事係をつけさせてあらかじめ内部情報を獲得することに成功していた。
 間取り、人数、目的の牢の場所、交代時間。
 そして、その情報が正しければ、そろそろ交代時間の筈である。
「んじゃ……すまないですけど、次の見張りはあんたの代わりにこの嬢ちゃんにやってもらうんで」
 牢を伺う猟兵達の横で、やや場違いに軽い声色。
 片手でダガーを弄びながら、みすぼらしいなりの男に声をかけているのは、セロだ。
 もちろん、武器を見せてはいるものの、実際に傷つけるようなつもりはない。
 ただ、目の前の男……本来、次の見張りに立つ予定だった村人に「頼むから静かにしててくれよ」と言うだけの意思表示である。
「……しかしまた、仕事熱心で頑張ってんなァ」
「……嫌味のつもりか……?」
「まっさか。本心ですよ本心」
 あんた達が笑えるようにしてーだけですよ。
 そう言うセロの表情は相変わらずへらへらしたままで、対する村人の表情は固い。
 この男、どこまで冗談でどこから本気なのか。得体のしれない相手に不機嫌さを隠しきれない様子である。
「ねえ、今のままで本当にいいの?」
 そんな村人に、アイシスが問いかける。
 このまま隷属を続けて、本当にそれでよいのか、と。見上げてくる、無垢な橙の瞳に、村人は視線を合わせることができないでいた。
「誰だって死にたくはないんだから、そこに罪は無いさ」
 返答に詰まった村人の代わりに、後ろから答える声があった。
「ユアさん」
「それに。自分の行いに疑問があっても、それを変えられないのなら……」
 それこそ、私達みたいな連中の出番じゃないか。
 そうだろ?とアイシスに片目をつぶって見せるユア。
「……そうだね。この人も誰かを守りたくて、必死に戦ってるんだね」
 猟兵達のように力があるわけではない。
 力が無いなりに、どうすれば生き延びられるのか、どうすれば自分を……誰かを助けられるのか。
 この隷属は、ある意味その選択の結果とも言えるのかもしれない。
 ……けど、もう大丈夫だよ。
 そう言って笑うアイシスの言葉を否定するものは、誰もいない。

「新しく牢番に配属されましたハナコです、よろしくお願いします」
「ハナコだと?そんな話は聞いていないが……」
「この人の見張りはもう子供でも大丈夫だからと配属されたのですが……」
 改めて。本来の見張りの代わりに、文字通りの見張り『役』を買って出た花子が、入口で今まで立っていた見張りと話している。
 予定と違う人物、それも見慣れない少女に最初は疑念を抱いていた見張りも、いかにも普通の少女と言った風貌の花子を無下にすることもできず、花子の話術もあって少しずつ信用していっているのが、遠目に見てもわかる。
 そう、その彼女の姿を、遠目に見ている猟兵達が、そこには何人もいる。
 たとえば、幼い外見に似合わぬ高圧的な物言いのダンピールに、奇術師然としたキマイラの二人組。
 フラウロス・ハウレスと結城・蓮の二人組。
「トリッカー……いや、今はRENと呼ばれているのだったか?貴様の手腕、頼りにさせてもらうぞ」
「光栄に思うよ。久しぶりに血風姫と組むんだ、その期待に応えられるよう頑張るとしよう」
 それ以上の言葉は要らない。こいつなら大丈夫と言う信頼感。
 気の置けない間柄特有の会話を済ませて、フラウロスは後ろに控える仲間にもまた振り返って。
「貴様らも。準備は出来ているな?」
「いつでも。任せておいてくれ」
「わたしも大丈夫。いつでもはじめられるよ」
 控えていたユアとオズが同時に応じて。
 フラウロスはその様子に満足げに頷くと、まだ会話を続けている花子たちの方へと向き直る。
「頃合いだな……では、行くとしようか」
「あぁ。お願いするよ、プリンセス」
 隠れるでもなく、堂々とそこに向かって歩を進め始めるフラウロスを見送ったその直後、蓮の姿が掻き消えた。
 本人曰く、タネも仕掛けもない消えるマジック、『幻影の姫君(プリンセスイリュージョン)』。
 そして、彼女だけではない。蓮以外にも、その周囲には同じように、透明化のユーベルコードを発動した猟兵の気配が、何人もある。
 そんな後ろの様子をもはや気に留めることもなく、フラウロスは進み出る。
 何者だと槍を構える見張りと、怯えた様子(無論、こちらは演技だが)を見せる花子。
 その様子に、フラウロスはニヤリと口の端を上げて。
「(この手の裏切りの類は、管理社会には必ずあるものよな)」
 裏切ったものを咎めるつもりはない。生きる為の手段だ、力無きものに命を懸けて抗えなどと云えようはずもない。
 だが、いざ叛逆が成った時、窮地に立たされるのも確かなのだ。
「(此度は妾達が介入してしまうことがこの者にとっての不運だな)」
 じりじりと狭まる距離。見張りも構えこそしたものの、その意図が読めない行動に困惑している様子が見て取れる。
 そんな相手に、ただ一言。「下手に動くなよ」とだけ言葉を落として。
 フラウロスは、地面に自身の拳を叩きつけた。
「なッ……なんだ、この娘は!?」
 見張りの口から驚愕の言葉が漏れる。無理もない。
 拳を叩きつけられた地面に、轟音と共に小さなクレーターが生み出される瞬間をその目で見てしまったのだから。
 その驚愕も冷めやらないうちに、事態は次々に動き出す。
 目の前の森が、燃え始めたのだ。
 どこか艶かしくも禍々しい紫の炎があちこちに燃え広がり、辺りからは煙が立ち上り始める。
 炎はユアの『艶災』と呼ばれる魔術の火、煙はオズが用意した狼煙であるのだが、そんなことは見張りには知る由もない。
 火事だ!敵だ!敵襲だ!!
 見張りの大声が響き、にわかに洞窟の奥が騒がしくなっていく。
「私、奥に連絡してきます!」
 そう言って駆け出していく花子を疑うような余裕は、もはや無い。
 ならば長居は無用と、フラウロスは踵を返す。
 目的は攻め込むことではなく、誘い出すこと。バタバタと飛び出してくる牢番たちを一瞥すれば、目的を為せたことは明白だ。
 あとは、入口から引き剥がすのみである。
 首尾は為した。
 駆けていく牢番たちの背後。忍び込む猟兵達に気付くものはいない。

「全員誘い出せましたかね」
「いや、先に確認したらあれよりも多かったはずじゃ。おそらくまだ数人ほどは残っているじゃろう」
「なら、そっちは私が行こう。抑制しておく」
 手荒な真似にはなるが、一応助けに来ているんだ。じっとしていてもらおう。
 二手に分かれた路を、ユアは詰所へ。残りのものは牢へと分かれ。
 目的の場所は、あらかじめ探りを入れてあったこともあってすぐに知れた。
 古ぼけた、分厚い木の扉だ。中の様子は窺い知れない。
 一件ボロそうにも見えるが、触ってみると存外に頑丈で、密閉もしっかりとされた作りなのがわかる。
 力ずくでの破壊も不可能ではないだろうが……。
「鍵は……流石に、そのあたりにはかかってない、かな」
 きょろきょろと周囲を見渡すオズだが、少なくとも見える範囲にそのようなものは見当たらない。
 となれば、やはり誰かからスペアかマスターキーか何かを盗むしかないか……。
「なら、ボクが盗ってこようか?」
「いえ、その必要はないですよ」
 透明化したままの蓮の声にこたえるのは、やはりこちらも声だけ。
 同様に透明化して潜入していたもう一人の猟兵だ。
「牢のカギが無ければ作ってしまえばいい。この世界の鍵であれば魔法錠以外は作れると思います」
 そう言って姿を現した、短髪の青年……クネウスは、額の電脳ゴーグルを被ると扉にかかった錠前を手に取って。
「スキャニング開始……形状記録、解析……よし。魔法による処理も無さそうですね」
 言うが早いか、どこからか持ち込んだのであろう金属片を取り出して、フォースセイバーで成形を始める。
 ジジ……ジジ……と、火花が散る音。
 一から作成などと悠長な、と思うかもしれないが、しかしその動きは素早く、正確だ。
「文明の利器はすごいですねぇ」
 俺も覚えよっかな、など言っているセロを横に、瞬く間に形を成していく即席の鍵。
 はたしてそれは見事に鍵穴と合致し、乾いた音を立てて開錠を為した。

「ひどい……」
 空いた扉の奥の光景を見て、思わず漏らしたオズ以外も、感じた印象はきっと一緒だったことだろう。
 この洞窟牢はもともと、葡萄酒を熟成させるための蔵だったという。
 なるほど、確かに日光も無く、涼しく湿度もある洞窟は熟成に最適だったに違いない。
 だが、葡萄酒の方向の香りは血と汚物の悪臭に上書きされ、樽が並んでいたであろう棚には痛々しい拷問具が置かれ、中に居るのはワイナリーなどではなく、ボロボロになった囚人だ。
「(なんだコレ、知んねーココロですね)」
 喜怒哀楽の中で、『喜』の感情しか理解できぬセロですら、そう心に引っかかるほどに。
「迎えに来たぞ希望の種子よ、今までよう耐えたの」
 今こそ芽吹きの時じゃ。
 口調を戻した花子にそう呼びかけられた囚人の男とて、外で何やら慌ただしい物音は聞こえていた。
 だが、まさか自分を助けに来たとは露ほども思っていなかったのか、その表情には困惑の色が見て取れる。
「靴を持ってきたよ。手当は逃げてから、もうちょっとがまんしてね」
「あ、あぁ……。……君たちは、いったい……?」
「同志です。詳しい説明は後で」
 オズが差し出した靴を受けとりながらも問いかける彼の言葉を、クネウスが遮る。
 そう。自体は刻一刻と変化している。あまりのんびりしている暇はない。
「私に触れて下さい。それで透明化出来ます」
「透明化……?いったい、どうやって……」
「いいから早く」
 男としても解らないこと、気になることはいくらでも湧いて出てきていることだろう。
 それでも急を要する状態であることはわかりきっていた。疲弊しきった頭でも、そこまでの判断力はまだ失われていなかったらしい。
「もう大丈夫!ユアさん!」
 わかった!
 分かれ道のもう片方、呼びかける声にちゃんと返事があったことに安堵しながら、猟兵達は出口へ急ぐ。
 洞窟の外に広がる空は、まだ夜明けには遠い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

オーランド・ブルターニュ
……許せんな。
ああ、無辜の民が悲哀に暮れるなど……あってはならないのに。

隠密活動や詐称の類はあまり得手ではありません、正面で陽動に回りましょう。
盾で押したり威圧することで見張りを洞窟の中へと後退させ、入口に陣取り【無敵城塞】で私の体で蓋をします。
これは、単なる私の矜持に過ぎませんが……騎士とは護るもの、そう在りたい。
故に、村人たちには剣を抜かず、外を向くように入口を塞ぎ交代の人員が来ないかを見張りましょう。
当然、中の従わされた村人は背を向けた私を害するでしょうが、【無敵城塞】を使い【激痛耐性】もある私なら耐えられる筈。

騎士の汚名は騎士が雪ぐ。必ず。
だから、どうか……黙って我々を見送って下さい。



「なんだったんだ、あいつらは……」
「それよりも、どうするんだよ……あいつ連れていかれちまったぞ……」
 洞窟内の詰所。
 今の今までユアが脅かして動きを止めていた、屋内に残っていた牢番たち。
 一瞬の……ほんの一瞬の、嵐のような出来事を後に、これからどうすればいいのかと顔を見合わせて。
「やっぱり、あいつら本気で……」
「どうする……?本当に、俺達を助けてくれると思うか……?」
 あの者たちに、自分たちを害為すつもりが無いのは彼らにも伝わっていた。
 助けてくれるのか。信じていいのか。
 隷属と共に捨ててしまった希望を、また抱いても良いものなのか。
 ……だが、もしそれも上手くいかなかったとしたら?
 そうなったら、俺達はどうなってしまうんだ?
「く、くそ……っ!」
 その中の一人が、怯えた様子で槍を手に立ち上がる。
「おい、どこに行こうってんだよ!?」
「決まってんだろ!?あいつらを追いかけて、どうにか連れ戻さねぇと……!」
 このまま逃がして何か行動を起こされたら……。
 いや、『脱走された』と言う事実をもし知られてしまったら。
 みすみすそれを許してしまった自分たちは、一体どうなってしまうのか、想像したくもない。
 同僚の静止を振り切って、牢番は入口へと駆ける。
 だが、牢番が外に出ることはかなわなかった。
 入口に、誰かが立っている。
 プレートメイルを身にまとった騎士。だが、『あの人』ではない。あのマントの紋章は見覚えのないものだ。
 何故分かったのか?
 単純だ。その男が、背を向けていたからだ。
「だ……誰だ、お前は!?お前もあいつらの……!?」
 牢番の言葉に、騎士は背を向けたまま首肯で返す。
「ど……退けよ!退かないと、刺し殺す!本気だぞ!?」
 槍を構えて宣告しても、騎士は動かない。構えすらもしない。 
 痺れを切らした牢番がついにその槍を突き出しても、彼は微動だにしない。
 その槍が、鎧を貫くことも叶わない。
「これは、単なる私の矜持に過ぎませんが……騎士とは護るもの、そう在りたいのです」
 故に、私はあなた達に剣を抜きません。
 いくら槍で突こうとも痛がる様子すら見せない騎士は、怯える子供をなだめるかのような声色で、そう告げた。
「お、お前は……?」
「騎士の汚名は騎士が雪ぐ。必ず」
 だから、どうか……黙って我々を見送って下さい。
 ついに槍を取り落とした牢番の問いに答えることもなく、騎士は兜の奥の翠の瞳を少しだけ向けて、そして木々の奥へと消えていく。
 木々の合間を抜けて行くそよ風が、彼の深緑のマントを優しく靡かせていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●潜入
 村の中心にある、大きな井戸。
 そこにかけられた梯子を下った猟兵達が見たのは、ところどころ煉瓦や木材、石材で補強が施された大きな洞窟であった。
 足元にはさらさらと清涼な水が川のように流れていき、その上流は視界の外まで続いている。
 そしてその奥にはちらちらと赤い光が灯り、どこか不快感を想起させるうめき声が聞こえてくる……。

「地下水道?」
 とある民家の一室で、囚人だった男は手当てを受けながら、猟兵の問いに「そうだ」と頷いた。
「この村の地下では、山の湧水が地面をくりぬいて、川のように流れている。俺達はそこに少し手を加えて、天然の上水道として利用しているんだ」
 昔はその水を組み上げて葡萄酒なんかもよく作っていたらしいんだが……今ではこんなさ。男の渇いた笑いに応える声は無い。
「……すまない、昔話は置いておこう。
 とにかく、その地下水道には中央の井戸から行ける。そして、その水を組み上げる場所はそこ以外にもあって……その一か所が、領主館の裏手に出てるのさ」
 そう言って、地下水路の地図を広げて。
 警備網の内側だ。ここに出ることが出来れば、警備を掻い潜って潜入することも可能になる。
 だが、そのような明確な抜け道を、なぜ敵は放置しているのか?
「簡単さ。……奴は、ここを抜けることは不可能だと思っているんだよ」
 どういうことだと問う猟兵に、男は言う。
「奴は、亡者どもを蘇らせて、地下水道に放ったのさ。
 抵抗しようとした連中、見せしめに殺った連中、戯れの加減を間違えて死んじまった連中……。そんな死体を、地下に捨ててついでに警備代わりにしてるんだ」
 俺も、一歩間違えればあいつらの仲間入りだったかもな。
「だが、そいつらさえいれば他には要らないと奴は思いこんでる。
 ここを抜ける力さえあれば、警備の連中に気付かれずに中に入ることは可能なんだ。
 俺は、奴らを掻い潜ることはなんとかできたが、そこで力尽きて捕まっちまったが……」
 あんたたちの力なら、亡者の群れを抜けて、奴を倒すことも可能かもしれない。
 どうか、頼む。
 男はそう言って、猟兵達にぼさぼさの頭を下げるのだった。
伝農・エルナちゃん
「先陣はわちきに任せて貰おうかの」
相手の篝火が厄介じゃ。
特に篝火が触れた相手の行動を予測するというのが尚の事厄介じゃな。
対策として「1」の飛燕剣の3本ほど侵入前に召喚、その先端にかなりの光度の懐中電灯を取り付け、斜め前2箇所と後方から照らさせることでわちきの周囲の影を完全に消す。
あちきは動かず「2」の7本の飛燕剣を敵陣に殺到させ、自動追尾で先制の連続攻撃を仕掛けさせるのじゃ。
ある程度牽制が出来たら、後ろに下がり、先の懐中電灯で後方から来る味方を照らしてそれの影も消すことでフォローするのじゃ。
「これが文明の利器じゃ、お前さんらには理解できんじゃろうがな! ぐっふっふ!」

※アドリブ、協力など大歓迎


クネウス・ウィギンシティ
「死者を辱めるとは......せめてもの供養として、安らかな眠りあれ」

以下内容で攻撃します。
・【SPD】
・UC:FORTUNA
・技能:一斉発射・先制攻撃(UC)、スナイパー・暗視・援護射撃(地下水路内誤射防止)
・敵UC対策として『対象の攻撃を予想し、回避』しても
 対応仕切れない弾幕を掃射しつつ
 ガトリングガンの『マズルフラッシュ』で影を打ち消します。

(他の味方に向けて)
「この地下水路は狭いですが、誤射の心配はありませんよご安心を」

(UC発動時)
「CODE:FORTUNA。運命の女神よ、彼の者らに救いを与えたまえ」

(敵UC対策)
「光あれ。
 銃器のマズルフラッシュですが、篝火よりは強い光ですね」


結城・蓮
今回もフラウロス(f08151)と。
水道って事は泳ぐわけか。キミは流れる水は大丈夫だったかな?
大丈夫なら良い。無茶はしないでおくれよ?

ま、今回はアレコレ策を練らなくても良いかな。
あ、大穴あけるのは止めておくれよ。生き埋めにはなりたくないからね。
それじゃ行くよ、プリンセス。

敵を見つけ次第強襲を仕掛けよう。
仕込み糸で敵を絡め取って拘束するよ。
ほら、獲物だ。存分に狩っておくれ。
フラウが倒したら次の敵へ。撃ちもらしがいるならそのまま背後から【だまし討ち】といこうか。

さあ、食前の肩慣らしは十分かな?
メインディッシュまでは止まれないからね。


フラウロス・ハウレス
此度も蓮(f10083)と共に往こう。
ふん、妾を甘く見るでないわ。この程度障害にもならぬ。
一番槍、頂いていくぞ!

この程度の雑兵、力任せにすり潰して……何?
ああ、地下でクレーターを作るな、と。仕方ないな。
やれやれ、気兼ねなく暴れたいものだな!

亡者を見つけたら遠慮なく襲い掛からせてもらおう!
このままではフラストレーションが溜まってしまいそうなのでな!
蓮の絡め取った亡者を一太刀の元に切り捨ててくれよう。
我が血を喰らい唸れ黒爪!派手に食い散らかしてくれる!!

ふん、腹ごなしにもならぬな。
まあ良い、このまま突っ切るぞ。
我が楽しみはこの先にしかないからな!!



●煌々たれ
 パチパチと、火花の散る音がいやに大きく聞こえる。
 壁にかかった篝火の明かりが、水面に反射して煌めいている。
 それはある意味、幻想的ではあったかもしれない。
 だが、そんなことを感じている心の余裕などは無い。
 ぱしゃり。照り返した水面の灯を踏み抜いて、水飛沫を置き去りに、猟兵は駆ける。
「浅いおかげで泳がないで済むのはありがたいけど……キミは流れる水は大丈夫だったかな?」
「ふん、妾を甘く見るでないわ。この程度障害にもならぬ。一番槍、頂いていくぞ!」
「おっと、先陣はわちきに任せて貰おうかの」
 その最前列。
 奇術師と姫君を、その外見に見合わぬ雄々しい声で制するのは、和装の少女。
 彼女……エルナちゃん(ちゃん付け必須)の周囲には、眩い光を放つ刃がいくつも浮遊している。
 そのおかげか、元々篝火で照らされているとはいえ、地下でありながらも猟兵の周囲は昼の屋外かと思うほどに明るい。
 亡者は、篝火の影を見る。
 ならば、別の光で影を消せばいい。なるほど、わかりやすい理屈だ。
 では始めるか、と姫君……フラウロスは指の関節を鳴らし。
「この程度の雑兵、力任せにすり潰して……」
「あ、大穴あけるのは止めておくれよ。生き埋めにはなりたくないからね」
「ああ、地下でクレーターを作るな、と。仕方ないな……」
 相方である蓮に釘を刺され、ため息をつく。
 気兼ねなく暴れたいところでも、自分たちの被害は元より、ここは村の生命線でもあるのだ。迂闊に破壊するわけにもいかない。
 そうこうしている間に、たむろしている亡者には、既に輪郭がはっきりわかるほどに接近している。
「先手必勝じゃ!ゆけぃ飛燕剣!!」
 あちきのオート剣舞、避けてみろなのじゃ!
 エルナちゃんの号令と共に、光源となっている三本とは別の刃が、亡者の群れに襲い掛かる。
 その数、七。
 亡者とて、それが見えていなかったわけではないだろう。
 しかし、影も出来ないほどの光量に晒されては目が眩むのも致し方ない話。
 次々と串刺しにされ、どす黒い血が流れだす。
「読み通り、動きが鈍いようじゃな。さぁ、牽制はしてやったぞ!」
 これが文明の利器じゃ、亡者どもには理解できんじゃろうがな!
 ニヤリと不敵に笑って見せるエルナちゃんを追い越すように、蓮とフラウロスの二人が前へ出る。
 先制攻撃で敵陣は崩れた。ならば一気に畳みかける。
「これは本業じゃないんだけど……これが見えるかな!」
 先んじて仕掛けるのは蓮の側。
 指先から放たれるのは細いなれど強固な絃。
 八つ裂きにできるような代物ではなくとも、相手を絡めとって動きを封じることはできる。
 光の下で動きが鈍っている現状であれば、猶更容易いことだ。
 手近な相手を次々と絡めとって、動きを止めてさえしまえば。
「ほら、獲物だ。存分に狩っておくれ」
「ならば、遠慮なく襲い掛からせてもらおう!」
 その末路は、決まっている。
「我が血を喰らい唸れ黒爪!食い散らかしてくれる!!」
 血を啜る漆黒の凶刃『黒爪』。それを駆るは慈悲なき血風姫。
 引き裂く。
 抉り取る。
 食い破る。
 次々と倒れ伏す亡者たちだが、ただ黙ってやられてばかりというわけでもない。
 その『目』を果たすことは最早無いにしても、手にしたその篝火は武器でもあるのだ。
 蓮の仕込み糸を逃れた亡者が、フラウロス目掛けて篝火を振りかぶり……。
「......せめてもの供養として、安らかな眠りあれ」
 矢継ぎ早の発砲音と共に、幾つもの風穴から血を噴き、倒れ伏す。
 音を辿った先に立つのは、ガトリングガンを構えたクネウスだ。
「ふん、この狭い場所でよくやる」
「誤射の心配はありませんよ。ご安心を」
 彼の言う通り、前線に立つ者達には銃弾は掠めすらしていない。
 銃の性能もさることながら、彼の力量だからこそ為せる業と言えよう。
「銃器のマズルフラッシュですが、篝火よりは強い光ですね」 
 光あれ。
 死者を辱めたオブリビオンへの怒りを、亡者への祈りへと変えて、クネウスはガトリングガンを構え直す。
「CODE:FORTUNA。運命の女神よ、彼の者らに救いを与えたまえ」
 連続射撃プログラム、起動。
 砲身が火を吹くたびに、亡者は倒れ伏し、流れる道を赤黒く染め、そして奥への道は開かれていく。
「さあ、食前の肩慣らしは十分かな?メインディッシュまでは止まれないからね」
「腹ごなしにもならぬな。まあ良い、このまま突っ切るぞ」
 我が楽しみはこの先にしかないからな、と、蓮と共に道の先を見据えるフラウロス。
 未だ道半ば。目指す先は、まだ遠い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

琶咲・真琴
おじさんの頑張りを無駄にはしないのです!

亡くなった人を蘇らせて
駒にするなんて
ヒドイのです

亡者さんたち
ボクたちが今、助けますからっ!

familia pupaからサイキックブラストの光線を範囲攻撃で放つ
その後に烈槍葵牙でなぎ払いの2回攻撃を行う
すべての攻撃にフェイントを入れる

「ゴメンなさいです
できる限り
痛い思いをさせずに倒させていただきますからっ

篝火が造る影に極力触れないようにしながら
敵の攻撃を第六感・聞き耳・視力を駆使して回避や防御を行う

苦戦や孤立、深手を負っている猟兵がいたら
familia pupaの光線で牽制などの援護に回る

自身も敵に囲まれて孤立しないように注意する


アドリブ歓迎


オズ・ケストナー
この中にいるのはみんなこの村のひとなんだね
早くねむらせてあげよう

地下水道をどんどん進んでいくね
だいじょうぶ、みんないるから

蒸気を噴出する斧で速攻を狙い
ガジェットショータイム
痛くないといいけどな

痛がったら
ごめんね、すぐに決着をつけるよ

回避されちゃうなら【フェイント】【時間稼ぎ】を使って
攻撃が通りやすくするね
他の人にも今のうちに攻撃してもらおう
シュネー、今回もよろしくね

やっぱりシュネーはたよりになるね

ぜんぶぜんぶ終わってきれいになったら
またぶどう酒作りができるようになるかな
ここを教えてくれたとき、あの人笑ってたけどかなしそうだった

早くオブリビオンをたおして安心させたいな
みんな、ちゃんと笑えるように



「この中にいるのは、みんなこの村のひとなんだね……」
「亡くなった人を蘇らせて駒にするなんて、ヒドイのです……」
 凄惨だった。
 先に往った者たちの所業ではない。
 戦いなのだ。ある程度の傷や惨さは致し方ない。
 それは別にいいのだ、問題はそれではない。
 まっとうな生者であれば間違いなく致命傷であったはずのそれ。
 それらを受けても、亡者たちはまだ、眠ることは許されない。
 むくり。
 むくり。
 身体を力なく揺らしながら立ちあがる亡者たち。彼らに、未だ安息は無い。
 まだ動く亡者が、彼らをまた動かすのだ。
 お前だけ休むなど認めない、とでも言わんばかりに。
 先へ進むだけであれば、全部相手にする必要はないだろう。
 だが、それでは彼らは止まらない。
 止めるには、二つに一つ。すべて残らず仕留めるか、動かなくなるまで倒し続けるか、だ。
「……早くねむらせてあげよう」
「はい……!亡者さんたち……ボクたちが今、助けますからっ!」
 同じアトリエに居を構えるもの同士。きっと思うことも一緒だっただろう。
 オズと真琴。
 種族も職能も違えど、各々が傍らに寄りそう人形たちと共に、亡者たちと対峙する。
「お祖父ちゃん!お祖母ちゃん!」
 先に動いたのは、真琴の側。
 呼び掛けるのは、片翼の人形たち。放たれるは眩い電雷。
 水面を走った電撃が、亡者たちの動きを止めていく。
「ごめんね……」
 電気によるただの痙攣なのだろうが、ビクビクと体を震わせる亡者の姿は痛々しい。
 オズはそんな様子に目を伏せるが、それも一瞬の事。
 せめて、一瞬で。痛くないようにと、手にした戦斧を振りかぶって。
 叩きつける。ぐしゃりと、耳障りな音と共に手に伝わる、肉を潰した確かな感触。
 罪悪感は、ある。だが。
「ゴメンなさいです……できる限り、痛い思いをさせずに倒させていただきますからっ!」
 そんなオズの内心を代弁するかのように、真琴が薙刀を手に駆ける。振るい、切り裂いて、倒していく。
 その姿を見やりながら、オズは思う。
「(ぜんぶぜんぶ終わってきれいになったら、またぶどう酒作りができるようになるかな)」
 脳裏に過ったのは、囚われていた男の顔。
 確かに彼は笑っていた。だけれど、その顔は、幸せとは程遠い、哀しそうな顔だった。
「(早くオブリビオンをたおして安心させたいな……みんな、ちゃんと笑えるように)」
 そのためにも。
「いこう、シュネー」
 傍らに立つ『姉』に声をかけて。
 オズは再び、斧を握る手に力を込めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユア・アラマート
慢心のおかげでつけ入る隙があるのは助かるね
だが、これっぽっちも気が晴れないな

SPD判定
ダッシュ技能で素早く駆け、敵の作る篝火の影に踏み込まないように留意しながら接近
撹乱と同時、此方に気を引かせることで他の仲間が攻撃をしやすいようにすることも心がける

暗殺技能で素早く死角に回り込み、装備しているダガーで攻撃
此方の行動が読まれて回避された際は、その場で2回攻撃技能を利用した連撃を仕掛けて回避後の隙を突く

……おやすみなさい。よく眠れ
私達は、この刃を本当に向けるべき相手の元へ行かなくてはいけないんだ
せめて、もう悪夢を見ないようにしてやることしかできないのが
なんとも歯がゆいね


御手洗・花子
「油断してるだけなのなら良いのじゃが」
確かに亡者は厄介だが…これを打破できる存在こそ敵にとっては驚異となりうる存在であろう。
仮にその可能性を考慮していた場合、地下水路のみ警備に穴を開けておくのはその驚異の侵攻ルートを絞り込む事でもある。

念の為に『長谷川さん』との同化を深め、その瞳と影髪の特性を駆使し地下水路に罠や監視はないかを探っておく。

亡者との戦闘はサモニング・ガイストで『長谷川さん』の眷属を召喚し、眷属と自分で亡者一体を挟み撃ちする形で攻撃していく。

一方の攻撃を防がれても、もう一方が攻撃を当て確実に削っていくのを狙う戦術、味方との連携が取れれば積極的に狙い一体ずつ確実に仕留めていこう。



「慢心のおかげでつけ入る隙があるのは助かるね」
「そうじゃの……油断してるだけなのなら良いのじゃが」
 進行は順調であった。
 光源で動きを鈍らせ、一気呵成に仕留め、道を切り拓く。
 猟兵達の戦いに、危なげは一切感じられない。
 だが、そこに花子は一抹の不安を感じていた。
 どういうことだと、隣を歩くユアが問えば
「確かに亡者は厄介だが…これを打破できる存在こそ敵にとっては驚異となりうる存在であろう。
 仮にその可能性を考慮していた場合、地下水路のみ警備に穴を開けておくのはその驚異の侵攻ルートを絞り込む事でもある」
「これが罠かもしれないと?」
「可能性の話じゃがな」
 そう、あくまでも可能性の話だ。
 現に、自らのUDCとの同化を深めた花子は先ほどから油断なく周囲の警戒に当たっているが、少なくとも現時点で罠や監視の類は見当たらない。
 考えうる可能性は、二つ。
 本当に無警戒なだけなのか、この先に何かが待ち受けているか。
 しかし、今いくら考えても結論は出そうにない。
 今は目の前の事に集中するしかあるまい。そう花子は結論付けて。
 見れば、動いている亡者はその数をかなり減らしている。
 先陣を切った者たちの奮戦のおかげであろう。
 動ける亡者が少ないということは、復活速度も落ちているということで、残りは各個撃破で十分だ。
「仕掛けるぞ」
「あぁ」
 言葉少なに散開し、手近な亡者から片付けていく。
 一般人には個々でも十分な脅威だろうが、場数を踏んだ猟兵にしてみれば、動きの鈍った亡者の脅威など数だけでしかない。
 花子とその眷属が牽制し足を止め、注意が逸れたところにユアの短刀が亡者の心臓を抉り取る。
 この繰り返しだ。もはや造作もない。
 楽な仕事だ。
 だが、ユアはその手ごたえに何の達成感も抱けない。ただ、もやもやとした何かが燻るだけだ。
「(なんとも歯がゆいね)」
 自分たちが彼らにできることと言えば、せめて、もう悪夢を見ないようにしてやること……。……こうして『もう一度殺すこと』くらいなものだ。
 それが、無力感として重くのしかかってくる。
「……おやすみなさい。よく眠れ」
 私達は、この刃を本当に向けるべき相手の元へ行かなくてはいけないんだ。
 それらを振り切るように、彼女たちはもう動かない亡者たちに背を向けて、先を行く。
 その視界の先には、仄かな月明かりに照らされた梯子が見えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイシス・リデル
ふへへ。こういう暗くて、冷たいところは慣れてる、よぉ
不意打ちされないように燈火の瞳で暗いところを照らしながら、進んで行くね

敵と遭ったらちゃんと戦うけど、それよりやりたい事があるの
まだ亡者になってない死体や、亡者から元に戻った死体を見つけたら、収集体のわたしたちで可能な限り回収していく、ね
こんなところに死体なんて疫病の元だし、亡者が増えるのも防げるし
それに何より

「……あなたたちも、こんな風に利用されるのは嫌、だよね」
「うん、もう大丈夫だよ。わたしたちが連れていってあげるから」

帰ったらちゃんと弔ってもらえるよう、村の人たちにお願いするね



「見つけた?」
「見つけた、見つけたぁ」
 地下水路の戦闘は終わった。
 銃声も、肉を引き裂く刃の音も、亡者の呻き声も、もはや聞こえない。
 さらさらと、赤黒く染まった水がただ流れゆくだけ。
 その中を、黒い何かがうぞりうぞりと蠢いている。
 小さなブラックタールたち。
 篝火にも似た橙の瞳がちろちろと辺りを照らしながら、静かな水路を進んでいく。
 その視線の先にあったのは……二度目の死を与えられた、村人たちの成れの果てであった。
「……あなたたちも、こんな風に利用されるのは嫌、だよね」
「うん、もう大丈夫だよ。わたしたちが連れていってあげるから」
 黒く小さな少女たちは口々に語りかけ、亡骸を運び出していく。
 薄汚いトッシャー(どぶさらい)と人は言うかもしれない。
 だが、これはきっと、誰かがやらなきゃいけない大事なこと。だからわたしが。わたしたちが。
 すべてが終わったとき、ここはきっと、再び村人たちの水源として使われることになるだろう。
 疫病の元になっては大変だし、再び亡者となって人に害をなすなどもってのほかだ。
 それに何より。
「ちゃんと弔ってもらえるように、お願いしてあげるからね」
 だから、どうか安らかに。
 うぞり、うぞり。
 心優しい小さなトッシャーの仕事は、すぐには終わりそうにない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鎧を染める紅は
 梯子を上って出た先は、領主館の庭だ。
 周囲に人の気配はない。
 警備の者たちがいるのは、目の前の塀を隔てたその外側だろう。
 静かなものだ。
 オブリビオンのすべてがそうだということは無いだろうが、
 所詮は過去の厄災が再び形をとっただけのものである彼らは、食事や身の回りの世話など不要。
 少なくとも、ここに根付く者はそう考えているらしい。
 そこまでに人が少なすぎる。
 不気味なほどに静かな様に一抹の不安を感じながらも、猟兵達は館に入っていく。

「何やら胸騒ぎがして起き出してみれば、珍しい客もあったものだ」
 ホールの中心に、彼はいた。
 漆黒の甲冑に身を包み、値踏みするかのように紅の瞳を猟兵達に向ける。
「村の者ではないな。……成程、前の潜入は警備の誰かが手引きしたかと思っていたが……となれば、地下水道を抜けてきたか?」
 くく、と黒騎士は喉の奥を鳴らす。
 館への侵入を許したというのに、その声色はどこか楽しげだ。
「丁度いい。近頃は碌な抵抗も無かった。拷問も飽きていたところだ。
 あれを抜けてきたのであれば、それなりの手練れなのだろう、貴様等」
 楽しませろよ?
 騎士はそう言うと、ゆっくりと剣を鞘から引き抜いた。
結城・蓮
今回もフラウロス(f08151)と
ふふ、此処まで来たら最後まで付き合わせてもらうよ、プリンセス

此処まで来たら多くは語るまいよ
さあ、往こう血風姫。引導を渡してやろうじゃないか

真の姿を解放し、鏡像を出現させて、波状連携攻撃を仕掛けるよ
片方が炎熱の手札で気を引いている内にもう片方で【だまし討ち】をしかけたり、同時に炎熱の手札を放ったり
トドメは二人で同時に拘束をした所にフラウの一撃を入れてもらう形にしようか
ちゃんと狙ってくれよ、痛いのはごめんだからね!

さて、こいつを片付けたところで、最初に裏切っていた彼が果たして無事に暮らせるのか……ちょっと心配ではあるね
けどま、ボク達はそこまで責任は負えないからね


フラウロス・ハウレス
此度も蓮(f10083)と共に。
ここまで来たら最後まで付き合ってもらうぞ、トリッカー。

しかし、吸血鬼ではなかったか。
今回はハズレであったな。
だが…妾が反逆するに相応しい器を持っているようだ。
良いだろう、漆黒の騎士。この血風姫が貴様の支配を終わらせてくれよう!

此処であれば存分に暴れられるな。
貴様の積み上げてきた社会、ここで館ごと均してくれよう!
真の姿を解放し、黒風鎧装で黒風を纏い、力一杯殴りつけるぞ!
往くぞトリッカー、巻き込まれるなよ!!

拷問に飽きるとは中々傲慢で良いぞ。
貴様は反乱が起きるとは考えもしなかったのか?
ならば我が名をその身に刻み朽ちるがよい!
妾はフラウロス・ハウレス!血の反逆者よ!!



「吸血鬼ではなかったか。今回はハズレであったな。だが……」
 妾が反逆するに相応しい器を持っているようだ、とフラウロスはニヤリと笑う。
『異端の騎士』。
 そう呼ばれる彼らは、人間でありながらヴァンパイアに従い、その刃を人々に向けた叛逆の騎士であったという。
 吸血鬼の血を引きながら、ヴァンパイアに叛逆する自らが相対するとはまったく、対照的なことだ。
「最後まで付き合ってもらうぞ、トリッカー」
「此処まで来たら多くは語るまいよ。さあ、往こう血風姫。引導を渡してやろうじゃないか」
 それじゃ、お先に。
 相変わらずの飄々とした口調で、相方が、蓮が駆ける。
 その手に握られているのは、一件種も仕掛けもなさそうに見える、一組のトランプ。
 投擲する先は、騎士の眼前。
「小細工のつもりか……む!」
 鬱陶しげに騎士が左手を振ろうかというその瞬間、眼前のトランプが燃え弾けた。
 この程度の炎で手傷を負わせられるほど柔な相手では、勿論ない。一瞬でも視界と動きを塞げば、それで十分だ。
 たとえそれが、騎士も承知の上だとしても。
「浅知恵め」
「どうかな」
 背後からの奇襲攻撃。放たれた仕込みステッキの一撃を剣で難なく受け止められようとも、蓮の顔に驚愕の色は無い。
 何故なら
「よそ見をしてていいのかな?」
「何……」
 眼前にいるはずの小娘と同じ声。そして背中に走る衝撃。
 先ほどトランプを投げつけた蓮は、未だにそこにいる。
 瞬間移動でも虚像でも何でもない。正真正銘、鏡写しの如く『二人』いた。
「ち……来い!」
 忌々しげな舌打ちひとつ。騎士が何処へかに声をかければ、背中の空間がぐにゃりと歪み。
 現れたのは大柄な漆黒の軍馬。輪潜りのように歪曲空間から飛び出せば、次のトランプを構えた蓮に飛びかかり、同時に騎士は手にした剣に力を込めてステッキを携えた蓮を弾き飛ばす。
 ……ちゃんと狙ってくれよ?
 そんな蓮の声が聞こえたような気がした、その瞬間。
 騎士に影がかかる。照明を遮り、蓮と入れ替わりにフラウロスが跳ぶ。
 漆黒の嵐の如く荒れ狂う暴力。渾身の力で叩きつけられる拳。
 正面から受け止めた騎士剣の刀身が軋むような音を立て、騎士の踏みしめた床に亀裂が走る。
 その衝撃のすさまじさたるや、傍から見ているだけでも空気の震えで分かるほどだ。
「ぬゥ……!」
「中々やるではないか。動きの止まったところで館ごと均してくれようと思ったのだが」
 拮抗。
 剣と拳を打ち合わせながら、フラウロスが笑う。
「拷問に飽きるとは中々傲慢で良いぞ。貴様は反乱が起きるとは考えもしなかったのか?」
「おかしなことを聞く。地下を抜けてきたのだろう?」
「……成程」
 地下水路を徘徊していた亡者たちは、村人たちの成れの果てだと言っていた。
 戯れに殺された者も居はしたのであろうが、そうだとしてもあの数。
 あれと、この返答が意味するのは、『刃向かったものは総てああなった』と言うことか。
 ……よかろう。
「ならば、あ奴らの遺志と共に我が名をその身に刻み朽ちるがよい!
 妾はフラウロス・ハウレス!血の反逆者よ!!」
 ホール全体に響く、良く通る声が響き渡る。
 人類の反逆者、黒き圧政者への反逆は、まだ始まったばかり。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

琶咲・真琴
オズさん(f01136)と一緒に行動

ボクは前衛として
騎士さんの攻撃を武器で受けたり
第六感・残像や視力・聞き耳を駆使して
回避・防御を行う
全体攻撃が来る場合は警告を
「全体攻撃、来ます
気を付けてください、オズさん!

オズさんとの連携は密に
「シュネーさん、よろしくお願いしますね

familia pupaの光線や烈槍葵牙を使ってサイキックブラストを使用

すかさず先制攻撃で範囲攻撃
纏めてなぎ払います

オズさんがボクを呼んだら一斉攻撃!
「了解です、オズさん
ぶちかましましょうっ!
お祖父ちゃん、お祖母ちゃん(familia pupaの事)行きますよっ!

フェイントを織り交ぜたスナイパー攻撃で大打撃を狙います!

アドリブ歓迎


オズ・ケストナー
ひどい、ひどい
楽しんでいたの?
あの人はボロボロだった
いたそうだった
かなしんでたのに

もう、楽しませてなんてあげないよ
ぜったいに

マコト(f08611)と協力するよ
おじいちゃん、おばあちゃんもよろしくね

離れたところで騎士の動きをよく見て攻撃をしかける
【フェイント】【時間稼ぎ】で翻弄
隙を作れたらマコトを呼ぶね
いっしょに攻撃するよ
シュネー、お願いっ

攻撃がくるタイミングを教わったら抵抗をやめ
オペラツィオン・マカブルで無効化を試すね
ばらは好きだけど、こんなのぜんぜんきれいじゃない

危ないときは走って直接斧で攻撃
マコトを斧の【武器受け】でかばうよ
早くやっつけて、五人でアトリエに帰るんだから

わたしたちは、負けない



「クク……良い。久方ぶりに斬り甲斐のある抵抗者ではないか」
 鎧兜に覆われた騎士の表情を窺い知ることはできない。
 だが、その声にはいまだ余裕があり……そして、この状況を楽しんでいるように思えた。
「楽しんでいたの……?
 あの人はボロボロだった、いたそうだった……かなしんでたのに……」
 自分たちが助け出した『あの人』だけではない。
 地下水路で倒してきた者たち。この騎士の手で殺された、数多くの村人たち。
 それらを総て、己の愉悦を以て行ってきたというのであれば。
「もう、楽しませてなんてあげないよ。ぜったいに」
 いこう、シュネー。そして……。
「マコト。おじいちゃん、おばあちゃんもよろしくね」
「はい、オズさん。シュネーさんも、よろしくお願いしますね」
 共に戦う仲間と、声を掛け合って。
 二人……否、共に在る人形たち、五人全員で共に勝ち、共にアトリエへ帰るために。
 前に出るのは、真琴たち。オズとシュネーは後衛へ。
 真琴と人形たちが電撃を放射し、薙刀を振るって騎士の気を惹けば、すかさずオズたちが死角から斧を振るって攻撃を加え。
 そして隙が出来たら、一斉に全力の一撃を叩き込む。
 一つひとつ、一人ひとりの力は、騎士と比べるべくもない。
 騎士にとっては鬱陶しい羽虫くらいにしか思っていないかもしれない。
 されど、小さな羽虫とて強大な外敵を倒すすべは持ちうるし、羽虫だからこそ捉えるのは難しいのだ。
 倒れるにはまだ遠いが、攻め手に転じることもできない。
「雑兵共が……!」
 業を煮やした騎士が忌々しげに吐き捨てる。
 その手の騎士剣に危険な『何か』が集っていくのを、至近距離の真琴は感じ取った。
「来ます!気を付けてください、オズさん!」
「うん、わかった」
 真琴が咄嗟に距離を取りに行く。それは誰が見ても解り切った行動だったが、一方のオズの側は、ここで一見信じられない行動をとった。
 後衛にいた彼が、距離を詰めに行ったのである。
 当然、肉薄していたわけでもない状態で攻撃を割り込ませることなど間に合う筈もない。
 できたのは、真琴と前後衛を入れ替えるくらい。
 真琴の小さな身体がオズの影に潜り込んだ、その瞬間……剣閃が、走った。
 フォーリングローゼス。
 一閃と共に放たれた、鮮血を思わせるほどに紅い、紅い薔薇の花弁が舞い踊り、柱を、床を、壁を、触れるもの総てを切り刻む、魔技。
 オズを盾にした真琴はともかく、直撃を受けたオズの身体にも容赦なく薔薇の嵐が叩きこまれ……。
「……ばらは好きだけど、こんなのぜんぜんきれいじゃない」
「何……!?」
 しかして、その身体に一切の傷をつけることは叶わなかった。これには、騎士も驚愕の声を押さえることができない。
「わたしとシュネーには、こんなものは効かない。……わたしたちは、負けない」
 ありがとう、シュネー。
 ぷしゅう、と音を立てて魔力を排出する仲間の背中を撫でるオズの瞳は、確かな怒りを湛え、しっかりと騎士を見据えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユア・アラマート
地下は罠というわけじゃなかったようだな。安心したよ
ついでに、待ち構えているのが想像通りの小物でなお安心だ
私達がわざわざお前の最期に付き合ってやるんだから。踊れよ俗物

SPD判定
ブラックキャバリアで騎乗した敵が向かってくるのをギリギリまで引き寄せる
その間に魔術回路を起動、いつでも仕掛けられる準備を
敵の攻撃が自分に届く寸前、見切り技能を駆使してできるだけ引き寄せた状態でそれを避け、攻撃直後の隙を狙って花片を発動
軍馬もろとも切り裂く花弁の花吹雪で覆い隠し、その鎧ごと全身を切り刻むと同時に
視界を塞いで他の仲間が攻撃しやすいような隙を作り上げる

――綺麗だろう?
餞には、少々勿体なかったかもしれないがね


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「私は騎士道を語るつもりはありません。しかし、士道を持ってお相手致しましょう」

以下で攻撃
・【POW】
・方針:敵を斬りつける一瞬だけ加速し雷よりも早い速度(音速越えた速度帯)で斬ります。狙いは小手OR指。剣を扱う手に隙が出来れば御の字、防御は一切考えません(そういう極意なので)
・UC説明:サムライエンパイア世界、フォースセイバーを使った示現流抜刀術
(攻撃前)
「一の太刀疑わず、二の太刀要らず。これ示現流といふなり」

(攻撃後)
「剣とは己が在り方です」


御手洗・花子
(不味いのぉ)
 フラウロスの一撃を受け止めた黒騎士の力に息を呑む。
 拮抗した、がしかしそれはあの騎士単独の膂力によってだ…奴には召喚した軍馬がいる。
 通常の人間ですら馬に乗れば恐るべき突進力を持つ騎馬となる、ましてやオブリビオンと自身が召喚した異形の軍馬となればその人馬一体の戦力は脅威となるであろう。

 (将を射んと欲すればまずは馬を射よじゃな)
 騎士は兎も角、馬は主人を載せる瞬間まで暴れては騎乗に手間取るであろう、騎乗する瞬間、馬は一瞬動きを止めざるおえないはず。
 味方を『援護射撃』で援護しながらその瞬間を待ち【御手洗の御技】で軍馬だけでも『長谷川さん』に連れて行かせよう。


伝農・エルナちゃん
「……拷問、その末に殺す、か」
あちきは、いつになく真剣な表情で言う。
正直、あの騎士の趣向は理解不能じゃ。
そもそも、あちきには人間の命を蔑ろにするという思考がない。
ましてや、それが快楽に繋がるなどという有様は範疇の外じゃ。
「…………許す、許さんの問題ではない。お前さんとあちきは相容れぬ。その思考が交わることもない」
瞬間移動のようなダッシュで急接近し、名刀・伝鉄を当てる。これは多分有効打にはならんだろう。
「……硬いな」
あちきは武器を変える。単純な暴力の塊こそ似合いだ。
「お前さんのその鎧……隕石より頑丈かのう?」
巨剣・メテオブレイカーで、先の斬撃をほぼ再現してみせる。そして叩き切る。だまし討ちじゃ。



「……拷問、その末に殺す、か」
 騎士を見据えながらつぶやくエルナちゃん(ちゃん付け必須)の表情は、普段の彼女を知る者からしてみれば、想像しがたいほどに険しい。
 そもそも、エルナちゃんはあの騎士の思考が理解すらできない。
 かつて、キマイラフューチャーに存在した人間によって生み出されたバーチャルキャラクターである彼女にしてみれば、『人間の命を蔑ろにする』という思考そのものが理解の範疇を超えている。
 ましてや、それが快楽に繋がるなどと。
「許す、許さんの問題ではない。お前さんとあちきは相容れぬ。その思考が交わることもない」
 往くぞ、伝鉄。
 愛刀を携え、エルナちゃんが踏み込む。
 軽い足音と共に床にたまった埃が巻き上がれば、山吹の着物姿は既に騎士の眼前。
 金属がぶつかり合う、甲高い音が響く。
「凌ぐか。……やはり硬いな」
 騎士剣に阻まれ、金属の擦れ合う音を聞きながらエルナちゃんは呟く。
 その声に返事はない。
 未だに痛手こそ負ってはいないものの、戯れのつもりであった戦いでこうまで粘られては、少なからず機嫌を損ねるのも無理もないことか。
 そう。猟兵達は今のところ十分に渡り合えている。だが。
「(不味いのぉ)」
 力任せに騎士剣を振り抜かれ、弾き飛ばされるエルナちゃんを見やりながら、花子は小さく歯噛みする。
 今の応酬もだが、先のフラウロスの渾身の一撃にも拮抗してみせたあの膂力。
 機動力こそ鈍くとも、重装備による頑丈さとあの力はそれだけで十分に脅威となりうる。
 そしてそれは、騎士単独での話。
「(奴には、召喚した軍馬がいる)」
 そう、花子が最も警戒している存在こそ、先に召喚されたあの漆黒の軍馬だ。
 尋常の人間ですら、馬に乗れば恐るべき突進力を誇る騎兵となりうる。
 ましてやそれがオブリビオンで、それが駆るのは自らが喚び出した魔馬であれば。
 今のところ件の軍馬は騎士の周囲で牽制に徹してこそいるが、もしも騎乗を許してしまえば、その人馬一体の力は計り知れないことは想像に難くない。
「(将を射んと欲すればまずは馬を射よ、じゃな)」
 その為には、まず。
 ちらりと花子が視線を走らせれば、一人の妖狐と目が合った。
 地下水路でもともに行動していた相手だ。
「ユア」
「何がしたいかはだいたい分かった。任せて」
 ユアとて、花子が先から何に警戒していたかは感づいていた。ならば、自分のすべきことは明確だ。
 自身の身のこなしであれば、騎乗した相手であろうとも捌ききれるという自負こそあったが、ここは少しだけ予定変更と行こう。
 ユアの足が埃っぽい床を蹴った。
 手には短刀。これひとつで頑強な騎士の命を取るには、あまりにも力不足。
 そんなことはユア本人も、相対する騎士も解りきってこそいるが、それでも纏わりついて突き回されれば鬱陶しいことには違いはあるまい。
「小犬が……!」
「怒ったかい?それはいい。想像通りの小物で安心した」
「よくも吠える!」
 首を狙って振り抜かれた騎士剣を寸前で避け、頭上を抜けて行くのを文字通り間一髪で感じながらユアは笑ってみせる。
 さぁ来い、もっと怒れ。
 着々と貴様を屠る牙が砥がれているのも知らぬまま。
 突いては、避け、避けては、突く。
 双方に何一つ決定打の生まれぬまま、そんな応酬が二度三度。
 そしてついに、業を煮やした騎士が軍馬の名を呼んだ。
「今だ、花子!」
「任された!」
 騎乗の瞬間、主を乗せるために馬はどうしてもその動きを止めざるを得ない。
 そのほんの一瞬こそが、花子が待ち構えていた『決定的な隙』。
「御手洗の御技を以てその厄災を浄化せん!……デザインはあれだが」
 どんなデザインか気になる読者諸氏は各自ステータスを見に行くように。
 ともあれ。
 御手洗・花子の宿すUDC、長谷川さん。その魔手に絡めとられ、引きずり込まれた軍馬はもがき暴れ、最早騎乗できる状態ではない。
「貴様等…ッ!?」
「先も言われただろう?余所見は良くないな」
 私達がわざわざお前の最期に付き合ってやるんだから。踊れよ俗物。
 驚愕の声を上げた騎士に、そんなユアの一言と共に降り注ぐのは、白銀の花吹雪。
 騎士が追いすがるのに夢中だった隙に構築していた、咲いて引き裂く刃の花嵐。
「綺麗だろう?餞には、少々勿体なかったかもしれないがね」
 一つひとつは小さな刃。まだ騎士の命には届かないだろうことはユアにもわかっている。
 だが、足を潰し、視界を潰した。勝ち筋が見えたがゆえの余裕の言葉。
 はたして、花吹雪の中、片膝をつきながらもなおも立ち上がろうとしていた騎士の眼前に迫っていたのは。
「私は騎士道を語るつもりはありません」
 その踏み込みは雷よりも速く。
「しかし、士道を持ってお相手致しましょう」
 届け、雲耀の速さまで。
 それは嵐をも断つ、荒々しい、あまりにも力強い刃の一撃。
 これこそが、彼の……クネウスの身につけた剣術。
 得物がフォースセイバーでこそあれど。
 これぞ古来より伝わりし、一の太刀疑わず、二の太刀要らずの示現流。
「剣とは己が在り方です」
 貴方の剣は、過去の災厄。今此処に在ってよいものではありません。
 そう呟くクネウスの背後で、弾き飛ばされた漆黒の騎士剣が宙を舞う。
 足を止め、防御を封じ、武器を奪って。
 勝利に必要なピースは残すところあと一つ。
 必殺の一撃のみ。
「ならば〆はあちきが頂くとしようかの」
 お前さんのその鎧……隕石より頑丈かのう?
 そうニヤリと笑うエルナちゃんの手に握られていたのは、先に用いた伝鉄とは違う、5mはあろうかというあまりにも巨大な刃。
 隕石砕きの名を抱く一撃が、騎士の頭上に、墜ちる。

 領主館の床を、騎士の身体を。
 これまでの厄災を叩き潰す轟音が響く。
 その圧が館のカーテンをなびかせて。
 紅い紅い朝焼けの光が、まるでスポットライトのようにホールを照らし出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月05日


挿絵イラスト