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姉妹抗争劇

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●あねいも
 どうしてそうなったのか。そんなことを覚えているものももはやいないのだろう。為すべくしてなった――否、そうなるように仕向けられたのだから、その原因なぞ彼らに分かろうはずがないのだ。
 ただ、渦中の娘と少女は悲しげに互いの瞳を見つめ合うのみ。
 娘は、姉であった。少女を慈しみ、少女の為にとできうる限りを為してきた。
 少女は、妹であった。娘を尊び、娘の為に小さな手が掴めるものを必死に掴んできた。
 二人には親がいた。されど少女が物心ついた折、些細な喧嘩が大きなものへと成長し、二人の親は離縁し、そうして二人は引き裂かれ、親はそのまま亡くなった。
 別々の村に住みながら、しかし、温かい村人たちに育まれ、助けられて。時にこちらの村で。時にあちらの村で。姉妹はあっては笑い、互いに生きていることに感謝していた。
 幸せだったのだ。確かに、幸せだったのだ。皆が助けてくれて、皆を助けて。そうして二人は生きてきたし、生きていくのだと信じていたのだ。

 けれどそれは過去の事。姉だった娘はただただ悲しそうに少女を見つめ、妹だった少女は泣きはらした瞳を娘に向ける。
 どうしてこうなったのだろうと、娘は思う。どうしてこんなことにと、少女は思う。あぁ、どうして。
 どうして、私たちは……。

「てやんでぃばぁろぉ共が!! うちの村にいる姉の方が貴いっつってんだろうがよぉ! 見ろよあの表情! 愁いを帯びて悲しむ顔、そこにそれでもまだ潜む妹を想う姉心。くぅぅ、いいもんじゃねぇか! こんな姉が最高でなくて何だってぇんでぇ!」
 そう思うんだったらこんなこと止めてもらえませんかね。姉は思った。

「しゃらくせぇなぁ!! うちの村の妹の方がそりゃもう、輝かしいに決まってんだろうがぁ! 見ろよこの泣きはらした跡、それでも毅然と前を見る姿! この齢にしてこの肝の据わりっぷり、しかし、それでも見える年相応のしぐさ! 至高の一言に尽きるだろうがよぉ!」
 このおじさん何言ってるかわかんない怖い。妹は思った。

「おぅおぅ、ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞお前さん方。いいか、こちらには姉様がいるんだ。意味は分かるか? そう――俺たちの方が強いんだよ! なんせ最高ともいえる姉様なる存在、母性を宿し包容力を持つ、おしとやかな男の夢がついてんだからなぁ!!」
「あぁあぁ耳が痒いねぇ。なぁにボケたこと言ってんだかなぁ。こちらにはおまい、妹様がいるんだぞ? 妹様だぞ? そう――俺たちが勝つに決まってんじゃねぇか! 至高である妹様、この父性をあおる幼き容姿と爛漫さ、そして溢れる無邪気さ。これが男の夢っつぅんだよぉ!!」
 どうしてこうなったんだろう。どうしてこうなったのかな。姉妹はうつろな眼で会話する。二人の平和はもう、そこにはなかった。

 そんな光景を眺める影がある。首のない霊狐を背後に控えさせるその影は、実に満足そうに争う姿を見て笑う。
「そうだ、それでいい。そうして争い、競い、そして儂に見せるが良い。姉と妹、どちらが真に貴いかを」
 なぁ、何言ってんだこの人? 知らん、聞くな。 勤め先間違えた……。
 なんかそんな空気を纏っている狐達の様子に気付いているのか、いないのか。その影はただ満足そうであった。

●その悲しみを認めぬ者達へ
「紳士淑女の諸姉諸兄、どうか我が声に耳を傾けては頂けないだろうか」
 グリモアベースに響くテノールの声。聞こえた言葉に、抱えた案件のない猟兵達は軽く顔を見合わせてから声を発したもののもとへと向かう。
 そこに立っていたルクス・ミレニアム(空言騙り・f09317)は、なんだか何とも言い難いような表情を浮かべていたが集まってくる猟兵達の視線に気づき、咳払いを一つ。
「我が言葉を聞き届けてくれたことに感謝を。しかし、私は貴君等に悲劇を伝えねばならぬ。これもグリモアの導き故に」
 芝居がかったような口調、そして口元は歪んでいる。……歪んでいる?
「世界はサムライエンパイア。かの世界にて、とある村同士で抗争が起きている。それらは次第に大きく発展し、最終的には村同士、血で血を洗う惨劇に至ることとなるだろう。戦乱が過ぎ、今となっては平和なかの世界でそのような騒動が起こるのは、ひとえに裏でオブリビオンが糸を手繰っているが故」
 猟兵達の表情が引き締まる。過去より来たりし侵略者が係るというのであれば、それは彼らが対処すべき領分だ。皆が真剣な眼差しとなったことを確認し、ルクスは一つ頷いた。
「幸い、村同士の抗争が互いに対しての殺意の発露に至るまでまだ幾許かの猶予がある。今の間にそれぞれの村に赴き、抗争の火種を取り除くことが出来ればオブリビオンの計画そのものが破綻する。そうなれば彼奴等の事、そんなことは認められぬと出てくることだろう」
 これを、叩く。握られた拳の方に瞬時視線を向け、それは直ぐにグリモア猟兵の顔へと戻る。やるべきことが明快。ならば、やはりその問いは出てくるものだ。
 なんで村同士は争っているんだ? その問いに、ルクスがぎしりと固まった。はて? と首を傾げる猟兵達の前で彼は眼鏡を取って目元を軽くもみほぐしながら、つぶやくように零す。
「……姉と、妹と、どっちの方がより貴いかが、抗争の原因だ」

 ……お前は何を言っているんだ?

「言いたいことは解る。解るからその目はやめてくれ。ただでさえ予知の内容で頭が痛いのに心まで折れる」
 眼鏡をかけなおしパタパタと疲れた顔で片手を振るルクスに、今度は猟兵達から同情的な視線が向けられた。溜息一つで調子を整え、彼は告げる。
「つまりは姉こそ最高と訴える村と、妹こそ至高と訴える村の抗争を止めてくれ。訴えだけだと折り合いを付ける所が見つからないかもしれんが、騒動の中心となっている姉妹は普通に仲が良く、また、その姉妹を介して村同士の仲もよいものだったようだ」
 つまり、この最高とか至高とか言うのは植え付けられたものか、あるいは潜在的に持っていたとしても隠しおおせるものだったのだろう。
「転送先は、双方の村から等距離にあるあばら家。どうやら姉妹が何かと落ち合うために使われていたらしい。説得先は……姉の村、妹の村、そして両村の間で今衝突している集団となる」
 最低でもどこか一つの説得に成功すれば抗争は回避できると彼は告げる。こういう騒動は頭が冷えれば恥ずかしくなるものだ。
「各村と衝突場所は捜索せずとも地図を渡そう。諸君らは速やかに説得に向かって欲しい。……簡単な事ではないかもしれない。だが、それでも私は貴君等に掛かれば容易い仕事であろうと信じている」
 告げる彼の掌の上に呼びだされたグリモアが輝きを灯す。転送の準備を進めながら、彼は最後に口を開く。
「それでは、かの地へと向かう準備を。どうか、この予知を空言へと落とし、笑ってくれ。いや本当に」


天瀬
 そもそも姉も妹も属性が別なので比較するものではないと思います、天瀬です。
 サムライエンパイアですがギャグです。状況はかなりシリアスですがギャグです。いやほんとに状況はシリアスなんですがね……。
 とりあえず、下記注意事項になります。

●第一章
 姉の村、妹の村、衝突現場を選んで説得もしくは実力行使となります。なお、どこを選んでも二章以降に遅れるということはありません。(遅れてくること自体は構いません)
 また、OPの通りどこか一つ説得に成功すればよく、そして説得の成否は支給される通信機で伝わるものとします。
 なお、ギャグです。キャラ崩壊などありましてもどうかご了承ください。

●第二章
 普通に団体戦です。オブリビオン相手であるため和解はできませんが、しかし彼等もやる気は今一つの様子。ネタを振ればのってくるかもしれません。

●第三相
 普通にボス戦ですがまぁ、OPの通りアレです。なんというかアレです。普通にオブリビオンなので甘く見ることはできませんがアレです。なんか言いたい事ぶつけてもいいんじゃないでしょうか。

 以上、ご注意を頂いた上で皆さまのプレイングをお待ちしております。この姉妹抗争、終わらせてあげてください。いやほんとに。
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第1章 冒険 『村同士の諍いを止めろ!』

POW   :    威圧や力ずくで喧嘩を止める

SPD   :    調査によって争いの原因をつきとめる

WIZ   :    仲裁に入り、説得で喧嘩を止める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

影見・輪
WIZ
衝突現場で
両者の意見聞きながら
軽い感じで違うんじゃない?って促してみようかな



うん、姉も妹もロマンあるよねぇ
(日本人形風の女性な外見だけど一応僕も男だし)
その萌えはよーくわかる(頷き)

でもさー、論点ずれてるかもだけど
ぶっちゃけ、姉か妹かってリアルな生まれ順でしょ?
先に生まれた姉だから妹だからと属性性格付与されるのもどうかなってさ
僕個人としては、無邪気な姉がいても包容力ある妹がいてもいいと思うわけだよ

想像してみなよ
一見おしとやかそうに見えるお姉さん
でも喋ってみたら純粋で無邪気で
ちょっと頼りなくて…ってヤツ

あえて推すならギャップ萌
全部が姉寄りだったり妹寄りだったりする必要もないっしょ?違う?


風間・敬人
何ともバカな現場にやってきた虎さんですよ。

姉が良い、妹が良い、それぞれ大いに結構。
本来なら俺も、こういう馬鹿なことで盛り上がれる奴らは大好きだ。
だがよ、こいつらは何も判っちゃいねぇ。
憂い顔が美しいのに異論はねぇが、心からの笑顔には叶わねぇだろうが。
そしてだ。
姉と妹、その二人が仲睦まじくキャッキャしてるのを眺めるのが、
一番尊いだろうが!

とか考えながら、衝突現場に説得しようと飛び込む。
考えてることからすると、更なる集団を生んで盛り上がりそうだけど。

御同業がいれば、姉妹を一緒に保護してもらえるよう合図しておく。

アドリブ・改変歓迎です。


河南・聖
【WIZ】
私はどちらかといえば妹属性の方が好きで……ってそんな事はどうでもよくて
とりあえず衝突現場に行きましょう!

「はいはい双方落ち着いてください!話がだんだん当人たちじゃなく『姉』か『妹』かになってますよ!『姉』『妹』なら誰でもいいんですか!」
「はい、この中に貧乳好きの人はいますか?っていうかいますよね?いろ」
「ツンデレ(意味は別途説明)が好きな人は?何かちょっと不幸体質な子が好きな人は?」
「人の好みなんて色々でしょう!どっちが貴いじゃなくどっちも貴い!これ!」
「むしろ姉妹が仲良くしてるのこそ貴いと思いませんか!どちらかしかいなかったら見れないんですよ!いっそ村ごと合併するとかどうですか!」


ティエル・ティエリエル
「任せておいてよ!仲良し姉妹のためにも、ボクが村同士の喧嘩を止めちゃうよ」
衝突現場に飛び込んで話を聞いてもらうよ!【存在感】があるからきっとボクのお話聞いてくれるよね?

姉と妹、両方揃って初めて姉妹なんだよ!
妹がいなければ姉は姉じゃないし、姉がいなければ妹は妹じゃないの!
そんな二人を引き離してどっちがいいかなんて決められないよ!

そう、つまり何がいいたいかと言うと、
ボクがこの子の妹になって、こっちの子の姉になれば、姉であり妹であるボクがサイキョーになるんだよ!


月隠・望月
姉と妹のどちらが貴い、か……? 言ってる意味が、わからない。姉妹に貴賤がある、の?
このままだとよくわからないことで人死にが出そう、だね。それもこれも、オブリビオンのせい。止めないといけない

わたしは衝突現場に向かう。村の人たちを説得、しに行くよ
わたしは思う。姉と妹、どちらか片方だけしか居なかったら、ただの一人っ子だ、と
姉は妹が居るからこその姉、妹は姉がいるからこその妹。片方だけでは、成り立たない。ので、どちらが貴い、などと考えるのは、意味が無い
姉も妹も、両方同じだけ貴い。二人揃って姉妹なのだから、当たり前
村のみんなも、仲のいい姉妹が好きなの、でしょ? 喧嘩してその二人を悲しませるのはよくない、よ


八幡・茜
美しさって罪よね!
ふふふ、つまりこの美人のおねーさんは罪な人ってことね!

村人が衝突しているところにひょこっと現れて水を差すわね
でもその前に注目を集めるておこう!
ふふふ、この美人のおねーさんを見なさい! 容姿端麗、剛健質実、良妻賢母! 何よりももふもふ! 崇め奉るなら私のような人をこそ相応しいわよ!
とか言って

その後
姉が良いと主張するにしても、妹が良いと主張するにしても、双方揃ってて初めて成り立つ話よね、これ
一方を排除したら、ただの女の子になっちゃうわよね? それでいいのかしら
って水を差すわね!

後は、なんか応動してる人が居ないか観察して、居たらお友達になっておこうかしら
一番最初に発言する人とかね



●衝突現場にて、第一陣
「おぅおぅ、黙って聞いてりゃ好きかって言いやがるなぁ? 姉の良さも解らねぇのによぉ?」
「妹の尊さも解ってねぇふてぇ輩共が囀りやがる。いいか、何度でも言ってやるぜ? そう――」
「美しさって罪よね!」
「「一理ある」」
 なんだかもはや目がうつろになりつつある姉妹を横に、言い争っていた男二人が唐突に割り込んだ声に同意を示す。
 それからはて、と首を傾げる野郎共が周りを見回したところ、いつの間にか見覚えのない男女が場に増えていた。この場に駆けつけた猟兵達のうち、なんか妙に存在感がある二人の片割れ……八幡・茜(妖狐の戦巫女・f04526)が胸を張る。
「つまりこの美人のおねーさんは罪な人ってことね!」
「「いやそれはない」」
「即答!?」
 しかもダブルである。片手をパタパタを同じタイミングで振る、先ほど確かにもめていたはずの二人に実はお前ら仲いいだろうとか猟兵達と姉妹は思ったかもしれないが、それはさておき。
 唐突な水入りに、先ほどまであった険悪な空気がいい感じに緩んでしまっていた。その強力な存在感と共に割って入ったのは有効ではあったのだろう。
「でもね、そもそも姉がいいと主張するにしても、妹がいいと主張するにしても、双方揃ってて初めて成り立つ話よね、姉妹って」
「そう、姉と妹、両方揃って始めて姉妹なんだよ!」
「うん。姉と妹のどちらが貴い、じゃない。姉妹に貴賤なんて、ない」
 ノリを急に素の物に変えて説得を始める茜と一緒に、同じ論調での説得を行う強い存在感を放つもう片方のティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)と月隠・望月(天賦の環・f04188)。ティエルは妖精さんサイズではあるが、しかし猟兵達はそこに違和感を持たれはしない。ただ、小柄な少女の主張程度の認識をされていることだろう。
 望月にとっては正直よくわからない話である。どちらも等しく尊ぶべきものであるという、当たり前の思考を持つ彼女にはこの騒ぎ自体の意味が解らない。されど、此れもオブリビオンの策というのであれば止めるに否やはなく。
 そして、ティエルは仲良し姉妹の為にも、村同士の喧嘩を止める。その意志を強く持って挑む。
「妹が居なければ姉は姉じゃないし、姉が居なければ妹は妹じゃないの! そんな二人を引き離してどっちがいいかなんて決められないよ!」
「それに、一方を排除したらただの女の子になっちゃうわよね? それでいいのかしら」
「わたしも思う。姉と妹、どちらか片方だけしかいなかったらただの一人っ子。姉は妹が居るからこその姉、妹は姉が居るからこその妹。片方だけでは、成り立たない」
 三人の論調はまさに正論であり、うぐ、とうめくのは言い争っていた二人の野郎共。成程確かに姉妹という言葉は両者が揃って初めて成り立つ言葉である。
 ならば彼らの主張は無意味だったのだろうか。いや、だがしかし、ここで主張せねばどこで主張するのか。野郎共はそれでも、と顔を上げ。
「姉も妹も、両方同じだけ尊い。二人そろっての姉妹なのだから当たり前。……みんなも、仲のいい姉妹が好きなの、でしょ? 喧嘩してその二人を悲しませるのはよくない、よ」
 どう見ても年下の少女である望月からの正論に、足掻こうとした野郎二人は口を噤んだ。ちらりと目線を向ければ、新たな登場人物の語り掛けにより瞳に光を取り戻した姉妹が心配そうに周囲を見ている。
 あぁ、俺たちは何をしていたのだろう。そう思った二人は、反省するようにうなだれて。
「そう、ボクがこの子の妹になって、こっちの子の姉になれば、姉であり妹であるボクがサイキョーになるんだよ!」
「「姉と妹を兼ね備える、だと……!?」」
 ティエルの発言にハッとしたように顔を上げた。お前らいいのかそれで。
「そして容姿端麗、剛健質実、良妻賢母のおねーさんは崇め奉るべきよ!」
「「「いやそれはない」」」
「即答の上三重奏!?」
 さらに茜が声を上げれば即時の突込み。なお、突込みお行わなかった望月はただきょとんとするばかりである。とかく、少なくとも今しがた言い争っていた彼らがここからまた言い争うためのテンションを取り戻すのは難しいだろう。不穏な空気はだいぶ失せている。
 どうやら扇動者がいるわけではないらしいと、一人がひそかに胸をなでおろしていた。

「うん、姉も妹もロマンあるよねぇ。その萌はよーくわかる。」
 他方、誰なんだろうこいつら的な目を向けてくる別の野郎衆に向き合う影見・輪(玻璃鏡・f13299)。その発言に彼らは何とも言いようがない表情を浮かべている。
 だって、見た目は普通に日本人形のような和服女性だ。そんな人に萌が分かるとか頷かれるとなんというか、野郎として辛い。色々辛い。もっとも、彼――そう、驚くことに『彼』なのである――は本心から語っている。
「でもさ、姉か妹かってただの生まれ順でしょ? 先に生まれた姉だから、妹だからと属性性格付与されるのもどうかな、ってさ」
 軽く肩を竦めての言葉に、声をかけられている野郎衆は目に見えて動揺を表に現した。そのとおり、姉も妹もただの生まれ順に過ぎない。それ自体には属性や性格など存在しないのだ。
「だからさ、僕個人としては。無邪気な姉が居ても、包容力ある妹が居ても思うわけだよ」
 彼の言葉を聞いていた者達の眼が見開かれる。そう、野郎衆の心にまるで悪魔の誘惑のように声がささやかれる。
 ――想像してみなよ。一見おしとやかそうに見えるお姉さん、でも喋ってみたら純粋で無邪気でちょっと頼りなくて……。
「――駄目だ、そんな妹みたいな姉、放ってはおけない」
「――ああ、そうだ。護るのは俺たちの役割だ……」
 囁きに囚われるかのようにうつろな目でつぶやく野郎衆。声が届いたらしい、しっかり者の姉はドン引きしておりますが大丈夫ですかね?
「あえて推すならギャップ萌え。全部が姉よりだったり妹よりだったりする必要もないっしょ。違う?」
「「違わない!!」」
 聞いていた野郎衆、合唱である。なんか取り込まれた気がしなくもない。

「なお、私はどちらかと言えば妹属性のほうが……」
 直前の流れが姉よりであったためぼそりと呟く河南・聖(ペガサスナイト・f00831)嬢の参戦である。
「って、そんなことはどうでもよくて」
 いや、今の呟きで妹派がこの状況における仲間かと寄ってきていますが。いやまぁ、さておき。周囲を見回し、小さく深呼吸一つ。
「はいはい、話がだんだん当人たちじゃなく『姉』か『妹』かになってますよ!『姉』『妹』なら誰でもいいんですか!」
 彼女の声はよく響いた。故に、言われた野郎衆はむ、と眉を寄せる。違う、彼らは彼らなりに自分の村に住む姉を、あるいは妹を心配し、想い、その果てに最高であり至高であると至っただけである。その思考の中間がよくわからないが、気にしてはいけない。
「はい、この中に貧乳好きの人はいますか?」
「ぇ、いや。妹ちゃんは確かにだけど、どっちかっていうと俺……」
「実は俺も……」
「あれ、お前も? いや実は俺もな……」
 唐突な性癖への質問に、聖の方を向いていた野郎衆が姉の村、妹の村問わず困惑の表情を浮かべる。そんな彼らに笑顔をむけて、聖が一言。
「いろ」
「「「イエス、マム!! ぺたさいこー!」」」
 ハモりました。
「ツンデレ……と、意地っ張りが好きな人は? 何かちょっと不幸体質な子が好きな人は?」
 続いてあげられた属性……属性? 属性に、そっと手を上げる者がいる。やはり各村にまばらに存在したようで、お前も? なんて視線を向けあっている者達もいた。
「人の好みなんて色々でしょう! どっちが貴いじゃなくどっちも貴い! これ!」
 そう、性癖とはどちらがいい、悪いではないのである。どちらも尊ばれるべきものである。故に、彼女の主張は最も正しく、野郎衆は反論の言葉を持たない。
「むしろ姉妹が仲良くしてるのこそ貴いと思いませんか!どちらかしかいなかったら見れないんですよ!いっそ村ごと合併するとかどうですか!」
 そうすれば姉も妹も何時でも愛でれる! その思考に至った野郎衆がその手があったかと表を輝かせる中。
 姉妹は何というか、一緒に入れるのは嬉しいけどこれ集合するの怖いなぁ、とか思っていた模様です。

「姉が良い、妹が良い。それぞれ大いに結構。だが、だとしても貴様らは何も分かっちゃいねぇ」
 言い切るのは虎である。……失礼。虎の外見を持つ風間・敬人(軽トラ・f04208)である。正直なところ、こういうバカ騒ぎ自体は彼は嫌いではない。姉だ妹だと騒ぐのは実によい。だが、そこには前提があるべきなのだ。
「憂い顔が美しいのに異論はねぇが、心からの笑顔には叶わねぇだろうが。そして、姉と妹、その二人が仲睦まじくキャッキャしてるのを眺めるのが一番尊いだろうが!」
 彼の叫びは心からのもの。そう、やはり一番いいのは笑顔であると。何物にも勝るのは仲良きことであると。
 それを取り上げるとは何事かと。叫びをあげる虎に、聞いていた姉の村衆と妹の村衆が顔を見合わせる。
 確かにそうだ。そのはずなのだ。彼女達が仲良くしているのが一番であったはずなのだ。一体どこで誤ったのか――思い返せど彼等にも解らない。ただ妹がいいと、姉がいいと。そうどうしてか思ってしまったのだ。
「そう、だな。あぁ、そうだ。俺は――妹をやさしい目で見る姉がよいと思ったのだ」
「そうだ。俺は、無邪気に姉に甘える妹が――その爛漫さに、惹かれたのだ」
 野郎衆からそんな声が上がる。後者犯罪じゃね? という気もするが気にしてはいけないだろうか。ぁ、なんか姉が妹を背中に庇った。
 そしてその光景にこそ、和む敬人と同調者集団。やはり良い。姉妹がこうして仲良くしているのが一番良い……。
 そこに姉妹を只熱く見つめる集団が発生した。姉も怖がってますよ貴方方。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

スノーエル・トリフォリウム
双子の妹、クルーエル・トリフォリウムと一緒なんだよ!

双子だし、花と翼以外はそっくりだから二人で衝突現場で説得するんだよ。
そして、私とクルーエルは姉妹だけどどっちが姉でどっちが妹でしょー!ってやるんだよ。

尊い?とかいうってことは判別つくってことだもんね。
あ、考えてる間にみんなにクッキー配って回るんだよ。和んでくれたら嬉しいかな。(とても空気が読めない)

でもきっと、クルーエルのがしっかりしてるから姉に見られるんだろうねぇ。
私が一応姉なんだけど…間違えた人は理想の姉のイメージしか持ってないだけじゃないかな?
それだけで騒ぐのって迷惑なんだよ、ね?クルーエル?


クルーエル・トリフォリウム
双子の姉、スノーエル・トリフォリウムと一緒に行動するわね。

姉だ妹だで争うなんてくだらないなぁ。
姉妹としてもいい迷惑よね、本当に。

二人で衝突現場で説得。
とりあえずはよく似た外見を生かしてどちらが姉か妹か見極めてもらうわ。
どちらがいいというのなら、見分けられるわよね?

スノーエルの空気読まない行動は肩掴むか頭叩いて止めるわ。
マイペース過ぎてため息が出ちゃうわね。それがいいところなんだけど。

…だからこうやってスノーエルの面倒見るから姉だって誤解されるのよね。
私は妹、姉はスノーエルの方よ。
間違えたってことは全然目がダメなんじゃないの?
それともあくまで理想でしか語ってないでしょ、自覚したらもうやめなさいな



●衝突現場、第二陣
 猟兵達の説得、あるいは扇動によりもはや何のために集まったのかもわからなくなりつつある衝突現場の面々に、とどめを刺す様に現れたのは二人の少女。
 スノーエル・トリフォリウム(四つの白翼・f09427)とクルーエル・トリフォリウム(四つの紅翼・f09429)の二人はその背の追う翼の色と髪に咲く花以外は瓜二つ。見分けがつかないということはないが、それでもその様を見るだけでその場に集まった者達はすぐにそれと悟る。
 彼女達は双子――つまりは姉妹、この騒動の元となった彼女達と同じ関係性であり、二人でこそ完成される究極の形の一つ。
 そしてさすがにここまでひっかきまわされていれば、彼女達の目的というのもわかるというものだ。そう……。
 彼女達もまた、自分たちにご褒美……違う、自分たちを諫めに来たのだろう。
「姉だ妹だで争うなんてくだらないし、姉妹としてもいい迷惑よね」
「うん、そうだね。でも、それだけ争えるって言うことはきっと、よくわかるってことじゃないかな」
 うーん、と考える様子を見せるスノーエルの方を見ながら、彼女達を取り囲む村衆はただその言葉を待つ。この双子の姉妹はいったい何を言い出すのかと。一体どんな姉妹の良さを語ってくれるのかと。
 さぁ、どんなものでも……!
「だからね、私とクルーエル、どっちが姉でどっちが妹かもわかるよね?」
「そうね、どちらがいいというのなら、見分けられるわよね?」

「双子お約束のどっちが問いかけ……!?」
「あの伝説の……!? まじか、これは外せねぇぞてめぇら!」

 野郎衆普通に盛り上がってます。それでいいのかお前ら。いいのか。むしろそんな野郎衆の様子にクルーエルの方は若干呆れた様子すら見せている。なんというかもう、この出し物を楽しんでる感すら感じる連中である。
 まったく、と思いながらクルーエルはさらにスノーエルと説得の言葉を合わせようと口を開き。
「ぁ、そうそう。クッキー焼いてきたんだよ。皆、食べる?」
「ぜひ頂くっす!!」
「何やってんのスノーエル!?」
 空気? なにそれおいしいの? なんかそんなノリでほんわか笑顔でクッキーを振りまく姉の頭をはたいて止めるしっかり者の妹。そんな光景を見る野郎衆は、貰ったクッキーを大事そうにかじりながら頭を付き合わせて相談する。
「やはり姉はしっかり者。これは譲れない」
「お前、しっかり者の妹もいいもんだろうが。天然姉にしっかり妹は正義だぞ」
「落ち着けてめぇら! 双子ってのは姉とか妹とかじゃなくこう、もっと崇高な対等さがだな……!!」
 喧々囂々。なんか姉の村衆も妹の村衆も入り混じっての論争が始まっているが、それは先ほどのような険のあるモノではなく、それこそ、楽しそうにばか騒ぎするようなもので。
「理想の姉のイメージとか、そういうので騒ぐのって迷惑だと思うんだけど……」
「……あれはまぁ、放っておいてもいいんじゃない?」
 用意していた説得の最後の言葉は、騒ぐ声に溶けていく。

 しっかり者の妹に天然姉は正義だと思います。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

掻巻・紙衾
お姉さんを崇めてる村へ向かって説得するよ。
「皆聞いてくれるかな? 今妹さんの村を力づくで捩じ伏せるなんて勿体無いよ!」
「だって、妹さんって言っても、放っておいたらいずれお姉さんになるじゃない!」
「時の流れは残酷だよ。村で女の子が生まれてその子が育ったら、妹さんはその子の姉貴分になる。村の若い衆から姐さん姐さんって頼られる日が来るかもしれない」
「そうなったら向こうの村の人達、どう思うだろうね。忌み嫌っていた姉属性になっていく妹さんを見てさ。どんな反応をするか見てみたくない??」
「だから今実力行使に出るのはやめといた方が良いよ。こっちが何もしなくても、向こうは勝手に真綿で首を絞められるんだからさ」



●ところで姉の村
 そんな風に衝突現場で猟兵達が活躍……活躍? していた頃、こちらは姉の村にて。
「皆聞いてくれるかな? 今妹さんの村を力づくで捩じ伏せるなんて勿体ないよ!」
 そう声を上げる掻巻・紙衾(人間の戦巫女・f07112)。どう見ても幼い少年が上げる声に、こちらはまだどこか殺伐と、もういっそあの村に討ち入りでも行おうかと準備をしていた村衆の大人達が剣呑な目を向ける。
 何を言っているのだこいつはと。姉のすばらしさを理解せぬ物など捩じ伏せられて当然だろう。
「ボウズ。悪いことは言わねぇ、ここで妹の話はすんじゃねぇ。もしお前が妹派だってんなら――」
 そこで言葉を区切るこわもての村衆。手に鍬を持っていればそれはまるで凶器のように、その言葉は確かに脅しだったのだろう。……だが。

「だって、妹さんって言っても、放っておいたらいずれお姉さんになるじゃない!」

 ――その言葉に姉の村に衝撃が走る。ざわ……というオノマトペすら見えそうなほど、その場にいた村衆が眼を見開く。

「時の流れは残酷だよ。村で女の子が生まれてその子が育ったら、妹さんはその子の姉貴分になる。村の若い衆から姉さん姉さんって頼られる日が来るかもしれない。そうなったら向こうの村の人たち、どう思うだろうね。どんな反応をするか見てみたくない?」
 幼い、たった6歳の少年の言葉とは思えない――あるいは、6歳だからこその無邪気な悪辣さの発露か。だが、その言葉は姉の村衆の心に響く。そう。
 妹は、時間がたてば姉になる。たとえ、そう、たとえ血がつながらないとしても。妹分や弟分が誕生すれば、その子は姉になるのだ。
「だから、今実力行使に出るのはやめといたほうが良いよ。こっちがなにもしなくても、むこうは勝手に真綿で首を絞められるんだからさ」
「あぁ、ボウズ……俺達が間違っていたよ。そうだな、そうなんだな……俺たちはただ、憐れむだけでよかったんだな……」
 それでいいのかあんたら。なんかすっげぇ哀れむ視線で彼方、妹の村の方を見る村衆共。
 だがしかし、彼らの戦意はなくなった……説得は成功したのである。
 したのである。

●で、妹の村とおまけ
 そしてそんなころ。こちらは殺気立ち、武装をまとめ、姉の村への討ち入り準備を行い。鬨の声をいまいか今か止まっていた妹の村。
 今この村に、二人の伝令が走り込む……!
「……は? 和平? ぇ、どうせならもっと楽しく騒げ?」
「向こうの村から、こう、なんつうか。すまなかった、お前達は短い時間を楽しめとかなんとか……」
 怪訝そうな人々ではあるが、なんか毒を抜かれたかのように戦意が失せていく。
 別に彼等とて好き好んで争いたいわけではない。一体何が起きたやら、という顔で首を傾げつつ、彼らは日常に戻っていく……。

 ……その、様を。それは見ていた。
「……なぜだ。なぜだ、なぜだ、なぜだ、なぜだ!? 何故争わん! 何故至高を競わん! 何故最高を奪わん! 貴様らの姉への愛は、妹への愛はその程度だったというのか!?」
 地団太を踏む影。苛立ちを見せるそのままに、その影は片手を掲げ。
「えぇい、邪魔者共が。忌々しい怨敵共が。ゆけ、奴らを廃せ」
 無い筈の頭を垂れた後、狐達が駆け出す。衝突地点、そこにいる猟兵達を討たんがために。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●妖狐見参
 殺気まで纏っていた筈の彼らが、今は和気藹々と騒いでいる。その光景に姉妹はどこか引きつつ、けれど安堵の吐息を零す。
 ありがとうございます。猟兵達へと告げ、頭を下げる姉。ありがとうと、その横で一緒に頭を下げる妹。
 これで村同士の争いは回避できた。ならばと思ったときにはそれらはもうそこにいた。
 首の無い妖狐。それらが、襲撃せんと駆けてくる。
 逃げろと叫んだのは誰か。慌てたように村人衆がおのおのの村の方へと逃げていく。姉妹は手をつなぎ、村人衆に守られて駆けていく。
 その、村人達を。妖狐の群れは追わなかった。
 なんかこう、別に俺らあれ追えって言われてないし。やれって言われたのこいつらだけだし。なんて空気で猟兵に対し敵意を向ける妖狐達は。

 なんというか、余分な仕事をしたがらない勤め人のようであった。
ティエル・ティエリエル
「むぅ、お前達がこの事件の黒幕だなー!ボクがやっつけてやる!」
全然黒幕ではない相手に無駄に啖呵を切って戦いをしかけるよ!うん、言い訳なんて聞かないよ!

戦闘では得意の【SPD】を活かした戦い方をするよ!
自慢の翅と【スカイステッパー】を使って空中からのヒット&アウェイで戦うよ!
敵の攻撃は「見切り」で回避して、そのまま「カウンター」に風を纏わせ「属性攻撃」を乗せたレイピアでの刺突!

「ボクだって優しいお姉ちゃんやかわいい妹が欲しいー!」とかいいながら妖狐を刺して刺して刺しまくるよ♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


河南・聖
……あ、そうでした。
村の人の説得で仕事終えたような気になってましたけど、そういえば黒幕がいるんでした。

にしても村の人の方を追いかけないなんて、中々騎士道精神に溢れた狐さんですね。
……いや、でもこれは騎士道精神というか……あっ(察し)
いや、何というかお疲れ様です……?(ぺこり)

えっと、じゃあ戦います?

はい、じゃあペガサスライドで。
そのまま上空に飛んで遠距離からフロストバード!彩電!
せめて一気に決めて差し上げます!



●黒幕(ではない)
 猟兵達の前に現れた妖狐達を指さし、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が口上を挙げる。
「むぅ、お前達がこの事件の黒幕だなー! ボクがやっつけてやる!」
 えっ。って空気をまとって固まる妖狐達。俺らこんな馬鹿なことやったと思われてるんだって。笑える。
 それだけは撤回しろー! と彼らが叫んだのかどうか。その横で、河南・聖(ペガサスナイト・f00831)はティエルの言葉にあぁ、と納得したような声を上げた。
「村の人の説得で仕事終えたような気になってましたけど、そういえば黒幕がいるんでした」
 はい、これオブリビオン討伐です。それが終わるまで帰れまてん。なんかティエルに対し抗議の空気を纏う妖狐達、その様を眺めていた聖はふと首を傾げる。
 村の人を追う様子もなかった彼らだが、さて、それは騎士道……世界的には武士道だろうか……精神だろうか。いや、それにしてはなんというか、疲れたような様子が……
 と、唐突に彼女の脳裏によぎる言葉、お役所仕事、サラリーマン。
「なんというかお疲れ様です……?」
 頭を下げる聖に、ありがとう、それだけで救われる、と頭を下げ返す妖狐である。
「えっと、あちらも一触即発っぽいですし、戦います?」
 戦いましょう、こっちも仕事だし。
 なんかそんな空気でもって戦線は切って落とされた。

 高らかに空に舞い上がる天馬と妖精。ティエルは己が持つ羽と【スカイステッパー】の効果により空を自在に駆け、聖は【ペガサスライド】によって呼び出された天馬に跨って空を駆け巡る。
 ぽつねんと地上から見上げるようこの一群。ぇー、って空気である。
 あの、空飛ぶのって卑怯じゃないです?
「これがボクの戦い方!」
「ペガサスナイトですから」
 ひっでぇ。妖狐達は心からそう思ったとか。
 仕方がないので地上から鬼火を飛ばして彼女たちを捉えようとするものの、空を駆ける二人は平面ではなく、立体の軌道を持って軽やかに回避する。さらに、ティエルはその回避の動作が急降下に繋がり、軌道を読んで放たれた鬼火も空を蹴って軽やかに回避して風をまとうレイピアが妖狐を貫き引き裂いていく。
 尻尾を振るって迎撃しようにも、小さな剣士はそれを見切ってカウンターを合わせる始末。
「ボクだって優しいお姉ちゃんやかわいい妹が欲しいー!」
 貴様もか。妖狐達が思わず唖然としたところでつい、とティエルが一群から離れていく。
 突進してきた彼女に気を取られていた妖狐の一群は、天馬に跨る空の魔法剣士のことを一時失念しており。
「ってわけで、やっちゃえ!」
「やっちゃいます!」
 空から降ってきた色鮮やかな雷撃と氷の巨鳥に綺麗に吹き飛ばされることとなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月隠・望月
村の人たちは、仲良く避難していったから大丈夫そう、だね。
あの首の無い妖狐、村の人たちを追わない。戦えない人を狙わないなら、こちらにとって好都合。
オブリビオンは、敵。ここで斃す。

《無銘刀》で【剣刃一閃】敵を斬る。
獣の弱点は目か鼻面と相場が、決まっている。けど、あの妖狐には頭部が、無い。弱点を減らすために頭部を取ったの、かな。合理的。
無いものは仕方ない、胴を狙って攻撃しよう。
攻撃するときは刃に<破魔>の力を、のせる。妖しの者相手なら、効果がある、はず。

敵の攻撃に備えて、《陰陽呪符》で<オーラ防御>を張って、おこう。
それと、敵が妖術を使ったら、何度も攻撃して相手の集中を乱すのも効果的かも、ね。



●破魔の刃
 妖狐にとって阿鼻叫喚(?)の地獄絵図が展開される他方、月隠・望月(天賦の環・f04188)は戦場に斬閃を走らせる。
 斬られるままではなく、妖狐達も応戦するように神通力でもって波動を放ち、あるいは周囲の石や岩、村人たちが落としていった物などを浮かせて叩きつけてくるが、それらは望月の呪符が貼った障壁で弾かれるか、あるいは無銘の刀で持って切り捨てられるのみ。
 妖狐達が村人を追わないことを好都合、オブリビオンという敵相手であればその理由を問う必要も、考える理由もないだろう。
 ならばここで斃すのみ。
 ただ、望月の目はまず生物の急所である首を見る。描く斬閃は本来であれば一息に首を落とすことを狙うものなのだが、しかしこの妖狐達の首はすでにない。
 首を落とされれば死ぬ、生体として当たり前の弱点を克服するためだろうか。もしそうだとするのならば、その選択は。
「合理的」
 小さく零すも、その程度の対策で剣士が止まる筈もなく。更に首のない怨霊の妖狐ともなれば望月との相性は悪かった、の一言に尽きるだろう。
 妖狐の体を断つ刃に破魔の力を乗せる。それだけでただ斬られる以上に大きな損傷を受け消滅していく妖狐達。
 次の獲物をと狙う彼女は的確に、隙無く敵の数を減らしていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

八幡・茜
村人たちを守ることにより、この美人のおねーさんをこそ崇め奉るにふさわしいことを証明してみせるわね!
ふふふ、後このもふもふ妖狐をもふもふしてもふもふよ!

ふふふ、あなた、今から私が使用としていることがわかるかしら? と、堂々と近づいていくわ
それから掴める距離まで近づいたらぎゅっと捕まえて【お友達になりましょう!】
この世の最後の思い出に、この美人なおねーさんにもふもふされた幸福な幸せを持っていくといいわ!

多少攻撃されても気にせず捕まえ続けるわ。おねーさんが捕まえている間に他の人が何とかしてくれるでしょう!
この子をおねーさんがもふもふしているあいだに! さぁ!

一体片付いたら次の子を捕まえに行くわね!


影見・輪
へぇ…なんというか、主と同じ趣味趣向じゃあないんだ?
主従関係なら姉派やら妹派やらの話が君らからも聞けるのかと思ってたんだけども
そういうわけでもないんだ?
言われたことだけ仕事するっていう心構えも、まぁ悪くはないと思うけどねぇ
(敵意向けられればおかしそうに笑み)
ともあれ、僕らと遊ぶことを望んでるっていうんなら、思う存分叶えてあげようじゃないか

基本は後衛配置だね
記憶消去銃を最大威力で仕掛けていくよ
妖狐には【催眠術】は効くのかねぇ?
まぁ、ものは試し
効果の程は使用してからだね

敵の動きを観察し、動きの癖が把握できたら
ユーベルコード【鏡映しの闇】使用
うまくいくなら奴さんの何かしらの攻撃を1回拝借してみようか



●催眠モフモフ
「なんというか、主と同じ趣味趣向じゃないんだ?」
 どこか挑発するように影見・輪(玻璃鏡・f13299)が零すのに、あぁん? って様子で無い顔を向ける妖狐達。その様を見て輪はむしろおかしそうに笑う。
「主従関係なら姉はやら妹派やらの話が、君らからも聞けるのかと思ってたんだけども。そういう訳でもないんだ?」
 俺達はあんな変態じゃないです。なんかそんな空気を纏いながら、一応言いたいことは聞こうとばかりに待機する妖狐達。
「言われたことだけ仕事するっていう心構えも、まぁ悪くはないと思うけどねぇ」
 おかしそうに笑み浮かべての発言に、妖狐達の意志は一瞬で固まった。
 よしこいつ倒そう。
 明確な敵意を纏いながらそのモフモフの毛皮に覆われた前足を歩みだす組の無い妖狐。その意識は、輪の方に強く向けられていたがゆえに。
 真っ向手面から堂々と近づいたはずの八幡・茜(妖狐の戦巫女・f04526)の存在に、それこそ目の前に彼女が現れるまで認識することができずにいた。
「あなた、今から私がしようとしていることが分かるかしら?」
 茜からすれば本当に真正面から近づいたわけだが、妖狐からすれば意識の外からの接近である。その問いかけに対しての答えを返す間もなく、そして茜が伸ばす手を回避するにはその距離は近づきすぎていて。

 もふっ、っと茜が妖狐を捕まえた。
 【お友達になりましょう!】の発動の為の接触であるはずだが、もふもふ、もふもふとなんか楽しそうである。

「この世の最後の思い出に、この美人なおねーさんにモフモフされた幸福な幸せを持っていくといいわ!」
 茜は 妖狐を もふっている! 妖狐は 状況に 困惑している!
 ぇ、どうすんの、これ? どうしよう、これ? なんか敵意に満ちていたはずの状況が見事に茜の行動により空気がバグる。こうして連続して生じる困惑による意識の空白は、その技術が介在するにはちょうどいい状況だったと言えるだろう。
 輪が向けた記憶消去銃を打ち込まれ、さらに催眠術を仕掛けられた首の無い妖狐は、操られるままに仲間へと鬼火を打ち込み始める。
 殿中でござる! 裏切ったぞぉ! 操られてるんだよあれぇ! 喧々囂々の騒ぎの中、催眠術にかかったらしい妖狐を離した茜が次のを捕まえ、輪が記憶消去銃で記憶を奪い、催眠術で操るサイクル。
 同士討ちの狭間を縫って散発的に来る鬼火や神通力の波動は茜は耐えるか抱き着いた妖狐を盾にし、輪は防いだ上で【鏡映しの闇】にて返してくる状況、妖狐の攻撃は無駄ではないものの同士討ちまで起こしていれば押し返すほどではなく。
 こちらはこちらでどんどんと妖狐の数は減っていくのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

風間・敬人
姉だ妹だと言い合ってた場以上に混沌とする戦場に戸惑う虎さんです。

にしてもあれだ。
あんまやる気が感じられねぇんだが……お前さんらはオブリビオンで良いんだよな?
首がねぇし、尋常な生きもんじゃぁ無いもんなぁ。

さて、どうすっかなぁ。
こういう標的が多いのは得意じゃぁねぇんだが。
うーん、あ、新車の出番か。
先日買った軽トラ、その名も無頼号!

さぁ、獣共はひき殺してやんよ!
って、俺も獣じゃねぇか。
盛大にブーメランが返ってきた気がすっけど……気にしねぇ。
よし行け、無頼号!
人々の涙背負って世界の始末だ!



●軽いトラ
「何だこの混沌」
 あちらでは飛行部隊による一方的な殲滅劇、こちらでは妖狐を洗脳することにより味方を増やしての蹂躙劇。普通に無双モードな子もいるが、さてはてこの混沌はいったい何なのか。
 虎さん……風間・敬人(軽トラ・f04208)はこの戦況に顔に戸惑いを浮かべていた。虎顔であればなかなかに判断つかないものではあるが、同じ獣の側面を持っていれば……あるいは、単に頭がないので目で見ていないからかもしれないが……わかるらしい、彼の近くにいた妖狐が同意するように体を揺らす。
「……にしてもあれだ。あんまやる気が感じられねぇんだが……お前さんらはオブリビオンでいいんだよな?」
 いいんです。肯定するように身を揺らす妖狐。まぁ、首がねぇし尋常な生きもんじゃぁ無いもんなぁ、と納得する敬人。
 二拍程間をおいて、放たれた鬼火を野生の勘で回避する。まぁ、確認もしたし普通に敵だし、攻撃もされるというものである。さらに敵はなんか近くにいたこの妖狐だけではない、他にもいるのだ。標的が多いのは敬人にとって得手の分野ではない。
 さてどうするか。しばし考えた彼は――新車の出番と軽トラに乗り込んだ。
 軽トラである。軽トラックである。田舎道が似合いそうな車である。
 どっから出てきたって? 猟兵ですから。
「さぁ、獣共はひき殺してやんよ! 行くぜ無頼号!! 人々の涙背負って世界の始末だ!」
 軽トラが走る。放たれた鬼火を弾き、軽トラが妖狐を蹂躙する。そこかしこに轢殺された妖狐が伸びている。
 あんたも獣じゃないかー! という妖狐の抗議はさらりと無視をされ、車に轢かれるゾンビがごとく妖狐達は轢殺されて消滅していくのだった。
 亡霊だもの、仕方ないね。

●かくして
 猟兵達の活躍により、亡霊へと堕ちた妖狐達は現世のくびきより解き放たれていく。それは一種の解放のように――あるいは、それはさらなる地獄のように。
 最後の一尾までこの世から消滅し、後に残るのは戦闘の激しさを示すような跡のみとなり。

 だからこそ。
 彼らの前に、元凶たるもの。この騒ぎを起こしたもの。村人達の抗争を生み出したものが姿を現す――!

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『戦国武将』

POW   :    合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●あねいも
 ゆうらりと、深紅の甲冑が身を現す。
 ゆうらりと、諸手に持った刀が揺れる。
 この世のものではない気配を纏った、戦国の時代に生きたもの。鎬を削り、刃を鳴らして斬り合った武者たるモノ。
 それが、威圧を背負いて猟兵達の前に身を現し、怒りのままに声を上げる。
「何故――何故、何故だ。何故貴様ら、我が同志を手にかけた。我が志を妨げる。我が覇道に立ちふさがる。怨敵共よ、貴様らは何故……」
 それは、嘆くように。それは、訴えるように。それは、全力をもって世界に吠えるように。
「何故、何故――姉と妹という究極をさらに高める我が夢の邪魔をするのだ!? これを為せば姉か、あるいは妹は崇高の極致に至るというのに!」
 お前は何を言っているんだ。
「怨敵よ! 邪魔者よ! 我が夢の障害よ! 貴様らの首を落とし、儂はこの道を圧し通る!!」
 吹き上がる敵意が猟兵を打つ。しかし恐れることはない。この敵将を打てば、この騒ぎは終わるのだから……!
影見・輪
なるほど、真の変態は君だったと
(嘆き吠える武将を興味深げに目を細め)
君の同志、君の志には賛同してはなかったようだけどね?

邪魔?そりゃあ君、熱苦しいからじゃない?
愛があれば何してもいいってもんじゃないだろーに
萌要素語るのを聞く分には楽しいけれども、それもここらで御仕舞いにしようか
帰るべき場所へ送ってあげるからさ

【謎を喰らう触手の群れ】使用
ところで素朴に疑問なんだけども
君、姉か妹かで至高を極めて、その後は何がしたかったの?
世界征服?萌えの布教?
壮大な計画でもあったわけ?

ユーベルコードが失敗しても
『鮮血桜』で【捨て身の一撃】を加え【傷口をえぐる】よ

攻撃の様子は観察し
可能な限り【見切り】を狙っていくね


月隠・望月
姉と妹、究極……? 崇高の、極地? やはり、よくわからない……。
……あ、わかった。きっとこれは、オブリビオンの作戦。わけのわからないことを言って、わたしたちを混乱させるつもり。村の人たちも、これで混乱させられた。きっと、そう。

わたしが敵のユーベルコードを防げば、一緒にいる猟兵も、戦いやすい、はず。
敵がユーベルコードを使ったら《陰陽呪符》を放って【反術相殺】で打ち消そう。
敵が戦国兵団で霊を召喚したら、<破魔>の力で霊を成仏させて対応。
無効化に失敗したときのため、《陰陽呪符》で<オーラ防御>を張って、備える。

隙があったら、《無銘刀》で攻撃。甲冑の隙間を狙って刀を突き刺すのが効果的、かな。


八幡・茜
ふふふ、おのが信念を貫こうとする人ね、そういう人おねーさん大好きよ!
姉妹の尊さはよくわからないけれど、この美人のおねーさんの尊さに跪け場良いのよ!

精神が安定して無さそうだし、心を揺さぶりながら近づくわね
姉妹の究極って、姉妹と別の姉妹を争わせるようにしないと姉妹としての究極にはならないのではないかしら?
或いは、この美人なおねーさんのように別の高い壁が相手になるとか!
ふふふ、この美人のおねーさんとお友達になりましょう! そうすれば姉妹の究極を高めることも可能になるわよ!

なんて完璧な説得なのかしら! 万が一断られたら押し倒してでもお友達になるわね!
ちょっとだけ、ちょっとだけお友達になるだけだから!


風間・敬人
戦国の世に萌えの概念を持ち込もうとした、
ある意味偉大な先達にある種の敬意を抱く虎さんですよ。
だからと言って、周囲を操って仲の良い姉妹を引き裂こうとしたことは許さないがな。
今一度、冥府に戻って反省しやがれ、ってなもんだ。

とりあえず、ワイヤーフックで脚引っ掛けたり、刀に絡めて邪魔したり、
嫌がらせを仕掛けて他の奴が動き易くなるようにするか。
んで、目玉はレプリカクラフトだ。
攻撃しようと踏み込んだ先に、小さく浅い落とし穴。
んでバランスを崩したとこで、頭上に金盥が落ちてくるコンボだ。
お前のような勘違い野郎は、散々おちょくってやるぜ。

アドリブ歓迎。


河南・聖
何故そこで欲張らないんですか!
姉か妹のどちらでもいいなら姉と妹のまま、その究極を更に高めればいいでしょう!
それでもオブリビオンですか、軟弱者!!

うん、私は何を言っているんでしょう。
何かノリと勢いで喋ってたら無駄に口が回っちゃいました。
とりあえずこれ以上の問答は無用なので、バキュームスフィアでちょっと静かにしてもらいましょう。
その後は攻撃速度重視で【高速詠唱】で彩電を繰り返しで。
霊召喚後に火縄銃や弓矢で攻撃されそうになっても、先にこっちが攻撃すればいいんですもんね。



●真の……
「成程、真の変態は君だったと」
 武将を前に目を細めて零した影見・輪(玻璃鏡・f13299)の言葉はおそらくかの武将の嘆きを耳にした者の大半が同意するものだっただろう。言う本人には興味のほうが勝っているようだが。
 しかし、と輪は言葉を繋ぎ
「君の同志、君の志には賛同してはなかったようだけどね?」
「儂と共にあればおのずと理解に至る」
 きりっとした顔で言い切る武将。ぁ、こいつ駄目だ、と輪は思ったが折角だし揺さぶってみるかと言葉を繋げようとした、ところで。
「なぜそこで欲張らないんですか!」
 河南・聖(ペガサスナイト・f00831)の叫びが響いた。猟兵達や武将の視線を真っ向正面から受け止め、聖は続ける。
「姉か妹のどちらでも良いなら姉と妹のまま、その究極をさらに高めればいいでしょう! それでもオブリビオンですか、軟弱者!!」
「なん……だと……!?」
 聖の叫びにショックを受けた様子を見せる武将、そして聖の後ろでその叫びに共感を示す様にうんうんと頷く風間・敬人(軽トラ・f04208)。この戦国の世に萌えの概念をもたらそうとした武将に対しある種の敬意を示す彼ではあるが、しかし姉妹は姉妹揃って仲良くあってこその信念のもと、どちらも共に高めるという聖の意見こそ我が意を得たものであったりするのだ。
 なお、聖が口走ったセリフはノリと勢い任せのものである。とりあえず否定してみようと思ったら出た言葉の類なのだろう、多分。きっと深い意味はないはずだ。
「……いや、しかし。共に在っては至れぬ高みもある。それは至高で、最高であればこそ、互いに競い合うことでしか至れぬ高みが在るのだ!!」
「ふふふ、おのが信念を貫こうとする人ね。そういう人おねーさん大好きよ!」
 それでもと叫ぶ武将の言葉に、八幡・茜(妖狐の戦巫女・f04526)はむしろ楽しそうに笑う。己の理由と信念をもとにそれへと突き進む姿は確かに好ましいものなのだろう。方向性さえ真っ当なら。
 で。
「姉妹の尊さはよくわからないけれど、この美人のおねーさんの尊さに跪けば良いのよ!」
「姉でも妹でもないおねーさんなので遠慮する」
「また即答!?」
 どういった違いがあるのかよくわからないがどうにも武将からすれば違うものらしい。でも美人のおねーさんも正義だと思う訳ですよ。

 そんな猟兵達と武将を眺める瞳二つ。月隠・望月(天賦の環・f04188)はやはり首を傾げていた。姉と妹の究極だとか、崇高の極致だとか一体何の話だろうか。よくわからない。
 そこでふと、望月は気づいた。きっとこれはオブリビオンの作戦なのだ。こうやってわけのわからないことを言って、わたしたちを混乱させるつもり……村人達もきっと、この手で混乱させられたのだろう。
 ならば流されるわけにはいかないと戦意を新たにする望月。ごめんなさいこの武将素です。
 きっ、と強い視線を向ける望月を一度見やってから、ぐっだぐだの状況を纏めるように。
「まあ。そりゃあ君、暑苦しいから邪魔するんじゃない? 萌要素語るのを聞く分には楽しいけれども、それもここらで御仕舞にしようか」
 武将と猟兵達は各々が持つ獲物を握りなおし、なんかこうぐだった空気が緊張をはらむ。開戦の合図は。
「帰るべき場所へ送ってあげるからさ」
 そんな一言と共に。

●戦線展開
「ところで素朴に疑問なんだけども。君、姉か妹かで至高を極めて、その後は何がしたかったの?」
 投げつけられる疑問の言葉に、武将は知れたこと、と返す。
「次の姉か、妹の至高を求める」
「……世界の征服とか、萌えの布教とか、壮大な計画は?」
「姉と妹、その極限を知ることこそ我が宿命よ!」
 こいつ駄目だ、と今回二度目の思いである。少なくともこの方向での揺さぶりは有効ではないだろうと認識し、右手を軽く握りなおす。
 距離を詰める様に武将が踏み込もうとしたところで敬人の放ったワイヤーフックが武将の足を絡め、ほんの僅かに生じた隙に真空の球体がその身を捕らえて動きを束縛する。輪の問いかけに律義に武将が答えてる隙に聖が放った【バキュームスフィア】が効果を発揮し、そうして封じられた好きに輪と望月が動く。
 延ばされた輪の右の掌の刻印が輝き、触れた武将の鎧越しに魔術装置が喰らい付く。そのまま手を捻ればその傷口は抉られて。
 逆側から踏み込んだ望月の無銘の刀が武者装束の隙間から武将の身体を貫き穿つ。
 確実に武将へ傷を与えているものの、しかし二人が追撃をと動く前に空間が揺らいで複数の足軽が姿を見せた。
 小さく舌打ちを一つ零しつつ下がる輪に、霊相手であればと破魔の力を宿した刀の一振りで周囲の例を成仏させる望月。互いに即応は行えれど、その間に真空の檻を破った武将が吠えた。
 ぞわり、と空間を割ってさらに生じる足軽の霊。己の身を護る為に呼んだ先とは異なり攻勢にと呼びだされたそれらは火縄銃を、弓を構えて武将よりも後ろに陣取り、猟兵達に狙いを定める。
「っとぉ、それは駄目です!」
 その兵の霊達へ。聖が放たれた色とりどりの雷を連続して放ち、行動を阻害する。雷を逃れた霊が、己達を明確に標的にした聖へとその攻撃を集中させようとするが高速詠唱により【彩雷】を連射することで聖は逆に押し込んでいた。

 射撃と魔法が飛び交う最中、ワイヤーフックを警戒し、刀で斬り払いながら再度足を踏み出した武将がまたつんのめる。仕掛けられていたのはそれこそ、バランスを崩す程度の小さく浅い落とし穴。敬人が仕掛けた【レプリカクラフト】による罠は偽物でしかないが、だが意識の空白を付いた使い捨ての罠であればそれで十分。
「今一度、冥府に戻って反省しやがれ」
 言葉と同時になされた追撃は、同様に【レプリカクラフト】によって作り出された金盥。武将の兜とぶつかって見事な音を……否、兜の前立てに見事に突き刺さった。
「……貴様……!」
 そりゃ激怒する。金盥を頭上に装備した鎧武者なんていくらなんでもアレすぎる。足を踏み出すこと、移動を行うことをもはや鬼門と判断した武将はその場を動かずに刀を振るった。
 それだけで生じた衝撃波が、斬撃となって敬人へと襲い掛かる。右手の一太刀めは野生の勘で回避し、左手の二太刀目は空を絶つだけに留まる。
「そうは、させない」
 望月の【反術相殺】。衝撃となって空をかけるはずの波がそのままその場で停滞することにより無効化された瞬間。
 その隙を逃さず接近する茜が、攻撃を無力化されて動揺を見せた武将へ揺さぶりをかけるように。
「姉妹の究極って、姉妹と別の姉妹を争わせるようにしないと姉妹としての究極にはならないのではないかしら?」
 求めるものが姉妹であれば、成程、彼女の言葉はとても正しいものだろう。姉妹という組み合わせの究極を求めるならば同じものと比較せねばならない。
 その問いへと武将が言葉を返すより早く茜の言葉は続く。
「あるいは、このおねーさんのように高い壁が相手になるとか! そう、おねーさんとお友達になりましょう! そうすれば姉妹の究極を高める事も可能になるわよ!」
「お前は何を言っているんだ?」
 武将が素の声で零すが、多分それお前にだけは誰も言われたくないと思う。なお、茜は武将の反応など気にした様子はない。お友達になりたくないと反応されたなら強引にでもお友達になるだけである。
「という訳で、ちょっとだけ! ちょっとだけお友達になるだけだから!」
 先っちょだけみたいだなぁ、などと敬人は思ったとか。
「お前は何なのだ……!?」
「ぁ、その疑問頂き」
 思わずの武将の叫び。割と周囲も似たような疑問を抱きそうな状況に輪が反応した。召喚された紫の触手塊から触手が伸び、武将に生じた疑問、その謎と共に肉を喰らう。
 喰らわれる痛みに息を飲み、わずか身を硬直させてしまえばそれだけでもう時間は十分で。
「という訳でお友達になりましょう!」
 刀を持つ手を茜の手でくるまれてしまえば、【お友達になりましょう!】というユーベルコードから流される毒電波によって武将は身動きを奪われて。

 望月の無銘の刀が。輪の掌の鮮血桜が。そして好機を逃さぬと踏み込んだ敬人のダガーが武将を穿つ。

「……きさ、ま。貴様ら……!」
 明確に負傷の姿をさらし、振り返れば先ほど召喚した兵の集団は聖によってほぼ壊滅状態まで追い込まれている。
 不利な状況を認識しながら、それでもこの武将はまだ折れる様子を見せてはいない。彼の執着はまだ尚終わってはいない……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

クラーラ・ストルイピン
家族はみんななかよしが一番です。
それを無理やり争わせるなんて許せないです! そもそもいいとか悪いとか、そんなの他人が決めることじゃないです。いい大人なんだから究極とか幼稚なこといわないでください。

〇POW
戦国武将を挑発して打ち込ませてから、それを[武器受け]して後の先を狙います。カウンターがうまく入ったら、まず[2回攻撃]で左右の刀を狙い武器を破壊して無力化を狙います。

「これがお姉さんの痛み!」
「そして、これが妹さんの痛みです。猛省してください!」

合戦具足に対しては、【無敵城塞】で耐えて反撃します。


黒曜・鵺
POW対応

・あー、まぁ……何と言いますか。正直な所、自分が好きになってしまえば相手が姉とか妹とか、そういうの関係ないと思うんですが。え? そういう話でもない? うーむ……とりあえずは、あの武将さんをやっつけてから考えましょう。

・大男、総身に知恵が回りかね。などと言いますが、どうぞ、合体ロボにでも何にでもなって下さいな。私は「オーラ防御」で身を固めながら「目立たない」ように液状化で地を這い、武将の動きを「念動力」で鈍らせて【サイコアーツ・エンド】で「暗殺」します。さあ、大きくなったことで視界は高くなりましたが……足元の「視野」はどうでしょうね? 彼への油断も侮りもないからこそ、その隙を狙います。


アレクシア・アークライト
 話は聞かせてもらったわ。

 姉と妹の極限を目指す貴方の気持ち、分からないでもないわ。(※)
 でも、それを他の人に委ねてしまっては駄目よね。
 村の人達が姉妹のどちらかを至高の姉、究極の妹として選んだとして、貴方はそれをそのまま受け入れることができる? できないわよね。
 なぜならば!
 貴方が辿り着こうとしている極致、それは貴方の中、貴方の心の中にこそ生まれるものだからよ。
 
・と、武将の左胸部に右手を当てる。

 分かった?
 分かったなら(分からなくても)……次は周りに迷惑を掛けないようにやりなさい。

・そのまま掌底。[念動力、グラップル]【全力の一撃】

※ 分かるわけないでしょ。


仁上・獅郎
偶然――本当に偶然加勢に来たところがカオスだった件について。
兄と妹のいる僕は、上から見れば弟で、下から見れば兄で……同様に、姉妹とはそんな相対的な関係でしょう。
どちらが欠けても意味をなさないものでは?
……あ、説得の段階は過ぎてました? 失礼。

距離を取ってスリーブガンの[クイックドロウ]で雑魚散らしと、武将の眼球への射撃で[目潰し]を行い、他の方を支援。
召喚した影の追跡者は、武将の影に潜らせて敵への視界を確保。
相手が刀を振り上げたなら、そこを[見切り]、鋼糸を刀を持つ指先に絡ませ振り下ろしを阻害――あるいは指を斬り落とします。
さてまあ、姉妹論争の終いはどなたかにお任せしましょうか。

アドリブ歓迎



●理不尽なる一撃
 普通に加勢に来ただけだ。そう、ただ普通に加勢に来ただけなのに、その先が偶然カオスだったのである。
 いい感じにボロッとなった武者鎧の姿を眺め、仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は何とも遠い目をしていた。だが、加勢に来た以上手助けするに否やはない。
「兄と妹の居る僕は、上から見れば弟で、下から見れば兄で……同様に、姉妹とはそんな相対的な関係でしょう。どちらが欠けても意味をなさないものでは?」
 真っ当な言い分である。しかし、そんな彼の言葉に武将はくわと目を見開き、叫びを返す。
「兄も弟もいらぬ! 姉か、妹かのみが我が目指す先よ!」
「会話をしましょうよ」
 もはや説得の段階とか以前の問題で、言葉が通じている気配がない。
「……まぁ、何と言いますか。正直な所、自分が好きになってしまえば相手が姉とか妹とか、そういうの関係ないと思うんですが」
 黒曜・鵺(影渡り・f10896)はかく語る。そうだ、その通り、好きになってしまえば姉とか妹とか、そういう付加情報はあまり関係は……待って何かおかしい。
「え? そういう話でもない?」
「うむ、儂が姉が好き、妹が好きという問題ではない――どちらがより貴いか。そして、その上でさらに究極に至る為の問題よ!」
 論点の違いを指摘する武将の言葉に、ふむ、なるほど? と首を傾げる鵺。本当になんだろうこのカオス。
「家族はみんな仲良しが一番です。それを無理やり争わせるなんて許せないです!」
 その彼の横で声を上げるクラーラ・ストルイピン(ミセリコルデ・f14091)、僅か10歳の少女のその怒りは実に真っ当なもので、実に正しい事だろう。
 だがその一方、理解を示すように頷いている者もいる。アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)は静かに頷いてから、武将の方へと歩みよりつつ口を開く。
「姉と妹の極限を目指すあなたの気持ち、分からないでもないわ」
 解るんですか? と獅郎が思わず目を向けるが、無論分かるわけがない。とりあえず近づくために同意を示しただけである。
「ほう、解るか。そうよ、姉と、妹と。どちらも極限に至ることが重要よ」
 だが武将はようやく同志を得たりと頷いた。他に同志もいなかったもんね、微妙に寂しかったんだよね。
「でも、それをほかの人に委ねてしまっては駄目よね。村の人たちが姉妹のどちらかを至高の姉、究極の妹として選んだとして、貴方はそれをそのまま受け入れることができる? できないわよね」
 歩み寄りながらの言葉。その言葉に、何を言うのかと武将が口を開こうとするが、その喉が声を発するその直前に。
「なぜならば!」
 語気強く声を発せば否の声が出ることはなく、機先を制された武将はアレクシアの接近を只見守るのみ。その行動が攻撃を意図させるものであればまた違ったのであろうが、彼女は只歩み寄って近づいてきただけで。
「貴方が辿り着こうとしている極地、それは貴方の中、貴方の心の中にこそ生まれるものだからよ。分かった?」
 その言葉に目を見開く武将。気付けば己の胸鎧へと触れていたアレクシアの手も気にならぬほどにその言葉は武将に響いたのだろうか。
「――成程。確かに、儂が追い求めるものは、儂の中より生まれ出るもの」
「そう。分かったなら、次は周りに迷惑をかけないようにやりなさい」
「あぁ――否、そもそも儂は此処での同志と姉、あるいは妹の究極を求めたのであって受け入れる入れないの問題では」
「ごちゃごちゃうるさい!」
 接触状態からほんのわずかに離れた手。震脚、膝のばね、腰の捻り、肩からの押し出しの全てを利用して繰り出されるワンインチパンチ――【全力の一撃】が武将の抗議をさらなる理不尽でもってねじ伏せ武将の身体を弾き飛ばす。えげつない一撃は胴鎧をへし砕き、その内にある武将にすら多大な損傷を与えていた。
「だいたい! 姉とか妹とかそんなもの分かるわけないでしょ!」
 何この理不尽。

●合戦具足・姉妹大名の最期
「えぇい、貴様……否、貴様ら……もはや許さんぞ……!!」
 吠える武将の後ろから、武将に召喚された足軽兵たちが新たな武者鎧を抱えて現れた。砕け、損傷した武者鎧と着替えるのかと思いきや、武将はその武者鎧を高く高く放り投げる。
「行くぞ、怨敵共――合戦具足!」
 投げ上げられた武者鎧は各パーツごとに分解し、それぞれが自立しているかのように武将のもとに飛んでゆく。今の姿を覆うように、さらに強大になるように。各パーツが武将と合体を果たし、その姿は合体前と比べて実に二倍の姿を持つ。
 今ここに、合戦具足・姉妹大名が降臨した。……だが、たかが大きくなった程度で怯む猟兵は、今この場にはいない。
 むしろ。
「もういい大人なんだから、究極とか幼稚なこと言わないでください。良いとか悪いとか、そんなの他人が決める事じゃないです!」
「――小娘。貴様、儂の夢を、使命を幼稚と抜かしたか……!」
 10歳と幼いながらそれでも挑発にかかるクラーラを、見逃せぬと巨大化した武将の瞳が射抜く。無造作に振るわれる刀もその身に応じて大きくなっていれば、それはもはや少女の身一つを弾き飛ばすには過ぎる程であり。
 しかし、その刃は容易く砕けると思われた少女の身と、その手に持つ片手半剣により受け止められる。【無敵城塞】を展開した彼女の身は身動きは取れねど、しかし同時に如何なる攻撃も通さぬ硬さを持ち。
 武将を支援しようと後方の足軽たちが弓や火縄銃を構えるが、それを許さぬと獅郎が拳銃の抜き打ちで牽制する。そのついでとばかりに武将の眼の辺りへと銃弾を放ち、射抜けずとも僅か、視界を潰せたならばそれで十分。
 【無敵城塞】を解いたクラーラが、片手半剣と光の剣を強く握る。実態を持たぬはずの光の剣が軋みそうな程の力でもって、振るうは二閃。
「これが、お姉さんの痛み!」
 自身へと叩き付けられていた、されど振り切られることのなかった刀を光の剣が断ち切る。視界を取り戻した武将が断ち切られた己の刀に気付き、もう一方の刀で叩き潰さんと振り上げ。
 その振り下ろしを見切った獅郎が仕掛けた鋼糸により受け止められて生じた隙を、クラーラの片手半剣が掬いあげる。
「そして、これが妹さんの痛みです。猛省してください!」
 手を、指を切り上げられた武将は思わず刀から手を離し、刃は重力に従って落下。地に刺さるまでを見届けた獅郎の眼は、もう一つの視点を持っていた。
 武将の影に潜ませた【影の追跡者】による視点……それは、武将の行動を見切るためのものであると同時、それが意識を向ける先を知るもの。
 故に。
「さぁ、後はお任せします」

「大男、総身に知恵が周りかね。などと言いますが」
 零すのは、武将が合戦具足で巨大化した際、その視界を逃れるように目立たぬよう液状化した鵺。武将の視点が高くなればこそ、その足元は見えぬだろうという読みは確かに当たっていた。
 そも、巨大化した際に足元を気にしないのは、どうせ踏めば、蹴れば終わるという点もあるのだろう。質量差はそれだけの破壊力を生むものだ。無策に近づけば、ただ蹴られ、終わる。……無策に近づけば。
 その意識を、クラーラに向け。その行動を、獅郎によって妨げられ。そうして生じた機会を逃すほど、鵺は甘くはない。放った念動力は正確に武将の身を捕らえ、その姿を硬直させるに足り。
 ブラックタールのその全身は、たとえ素手であっても巨大化した武将の身を貫くに足る鋭利さを宿す形状をとることを可能とし。
「これで終わりとさせてもらおう」
 放つは必殺の意を持つ一撃。終いとなる【サイコアーツ・エンド】によって背後から胸部を貫かれた武将は、引き抜かれ穴が開いた胸を抑えながら己を暗殺してのけた黒き暗殺者をねめつける。
「卑怯者、が」
「ありがとう」
 誉め言葉だと、影渡りが笑う。
 どうと倒れ伏すその身は、合戦具足の効果が切れたのか元の武将の姿へと戻り。

 オブリビオンの撃破を確認し、猟兵達は姉妹の村へと勝利を告げるように高らかに勝鬨の声を上げた。

●それから
 ――猟兵達に説得され、不仲の原因を取り除かれた姉がいた村と、妹がいた村は元通りに交流を取り戻し、彼女達の仲も拗れる事無く良好なままが続いているという。
 ただ一つだけ変わったことを上げるとするならば。
 時折両の村人が集まって、姉が良いだ妹が良いだ、素直が一番意地っ張りもいいだろなどと仲良く喧嘩するようになったそうで。
 ……どうしてこうなったと、姉があきれたようにため息をつくようになったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月18日


挿絵イラスト