5
お呼びじゃない? 音楽祭のサプライズゲストたち!

#ヒーローズアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース


0




●楽しい音に招かれて
 とあるアイドルヒーローグループの出身地として有名な七向町(ななむこうちょう)では、定期的に彼女たちを招いた『凱旋ライブ』を行う。町の内外からファンが押し寄せ、会場はちょっとしたお祭り騒ぎになることで知られる。
 今日は、そのライブ初日。例年通りの大盛り上がりの中、ステージ袖にてちょっとした騒動が発生した。
「……あら、何なのあなたたち? このライブは、飛び入り参加は募集してないわよ」
 アイドル兼マネージャーの規子が眼鏡をキラつかせつつ、不意に袖に現れた十数名の少女たちに向かって言う。彼女たちはめいめいお揃いの、スタイリッシュなアイドル衣装めいた服装をしていた。ゆえに規子は、飛び入り参加希望のアイドルないしアイドル志望の少女たちと見なしたのだ――が。
「ッ!?」
 少女たちの中の一人が恐ろしい速度で踏み込み、規子の胸の中心に拳を打ち当てる。その細腕から生まれたとは思えない衝撃に、規子はステージ真ん中まで吹き飛ばされた。
 急な出来事に、今まさにステージにて熱唱していたアイドルたち、それに声援を送っていたファンたちが唖然とする。
「ノリちゃん!?」
「何、ヴィランの襲撃なの!?」
 流石、ヒーローでもあるアイドルたちの切り替えは素早く、規子が吹き飛んできた方に身構える。そして、敵と思しき少女たちを認めてからの行動もまた、素早い。
「あいつらね――志織ちゃん、亜子ちゃん、行くわよ!」
「おっけー、あずみ姉ちゃん!」
「覚悟なさい!」
 いち早く、三人のアイドルが縦列になって突撃する。途端、ファンの中からワッと歓声が上がる。
「あれは桃源貴妃のタービュランス・アタック!」
「あいつら死んだな!」
 だが、数瞬の交錯の後に倒れ伏したのは、アイドルたちの方だった。
「……へ?」
「嘘だろ……桃源貴妃が負けた!?」
 ファンたちの驚愕の声。
 それは、惨劇の始まりの号砲だった。

●カウンター・テロ
「これは今のところは、あくまで『予知』に過ぎません。この悲劇を起こさないために、まず、皆さんには音楽祭に参加していただきます」
 神妙な口調で、田丸・多摩(謎の裏方お姐さん・f09034)が言う。
 予知というものの厄介なところで、音楽祭を中止して住民の避難などを行った場合、まったく別の場所で同様の事件が起こることになる。ゆえに、オブリビオンが襲ってくるのを承知の上で音楽祭を開催し、オブリビオンを迎え撃つことが、結果的には最も安全、最も確実な解決方法ということになるのだ。
 音楽祭への参加は、演者としてでも良いし、観客としてでも良い。ごく単純にイベントを盛り上げるだけでも構わないが、来たるときのために避難経路を確認するなり何なりするのもいいだろう。
 ただし前述の事情があるため、前もって客に避難を促したり警告を行ったりは厳禁となる。
「襲撃してくるオブリビオンは、七十年代……いわゆる『侵略者の時代』にこの地で戦死したと思われる、ヒーローとヴィランです。二波に分かれていまして、第一波は神によって生み出された量産型ヒーローで、主に歌の力を使って戦います。第二波は、爬虫類をベースにした人型モンスターのヴィランです」
 指揮官級のオブリビオンは不在であり、統率も何もなく暴れ回るだけである。それでもオブリビオンはオブリビオン、個々の力だけでもかなりのもので、実際に予知の中では数に任せて実力派のアイドルヒーローたちを破っている。
「かつて敵対した者同士ながら、今回はオブリビオンとして世界の破壊に終始します。明確に共闘するような理性や判断力こそなさそうですが、同士討ちも期待できません。迅速に第一波を殲滅、次いで第二波を迎撃するというのが、今回の作戦となります」
 そこまで言ってから、多摩はふーっ、と細く長い吐息を吐く。
 そして、いつもの営業スマイルを浮かべた顔に戻りつつ、続けた。
「まあ、油断さえしなければ普通に勝てる相手です。不届きなお客様方には骸の海へお帰りいただき、平和な音楽祭を取り戻してくださいまし」


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 第一章は、音楽祭での活動となります。音楽祭を形であれば、演者、客、あるいは警備員など、立場は問いません。ただし、予知を狂わせる行為、つまり客への避難や警戒を促す行為は禁止となります。
 また、スタッフやキャストには一通り話が通っている状態であり、何か工夫をして潜入するなどの必要はないものとします。
 第二章、及び第三章は、襲撃してくるオブリビオンとの集団戦となります。理性らしい理性は残っておらず、衝動のままに暴れ回りますが、オブリビオンの特性上、猟兵を見ると優先的に攻撃を仕掛けてきます。
 なお、OPに登場するアイドルヒーローグループは、指定がない限りはリプレイの描写の外で勝手に戦います。敵戦力のほとんどを猟兵が相手取ることになりますので、特に彼女たちの援護などにプレイングを割かなくとも、命を落としかねないような苦戦をすることはありません。

 では、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
54




第1章 日常 『サウンド・オブ・ヒーローズ』

POW   :    ハードなロックで熱く燃え滾る魂を叫ぶ

SPD   :    テクノ、EDMなどのデジタルサウンドでクールに決める

WIZ   :    しっとりとしたジャズやクラッシックで癒しのひと時を

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●レッツフェスティバル!
 熱気渦巻く、屋外フェスティバル会場。
 そのステージ上に立つのは、各々のパーソナルカラーをモチーフにした衣装を身に着けた、アイドルヒーローたる十数人の少女たち。
「みんな、今日はありがとう!」
 彼女たちが観客に向かって手を振ると、おおお! という熱のこもった歓声が返ってくる。
「まだまだプログラムはたっぷり続くよ! ガンガン盛り上がって行こうね!」
 アイドルの言葉に、ファンは歓声と、推しのカラーのサイリウムを振り回すことで応える。
 そんな熱狂の中に、猟兵たちはいる。いずれ来る破滅の刻をはね返すべく。
 だが今は、このお祭り騒ぎを楽しみ尽くすのも、また一興かもしれない。
栗花落・澪
音楽は得意な方だし
参加していいなら僕もステージ上から全力で盛り上げるよ!

【指定UC】を発動しつつ
強化した【歌唱とダンスのパフォーマンス】
そして笑顔の魅力で彩る明るくポジティブなアイドルソングで
会場の空気を盛り上げちゃう!

体は小さくても
動きを大きく見せる事でキレのある動きを再現
僕はアイドルでもなんでもないけど
音楽を楽しむ気持ちは負けないから

良かったら皆も一緒に手拍子してね!

高めな歌声を響かせながら
まるで風を纏うように軽やかに踊り
ステージの高さを活かして振り付けの合間にさり気なく
ステージ周辺の避難ルートやスタッフさん達の配置をチラリと確認
いざという時に動きやすいよう情報収集も忘れずに!



●イェーガー・オン・ステージ!
「と・こ・ろ・で……実は今回、一緒にステージを盛り上げてくれるスペシャルゲストをお呼びしてまーす」
 センターのアイドルが呼びかけると、小石を投げ入れられた湖面よろしく、客席にざわざわと波紋が広がる。
「それは何と、猟兵さんです! どうぞ!」
 その瞬間――即ち『猟兵』の単語が出た途端、小さなざわめきは大きなどよめきに化けた。
 ヒーローズアースにおいて、猟兵とはこの世界を守るために別の世界からやってきた戦士たちであり、同時に異世界からの文化の運び手でもある。敬意を払うべきであり、珍重すべき存在といえた。
 ゆえに、可愛らしい衣装に身を包んだ栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がステージ上に進み出ると、観客たちは彼を万雷の拍手をもって迎えた。
「あったかい拍手、ありがとう! 僕はアイドルってわけじゃないけど、シンフォニアで……ええと、とにかく音楽が大好きなんだ。だから、一緒にこのライブを盛り上げるよ!」
 澪の言葉と同時、音楽が鳴り出す。スキップのような軽快なピアノの音の連なりから成る、明るい前奏。
 それに合わせて、澪がステップを始める。それは小柄な体格に似合わぬ大きな歩幅で、スピードもキレもある。さらに、ステップに合わせた身振りも大きく軽やかで、さながら悪戯な風か、あるいはそれに乗る花弁を連想させる。
 【scena(スケーナ)】によって底上げされたダンスパフォーマンスは、観客たちを魅了するに充分だった。
「良かったら一緒に手拍子してね!」
 自ら大きく手を叩きながらの澪の要求に応え、最前列の観客たちも手拍子を始める。それにつられるように、客席全体にリズミカルな手拍子が伝播していく。
 その様を、花のこぼれるような笑顔で見やりながら――同時に澪は、ステージ上から会場のあちこちに目を走らせていた。
(ヴィランの襲撃くらいはあり得るものっていう意識が、最初からあるのかな。避難ルートも、誘導用のスタッフさんも、要所に配置はしてるっぽいね)
 後でもう少し具体的なところも聞いておいた方が良いかもしれないが、後で観客から死傷者を出さずに避難誘導するのは、決して難しいことでもなさそうだ。
 安堵しつつ澪は、喉に力を入れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幻武・極
へえ、ヒーローでありながらアイドルでもあるんだ。
なかなかやるね。

さて、ボクはイシコロ気流を使って身を隠しながらオブリビオンの襲撃に備えるかな。
たしか、一番最初に襲撃されるのが舞台袖だったよね。
とりあえず、その辺で警戒してみるかな。



●布石は密やかに
 ステージ上でパフォーマンスを行うアイドルヒーローたちを眺めやる幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)の口から、「へえ」という感嘆の吐息がこぼれ出る。
「ヒーローでありながらアイドルでもあるんだ。よくやるもんだね」
 極自身は武芸第一の人であって、歌ったり踊ったりといった娯楽的なアクションとは縁が遠い。戦士とエンターテイナーの両立というのは彼女にとっては想像のし難いことであり、また自分がその畑に積極的に参加することも今後なかろうと思っている。
 ゆえにといおうか、極はステージに立つことはせず、警備サイドの人材として音楽祭に参加することにしていた。
「……たしか、一番最初に襲撃されるのは舞台袖だったよね」
 グリモアベースで聞かされた予知の内容を脳裏に反芻させつつ、極は舞台袖を見て回る。
 会場の外のどこかしらで発生したオブリビオンがここまで来るのか、あるいは骸の海から直接この場所に発生するのか。どちらも普通にあり得るというのが、オブリビオンという存在の怖さである。
(つまり、待ち伏せ警戒するなら、結局この場所が一番確実ってことになる)
 呼吸を整え、【イシコロ気流(イシコロキリュウ)】を発動させる。極の身を特異なオーラが包み、周囲の光がねじ曲げられる。まるで、極の体が透けて見える……否、『見えなくなる』ように。
 潜み備えるとして、これほど適した姿もあるまい――と、思ったのだが。
(これ、タイミング悪いかも)
 秒ごとに積み重なる疲労に、極は無音の舌打ちをする。疲労の量自体はほんの微々たるものに過ぎないが、それでも塵も積もれば何とやら、いつ終わるのかはっきりしない待機時間の後、いざ戦う段になって思うように動けないという事態も起こりうる。
 気流を解いた極は、代わりに大道具などの置かれている区画にするりと身を滑らせる。
「この辺かな? いや、もう少しすぐに飛び出せるようなところがあるなら……」
 思案しつつ極は、さらにベストなポジションを物色した。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
UC発動、演者として参加
アド連大歓迎

オラトリオの翼をめいっぱいはためかせて上空から登場
全力魔法で虹のアーチを展開

みんなー盛り上がってますかー!
今日はライブに来てくれてありがとねーっ!!
って感じでコミュ力発揮しながら場の空気を持っていきたい

私からは歌を披露!
歌唱、演技、ダンス、パフォーマンスで思い切り魅せるよ

七色の橋の下 皆で集まろう
笑って 歌って 飛んで 跳ねて
一緒に騒ごう 僕も君もそれだけで気分は 最高潮♪
世界知識でこの世界に合わせたアレンジするよっ

さー皆手を繋いで右からウェーブいっくよー!
人の動きに合わせて魔法の演出をしていく
揺れる光と虹のカーテンなんてどうかな



●ハイテンション・レインボー!
「みーんーなー! 盛り上がってますかー!?」
 会場中に響く声と同時、ステージの上に虹の橋が架かる。それはステージギミックではなく、鈴木・志乃(ブラック・f12101)の魔力によって生み出されたものだ。
 その虹を背景に、志乃が背中の白翼を目一杯に広げつつステージに降り立つ。衣装に依らず自前で美しい翼を用意できるのは、オラトリオならではか。虹と相性の良いその美しさに、客席から歓声が上がる。
 さらに、会場を包み込むように音楽が鳴り渡る。管楽器、弦楽器、打楽器――多彩な、まさに虹色の音が重ね合わされた、騒々しくも絶妙なメロディ。聞く者のハートを沸き立たせるそれによって、客席のボルテージは右肩上がりである。
 そこに、志乃の歌声が放り込まれる。
「七色の橋の下 皆で集まろう 笑って 歌って 飛んで 跳ねて――」
 それは【上演(ジョウエン)】によりパワーアップした、圧巻の歌唱だった。
 会場の熱気と絡み合った志乃の歌はボルテージの上昇っぷりを促し、音楽『祭』と称するに相応しいお祭り騒ぎを演出する。
 そして、間奏に入ったタイミングを逃さず、志乃が客席に呼びかける。
「さあみんな、手をつないで!」
 急な指示に、観客たちは一瞬とまどった。
 しかしそれは他でもない、会場の空気をがっちりとつかんだ志乃の言葉である。観客たちは熱に浮かされたように、両隣にいる同志たちと手をつないでいく。
 それを見計らったタイミングで、志乃は指をパチンと鳴らす。
 同時、虹の橋だったものが、色味はそのままに形を変える。会場全体を覆い包むような虹色のヴェール――オーロラのように。
「右からウェーブ、いっくよー!」
 志乃はそう叫びながら、ステージの上手から下手にかけて弾むように駆けていく。
 その動作に合わせ、オーロラはカーテンが風をはらんでひるがえるように、大きく波を作った。
 観客たちは、まずその圧倒的な美しさに目を奪われた。ゆえに、第一波において志乃の要求するような動作ができたものは、ほとんどいない。とっさに動けたところで、周囲と息が合っていないわけだから、ぎこちなく空回りして終わる。
 だが。
「今度は左から!」
 間髪入れず、反対からの同じムーブ。心の準備のできていた観客たちは、今度こそ息ピッタリの大きなウェーブを実現させてみせた。
 演者と観客、無類の一体感を伴うステージは、最高潮を迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
折角の、楽しいステージは、全力で守らないと、いけません、ね。

〈歌唱〉の〈パフォーマンス〉…ですが、
激しい曲調のものは、みなさんに、お任せして、
わたしは、ゆったりとした、バラード調の曲を、披露して、みます。
〈ダンス〉も、かなりゆったりになって、爆発的な盛り上がりには、欠けるかも、しれませんが、
ちょっとした転換には、いいかなって、思います。

あ、後、一緒に《サウンド・オブ・パワー》も、発動、させちゃいましょう。
もしかしたら、オブリビオンさんが、襲ってきた時に、役に立つかも、しれません。

最後は、軽く一礼して、舞台袖に、戻り、ます。

(アドリブ連携その他歓迎)



●トランキル・リトル
 大興奮の連続だったステージが一転、落ち着いたカラーリングの照明に包まれる。
 ついで流れてくる、アコースティックギターの優しくも凜々しい音色。それが美しくゆるやかな調べを奏で、会場を満たしていく。
 穏やかな空気がかもし出されたところで、ステージの真ん中に小柄な少女――アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)がしずしずと進み出ていく。
 曲に合わせたゆったりとした身振りを交えながら彼女が歌うのは、切々たるバラードだった。年齢を考えるなら、いささか渋さを強く感じられる選曲ともいえよう。だがそれでも、確かな歌唱力によって紡がれるフレーズには、聞く者の心に震わせるだけの魂が宿っていた。
「泣いた日も 笑った日も いつか思い出になって……」
 響き渡り、そして染み渡る。
 この場に集った観客たちはいわゆる『訓練された』人々であって、元より感受性は人一倍豊かである。そのためだろう、アニカの歌を聴いたのは初めてであるにも関わらず、感極まって涙を流す者が多くいた。さらに、まるで最初からアニカのファンだったかのように、サイリウムを曲に合わせてゆらゆらと振ってもみせた。
 そうして、頭から終わりまで静かな感激を貫き通し、アニカの歌は終わった。アニカが客席に向かって礼儀正しく一礼すると、観客たちからは割れんばかりの拍手が贈られた。
 アニカが舞台袖へと引っ込むと、そこにはめいめいに満面の笑顔となっているアイドルヒーローたちが待っていた。
「お疲れ様。とてもいい歌だったよ!」
「静かな歌だったのに、何だか聴いてたら力がわいてきました!」
「ええ、本当に素晴らしいステージだったわ!」
「あ……ありがとう、ござい、ます」
 アイドルヒーローたちにも惜しみなく賞賛され、アニカはボッと頬を赤らめる。
 ついでに、彼女たちの言葉から、どうやら【サウンド・オブ・パワー】の効果もしっかり浸透しているらしいことを読み取れた。効果中に都合良く襲撃が起こるかどうかは賭けにはなるが、備えておいて損をすることはないという一手ではあった。
(折角の、楽しいステージは、全力で守らないと、ダメですもん、ね)
 それはアニカのみならず、他の猟兵たちやアイドルヒーローたちにも共通する想いだったに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『神譜奏者『シンフォニック・リリッカーズ』』

POW   :    追奏するカノン
【追唱する仲間】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    不協和音のディゾナンス
【相手の出だしを挫く先制攻撃】【立て直しを妨げる追撃】【カウンターを許さない追い討ち】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    熱唱するサビ
予め【イントロから歌い続ける】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。

イラスト:つかさ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●セッション不能のゲストたち
 そして、彼女たちは舞台袖に出現した。
 クール&コケティッシュな衣装に身を包んだ、いずれ劣らぬ美少女ばかり。それと知らずに出会ったならば、どこぞのアイドルグループとしか思えない――強いていえば、人数がやたら多いことと、表情があまりにも虚ろなことが気になるかもしれない、といった程度か。
 しかし、猟兵たちは予知により知っている。そうでなくとも、気配で知れる。彼女たちが、世界にとって恐るべき存在、オブリビオンであることを。
 神譜奏者『シンフォニック・リリッカーズ』。生前、歌を愛し、音楽を愛し、人々を愛したはずの彼女たちは、しかし今、世界を破滅の音で満たすべく喉を震わせた。
 楽しかったはずの祭りの会場は、今より一転し、鉄火飛び散る戦場となる。
栗花落・澪
一度でも歌を愛した事があるのなら
少しでも思い出してもらえると嬉しいんだけど

翼による【空中戦】で逃げ道を広めに確保
戦場全体の動きを注視し
些細な予備動作も【見切り】

残念ながら、悪意ある歌と知りながら
サビまで待ってあげる程お人よしじゃないよ

氷の【高速詠唱、属性攻撃】でステージを凍結
足場の安定さを奪い
更に★爪紅の【投擲】、爆発により注意を奪う

万一攻撃を仕掛けられても
【オーラ防御】と【ダンス】のような動きで回避

【指定UC】を発動
本物のアイドルなら、皆の笑顔を願わなきゃ
皆行くよ!

散らばった分身達と連携
【破魔】を宿した【祈りの歌唱】を響かせながら
一斉に光の【全力魔法】で【範囲攻撃】
いい加減、目を覚ましてよね



●その歌は誰がため
 リリッカーズが歌う。いかにも神造の存在らしく、その旋律はアイドルソングというよりは、聖歌のそれと思わせるものだった。その絶唱は、それまでステージ上にあったアイドルたちや猟兵たちと比べても遜色ない。
 ならば、その歌は人に感銘を与えそうなものだ。が、そこからは厳かさも美しさも感じられなかった。どう聴いても禍々しく、また響くにつれてオブリビオンたるリリッカーズの力を増大させる、邪悪な歌だった。
 それが彼女たちの繰り出す【熱唱するサビ】である。
 そうと把握しながらサビまで歌わせてやるほど、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はお人好しではない。
「こっちだよ!」
 翼を広げて空を舞いつつ、澪はリリッカーズに向けて髪飾りを投げつけた。赤い花をかたどった髪飾りは地面にぶつかった瞬間、ホウセンカの実よろしく爆発し、金属のつぶてを八方に散らす。
 爆破によるダメージは些少だったが、リリッカーズたちの目は空へ、そして澪へ向いた。虚ろさを保った表情からは感情を読み取り難いが、彼を敵と認めたのは間違いない。
「――♪――!」
 人の声を超越した音の塊が衝撃波を形作り、上空の澪を狙う。
 衝撃波そのものは目には見えづらい代物ではあったが、しかし、大仰な予備動作を伴うそれを見切って回避するのは、澪にとってはそう難しいことでもない。
 さらに。【極めて小さい天使の物量アタック(キワメテチイサイツユリンノカワイイアタック)】によって召喚された、三百近い小さな澪の分身が、羽虫のように群れを成しつつリリッカーズに襲いかかる。
「行け、僕の分身!」
「――――!」
 分身たちは、リリッカーズの振り払う程度の動作で簡単に消し飛ぶ程度の装甲しか持ち合わせていない。それでも数を恃みに編隊を組み、整列する。
「清き光が 蒙を啓き給う――」
 機を逃さず、澪と分身たちが一斉に破魔の力を宿した歌唱を響き渡らせる。
 同時、ダイヤモンドダストのようにきらめく光の粒子が広範囲に満たされ、そのただ中にあったリリッカーズの体を溶かすように消し去っていった。
 そうして消えゆくリリッカーズは、それでもなお表情は虚ろなままで、苦悶もなければ安堵もなかった。
(……最期くらい、歌を愛した記憶を取り戻してほしかったけど……)
 密かにチクリと痛む胸を抱きつつ、澪はなおも祈りの歌を歌う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
生前の想いがオブリビオンになってしまうなんて、本当の貴方達が聞いたらなんて言うのかな
今すぐ殺してくれ、なんて、言うのかな

……本当、むなしい

オーラ防御常時発動。特に耳は重点的に施す。
敵攻撃はよく見て第六感込みで見切るよ。見破られやすくなってるなら尚更対処は楽な筈。
敵攻撃に合わせてUC発動。召喚した無数の鎖を早業念動力で操り、武器受けからのカウンターなぎ払い
もしくはロープワークで呼吸自体が出来なくなるように縛り上げるねー
ある程度動きを封じるか、隙が出来たら全力魔法ぶっぱなすよ

敵攻撃が音によるものだったら、歌唱の衝撃波で対抗してみますか
こっちもサビだけ歌いまくってやる……


幻武・極
へえ、歌いながら闘うなんてヒーローっぽいのにオブリビオンになってしまったんだね。
まあ、闇堕ちとかよくあるから仕方ないかな。
ボクとしては強い相手と闘えるのは望む所なんだけどね。

その攻撃は素早い連続攻撃で相手の体勢を崩し攻撃を封じる技だね。
攻撃を武器受けし、その衝撃を使って衝撃波を発生し、体勢を崩しているボクの体を吹き飛ばして連続攻撃を中断させるよ。

いくつか命中して攻撃力は下がっているけど、それはボク自身であって召喚するバトルキャラクターズには関係ないよね。

不協和音って重なり合っているから不快に感じるんじゃないかな?
こうしてタイミングをずらせば、また違った音になるんじゃないかな。



●清き志は骸の闇に置き去りにされて
 邪悪な絶唱の響き渡るフェス会場の中、鈴木・志乃(ブラック・f12101)が嘆息する。
 かつてヒーローとして人々を守っていたリリッカーズが、今やオブリビオンとして、なまじのヴィラン以上に人々を脅かす存在に成り果てている。そんな現状を、もし本来の彼女たち――魂とでもいうべきものが、俯瞰できているとしたら。
(今すぐ殺してくれ、なんて、言うのかな)
 志乃は自分の想像に辟易した。どうであれやるべきことは変わりないというのに、自ら己の思考を鈍らせてどうするのだろう。
 その一方、志乃の横を駆け抜けていく幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は、闘争の気配に高揚し、頬を紅潮させていた。
 ダッシュの勢いそのままに跳躍し、リリッカーの一人に鋭い跳び足刀を見舞う。
 リリッカーは歌を中断しつつ極を一瞥するや、避けるでなく防ぐでもなく、逆に極に向かって踏み込む。そして、マイク型のデバイスをハンマーのように極の蹴り足目がけて叩き付けた。
「――へえ!」
 極はかえって嬉しげな声を上げる。強敵との邂逅は、むしろ彼女の望むところだった。
 地に叩き落とされた極に、リリッカーがサッカーボールキックを見舞う。体勢の崩れているところ、極は腕を交差して防いだ。
 刹那、火薬が巨岩を割るような轟音とともに、極の体が後方に吹き飛んだ。
 恐るべきはリリッカーのキックの威力……の、ように見えるが、実はそれだけの話ではない。
「――?」
「ふふっ」
 リリッカーが戸惑うように首を傾げ、極がほくそ笑む。
 素早い連撃が【不協和音のディゾナンス】の肝と見た極は、リリッカーのキックが触ると同時に自身が生み出した衝撃波でもって己の体を吹き飛ばし、追撃をかわしたのだった。
 そして、それと呼吸を合わせたように。
「大人しく、しなさい!」
 志乃が周囲の空間から数十、いや数百本にも及ぼうかという銀鎖を発生させる。それらは極と交戦していたリリッカーを初め、周辺のリリッカーズに向かって神速をもって伸びるなり、まとわりついて縛り上げていく。
 それら【女神の拘束(ジャッジメント・コード)】の鎖は縦横無尽でありながら精妙な動きを見せ、リリッカーズの首回りを特に執拗に締め上げる。
「――ギ、ッ……!」
 美声を誇る彼女たちだったが、破魔の鎖に締め上げられて呼吸を阻害されては、歌い続けてもいられないようだった。
 だが、リリッカーが身をよじりつつどうにか鎖をわしづかみにすると、途端に鎖からミシリ、と嫌な音が鳴った。
「うっ……!?」
 志乃の目が、一瞬驚きに見開かれる。
 元よりリリッカーズにはオブリビオンとしての膂力がある。加えて、多少なりと続いていた歌による戦闘力強化が、単純な腕力にも影響を与えていたらしい。
「――でも、隙は充分だね!」
 極が念を集中させると、その周囲にバランスが悪い三頭身の人型の影が、五十弱ほども出現する。それは、兜の額部分に1と刻印された、SRPGの兵士のコマのような【バトルキャラクターズ】だった。
「行けぇっ!」
 号令一下、槍を構えて突撃陣形を組んだキャラクターズが、リリッカーズに吶喊する。
 銀鎖に絡め取られた状態の彼女たちには、抗うような手立てもない。突き崩され、刺し貫かれ、あっという間に消滅せしめられていった。
「――ッ――!」
 だが、後方にいた何人かは、鎖を引きちぎるのを間に合わせてみせる。
 そうなってしまうと、流石に個々のキャラクターズよりはオブリビオンたるリリッカーズの方が強い。
 アイドルめいた外見にそぐわないような荒っぽい拳や脚を、リリッカーズは振るった。殴打の不協和音が、キャラクターズの陣を押し返す。
 しかし、キャラクターズの攻勢によってできた余裕に、今度は志乃が滑り込む。
 大きく吸気。全身全霊の魔力を喉に集中させ――そして一気に解放する。
「――♪ 愛の、夢よ――!」
 歌に乗った全力の魔力は円状に膨張する衝撃波の壁となり、人工芝を巻き上げつつリリッカーズを蹂躙する。
 その様を見た極が、「ひゅう」と軽く口笛を吹いた。
「あいつらとはまた違った、いいボイスだね」
「そりゃ、まあね。ありがとう」
 肩をすくめながら、志乃は答えた。
 本来は、そう違わない音色であるはずだったのだろうに……などと、胸中に巣くっていた空しさは消えずにいるが、それでも今は、志乃は全力で戦う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「いや、待ってよフィオ姉ちゃん。それおかしくない?」
何故かドレス風な衣装を着せられてるんだけど、うう、観念するしかないのかなー
と、とにかくフィオ姉ちゃんと一緒にリリッカーズを撃破するよ
【行動】()内は技能
「もうヤケで歌うよー」
銀月琴を取り出して透き通るような旋律(楽器演奏)で
シンフォニック・キュアを響かせるよ(歌唱) 
フィオ姉ちゃんのUCをイメージして白銀の世界と女王様?みたいな歌だよ
リリッカーズの熱唱するサビをボクの歌声で打ち消す狙いだね
変な攻撃が飛んで来たら(高速詠唱)のグアルディアン・サトゥルノで相殺するね
危なくなったら(見切り)で回避


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/共闘可)
「アイドルグループにはデュオで対抗するしかないわね」
フォルセティとお揃いの(?)ドレス風衣装で登場。弟のにも強権発動でしっかりドレス姿にさせる
■作戦
弟の歌で対抗しながら氷雪のUCでリリッカーズを殲滅する
■行動
「せっかくだから笑顔で歌うわよ」
インカムに備わったマイクを通して、弟と一緒に『ありのままの自分になる』ような
歌を歌いながら[歌唱]、[先制攻撃]で【フィンブルの冬】を発動
[範囲攻撃]でリリッカーズをステージ毎、氷雪の竜巻で攻撃する
「ふふふ、少しも寒くないわよね。」
リリッカーズの攻撃は[ジャンプ&見切り]で回避する



●極寒なるデュオシスターズ(?)
 神造の存在ゆえにだろうか、リリッカーズは誰もが抜群の容姿を持つ。それらがサイバー風味のステージ衣装に身を包み、歌いながら戦う様を見れば、生前さぞや人気のアイドルヒーローチームだったのだろうと思えてくる。
 物陰に隠れたフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)は、自身の着ているものと似たデザインのドレスを握りしめつつ、双眸を邪悪に光らせていた。
「アイドルにはアイドル。ここは私たちもデュオで対抗するしかないわ」
「いや、待ってよフィオ姉ちゃん。それおかしくない?」
 邪悪な視線を向けられているフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は、頬をひくつかせる。
 彼の言はもっともだった。リリッカーズとの戦いはパフォーマンスの出来を競うものではなく、純粋に武力による潰し合いである。アイドルめいて着飾る必要性、ましてや彼が女装する必要性など全くない。
 だが、その気になった姉にそんな正論など通じないことを、フォルセティは熟知している。
 予定調和のごとくに押し切られ、フォルセティはどたばたと強引に着替えさせられた。フォルセティにとっては不本意なことながら、実際その衣装は、華奢な体躯と可愛らしい顔を持つ彼によく似合っていた。
「さあ、行くわよ!」
「うう……観念するしかないのか」
 揚々とした姉と鬱々たる妹(にしか見えない弟)というシスターデュオが戦場に躍り出る。同時、生きていたステージギミックに火が入り、ボボボッ! と七色の噴出花火が床から発射される。
 途端、リリッカーたちの視線が一気にソレスティアズに集中した。
「ふふふ、私の読み通りね。ばっちり注意を引けたわ」
(あんまり関係ないんじゃないかなー)
 フォルセティが胸中でぼやく。グリモアベースで与えられた情報を信じるなら、ヘイトを稼いだのは単純に彼女らが猟兵だからである。リリッカーズの頭には、ライバルアイドルの登場を憎むといった思考なんぞもないはずだ……などと、仮に言ったところでフィオリナは耳を貸すまいが。
 とまれ、二人を認めたリリッカーズが無感情な殺意と歌声をまといながら殺到する。先頭を走るリリッカーが右手を貫手の形にすぼめ、レイピアのごとき一閃を放つ。
 が、それよりなおフィオリナの【フィンブルの冬(インビエルノ・デ・フィンベル)】の方が早く、速く、迅い。
「せっかくだから聴かせてあげる。銀世界の女王が導く、黄昏の歌をね!」
 フィオリナのドレスが白銀の輝きを放ち、氷刃の大群をともなう逆巻く暴風がその周囲を駆け巡る。女王の歌声は即ち、死の竜巻の咆哮であった。
 貫手のリリッカーは、真正面から氷の竜巻に飛び込む格好になる。無慈悲な暴力に全身をもみくちゃにされ、次の刹那、身体が灰のごとくに散って骸の海へ還った。
「――!?」
「――!」
 広範囲を蹂躙する氷の竜巻に、後続のリリッカーズは近接戦闘を一旦あきらめたようだった。
 距離を取り、【熱唱するサビ】による自己強化の後に、魔力の衝撃波を集中砲火してくる。
「――♪――!」
「――!」
 その衝撃波は単発ならばともかく、五、六発も重なればフィオリナの吹雪を押し返すだけの威力は持つ。
「やっぱり簡単じゃないわね……!」
「じゃあ、ボクも歌うよー」
 銀月琴を爪弾きつつ、諦観の表情をたたえたフォルセティが、ボーイソプラノの歌声を披露する。外見こそ少女めいてはいても猟兵の男、それは力強い歌唱だった。単純に音の質でいえば、リリッカーズの歌をもかき消しかねないほどの。
 といって、ただの歌や声でオブリビオンのユーベルコードをかき消すのは不可能である。
 それは歌唱であると同時に詠唱だった。魔力のこもった歌に応じて出現するは、【グアルディアン・サトゥルノ】の七枚の盾だった。フィオリナとフォルセティの双方をまとめて守るように配置されたそれらは、吹雪を押し返してきた衝撃波を受け止めてみせた。
「へえ、やるじゃない。ふふふ、私もギアを上げていかなきゃいけないわね。」
 口の端を吊り上げつつ、フィオリナは氷の竜巻にさらなる魔力を注ぎ込む。
「寒くなんかないわよね?」
「えー、うん。まあ、フィオ姉ちゃんの好きなようにして」
 フォルセティは肩をすくめた。実際、竜巻の中心にいる分にはさしたる影響もない。
 さらに、フォルセティは歌を重ねた。
「自分は自分 ありのままの姿で 歩き続けるよ――」
 【シンフォニック・キュア】の歌声が、氷嵐の哭く音にも負けず、オブリビオンの歌をも押しのけ、朗々と響く。それは戦場のそちこちで戦う猟兵や、七向町のアイドルヒーローたちの耳にも至り、彼らの傷を癒やしていった。
 そうして底上げされた戦力もあって、猟兵、ヒーローたちはリリッカーズを圧倒していく。

 それからごく数分の後、会場こそめちゃくちゃになったものの被害は物的なそれに留まり、死傷者を出さずしてリリッカーズを壊滅せしめることに成功した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『ザウルスマン』

POW   :    ザウルスアタック
単純で重い【拳や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ザウルススライディング
【怒りの感情】を向けた対象に、【スライディングキック】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ザウルスアーマー
全身を【爬虫類の鱗】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:ぱぶ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そもそも音楽とか関係ない奴ら
 アイドルヒーローたちはリリッカーズの壊滅を認めると、ほぅっ、と大きく息を吐いた。猟兵たちの助力なくしては勝てなかったであろう強敵だったが、自分たちにせよ観客たちにせよ、誰も欠けず無事である。
  守り切った。その安堵と勝利の余韻に、アイドルヒーローたちの顔がほころぶ。
 だが。
「――新手だぞ!」
 周囲を警戒していた一人が、鋭く声を発する。
 声に応じ、場にいた全員の目がその『新手』の方へと向く。
 一見しての印象としては、全身をピッタリと覆うタイプのボディスーツを着た、成人男性といったところか。それがローラースケートを履き、集団でもって近づいてくる。
 だが、人間ではあり得ない恐竜めいた尻尾と、何より気配の恐ろしいほどの禍々しさが、それらが尋常の存在であることを否定している。
「ン十年前の趣味の男性アイドルグループ……ってわけでもなさそうよね」
「来ます!」
 身構えるアイドルヒーローたち。そして、猟兵たち。
 それらに向かい、かつてヴィランの戦闘員であったザウルスマンたちは、文字通り牙を剥いた。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「うえーん、着替える暇がなかったよ」
仕方ないからこのままザウルスマンをやっつけるんだ。
でもなんでローラースケートなんだろう?
【行動】()内は技能
「ローラースケート相手ならこれがいいかも」
(先制攻撃)でラビリント・ネプトゥノだよ。
入り組んだ迷宮の中に閉じ込めて、勢いあまって氷の壁にぶつかるのを狙うよ
「えへへ、なかなかいい考えでしょ」
フィオ姉ちゃんに褒めてもらうよ。
あとは迷宮の出口で待ち構えて、なんとかたどり着いたザウルスマンに
(全力魔法)でカラミダド・メテオーロをドッカーンとぶつけちゃうよ
ザウルスマンの攻撃は(見切り)と(ダッシュ)で躱すんだ


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/共闘可)
「今度の相手はアイドルとは程遠いわね」
ちょっと呆れつつも、フォルセティと連携してザウルスマンを撃破する
(引き続きアイドル衣装で戦う)
■行動
「氷の迷宮に閉じ込めるのは悪くないわね」
被害が及ぶ範囲も限定できるし、自傷なら生命力吸収も制限できそう、とフォルセティを褒めてあげる
(なんだか褒めて欲しそうだし)
「それじゃあ、あっちのオブリビオンにもご褒美をあげないとね」
通路の奥から現れたザウルスマンには(全力魔法)の【フィンブルの冬】を
プレゼントとして浴びせる
「この調子でドンドンいくわよ」



●姉妹(?)、氷界に君臨す
「今度の相手はアイドルとは程遠いわね」
 フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)は、迫るザウルスマンたちを見やりながらぼやいた。
 それを聞きつけたフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は、ぱぁっと顔を輝かせる。
「だよねだよね! だったらボクも、対抗してアイドル衣装とか着てる必要なんてないよね?」
「バカ言わないの。見なさい、敵はすぐそこよ。着替えてる暇なんかないわ」
「うえーん!」
 フォルセティ魂の慟哭であったが、時間的猶予がないのは事実だった。
 ローラースケートを使っているだけあってザウルスマンはなかなかのスピードを持ち、その群れは既に目と鼻の先にまで詰めてきている。今から着替えを始めていた日には、フォルセティは素っ裸で戦闘を始める羽目になるに違いない。
 それでも、ザウルスマンらの優先標的が猟兵であり、ゆえにフィオリナやフォルセティに真っ直ぐ向かってきているというのは、むしろ幸いというべきかもしれない。他への守りをさして考えることなく、十全の力で迎撃ができるのだから。
 加えて、数こそ脅威ながら工夫も何もない猪突猛進を仕掛けてくる相手など、フォルセティにしてみれば脅威でも何でもない。
「ハイスピードで突っ込んでくるなら、これでいいかな――氷雪の英霊よ、封縛の柩を捧げよ!」
 詠唱が紡がれきると同時、周辺の光景が激変する。
 まず、視界いっぱいに広がる白い濃霧。そして、その霧に隠れるようにそそり立つ青白い壁。壁はのっぺりとしたシンプルな造作の代物だが、その配置は複雑に入り組んだものになっており――要は、迷路を形作っている。
「これは……氷?」
「そう、氷の迷宮、【ラビリント・ネプトゥノ(ラビリント・ネプトゥノ)】だよ」
 フィオリナに答えつつ、フォルセティは自慢げに胸を反らせた。
 突進中のザウルスマンらは、突如として出現した氷の迷宮のど真ん中に放り込まれた形になる。
 不意の障害物、それも急制動の困難なローラースケートによる走行中のそれとあっては、ひとたまりもあろうはずがない。迷宮の出現と同時、中からは衝突音が連続して轟いた。触れた者の体温を容赦なく奪う絶対零度の壁は、オブリビオンの膂力をもってしても簡単には破れない強度をも持ち合わせていた。
 ザウルスマンらに見舞われる惨劇の様は外からは見えないが、容易に想像はできる。
「なかなかいい作戦でしょ」
 鼻高々で言うフォルセティの頭を、フィオリナはぽむぽむとなでてやった。
「ええ、悪くないわね。やるじゃないの」
「えへへ」
 フォルセティの顔がだらしなく緩む。姉に褒められたのが、よほど嬉しいらしい。
「でも、これで全滅させられるほど甘い相手じゃないわよね……」
「ああ、それなら――」
 首を傾げるフィオリナの手を引き、フォルセティは彼女を氷壁の切れ目に導いた。
「出口はここ一つだから、突破してくる奴らはここで待ち伏せてれば大丈夫だと思う」
「至れり尽くせりじゃない!」
「えへへへへへ」
 わしゃわしゃと頭をなでられ、フォルセティは満悦を味わった。
 その後もしばらくどったんばったんと迷宮内で苦戦する音が鳴っていたが、やがてほうほうの体といった様のザウルスマンたちが出てきた。防御力を増やすためだろうか、その体表には爬虫類めいた鱗が浮き上がっている。
 彼らの【ザウルスアーマー】を一見したフィオリナは、効果の発現の程を見て取る。敵から受けた傷に比例して戦闘力を上げるそれは、やはり『勝手に転んだ』分はカウントしないようだった。凍傷の分は影響を与えているようだが、ダメージ全てが戦闘力に反映されていないだけ、大分マシである。
 フィオリナはその整った顔に、極上の笑みを浮かべた。
「お疲れ様、よく突破してきたわね。それじゃあご褒美をあげないとね」
 ザウルスマンたちは、明らかに寒気とは別の『何か』によって、その体を震え上がらせた。オブリビオンとして顕現した際に理性と判断力を失った彼らでさえ、『それ』は感じ取れてしまった。
「氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
 凶悪無慈悲な【フィンブルの冬(インビエルノ・デ・フィンベル)】の氷嵐が、心身を弱らせきっていたザウルスマンたちを打ち据える。ろうそくの灯火よりなおたやすく彼らの命は吹き消され、塵と化した彼らの肉体は竜巻に乗って骸の海へと還っていく。
「うひゃー……フィオ姉ちゃん、相変わらず容赦ないなぁ」
「まだ敵はたっぷり残ってるわ。ドンドン行くのよ!」
「はーい」
 フィオリナに促され、フォルセティもまた攻撃魔法の詠唱を始める。
 その一帯は、ソルレスティアズの独擅場となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルドルフ・エルランゲン
※野良連携どんと来い!

裏方として様子見てたけど状況が状況なので登壇)
悪くないライブでした。先までは戦闘にしても歌が絡み、盛り上がる展開でしたが……
さすがに怪人なだけの敵が出てきたらのんびりもしてられませんね。

■心攻の計(WIZ)
今までの猟兵やアイドル達の戦いぶりを見たでしょう?
ザウルスマンだかなんだか知りませんが、雑魚怪人如き、束になっても敵う相手じゃないのです。
戦術眼も無い、作戦も無い、只の力押しで我々に勝てると思ってるなら笑止千万!、恥を知りなさい!
…と、彼我の力関係を認識させ、敵の戦意を大きく挫きます(言いくるめ、恐怖を与える、精神攻撃、範囲攻撃、パフォーマンス)

※アドリブで演出よろです


幻武・極
キミ達も歌ったり踊ったりしながら闘うのかな?
いや、どうやら違うようだね。
まあ、ボクとしてはどっちでもいいんだけどね。

へえ、スライディングキックね。
なら、ボクは上からの踏みつけで対抗しようかな。
どんなに命中が高くても、こちらも攻撃をぶつければ命中したことになるよね。
だけど、相手はユーベルコードでこっちは技能じゃ競り負けちゃうね。
それなら、こっちは重量をアップさせるかな。
バトルキャラクターズをボクの上に召喚するよ。
もちろん、全部レベル1でね。さあ、このキック対決はどっちが勝つのかな?


栗花落・澪
うわぁなんかあんまりかっこよくない(ボソ

これ実際に爬虫類なのかなー
だとしたら体温調整は苦手な筈だよね

風魔法を宿した★Venti Alaと翼の【空中浮遊、空中戦】で
上空から対応
敵のスライディング攻撃もここまでは届かないだろうし
万一があってもこの靴があれば空中で更にジャンプも可能なので
対処しやすい筈

★Staff of Mariaから放つ氷魔法の【高速詠唱、属性攻撃】で
バランスを崩させる意味も兼ねて敵の膝を狙い凍結
更に氷の【全力魔法+範囲攻撃】で全体に吹雪を起こし
まとめて凍えさせちゃう
それでも動けるなら子守唄の【催眠歌唱】で動きを鈍らせ

動作を封じたところで【破魔】を宿したトドメの【指定UC】



●儚くも強き
 眉間にしわを寄せたルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は、スタッフジャンパーを脱ぎつつ嘆息した。
「やれやれ、今までの戦いを見てなお、無骨な乱入をしようという気になれるとは……」
 先刻までの戦いは戦いといいつつも、美しい衣装や歌が飛び交う華やかなものだった。その華やぎに水を差すのを嫌った彼は、敢えて戦闘にはタッチせず裏に回り、観客の避難誘導などに従事していた。
 だが、リリッカーズに次いで現れたザウルスマンは、どこをつついても歌なり何なりのアーティスティックな気配が出てこない、純粋暴力の怪人だ。となると、もはやルドルフが奥に引っ込んでいられる空気でもない。
 スタッフジャンパーの代わりに銀河帝国由来の礼装を着直し、白梟の指揮扇を己の鼻先で揺らす。
「さて、やはりまずは心を攻めるが上策、か」
 迫るザウルスマンの群れの前に、ルドルフが進み出る。
 必然、数十のザウルスマンの目線と殺気がルドルフに集まる。それは同時に耳も向けられたということであり、ルドルフにとってはむしろ望むところだった。
「聞きなさい、愚かな怪人どもよ!」
 轟然たる大音声を発する。
「今までの猟兵やアイドルヒーローたちの戦いを見ていないのですか? 単なる力押しで勝てるつもりでいるなら笑止千万。ザウルスマンだか何だか知りませんが、力量の差を見極めるだけの眼力もなく、策を練るだけの知恵もない雑魚怪人ごとき、束になったところで我々の敵ではありません!」
 羽扇の先でピシリとザウルスマンらを指し、ルドルフは言い放つ。それは単純なる言葉ではなくして、向けられた者の精神を苛む【心攻の計(フォールドマインド)】の呪言であった。
 呪詛に当てられたザウルスマンらは、萎縮したように動きを止め――しかしその四割ほどは、ほんの一瞬の後に再び突撃してくる。
「むっ!?」
 目を丸くするルドルフに、十二分に加速したザウルスマンらのスライディングキックが迫る。八方から迫るそれは、おおよそ回避できる隙間もタイミングもルドルフに与えてくれない。
 だが。
「危ない!」
 空中にあった栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の魔法が、ルドルフの周辺に吹雪を巻き起こす。
 吹雪は地面は瞬時に凍結せしめ、さらにザウルスマンらの蹴り脚をも氷でもって覆い尽くした。
「――!?」
 凍結した地面と脚とが摩擦を奪い去る。滑ったザウルスマンたちの蹴りは標的たるルドルフを見失い、明後日の方に逸れる。
「大丈夫?」
「ええ、助かりました」
 ルドルフは手を振って、澪に応じた。
「しかしまさか、ほとんど言葉が通じないレベルで理性を失っている者が混じっているとは……」
「半分には効いたんだから充分でしょ」
 今度は氷の魔法ではなく、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が降ってくる。
 ただで降ってきたのではない。彼女の背や肩には、彼女自身が召喚した【バトルキャラクターズ】が計数十体、何やら組み体操めいた器用な姿勢と配置でわちゃわちゃと張り付いている。そのせいで、元来小柄な彼女のシルエットは小山のごとき異様な巨躯のようになっており、一見してかなりの質量を持っていることがわかる。
 その超重量が、猟兵ゆえの超常の力による超加速をもって、望まぬ滑走をしていたザウルスマンの一体の真上を踏みつける。
 同時、隕石が墜落したような衝撃が爆圧と轟音をまき散らし、隕石と同等のクレーターを形成する。キックの餌食になったザウルスマンは無論のこと塵と化し、他も爆圧に吹き飛ばされて相応のダメージを負ったようだ。
 クレーターの中心で立て膝の姿勢になった極は、若干痛む体にするりと指をはわせた。
(うーん……コスパは微妙かもだけど、威力は悪くない、かな?)
 敵のユーベルコードに競り勝つために、バトルキャラクターズの質量を利して一撃の威力を上げるという工夫であった。目論見はおおむねうまくいったが、敵との衝突と超重量に挟まれることになる肉体への負荷は、想像していたより上を行く。鍛錬を重ねた猟兵の肉体はヤワでなしとはいえ、同じ負荷を覚悟するなら、もっと工夫ができそうな気がする。
(ボクの求める最高の武術は……まだまだ、もっと高みにある)
 胸に、決意を新たにする。
 その一方、哀れなるは残ったザウルスマンたちである。
 ルドルフの言にあった『力量の差』、それを今まさにまざまざと見せつけられたわけだ。狂暴性、凶悪性をもってオブリビオン化していた彼らであったが、それでも本能が「勝てない」と叫ぶ。
 そして、萎縮して動きの封じられた格好になったザウルスマンらを見逃さなかったのは、澪だった。空中機動も鋭く集団の真ん中に突入し――何しろ今からやろうという【Fiat lux(フィーアト・ルクス)】は無差別攻撃ゆえ、味方を巻き込みかねない立ち位置にいるわけにいかなかったのだ――愛用のエレメンタルロッドたるStaff of Mariaに破魔の白光を宿らせる。
「全ての者に――」
 破魔の光が輝きをいや増していくのを、戦意喪失してしまったザウルスマンらは、ただ呆然と眺めているしかできない。といって、仮になけなしの戦意を奮えたとして、何ができたということもなかったのかもしれないが。
「光あれ!」
 澪を中心に放射状に伸びた幾百条ものレーザーめいた光が、棒立ちのザウルスマンの群れのことごとくを穿ち貫き、灼き尽くした。

「……皆さん、たくましいですね」
 ルドルフがつぶやくのもむべなるかな。
 脅威が消えたと明らかになるなり、即座にスタッフや有志らが動き出し、ライブ会場が整備し直されていった。戦闘の痕跡凄まじかった会場は、流石に何事もなかったかのようにとまではいかないものの、気に留まらない程度には修繕された。
 そして避難していた観客たちは会場に集結し直し、ステージ上では中断されたプログラムが再開されている。
「まだまだ、盛り上がって行くぞー!」
 アイドルヒーローの呼びかけに応じ、オオオ! と大きなどよめきが客席から上がる。
「うわぁ、なんかかっこいいな。さっきのオブリビオンと違って」
 澪がボソリともらす。
 その言葉に、横に立っていた極もまた、うなずいた。
「歌ったり踊ったり闘ったり、彼女たちも疲れてるだろうにね。まあタフさでいえば、お客さんたちもそうなんだけど」
「ええ、全くもって」
 三者を初め、猟兵たちはなお続く宴の熱気に、しばらく心身を委ねていた。
 弱くもありタフでもある、人々の営み、笑顔。
 猟兵たちが体を張って守ったそれは、アイドルヒーローたちの美声を背景に、なお熱く、なお強く輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月11日


挿絵イラスト