#アリスラビリンス
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●その塔は天高く
「私たち、どうなってしまうのかしら」
高い高い塔の上。花畑に囲まれたその塔に、三人のアリスが囚われていました。
「抜け出そうにも変な怪物はいるし、こんな高いところからでは飛び降りる事も出来ないし。何か手段はないのかしら」
「俺は嫌だぞ! こんなどこかもわからない場所で、自分が何者かもわからないままあいつらにやられるなんて!」
「助けて……誰か……助けてよぉ」
お互いの名前も知らない、自分の故郷さえも分からない。
三人は恐怖に捕らわれながらも、なんとか脱出できないかもがき続けています。
その抵抗もむなしく、三人には残酷な未来が待ち受けているでしょう。
猟兵たちが現れなければ。
●希望の欠片
「諸君! よくぞ呼びかけに応えてくれた!」
ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が声をあげた。
「此度ゴッドが予知したのはアリスラビリンスでの出来事! オウガに捕らわれたアリスたちを助け出してほしいのだ!」
高い塔の最上階に、オウガによって三人のアリスたちが囚われている。
するべきことは三つ。アリスたちとの合流。塔からの脱出。待ち受けるオウガの討伐。
「アリスたちも脱出を試みているようなのだが、やはりこの世界に流れ着いて間もない者たち。猟兵の助けがなければそれは失敗に終わるであろう! まずは合流を目指してくれ!」
その塔には多くの疑似生物が見張りとして徘徊しているほか、仕掛け扉や鍵を迷路の先に隠した扉などが存在する。
一人ですべてを突破する事は難しい。自分の得意分野を活かし、後に続くものの事も考えたルート開拓をするといいだろう。
猟兵たち皆で協力し、アリスたちのもとを目指してほしい、とゴッドは告げる。
「アリスたちと合流できれば後は脱出、となるのだが……そうやすやすと見逃してはくれぬ! 戦闘は避けられぬであろう!」
アリスたちの行く手を阻むものは、本来その脱出を助けてくれたであろう愉快な仲間たち。しかし今彼らはオウガの影響により狂気に捕らわれ、元凶を倒さぬ限り正気を取り戻す事はないだろう。ここは戦って進む以外に道はない。
「知っている者もあろうが、捕らわれたアリスたちもユーベルコードの力を持っている! 諸君が導いてやる事ができれば彼らも戦力となるだろう! うまく協力して塔から脱出するのだ!」
さすがにボスと戦うのは厳しいが、アリスたちがユーベルコードを使えるようになればいつか扉を目指す時の助けにもなるだろう。
無理のない範囲で指示を出してやってくれ、とゴッドは告げる。
「そして見事塔を脱出した先にはオウガが待ち受けている……! どうやら多くの兵を召喚し、操る力を持つようだ! 愉快な仲間達を手駒に加え、アリスたちを捕らえたのも自分の力とするため。名を、白のキング! 決して油断するでないぞ!」
オウガを倒す事ができれば道中で戦った愉快な仲間たちも正気を取り戻し、アリスたちの危機もひとまず去る。その先の事は彼らに任せればいいだろう。いつかまた出会う事もあるかもしれないが、それは別の話だ。
「では、塔のもとへとテレポートを開始する! アリスたちも、愉快な仲間たちも、そして諸君も無事に戻ってきてくれたまえよ!」
納斗河 蔵人
お世話になっております。納斗河 蔵人です。
今回はアリスラビリンスの事件となります。
塔を登りアリスを救出してください。
一章は冒険です。塔には見張りや仕掛け扉など行く手を阻むものがあります。皆さんの得意な手段でこれらを突破してください。行動は例として、自由な発想でどうぞ。こんな障害があったら私はこうやって突破する、といった感じで大丈夫です。
二章は集団戦で、一章で救出した三人と共に戦う事ができます。助け(プレイングでの指示)がなければ動けませんが、状況を有利に運ぶでしょう。
三章はボス戦となり、猟兵たちの力だけで戦います。
※三人のアリスについて。
十代後半の女性、十代半ばの少年、十歳くらいの少女、の三人です。
詳細な設定はありません。皆さんのプレイングによって変化するでしょう。
使えるユーベルコードは二章開始時に記載します。
以上、プレイングをお待ちしております。よろしくお願いします。
第1章 冒険
『籠の鳥の「アリス」』
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POW : 塔を守る疑似生物と戦い、正面突破
SPD : 塔や独房の鍵となるパズルを解き、扉を開く
WIZ : 牢番や拷問吏を騙す、情に訴えるなどして塔に入り込む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
その塔は辺りに広がる花畑とは全く違う雰囲気を持っていた。
そこにあるのは平和ではなく、恐怖。
この地に平和を取り戻すため、アリスたちの運命を変えるため。
猟兵たちは頂上を目指す。
※リプレイとリプレイの間にアリスたちの様子を挿入します。
ルフトフェール・ルミナ
……高い塔だなあ。中に入ったら逃げ場はない。
人捕まえとくにはうってつけだ。アリスを捕えたオウガは、彼らから力を得るつもりだってことだけど、その手段がね……。
【WIZかな?】
フードを被り、視線や表情を隠し、召喚した小人達を連れて(疑似生物に身内だと思ってもらえればめっけもんだ)、塔内に食料を運び込もうとする。
誰何されたら、「てっぺんの奴らの餌だよ」って答えよう。疑われたら、「太らせて美味しくするんだとさ」みたいに言いくるめる。
中に入れたら、塔内の様子……通路とか部屋、警備する疑似生物の数や特徴、警備の体制(交代タイミングとか)を調べてみる。
可能なら、今は正体隠してアリス達に差し入れしとこう。
「……高い塔だなあ」
塔を見上げながら、ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)は言った。
「人捕まえとくにはうってつけだ。中に入ったら逃げ場はない。窓もないし、外からじゃやっぱ無理そうだなあ」
やはり正面から塔を登るしかない。そう判断した。
「こういうときは、こいつらの出番ってね。†漆黒の堕天使†達よ、我が声を聞け!」
ルフトフェールの詠唱と共に推参するは、漆黒の衣纏いて闇の世に在る堕天使たち……『ちょっと中二病な仲間達(ドノセカイニモ・コウイウヒトイルンダネ)』、二十八人の小人である。
「友よ、我ら招きに応じ顕現した」
「天上に住まいしアリスどもを大地へと堕とすべく力を貸そう」
「我らと共に漆黒の衣を纏いて砂上の楼閣へと至れ」
小人たちの言葉は難解だ。しかしルフトフェールはこう答える。
「わかってるって。じゃあ、そんな感じで」
と。
目深にフードをかぶった男が塔を行く。後に続くは食料を担いだ小さな従者。
「おい、オメーら、いったい何だ? その大荷物は」
巡回していた疑似生物たちがその一団の異様さに、口々に問いかけた。
疑われたかな、と思いながらも黒衣の男……ルフトフェールは答える。
「てっぺんの奴らの餌だよ」
その言葉に見張りたちは疑問の表情を浮かべた。
「エサぁ? もうすぐ食っちゃうって言ってたのニ」
「そうだヨ、これ以上エサなんているカ?」
「太らせて美味しくするんだとさ」
ルフトフェールはそれらしい理由を述べる。
「そんなもんかナ?」
「そんなもんだよ」
その言葉に納得したのか、半信半疑ながらも疑似生物はこう続けた。
「フーン、だったらこっちの隠し通路を使いなヨ!」
「アンタはでっかいから通れないけど、食料持ってる後ろの奴らなら大丈夫だロ!」
どうやら、この塔には狭い隠し通路があり、そこを通れば仕掛けを無視して最上階に至れるようだ。アリスたちの脱出路としては使えないだろうが……
「マ、アンタもココの仕掛け知らなかったら先々困るだロ? 教えてやるから運ぶのはそいつらに任せちまいナ!」
小人たちを隠し通路に送り出した見張りは、塔の仕掛けについて説明を始める。
これは小人たちの持ち帰る情報も併せて、後に続く猟兵たちの助けになるに違いない。ルフトフェールはそう確信した。
大成功
🔵🔵🔵
最上階、囚われのアリスたちは運び込まれた食料に目を丸くする。
「つ、ついに食べられちゃう!?」
「残された時間は少ない、って事かしらね」
少女たちは怯えの色を強くする。しかし、少年は小人たちの言葉を思い返していた。
『門は拓かれる。剣が集う時は近い』
「……助けが、近いって事か?」
彼もまた、闇の盟約に導かれしものであったか。その言葉に隠された意味を感じ取っていた。
メグレス・ラットマリッジ
不思議の国にはアリスのみが誘われ!アリスとは少女の代名詞と聞きます!
つまり今この場所にいる私=ザ・少女という図式が成り立つ……! Q.E.D.
というわけで私は囚われのお姫様を夢見るアリス。非力な乙女なので武装は解除しておきます。
目が覚めたら見知らぬ花畑だったのでとりあえず目の前の塔を訪ねます、見張りの疑似生物達はか弱い私を攫おうとするでしょう
……しますよね?アリスなんですよ!?若くて美味しそうで、野放しにしておいたら危険だとは思いませんか!?!?
無事攫われたら連行中に塔内を観察
視界を封じられても足音だけでも参考に大まかな地図を記し、外の猟兵に向けて飛ばします
あとは王子様の到着を待ちましょうね1
「不思議の国にはアリスのみが誘われ! アリスとは少女の代名詞と聞きます!」
メグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)さん……よん? じゅうよんさいは花畑の中、塔を前に華麗なる考察を繰り広げていた。
「つまり今この場所にいる私=ザ・少女という図式が成り立つ……! Q.E.D.」
完璧な理論だ。彼女が少女かどうかはともかく完璧だ。
この証明が正しいか、実際に見てみましょう。
「なあ……俺たち、どうすればいいと思ウ?」
疑似生物たちは困惑していた。目の前にいるのはアリス。オウガの餌として召喚された存在……の、はずだ。
「目が覚めたら見知らぬお花畑だったので……」
それで目の前にある塔を訪ねた、という話だったのだ。
「もう三人いるけど、増える分にはいいんじゃないのカ?」
「でもオイラの持ってるアリスのイメージとちょっと違うゾ……」
(あれっ!? この状況、普通か弱い私を攫おうとするでしょう? ずいぶん相談長くないです?)
そんな疑似生物たちの会話にメグレスは戸惑う。
「でも塔からアリスを逃がすなって命令しかもらってないゾ」
「放っておいてもいいんじゃないカ」
(ええーっ!?? アリスなんですよ!? 若くて美味しそうで、野放しにしておいたら危険だとは思いませんか!?!? 攫いますよね??)
まさかの展開。アリスは少女しかなれないというのか。つかまっている中に男子はいるのだが。
「……いや、とりあえず捕まえといてキングに任せよーゼ」
「そうだナ、もうすぐ来るって言ってたシ」
どうやら話はまとまったようだ。先の証明は正しい事が示された。メグレスはほっと胸をなでおろす。
「つまり私は囚われのお姫様という事ですね」
「へっ!?」
疑似生物たちの声がハモった。
(ほほう、このような構造……)
疑似生物たちに連れられメグレスは最上階へ向かっていた。
視界は封じられている。しかし彼女は、足音の反響から脳内に通ったルートの地図を描いていた。
(これを外にいる猟兵に伝えれば……!)
「ここに入ってロ!」
疑似生物の声に従い歩を進めると、ガチャリと音がした。
誰かが目隠しを外す。ひらけた視界の先には、三人のアリス。
「あとは王子様の到着を待ちましょうね!」
メグレスは開口一番そう告げた。
大成功
🔵🔵🔵
「王子さま!? 王子さまが助けに来てくれるの!?」
少女が喜びの声をあげる。
「いや、この人も捕まったんじゃ……いや、仲間がいるって事か」
「と、いう事は私たちがいまするべきことは……」
少年が状況を考察する一方、一番年上……二番目になった女性が積み上げられた食料を見つめた。
「脱出の為に腹ごしらえをしておくことね!」
フェリス・シー
フェリスちゃんは約束の刻で蝗大発生させて陽動してその隙に忍び込んでみるのなの
侍の所にいたニンジャーみたいに隠密行動なの
小さな体を生かして物陰に隠れたり、気がつかれないように頭上飛んでいったりながら進むのなの
もし隠れてやり過ごすのが困難なときは 単独行動してる敵をアシッドスピワーの溶解液で忍殺なの にんにんなの
「アリスの人、ニンジャーみたいに忍び込んで助けに来たのなの。侍の所出身の人とかいる?」
フェリス自身は今日は忍者のつもりらしい
でも、フリフリドレスの忍者なんてきっといない
「フェリスちゃんは侍の所にいたニンジャーみたいに隠密行動なの」
ここまで猟兵たちから伝えられた情報。それらを駆使すれば最上階までたどり着く事は不可能ではない。そういう状況になってきた。
特に、フェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)がその小さな体躯を活かせば、疑似生物たちに見つかる事もないだろう。
「砂漠を呼ぶ蝗の群れなの」
さらに駄目押し、と言わんばかりにフェリスは『約束の刻(アワー・オヴ・プロミス)』を発動する。
無数にも思えるイナゴの群れ。あたりの花畑に向かえば大変な事になるが、虫たちはフェリスの命に従い、塔の中へと飛び込んでいく!
「うおー!? なんだこいつラ!」
「ひえっ、飛んでくるゾ!」
疑似生物たちは大混乱。所詮はイナゴなので叩けば倒せるものの、その数には追いつかない。
その中をフェリスは悠々と進んでいく。スカートがふわりと翻る。
もちろん警戒は怠らない。見張りがいる場所では物陰に隠れ、あるいは死角に潜り込むように塔を進んでいく。
そうして、先の情報にあった隠し通路へとたどり着いたのだ。
入り組んだこの場所までは未だイナゴは襲来していない。見張りは、一人。
さすがにこのフリフリのドレスを見逃す事はないだろう。
「にんにんなの!」
おお、なんたることか! 容姿に似合わぬ素早い判断、そして残虐行為! フェリスは強酸とも言われるトロウルの胃液がつまった水鉄砲、アシッドスピワーを放った!
……その結果がどうなったのか、あえてここで明記する事はしない。
言えることは、隠し通路を進んだ先には四人が囚われた牢が存在しているという事だ。
「アリスの人、ニンジャーみたいに忍び込んで助けに来たのなの。侍の所出身の人とかいる?」
牢の隙間を抜け、フェリスはひょっこりと顔を出した。
大成功
🔵🔵🔵
「うわぁ、妖精さん!」
「ニンジャ? ニンジャですって? ニンジャにしては、その、ずいぶんと目立つ……」
少女たちがその姿に驚きの声をあげる。
そんな中、少年はその言葉に何かを感じていた。
「侍……なるほど。刀か……状況を切り開く、刃……」
階下から轟音が響き、牢を揺らした。
その時は、近い。
緋月・透乃
高い塔!待ち受ける敵!囚われた人!うんうん、気分が昂るいいシチュエーションだね!張り切っていこー!
透乃塔登るー!なんちゃって。
塔の攻略法は勿論立ちはだかる敵や仕掛けを倒し破壊しながら進む正面突破だよ!
登る前に手持ちの食べ物で【色々食べよう!】を防御力重視で発動しておくよ。
武器のスプーンを構えて堂々と進み、敵が現れたら殴ったりすくって下へ投げ捨てたりして倒していくよ!
遠距離から攻撃してくる敵や罠には強化された防御力に任せて回避もせずに突っ込んで倒し壊すよ!
戦闘中は大声で叫んだり、敵を派手に吹き飛ばしたりしてできるだけ目立ちたいね。私に敵を引き付けられれば、他の人も進みやすいんじゃない高いかな?
紬雁・紅葉
あらあら…
塔を見上げ
どうせ正面突破
ならば揺らして隙間を作りましょうか?
羅刹紋を顕わに戦笑み
巴を携え
正面からゆるゆると接敵
遠からん者は音に聞け!
近くば寄って目にも見よ!
悪鬼喰らいの鬼が来たぞ!!
正門からややズレた所で騒ぎを起こし、忍び込もうとする仲間を援護
破魔雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払い吹き飛ばす
敵の攻撃を見切り衝撃波オーラ防御武器受け等で受けカウンター破魔雷属性衝撃波で吹き飛ばす
拠点防御の知識を駆使
可能ならUCで幾つか仕掛けを壊し自由路を確保
そしてUCで壁を壊すなり敵の減った正門からなり押し入る
今日はちょっと(?)過激ですよ…?
「高い塔! 待ち受ける敵! 囚われた人! うんうん、気分が昂るいいシチュエーションだね!」
塔を見上げながら人参にかぶりつく緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が声をあげる。
「あらあら……」
と、その姿を見て微笑むは紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。
この二人、実のところ考える事は同じ。それはすなわち
「勿論、正面突破だよ!」
「どうせ正面突破。ならば揺らして隙間を作りましょうか?」
力による、正面突破! 圧倒的なパワーは全てを凌駕するというのか。
おにぎりをほおばる透乃と、微笑を浮かべた紅葉の二人は塔へと侵入する。
「ぬおお、虫どもメ」
「てこずらせやがっテ!」
縦横無尽に飛び回っていた虫たちは粗方退治され、塔の中の混乱は落ち着きを見せていた。
しかしこの塔はこの後、再び混乱の渦に巻き込まれる!
「たのもーう!」
「遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!」
堂々と、正面から。肉にかぶりつく透乃と、笑みを浮かべた紅葉が現れた!
「今度は侵入者だト!?」
……この塔にはすでに複数の猟兵が入り込んでいる。しかし、疑似生物たちは今はじめて、侵入者の存在に気付いたのだ!
「であエーであエー!」
「最上階にはいかせないゾー!」
わらわらと、塔中から集まってくる疑似生物たち。
しかしそれは二人の狙い通り。
「私たちに敵を引き付けられれば、他の人も進みやすいんじゃないかな?」
「わたしたちが騒ぎを起こせば、忍び込む仲間への援護にもなりましょう」
そして実際その騒ぎの中には、疑似生物たちから離れて塔を進んでいく黒衣の男がいた。
「さあ、張り切っていこー!」
迫りくる敵を前に透乃は飛び出した。
疑似生物たちが攻撃を加えるが彼女にはまるで通じていない。
その理由は、『色々食べよう!(イロイロタベヨウ)』の力。食べ物で自身を強化するユーベルコードだ。
つまり、戦いは塔に入る前から始まっていた。彼女はその力で防御力を高めていたのだ!
その防御力を盾に透乃はずんずん進んでいく。
そしてその手にはもぐもぐ欲張りスプーン。
身の丈ほどもある大きなスプーンを振り回し敵をなぎ倒す。
かと思えばスプーンらしく敵を掬い上げ、階下へと放り投げる。
「そりゃそりゃそりゃー!」
まさに大暴れ。否が応でも引き付けられざるを得ない。
「どんどんかかってこーい!」
「悪鬼喰らいの鬼が来たぞ!!」
一方、紅葉もまた薙刀『巴』を手に大立ち回りを見せていた。
「今日はちょっと過激ですよ……?」
殴りかかってくるものあらば最小の動きで躱し、武器持つものあらば巴で受け止める。
その間隙を突き刃を届かせるものがあろうと、浮かび上がった羅刹の紋『ムラクモ』がそれを通さない。
いざ責め立てようと攻撃は受け流され、逆に反撃。吹き飛ばされるばかり。
「勾玉にて気を廻し、剣音にて貫く! ……ェエイッ!」
さらには『気吹雄詰・衝敵(イブキオコロビ・アダナスヲウガツ)』の一撃が塔を揺らす。
これには疑似生物たちもたまらない。
直撃を受けた者は無残な姿となり、それを逃れた者もまた、その衝撃に壁に打ち付けられた。
「これで大体片付いたかな?」
「行く手を阻むものはわたしが破壊しましょう」
しばらくの後、塔の中から疑似生物たちの姿は消えていた。
あとは塔を登るだけ。
「透乃塔登るー! なんちゃって」
「あらあら……」
透乃の言葉に紅葉が再び笑みを浮かべた。
「私たちが引き付けている間に誰かが進んだみたいだね」
「役目は果たした、と言ったところでしょうか?」
二人は塔を登る。塔に存在した様々な仕掛けはいつの間にか誰かが解除して進んでいたらしく、スムーズに最上階にたどり着く。
そこに居たのは三人のアリスと、猟兵たち。一人は牢の前に。二人は牢の中に。
脱出の時はきた。
透乃と紅葉は牢に向け、獲物を振りかぶった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アンメリー・フレンズ』
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POW : アフィッシュ・ストラクチャー
対象の攻撃を軽減する【醜くいびつに膨れ上がった異様に巨大な姿】に変身しつつ、【異形化した手足や所持している道具等】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : ポートマント・ビーイング
【周囲の仲間と合体する、又は合体させられる】事で【禍々しく歪んだ恐ろしい姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : スライシー・フルード
自身に【影響を及ぼしたオウガに由来する悪しき力】をまとい、高速移動と【状態異常を引きこす毒液や汚染された血等】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:まつもとけーた
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
牢は破られた。
「やっぱりパワー……圧倒的な力こそが状況を打開するという事ね」
一番年上のアリスがひしゃげた牢を目につぶやく。牢の中にあったはずの食糧はいつの間にかなくなっていた。
「王子様は助けには来てくれなかったけれど、こんなにたくさんのひとが助けに来てくれたのね!」
一番年下のアリスは猟兵たちの登場に目を輝かせる。
「なんだか俺も力が沸いてきたよ。覚醒した、っていうのかな?」
少年のアリスは何かを感じ取ったようだ。
そして猟兵たちは知っている。アリスたちがユーベルコードの力を持つことを。
彼らは自分の扉を見つけるまで、この世界で生き延びなければならない。
そのためにも、使い方を知っておいた方がいいかもしれない、と誰かが言った。
「なんじゃこりゃー!」
塔の惨状を前に不気味な姿をした者たちが叫ぶ。
アンメリー・フレンズ。ゆかいな仲間たちが変質した姿。
「まだ塔の外にアリスは出てないみたいだぜ!」
「一歩たりとも外に出すんじゃねーぞ!」
「キングにバレたら大目玉だ!」
その数は多い。猟兵たちといえど簡単に勝てる、とは言えない数だ。
狂気に捕らわれ、オウガに従う彼らは言葉では止まらない。
彼らを突破し、オウガのもとへとたどり着くのだ!
※三人のアリスについて。
十代後半の女性:力こそパワーの精神と、食べられる時に食べる胆力を手に入れました。
使用できるユーベルコードは『びったんびったん』です。
十代半ばの少年:闇の盟約に導かれ、心に刃を産み出しました。
使用できるユーベルコードは『アリスナイト・イマジネイション』で、刀を創造します。
十歳くらいの少女:王子様が助けに来てくれなかったので、自分で探しに行けるようになりたいと思いました。
使用できるユーベルコードは『ドレスアップ・プリンセス』です。
三人はユーベルコードを使用できますが、まだ戦いに不慣れです。
指示があれば猟兵たちと一緒に戦う事が出来ますが、指示がなければ動けません。
戦えるようになれば、このシナリオが終わった後も生き延びられる可能性が上がるでしょう。
フェリス・シー
今度は妖精さんらしく魔法少女に導いてみるのなの
アリスの少女に
あなたにちょっとだけ悪い知らせと、めちゃくちゃ良い知らせがあるのなの
悪い方はこのままだと怪物にやられちゃうのなの、良い方はフェリスちゃんと契約すれば生き残れるのなの
敵の攻撃は対抗呪文でカウンターしながら、アリスに技教えたりするのなの
ドレスアップ・プリンセス使えるようになったら
祝え!新たなる魔法少女の誕生をなの
その後は対抗呪文しながらアシッドスピワーで敵と戦うのなの
ルフトフェール・ルミナ
アリス達と無事に会えた……。
あとは脱出だけど、アリス達にとって、この脱出行は自身の戦いのはじまりだ。
どうか逆境に折れない心の芯を得られますように……。
【WIZ】
主に威厳のために、頭のフードは被ったままにしとく。
アンメリー・フレンズは数が多そうだから、こちらも物量でぶっ飛ばそう。
【属性攻撃】増し増しのウィザード・ミサイルで片っ端から狙うよ。
アリス達の方には手負いとか弱ってるやつだけ行かせて、元気なやつは【敵を盾にする】で相打ちにしてしまおう。
もし、アリス達が攻撃を躊躇してたりしたら、「迷ったら死ぬぞ! 自分の世界に生きて帰るんだろう!」と叱咤するよ。ごめんね。でも、君らには生き延びてほしいんだ。
(アリス達と無事に会えた……)
ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)はまずは良かった、と息をつく。
そしてフードが脱げないようにかぶりなおしつつ、共に塔を下り始めたアリスたちの姿を見て思う。
(あとは脱出だけど、アリス達にとって、この脱出行は自身の戦いのはじまりだ。どうか逆境に折れない心の芯を得られますように……)
一方、フェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)は宙をふよふよと飛びながらこんなことを考えていた。
「今度は妖精さんらしく魔法少女に導いてみるのなの」と。
「ケケケッ! 逃がさないぞー!」
塔を下っていくうちに開けた場所へと出た。そこに待ち受けていたのは、大量のアンメリー・フレンズ!
「戦いは避けられないってことだよねぇ」
ルフトフェールが構えを取る。フェリスもまた、戦いの為にアシッドスピワーを取り出す。
「蹴散らしてやるなの」
「できるもんならやってみなー!」
アンメリー・フレンズ達は言葉と共に白く、禍々しいオーラを纏う。
この先に待ち受けるであろうオウガの気配。彼らを狂わせた力。
「いっくぜー!」
戦闘が、始まる。
「ウィザード・ミサイル!」
ルフトフェールが唱えると炎の矢が大量に放たれる。
敵の動きは素早い。本来の意思には関係なく、寿命を削る代償に得た力は侮りがたい。
それでも、数の多さ、面での攻めで全てとは言わずともウィザード・ミサイルはその体を撃ち抜いていく。
そして、前に立って戦う猟兵たちの後ろ、アリスたちも戸惑いながら力を振るう。
「ひっ……来ないでよ!」
言葉と共に突っ込んできた敵を掴み、床にたたきつける。
「本当に俺の刀で、こいつらを倒せるのか!?」
まだ自分の力を信じきれないか、刀の切れ味は今一つだが何とか戦う少年。
そして。
「う、うええ……無理、無理だよぉ」
戦えずにいる少女がいた。
「迷ったら死ぬぞ! 自分の世界に生きて帰るんだろう!」
アンメリー・フレンズ達から飛びだす毒をまたほかの敵を盾にしつつルフトフェールが言った。
厳しい言葉だ。戦った事もない少年少女に向ける言葉ではないかもしれない。
(ごめんね。でも、君らには生き延びてほしいんだ)
優しくするだけでは、ここで戦えなければきっと生き残れない……
彼は、そう感じていた。
その言葉に、アリスたちはびくり、と体を震わせたもののそれでも勇気を振り絞り戦い続ける。
「むり、やっぱりむりだよぉ……」
一人の少女を除いて。
「あなたにちょっとだけ悪い知らせと、めちゃくちゃ良い知らせがあるのなの」
そんな少女にフェリスが告げる。
「悪い方はこのままだと怪物にやられちゃうのなの、良い方はフェリスちゃんと契約すれば生き残れるのなの」
契約。誓いを立てること。少女は自分の力で王子様を探しに行きたい、と願った。
本当はもうその力を得ているのだ。必要なのは一歩を踏み出す勇気。
「わたし……」
少女が顔をあげる。一人では無理かもしれない、でもみんなとなら。
「がんばってみる!」
瞬間、少女の姿が変わった。豪華絢爛なドレス姿。現れたプリンセスハートが輝きを増す。
その姿にフェリスは声をあげた。
「祝え! 新たなる魔法少女の誕生を、なの!」
アリスたちも微力ながら戦いに加わり、猟兵たちの勢いも増す。
「あなたにできることなんか、みんなフェリスちゃんが簡単に打ち消せることばかりなの」
飛び回るアンメリー・フレンズに放たれたのは打ち消し魔法。
フェリスの対抗呪文(カウンタースペル)だ。その力によりオウガの力が打ち消される。
「ぐおっ!?」
急に失われた力につまずく。
「さすがにその隙は見逃せないなぁ」
ルフトフェールが炎の矢を放つ。
「ええいっ!」
「斬るぜ……!」
「戦って、プリンセスハート!」
アリスたちも何とか敵を倒していく。
実のところ彼らの所へ向かってきていたのは手負いの者ばかり。
ルフトフェールが戦場を見極め、アリスたちでは対抗できないものは事前に食い止めていたのだ。
そして、その結果は彼らの自信へとつながった。
「ひとまず、こんなところかな」
「いっぱい溶かしてやったなの」
しばらくの後、その場に現れた敵たちは全滅した。
しかしまだここは塔の中腹といったところ。この先にも敵は待ち受けているだろう。
「ところで、なんでずっとフードをかぶってるなの?」
「え、そりゃあ……威厳を保つため?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紬雁・紅葉
三人、特に少年に十握刃を顕し見せ
あらゆる剣に同じ事
これは心の表れ
信じる心が、力になるのです
羅刹紋を顕わに戦笑み
UC発動
正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター破魔雷属性衝撃波UCを狙う
アリス達を始め窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
力を合わせる事を念頭に見本になるように太刀回る
初陣歴戦変わりない
孤剣は則ち死に体刃
「極める」その先に
「夢叶う」その傍に
必ずそこに友が居る
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
メグレス・ラットマリッジ
じゃあ私も新たな力に目覚めます!アリスなので!
我がUCは【白馬の王子様】……呼び出された馬は白というか蒼褪めてますが些細な問題です
私達アリスは戦いに慣れていない、負担を考えれば決着は早い方が良いでしょう
どこからか取り出した斧を片手に騎馬へ跨り、勢いと重さに任せた突撃でアンメリーのフレンズを粉砕しますよ
もし他のアリス達が危険に晒されれば馬首を返して救出に向かい、危機が去るまで護衛します
合体したフレンズは『攻撃を肉体で受け止める』『地形を破壊する』といった方法で動きを止め、そこを他のアリスの皆さんに攻撃するようお願いします
数は力、個人の力より助け合いが身を助けるということを知ってほしいですね。
緋月・透乃
登りよりもやりがいのありそうな奴がでてきたね。いいねー。やはり脱出にはこういう敵は必要だよねー。
私は他人を守りながら戦うのは得意ではないし、ささっと倒して戦闘時間を短くする方向でいくとしようか。
近い敵へ突っ込んで行って重戦斧で攻撃、倒したらすぐ次の敵へ。基本はこれで。
敵が巨大になったら【ひょいっと】持ち上げて武器として使うよ。巨大だから他の敵をまとめて凪ぎ払えそうだね。
アリス達には戦うならできるだけ3対1の状況にする、倒しきれないと思ったらびったんびったんで遠くに投げ飛ばせ、ってことだけ言っておけばいいかな。
その後も、散発的な戦いを繰り広げながら、猟兵とアリスたちはついに一階フロアを目前としていた。
しかし、階下に待ち受けるのは今までよりもはるかに多いアンメリー・フレンズ達。
これを突破しない限り塔から出ることはできないだろう。
「登りよりやりがいのある奴らでいいねー。やはり脱出にはこういう敵は必要だよねー」
緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は待ち受ける敵の群れを見て言った。
登りで戦った疑似生物や、ここまでの戦いでは彼女の戦闘欲を満たすには足りなかったらしい。実に頼もしい限りだ。
「私たちも不思議な力に目覚めたし、少しは力になるわ」
「この刀で道を切り開くぜ!」
「まだ怖いけど、戦って塔の外へ行くの!」
アリスたちも気合十分。
そんな三人に紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)が天羽々斬・十握刃を顕し、言葉を口にする。
「あらゆる剣に同じ事。これは心の表れ……信じる心が、力になるのです」
「信じる、心……」
「そうだな、俺もこの刀の事を信じてみるよ」
「わたしも! わかるよ、信じること!」
そんな姿に触発されたか、メグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)が声をあげた。
「私も力に目覚めました! アリスなので!」
……彼女もまた新しいユーベルコードに目覚めた、という事か。やけにアリスを主張しているがまあ、そこは気にしなくてもいいだろう。
「我がユーベルコードは【白馬の王子様】」
「指輪を探して」と言葉を口にすればそこに現れたのは冥府より来たりし騎馬であった。
「……白というか、青ざめてますが些細な問題です」
些細な問題です。本当は『幽馬騎乗(テリブル)』という名の技であることも些細な問題です。
「さて、負担を考えれば決着は早い方が良いでしょう」
メグレスは呼び出した馬に跨り言った。私”たち”アリスは戦いに慣れていない、と自分を含める事も忘れない。
「そうだね、ささっと倒して戦闘時間を短くする方向でいくとしようか」
透乃もまた、他人を守りながら戦うのは得意ではないし、と付け加えながら同意する。
「初陣歴戦変わりない。孤剣は則ち死に体刃……」
紅葉もまた前に出つつ、アリスたちに言葉を贈る。
「ええっと……」
「一人で戦うな、って事かな」
「三人で協力して戦うよ!」
「なるべくそっちにはいかせないようにするけど、倒しきれないと思ったら遠くに投げ飛ばしてね」
透乃が簡単に作戦を述べると、猟兵たちは階下へ向かって駆けだした。
「来やがったぞ!」
「こっから先は通さねえ!」
アンメリー・フレンズが一斉に猟兵たちへと押し寄せる。
「いっくよー!」
透乃はその群れに飛び込み、戦斧を振るう。一撃で打ち倒せば次、その次、と豪快さと裏腹に一体ずつ確実に数を減らしていく。
「掛けまくも畏き布都主の遍く剣とす御力お越し畏み畏み申し賜う……!」
紅葉もまた静かに敵の前に立てば、言葉と共にその姿を変える。
『巫覡載霊の舞・八威刃(フゲキサイレイノマイ・ヤイバ)』は剣神"布都主の神霊体へと彼女の体を変質させる。
「いざ!」
手にした天羽々斬から衝撃波が放たれる。雷をまとったその一撃はまとめて敵を薙ぎ払った。
「さあ、私も行きますよ」
メグレスが懐を叩くとどこからか手斧が現れた。そしてそのまま馬の勢いと重さに任せ、突撃を開始する。
ただでさえ巨大な馬の力強さに蹴散らされ、斧の一撃にダウンするアンメリー・フレンズ達。
猟兵たちの勢いは増していく。
「くそっ、でもあいつらだけは逃がす訳にはいかねーぞ!」
そんな中、狙いをアリスたちに定めるもの達もいた。
「行かせはしませんよ!」
そこまで攻撃を流麗に躱し続けていた紅葉がその身を盾に行く手を阻む。
「私たちを無視できると思ってもらっちゃ困るなー」
透乃もまた、その怪力で敵を食い止める。
「走って、白馬!」
メグレスは踵を返し、突破した敵のもとへと馬を走らせる。
「すまねぇ、助かった!」
「やっぱり、実力が違う……」
「私たちも、あれほどの力があれば役に立てるのに……」
アリスたちは猟兵たちとの力の差を感じていた。経験が違う。それは仕方のない事だ。
「確かに一人で戦える力は大事だけど、それだけじゃないんだなー」
猟兵たちが知る、透乃の言葉の意味をアリスたちはこの後目の当たりにする。
「やべえ! こいつらつよいぞ!」
「仕方ない、切り札だ!」
敵もまた蹂躙されるままではいられない。
言うが早いか、それぞれがその力を増していく。
「でっかくなった!」
「むむ、速さが増しましたね」
「ここからは楽はさせてくれませんか」
戦況の変化に、猟兵たちは言葉を交わさずともお互いの隙を補うように行動する。
「ふみつぶしてやるぜー!」
いびつに巨大化したフレンズが猟兵を踏みつけようと足をあげる。
メグレスがもう片方の足を狙い、そのバランスを崩す。
そこを見逃さず、透乃は腕を掴み、振り回す。
「ひょいっと」
その言葉と同じ名を持つユーベルコードの力で、重さすら感じさせぬ勢いで振り回される巨体。そのままあたりの敵はなぎ倒されてゆく
スピードを向上させていたフレンズも巨体に阻まれ、その力を活かせない。
逃げ場を失った敵に紅葉の衝撃波が襲い掛かる!
「止めさせてもらいます」
一方では禍々しく歪んだ恐ろしい姿にひるみもせずに、メグレスはその肉体を以って勢いを受け止める。
逆に隙を作らされることになったフレンズは紅葉に一刀のもと、斬り捨てられた。
「すごい……」
猟兵たちの戦いにアリスたちは感嘆の声を漏らす。
「私たちも、あんなふうに!」
向かってくる敵に少女はプリンセスハートを飛ばす。
勢いを殺されたその隙を突き、巨体を持ち上げる女性。
その力を以って少年の方へ向け投げ飛ばす!
「ぶった切るぜっ!」
空中で身動きが取れなくなったフレンズを一刀両断!
「なるほど、皆で力をあわせれば……」
「一人じゃ、勝てなくても」
「それ以上の力を出せる!」
「そう、その通りです」
紅葉は言う。「極める」その先に。「夢叶う」その傍に。必ずそこに友が居る。と。
「数は力、助け合いが身をを助けるという事を知ったようですね。
メグレスもその言葉に続いた。
猟兵たちの戦いは、アリスたちにも強い影響を与えたようだ。
「これで終わり、っと」
そうして戦いは続き、ついに終わりを迎えた。
塔の扉が開かれる。その先に待ち受けるものは……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『白のキング』
|
POW : 忠実なる兵士の召喚
【8体のポーンの駒】の霊を召喚する。これは【槍】や【盾】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 有能なる騎士・僧正・城兵の召喚
いま戦っている対象に有効な【ナイト、ビショップ、ルークの駒】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 親愛なる女王の召喚
【クイーンの駒】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エルシー・ナイン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「フハハ、そうでなくてはな!」
待ち受けていたオウガは塔をから飛び出した猟兵とアリスを前に尊大に笑う。
「我が兵となるものは強くなければならぬ! 雑魚では捕らえた意味がないわ!」
その背後には未だ数多くのアンメリー・フレンズや疑似生物。さすがにこの数を突破するのは困難を極めるであろう。
しかし、猟兵たちは既に知っている。オウガ――白のキングを倒せば、彼らは正気を取り戻す事を。
「周りの奴らはは私たちが食い止める……」
「あんたたちは、あのボスを倒してくれ!」
「わたしたちを助けたように、あの子たちの事も助けてあげて!」
ここまでの戦いでアリスたちも成長した。強力なオウガとは戦えずとも、その配下を食い止めるくらいはできるほどに。
「よかろう、お前たちを打ち倒し、我が配下に加えてくれよう!」
猟兵と白のキングが相対する。
アリスを、愉快な仲間達を。
オウガの呪縛から解き放て!
フェリス・シー
敵も兵士操るみたいだし、フェリスちゃんは軍隊の人に頼んでみるのなの。
集合した中隊で米軍歩兵中隊みたいな軍人さんを呼び出すのなの
小銃小隊3個の内2個は敵兵を攻撃なの
火器小隊はリーダー格に攻撃 残った小銃小隊1個はフェリスちゃんを守ってなの
紬雁・紅葉
まあまあ!これがアリス世界の将棋戦ですか?
UC発動
なれば…うぬが玉王首か!
良かろう。先ずはその指揮ぶりを拝見しよう
羅刹紋を顕わに戦笑み
天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現
正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければUC+衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
良い統率だ
只の駒ではなく有能な部下と言う訳か
だが…規則的なのは良いが、それだけと言うのは如何な物かな?
自分へ注意を引き付け、仲間の付け入る隙を誘う
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
「ご自慢の兵たちはあの子たちが食い止めてるなの!」
フェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)が言う。
いかにオウガが強力とはいえ、猟兵たちを相手に一体で持ちこたえられるものではない。
「フハハ、奴らはあくまで雑兵よ! 忠実にして有能な、親愛なるピースたちは常に我と共に在る!」
しかし白のキングはまるで意に介さぬ様子で、その手から『駒』を放る。
それらはキングを守護するべく猟兵たちの前に立ちはだかった。
「まあまあ! これがアリス世界の将棋戦ですか?」
敷かれた布陣を前に紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)が声をあげる。
「つまりは……うぬが玉王首! 良かろう。先ずはその指揮ぶりを拝見しよう」
羅刹紋【ムラクモ】を見せつけるように微笑むと天羽々斬を抜き放ち、祝詞をあげる。
「掛けまくも畏き布都主の遍く剣とす御力お越し畏み畏み申し賜う……!
顕現せしは十握刃。『巫覡載霊の舞・八威刃(フゲキサイレイノマイ・ヤイバ)』にて己の魂を"剣神"布都主へと近付けていく。
「兵士を操るなら、フェリスちゃんは軍隊の人に頼んでみるのなの」
それに続くはフェリス。呼び出されたのは【小銃小隊三個】と【火器小隊一個】。
ひとまず盤面は整った。
「小銃小隊三個の内二個は敵兵を攻撃なの」
フェリスの命に従い召喚された兵は攻撃を開始する。
「ポーン!」
しかし一列に並ぶポーンの群れはキングの指示に応え、盾を構えてそれを防ぐ。
「ならばこれはどうか!」
その動きに呼応し、布陣の前に現れるは紅葉。
十握刃より放たれた衝撃波は稲妻の力を得てポーンたちへと襲い掛かる!
「槍を掲げよ!」
雷は高きに集うが道理。その衝撃は掲げられた槍を通し、大地へと逃がされる。
ダメージがない訳ではない。しかし、それはキングの指示により最小限に抑えられた。
「良い統率だ……」
紅葉は只の駒ではなく有能な部下と言う訳か、と一歩進み来るポーンたちの群れを前に距離を取る。
「フハハ、当然であろう! さて、次はこちらから行かせてもらおうか!」
「中央ポーン、前へ!」
キングが盤面を動かす。先手を譲ったのは余裕の現れだったのか、それとも作戦か。
一瞬できた兵たちの隙間から一つの駒が飛び出してくる。
クイーン。チェスに於いては最強の駒。それを最初から動かしてくるとは!
「隙間ができたなの! 火器小隊、リーダーに攻撃なの!」
破壊力のある重火器がその隙間を狙い、一斉にキングに向けて放たれる!
「かかりおったな!」
しかしそれは誘い。飛び出したクイーンは既にフェリスを射程に捕らえていた。
「いけない!」
紅葉が駆けだす。
「あっ……小銃小隊! フェリスちゃんを守ってなの」
残していた一部隊がクイーンの動きを止めるべく攻撃を加える。
しかし、その勢いは止まらない。
「くっ……」
ようやく止まったのは、その間に紅葉が入り込んだ瞬間。
クイーンとぶつかり合った瞬間、周囲に激しく衝撃波が奔る。
だが、クイーンはキングの狙いをまずは一つ果たす。
フェリスの頬に小さな、とても小さな傷がついていた。
「やはり我の読み通り! その数は確かに脅威だが、本体を抑えてしまえばこの通りよ!」
『集合した中隊(コレクテッド・カンパニー)』には弱点がある。自身は戦えず、自身が傷を受けると解除されてしまう。
クイーンのスピードとは相性が悪かった。
「お見事……だが、有能なのはよいが、命令に通りに動くだけというのは如何な物かな?」
紅葉は十握刃を振るい、戦いを繰り広げ続ける。
キングを守る最強の駒、クイーンはその傍を離れた。
その事が盤面にどのような影響を及ぼすのか。
チェックメイトへ向けて盤面は動き出す。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メグレス・ラットマリッジ
どんな夢もいつかは醒める。強敵が相手となれば私も真の姿を明かすしかないようです。実はアリスではないという事実を!!!
唐突な告白にショックを受けるかもしれませんから
三人になっても上手くやれることはずっと(※恐らく数時間程度)近くにいた私が一番よく知っていると励ましましょう
都合の悪い情報は聞き流すか好意的に解釈します(呪詛耐性)
戦闘は騎馬による機動力を活かし戦場を駆けます
衝撃に強そうなルークは避け、ナイト或いはキングには突撃
乗り物が不浄なのでビショップのような徳が高そうな存在には近寄りがたい、ロングボウで安全に仕留めたいですね
さようならアリス。
願わくば、彼らも悪夢から早く解放されますように。
緋月・透乃
ついにでてきたね王様!王様なのに下で待っていたのは意外だったよ。
そろそろ大物とやりあいたいところだったし、楽しく戦って骸の海へ叩き落してあげるよ!
お友達はそっちで探したらどうかなー?
ささっとキングを殴りにいきたいけれど、まずは邪魔になりそうなポーンから倒そう。
チェスのルールはよく知らないけれど、ポーンは数が多いし多分個々の能力はあまり高くないはず!
まっすぐ突っ込んで戦斧で叩き割りにいくよ!盾を構えられても怪力で盾ごとぶっ壊す意気で攻撃しよう!
キングへの道ができたらすぐに突撃してこれ以上召喚させないように攻撃し続けて、緋迅滅墜衝で決めにいくよ!
紬雁・紅葉
成程、良き手並み…
ならばこうしましょう☆
羅刹紋と戦笑みはそのまま
【風の魔力】を攻撃、防御、状態異常力に付与
九曜、巴、鳳翔を適宜使い分け
忍び足残像でするすると接敵
射程に入り次第破魔風属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃を見切り鎧無視のカウンター破魔風属性衝撃波UCを以て駒を吹き飛ばす
駒に駒をぶつけて敵陣を崩す
返す刀(二回攻撃)で敵に破魔風属性衝撃波UCで打撃
盤上の強者、ならば盤を乱す!
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
敵の動きが止まったら力を溜めて渾身の一撃でとどめ
白き玉王!大将首貰い受ける!!
終わったら鈴一鳴らし
これにて王手…!
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
ルフトフェール・ルミナ
でたな、オウガ! 見てくれはオウガって感じじゃないけど、この形でアリスを食べようとしてるんだよね?
終わり良ければすべて良し、あともうちょっと。アリス達も頑張ってるし、負けてらんないよ。
【WIZ】
女王って、戦場を縦横無尽に駆ける強い駒だよね。もしかしてキングって尻に敷かれてるんじゃ……ゲフン。
でも、どんなに素早くても、動きさえ止めれば。魔術『大いなる冬』でご夫妻仲良く動きを止めようと試みるよ。
どんなに駒を呼んでも、動きを止めちゃうよ。それでも来たら【敵を盾にする】で相打ちだ。それでももっと来たら、【カウンター】で魔力を直にぶつけちゃる。純粋な魔力は、堅牢な鎧や盾でも防げないよ【鎧無視攻撃】。
少し時間は遡る。
戦いの直前。
キングと相対する中、メグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)は決意した表情でアリスたちに告げた。
「どんな夢もいつかは醒める。強敵が相手となれば私も真の姿を明かすしかないようです。……実はアリスではないという事実を!!!」
なんという衝撃の発言! その言葉に敵を食い止めるべく構えたアリスたちは驚きの声をあげる。
「えっ……あ、はい。そうですよね」
「しってた」
「そもそもアリスってなあに?」
……驚きの声をあげた。
それはともかく。
「三人になっても上手くやれることはずっと近くにいた私が一番よく知っています」
だからがんばって、とメグレスは三人の反応を特に気にせず、励ましの声をかけた。
そうして、アリスたちの戦いも始まった。猟兵たちがオウガを打ち倒す事を信じて。
「ついにでてきたね王様! 王様なのに下で待っていたのは意外だったよ」
緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が待ち構えていた事に意外さを覚える。
「これが戦略、戦術というものよ! 捕らえたアリスを救出するものがいたのは予想外であったが……それに対応して見せてこその王!」
「見てくれはオウガって感じじゃないけど、この形でアリスを食べようとしてるんだよね?」
ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)は王の言葉につぶやいた。が、キングはそれを笑い飛ばす。
「違うな! 我が手駒に欠けた三つのピースとして、奴らを使ってやるつもりであったのだ! しかし、貴様らを打ち倒すのには今の状態でも十分よ!」
三人のアリスを捕らえたのは自らの手駒とする為。ルフトフェールはしかし、オウガの真の目的にさしたる興味を見せずに言った。
「ま、終わり良ければすべて良し。この戦いもあともうちょっと。アリスたちも頑張ってるし、負けてらんないよ」
と、アリスたちの方を見やる。視線の先には勇敢に戦う三人の姿があった。
「一番強そうなのは彼女が抑えていますし、私は機動力を活かして戦場を駆けますね」
メグレスは再び『幽馬騎乗(テリブル)』により亡霊馬の上にある。
「じゃ、私は邪魔になりそうなポーンから倒すよ」
透乃が巨大な斧を担ぎながら続く。
「僕はあっちを手伝ってみるよ。女王を止めればこっちの戦力も増えるしね」
ルフトフェールは既に始まっている戦いの場に視線を向けた。
「どうした、既に鉄壁の布陣は作り上げたぞ! 破れるものならば破ってみるがいい!」
白のキングが軍勢を猟兵たちに向けて押し上げる。
猟兵たちはそれぞれの武器を手に駆け出した。
一方、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)はクイーンとの戦いを続けていた。
そこに迫るは三体のポーン。
「手変わりだ! 我が最強の駒をいつまでも遊ばせ続けている訳にもいかんのでな!
「成程、良き手並み……」
白のキングの手腕は大したもので、変わりゆく状況に対応すべく駒を動かし続ける。
しかし紅葉も負けてはいない。今度は風の魔力をまとい、その力を高める。
猟兵たちに『トリニティ・エンハンス』と呼ばれる力だ。
盾を構え、槍を掲げるポーンたちに紅葉は立ち向かう。
そして、それとほぼ同時に氷の魔力が放たれた。飛び退るクイーン。ルフトフェールだ。
「女王って戦場を縦横無尽に駆ける強い駒だよね。もしかしてキングって尻に敷かれてるんじゃ……ゲフン」
などとおちゃらけてみせるも、敵の動きから目を離す事はしない。
「逃がすな、クイーン!」
乱入者にクイーンは死角から鋭い一撃を放つ。キングの判断も早い。
しかし、その攻撃が彼に届く事はなかった。
「こいつら、後ろががら空きだったんだよね」
貫かれたのは、一体のポーン。ポーンは紅葉へ向けて攻撃を加えようとしていた。ルフトフェールはその動きの隙を突き、盾にしたのだ。
そして一瞬生まれた隙を見逃す事もしない。放たれた魔力がクイーンにダメージを与える。
「ちっ……やってくれる!」
キングが歯噛みする。この攻防の勝敗は明らかに猟兵側。
「しかしお前が言ったように最後に勝てばそれでよいのだ! 行け、ポーン!」
残るポーンが再び紅葉へと槍を向ける。
しかし紅葉は余裕すら感じさせる表情でひらりと躱し、薙ぎ払う。
「盤上の強者、ならば盤を乱す!」
吹き飛ばされたポーンが宙を舞い、空中でぶつかり合う。
そうしてできた守りの隙間を、返す刀で風をまとい、両断した。
「ルークは衝撃に強そうですね……」
馬を成仏させられてはたまらない、と徳の高そうなビショップには近づかず、矢を放ちながらメグレスは戦場を見渡す。
速さを活かして相手をするならばナイト、と馬を走らせる。
行く手を阻むポーンは跳躍して飛び越え、ナイトの眼前へと迫る。
「これでっ」
メグレスのフランキスカがナイトを捕らえた……かと思った瞬間。その姿は消えていた。
「ナイトの動きは変幻自在! 貴様にその動き、見切れるかな!?」
キングの声が響く。ナイトの姿はメグレスの後方にあった。
「このっ、このっ」
変幻自在と称するのは伊達ではない。幾度も攻撃を加えるもなかなか一撃を与えられずにいた。
しかし、メグレスは気付く。ナイトの動きには穴がある。それは……
「着地点に味方がいたら、動けないという事!」
馬を走らせ、ルークやビショップの動きまでも誘導した事により、跳躍したナイトは行き場を失う。
すれ違いざまにそのまま降り立ったナイトを砕き、メグレスの馬は戦場を駆け抜けた。
「さーて、そろそろ大物とやりあいたいところだし、楽しく戦って骸の海へ叩き落してあげるよ!」
立ちはだかるポーンたちを前に透乃が斧を担ぎ上げる。
そして、正面からまっすぐ突っ込み、斧を振り下ろす!
「愚かな! ポーンの盾を躱せるとでも思ったか!」
強い衝撃はあったものの、ポーンの盾は斧を受け止めた。
「それはどうかなー?」
ぴしり、と音がする。盾に亀裂が入る。
「馬鹿な!」
強引かつ豪快。その怪力は正面からポーンの盾を打ち砕いた。
ばらばらと盾の欠片が地面に散らばる。
「さあ、どんどんいくよー! お友達は骸の海で探したらどうかなー?」
盾を失ったポーンを再び振り下ろした一撃で叩き割る。
大地が震えた。
彼女の一撃はきっとルークですらもひとたまりもないであろう。
「くっ……戻れ、クイーン!」
キングが声をあげる。手駒は減りつつあった。言葉に応え、クイーンはキングのそばへと舞い戻る。
「ご夫婦仲良く、動きを止めさせてもらうよ」
しかしそれは悪手であった。キングはもはや猟兵たちの強さを読み切れていない。
「我、己が体熱を代償に、異なる時、異なる地への途を開かん」
空間が裂ける。
「三度の冬を経し世の吹雪、この世に阻めるものはなし」
吹き荒れた雪はキングと、クイーンの足元を凍り付かせる。
「なんだと……!」
「どんなに素早くても、動きさえ止めれば」
ルフトフェールの『魔術『大いなる冬』(ダレカ・アタタメテクダサイ)』はここに大きなチャンスを作り出した。
「白き玉王! 大将首貰い受ける!!」
「これ以上召喚はさせないよ!」
紅葉と透乃がキングへと接近する。
「クイーン! 我を、我を守れ!」
しかし、その命令はもう届かない。動きを封じられたクイーンはメグレスの放った矢に貫かれ、その力を失っていた。
「馬鹿な……!」
「これにて、王手……!」
紅葉の突きがキングを貫き、宙へと放る。
そして、その落下地点には左手だけで重戦斧【緋月】を振りかぶった透乃が待ち受けていた。
「力の限りぶっ壊せー! 必殺の左! 緋迅滅墜衝!!」
ちりん、と鈴が鳴った。
豪快に薙ぎ払われる斧。
白のキングは、『緋迅滅墜衝(ヒジンメッツイショウ)』により粉々に打ち砕かれた。
「おおっ!? 俺たちは一体何を!?」
「めっちゃ体痛いんだけど!」
白のキングが倒されたことで愉快な仲間達も正気を取り戻した。
「あっ、君たち、アリスだね!」
「ようこそ、この世界へ! きみたちが帰るときまでボクたちが面倒を見るよ!」
ここまでの戦いの事は覚えていないらしい。仲間たちが三人のアリスを取り囲む。
「君の名前は? 君は?」
どうやら、猟兵たちの役目はひとまず終わったようだ。後はアリスたちが自分の扉を見つけるまで、彼らと共に過ごす事になるだろう。
オウガに囚われた『ピース』はここに取り戻されたのであった。
「本当に、ありがとう!」
「おかげで何とか生き延びられそうだ」
「必ず王子様を見つけて、お家に帰るね!」
口々に猟兵へ感謝を告げるアリス。別れの時だ。
「これで一安心なの」
「大変な事も多いと思うけど、頑張ってね」
「協力する事をお忘れなく」
「ちゃんとご飯食べるんだよ!」
猟兵たちも別れの言葉を告げる。
「さようならアリス。あなたたちもどうか、良い夢を」
大成功
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