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我利我利亡者とストラぐる。

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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「オウガの軍勢だと!?」
 立派なツノを持つトナカイの頭蓋骨のアタマをしたガタイの良い男が、椅子から立ち上がりバァン! と机を叩いた。
「そうなんです、ドン・サルヴィ。奴らかわいい……ゴホン、奴らまぬけな猫のツラをして、石の城壁をバリバリ食い荒らしてやがるんです! それも相当な数で!」
「ついにこの国にも現れたか……このルイスリンナには俺達ビルベリー・ファミリーが居るということを教えてやる! いくぞ野郎共!」
 彼の号令に、部屋に集まった部下と思しきスーツ姿の異形頭たちがこぞって銃や拳を突き上げわーわーと歓声を上げる。
「おうよ、ボス! 任せてくれ!」
「オレ達の力見せてやりましょう!」
「祝杯の準備も忘れるなよ!」

●ゆかいなやつらの大抗争
「皆様、お初にお目にかかります。私はエルメルと申します。どうぞ、お見知り置きを」
 そう言って彼は帽子を取り、恭しく礼をした。再び帽子を乗せた下の顔にあたる部分には何もなく、グリモアベースに映るアリスラビリンスの美しい景色が見えているだけ。透明人間というべき姿をした『愉快な仲間』、エルメル・アイカストロム(Mr.HollyGreen・f19421)は穏やかに、少しだけ緊張した声色で話を続けた。
「早速ですが、皆様にお願いがございます。この度、私の出自でもあります『ルイスリンナ』という小国に、オウガの大軍が攻めてくることが、どういう訳か、わかってしまったのでございます。……それが国の者達だけでは到底、太刀打ちできないものであるということも」
 アリスラビリンスの不思議な国のひとつ『ルイスリンナ』は、豊かな森と湖、石造りの城と街並みのある、UDCアースで言う所の18世紀頃の北ヨーロッパのような雰囲気の国だ。そこでは愉快な仲間と呼ばれる擬似生物達が、時折迷い込んでくるアリスを歓待したりしながら日々のんびりと暮らしているという。
 そんな平和な国を、オウガ達が欲望のままに荒らして奪い取ろうとしている。猟兵達の出番というわけだ。

「ルイスリンナには、自警団のようなものがございまして……まあ自分達でそう名乗っているだけなのですが、『ビルベリー・ファミリー』という愉快な荒くれ者達が、オウガの軍勢を撃退しようと躍起になっております。多少はお役に立てるでしょうが、オウガ軍との戦力差は歴然。彼らを守り、導いてやってはいただけないでしょうか」
 国の大事な仲間達です、とエルメルは懇願する。
「戦いが無事終結した暁には、ささやかですがお礼のお茶会にて、皆様をおもてなしさせていただければと思っております。どうか、お力添えのほど、宜しくお願い致します」


呂色
 異形頭さんが好きです。
 あとねこばるーんかわいいなあと思ったのでアリスラビリンスのシナリオです。
 カートゥーンっぽい雰囲気を目指してわちゃわちゃした感じでお送りすることになると思います。
 宜しくお願いいたします。

 今シナリオはアリスは出てこないやつです。1章2章ははらぺこ&よくばりなオウガの軍勢と戦闘です。ゆかいな異形頭のギャング達に兄御! 姉御ォ! とやかましく呼ばれてもいいよという猟兵の皆様はぜひご助力ください。
 3章はお茶会です。登場した愉快な仲間たちに加え新米猟兵のエルメルもおりますので、なんかお声がけいただけたら何らか反応をお返しいたします。

 今回リプレイは書けるときに書くというスタイルで、常時受付でのんびりやってみようかと思います。
 成功度が溜まった時点で受付締切になります。タイミングやキャパの具合によってプレイングが流れてしまうこともあると思いますが、何卒ご了承ください。
 単章だけつまみ食い参加などもお気軽に。
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第1章 集団戦 『はらぺこねこばるーん』

POW   :    I’m Hungry
【食欲】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    I’m Angry
【口から刺し貫く棘】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    I’m Lonely
【犠牲になったアリス】の霊を召喚する。これは【武器】や【呪い】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いろんな頭の仲間がいるよ
「兄貴、挟み撃ちにしよう。オレが向こうから追い詰める!」
 カハヴィ(コーヒーミル頭の愉快な仲間)が、ピプリ(ペッパーミル頭の愉快な仲間)にすれ違いながら声をかける。城壁近くの最前線ではらぺこねこばるーんの軍勢とやりあっている彼らはファミリーの筆頭、辛味と苦味を知るクールな男たちと巷で評判のミリーズ兄弟だ。
「細挽き黒胡椒・ショットガンを喰らえ!」
『n"aaaa!!』
 カハヴィがコーヒー豆鉄砲を撃ちまくってねこばるーん達を集めた所に、ピプリがドカンと放った散弾はねこばるーんに当たってサラサラとした胡椒の粉をぶちまけた。ぶしゅんぶしゃんとくしゃみをするねこばるーん達。彼らの使うこれらの技も一応、立派なユーベルコードではあるらしい。
「さすがミリーズ兄弟だぜ!」
「俺らも続くぞ!」
 きゅうりやじゃがいもの頭をした構成員達が囃し立てる。
「誰か! マリアが! マリアが頭を齧られたわ!」
「大丈夫さ、ヒーロ……挿していた花を少し取られただけだ……」
 倒れ込んだマリア(フラワーベース頭の愉快な仲間・男性)を抱いて叫ぶヒーロ(ジャム瓶の頭の愉快な仲間・女性)。ファミリー内のバカップルとして有名な二人だ。
「ボス、奴らアタマを積極的に狙ってくるようです!」
「俺達の大事なアイデンティティを……食わせるわけにはいかねえ! 」
 ドン・サルヴィが逞しいツノと体で突進して体当たり、ねこばるーんをまとめてばいーんと蹴散らすがあんまり数が減っていない。どころか、時間が経つにつれどんどん増えている。
『niii--!! I'm hungry!!』
『Give me caaandy! Give me chooocolate! nyaaaao!!』
「ボス、これじゃ埒が明きませんよ!」
「くそっ、何か手はねえのか……!!」
 
東風・春奈
【アドリブ歓迎】【何でも歓迎】

ふふー。『ビルベリー・ファミリー』の皆さん、お困りのようですねー
逆転の手は、ありますよー
なんといってもこの私たち、猟兵が来たのですからー

私は砲兵でありますればー、使うのはもちろん大砲ですー
弾種はちょっと悩みますねー
アリスでファンタジーな方がいいのか、ちゃーんとオブリビオンを倒した方がいいのかー。他の猟兵さんの雰囲気にあわせて考えましょうねー

ではまず、きちんと敵を倒すことにしましょうかー
一番苦戦してる場所に狙いをつけて、遠距離から大砲をどかんどかーんと放ちますー

ファミリーのみなさーん、よく頑張りましたねー
今こそ逆襲のときですよー、ふふふー!
さあ、一緒に突撃ですー!


ボアネル・ゼブダイ
ふむ…ここの人々はなかなか特徴的な頭をしているな…
まぁいい、みすみすオブリビオンに食わせる事もあるまい

コ・イ・ヌールを装備
刀身を伸ばし範囲攻撃をして敵をなぎ倒す
敵が密集しているならば好都合だ
一気に殲滅する勢いで叩く

うん?腹が減ったのか?
ではこいつをくれてやろう

相手のUCが発動したらA5ランクの肉塊を食糧袋から取り出し敵に与える
くり抜いた中身にはたっぷりのブート・ジョロキアだ
胡椒でクシャミをしていたので刺激物には弱いだろう
兵器にも例えられる辛味を存分に楽しむといい

敵が辛味で悶えてる隙にこちらもUCを発動
蝙蝠達を召喚させ連携を取るように敵を切り裂く

…蝙蝠達が辛みで悶えなければいいが

アドリブ連携OK



「カハヴィ、近づきすぎるなよ! アタマを喰われちまったらひとたまりもねえぞ!」
「だが兄貴、このままじゃ、俺達の美しい街やライ麦畑が……!」
 ミリーズ兄弟が必死でねこばるーんの軍勢に銃を向けている、その時。
「ふふー。『ビルベリー・ファミリー』の皆さん、お困りのようですねー」
「安心しろ、我々が来たからには、皆をみすみすオブリビオンに食わせたりはしない」
 ふたつの影が城壁の上からふわりと、軍勢とファミリーの間に降り立つ。
「あ、あんた達は……!?」
「ここまでよく頑張りましたねー。逆転の一手はこの私たち、猟兵にまーかせなさーい!」
「猟兵……!?」
「あの、最近噂の……!?」
 ざわめくミリーズ兄弟とその部下たち。
「話は後だ、まずはこの場を片付ける」
「はいっ、一気に蹴散らしてしまいましょー! えいやー!」
 東風・春奈(小さくたって・f05906)が虚空へコンソール・パネルを展開して、滑らかな手際で射撃プログラムをエクセキュート。ドカン! と背負った鎧装から榴散弾が放たれ、フワフワ高いところを浮いていたねこばるーん達をぱんぱぱーん! と一斉に破裂させる。
『『n"aaaaan!??』』
 さらに着弾後、煙塵の中へ突っ込んだボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)が右腕を振るうと、五指から青白い閃光が鞭のようにしなって伸びて、地上近くにいたねこばるーん達をすぱぱーん! と次々に両断していった。

「助かったぜ、話に聞いた通りのツワモノなんだな猟兵ってのは……俺はピプリ、こいつは弟のカハヴィだ」
 ざわつく群衆の中から、ペッパーミル頭の男がヒュゥと口笛を吹きながら歩み出て猟兵達へと声を掛ける。
「お嬢さん、初めて見る顔の時計ウサギだな。その小さな身体でその巨大な砲台を操ってるとはたまげたぜ……名前は?」
「私は東風・春奈と申しますー。でも、時計ウサギさんではないのですよー」
「おっとそうなのか、そりゃあ失敬。耳がついていたもんでつい勘違いだ」
「このうさみみは飾りですよー。ふふー、可愛いでしょー」
 春奈はまさしく童話に登場する「アリス」の装いのようなエプロンドレスの裾をちょんとつまみながら、垂れうさみみを揺らしてカーテシー。
「カ~ワイイ~!」
「兄貴??」
 体をくねらせながらバリトンボイスが瞬間的に2オクターブくらい高くなったペッパーミル男は、周囲の視線に気づきコホンと咳払いした。そんな様子に肩を竦めながらコーヒーミル頭の弟はもう一人の猟兵へ歩み寄る。
「あんたは? さっきのはすげえ身の熟しだったよな。随分面白い武器を使うようだし!」
「ボアネルだ。面白さと言うなら、此処の人々ほどではないと思うが」
 多様な頭を持つ陽気なファミリーの面々を見渡し、端正な顔を綻ばせふっと笑いを零す。
 だがその表情はすぐさま、きりと緊張感を取り戻し、風船の残骸が散らばる通りの向こうへと向けられる。
「どうやらまだ、終わりではないようだな」
 つられて一同が見た先には再び迫り来るねこばるーんの軍勢、しかもそれは、抑えきれない食欲が体の大きさにも現れているのか、食われれば頭どころか身体ごと全部持って行かれかねないほどに揃って肥大化していた。
『myaaooou』
『I'm hungrrrrry!!』
「な、なんだありゃ! ネコ風船共がでかくなってやがる!」
「連中、腹が減っているようだな……なら、そういう奴らには食わせてやればいい」
 そう言ってボアネルがおもむろに魔法の食糧袋から取り出して軍勢の正面に置いたのは、美しいサシが入ってつやつやとした、大きな赤身肉の塊だった。恐らくA5ランクは下らない。
「お肉、ですか……?」
「そんな高そうな肉をオウガ共にやっちまうなんて、どういうつもりだ兄御! 倒す前に、せめてもの優しさってやつなのか?」
「フッ、優しさとは到底かけ離れた行いかもな……」
『naaaaan!』
 そうこうしている間に肉にたどり着いたねこばるーん達が、取り合うように肉に殺到して貪り始めた。そんな栄養なんか与えたら強化させてしまうのでは……と銃や武器を向け構えるファミリー一同。しかし。
『……m"yaaa!!???』
『n"y"a"a"aaa~~!?!?!』
「何だ!? 奴ら様子がおかしいぞ……?」
 肉を食べたねこばるーん達が突然、金切り声を上げて苦しみ悶え始めたのだ。
「……ボアネルさん、アレは一体何を仕込んだんですかー?」
「たっぷりのブート・ジョロキアだ」
「ボアネルの兄御、容赦なかった!」
 それは兵器にも喩えられるという、世界で何番目だかに辛い唐辛子。胡椒の比ではない刺激のそれに生で思い切りかぶり付いたねこばるーん達は、もはや戦意喪失も良いところだ。
「さあ、眷属達よ。今こそ我が前の愚かな敵を喰らい尽くせ!」
 ボアネルがマントを翻し、大きく歪んだ目からだばだばと涙を溢れさせて転がり悶えているねこばるーん達に追撃の巨大蝙蝠の群れを放つ。凶悪な牙が突き刺さって、哀れな風船達は対抗する力なくバチーン! と割られていく。
 ……うっかりブート・ジョロキアを一緒に齧ってしまった蝙蝠がちょっと涙目になりながら戻ってきたりもしたが。
「なるほどー! では私は、お口直しに甘ーいキャンディーをあげましょうー」
 春奈が再びコンソールに何事かを入力し、実行。背中の砲台から、きらきらと煌く虹色の飴玉弾がぽぱぽーん! と発射された。
『sweets!』
『Give me candy!』
 甘い匂いを嗅ぎつけたか、ねこばるーん達は自ら口を開け飴玉砲弾を喰らいに行く。
 だがそれは当然ただの飴玉であるはずがない。もぐっとねこばるーんの口の中に入った飴玉は次の瞬間、炸裂弾となり内側で破裂した! はらはらと紙吹雪を散らして逝くねこばるーん達。
「いいぞー! 春奈のお嬢~!」
「そうか、ただ正面からぶつかるだけじゃなく、相手の特性を上手く利用してやるって戦い方もあるんだな……!」
「俺達もやるぞ! 囮用の食料と、香辛料をありったけ持ってこい!」
「仕込むのはサルミアッキとかどうだ!?」
 ふたりの猟兵の戦いに感銘を受け、元々創意工夫は好きらしい愉快な仲間達は生き生きとして作戦を立て始める。
「この様子なら、この後も何とかなりそうだな」
「ええ! みなさーん、今こそ逆襲のときですよー、ふふふー!」
 オオー! と威勢のよい鬨の声をあげて、猟兵二人とファミリーの面々は残るねこばるーんの軍勢を一気呵成に攻め立てて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
【調査依頼】依頼人/f14904
頭を狙ってくるとは、多少の知能はあるようだ。
だが所詮は風船、強度には難があるだろう。
競争と行きましょう、お得意様。どちらが多く風船を割れるか。

UCを起動し、バイクで周囲を囲うように駆け回りながら銃撃。
頭を狙ってくるとわかっていれば狙いも付けやすい。
間合いの内側に入ったのは剣鉈で切り払う。
アリスの霊は破魔の塩弾で再殺する。

同情も恐怖も今の私には無縁。効率的に行こうじゃないか。
……横取りされても平気な量をね。
怒ってないですよ? 早く片付くに超した事はない。
怒っていませんとも。

(相手の意図に気付いた後は、黙って足場として機能するよう微調整する)


矢来・夕立
【調査依頼】探偵さん/f14037
競争。イイですね。受けて立ちましょう。
如何に銃弾と言いましても所詮は瞬間的なもの。恒常的な速さならこちらに分がありま…、
…バイクはズルくないですか?
へーそう。そういうコトを。構いませんよ。使わせてもらうだけなんで。

《忍び足》で乱戦の中に紛れ込む。
隙あらば探偵さんのバイクをアシと足場に使います。ええ何度でも。

黒猫風船に黒蝙蝠。【紙技・冬幸守】。
勿論ノーマークのものも割りますけど、
探偵さんが囲い込んだ分を横から《暗殺》します。
そうしますとあちらの得点を奪りつつ、こちらの得点が増えるってワケですね。

「横取り禁止」なんてルールは決めてませんよね?後出しはナシですよ。



『naaaannn!!』
「クソッ、なんて数だ!」
 トナカイの頭蓋骨アタマを持つ愉快な仲間にして、ビルベリー・ファミリーの首領であるドン・サルヴィは、その屈強なツノと腕っぷしではらぺこねこばるーん達を必死に押し返してはいた。が、如何せん敵の数が多すぎるようだった。
「うわあああ!」
「ボスー!! タスケテー!!」
 ドン・サルヴィの脇をすり抜け集団で飛びかかってきたねこばるーん達に、ジャガイモ頭やカボチャ頭の部下達が哀れ飲み込まれ、頭を齧られた――と思ったその瞬間、ねこばるーん達が次々と爆ぜた。
「うわぁッ!?」
「な、何だ……? ……助かったのか?」
 黒風船の残骸を被りながら呆然とする彼らの横を、ざっざと通り過ぎるふたつの黒い影。
「頭を狙ってくるとは、多少の知能はあるようですが……やはり所詮は風船、強度には難がある」
「動きも緩慢ですね。数が多いだけです」
 部下達を襲っていたねこばるーん達を撃ち抜いたのは、鎧坂・灯理(鮫・f14037)の拳銃から放たれた銃弾と、矢来・夕立(影・f14904)の式紙で折られた手裏剣だった。
「成る程、お前達が『猟兵』か? 部下達を助けてくれた事、礼を言う」
 ドン・サルヴィがねこばるーんの紐を束ねて掴み抑えながら、二人へと顔を向ける。
「いえ。アリスラビリンスにおけるオブリビオンの実態調査のついでです」
「少々暴れますので、ファミリーの皆さんに退避されるよう指示を。……お得意様、此処は競争と行きましょう。どちらが多く風船を割れるか」
 灯理が拳銃をリロードしながら、ぎらりと不敵に笑みを浮かべ夕立に問う。
「……競争。イイですね。受けて立ちましょう」
 夕立は表情を変えないまま答えた。言葉遣いは丁寧であるのに、キンと冴えた刃物のような空気を纏う二人に気圧され、部下達は自然と敵軍勢への道を空ける。
「あ……アレが『ホンモノ』ってやつかぁ……! 頼んだぜ兄御達ィ~!」
「兄御達! カウント係は俺達に任せてくれ!!」
「いや別にいりませんけど……」
 なんかキラキラした声色で部下達にエールを送られる二人。まず彼らはその手に手に持っているポテトマッシャーの他にもっとマシな武器を探すべきだと夕立は思いつつ、戦闘の邪魔にならないなら良いかと放って置くことにする。
 その横でブロォオン、とエンジン音が掛かった。灯理がいつの間にか銃のリロードを終え愛用の白い改造単車、二代目『白虎』に跨っていた。
「……バイクはズルくないですか?」
「ルール無用です」
「へーそう。そういうコトを。構いませんよ」
 使わせてもらうだけなんで。そんな言葉を腹の内にじりっと燃やしつつ、夕立も羽織の裏から喚び出したのは『紙技・冬幸守』――式紙の黒い蝙蝠の群れだ。
「オンユアマ~クス! セット!」
 なんか外野から勝手にスタートの合図がかかって、パァン! と銃声が撃ち上げられた。同時弾かれたように二人は走り出す。

『nyaoooou』
『naa---o!!』
 灯理は白虎を転がして、石造りの道路上に溢れるねこばるーんの周囲を追い込み漁のように集めながら駆ける。そして再び拳銃――今は拳銃の姿をしている可動式銃器『朱雀』を抜いて、撃った。直線上に並んだねこばるーんは一発の銃弾で三、四体ほど纏めてやすやすと貫かれる。ついでに運悪く白虎の軌道上にいたねこばるーんが、正面衝突の後そのままプチッと轢き潰されたりした。
『I'm Lonely……!!』
 何体かが急に悲しげな声を出したかと思えば、灯理の眼の前、白虎のフロント部分にしがみつくように少女の姿が現れて、血塗れの顔がこちらを恨めしそうに見ていた。
 猟兵達にかかればただの風船同然のねこばるーん達も、力ないアリスからみれば恐ろしい怪物だ。過去に喰われた者の姿だろうか。だが、言ってしまえば眼の前の其れも既に過去でありオブリビオンの一部であることに変わりはない。白虎と共に彼奴らの殲滅が全てとなっている今の灯理には、憐憫も迷いもない。
 フリードライビングで瞬時に拳銃の弾を込め直す。真っ直ぐに亡霊の眉間へ、撃ち込んだのは聖塩で造られた破魔の弾丸。断末魔もなく亡霊の姿は浄化され掻き消える。
 そうして再び灯理がねこばるーん達へと銃を向け直すと、そこには『依頼人』が放ったと思しき黒蝙蝠の群れが、集めたねこばるーん達を片っ端から無残に喰い破っている光景が広がっていた。
「……いつからそこに居らしたんですか」
「霊と同じくらいのタイミングですかね。……『ルール無用』でしたよね? 探偵さん」
 走行中の白虎のタンデムシートに、片膝立ちでしゃがみ込むように夕立が座っていた。相手の獲物を奪うのも、相手のバイクをアシに使うのも反則ではない、と夕立はすーんと顔を横に向けている。
「そちらがそう来るなら、私は横取りされても平気な量を斃すまでです」
「怒ってます?」
「怒ってないですよ?」
『I'm Angry!!!!』
 ぴょん、と夕立がタンデムシートから跳躍して、ねこばるーんが口から射出した鋭い棘を躱した。石の城壁を蹴って、再び跳ぶ。城壁に棘がざくざくと刺さった。
 灯理は再び集まってきた風船達を撃ち抜きながら、砂煙を上げ白虎を旋回させる。一瞬黒い影が日差しを遮ったのを認識したが、しかし白虎の軌道を変えることはしなかった。夕立が再びタンデムシートに降り立って、足場として使い跳ぶ。式紙の蝙蝠達と手裏剣が、城壁の上の方に浮かんで此方を狙っていたねこばるーん達をきれいに一投一殺していった。
 勝ちを全く捨てている訳でもなかったし、バイク分のハンデを返してあげようという思いやりなどでもない。ただ、今の灯理にとって、効率的に敵が片付くのであればそれが最善と言うだけのことだ。同時に『依頼人』の仕事が滞りなく遂行されるよう計らうことも、彼女にとっての大切な『お仕事』である。
 そして打ち合わせなくトリッキーな連携をこなせるのは、これまでも幾度もタッグを組んで来た彼らだからできることだった。ねこばるーん達が一掃されるまで、然程時間は掛からなかった。

「ワッハハハハ! アレだけ居たオウガ共が、あっと言う間にいなくなっちまった。痛快だな猟兵の戦いは!」
 ドン・サルヴィが呵呵と笑って、部下達もわーわー歓声を上げながら、敵を蹴散らした二人の周りに駆け寄ってきた。
「『第一回イェーガー対抗ドキドキはらぺこねこばるーんファイト』の結果ですが、バイクの兄御が約99体撃破! 蝙蝠の兄御が約116体撃破だ!」
「勝手に変なタイトルつけられてる。あとなんですか、『約』って。それと……」
「……俺ら一応頑張って数えてたんスけど、お二人とも速過ぎて目で追えねえんで……」
「まあ、今回はそういうことにしておきましょうか」
 ツッコミが追いつかない夕立に、フッと静かに笑う灯理。この場はとりあえず片付いたが、依然敵勢力の気配は消えていない。灯理が促して、夕立は今度は普通にタンデムシートに座った。
「有難うございました兄御達!」
「兄御達に習って、俺らも全力で戦います!」
「お気をつけてー!!」
 すっかり舎弟と化した異形頭達の緊張感のない声を背に、二人は次の戦場へと駆けて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コルチェ・ウーパニャン
あわわわわー!!! 大変だー!
あっあっ、でもでも、これ、通信教育でやったとこだ!!
叩いても割れない風船でも、針でチクってしたら割れちゃうよね?
一点集中の攻撃に弱ーいって、コルチェ知ってまーす!

ここはコルチェのピカリブラスターにお任せー!だよ!!
光のスピードで飛んでくコルチェの熱線をくらえー!!
分かりやすい見た目の敵さんでよかった!
浮いてる風船さんを端からキュルルルーンってぜーんぶ撃っちゃうよ!
コルチェ、一生懸命先制攻撃と一撃必殺を狙うけど、
カウンター攻撃が来ちゃったら頑張って避けてねー!!
コルチェも頑張って避けまーす!

ここの世界の人たち、フシギな頭!
コルチェも頭がジマンだよ!
仲良くしようね!


コノハ・ライゼ
イイわネ、ファミリー!ちょっとやってみたかっt……んんっ
冗談よ、真面目に働きマスって

愉快な仲間たちの間すり抜け頭上跳び越え最前へ
【黒電】喚び稲妻巡らせ、
愉快な仲間たちを『かばう』為に敵の視界から少しでも遮ってみようかしら
敵の動き『見切り』攻撃は『オーラ防御』で躱し凌ぐわネ
『激痛耐性』併せ怪我負おうと涼しい顔も崩さずに

怪我ナンて慣れてるのヨ、任せなさいな
その代わり動き止めてる間に後ろからバンバン狙っちゃって!
と、『スナイパー』で風船頭狙い仔狐達をじゃんじゃか敵へ向かわせるわネ

近付く敵は「氷泪」の雷でひと飲みに
ああ、美味しそうなコ達はアタシの前に出ちゃ駄目よ
間違えて喰っちゃうから――冗談よ、冗談



「マリアさん、ヒーロさんと一緒に逃げてください!」
「何を言うんだ、僕達も共に戦うに決まっているだろう!」
「でもマリア、あなた花が枯れて……!」
 挿していた花を少し齧られていたフラワーベース頭の男性と、それを支えるジャム瓶頭の女性らしき愉快な仲間。他の構成員達も頭を齧られないようにと防戦一方で、周囲のはらぺこねこばるーんの数は増えるばかり。
 と、そこへ飛び込む姿があった。
「ハイハイ、ちょーっと失礼するわネ?」
 石造りの坂道、構成員達の脇をするりと抜けながら駆け下りて、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はとんっと軽く跳躍。異形の頭達を跳び越えながら空中で一回転して一気に最前線に躍り出ると、くるくると遊ぶような動きで双剣を滑らせ、周囲の構成員に取り付いていたねこばるーん達を次々刺してぱぁんぱぁん! と割っていく。
 ねこばるーん達が少しひるんだのを見て、コノハは周囲の面々の様子を伺った。男性は主に黒スーツ姿、女性はディアンドル風の民族衣装に身を包み、銃や鈍器などで武装している。そして頭がそれぞれ個性的だ。ハードボイルドとはやや遠い雰囲気ながら、構成員達同士の絆は深いようで皆助け合おうとしていた。
「イイわネ、ファミリー! ちょっとやってみたかっ……じゃなかった」
 ときめく心を抑えて、んんっと咳払いする。
「皆サン、怪我は大丈夫?」
「ええ、何とか……あなたは一体……? あんなに華麗な身のこなしをする人、初めて見たわ!」
 ヒーロがジャム瓶を輝かせながらコノハへと歩み寄る。
「そうねぇ、コノハって呼んで? 猟兵よ」
「猟兵!? あの最近噂になってる……? 助かったわ。オウガ達には私達の技はちっとも効かなくて」
 そう言ってヒーロが銃を撃って見せると、弾丸はべちゃっとねこばるーんに貼り付いた。ねこばるーんは舌を伸ばしてそれをぺろぺろ舐めている。赤いベリーのジャム弾のようだ。
 それを見たコノハは興味深げにヒーロのジャム瓶を覗き込んで、食材ハンターの目を光らせる。
「随分美味しそうな武器を持ってるのねぇ……それにお顔も」
「えっ!?」
 ヒーロがぎょっとした様子でちょっと後ずさり、ついでに周りに居たキュウリ頭とかトマト頭とかの構成員達も身の危険を察したのか、皆腰が引けたポーズになる。
「フフフ、冗談よ、冗談。――でも間違えて喰っちゃうといけないから……美味しそうなコ達はアタシの前に出ちゃ駄目よ?」
 艶っぽく不敵に微笑んで、さり気なく構成員達を後方へと退かせることに成功した。

「あわわわわー!!! 大変だー!」
 そこへ坂道を駆け下りて来る、もう一人の猟兵の姿。
「わー!」
「きゃー!?」
 ファイバーの髪を今日もピカピカさせながら、構成員達に軽くぶつかりつつ、勢いがつきすぎてすぐには止まれない様子でコルチェ・ウーパニャン(ミレナリィドールのブラスターガンナー・f00698)はそのまま最前線へ。それがグリモアベースで見た顔だと気づくとコノハは手を振って迎えた。
「あらコルチェちゃん、いらっしゃーい」
「コノハちゃん! 愉快な仲間の皆は食べちゃダメなんだよー! 食べちゃっていいのはあの風船だけ!」
 キキーッとブレーキを掛けて、敵目前で漸くコルチェが止まる。より一層騒がしくなった戦場、黒い風船の群れの前に並んで彩るカラフルな髪色の二人。
「あの風船は美味しくなさそうねぇ」
「味はともかく、風船がたくさんで大変だよー!」
「ホントよねぇ。今いい感じに集まってきた所だから、アタシ達でちゃっちゃと片しちゃいましょ」
 言ってコノハは左手を掲げる。雲のように拡がる痣のような紋から現れたるは、黒い稲妻を纏う子狐達。
「おっけー! コルチェこれ通信教育でやったとこだから大丈夫!!」
 通信教育?? と周囲が首を傾げるも気にせず、コルチェは三原色の光を放つ愛銃『ピカリブラスター』を取り出し構えた。
『nyaaaaao!!』
『I'm hungryyy!!』
 ジャムを舐め終わったらしいねこばるーん達は、これじゃ足りない! と言わんばかり、一斉に身体を膨らませて巨大化、猟兵達へと飛びかかって来た!
「叩いても割れない風船でも、針でチクってしたら割れちゃうよね? コルチェ知ってまーす!」
 三原色の光が細く一点へと収束して白く輝く。コルチェがトリガーを引けば、鋭い針のような熱戦がキュルルーン! とねこばるーん達に連射され、目にも留まらぬ速さでぱぱぱぁん! と撃ち抜いた。
「なんて威力だ! すごい武器があるんだな……!」
 マリアが後ろで驚き感心すると、えへんと胸を張るコルチェの髪が得意げにほんのりピンクに光る。
『I'm Aaaangry……!!』
 ねこばるーん達が負けじと、しゃー! と威嚇するような声を出して、開いた口から鋭い棘を散弾のように撒き散らす。
 コルチェはあわわっと身を躱したものの、後ろの方で手を取り合って見ていたマリアとヒーロへ飛んだ流れ弾が、あわや彼らのガラスの顔を割ってしまうかと思われた――そこへ滑り込んだのはコノハだった。
「コノハちゃん!?」
「コノハさん……!!」
 身を挺して棘から二人を庇い、コノハの肩や腹から鮮血が散る。だがコノハは眉一つ動かさず、どこか楽しげな表情のまま。
「怪我ナンて慣れてるのヨ、任せなさいな」
「で、でも……!」
「コレくらい、どってコトないわヨ。ほら、動き止めてる間に後ろからバンバン狙っちゃって!」
 ちかちかと水色に点滅して慌てるコルチェを、宥めて言う間に子狐達が黒い稲妻を走らせる。同時にコノハが敵へ見開いた右目の刻印『氷泪』がほのかに浮かび上がる。冷たく迸る雷撃は風船達を次々遅い、痺れさせてその場に縫い止めた。
『n"a"aaa……!』
「わああー! わかった! コルチェも頑張る!!」
 コルチェもキッと敵軍勢へ決意の目を向ける。再びピカリブラスターにエネルギー充填、麻痺して動けないねこばるーん達はもはや狙うまでもないただの的だ。白い光線が黒い風船達を片っ端から、まるでオートプレイのシューティングゲームのようにきれいに撃ち抜いて行った。

 辺りのねこばるーんが一体残らず割られたのち。マリアが銃を空に向け撃つと銃口からぼんっと花吹雪が飛び出して、辺り一体に舞った。
「あらぁ、キレイ」
 彼のユーベルコードは癒やしの力があるようで、コノハの受けた傷も応急手当程度に塞がれていく。
「このくらいのお礼はしないとね……危ない所を助けてくれて、本当にありがとう」
「私はヒーロ、彼はマリアよ」
「コルチェはコルチェだよ! ここの世界の人たち、みーんなフシギな頭! 食べられなくてよかった!」
 そう言いながらコルチェの髪がぴかぴか光るので、場は笑いに包まれる。
「あなたの頭も、とっても不思議で素敵よ」
「うん! ジマンの頭だよ! コノハちゃんの頭もフシギだよね!」
「そうねぇ、アタシもこの髪色はジマンかしら」
 上機嫌そうに答えるコノハに、みんな仲良くしようねっと跳ねるコルチェ。和やかな空気が流れるが、戦いはまだ終わっていない。他の仲間の元へと合流するべく、一同は賑やかにその場を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウルウ・エイシィ
せんせ(ナターリャ(f19517))と一緒

僕は猫派だけど…もっとふさふさの毛並みの子が良かったな
アイムハングリー、ねぇ
うちにはもっと腹ペコ食いしん坊な奴がいる
『ミー・トゥー!だぜ!』
水猫レテが、僕の手から顔を出す
食い意地勝負で、記憶をたんまり食べられたら、たまらない
せんせの言葉に、だよねと頷いて、レテを叩いてしまっとく
代わりに包帯を解くよ
古傷から吹き出すブレイズフレイムで、こんがり焼こう

ファミリーさんを焼かないように気を付けなきゃ
せんせからの傷は、当たり前のように受けるよ
「激痛耐性」痛みはあんまり感じない
新しい傷から吹き出す炎を、せんせの斬撃と合わせる
…焼き猫料理だね


ナターリャ・ラドゥロヴァ
ルー(f19531)と

これまた随分ファンシーな敵だねえ
まぁ私は猫より犬派だ
ルー、君の猫はしっかり繋いでおいてよ
猫同士でフードファイトなんてされたら記憶がいくらあっても足りないだろう?

えーっと、ビルベリーファミリーだっけ?下がっててよ
得物のメスで九死殺戮刃使用
初撃は容赦なくルーを斬りつける
「さぁ、存分に灼いてあげな」
二撃目から、ルーの炎と連携しながら敵を斬る
煮ても焼いても食えそうにないやつらだけど、えーっと、ルー?こいつらならレテに食べさせてもいいよ

戦闘が終わったらさっきのルーの傷を縫うかな
出来るだけ丁寧に、医術の心得は一応あるからさ



 ビルベリー・ファミリーの首領、トナカイの頭蓋骨アタマのドン・サルヴィとその部下達は猟兵と分かれ、街中に散らばったファミリーの構成員を集めながら、オウガ軍の掃討を続けていた。
「ボス~! ご無事で良かった!」
「こんな所からも攻めてきていやがったか……!」
 城壁を突破してきたねこばるーん達を、部下達は廃材で即席のバリケードを作ったりして必死に防衛を固めているが、それもどんどん喰い尽くされて逃げ回るのが精一杯という状況だ。
「建物は後でいくらでも直せる! ここは一旦、広場に集まって全員で迎撃を――」
 号令をかけようとするドン・サルヴィの前へカツン、と靴を鳴らし割って入る影があった。
「そうそう、ちょっと下がっててよ。えーっと、ビルベリーファミリーだっけ?」
「此処は、僕達に任せて」
 華やかな身なりの見目麗しい妙齢の女性と、両の手首に包帯を巻いた青い眼の少年の二人組。
「おお! もしやお前達も猟兵か!?」
「猟兵!? あの噂の……だが、その子も戦うのか?」
 ファミリーの面々の視線――異形頭達に概ね目はないので雰囲気のみではあるが、それらは心配そうにウルウ・エイシィ(忘レモノ・f19531)に向けられた。国に迷い込んだアリスを優しく持て成すのが日々の楽しみの一つである彼らにとって、アリスの気配を持つウルウが気になったようだった。
「僕? ……大丈夫だよ、せんせがいるから」
「ルーも立派な猟兵だよ。……少なくとも、そんな武器で戦おうとしてる君達よりはよっぽど強いだろうさ。はい、どいたどいた」
 それぞれ手に持った泡立て器やら麺棒やらでねこばるーんを追い返そうとしていた下っ端の異形頭達を指して、ナターリャ・ラドゥロヴァ(Moon Howler・f19517)はぴしっと言う。下っ端達はナターリャにせっつかれてすごすごと前線を退いた。代わって前に出る彼女に、ウルウは嬉しそうに見上げながらついていく。

「これまた随分ファンシーな敵だねえ。まぁ私は猫より犬派だ」
「僕は猫派だけど……もっとふさふさの毛並みの子が良かったな」
『niiiyao!! I'm Hungryyy!』
『Give me caandy!!』
 ぷわぷわと浮かびつつたどたどしい発音で言葉を喋りながら、威嚇してくるねこばるーん達。散々城壁やらバリケードを食べ尽くしても物足りないという様子だった。
「アイムハングリー、ねぇ」
『ミー・トゥー! だぜ!』
 ウルウの呟きに相槌を打つように、彼の手からぷくっと現れたのはウルウの身体に憑くオウガ、水猫の『レテ』である。
「腹ペコ食いしん坊ならレテも負けてないもんね」
『そうだな! オレとどっちが大食らいか試してやってもいいぜ?』
 レテは口をニカッと三日月にしてけたけたと笑いながら言う。
「ルー、君の猫はしっかり繋いでおいてよ。そんなことされたら記憶がいくらあっても足りないだろう?」
「うん、だよね」
『オレの食べる分(あたま)を、アイツラなんかに食わせてやるんじゃねーぞ!!』
 ナターリャがやれやれと肩を竦めながら諭して、ウルウは素直に従った。ぺんっと水猫を叩くとそれはやっぱり笑いながら手の中に吸い込まれていく。この水猫は、城壁やバリケードなんかよりもっと厄介な、無くなれば決して元には戻せないもの――ウルウの記憶を食べるのだ。
 彼を使わない代わりに、ウルウは手首の包帯を解く。
『nyaaao!! I'm Hungryy!』
 食欲がそのまま身体の大きさに現れるように膨らむねこばるーん。大きく口を開き、ウルウ達へと迫っている。
「それじゃ、いくよ」
 ナターリャがメスを取り出し、灰色の瞳を鋭く光らせたその瞬間。ウルウが包帯を解いた手にメスが走って、古傷だらけの腕にまた新たな傷がひとつ刻まれた。ぴっと鮮血が跳ぶ。
「ウワァァ!?」
「アンタら、何やってるんだ!?」
 驚き狼狽える構成員達をよそにウルウは動じる様子もなく、刻まれた傷から流れる血を燃料とするように、紅蓮の炎を噴き上がらせた。
「さぁ、存分に灼いてあげな」
 ナターリャの声に彼はこくりと頷くと、巨大化したねこばるーんへと炎を迸らせる。煉獄よりの炎は風船の幕を一瞬で溶かし穴を開け、破裂させる。
『naaann!?!??』
 炎の熱さに怯んだねこばるーん達を逃さず、背後に回り込んだナターリャのメスが襲った。鋭いメスの斬撃は、一体を割るのに一刀で十分だ。流れるような動きですぱぱぱぁん! と刻んでいく。
「刻んで焼いて、焼き猫料理だね」
「煮ても焼いても食えそうにないやつらだけど……えーっと、ルー? こいつらならレテに食べさせてもいいよ」
『コイツラはマズそーだなぁ』
 ルーが食べるならオレもいずれ食べることになるかもな、と肩口から覗くようにしてまたレテが頭を出していた。ウルウが再びぺちんと叩いて引っ込ませる。
「まったく……まかり間違ってレテが興味を持つ前に、さっさとカタをつけちゃおうか」
「うん、そうだね、せんせ」
 炎は波打つように伸びて一層燃え上がり、炎と共にナターリャが駆け銀閃を振るう。一帯の猫風船達が細切れの燃え残りとなるまで、幾ばくも掛からなかった。

「いやしかし、驚いたな……怪我を厭わず戦うってやり方もあるんだな」
「素人にはオススメしないよ」
 感心した様子のドン・サルヴィに苦笑して言いながら、先程自分がつけたウルウの腕の傷を、丁寧に丁寧に縫い閉じていくナターリャ。それをウルウは静かにじっと見つめる。このやり方は二人が与え合うための、二人のためのものだ。
 その時、一人の構成員が叫びながら走ってきた。
「ボス! 出ました! 風船達が食い破った城壁から、オウガの軍のリーダーと思しきヤツが……!」
「何だと!?」
 ざわめくファミリーの面々。いよいよこの国の戦いは大詰めを迎えるようだ。猟兵達はドン・サルヴィと共に、リーダー格の現れたという城門前へ向け走り出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『よくばりさま』

POW   :    味見をしてあげましょう。光栄に思いなさい
自身の身体部位ひとつを【巨大な蟻】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    美しきわたくしの庭で迷いなさい!価値なき者共が!
戦場全体に、【悪趣味な金銀財宝】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    わたくしは女王でしてよ無礼者が!かみ殺されよ!
自身が【見下された屈辱感】を感じると、レベル×1体の【金貨を背負った手下蟻】が召喚される。金貨を背負った手下蟻は見下された屈辱感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アンバー・スペッサルティンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「アリだー!!」
 メインストリートに続く城門前広場。ねこばるーん達を従え、崩れた城壁の向こうからのしのしと現れたのは、王冠を戴く巨大な蟻の姿をしたオウガだった。膨れた腹はがま口のようになっており、煌めく金銀財宝をずっしり溜め込んでいるのが見える。
「おほほほほ! わたくしは女王! 下僕達よ、この国にわたくしに相応しい財宝は見つかったかしら?」
『Queen! Queeen!!』
『Give me chocolate!』
「てめえらに渡す宝なんて銅貨の一枚もねえぞ! この国から出てけー!」
「そうだそうだ!」
「無礼者共が……どいつもこいつも、価値のなさそうな湿気たツラだこと。わたくしの可愛い下僕達のエサになるのがお似合いでしてよ!」
 女王蟻がけしかけ、ビルベリー・ファミリーに襲いかかるねこばるーん達。だがここで迎え撃つ彼等は、これまでの彼等とは一味違うのだ。
 銃から撃たれるのはたっぷりの唐辛子入りのドーナツボール弾。投げ込まれるのは鋭く尖ったダーツ。バイク……はこの国にはまともなものがなかったが、もうもうと煙を上げてがちゃがちゃ走る蒸気自動車に乗ってちょっとだけ機動力を高めて、どっかから持ち出してきたデカいガスバーナーで炎を噴射してねこばるーんを炙る。
 猟兵達のユーベルコードほどの威力はなくとも、彼等の攻撃によってねこばるーん達をある程度撃退できるようになっているようだった。
「なんですって……!?」
「猟兵の兄御達! 姉御達! 残りの風船共は俺らがやっちまいますんで!」
「アンタ達の戦いを見てしっかり学んだんだ! 取り巻きは気にせず、あの女王蟻をやってくれ!」
「猟兵……おのれ、余計な邪魔を! 生意気な!」
 女王蟻がヒステリックに眼尻を吊り上げ、猟兵達へと牙を剥いた。
 
ボアネル・ゼブダイ
働き蟻の勤勉さや誠実さとはかけ離れた醜い姿だな
女王よ

敵UCが発動したら早業で食糧袋から米酢の入ったビンを取り出し
カウンターで蟻の頭に投げつける

蟻は仲間とのやりとりをフェロモンで行うほど嗅覚に優れている
故にレモンやミントなどの匂いの強い物を嫌う傾向にあるが
特に酢酸は匂いで蟻を殺害するだけでなく、フェロモン自体を消すほど非常に強力だ
なので蟻の通り道に吹き付けると蟻除けにもなるぞ

倒すとまではいかんだろうが奴を混乱させるには十分だろう
その隙に血液パックから吸血し
ドーピングによる身体強化とUCによる攻撃強化
さらに生命力吸収も乗せた斬撃で敵を削る

欲深な女王は滅びるのが寓話の常だ
貴様も潔く骸の海に還るが良い


コルチェ・ウーパニャン
わぁーっ!! きたなぁ親玉さん!
あっでもでも、コルチェこれも通信教育でやりました!

よくばりさまへ割引シールをペッターン!!
割引くのは、よくばりさまの……『ケンイ』!……権威?
がま口の中身を金貨から銀貨、銅貨にチェーンジ!
よくばりさまの偉さを割り引いて、言うことを聞く手下の数を減らして、
よくばりさま自身にも、ケンキョな気持ちになってもらって、見下されたって感じにならないでいてもらおって思います!
結果的に、動きを封じれる……はず!!

せっかく仲良くなれたんだもん、みんなを傷つけないように戦いたい!!な!!
止めきれなければピカリブラスターでキュルンキュルンして、手下さんを狙って撃退!だよ!!



「わぁーっ!! きたなぁ親玉さん!」
 巨大な女王蟻を前に、コルチェは髪をぴかぴかと瞬かせながらぐっと身構える。
『……あら? 不思議なアタマを持っている者が居るようね。美しく光るものはわたくしにこそ相応しい……アナタ、そのアタマをよこしなさい』
「え!? だ……ダメだよ!? コルチェのジマンの頭、あげないよ!」
『まあ、わたくしの命令が聞けないというの!? 無礼者め、ならば力づくで奪うまで! お行きなさい、お前達!』
 欲しいと思ったものは何でも、自分のものにならなければ気が済まないよくばりさま。キーッとわめきながら何体もの手下の蟻達を周囲に喚び出した。女王蟻よりは小さいが小型犬ほどもある蟻達が、一斉にコルチェに向けて進軍を始める。
「あわわーっ!? あげないってばー!」
 コルチェはピカリブラスターを抜いて、手下蟻へ向けキュルルンと熱線を放つ。何故だか大きな金貨を背負った手下蟻達は熱線が一撃当たれば倒れる程度だったが、その数は侮れない。
『おほほほ、やっておしまいお前達……ぎゃッ!?』
 女王蟻が高笑いしていたその時、コルチェの頭上を何かが飛んでいって、女王の顔面にクリーンヒットした。何かの瓶らしきそれはパリンと割れ砕けて、中の液体が顔中にぶちまけられた。
『ゲホッゴホッ!? 何よこれ!? 酸っぱい! げっほごほ』
「働き蟻の勤勉さや誠実さとはかけ離れた醜い姿だな、女王よ」
『……ぶ、無礼なッ……』
 瓶を投げたのは後方より現れた彼、ボアネルであった。噎せながら顔を拭う女王蟻は何か言い返そうとして、また噎せている。
 するとどうしたことか、コルチェへ向かっていた手下蟻達が困惑したようにキョロキョロと周囲を見回し、進軍の足を止めていた。
「すごいね、さっき何を投げたの!?」
「あれは米酢だ。蟻は仲間とのやりとりをフェロモンで行うほど嗅覚に優れている……故にレモンやミントなどの匂いの強い物を嫌う傾向にあるが、特に酢酸は匂いで蟻を殺害するだけでなく、フェロモン自体を消すほど非常に強力だ。なので蟻の通り道に吹き付けると蟻除けにもなるぞ」
「ほわー!」
 ボアネルの料理知識に付随するものか、すごく詳しい解説が炸裂した。しかも今日から使えるお役立ちワザ情報付き。つまりはボアネルの投げた米酢によって、蟻達は指揮系統に混乱をきたしているということのようだった。

『げほげほ……わたくしを、そんじょそこらの蟻共と一緒にしないでくださるかしら!?』
「懲りないよくばりさまには、こうだよ! 今こそ通信教育で習った成果を見せーるとき!」
 ちゃらららっちゃらー♪ とどこからともなく取り出したるは、コルチェお得意の魔法のシールだ。混乱している隙に手下蟻達をすり抜けて肉薄し、よくばりさまのがま口の腹にペッタン! と貼り付けた。
 そうすればあらフシギ、よくばりさまの腹の中に入っていた金貨や、手下蟻達が背負っていた金貨がみるみる色を変えていく。それは次第に銀貨へ、さらには銅貨へと変わってしまった。貼られたシールの文面は『割引』。
「えっへへー。おやすーくなっておりまーす!」
『ア!? ナンダコレ、銅貨ジャネェカ!?』
『話ガチガウゾ女王サマヨォ! コンナハシタ金でシゴトナンテヤッテラレッカ!』
 報酬が下がったことにより、手下蟻達から巻き起こる大ブーイング。彼等は次々と戦意を失くして、銅貨を地面に叩きつけてどこかへ去っていく。
『そ、そんな、わたくしのキラキラが……これが、本来のわたくしの価値だというの……?』
 金の切れ目が縁の切れ目とでも言うような世知辛さに身を打たれたように、女王蟻はしおしおと項垂れてしまった。
「そうそう、ケンキョな気持ちは大事なんだよ!」
「金以外のことで貴様にまともな権威があれば、こうはならなかっただろうに……だが、少しはマシな姿になったか」
 その間アルミパックした人工血液を優雅に10秒チャージしていたボアネル。ふっと笑みを浮かべると、一層その瞳は鮮やかに赤を増して、鉄錆と薔薇の闘気を纏う。
 再び振るう『コ・イ・ヌール』の、美しい手甲から伸びる眩い五指の斬撃はさらに鋭く深く、女王蟻の胸を、そして醜く膨れた腹を引き裂いた。
『ぎゃああああ!!』
「欲深な女王は滅びるのが寓話の常だ……貴様も潔く骸の海に還るが良い」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
手当ての恩もあるものネ、お礼はしなくちゃ
きっちりと、ネ

背中は任せたわよ、と敵へ駆け「柘榴」の刃を肌に滑らせ
【紅牙】発動し一対の牙と化した柘榴で喰らいついてく
食いでのありそうな胴体もイイけど蟻脚ってのにも興味があるわネ?
『スナイパー』で足の『部位破壊』狙って機動力落としてくヨ

反撃も攻撃としては見慣れたモノ
頭部の動きを『見切り』躱しながらその口に柘榴を捻じ込んで
『2回攻撃』で『傷口をえぐる』
もし喰われても気にせず『激痛耐性』足しに凌いで『カウンター』
柘榴でしっかり喰らい返し『生命力吸収』すれば
それなりの「礼」になるかしら?

タダでミンナの笑顔を奪おうだなんて
よくばりにも程があってよ?


アドリブ等歓迎


東風・春奈
アドリブ歓迎/なんでも歓迎

『ビルベリー・ファミリー』の皆さんが引き付けてくださっている間に、きちんと倒してしまいましょうかー。

私は近接戦が苦手なのでー『よくばりさま』……女王蟻からはなるべく距離をとって戦いますー。
接近戦はそれが得意な方にお任せして、私は支援砲撃をいたしましょうー。
とはいえ同士討ちが怖いですから、狙いを澄ませてここぞというときだけ砲撃しますよー。

女王のような外見ですからきっと手下を使うでしょうけど、女王蟻本体にも、きっと攻撃手段があるはずですー。
蟻の顎に噛みつかれたら、きっと痛そうですねー。
狙われそうな味方さんがいましたら、えいやーっと砲撃を食らわせましょうー。



「風船共をお嬢達に近づけさせるなよ!」
 ぱぱぁん! と銃声やら風船の破裂音やらがやかましく鳴り続ける城門前広場。
 よくばりさまに対峙する春奈がちらりとビルベリー・ファミリーの様子を伺うと、ピプリとカハヴィ、マリアとヒーロもこちらに気付いてサムズアップしたりぶんぶん手を振っているのが視えた。
「ファミリーの皆さんは大丈夫そうですねー。引き付けてくださっている間に、きちんと倒してしまいましょうかー」
「ええ、手当ての恩もあるしお礼はしなくちゃ……きっちりと、ネ」
 ぺろりと軽く唇を舐めて、コノハは眼の前の女王蟻の姿を品定めするように見る。
「手下蟻も皆どこかに行ってしまって、孤立無援、というやつですねー」
 女王なのにー、とちょっと気の毒そうに見上げる春奈。手下蟻を使うという手段を早々に封じられて項垂れていたよくばりさまは、そんな視線を感じてか無理やり気を取り直す。
『ふ、フン……使えない下僕達の手助けなどいらないわ。支払う報酬が無くなれば、この国にあるキラキラは全てわたくしのものになるのだから、かえって好都合でしてよ! おほほほ!』
 女王蟻が高らかに笑うその間に目線を交わした二人、コノハは前へ駆け、春奈は後ろに跳んで距離を取った。周囲にコンソールを展開し素早く目標情報を入力、背中の砲塔を傾ける。
「そのキラキラの代わりに、アンタはこの国に何を支払ってくれるのかしらネ?」
 走りながらコノハは両の手の『柘榴』の刃を自らの腕にすらりと滑らせた。刻まれた溝に赤が流れて、刀身が妖しく光り、ズズ、とその形を変えていく。
『支払うですって? わたくしが? 価値なき者共に、なぜ対価など払わなければなりませんの?』
 迫るコノハの正面、女王蟻は低く姿勢を取り鋭い大顎で迎え撃つべく突進しようとするが。
「キラキラな砲弾なら、いくらでもあげちゃいますー。頭部、着弾しますよー!」
「はいはーいっと!」
 コノハが気を引く間に精密射撃を終えていた春奈が叫ぶ。声を聞いて、コノハがさっと横に跳んだ。
『……え?』
 打ち上げられた無数の砲弾が、きらきらっと日差しを受けて輝いて――天から一点を目掛けて落ちてくる。
 低い姿勢のまま見上げた女王蟻の顔に――どかん! ドカン! ズガァァン!! と順々に激突して爆ぜた。
 衝撃で金の王冠が吹っ飛んで転がる。
「ふふふ、全弾命中ですねー。お礼は要りませんよー」
『カ……カハッ……また、顔を……!』
 呻く女王蟻の声を聴きつつ、砂煙の晴れる前にコノハはその足元に滑り込むと、一対の牙の姿となった『柘榴』で脚のひとつに噛み付いた。
『ギャアッ!?』
「蟻の脚もコレだけ大きいと、それなりに食いでがあるものネ」
『ぶ、無礼者……! わた、わたくしは常に喰らう側であり、与する側になるなどあり得ないのです!』
 女王蟻がぷすぷすと煙をあげる頭を持ち上げてコノハに大顎を向けると、コノハもまた「牙」を剥いて、大顎の中に自らの腕ごと、臆せず突っ込んだ。後方で春奈がはらはらと心配げにしていたが、コノハの表情は涼し気だ。
「タダでミンナの笑顔を奪おうだなんて……よくばりにも程があってよ?」
『があああ!?』
 口部に噛みつきぎゅるりと抉りながら、顎に噛まれている分を帳消しにして余るほどに生気を吸い上げる。
「アンタの手下に貰った分の「礼」もこれで返せたかしら? ――ゴチソウサマ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナターリャ・ラドゥロヴァ
ルー(f19531)と

何だ、彼ら意外とやればできるじゃないか
私たちも負けてられないね

「はいはい、レテ、食べ過ぎないようにね。私の名前まで忘れられたら流石に泣くよ」
ルーと水猫の掛け合いと、彼らが契約を交わすのを見届けてから【月下の殺人鬼】発動
指定対象はルーとレテ
「っと、ごめんね!」
ルーを一度斬りつけてから、敵を斬る
いつもより食欲旺盛なレテと競うように

反撃の迷路は予想はしていても、ルーと引き離されるとさすがに焦る
「ルー!どこだい?!」
叫んで探しながら、バロックレギオンの群れが現れたらそれが来た方向へ走る
ルーを見つけたら思いっきり抱き締める
よしよし、ここから先は手を繋いで行こう
ごめんね、ルー


ウルウ・エイシィ
せんせ(ナターリャ(f19517))と一緒

ビルベリーファミリーさん、カッコいいねっ
僕達もがんばらないと

【忘れ者ノ約束】
レテ、…線香花火の記憶、あげる
せんせとの幸せな初夏の記憶を代償に、レテを強化
更にせんせに体を差し出せば
レテはいつも以上の食欲で敵に齧りつくだろう
噛み付き合戦、負けないよ

もしも迷路で迷子になったら
いきなりのひとりぼっち、せんせのいない不安感・恐怖心が押し寄せる
…やだよ…せんせ?…せんせーーっ!!
【リアライズ・バロック】
バロックレギオンの水霊が、迷路の主を追跡&攻撃
蟻の女王を溺れさせようと襲い掛かる
せんせが見つけに来てくれら、勢いよく抱きつく
手、繋いでいい?もうはぐれないように



 一時は国を埋め尽くすかと思われるほどの数だったねこばるーんは、猟兵達の掃討と、異形頭達の猟兵受け売りの技による必死の抵抗でその数をかなり減らしている。
「ビルベリーファミリーさん、カッコいいねっ」
「何だ、彼ら意外とやればできるじゃないか。私たちも負けてられないね」
「うん、僕達もがんばらないと」
 ウルウはそう言うと、左掌から膨らんだ水猫レテに顔を向ける。レテはどこか期待を込めた眼差しでウルウを見返しながら、相変わらずニヤニヤと笑っている。
「レテ、……線香花火の記憶、あげる」
 力を振るうために此度オウガに渡す代償は、この夏の始まり頃にナターリャと一緒に線香花火をやったこと。ファミリー用の大きな花火のパックを買ってきて、最後にどちらの線香花火が長く弾けるか、競い合った。
「……忘れて、いいよ」
『中々のご馳走が出てきたなぁ。美味そうだ!』
「はいはい、レテ、食べ過ぎないようにね。私の名前まで忘れられたら流石に泣くよ」
『わかったって。じゃあ遠慮なく』

 ―― イ・タ・ダ・キ・マ・ス♪

 二人の幸せな記憶は、最も強い力となる。ウルウはもう、何の記憶を代償に捧げたのかすらも覚えてはいないけれど。レテはみるみる、女王蟻に匹敵するほど巨大に膨らんで、今度は敵を飲み込むべく凶悪に大きな口を開いた。
 それを見届けたナターリャも、再びメスを取り閃かせる。
「っと、ごめんね!」
 ウルウの腕にまたひとつ、さらにレテの大きなしずくのような身体にも切っ先がすぱりと裂け目をつくる。レテは気にした様子もなく、女王蟻へと身体を伸ばしてガブリと噛み付いた。
『グギィイ! どいつもこいつも、無礼者ばかり! わたくしは味を見る側だと言っているでしょう!?』
 レテを払い噛み付き返そうとする女王蟻だが、自在に膨らむレテはぷわんぷわんと手応えなく躱していく。
「レテばっかりじゃなくて、私とも遊んでくれるかい? 女王様」
 真昼に現れた上限の月が戦場を照らしていた。瞳に同じ光を宿したナターリャが振るうメスは、月下に狩りをする狼の牙のように鋭く、相手に回避の隙を与えず斬り裂く。女王蟻のがま口の腹がおおきく裂けて、中の金貨――今はある猟兵の仕業で銅貨になってしまっているが、それらがじゃらじゃらと溢れだした。
『ああッ……!? おのれ、おのれ! 価値なき者共が、わたくしの視界に入ることすら烏滸がましい!』
 喚く声には明らかに逃げ口上感が滲み出ていたが、声とともに辺り一帯の地面が振動し始めたことは猟兵達を驚かせる。
「……! ルー!」
 振り返ったナターリャの視界を、どこからともなく迫り上がる金銀の財宝の山が覆って遮った。
「あ、せんせ……?」
 うず高く積まれぎらつく金銀の壁を叩いてみるが、ちょっとやそっとでは崩れない強度であるとわかる。ウルウは思わず走り出すが、複雑に入り組んだ変わらない景色の迷路は方向感覚すらも奪ってしまうようだった。
「やだ、やだよ……せんせ? ……せんせーーっ!!」
 細く血を流す腕を押さえながら肩を震わせる。大切な存在と離れ離れにされたことによる恐怖心が、ウルウの身体から水霊となって溢れ出した。
「ルー! どこだい!?」
 ほとんど泣いているように呼ぶその声をしるべに、ナターリャも金銀の迷路を駆ける。傷の縫合もまだしていない状態だ。彼は私が、守らなければならないのに。
 急に目の前に、濁流のような水霊の群れが現れて彼女を通り過ぎていった。あれは、ルーのバロックレギオンだ。
「……! ルー!」
 水霊の来た道を辿れば、そこには蹲って震えている少年の姿があった。声を聞いて顔を上げたウルウは、はじけたように駆け出してナターリャの腕の中へと飛び込んだ。
「せんせ……!!」
「ごめんね、ルー」
「……手、繋いでいい? ……もうはぐれないように」
 ナターリャはよしよしと宥めながら応えるように、ウルウの傷ついた手にそっと自分の手を添わせる。
 女王蟻は迷路の奥に身を隠したが、二人が与えた傷もあって既に満身創痍だ。
 決着は時間の問題だろう。ナターリャは今はただ、腕の中の少年を強く抱きしめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
【調査依頼】依頼人
そうですね。
……(鼻で笑う)

そこには同意しますよ。活気があってよろしい。
そんな事をしては刃が痛みますよ、依頼人。道を開くのはお任せ下さい。
念動力で浮き上がり、我利我利女王を視認して【BPハック】。UCを解除させる。
ああ、流石にすぐ戻るか。だが充分。この数秒は永遠にも等しく、然らば刃は届くのさ。

さて、後は補佐に徹する。依頼人に向かう攻撃を《スナイパー》技能で確実に妨げる。
『女王は首を刎ねる』。それが様式美という物でしょう?
やってしまえ、夕立。


矢来・夕立
【調査依頼】探偵さん
ありのままのアリのママですよ。
ここ笑うところですってば。もう一度やりますからね。
ありのままのアリのママですね。

それにしても(スンッ…)異形頭さん方が賑やかしに回ってくれたのは僥倖でした。
《忍び足》での行動が容易です。

折角シゴトしてくれましたし、できれば無力化された猫風船を拝借しておきます。
《忍び足》で行動しますけど、
万一喰われそうになったら《敵を盾にする》ことができますから。
そこから《だまし討ち》、【紙技・速総】。
迷路は解除されるハズですよ。
どれだけ遠かろうが、永遠に等しい数秒です。
式紙[コイツ]は見えていれば届く。届けば、近づける。
ご機嫌麗しゅう女王様。歩くギロチンです。



 戦場が金銀の迷路に覆われる、その少し前に遡る。
 夕立は片手に、ビルベリー・ファミリーの激辛香辛料攻撃によって目をバッテンにして気絶状態のねこばるーんを数体掴んでいた。気絶していても何故か、猫風船達は若干ガスが抜けた感じで浮かんでいる。ダークファンタジー系のテーマパークに遊びに来た学生のように見えなくもないかも知れない。
「いつの間にか女王蟻の王冠が吹っ飛んでいました。つまり……ありのままのアリのママですよ」
「…………そうですね」
 夕立が喧騒の中を静かに掻い潜ってねこばるーんを集める間、灯理はファミリーの援護のためささやかに拳銃を撃ちながら。
「ここ笑うところですってば。もう一度やりますからね。……ありのままの、アリのママですね」

 ―― ズゴゴゴゴ……!!

 途端、地面が大きく揺れた。
 壇上の全員をすっ転ばせるための古典的な仕掛けとかではなく、女王蟻のヒステリーが起こしたユーベルコードによるものだ。見る間にそこらじゅうの地面がせり上がり、金銀財宝がギラギラと輝きながら積み上がり何重にも壁を作っていく。
 地響きと混乱するファミリーの声とが混ざる中、灯理が静かに鼻で笑ったのを夕立は聞き逃さなかった。

「……。異形頭さん方が賑やかしに回ってくれたのは僥倖でした」
 特に何もありませんでした。と言わんばかりのスンッと涼し気な顔で言いながら、夕立は集めたねこばるーんの紐をベルトに括っておく。決して遊んでいたわけではなく、敵の攻撃を防ぐ盾として用いるためである。
「そこには同意しますよ。活気があってよろしい」
「しかし、女王自ら視界を狭めるとは」
 刃文に朱が交じる脇差を、壁の一部となっている黄金の聖杯にガツッと突き立てる。聖杯に傷がついた。
「そんな事をしては刃が痛みますよ、依頼人。道を開くのはお任せ下さい」
 ―― 貴方は我利我利女王の首だけを、只狙っていればよい。
 灯理は鋭い目をさらに僅か細めて、地面を軽く蹴る。無重力下にでも居るかのように、灯理の身体はすうと浮き上がって、金銀の迷路の頂まで上昇した。きらびやかな王冠を踏み蹴ってさらに翔ぶ。
『わたくしは女王! このキラキラの輝きこそがわたくしの力の、証明! 価値なき者達よ、わたくしの元まで辿り着いたのなら……その頭を味見してあげてもよろしくてよ!』
 夕立は首を少し傾げて、音を聞いた。耳を澄ますまでもなく女王は高らかに叫び、自らの位置を知らせてくれるので、反響を考慮しても方向を割り出すのに然程苦労はしなかった。ぴら、と棒型手裏剣の式紙を取る。
「残念でしたね、女王。―― 私の前に閉域網《クローズド》など存在しない」
『ぎっ……ああああ!!?』
 上空に佇む彼女と目が合った瞬間には既に遅く。頭の中を、苛烈な意思の力が蹂躙する。脳を揺さぶられる衝撃に女王蟻はのたうち回った。すると護っていた壁がさらさらと、地面の下の土塊に戻っていくように崩れ落ちて消えていく。
 状況を把握するより先に、次に女王蟻を襲ったのは鋭い手裏剣の一手。破れてほとんど中身が溢れている大きながま口の腹にどすりと突き刺さった。
『おの、れ、無礼者、ども……!! わたくしは、』
「ご機嫌麗しゅう女王様。歩くギロチンです」
 手裏剣が気付けとなったか、どうにか声を発した……その瞬間に後ろから誰かの声がした。上空の猟兵以外、近くに気配はなかった筈。だが腹に刺さっていた棒型手裏剣は、いつの間にか消えていた。
「『女王は首を刎ねる』。それが様式美という物でしょう? ――やってしまえ、夕立」
 灯理がスコープを覗きながら笑みを深める。辞世の句はさっき聞きましたとばかり、女王蟻はもはや大顎を開く暇すら与えられずに、夕立の朱い刃が閃いた。
 傲慢な女王のかぼそい首は容易く、落ちる。

「……使うまでもなかったですね、これ」
「不要でしたら、片付けてしまって良いですね」
 ぱぱんっ! と乾いた音が響き、夕立のベルトに括られて気絶していたねこばるーん達は、再び拳銃型になった『朱雀』での早撃ちによって容赦なく破裂させられた。
「あっ……」
「ちなみに、今ので同数に並びましたよ」
「えっ」

 つられたようにあちらこちらで祝砲が響き、やがて大きな歓声が猟兵達を包んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『スコーンとジャムとクロテッドクリーム』

POW   :    焼きたてスコーンにクロテッドクリームを添えて

SPD   :    旬の食材をサンドウィッチにして

WIZ   :    紅茶はミルク? それともジャム?

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●抗争の終わり、そしてゆかいなお茶会を
 石造りの街を、傾き始めた陽の光が穏やかに照らし、どこからともなく花びらを乗せた風が吹き抜ける。
「う……うおおおぉお!! 兄御達にお嬢達ィィ!! 無事で良かったぜ~!!」
「っても、心配なんて無用だったみてぇだな。何だぁあの不可思議なワザや武器の数々は!」
「ああ、とても美しい戦いだった……僕は感動したよ」
「ウソよ、この人後半ほとんど気絶しちゃってたもの……そんな所も可愛いのだけど」
 口々に興奮した声を発する異形頭達。
「全く、見事だったな!」
 ひときわ大きな声が響くと異形頭達が道を開け、猟兵達の前にドン・サルヴィが進み出る。
「猟兵諸君、まずは礼を言わせてくれ。この国を救ってくれたこと、本当に感謝している。有難う!」
「オレ達を助けてくれてありがとう!」
「貴方達が来なかったら、この国はどうなっていたことか……」
 ドン・サルヴィが深々と頭を下げると、周りの構成員達も続いた。

 オウガ達に食べられたり壊されたりした城壁や街は、住民達がせっせと修復作業を始めている。
「あっちは心配しなくていい、俺達は戦うよりもああやってものを作っている方が、多分ずっと得意だからな。それより時間も丁度いいことだし、暇があるならお茶会に参加していってくれ」
 猟兵達は、大きな丸テーブルが幾つも並べられた城前広場に通される。パンやスコーンの焼ける香ばしい匂い、果物や花の甘い香りが鼻をくすぐった。
「皆さん、お腹空いたでしょう? この国自慢のライ麦のスコーンや、サーモンやチーズを挟んだライ麦パンのサンドイッチ、是非食べていって!」
「国の郊外の森ではベリーがたくさん採れるんだ。ボスが好きなビルベリーは勿論、リンゴン、ラズベリー、クラウド、どのジャムもよく合うぜ」
「ヒーロと僕が作っている薔薇のジャムも絶品だよ!」
「紅茶もあるが、この国じゃコーヒーもお茶会の定番だ!」
「他にも色々用意できると思うわ。皆さんのお好きなものやお好きな食べ方、教えてね!」
 途切れることのない異形頭達のオススメ攻撃に、この国に迷い込んだアリスはこのように歓待を受けるのだろうと猟兵達はうかがい知る。
 ちなみに、決して異形頭達の頭で胡椒を挽いたりコーヒーを挽いたりするようなことはしていないので安心して欲しいとのことだ。
 平和を取り戻した国で、猟兵達は束の間賑やかなひとときを過ごす。

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 第3章のプレイングは、7/26(金)午前8:30以降から受付させていただきます。
 少し間が空いてしまいますが、宜しくお願いいたします。
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ボアネル・ゼブダイ
アドリブ連携歓迎

悪は滅んだか…
歓待してくれるというのであれば、ありがたく受け取ろうか
骨休みにもなるな

温かい紅茶と…ベリーのジャムをもらおうか
もうじき暖かな日差しをたっぷり浴びたベリーが収穫される時期だ
紅茶を楽しみながらジャムを舐める…ロシアンティーというやつだな
濃い紅茶に甘酸っぱいジャムがピッタリだ
ジャムはスコーンに塗ってもいいだろう
そうだな、クロテッドクリームもたっぷり塗ろう
ジャムの鮮烈な甘酸っぱさとまろやかなクリーム
それらが香ばしく重厚なスコーンの上で奏でるハーモニーは最高だ

UCも発動
光の精霊たちによる美しい歌声も楽しみながら戦いの疲れを癒そうか

戦いを離れ、こうしている時が一番落ち着くな…


コルチェ・ウーパニャン
わっわっ、わぁー!!すごーい、キラキラのごちそうばっかり!!
お、おぎょうぎ…(髪がピカピカ読み込み中)…気にしなくてよさそう!!
えへへ、コルチェおなか、ぺこぺこでーす!
でもコルチェ、どういう味が好きなのか、まだ自分でもよく知らないの。
食べたことない、ごちそうばっかり!ちょっぴりずつ、かじってもいい?
気になってるのは、ヒーロさんたちの薔薇のジャムと、クロテッドクリーム!
コルチェ、ふだんはコーヒーフレッシュとソフトクリームが好きなんだけど、クリームって、味が似てるかな??
ジャムはたっぷり紅茶に入れて、いただきまーす!!
こんなごちそう食べてたら、ふだんのジャンクな食生活に戻れなくなっちゃうかも…!?


東風・春奈
間に合うようでしたら、参加させていただきますー

ピプリさんにカハヴィさん、マリアさんにヒーロさん
戦いの最中、少しでも関わる機会のあった方と一緒したいですー
お時間のある方はいないでしょうかー?

今日はご馳走になりましょうー
どれもとっても可愛くて、なんだか目移りしちゃいますねー
せっかくですから、オススメを教えてくださいー

もし戦いのことが話題になりましたらー
『ふふー、少しでもお役に立てていたら嬉しいですー』
『皆さんの戦い方、とってもかっこよかったですよー』
などと話しましょうかー

私は砲兵。戦場全域を見ていますから、会話相手さんの戦いぶりもきっと知っていると思いますし、具体的な素敵さを褒めたいですー



「兄御達! さあさあどうぞ席に!」
 ファミリーの面々が猟兵達を広場の中心へと促して、こぞって椅子を引いたりなんかしてくれる。
 華やかなテーブルクロスが掛けられたラウンドテーブル。その上の三段スタンドには彩りよく並べられたスイーツに、スコーンにサンドイッチ。ティーカップとソーサーはずっしりとしてやたらと大きい。
「わっわっ、わぁー!! すごーい、キラキラのごちそうばっかり!!」
 案内された卓上の豪華さにコルチェは髪をピカピカ、同じくらい目もきらきら輝かせた。ファミリー達がスーツ姿だったりしているのも相俟って、なんだかフォーマルな場のように思えて緊張した面持ちで周囲を見渡してみると、下っ端構成員達は既に思い思いにお茶を注いで飲み始めていたり、何ならサンドイッチ片手に歩き回っていたりする。
「おぎょうぎ……気にしなくてよさそう!!」
「うふふー、荒くれ者達という話通り、自由な方々のようですねー」
 ほっと胸を撫で下ろした様子で元気に席につくコルチェに続いて、春奈とボアネルも卓を囲む。
「お飲み物は何が良いですかい、兄御達。勿論お代わりはいくらでもありますぜ!」
「では、温かい紅茶を……それと、ベリーのジャムをもらおうか」
「コルチェも紅茶と、ヒーロさん達の薔薇のジャム!」
「そうですねー、私は……」
 何となく期待の眼差しのようなものを感じた春奈が見た先には、ソワソワした様子で猟兵達の注文を見守るコーヒーミル頭の彼の姿。
「ふふー。では、コーヒーをくださいなー」
「よし来たお嬢! ミルクでも砂糖でもハチミツでも、好きに入れてくれていいからな」
 カハヴィが嬉しそうに春奈の前のカップにコーヒーを注ぐ。香ばしい湯気を立てるカップを春奈が両手で持ちあげると、顔の半分くらい隠れてしまいそうなたっぷりサイズだ。
 テーブルには様々なジャムを乗せたジャムボウルがいくつも並べられ、ボアネルとコルチェのカップには、ヒーロとマリアが花のような香りの紅茶を注いでくれた。
「もうじき、暖かな日差しをたっぷり浴びたベリーが収穫される時期だな」
 ボアネルはスプーンでベリージャムを掬い取って口に入れてから、紅茶を飲む。どこか貴族的な上品さを感じられる彼の所作に、ファミリーの面々が逆にちょっと緊張した面持ちで見惚れながら。
「兄御の地元でもそうなのか? この国は夏が短くて、でもその間に森のベリーの木々はこれでもかってほど実をつけるんだ」
 機会があったら兄御たちにもベリー摘みを体験しに来て欲しいなぁ、なんて彼等は話している。
 UDCアースで言うところのロシア式で紅茶とジャムを頂くボアネルに対し、コルチェはカップにたっぷりと薔薇のジャムを入れてみた。一口含めばやさしい甘さと、花畑にいるような香りの波に包まれて、コルチェの髪と頬もふんわりと紅色に染まる。

 軽く喉を潤した彼等は、改めてテーブルの上を見渡して。
「どれもとっても可愛くて、なんだか目移りしちゃいますねー」
「コルチェおなか、ぺこぺこ! だけどどういう味が好きなのか、まだ自分でもよく知らないの」
「せっかくですから、オススメを教えていただきましょうかー」
 春奈に問われたピプリは、スタンドの一番下に鎮座しているライ麦のサンドイッチを差す。
「サーモンや鯖のパテには黒胡椒をしっかり効かせるのが最高だ。こっちはブラウンチーズ、山羊のチーズだな。これはキャラメルっぽい甘みがあるチーズなんで、ジャムをつけてもよく合う」
「食べたことない、ごちそうばっかり! ちょっぴりずつ、かじってもいい?」
「ああ、お嬢たちの腹が許す限り、全部試していって欲しいぜ」
 彼女たちが少しずつ色々食べられるようにと、一口サイズに小さくカットしたオープンサンドの大皿が卓上に追加された。
「ふふー、これは贅沢ですねー」
「こんなごちそう食べてたら、ふだんのジャンクな食生活に戻れなくなっちゃうかも……!?」
 サンドイッチに舌鼓を打つ彼女たちを微笑ましげに眺めつつ、ボアネルはと言えばスコーンにジャムやクロテッドクリームを塗って味わっている。ライ麦の強めの香ばしさにもジャムの甘酸っぱさ、濃厚なクリームの風味は負けておらず、絶妙にマッチして味と香りのハーモニーを奏でる。
「あっ、コルチェもそのクロテッドクリームって、気になる! コルチェ、ふだんはコーヒーフレッシュとソフトクリームが好きなんだけど、クリームって、味が似てるかな??」
「そうだな……いわゆるコーヒーフレッシュというものは植物性の脂肪分で作られていて、ソフトクリームとクロテッドクリームは牛乳が主原料だ。クロテッドクリームは牛乳を煮詰めて固まった脂肪分で出来ているので、バターに近く濃厚で重い」
「なる、ほど……!? ちょっとずっしり……ってしてるクリームなんだね!」
 ボアネルの解説に所々クエスチョンマークを浮かべつつも、納得してスコーンにも手を付けるコルチェ。
「そうやってボアネルの兄御は食い物の知識も使って、オウガ達と戦っていたよな。お嬢たちも見たこと無いフシギな銃やペタッと貼る何かとか、でっかい砲台を使ってたしよ」
「カッコよかったよなー。俺達ももっと個性的な戦い方を編み出してみたいもんだぜ!」
「ふふー、少しでもお役に立てていたら嬉しいですー。でも皆さんもとってもかっこよかったですよー。ピプリさんとカハヴィさんの、息のあったコンビネーションですとかー」
「お嬢、あんな戦いの最中に見ててくれたのかー俺達の活躍!」
 春奈が微笑むと、ミリーズ兄弟はワハハと調子よく笑いながら照れている。
「此処の人々も、やはり十分個性的だと思うが……」
 言いつつボアネルは歓待の礼も兼ねて、今一度彼等に猟兵の技を披露する。彼が祈りを捧げればその手の内から、光り輝く精霊達が現れて辺りをふわふわと舞いながら、優しい癒しの歌を奏ではじめた。
「わぁーっ、きらきら!」
「綺麗ですねー!」
「おおっそうだよな、こんなめでたい席には音楽が必要だった! 楽器隊を呼んでこい!」
 歌声を聞いて一層わいわいと騒ぎ出すファミリーの面々。皆の疲れも癒やすつもりが彼等にかかれば祭りのような騒ぎになってしまったが、それもまた平穏の証だろうとボアネルは享受する。
 お茶会の会場に賑やかな声は耐えること無く、猟兵達の心も空腹も穏やかに満たされてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナターリャ・ラドゥロヴァ
ルー(f19531)と

あー、疲れた
ビルベリーファミリーの皆もお疲れさん
お茶会?へえ、ちょうど良い
ルー、お邪魔させてもらおうか
今日は結構動き回ったし、多少の糖分は許され……なんだこのジャムは!
美味しいな

レテってさ、結局どういうものが好きなの?記憶の味とか想像もつかないし
とりあえずこの美味しそうなサンドイッチにマスタードをたっぷり…あ、ダメ?

ルー、褒めても何も出ないよ?
あれ、私医者だっけ?立体裁断と縫製が得意な人体仕立て屋さんですよ
とりあえず、ルーは良い子だよ。見ての通りね

ルーが楽しそうで嬉しいね
直に忘れちゃうんだろうけどそれはそれで
あ、でもやっぱり嫌かも。癪だからレテにデコピンしておこう


ウルウ・エイシィ
せんせ(ナターリャ(f19517))と一緒
ファミリーの皆さん、お疲れ様

紅茶にもジャムやハチミツ入れていい?
スコーンに塗るジャムも迷う迷う
勧められるがまま、いろんなのを
一口一口、たっぷりとっ

『オレ様の分はねーのかーっ?』
楽しいお茶会の記憶が出来た端から食べられちゃ困る
顔を出すレテの口にもスコーンを詰めとこ
『腹にはたまんねーが、何でも美味しくいただく…がっ!そんな悪意はいらねーよーッダ!』(せんせにはあっかんべ)

せんせはねぇ
何でも出来ちゃうすごいせんせなんだよ
お医者さんだし料理も上手だし、戦ってもとっても強いの
大好きなんだと、皆に紹介

血の繋がりはなくても「ファミリー」
僕たちとおんなじだ、とニコニコ



 オウガの軍勢がすべて掃討されたことを確認して、ナターリャは大きく伸びをする。
「あー、疲れた。ファミリーの皆もお疲れさん」
「お疲れ様です姉(あね)さん達! ……その、お怪我は大丈夫ですかい?」
「怪我……うん、せんせが治してくれたから、大丈夫。皆さんも、お疲れ様」
「なら良いんだが……オウガ達を倒してくれてありがとうなあ!」
 ウルウの健気な様子にほっとしつつも、やはりほっとけない様子の愉快な仲間達は二人を取り囲み、賑やかにお茶会会場へと案内する。鮮やかなテーブルクロスが掛かった大きな長テーブルの一角に、二人は並んで席についた。
 三段のスタンドや大皿にはスコーンや焼き菓子、サンドイッチが彩りよく並べられ、また様々なジャムの入ったジャムボウルがあちらこちらに置かれている。二人の目の前にあった大きなティーカップに、温かい紅茶が波波と注がれ花のような甘く優しい香りが漂った。
 わ、とウルウは息をついて、きょろきょろと目移りしながら。
「紅茶にもジャムやハチミツ入れていい?」
「ああ、好きなものを好きなだけ入れて楽しんでくれ!」
 同じテーブルについていたドン・サルヴィが大きな声で応えると、周囲の異形頭達がこれもあれもと二人の前に各々おすすめのジャムやらハチミツやらミルクやらを置いてくれたので、ウルウはどれから手を付けるべきかと余計に迷ってしまったりもした。
「今日は結構動き回ったし、多少の糖分は許されるさ」
 ナターリャはそんな彼の様子を微笑ましげに見ながら、手近なオレンジ色のジャムを取ってスコーンにつけて食べてみる。杏子に似た甘酸っぱさが口の中にふわりと広がった。
「……なんだこのジャムは! 美味しいな」
「それはクラウドベリーのジャムですよ。今が一番美味しい時期で、ベリーの中でも希少なものなんです」
「僕も、それ食べてみたい」
 どうぞどうぞと勧められる言葉に甘えて、ウルウもたっぷりのジャムをスコーンに乗せる。お揃いの色に染まったスコーンを大きく頬張った二人は目を合わせ微笑み合った。と、そこへ。
『オレ様の分はねーのかーっ?』
 ウルウの首の後ろから水猫レテがひょこっと顔を出して、ぺろりと舌を覗かせた。楽しいお茶会はまだ始まったばかり、端から記憶を食べられては困るのでしょうがないなあと、ウルウはレテの口に齧りかけのスコーンをむぐっと押し込む。
「レテってさ、結局どういうものが好きなの? 記憶の味とか想像もつかないし……」
 ナターリャは問いながら、皿に取り分けたサンドイッチを前に、その手にはマスタードのボトルが掴まれている。
『腹にはたまんねーが、何でも美味しくいただく……がっ! そんな悪意はいらねーよーッダ!』
「……あ、ダメ?」
 スコーンをあっと言う間に呑み込んだレテは、ナターリャの企みに気づいてべーっと舌を出す。ナターリャは悪戯ぽく笑いながら、ボリュームたっぷりなサンドイッチの皿をウルウ達の前へと差し出した。

 平和な国故かオウガブラッドのアリスが珍しいために、レテの姿には興味半分、恐る恐るが半分という様子でファミリー達は二人と一匹に注目する。
「オウガを従えるアリスの噂は本当だったんだなあ……」
「俺達はアリスと聞くとつい色々と世話を焼きたくなっちまう性分なんだが、ルー少年には姉さんが居るしきっと心配はいらねぇな」
「うん、せんせはねぇ、何でも出来ちゃうすごいせんせなんだよ」
「ルー、褒めても何も出ないよ?」
 ウルウはサンドイッチを頬張りながら、ナターリャのことを言われれば嬉しそうに話し出す。ナターリャはいつもと変わらないさばさばとした声を挟むが、その表情は自然と綻んでいた。
「お医者さんだし、料理も上手だし……戦ってもとっても強いの」
「あれ、私医者だっけ? 立体裁断と縫製が得意な人体仕立て屋さんですよ」
「人体……っ!?」
 何やら物騒な言葉が飛び出したことに驚いた異形頭達がヒョエっと仰け反ってみせたので、ナターリャは可笑しそうにふふっと笑う。
「そんなに怖がらないでよ。とりあえず、ルーは良い子だよ。見ての通りね」
「せんせも良い人だし、怖くないよ?」
 大好きなんだ、と少年が言って、ナターリャはその頭をくしゃくしゃと撫でた。その二人の様子に異形頭達は今度は泣き出さん勢いで胸を震わせている。こういうのには滅法弱いらしい。
「絆ってのは良いもんだよなあ……!」
「あの息のあった戦いぶりも頷けるってもんだ。俺達ビルベリー・ファミリーも姉さん達みてぇな、強いチームになるぜ……!」
「血の繋がりはなくても『ファミリー』……僕たちとおんなじだ」
 盛り上がっている構成員達を見てウルウは楽しそうに笑顔を浮かべ、またその横顔を見てナターリャも目を細める。
 彼とレテの間にかわされた『約束』により、この記憶もすぐに忘れちゃうんだろうけどそれはそれで。自分が覚えていれば思い出は消えないからと、彼等の表情や声を、目と耳に焼き付ける。
 ―― あ、でもやっぱり嫌かも。
 ふと思い直したナターリャは、大口でサンドイッチに齧りついているレテの背中にえい、とデコピンをお見舞いした。
『ウゲッ!? 何すんだーっ!?』
 ぷすぷすと怒るレテに、ぷいっと顔を背けて優雅に紅茶のカップを傾けるナターリャ。そんな一人と一匹の様子に、当のウルウは不思議そうに首を傾げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
【調査依頼】
アフタヌーン・ティー・パーティーか?
暢気なことだが、図太くなければ生きられんのかもな
まあ、いいさ
これでも貴族の出だ、マナーは心得ている

UCを使用し、薬毒等のチェック
食べる物はスタンドの下から
別に置かれたスコーンはペストリーの前に
取り分けるも食べるもナイフとフォークで
サンドイッチも同様に
ただし、パンとスコーンだけは手で千切って食べる
飲み物はソーサーも持ち、カップの下辺りへ

色々マナーはあるが、一番は食事を楽しむことだ
元々がつまみ食いから始まった物だしな
コーヒーがある時点で厳密な訳がない

そら、夕立 お疲れ様
(そっとカップを打ち付ける)

いや? 親愛の証だよ
個人的な、な
(穏やかに微笑む)


矢来・夕立
【調査依頼】
コーヒーください。ブラックで。
この手の作法は知らないんですけど、探偵さん…は…
え?何?前世が英国貴族だったのかこの人は?
…真似します。
食べるのはスタンドの下から、取るのはカトラリーを使って、パンとスコーンは手…

味が しない

いや、緊張してないです。緊張してないですから。別にこんなことで、…
…つまみ食いって言われると少し気楽です。
そっちのジャム、取ってください。
ちょっと味が分かるようになってきました。
? ホントはコーヒーがないんですか?
じゃ、コレがきっと最初で最後のアフタヌーンティーですね。

(打ち合わせる)
?? コレもテーブルマナーですか?
…親愛?…。はい。
お疲れ様でした、鎧坂さん。



「さあさあ兄御達も、どうぞ好きなだけ飲んで食べてって下さいね!」
 主な戦場となった街道や城壁には大きな戦いの傷跡も残る中、灯理と夕立の二人もファミリーの面々に強く勧められ、いつの間にやらお茶会の準備が整っている城前の広場に連れてこられていた。
 いくつも並んだテーブルにカラフルな柄のクロスが敷かれ、置かれた三段のスタンドや大皿には焼き菓子類やサンドイッチ、スコーンなどが彩りよく並べられている。先程オウガと対峙中は悲鳴やらを上げていた下っ端の構成員達もけろりとしたもので、賑やかに談笑しながら思い思いに祝杯を上げ始めている。
「暢気なことだが、図太くなければ生きられんのかもな」
 灯理の瞳の紫は、戦いが終わった今も尚鋭く光る。前髪の影の下でレーダーのように『千里眼』を走らせて、並べられた料理や、飲み物のポットやカップにも異常がないかつぶさに検査する。此処の住人達を疑っているというわけではなく、例えばオブリビオンが残した罠等の可能性にも警戒を怠らない、彼女の性分であるのだろう。特に今は同席している依頼人の安全にも関わることだ。
 幸い怪しいものは見つからなかったが、ドン・サルヴィの前にどんと置かれたビルベリーのパイはかなりの激甘仕様であることが判明したので、勧められた際は注意するべきかも知れないと思った。
「兄御達、お飲み物は何にします? お代わりはいくらでもありますぜ!」
「紅茶をいただきましょう」
「コーヒーください。ブラックで」
 案内されたラウンドテーブルにつく二人。飲み物を注いでくれた愉快な仲間は特に何を説明するでもなく、欲しい物があれば何なりと、いつでも呼んでくださいと陽気に言って立ち去ってしまったので、夕立は空の皿の前で少々まごついた。
「……この手の作法は知らないんですけど、探偵さん……は……」
 夕立が灯理の方を見遣ってみると。彼女は迷いのない手付きでナイフとフォークを操り、スタンドの一番下から器用にサンドイッチを取って自分の皿に置き、丁寧に一口サイズに切り分けてから口に運んでいる。
「…………」
 スタンド二段目のカレリアパイに伸ばそうとしていた手をそっと引っ込めて、夕立も彼女に倣いフォークとナイフを取る。此処のサンドイッチはライ麦パンで、具も魚のペーストやらチーズがやたらずっしりと挟まれて掴んでみると中々に重く、慣れない両手の先がちょっと震えた。
 夕立の皿が空くタイミングをそれとなく見計らいながら、灯理は次にスタンドと別に置かれた皿からスコーンを取る。手で小さくちぎって、ジャムやクロテッドクリームを乗せる。
 これは手で取っていいんだ……と夕立は難解な作法を見様見真似で、ライ麦粉のかたまりを口に押し込んだ。
 ―― 味が しない ――。

「そう硬くならずとも良いだろう」
 普段以上に虚ろな表情になっている彼を見かねたか、仕事用ではない彼女の言葉で灯理は夕立に声をかける。
 そんなことを言いつつソーサーを添えて優雅にティーカップを傾ける彼女に、夕立は内心で、え? 何? 前世が英国貴族だったのかこの人は? と疑問を投げかけた。実のところも、彼女自身が貴族の出であるのだが。
「いや、別に、緊張してないです。緊張してないですから。別にこんなことで、」
「色々マナーはあるが、一番は食事を楽しむことだ。元々がつまみ食いから始まった物だしな」
「……。つまみ食いって言われると、少し気楽です」
 ふと周りを見てみれば、ファミリーの面々もお世辞にも行儀が良いとはいえない様子で、サンドイッチ片手に自由に席を移動したりなんかしている。
「そっちのジャム、取ってください」
 漸く肩の力の抜けた様子で、改めてスコーンにジャムを塗って食べる。やや酸味のあるライ麦の香りとベリージャムの甘酸っぱさが口の中に広がった。少し温くなったブラックコーヒーの濃い苦味も、今ならちゃんと感じられる。
「そう、コーヒーがある時点で厳密な訳がない」
「……? ホントはコーヒーがないんですか?」
 この国はUDCアースで言うところの英国に似た雰囲気もあるが、起こりも歴史も全く異なるものだ。何より異形の頭達が彼等を取り囲んでいる異様な光景――猟兵の彼等にとってはこれは然程非日常ではないかもしれないが。
「じゃ、コレがきっと最初で最後のアフタヌーンティーですね」
 呟いた彼へ、灯理はおもむろに、少し身を乗り出してティーカップを持ち上げ掲げた。
「そら、夕立。お疲れ様」
 不思議そうな顔をしながら夕立も自分のカップを持ち上げると、灯理は掲げた手を彼へ寄せてカップを打ち付ける。かちん、と乾いた音が鳴った。
「?? コレもテーブルマナーですか?」
「いや? 親愛の証だよ。個人的な、な」
「……親愛? ……。はい。お疲れ様でした、鎧坂さん」
 この国に来て初めて見せるような、穏やかな微笑みを浮かべる灯理に、夕立はぺこりと軽く会釈した。カップの中で揺れる黒い液体が空を映している。
 愉快な仲間達の賑やかな声が包む中、こうして此度のアリスラビリンス調査は幕を閉じる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

絢辻・幽子
コノちゃん(f03130)に誘われて

あらやだ、お嬢さんなんて
まぁ、まんざらでもないんですけどね
ふふっ、ありがと、コノちゃん。
私、コノちゃんよりおねえさんになったかもねぇ?
なぁんて。

薔薇ジャムに目をきらきら
ひんやりバニラアイスへととろり、そしてぱくり
んん、おいし。薔薇が食べられるなんて不思議ねぇ
不思議な頭の子達が作ったの?すごいわぁ
生クリームとベリーいっぱいパンケーキをひとくち
サンドイッチはどう?おいしい?

あらあら、コノちゃん覚えてたのねぇ
小瓶を陽の光にあててゆらゆらさせてみたり
どれに使おうかしら、迷っちゃうわあ

プレゼントは言葉と小瓶で充分
なぁんて、おねだりしていいなら考えちゃうわよ。


コノハ・ライゼ
幽ちゃん(f04449)誘って

お嬢サンどうぞコチラへ
ナンて用意は自分じゃ無いケド
この賑やかさは祝いの席にもってこいだもの
そんな訳で、誕生日オメデト幽ちゃん!

アイス食べるならトッピングに薔薇ジャムをどう?
一緒に戦った子らの自慢の品、きっと美味しいヨ
オレは紅茶に溶かしてみようかなあ
ふふ、この香りなら肉料理にも合いそ
ナンて、何だか塩気の気分なのでチーズサーモンのサンドに手を伸ばし
幽ちゃんも食べる?

そうそう、と持ち込んだ蜂蜜漬けレモンの小瓶を置いて
いつかのお疲れサマというには今更ダケド
アイスやスコーンにもよく合うかと思いマシテ
美味しいモノで寛ぎながら
プレゼントのおねだりでも考えるとイイよ、誕生日だもの



「コノちゃん、お疲れ様」
 コノハの召喚要請に応じて、ルイスリンナの城前広場に絢辻・幽子(幽々・f04449)が姿を現した。日差しに眩しげに目を細めながらのんびりと、戦いを終えたコノハ達を労う。
「いらっしゃいませお嬢サン、どうぞコチラへ」
「あらやだ、お嬢さんなんて」
 コノハは敬々しい仕草で彼女をテーブルへと案内してから、用意は自分じゃないケドね、と笑ってみせる。幽子も口元に手を当ててくすくすと笑いながら満更でもないという様子で、勧められた席につく。
 カラフルなクロスが掛けられたラウンドテーブルには、大きなティーカップにポット、三段のスタンドや大皿には焼き菓子やサンドイッチ、スコーンなどが彩りよく並べられている。
「おや、兄御、猟兵のお友達ですかい?」
 飲み物のオーダーを取りに来たらしい花瓶頭のマリアがコノハに尋ねてきた。
「そうなの、この賑やかさは祝いの席にもってこいだと思って。……そんな訳で、誕生日オメデト幽ちゃん!」
 先日めでたく24歳の誕生日を迎えた幽子に、この異国の饗しでお祝いをというコノハのアイデアは当たりであったと言って良いだろう。
「まあ、お誕生日だったの!? おめでとう!」「何っ、そりゃめでたいな!」「おめでとうございます姉(あね)さん!」
 トレーにジャムボウルをいっぱいにして運んできたジャム瓶頭のヒーロも、話を聞きつけてマリアの後ろから顔を出す。
 他にも「猟兵の姉御が誕生日らしいぞ」と瞬く間に伝聞した異形頭の愉快な仲間達がぞろぞろ集まってきて、口々に祝辞を投げかけていったり、祝砲と言って空砲をぱぁん! と空に向かって撃って拍手が起こったりと、テーブル周辺は大騒ぎとなったので、二人は目をぱちくりさせながら。
「ふふっ、本当に賑やか。ありがと、コノちゃん。私、コノちゃんよりおねえさんになったかもねぇ?」
「この間追いついたばっかりだったのにー」
 歳近い妖狐の二人は、幼気な少年少女のように無邪気に笑い合った。

 酪農も盛んらしいこの国はアイスクリームも定番のようだ。冷たいスイーツが好きな幽子は話を聞くと迷わずオーダーする。
 それならトッピングにこれはどう? と、コノハは先程ヒーロが持ってきたジャムの中から薔薇のジャムを選んで勧めた。
「一緒に戦った子らの自慢の品、きっと美味しいヨ」
「あの不思議な頭の子達が作ったの? すごいわぁ」
 鮮やかな赤色に目を輝かせつつ、濃厚なバニラアイスへとろりと乗せて、スプーンで一緒に掬ってぱくり。ひんやりとした冷たさと甘い薔薇の香りが口の中いっぱいに広がった。
「んん、おいし。薔薇が食べられるなんて不思議ねぇ」
 コノハは薔薇ジャムを温かい紅茶に入れて溶かしてみる。ふんわりと花木の香る紅茶にさらに薔薇の香りが足されて、まるで森の中の秘境の花畑に居るような心地だ。
「ふふ、この香りなら肉料理にも合いそ」
「やっぱりコノちゃんは料理人ねぇ。お土産にちょっと頂いて帰る?」
 頼んでみようかしら、と言いつつ甘いジャムの次は塩気の気分、と次にコノハが手を伸ばしたのはチーズサーモンのサンドイッチ。ライ麦パンの仄かな酸味とサーモンのしっかりした味付け、クリーミーなチーズがよく合う。
 幽子はと言えば、誕生日だからサービスで! とか言って構成員達が持ってきてくれた、クリームとベリーが山と盛られたパンケーキを頬張っている。彼女もまた甘いもののあとの塩気が待ち遠しいようで、コノハの持つサンドイッチが気になる様子だ。
「そうそう、コレ、いつかのお疲れサマというには今更ダケド」
 ふとコノハが気付いて何やら荷物を漁ると、小瓶を取り出して幽子の前に置いた。
「あらあら、コノちゃん覚えてたのねぇ」
 幽子が陽にかざすときらりと金色に輝く瓶の中身は、コノハお手製の蜂蜜漬けレモンだ。このテーブルの上にあるアイスにもスコーンにもパンケーキにも、勿論紅茶にもきっと抜群に合うだろう。
「どれに使おうかしら、迷っちゃうわあ」
「ふふふ、ゆっくり迷って味わってくれていいのヨ? 美味しいもので寛ぎながら、プレゼントのおねだりでも考えるとイイよ、誕生日だもの」
「まあ、お祝いの言葉と小瓶で十分なのに、まだプレゼントをくれるの? 太っ腹ねぇ」
 幽子が嬉しそうに、何がいいかしらと考え始めるその様子を見て。幽ちゃんは大事なお得意様ですから、とコノハも満足気に目を細めた。

 賑やかな談笑の声に混じって、どこかから陽気な演奏と歌声とが聞こえてくる。
 猟兵達の力によって大きな試練を乗り越えた、不思議で愉快な仲間達の国は祝福の日差しをいっぱいに受けて。またこの先も、国へ訪れる者たちを喧しく歓迎してくれるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月04日


挿絵イラスト