●愉絶の彩度
「ねぇ、知っています? 最近――あら、なんだったかしら。ねぇ、何だった? よくあらわれて、同胞たちを倒してしまうもの達」
「猟兵です、伯爵夫人」
そう、それと――豪奢な椅子に座り、ワイングラスをくるりと回して遊ぶ女はどうでもよさげに紡いだ。
その女は――アミラという名の吸血鬼の伯爵夫人。
「そういうのが、最近いるみたいね」
わたくしの、退屈しのぎくらいにはなってくださるかしらと伯爵夫人は言ってグラスの中身を煽る。
それは錆びた香りのものを芳醇なるワインで割ったもの。
どちらも美味なのだから合わさればもっと美味――そう思ったのだが、あまりおいしくないわと眉を顰め、まだ中身の残るグラスを放り投げた。
がしゃんと細かく砕ける音に瞳細め、伯爵夫人は遊びをしましょうと笑った。
艶やかに、陰惨たるものをもって。
「猟兵なるもの達を見てみたいわ。どうやって誘えばいいかしら」
招待状でもご用意する? でもそれってどこへ送ればいいのかしらと首を傾げて。
伯爵夫人の言葉に、控えていた娘が言葉発する。
「よく、邪魔をしてくると聞きます。ですからそのうち現れるのでは?」
「そのうちでは面白くないのだけれど……」
「それでは、今此方に逗留されている方にもお声をかけられては?」
「ああ、良いわね、そうしましょう」
呼んできて頂戴と伯爵夫人は笑う。娘は命じられたままに、今ここに客人として迎えられている同胞を呼びに行く。
その同胞――吸血鬼の双子は伯爵夫人の話を聞いて。その退屈しのぎに力を貸すと笑いあった。
それはなんて楽しそうな、催し物。
「楽しくなりそうだなぁ、アイボリー」
「そうだね、エボニー」
黒い翼が弟エボニー、白い翼が兄アイボリー。
双子は笑ってそれじゃあこんなのはどうでしょうと伯爵夫人に提案する。
迷宮を作って、そこに人を閉じ込めて――追いかけっこ。そういう事をしていれば、猟兵とやらはくるはずと。
「まぁ、それは素敵。逃げ惑う人間も見られるかしら。あなたたちの迷宮を抜けてきたものは、そうね」
美味しくいただけるかもしれないわとぱちりと手を叩き合わせて伯爵夫人は笑うのだ。
双子の作った迷宮に、そのあたりから適当につれてきた人間を投げ入れて。
その迷宮には罠もいっぱい。見ているだけでは楽しくない双子は、その迷宮の中で遊ぶのだ。
見つかっても気紛れで逃がされるかもしれないし、その場で八つ裂きかもしれない。
そこから出てきた者達の相手は、伯爵夫人に仕える黒い薔薇の娘たちがするだろう。
伯爵夫人はその姿をただ楽しく、眺めて暇つぶし。
楽しい、と思う時が一番。それは早すぎても遅くてもいけない。けれど、思いついたならすぐ。
今回、猟兵がやってこなくても別に良い。また何かすればそのうち現れるだろうから。
伯爵夫人の心の彩度は、今は鮮やかだ。
●予知
また、ダークセイヴァーで予知をしたのだと、赤い毛並みの妖狐である終夜・凛是(無二・f10319)は紡いだ。
今回は――敵が、猟兵を狙って行動が起こすと言って。
「放っておくことも、できる。できるけど、ひとの命が失われる」
きゅっと眉寄せて、凛是は紡ぐ。それを見過ごすことはできないから今話をしているのだと。
橙の瞳は、僅かながらに戸惑いも含んでいる。本当に話して、そしてこの件を託していいのかと。
自ら、危ない場所に飛び込んできてくれと言っているのだから。
「いつも……何かあっても。それは猟兵を狙ったものじゃないから……」
けど、と凛是は言う。
「今回は、吸血鬼が準備して待ってる。あっちがどんな心持ちかはわかんないけど、危険な事には、変わりない」
それでも、いってくれるだろうかと――今度は惑いを消して凛是は猟兵達へと頼む。
「俺が送れるのは、その吸血鬼たちがいる場所の前」
それはどこぞの、吸血鬼の領主の城。その枯れ果てた寂しい庭に、今は大きな迷宮がある。
それはピアノの鍵盤で出来た迷宮。その中に近くの村や街から連れてこられた人々がいれられたばかり。彼らはこの迷宮を突破すれば褒美をもらえると誘われたり、拉致されてきたりと様々な理由で連れてこられたようだ。
きっと入口でうろうろしているだろう。そこにいろと言って、猟兵が先に進んでしまえば――その迷宮を作っているものと先に出会う。
ひとびとは吸血鬼の作ったものだと告げれば、むやみやたらと動くこともないだろうし、猟兵が現れたなら吸血鬼たちの興味が人々に向くことはないだろう。
「吸血鬼との、連戦になるだろうから……結構、痛い思いもすると思う」
それを覚悟しているなら、それでも良いと言ってくれるならその場所に送ると凛是は手の内のグリモアを光らせ始める。
は、とひとつ息を吐いて。頼む、と紡ぎ猟兵達をその場へと送るのだった。
志羽
お目通しありがとうございます、志羽です。
プレイング締め切りなどのタイミングはお手数ですがマスターページの【簡易連絡】をご確認ください。
場合によってはプレイングをお返しする場合もあります。ご理解の上、ご参加ください。
●シナリオについて
第一章:ボス戦『エボニー・アイボリー』
第二章:集団戦『黒い薔薇の娘たち』
第三章:ボス戦『『血に濡れた伯爵夫人・アミラ』』
以上の流れとなっております。
どの章についても振る舞いはご自由に。方向性としては下記の通りになるかな、と思いますが皆様のプレイングによっては変更となる事もありますので参考程度に。
心情なども、どの章においてもどうぞお好きにお詰めください。
第一章については、迷路内を巡りつつ、敵と遭遇し戦闘となります。
先に入れられた人々への配慮は特に必要ありません。猟兵が現れた今、狙う必要性がないからです。
またWIZについてはすでに迷宮が作られていますので、新たに迷宮を複雑化することとなります。(複雑化によって防御したり、攻撃したり、逃げたりということが想定されます)
第二章は迷路を抜けたのち、最後のボスの前に立ちふさがる集団戦となります。
第三章は、この事件をおこしたものとの戦闘となります。
なお、皆様のプレイング次第では負傷描写もありえます。そこそこ血塗れになる、かもしれません。そういったことが嫌な場合、参加しないことをオススメします。
(描写はおそらくマイルドですが軽率に腕とか飛ばしたり潰したり齧られたりするかもしれません。)
以上です。
プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『エボニー・アイボリー』
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POW : 黒鍵の天使
【アイボリーを求めること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【36の音の斬撃】で攻撃する。
SPD : 白鍵の悪魔
【エボニーを求めること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【52の音の衝撃】で攻撃する。
WIZ : 黒檀と象牙の調和
戦場全体に、【空間転移すら妨害】する【ピアノの鍵盤】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:つばき
👑11
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●鍵盤の迷宮
領主である吸血鬼。伯爵夫人の城の枯れた庭にてそれが生み出される。
その様子を伯爵夫人は楽しそうにその様を、城のバルコニーより見ていた。ここからなら生み出される迷宮のすべてが見て取れると楽しそうに。
そして出口は、丁度伯爵夫人の足元にあるようだ。
白い鍵盤、黒い鍵盤。その羅列が迷宮を作りあげる。その中には罠もいくつかあるようだ。
「それじゃあ、アイボニー」
「そうだね、エボニー。行こう」
行ってきますと楽しそうに笑いながら、手を繋いで双子の吸血鬼は迷宮へと降り立つ。
近隣より連れてこられた人間が迷宮へと入れられるが、彼らは吸血鬼たちにとってただの遊びの駒だ。
けれど――猟兵達がそこへ駆け付ける。猟兵達が先に奥に向かえば、この人々に吸血鬼の手が伸びることはひとまず防げるだろう。
迷宮の奥へ。さぁいつ、あの双子と出会うかしら。伯爵夫人は口端をあげて微笑んでいる。
狙い通りきた。わたくしを楽しませてくれると良いのだけれどと。
そして迷宮を歩む双子の吸血鬼。
黒い翼の弟エボニー、白い翼の兄アイボリー。仲良く手を繋いで、ふたりは猟兵達を待ち受けていた。
音でその手足を弾いて、斬り裂いてみようか。
それとも圧して、潰してしまおうか。
どうやって、遊ぼうかと笑いながら。
フィオナ・グファジェン
「迷路で追いかけっこ……なら、どっちの迷路が上か、勝負しましょうかっ」
偶には、追いかけられる側というのも良いかもしれませんよ?
一先ず、壁に沿って身を隠しながら【忍び足】で道を進んで、
相手を先に見つけられればからくり人形を使って【生命力吸収】を交え不意打ち気味に【先制攻撃】を仕掛けますっ。
そのままつかず離れずの位置を保ち、迷宮が複雑化などすれば、こちらもクレユクキバを使用っ。
さぁ、私の迷宮へご招待致しましょうっ。
こちらの迷宮の地理は私の記憶そのまま。【世界知識】は万端ですっ。
家に木に【地形を利用】して身を隠し、攻撃されたなら【敵を盾にする】ためにもう片方の方を鋼糸で絡め取りますよっ。
御形・菘
周到に準備された罠に、あえて飛び込むのが面白いのよ
探索パートは編集では早送りかのう、まあ進んでいけば仕掛けてくるであろうよ
はっはっは、イケてる雰囲気の戦場に、見栄えのする美少年二人が相手、実に素晴らしいシチュエーションではないか!
それに音の斬撃とはまたエモいな、さあ、存分に撃ってこい!
邪神オーラで全身を、左腕で急所を防御すれば十分よ
途中で妨害して、不完全なものしか動画に残せないのはよろしくない!
一撃食らえばモーションも威力も分かるし、仲間に見せることもできるのでな
妾の行動は至ってシンプル、攻撃に耐えて突っ込んで、近くにいる方を左腕でブチのめす!
安心せい、顔は狙わずボディにブチ込んでやろう!
コノハ・ライゼ
ったく、連絡先でも突きつけてやりたい気分
ぶち抜いてってのは無理そうネ
戦いとなりゃ音で見当付けれるケド、今頼れるのはいけ好かない気配くらい
頼んだヨ、と【黒管】で仔狐呼び出し見えぬ場所を先行させ
行き止まりや罠のありそうな箇所を避けてくネ
敵の位置を把握したら「柘榴」を肌に滑らせ【紅牙】発動
接敵次第鋭い牙で斬りつける
音の斬撃は見切ろうにも難しい、躱せぬ分は『オーラ防御』で防ぎ
動けるだけのパーツが残ってればヨシ、と受けた痛みは『激痛耐性』足しにし凌ぐ
反撃をただ受けると見せかけ『カウンター』で『傷口をえぐる』ヨ
牙捩じ込み血肉を喰らって『生命力吸収』
遊びたいならさっさと会いに来てヨ
回りくどいコはモテないヨ?
篝・倫太郎
んっと、悪趣味だよなァ……
今に始まったことじゃねぇけど
ま、気にしてもしゃーねぇや
戦闘知識で罠が仕掛けられてないか、警戒しながら進む
疑わしい場所があった場合は華焔刀で突いてみて確認
双子と出会う前に罠で負傷したら洒落にもなんねぇもんよ
双子と出会っちまったら戦闘
どう考えたって
通しちゃくれねぇよなァ……
先に行くのに邪魔だし倒させて貰うぜ?
拘束術使用
双子指定で先制攻撃
拘束の鎖はこーゆー使い方も出来るってな
俺自身も華焔刀で2回攻撃からのなぎ払い
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避し切れねぇ場合は咄嗟の一撃で相殺狙い
無理でもまぁ、倒せる代償だつーんなら
左手で攻撃を受ける
右手と華焔刀さえ無事なら、先に進めるしな
白と黒の鍵盤の迷路に足を踏み入れ、フィオナ・グファジェン(Brigadoon・f17254)は周囲を見回す。
「迷路で追いかけっこ……なら、どっちの迷路が上か、勝負しましょうかっ」
この迷路があっては、きっと誰かの笑顔が閉じられる。それはフィオナの望むところではないのだ。
壁に沿って身を隠しながら忍び足で道を進んでいく。
白と黒の迷宮は幾つもの道に分かれている。
けれど――辿る道筋は規則的ではない。
そしてその中で、フィオナの耳に楽し気な笑い声が聞こえてきた。
それは二つ。
「アイボニー、まだ誰も見つからない」
「その辺に隠れてるんじゃないかな、エボニー」
その声にフィオナはそっと身を顰めて不意打ちをかける。
「さぁ、私の迷宮へご招待致しましょうっ」
微睡みの誰そ彼。
揺蕩う彼は誰。
君は誰の先に言葉は溶ける。
幽世へ暮れる牙の名を、忘却だけが知っている。
仮初を謳え、その名は――
フィオナは紡ぐ。すると自身の思い出そのままの、霧に包まれた町が組みあがり迷路となる。
「偶には、追いかけられる側というのも良いかもしれませんよ?」
己の生み出した迷宮に誘い込む。
あたりの様子が変わったことに双子の吸血鬼たちはへぇ、と笑い合った。
こうして、人の領域に招かれるのもそれはそれでおもしろい。
「でも好きにされるのは好きじゃない」
「そうだね」
この迷宮フィオナの記憶そのまま。
家に木に、その地形利用して身を隠して進む。
けれど双子も、またこの場所をそのままにしておくつもりはないのだ。
塗り替えられたのなら、塗り返せばいいとばかりに、目に見える範囲をまた白と黒の鍵盤でくみ上げていく。
フィオナの隠れる場所は削られて、そして周囲は再び白と黒の迷路へと変わる。
その中を歩むのは御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)だった。
周到に準備された罠に、あえて飛び込むのが面白いのよ、と笑い零しながら蛇の身を揺らし菘は進む。
「探索パートは編集では早送りかのう、まあ進んでいけば仕掛けてくるであろうよ」
そう言って進んでいれば迷宮が、白と黒の鍵盤より霧の町へと変わり、そしてまた白と黒の鍵盤の迷宮へと戻る。
その様子を見つつ進んでいると――菘の前に、双子の吸血鬼が現れた。
「みつけた、アイボリー」
「どうしようか、エボニー」
そんな相談をする二人。
「最初の獲物だから、ここは丁寧に」
「そうだね。最初の音は大切にしよう」
そんな、相談を手を繋ぎ顔を寄せ合ってする。
その様に菘はくつりと喉奥を慣らした。
「はっはっは、イケてる雰囲気の戦場に、見栄えのする美少年二人が相手、実に素晴らしいシチュエーションではないか!」
その声に褒められてる? と二人は首を傾げ、けれどそれで逃がすほど甘くはないと笑う。
「アイボリー、アイボリー。力を貸して」
「もちろんだよエボニー」
ふたりが手を繋ぐ。するとどこからともなくポーンと一音が響きひゅっと、菘の頬を掠め切り裂く。
「音の斬撃! 音の斬撃とはまたエモいな、さあ、存分に撃ってこい!」
かすかに頬掠め、つーと一筋の血はすぐに止まった。
菘の楽しそうな様子にエボニーは首を傾げ。
そしてその腕を払う。
滑らかな音がいくつもいくつも響いて、それは斬撃となり菘へと向かう。
己の、邪神としてのオーラで全身を覆い、左腕で急所たる場所を守る。
それで十分よ、と菘は笑う。
「途中で妨害して、不完全なものしか動画に残せないのはよろしくない!」
先の一撃で威力が大したないことはわかっている。
けれどあれば重なれば――それ相応の傷にはなる。
音の連なりの儘に斬撃が飛びくる。
シンプルに、攻撃に耐えて――音が止まると同時に菘はその距離を詰めた。
「っ! アイボリー!」
どんと、突き飛ばしてその前にエボニーが立つ。
しゅるりと蛇神はその身のしなやかさをもって突っ込みその左腕を振るう。
映像作成最優先思考――己が傷を負うという不利な行動。それにより菘の身体能力は引き上げられている。
「安心せい、顔は狙わずボディにブチ込んでやろう!」
前に庇いに出たエボニーの腹を、菘の拳が撃つ。
その衝撃にこふっと息吐いて。
ふたりは態勢立て直すべく一度退く。
行く手を塞ぐように迷路が生み出され、ふたりの吸血鬼と菘の間は隔たれた。 そして、ふたりの進む先にまたひとり、猟兵が現れる。
「ったく、連絡先でも突きつけてやりたい気分」
コノハ・ライゼ(空々・f03130)は吐き捨てた。
この黒と白の、鍵盤の迷宮。この鍵盤の壁をぶち抜いて進む――というのはさすがに無理とみてコノハは、頼んだヨ、と仔狐を送り出していた。
仔狐は優秀で、行き止まりを見つけて戻ってきて、こっちと道筋を示す。
戦いとなれば音で見当がつく。けれど、この迷宮に入って最初に頼れたのはいけ好かない気配くらい。
行き止まりや罠を裂けて、響いた音の方へと足を向けた。
そして、ふたりの吸血鬼と行き会った。
「お早いお出ましデ」
柘榴を肌に滑らせれば、コノハの血を糧として目覚める、常に共にある紅の牙。
「アイボリーに手はださせない」
エボニーはぎゅっとアイボリーの手を握る。
ポーンと音が響いた。
音、とコノハは視線巡らせた瞬間、その足の上を斬撃が切り裂いた。
エボニーは口の端を引き上げ笑って音を奏でる。すると斬撃が次々と走る。
これを見切るのは難しいとコノハは判断して、かわせぬものはオーラの守りで防ぐ。
動けるだけのパーツが残っていれば。それでいい。
最初の一撃も、それほど深い物ではないから支障はない。
オーラの上を斬撃が滑る。一つ躱した。
横からの斬撃がきわどい距離で髪のひと房を持っていく。
頬の上を走る、その腕の上も走る。
楽し気なリズムに合わせて向かってくる斬撃を耐えきり、コノハは踏み込んだ。
「エボニー!」
丁度、目の前にいたのは黒い翼のエボニーだ。
どちらでも、攻撃が届けばそれでいい。
「遊びたいならさっさと会いに来てヨ。回りくどいコはモテないヨ?」
振るわれる赤い軌跡。
牙を振り下ろし、そしてその傷を抉り血肉を喰らう。
糧とすれば負った斬撃の傷の痛みも和らぐというもの。
けれどどん! ともうひとり、アイボリーが体当たりをかけて、距離を取らされる。
「エボニー、大丈夫?」
「これくらい平気」
この程度ではまだ倒れないと言う二人。
そこへもう一人、猟兵がやってくる。
「んっと、悪趣味だよなァ……今に始まったことじゃねぇけど。ま、気にしてもしゃーねぇや」
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は罠なんかで負傷する前に出会えてよかったと言って、構える。
「どう考えたって通しちゃくれねぇよなァ……先に行くのに邪魔だし倒させて貰うぜ?」
華焔刀の切っ先を向けて振るう。
その刃をふたりはかわし、その間に倫太郎は紡いだ。
「縛めをくれてやる」
災いを縛る見えない鎖を放てばそれは双子を絡めとる。
「拘束の鎖はこーゆー使い方も出来るってな」
するとこんなものは断ち切ればいいと、双子は言う。
「見えないけど、ここにある?」
「あるね。アイボリー、手伝って」
「傍にいるよ、エボニー」
音の階段が、この場に作られる。音が一つ響くと同時に、何もない空間に斬撃走る。
そして硬い感覚に、そこかと笑って鎖を切り払っていく。
双子の動きはしばらくとどめられていたがずっと、というわけにもいかないようだ。
縛ってくれたお返しと、その斬撃の残りは倫太郎へと向く。
回避、と思うがそれは間に合わない。
咄嗟に左手で身を守り、攻撃耐えれば――そこに双子の姿はない。
しかし、鍵盤の迷宮の壁は動いて彼らはまた移動を始めたようだった。
まだまだ、遊び足りない。迷宮に迷い込んだなら腹の中にいるも同然。
少しずつ、色々なものと遊ぶのだというようにふたりは迷宮を進み始めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
クロト・ラトキエ
売られた喧嘩は後悔三倍で返さねば♪
という事で。行って参りますね、凛是。
まずは迷宮踏破…進む程に吸血鬼との遭遇率高そうですが。
進路は月並みですが左手法。
前方の上はギリでも視界内に。壁、足元は“視”て。凹凸の差や色味、不審な場所は注意し対応。
見逃し…は無いですよねー。
鋼糸を鍵盤に張り足場と攻撃手段を確保。
予兆の有無に拘らず、見えぬ音の斬撃…
ただ“見切り”を試みるのは困難?
だが黒鍵毎の音であったなら…
音は、波。
類似、又はより大きな波長で相殺可能?
鍵、鋼糸、叩く物に自身、あらゆるを使い。
調律師の弦と参りたく。
UCは風の魔力を防御に。
傷も痛いも生きてる証。
けど嫌なものはイヤなんで。相応に、お返ししますよ
売られた喧嘩は後悔三倍で返さねば♪ と笑って。行って参りますね、凛是と、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は送り出した少年へと笑いかけた事をふと思い出す。
頼む、と一言。けれどそれは信に満ちていたと。
「まずは迷宮踏破……進む程に吸血鬼との遭遇率高そうですが」
進路は月並みだが左手法。
進む先、上の方もギリギリでも視界内に。壁、足元は『視』て、クロトは進む。
白い鍵盤の壁は、くすみ一つない。黒い鍵盤の壁も、艶やかだ。
ピアノの鍵盤――それを象る壁。何の変哲もないその様子が逆に怪しく見えてしまったりもする。
「見逃し……は無いですよねー」
鋼糸を巡らせる。鍵盤に張り足場と、そして攻撃手段の確保。
クロトの耳に軽やかな音が届く。この黒鍵盤の奏でる音だろうか。
それが時折響いては止まり。そしてまた、響く。
そして何者かの、気配。それは正面から、先程音が響いた方からやってくる。
「次の獲物だ、アイボリー」
「エボニー、綺麗な音で切り刻んで」
その姿を見止めた瞬間、クロトは風の魔力を持って防御に回す。
その瞬間に音が響いた。先程響いた音と同じ。それと共に斬撃がひとつ、ふたつと音と同じ分だけ身の上を走る。
「見えぬ音の斬撃……」
見切るのは、困難。けれど、音であるなら――それならば。
音は、波だ。
「似てる音……それより大きな波長で相殺できるかな」
やってみる価値はある。
クロトは巡らせた鋼糸を弾いた。音と、音が重なって――けれどまだ少し、敵の音のほうが強かった。
けれど、先程よりも威力落ち、ゆっくりとなった斬撃をかわす事ができた。
それはクロトのとった手が間違いではないということ。
「……アイボリー」
「なんだか、相性悪そう」
そして、その一手で何かを感じたのか、ふたりはクロトを注意深く見ていた。
先程より、強く音を奏でて――空を走り抜ける斬撃。その一つがクロトの肩を切り裂いた。
痛い、と小さく零す。
傷も痛いも生きてる証。けれど、だ。
「嫌なものはイヤなんで」
相応に、お返ししますよと巡らされた鋼糸が踊る。音の波を切り裂くように走り、アイボリーの身を絡めとった。
けれどすぐ、エボニーが対処して外してしまう。
ふたりの切り替えは早い。
クロトと長くやりあえば、いつかどこかでやりこめられてしまう――そんな気がして、迷宮を作り替えて二人はクロトの前より身を隠した。
大成功
🔵🔵🔵
アルノルト・ブルーメ
ヴァンパイア共の……いつもの退屈しのぎ
そうだとしても、見過ごすという選択肢はないね
例え、僕達を誘き寄せる罠だと言われても
迷宮を出口に向けて進む
罠は第六感と破魔で回避ないし打破
万が一、引っ掛かった場合は呪詛・毒・氷結が罠に使用されている場合は
各耐性を用いて耐える
双子と遭遇したら戦闘
血統覚醒使用
Viperで先制攻撃
手首を返しての2回攻撃で白と黒どちらも攻撃
距離を詰めたらVictoriaとLienhardで攻撃
敵の攻撃は残像とフェイント、見切りで回避
回避が難しい場合はオーラ防御で防ぐ
骨を砕かれようが皮膚を裂かれようが
退かない、そう決めた以上は君達を排除するだけだ
大丈夫、2人一緒に還してあげるから
ヴァンパイア共の……いつもの退屈しのぎ、とアルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は零す。
そうだとしても、見過ごすという選択肢はない。それが例え、猟兵達を誘き寄せる罠だと言われても、だ。
アルノルトは出口に向けて進んでいた。
突然動く鍵盤にて道を塞がれれば違う方向にいかざるを得ない。
己で道を選んでいるのか、選ばされているのか――そう考え巡る中で足音に気付いた。
「次は、あれ」
ひやりとした言葉と同時に音の斬撃がアルノルトを襲う。それをよけ切るのは難しく、オーラで守り固めたがそれでも、攻撃は入る。
切り刻むように走る攻撃の最中に、その瞳を真紅に変えて、アルノルトは手に馴染むワイヤーを放った。
けれどそれは音の斬撃で叩き落された。手首返して、そのワイヤーを己の方へと引き戻す。
届かないか、と距離を詰めて戦闘用処刑道具とた黒刃の黒剣を振るう。
「骨を砕かれようが皮膚を裂かれようが退かない、そう決めた以上は君達を排除するだけだ」
面白いことをいう、とその攻撃を受けながら二人は笑う。
このくらいでは僕達はどうにもできないのだと笑いながら。
「大丈夫、2人一緒に還してあげるから」
何を言っているの、というように笑って再び音の斬撃がアルノルトを襲う。ずたずたにしてあげるというように、連続して。
双子はそこで興味をなくして、迷宮作り替えてその場所を離れていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と共闘
これはまた、つまらない催しを思いつくものだ
退屈だと言うのならいいだろう
その願いを聞き届け、ここで幕を引いてやるさ
迷路を進む時は常にマリスの手を握っている
気づけばすぐ迷子になっちゃうからね、私
マリスのダウジングに関心しながら
進む時は自分の第六感とマリスに頼って進んでいこう
頼りつつ警戒だけは忘れずに
敵と遭遇したならSHOOTING STARを取り出して応戦
前に出ているマリスをサポート出来るように位置取りには気をつけ
死角をカバーして援護射撃を行う
敵の攻撃を阻害するように射撃し
阻害できなければ回避
Maleficsの効果で攻撃と回避を補助し
敵の集中力を乱す立ち回り
マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加
【WIZ】ダウジングで正しい進路を探ります
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
地縛鎖・星枢に光を注ぐとペンデュラムが揺れ始める
「進みましょう、リーゼ」
片手をリーゼと繋いで、ダウジングと『第六感』を働かせて進みます
敵が現れたら前に出て、リーゼが攻撃されたら『かばう』
『破魔』の力宿る六禁を振るって攻撃
距離を取るなら星の『属性攻撃』で撃ち抜きます
「灰は灰に、塵は塵に」
オブリビオンは骸の海に還します
迷路が複雑化するなら【親愛なる世界へ】使用
神の恩寵が私たちを唯一の出口へと導くでしょう
「これはまた、つまらない催しを思いつくものだ」
リーゼ・レイトフレーズ(Existenz・f00755)は咥えた飴の、その端を思わず噛み砕く。
退屈だと言うのならいいだろう。その願いを聞き届け、ここで幕を引いてやるさと、リーゼは手を差し出した。
その手をマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)はとって祈る。
「主よ、憐みたまえ」
祈りと共に星辰の片目に光を灯して。マリスはオーラを纏い、その光を地縛鎖・星枢へと注ぐ。
するとゆらりと、ペンデュラムが揺れ始めた。それを往くべき道筋を示すもの。
「進みましょう、リーゼ」
迷路を進む。マリスとリーゼの手は繋がれたままだ。
「気づけばすぐ迷子になっちゃうからね、私」
そう零しながら、マリスのダウジングにリーゼは視線を向ける。
どうしてそれが、そうなるのか――関心を抱かずにいられないのだ。
何処をどう進むのか。それは自身の第六感と、そしてマリスの導きによるところ。
頼りにしつつ、警戒は決して怠らない。
暫く進むと――マリスが待って、と止める。この先、曲がった場所にいると。
その言葉に『流星』を冠する銃身の長いベイカー銃をリーゼは構えた。
そして先に進むのは、マリス。
何時でもカバーできるようにリーゼは周囲に気を配る。
マリスはその手に星の欠片を鍛えたとされる、非常に強度が高い扇を持つ。
角を曲がれば――正面に白と黒の、双子の吸血鬼の姿。
「エボニー、傍にいて」
いいよ、と短く答えてぎゅっと二人は手を繋ぐ。
そしてアイボリーは笑って、音を奏でた。
「潰れちゃえよ!」
アイボリーはさらに衝撃波をかける。マリスはリーゼの前に立って、その攻撃をオーラで守り、耐えてみせる。
そしてリーゼは次の手をすぐ打てぬように邪魔するように銃弾を。すると、リーゼにもその意識がむく。
音が忙しく走る。それに合わせて衝撃波がマリスにも、リーゼにも向かってくる。
その衝撃波をリーゼは転がってどうにかかわすが足元を掠っていく。
己の持ちうる技能を底上げして、それでもわずかによけ切れなかった事に歯噛みしつつリーゼは銃弾を撃ち放つ。
その弾丸は牽制も兼ねてだが、狙いの末に敵の姿がある。
「灰は灰に、塵は塵に」
オブリビオンは骸の海に還しますと、マリスは扇を振るう。
属性を持った攻撃を放てば、音の衝撃波とぶつかった。
衝撃波は時折守りを超えてその身に届く。けれど相手も攻撃全て避けれるわけではないようだ。
ふたりのヴァンパイアはきりがないと身を翻す。気がむけばまたあとで遊んであげると、いうように。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
宵鍔・千鶴
刻(f06028)と
……へえ。
俺達、猟兵を御所望とはね。
残念、遊ぶのは好きだけど
……遊ばれるのは嫌い
随分と御機嫌斜めな隣からの
粗雑な言葉も当然、と一言
上がる口角はなんのことはない
自然な合図
迷宮の罠は見切りで回避を試み
追跡で気配辿り
双子の互う戦力を削るために
刻が二体を引き離すことできたなら隙を狙って匣の檻へ
耳障りな音に目が眩むけれど
黒は白、白は黒へ
色を塗り替え飲み込んでやる
共にする相手の動きが解るみたいに同時に地を蹴り白の方へ
……熱いねぇ、おにーさん。
そっちこそへばんなよ
交わす視線など野暮だ
刻の力を信じてるから
燿夜の剣戦は月光が差し込むように、鍵盤を血染めにするまで
まだ、遊べるんだろう?
飛白・刻
千鶴(f00683)と
直接の言葉で無くも
猟兵を名指ししてくるとは
危険の二文字よりも嫌悪の方が立つ
随分と調子に乗られたもんだ
潰しに行くだろ、…なぁ千鶴?
不快乗せた僅かな表情と共に告げるは
連れへの挑発か鼓舞か己すら知らず
迷宮内は一際に仕掛けに注意を払う
ここで足止めを受けている暇などない
こんな形で鍵を鳴らすは不協和音の其れか
双子の手元目掛け蜜毒を
一瞬でも引き裂ければ良い
あとは千鶴へ
勝手に意図汲むだろと
確信が先か口元だけで一瞬笑むにも見え
互い求める性質の邪魔立て
その音を歪めてしまえ
間合い詰め対色の相手に狙い定め朧月で斬り掛かる
手ェ抜くなよ、チビ
見向かず投げつける言葉
連れの行動は。…確認するまでもない
双子のヴァンパイアは迷宮を駆け抜ける。
彼ら自身も、このつくりがどうなっているのかはもうよくわかっていないようだ。
けれど、この中にいる者たちの命を全て刈り取ればいいだけだと思っている。
この迷宮にいるのが、近くに住むひとびとでも、猟兵でもそれは同じというように。
「エボニー、そこにもいる」
「ほんとうだ、アイボリー」
次はあれで遊ぼうと双子たちが駆け寄ってくる。
その様に宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は紫色の瞳に一層昏い光を落とし込んだ。
「……へえ。俺達、猟兵を御所望とはね」
「猟兵を名指ししてくるとは」
直接の言葉で無くも、と飛白・刻(if・f06028)は藍色の瞳で、その姿射抜く。
危険の二文字よりも嫌悪の方が立つと、冴え冴えとした視線を向けてだ。
「残念、遊ぶのは好きだけど……遊ばれるのは嫌い」
千鶴が零すと、随分調子に乗られたもんだ、と刻が言い放つ。
随分ご機嫌斜め、とその声色だけでわかった。千鶴が刻に視線向けると、互いのそれがかちあう。
「潰しに行くだろ、……なぁ千鶴?」
不快乗せた僅かな表情と共に刻が告げるは、千鶴への挑発か鼓舞か――己すら知らぬもの。
当然、とその言葉に一言返す千鶴。
ふ、と口角があがる――それは自然な合図だった。
一歩、進んだ瞬間に迷路の壁が突き出て来る。そんな罠を刻はそのまま、一歩深く踏み込んで抜けた。
ここで足止めを受けている暇などない。こんな形で鍵を鳴らすは不協和音の其れかと、刻は迫る。
「アイボリー!」
「エボニーの力を借りるよ」
アイボリーが音をかき鳴らす。向かってくる音の衝撃波は身を撃つ強さだ。
「三つ毒の。蜜の味を」
その衝撃波をものともせずただ前へ。刻はその手に毒絲、毒針と毒牙を同時に放った。
狙いは二人の、繋がれた手だ。それが一瞬でも、引き裂ければ良い。
そして思った通りだ。
双子は思わず手を離し、そしてその攻撃が止まる。
それだけで、千鶴は全て汲んでくれるだろうと刻は思っていた。
そしてそれは確信――口元だけで一瞬、微笑むように見えた。
「その音を歪めてしまえ」
「――おいで、ドール。最期を刻む音色を聴け」
互いを求める。それを邪魔して離れた瞬間、千鶴が捉える。
ふたりの間にぎいぎいめぐる歯車の檻、ちくたく刻む針の城ときらきら染まる赫の絲が立ちふさがる。
それらで捉える事はならずとも、ふたごの邪魔をするには十分だった。
エボニーはすぐさまアイボリーの傍に駆ける。
けれどその前に刻が立ちふさがる。間合いを詰め、無名の短刀をもって刻は斬りつけた。
「手ェ抜くなよ、チビ」
視線を向けず、投げつける言葉。かわす視線など野暮、必要なかった。
そうしなくても、わかるから。
そして、千鶴は刻の力を信じている。
「そっちこそへばんなよ」
そんな、短い言葉を千鶴は返す。千鶴の動きは、確認するまでもないと刻はエボリーを留めおいた。
「この、邪魔して!」
忌々し気な声は耳障りな音と同じだろうか。 黒は白、白は黒へ――色を塗り替え飲み込んでやると千鶴は思う。
どう動くのか、千鶴も刻も攻撃を掛ける前にすでに解っていた。
「……熱いねぇ、おにーさん」
月冴ゆる耀き。、血染め桜の打刀を千鶴は向けて。
月光差し込むように、振り払えば目の前の敵は逃げる。
その血で鍵盤を血染めにするまで逃がさないとばかりに千鶴は追いかける。
「まだ、遊べるんだろう?」
そんな声に、回り込んででもと向かい合う吸血鬼が動く。
千鶴と刻、二人に攻撃をかけるよりも――再び出会うほうが先とばかりに。
刃は届く。避けることを最善とせずに合流を最たるものとしているからだろう。
千鶴と刻が互いの姿を視界にとらえたなら、それは双子が合流したということ。
そしてそれと同時に、二人めがけて衝撃波が放たれた。
音は連続で生まれて向けられる。
身を撃つ衝撃波はその足を一瞬とめ、視界も埋め尽くす荒さを持ったものだった。
それが収まり、瞳あけると――そこに双子の姿はない。
逃げた、とぽつりと千鶴は零す。
さてどこにいったのか――二人は双子の吸血鬼を追ってまた動き出す。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蘭・七結
ユェーさん/f06712
常夜を照らす月光、ナユの標
あなたには、夜の闇がよおく似合うわね
この鍵盤は、ピアノ。不思議な迷路だこと
ステキなところへ、誘われているようね
ねえ、ユェーさん。心が踊ってしまうわ
白と黒、血を分かつ双生のもの
ふたりで、ひとつ。ひとつで、ふたつ
その手を離したのなら、どうなるのかしら
ありがとう、ユェーさん
ナユが、あなたを導きましょう
足元には、お気をつけて
ふたつの攻撃を見切って、彼へと合図
ずうと、ずうと一緒がいいのかしら
それならば、ナユがひとつに結んであげるわ
〝満つる暗澹〟
あまく、にがく、とろかして
刺激的なお味は、いかがかしら
絆、縁。結びつきは、ひとつではないわ
ねえ、ナユのナイトさま
朧・ユェー
七結ちゃん(f00421)と一緒に
複雑回路、迷い道。
月夜に咲く紅の華
燈しれば微笑む甘い毒
君を迷わせたりはしないよ
おやおや、双子ですか。
とても仲良しなのですねぇ
でもいつまで手を取っていられるでしょうか?
七結ちゃん、失礼するねぇ
しっかり捕まってね
ひょいと軽々と彼女を片手で抱きかかえ
【ベラーターノ瞳】で罠や敵の攻撃を回避
彼女を傷をつけさせず、攻撃をしやすいように
片手で万年筆を取り出し【漆黒ノ鏈】で双子の手、絆を引き裂く
【道化】で死神の一振り
いつまでもご一緒が良いのでしょう?
敵 を【暴食グール】で喰いつくす
彼女を離す事無く
誰にも絆を解く事無く
絆とは血だけじゃないんですよ
ねぇ、僕のお姫様。
白く細い指先。
蘭・七結(恋一華・f00421)は白と黒の鍵盤で作られた迷宮。その壁を指でなぞりながら七結は一歩前を進む朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)へと視線を向ける。
キラキラと煌めく白銀の髪。
「常夜を照らす月光、ナユの標。あなたには、夜の闇がよおく似合うわね」
ふふ、と七結は小さく綻んで、とんとんと軽やかにユェーの前にでてくるりと回ってみせる。
「この鍵盤は、ピアノ。不思議な迷路だこと。ステキなところへ、誘われているようね」
「複雑回路、迷い道」
誘われているなら、それでもいい。そう言って、ユェーは金の瞳を細めた。
月夜に咲く紅の華。燈しれば微笑む甘い毒。
「けれど、君を迷わせたりはしないよ」
「ねえ、ユェーさん。心が踊ってしまうわ」
その言葉に七結は嫋やかに。
白と黒の迷宮は変わりなく続く。けれど、どこかで音が響いている。
それはきっと、戦いの音。そしてその音もまた近い。
ユェーと七結が少し広い場所に出ると――向かいの通路からさっきのやつらは嫌いだと文句を言う声。
「……ふたりだよ」
「……ふたりだ」
ふたりまとめて、刻もうか、潰そうか。先程のいらつきを、全部この二人にぶつけよう。
そんな声をむけてくる双子の、吸血鬼。
この迷宮と同じく白と黒の吸血鬼。
どうやら、先程誰かに手ひどくやられたようだとその言葉から察することができる。
その身は万全ではないことが見て取れた。
「おやおや、双子ですか。とても仲良しなのですねぇ」
その姿を目に、ユェーは七結より前に出る。
血を分かつ双生のもの――ふたりで、ひとつ。ひとつで、ふたつ。
繋がれた手。その手を離したのなら、どうなるのかしらと七結は思うのだ。
そして、その気持ちを語るかのように。
「でもいつまで手を取っていられるでしょうか?」
ユェーは、紡いで七結へと笑いかけた。
「七結ちゃん、失礼するねぇ」
しっかり捕まってねと言って、七結びをひょいと軽々。片手で抱きかかえた。
七結を守る為に。そして傷つけさせず、攻撃をしやすくするために。
「ありがとう、ユェーさん」
それならナユが、あなたを導きましょうと柔らかに七結は紡ぐ。
足元には、お気をつけてと微笑んで。
はいとユェーは答えて、万年筆をもう一方の手に。けれどそれは一つ一つの環に念や想いを込めた鋼のチェーンへと姿をかえる。
「今度は僕の番だよ、アイボリー」
力を貸してと手を繋ぐ。すると――音が流れるように放たれた。
「ユェーさん、右へ」
その音の流れを見て、避ける方向を示す。
一歩、右に逸れた直後足元が抉られるように潰れた。
ユェーはその攻撃で生まれた隙に鋼のチェーンをしならせその繋がれた手を狙った。
けれど、双子もそれは見越していたのか下がって、すぐさま次の攻撃をかけてくる。
音の衝撃波が襲い来る。
それを七結には届けさせないと、ユェーは死神の一振りで、その射程に入った攻撃を叩き落とし、双子の身も刻む。
「ずうと、ずうと一緒がいいのかしら。それならば、ナユがひとつに結んであげるわ」
すぅと細い指先で持ち上げ、その口元に寄せるはすべてを蕩かす毒の瓶。
それにそっと唇よせて、七結は紡ぐ。
「堕ちてゆくの つめたい夜へ――あまく、にがく、とろかして」
刺激的なお味は、いかがかしら、とその瓶がいくつも複製される。
そしてその蓋が開けば甘い香り。
全て蕩かしてひとつにするようにふたりへ向かって放たれた。
「っ! 手が、溶けて……」
「エボニー、落ち着いてこれくらいなんでもない!」
ふたりの手は溶けあって、そして繋がっている。
「さっきのやつらは、引き離してきたのに……!」
苦みを帯びた言葉が聞こえた。その声に、七結は首を傾げる。
いつまでもご一緒が良いのでしょう?
それなら共に、食われてもとユェーの身より放たれた暴食のグールが走る。
融け合えばいい。七結によって蕩かされ繋がる場所を喰らうように。
痛いと、二つの悲鳴がその場に響く。
「絆、縁。結びつきは、ひとつではないわ」
ねえ、ナユのナイトさま――七結はユェーへと視線を送る。
そして、ええと柔らかにユェーも笑って返すのだ。
「絆とは血だけじゃないんですよ。ねぇ、僕のお姫様」
七結とユェーと。二人の結ばれた絆は決して、双子の絆より軽いものでは無い。
双子の吸血鬼の傷は決して浅いものでは無い。二人は視線を交わせて、来た道を戻っていく。
逃げるのなら追いかけることもできるけれど――また縁があるなら迷宮の外を目指すうちに出会うはず。
ふたりは出口へと向かって歩み進める。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ん。女吸血鬼に見られている、ね。
長期戦は此方が不利、となると…。
…逃げられないように手を打つ必要があるか。
事前に“ボロ布の外套”を纏い“変装の呪詛”を付与
猟兵の存在感を消して目立たない村娘に姿を変え、
女側に気取られないように演技して行動
…たすけて、神様。たすけて…。
暗視と第六感を頼りに罠を捉えて回避、
迷った振りをしつつ聞き耳を立て忍び足で敵を追跡し、
敵が他の猟兵から逃げる素振りを見せたら姿を現そう
恐怖で足がすくみ逃げ出せない娘を装い、
嗜虐心を刺激して音属性攻撃を誘惑
敵の殺気を感じたら怪力の踏み込みで回避しつつ
接近しUCによるカウンターを狙うわ
…っ。吸血鬼…!いや、たすけ…!
…まずは一匹。
蛍火・りょう
つまり、ぼくらが向かいさえすれば
この世界の住人には興味を失くすのだろう?
そこに行くだけで囮になれるなら
うん。それくらいなら、ぼくにも出来るぞ
囮だからって、簡単にやられる気もないけどね
視認してなきゃ攻撃を当てられないなら
迷宮の壁から壁へ
奴ら視線が通らない所を選んで移動し、近づくよ
どうしても隠れきれないとか、避け切れないなら
なぎなたで【なぎ払う】か、拳の【衝撃波】で対処
一足飛びで拳が届く距離まで近づければそれでいい
(UC発動)
視覚以外の全て封じてぶん殴る
音の攻撃も、聴覚も触覚もなければ怯むことはないし
傷は後で治せばいい
仮に僕の攻撃が避けられたとしても
仲間が攻撃する隙くらいは作れるでしょ?
ぶっとべ
華折・黒羽
迷路の中静かに佇む
常よりよく聞こえる耳に意識傾け
『聞き耳』で更に研ぎ澄ました聴力は
敵の奏でる音を逃さず拾うはずだ
あちらこちらから斬る音や砕く音が聞こえ
居場所を示してくれる
音の方向へと迷路内を駆けて
眸に白と黒の姿を捉えたならば
出迎える嘲笑受けたとて己の表情は変えず
其方の手札が音であるなら
此方も音で、対抗しようじゃないか
取り出した篠笛・揺を口元にあてる
奏でる音は緩やかにも力強い旋律
闇居座る世界に夜明け思わせる陽の差し
照らされ浮かぶ烏の影達は敵へ向かい
彼方の音と此方の音
根競べと相見えん
敵の音がこの身に届けど演奏は止めず
『激痛耐性』で耐え忍ぶ
言葉の代わりに
思いの代わりに
響け、と
※アドリブ、連携歓迎
迷宮に足を踏み入れた蛍火・りょう(ゆらぎきえゆく・f18049)は軽やかに、その罠を潜りぬけていた。
猟兵をおびき寄せる為に作られたもの。そしてそこに巻き込まれた人々。
けれどその人々は、これ以上吸血鬼の手が届くことはない。
つまり、ぼくらが向かいさえすればこの世界の住人には興味を失くすのだろう? とりょうは此処に来たのだ。
ここにくる。それだけで囮になれるなら、それくらいならぼくにもできるとりょうは思ったのだ。
けれど。
「囮だからって、簡単にやられる気もないけどね」
とんとんと軽やかに走る。迷路を進んでいれば――進む先に気配。
「! 別のやつだ!」
先に気付いた双子の敵――音が響いた瞬間、りょうの上を斬撃が走った。
「!」
ひゅっと額の上を一閃していく。けれど浅い。動き回れば、姿を追って音の斬撃が放たれる。
隠れる場所が見当たらず、ただ真っすぐ一本道。
避けきれない。
りょうはそう判断して、向かってくる音ごと、なぎなたを横に振り払って相殺した。
「っ! 早い!」
「エボニー、連ねて」
うん、アイボリーと手を繋ぐ。いくつもの音の連なりと共に斬撃が飛んでくる。
りょうはふっと、肘を引き体重のせて拳を前に、衝撃波でかき消した。
そしてあと一足――力強く踏み込んで、距離詰める。
必要なのは――視覚だけ。敵の姿を捕らえるこの目だけ。
握りこんだ掌。ぎゅっと、握りこんでいるはずだがその感覚がない。
音も一瞬で消えて何もない無音。吸血鬼は何かを喚いているようだ。
今は何か口にする時でもないし味覚ももちろんいらない。匂いを感じる必要もない。
感覚の四つを閉じてその拳をりょうは向けた。
白い翼の方が、前へと庇いにでる。
「ぶっとべ」
けれどりょうの繰り出す拳の方が早い。二人纏めて、衝撃はその身を貫いていく。
後方へ吹き飛ばされた二人は呻き声零し、どうにかまた立ち上がる。
するとそこに――もうひとり。
静かに、佇んでいたのは華折・黒羽(掬折・f10471)だった。
常よりよく聞こえる耳はよくよく音を拾っていた。
敵の奏でる音を拾って、歩んで、拾って。
黒羽はそうして、行く道をたどり進んできた。音を拾って駆けて。
そして足を止めてはまた音を拾い進む。
そうして近いと立ち止まり音を拾っていたら向こうから、目の前にやってきた。
すぅ、と青い瞳開いて白と黒の姿を捕らえた。
双子の表情はぎりと歯噛みするもの。嘲笑を浮かべる余裕ももうないようだ。
けれどどのような表情を受けても黒羽が揺らぐことはない。
音が、ずっと響いていた。
其方の手札が音であるなら、此方も音で対抗しようじゃないかと黒羽は篠笛――揺を口元に。
「何? 笛でどうするんだよ」
その、伺う声色に黒羽が応えることはない。
黒羽が奏でる音は緩やかにも力強い旋律。
闇居座る世界に夜明け思わせる陽の差しが、獣たちの影を呼び起こす。
照らされ浮かぶ烏の影達は敵へ向かい飛び立った。
その様にアイボリーは前に立って、音を奏でる。
連続する音は曲を紡ぐよう。
その音を耳にしつつ黒羽は根競べと演奏を止めはしない。
「っ! そんな音……!」
かき消すと、衝撃波となって飛ぶ。それは獣たちを弾いて、潰して。相殺を互いにかけるように。
その衝撃波は時として黒羽の身にも届く。身を削るような衝撃波の痛みが襲ってくる。
一瞬、黒羽は眉顰めるが耐え忍んで、その今日を止めはしない。
言葉の代わりに、思いの代わりに。
響け、と――痛みに意識が持っていかれるぎりぎりを耐えていた。
そして、双子の奏でた音が止まる。
「っ……この音、嫌いだ……!」
そう呟いたのは双子のどちらなのか。
黒羽の紡ぐ音は――双子の吸血鬼にとっては耳障りの良い物ではないらしい。
その奏でられる音を、耳に捉えていたものはもう一人。
「……ん。女吸血鬼に見られている、ね」
視線を感じる。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はその気配にすっと瞳を細めていた。
長期戦は此方が不利。となると、と思案する。
「……逃げられないように手を打つ必要があるか」
リーヴァルディはボロ布の外套を纏っていた。
それには変装の呪詛を。
猟兵ではなく、存在感を消して目立たない村娘のように。
迷路の中を迷いながら、どうにか進む――そんな風を装てリーヴァルディは進んでいた。
そして戦いの音が聞こえそちらへ足を向けた。
双子が、逃げてくる。そして目の前の――獲物、糧である人間の姿に笑った。
「……たすけて、神様。たすけて……」
その姿に怯え、足がすくみ逃げ出せない――そんな風を装っていれば二人にとってはいい獲物だ。
「目の前で殺されたら、どんな顔するか」
エボニーが楽しそうに、笑っている。
その表情にリーヴァルディは振るえて、その場に蹲ってみせた。
「……っ。吸血鬼……! いや、たすけ……!」
その様子に、エボニーもアイボリーも油断をしていた。
リーヴァルディは一足、己の力のすべてをもって踏み込んで音の斬撃の間を駆け抜けた。
「……限定解放。……刺し貫け、血の聖槍……!」
ほんの一瞬、その気配は変わる。ヴァンパイアの者へと。
突っ込んでくるリーヴァルディに驚いて回避は間に合わない。ただの怯える娘がそんな事をするとは思わないからだ。
エボニーの身体の中心を掌打が穿つ。けふっと図れる苦しそうな吐息。
そしてリーヴァルディの身から吸血鬼の気配が消えると共に、圧縮魔力の杭がエボニーの身を貫いた。
「ぎゃあああ!!」
「エボニー!!!」
潰れた悲鳴が響く。その声は苦痛に満ちたものだった。
「……まずは一匹」
痛いと、貫かれた場所から血を滴らせ落ちる。
エボニーをアイボリーが支え、強い視線。敵意含むものをただただ、向けていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
戦いの痕は凄烈なものだ。
「これは……」
その光景に黒金・鈊(crepuscolo・f19001)は己を雇った男の前に出る。
司祭の仕事、と紡いで笑み浮かべるスティレット・クロワール(ディミオス・f19491)という男は鈊にとって如何とも妖しい男だが、この腕を買って貰ったからには応えるが誠意。
それに鈊自身もこの世界には因縁があるのだ。
スティレットの言う司祭の仕事というのは多岐に渡る。それは最後には全ては最果ての空へと至るもの。
先に迷宮に入った人達の心配をしなくて済むのは良さそうだね、と笑ってここへと足を踏み入れた。
それはどうしてかという視線を投げられた時、スティレットは穏やかに笑ってみせたのだ。
だって、私たちは上等な餌だろう? と。
その言葉を、今また鈊は思い起こしていた。
「餌か。はっ、その戯れを悔恨すればいい」
飴色の瞳を細め、鈊は鋼から紅蓮へと、剣に炎を灯し走りこむ。
斬りかかる。先の攻撃でふらついている方を狙ったが、もう一人。エボニーがその前に立ちふさがった。
「ふたりで、かかってこなくていいの?」
「こちらも二人だが……いや、あいつを数に数えて良いのか?」
「えー、一応、二人じゃない?」
「……耳が良いな」
後ろから頑張って応援するから、と柔らかな声。
けれど瞳細めて笑う。その様は果たして本当に司祭としてのものか。
「――じゃぁ、流石にお仕事を依頼した身としてもひどい話か」
スティレットは危機には割り込んでいこうと今はまだ、見守る構え。
しかし踵を慣らして、その手の媒介道具を目覚めさせる。
しゅるり――それは蛇の姿をとり主であるスティレットを見詰めた。
「一人を狙いなさい」
その言葉に蛇は動き出す。そして鈊と対していない方へと向かってその牙を向けた。
「アイボリー!」
力を貸してと、エボニーは求める。すると響く音が――鈊の身を切り裂いた。
するとゆらり、と炎が揺らめく。
鈊は小さく、笑いを溢していた。
「俺の身体は焔。触れれば爛れる。喰らいたければ喰らえ」
笑い乍ら差し出す右腕。その上でごうと炎が踊った。
と、もう一人が手を伸ばす。
「エボニー、助けて……ううん、助ける」
そちらに視線をアイボリーが向けた瞬間、音が鳴った。
奏でられる、その音の紡ぎは鈊の身へと幾つも叩きつけられていく。
この衝撃を――後方のスティレットに決して届かせてはいけない。
「っ……、スティレットに怪我をさせると、報酬が下がる」
けれど、音が鳴りやまない。
流石に受け続けるのも――と思った矢先だ。
「君は、真面目だからねぇ」
くすぐるような声が響いた。
鈊に向かっていた衝撃波が届かない。
「しーん君、あんまり、無茶をされても私が仕事を頼んだ意味もなくなるだろう?」
傍らの気配。光り輝く白馬と共に、スティレットは鈊の傍に現れ割り込んだ。
「……待て。主に危機を救われては本末転倒だろう」
何故こんなことをするという表情の鈊へ、それよりもとスティレットは促す。
「逃がさないようにしないとね」
それは、その通りと鈊は地獄の――紅蓮の炎を刃に纏わせて再び切りつける。
(「……よくわからない男だ」)
感じる視線を意識の端に、鈊は双子の吸血鬼を一閃した。
吸血鬼は熱い、痛いとその身を引く。
その姿を頼もしいと、微笑んでスティレットは見守るのだ。
(「君はとても興味深いからね」)
こんな場所で倒れられるわけにはいかないと。
苛烈な攻撃に、双子たちは圧される一方。重ねられた攻撃。その痛みも響いている。
鈊とスティレットから身を翻し、双子の吸血鬼たちは迷宮をまた広めていた。
立て直す――それを言い訳として、逃げているのだ。
ふたりの吸血鬼の傷は決して浅いものではない。
短い吐息を繰り返し、どうにか盤面をひっくり返す為に動こうとしていた。
白黒の盤面、不協和音。残酷な遊びのために作られた迷宮――生まれた理由から捻じ曲がっていて、気分が悪くなるけれどと、ジナ・ラクスパー(空色・f13458)は思う。
「……任せてもらったのです」
ぽつりと少女は呟く。
私にも守れましたよって笑って帰れるように、頑張らなくちゃと歩みを進め、そしてジナの前に今、双子の吸血鬼がいる。
その存在を互いに見止めた瞬間、ジナは己の身の守りを固める。
地の利は相手にある。継戦のためにも慎重に。
藍水晶の花を戴く白銀の柄。それは今、杖の形をとっている。
「こっちにくるな! アイボリー、手伝って」
「うん、エボニー」
音が奏でられる。
正面から向けられた斬撃に臆さずジナは真っすぐ走りこむ。
「あなたたちは追い掛ける側のつもりでしょうけれど……こわい鬼は、こちらの方です!」
臆すれば思う壺。何も怖くないと苛む音に飛び込んだ。
身を切る痛みがいくつも走る。恐らく血もつぅと零れている。
それでも真っすぐ進んで――ジナは踏み込むと見せかけて立ち止まった。
向かってくる音を、水弾で包み込み歪める。
するとその行き先はジナから逸れた。
音を奏でる、ひとり。片割れのもう一人にもジナは注意しつつ、もう一歩踏み込んだ。
「絶対に逃がしません!」
白も黒もなく。
眠りに誘う青い花の雨が双子の吸血鬼を包み込む。
目の前の、この双子の吸血鬼も――そして、この場を見詰めている吸血鬼もとジナはその先を見据えていた。
エボニーは、己の身の傷がままならぬことを察していた。そしてアイボリーを守るようにそれを受ける。
この、花の嵐に包まれて眠ってはいけないと、アイボリーは攻撃を壁となり受けた片割れを連れて脱する。
けれどもう一つの気配にはっとした。
「さぁて、ひとつ仕事をしましょうか」
ガチャリ、と音がする。それはその手の重みを感じさせる音。
「白と黒の協奏曲、奏でるのは私。あなた達は悲鳴をあげて踊っていれば?」
斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は二挺拳銃――処刑人の名と、反逆者の名を冠するそれを双子の吸血鬼へと向けた。
「まるであなた達みたいね」
そう言って、彩萌がこめていたのは『光楼』と『陰楼』だ。
でも、と彩萌は言葉続ける。
その属性はてんで違うものよ、と。
「私にはあなたたちみたいな――仕える主人なんていないもの」
私は私、と彩萌は言い切る。
「誰にも媚びないし諂わない。自分に素直でありたいわ」
双子の吸血鬼たちは、僕たちもやりたいことをやっているとまるで悲鳴のように紡ぐ。
けれどこの場は引いた方がきっと利口。
そう思って、双子は迷宮を生み出し自分達と彩萌の間に壁を作ろうとする。
けれどそれよりも――彩萌が銃弾放つ方が早かった。
白と黒を穿つ銃弾。彩萌は笑って紡ぐ。
「丁度良いハーモニーだと思わない?」
それぞれに向けられた銃身の先。
「さぁ、私の腕前と貴方たち、どちらが上か競争といこうぢゃない!」
もともと、深手を負っていたエボニーはすでに動けず、穿たれて倒れ伏した。
そして事切れたにもかかわらずもうひとり、アイボリーは彼を守る様に立つのだ。
己も傷だらけであるのに。
「くそっ!」
悪態をつく。彩萌は傍より突然突き出てきた白い鍵盤を、己のもつ銃で受け流した。
「ごめんね、あとでちゃんと手入れするから許して!」
その言葉を手の中の銃に向けながら、お返しと二挺拳銃を揃えて、残る一人へと向けた。
これで、終わり。一秒に放たれる無数の銃弾と、貫通と炸裂の属性を持った銃弾がその身を弾けさせた。
その場にぐしゃりと、折り重なるように二人は倒れ伏した。すでにその吐息はか細く、途切れていく。
吸血鬼の気配は――この場より消え去った。
黒金・鈊
スティレット(f19491)と
司祭の仕事らしいが俺もこの世界には因縁がある
如何とも妖しい男だが、この腕を買って貰ったからには応える
餌か。
はっ、その戯れを悔恨すればいい。
鋼から紅蓮へと剣に炎を灯し斬りかかる。
あちらの間を裂くことを意識し、近づかせないように。
兎角一人を仕留めるよう執念深く追う。
こちらも二人だが……いや、あいつを数に数えて良いのか?
……耳が良いな。
俺の身体は焔。触れれば爛れる。
喰らいたければ喰らえ、笑い乍ら右腕差し出す。
雇い主の代わりにすべてを受け止める覚悟で挑む。
スティレットに怪我をさせると、報酬が下がる。
……待て。主に危機を救われては本末転倒だろう。
(……よくわからない男だ)
スティレット・クロワール
鈊(f19001)君と。
司祭の仕事というのは多岐に渡るものだからねぇ
全ては最果ての空へと至るもの
先に迷宮に入った人達の心配をしなくて済むのは良さそうだね
だって、私たちは上等な餌だろう?
おや、流石は鈊君
容赦ない斬り込みだ。
えー、一応、二人じゃない?
後ろから頑張って応援するからーーじゃぁ、流石にお仕事を依頼した身としてもひどい話か
踵を鳴らして、さぁ君の目を呼びさまそう
遠距離から蛇のUDCで攻撃を
一人を狙いなさい
鈊君の危機には白馬で割り込もう。あちらの反撃は体で受け
君は、真面目だからねぇ。
しーん君、あんまり、無茶をされても私が仕事を頼んだ意味もなくなるだろう?
(君はとても興味深いからね)
ジナ・ラクスパー
白黒の盤面、不協和音
残酷な遊びのために作られた迷宮
生まれた理由から捻じ曲がっていて、気分が悪くなるけれど
…任せてもらったのです
私にも守れましたよって笑って帰れるように、頑張らなくちゃ
エンハンスで防御強化
地の利は相手にあるから、継戦のためにも慎重に
特に音には気を向けて
誰かが襲われているならすぐ駆けつけられるように
あなたたちは追い掛ける側のつもりでしょうけれど
…こわい鬼は、こちらの方です!
臆すれば思う壺
何も怖くないと苛む音に飛び込んで、フェイントの一閃
水弾で音を包み込み歪めたら
片割れさんの動向に注意しつつ、もう一歩踏み込んで
白も黒もなく花吹雪に染め変える
その向こうの気配だって、絶対に逃がしません!
斬断・彩萌
さぁて、ひとつ仕事をしましょうか
白と黒の協奏曲、奏でるのは私。あなた達は悲鳴をあげて踊っていれば?
●WIZ
『光楼』と『陰楼』はまるであなた達みたいね(ガチャリ、二挺拳銃に弾丸を込めて)
でもその属性はてんで違うものよ、私にはあなたたちみたいな――仕える主人なんていないもの
私は私、誰にも媚びないし諂わない。自分に素直でありたいわ
狙いは白と黒と其々、丁度良いハーモニーだと思わない?
さぁ、私の腕前と貴方たち、どちらが上か競争といこうぢゃない!
決めの一発は……黒鍵を!
敵からの攻撃は【見切り】で回避
どうしても無理な場合のみ【武器受け】。ごめんね、あとでちゃんと手入れするから許して!
※アドリブ・絡み歓迎
戦いの痕は凄烈なものだ。
「これは……」
その光景に黒金・鈊(crepuscolo・f19001)は己を雇った男の前に出る。
司祭の仕事、と紡いで笑み浮かべるスティレット・クロワール(ディミオス・f19491)という男は鈊にとって如何とも妖しい男だが、この腕を買って貰ったからには応えるが誠意。
それに鈊自身もこの世界には因縁があるのだ。
スティレットの言う司祭の仕事というのは多岐に渡る。それは最後には全ては最果ての空へと至るもの。
先に迷宮に入った人達の心配をしなくて済むのは良さそうだね、と笑ってここへと足を踏み入れた。
それはどうしてかという視線を投げられた時、スティレットは穏やかに笑ってみせたのだ。
だって、私たちは上等な餌だろう? と。
その言葉を、今また鈊は思い起こしていた。
「餌か。はっ、その戯れを悔恨すればいい」
飴色の瞳を細め、鈊は鋼から紅蓮へと、剣に炎を灯し走りこむ。
斬りかかる。先の攻撃でふらついている方を狙ったが、もう一人。エボニーがその前に立ちふさがった。
「ふたりで、かかってこなくていいの?」
「こちらも二人だが……いや、あいつを数に数えて良いのか?」
「えー、一応、二人じゃない?」
「……耳が良いな」
後ろから頑張って応援するから、と柔らかな声。
けれど瞳細めて笑う。その様は果たして本当に司祭としてのものか。
「――じゃぁ、流石にお仕事を依頼した身としてもひどい話か」
スティレットは危機には割り込んでいこうと今はまだ、見守る構え。
しかし踵を慣らして、その手の媒介道具を目覚めさせる。
しゅるり――それは蛇の姿をとり主であるスティレットを見詰めた。
「一人を狙いなさい」
その言葉に蛇は動き出す。そして鈊と対していない方へと向かってその牙を向けた。
「アイボリー!」
力を貸してと、エボニーは求める。すると響く音が――鈊の身を切り裂いた。
するとゆらり、と炎が揺らめく。
鈊は小さく、笑いを溢していた。
「俺の身体は焔。触れれば爛れる。喰らいたければ喰らえ」
笑い乍ら差し出す右腕。その上でごうと炎が踊った。
と、もう一人が手を伸ばす。
「エボニー、助けて……ううん、助ける」
そちらに視線をアイボリーが向けた瞬間、音が鳴った。
奏でられる、その音の紡ぎは鈊の身へと幾つも叩きつけられていく。
この衝撃を――後方のスティレットに決して届かせてはいけない。
「っ……、スティレットに怪我をさせると、報酬が下がる」
けれど、音が鳴りやまない。
流石に受け続けるのも――と思った矢先だ。
「君は、真面目だからねぇ」
くすぐるような声が響いた。
鈊に向かっていた衝撃波が届かない。
「しーん君、あんまり、無茶をされても私が仕事を頼んだ意味もなくなるだろう?」
傍らの気配。光り輝く白馬と共に、スティレットは鈊の傍に現れ割り込んだ。
「……待て。主に危機を救われては本末転倒だろう」
何故こんなことをするという表情の鈊へ、それよりもとスティレットは促す。
「逃がさないようにしないとね」
それは、その通りと鈊は地獄の――紅蓮の炎を刃に纏わせて再び切りつける。
(「……よくわからない男だ」)
感じる視線を意識の端に、鈊は双子の吸血鬼を一閃した。
吸血鬼は熱い、痛いとその身を引く。
その姿を頼もしいと、微笑んでスティレットは見守るのだ。
(「君はとても興味深いからね」)
こんな場所で倒れられるわけにはいかないと。
苛烈な攻撃に、双子たちは圧される一方。重ねられた攻撃。その痛みも響いている。
鈊とスティレットから身を翻し、双子の吸血鬼たちは迷宮をまた広めていた。
立て直す――それを言い訳として、逃げているのだ。
ふたりの吸血鬼の傷は決して浅いものではない。
短い吐息を繰り返し、どうにか盤面をひっくり返す為に動こうとしていた。
白黒の盤面、不協和音。残酷な遊びのために作られた迷宮――生まれた理由から捻じ曲がっていて、気分が悪くなるけれどと、ジナ・ラクスパー(空色・f13458)は思う。
「……任せてもらったのです」
ぽつりと少女は呟く。
私にも守れましたよって笑って帰れるように、頑張らなくちゃと歩みを進め、そしてジナの前に今、双子の吸血鬼がいる。
その存在を互いに見止めた瞬間、ジナは己の身の守りを固める。
地の利は相手にある。継戦のためにも慎重に。
藍水晶の花を戴く白銀の柄。それは今、杖の形をとっている。
「こっちにくるな! アイボリー、手伝って」
「うん、エボニー」
音が奏でられる。
正面から向けられた斬撃に臆さずジナは真っすぐ走りこむ。
「あなたたちは追い掛ける側のつもりでしょうけれど……こわい鬼は、こちらの方です!」
臆すれば思う壺。何も怖くないと苛む音に飛び込んだ。
身を切る痛みがいくつも走る。恐らく血もつぅと零れている。
それでも真っすぐ進んで――ジナは踏み込むと見せかけて立ち止まった。
向かってくる音を、水弾で包み込み歪める。
するとその行き先はジナから逸れた。
音を奏でる、ひとり。片割れのもう一人にもジナは注意しつつ、もう一歩踏み込んだ。
「絶対に逃がしません!」
白も黒もなく。
眠りに誘う青い花の雨が双子の吸血鬼を包み込む。
目の前の、この双子の吸血鬼も――そして、この場を見詰めている吸血鬼もとジナはその先を見据えていた。
エボニーは、己の身の傷がままならぬことを察していた。そしてアイボリーを守るようにそれを受ける。
この、花の嵐に包まれて眠ってはいけないと、アイボリーは攻撃を壁となり受けた片割れを連れて脱する。
けれどもう一つの気配にはっとした。
「さぁて、ひとつ仕事をしましょうか」
ガチャリ、と音がする。それはその手の重みを感じさせる音。
「白と黒の協奏曲、奏でるのは私。あなた達は悲鳴をあげて踊っていれば?」
斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は二挺拳銃――処刑人の名と、反逆者の名を冠するそれを双子の吸血鬼へと向けた。
「まるであなた達みたいね」
そう言って、彩萌がこめていたのは『光楼』と『陰楼』だ。
でも、と彩萌は言葉続ける。
その属性はてんで違うものよ、と。
「私にはあなたたちみたいな――仕える主人なんていないもの」
私は私、と彩萌は言い切る。
「誰にも媚びないし諂わない。自分に素直でありたいわ」
双子の吸血鬼たちは、僕たちもやりたいことをやっているとまるで悲鳴のように紡ぐ。
けれどこの場は引いた方がきっと利口。
そう思って、双子は迷宮を生み出し自分達と彩萌の間に壁を作ろうとする。
けれどそれよりも――彩萌が銃弾放つ方が早かった。
白と黒を穿つ銃弾。彩萌は笑って紡ぐ。
「丁度良いハーモニーだと思わない?」
それぞれに向けられた銃身の先。
「さぁ、私の腕前と貴方たち、どちらが上か競争といこうぢゃない!」
もともと、深手を負っていたエボニーはすでに動けず、穿たれて倒れ伏した。
そして事切れたにもかかわらずもうひとり、アイボリーは彼を守る様に立つのだ。
己も傷だらけであるのに。
「くそっ!」
悪態をつく。彩萌は傍より突然突き出てきた白い鍵盤を、己のもつ銃で受け流した。
「ごめんね、あとでちゃんと手入れするから許して!」
その言葉を手の中の銃に向けながら、お返しと二挺拳銃を揃えて、残る一人へと向けた。
これで、終わり。一秒に放たれる無数の銃弾と、貫通と炸裂の属性を持った銃弾がその身を弾けさせた。
その場にぐしゃりと、折り重なるように二人は倒れ伏した。すでにその吐息はか細く、途切れていく。
吸血鬼の気配は――この場より消え去った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『黒い薔薇の娘たち』
|
POW : ジャックの傲り
戦闘中に食べた【血と肉】の量と質に応じて【吸血鬼の闇の力が暴走し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : クイーンの嘆き
自身に【死者の怨念】をまとい、高速移動と【呪いで錬成した黒い槍】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : キングの裁き
対象のユーベルコードを防御すると、それを【書物に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:シャチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
双子の吸血鬼が倒れ――作られていた迷宮が朽ちてほどけていく。
そして、その先に待っていたのは黒い薔薇の娘たち。
領主たる吸血鬼に仕える娘たちだった。
「たべていい?」
「良いといわれたわ……」
おいしそう、と娘たちは笑う。
ここから先には行かせない。仕える主のもとには行かせないというよりは――己の欲を満たすために笑って、そこにいる。
そしてこの娘たちの上。バルコニーにて吸血鬼の女は笑っていた。
さぁ、何を見せてくれるのかしらと。
逃げるそぶりはなく、この戦いをまた見て楽しむつもりのようだ。
「たぁくさん、おあがりなさい。そして楽しませて」
許すわ、好きにと女が紡ぐと共に――娘たちは猟兵達へと飛びかかってくるのだった。
レナ・ヴァレンタイン
――雑魚が多いな。ならば先手は譲れ
単独で集団を相手にするのは得意分野なのでね
接近戦が強い奴は備えろ、私が敵の勢いを崩す
ユーベルコード起動、ジャックレギオン発動承認
リボルバー、マスケット、ガトリング、アームドフォート、全四種各42挺複製
全合計168挺、手持ち含め172挺による迎撃戦開始
ガトリングで弾幕を張り槍の放出を撃ち落としつつ侵攻ルートを狭め、追い込んだ相手をアームドフォートでまとめてぶちぬく
弾幕を強引に突破してくるなら手足、あるいは脳天をリボルバーと
マスケットで撃ち抜く
さあ、戦争の時間だ
楽しみなど与えん、一方的に撃ち抜かせてもらうぞ
※他猟兵との絡み、アドリブ歓迎
「――雑魚が多いな。ならば先手は譲れ」
レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)は前へと進み出る。
敵は多い。そして迷宮から出た者達は、万全でないものも多いのだから。
単独で集団を相手にするのは得意分野なのでねと、レナは近くの猟兵たちへと声向けた。
「接近戦が強い奴は備えろ、私が敵の勢いを崩す」
迫る黒い薔薇の娘たち――彼女等へと向けてレナはその掌向けて指し示す。
「ユーベルコード起動、ジャックレギオン発動承認――さぁ、戦争の時間だ」
その言葉と共に己が装備しているリボルバー、マスケット、ガトリング、アームドフォートを、それぞれ42挺ずつ複製した。
砲身はすべて、向かってくる敵へと向けられている。
「楽しみなど与えん、一方的に撃ち抜かせてもらうぞ」
そしてその手にも元となるものを持って。全てをあやつり迎撃を開始する。
ガトリングの、弾幕。その中を気にせず進んでくる娘たち。
その手に死者の呪いを纏えば移動速度も上がる。侵攻ルート上をレナは狙うのだが娘たちもかわす。そしてその中を抜けてくるものもいるのだ。
敵の中から抜けてきた娘が、黒い槍を生みだしにたりと笑う。
「わたしのごはん……」
そんな呟きを耳に手足を狙って己の手にあるリボルバーとマスケットで撃ち抜いた。その銃弾は脳天をも、貫いていく。
だが倒れる瞬間に投げられた槍は、レナの頬をかすって消えた。
ひとり倒れても、娘たちの数はまだ圧倒的に多く。戦いはたやすく終わらぬ気配を見せていた。
成功
🔵🔵🔴
篝・倫太郎
んーむ
左手の負傷は大したことねぇけど、あんま無理はしたくねぇかも……
(左手にぎにぎ)
つーか、腹ペコかよ?!このおじょーさん方……
喰われちゃ堪ンねぇや
んで、本命は高みの見物かよ……悪趣味も悪趣味だぜ
拘束術使用
視界に入る届く範囲の全ての敵に鎖での攻撃
タイミングを観て2回攻撃も行う
俺自身は華焔刀で先制攻撃からのなぎ払い
刃先を返して2回攻撃で範囲攻撃
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避し切れねぇ場合はオーラ防御で対応
不意討ちには咄嗟の一撃で反撃し
血肉を敵に与えないよう注意して立ち回り
しかし、だまーって立ってりゃ可愛かろうになァ
つっても、オブリビオンである以上は倒すんだけどもさ
主より、一足先に還りな?
フィオナ・グファジェン
「私、大勢を相手取るのは得意なんですよっ」
これでも【罠使い】だったりするもので。
ですので、事前に【武器改造】でからくり人形の牙と爪に【マヒ攻撃】用の毒を仕込みます。
そして接敵したら、人形を集まる相手の中央辺りへ放ちオチユクキバを使用っ。
攻撃後人形を回収、【地形を利用】して身を隠します。
【忍び足】で物陰を移動して私が音を鳴らしたりして気を引き、
その隙に人形でマヒ狙い兼【生命力吸収】込みで【だまし討ち】を繰り返します。
攻撃されたなら鋼糸で絡め取り【敵を盾に】。
私が倒し切る必要はあんまり無さそうですね。何か寿命削ってそうですし、
相手が自然に倒れるのを待ちましょう。
ジワジワと、【恐怖を与える】感じに。
御形・菘
お主らのような胃袋が繊細そうな輩では、妾を食べたら腹を壊すのではないかのう
だがそのチャレンジ精神は認めてやろう!
右腕を高く上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆!
此度は、妾に迫るハングリーすぎる肉食系女子どもに、手厳しい対応をせねばならん!
とゆーことで、心が痛い繊細な妾に、全力で応援の声を届けてくれ!
さあ、まとめて好きなだけかかってくるがよい!
左腕と尻尾でもてなしてやろう
近くに来た奴からボッコボコよ!
そしてこの妾の最大の奥義、真似ができるというのなら大歓迎だ!
お主らは、果たしてどれほどの喝采を浴びられるのであろうな?
存分に妾に見せつけてくれ!
んーむと倫太郎は唸る。
「左手の負傷は大したことねぇけど、あんま無理はしたくねぇかも……」
左手を握って開いて。そうして感覚を確認しているうちに娘たちは迫る。
「つーか、腹ペコかよ?!このおじょーさん方……喰われちゃ堪ンねぇや」
走りくる娘は、その腕をみている。倫太郎はふと、視線を上に向けた。
「んで、本命は高みの見物かよ……悪趣味も悪趣味だぜ」
そこにいる吸血鬼の伯爵夫人。
けれど今は目の前の相手をする方が優先だ。
「縛めをくれてやる」
見えない鎖がしなる。倫太郎の見える範囲の敵へとそれが放たれ攻撃する。
そして、一番近い敵へと美しい刃紋が映える薙刀を向け薙ぎ払った。
その薙刀の柄を掴んで娘は力の限り引き寄せる。
おにく、と嬉しそうに笑ってその身に噛み付き、一口を持っていく。
その攻撃に息をのむが咄嗟に、再び薙刀払ってその身を斬り裂いた。
「しかし、だまーって立ってりゃ可愛かろうになァ」
娘は崩れ落ちる。けれど、まだ他にも、いるのだ。
「つっても、オブリビオンである以上は倒すんだけどもさ」
呟いて、倫太郎は次に向かってくる敵へと刃向けた。
娘たちは各々が好きに振る舞っている。
「私、大勢を相手取るのは得意なんですよっ」
これでも罠使いだったりするもので、とフィオナが操るからくり人形。
狼の形をした大型人形。それとフィオナを繋ぐのは、悪しき獣の爪の如き切れ味を持つ鋼糸だ。
指動かせば、狼が動く。ぐわりと開いた大きな口に並ぶ牙。そして爪にはマヒを齎す毒が仕込んであった。
飛びかかってくる娘たちへと向け、狼が祟ら踏む。
「開放せしアギト。解き放つ牙。突き立てることこそ道理也。夜空へ吼ゆる牙の名を、忘却だけが知っている。仮初を謳え、その名は――」
唱え終わると同時に響く方向に、娘たちは息を飲んでくらりと揺れるその頭を支える。
その間にフィオナは身を隠し、物陰より操って攻撃を。
娘は怨念を纏い、黒い槍を生み出して狼へと向ける。それを牙で噛み砕いて、そのまま回り込む。
ひゅっと空を切る鋼糸が狼の動きを導きつつ、娘たちを絡め取る。
他の娘が突き出す槍を、絡め取った娘で防いでフィオナはぱっと、戒めを解き放った。
「私が倒し切る必要はあんまり無さそうですね。何か寿命削ってそうですし」
相手が自然に倒れるのを待ちましょう、とフィオナは零す。
ジワジワと、恐怖を与える感じに――と思うのだが。
はたして、娘たちが恐怖を感じているかどうかは怪しい。
どちらかというと空腹――飢餓に満たされているように感じられるからだ。
しかし娘たちの様子を見て、菘は困ったように笑うのだ。
「お主らのような胃袋が繊細そうな輩では、妾を食べたら腹を壊すのではないかのう」
簡単にお手軽に。美味しく食べられる身ではないのだと菘は紡ぐ。
「だがそのチャレンジ精神は認めてやろう!」
菘は右腕を高く上げ、指を鳴らし声高に。
「スクリーン! カモン!」
生配信視聴者が映る無数の空中ディスプレイが菘の周囲に現れる。
「はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆!」
語り掛けるのは画面向こうの観客たち。今一体どのような場面なのか、それを簡潔に、分かりやすく菘は示す。
「此度は、妾に迫るハングリーすぎる肉食系女子どもに、手厳しい対応をせねばならん!」
その声に画面の向こうの観客たちは盛り上がり始める。
何か始まるぞと、菘へと注目が集まっていた。
「とゆーことで、心が痛い繊細な妾に、全力で応援の声を届けてくれ!」
注がれる声は、応援は。すべてが菘の力となる。
「さあ、まとめて好きなだけかかってくるがよい!」
振り上げた尻尾へと、娘の一人がかみつく。それを尾で振り払った。
「左腕と尻尾でもてなしてやろう。近くに来た奴からボッコボコよ!」
他方から飛びかかる娘を菘は左腕で振り払う。
その様子に画面からの声響いて菘は確かに痛みもある、決して万全ではない状態だというのに力を増していく。
その様子を見て取った一人が、書物へと何かを書き記していた。
菘は笑って、できるのか? と問いかける。
「この妾の最大の奥義、真似ができるというのなら大歓迎だ!」
持ちうるそれを、きっと真似は出来るのだ。娘のそれはたった一度だけの借用を可能とする。
ぱたりと、書物閉じれば――娘の周囲に画面が現れる。
しかし本質的に娘はそれが何かはわかっていないのだ。
「お主らは、果たしてどれほどの喝采を浴びられるのであろうな?」
それが何かわからない。だから向ける言葉もなく、ただ見ている者にとってはよくわからないものにすぎないのだ。
逆に、画面向こう――その中で派手に動き、声を発する菘の方が見ていて楽しいというもの。
「存分に妾に見せつけてくれ!」
娘の呼び起こした画面からの歓声も奪って菘の力は底上げされていく。
噛みつかれても、引きちぎられても気にせず力の儘に振るわれる尾が娘たちを薙ぎ払った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と共闘
次から次へと手厚いもてなしだことで
しっかりお礼をしてあげないとね
集中力を高めて第六感を研ぎ澄ませる
武器は引き続きSHOOTING STAR
マリスがおびき寄せた敵目掛けて銃弾をばら撒くように連射する
マリスへの攻撃は撃ち落とす
自分に注意が向くようにし
攻撃は持ち前の第六感で見切り回避する
マリスがチャンスを作ってくれたならば
精霊による全力魔法を仕掛ける
「加減はしない、全力でいくよ」
火の精霊によるエレメンタルファンタジア
マリスと桜の精の守りを信じて自分達すら巻き込む大火力
それを躊躇せずに発動する
全力魔法後は元々少ない魔力を一気に消耗したのでへたり込む
後もう一息、頑張らないとね
マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加
【WIZ】他の猟兵とも協力
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で娘達を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「私は道を見つけるか、さもなくば道を作るでしょう」
【偉大なる魔術】を使用
式神を放ち娘達に複数で攻撃
私自身も六禁を振るって追撃しましょう
リーゼへの攻撃は『かばう』
隙を突くように攻撃されるなら、刹那、周囲が花霞に染まる
桜の精が舞うと花弁が『オーラ防御』として彼女への攻撃を阻む
「リーゼ、力を見せる時です」
私も星の『属性攻撃』を合わせます
次は伯爵夫人、あなたの番です
私はバルコニーを見上げた
「次から次へと手厚いもてなしだことで」
ふ、とリーゼは笑み浮かべる。しっかりお礼をしてあげないとね、と――決して優しくはないもので。
とんと肩を、“流星”を冠する銃身の長いベイカー銃で叩く。
集中力は、すでに高まっている。
リーゼのやることはすでに定まっていた。
娘たちがマリスに向かっているのだから。
「主よ、憐みたまえ」
祈りを捧げればマリスの星辰の片目へと光が灯る。
そして全身から放たれる光――それは娘たちの目を惹いた。
「私は道を見つけるか、さもなくば道を作るでしょう」
マリスが紡げば式神たちが現れる。それは娘たちへと、複数で攻撃を仕掛ける。
そしてマリス自身も星の欠片を鍛えたとされる扇で追撃を。
娘たちは手にした書物へと、今際を綴る。それはマリスの攻撃を見てだ。
そして同じように、マリスに返すのだ。
小型の戦闘用の式神を召喚し、マリスへと向ける。
けれどその式神たちをリーゼは打ち抜いて数を減らしていく。
式神だけでは足りぬと判じたのだろう。
娘たちはマリスへ向けて走りこむ。その娘たち目掛けて、リーゼは銃弾をばら撒くように連射した。
リーゼへも、娘たちの意識がむく。
けれどその前に立ってマリスは防いだ。
娘たちが掴みかかってくる。掴まれた場所は強い力で潰されそうなほどの勢いだ。
けれど桜の精がふわりと舞い、花弁もまた守りとして攻撃を阻む。
「リーゼ、力を見せる時です」
そして、マリスが攻撃の機を生む。
それを見逃さず、リーゼは精霊による全力魔法を仕掛けた。
「加減はしない、全力でいくよ」
火の精霊が舞い踊る。戦力で繰り出されたそれに娘たちの身が燃え盛った。
そこへ星の属性もマリスは加えて一層激しく、娘たちを終わりへと誘う。
それは自分達をも巻き込む大火となるのだが、リーゼは信じているのだ。
マリスと桜の精の守りを。
だから躊躇せずに発動できた。
その炎が途切れれば、リーゼはその場にへたり込んだ。
もともと少ない魔力を練り上げて一気に注ぎ込んだ。
後もう一息、頑張らないとねと、リーゼは零す。
ええ、とマリスは頷いた。
「次は伯爵夫人、あなたの番です」
バルコニーを見上げれば楽し気に笑っている女の姿。まだ彼女が下りて来る様子はない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルノルト・ブルーメ
見目に反して悪食なお嬢さん達だ……
尤も、喰わせてやれる部位などないし
ここで喰われる訳にもいかないのだから……
倒してしまわないとね?
影の堕とし仔使用
召喚した影に自他含めた猟兵への攻撃を身代わりに受けるように指示
自身はViperで先制攻撃からの範囲攻撃でなぎ払い
敵と接近戦になった場合はVictoriaとLienhardでの攻撃に切り替え
二刀に破魔の力をのせる形で敵が纏う死者の怨念や呪いで出来た槍を破壊
放射された槍は見切りで回避
回避が間に合わない場合はVictoriaかLienhardで受け流して破壊
基本、死角に位置取るように立ち回るけれど
それが難しいようなら囮として敵の意識を引き付けるよう立ち回り
己の前に立ちふさがる娘たち。
その様にアルノルトはやれやれといった様子だった。
「見目に反して悪食なお嬢さん達だ……」
尤も、喰わせてやれる部位などないしと視線は娘たちの上を撫でる。
「ここで喰われる訳にもいかないのだから……倒してしまわないとね?」
影から産まれ、影にお還りとアルノルトは紡ぐ。
蝙蝠の形をした影へと、アルノルトは身代わりを命じた。
飛びかかってくる娘の前にでて、その蝙蝠たちは掻き消える。
アルノルトはワイヤーしならせ娘たちを薙ぎ払う。
近づいてくるものがいれば、戦闘用処刑道具と黒刃の黒剣で対応を。
その刃に破魔の力を乗せ、纏うものを破壊していく。
それでも娘は飛びかかってくるのだ。その爪でひっかき、問答無用でくらいついてくる。
刃で受け流すが、時折それはアルノルトの身を引き裂いていた。
うまく立ち回り敵の意識を惹きつけながらアルノルトもまた、攻撃をしかけていく。
娘が大きく口開けて、飛びかかってきた。そこに召喚しておいた蝙蝠が飛び込んで、その身を喰われる。
それでもまだ腹は満たされぬと手加減はなかった。
成功
🔵🔵🔴
クロト・ラトキエ
高みの見物?それはいけない。
だって…引き摺り下ろしたくなるじゃないですか。
とはいえ先ずは目の前の事。
傷を厭う程お育ち良くはありませんが…
食欲はちょっと…。
喰らいつかれるのばかりは極力“見切り”。
共食いだとどうしようも無いですけど!
枯木や塀、使える物へ鋼糸を伸ばし、編むのは網、或いは檻か。
“範囲攻撃”の要領で、複数人を糸の内へ。
UC起動、炎の魔力を攻撃力に。
貴女達も、何時か何処かを生きた誰か…
吸血鬼の配下では無い、人の娘だったのかもしれませんが。
利用します。悪しからず。
見上げたなら夫人の姿もありましょうか。
お暇なら、どうぞ此方へ。
貫き抉り傷付け喰らって、緋色と錆の香に踊り…
共に、愉しみましょう?
娘たちが迫る。その身を美味しく食べさせてとその爪で肉を掴み取ろうとしながら。
その手をクロトは避け、バルコニーの上へと視線向けた。
「高みの見物? それはいけない」
だって、と口の端が僅かにあがってしまう。
「だって……引き摺り下ろしたくなるじゃないですか」
そう言うものの、クロトはやるべきことをわかっている。
先ずは目の前の事――迫る娘たちの数はまだ多い。
「その身を……たべさせて」
口端から涎を溢して娘は迫る。どうやら行儀はあまりよくないようだ。
その手を伸ばして捕まえようとしてくる。その手を叩き落としてクロトは距離をとった。
「傷を厭う程お育ち良くはありませんが……食欲はちょっと……」
喰らいつかれるのばかりはと、極力見切るように。
けれど――いざ、口にできないと見れば娘は弱っている他の娘を視界の端に捉えた。
そして頂戴、とその肉をえぐり取って口に運ぶ。その咀嚼する音は決して良いものではない。
クロトはあればかりはどうしようもできないと、その間に打てる手を打つ。
鋼糸を伸ばし、網を編む。
腹が満たされた娘が闇の力を纏って迫る前に、クロトは炎の魔力を持って己の攻撃力を底上げした。
向かってくる娘たちは網に囚われる。もがけばもがくほど、それに絡めとられるというのに。
その様にふと、クロトの脳裏に浮かぶのだ。
もしかしたらこの娘たちも元は、と。
「貴女達も、何時か何処かを生きた誰か……吸血鬼の配下では無い、人の娘だったのかもしれませんが」
だがもう、人ではない。
それならば心を掛け過ぎてもいけない相手だ。
利用します。悪しからず――クロトは紡いで一際目立つその存在を振り仰いだ。
そこには伯爵夫人の姿がある。そしてふと視線があった。
「お暇なら、どうぞ此方へ」
貫き抉り傷付け喰らって、緋色と錆の香に踊り――お好きでしょうと笑って。
「共に、愉しみましょう?」
誘い掛ければふふと、楽し気に伯爵夫人は口を開く。
「ええもう十分に楽しんでいるわ。けれど、私が舞台に上がるにはまだそこは騒がしすぎるのではなくて?」
そんな事を紡いで笑う。
クロトはなるほど、と瞬いて零す。
それではもう少し、この舞台をすっきりさせましょうと次に迫る娘をその鋼糸で切り裂きながら。
大成功
🔵🔵🔵
ジナ・ラクスパー
相容れないなら倒せばいい
そんな考えはあまり好きではありません、でも
苦しみに鮮やかな色を見出すひと
愉しみのため命を弄べるひとは
これからだって繰り返す
付き従う黒薔薇さん達もそう
花ではなくて、お腹を空かせた獣のよう
あなたがたのごはんにはなりませんけれど
渇きはここで止めてあげます
見下ろす伯爵夫人は今は忘れる
花爪は記憶されたら仲間も傷つけるから
風の属性で攻撃を高め魔法の礎築き
食べられるものならどうぞと敵意誘って
お願い、リッカ!
友達と創る氷柱で弱った者から
リッカだけは食べられないように守らなきゃ
迷宮も越えられたのです
黒薔薇の茂みだって抜けてみせます
棘に身を裂かれても構わない
その先の毒の花を摘み取れるなら
相容れないなら倒せばいい。
そんな考えは――ジナはあまり好きではなかった。
けれど、でもと思う。
苦しみに鮮やかな色を見出すひと。愉しみのため命を弄べるひと。
それはジナとは相容れないものであるのは間違いない。
そしてこれからだって繰り返すと、ジナは思うのだ。
今、己に向かってくる娘たちもその手の者なのだから同じだ。
黒薔薇――薔薇と言う花。
けれど花ではなく、お腹を空かせた獣のようとジナは思う。
藍水晶の花を戴く白銀の柄を握りこみ、深藍のブーツで踊る様に娘の攻撃を避けて踊る。
「あなたがたのごはんにはなりませんけれど渇きはここで止めてあげます」
ジナは静かに紡いで、今はバルコニーの上で悠々と過ごしている伯爵夫人のことは忘れて動く。
余計なことを考えながら対することにできる相手ではないから。
仲間を傷つけるわけにはいかない。だから己の技を映しとられてまずい花爪はこの場で伏せておく。
ジナはひゅるりと風を纏って己の攻撃力を底上げするのだ。
「食べられるものならどうぞ。簡単に食べられてあげるつもりは、ありませんが!」
娘たちが誘いに乗って飛びかかる。たべたい、おなかすいた、おにくと零しながら。
その爪先を杖先で払ってジナは呼びかける。
「お願い、リッカ!」
ひょこんとフードから顔を出した大切な、ユキシロヤマネの友人。
ああ――お腹を満たすことを邪魔する、敵。娘たちはジナたちを判じていた。
ジナが示した先、氷柱を一声鳴いて生み出しジナの編む風がそれを放つ。
突き刺さる氷柱が敵の身を撃ち、けれどまだと娘は手を伸ばしてくる。
顔を出していたリッカ。その手に捕まらないように、食べられないようにとジナは守る。
迷宮も越えられたのです、とジナの金の瞳はまっすぐと敵の姿を捕らえて己の進む道を失わない。
黒薔薇の茂みだって抜けてみせますと強い意志をもって。
棘に身を裂かれても構わない――その先の毒の花を摘み取れるなら。
ここで摘まねば、誰かが苦しむというのなら、己の身が傷つくことは厭わない。
けれど――心配そうな一声に無茶はしていはいけないとふと思う。
己より小さな友人を守りながら戦っていることを、思い出して。
大成功
🔵🔵🔵
蛍火・りょう
え?あいつ、ずっとあそこで見てたのか?
暇人過ぎるだろう。趣味も根暗すぎるし
友達いないんじゃないか?
でもまぁ、見られてる以上
あいつに使いたい技をここで使うのは良くないな
仕方ない
この戦いは神鬼・羅生門で支援に回ろうか
この呪いは仲間に向けて放つものだ
真似は出来ないだろう?
真似出来たとしても
仲間の傷を引き受ける覚悟があるようにも見えないしな
支援で倒れるなんて、カッコ悪いからな
近づいてくる敵には
【なぎ払い】と【衝撃波】で、距離を開けるようにして
しっかり戦況を見ながら、回復していくとしよう
全ての傷をとはいかないが
傷を奪うのは重症者優先に、軽傷の者はとりあえず痛みだけ奪う感じで何とかしてみせるさ
任せろ
娘たちと猟兵たちの戦いの最中、りょうはふと視線を上へ。
そこにはゆうゆうと過ごしている伯爵夫人の姿。
「え? あいつ、ずっとあそこで見てたのか?」
暇人過ぎるだろう。趣味も根暗すぎるしと、りょうは呆れたた声を溢す。
友達いないんじゃないか? と思うもののそれに応えるものはいない。
ああ、けれど配下として侍らせているものはたくさんいるというのはこの状況でよくわかった。
配下達に囲まれ――戦う術を向こうは眺めて、楽しんでいる。
それはつまり、情報の蓄積となるのだ。
「でもまぁ、見られてる以上、あいつに使いたい技をここで使うのは良くないな」
仕方ない、とりょうは呟く。
ここは支援に回ろうと。そう決めたのは、書物に何かしらを書き込んでいる娘たちの姿があるからだ。
「この呪いは仲間に向けて放つもの――真似は出来ないだろう?」
もし、真似出来たとしてもこの娘たちが真似をするとはりょうは思えなかった。
それは仲間の傷を引き受ける覚悟があるようにも見えないから。
りょうは戦いの中を駆け抜ける。
「痛むのならば記憶さえ、苦しいのならば縁すら。全て奪ってあげようか?」
もたらすのは剥奪の呪詛。それは痛みを奪い、けれどりょうの身に負担をかける。
「支援で倒れるなんて、カッコ悪いからな」
仲間達の助けをしつつ、近づいてくる敵にむけてなぎなたをむけ、その刃で生み出した衝撃波で娘を吹き飛ばし距離をとる。
戦況をみつつ、戦う事では無く回復を優先してりょうは動いていた。
「すべての傷をとはいかないが」
それぞれ、傷への処し方は変わる。
傷を奪う必要のあるもの、痛みだけで良いもの。
何とかしてみせるさと、任せろと言って少女が浮かべる笑みは、決して強がりなどではなかった。
大成功
🔵🔵🔵
華折・黒羽
双子の吸血鬼により付けられた傷から流れる血
それは格好の餌として娘たちの目には映るだろうか
しかしあなたたちに喰わせてよい血など
俺の身体には流れていない
──啜れ、屠
この血は糧
己が身の矛へと捧げる供物
その一滴たりとも渡しはしない
完全なる捕食体へと変貌した屠を構え
武器で攻撃を受け、なぎ払い
斬り付ける先からその生命力を吸い上げ
一体でも多くの敵を打ち倒そうと
近くに仲間がいるのなら状況を見ながら援護にも
この身が盾となり得るのであれば迷い無く駆ける
獣の脚で地を蹴り
屠が間に合わなければ己の爪で攻撃
あなたの欲を満たす為
人は生きているわけじゃない
高みの見物決め込む吸血鬼の女へ向けられる
侮蔑の視線
※アドリブ、連携歓迎
つぅ、と血が零れ落ちていく。
その血の気配に、娘たちはひかれて寄ってきた。おいしそう、と舌なめずりをしながら。
黒羽は格好の餌か、と彼女らの目に自分がどう映っているかを察する。
「しかしあなたたちに喰わせてよい血など俺の身体には流れていない」
与えるものはないのだと、黒羽は己の身の内へと言葉向ける。
――啜れ、屠と、黒羽は静かに紡ぐ。
己のこの身より零れ落ちる一滴さえ、糧なのだ。
己が身の矛へと捧げる供物――一滴たりとも、吸血鬼たちへ渡す気はないのだ。
そして、その血を得た屠は完全なる捕食体へと変貌する。
娘たちはそれでも、微かに残る血の香に誘われて踏み込んできた。
掴みかかってくるその手を、黒羽は屠をもって弾きなぎ払う。
娘の身を切りつければそこから生命力を吸い上げ、長く立っていられるように。
一体でも多く――その身を打ち倒すために。
黒羽は状況を見ながら動く。援護が必要ならば手を貸すために。
この身が盾となることも厭わない。獣の脚で地を蹴れば娘の手が届く前に割って入れるだろう。
屠が間に合わなければ己の爪で攻撃すればよいことと。
他方から飛びかかってきた娘。その勢い殺せず転がりながら、黒羽は娘を抑え込む。
「おいしそうよ、あなた」
食べさせなさいと娘が言って、大きく口を開く。
その様に嫌悪を露にして、いやだと黒羽告げる。
「あなたの欲を満たす為、人は生きているわけじゃない」
それは娘に――そして高みの見物決め込む吸血鬼の女へ向けた言葉だ。
黒羽は侮蔑の視線を伯爵夫人へと向けた。
伯爵夫人はそれに気づいて涼し気な顔。
まだ、降りて来る気配はない。けれど娘たちの数は減っている。
これらを全て一層すれば、きっとその喉元に手が届くと黒羽は目の前の娘へと屠を向けた。
大成功
🔵🔵🔵
黒金・鈊
スティレットと。
自分に自信があるやつは上から他者を見下すものだ。
……そちらもそういう気質のようだな。別に構わないが。
相手が可愛かろうが、美味い自信があっても囓らせるな。
…………。
命令ならば、そう呼ぼう、スティ。
実際呼びやすいからな。
ふん、囓りたければ囓れ。
炎を出すのに丁度良い。
戦いなど知らぬような顔をして、やはり吸血鬼だな。
俺としては其の方がやりやすい。
剣に炎を乗せ、同時自らも纏い、前に立つ。
取りこぼすつもりはない。炎を走らせ防壁とし、スティを守ろう。
本当に囓られた事に驚きつつ。
これも持って行け、と獣に炎を託す。
主に華を持たせるのも務めか?
……まあ、厚意として受け取っておく。
スティレット・クロワール
鈊くんと
高みの見物、か。見下ろされるなんて久しぶりだなぁ
食べられるのはあんまり好きじゃないし私は結構美味しくない方だと思うんだけどね
どう思う? 鈊くん
あ、そうだ。スティ、ね。この名前、長いだろう?
だからこっちで呼んでね?
憂国の調べで攻撃
さて遊んでおいで。あ、鈊くん齧っちゃだめだよ?
遠距離から援護を含めて攻撃
黒い槍は召喚したUDCの蛇で受け
無理だったら素直に貰おうかな
鈊君に守られ続ければ驚いて
その炎を見るのは楽しいけど
全く…君は無茶をするね
鈊君、少し耐えなさい?
青白い獣に鈊君を噛ませ、強化を回し吸血鬼へと牙を向ける
あれは今私が雇っていてね
戯れはここまでだよ
鈊君、手当にこの可愛い絆創膏をあげよう
悠然と座って過ごしている。その様に鈊はそっと眉を寄せた。
「自分に自信があるやつは上から他者を見下すものだ」
「高みの見物、か。見下ろされるなんて久しぶりだなぁ」
どう思う? 鈊君とスティレットは問う。その問いにため息交じり、鈊は真面目に返すのだ。
「……そちらもそういう気質のようだな。別に構わないが」
何を言っているのだろうかという視線を少し滲ませる鈊。それでさえスティレットは楽しそうに受け取っている。
そして迫る娘たちへとやっと、視線を向けた。その娘たちの動きに鈊も、雇い主を守る様に前へ。
「相手が可愛かろうが、美味い自信があっても囓らせるな」
鈊はスティレットへと視線むける。わかったよとスティレットは頷くのだが笑み浮かべて。
「あ、そうだ。スティ、ね。この名前、長いだろう?」
だからこっちで呼んでね? と。今、それを言うのかというようなタイミングで紡ぐのだ。
どうかなというような視線が向けられて居心地がいいのか、悪いのか。
「…………。命令ならば、そう呼ぼう、スティ」
ふ、と息を吐いて実際呼びやすいからなと鈊は言う。
娘が飛びかかってくる。鈊の腕を掴んでとらえ、そして噛みついてくる。
痛みは一瞬だ。服ごと齧り取って、持っていく。
「ふん、囓りたければ囓れ」
炎を出すのに丁度良い――傷跡から炎が閃く。紅蓮の炎を操り刃に乗せて、鈊は娘に斬りかかる。
一閃を炎が追いかけて、斬りつけると共に傷を焼いていく。
「戦いなど知らぬような顔をして、やはり吸血鬼だな」
俺としては其の方がやりやすいと、鈊は踏み込む。
炎は刃だけでなく己の身の上も踊り、スティレットの前へ。
飛びかかってくる敵の攻撃を取りこぼすつもりはない。
刃を振れば炎が走る。防壁のようにそれはスティレットの前へと立ち塞がった。
スティレットは鈊に守られ続ける。そのことに驚いて、目の前で燃え上が絵う炎の壁は美しくもあり、見ているのは楽しいのだけれど。
「全く……君は無茶をするね」
ふと、小さく困ったような笑みを僅かに浮かべスティレットは己の手足となる者を召喚する。
「さぁ、踵を鳴らして呼び出そう。時間だよ、宵闇の僕たち」
青白い死霊の獣たちがスティレットの周囲を踊る。
「さて遊んでおいで。あ、鈊くん齧っちゃだめだよ?」
その言葉を受けて獣たちは飛び交う。娘たちに掛ける攻撃は苛烈なものだ。
けれど――このままではスティレットの身を削るばかりだ。けれどそれも一度、味方を攻撃すれば問題ない。
「鈊君、少し耐えなさい?」
そう言われ、鈊はスティレットに従う。
何を耐えるのか、それを問う前に青白い死霊の獣たちがはぐっと鈊の身を齧っていく。
本当に齧られたと驚きつつ、鈊はその獣を一撫で
「これも持って行け」
獣のその身に己の炎を託し力を貸す。
主に華を持たせるのも務めか? と思いながら。その炎をもって、青白い獣たちは一度、スティレットの元へ。
「あれは今私が雇っていてね。戯れはここまでだよ」
告げられ、獣たちは娘たちへと向かっていく。瞳の輝きの合間に攻撃の度合いを増したままに。
その様を見送り、そうだとふと思い出して。スティレットはすっと、あるものを鈊へと差し出した。
「鈊君、手当にこの可愛い絆創膏をあげよう」
その絆創膏を見て、スティレットの変わらぬ笑みを見て。そしてまた絆創膏を見る。
「……まあ、厚意として受け取っておく」
鈊はぱっと、その絆創膏を受け取った。本当に――よくわからない男だと思いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
黙って見世物になれだなんて冗談じゃ無いけれど
おいしそう、だなんて言われたら無視する訳にもいかないよねぇ
だってソレはコッチの台詞だもの
『オーラ防御』で攻撃凌ぎながら敵の只中へ走り込み【月焔】を生む
片手で足る程に寄せた焔を周囲に撃ちこみ、ソレを防御した敵へ『2回攻撃』
今度は必要最低限まで合わせた焔で『部位破壊』
手にした書物を『スナイパー』で狙って落としにいくヨ
コレでも物真似できるかしら?
それから刻んだ傷狙い『傷口をえぐる』よう
手が届くなら「柘榴」を振るい、でなければ右目の「氷泪」から雷を奔らせ『生命力吸収』
喰らうのは自分らだけと思ったワケじゃねぇデショ?
オレにも喰らえるさ、どんな手段だってネ
娘が、食べたいと迫る。お腹が空いたと小さく零しながら。
「あなた、おいしそう」
だからまず一口、と笑いながら。
「黙って見世物になれだなんて冗談じゃ無いけれど」
呟いてちらりと、コノハが伯爵夫人へと視線向けたのは一瞬。
おいしそう、だなんて言われたら無視する訳にもいかないよねぇとコノハは笑ってみせる。
「だってソレはコッチの台詞だもの」
おいしそうと言われる覚えがないとコノハはその懐へと走りこむ。
娘たちの伸ばしたその手はコノハのオーラに弾かれて届かない。
娘たちを引き寄せながら、冷たき月白の炎を片手で足るほどに生み出して――引き寄せられた娘たちへと放つ。
その炎に包まれて燃えて悶えて。けれど中には、立ち上がる者もいる。
「へぇ、タリナイ?」
それならもう一つ、おまけとコノハは炎を見舞う。
そしてその様を――書物に綴る娘の姿もあった。
書物に書き綴り、真似る。なら書き綴ることができなければどうなるのか。
コノハはその手元を狙って冷たき月白の炎を向ける。
娘の手にあるそれを狙って、落としに。落ちながらそれは燃え上がり、消えていく。
「コレでも物真似できるかしら?」
記す物がなければ――それはできない。
邪魔をされ、怒りに満ちた表情で娘はコノハへと向かってくる。
しゃっと伸びる爪は鋭く、その身を力任せに抉るためのものだ。
けれどコノハの方が少しばかり、射程が広かった。
柘榴を逆手に、その腕を払いのけるようにさして弾く。そのまま、傷口を抉ってその刃を引き抜いた。
「喰らうのは自分らだけと思ったワケじゃねぇデショ?」
忌々し気な視線を娘は向けて来る。
けれどそんな視線、何でもないと言うようにコノハは笑って跳ねのけて。
そしてすぅと表情は冷える。娘を見下ろして、そして向ける言葉には何の色もない。
「オレにも喰らえるさ、どんな手段だってネ」
そう言って、コノハは娘へと終わりを齎す。
ぽたりと落ちる滴をさして気にも留めず、次にまた襲ってくる娘の相手をするために。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ん。流石にもう村娘の変装は気付かれているか。
ならば、後は正面から叩くだけ…。
数を揃えた所で、私を止められると思わないで。
左眼の聖痕に魔力を溜め【断末魔の瞳】を発動
目立たない魂の存在感を残像として暗視して見切り、
心の中で祈りを捧げて怨念を気合いと呪詛耐性で耐え、
この地に漂う霊魂や敵が纏う怨念を取り込んでいく
…貴方達の怨嗟を晴らす機会を与えてあげる。
吸血鬼が憎いなら、私の下に来て…。
敵の攻撃を全身を覆う呪詛のオーラで防御しつつ、
同時に生命力を吸収する闇属性攻撃のカウンターを行った後、
オーラ(防具)を改造した呪いの手刀をなぎ払い傷口を抉り仕留めるわ
…武器が無いからと油断した?残念だったわね。
迫る吸血鬼の娘たち。リーヴァルディはさすがにもう村娘の変装は意味がないかとそれを解く。
「ならば、後は正面から叩くだけ……」
いくら数を揃えた所で、私を止めると思わないでと正面から迎え撃つ。
リーヴァルディは左眼の聖痕に魔力を溜める。そして言葉紡ぐ。
「……汝ら、この瞳をくぐる者、一切の望みを棄てよ」
その聖痕へと取り込むのは死霊や怨霊の魂。
目立たない魂の存在感を残像として暗視して見切る。
その心の中では祈りを捧げ、怨念を気合いと呪詛への耐性で耐え続けていくしかない。
この地に漂う霊魂や敵が纏う怨念を取り込めばリーヴァルディの力は増していくのだ。
「……貴方達の怨嗟を晴らす機会を与えてあげる。吸血鬼が憎いなら、私の下に来て……」
ここにまだ心残しているのなら、とリーヴァルディはある意味、手を差し伸べているのだ。
その身に受け入れることで得るものもあるが、それ以上に負荷もかかるというのに。
それに答えた者達はリーヴァルディへと力を貸し与えていく。
だが娘たちもそれに負けず闇の力を纏ってくる。娘たちから向けられる攻撃はただ乱暴で、粗雑にその力をもって向けられるようなものだ。
「ひとくちで、いいのよ!」
「っ!」
掴みかかられ、リーヴァルディのその身に噛みついていく。
それは決して深いものでは無いが娘は嬉しそうにその力を深めていた。じゅるりとその血を啜るような、そんな音がすれば一層、闇が深くなる。いや、暴走しているのだろう。
再度、踏み込んでくる――けれどリーヴァルディは呪いの手刀でなぎ払う。
死霊たちによって高められた力も乗せて、さらに娘の傷跡を抉り、仕留めた。
「……武器が無いからと油断した? 残念だったわね」
どうとでもできるのよとリーヴァルディはその紫色の瞳を静かに向けていた。
大成功
🔵🔵🔵
蘭・七結
ユェーさん/f06712
捕食するもの、黒薔薇の娘たち
まあ。ユェーさんまで
たべられる側は、どちらかしら
ねえ、もういちど。遊びましょう
憎しみを、恨みを、宿して咲く一輪
うつくしい黒薔薇の娘たち、だけど
ナユは、一等の黒を、しっているの
娘たちを喰んで、その生命を吸い尽くして
うつくしい〝あか〟を、黒い愛を咲かせて
〝くれないの愛寵〟
嗚呼。なんてうつくしいのかしら
嗚呼。ナユが、満たされてゆくわ
ナユが掠めるのは、あなたたちの生命の欠片
たあんと、召しあがれ。ナイトさま
ふふ、おかしなことをおっしゃるのね
あなたの瞳には、ナユはそう映るのかしら
あなたの中で生きつづける
それも、面白そうだけれど
まだ、だめよ。ナユのお月さま
朧・ユェー
七結ちゃん(f00421)と一緒に
ねぇ、僕達を食べるそうだよ?
七結ちゃんの方が美味しそう
そうだねぇ、遊ぼうか?
君達は僕達が喰べてあげる
取り出した万年筆を取り出し【漆黒ノ鏈】で敵を赤く染め
彼女の紫の瞳を隠すように
喰う
【緋喰】で紅く染め
喰う、喰う
あぁ、赤、紅、緋、が足りない
喰べるなら隣にいる鮮やかな赤、アネモネ咲く紅姫がいい
彼女も美味しそうにあかを黒く咲かせて喰べていく
嗚呼、その姿も美しい
だから君達にはあげない
彼女の腰をそっと添えて踊るように敵か回避
本当に喰うというのはこういう事だよ
【暴喰グール】敵達を喰っていく
ねぇ、お姫様
いつか僕に喰べられる?
冗談、君が居ないと面白くないもの
でもいつか君を一一
捕食するもの――黒薔薇の娘たち。
七結は言って傍らのユェーを見上げると、彼はおかしそうに苦笑している。
「ねぇ、僕達を食べるそうだよ?」
けど、七結ちゃんの方が美味しそう、とユェーは言う。
その言葉に七結は瞬いて。
「まあ。ユェーさんまで」
その言葉にくすくすと。けれど娘に向ける視線は冷えている。決して対等とは思わぬ相手に向けるものだ。
「たべられる側は、どちらかしら――ねえ、もういちど。遊びましょう」
「そうだねぇ、遊ぼうか?」
さて本当に、どちらが獲物であるのか。
憎しみを、恨みを、宿して咲く一輪――うつくしい黒薔薇の娘たち。
だけど、と七結は思うのだ。
「ナユは、一等の黒を、しっているの」
だからその黒のために、娘たちは糧であればいい。
「敬愛なる黒。たあんと、召し上がれ」
七結の足元から茨と黒薔薇が走る。うっとりと、艶やかさを含んで紡がれたその言葉。
茨が、走る。娘たちを絡めとって、喰んで、その生命を吸い尽くして。
うつくしい〝あか〟を、黒い愛を咲かせて〝くれないの愛寵〟を見せてと七結はうっそりと微笑むのだ。
「嗚呼。なんてうつくしいのかしら」
嗚呼――ナユが、満たされてゆくわと七結はふふと吐息を溢す。
「ナユが掠めるのは、あなたたちの生命の欠片。たあんと、召しあがれ。ナイトさま」
ほら、おいしそうでしょうと七結が示す。
そこには七結の迷宮を抜けてきた娘たち。
ユェーはそうさせてもらおうかなと柔らかに笑って娘たちの方へ視線投げかける。
君達は僕達が喰べてあげる、とユェーは万年筆を滑らせた。するとそれは鋼のチェーンへと変わる。
その軌道は娘たちの上を走り、赤く、赤く染めていく。
血を流すのは――なにもこちらだけではないのだから。
その色に金の瞳細め、ユェーは娘の身を喰らう。
七結のその紫色の瞳から何をしているのか、隠すように――その赤いモノを口にする。
喰う、喰う、ただただ、喰べる。
はぁ、と吐息を溢してあぁとユェーは零した。
紅、緋、が足りない――喰べるなら。
喰べるなら――隣にいる鮮やかな赤、アネモネ咲く紅姫がいいとユェーは傍らへと視線向けた。
「嗚呼、その姿も美しい」
うっとり、囁くように紡がれた。
ユェーの手がその腰に伸ばされて、食べるの? とおかしそうに七結は微笑む。
そうできたら――なんて思う前に引き寄せる。ひらりとその身を躍らせれば、鈍い音が地に刺さる。
娘の一撃をかわしてユェーはその手を向けた。
「本当に喰うというのはこういう事だよ」
ユェーの身に埋め込まれた刻印。それはユェーの身から放たれて血だけでは足りぬと娘のその身全てを喰らっていくものだ。
「ねぇ、お姫様――いつか僕に喰べられる?」
金色の瞳は真っすぐ、紫色を捕まえて。
七結ははたと瞬いて、その金色の中にいる自分を見つける。
「ふふ、おかしなことをおっしゃるのね」
そっと手を伸ばして――触れて。
「あなたの瞳には、ナユはそう映るのかしら」
あなたの中で生きつづける。それも、面白そうだけれど――まだ、だめよ、と七結は紡ぐ。
「まだ、だめよ。ナユのお月さま」
その言葉にふっと、ユェーは一瞬瞳伏せて。
そして笑えば、いつもと変わらず。
「冗談、君が居ないと面白くないもの」
でも、いつか。
いつか、君を――その言葉は、飲み込んだ。
そして視線向ける。あれがどうやら、最後に残った黒薔薇の娘。
最後の一人も、おいしくと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『血に濡れた伯爵夫人・アミラ』』
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POW : 血霧と踊りて
全身を【物理攻撃を無効化する深紅の霧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 鮮血の荊棘
技能名「【串刺し、傷口をえぐる、生命力吸収、吸血】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : たった一人の私の味方
自身が戦闘で瀕死になると【逃走時間を稼ぐために従属吸血鬼】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:銀治
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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「やだ、皆倒してしまったの?」
あらあら、どうしましょうと――本当にそう、思っているのかどうかわからぬ声色で。
血に濡れた伯爵夫人、アミラは笑う。
「けれど、ふふ……楽しそうだったわぁ」
だからわたくしとも遊んでいただきましょうかしら。
そう紡いでアミラはバルコニーより降りて来る。ふわりと、その身がまるで羽根かのように軽やかに。
猟兵達が倒した黒薔薇の娘たちの骸。それを何の感情もなく、踏んで、蹴って前に進み出る。
彼女らは、アミラにとって別段気に掛ける相手ではなかったのだ。
「わたくしね、おいしいものを食べるのも好きですし、いたぶるのも好きですのよ」
赤い血を流して、それがただの肉の塊になっていく様を見るのも、好き。
そしてこれは変わっているともいわれるのだけどと、どこか恥じらうように笑み零し。
「傷を負うのも、そこそこ好きですのよ。だって退屈ではなくなるでしょう?」
痛みは緩慢に、いきている悦びを思い出させてくれる。
平坦な日常に鮮やかに――思い出させてくれる。その瞬間はいとおしいとアミラは恍惚とした笑みを浮かべていた。それは酷く歪んだ笑み。
「きっとあなたたちも与えてくれるでしょう。ええ、でも。でも最後には――」
皆転がして、そして血を啜って肉を戴いて。
残りの骨皮は調度にでもして飾って差し上げるから悦んでくださるかしらと笑う。
そして、さぁ遊んで頂戴と優雅にそのドレスの裾を翻した。
御形・菘
お主は実に素晴らしいキャラをしておるな
人を踏み躙り、その上に立つ者はこうでなくてはな!
妾のことは財布にでもしてみるか? さぞや大金が詰めれられるであろう!
右腕を上げ、次に指を鳴らして呼ぶのはファンファーレよ
さあ希望の旋律よ、響き渡れ!
妾の左腕でブチ抜きチャレンジをしても面白そうだったのだがな
この技に物理無効の障壁なぞ無意味! 聞いたら燃える、霧では音は防げん!
もちろん味方の炎は即消火するぞ
さてどうする?
燃え上がりながらこのまま支配者トークを楽しむも良し、燃え尽きる前に強化された状態で逆転を狙うも良し
ギリギリの状況こそが映えて面白い! とことん付き合ってやろう!
後者ならば、妾は拳で大歓迎だ!
フィオナ・グファジェン
「生憎、生き残る以外に能がないもので」
遊びのお相手は難しいかと。
ですので、存分に生き残らせて頂きましょう。
真の姿を晒して戦闘。
【生命力吸収】を交えからくり人形で攻撃。
攻撃されたなら、横たわる黒薔薇の亡骸を鋼糸で絡め取り【敵を盾に】。
【罠使い】らしく、時折絡め取った亡骸を動かして【フェイント】し、
その間に人形で【だまし討ち】を。
お望み通りそこそこに傷を負って頂けたなら、モトメユクキバを使用。
問いかけは「楽しいですか?」。
答えは期待していませんが。即効性の麻痺病毒に触れて喋られては、【毒使い】の名折れです。
そのまま倒れるも良し。倒れないのなら病毒を行使し続け、緩慢とした終わりを楽しんで頂きましょう
篝・倫太郎
悪趣味なのは今に始まった事じゃねぇし
こいつらがそう言うモンだってな、頭じゃ判ってるンだけどよ
ホント、気に入らねぇぜ
負傷は想定内だし、こいつと殺り合う為に温存してたンだ
ここで使わねぇでいつ使うってな?
巫覡載霊の舞使用
華焔刀で先制攻撃として衝撃波
そのままダッシュで接近して武器落とし狙いの突きの2回攻撃
フェイントを織り交ぜて立ち回る
死角に回り込む奴が居るなら気を引くように時間稼ぎ
逆に別の猟兵に対して敵が気を取られてるようなら
俺が死角に回り込むよう対応
従属吸血鬼が召喚される状況なんざ早々来るのかよ?
来るなら来るで、従属吸血鬼に狙い切り替えて攻撃してく
本体は他の奴に任せる!
悪趣味な退屈しのぎはもう終いだ
どなたから、わたくしと遊びますのとアミラは笑う。
その様に菘は、ハッと息吐いて笑った。
「お主は実に素晴らしいキャラをしておるな」
「素晴らしい? まぁ褒めていただけるなんて……あたりまえの事ですのに嬉しいわ」
どうもありがとう、とアミラは嫋やかに笑って見せる。
嗚呼、嗚呼! と菘は思うのだ。
「人を踏み躙り、その上に立つ者はこうでなくてはな!」
その蛇の身をうねらせる。あら、とアミラの視線がそれに向いたことに菘は笑ってみせた。
「妾のことは財布にでもしてみるか? さぞや大金が詰めれられるであろう!」
「財布に詰められる程度では大金ではなくてよ。けれど……あなたで作る財布は持ち運べなさそう」
それなら、大金と呼んでいいのかもしれませんわとアミラは零す。けれど持ち歩きできないものを財布といえるのかしらと悩んでいる様子だ。
菘は右腕を上げ、次に指を鳴らした。
指を弾く――するとどこからともなくファンファーレが響き渡った。
「さあ希望の旋律よ、響き渡れ!」
その音はどこから、とアミラの視線は菘へと向けられ、彼女の身の上で炎が踊る。
「妾の左腕でブチ抜きチャレンジをしても面白そうだったのだがな」
炎が燃え上がる、その様をアミラは――まぁ! と驚きと、そして楽し気な声を響かせた。
こんなのは、初めてとまるで少女の様に。
「この技に物理無効の障壁なぞ無意味! 聞いたら燃える、霧では音は防げん!」
菘の言葉の通り。猟兵達に及ぶ炎は消え、けれどアミラの上では盛るばかり。
「さてどうする?」
このまま支配者トークを楽しむも良し、燃え尽きる前に強化された状態で逆転を狙うも良しと、菘はその様子を伺う。
「ギリギリの状況こそが映えて面白い! とことん付き合ってやろう!」
「ふふ、ふふふ……ギリギリ、などではないけれども」
面白いのは事実ねとアミラは笑って深紅の霧で身を覆う。
このまま戦うのも楽しそうとゆるりと動き始める。深紅の霧を纏い、集わせて――そして、菘へと向かう。
「久しぶりですのよ、こういうのは」
向かってくるアミラ。女はその爪を伸ばし向かってくる。
それならば菘が突き出すのは拳。
「妾は拳で大歓迎だ!」
拳を、長い爪で引き裂く。菘の拳はしかし、その深紅の霧で受け止めてそのまま――潰し、そこより一層の生命力を奪っていく。
痛みは鮮烈なものだ。菘は簡単にはやられてくれんかと、笑い零しその場に崩れ落ちた。
アミラは、さぁ次はと視線を巡らせる。
「力にあふれる命の味は、とてもおいしいのよ……」
もっと食べさせてくださいなと。それとももっと面白いものを見せて、わたくしの心を満たしてくれるかしら、と。
「生憎、生き残る以外に能がないもので」
遊びのお相手は難しいかと、とフィオナは紡ぐ。
「ですので、存分に生き残らせて頂きましょう」
その言葉と共にフィオナは真の姿を晒すのだ。
銀色の狼の耳と尾が消え――先程までの明るさが鳴りを潜める。羽織った抗疫用の外套と共に、冷える瞳は――荒廃的で淀んでいた。
その手が操るは狼のからくり人形。
素早く動く狼の牙がアミラの身を喰らって持っていく。
「あら? 気付かない間にお肉がちょっと消えてしまったわ」
けれどこれくらいなんでもないと、アミラは笑って傷口を撫でていく。
それではわたくしもお返しをしなければ――そう言うのだが攻撃は倒れた黒薔薇の娘の亡骸を、鋼糸で引き寄せ盾にする。
そういう手もありますのねとアミラは笑って、この空気を今も楽しんでいる。
「交わす契り。口ずさむ約束。契約という名の毒を舐る。許しを求める牙の名を、忘却だけが知っている。仮初を謳え、その名は――」
全身を麻痺させる効果を孕んだ即効性の病毒を放ち、フィオナは紡ぐ。お望み通り、アミラは傷を負っていた。そこからそれは入りこむ。
「楽しいですか?」
「ええ! とても!」
答えは、期待していなかったというのに――心の底から楽しそうに、恍惚とした笑み浮かべてアミラは紡ぐ。
その瞬間にそれは掻き消えてしまった。
「素敵、身体の自由が奪われかけるなんて……初めて」
まったく、病毒は効いていないわけではなかった。しかし、そう――簡単に、すぐに効くまでまだアミラの体力は落ちていない。
倒れないならば続けてその病毒を行使し続け、緩慢とした終わりを楽しんでもらうだけ。
フィオナの放つものはゆるやかにアミラの身を蝕んでいく。
「お返しをしなきゃいけないわ」
何がいいかしら――これにしましょうとアミラは己の持ちうる力を高めた。
深紅の霧を絡めてまとめて、これをあげるとフィオナに向ける。
地面を走ったそれは、守りとした亡骸も、そしてからくり人形も等しく貫いて、そしてフィオナの身をも貫いた。
「串刺し、お好きかしら? わたくしは好きよ、するのが」
流れ落ちるその血も、深紅の霧が吸い上げてアミラの糧とする。
流れ落ちる血を持っていかれ、フィオナはその場に膝をつく。
もう一つ、おまけがいるかしらと言うアミラ。その前にもう一人。
「悪趣味なのは今に始まった事じゃねぇしこいつらがそう言うモンだってな、頭じゃ判ってるンだけどよ」
ホント、気に入らねぇぜと倫太郎は吐き捨てる。
己の身の傷――それは想定内だ。
「こいつと殺り合う為に温存してたンだ。ここで使わねぇでいつ使うってな?」
言って、倫太郎は神零体へと変じる。その手のなぎなたは、振るえば衝撃波を放つものに。
華焔刀を振るえば、衝撃波が生まれアミラの身を強く打つ。
きゃあ、と可愛らしい声を上げたアミラだが別段、堪えてはいないようだ。
その懐へと倫太郎は走り込み、刃を振るう。
仲間である猟兵達も動いているのが見えた。倫太郎はそちらに気が行かぬように動いていた。
「従属吸血鬼が召喚される状況なんざ早々来るのかよ?」
「わたくしひとりで十分遊べますもの」
まだ逃げる、なんて場面ではない。そもそもわたくしに遊ばれるだけでしょうと余裕を見せるアミラの周囲には――深紅の霧が漂っていた。
「悪趣味な退屈しのぎはもう終いだ」
刃を振るう。しかし――深紅の霧が阻んだ。
それは先程、アミラが生み出したものの残り滓のようなもの。
「残り物でいいかしら、あげるわ」
そう言って、アミラはふふと笑って深紅の霧を一つに紡ぎあげる。
それは一本の、ただの貫くためだけの形をとって倫太郎の身を貫いた。
貫かれた瞬間の痛みは鋭く、しかし鈍い。
「ついでにあなたの命を頂いてしまおうかしら」
その言葉と同時に、身体から力が抜けていく感覚。傷口から血と、そして生命力と言ったものが吸い上げられアミラに流れこんでいるのだ。
倫太郎は呻き、その場に崩れ落ちる。
アミラは倫太郎へと近寄ると、その身貫いた杭を抜いて――次は誰かしらと楽しそうに笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加
【WIZ】他の猟兵とも協力
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「リーゼ、正念場です」
彼女の限界は近い
けれど大人しく後退する筈もない
六禁を構えて前に、リーゼへの攻撃は『かばう』
リーゼの援護と『破魔』宿る打撃と星が瞬く『属性攻撃』を放つ
「誰も倒させはしません」
真の姿を解放
刹那、世界が花霞に染まる
頭に白桜の花冠
纏うは聖者の衣
背から聚楽第の白い翼がぎこちなく広がる
【神に愛されし者】を使用
天に舞い上がり高高度から彗星の如く体当たり
質量兵器と化して伯爵夫人を吹き飛ばす
「道を切り開きます!」
リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と共闘
君の願いを叶えに来た
精々最後の一時を楽しむといい
マリスと軽く言葉を交わして周囲の地形を利用して高所に身を隠す
ようやく狙撃手としての役目を果たす時がきた
連戦で乱れた呼吸を整えてSTARRY SKYのスコープ越しに伯爵夫人を見据え
轟音と衝撃を響かせマリスを援護射撃する
マリスを襲う攻撃を阻害するように狙撃し
相手にストレスをかけていく
攻撃がこちらに向く予兆を察知すればいち早く場所を移動
それを繰り返してひたすら援護に徹する
主役はあくまで彼女、翼を生やした聖女様なのだから
マリスの大技に合わせてこちらも最後の魔力を振り絞り
Cassiopeiaを放つ
「さぁ、君の輝きを見せてくれ」
「主よ、憐みたまえ」
仲間である猟兵達と、アミラが戦っている。
その光景を前に『祈り』を捧げ、マリスはと星辰の片目に光を灯す。
その身から放つ光――それに気づいてアミラの視線がマリスへと注がれた。
その光は守りの力を持っている。そして星の輝きと煌めきで攻撃くわえられれば反撃をするもの。
「リーゼ、正念場です」
マリスはちらりとリーゼに視線向ける。
彼女の限界は――近い。けれど大人しく後退するはずもないのだ。
「君の願いを叶えに来た。精々最後の一時を楽しむといい」
リーゼは己の呼吸を整える。
そしてその前にマリスは立っていた。六禁――星の欠片を鍛えたとされる、非常に強度が高い扇構え、向けられる攻撃はかばうつもりで。
深紅の霧を纏ってアミラは、次はあなたたちと迫るのだ。
振り下ろされるその腕を、六禁でもって防ぐ。その瞬間、リーゼはスコープ越しに捉えたアミラを轟音と衝撃を響かせ援護する。
ようやく狙撃手としての役目を果たす時がきた――リーゼは『流星』を冠する銃身の長いベイカー銃を手に。
アミラの腕は跳ね上げられ、足元抉るように銃弾が向けられた。
しかし――アミラは深紅の霧を纏っている。それは物理攻撃を全て防ぐが衝撃までは殺せなかったようだ。
「誰も倒させはしません」
マリスは真の姿を解放する。
刹那、世界が花霞に染まり、マリスの頭に白桜の花冠。
纏うは聖者の衣、背から聚楽第の白い翼がぎこちなく広がる。
そして天へと舞い上がる。その間に、アミラに邪魔をされないようにリーゼは妨害するように狙撃をかける。
相手にストレスをかけるように――するとアミラは遊んでほしいのねと笑いかける。
アミラの指先がリーゼの方を向く。リーゼは狙い定められると思えば動いて、その狙いを外していく。
それを繰り返していくうちに――頭上の輝きが一際大きく。
「あなたが感じなくとも、神はあなたを見ています」
星の輝きでその身を包み、マリスは体当たりをかける。
「堕ちることのない輝きとなれ―――Cassiopeia」
それと合わせ、最後の魔力を振り絞り、リーゼもマリスの攻撃にあわせ、精霊弾を放った。
「さぁ、君の輝きを見せてくれ」
「道を切り開きます!」
精霊弾がアミラのドレスの端を貫いて、それを避けた所へマリスが体当たりを仕掛け、その勢いにアミラは吹き飛ばされた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルノルト・ブルーメ
判らなくもないけれどね
傷のもたらす痛みによって生きている事を実感できる、というのは
だとしても、まぁ……歪だよ、それは
あぁ、失礼……
大概に、君達は歪でおかしいモノだったね
影の堕とし仔使用
召喚した蝙蝠達には死角のフォローを主に任せる
僕自身は距離を詰めてVictoriaとLienhardで先制攻撃
二刀で串刺しにして傷口をえぐる
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避し切れない場合はオーラ防御で防ぎ
そのまま二刀でなぎ払い、生命力吸収
従属吸血鬼が出現したら
蝙蝠達にそちらは任せ、本体と最優先で狙う
逃走?まさか、そんな見苦しい真似はしないだろう?
先程『最後には――』何と言ったかな?君は
それを果たさずに逃げるのかい?
体当たりにより吹き飛ばされて。
こんな経験初めてとアミラは笑っている。
そんなアミラへと、判らなくもないけれどね、とアルノルトは紡ぐ。
傷のもたらす痛みによって生きている事を実感できる、というのは、と。
「だとしても、まぁ……歪だよ、それは」
独り言ちる。その言葉はアミラに届いていたようでどうしてと笑みを向けられた。
「あぁ、失礼……大概に、君達は歪でおかしいモノだったね」
影から産まれ、影にお還りと、アルノルトは紡ぐ。蝙蝠の形をした影はアルノルトの死角を担う。
ナイフ形状の戦闘用処刑道具と異端の血を啜る呪われた黒刃の黒剣を持ち、アルノルトは走り込む。
その刃を振り下ろす、それをアミラはまるでどうぞというように笑ってただ受け止める。
串刺しにさせてあげましょう。そんな雰囲気で、アルノルトは刃むけ傷口を抉っていく。
「ふふ、良い痛み。けれどまだわたくしは瀕死ではないのよ」
「先程『最後には――』何と言ったかな? 君は」
「あら、なんだったかしら?」
わたくしは気まぐれだから言葉の全てまでは覚えていないわとアミラは言う。
けれど、そう。
「わたくしはここであなたたちと遊ぶのだから、死ぬのはあなたたちなのよ」
すべてわたくしの、退屈凌ぎ。
痛みも何もかも、今は世界が鮮やかよと笑ってアミラは一足、距離を詰める。
吸血鬼の伯爵夫人――その力量は先ほどの娘たちよりも高い。だからこそ、今までこうして存在していたのだろうから。
その爪と腕をただ前に。アルノルトは回避しようとするも、アミラのほうが少しばかり早く、その腹の肉を裂いて持っていく。
その血をぺろりと舐めて、アミラは瞬く。
「まざりもの? まぁ良いのだけれど」
人の身は容易く壊れてしまうのよねと、アミラは楽しげに笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
前衛を他の猟兵に任せ【血の教義】を二重発動(2回攻撃)
目立たない精霊の存在感を残像として暗視し、
精霊に祈りを捧げて生命力を吸収して助力を乞うわ
…ん。お前の望む未来なんて、何一つならない。
それを今から教えてあげるわ。
両手に闇属性の“過去を世界の外側に排出する力”を溜め、
第六感を頼りに限界を見切りつつ、怪力任せに両手を繋いで、
圧縮した“闇の結晶”弾を放つ闇属性攻撃を行う
…霧になれば安全だと思った?
無駄よ、己の運命を受け入れなさい…。
命中したら結晶の封印を解き呪詛を解放
霧ごと敵を傷口を抉るように消し飛ばす
術の反動は激痛耐性と気合いで耐えるわ。
…骸の海まで葬送してあげるわ。消えなさい、この世界から…。
仲間達の戦いの姿を目にリーヴァルディは、ひとつ、ふたつとそれを重ねる。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
闇の属性を重ねて、そして目立たぬ精霊の力をも混ぜて。
リーヴァルディは目立たぬ精霊の存在感を残像として暗視し、精霊に祈りを捧げる。生命力を吸収して助力を乞うたのだ。
「……ん。お前の望む未来なんて、何一つならない」
それを今から教えてあげるわ、とリーヴァルディはアミラへと向かう。
両手に闇属性の『過去を世界の外側に排出する力』を溜める。その限界がどこなのか、己の第六感に頼り怪力任せに両手を繋いだ。
手の内に在ったものを圧縮して闇の結晶弾をアミラへと放った。
アミラは深紅の霧を集わせる。けれどそれは闇の結晶弾にかき消され――これはまずいと、思ったのだろう。従属吸血鬼を召喚しその壁とする。
「……霧になれば安全だと思った? 無駄よ、己の運命を受け入れなさい……」
結晶弾を受けた従属吸血鬼はまだその身を残したまま。
しかし結晶の封印は解かれ呪詛が巻き上がりその身を消し飛ばす。
その反動として――リーヴァルディの身は切り刻まれるような、潰されるような――抉るような痛みが駆け巡る。
「やだ……さっきのはもらったら半分くらい体が消えちゃうかもしれないわ」
さすがにそれは、動けなくなってしまうものねとアミラは受けなかったからこその余裕を見せて。
反動を受けているリーヴァルディは耐性を持っていても響く痛みに膝をつく。
それでもリーヴァルディの視線は真っすぐアミラに向けられていた。
「……骸の海まで葬送してあげるわ。消えなさい、この世界から……」
動けないのにその言葉、とアミラは笑う。
決して嫌いではないと言って。
「でも遊べないならもういいわ。あとでゆっくり相手をしてあげましょう?」
今はもっと元気な相手が他にもいるものとアミラは身を翻した。
そう、例えばあなたと。
大成功
🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
おや、気が合うねぇ
オレも美味いモノが大好き
いたぶるのも……まぁ悪くない
そう、それに。退屈はオレも嫌いだヨ
『高速詠唱』で即座に【紅牙】発動
右目に仕込んだ刻印「氷泪」に体内の血を吸わせ、より強く噛み砕く紫電の牙と化かす
敵の体に傷刻むように雷を奔らせ
……刃物じゃ気持ち良くなれないデショ?
美味しく料理されてヨ、雷でどこに居たって喰らってあげるから
敵が霧に紛れても『2回攻撃』でひと飲みにするよう雷で齧りつき
流れる血の、命の匂い辿り『傷口をえぐる』よう『生命力吸収』
反撃は『見切り』躱すが傷受けても気にせず
最初見た敵の笑顔を真似してみせて
残念、お互い楽しめると思ったンだけどなぁ
飾られて喜ぶ趣味はねぇンだよネ
遊び相手がたくさん、とアミラはご機嫌なのだ。
傷を負ってもまだ余裕がある。けれど少しずつ、蓄積はされているようだ。
「あなたも遊んでくれるのよね? ああ、楽しい! 今日は退屈なんてないわ」
その言葉におや、気が合うねぇとコノハは口端を上げて笑っている――というのにどこか冷たく。
「オレも美味いモノが大好き。いたぶるのも……まぁ悪くない。そう、それに」
退屈はオレも嫌いだヨ――静かにコノハは紡いだ。
だから、退屈を殺し合うには賛成と。それがこの場では戦いであるだけだ。
「――イタダキマス」
素早く紡げば牙となる。そしてコノハの右眼に仕込まれた刻印『氷泪』もまた体内の血を吸い上げた。
それはより強く噛み砕く紫電の牙となるために。
「まずは、挨拶がわり」
その体に傷刻むように雷を迸らせる。それを深紅の霧で絡めとるようにその方向を変えていくが全てはそうできず、いくつかが身を走る。
その痛みにアミラは笑っている。楽しい、こんなのは久しぶりだと。
「……刃物じゃ気持ち良くなれないデショ?」
それで満足デキル? とコノハは言う。
「美味しく料理されてヨ、雷でどこに居たって喰らってあげるから」
アミラはそれじゃあ、これでも狙えるかしらと深紅の霧で身を包む。
ぶわりと広がる――その色に向かって、コノハは視線向ける。
ひと飲みするように雷が爆ぜる。コノハの一瞥が深紅の霧を食い破って、そしてアミラの姿を見つけた。
アミラの姿を見つけるのは、簡単だったのだ。
すでに傷ついている。ならば辿るのは――簡単。
その流れる血の――命の匂いたどり傷口抉る様にその生命力を己の物とすればいいだけなのだから。「っ! わたくしの……血を、辿りましたのね?」
そう、とコノハは笑う。
とびきり美味しいわけじゃないネと、ぺろりと舌を出してみせて。
そしてこんな顔してたっけ、と最初に見たアミラの笑顔を真似してみせて。
「残念、お互い楽しめると思ったンだけどなぁ」
飾られて喜ぶ趣味はねぇンだよネとコノハは言う。
だからやられてやるつもりもないと紅色の牙を向けてアミラの身を切り裂く。
しかしアミラも――その受けた傷が、糧となる。
力を増していくアミラ。彼女はコノハの元にも一足、踏み込んでその狂気たる爪を振り抜いた。それはコノハの身の上を滑り、その生命力を奪っていく。
大成功
🔵🔵🔵
黒金・鈊
スティと。
黒幕が出てきたぞ。
――どんな調度になると思う、とか言い出したら帰る。
……ふ、今更逃げるか。
同じ高さに降りてくるのは、まあ見所があるか。
今までの傷口から炎を放ち、武器と全身に纏う。
一芸のようだろうが、これは俺の怒り。在り方の根源だ。
吸血鬼は殺す。幾度甦ろうともな。
強化されるのは致し方なし。
刃に纏う炎で深紅の霧を焼き、斬撃を通せるか。
俺の傷は火蓋を切るようなもの。脚が動く限り幾度でも追い、燃やす。
スティに向かせぬよう、身を挟みつつ。
俺を跪かせたいなら、無謀をするな。
頭のある主らしく振る舞え(と挑発し、笑い)
騎士、か。似合わないな。
(悪くはない)
主から任を預かったのだ。一刀は呉れねば、な。
スティレット・クロワール
鈊君と
しーん君、ねぇ
どうせだったらいっとう高い調度品が……
えー、鈊くんはお堅いなぁ。
それじゃお仕事だね
私は後衛から蛇のUDCを呼びつつ援護を
鈊君が傷を多く受けているようなら敵を煽って
蛇で足を狙おうか
私の退屈を紛らわせておくれ
(鈊君のセリフに瞬いて笑い
ふ、はははは……!
まさか、そんなことを言われるとは思わなかった
戯れの時間は終わり、ということだね
君も、頭のある主を望むならば、折れぬ剣でいるべきだ
ーー鈊
俺に跪くに相応しい姿を見せてくれるんでしょう?(ざっくりと髪をかきあげ笑い
我が騎士。さぁ、立って
天の風琴を発動。回復と強化を鈊君へ
従属程度で私の相手なんてつれないな
逃すとおもうかい?お嬢さん
青年から生命力を吸い上げ、己の力とする。美味しいと、アミラは悠然と笑っていた。
スティレットの前に立ちながら、鈊は紡ぐ。
「黒幕が出てきたぞ」
「しーん君、ねぇ」
そう言って鈊は傍らの男が口を開きかけるのを見て。
「どうせだったらいっとう高い調度品が……」
「――どんな調度になると思う、とか言い出したら帰る」
言葉被せる鈊にスティレットは楽しそうに笑うのだ。
「えー、鈊くんはお堅いなぁ」
「……ふ、今更逃げるか」
逃げないよと紡ぎ、スティレットの瞳は細められる。その視線はアミラへと向いていた。
「それじゃあお仕事だね」
「同じ高さに降りてくるのは、まあ見所があるか」
アミラの前に立つために鈊は今まで得た傷より炎を吹き上がらせる。
その炎を、その手の刃と全身に纏うのだ。
(「一芸のようだろうが、これは俺の怒り――在り方の根源だ」)
綺麗な炎ねぇとアミラが零す。
その言葉にスティレットは、彼女はわかっているねと言うのだ。
そう、鈊くんの炎は綺麗だよねぇと。
その緩やかな言葉に何を言っているのか、と鈊は溜息を交え、アミラへと向かう。
「吸血鬼は殺す。幾度甦ろうともな」
強化されるのは致し方なし。鈊はアミラが纏うその霧を、刃に纏う炎で焼いて斬撃を繰り出す。
その刃をまた炎が追いかけて――アミラのその身を焼き焦がした。
「っ! 髪が燃えるのは、さすがに淑女としていただけないわ」
アミラが身を引く。けれどそれを鈊は追うのだ。
傷は――火蓋を切るようなもの。脚が動く限り幾度でも追い、燃やすと。
そして援護するようにスティレットの向かわせた蛇のUDCがアミラのその足に絡みついて動きを止める。
「私の退屈を紛らわせておくれ」
この光景は心を躍らせてくれるか、それとも宥めるのか。興味を失うのか。
今のところ、スティレットは興味を失う事は無さそうだと思いながら鈊が己守る姿を見詰めていた。
アミラとの間に入り――動きのままにその、射干玉の髪が炎を纏って揺れる。
共に並んで、戦えばそれはそれで、また楽しいかもしれない。
そう思ってスティレットが動こうとした瞬間に。
「俺を跪かせたいなら、無謀をするな。頭のある主らしく振る舞え」
後ろなど、見ていないというのに挑発し、笑う。何をしようとしていたのかまるで察していたかのように。
その言葉に――スティレットは瞬き息吐いた。
「ふ、はははは……! まさか、そんなことを言われるとは思わなかった」
スティレットは笑って、そして柔らかに、藍の瞳を鈊へと向けて。
「――鈊」
その銀糸をざっくりと、その見た目からそぐわぬようなそぶりで楽しげに掻き上げて。
「俺に跪くに相応しい姿を見せてくれるんでしょう?」
スティレットは紡ぐのだ。
我が騎士。さぁ、立って――と。
そしてその為の言葉も、スティレットは鈊へと向ける。
「晩鐘に非ず、黄昏にはまだ遠く。さぁ、耳を済ましてごらん?」
鈴の音と共に青白き花びらを纏う風が舞い踊る。その風は鈊を包み、その力を底上げする。その風が頬撫でていくのを感じながらぽつり、と呟く。
「騎士、か。似合わないな」
けれど鈊の口の端は僅かにあがっていた。
悪くはない――その想いもって鈊はアミラへと再び踏み込んだ。
「主から任を預かったのだ。一刀は呉れねば、な」
鈊が迫る。今度はその、刃は深紅の霧のその向こう、アミラを捕らえその腕を飛ばす。
きゃあ! と悲鳴をあげたアミラは距離を取るために従属吸血鬼を喚び出した。
「ねらうのは、あっちよ」
主を狙われたら、そちらを守るに行くでしょうとその動きを、見越して。
「従属程度で私の相手なんてつれないな。逃すとおもうかい? お嬢さん」
スティレットは向かってきた従属吸血鬼の攻撃をかわす。
そしてその後ろにはすでにスティレットが迫り、一刀にて斬り伏せた。
「鈊くん、追いかけてよかったのに」
その言葉に――自分で主だと言ったくせにと鈊は言う。
主は、守らねばならない。騎士ならば。
それに自分が追い詰めなくとも、と鈊は視線向ける。アミラを追う猟兵には他にもいると。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蘭・七結
ユェーさん/f06712
まあ、ステキなお誘いだこと
月夜に咲く華、吸血鬼の貴夫人
なんて美しくて、なんと醜いのかしら
目には目を、歯には歯を
鬼には、鬼を
憂いも嘆きも絶望も
全部、ナユが払って魅せましょう
ねえ、『かみさま』
〝かみさまの言うとおり〟
嗚呼、うつくしいわ。ナイトさま
そのお姿も、とてもステキね
さあ、ラストダンスといきましょう
屠られるのは、どちらかしら
手にするのは彼岸と此岸、ふたつの残華
夫人の纏う真紅の霧をなぎ払って
毒を纏った双刀で、あかい花を咲かせましょう
嗚呼、あかに染まってゆくわ
なんて、うつくしいのかしら
どうかうつくしいままで、散り果ててちょうだい
ナユのほうこそ、ありがとう
ナユのあかいお月さま
朧・ユェー
七結ちゃん(f00421)と
おや、僕達と遊びたいみたいですよ。
夫人の妖艶で艶やかな姿は普通は美しいと思うのだろう
ただ、全く欲さない。というか興味がない
おやおや、貴女はとっても美しくて…醜い
【月鬼】で煌めく白銀は白金の月へ双眼は紅く染まる
お姫様、僕と踊って頂けますか?
片手を彼女へと差し出すと
月のワルツへと誘なう
踊りながら【漆黒ノ鏈】で夫人に攻撃
赤い血汐が舞う
嗚呼、やはり姫が一番美しい
ちらりと紅く染まった夫人を見て
少しは美味しくなったでしょうか?
さて?喰べられるはどちら
【暴食グール】夫人を喰べていく
喰べられる夫人には目もくれず
踊り終わった彼女の手の甲にキスをおとし
楽しみ時間をありがとう、お姫様
傷を負ったアミラの目の前に並び立つ。アミラが向ける視線は値踏みするようなものだ。
けれどその視線を、二人は意に介さない。
「おや、僕達と遊びたいみたいですよ」
ユェーの言葉に七結は微笑む。
「まあ、ステキなお誘いだこと」
月夜に咲く華、吸血鬼の貴夫人――なんて美しくて、なんと醜いのかしらと。
夫人の妖艶で艶やかな姿は、普通は美しいと思うのだろうが、ユェーはそう思わない、感じない。
ただ、全く欲さない。というか興味がないのだ。
「おやおや、貴女はとっても美しくて……醜い」
ふわりと笑む。
嗚呼、とユェーが零せばその煌めく白銀は白金の月の色を纏う。そして金の瞳は紅く染まるのだ。
そして七結もまた微笑んでいる。
目には目を、歯には歯を。
鬼には、鬼を――鮮明な猩々緋の双眸。
『かみさま』を、七結は迎え入れ吸血鬼となる。
「憂いも嘆きも絶望も。全部、ナユが払って魅せましょう」
ねえ、『かみさま』、と七結は笑う――かみさまの言うとおり、と。
その様にすっとユェーは手を差し出した。
「お姫様、僕と踊って頂けますか?」
その様に七結は綻ぶ。
「嗚呼、うつくしいわ。ナイトさま」
そのお姿も、とてもステキねと紡いでその手に手を重ねた。
「さあ、ラストダンスといきましょう。屠られるのは、どちらかしら」
吸血鬼ふたり。
ユェーは七結を月のワルツへと誘なう。
アミラはその姿に――飾ってあげたいおふたりねと笑って深紅の霧をその身にまとう。
「それに……醜いだなんて、そんな褒め方も初めて。心躍ってしまうわぁ」
アミラは恍惚とした笑み浮かべる。しかし彼女が纏うその霧も薄く、そして淡くなっており万全ではない。
とんとステップ踏むように、二人の足並みはそろっていた。
七結の手には嘗ての神聖さを奪略された宿主亡き白牙と、嘗て清廉な宿神が守護した鬼殺しの白刃。
一歩、先に踏み込んでその霧を薙ぎ払う。刃に含めてあるのは毒――あかい花を咲かせましょうと、笑って。
それに合わせてユェーもまた鋼のチェーンを躍らせて、アミラの身を弾いてあかく、あかく。
攻撃のために向けたその手を鋼のチェーンは絡めて、飛ばす。
「嗚呼、あかに染まってゆくわ」
なんて、うつくしいのかしら――うっとりと七結は零す。
「どうかうつくしいままで、散り果ててちょうだい」
その、戦う様を一番傍でみて、ユェーはうっそりと零す。
「嗚呼、やはり姫が一番美しい」
戦っている。その瞬に視線がふと重なった。
そしてちらりと、ユェーは紅く染まったアミラを見て。
「少しは美味しくなったでしょうか?」
それなら、今なら食べられるでしょうかとユェーは笑ってその手を向ける。
「さて? 喰べられるはどちら」
その身から、刻印――暴食のグールが飛び出してアミラへと食らいついた。
短い悲鳴をあげて、己の身を持っていかれるその痛みにアミラはやっと、状況が良くないことを理解し始めていた。
けれどその様に、ユェーは視線を向けない。
その瞳が映して、とらえているのは目の前の――お姫様のみ。
ユェーは七結のその手の甲にキスを落とす。
「楽しい時間をありがとう、お姫様」
「ナユのほうこそ、ありがとう。ナユのあかいお月さま」
七結とユェーはふたり、笑いあう。
どうにか、攻撃より逃れたアミラなど、もう意識の外なのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
華折・黒羽
※アドリブ、連携歓迎
人を餌として放り
配下を駒として遊ばせ
己に受ける傷は日常の退屈凌ぎ
随分と手前勝手な行動と言い分だと
構える屠、柄を握る指先がきしりと哭いた
傷を負い苦しむ人がいる
涙する人がいる
命を、落としてしまう人がいる
あなたの盤上でのみ繰り広げられる遊びに
隠される痛みが生まれるかもしれないというのなら
全力を以ってあなたを倒す
連携を図りながら
積極的に敵の間合いへと迫り
薙ぎ払い、武器受けで敵の動きを妨害にかかる
受ける攻撃は激痛耐性で耐え
仲間の一手への布石に
逃げ出したなら従属吸血鬼は即座に対象から外し
本体のみを両翼広げ追跡
氷纏った屠を一閃
織り成す氷花で動きを封じようと
俺達は駒にはならない
─王手、です
「ふふ、痛い。痛いわ……心地よいけれど」
これは少し不味いのではなくて?
そう、アミラは零して戦いより逃れようとし始めた。
この場を離れてしまえば、逃げ切れたならまたこういった遊びはできるのだからと。
けれど、その前に黒羽が立ちはだかった。
「人を餌として放り、配下を駒として遊ばせ」
己に受ける傷は日常の退屈凌ぎ、と静かに落とす。
それは随分と――手前勝手な行動と言い分だと、構えた屠、その柄を握る指先がきしりと哭いて告げていた。
「次はあなた? わたくし、そろそろ満足したのですけれど」
どきなさい、と笑っている。
そんな女が――このまま生きていれば何がおこるのか。
傷を負い苦しむ人がいる。涙する人がいる。
命を、落としてしまう人がいる――そんな人々が、増える。
「あなたの盤上でのみ繰り広げられる遊びに、隠される痛みが生まれるかもしれないというのなら」
全力を以ってあなたを倒すと黒羽は地を蹴った。
「花が枯れ堕ちるまで、──動くな」
手にした屠に『縹』の符の力が巡る。氷を纏い氷点下の冷気をもって薙ぎ払った。
その切っ先が、アミラの身を切り裂いて氷の花群が咲き乱れる。
「っ! あなたの相手は」
これで十分――言って、アミラは従属吸血鬼を召喚し差し向ける。
その従属吸血鬼は黒羽に向かってくる。
けれどその相手はしないと両翼広げ、黒羽は従属吸血鬼を飛び越えた。
「俺達は駒にはならない――王手、です」
逃がさないと、一閃。
織り成す氷花はその足を捕らえ、アミラのその足を封じた。
地に氷で縫い付けられた、その足ではもうどこにも逃げられない。
その足、落とせばまだ逃げる目はあるだろうが女はそうするとは思えなかった。
大成功
🔵🔵🔵
クロト・ラトキエ
えぇ。喜んで、お相手仕ります♪
鏡写しみたいに笑って、グローブより鋼糸を引き出し。
…攻め手は兎も角、あの守りと吸収は厄介かなって。
ならば――
腕足に絡め動きを封じるが如く、或いは荊棘を巻き斬るが如く、
鋼糸を――既に視られてはいるわけですが――操り、距離を詰め。
多少の傷は厭いますまい。
荊棘の向き、軌道…
ただ致命傷だけ外せれば、見切れればそれで良い。
触れる程の位置ともなれば、それも多少難しいやもしれませんが…
彼女へとて、少しのお楽しみくらい供しましょう。
本命は糸に非ず。
羈束――玖式。
封じて、仲間の渾身に繋げたく。
三倍返しって。言って、此処に来てるんですよ。
確り堕として帰らなきゃあ、男じゃないでしょう?
蛍火・りょう
そんなに今が退屈なら、さっさと過去に帰ったらどうだ?
お前は暇かもしれないが、こっちは暇じゃないんでな
む。打撃が通じない…?あの霧のせいか
殴れないなら、あとぼくに出来るのは呪う事だけだが
…やっぱり、あいつは殴りたいかな
要は、あの霧が無くなればいいんだろう
しっかりと力を溜めて(怪力)、薙刀であいつを攻撃すると見せかけて
霧を払う(なぎ払う・衝撃波)
攻撃が外れたと見て、あいつが攻撃してくるかもしれないが
近づいてしまえば、ぼくの方が速いはず(UC発動)
相手の方が速かったとしても、知ったことか
怪我は後で治せるからな
お前は何か気に食わないから、その攻撃ごとぶっとばす
うん。やっぱり殴るなら、これ(拳)に限るな
ジナ・ラクスパー
…愉しみを共有した相手や
自分に付き従ってきた人達を失っても
貴女は、なんとも思わないのですね
それすら玩具を測る道具で
痛みも呵責も感じないなんて
迷わず剣を抜く
強化は防御、全てを尽くすまで立っているために
止められなかったと悔やみたくない
前衛で花爪を主軸に
仲間と前後入れ替わっても手を休めず瑞花を放つ
やりきれなさと怒りは戦い方を乱すだけ
誰かの言葉を思い出し
冷静に味方と敵の射線を読み躱す
あと僅かまで追い込めたら
逃走路に立ち塞がり雨花に切り替え
時間稼ぎなんてさせません
人の命が自分を満たす玩具でしかない貴女には
おやすみなさいなんて優しすぎるから
武器に纏わせた魔法で赤霧を払う
息すら忘れる苛烈な眠りをさしあげます
足をとめられ、アミラはその表情を歪めている。まだわずかに深紅の霧は纏っているが、今まで見せていた余裕はすでにない。
「……愉しみを共有した相手や、自分に付き従ってきた人達を失っても――貴女は、なんとも思わないのですね」
それすら玩具を測る道具で、痛みも呵責も感じないなんてとジナにとってこのアミラの在り様は到底受け入れられないものなのだ。
味方がその動きとどめた――動けない相手に、と思わないこともない。
けれどジナは迷わず剣を抜いた。
己の身に守りの力を、魔力を持って纏わせて、全てを尽くすまで立っているために。
(「わたしは、止められなかったと悔やみたくない」)
ジナの手にある刃が形を変えるべくざわめく。
「深き藍に眠れる爪よ、めざめて踊れ――!」
小鳥の蹴爪に似る、藍鮮やかな千鳥草の花弁が舞い踊った。
アミラはそれに包まれるわけにはと従属吸血鬼を召喚する。
それは何度倒しても、何度でもアミラの守り手として召喚されていた。
やりきれなさと怒りは戦い方を乱すだけ――ジナは誰かの言葉を思い出す。
冷静に、けれど従属吸血鬼の攻撃を読み躱す。
影のように現れて、ジナへとその拳を向ける吸血鬼。その一撃を、刃をもって受け止め、その吸血鬼を花弁で包み込んで切り伏せた。
「時間稼ぎなんて、させません……!」
従属吸血鬼を切り伏せた、その勢いのままにジナは踏み込む。
人の命が自分を満たす玩具でしかない――そんなアミラには、おやすみなさいなんて優しすぎる。
刃に魔法を纏わせて、ジナはその懐へ飛び込む。
「息すら忘れる苛烈な眠りをさしあげます」
強い意志、視線。
真っすぐに金の瞳で見据えたジナはその刃を思いのままに、力のままに振り払う。
己の身を庇うように差し出した、アミラの腕が跳ね落ちた。
「あっ、あ、あ、わたくしの、腕……!」
痛い、とそれを抑える。けれど短く叫んで――そしてそこで留まるのは気位の高さか。
そしてもうここまできたらと、氷結にて留められた己の脚――それを己の足ごと串刺して、氷砕いて抜け出した。
ぼとぼとと流れ落ちる血を見て忌々し気に舌打ちする。
「まるでわたくしは遊ばれているみたい……こんなの初めて、初めてよ……でも」
でもこれは良くないとアミラは零す。
「こんな遊び相手は、もういらないわ」
「そんな釣れない事、言わないでください。えぇ。喜んで、お相手仕ります♪」
クロトは笑って暗色の強化手袋より鋼糸を引き出した。
攻め手は兎も角、あの守りと吸収は厄介。
傷を負っているその手足狙ってクロトは動き封じるが如く、或いは荊棘を巻き斬るが如く鋼糸を操る。
すでに、それは見られているものの、今のアミラにそれをよけ切るほどの力はない。
それでも、まだ驚異はある。多少の傷は厭わないとクロトは距離を詰めていく。
アミラは己の持ちうる力を高め――向かってくるクロトを串刺しにと地から攻撃を仕掛けてくる。
周囲に絡めた鋼糸でその身を引いて、急所に喰らうのをクロトはかわす。けれどその切っ先は体の端を捕らえて貫きはしないが斬りつけていく。
致命傷だけ外せれば、見切れればそれで良いのだ。
ひゅっと、アイラの残る腕を鋼糸が絡めとった。
クロトはそのまま、その鋼糸手繰るように近づく。そうすれば――傷を受ける可能性も高くはなるのだが。
「少しのお楽しみくらい供しましょう」
それくらいは与えて。そしてクロトは自身の狙いを気取らせない。
その足を、棘のように突き出したものが貫いていく。
貫いた、やったとアミラが薄く笑った瞬間――クロトもまた、その影を捕らえていた。
「羈束――玖式」
削弱の魔力を込めた三本の投擲ナイフが地へと縫い留めるかのように突き刺さる。
それが突き刺さると同時に自身の異変を感じて、アミラは何、と鋭くクロトを睨みつけた。
「三倍返しって。言って、此処に来てるんですよ」
確り堕として帰らなきゃあ、男じゃないでしょう?
そう言って、笑って――クロトは、最後は任せましたと仲間へと託す。
軽やかに地と走り、りょうは最後を任されたと請け負った。
「そんなに今が退屈なら、さっさと過去に帰ったらどうだ?」
お前は暇かもしれないが、こっちは暇じゃないんでな――そう呟いて、りょうは拳を向ける。
しかし、アミラはどうにか深紅の霧をかき集め拳を防いだ。
「む。打撃が通じない……? あの霧のせいか」
けれど――やっぱり、とりょうは思う。
やっぱり、あいつは殴りたいな、と。
要は、あの霧が無くなればいいということ。先程の攻撃でそれも薄っすらとなっている。
そしてもう一度、それを大量に起こすことは今の状況からないと思えた。
りょうはなぎなたをもつ手に力溜めて、攻撃する――と見せかけて大きく振り払った。
その勢いに風巻き上がり、真紅の霧が払われ真っすぐ、アミラの姿だけがりょうの目に映る。
そのままりょうはなぎなたを放り捨てるように投げ放って、アミラの懐へと潜り込んだ。
その動きは仲間の攻撃によってとどめられている。素早く逃げる事はできなかった。
近づいてしまえば――りょうの方が、速い。
もしアミラの方が速かったとしても、知ったことかとりょうは迫っていた。
怪我をしても、後で治せる。だから気にせず突き進む。
そして――至近距離。アミラの懐、りょうはその顔を見上げて。
「お前は何か気に食わないから、その攻撃ごとぶっとばす」
深紅の霧はもう間に合わない。
「そんな、拳でわたくしがっ」
やられるはずがない――その言葉は紡ぎきることなく。アミラが反応するよりも早く、りょうの拳がその身を撃ち抜いた。
それは体の中心、ど真ん中。身の内に響く衝撃にアミラは血を吐いて、そして崩れ落ちた。
呻き声と共にその身は崩れていく。その途切れる刹那にアミラは楽しそうに笑って、見せる。
吸血鬼の伯爵夫人――アミラの終わりはどうにも、あっけないものでもあった。
その最後を、りょうは見下ろし、そして己の拳を見詰める。
「うん。やっぱり殴るなら、これに限るな」
殴ったその拳はじんと痛みがある。それは実感でもあった。
吸血鬼たちの目論見は潰える。
猟兵達をおびき寄せて、待ち受けて――きっとこれと似たようなことは、これからも数々あることは想像に容易い。
けれどきっとその度に、それは打ち砕かれていくのだろう。
大成功
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