6
ふむふむ……つまり無双しろってことだな?

#アリスラビリンス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス


0




●オウガたちがやってきた
 ほのかに甘い匂いすら漂わせる、お菓子の森。
 お菓子だらけのその不思議の国は、今の今まで乱暴で残忍なオウガたちに見つからず、賑やかで楽しい時間を保ってきた。
 ビスケットの木で家を建て、昼は森でとったお菓子を皆で食べ、夜になったら広場に集まって皆で歌って踊ったりして過ごしてきた。
 だが、そんな平和なときも終わりを迎えようとしている。
 森の真ん中に一際高く立てたキャンディの砦には、見張り窓から遠くを覗いて不安な顔をする愉快な仲間たちの姿があった。
「どうしよう……あんなにオウガたちが来るなんて!」
「僕たちの国を壊しに来たのかな……せっかくみんなで作ったのに」
 はぁ、と妖精さんやカカシさんが肩を落とす。
 彼らが丹精込めて作ったこのお菓子の国は、オウガの大軍勢という脅威にさらされていた。
 軍勢が大きすぎて足が遅く、今はまだ森の外周に留まっているけれど、みんなで作った町がある中心部までやってくるのは時間の問題だろう。
 抵抗しようにも相手はオウガの大軍勢。彼らが進むたびに森の木々は数十本という単位でなぎ倒されている。とても太刀打ちできる数ではなかった。
 砦に集った愉快な仲間たちの口から、重いため息がこぼれる。
「黙ってこの国を明け渡すしかないのかなあ……」
「仕方ないよ。だって僕たちじゃ絶対に敵わないし……」
「やれやれ情けないねえ」
「あ、あなたは……筋肉質な魔女のおばあさん!!」
「魔法よりも力押しが目立つ魔女のおばあさん!!」
 砦に上ってくるなり大仰にため息をついた魔女風の鷲鼻おばあさんに、皆の視線が集まる。
 肩幅とか胸板が半端ないおばあさんは、骨張った手に持った杖をオウガの軍勢に向けた。
「あたしたちの森を好き勝手やらせていいのかい? このままじゃ全部台無しになっちまうんだよ?」
「それは嫌だけど……」
「嫌ならば戦うしかないじゃろう。のう? 魔女のばあさんや」
「あ、あなたは……筋肉質な楽師のおじいさん!!」
「愛用のリュートを壊したっきりもう楽器を持っていない楽師のおじいさん!!」
 ぬっ、と人だかりから割って出てきた偉丈夫のおじいさんが見張り窓の前に立つ。ガタイが半端ないのでそれだけでもう後ろの人は外がちっとも見えません。
「この国を守れるのはワシらしかいないんじゃ」
「お、おじいさん……!」
「でも僕たちには、おじいさんやおばあさんほどの腕力はないし……」
「っははは! 何を言ってるんだい」
 豪快に笑い飛ばしたおばあさんが、大きな拳でドンッと自分の胸を打つ。
「力なんていらない。心で戦うんだよ!」
『おばあさんっっっっ!!!!』
 あまりに格好いい台詞に、愉快な仲間たちがあっさり乗り気になったのは言うまでもない。

●童話にしてはなんだか
 宙に投影していた現地の様子をぷつっと切ると、プルート・アイスマインドは集まった猟兵たちに向き直った。
「という状況だ」
 なるほどわからん、と空気感で出しちゃう猟兵たち。
 何なのあの絶望的な戦いに挑む前のワンシーンは。おばあさんとおじいさんが勇ましすぎてほんのり死亡フラグ立ってたよね? 童話の世界観に死亡フラグ立ってたよね?
「おまえたちの言わんとするところはわかる。不思議の国の住人たちには万に一つの勝ち目もないだろう。だが猟兵が加勢すれば、勝敗は変わるのではないか?」
 きらん、と無意味に眼のあたりを光らせたプルートがビシッと一同に指を向ける。
「というわけで、おまえたちの力でお菓子の国に勝利をもたらしてほしいのだ!」
 ばばーん。
 見え見えの依頼であった。
 現地の愉快な仲間たちと力を合わせ、不思議の国をオウガの大軍勢から守り抜く。そんなわりかしヒロイックなお仕事だった。
「大軍勢と言うだけあって今回は敵の数が多い。だからある程度は現地の住人たちに任せ、おまえたちは軍勢の指揮官を討ちに向かうのがいいだろう」
 ともに戦うことになる愉快な仲間たちもユーベルコードは扱えるため、ボス格の相手は厳しくともオウガの兵隊どもであればちゃんと戦えはするらしい。
「凶悪なオウガの対処を任せるのは不安かもしれんが、心配するな。彼らの意気を見ただろう。そして筋肉質なじいさんとばあさんを見ただろう。明らかに戦闘タイプだ」
 戦闘タイプって何!?
 絶対に童話とかで出てこない単語だよねそれ!? 絶対そんなタイプ分けないよね!?
 猟兵たちはあの手この手でプルートに抗議をぶつけた。
 するとプルートはしばらくプルプルと震えて、やがて耐えられんとばかりにシュバッとグリモアをかざした。
「時間がないからハイ転移!」
 グリモア猟兵による職権の濫用だった。
 かくして、猟兵たちは問答無用でオウガの大軍勢のところへ転送されました。


星垣えん
 なるほど、無双アクションだな?
 というノリで大軍勢をばったばったする仕事だ!
 それでは章構成を見ていきましょう。

 1章:巨大な芋虫オウガの大軍を愉快な仲間たちと一緒に倒して下さい。
 2章:軍勢の指揮官である切り裂き魔を撃破して下さい。
 3章:なんかもう打ち上げ的なノリで歌ったり踊ったりするターン!

 って感じです。おばあさんやおじいさん等の愉快な仲間たちは愉快に戦ってます。猟兵らの加勢には感謝し、痛快な戦いぶりを見せれば士気も高まるでしょう。すぐ調子に乗るタイプです。

 それでは皆さんの無双プレイングお待ちしております!
95




第1章 集団戦 『グリードキャタピラー』

POW   :    キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 【SPDで判定】
 なるほど、つまりそういうことか!
 我はキャンディの砦にて高らかに詠唱をしながらドラミングをして『森の賢者』を発動。大量の(戦闘タイプの)ゴリラたちを召喚し、敵に立ち向かわせるぞ!そして、そのままキャンディの砦にて仁王立ちし、ボディビルをすることでゴリラたちに指示を出すぞ。いわゆる、ハンドサインとかそんな感じのやつだ。
 現地の愉快な仲間よ、見るがいい、あの筋肉質で心優しきゴリラたちの戦姿を!彼らの姿を目に焼き付け、己の闘志の糧とするがよい!


ルク・フッシー
せ、戦闘タイプ…?と言っても、現地民の皆さんがまともに戦っては、勝つどころか生き延びる事も難しいと思います
「よ、よし…こうなったら…!」

おじいさんとおばあさんを中心に、現地の皆さんの体や武具に紋様を描く事で、強化させていただきます

皆さんに宿すのは『鋼鉄』の属性
あんなオウガなんかに負けない、鋼の肉体でこの国を守ってください!

ぼ、ボクは…こほっ、ご、ごめんなさい…後ろで皆さんを応援してますね…

(人目につかないところに行って)「ごふっ…」(激しく吐血する)


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
ふむふむ、とにかくパワーで圧倒すれば良いんにゃね?。
それならレフティも22代目様の力(トライブ)を借りて、一緒に暴れるかにゃあ。
子猫に変身し、髭感知で敵の動きを見切り、肉球や爪で攻撃を受け捌き、肉球バッシュで押し返す、守勢がいつもの基本スタイルにゃけど。
22代目様の力なら、もっと攻勢に挑んでも良いにゃね。猫の手で「敵の攻撃」を殴り飛ばし、器用にも「敵の攻撃(歯など)」を掴んで、振り回したり叩き付けて、ばあにゃとじいにゃに負けない様に暴れるにゃあ。
…うん、鍛錬は裏切らないにゃね?。(筋肉質の愉快な仲間達をみて)


エメラ・アーヴェスピア
…そうよね、武闘会で優勝するシンデレラの様なアリスが居るのだもの
筋肉な魔女や薬師の老人も居てもおかしくないのよね、この世界…(常識力低下中)
…それでも仕事は仕事…しっかりこなしましょう…

さて…砦があるなら丁度いいわ、使わせてもらうわね
『この場は既に我が陣地』!さぁ、高所から撃って撃って撃ちまくるわよ!
それと…折角、愉快な仲間達の子たちがやる気になっているのだから
砲台のいくつか、コントロールを貸してあげるわ
装填は砲台が勝手にやるから好きに使いなさい
…実は砲台、一撃で壊れてしまうけど…まぁ遠距離攻撃も無いみたいだし、多分大丈夫でしょう
それに砲台、数だけはあるから…

※アドリブ・絡み歓迎


花盛・乙女
はっはっは!いやはや、なかなかに痛快だ!
矍鑠としたじじ様やばば様が兵を率いるか!
なればこの花盛乙女も混ぜてもらおう!
さぁ、戦場の彩りを添えるとしよう!

【黒椿】と【乙女】の二振りを構え臨む。
「戦闘知識」と「怪力」で縦横無尽に戦場を走ろう。
じじ様とばば様や他の皆は放っておいてもいいなら気が楽だ。
巨大な芋虫共を刀の錆びにしていこう。
万が一他の者が襲われんとすれば「武器受け」で「かばう」ぞ。

敵は恐ろしいがこの戦場は楽しいものだ。
何しろこれほど頼もしい連中と駆け回れるのだからな!
さぁ芋虫共!この羅刹女の鬼吹雪!とくと味わっていくがいい!

■アドリブ連携歓迎です



 森の木々をその巨大な体で折り、重機のごとく迫ってくる巨大芋虫たち。
 グリードキャタピラーたちはもはや一見では把握できないほどの数だ。
「これ以上進ませやしないよ!」
「ここが防衛線じゃ! 絶対に守るぞい!」
『おぉーー!!』
 屈強なおばあさんとおじいさんを中心に、愉快な仲間たちが身構える。
 ついに始まる激突――というとき、横合いから高らかな笑い声が飛びこんできた。
「はっはっは! いやはや、なかなかに痛快だ! 矍鑠としたじじ様やばば様が兵を率いるか!」
 現れたのは華美な戦装束を着込んだ女――花盛・乙女だ。
「なればこの花盛乙女も混ぜてもらおう! さぁ、戦場の彩りを添えるとしよう!」
 おばあさんとおじいさんを横目で一瞥すると、乙女は二振りの刀を抜いた。醜悪なる刀『黒椿』と鋭き小太刀『乙女』を持つ手をそれぞれ別個の猛獣のように振るい、グリードキャタピラーの群れに突っこむ。
 一瞬の静寂の後、芋虫たちは爆ぜるかのように斬り飛ばされていた。
 肉片と体液とオウガの慄きが降りそそぐ中、乙女が次なる群れに切っ先を向ける。
「この黒椿の錆びにしてやろうぞ。芋虫共!」
 1歩踏むなり、瞬きをする間もなく二刀で敵陣を切り裂く乙女。
 その鬼神じみた後ろ姿に、おばあさんたちは大いに沸いた。
「ははっ! どこの誰だか知らないが、とんでもない手練が来てくれたもんだ! 後れを取るんじゃないよ、おまえたち!」
「おぉー!」
「続けー!」
 意気軒高。愉快な仲間たちが戦線を押し返す。カカシさんの農具が、妖精さんのいたずらが、おばあさんの飛び膝蹴りがグリードキャタピラーたちを怯ませてゆく。
「乙女のおかげでだいぶやる気になってるにゃ!」
「そ、そうですね……」
 腕に抱えたふわもふ白猫の弾んだ声に、小柄な竜人――ルク・フッシーはちょっとためらい気味な声を返した。
 どこか不安げである。白猫――レフティ・リトルキャットはルクの顔を見上げた。
「どうしたにゃ?」
「えと……せ、戦闘タイプ……? と言っても、現地民の皆さんがまともに戦うのは、危なそうじゃないですか……?」
「そうかにゃ?」
 愉快な仲間たちの戦いぶりに再び目をやるレフティ。ちょうどおじいさんがグリードキャタピラーの首(?)らへんにラリアットをしている様子が見える。
 が、ルクの言葉も一理あった。決して盤石な戦いではない。少し情勢が不利に傾けば愉快な仲間たちは一気に瓦解してしまうだろう。
「まあ心配になるのもわからにゃいでもないにゃ」
「ですよね……よ、よし……こうなったら……!」
 レフティをそっと下ろしたルクがキリッと目力を強め、懐から絵筆を取りだす。そのままするすると愉快な仲間たちに近づくと、ぱぱっと彼らの体に不思議な文様を描きこんだ。
 途端、おじいさんたちは自らの肉体が鋼のように強化される感覚を覚える。
「こ、これは何じゃ……!?」
「すごい! 何だか強くなった気分だよ!」
「皆さんに『鋼鉄』の属性を宿しました……! これで戦いやすくなったと思います……あんなオウガなんかに負けない、鋼の肉体でこの国を守ってください!」
「恩に着るぞい、竜の坊主!」
 ルクへの礼を口にしたおじいさんの上着が、膨張した筋肉で破け去った。ぱっと見ほぼオウガっぽいおじいさんが芋虫を殴りつけると、仲間たちはいっそう勢いづいて戦線を押しこんでゆく。
 とゆー戦場の喧噪を背中に感じながら、ルクはよろよろと後方に退いた。
「ぼ、ボクは後ろで皆さんを応援してま……ごふっ……」
 鮮血を吐き、ぽてっと倒れるルク。
 超強化の代償として盛大に吐血してしまったルクはそのままひっそりと、キャンディの砦まで妖精さんたちに運んでもらいました。
 一方、ルクと分かれたレフティは戦闘の渦中でうんうん頷いていた。
「ふむふむ、とにかくパワーで圧倒すれば良いんにゃね?」
 威嚇するように尻尾を立てたレフティが戦闘態勢に移る。可愛らしい子猫ボディを駆使し、髭で敵の動きを感じたり、肉球で敵をぽいんとやったりするのが彼の常である。
 いわば攻撃を受ける守りのスタイル。
 が、敵を打ち払い、その姿でもって仲間に勇気を与えるならば守勢に回るのは是ではない。
「それなら22代目様の力を借りて一緒に暴れるかにゃあ」
 ユーベルコードを発動し、また趣の違う子猫へと変じるレフティ――へグリードキャタピラーが大口をあけて飛びかかってきた。
「そいにゃ!」
 レフティのくんっと曲がった猫の手が敵の牙を受け止める。器用にもそのまま芋虫の牙を掴み続けると、彼はそのまま芋虫を武器代わりにして他のオウガたちを散々に打ち払ってゆく。
「て、敵で敵を攻撃するだって!?」
「やるのう、子猫!!」
「もちろんにゃ。鍛錬は裏切らないのにゃ!」
「はっ! 言うねえ!」
「ならばワシらも鍛錬の成果を見せねばのう!」
 猫の手をきゅっとやったレフティににかっと笑い、おばあさんとおじいさんが闘気を強めて芋虫をひっつかみ、投げ飛ばしてゆく。

 っていうカオスってる戦況をキャンディの砦から眺めていたエメラ・アーヴェスピアが、緩慢な動きで顔を上げた。
「……そうよね、武闘会で優勝するシンデレラの様なアリスが居るのだもの。筋肉な魔女や薬師の老人が居てもおかしくないのよね、この世界……」
 ぶつぶつと己を言い聞かせるエメラの目は死んでいる。
 アリスラビリンスという世界の混沌を目撃し、常識という基盤が揺らいでいる目であった。
 一方、エメラの隣で同じく戦況を見守っていた竹城・落葉はカッと黒瞳を見開いていた。
「ふむ、なるほどな。つまりそういうことか!」
「落葉さん? 急に何がわかったの?」
「いま必要なのは……ゴリラだ!」
「ごめんもう1回言ってくれる?」
「いま必要なのは……ゴリラだ!」
「溜めまで再現してくれなくてもいいのよ? というかその前にゴリラって何」
 そろそろ状況が理解力を超えて朦朧としてきたエメラをよそに、落葉は嬉々とした顔でキャンディ砦の頂上に上る。ひらかれたその場からは戦場の森がよく見える。
 自分の胸に拳をあてがう落葉。
「ウホ、ウホホホ、ウホオオオォォーーッ!!」
 咆哮だった。
 22歳の女が出していい咆哮ではなかった。
「ウホ、ウホホホ、ウホオオオォォーーッ!!」
 けど2回もやっちゃうぐらい羞恥心はなかった。
 だが落葉とて酔狂でウホウホ言ったわけではない。酔狂で編み出したユーベルコードかもしれないが、森の中心でウホを叫んだのは酔狂なんかではない。
 彼女の周りには――なんと大量のゴリラが現れていた! 砦頂上がみっちみちのゴリラワールドになるぐらい大量のゴリラが!
「さあオウガたちを倒してこい!」
『ウホォォーー!!』
 仁王立ちする落葉の指示が下るや、ゴリラズが森の中へ飛び降りてゆく。近場の芋虫を掴んでは投げ、張り手をくらわし、大暴れを始める。
 見張り窓からそんな珍風景を見ていたエメラは、やはり目が死んでいた。
「なんでゴリラなの……」
『ほう、やるのう毛深いの!』(おじいさん)
『見ない顔だが……あんたみたいなのがいたなんてねえ!』(おばあさん)
『ウホホォーー!!』(ゴリラ)
「おじいさんたちなんで意気投合してるの……!」
「敵は恐ろしいがこの戦場は楽しいものだ。何しろこれほど頼もしい連中と駆け回れるのだからな! さぁ芋虫共! この羅刹女の鬼吹雪! とくと味わっていくがいい!」(乙女)
「乙女さん、その台詞は今言うとゴリラに信頼寄せてるみたいになるわよ……!」
 なんかもう混沌の戦場に絶望に近いものを感じるエメラである。
 が放心していても何が良くなるわけでもない。
 むしろ自分がサボってたらゴリラは増えるかもしれない。そんな思いに突き動かされたエメラは急いでユーベルコードを発動した。
「『この場は既に我が陣地』! さぁ、高所から撃って撃って撃ちまくるわよ!」
 じゃじゃーん、と砦内に現れたのは眩しくも金色に輝く砲台だった。200台はあるだろうエメラ特製の魔導蒸気砲台、それが砦の見張り窓からぬっと砲身を露出させている。
「殲滅!」
 エメラの号令と同時に、100台以上の砲台がずどぉーんと砲撃を発した。直線軌道で森へ突っこんだ砲弾は芋虫を易々と粉砕し、体液が間欠泉のように舞い上がる。
 砦に待機していた愉快な仲間たちは大きな拍手をしていた。
「うわーすごーい」
「木っ端微塵だね!」
「ほらあなたたち。砲台のいくつか、コントロールを貸してあげるわ。装填は砲台が勝手にやるから好きに使いなさい」
「え! 撃っていいの!?」
「やったー私もズドーンってやるー!」
 遠距離から撃つだけなら安全だろうと踏んだエメラの許可を得て、はしゃいだ様子で砲座に収まる愉快な仲間たち。砲身を横に動かし、射出される砲弾をじゃんじゃんグリードキャタピラーたちに命中させてゆく。
 戦況は明らかに優勢を築いている。
 が、エメラはどうしても思ってしまうのだ。
(「……しかし砲弾とゴリラが飛び交う戦場って地獄よね……」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
こんな可愛くてメルヘンな世界で戦うのであれば、武器もメルヘンなものを用いて世界観を壊さないようにしたいところです

という事で、戦闘タイプのからくり人形『ニッキーくん』よろしくどうぞ
うわっニッキーくん、この世界にマッチしまくりですね……
流石はメルヘンの申し子です。常軌を逸しておりますね、色んな意味で

敵はニッキーくんの「死の抱擁」という名の優しいハグで、ユーベルコードごと行動を封じてしまいます
敵同士という許されざる関係のラインを超えて優しくハグしあう二人……
なんとも尊く美しく、まるで童話のハッピーエンドを思わせる光景ではないですか
感動のあまり涙が出そうですよ、敵は妖刀で死ぬほど【串刺し】にしますけど


月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加

相手がオブリビオンであり、我々が猟兵である限り
どの世界へ行こうとも戦う事に変わりはありません
それに彼等を助けなければなりませんね

まずは愉快な仲間たち、でしたね
彼等に接近する敵を優先して撃破しましょう
ダッシュにて接近、先制攻撃・早業・2回攻撃による抜刀術『風斬』
敵の数が多い内は攻撃回数重視
一撃で痛手を与えられないのならば攻撃力重視
私達は猟兵、義によって助太刀致します

敵からの攻撃は残像・見切りより躱してカウンター
彼等に攻撃が向かう時はかばって武器受け

この世界には侍なぞ居ないのでしょうが鬼も、ですよ
目立つのはお互い様です
ですが、だからこそ敵を引きつけるには良い


篝・倫太郎
夜彦(f01521)と

職権乱用……それはそれとして
人助けと行きますか!……人?
ま、細かい事はいいや

エレクトロレギオン使用
機械兵器には俺と夜彦の死角をフォローするのとー……
最寄りの愉快な仲間の攻撃フォローや身代わりを務めるように指示

俺自身は華焔刀で先制攻撃
なぎ払いから刃を返しての2回攻撃で範囲攻撃を仕掛けてく

あぶねぇから下がっとけよー!

敵の攻撃にはフェイントと見切り、必要なら残像で回避
別に敵意も悪意もねぇけども
こゆのはなんだっけ?過剰防衛?
違うかーそっかー

つーか、夜彦
あんたものすげぇ目立つわ
和装のイケメンがメルヘン世界で刀使ってるつー状況は
ものすんごい目立つ

はは!確かに鬼も侍も珍しいだろーな!


アリス・セカンドカラー
カートゥーンアニメなのかジ◯リアニメなのか。ノリ的にはそんな感じよね。
イモムシさんかぁ、案外美味しいのよね☆(特徴:サバイバルが好き)
体内に飼っているパラサイトテンタクルをにゅるんと出して、すぼっと串刺しにして大食いでむしゃむしゃと体内をトンネル掘りで食べ進めさせるわ。コレを二回攻撃の範囲攻撃でのアブセナティダンスで行うわよ。
寿命?大食いな念動力での盗み攻撃で生命力吸収すれば相殺できるから問題ないわよ。
ま、好みの子がいたら少年誌レベル(ゆ◯ぎ荘基準)の触手プレイはしちゃうかもしれないわね♡妖精さんタイプの愉快な仲間がいたら危ないかも?なお、ヤるからには誘惑とドーピングできっちり堕とすわよ♡


ヘルメス・トリスメギストス
「筋肉質な魔女のおばあさんに、楽師のおじいさんですか……
さすがは童話の世界。なんでもありですね」

非常識な登場人物たちに苦笑しつつも、
私も彼らに加勢いたしましょう。

不思議の国の住人の皆様も、執事である私にとっては、ご主人様・お嬢様です。
執事として、オウガたちから守り抜いて見せましょう!

オウガの軍勢の前に立ち、白手袋を嵌め直し【執事格闘術】の構えを取ります。

「この格闘術は執事たるもの誰でも習得している基本スキル。
主人を守るためには必要な技術なのです」

キャタピラーの突進程度、主人に突っ込んでくるダンプカーを受け止めねばならない執事にとっては軽自動車も同然です。

「主を襲うのでしたらお帰りいただきます」


シャルロット・テルミドール
※共闘、アドリブ大歓迎

童話の素敵な世界にこの様なオドロオドロしいオウガは似合いませんね。ここは私たち猟兵の出番ですね。

初めての依頼で、初めての世界。緊張はしますが主の導きのもと、悪鬼羅刹は斬らせてもらいます!

聖書にはこの様な言葉があります。剣を取る者は、剣で滅びると。暴力で人を制圧する人は更なる暴力に押し潰されると言う意味です。それを直に味わってもらいましょう。
両手を特大剣に変形させて辺りを切り払います。右へ左へ薙いで薙いで、虫さんの体を叩き斬りましょう。
食べられそうになったら後方へムーンサルトの要領で回避しつつ両足を野太刀に変えて切り上げましょう。

「主の名の下、討たせてもらいます!」



「さあ! もっと奴らを押し返すよ!」
「ワシらの国から追い出してやるんじゃ!」
「わかったよー!」
 猟兵たちの加勢を得て俄然、戦意を高める愉快な仲間たち。凶悪な芋虫オウガたちと臆することなく戦い、森の外側へと押し出してゆく。
 果敢である。
 だがその先頭で体を張るのはおばあさんとおじいさん。
 エルフ執事さん――ヘルメス・トリスメギストスはモノクルの向こうに屈強な2人の雄姿を捉え、つい苦笑いしてしまった。
「筋肉質な魔女のおばあさんに、楽師のおじいさんですか……さすがは童話の世界。なんでもありですね」
「素敵な世界ですよね。でもそんな世界に、オドロオドロしいオウガは似合いません」
 修道服を着こむ大女――シャルロット・テルミドールが凛然とグリードキャタピラーたちを見据える。一時は気圧されていた芋虫たちだったが、その数を活かしてじわじわと戦線を押し戻しているように見えた。
 シャルロットは胸に手を当ててひとつ呼吸を整えると、身ひとつでオウガたちへ吶喊した。
「主の導きのもと、悪鬼羅刹は斬らせてもらいます!」
 バイオモンスターであるシャルロットの両腕が、巨大な剣へと変化する。右へ左へ、さながら生い茂る無用な草を刈り取るように腕を振るう。
 それだけで、巨大芋虫たちの体は鮮やかに両断されていた。
「――!」
 同胞を討たれたグリードキャタピラーがシャルロットに喰いかかる。
 だが閉じた口は何も捉えない。それどころか、野太刀へと形状変化したシャルロットの両脚に、宙返りざまに顔面を真っ二つに裂かれていた。
「聖書にはこの様な言葉があります。剣を取る者は、剣で滅びると。暴力で人を制圧する人は更なる暴力に押し潰されると言う意味です。それを直に味わってもらいましょう」
「あのお姉ちゃん、すごいね!」
「ようし、僕たちもお姉ちゃんに負けないように……うわっ!?」
 敵の群れの中で乱舞するシャルロットに目を奪われていた男の子の妖精たちが、恐怖の声をあげる。振り返ったら、背後に迫っていた芋虫オウガが大口を開けていたのだ。
 捕食される。
 そう思った瞬間、妖精たちの前にはヘルメスの背中があった。
 皺ひとつない執事服のエルフが、白手袋の両手でオウガの牙を受け止めていた。
「不思議の国の住人の皆様も、執事である私にとっては、ご主人様・お嬢様です。執事として、オウガたちから守り抜いて見せましょう!」
「――!」
 芋虫を突き放したヘルメスが、内ポケットから2本のテーブルナイフを抜く。指の間から華麗に飛んだナイフはオウガの両眼を貫き、一瞬で息の根を止めた。
 執事っていうかほぼアサシンだった。
「この格闘術は執事たるもの誰でも習得している基本スキル。主人を守るためには必要な技術なのです」
「執事業界もずいぶんハードルが上がったのね……」
「おや、アリス様」
 森の向こうからとことこと歩いてきた少女――アリス・セカンドカラーが呆れた眼を向けてきたが、当のヘルメスはまるで気にすることもなく微笑む。
「芋虫の突進程度、主人に突っ込んでくるダンプカーを受け止めねばならない執事にとっては軽自動車も同然ですから」
「その主人、命を狙われてない?」
「それに対応するのも執事の務め……ところでどこかへ行ってらしたようですが、御用はお済みに?」
「ええ。とっても充実した触手プレ……ひとときだったわ♪」
 ふふふ、と不穏なことを言いかけた口を押さえるアリス。
 いったい何をしやがったんだ……どこかの草むらとかに妖精さんが蕩けた表情で倒れてるような気がしてならないんだけど……。
 だがそんな疑惑をよそに、アリスは未だ辺りを埋め尽くす巨大芋虫の群れに目を留めた。
「イモムシさんかぁ、案外美味しいのよね☆」
 口をひらけば危ないことしか出てこない女が、体内から怪しげな触手をにゅるんと表出させる。
 そして(使いたてと言わんばかりにぬらぬらしてる)その触手を、適当なグリードキャタピラーさんの牙だらけの口に突っこんだ。
「さ、お食事の時間よ☆」
 アリスの瞳が、赤々とした輝きを灯す。すると芋虫に突き刺さった触手が急速に活性化し、暴れ狂うように体内へと浸食を開始した。
 文字通り体内の肉を食い荒らして。
 グリードキャタピラーは3秒と経たず、大きいだけの骸と化していた。
「それじゃ周りのイモムシさんもどんどん食べちゃいましょうか」
 アリスの命令を受けて、触手が次なる宿主へと襲いかかる。そっからはもう触手さんのむしゃむしゃ祭りで、芋虫さんは恐れ慄いて逃げ回るばかりでした。
 おじいさんはここぞとばかりに、仲間たちに声をかける。
「オウガが怯んでおるぞ! 畳みかけるんじゃ!」
「おーう!」
「押し込めー!」
「そうですね。今のうちに押しましょう押しましょう」
 気勢を上げる愉快な仲間たち――にしれっと混ざって進軍する夏目・晴夜。
 凄まじい紛れっぷりであった。
 が、みんなと足並み揃えて進む中で、晴夜はわざとらしく手を叩く。
「こんな可愛くてメルヘンな世界で戦うのであれば、こちらもメルヘンに戦いたいところですね」
 絶対にそうだ、と深く頷いた晴夜が、己の指から伸びる操り糸を動かす。
 すると彼の背後にあった大きな人影――からくり人形が起動し、みょいーんと跳躍してずしーんと晴夜を守るように仁王立ちした。
「そ、それは!?」
 おばあさんが陽を受けて露になったからくり人形の姿に驚愕する。
 なんと! 動物っぽいツギハギマスクをかぶった半裸の大男がそこにいた!
「そ、それは……」
 微妙な顔色になるおばあさん。
 世界観がホラーだった。
 しかし晴夜はむしろ拍手である。
「うわっニッキーくん、この世界にマッチしまくりですね……流石はメルヘンの申し子です。常軌を逸しておりますね、色んな意味で」
 てれてれ……と後頭部をぽりぽりするからくり人形『ニッキーくん』。
 だが今はニッキーくんを観賞する時間ではない。晴夜は腕を振り、手近な芋虫さんに向けてニッキーくんを走らせた。
 逞しい両腕を開いたニッキーくんはガシッと熱い抱擁。
 みしみしとかぶちぶちとか音をさせながら芋虫さんが苦悶した。
 ハグが重い。
「敵同士という許されざる関係のラインを超えて優しくハグしあう二人……なんとも尊く美しく、まるで童話のハッピーエンドを思わせる光景ではないですか」
 うるっと泣くフリをしつつ、もがく芋虫さんにざくざく妖刀を突き刺す晴夜。
 圧倒的蹂躙である。
「オウガが手も足も出ずに!」
「すごいや! これなら絶対に勝てる!」
 完封どころか完全試合の様子を見て愉快な仲間たちはさらに勢いづく。
 しかしオウガ陣営もその兆しを読み取り、手を打ってくる。愉快な仲間たちの気勢を削ごうと、グリードキャタピラーたちが集まってこちらを押し潰そうと襲いかかった。
「――!」
「わっ、わわわっ!?」
「くっそぉ……これじゃ逆に押されちゃう……!」
 巨大な芋虫たちに囲まれ、じりじりとラインを下げてしまう愉快な仲間たち。
 圧殺するように迫ってくるオウガたち。
 だがその刹那、空から大量の小型機械が降りそそいだ。両軍の間に割って入ったそれらは巨大芋虫たちに体当たりし、身を挺して愉快な仲間たちを守ってゆく。
 そして第二波――風が、風のような何かが戦場を通り過ぎた。
 どこからか目にも止まらぬ速度が横断した――そう愉快な仲間たちが認識した瞬間、巨大芋虫たちの体は千々に切り裂かれて崩れていた。
 嵐のような数秒だった。
 やがて沈黙を破ったのは、2人の男の声。
「私達は猟兵、義によって助太刀致します」
「あぶねぇから下がっとけよー!」
 藍色の長髪を翻らせる剣士が澄み切った刃を鞘に納め、粗野な物言いを響かせる羅刹が愉快な仲間たちを守るように立つ。
 月舘・夜彦と篝・倫太郎である。
 2人はわずか視線を交わすと、それぞれ身構えた。
 一歩踏みこんだのは夜彦だ。
「倫太郎殿、守りは任せます」
「おうよ任された。安心してぶった切ってきな」
「では」
 地を蹴り、夜彦が飛び出してゆく。あっという間に芋虫たちに迫った剣豪は抜刀。通りすぎざまに無数の斬撃が繰り出され、一帯にはまたも肉と体液の雨が降る。
「す、すごい!」
「はー格好いいなあ……」
「ま、確かに絵になるわな」
 舞台を踏むように敵群を斬り伏せる夜彦を見て、妖精たちが感嘆する。付近のグリードキャタピラーを華焔刀で薙ぎ払いながら、倫太郎は盛大に笑った。
「つーか、夜彦。あんたものすげぇ目立つわ。和装のイケメンがメルヘン世界で刀使ってるつー状況はものすんごい目立つ」
「だからこそ敵を引きつけるには良い」
 倫太郎に応えた夜彦が、刀の切っ先を芋虫どもに向ける。
「ですがこの世界には居ないのは、侍も鬼も同じですよ」
「はは! 確かに鬼も侍も珍しいだろーな!」
 軽口を叩きつつ、互いに刀を振るってグリードキャタピラーを斬りまくる夜彦と倫太郎。
 辺りは瞬く間に、芋虫たちの骸の山と化していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『切り裂き魔』

POW   :    マッドリッパー
無敵の【殺人道具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    インビジブルアサシン
自身が装備する【血塗られた刃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    殺人衝動
自身が【殺人衝動】を感じると、レベル×1体の【無数の血塗られた刃】が召喚される。無数の血塗られた刃は殺人衝動を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:芋園缶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの活躍、愉快な仲間たちの奮戦。
 その結果として戦況は優勢、オウガの軍勢は耐えきれずにどんどん森の外へと後退していた。
「いい感じだよ、あんたたち!」
「勝てる戦いじゃぞ! 気合を入れるんじゃあ!」
『おぉーーー!!』
 いっそうの戦意を燃やし、おばあさんとおじいさんと仲間たちはオウガの軍勢に立ち向かう。
 だが、見据えた先には――ひとつ趣を異にするオウガがいた。
 その身を数多の刃と鮮血で彩った、道化じみたオウガ――『切り裂き魔』が、いた。
「あーあー……まったく不甲斐ない戦況だ。あたしらはこの国を蹂躙し、奪いつくすために来たんでしょうに……」
 喉をからしたような気味の悪い声で、落胆をこぼす切り裂き魔。
 彼はゆっくりと歩を進めると、強烈な殺意を発しながら嗤った。
「仕方ないですね……あたし直々に解体して、森に還してやりましょうか……!」
 切り裂き魔が巨大な手についた刃を1本1本動かし、顔を歪める。
 あれは危険だ。
 ――おばあさんとおじいさんは直感した。
「……あたしらにあれの相手はできないねえ……」
「芋虫どもの相手はワシらでする……じゃからおまえさんらは、あの親玉を頼むぞい!」
 急にシリアスっぽく汗を垂らしたマッスル老人たちが、くわっと猟兵たちに頼みこんだ。
「なあに、こっちのことは気にせんでええ……!」
「生い先短い命だからねえ……せいぜい一花咲かせてやるさね!」
 しかも命を懸けて敵の足止めに向かう的な雰囲気で親指まで立ててきた。
 あなたたちは生い先短くても他の愉快な仲間たちは違うのでは……そんなことを思いながら、猟兵たちは切り裂き魔へ向けて駆けだしてゆく。
アリス・セカンドカラー
まずはデバフを与えて弱体化狙いよ。というわけで、妄想世界で切り裂き魔を甘ロリ男の娘へとメタモルフォーゼ☆大きいお友達が喜びそうな演出に力をいれた変身バルクもコミコミで精神攻撃よ♡
殺人道具も地塗られた刃も姿にふさわしいぬいぐるみや玩具に変換よ☆ふふ、果たしてそんな姿で自分の能力に疑問を抱かずにいられるかしら?
さぁ、妄想世界で産み出した薄い本でお馴染みの生物や玩具でたっぷりと可愛がってあげる♡大食いな念動力での盗み攻撃で生命力吸収しながらちゅっちゃぺろぺろよー♪医術、毒使い、ドーピングで投与したオクスリで感度マシマシで堪らないでしょ☆
てってーてきに堕としてあ・げ・る♡


ヘルメス・トリスメギストス
「切り裂き魔ですか。
ご主人様(おじいさん)やお嬢様(おばあさん)たちをお守りするのが執事の役目。
不審な暗殺者にはお帰りいただきましょう!」

懐から取り出したナイフで、切り裂き魔が放つ血塗られた刃を迎撃していきます。
まったく、こんな汚れた食器を使うなど、執事として許せませんね。
こちらも【執事格闘術】でお相手しましょう。

「主に近づく不審者を撃退するのも、執事の重要な仕事。
まずは、アポイントメントを取ったり、ドレスコードを守ったり、きちんと玄関から入ってくるといった常識を身に着けてから出直してきてくださいませ」

非常識な方には、きっちりとお説教をさせていただきましょう。(お前が言うか

アドリブ大歓迎



 血の臭いをまき散らしながら、カシャカシャと機械のような脚で歩んでくる。
 その異形を前にして、しかしヘルメスは泰然として襟を正した。
「ご主人様やお嬢様たちをお守りするのが執事の役目。不審な暗殺者にはお帰りいただきましょう!」
「へえ。まずはあなたがあたしの相手を?」
 けらけらと嗤いながら、切り裂き魔が刃を擦り合わせた。不気味な音が奏でられると同時に、その周囲に何十本という刃が生み出され、ヘルメスを切り裂かんと次々に飛来する。
 そのどれもが、たっぷりと血の赤に濡れている――と確認した瞬間、ヘルメスの手は懐に滑りこみ、流れるようにナイフを投擲して刃を弾き落としていた。
「あたしの刃物を落としますか……!?」
「まったく、こんな汚れた食器を使うなど執事として許せませんね。この国を襲う前に、きちんとしたテーブルマナーを習得してほしいものです」
 聞こえよがしに盛大なため息をつくヘルメス。かぶりを振って肩を竦めるという定番コンボまで決める絶好調ぶりである。
 対して、かちかちと苛立つように刃を打ち合わせる切り裂き魔。
「そちらこそ執事だ何だのと……嘘をつくとはひどいですねぇ」
「何を言います。主に近づく不審者を撃退するのも、執事の重要な仕事です」
「それ本当に執事です!?」
「まずは、アポイントメントを取ったり、ドレスコードを守ったり、きちんと玄関から入ってくるといった常識を身に着けてから出直してきてくださいませ」
 あくまで執事。
 しゅぱしゅぱテーブルナイフを投げるヘルメスの顔は、雄弁にそう語っていた。着実に切り裂き魔の脚とか削ってるけどあくまで執事なんだからね。
「くっ……ですがそんなナイフ程度ではあたしは倒せませんよ?」
「あーそうね。うん、そうよね」
「! 誰です!?」
 横合いから飛んできた声に、切り裂き魔がぐるんと振り向く。
 そこのいたのは赤い瞳でじーっと見てくる少女――アリスだった。アリスが大仰なほどこくこく頷いていた。
 これは嫌な予感がしますね……。
 けれどアリスがどんなあぶねえ存在かなんて知らない切り裂き魔さんは、悪者っぽく刃に舌なめずりとかしてた。
「ヒヒッ、不意打ちでも狙ってましたか……? だがいると知った以上は手を打たせてもらいますよ。こうやってねえ!」
 切り裂き魔が声をあげると、彼の体を囲むように刃の壁が現れる。球体のように全方位をカバーするそれはまさに鉄壁。背後から襲われようが逆に相手を切り裂くだろう。
「これであたしに攻撃は届きません」
「そうね。でも物理的な攻撃じゃなければ余裕よ♪」
「へっ?」
 アリスが指を鳴らすと、天から降ってきた謎の光が切り裂き魔を包んだ。
 すると! 切り裂き魔の身長が縮む!
 顔だか何だかわかんない部分がピュアで可愛い少年顔に!
 ぼろぼろの上着も白くてフリフリな甘い衣装に!
 手の禍々しい刃もつぶらな瞳のぬいぐるみに!
「な、何だこれはァーー!?」
「ふふっ、甘ロリ男の娘へとメタモルフォーゼよ☆ さ、そんな姿でも自分の能力に疑問を抱かずに……って訊くまでもなく刃の壁が消えてるわね」
「く、来るなー!」
 にじり寄るアリスを追っ払おうと、ぬいぐるみを振り振りする切り裂き魔くん。
 脅威が毛ほどもない。
「さあ、ちゅっちゃぺろぺろよー♪ てってーてきに堕としてあ・げ・る♡」
「や、やめてぇぇーー!!?」
 アリスの背後からもぞもぞと這い出る触手! 玩具! その他!
 しばらくして元の姿に戻れた切り裂き魔が、そのときはもうアリスに色々吸いつくされて心なしか元気がなくなっていました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
夜彦(f01521)と

おいぃぃ?!
あの爺婆、なんか不吉なこと言ってンぜ
鼓舞ねぇ……にしても縁起でもねぇ

ま、そんな事態にゃさせねぇさ
寝覚め悪ぃったらねぇもんよ
つー訳で連中にはしっかりきっちり還って貰おうじゃねぇの

拘束術使用
切り裂き魔を鎖で攻撃する合間に接近
出来るだけ死角に回り込んで華焔刀で先制攻撃
刃を返して2回攻撃で時間稼ぎ

悪ぃな?俺は囮でよ
本命は向こう……夜彦、任せるぜ!

夜彦の腕前なら確実に届くだろ

一応、心配なんで
戦闘中も出来るだけ愉快な仲間たちの戦闘フォローはするようにしとく
つっても、拘束術での攻撃くらいだけどもな

奪い尽す?んなこたぁさせねぇよ
その為に俺らは此処に居るんだからさ
骸の海に還んな


月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加

彼等は危機的な状況に敢えてあの様に言って気持ちを昂らせる
……という鼓舞なのでしょうか、なるほど
私達はオブリビオンを倒す事が目的ではありますが
それだけではなく、貴方達の命も欠くわけにはいきません
引き続き、我々にお任せを

敵からの攻撃は残像・見切りより回避してカウンターによる斬り返し
念動力による不意の攻撃には武器受けにて、その場で防御
刃の複製、または刃の召喚は2回攻撃・なぎ払いより武器落としにより捌く
周囲への被害を広げないよう、早急に対処
倫太郎殿が時間を稼いでいる間に敵との距離を詰め、早業による抜刀術『静風』
僅かな隙さえあれば、刃は届きましょう



 めっちゃ清々しい顔で芋虫たちに突っこみ、勇壮な背中を見せるおばあさん&おじいさん。
 倫太郎はその背中から、隣の夜彦へ猛然と視線を向けた。
「おいぃぃ?! あの爺婆、なんか不吉なこと言ってンぜ!?」
「危機的な状況に敢えてあの様に言って気持ちを昂らせる……という鼓舞なのでしょう」
 冷静に答える夜彦。
 果たして本当にそうなんだろうか、と思いつつも倫太郎が黙って頬をぽりぽり。
「……にしても縁起でもねぇ。寝覚め悪ぃったらねぇし……気張るぜ、夜彦」
「ええ。彼等の命も欠くわけにはいきません」
 互いに視線を交わし、言葉少なに意思を通わせた2人が、正面を向く。
 見据えるは悪辣なオウガ――切り裂き魔だ。すでに猟兵と矛を交わし、消耗しているが、それでもなお嫌らしい笑みは崩れていなかった。
「ヒヒッ。困りますねぇ。あなたがたを殺れなきゃあ、あたしは仕事ができないようだ」
「仕事……あぁ、奪い尽すとか言ってたな?」
 そっぽを向き、記憶を探るような素振りを見せた倫太郎が、再び透き通った琥珀色の瞳を切り裂き魔に向ける。
「んなこたぁさせねぇよ。その為に俺らは此処に居るんだからさ」
 言下、地を蹴った倫太郎が獣のように飛び出した。駆けると同時に腕に集中を注ぎ、誰の目にも捉えられぬ不可視の鎖を作り出す。
「そらよっ!」
「!? 何です!?」
 振りあげた腕から鎖が放たれ、切り裂き魔の体に絡みつく。見えないながらも感触から縛られていることを知り、切り裂き魔も身をよじって逃れようとするが、鎖が彼を解放することはない。
 好機――倫太郎は敵側面へ回りこみ、黒塗りの薙刀『華焔刀』を振りかぶった。
「あとは叩っ斬るだけだぜ!」
「――動きが封じられようと、できることはあるんですよ!」
「なっ!?」
 本能的に危機を感じた倫太郎が、薙刀を止めて飛びすさる。
 次の瞬間、倫太郎が立っていた場所に無数の刃が降りそそぐ。
「っぶねえ! 上からだと!?」
 空を見上げる倫太郎が見たものは、ガトリング砲のようなものが宙に浮いているさまだった。しかし咆哮から覗くのは鋭い刃――あれで上方から攻撃を仕掛けてきたらしい。
「面倒くせえ武器を使いやがる……!」
「ッヒヒ! これであなたを串刺しにすれば、墓標もいらないですよねぇ!」
「悪趣味な野郎だぜ……だがな」
 ゆっくりと華焔刀の切っ先を上げた倫太郎が、楽しげに嗤う切り裂き魔へ、にやりと笑いを返す。
「悪ぃな? 俺は囮でよ」
「……囮?」
 首を傾げかけた切り裂き魔が――はたと気づく。
 そう、最初から相手は2人だった。鎖に拘束され、斬りかかってきた倫太郎に対処することですっぽりと頭から抜けていたが、倫太郎へ向く自分の後ろには――。
「夜彦、任せるぜ!」
「心得ました」
 月のように静かな声が聞こえた瞬間、空気が張りつめた。
 振り返らずとも、切り裂き魔はわかった。それがたゆまぬ鍛錬で磨かれた剣士の気によるものだと。曲がりなりにも刃を扱う者として、感覚で理解していた。
 ゆっくりと首を動かし、後方へ目を向ける。
 夜彦が、いた。腰に差した鞘に手を添え、刀の柄に手をかけた剣士がいた。
「…………っっ!!」
「遅い」
 切り裂き魔が上空の刃砲を起動するより早く、夜彦の刀『夜禱』が音もなく抜かれる。
 刀を納め、精神を研ぎ澄ますことで高まった技――抜刀術『静風』が、奔る。その斬撃は倫太郎の鎖のように不可視というわけではない。ただ刀を抜き、斬る。そんな技だ。
 だが、見えなかった。
 誰の目も触れることのない、一刀だった。
「ガァァァアアアアアアアアアアッ!!?」
 巻きついていた不可視の鎖もろとも斬り伏せられ、切り裂き魔の体が鮮血をあげる。
 軽く両断されてしまった鎖を回収すると、倫太郎は夜彦を指差して、笑った。
「さすがの腕前だぜ、夜彦」
「倫太郎殿もさすがのお手前。よく時間を稼いでくれました」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
おばあさんもおじいさんも仲間たちも皆かっこいいですね…!
ニッキーくん並みにかっこいいですよ!

敵が操る刃は【第六感】で交わし、妖刀での【カウンター】で叩き落とし
ニッキーくんにも腕を振るわせて敵の刃を【なぎ払わせ】たり、
全力で【踏みつけ】て叩き割らせます

ニッキーくん半裸なので斬られると痛そうかもしれませんが
まあ人形ですからね。斬られてもノープロブレムです
上半身にも服を着せておくべきだったかもですね
でも着させても動かすとマッハで破けるんですよね、何故か

折を見て【怪力】マシマシの『愛の無知』
感謝の気持ちを示すというのは大切な事です
血塗られたクッソ汚い刃で沢山遊んでもらったお礼をしましょう
あの醜い顔面に



「なぜ……! あたしが、押されているんです……!?」
 肩口からぱっくりと裂けた己の傷を見て、驚愕と狼狽に染まる切り裂き魔。
 晴夜は、遠くオウガたち相手に勇ましく戦うおばあさんたちを指差した。
「あんなかっこいい人たちに勝てるはずないでしょう。本当にニッキーくん並みにかっこいい人たちです。ほらこんな感じに」
 晴夜の指が操り糸を引くや、上から巨体の筋肉人形『ニッキーくん』が重々しい音を響かせて着地。舞い上がる土の中で、切り裂き魔の顔面へ剛腕を振るう。
 上体を逸らし、紙一重で避ける切り裂き魔。
 ごぅっ、とすり抜けた不穏な音に、乾いた喉を鳴らす。
「こんなのくらっちゃいられませんね……ぶっ壊させてもらいましょうか!」
 飄然と嗤った切り裂き魔が、上体を振り戻しながら血塗れの刃を複製。数十本もの刃が宙で咲き誇り、蛇がうねるように晴夜とニッキーくんに殺到する。
 が、人形であるニッキーくんは体が裂かれるのにも構わず逞しい腕で刃を軽く薙ぎ払った。晴夜に迫った刃も、晴夜自身が柴犬人形『えだまめ』の口から抜いた妖刀で叩き落とされる。
「あたしの刃を……!?」
「うーん……ニッキーくんにも上に何か着せておくべきだったかもですね。刀傷が地味に痛そうです。まあ着たとしても動いた瞬間マッハで破れるんですけど」
 ざっくり切れてるニッキーくんのボディを見て、顎に手を添える晴夜。脳裏に浮かぶのはニッキーくんの服破りハイライト集である。あと無駄になった衣服代の総額である。
 晴夜は湧き上がる怒りのまま、ニッキーくんの剛腕を振りかざした。
「ニッキーくんの体が大きすぎるので特注だったんですからね!」
「いったい何の話ぶげえっ!?」
 ハンマーのように振り下ろされた巨大な拳が、切り裂き魔の顔面を地面に叩きつける。
 辺りの木々にまで及んだ震動が収まったとき――オウガの頭部は無惨に砕け散っていた。
「血塗られたクッソ汚い刃で沢山遊んでもらったお礼です。どうぞ森の肥やしにでもなって下さい」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『夢の国のコンチェルト』

POW   :    リズムに合わせて、陽気に歌い踊ります。

SPD   :    巧みな楽器演奏の技術を披露します。

WIZ   :    心に響く感動的な歌声を披露します。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 指揮官が討たれてからの終戦は、あっという間だった。
 芋虫たちの動揺が収まらぬうちに猟兵たちは速やかに掃討戦にかかり、オウガたちはばったばったと倒されていった。おばあさんやおじいさんの勝鬨が響くと、森には愉快な仲間たちの大歓声が満ち、それは元の穏やかな日常が戻ったことを告げていた。
 そんなものだから、おばあさんとおじいさんは森の真ん中の町に戻るなり、猟兵たちにしわくちゃの笑顔でこう言ったのだ。

「さあ! 勝利の宴といこうじゃないか! こんな達成感はなかなか味わえるもんじゃない。あんたたちも参加していきな! 主役がいなきゃ盛り上がらないしねえ!」
「ワシらんとこではなあ、こういうときはみんなで歌って踊って祝うと決まってるんじゃ。みんなで騒ぐ以上に楽しいことはないからのう!」
 もう酒樽を担いでいるマッスル老人コンビはそう言うなり、町の広場のど真ん中に設えられているステージを指差した。一段高くなった木製の壇の上に、弦楽器やら打楽器がずらりと並べられていて、すでに愉快な仲間たちが軽快な音楽を奏でている。
 楽器のない広いスペースはきっと踊るためのものだろう。みんなパタパタとステップを刻み、すっ転んでは笑いあったりしている。というかリズムに乗ってまともに踊れる人のほうが少ないように見える。だがそれでも楽しそうだ。
「いいステージだろう? みんな飲んで食って、気分が高まったらあそこで歌って弾いて踊るのさ! ただただ楽しくね!」
「やはりこの情景は気分が踊るのう。ワシもリュートを壊すまではあそこでぶいぶい言わせたもんじゃわい……」
 おばあさんとおじいさんに挟まれながら、広場のステージを見つめる猟兵たち。
 周囲には、ドリンクやお菓子を配る売り子たちが騒がしく走り回っている。飛ぶように売れてゆくさまを見ていると、何だか彼らの昂揚感が伝わってきて、次第に猟兵たちの胸もちょっとばかり躍ってきた。
 さて、この宴、どれほど楽しんでくれようか!
竹城・落葉
 【SPDで判定】
 どうやら、戦いは終わったようですね。この国が無事で、本当に良かったと思います。さて、戦の後といえば宴会です。私も参加させてもらうことにしましょう。オブリビオンを倒す仕事は終わったので、普段の人格に戻ります。
 私は宴会場に楽器があるということなので、その楽器を使って演奏をします。故郷のサムライエンパイアでは三味線などを多少は嗜んでいたので、少しは演奏できると思います。三味線などの和楽器があるかは分かりませんが、まぁ、楽しければいいのです!
 みなさんと一緒に心ゆくまで宴を楽しみましょう。他の方が絡んできたら、その方とも一緒に楽しみます!
【アドリブ、歓迎です】


篝・倫太郎
夜彦(f01521)と

なぁ、それ秘蔵の酒だったりすんのか?
まっそーご老体コンビの担いでる酒がめっちゃ気になる

秘蔵の酒だったら分けて貰って夜彦と飲む
飲めや歌えやの大騒動な様子を肴に飲むんも悪くねぇや
楽しげな音楽にちょっとそわそわしてくる

立ち上がって、夜彦に手を差し伸ばし

よっしゃ、夜彦
踊ろうぜ?

別にかっちりしたダンスじゃねぇし
好きにステップ踏めばいいみてぇだから
イケるイケる
夜彦の腕を掴んでステージへ!

リズムに乗ってるのか怪しい連中も居るしよ
あんた、こういうのは余り経験なさそうだし……
折角なら楽しまねぇと勿体ない!

んー?多分、笑う!
でもそれはさ
あんたやここの連中とこうして過ごすのが楽しいからだぜ?


月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加します

此処の世界の食べ物やお酒はどのような物なのでしょうか
折角彼等が持って来てくれたのです、有り難く頂きましょう

倫太郎殿とお酒を頂きながら宴の様子を眺めます
音楽を奏で、食事を楽しみ、笑顔が途絶える事が無い
何処の世界でも宴の楽しみ方は一緒なのですね
倫太郎殿が落ち着かないようですが如何かしたのでしょうか

踊り、ですか?
サムライエンパイアの世界でもそのような経験はあまり無いのですが
……分かりました、あまり上手で無くても笑わないでくださいね?
彼の手を握って立ち上がり、踊る
舞いはともかくダンスは初めてですが動きさえ分かれば此方のもの
彼の言う通り、楽しまなければ損ですからね


ヘルメス・トリスメギストス
「宴ですか。
それでしたら執事は裏方に回るといたしましょう」

このたびの勝利は愉快な仲間の皆様の活躍あればこそ。
ならば、皆様も存分にお楽しみください。

【執事給仕術】で傷付いた皆様の傷を癒す紅茶を淹れつつ、
料理やお菓子の補充を手伝ったり、お酒をついで回ったり、宴会場で迷子になった方を保護したりと、会場中を飛び回ります。

「主が開いた舞踏会を無事に終わらせることこそ、執事の最も重要な仕事です」

この仕事の困難さは、先程追い払った不審者との戦いの比ではありません。
まさしく命をかけて完遂しましょう。

「せめて、この宴会が終わるまで持ってください、私の身体……」

崩れ落ちそうになりながらも表情には出しません。


ルク・フッシー
あらすじ◆1章で気絶した。そのまま今まで寝ていた

アドリブ歓迎

…うーん、うーん…はっ!?
えっと…そうか、ボク…
…!お、オウガは?皆さん、大丈夫ですか?
…か、勝った…んですか?よかったぁ…

宴…歌って踊る…ですか?えっと…うっ!
ご、ごめんなさい…まだ体が痛くて…あんまり、うごけない、です…
えっと…せめて、宴の様子を絵に描き残しておこうと思います

みなさんの笑顔、平和を取り戻したこの国…
勇敢に戦う姿は、話を聞いて想像するしかないですけど…精一杯、何枚も、何枚も描こうと思います
完成した絵は皆さんに差し上げます
ボク、また、皆さんに会いたい、です(にこっ)



 ――夢のような闇の中。
 賑やかな音楽が聞こえてくる――。
「……うーん、うーん……はっ!?」
「おや、ルクさん。起きましたか」
 戦いの中で気絶していたルクが目を覚ますと、近くのテーブルで酒の杯を傾けていた落葉が声をかけてきた。
 ルクはまだ痛む体を起こして、ぼーっと頭に手を当てる。
「えっと……そうか、ボク……気絶して……」
 記憶を掘り起こす傍ら、辺りの陽気な音楽が耳に流れこんでくる。落葉もゆっくりと酒を味わっている様子を見て、ルクは安堵した。
「オ、オウガには、勝てたんですね……」
「ええ。住人たちも無事なようです」
「よかったぁ……」
「ですのでルク様も、まずはお身体を休めることを考えて下さい」
 横から差し出されたティーカップを見て、ルクが顔を上げる。
 紅茶を振る舞ってくれたのはヘルメスだ。さすがに(非常識だが)執事というだけあり、その所作は観賞に堪えるほど綺麗だった。
 受け取った温かい紅茶をすすると、不思議なことにルクは少し元気が湧くのを感じた。相手の傷を治癒することができる、ヘルメスの給仕術だ。
 もちろんユーベルコードである。
「あ、ありがとうございます……」
「いえ、戦後の宴が成功するよう、皆様をもてなすのも執事の務めです。私はまた給仕に回りますが、お困りのことがあればお声がけ下さい」
 ひとつ会釈すると、ヘルメスはきびきびとした足取りで、賑やかな人ごみに消えてゆく。
 その背中を見届けた落葉は、テーブルに杯を置いた。
「この国が無事で、本当に良かった。でなければ今、こうして賑やかに宴を楽しむ人々を見ることはできなかったのですから」
「そ、そうですね……」
「ともに健闘を称えよう」
 両手でカップを持つルクへ、目線を流して微笑む落葉。そのクールな雰囲気は、とてもついさっきまで砦の頂上でウホウホ叫んでいた女のそれではなかった。あのゴリラたち森に行ったっきり帰ってこないけど辺りの生態系に紛れこんだのかな。
「さて……」
 杯をカラにした落葉が、席から腰を上げる。
「どうやらこの国の宴は、音楽を奏で踊るもののようです。なので私はひとつ楽器でも弾いてみるつもりですが、ルクさんはどうします?」
「歌って踊る……ですか? えっと……ご、ごめんなさい……まだ体が痛くて……あんまり、うごけない、です……」
「いえ謝ることではありません。無理をするものでもないですしね」
 ぺこぺこと申し訳なさそうに頭を下げるルクにくすりと笑うと、落葉は愉快な仲間たちがひしめくステージに飛び上がった。多少は三味線に心得がある、ということで手に取ったのは弦楽器。そのまま慣れた手つきで、感覚を頼りに演奏を始める。

 耳に届く、郷愁を誘うような弦音。
 倫太郎とともにテーブルを囲んでいた夜彦は、無意識に顔を上げていた。
「んー? どした夜彦ー? 知ってる曲かー?」
「……いえ。何でもありません」
 小さく首を振った夜彦が、薄く笑って杯を口に運ぶ。甘い口当たりだが妙に強いその酒は、おばあさんとおじいさんが担いでいた樽の中身である。倫太郎が「なぁ、それ秘蔵の酒だったりすんのか?」と視線をぶつけまくったら、2人が杯になみなみと注いでくれたのだ。
 半分ほどを一気に喉に流した倫太郎が、どんっと杯の底でテーブルを叩く。
「しかし宴ってのは、いつどこでやっても楽しいもんだな」
「ええ、そうですね」
 倫太郎の一言に頷き、夜彦が辺りの騒ぎように目を向けた。もはや標準装備となっている木の杯を片手に、愉快な仲間たちは思い思いに踊っていた。そのためのステージの上はもちろん、そこらのテーブルですら可笑しな合唱が聞こえてくる。
 それは、自らの出身たるサムライエンパイアでも、よく見た光景だった。
「音楽を奏で、食事を楽しみ、笑顔が途絶える事が無い……何処の世界でも宴の楽しみ方は一緒なのですね」
「んー……そうだな……」
「倫太郎殿?」
 生返事が気にかかった夜彦がいま一度彼に視線を向けると、倫太郎はつまみ用の小枝(確かな噛み応えと、この国では珍しくピリッと辛い)を咥えながら忙しなく体を揺らしていた。
 が、やがてその動きがピタリと収まると、豪気な羅刹はがたんと立ち上がる。
「よっしゃ、夜彦! 踊ろうぜ?」
「踊り、ですか?」
 つまみの葉(揚げた芋に近くパリパリ)を取ろうと伸ばした手を止める夜彦。
 踊りを見るのは楽しい。だが自分が踊る側に立つのは考えてもいなかった。
「そのような経験はあまり無いのですが……」
「別にかっちりしたダンスじゃねぇし、好きにステップ踏めばいいみてぇだからイケるイケる。周り見てもリズムに乗ってるか怪しい連中が多いしよ」
「……分かりました、あまり上手で無くても笑わないでくださいね?」
「そうこなくっちゃな!」
「り、倫太郎殿。そう引っ張らずに」
 やれやれと笑む夜彦の手を取り、倫太郎が強引に引き起こす。思わずつんのめる夜彦だが、そこは剣士。足運びで体勢を立て直すと、倫太郎に続いてするっとステージ上に上がった。
 が、騒がしく打楽器が打ち鳴らされる中、男は棒立ちであった。
「さて、どうしたものでしょう」
「考えても仕方ねぇ! 楽しく踊ればいいんだぜ、夜彦!」
 頭から上体、腰を伝って足元へ――掴んだリズムで全身を動かす倫太郎が、ニッと白い歯を見せて笑う。ノリでこなしてしまうのはさすが元野生児である。
 一方の夜彦は、その場で跳ねたり回ったりするがたどたどしい。だが見よう見まねで体を動かすうち、段々とダンスというもの本質を掴んだ。少し経てば、袴を鮮やかに翻らせ、足袋でステップを踏む奇異な男がそこにいた。
「やるじゃねぇか、夜彦!」
「動きさえ分かれば此方のものです」
 にやりと笑いあい、競うように激しく踊りだす2人。
 すると音楽隊の一角から、夜彦たちを盛り上げるような囃子が飛んできた。急な転調に2人が顔を向けると、丸っこい弦楽器を手にした落葉がこれまた楽しげに弾き鳴らしていた。
「夢中で踊っているようですから、私も加わりたくなりました。ちょっと野暮でしたかね……まぁ、楽しければそれでよしです!」
「構いやしねぇぜ、落葉! お前の言うとおり楽しんだもん勝ちだしな!」
「そうですね。ここは宴の場。楽しまなければ損というものです」
 それを聞き、笑い返した落葉が再び音を奏でると、倫太郎と夜彦はやはり軽快に踊りだす。
 今はただ楽しむ時――と遊びつくす3人は、きっと宴が終わる頃にはオウガとの戦いよりも消耗しているんじゃないかな。

 ステージの熱が高まっている一方。
 ヘルメスは広場中のテーブルを回り、給仕に奔走していた。
「お酒には何を合わせましょう。味の強いものでしたらこちらがございますが――」
「杯がカラになっておりますね。ただいまご用意いたします」
「調理場の人手が足りない? では私がいったん入らせて頂きます」
「おやおやご家族と離れ離れに? ならば中央のステージに行きましょう。人が多いですから、ご家族もそこにいる可能性が高いはずです」
 つまみや酒の切れたところを見つければ駆けつけ、料理の供給が足りなくなれば自らエプロンを巻き、道端で迷子を見つければ優しく抱えて保護するヘルメス。
 まさに東奔西走。休む暇もない働きぶりだった。
「あんた、大丈夫かい? そんなに動き回って……」
「戦ってくれたばかりなんじゃし、細々したことはほかに任せても……」
 おばあさんとおじいさんも、酒のお代わりを持ってきたヘルメスに心配そうに声をかける。
 が、ヘルメスは微笑に一切の綻びも見せず、答えた。
「いえ、主が開いた舞踏会を無事に終わらせることこそ、執事の最も重要な仕事です。それにこのたびの勝利は皆様の活躍あればこそ、ならば皆様にも存分にお楽しみ頂かなくては」
「そ、そうかい……?」
「ええ。それではまた御用があればお呼び下さい」
 ぺこりと頭を下げ、おばあさんたちのテーブルから去るヘルメス。
 ――が、人のいない家の裏手に回ったところで、彼の膝はぐらりと揺らいだ。相手の傷も癒す給仕術で住人たちを癒しまくったヘルメスは、代償としてもうめっちゃ疲れていた。疲れる代わりに相手を癒す、そんなハイパーホスピタリティスキルだったのだ。
「せめて、この宴会が終わるまで持ってください、私の身体……」
 燃え立つ執事魂で自身を奮い立たせ、しゃんとした立ち姿に戻るヘルメス。
 嗚呼、これぞ執事の鑑だよ!

 ――と、さまざまに人が入り乱れる宴の情景を、ルクは少し離れたところで眺めていた。
 座る彼の膝の上には、スケッチブックがひろがっている。
「みなさんの笑顔、平和を取り戻したこの国……すごく綺麗です……」
 人々の様子と紙とに交互に視線を向け、一心不乱に描き進めるルク。愉快な仲間たちが勇敢にオウガを退ける姿も、懸命に想像して絵に残す。
 描きまくった絵は、今や100枚を超えていた。
「うわー! すごいね! 絵が上手いんだね!」
「……ボク、これぐらいしかできませんから……よければ、どうぞ……」
 とことこと近づいてきたブリキ人形が、絵の束に目を輝かせると、ルクはちょっと微笑んで、描き上げたばかりの1枚を彼に渡した。
「わー! ありがとう!」
「描いていたら、すごく心がほっこりしました……ボク、また、皆さんに会いたい、です」
「もちろん僕たちもさ! またいつでも来てよ!」
 ブリキさんと笑いあったルクは、再びスケッチブックに向き直る。
 いつしか、彼の周りにはたくさんの人たちが集まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
一章で蕩かしたもとい寿命の減少を防ぐ手伝いをしてくれた妖精さんとダンスするわ♡せっかくですもの、この機会にもっと仲良しさんになりたいわね♪
ま、私もダンスの心得はあるとはいえ、完全な素人をリードできる程ではないのよね。
だから、ラブコメのエロトラブルみたいな感じに転んで絡みあってしまっても仕方ないわよね☆あ、今回は歳相応の無難なのを履いているのでご安心を。

気が付けば人目につかない目立たない場所で、二人きりの特別なダンスを踊っているかも?こっちのダンスならきっちりリードできるわよ♡



 広場の中央――華やかなステージでは愉快な仲間たちの歓声があがり、宴のますますの盛り上がりを予感させていた。
 だがアリスの姿はその渦中にはなく、宴席の外縁、家並みが寂しくなった場所にあった。
「ふふ、こうして踊るのも楽しいわね。ね、妖精さん♡」
「う、うん。でも僕、ちゃんと踊れてるかなあ? 自信ないけど……」
「大丈夫よ、ちゃんと踊れてるわ。安心して☆」
 手と手を取って向かい合い、彼女が踊っている相手は妖精だ。芋虫たちとの戦いの中でアリスに拉致……じゃなくて力を貸してくれた勇敢な妖精さんである。妖精なのにアリスと同じぐらいの身長になっているのは、さすがアリスラビリンスの妖精と言うべきか。
 だが踊りは不得手らしく、形になってるアリスに比べて彼のステップはスムーズとは言えなかった。5秒に1度は足が覚束なくなり、アリスに支えてもらっている。
「わわっ! ご、ごめんねアリスちゃん……」
「気にしないで。すぐに上手くなるわ♪」
 謝りたおす妖精さんにくすくすとこぼすアリスの笑みは、平素の行いからは信じられないほど清らかだ。
 この童話的世界にいるからだろうか、さすがにアリス嬢も空気を読んで――。
「あっ♡ ごめんね妖精さん☆」
「ア、アリスちゃん!? ぷふぁっ!?」
 バランスを(意図的に)崩したアリスが妖精さんに倒れかかり、あられもない感じに絡みついたァ! 具体的には妖精さんの顔がアリスのスカートの中に……ってこれ結局いつもの流れじゃねえかよォ!!
「妖精さん、ここって人通りは少ないけど人目がないわけじゃないし……よかったら森のほうに行かない? 特別なダンス、教えてア・ゲ・ル♡」
「アリスちゃん、ちょっ、待っ――」
 顔を赤くして躊躇する妖精さんを、森の茂みの向こうに連れてゆくアリス嬢。
 その後、2人の姿を見た者は4時間ぐらいいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
随分と元気にゃね、無理はしてないかにゃ?治療もしておきたいところにゃ。でも折角の宴だからにゃ。ここは楽しみながらコソっと治療する方針でいくにゃあ。
10代目様の縁【癒しの聖獣】の聖猫様と共に、子猫姿で5代目様仕込みのキャットダンスを披露しつつ、聖猫様のキャットキッスでコソっと(?)怪我人を治療するにゃあ。
夢半ばに逝くよりはいいにゃよね。最後までしっかりと。まだまだ宴は続くのにゃ!。



「さあさあ、もっと盛り上がろう!」
「食べよう飲もう! 踊り明かすぞー!」
 ステージの周りのあちこちから、過熱する住人たちの声が聞こえる。少し前まで戦っていたとは思えぬほどその声音は明るい。やかましいほど明るい。
「むむー……」
 乾杯して一口つけたきり手の中で装備品と化していた甘い杯を置きながら、難しい顔をするレフティ。
「随分と元気にゃけど、無理してないかにゃ?」
 怪我を押して騒いでいたりしないだろうか、というのが彼の心配で、そんな人がいれば念のために治療してあげたい、というのが彼の思いだった。
 しかしせっかくの宴に水を差すのだってレフティの本意ではない。
 そこで彼が取った策は――。
「レフティも踊るのにゃ!」
「ふぅー! 猫さんが登壇だー!」
「囲めー!」
 愛らしい子猫に変身し、ぴょこんと壇上に飛び乗るレフティ。その傍らには優しく光り輝く猫さん(レフティ曰く聖猫様)まで召喚されており、ステージは一気にねっこねこになる。
「5代目様仕込みのキャットダンスを見せてやるにゃ!」
「にゃーん」(聖猫様)
「なななんて可愛らしいんだ……!」
「家に持って帰ってしまいたいなあ……!」
「俺、なんだか元気が湧いてきたよ……」
 レフティがちょこちょこと四つ足でステップすれば、聖猫様は周りの人々に飛びかかってぺろぺろと猫キッスを贈る。2匹の愛されムーヴに住人たちは蕩けたように興奮するが、それが聖猫様の治癒力によるものだと気づく者はいなかった。
(「コソっと治療、成功にゃあ!」)
 四つ足で踊りながら、心中ガッツポーズするレフティ。
 これで皆は心ゆくまで楽しむことができる。その証拠に離れて飲んでいたおばあさんとおじいさんまで俄然元気になり、どたどたと壇上に駆けあがった。
「あんたたちも猫ちゃんに負けちゃいられないよ! 踊った踊ったァ!」
「ワシも燃えてきよったわ! 楽器がなくともワシの体が楽器じゃ! ばんばん叩いてやるぞい!」
「ばあにゃとじいにゃが張りきってるにゃ! まだまだ盛り上がっていくのにゃー!」
『うおおおおおーー!!!』
 喧騒が、狂騒が、燃える炎のようにひろがってゆく。
 オウガ撃退の祝宴――それは陽が落ち、また昇るまで続いたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月11日


挿絵イラスト