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まだラストダンスにするには短すぎる人生なのよ!たぶん!

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 ああ、ここは入っちゃいけないってお母さんからきつくきつく言われてた、闇の色をした森にそっくり。いえ、どうしてそんなこと知ってるのか知らないけれど! どんな森だったかも正直思い出せないけど!
 そもそも私のお母さんってどんな人だったかしら? ああ待って、ほんとに思い出せないの。
 どうしよう。どうしようどうしようどうしよう!
 なんだかよくわからないけど、この暗い森の中で、あの大きくて気持ち悪い芋虫に食べられるわけにはいかないの! ああ、キャベツを食べる芋虫だったらぽいっと手で持って畑の外に放り投げてしまえるのに!
 全然よくわからないけど、なぜかあの気持ち悪い芋虫がどこから来るかはわかるのよ。それだけは何とかわかるの。だからまだ生きてるみたい、私。すごいわ、まるでおとぎ話の……ええと、何だっけ? ああまた思い出せなくなっちゃったわ!
 このままだと、「私の扉」を見つける前に、私があの芋虫に食べられちゃうわ。村祭りのダンスだって終わるのは寂しいけれど、ちょっとこれはダンスの終わりと私の人生の終わりが一緒になっちゃう。
 それはいや。多分いや!
 私がどんな人かすらわからないけど、それはそれとして絶対いやよ!
 助けて。
 助けて!
 助けて……っ!

「新たに発見された世界『アリスラビリンス』で起きる事件を予知しました!」
 プルミエール・ラヴィンスがグリモアベースに集まった猟兵達に呼びかける。
 アリスラビリンス、メルヘンな風景が広がる不思議の国の連なる世界――のはずであった場所。しかし既にこの世界に人間は絶え、今では人肉を喰らうオブリビオン『オウガ』の餌として人間達が異世界から呼び出され、逃げ惑っている。
 元の世界の記憶を失い、この世界の知識もなく、必死にオウガから逃げ惑う人間、別の呼び名を『アリス』達は、アリスラビリンスにただ一つ存在する、故郷に帰るための『自分の扉』を探しているのだ。

「今回予知したのは、『自分の扉』がある不思議の国に辿り着くことのできた『アリス』の存在です。彼女自身が記憶を失っているので詳細はわかりませんが、見た感じは10代半ばの女性です。そしてどうやら、この世界にいる間だけ、なぜかユーベルコードを使うことができるようなのです」
 とはいえそのユーベルコードもさほど強力なものではない上に、大量の芋虫型のオウガに襲われて多勢に無勢。助けがなければほどなく『餌』になってしまうだろう。
「その前に、どうか彼女を救出し、彼女を元の世界に帰れる『自分の扉』まで護衛してあげてください。その芋虫型のオウガの他にも、さらに強大なオウガの気配もしています。幸い、皆さんが彼女を助けようとするだけでも、彼女は皆さんのことを信じて、できる限り皆さんの言葉や助言に従おうとしてくれるはずです」
 たった一人で死の危険から逃げることしかできなかった『アリス』。自分のために戦ってくれる存在がいるというだけでも、とても心強いに違いない。

「彼女のユーベルコードは、敵の攻撃を予測して回避するというものです。直接的に敵を攻撃できるものではありませんが、少なくとも芋虫オウガ相手であれば、ほぼ自力で身を守れるようです。それ以上に強力な敵には……通用しないかもしれませんが」
 さらに彼女は、逃げ続けて消耗している。体力も、精神も。
「どうか少しでも彼女の心を励まし、元の世界まで送り届けてあげてください。よろしくお願いします」
 プルミエールは猟兵達を見回し、深く頭を下げた。


炉端侠庵
 こんにちは。炉端侠庵です。
 新たな世界『アリスラビリンス』で、さまよえる『アリス』をどうか助けてあげてください!

●『アリス』について
 見た目年齢14~16歳くらい。長めのエプロンドレス姿。
 割とテンション高めで口の回るお人好しな女の子。
 ユーベルコードによる回避力で避けて避けて避けて避けています。ちょっとばてています。

●『オウガ』について
 とりあえず芋虫型のオウガ『グリードキャタピラー』がいっぱいいます。
 一応アリスは勝手に逃げ回るので、グリードキャタピラーへの攻撃に専念してくださっても大丈夫です!
 しかし奴らを倒し切るとさらに強いオウガが出てきます(ボス戦)。さらにその後も何やら一悶着ありそうな気配がします(冒険)。

 この『アリス』の物語がデッドエンドにならないように。
 少なくともこの世界では、ハッピーエンドを迎えられるように。
 よろしくお願いいたします!
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第1章 集団戦 『グリードキャタピラー』

POW   :    キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーナ・マクラーン
地獄のような世界にも行ったことあるけど、見た目が楽しそうなだけの地獄みたいな世界だね。

襲われてるアリスを保護するように割り込みます。「よく頑張ったね。ここからは引き受けるから、あなたは自分の安全を優先してね。」
アリスに向かうキャタピラーを優先的に攻撃していきキャタピラーの攻撃が当たりそうならばかばいます。



 うっすら暗い森の中は、けれど豊かに木の実が実る。
 色とりどりのキノコ達は、椅子にもテーブルにもできそうな。
 そう、愉快で楽しい、おとぎの世界。
 だったはずの、その場所は――。

「地獄のような世界にも行ったことあるけど、見た目が楽しそうなだけの地獄みたいな世界だね」
 人肉喰らいのオブリビオンによって、人間が全滅した世界。
 それでも足りないオウガ達が、餌として人を召喚する世界。
 それが地獄じゃなくて、何だというのだろう?
「きゃあああああっ! 食べられちゃううううっ!!」
 ほら今だって、逃げて惑う異世界から呼ばれた人間――『アリス』の助けを求める声がする!

 タン、と地を蹴ると同時にしゃらりと音を鳴らす錫杖。シーナ・マクラーンの桃色の髪が『アリス』とキャタピラーの間に割り込み、その牙を鈍い金属音立てて止める。
「あ、……あっ、あなたは!? えっ人間? いえそうじゃなくても全然いいけど守ってくれるの!? それが一番嬉しいことだし大事なことだわ、あっえっとそれとありがとう!」
 背後でそこまで一息に言い切った『アリス』に、シーナは青い瞳を優しく細めて微笑んだ。今まで必死に逃げてきた彼女を、安心させられるように。
「よく頑張ってね。ここからは引き受けるから……」
 近くの小石を竜巻へと変え、そのまま近づいてくる芋虫を弾き飛ばす。『アリス』に近づく奴らから先に。
「あなたは自分の安全を優先してね」
 優しくて頼れるその背中に、『アリス』は目を輝かせて。
「あああありがとう! 本当にありがとうだわ! 諦めなければいいことってあるのね! 元気出てきちゃった、私もうちょっと頑張っんぐっ!」
「大丈夫?」
 突然の呻き声に急いでシーナが振り向けば、若干涙目だがばっちり無事な姿で『アリス』は恥ずかしそうに言った。
 しれっと突進してくるキャタピラーを避けつつである。
「あんまりに他の人と話すの久々で、舌、噛んじゃった……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
ふふっ、また元気な子ね
あと少しでこの世界から脱出できると言っていたかしら
…この世界からの脱出、一つ見ておきたいものね
それじゃ、仕事を始めましょうか

さて、少しでも安ませてあげる為に安全地帯を作りたいものだけど…
そうね、近づかれる前に撃ち砕くとしましょうか
『我が砲音は嵐の如く』
兎に角寄ってくるものから撃ち続け、私の近くには一体も通さない様に撃滅するわ
あなたもこっちに来て、少しでもいいから休んでおきなさい
その間は、私(と猟犬)が護衛しておくわ
もう少しなのでしょう?ここで諦める理由にはならないのではないかしら?
…ええ、残念だけど…大物が来るわよ

※アドリブ・絡み歓迎



「ふふっ、また元気な子ね」
 弾けんばかりのお喋りは、エメラ・アーヴェスピアにも聞こえていた。『アリス』の無事な姿に、まずは安堵する。そして既にエメラの魔導蒸気兵器の準備も万全。
(あと少しでこの世界から脱出できると言っていたかしら。……この世界からの脱出、一つ見ておきたいものね)
 全くの新たな世界、未知の法則を持つ世界。その法則の一端を目にする機会が、目の前にあるならば。
 それが異世界からの『アリス』を助ける手段ともなるなら、尚更。
「それじゃ、仕事を始めましょうか」
 すらりと手を伸ばすと同時、ガジェッティアとしての力で作り出した砲身が次々に首をもたげ、照準を合わせた。

『我が砲音は嵐の如く』
 魔導蒸気が完璧な砲身の回転を制御し、無数の浮遊するガトリング砲がさらに星の数かと見紛う弾丸が次々に芋虫オウガ達を貫く!
「ひゃああああ!?」
 ついでに『アリス』の悲鳴も響く。こちらは純粋にその弾幕と轟音に驚いて目を丸くしているだけだ。
「今のすっごい音だったわ! それに矢が見えないなんて、一体どんな弓を使って……あっ私ったらまたお礼を忘れて! あなたも助けに来てくれたのよね、ありがとう!」
 かと思えばきらきら輝く瞳で見つめてくる『アリス』に、愛らしいものを見る表情でエメラは目を細めた。ちなみにそんな顔をするエメラの方も人形風の服装も相まって、大変可愛らしいのであるが。
 その間にも彼女の周囲に浮かぶガトリング砲はせっせとキャタピラーを撃ち落とし、じりじりと戦線を相手側へと押し上げている。
「あなたもこっちに来て、少しでもいいから休んでおきなさい。その間は私が護衛しておくわ」
「えっあっありがとう! 元気は出たけど確かに休ませてもらえたらすごくとっても助かるわ! 『私の扉』まではどうやらまだしばらく歩かなきゃいけないもの!」
「ええ、でももう少しなのでしょう?」
「そうね、今まで歩いてきた距離からしたら全然!」
「なら、ここで諦める理由にはならないわね」
 まだ舌も回れば足も動くようだが、独りの逃避行で消耗しているに違いないから。
 少しでもとエメラが作った安全地帯に転がり込んだ『アリス』を、しっかりとこれも魔導蒸気式の「猟犬」と共に守るように立ちはだかって。
「今のうちに少しでも、一息ついて、体勢を整えておいて」
「えっあの、それってやっぱりこの芋虫だけじゃなくて」
 何か察した様子のアリスに、ガトリング砲を制御しながらエメラははっきりと頷いた。
「……ええ、残念だけど……大物が来るわよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・ボノムドネージュ
……美しい地獄、か
を己の欲の為に喰らわんとするとは許せん
手遅れになる前に助けねば

【高速詠唱】で鋭く尖った氷塊を複数召喚し
アリスに襲い掛かる衆敵に狙いを定めて【一斉発射】
――餌だ、沢山喰え

怯んだ隙に接近し、アリスを守るように割り込む
……礼には及ばん
今の内に体勢を整えておけ

近づく敵には作成した氷の戦鎚による
【なぎ払い】で冷気を伴う【衝撃波】を発生させて
【吹き飛ばし】を狙おう

素早く動かれるのは面倒極まりないな
【ユーベルコード】による極低温の激しい冷気で凍らせよう
――冷たき抱擁を受けるがいい



「……美しい地獄、か」
 フードの奥からぽつり、とジェラルド・ボノムドネージュは呟いた。おとぎの世界、と言うに相応しい風景は、けれど既に「餌」となる現地の人間を喰らい尽くした、オブリビオンの支配世界なのだ。
 家族をその牙にかけた魔獣――重なるのは彼自身の境遇。
「人を己の欲の為に喰らわんとするとは許せん。手遅れになる前に助けねば」
 漆黒のマントの裾を翻し、音もなくジェラルドはメルヘンチックな小道を駆け抜けた。

 素早く紡がれる詠唱に応えるのは幾多の氷塊。
「――餌だ、沢山喰え」
 それは脱皮によって突撃の予備動作に入っていたキャタピラーの大口に、一斉に突き刺さる。凍りついたその肉体は脱皮後の身軽さを活かすこともできず、続けて放たれた竜巻とガトリング射撃によって砕かれた。
 間隙を縫って駆けたジェラルドは、『アリス』を囲む守りの壁を万全とすべく立ちはだかる。
「あっあなたも! ありがとう、本当にありがとう! ああ、こんなにたくさんの人が一度に助けてくれるなんて素敵すぎて生きててよかったわ!」
「……礼には及ばん。今の内に体勢を整えておけ」
「ええ! もう心強さで私、この世界に来ちゃった最初よりも元気になりそうよ!」
 思いの外元気そう、というか元々この『アリス』がタフなのか。
 安堵したように目を細め、ジェラルドは再び詠唱と共に手の中に戦鎚を作り出す。ひやりと纏う冷気は己に最も馴染んだ氷の発する親しきもの。
 全体が氷で形作られた戦鎚の一凪ぎが、芋虫オウガ達の足を止め、さらにそのうちの2匹が衝撃波で吹き飛ばされる。
 けれど肉体の構造に見合わぬ素早さで次々に襲いかかってくる群れは、全くオウガ同士で連携する気がないのがかえって対処しづらくてならない。
 再びジェラルドの唇が詠唱を紡ぐ。それは彼の持つユーベルコード――、
「――冷たき抱擁を受けるがいい」
 極寒の冬風、全てを凍らせる激しい冷気が彼の周囲に反響するように吹き荒れる。
「ああ、凄いわ! 伝説の冬の騎士みたい、害のある虫がたくさんいる冬を厳しくするために、雪と嵐を運んでくる……あら、ええっと私、なんでそんなこと覚えて……あ、な、何か思い出しそうかも……!?」
『アリス』の言葉にジェラルドは軽く目を見張った。記憶を失った彼女がそれを蘇らせるというなら――邪魔をさせるわけには、さらにいかなくなったというところから。
 まだ収まらぬ冷気の渦の中心から、再びジェラルドは残るオウガ達に向けて戦鎚を振るった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●『アリス』の記憶
 ええっと、そう、冬の騎士……あれはおばあちゃんが話してくれたおとぎ話だったわ。ああつまりこれで、お母さんとおばあちゃんがいたってことは確定ね!
 それにしてもこの人達、すっごく強いわ。こんな強い人達が守ってくれるなんて! よかった、頑張って逃げてきてよかったわ! 多分、ここに来る前もこんなに強い人を見たことって私なかったと思うの。ええと……うん、そうそう。うちの村は小さいからあまり怖い領主様にも目をつけられていなくって……あっでもでも! 最近強い人達が、困っている人々を助けてくれてるって噂はなんだか聞いた気がするわ1
 あ、えっと、そうじゃない、私のことよ。私のこと! そう、私、芋虫は全然――こんなに大きくて本当に食べられそうなのじゃなければ大丈夫なのだけど、ちょっとだけ他の何かが怖かったような……森の中で……大きくて吠えるの……あっ狼? そうだわ狼! そうよもう少しで食べられちゃいそうだったの! もっと小さい頃だけど、お父さんが猟銃持って来てくれなかったら……あっなるほど私、お父さんもいたのね! すごい!
 あの時『もう大丈夫だよネイリア』って言われて私、泣いちゃって……あれ? ネイリア? 私、ネイリア? それが私という『アリス』の本当の……あっまたちょっと記憶が曖昧に! 大変! せめてネイリアだけでも覚えておかなきゃ――――!
リリム・カーマイン
かわいい女の子とぉ☆。でかい、キモイ、ウザイ糞虫。どっちを助けるかって?ハッ!!オブリビオンの時点で答えは決まってるんだよォ!!

アリスに近づこうとする虫を【クイックドロウ】ですばやくかつわざと傷つけて、こっちに気を引かせる。

「オイ虫どもォ!!こっちの方がかわいいぞ☆殺しにこいよォ!!」ととにかくアリスから俺に対象を移させる。そして近くに来た奴を【怪力】を使ってひっつかみ、【UC:リリム大暴れ】。片手に虫もう片手に俺のハルバードによるぶちかましを決めてやる!!

「ここは俺に任せて早く行け!!」

「女の子は怪我したらだめだぞ☆いいから行け!!」

「ハーッハッハッハ!!皆殺しだ!」

※アドリブ可



「かわいい女の子とぉ☆ でかい、キモイ、ウザイ糞虫。どっちを助けるかって……?」
 マントをばさりと風になびかせ、格好良く微笑むリリム・カーマイン。別の言い方をするとドヤ顔、というやつである。
「ハッ!! オブリビオンの地点で答えは決まってるんだよォ!!」
 そして別に答えは外見とは関係なかった。
 だってオブリビオンだから! ね!
「うりゃぁっ!」
 身の丈より高いハルバードを片手に、厳ついマグナム銃をもう片手に。素早く引いた引き金に、銃声と炸裂する射撃に、キッとキャタピラーの凶悪な頭がリリムへと向いた。
「オイ虫どもォ!! こっちの方がかわいいぞ☆」
「えっ本当だわすごく可愛い!」
 ついでに『アリス』も思いっきり振り向いていた。
「殺しに……来いよォ!!」
 ハルバードを掲げ、気勢を上げて凄むリリムの戦意に誘われるように標的を変えるオウガ達!
「その可愛さでその啖呵!? すごいわ、私ここまで死ぬかもと思って逃げてきた分だけもう報われてる気がするの! だってみんな格好良すぎるんだもの!」
 ついでに誘われるようにキラキラ目を輝かせている『アリス』!
「ここは俺に任せて早く行け!!」
 胸の前で手を組み合わせている『アリス』に声を張り上げつつ、がしりと華奢な片手がそれに見合わぬ怪力で芋虫の胴体を掴み上げる。
「えっでもそんな、助けてくれた人を置いてなんて!」
「まだデカブツの気配もしてるんだろ? 余裕は残しとくもんだ!」
 そしてもう片手にはハルバード――大きさも重さも、リリムには関係ない。いや、むしろそのサイズすらも威力!
「女の子は怪我したらだめだぞ☆」
 振り向いた愛らしい顔には、確かに『王子様』の頼れる笑みが浮かんでいた。
「えっあなたも……あっいえそうね、私察したわ! つまりそういうことね! ええとわからないけどとにかく強そうだから大丈夫なんだわ! ありがとうすごく強くて可愛い人っ!」
「おう! いいから行け!」
 そして芋虫オウガに振り向いた時にはその笑みは、敵を前にした挑戦的なものへ――。
 一閃。
 二閃。
 握る。
 断末魔。
 さらに横薙ぎ。
 次のオウガを喰い付かれつつもその手でがっつり引っ掴む!
「ハーッハッハッハ!! 皆殺しだァ!!」
 竜巻の如く唸るハルバード。『アリス』と彼女を護衛する猟兵達が数を減らしたグリードキャタピラーの領域を突破しようと試みる間に、愛らしく勇ましい高笑いと風切る刃は戦場に響き続けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
「うぇーい、ラッキーを届けにきたぞ!」
煌めく【スライディング】で颯爽と登場するぜ!
このあたしが来たからには帰宅確定は間違いなし!

でも、ただ帰るだけってのも寂しいな!
ちょっとくらい楽しい感じを演出するか!
【念動力】で敵を【空中浮遊】させて無理矢理【ダンス】させる!

ほーら【残像】を放つ高速飛行だぞ!
とか言いつつ、攻撃が来たら【敵を盾にする】ことも忘れない!
オモチャ扱いしとけば敵意も嫌悪感も控えめじゃないかな?
これで強化を抑えながら蹴散らそう!

そうそう、アリスに【生まれかわりの光】を使っておくぞ!
この後まだ色々あるっぽいし、光の粒子で回復!
やたらテンション高いけど、やっぱ消耗してると思うからな!



 その時、空から煌めく粒子と共に小さな影が!
「うぇーい、ラッキーを届けにきたぞ!」
 フィロメーラ・アステール、華麗で可憐に空中を見事なスライディングで登場だ!
「まぁ! 妖精さん? 妖精さんねきっと! 初めて見たわ、おとぎ話では聞いたことがあるけれど! は、初めまして! あっでも助けに来てくれた人、皆さんはじめましてだわ! 今更だけど、その、よろしくお願いします!」
「おう、このあたしが来たからには帰宅確定は間違いなしだ!」
 どんっと小さな拳で胸を叩く姿は、頼りがいと輝きに満ち溢れている!

「でもただ帰るだけってのも寂しいしな! そーれっと!」
 そんなフィロメーラがいきなりひょいっと、そこそこ近くにいた芋虫オウガを念動力で持ち上げた!
「それっ、高速飛行ダンスだぞ!」
「す、すごいわ! あの怖い芋虫がなんということでしょう、あんなに優雅で素早いダンスを!!」
 ノリノリのフィロメーラ。ノリノリの『アリス』。
 しかも他の敵が来たらさくっと踊らせている芋虫を盾にする、戦略と芸術の両立がここに!
(オモチャ扱いしとけば、敵意も嫌悪感も控えめ……みたいだな!)
 思った通りの『アリス』の表情に、ぐっと会心の笑みを浮かべるフィロメーラ。
「と、それにこの後まだいろいろあるっぽいからな!」
 きらきら輝く光の粒子が『アリス』に向かって飛んでいく。綺麗、と伸ばした指先を、そしてそのまま全身を包み込む光は――、
「明日を導く新しい光になれ、ってなー!」
「わぁ! これが妖精さんのご加護ってことなのかしら! すごいわ、私、どんどん元気になっちゃう……みんなが、助けてくれるから!」
 フィロメーラのユーベルコード『生まれかわりの光』、そして共にいてくれる、自分を守って戦ってくれる皆の存在が、『アリス』の心を癒し――前に進む元気をくれる!

「よーし、突破だぁ!」
 フィロメーラが操っていたキャタピラーを破壊がてら別の1匹にぶつけて弾き飛ばし――グリードキャタピラーの領域を、『アリス』と猟兵達は見事突破した!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チェシャ猫』

POW   :    キャット・マッドネス
【殺戮形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    チェシャ・スクラッチ
【素早く飛び掛かり、鋭い爪での掻き毟り攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ストレンジ・スマイル
【ニヤニヤ笑い】を向けた対象に、【精神を蝕む笑い声】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:小日向 マキナ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あっそういえば私、なんか『ネイリア』って名前だったみたい! 多分だけど、なんだかちょっと思い出した気がするの! 今更の自己紹介だけど、よろしくね!!」
 走りながら猟兵達に、『アリス』――ネイリア、と改めて名乗った少女は、弾けるような笑みを浮かべた。
「ええっと私の扉は、こっちの……ここの木の横を曲がったらきゃあああっ!?」
 慌てて足を止め悲鳴を上げるネイリアを庇うように、さっと彼女を守って猟兵達が前に出た。そこにいたのは猫――というにはあまりにも凶悪そうで、冒涜的な存在。
「あ、あの、私、猫は好きなんだけど、この猫? は狼よりも怖いのだけど!!」
 ずずず、と後ろに下がるネイリア。彼女のユーベルコードによる回避も通じないであろう、明らかにこの猫らしきオウガは強敵だ。
 そして今にも襲いかかろうと――しているようで、何か動きを止めた様子の猫らしきオウガ。
 ……ん?

「わおーん」
 誰かが試しに狼の鳴き真似をしてみた。
 ダメージというほどではないがなんかちょっと怯んでいる!
「えっもしかしてこの猫? って狼が怖いの? 私、小さい頃に森の中で狼に襲われそうになって、危ないとこでお父さんが助けに来てくれたんだけど!」
 狼という単語に微妙に逐一反応するオウガ。
 いやそこまで顕著な反応ではないのだが。だが――!
「もしかしたらなんか狼っぽい攻撃が弱点になるかもしれない!」
「えっそれって私が苦手だから? それともあの猫っぽいのも狼は嫌いってことなの? そ、そんな共通点はちょっとあんまりうれしくないわー!!」
 ネイリアの悲鳴が響く中、ついにオウガがその凶悪な笑みと爪を顕に襲いかかってきた!!
エメラ・アーヴェスピア
あら、思い出してきたのね
出口が近いと思いだせるのかしら…良く分からないわね
とりあえず、引き続き働くとしましょうか

明確な弱点のあるオブリビオン…?また、変わっているわね…
ならその辺りを攻め…たい所ではあるけれど…
…狼っぽい攻撃…?…さすがにそんなUCはないわね
猟犬でチャンスがある程度かしら?それなら…
『出撃の時だ我が精兵達よ』
猟犬で攻撃しつつ追い立てて、兵で魔導蒸気ライフルを撃つとするわ
それと、兵はネイリアさんの護衛を兼ねているわ
攻撃されそうになったらライフルと一緒に装備した盾で【盾受け】をしつつ【かばう】のよ
何とか出来れば良いのだけど…私では決定力が足りないかしら…?

※アドリブ・絡み歓迎


リリム・カーマイン
「走りながら自己紹介だなんて器用だね★舌かむんじゃねーぞ」
「俺はリリム・カーマイン。立派な男だ。」

というわけで糞猫退治行くわけだが、
狼が苦手ときたもんだ。

というわけで【殺気】、【怪力】、【真の姿:6枚羽の漆黒の翼と黒と金基調の鎧装備の姿】を現しながら全力でハルバード振り回しながら糞猫に突撃!

「狼だぁ!?吸血鬼だぁ!?猟兵だよォ!!アオオオオオオーンッ!!」

それを補佐するために【UC:突撃メイドMチーム】で、150cm位の犬耳メイド共を召還!(全員同じ顔)【鼓舞】を使ってやる気を起こさせるぜ!

「いくぜMチーム!俺に続け!各々の武器持って!!」

『やりますわやりますわ』『自重しませんわ』

アドリブ歓迎



「あら、思い出してきたのね」
 そう振り向いてエメラ・アーヴェスピアは、ネイリアと名乗った少女に優雅な微笑みを向ける。そしてそのままふと思案するように呟いた。
「出口が近いと思い出せるのかしら……良く分からないわね」
「あ、そっか私みたいにいつの間にか来ちゃった人もきっといるのよね。私はなんだか思い出してきたけど他の人もそうなのかしら!」
 その辺りは他にも『アリス』救出に向かっている猟兵達の報告を確認してみる必要がありそうだ。
「しかし走りながら自己紹介だなんて器用だね★ 舌かむんじゃねーぞ」
「あっ大丈夫よ私、こうやって走りながらでも止まらない村一番のお喋りって評判でいったーい!?」
 ほら言わんこっちゃない。
 とはいえリリム・カーマインは王子様なので、その辺は!
「俺はリリム・カーマイン。立派な男だ」
 ネイリアが口を押さえている間に名乗ってフォローしておくことにした。
「そうなのね、可愛いも格好いいも兼ね備えてる男の人も素敵だわ!」
 彼女は彼女であっという間に復活したし。
 とはいえ――噛んだ舌はすぐ回り出し、芋虫相手ならかわして来られたと言っても、ネイリアでは逃げることすら難しいオウガもやはりこの世界には存在する。
 そう、猟兵達だけが立ち向かえるような脅威たるオブリビオンが――!
「とりあえず、引き続き働くとしましょうか」
 エメラが魔導蒸気機械を一気に展開する。リリムがハルバードを軽々と構えながら穿つかのような殺気を放つ。
「あいつか……!」
 猫、と言うには大きさも、その凶悪な面構えも規格外。
 ニヤニヤ笑いを浮かべるオブリビオンが、ここは通さないとばかりに口元をさらに吊り上げた。

 ――そして狼が弱点らしいとわかって、今に至る。
「明確な弱点のあるオブリビオン……? また、変わっているわね……」
 弱点があるならばそれを攻めたいところではあるが、あいにくエメラの持つユーベルコードに狼の力やイメージを持つものはない。
「猟犬でチャンスがある程度かしら? それなら……『出撃の時だ我が精兵達よ』、出番よ」
 ずらりと40を超える魔導蒸気兵が、エメラの名に整列して現れる。その手には同じ機構を持つライフル、無論全弾装填済み!
「私の勝利のために出撃なさい」
 すっと伸ばした手に従い、まずは魔導蒸気の猟犬が、そして兵達が攻め寄せていく。飛びかかって来ようとしたその爪を、肉体を盾で受け止めて、ネイリアへと、守るべき『アリス』へと攻撃が届かぬように。
「ギィィヤアアアアア!!」
 そして猟犬の牙の一撃は、明らかに深手となって鈍色の肉体に突き刺さる!
「なるほど、『狼』の範囲は……少なくともこのオブリビオンは、広いみたいね」
 観察するように目を細めたエメラ、そしてその操る魔導蒸気兵の一団を飛び越えたのは――真の姿たる漆黒の六翼、そして眩い金の鎧を羽ばたかせ、輝かせたリリム!
「狼だぁ!? 吸血鬼だぁ!? 猟兵だよォ!!」
 ぶっちゃけ狼を名乗る気も多分あんましない!
「アオオオオオオーンッ!!」
 思いっきり振り回したハルバードが正面からチェシャ猫の顔にぶち当たる、が、流石に遠吠えだけでは狼とは認識されない――ところだが!
「いくぜMチーム! 俺に続け! 各々自分の武器持って!」
 リリムの背後に目覚める幻影、そうこれこそがユーベルコード――『突撃メイドMチーム』!!
「やりますわやりますわ」
「自重しませんわ」
 なんと犬耳メイドの一分隊がリリムに続いて突撃だ!
 彼女達はリリムの感情――それも「怒りや羞恥心やブチのめす」あたりの感情に反応してその相手へ追跡と攻撃を行うのだ!
 汎用性が高い!!
 大物武器をぶん回すリリム(真の姿)と犬耳メイドチームにもみくちゃにされたオウガのニヤニヤ笑いが引きつったのは、多分気のせいではないだろう。もしかしたら精神の方も蝕まれたかもしれない。
 少なくとも犬耳メイドの攻撃はがっつり弱点に刺さっている。
 魔導蒸気兵と犬耳メイドと魔導蒸気機械式猟犬と六翼とハルバードと――とにかく入り乱れる戦場。見た目的に芋虫オウガとの集団戦より頭数が多い。
 魔導蒸気軍を指揮しつつネイリアを守るエメラが、扇で言えばだいたい要の位置にいる。
「何とか出来れば良いのだけど……まだ決定力が足りないかしら……?」
 戦場は優位に動いてはいるし、『アリス』たるネイリアも安全圏で守れている。だが、まだ――まだ、オウガを仕留めるには。
 エメラはすっと目を細め、油断なく魔導蒸気兵達にリリムと犬耳メイドチームを支えるように隊列の維持、そして間断なき攻撃を命じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「狼っぽい攻撃……あったかな?」
……ない!
ないから、作ろうか!

イメージを持ってる人に協力してもらうぞ!
【創成したる唯の連星】を発動する!

ネイリアは狼が苦手なんだな?
思い出を基に、とびっきり怖い狼をイメージしてみてほしい!
それを【第六感】のテレパシーで読み取って【情報収集】を行い、唯一無二の怖い狼として複製するぜ!

ネイリアが【勇気】を出した分だけ、敵が怖がる!
むしろ、脅かす側に回れば楽しくなってこないか?

狼が完成したら遠隔操作で戦う!
イメージと一緒に動きは頭に入った!
怖がらせる【パフォーマンス】により【精神攻撃】する!
敵の動きが鈍ったり、逆に慌てて技を空振りするかも!
隙を突いて狼っぽく攻撃だー!



「狼っぽい攻撃……あったかな?」
 しばらく考えてから、フィロメーラ・アステールは元気よく「ない!」と頷いた。
「ないから、作ろうか!」
「えっ作るの!? 妖精さんは万能なの!?」
 ぐっといい顔でネイリアに親指立てるフィロメーラ。
「ネイリアは狼が苦手なんだな?」
「ええ、やっぱり食べられそうになったのがとっても怖くって!」
「よし、それじゃ思い出を基に、とびっきり怖い狼をイメージしてくれ!」
「えええーー!?」
 無論この場でトラウマ克服カウンセリング、というわけではない。
「ネイリアが勇気を出した分だけ、敵が怖がるぞ!」
「そ、そうなの? わかったわ、そうね頑張る!」
 目をぎゅっと閉じてうー、とかあー、とか言いながら必死に思い出すネイリア。その思念を読み取りつつ、怖い怖い狼のイメージを練り上げていくフィロメーラ。
「そ、その時お腹を空かせているのかたらーりとその牙からよだれが! きゃあああ怖いぃ!」
 イメージが完全に口からも出ているネイリアだが、ともあれ臨場感はばっちり!
 もはやその恐怖のイメージは唯一無二。恐怖が煽り立てる想像力も加わって、さらにフィロメーラの全力のユーベルコードが発動する――、

『創成したる唯の連星!!』

「きゃ、わ、あああっ! すごーい!!」
 むしろ目の前に出てきた巨大狼に恐怖を忘れてネイリアは見入った。動きは頭に入ってる、と不敵に笑ってフィロメーラが恐怖を煽り立てながら作り出した狼を突撃させる!
「ギニャァアア!?」
 飛び掛かろうとした猫の足がたたらを踏んで、勢い余った爪が空を切る。そこに逆に襲いかかった狼が喉笛を食い千切らんという勢いで喰らいつく!
「むしろ脅かす側に回れば楽しくなってこないか?」
「ええ、私すっごく楽しいわ! 自分が狼側ならこんなに楽しいのね!」
『アリス』たる少女と妖精は、キラキラした瞳でニッと協力者、あるいは共犯者の笑みを交わした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・ボノムドネージュ
……記憶が蘇り始めたか
尚更、邪魔をさせるわけにはいかないな

あのオウガは狼に反応するようだな
……試してみる価値はありそうだ
先ずは【ユーベルカード】を発動し、氷の狼を召喚
発見され難い事を活かし、吠えさせる

少しでも怯んだならば、其の隙を突き
【オーラ防御】を自身に付与しながら接近して
氷の刃による【2回攻撃】を仕掛けよう

オウガの攻撃には【見切り】と【第六感】を駆使し
【武器受け】で防ぎ、【カウンター】で鋭く尖った氷塊を
【投擲】し、【咄嗟の一撃】を御見舞いしよう
――餞別だ、受け取れ


シーナ・マクラーン
狼に恐怖を感じるか・・・よしこれでいってみよう。

ゴッドクリエイションで錫杖の先端を狼の形に変形させて他の猟兵の攻撃に合わせてオウガに吠えるように【知能】を強化します。

「それじゃこの子が合わせるから一気に攻め込んで!」
自身はネイリアにオウガの攻撃が行きそうならば受け止めます。



「……記憶が蘇り始めたか」
 ネイリアの様子を横目で見つつ、ジェラルド・ボノムドネージュはぽつりと呟いた。魔力によって作り出した氷の刃、その柄を持つ手に力が籠もる。
「尚更、邪魔をさせるわけにはいかないな」
 目の前の猫を極限まで邪悪にしたようなオウガは、ニヤニヤと笑いを浮かべている。精神を蝕むようなその声と、振り下ろされる爪を弾くように零下の刃を真横に薙いだ。
「狼に反応するというなら、……試してみる価値はありそうだ」
 氷術師――氷を自在に操るウィザードたるジェラルド、その魔術のバリエーションは極めて多い。今、呼び起こすのはその一つ、視認しがたき『幻氷の影狼』。
「狼に恐怖を感じる、か……よし、これでいってみよう」
 ジェラルドとはやや離れ戦場の後方から、シーナ・マクラーンは錫杖の先端を狼へと変化させて大きく一声吼えさせた。ユーベルコードによって高い知性を付与した狼は、周囲の攻撃を確認してそれに合わせて吠える、という芸当すらも可能とする。
「それじゃこの子が合わせるから一気に攻め込んで!」
 そう高らかに吠え立てる錫杖の狼、そして捉えがたき氷の狼の吠え声に合わせてタン、とジェラルドが地を蹴った。冷気のオーラを身を守るように纏い、その爪を鋭き直感を活かして受け止めると逆の手にすかさず生み出した氷塊、つららの如く鋭いそれをさっと返す刀とばかり投げつける。
「っ……!」
 心まで削るかのようなチェシャ猫の笑い、それがネイリアへと向きかけた瞬間、シーナは咄嗟に身を呈していた。狼は猟兵達の攻撃に合わせ、そしてシーナを励ますかのように高らかに吠える。シーナがネイリアの前にいる限り、その笑みが直接ネイリアを狙わない限り、心蝕む笑い声がネイリアを傷つけることは――ない!
 猟兵達の攻撃が一気にオウガの肉体を穿ち、削り取る。その速度は攻撃のたびにそれと息を合わせた二種の狼の吼え声で、一気に加速していく。
 そして再びジェラルドの手の中、氷の刃が二閃した。
「――餞別だ、受け取れ」
 猫を模したオブリビオンの、笑い声も悲鳴すらも凍りつかせるような斬撃。
 そして己は声もなく、狼の遠吠えをその挽歌に、かのオウガはおとぎの国の塵と散ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『機械仕掛けの時計塔』

POW   :    時計塔の機械を破壊して、時計を止めようとする。

SPD   :    機械の上を走り抜け、時計板まで登って、時計の針を停止させます。

WIZ   :    機械の構造を理解し、最小限の操作で、時計を停止させます。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 扉を探して最後の道を駆け抜けると、そこは時計塔だった。
「なにこれー!?」
 この世界に呼び出されてしまった『アリス』たるネイリアが叫ぶのも無理はない。無数の歯車やらネジやら機構やら、とにかくその全体が機械で作られた――UDCアースあたりの基準で言うとかなり古めかしいタイプの――時計塔なのである。
「扉の場所はわかる?」
 猟兵の一人が問えば、ええ、とネイリアは大きく頷いた。
「あの塔の一番上……ちょうど時計の『12』のところ!」
 長針と短針の先端がそれぞれ、トランプのスペードのマークのように膨らんだデザインは『11時54分』を指して――がたん、と大きな音を立て、長針が1つ動いて『11時55分』になった。
 その瞬間のことである。

『動力、不足。動力、不足。アト5フン、12時チョウド、デ、コノ時計ハ、機能ヲ、停止、シマス』
「えええ!?」
 慌ててネイリアが、そして猟兵達が見上げた時計。長針の先端はやたらと大きく、12時で時計が止まったら文字盤の『12』の数字はほぼ隠れそうな様子である。
「そんな!針で邪魔されちゃったらたぶん、扉を開けられなくなっちゃう!!」
 つまり『ネイリアの扉』は、ばっちり文字盤の上にあるらしいのである。それもきっかり『12』の部分。
 一応時計塔にはいろんな部品を組み合わせたような階段がついてはいるが、傾斜も厳しくて猟兵ならばともかくネイリアが走って5分で登れるような距離ではない。
 12時で止まってしまった長針がそれから動かせるのか、もしくは壊せるのか……それもわからない!
「ここまで来てなんて意地悪な仕掛けがー!?」
 12時が来たら変身が解けるどころかチェックメイトを喰らうかもしれない。
 シンデレラもびっくりのハードな『アリス』ストーリー。

 ともあれとりあえず時計が12時になるより先に、針を止めるしかないようだ!
リリム・カーマイン
なるほど!単純明快!だるま落としの要領といくか!!

とりあえず【第二章と同じ真の姿】になって【鼓舞】で他の猟兵やネイリアのやる気を出させるぜ!

「お前ら見ろ!!最後の最後!単純明快だ!アレを止めれば!全て終わる!!」

「俺が!物理で!!止めて!やるよォ!!!後に続け!!」

そして登る暇もないので【武器:胴刈】【怪力】【捨て身の一撃】【2回攻撃】を駆使して、【UC:リリム大暴れ】で文字通り大暴れしてやるぜ!!

「高いところから見下ろしてんじゃねえよ!時計塔ごときがよォ!!」

「やるぜやるぜ俺はやるぜ!!リリム・カーマインがぶっ壊す!!」

「あきらめんなよお前ら!!」

「がーっはっはっは!!」


アドリブ可能


エメラ・アーヴェスピア
あら、時計塔…しかも歯車多めの古いタイプ?
ふふっ、完全に私の得意分野じゃない
安心しなさい、確実に帰してあげるわ

とりあえず時間が無いのよね、どんな手段を取るにしてもまずは手早く構造を確認しましょう
『我が工房に帳は落ちず』の工兵と【メカニック】で【情報収集】よ
そして即座に以下のどれかを選択、行動に移すわ

プランA.エネルギーを足して、時計を未来に進める

プランB.エネルギーを必要以上に消費させて時計を予定より早く止める

プランC.エネルギー伝達部分を破壊し、時計を止める

他の同僚さん達の行動にもよるけど、これで解決できるはずよ
それじゃ、さっさと弄ってしまいましょうか

※アドリブ・絡み歓迎


フィロメーラ・アステール
「最後の最後で、忙しいことになったな!」
時計の構造はよくわからないけど!
まあ部品が無くなったりしたら止まるんじゃ?

【はじまりを刻む地の新星】を使うぞ!
飛んでいって、できるだけ多くの機械を効果範囲に入れる!
そして時計を構成する部品を【全力魔法】で変換して操作!
【盗み】取る形にすることで、動きを止める!

でも、ここは不思議の世界だからな!
ただ部品を抜いただけだと、止まらないかも!
その時は、動いてる所に部品を突っ込んで邪魔してみるぞ!
【オーラ防御】で強度を上げれば、もろい部品でもストッパーになるんじゃないか?

もしもの時は最後の手段!
【気合い】で部品を正しく動かし、時計を進めてみるのも手かな?



「いやー最後の最後で忙しいことになったな!」
 にかっと笑ってフィロメーラ・アステールがネイリアへと振り返る。グリードキャタピラーとの戦いから付き合ってくれた彼女の笑顔に、そして頼もしい猟兵達に、ネイリアの表情からふっと緊張が抜けて「本当にね!」と笑顔を見せる。
 いつもハイテンションな妖精の微笑みは、側にいる者の心も焦りから解き放ち解きほぐすのだ。フィロメーラ本人が意識してるかはともかくだ!
「あら、時計塔……しかも歯車多めの古いタイプ? ふふっ、完全に私の得意分野じゃない」
 エメラ・アーヴェスピアは至極嬉しそうに微笑んだ。それもそのはず、彼女のここまでの戦い方も、完全にそちらの系統、蒸気魔導の真髄によるものだったのだから。
「安心しなさい、確実に帰してあげるわ」
「あっそういえばエメラさんが使ってた機械とすっごく似ているものね! すごいわ、専門家だわ!」
 目を輝かせるネイリアに微笑んで、エメラは再び魔導蒸気の兵士達を召喚する。今度は戦闘に優れたタイプではなく――。
「『我が工房に帳は落ちず』、各員、速やかに作業を開始なさい」
 そう、工兵の一団だ。
 時計塔へと取り付いた工兵達が即座に調査と情報収集を進めそれをエメラへと伝える。
「……OK、エネルギー伝達部分の構造が案外に脆弱ね。ならば……」
「なるほど! 単純明快!」
 そしてとっくに漆黒の六翼に黄金色の鎧、真の姿を顕していたリリム・カーマインは、聞いた次の瞬間には時計塔へと駆け出している!
「お前ら見ろ! 最後の最後! アレを止めれば! 全て終わる!!」
 先陣を切って皆を鼓舞するその姿、まさにあれが王子様でなくてなんであろう。そう、王子様だ!
「俺が! 物理で! 止めて! やるよォ!! 後に続けー!!」
 すっごい物理寄りで火力寄りで大振りだが! そういうタイプの王子様なのだ!!
「OKOK、時計の構造はよくわからないけど! まあ部品が無くなったりしたら止まるんじゃ?」
 ぴゅんっと薄色の羽を輝かせ飛んでいくと、フィロメーラは思いっきり時計塔の『部品達』へと呼びかける。ユーベルコード『はじまりを刻む地の新星』だ!
「目覚めろー! 愉快な仲間たち!」
 一気に魔力生命体へと覚醒する部品達を、ばっしばっし操作して摘みとっていくフィロメーラ。
「そう来るならそうね……各員、一番効率的な位置に、2人を誘導してあげて」
 リリムとフィロメーラの動きを見て、さっとエメラが指示を出す。大暴れをきめるリリムが壊すのに一番いい場所、フィロメーラが抜いたら一番効果的な部品、50体近くの工兵達が作業を進める者と誘導する者へと分担して精力的に動く様子、これもまた戦場とはまた違う趣の壮観さであった。

「やるぜやるぜ俺はやるぜ!! リリム・カーマインがぶっ壊す!! 高いところから見下ろしてんじゃねえよ時計塔ごときがよォ!!」
 リリムの方は趣が変わらないタイプの壮観さである。ぶん回される『胴刈』と名付けられたハルバード。がっしがっし破壊されていく動力伝達部分の部品が煌めき輝き舞っている。
「おっけーこことここと、ここ……あんましこの辺止まってないな、よし突っ込むか!」
 抜いた部品を今度はまだ動いている場所にがしっと差し込むフィロメーラ。魔力で強化した部品が歯車の動きを邪魔し、軋む音を上げながらもその部分を食い止める。

 時計はまだ止まらない――が。
「実時間より、進み方が遅れたようね」
 全体を確認していたエメラが、長針が1つ動くのを確認して深く頷いた。行動方針自体は合っていて、きっちり功を奏している。
「この調子で行くぞお前ら!!」
 その間も凄まじい勢いで部品を散らし、金属同士のぶつかり合いで火花を立てまくるリリム。
「よっ、と、よしここだ!」
 さらに部品の入れ替えパズルを加速させて順調に動力路を分断していくフィロメーラ。
「がーっはっはっは!!」
 そしてこの世界への来訪者『アリス』、その1人たるネイリアの物語は、クライマックスへと近づいていく――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・ボノムドネージュ
……後一歩、といったところか
確実に帰す為に止めなければな

素早さを活かして【ダッシュ】で時計塔を走り抜ける
近道があるならば【地形の利用】し【早業】で
【ジャンプ】や【クライミング】を駆使して登る

時計板まで着いたら【ユーベルコード】を発動
感覚を極限まで研ぎ澄ます

時計の針を停止させるのに一番良い部品に
狙いを定め、作成した氷の戦鎚を【投擲】し
【鎧砕き】の一撃で部品を破壊しよう


シーナ・マクラーン
さぁ ここから出られるチャンスが来たみたいだね。最後までお手伝いするよ。

WIZで判定 時計の構造を クライシスゾーンを使って時計の針の中心の破壊を試みてみます。
「ここはこのくらいで・・・集中!」

帰っていくネイリアを見送りながら、「もうこんな怖いところに二度とこないことを祈るよ」とつぶやきます



「……後一歩、といったところか」
 ジェラルド・ボノムドネージュが呟きながら文字盤を見上げる。猟兵達の活躍によって、時計塔の動きは確実に鈍っている――ならば。
「ついにここから出られるチャンスが来たみたいだね」
 シーナ・マクラーンの笑顔に、ぱっと笑ってネイリアも頷いた。
「ええ! その、ここまで送ってくれた皆さんとお別れなのは、すっごくすっごく寂しいけど、でも私おうちに帰れるのね! それはとっても、嬉しくてありがたくて仕方ないの!」
「うん、最後までお手伝いするよ!」
 愛らしい笑顔が2つ綻ぶ様子を横目に捉えると、軽く頷いた次の瞬間にはジェラルドは地を蹴っていた。
(確実に帰す為に、止めなければな)
 彼が走るのは階段ではない。螺旋状になったそれより、身軽な彼にはもっと真っ直ぐに駆け抜け、登る手段がある。タン、と壊された動力伝達管を蹴ったかと思えば何かの芯棒を手がかりに歯車の上へと飛び移り、まるで梯子を使っているだけとでもいうように、不規則な機械の上を自在に駆け上っていく。
 その間にシーナは、ジェラルドが向かうのと同じ文字盤へと狙いをつけていた。
「ここはこのくらいで……」
 伸ばした指を照準器代わりに。その間に文字盤へと辿り着いたジェラルドも己のユーベルコード――『暗殺者の瞳』にて極限まで感覚を研ぎ澄ます。
「集中!」
「ここだ」
 氷の戦鎚が、超次元の竜巻が『最後の部品』を砕く。時計を止めるのに必要な、最後の一撃。
 ――全ての駆動音が、止まった。

 文字盤へと登る間に猟兵達とたっぷり別れを惜しんだネイリアは、最後に助けてくれた1人1人と握手をかわして、ぺこりと深く深く頭を下げた。
「本当に、ありがとうございました。その……忘れないわ、きっと、いえ絶対! だって怖かったけど、それよりずっとみんながきらきら輝いてて、助けてくれたのが嬉しくて、冒険譚みたいで楽しかったの! ありがとう!!」
 まるで彼女のお喋りみたいに、リボンやらオーナメントやらで飾られた扉をネイリアはくぐり抜けていく。世界を越えられる猟兵達だとはいえ、もう会えるかも、わからないけど。
「もうこんな怖いところに二度とこないことを祈るよ」
 そっとシーナは小さく目を伏せて呟いた。今回は救うことができたからこそ、どうか――。

 アリスラビリンスではない。そこは彼女の元いた世界。
 駆けてきた息を整えて、吐いて、吸って、彼女は思い切り声を張り上げる――、

「ただいま!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月01日


挿絵イラスト