まっさらからはじまるくにつくり
#アリスラビリンス
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「何や、可愛らしい世界と繋がったんやね」
楽しげにトンボ眼鏡越しの瞳を細める各務・瞳子(七彩の聴き手・f02599)だが、猟兵が渡れる世界が持つ意味は、よくよく承知している。
「『アリスラビリンス』の現状は、人を喰らう『オウガ』が支配する無数の『不思議の国』や。オウガの餌として無理矢理召喚された『アリス』と、オウガに隷属させられとる『愉快な仲間』達。敵も味方も、はっきりしとる世界やね」
アリスラビリンスは、無数の「不思議の国」が繋がった複合世界だ。時に、まだ誰の手付かずの、まっさらな「不思議の国」が見付かる事がある。
「今回はな、皆に『国つくり』のお手伝いをお願いしたいんよ」
そこは――一面、平原の世界。蒼穹の下、そよ風に波立つ草海は確かに綺麗だけど。花も無ければ、実を結ぶ木々も、高き山も、水の恵みも見当たらない。
「先に『ウサギ穴』を通ってやって来た、愉快な仲間の入植者達が、ベースキャンプを作っとるけど、本格的な国つくりはこれからやね」
愉快な仲間の入植者達は、フェアリーに似た雰囲気の「お花の妖精」や、ケットシーのように「二足歩行する動物」が多いようだ。総じて、人懐こい。
「ベースキャンプには、大きな丸太のテーブルと長椅子が持ち込まれとる。丁度、『どんな国を作るか』を話し合うお茶会をするようやから、まず、そこで色んなアイディアを出してあげて欲しいんよ」
例えば、植える植物や、山や湖など『地形』の造成。入植者達の集落に建てる建物などなど。
「何も無いという事は、何でも出来るって事や。入植者さん達は、何れはアリスさん達が楽しく過ごせる街が作りたいって考えとるみたいやけど、具体的にどうしようか、迷っとるみたいやね」
例えば、「お菓子の国」や「おもちゃの国」といった、指針が出来るだけでも国つくりは大きく進む事になる。
「入植者さん達は、皆の提案を基に不思議な国を作っていくさかい。まずは、お茶会で色んなアイディアを出したってな」
ちなみに。お茶会の食べ物や飲み物は、入植者達が持ち込んだ物なので、差し入れも大いに歓ばれるだろう。
「そうや。楽しい国つくりに水を差す事を言うてまうけど。グリモアが報せてくれたって事は……敵襲がある」
そう、その実、1番重要な提案は『オウガが来た時の備え』かもしれない。折角の新しい不思議の国が見付かったのだ。これ以上、オウガの餌場を増やす訳にはいかない。
「まあ、ハナから入植者さん達を怖がらせるのも無粋ってもんやし。楽しくお茶しながら、色々お話ししたってな」
柊透胡
こんにちは。柊透胡です。
新世界「アリスラビリンス」。ファンシーでメルヘンですが、既にオウガに支配された「美しい地獄」でもある世界です。
ですが、今回は、発見されたばかりのまっさらな「不思議の国」の国つくりの手伝いをお願いします。
新発見された国は、一面、平原の世界。そよ風に波立つ草海以外は、なーんにもありません。
先にウサギ穴を通ってやって来た愉快な仲間の『入植者』達が、ウサギ穴の近くで、ベースキャンプを作っているくらいです。(丸太のテーブルと長椅子を中心に、テントが並んでいる感じです)
愉快な仲間の入植者達は、フェアリーに似た雰囲気の「お花の妖精」や、ケットシーのように「二足歩行する動物」が多いようです。総じて、人懐こく、猟兵の訪れも歓迎してくれます。「アリス」はまだいません。
第1章では、ベースキャンプでお茶会しながら、どんな国を作ろうか、色々提案してあげて下さい。猟兵の皆さんの提案を基に、入植者達は不思議の国を作っていきます。
第2章では、主に最初の『集落』作りとなるでしょう。第3章で「敵」が来襲しますので、その備えもお忘れなく。
それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『スコーンとジャムとクロテッドクリーム』
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POW : 焼きたてスコーンにクロテッドクリームを添えて
SPD : 旬の食材をサンドウィッチにして
WIZ : 紅茶はミルク? それともジャム?
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
スコーンとジャムとクロテッドクリーム――青空の下、いっそ素朴な丸太のテーブルに並べられたお茶会の仕度は、何処か優美な雰囲気。
「フフン♪」
妖精2人掛りでティーコゼーを掛けたポットを置いて、薔薇のようなドレス姿の妖精が得意げにそっくり返る。
「どこでも優雅に美しく、ですわ♪」
「ゆうがより~、かわいい、ほうがいいな~」
のんびりした反論は、ちょこんと長椅子に座った黒犬の少年から。大人しくマテの姿勢だが、視線はイチゴジャムの大瓶に釘付けだ。
「こんなにひろーいんだし~、おはなばたけもいいよね~」
「薔薇園は外せませんわ!」
「えー、色んなお花を咲かせたいなぁ」
「木の実がいっぱいなる森とかも欲しいよね。次のお茶会は、ココで獲れたものでお菓子作りたいな」
ヒマワリのブローチが愛らしい妖精や、つぶらな瞳のリスの女の子も加わって。
「え? おもちゃの国とか、駄目?」
「僕、おっきな湖で遊びたい!」
テディベアのような小熊の男の子や蓮の花を髪に飾る妖精も、大いに主張する。
ワイワイガヤガヤ、賑やかなのはいいけれど。このままだと纏まりそうにない。
――さて、どんな国を作ろうか?
ハイペリカム・ファニングス
アドリブ連携歓迎
まっさらな不思議の国、夢がありますね
是非とも国作りのお手伝いをさせていただきたく……
という訳で差し入れにフレーバーティーとお手製サンドイッチを持ってお茶会に参加しましょう
こののどかな風景も素敵ですが、やはり皆様やアリス様が快適に暮らせるような国を作りたいですねぇ
大きな湖なんてあれば飲むものや生活に困らないのではと思いますよ
あとは木も沢山欲しいですねぇ
それで頑丈で快適なお家を作るのです
困り事にも対応できますよ!
そうすると大自然の国……のようなイメージになりますでしょうか
色んなお花が咲いていたりするのも素敵でしょうね
お花があれば皆様もアリス様も穏やかな気持ちになれるでしょうしね
(「まっさらな不思議の国、夢がありますね」)
微笑ましげに赤茶の双眸を更に細める、紳士然とした時計ウサギ――ハイペリカム・ファニングス(キリサキウサギ・f19355)。
「是非とも、私も国作りのお手伝いをさせていただきたく……」
フレーバーティーとお手製サンドイッチを手土産に入植者達に声を掛ければ、人懐こくお茶会のテーブルに招き入れられた。
あーでもないこーでもないと、ワイワイガヤガヤ。彼らの意見を一通り聞いて、ハイペリカムは徐に口を開く。
「こののどかな風景も素敵ですが、やはり皆様やアリス様が快適に暮らせるような国を作りたいですねぇ」
やはり衣食住は不可欠ならば、大きな湖なんてあれば飲み水や生活に困らないだろうし、木が沢山あれば頑丈で快適な家が建てられる。
「困り事にも対応できますよ!」
「コマリゴト?」
「色々な道具が作れますからね」
例えば――傍目には実に牧歌的な水車小屋も、流水を動力に木を組んだ車輪を動かす謂わば「水力の製作所」なのだ。穀粉、製材、織物、金属加工等々、その用途も多岐に渡る。
「そうすると大自然の国……のようなイメージになりますでしょうか」
となれば、色んなお花が咲いていたりするのも素敵だろう。
「お花があれば……皆様もアリス様も、穏やかな気持ちになれるでしょうしね」
時計ウサギの青年の言葉に、花の妖精達は一斉に満面の笑みを浮かべる――お花畑作りは、確定となったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
駆爛・由貴
おー…ファンタジー…
なかなかメルヘンな世界じゃねーか
故郷のチビ達が喜びそうな場所だなー
まぁ、まずは腹ごしらえしながら話を進めるか
あ、ジャムは紅茶に入れなくて良いぜ、舐めながら飲むから
これが旨いんだ
そうだなー
どうせ作るなら全部ぶち込むのはどうだ?
おもちゃの国に薔薇の庭園
木の実がたっぷり実った森に色とりどりの花畑
さらにはクッキーとチョコとキャンディとマシュマロで出来たお菓子の城だ!
今から地図を持ってきてみんなで好きなように描いて見ようぜ!
それが出来たら今度はそれぞれをどこに建てるか決めればいい
どうせなら楽しい夢の国を作らなきゃだろ!
UCで召喚した小型ポッド達に給仕をさせながらみんなで話し合うぜ
「おー、ファンタジー……なかなかメルヘンな世界じゃねーか」
故郷のチビ達が喜びそうな場所だなー、なんて。弟分や妹分の笑顔を思い出し、駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)にも自然と笑みが浮かぶ。
お茶会のテーブルに着けば、早速紅茶とジャムの瓶が並べられた。
「まぁ、まずは腹ごしらえ、だな……あ、ジャムは紅茶に入れなくて良いぜ、舐めながら飲むから」
これが美味いんだと、衒い無くイチゴジャムを一匙ペロリ。何とも幸せそうな表情だ。
「仕事だぞ! 働けお前ら!」
そうして、お茶会の給仕は召喚した小型ポッド達に任せ、入植者達の希望に耳を傾ける事暫し――由貴の意見は、「全部ぶち込むのはどうだ?」
「今から地図を、みんなで好きなように描いてみようぜ!」
おもちゃの国に薔薇の庭園、木の実がたっぷり実った森に色とりどりの花畑――。
「それから、クッキーとチョコとキャンディとマシュマロで出来たお菓子の城だ!」
同様に、由貴もアイデアを描き込んでいく……お次は、何処に何を設えようか?
「どうせなら楽しい夢の国を作らなきゃ、だろ!」
例えるなら、色んなエリアのある大きな遊園地のような。それぞれの『夢』の破片をパズルのように組み合わせていけば、きっと素敵な不思議の国の見取り図が出来上がるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
【ヤド箱】
お茶は、レモンティーの、砂糖多めで。
ぬるめにしてもらえると、助かるかな。
街、か……。
んと、地下室、作るのはどうだろう?
作り方にもよるけど、
夏涼しくて、冬は暖かい、
湿度も、一定にできるし、それこそ、食料の保存にも良いよ。
地下を繋げての、地下通路とかも、面白いかも。
……あと、いざというときの、逃げる先や、水を引き込んでの、水攻めにも、良いかもね。
ホテルス・アムレティア
【ヤド箱】で参加
アレンジ歓迎
ふふ一からの国造りですか
其れは楽しそうですな
そうですね見晴らしの良い塔を中央にというのは如何でしょう?
皆で作った国を上から見下ろすのは普段と違う姿が見れて楽しいと思いますよ?
上から見たら模様になる様に建物を配置したりする楽しみ方もありますしね
後は塔に時間を知らせる鐘をつけてお茶会の時間を知らせたりするのも悪くないかと
(まあ見晴らしの良い塔に鐘があればオウガが攻めて来た際に知らせ易いというのも有りますし)
持ち寄ったフィナンシェを振舞いつつ騎士としての『礼儀作法』に沿ってミルクティーを楽しむ
おや、此れは実に良い香りですな
味も飲んでいて落ち着きますし我輩は此れは好きですね
黒鵺・瑞樹
【ヤド箱】【SPD】アドリブ可
すまんが茶は砂糖なしストレートで、茶請けは甘いものが苦手なんで無しでも構わない。
国づくり国づくりねぇ…。
(ナイフとして生まれた方の故郷が思い出されて)…ちょっと具体的になってしまうが、高い塔みたいな建物はどうだろうか?
遠くまで見通せる物見やぐらみたいな使い方してもいいし、好きに上って風を感じてもいいと思うんだよな。
(故郷だと都市国家だったから身分差で住まう階層が違ってたけど、新しくつくるならそういうのもないだろう?
単なる塔なら住居とかも関係ないし。……またあの夕焼けを見たいな。)
勘解由小路・津雲
【ヤド箱】で参加 アドリブ等歓迎
さてさて、敵の襲撃に備えるなど現実的な対策を考えるのは得意なのだが、メルヘンな国造りか、ふうむ、どうしたものか……。
【提案】やあ、はじめまして、どうぞよろしく。国づくりをしていると聞いて、手伝いに来たぜ。おっと、紅茶をありがとう。
おれとしては、井戸を掘るなどして、水を確保することをおすすめするよ(しかし、この空間、地面を掘って水が出るのだろうか?)。
水は生きるために必要だし、紅茶を沸かすのにも使える。豊富な水があるなら、そこから水路や湖なんかを作っていって、「水の国」なんてのも素敵じゃないかな?(敵に攻められたときも守りやすいしな、というのは内心に留めておく)
落浜・語
【ヤド箱】で
随分と明るい雰囲気の割に悪趣味な世界。とも思ったが、何も出てこなきゃいい場所だな。
そう言う意味でも、童話の世界ってとこか。UDCアースの童話もそう言うの多いし。
とりあえずお茶のお供にお菓子、琥珀糖や花林糖でも。紅茶にも合うはずだよ。できれば、冷たい紅茶でお願いしたいかな。
どんな国、ねぇ。水車とか、風車とかあったら楽しそうだなとは思うかな。それに、動力源にもできるからあったら便利じゃないか?
アドリブ等歓迎
吉備・狐珀
【ヤド箱】で参加です
敵の襲撃に備えつつアリスが喜ぶような国つくりですか…。
オウガが来た時に逃げられるような建物があるといいでしょうか。メルヘンな建物って何があるでしょう?
こんにちは。私にもお手伝いさせてください。
紅茶を入れてくださったんですか?美味しそうな紅茶ですね、ありがとうございます。
国つくりのことなんですが遊び疲れた時に一休みできるお部屋を用意してはいかがでしょう。
レンガを使って家を建ててみてはいかがですか?
可愛らしく飾り付けをしてアリスを歓迎しましょう!
せっかくですから湖や水路にあう家にしましょう!
「やあ、はじめまして、どうぞよろしく。国づくりと聞いて、手伝いに来たぜ」
誠実そうな笑顔で、入植者達に丁寧に挨拶して回る勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)。歓迎してくれた小熊の男の子から紅茶を受け取り、明るく礼を口にする。
「ふふ、一からの国造りですか。其れは楽しそうですな」
悠然と微笑み、ホテルス・アムレティア(蒼き獅子の鎧の騎士・f19306)は差し入れのフィナンシェを振舞う。
旅団『ヤドリガミの箱庭』の面々も、テーブルの地図を眺めてはあれこれと思案する。
「国づくり、国づくりねぇ……」
甘味は苦手と茶菓子は遠慮して、黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)は砂糖無しのストレートティーを飲む。その時、ふと思い出したのは「ナイフ」としての故郷。
「……ちょっと細部に具体的となってしまうが、高い塔みたいな建物はどうだろうか?」
遠くまで見通す物見櫓のように使ってもいいし、自由に上って風を感じるのも乙なもの。
(「故郷は都市国家だったから、身分差で住まう階層が違ってたけど……新しくつくるならそういうのもないだろう?」)
ちらと周囲を窺えば、愉快な仲間達には、上下関係の類はなさそうだ。
(「単なる塔にするなら住居とかも関係ないし……またあの夕焼けを見たいな」)
図らず脳裏に過った絶景を、懐かしく思いながら。
「そうですね……では、その見晴らしの良い塔を街の中央にというのは如何でしょう?」
ホテルスの言う通り、皆で作った国を、上から見下ろすのは格別だろう。模様を描くように建物を配置するのも、粋な遊び心。
「後は、時告げの鐘楼にして、お茶会の時間を報せるのも悪くないかと……おや、此れは実に良い香りですな。味も飲んでいて落ち着きますし」
礼儀作法に則ってミルクティーを堪能していたホテルスだが、先に猟兵が持ち込んだフレーバーティーも気に入ったようだ。
(「まあ、見晴らしの良い塔に鐘があれば、オウガが攻めて来た際に知らせ易いというのも有りますし」)
その実、『防衛』も考慮しているのは、鎧のヤドリガミならではかもしれない。
「街、か……」
砂糖多めのレモンティーは少しぬるめ。ゆっくりと喉を潤しながら、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は考え込む。
「んと、それぞれの建物に地下室、作るのはどうだろう?」
通常、地下の環境は夏涼しく、冬は暖かい。湿度も一定なので、食料の保存にも向いている。
「地下室を繋げて、地下通路とかも、面白いかも」
地下には地下で、街が出来そうな提案だ。
「いざというときの逃げ場とか……水を引き込んでの、水攻めにも、良いかもね」
「おれとしても、井戸を掘るとかして、水の確保をおすすめするよ」
ペインの思い付きに、津雲も頷く。とは言え、ここは『不思議の国』だ。本当に地面を掘って水が湧くかどうかはさて置いて……。
(「敵の襲撃に備えるなど現実的な対策を考えるのは得意なのだが、メルヘンな国造りか、ふうむ、どうしたものか……」)
まあ、常識的に考えて水は生きる為に必要だし、身近な話では紅茶を淹れるのにも使う。
「豊富な水があるなら、そこから水路や湖なんかを作って……あ、湖は造る予定なのか。だったら、いっそ『水の国』なんてのも素敵じゃないかな?」
敵に攻められた時も守り易いし――なんて、物騒な利点は、津雲の内心に留めておく。
「『水の国』なら、水車とか。後は風車とかあったら楽しそうだなと思うかな」
琥珀糖や花林糖をお茶請けに出しながら、落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)はアイスティーを啜る。次いで、琥珀糖を口に放り込んで……うん。見込み通り、紅茶にもぴったりだ。
「動力源にもできるから、あったら便利じゃないか?」
ふと、顔を上げれば、入植者達の頭越しに、波打つ一面の草海が見えた。
(「随分と明るい雰囲気の割に悪趣味な世界、と思っていたけど……何も出てこなきゃ、いい場所だな」)
のんびりと目を細める語。謂わば、童話の世界だろうか。UDCアースにも、似たような雰囲気の童話は少なくないし。
(「敵の襲撃に備えつつ、アリスが喜ぶような国つくりですか……」)
様々な意見に耳を傾けて、だからこそ、吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)は悩ましい。
(「オウガが来た時に、地上でも逃げ込める建物があるといいでしょうか」)
そう言えば、メルヘンな建物って何があるだろう? 語の言う通り、水車小屋や風車小屋も素敵だけど、避難場所には向いていないような気がする。
「……あ、紅茶を淹れてくださったんですか? 美味しそうですね、ありがとうございます」
考え過ぎて、自然と眉間に皺が寄ってしまっていたけれど。トコトコと、タンポポの妖精が運んできた芳しい香りに、自然と狐珀の表情も綻ぶ。そう、リラックス出来る時間と空間は大事だ。
「あの……遊び疲れた時に、一休みできるお部屋を用意してはいかがでしょう」
折角だから、湖や水路に似合う家を――煉瓦を使うのはどうだろうか?
「可愛らしく飾り付けをして、アリスを歓迎しましょう! 私にも、お手伝いさせてください」
――お茶会を通して、この国のカタチも、少しずつ見えて来た。
一言で表すなら『夢の国』。楽しいものを思い付く限り、欲張りに詰め込んでいこう。
まずは、ウサギ穴に程近い場所――今はベースキャンプだけど、アリス達を歓迎する『ウェルカムタウン』に。ランドマークは、町の中央にそびえる時計塔だ。お茶会の時間を鐘の音色で報せてくれるし、自由に上るのも大丈夫。塔の上から、街並が何を描いているのか、探してみるのもきっと楽しい……その実、ウサギ穴までよく見えて、物見櫓も兼ねている。
町は近くの大きな湖から水路を敷いて、水車小屋もあちこちに。水路に臨むので、建物は主に丈夫な煉瓦造りだ。どれも可愛らしく飾り立てて、目にも楽しく。地下室も完備して、その内、地下室同士を繋げて地下街も造ろうか。
「ウェルカムタウン」から、色々なエリアに繋がっている――例えば、木の実がたっぷり実った森にはログハウスの菓子工房。色とりどりの花畑に囲まれた大自然の国だ。丘に並ぶ風車小屋で挽かれた小麦粉は、きっと絶品。
他にも、薔薇の庭園が自慢のおもちゃの国や、クッキーとチョコとキャンディとマシュマロで出来たお菓子の城!
アイデアの数だけ、素敵に広がっていく夢の国――もしかしたら、ずっと完成を追い掛ける事になるかもしれない。
だけど、それこそが、きっと面白い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『お店屋さんごっこ』
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POW : 美味しい食べ物屋さん
SPD : 素敵な雑貨屋さん
WIZ : 物じゃなく居心地のいい空間を提供
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
方針が決まった所で、いよいよ国つくりの始まり始まり。
まずは、不思議の国の入り口、「ウェルカムタウン」から。同時進行で、近くに大きな湖と、大自然の国のエリアも。
入植者――愉快な仲間の中でも、力自慢達が大きな穴を掘り、雨の妖精が雨雲を喚べばあら不思議。大雨の後、清らな水に充たされた湖の出来上がり。
一方、花の妖精達が種を蒔けば、芽吹いた緑がニョキニョキと。こんもりとした森と花畑が草海に替わって広がった。
町の周囲が形作られた頃、時計塔を中心にした街並――仮に第一街区としておこう。もっと可愛い名前募集中――も、形となってきた。ウェルカムタウンの中でも、1番賑やかになる予定。
「どうして?」
「お店が沢山並ぶから!」
お買い物って楽しいよね! と動物達はニコニコと。そう言えば、この国の名物とか、何が良いだろう? アリス達が喜んでくれるものがいいな。
「僕、美味しい食べ物屋さんやりたいな」
「あたしは、素敵な雑貨屋さん!」
今は通貨とかなくても、お店の雰囲気とか楽しめるごっこ遊びのノリっていいよね!
さあ、アリス達が来るまで、お店屋さんの予行練習。お店屋さんでもお客様でも、お好きにどうぞ。
駆爛・由貴
よっしゃ
決まったみてーだし、次は店屋の予行演習か
どうせならとことんまで付き合うぜ!
まずはスマホのカメラスキャンで情報収集、美味そうな食い物でも探すか
溢れる花の蜜のキャラメル
香りはリンゴで味はバナナのパイナップル
チョコの湖を泳ぐナッツの魚か!
妙なものばかりだなオイ!楽しくなってきやがったぜ!
UCを発動
さっきこいつらに給仕をさせてピンと来たぜ
俺がやるのは喫茶店だ!
二本のマニピュレーターを器用に使いこなして料理や給仕、掃除まで何でもやらせるぜ!
俺は後ろで指示さえ出してりゃいいからな!
よーし!「喫茶・えるふ」本日開業だぜー!
…あん?えるふは一人しかいないって?
一人いりゃ十分だろ!
アドリブ・連携OK
「よっしゃ、次は店屋の予行練習か」
どうせならとことんまで付き合うと、駆爛・由貴は楽しそうな笑みを浮かべている。
「まずは……美味そうな食い物でも探すか」
ここは、不思議の国が重なるアリスラビリンスだが、由貴は電脳魔術士だ。電子魔術スマートフォン”レンラク・イチバン”を使えば、カメラスキャンで情報収集もお手のもの。
「……へぇ、この花の蜜は、キャラメルに似てるんだな」
他にも、リンゴの香りで味はバナナ、見た目はパイナップルの果実とか。そう言えば、お菓子の城の方はまだ手付かずだけど、チョコレート充たされた堀にはナッツの魚が泳ぐ予定らしい。
「妙なものばかりだな、オイ! 楽しくなってきやがったぜ!」
弾むような足取りで、第一街区を歩き回る事暫し。これはと目を留めたこじんまりとした一軒家の前で立ち止まり、大いに頷く由貴。
「よーし! 俺がやるのは喫茶店だ!」
先のお茶会を思い出してピンと来た。2本のマニピュレーターを器用に使いこなす自律ポッド達になら、料理から給仕、掃除まで何でも任せられる。
(「俺は後ろで指示さえ出してりゃいいからな!」)
不思議の国ならではの不思議な素材を使ったメニューが売りの喫茶店、その名も「喫茶・えるふ」――本日開業。
「仕事だぞ! 働けお前ら!」
早速、自立ポッド達に指示を出して回る由貴。その実、「エルフ」はそんな彼1人だけなのだけど。
「……あん? 1人いりゃ十分だろ!」
大成功
🔵🔵🔵
ハイペリカム・ファニングス
アドリブ連携歓迎
お店ですか、より国らしい感じで良いですね
それなら私は……皆が休める休憩所の用意をしましょうか
アリスさんもずーっとお買い物をする訳ではありませんし、このような場所も必要でしょう
中には可愛らしいお花や家具で飾りまして
ふかふかのソファーも欲しいです
お茶やお菓子もある程度は備え付けておきましょう
勿論買ってきたものをここで楽しんでも良いのですよ
どうせなら休憩所の作りはしっかりしたものにしておきましょう
木やレンガで良い感じに仕上げましょうか
……身も蓋もない言い方をすれば、いざという時の避難場所として運用出来る場所にしたいです
だから頑丈な扉なんかも備え付けておきたいですね
「お店ですか、より国らしい感じで良いですね」
やはり微笑ましそうな柔和な表情で、第一街区を見回すハイペリカム・ファニングス。
(「それなら私は……皆が休める休憩所の用意をしましょうか」)
アリスとてずーっとお買い物をしている訳ではないだろうし、一息つける場所も必要だろう。
ぐるりと町を一巡して――煉瓦のお家に目を付けた。
「これは……しっかりした造りですね」
身も蓋もない言い方をすれば、『いざ』という時の避難場所にも活用したい所。コツコツとノックして確認したドアは頑丈な木製で、此処に閉じこもれば時間稼ぎも出来そうだ。
勿論、堅牢なだけでは興醒めだ。続いて、ハイペリカムは内装にも手を付ける。
可愛らしいお花や家具で室内を飾り、ふかふかのソファーもあちこちに。
「お茶やお菓子も、ある程度は常備しておきましょう」
今はまだ、入植者達の持ち込みだけど。この国特製の茶菓子でもてなせるようになったらきっと素敵。勿論、ショッピングの戦利品をここで楽しんでもいい。
「ブティックやアクセサリーショップが出来れば、パウダールームを追加してもいいでしょうね……」
ふと視線を感じて振り返れば、窓の外から犬耳やら猫耳がヒョコヒョコと。
思わずクスリと笑み零れ、ハイペリカムは最初のお客様を迎えるべくドアの方へ歩み寄った。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・語
【ヤド箱】で
なんと言うか、本当に不思議な世界だな。
でもって、お店やさんごっこ。……ごっこ?
どうするかな。とりあえず、ふらふら歩き回ってみるか。
簡単な町歩きの地図とか、あったら便利だろうしそれをつくってみる方向で。
同時になんかあったときの避難経路とか、敵の入ってきやすそうな所とかも調べておく。(【第六感】【情報収集】【戦闘知識】)
やっといて無駄になることはないだろうからな。
まぁ、使うことのないのが一番だが。
アドリブ等歓迎
勘解由小路・津雲
【ヤド箱】で参加
こういう感じで出来ていくのか、ふむ、やはりこの世界、他とは少し異質な気がするな……(ぶつぶつ)。それはともかく。せっかくの湖だが、魚は取れるかな? 地元の魚でフィッシュ&チップスなんて、名物にはよいと思うが。
【行動】
料理の心得はないが、フィッシュ&チップスくらいなら作れるだろう、イギリス料理だし(偏見)。
さて、魚は取れるだろうか。普通なら出来たばかりの湖では無理だろうが、ここならいけそうな気がするな。見てくるとしよう。
……ついでに、こっそりオウガ対策だ。橋を簡単な動作で落とせるように工夫を。飛べる相手には意味がないが、とっさのときの時間稼ぎくらいにはなるだろう。
「こういう感じで出来ていくのか……」
ウェルカムタウンの近く――大きな湖の畔に立ち、勘解由小路・津雲は微妙な表情で周囲を見回す。
「ふむ、やはりこの世界、他とは少し異質な気がするな……」
何というか……力技で出来上がった地形なのだ。他の不思議の国がそうとは限らないが、何とも不可思議な心地だ。
(「せっかくの湖だが、魚は獲れるかな?」)
地元の魚でフィッシュ&チップスなんて、名物にはよいと思うのだけど。
(「料理の心得がなくても、フィッシュ&チップスくらいなら作れるだろう……イギリス料理だし」)
何か、偏見めいた思惑はさて置いて。湖を覗き込めば、底まで見える透明度に真新しい出来立てを実感する。
生憎と魚の類はまだ泳いでいなかったが、入植者に話したから、近い内に新たな命が湖に生まれるかもしれない。
タウンへ戻る道すがら、ついでにこっそりオウガ対策。町を囲む水路を渡る橋を、簡単な仕掛けで落とせるようにしておいた。飛べる相手には意味がないが、咄嗟の時間稼ぎくらいにはなるだろう。
「おーい」
タウンの通りで、手を振って来たのは落浜・語。
「何処に行ってたんだ? ……ああ、湖?」
語の方は、ふらふら回るついでに、町歩きの簡易マップを作っていたという。
「あったら便利だろうし……避難経路とか、敵の入ってきやすそうな所とかもな」
使う事が無いのが1番だけど、やっておいて無駄にはなるまいというのは、津雲も同意だ。ついでに、水路の橋の仕掛けも伝えておく。
「なんと言うか……本当に不思議な世界だな」
さらさらと地図を描きながら、ぽつりと呟く語に、津雲もうんうんと。
「でもって、お店やさんごっこ。……ごっこ?」
「何でもありだなぁ」
それがアリスラビリンスの面白い所、と言っておこう。
「皆も楽しそうだし」
猟兵だけでなく、入植者達も嬉々として「お店やさん」をしているし。これだけ賑やかならば、アリスがやって来る頃にはきっと「ごっこ」から本当になっているに違いない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
吉備・狐珀
【ヤド箱】で参加です。
おままごとみたいに国つくりをするのですね。
ちょっと楽しくなってきました。
先程頂いた紅茶が美味しかったので、カフェをひらいてみては如何ですか?
せっかく花畑や湖ができましたしオープンカフェにしてみてはどうでしょう?
お客様役のペイン殿のように突然この世界にきたアリスの不安をきれいな景色と美味しい紅茶で取り除いてあげましょう!
【料理】を活かして紅茶に合うケーキを作りましょうか。
せっかくだからここで採れた果物をたくさん使って作りましょう。
戸惑うアリスもいるかもしれないので【優しさ】と【手をつなぐ】でカフェまで誘導します。
ペイン・フィン
【ヤド箱】
さてと。
……折角だし、自分は、お客さん側で、参加かな。
練習相手、必要だろうし、ね。
変装、コミュ力、優しさ、パフォーマンス、早着替え、動物と話す、礼儀作法、演技
”突然この場にやってきたアリス”の演技をしながら、お客さん側に。
……えと、こんにちは
あ、この雑貨、かわいいね
君が作ったの?
すごいね
僕は、突然、ここにきて……
ねえ、君たちは、一体?
此処は、どこなの……?
同じように、演技しながら、時折、街の周囲を警戒。
第六感、聞き耳、追跡、情報収集、視力、暗視
……折角の素敵な街、
脅かすのは、許さないよ。
「おままごとみたいに国つくりをするのですね」
何だか楽しそうに呟く吉備・狐珀。そう言えば、お茶会で振舞われた紅茶が美味しかったなと思い出す。
「……そうだ。花畑や湖もできましたし、オープンカフェにしてみてはどうでしょう?」
突然、この世界に連れて来られたアリスの不安を、綺麗な景色と美味しい紅茶で取り除いてあげたい――料理はそれなりに得意な狐珀。早速、紅茶に合うケーキを手作り。折角だから、この国で獲れたばかりの果実をふんだんに使ってみる。
「……えと、こんにちは」
ケーキをショーケースに並べていると、遠慮がちの声音。ドアから顔を覗かせているのは、ペイン・フィンだけど。
(「自分は、お客さん側で……練習相手、必要だろうし、ね」)
今の彼は『突然召喚されてしまったアリス』だ。
「僕は、突然、ここにきて……ねえ、君たちは、一体? 此処は、どこなの……?」
既に幾つかのお店で、お客さんになって来ているから、演技も随分と慣れたもの。その実、周囲の警戒も怠っていない。
(「……折角の素敵な街、脅かすのは、許さないよ」)
「いらっしゃいませ! こちらにどうぞ。お花畑が綺麗に見えますよ」
一方、戸惑い不安そうな『アリス』に、狐珀は優しく微笑み掛ける。その手を繋ぐと、オープンテラスのテーブルに誘った。
「ここは『不思議の国』のウェルカムタウンです。愉快な仲間達は、アリスさんを歓迎します!」
先客の花の妖精達も、動物達も、パチパチと拍手で迎えてくれた。
「まずは、ケーキと紅茶でのんびり寛いで下さいね」
「わあ、このケーキ、かわいいね。君が作ったの?」
すごいね、という称賛はきっとペインの本心だろう。仮面越しでも判る感心の眼差しに、狐珀は面映ゆそうに肩を竦める。
「ど、どれでも、お好きなものをどうぞ! まだまだ沢山ありますから、おかわりも大丈夫です!」
「じゃ~、クルミのタルトおかわり~。後5つ、ほしいな~」
「これはアリスのお菓子でしょ、食べ過ぎよ!」
空っぽのお皿を振り回す黒犬の男の子を、リスの女の子が窘める。
「いいよ……一緒に、食べよう」
ペインが手招きすれば、忽ちワイワイと集まってくる愉快な仲間達。
お花畑を背景に、『アリス歓迎のお茶会』が始まった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ホテルス・アムレティア
【ヤド箱】で参加
アレンジ歓迎
ふむ、店ですか
そうですね、買った物を持ち寄ってのんびりすごせる休憩所等は如何ですかな?
(ひっくり返したら入口を塞ぐバリケードに使えそうな)頑丈な木のテーブルが何個もあって其処で何処でどんな物を買ったとかどの店の料理が美味しかったと話し合う
そう言うお喋りも中々に楽しい物ですし
交通の便も良くして何処からでも立ち寄れるようにした方が良いでしょうな
後は梯子やロープ等の道具も有った方が良いかもしれません
催し事がある時はテーブルを避けイベント会場に出来るようにしても良いですし
店の宣伝も兼ね屋台を出したりダンスをしたりも楽しいですよ?
オウガ襲撃の際に立て籠もる場所にも使えますしね
「ふむ、店ですか」
考え込む事暫し。ポンと拳を打つホテルス・アムレティア。
(「そうですね、買った物を持ち寄って、のんびりすごせる休憩所等は如何ですかな?」)
偶然、同様のアイデアを思い付いた猟兵がいたようだが、第一街区だけでもそれなりの広さだ。休憩所だって複数あって問題ないだろう。
早速、時計塔の近くの一軒家を改装した。
頑丈な木のテーブルを並べた席では――早速、何処でどんな物を買ったとか、どの店の料理が美味しかったとか、妖精達のお喋りの花が咲いている。
テーブルは動かせるので、イベント会場と兼用で、店の宣伝を兼ねて屋台を出したり、ダンスしたりも楽しいだろう。
やはり、オウガ襲撃の際の避難場所とするならば、木のテーブルはバリケードに使えるし、梯子やロープ等の道具も有った方が良いかもしれない。
(「交通の便も良くして、何処からでも立ち寄れるようにした方が……どうすれば良いでしょうかな」)
思案の尽きないホテルスだが、その時、見知った顔を見掛けて思わず声を掛けた。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
【ヤド箱】
おみせやさんごっこ…。
ごっこ遊びのノリが正直分らない。
が、折角塔ができたんだし登ろう。
しかしかなり遠くまで見渡せるんだな。
想像以上だ…。
…なんとなく俺もやってたけど、こうやって平和ってやつを主も感じてたんだろうか。
なんてことはない、普通の人々の普通の生活が見えるっていいもんなぁ。
あーなんか感傷ばっかだな。仕事しないと。
塔に物見やぐらの役割があるなら警戒担当がいるよな。
一応そのあたりの具体的な交代時間とか人数とか確認してっと。
襲撃もなく平和であるからこそ、楽しい時間をおくれるって事なんだし。
…こういう時に使える技能とっておくべきかなぁ(溜息)
「瑞樹殿!」
名前を呼ばれて首を巡らせば、同じ旅団の誼に手を挙げて挨拶する黒鵺・瑞樹。だが、その表情は、浮かない。
(「おみせやさんごっこ……ごっこ遊びのノリが正直分らない」)
瑞樹の正体は、元暗殺者の冒険者が愛用していた大振りナイフだ。ままごとめいた遊びには馴染みも薄いのだろう。
店をやるにも、客となるにもピンと来ないまま、足を運んだのはお茶会の時に提案した時計塔。折角だし、登ってみよう。
「かなり遠くまで見渡せるんだな。想像以上だ……」
町の建物は精々2階建ての所為だろう。鐘楼の高さで視界を遮るものはない。国つくりが更に進めば、他のエリアまで一望出来るだろう。
続いて、街並を見下ろし、瑞樹は思わず目を細める。
(「……なんとなく俺もやってたけど、こうやって平和ってやつを主も感じてたんだろうか」)
何て事はない、普通の人々の普通の生活が見えるというのは、良いものだと実感する。
「あー、なんか感傷ばっかだな。仕事しないと」
時計塔が物見櫓の役割も兼ねるならば、警戒担当も必要だろう。今はまだ無人だが、見張りの人数とか交代時間とか、きちんと抑えておく方が良さそうだ。
「平和であるからこそ、楽しい時間をおくれるって事なんだし……っ!?」
こういう時に使える技能を身に着けておくべきか……なんて、溜息を吐いた瑞樹の碧眼がハッと見開かれる。
今しも、ウサギ穴からぬぅっと出てきたのは――巨大な猫の頭。
ぐるりと首を巡らせて、ニヤニヤといやらしく嗤う猫の魔物は、鋭い爪で地面を抉りながら、ウェルカムタウンへ忍び寄る――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『チェシャ猫』
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POW : キャット・マッドネス
【殺戮形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : チェシャ・スクラッチ
【素早く飛び掛かり、鋭い爪での掻き毟り攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ストレンジ・スマイル
【ニヤニヤ笑い】を向けた対象に、【精神を蝕む笑い声】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
敵襲! 敵襲――!!
時計塔の鐘楼が、激しく警告を報せる。
その音に舌打ちした猫人間のようなオウガは、身をたわめるや一気に跳躍した。
バシャーン!!
間一髪、オウガが水路に辿り着く寸前に落とされる橋。これで少しは足止めとなろうが、遠からずオウガはウェルカムタウンに侵攻する。
「あ、あれは、チェシャ猫ですわ!!」
薔薇の妖精がオウガの正体を叫ぶ――大きな頭をした猫人間のオウガは、どこからともなくアリスの前に現れ、ニヤニヤと笑いながら追い詰め、爪牙で引き裂き喰らうという。その笑いを目にしたアリスは精神を蝕まれ、自ら死を選ぶ事さえも。
「大丈夫、ここにいるのは『アリス』じゃない。猟兵だ!」
「皆は休憩所に避難して!」
元より、予知された襲撃だ。猟兵達が遅れを取る筈がない!
ザバリ――。
果たして、身構える猟兵達の前に、水路を泳ぎ渡ったオウガ――チェシャ猫が現れる。全身ずぶ濡れのまま、ニタリと嗤った。
駆爛・由貴
ハッ!ようやくおでましか化け猫がよ!
怪談の季節にはちーとばかし早ぇぜ!
まずは愉快な仲間達の避難が先だな
オンモラキとバサンを展開
俺もミストルティンを構えて敵を突っつきながら周囲が逃げる時間を稼ぐぜ
オラオラどうした迷子の子猫ちゃん!
テメーのお家はココじゃねーぞ!
とか言って挑発すればこっちにも攻撃が向くだろ
周囲の避難が終わったらUCを相手のUCと同時に発動
使うのは発煙手榴弾だ…トウガラシ入りのな!
さっき喫茶店でたっぷりのタバスコと七味を仕込んでおいたぜ!
飛び掛かってきたら目の前で破裂させて、こっちはダッシュでその場から離れそのまま遠距離から一気に攻撃だ
遠慮せずに食えよ!
俺のおごりだ!
アドリブOK
「ハッ! ようやくおでましか、化け猫がよ!」
敵襲の報せに、真っ先に町外れに駆け付けたのは駆爛・由貴。怪奇な猫人間を前に、好戦的に言い放つ。
「怪談の季節にはちーとばかし早ぇぜ!」
由貴の背後では、まだ愉快な仲間達が避難中だ。時間を稼ぐべく、自立ポッドのオンモラキとバサンを展開する。
「オラオラ、どうした迷子の子猫ちゃん! テメーのお家はココじゃねーぞ!」
ビームランチャーとライフル射撃が飛び交う中、由貴自身もミストルティンの弓弦を引いて挑発する。
果たして、ギロリと睨め付けたチェシャ猫は、音もなく地を蹴り素早く飛び掛かる!
「……っ」
鋭く爪が閃き、掻き毟る。肌を抉られながら、由貴は不敵な笑みを崩さない。
暫時の攻防を経て――背後に猟兵達の足音が響く。入植者達の避難も完了したか。
――――!!
次なるチェシャ・スクラッチのタイミングを計り、由貴の手が握るのは発煙手榴弾。
「遠慮せずに食えよ! 俺のおごりだ!」
ニギャァァッ!
それは「喫茶・えるふ」謹製――タバスコと七味たっぷりの唐辛子弾。
目の前で爆ぜたカプサイシンを真っ向から浴び、チェシャ猫の絶叫が轟いた。
成功
🔵🔵🔴
ペイン・フィン
【ヤド箱】
さて……。
猫退治、始めようか。
コードを使用。
使用する拷問具は毒湯“煉獄夜叉”。
複製し、展開。
念動力も使って、猫の方へとどんどん向かわせよう。
マヒ攻撃、気絶攻撃、目潰し、毒使い。
猫の動きを止めて、より凍らせやすくする感じで。
そして、一部は水路側を通して移動。
水路から毒湯の不意打ちをしかけるよ。
そのまま、猫の身体の中に流し込もうかな。
……お前に食わせる人は、どこにも居ない。
精々、それで溺れると良いよ。
ハイペリカム・ファニングス
アドリブ連携歓迎
せっかく皆様が作り始めたこの国
蹂躙させる訳にはいきません
下品なオウガには退場して頂きましょう
相手の攻撃には注意して
飛び掛かりは初撃さえ避けられればこちらのものです
それが難しそうでも何とか時計で【盾受け】出来ないか試すくらいは頑張りましょう
反撃のチャンスがきたらすかさず【九死殺戮刃】で【部位破壊】を狙います
殺戮刃物……ナイフでその長い爪を斬って差し上げましょうか
どうせなら腕ごと微塵切りにしてあげてもいいでしょうし
この時仲間は決して傷つけません
私への負担はありますが、これも私の業のようなものですし
全てが終われば壊れたもの等片付けていきたいです
これからもこの国が発展していきますように
ドゴォッ! バキィッ!
浴びせられた唐辛子粉に、顔をこすりながら暴れるチェシャ猫。巻き込まれた家々が壊されるのを、ハイペリカム・ファニングスは苦々しく見る。
(「後で、片付けませんと」)
これからもこの国は発展していくのだ。水を差されては堪らない。
バシャァンッ!!
その内、派手な水飛沫を上げて水路に転げ落ち、漸くオウガは静かになる。
ザバリ――。
水路の水で大凡が洗い流されたか。ゆうらり立ち上がったチェシャ猫は、充血した眼をギョロリとさせる。
再び全身ずぶ濡れにして、水路から上がった次の瞬間。
「さて……。猫退治、始めようか」
徐に、右手に握る竹筒を傾けて見せたのは、ペイン・フィン。毒湯を詰めた水筒は忽ち数を増やし、その全てがチェシャ猫目掛けて次々と飛来する。
グ、ガァァァッ!
絶叫再び――麻痺や目潰し、果てには昏倒させんとする毒を浴びせられながら、幾許かともかわしてのけたのは、オウガの底力か。
だが、ペインに動揺の色はない。
「……お前に食わせる人は、どこにも居ない。精々、それで溺れると良いよ」
時間差、水路から飛び出した竹筒が、更なる毒湯の不意打ちを喰らわせる。
毒に冒されゴバリと血反吐を撒きながら、傾いだ身体をグッと踏ん張るチェシャ猫。首を巡らせたその巨頭が――ニヤリと嗤う。
――――!!
「これはこれは。やってみるものだねぇ」
苦悶の様は芝居だったのか。一転、俊敏に飛び掛かった猫の爪の軌道に、割り込んだハイペリカムのウサギ時計が弾く。
「せっかく皆様が作り始めたこの国、蹂躙させる訳にはいきません。下品なオウガには退場して頂きましょう」
殺戮刃物を握り直し、ハイペリカムの赤茶の眼が凄惨に輝く。
――――!!
刹那に9度閃いたナイフが、チェシャ猫の爪を、腕を斬り裂く。
「……っ」
込み上げる衝動を、抑え付けた。喩え、己が寿命を削ろうとも、同胞はけして傷付けない。
(「これも、私の業のようなものですし」)
ずぶ濡れから血まみれの腕の抑えるチェシャ猫を前に、時計ウサギの青年は糸の如く目を細めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒鵺・瑞樹
【ヤド箱】
空気よめねぇ(たぶん)猫だな。
来ないって選択肢もあっただろ?
せめてもう少し後だっていいだろうに!
…このタイミングで来たのが運のつきだ。
発見時の塔の上から飛び降りる。
ちまちま降りてる暇なんて無いからな。
空中をUC「空翔」で駆け下りながら、胡と黒鵺を抜刀、空から強襲【暗殺】する。
バランスを崩して攻撃喰らわないよう【空中戦】の心得で体制を維持、回避には【第六感】【見切り】で対処。
回避しきれない攻撃は左手の黒鵺で【盾受け】して、可能なら【カウンター】を叩き込む。
巻き込みに関しては誤射なら仕方ない精神。
ホテルス・アムレティア
【ヤド箱】で参加
アレンジ歓迎
聞け!アリスを、罪なき人々を苦しむ続ける悪意の化生よ・・・っ!
この地は心優しき彼等がアリスの安らぎの為に建てた街!
貴様等の様な外道が触れて良い物ではない!
貴様等外道は雷神トールの武器すら砕きし我が友によって散ると知れ!
我が名はホテルス!
民の為、剣振るいし騎士なり・・・っ!
殺戮形態の敵を惹きつける様大きな声で宣言
注意を惹く様常に動き続ける
味方や街の住人に向かう攻撃は『かばう』
そして『オーラ防御』で防ぎつつ『カウンター』
『激痛耐性』を活かし傷つく『覚悟』を持ち敵の懐に踏み込みUCで『鎧無視攻撃』
状態の『二回攻撃』を敵に叩き込む
傷は『生命力吸収』で癒し少しでも長く立ち盾に
オウガの出現を、黒鵺・瑞樹は時計塔の上から見た。
(「空気よめねぇ……多分、猫だな。来ないって選択肢もあっただろ?」)
せめてもう少し後だって良かっただろうに。
「……このタイミングで来たのが運のつきだ」
何せ、今ここには、猟兵がいる。
ちまちま歩いて下りる時間も惜しい。警告の鐘を鳴らし、瑞樹は躊躇いもなく塔から飛び下りる。
「よっと!」
空を蹴る要領で方向を変え、空を翔ける。黒きナイフと打刀を構えるや、上空より一気に強襲する!
――――!!
酷く硬い手応え。脳天を確かに抉りながら、即攻、反撃の爪が振るわれる。
「ッ!!」
回避出来たのは、所謂第六感の賜物と逆手故に見切りも易かった幸運。
チェシャ猫の片腕はズタズタに切り刻まれ、その爪も折られている。仲間の戦果を確認しながら、瑞樹が尚も空中戦を繰り出そうとしたその時。
ギャアァァァッ!
見る見るチェシャ猫の姿が変わっていく。肋骨浮く程に痩せぎすの上半身は筋肉質に肥大し、やはり筋骨隆々と化した脚は自重に耐え切れずたわみ、自然と四足歩行する獣のフォルムに。
グルルルル――。
乱杭歯を剥き出し、狂猫は低く唸る。べろりと青黒い舌でなめずり、今しも殺戮せんと――。
「聞け! アリスを、罪なき人々を苦しむ続ける悪意の化生よ……っ!」
勇ましき大音声が響き渡る。
「この地は心優しき彼等がアリスの安らぎの為に建てた街! 貴様等の様な外道が触れて良い物ではない!」
朗々と断言してのけ、ホテルス・アムレティアは誇らかに太刀を構える。
――貴様ら外道は、雷神トールの武器すら砕きし我が友によって散ると知れ!
「我が名はホテルス! 民の為、剣振るいし騎士なり……っ!」
名乗りと同時、チェシャ猫目掛けて一撃を浴びせ掛けるや、すぐさま離脱。
シャアァァァッ!
殺戮形態の時点で、オウガの理性は失せている。目の前を動く『鎧』に反応して牙剥き喰らい付く!
ガキィッ!
オーラで更に防御を固めた鎧――ホテルス自身で凌ぎながら、すかさずカウンターで猫の眉間を貫かんと。
――――!!
そして、敵の注意から外れているのを幸いに、瑞樹も頭上より打刀を力一杯に振り下ろした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
勘解由小路・津雲
【ヤド箱】で参加 アドリブ・他の猟兵との連携歓迎
もうオウガが攻めてきたか。「喫茶・えるふ」や吉備の店による時間はなさそうだな、残念。
【戦闘】
ふむ、いい感じに濡れているな。「あれ」を使いたいところだが、効果範囲がな。
タイミングを見て、「化け物猫め、こっちだ!」と誘い出そう。仲間には目で合図、以心伝心と行けばいいが。
吉備は支援感謝。
仲間から離れ、敵が追ってきたら【氷術・絶対零度】!
回避されても中止できないということは、攻撃モーションに入ったら自分でとめられぬのだろう。突っ込んできたところに喰らわせてくれる!
チェシャ猫はにやにや笑いを残して消え去るがいい!
落浜・語
【ヤド箱】で
本当お呼びじゃないんだけどなぁ。
猫は好きだが、これはキモイ。
ここには必要ない客なんで、とっととおかえり願いますかね
後方から『誰が為の活劇譚』で仲間を援護
笑い声に負けないよう声を張って【鼓舞】
「新しい国を作り街を作り、客人迎えるその前に。現れますは招かざる客。
無粋な客はお呼びでない。即座におかえり願いましょうと、武器取りますは猟兵方
此度語りますは、童話によく似た世界において、街を守る。そんな物語にございます!」
ったく、ガタガタうるせぇってんだよ!黙ってろクソ猫崩れがっ!
「ニヤニヤ笑いはそのままに、凍った猫は砕かれて!帰っていくは海の底!」
案外言霊ってのは、馬鹿にできないからなぁ……?
吉備・狐珀
【ヤド箱】で参加です。
橋のおかげで時間稼ぎができましたね。
ここで戦闘になったら、せっかくつくった街が台無しになってしまいます。急いでオウガの元に移動しなくては。
UC【青蓮蛍雪】使用。
自分で止められないほどの高速攻撃なら万が一のことがある。狐火を複数合体させオウガから落ちる水滴を利用し、津雲殿の前に氷の壁をつくる。
語殿が強化してくれたおかげである程度なら防げるでしょう。
残りの狐火はオウガに直接当てる。
その濡れた体ならよく凍ることでしょう。
狐火が少ない分倒すのは無理でしょうが動きが鈍くなれば御の字。そうすれば皆さんの攻撃が当てやすいでしょうから。
「ふむ、いい感じに濡れているな。『あれ』を使いたいところだが……効果範囲がな」
仲間がチェシャ猫の気を引いている間――勘解由小路・津雲は何を算段しているのか、ブツブツと呟く。
「本当お呼びじゃないんだけどなぁ。猫は好きだが、これはキモイ」
一方、落浜・語はあからさまに顔を顰めている。
「ま、ここには必要ない客なんで、とっととおかえり願いますかね」
徐に深呼吸。その背筋がすっと伸び、一転、噺家の表情に。
「新しい国を作り街を作り、客人迎えるその前に。現れますは招かざる客」
猫の笑い声になど負けぬよう、声を張って『誰が為の活劇譚』を朗々と。
「無粋な客はお呼びでない。即座におかえり願いましょうと、武器取りますは猟兵方。此度語りますは、童話によく似た世界において、街を守る。そんな物語に――」
ギニャァァッ! ゲタゲタゲタゲタッ!
「ったく、ガタガタうるせぇってんだよ! 黙ってろクソ猫崩れがっ!」
しゃがれた咆哮と耳障りな嗤い声に遮られ、思わず声を荒げる語。だが、それが良いタイミングとなったのか、津雲は式神を投じて言い放った。
「化け物猫め、こっちだ!」
紙の鳥を一閃で刻み、チェシャ猫は津雲の方を見る。誘うように、町の外目指して駆け出した。
グルルルル――。
(「あ、『喫茶・えるふ』……吉備の店にも寄る暇が無かったな、残念」)
視界の端に猟兵の店を認め、何だか余裕のある風情だが……一気に跳躍して追い付いたチェシャ猫の牙が今しも津雲を食らわんと。寸での所で、氷壁が阻む。
「間に合い、ました!」
青蓮蛍雪――息せき切って駆け付けた吉備・狐珀の業の賜物。冷気を含む青い狐火を複数合体させ、水路の水を氷結したのだ。
「言の葉のもとに魂等出で候」
残る20もの狐火は、次々とチェシャ猫に当たってはその身体を凍結していく。
「ええ、その濡れた体ならよく凍りますね」
流石に狐火だけで、オウガを倒すには至らない。だが、狐珀の真の狙いは敵の動きを鈍らせる事。足が凍れる青火に覆われれば、苛立ちの雄叫びが水路の水面を泡立たせる。
(「ここで戦闘になったら、せっかくつくった街が台無しになってしまいます」)
心配そうな狐珀に頷き返し、津雲はチェシャ猫から付かず離れず。じわじわと、町外れの方に誘導していく。
そうして――漸く、橋の落ちた水路の際に至る。傍から見れば、津雲がチェシャ猫に追い詰められているよう。だが、語の口上に懸念はない。
「ニヤニヤ笑いはそのままに、凍った猫は砕かれて! 帰っていくは海の底!」
時に、ユーベルコードを伴うなら猶更、そうでなくとも言霊は侮れぬ。
シャアァァァッ!
舌なめずりしたオウガが、今度こそ津雲を食らおうと飛び掛かった瞬間。
「氷帝招来、破っ!」
正に敵が突っ込んできたタイミングで、氷術・絶対零度発動――錫杖が突いた地点を中心に、激しい冷気と氷の刃が荒れ狂う!
「にやにや笑いを残して消え去るがいい!」
半径43mもの広範囲だ。少々飛び退いた所で逃れようもない。忽ち氷の刃が全身に突き刺さり、冷気が傷口から侵蝕していく。
グ……ガ……。
仰け反った姿勢のまま、チェシャ猫は凍り付く。津雲が錫杖一閃、強かに打ち据えると粉々に砕け散った。
――斯くて、猟兵はまっさらな不思議の国を護りきる。
町外れの一帯が氷漬けとなってしまったが、それも直に溶けるだろう。
国つくりが再開すれば、戦いの痕跡も夢の跡。どうか、アリスと愉快な仲間達の笑顔絶えない素敵な国となるように。猟兵達も又、笑顔で願った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵