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ブリキの騎士とトランプの兵士

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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「くそっ、オウガどもめ。とうとう我々の国を潰すつもりか。――早くみんなに知らせなくてはっ」
 街道を駆け抜ける一人の騎士、その一足ごとに、キリキリと背中のゼンマイが回り、身に帯びたブリキの鎧が、にぶい光を放つ。
『リビングドール』、異世界であればそう呼ばれたかもしれない。
 やがて駆ける先に目指す城壁が見えた。積み木とブロックの塀、そして門を守る彼の同僚――市松人形やくるみ割り人形、その他様々なおもちゃの人形たち。
 駆け寄る門番の人形に向けて、『ブリキの騎士』は声を張り上げた。
「聞いてくれ、みんな! この人形の国に、オウガ達が攻め入ってくる!」

 ――街道の向こうから大軍が押し寄せる砂煙と、足音が響いていた。


「人形たちの国にトランプの兵隊が押し寄せてくる、なんてまるでおとぎ話ですな」
 そう言って頭を掻くのはディスターブ・オフィディアン(f00053)。
「ま、それが現実になるのがアリスラビリンスの世界なのですが。
 状況は単純です。アリスラビリンスの片隅にある人形の国の一つ。
 そこにオウガが攻め入り、支配地にしようとしています。
 それを許せばまた新たな『アリス』が生まれるでしょうな」
 言葉と共にディスターブは口の端をゆがませ、すぐにふてぶてしい笑みを浮かべる。

「というわけで、妨害しましょう。連中もまたオブリビオン、捨て置く意味はありません。
 まずは敵の軍勢『トランプの兵隊』が山と押し寄せてきまので、これを押し返してください。このレベルではおもちゃの騎士たちも戦力になってくれるはずです。
 そして第一波をしのいだあとは、敵陣に切り込み指揮官――『切り裂き魔』の撃破をお願いします。防衛や残党退治は騎士たちに任せられますが、指揮官の撃破は皆さんでなければできない仕事です。。

 そのあとは、騎士たちが破壊された街を修復しておりますので、そのお手伝いと参りましょうか。人形の国というだけあって、いろいろと珍しいものが見られるようですよ」
 シルクハットを脱ぎ、ディスターブは慇懃に頭を下げる。
「ま、観光半分、労働半分という感じですな。
 人食い鬼どもをサクッと片付けてしまってください」


雲鶴
 マスターを務めさせていただく雲鶴です。
 さて今回はアリスラビリンスでの人形の国防衛戦となります。
 なお『おもちゃ』達は大体、人の背丈ほどの人形やぬいぐるみで、姿形に応じたユーベルコードや攻撃手段で猟兵をサポートしてくれます。

●なおリプレイ作成タイミングが基本土日祝日だけとなる都合上、プレイングの受付のタイミングが変則的になります。マスターページなどで情報発信しますので、ご確認いただければ幸いです。
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第1章 集団戦 『トランプの巨人』

POW   :    巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七瀬・麗治
こちら七瀬。『アリスラビリンス』に潜入成功、これより調査を開始する。

しばらく人形の国を調査し、住人と交流するが、ブリキの騎士の到着により戦の気配を察知したロードに人格が交代する。
(クク、どうやら、この世界にも争いの火種が尽きんようだな……)

真の姿を解放し、【暗黒騎士団】を招集。街に攻めいるトランプ兵を迎え撃つべく出撃。
「暗黒騎士団、出撃だ! 敵は尽く討ち滅ぼせ!」
〈戦闘知識〉を活用して軍団を指揮。人形の兵隊には高所から弓の援護を要請、自らも馬に騎乗し前線へ。突撃してトランプ兵を〈吹き飛ばし〉、さらに蹄で〈踏みつけ〉追い打ち。
固そうな巨人は寄生体の力を活性化させ、〈怪力〉〈鎧砕き〉で攻撃だ




『こちら七瀬。アリスラビリンスに潜入成功、これより調査を開始する』

 七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)は、予知の時刻よりも早く『人形の国』に入っていた。
「記憶を失っていない客人とは珍しい。猟兵と言いましたか」
 不思議そうに言いながらくるみ割り人形が街を案内してくれた。動く人形は彼だけではない。街の中でぬいぐるみがパン屋を営み、粘土人形が時計塔を調整し、ドール達が互いにドレスを見せびらかしている。
 ――まるでメルヘンか童話の世界だな。
 それが麗治の感想だった。

 不意に甲高い鐘が鳴り響いた。麗治に避難するように言い置いてくるみ割り人形が走り出し、麗治もすぐにその後を追う。
 遠く響く巨人の足音。玩具の街並みの中、人形たちが家に逃げ込み、あるいは武器を持って駆けていく。戦場の気配に麗治のもう一つの人格『ロード』が目を覚まし、笑みを浮かべた。

(クク、どうやら、この世界にも争いの火種が尽きんようだな……)

 城壁にたどり着いた麗治が眼にしたのは隊列を組んで射撃を行う玩具の兵隊たちと巨大なオウガ――長大な剣を振るうトランプの巨人とトランプ兵士たちであった。
「お客人!? こちらは危険です!」
「知っている、だから来たのだ! 援護射撃は任せたぞ!」
 麗治の言葉と共に27騎の騎兵たちが、彼の周囲に現れる。

「暗黒騎士団、出撃だ! 敵は尽く討ち滅ぼせ!」

 自らも騎乗し麗治はトランプ兵士へ突進、突き飛ばして転倒したところで、頭部を蹄で踏みつぶす。まず1人、すぐに2人、麗治と暗黒騎士の攻撃に見る間に数を減らすトランプ兵達。気勢を上げるおもちゃの兵隊の頭上へと暗黒騎兵が落下した。
 もう一騎、とばかりに麗治に掴みかかるトランプの巨人。その指を籠手ごと切り飛ばし、麗治は騎上で黒剣を構える。
「暗黒騎士では厳しいか、では私が相手をしてやろう」
 言葉と共に麗治は身に宿すUDCを活性化、怪力に黒剣の柄がミシリと音を立てた。対する巨人は大きな札を召喚、麗治を呪縛しようと隙を伺う。
 先に動いたのは麗治、黒剣を構えたまま馬を走らせる。迎え撃つように巨人が札を投げつけるが、麗治は馬を大きく跳躍させて躱す。勢いのまま突き出した黒剣が巨人の心臓を一突きに刺し貫いた。
「まずは一体! このまま残らず打ち倒すぞ!」
 倒れ伏した巨人を後に、麗治は暗黒騎士団と共に次の敵へと向かう。その背を見ながら、くるみ割り人形が呟いた。
「――あれが猟兵、なんと頼もしい」

成功 🔵​🔵​🔴​

ニノマエ・アラタ
【ノゾミ・f19439】は知り合い?
ここでは初顔合わせになる。
単純に味方や仲間ではない、という曖昧な記憶がある。
……今は共に戦う、が。

巨人の剣の一撃が来る前に、
被害が拡大されない地点へ誘導して戦闘を行いたい。
おもちゃの騎士には、そういう部分で助けてもらえたら有難い。
動き回られると被害が大きくなるばかり。
兵団が合体する前に、払い退けながら突き進み真向勝負といくぜ。
大柄な相手なので姿勢は低く。
足元を狙って弾丸を撃ち込み移動を阻止。
思うような攻撃をできなくして、敵をイラつかせてやる。
攻撃も粗くなり読みやすいものになるだろうから。
兵を相手にしながらも本体の動きを追い、
UCで一閃できるタイミングを狙う。


青霧・ノゾミ
【ニノマエ・f17341】は知り合いみたい
……あ、でも。何だっけ。思い出せない。

僕は側面に回って戦うことにするよ。
巨人の鎧の継ぎ目を狙ってナイフで刺してく感じ。
膝の関節を部位狙いだ。片膝折って姿勢を崩してもらうよ。
ぶちっとちぎれろ。
兵団がうっざい時はUCを使うね。手数で葬って合体を防ぐ。
UC使用時はついでにニノマエを攻撃だ! アハハッ。
…え? 1回以上刺さってる? 問題ないんじゃない?
本体攻撃に行くとか、わりとマジ狙いな時は僕の寿命を削るしかないか。
しょうがないな、それでもいーよ。
正面と側面で連携して、とっとと倒そう。
近接戦になるから、おもちゃ君達には離れた場所から
サポートしてもらいたいかな。




 ブリキの騎士達へ向けて大きく剣を振り上げるトランプの巨人、その切っ先が振り下ろされる寸前、ニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)が巨人の目を狙って銃撃を放つ。
 怯む巨体に油断なく警戒の視線を向けながら、ニノマエは騎士達へ問いかけた。

「街に被害を出さない場所で戦いたい。いい場所は無いか?」

「そこの街道の脇、平原の中へ!」
 整備されていない地形なら小回りの利く味方が有利、こくりと頷きニノマエはブリキの騎士たちと共に巨人を牽制、銃撃に剣戟を織り交ぜて少しづつ林の中へと誘導していく。
 しびれを切らしたかトランプの巨人が咆哮と共に数十体のトランプ兵を召喚、ニノマエ達へとけしかける。
 トランプ兵たちの行く手を遮るように飛び出したのは青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)。即座に彼の瞳が輝き、手にしたナイフが閃く。

「ぞろぞろとうっざいなぁ。――合体なんかさせないよ?」

 横一文字からの切り上げ、刺突、流れるようなナイフの連撃がトランプ兵達の体を喉を引き裂き、ついでとばかりにニノマエの腕に十字の傷を付けた。
「9連撃のうち、味方を攻撃するのは一度で十分と聞いていたがな」
「……え? 1回以上刺さってる? 問題ないんじゃない?」
 アハハと無邪気に笑うノゾミ。そのままニノマエと背中を合わせるようにして、残ったトランプ兵達へ向けてナイフを構える。

「ねぇニノマエ、僕ら前に会ったことがないかい?」
 言いながらノゾミは前に踏み出してナイフを一閃、トランプ兵の胴体を横なぎに切り裂く。

「ああ。だがここでは初顔合わせになる」
 ――単純な味方や仲間ではなかった。……今は共に戦う、が。
 曖昧模糊とした記憶を探りながらも、ニノマエはトランプ兵の体へ銃撃、放たれた銃弾がカードの体を貫いてその向こう、トランプの巨人の足元を穿つ。

 瞬間、ノゾミがナイフを振りかざしてニノマエへと跳躍、呼応するようにニノマエは妖刀『輪廻宿業』を抜く。交錯の瞬間、2人が手にした刃を振りぬく。
「……あ、でも。何だっけ。思い出せない」
「奇遇だな、オレもだ」
 言葉を交わす2人の目の前で崩れ落ちるトランプ兵達、すれ違いざまに振るった2人の刃はお互いの背後に迫った敵の急所を穿っていた。

 どこで会ったかなと首をひねるノゾミをおいて、ニノマエがトランプの巨人へ向けて駆け出す
「10秒でカタをつける。その間はじゃれつくな」
 駆け抜けざまに手近なトランプ兵士を突き倒してその向こう、合体しつつあったトランプ兵の胴体を一閃。切り捨てた勢いのままに切っ先を振るい、起き上がりかけたトランプ兵の背中を切り裂く。そのまま大きく前傾姿勢を取って跳躍、直後にトランプの巨人が振るった大剣がニノマエが立っていた地面に突き刺さった。巨人が剣を引き抜くより早く、ニノマエは巨人の脇を抜けて背後へ。動きを止めようと両足に向けて銃を連射。
 悲鳴かあるいは咆哮か、巨人が耳を聾する叫び声と共に剣を振り回す。その一撃に巻き込まれて吹き飛ぶトランプ兵達、敵も味方も狙いもない。慌てて退避するブリキの騎士たち。
 頭上から振り下ろされる大剣をニノマエは手にした妖刀で弾き飛ばす。高い金属音と共に火花が散った、腕をもっていかれるような衝撃。横なぎの一閃を地面に転がるようにして躱す。ブリキの騎士たちが槍を投げ放って巨人の追撃を阻み、ノゾミがナイフを構えて飛び込む。

「10秒も待っていられないね」
 言葉とともに再び輝くノゾミの瞳。
「――僕らなら5秒で十分だ。そら、ぶちっとちぎれろ!」
 振りおろされる大剣を紙一重で躱して巨人の側面へと踏み込み、すれ違いざま鎧の隙間へとナイフを突き立て、右膝の関節を抉る。巨人が振り回す腕に圧されるように跳躍し着地と同時に反転、全体重を乗せたチャージ、切っ先がを膝に叩き込む。反撃に放たれる巨人の攻撃をノゾミはいなし躱し、合間に8回の痛打を加える。次の1撃にはリスクがあるが……。

 ――しょうがないな、マジ狙いだし僕の寿命を削るしかないか。

 切り下す一撃を跳躍して回避、ノゾミは巨人の大剣の上に着地して再度の跳躍。巨人の顎へとナイフの柄を叩きつける。度重なる足への攻撃と頭部に叩き込まれた衝撃に、たまらず巨人が転倒、直後ニノマエが放った妖刀『輪廻宿業』の一撃が、周囲のトランプ兵もろともその首を切り落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アドレイド・イグルフ
※アドリブ・連携大歓迎です。

おお……遠くから見ても…なかなかのサイズだな。……もし、巨人の集団に囲まれたら…まずいピンチになるな…?…距離を保ちながら戦おう(技能:援護射撃を活用します)…しかしすごい口を…しているなア……ンー、装甲は鎧か……柔らかそうな口を的に…矢を放り込んだら……美味しく、食らってくれるだろうか…?(UC:千里眼打ちを発動します)…よく、狙え……外すなら鎧に外れろよ……マウスショットってやつだ!


シオドリック・ディー
【WIZ】
オレのガジェットもゼンマイ式で騎士型なので、なんだか親近感もっちゃいます
きあいいれて防衛戦です!ゴー!

UCで召喚したガジェットの槍に【属性魔法】で雷をまとわせエンチャント!
襲ってくるトランプはコレで刺し貫いて熱量で燃やしちゃいます
【なぎ払い】【範囲攻撃】でわらわらとまとわりつく兵士を散らし、おおきいヤツに槍を一閃!心臓部を貫けー!

オレは味方兵士のみなさんといっしょに、ガジェットが倒しそこねたヤツらを処理します
【属性魔法】で風を起こしてトランプを切り刻んじゃえ!風のするどい爪でガガガガガーっとシュレッダーです!
爆風でドーンと衝撃あたえて転ばせたりなんかしたりして




「さあ、きあいいれて防衛戦です! ゴー!」
 言ってシオドリック・ディー(チョコミルクミント・f03565)がステッキを振れば、それに従い駆け出す槍騎士型のガジェット。一際大きい漆黒の鎧からキリリと響くのは『ブリキの騎士』たちと同じゼンマイの音。

――同じ騎士型でゼンマイ式、なんだか親近感もっちゃいます。

 トランプ兵達と戦うブリキの騎士たちの姿を見て、シオドリックは思わず独り言ちる。槍騎士と共に戦いに乱入する寸前、シオドリックは槍に手を当てて青白い雷を纏わせる。パチリと空気の焼ける音。
 それに気づいたか、シオドリック達へと剣を振りかぶる数体のトランプ兵。振り下ろされるよりも早く槍騎士が駆け抜けた、すれ違いざまに放った連続突きがトランプ兵たちの体に無数の穴を開け、雷の魔力がカードの体を焼く。
 黒焦げたトランプ兵達をあとに残し、シオドリックは槍騎士と共に敵陣へと切り込むと、ガジェットへ新たなコードを入力。 直後、黒騎士が槍を振りかぶって反転し、雷槍の薙ぎ払いが迫っていたトランプ兵達の体を両断する。

 彼らの背後、死角にいたトランプ兵が剣を振りかざして突進、その頭部を飛来した矢が貫いた。
 矢を放ったのは城壁の上に立つアドレイド・イグルフ(スペースノイドのシンフォニア・f19117)。再びロングボウを引き絞り、放った第二射が鍔迫り合いをしていたトランプ兵の背中に突き立ち、第三射が別のトランプ兵の眼前を貫いてブリキの騎士に反撃の糸口を与えた。
 援護射撃を活用し騎士たちを助けるアドレイド。高台に立つ彼女の目が、いち早く迫る巨人の姿を捉えた。

「おお……遠くから見ても……なかなかのサイズだな」

 巨人の集団に囲まれて接近戦になることを想像し、思わずアドレイドは眉を顰める。
「このまま……距離を保ちながら戦おう」
 トランプの巨人へ向けて放った矢は弧を描いて巨人の頭部へ命中、しかしその矢じりは鎧に食い込むことなく地に落ちる。巨人がぐるりと頭を巡らせて城壁の上のアドレイドへと顔を向ける。足を踏み鳴らし城壁へと歩み寄るトランプの巨人。咆哮、巨人が唯一鎧に覆われていない口を大きく開き、鋭い牙を覗かせた。

「……しかしすごい口を……しているなア……ンー、柔らかそうな口を的に……矢を放り込んだら……。美味しく、食らってくれるだろうか……?」

 すぐさまアドレイドは巨人へ弓を構え、城壁の下のシオドリックへと声をかける。

「少し集中したい……10秒間……食い止めてくれないか?」
「言われなくても、しっかり食い止めてこの国を守って見せますよー!」
 返答に頷き気息を整え集中を始めるアドレイド。
――10、9、……よく、狙え。

 シオドリックは黒騎士のガジェットを巨人へと向かわせる。残ったシオドリックとブリキの騎士へここぞとばかりに殺到するトランプ兵達。
 迎え撃つようにシオドリックが放った風の爪がシュレッダーの如くトランプ兵たちの体を切り裂く。おまけとばかりにシオドリックは爆風を放ち、残った敵を吹き飛ばす。
――……5、4、……外すなら鎧に外れろよ。
 甲高い金属音、トランプの巨人が振り下ろした大剣の切っ先を、黒騎士が刺突で弾く。追撃せんと剣を振り上げたその顔に、風で飛ばされたトランプ兵の体が張り付いた。
「さあ、心臓部を貫けー!」
 シオドリックの言葉と同時に黒騎士が巨人の懐に飛び込み、槍を一閃! その穂先がトランプの巨人の心臓を引き裂く。

――1、

 苦悶の叫び、巨人が大きく口を開けた。瞬間、アドレイドが番えた矢を放った。その矢は巨人の口を抜けて、その奥の急所を貫く。
 大きくよろめき倒れ伏すトランプの巨人。その姿を見てアドレイドが軽く息を吐いた。
「うまくいったな……マウスショットってやつだ!」

 その後、2人がブリキの騎士たちと共に残党の掃討を終えるのに、さほどの時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『切り裂き魔』

POW   :    マッドリッパー
無敵の【殺人道具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    インビジブルアサシン
自身が装備する【血塗られた刃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    殺人衝動
自身が【殺人衝動】を感じると、レベル×1体の【無数の血塗られた刃】が召喚される。無数の血塗られた刃は殺人衝動を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七瀬・麗治
引き続き、闇の人格【ロード】で参戦。
あれが、オウガの軍団の指揮官か。何やら奇術じみた戦いをするようだが……せいぜい私を楽しませてみることだ。つまらん芸をやったら、即座に殺すぞ?

全身甲冑を纏い、黒剣による接近戦を仕掛ける。
こちらも殺気を叩きつけ、なんとかヤツの殺人衝動を引き出してやろう。
【模倣と解析】で<武器受け>でのガードと同時に寄生体が<学習力>を発揮して【殺人衝動】をコピーする。
直撃を喰らったと見せかけて油断させ、追い打ちを掛けに来たところで
コピーしたナイフでメッタ刺しにする<だまし討ち>だ。
こういうヤツは、敵から向けられる殺気にも敏感な筈。なので、ギリギリまで引きつけて好機を待つのだ。




「人形の国一つ落とすのにこれほど手間取るとは。甘く見ていたのか、それとも……」
 街道中央に張られた陣地、白いティーテーブルについた切り裂き魔が、ティーカップをくるくると弄びながら、近くの巨人へ白い目を向ける。
「あなたたちが手を抜いているのですかねぇ」
 瞬間、二つに切り裂かれるティーカップ。トランプの巨人が慌てたように首を振る。そこへ無遠慮な足音が響く。


「見つけたぞ、お前がオウガの軍団の指揮官か」

 到着したのは七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)。全身に黒い甲冑を纏い切り裂き魔へ黒剣を向ける。
「ふむ。巨人の軍勢を抜けてここまで来るとは……。なるほど、猟兵というやつですか。
 ――私が相手をしましょう、お前たちはさっさとあの国を攻め落としてきなさい」
 即座に巨人へと指示を飛ばす切り裂き魔、両手の爪を大きく開き、麗治へと身構える。
「あなたの血肉喰らわせてもらいますよ」
 その言葉に麗治が兜の下で唇をゆがませる。

「せいぜい私を楽しませてみることだ。つまらん芸をやったら、即座に殺すぞ?」

 刹那、切り裂き魔が麗治へ向けて跳躍、振るわれる右の爪を黒剣で弾き、左の爪をしゃがんで回避、跳ね上げるような黒剣の逆袈裟を切り裂き魔がバックステップでかわす。
 追撃せんと黒剣を上段霞に構え、麗治が切り裂き魔へと殺気を叩きつけた瞬間、切り裂き魔の周囲に50を超える血塗られた刃が浮かび上がり、麗治へ向けて放たれる。
 飛翔する刃を麗治はUDC寄生体で解析、黒剣で叩き落し薙ぎ払うが――全ては防ぎきれぬまま、一つまた一つと麗治の鎧にナイフが突き立ち、とどめとばかりに飛翔する短剣が彼の肩を貫いた。崩れおれるように麗治が膝をつく。
 そこへ見せびらかすように切り裂き魔は両手の爪を構えて舌なめずり。麗治の元へと歩み寄って大きく爪を振りかざし――。

「かかったな」

 殺気と共に血塗られたナイフが宙を舞い、切り裂き魔の掌に突き刺さった。跳ね起き跳びすさる麗治の声に混じる笑い。
「なかなか愉快な技であった。礼をしてやろう。己の刃で切り裂かれるがいい」
 麗治が掌を切り裂き魔へと向ければ無数の血塗られた刃が宙に浮かび、ひたりと切り裂き魔へと狙いを定める。
「くっ、さっきの一撃、わざと食らいましたね! 私を油断させるために――」
「正解だ、褒美をやろう。そら!」

 麗治の殺人衝動のままに放たれた刃が、切り裂き魔の全身に突き立った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

青霧・ノゾミ
ニノマエと左右に別れ敵を挟撃。
っていうか、オウガむかつく!
僕を喰らうだって? 未来永劫できやしないから!(おこ

弾数多いのが困りものだけど、できるだけ命中精度を下げたい。
敵の頭は一つだと思うから。たぶん。
氷嵐を目潰しがわりに、相手の上半身に集中させて放つ。
威力よりも攪乱を狙ってるよ。
あと指輪を発動の媒介に使うんで、マヒも追加できたらいいな。
氷嵐を使いながらの回避、防御で敵の気をひきながら
敵の刃を弾いて、思い切って踏み込んでカウンター攻撃をしかける。
ヒットアンドアウェイで、一撃加えたらすぐに下がる。
殺人道具が当たらなかったら大笑いでアピールして、
本当にそれって無敵? と、ぼそっと呟いてみたり。


ニノマエ・アラタ
ノゾミと左右に別れ敵を挟撃。
……オウガ。召喚するヤツ間違えたな。

長期戦は避けたい。
手にド派手な爪がついてるが、腕の動きに振り回されないようにし
次に仕掛けてくる技と剣筋を見逃さないよう注目。
敵が狙いを定めてきたら、攻撃を外すチャンスでもある。
イチかバチかになるが、飛来する刃の軌跡を見極めUC発動で高速回避。
敵が刃を重ねて当たると確信、安心しているところへ一撃をお見舞いする。
ノゾミが上手いこと敵の気を引いたら、気が逸れた瞬間を狙って
UC発動で確実に攻撃を当てるよう動く。
ノゾミが攻撃に入るなら俺は援護射撃に回る。
敵が一方向を向けないように手分けを。
…ま、チャンスが来りゃあ二人同時に攻撃といこう。


アドレイド・イグルフ
※アドリブ・連携大歓迎です

(SPDを選択します)

なかなかに…厄介な…刃者、だな……骨が折れる…いや、骨が斬られる…か?【UC:バトル・インテリジェンス】を発動して戦闘力を向上…攻撃も大事だが…避けることに専念したいところだ。避け続けば…反撃のチャンスが見えるはずだ…。弓は使わずに散弾銃で飛び交う刃を【部位破壊】と【範囲攻撃】で無力化してから……本体を撃つ。銃声で【恐怖を与え(る)】たいところだな…




 全身に刃物を突き立てられながら、なおも殺気をまき散らす切り裂き魔。そこへ切り込んだのは三人の猟兵たち。青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)とニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)が左右に分かれ挟撃を仕掛け、そしてアドレイド・イグルフ(スペースノイドのシンフォニア・f19117)がポンプアクションの散弾銃、M870MCSの銃口を切り裂き魔へと向ける。

 切り裂き魔が狙いを定めたのはノゾミ。
「別のゲームを生き延びた『アリス』ですか。これは重畳、その血肉、糧にさせて頂く!」
 切り裂き魔が手を振り下ろせば、無数の刃が宙を舞ってノゾミへ向けて放たれる。そこへアドレイドが横合いから散弾銃を発射、刃の一部を撃ち落とす。なおも飛来する刃のその向こう、切り裂き魔へ向けてノゾミが人差し指を突き付けて宣言する。

「僕を喰らうだって? 未来永劫できやしないから!」
 同時にノゾミが身につけた指輪が輝き、生じた氷の矢が嵐のように飛来する刃を迎え撃つ! 一振り、また一振りと刃を叩き落していき、その合間を縫うように数本の氷の矢を放つノゾミ。狙いは切り裂き魔の巨大な目。
 ――まずは目潰し、できるだけ命中精度を下げたい。
 攪乱目的で立て続けに放たれた氷の矢、切り裂き魔は一つ二つと躱すものの三発目、矢同士が衝突して弾けた破片に思わず目を閉じ、直後に命中した氷の矢が眼の一つを貫く。
怯んだ瞬間、無防備な背に向けて踏み込むニノマエ。

「お前たちも召喚するヤツを間違えたな」

 抜刀一閃! 妖刀『輪廻宿業』の一撃が切り裂き魔の背中を引き裂いた。

「ええい余計な手出しを!」
 巨大な爪を振りかざし薙ぎ払うもニノマエは即座にこれを回避。切り裂き魔はそのままアドレイドへ切りかかる。顔を狙った爪先を、アドレイドはギリギリでかわす。はらりと金髪が宙を舞い、アドレイドが眉を顰める。

「なかなかに……厄介な…刃物、だな……。骨が折れる……いや、骨が斬られる……か?」

 アドレイドの頭上に浮遊砲台が飛び上がり、内部の戦術AIが切り裂き魔の動作解析を開始。
 ――攻撃も大事だが……まずは避けることに専念。避け続ければ……反撃のチャンスが見えるはずだ。
 放たれる切り裂き魔の薙ぎ払い、それをアドレイドはバックステップで回避。続けざまに振るわれる爪をアドレイドはステップを踏むようにかわし続ける。切り裂き魔の攻撃の合間、隙を狙うようにノゾミが氷の矢を撃ち込みニノマエが牽制射撃。
 2人の攻撃を飛び退って躱し、切り裂き魔が両手の爪を振りかざす。同時に複製された無数の刃がアドレイドを取り囲み、彼女へと血塗られた切っ先を向ける。
 それらが動き出すよりも早く、アドレイドは散弾銃を構えてトリガー。銃声と共に発射された銃弾が刃を撃ち抜き破壊する。

 即座に念力を集中させて、切り裂き魔が刃を発射しようとした瞬間、背後から銃声。飛来する銃弾を切り裂き魔が身をよじって回避。それを見てニノマエが舌打ちを一つ。
「先ほどからちょこまかと! うっとうしいんですよ!」
 怒号と共に刃が反転、ニノマエへと狙いを変えて解き放たれる。心臓を狙ったナイフを切り落とし、頭部へと飛来する短剣をスウェーで回避。バックステップでアドレイドの射角から退き、反転。銃声を背に、駆け抜けざま切り裂き魔の足へと妖刀を振るう。その一撃を切り裂き魔は右手の爪で防ぐが、ガードを空けた頭部へとノゾミが氷嵐を叩き込む。
 凍てつく体に悲鳴を上げながらも、ニノマエの背へと刃を放つ切り裂き魔。

 ――狙いを定めた一撃。イチかバチかになるが、長期戦を避けるためにもリスクをとる。

 肩越しに迫る刃の軌跡を見定めながらニノマエはクロックアップ・スピードによる高速戦闘モードへ。加速する彼の視界の中で、飛来する刃が、切り裂き魔の動きが、まるでスローモーションのようにゆっくりと見えた。
 無数に飛んでくる刃のうちの一本、返り血を滴らせた切っ先が、ニノマエのクロークに触れるのを見て、切り裂き魔が唇を吊り上げてニヤリと笑った。瞬間、跳躍。ニノマエは背面跳びの要領で切り裂き魔の頭上に飛び込み、落下際、反転と同時に刃を振るう。放った斬撃は切り裂き魔の右腕を切断。ニノマエの着地と同時、街道の石畳に切り裂き魔の右腕が落ちた。一瞬遅れて切り裂き魔が悲鳴の如き咆哮をあげる。

「おのれおのれェ、小癪な真似をォ――っ!」
 猛るように血塗られた刃を呼び出す切り裂き魔、そこへアドレイドが散弾銃『M870MCS』の銃口を向け、ノゾミが『誓いの指輪』の輝きと共に氷嵐を生成、ニノマエが『輪廻宿業』を一振りし血糊を払う。

 切り裂き魔の怒号と共に血塗られた刃が宙を舞いニノマエへと向けて放たれる。ニノマエはクロックアップ・スピードでこれを躱し、その隙にノゾミが氷の嵐を叩き込む。見る間に動きが鈍る切り裂き魔。

「ようやく、麻痺の魔力が効いてきたかな?」

 輝く指輪を見せびらかすようにかざすノゾミ、その指輪へ向けて切り裂き魔が刃を放つが、ノゾミを覆うように生じた氷嵐がそれを許さない。ならばこの手で、と切り裂き魔がノゾミへと飛び掛かろうとした瞬間、アドレイドが放った散弾が切り裂き魔の足を粉みじんに消し飛ばした。衝撃と共に大きくバランスを崩し倒れ伏す切り裂き魔。

「やっと……チャンスが来た……」

 言いながら、アドレイドがリロード。左手だけで起き上がろうとした切り裂き魔のとうぶ、彼の頭へ向けて銃口を構えるアドレイドの姿。
 切り裂き魔の体が一瞬恐怖に竦み、そしてクロックアップ・スピードで加速したニノマエにとってはその一瞬は十分に過ぎた。

「悪いが――あまり時間はかけられなくてな」

 言葉と共にニノマエが放った一撃が切り裂き魔の首を切り落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『おもちゃの街修復作戦』

POW   :    瓦礫をよける、大きな資材を運ぶ

SPD   :    おもちゃを組み立てる、高所作業を行う

WIZ   :    設計図を引く、道を整備する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「皆様のおかげで、この国は救われました」
 残党の掃討を終えて、ブリキの騎士が改めて猟兵たちへ慇懃に礼をする。
「ささやかながら宴を用意しております。ゆっくりと戦いの疲れを癒してください。
 また、この国の風景は皆様にとっては珍しいものと聞いております。
 お望みであれば、観光案内などいたしましょう」
 と、そこで気まずそうに頬を掻く。
「もっとも、先の襲撃で破壊された箇所も多く、全てを見ていただくというわけにはいかないのですが」

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以下MSより補足
フラグメントでは「玩具の国の修復」という事になっておりますが、
観光やお茶会も可能となっております。アリスラビリンスの日常を楽しんでいただければ幸いです
七瀬・麗治
※()内は、闇人格ロードの台詞です。
オウガの軍団は去ったか。これで任務終了……といきたいところだが、
まだ一仕事残っているようだな。破壊された町を修復しなければ。
眼鏡をはずしながら、オルタナティブ・ダブルの準備。
(おい……まさか、この私を雑用に付き合わせる気か?)
人手が足りないんだ。それに、お前だって思う存分に戦って満足しただろう?
ロードを呼び出し、住民から依頼された様々な仕事を一緒にこなす。
(今に見ていろ……いずれこの世界を私の領土にしてやるぞ!)
はいはい、何年先になることやら。……よし、おもちゃの組み立てが終わったぞ。
仕事の後はタバコを吸ったり、カフェでお茶を飲んだりしてリラックスするぞ。




「指揮官は倒し、オウガの軍団は去ったか。これで任務終了……といきたいところだが」
 七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)はトランプの巨人たちによって破壊された市街地へと足を運び、あたりを見回す。破壊されたブロックの家を人形たちが組みなおし、また別の人形が積み木の時計塔を積んでいる。その時計塔の姿に、麗治は見覚えがあった。記憶を頼りに頭を巡らせると――有った。無残に破壊されたパン屋の家屋、看板は叩き割られ、壁に穴が開き、荒らされた店内を熊のぬいぐるみが忙しなく片付けている
――戦闘の直前まで案内してもらっていたあの場所か。オレたちが行った後ここまで攻め込まれるとはな。
「こう荒れたところを放っても置けない。もう一仕事。破壊された町を修復しなければ」
 幸い報告書用に襲撃前の外観や構造はスケッチしている。この資料があれば修復も簡単に済ませられるだろう。眼鏡をはずした麗治の頭の中で、何かを察したように彼のもう一つの人格――ロードが不満の声を上げる。
(おい……まさか、この私を雑用に付き合わせる気か?)
 正解、とばかりに麗治はオルタナティブダブルを発動させ、実体化したロードに宣言する。
「そのまさかさ。修復にも人手が足りないんだ。それに、お前だって思う存分に戦って満足しただろう?」
 言いながら麗治はさっさとぬいぐるみへと声をかけると修復の手伝いを申し出る。手始めとばかりに割られた看板を下ろそうとする麗治と不承不承従うロード。
「お、おのれ。今に見ていろ……いずれこの世界を私の領土にしてやるぞ!」
「はいはい、何年先になることやら」
 

「さて、ひとしきり片づいたかな」
 煙草で一服する麗治に、店主のぬいぐるみが歩み寄り慇懃に頭を下げた。
「おかげさまで助かりました。お礼と言うほどのものでもありませんが」
 言葉と共に、差し出されたのはカラフルな菓子パンと、飲み頃の紅茶。
 礼と共に受け取って一口。紅茶の香りが、麗治の疲れた体をゆっくりとほぐしてくれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

青霧・ノゾミ
もちろん修復は手伝うよ。
荒れた場所を見ていたら心がすさむもの。
草花もだいぶん踏み荒らされちゃったよね。
瓦礫を撤去して、縁石なんかに再利用できそうなものがあれば使おう。
ぱっと見渡して手伝えそうなことがあれば、声かけてどんどんやるよ。
この国の皆は災難だったけど、新しい歴史と、
猟兵と関わることで今までと違う発見があるといいなってことで。
宴にも喜んで参加。
お茶とお菓子をいただくね。

僕には帰る世界がある。
そのための扉も、きっと見つける。
だからそれまでこの世界を守る。

ニノマエとは、ここで再会したわけだけど。
結局、この世界でしか生きられないんだね。
……血なまぐさい戦いのある場所でしか、ってことさ。


ニノマエ・アラタ
ノゾミにつけられた傷の治りが遅いような気がする。
……跡になりそうな……。
いや、今回の件が終われば消えるさ。

UCを使うことで高い場所へ登ったり、作業が楽になるなら
積極的に使用。膝下ジェットとかな。
高いところから見下ろして、補修が必要そうな箇所だとか
全体を見渡して確認するのもいいかもしれん。
守りの要となる場所や、生活動線の大きな通りなど
重要な場所から片づけていきたい。
組み立て作業も苦手じゃあないから、
この国の様子を眺めつつなんか造るか。
ブロック?

戦闘以外のことをする。
俺にとっては十分すぎるぐらい、観光だな。

宴には参加しねえ。
礼を言われたり、そういうのは苦手だ。
修復が終わったらとっとと還る。




 人形の国をぐるりと囲んだブロックの城壁。それらはトランプの巨人の攻撃を受け、特に街道側の城壁の損傷が激しく、あたりの花壇や草むらに砕かれたブロックが散乱していた。青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)が瓦礫を片付けていく。
「申し訳ありません、首領を倒していただいた上に修復の手伝いまで」
「気にしなくていいよ。荒れた場所を見ていたら心がすさむもの。……この花壇もだいぶん踏み荒らされちゃったよね」
 ブリキの騎士の言葉に返答しつつ、ノゾミは壊されたブロックを縁石代わりに花壇に埋め込んでいく。なおも恐縮したままのブリキの騎士へノゾミはウィンクを一つ。
「今回の事は、この国の皆には災難だったけど、新しい歴史と、猟兵と関わることで今までと違う発見があるといいなってことで」
 そう言って笑って見せるノゾミの頭上に影が差した。

 青空を舞う人影がくるりと身を翻す。軽い足音と共にニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)ノゾミの脇に降り、抱えていた破片の山を地面におろす。
「ここの城壁の壊れたブロックは、これで最後だ。後は新品を積み上げていけば補修できるだろう。再利用できるものはありそうか?」
「うん、この辺なんかちょうどいいかな」
 ブロックの破片を品定めするノゾミの目に、ニノマエが腕をさする姿が映った。
「さっきから腕を気にしているけど、何かあった?」
「ああ、誰かに付けられた十字の傷の治りが遅いような気がする」
 ニノマエの視線を正面から受け止め、ノゾミが首をかしげる。
「えーっと、跡になりそう?」
「いや、今回の件が終われば消えるさ」
 言い置いて、ニノマエは膝下から先をジェットエネルギーへと変えて、再び空へ。

 上空から国全体を見渡し、ニノマエは修復の優先順位を考える。
 ――まずは防衛の要衝と生活の動線になりそうな場所。街中は他の猟兵が、花壇や植え込みはノゾミがこなしている。俺は城壁を優先させるか。
 城壁の上にいたくるみ割り人形に声をかけ、足場を組む時間も惜しいとばかりに空中で新品のブロックを受け取っては、壁として組み立てて、城壁の穴を埋めていく。
 その穴の向こうに目をやれば、ウサギのぬいぐるみが花壇に花を植えなおし、操り人形たちが着れた糸をぶら下げながら、倒れた木をどこかへと運んでいく。あちらではドールが屋根に空いた穴を巨大なクッキーでふさぎ、こちらでは市松人形が働く人形達へ紅茶を入れて回っている。
 人形たちの営みを眺めながら、ニノマエはまた一つブロックを積み上げる。彼らの生活を守る城壁を作るために。
「――戦闘以外のことをする。俺にとっては十分すぎるぐらい、観光だな」

 一通りの修復を終えて宴の準備が始まりかけた頃、ニノマエがノゾミの前に降り立った。
「オレは帰る。宴には参加しねえ、……礼を言われたり、そういうのは苦手だ」
 お前はどうする、と視線で問われノゾミは首を振る。
「僕には帰る世界がある、今はうっすらとしか思い出せないけど。そのための扉も、この世界できっと見つけてみせる。だからそれまでこの世界を守るよ」
 頷いて立ち去るニノマエに背を向けて、ノゾミは宴の会場へと向かっていく。

「ニノマエとは、ここで再会したわけだけど。僕たちは結局、この世界でしか生きられないんだね。……血なまぐさい戦いのある場所でしか、生きていけないってことさ」
 溜め息をついてから、気を取り直すように背伸びを一つ。
「なんて、主賓が疲れた顔もしていられないね。さあティーパーティの時間だ」
 花の咲き乱れる庭園のパーティ、テーブルに所狭しと並べられたケーキとスコーンを、ノゾミは人形たちと共に存分に楽しんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アドレイド・イグルフ
※アドリブ、連携歓迎です

(SPDを選択します)

高所作業ってやつは、良いものだ……なんたって、高い。ワタシは高いところが好きだ……世界が広々く感じるからな…。…いい景色、とは言ってはいけないのだが……これからだ。これからいい景色にする。なら、今の現状も……良い思い出の一つになれる…なれれば…いいけどなア。……そのためには……働かないとな…?ワタシは労働も好きだ…。…最高の環境だな?!




 宴の始まる少し前。人形の国でもひときわ高い積み木の塔、最上階の窓から顔を覗かせるのはアドレイド・イグルフ(スペースノイドのシンフォニア・f19117)。強い風に金髪をなびかせる彼女の目に童話のような景色が飛び込んできた。
 人形の国の玩具の城壁から草原へと延びる街道、その向こうに木々が連なり、鮮やかな新緑の森をかたどっている。その真ん中に広がる大きな湖、深い藍色の水面から幾羽もの白鳥が羽ばたき遠く山の向こうに飛び去って行く。その姿を見送って、アドレイドが独り言ちる。
「高所作業を選んだのは……正解だった。良いものだ……なんたって、高い」
 世界が広々く感じられる場所、どうせ働くなら自分が好きな高いところ、気持ち良くいられる場所で。
 そうしてめぐらす視線のうちにトランプの巨人によって破壊された人形の国の景色を捉えて、彼女は表情を曇らせる。そこへ登ってきた粘土人形の大工が彼女の後ろから声をかけた。
「いかがです? この国の景色は」
「……いい景色、とは言ってはいけないのだが……これからだ」
 見下ろした市街のあちこちで人形たちが家を直しおもちゃを組み立て、そしてそれを助けるように、ともに戦った猟兵たちが修復作業を進めている。

「これからいい景色にする。して見せる。そうなったなら、今の現状も……良い思い出の一つになれる……」
 振り向いて微笑むアドレイドを窓から差し込む陽光が照らし彼女の髪を金色に輝かせた。

「なれれば……いいけどなア。……そのためには……働かないとな……?」
 ちょっぴり弱気になった彼女の言葉に粘土人形が苦笑する。
「まあワタシは労働も好きだ……。ところでこの塔は……どこが壊れているんだ?」

「ああ、壊れているのはこの上で。屋根に巨人が放った岩が当たっちまいまして」
「……塔の最上階の、上の……屋根」
 いやな予感に汗を垂らすアドレイドをよそに、粘土人形の大工が窓に足をかけ、無造作に外壁へ身を乗り出す。
「待った待った。命綱……とかは?」
「ああこれはうっかりしていました」
 安堵の息を吐くアドレイドに粘土人形の大工がにっこり笑う。
「この塔の隣は病院になってますんで、落ちたらすぐに医者が修理してくれます」
「そうかそうか。それは安心……最高の環境だな!?」
 今更この場所は嫌ともいえず、強い風に悲鳴を上げながらも、アドレイドはなんとか屋根の修理を終えるのであった。


 こうして猟兵たちによって人形の国の平和は守られた。ブロックの城壁と積み木の街並みに、オウガの襲撃の爪痕ではなく、猟兵たちの冒険譚と物語を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月09日


挿絵イラスト