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羊と狼と植物と

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●突然の木
「あんだぁ……? これぇ……」
 一人の男が広がる牧場の中、ある物を眺めていた。
 それは牧場の中に不自然に葉を茂らせ、天へと延びる大きく太く、長い1本の木の幹。
「……こんなところにあったかな? 狼に体当たりされた時に忘れたのかぁ?」
 男は頭をかき、隣にいた羊達を撫でる。うん、いい毛だぁと男はため息をついて。
「まあ、丁度木が欲しかったし……近い内に切ろうなあ……狼が来ない日に」
 男――羊飼いは木へ背中を向けると、羊達と共に畜舎へと向かっていく。数歩歩き、もう一度振り返り、木の方を見て。
「……本当に、あったかなぁ?」
 そして、再び歩き出す。羊飼いは気づくことはなかった。
 自分が『命拾い』したことに……そして、木が先程見たときよりも少し大きくなっていたことに。

●「メェェェェ……」
「羊さんって知っていますか? メェー、メェーって鳴いて可愛いんですよ! しかもすっごくもふもふしてて」
 猟兵達を集めて早々、メェメェ鳴き出すグリモア猟兵の星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)。
「今日はそんなメェメェ鳴く羊さんにかかわるお仕事ですよ、はい!」
 くるくるとグリモアベースの光景が移り変わり、映し出されたのはどこまでも広がる草原……否。
「牧場……?」
「はい、牧場です! 今日のお仕事は『アックス&ウィザーズ』世界の羊飼いさんからの依頼なんです!」
 近い未来のオブリビオンの行動の予知を受け取ったと言う事は既に何らかの前兆が現れている可能性が高いという事。亜希は予知に基づき、冒険者ギルドからその事件を見つけやすい『依頼』を受け取り、猟兵達へと仲介する。
「ここの羊飼いさんは冒険者にお願いする余裕がある程度の規模がありまして。畜舎や毛刈り場、年老いた羊さんをお肉にする場所……大体の施設は揃っています。羊飼いさんは羊さんを放牧しては毛を刈ってそれでお金を稼いだり、お肉にして食べたりしているみたいです」
 そう言うと亜希は一枚の羊皮紙――冒険者ギルドから渡された依頼内容について書いてある――を取り出し読み上げた。
「羊飼いさんは最近狼の被害が増えて悩んでいるそうで、狼を追い払う柵を作ることを考えているそうです。ですが柵を作っていてはその間に狡猾な狼に羊さん達が狙われてしまうそうで……冒険者の皆さんにその間の時間稼ぎをして欲しい、そうです」
 なるほど、狼達から牧場の羊達を守っていればいいのか。そう纏めた猟兵達に、亜希は大きく頷く。
「ですがここからが問題です。羊飼いさんは『念の為』と銘打ってはいますが……こちらが『私達』にとって重要です……この牧場の近くには大きな森があるのですが」
 羊飼いの暮らす牧場の近くにある大きな森が、最近到底自然では考えられないスピードで広がり、つい最近は牧場内に突然1本の木が生えたという事件があったようだ。
「この現象はオブリビオンの仕業と見ていいでしょう。狼達が暴れる様になったのももしかしたらこの現象が原因かもしれません……木が彼らの住処を侵食して、森を広げるオブリビオンが狼達を、追い払ったと」
 そしてこれから起こる事件を暗示するかのように、1本の木が牧場内に生えた。これを羊飼いは不審に思い、そう遠くない内に切り倒すようだが。
「それが一番まずいんですよね……オブリビオンの影響で生えた木を切り倒すという事は、そのオブリビオンに対する挑戦を意味します……もしかしたら何らかの反撃があるかもしれないんです」
 そうなっては戦う力のない羊飼いはあっという間に殺されてしまうだろう。そうなる前になんとかして欲しい。
「どうか皆さんお願いします、羊さんのためにも羊飼いさんをオブリビオンや狼から守って上げてください!」
 亜希は頭を下げ、猟兵の皆に頼み込んだ。


糸こんにゃく
●糸こんにゃくです。
 皆さんは羊飼いに『羊飼いが羊達を守る柵を作り上げるまでの間、狼を追い払うという依頼』を受けた冒険者として牧場へと赴きます……が、既に羊飼いは牧場に生えた木へ危害を加えたようでオブリビオンが大量発生しています。(羊飼いは気絶しています)
 そのため猟兵の皆さんにはまずは羊飼いを守りながらオブリビオンを退治し、それから一応依頼を受けたという証を示すために狼を追い払う仕事。

●第3章について
 無事オブリビオンの魔の手から牧場を守り切ることができれば『日常フラグメント』となります。
 皆さんは羊飼いさんが柵を作る間羊を守りながら狼を追い払うという『冒険者としてのお仕事』をやってもらいます。
 お仕事を真面目に遂行するもよし、お仕事の合間に羊肉を食べたり羊をもふもふするのもよし、グリモア猟兵のお仕事をサボっている星宮・亜希(あくまで誘うための設定で、プレイングに『一緒に遊ぶ』指定が無ければ決してリプレイ内に登場はしません)と何かするもよし。好きに楽しんでください!

●プレイング保証など
 全章『可能な限りの全員回収』を心がけます。
 特に第3章は最後のリプレイ投下直前のプレイングや依頼遂行に反するプレイング以外は全部拾います。

●それでは
 よろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『アルラウネ』

POW   :    ルナティック・クライ
【聞く者を狂わせるおぞましい叫び声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    スクリーミング・レギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【マンドレイク(アルラウネの幼生) 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リパルシブ・シャウト
対象のユーベルコードに対し【それを吹き飛ばす程の大音声 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂気を誘う絶叫
「う、うわあああああ!? なんだこいつらああ!?」
 猟兵達がグリモア猟兵の転移結界を潜り抜け、初めに耳に入った言葉は羊飼いの男の悲痛な叫びであった。
 即座に振り返れば、そこにいたのは少女と植物を合わせた見た目の魔物が複数、手斧を落とし腰を抜かしてしまっていた羊飼いを取り囲んでいた。斧には木くずがついている。既に羊飼いは木を切り倒そうと斧を使い、オブリビオンの怒りを勝ってしまっていたのだ!
 羊飼いが後退り、逃げ出そうとしたその瞬間、植物の魔物『アルラウネ』はおぞましい叫び声をあげる。直後、彼と周りにいた羊たちはみな白目を剥き、泡を噴いて倒れる。
「まずい! あの魔物を止めなければ!」
 猟兵達はその光景から状況を即座に理解すると、大急ぎで羊飼いの元へと駆け寄った!
クロ・ネコノ
狼が相手だって聞いてたんだけど、もう別の奴が沸いてるじゃないか!
羊飼いの人をアイツから引き離したいけど、私は人一人抱えて逃げれるほど屈強じゃないからね、援護にまわるよ。
【SPD】 [援護射撃1][時間稼ぎ1] 
アルラウネから距離をとってから『千里眼射ち』を使って攻撃!、
アルラウネ達の意識がこっちに向いたらあとは逃げるね、鬼さんこちら!

<とりあえずは遠くから弓で援護射撃、敵が来たら惹きつけつつ逃げて時間稼ぎします、アドリブ・他PCとの絡み歓迎!>



「狼が相手だって聞いてたんだけど、もう別の奴が沸いてるじゃないか!」
 繁殖するアウラウネ達にクロ・ネコノ(バーチャルキャラクターのアーチャー・f06406)は即座にロングボウを構え……牧場に不自然に生えていた木へと矢を勢いよく放つ!
 ドスリ、重い音が鳴り響き、それと共にアウラウネ達はクロの方へと一斉に向きを変える。
「よし、こっちに来なよ!」
 更に援護をするべく、矢をつがえ、次はアウラウネ達を狙撃しようと数本。その矢は次々と迫るアウラウネ達の急所を居抜き、一撃で吹き飛ばしていく……だが、彼女達も植物を傷つける相手は許せないといったような表情で、その死の瞬間、何かをクロへ向けて打ち出した。
「何よこれ、離れてよ!」
 それはアウラウネの幼生、100体を超えるほどのマンドレイク……それはクロの足に絡みつき、その肉を喰らおうと襲いかかる。弓使いのクロにとって、至近距離に迫ったこの数を処理するには非常に厄介な状況であった。
「もっと逃げないと……!」
 だがクロは機転を利かせ、自らの足を蹴ることでマンドレイクを振り落とし、再びアウラウネ達を誘導する為に走り出す。
「鬼さんこちら! ほら、もっとおいで!」
 アウラウネ達はクロに釣られ、次々と羊飼いから離れていく。これほどまでの戦果ならば、彼にトドメを刺そうとするアウラウネは現れないだろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メルフローレ・カノン
まずは、羊飼いに危害が及ばないように守りつつ、
オブリビオンは退治しましょう。

早速ですが、アルラウネを攻撃していきます。
手数よりは力任せの一撃で、殴りかかっていきます。
そのために力溜めでパワーを込めて思いっきり武器を振り回します。
それによってマンドレイクをガンガン弾き飛ばしていけば
敵の数が多くても大丈夫かなと思いますので
ガンガン振り回して行きましょう。
「全力で行きます!」

羊飼いに危害が及ぶ場合や
他の人が危ない場合は積極的に守りに入ります。
武器受けは活用して防御しますし、
敵の攻撃に対して盾になる必要がある場合は無敵城塞で
立ちふさがりましょう。
「ここは持ち堪えます!」



クロのおかげでアルラウネ達は羊飼いからは危険が去った、だが再び戻ってこないとは限らない。
「全力でいきます!」
 アウラウネが羊飼いの方へと来る事だけはなんとしても食い止めなければならない。
 メルフローレ・カノン(人間のクレリック・f03056)はメイスをしっかりと両手で握ると、アウラウネ達の群れへ向けて全力で振り回した。
 叫び声の兆候が見えれば下がり、弾き飛ばし、再び叫び声の射程外へと退避し、再び鉄槌の一撃を加える。
 唸りをあげたその鈍器にアウラウネは弾き飛ばされ、更に隣のアウラウネへと激突。将棋倒しになるように被害は膨らんでいく。だが、それでもアウラウネ達は怯むこと無く植物を傷つけた猟兵達を決して許さないと迫り来る――何度も何度もアウラウネを吹き飛ばし、先ほどまでと同じ様にメルフローレが退避しようとした直前……彼女の瞳に何かが映る。
「羊飼いさん!」
 そう、アウラウネの1体が羊飼いを見つけると再び怒りを覚え、迫りつつ遭ったのだ。迷わず彼へと覆いかぶさるように飛びつき、その耳を大急ぎで塞ぎ――。
「ここは持ち堪えます!」
 無敵城塞の構えを取った直後、響き渡る絶叫。だがその声はメルフローレも羊飼いにも届かない。
 アウラウネの叫び声が終わるまでの間、メルフローレはただ目をつぶり、必死にその呪いの絶叫を乗り切った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルルティア・サーゲイト
「何ぞ、もう始まっておるではないか」
 羊飼いの退避やら守るのやらは得意な奴にやらせておく。妾はとっとと木の方をどうにかするのである。
「植物なら良く燃えるじゃろう」
 二度、三度、舞う様に大鎌を振るって遠心力を加えて加速する。振るった軌跡には火の粉が散る。
「黒竜の息吹にて全てを爆砕せしめん! 黒竜爆砕刃ッ!」
 そして、本命の攻撃を横薙ぎに放つ。赤熱した刀身で根元から両断した上で残りも焼き尽くす算段だ。
 横薙ぎの攻撃は外した所で更に遠心力を加えて次の一撃を高める。フェイントも織り交ぜて炎の旋風と化す。


ニコラ・クローディア
「時既に遅し、とならないのがグリモア猟兵による予知の強みだな!」
炎で形成したウィザード・ミサイルを都合70本程伴いながら転移ゲートから突撃。攻撃は最大の防御とばかりにアルラウネやマンドレイクたちへ猛攻を仕掛けていく。
「いくらオレサマの魔術が肉体強化に寄っているとはいえ、これくらいならできるんだぜぇ!」
愛用の魔術銃杖「ティヴェロン」による【2回攻撃】【スナイパー】【早業】、そしてシグニチャー・スペルブックの【高速詠唱】で数撃てば当たるモードで制圧を試みる。延焼こそしないが、植物に炎は良く効くだろう?
割と脳筋ブッパな感じでアレンジ・アドリブ歓迎
他猟兵との連携もご自由にどうぞ



侵略するアウラウネ達と迎撃する猟兵達。戦場の混乱は収まることはない。これを鎮めるには更なる決定打が必要だ。
「何ぞ、もう始まっておるではないか」
 その決定打――ルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)は彼女の唯一にして至高の武器たる大鎌を構え、アウラウネの方を見据えると、ちらりと流し目で。
「植物なら良く燃えるじゃろう、お主もそう思うよの?」
「ああ、コイツラならいい燃料になりそうだな!」
 共にゲートをくぐり抜け、戦闘形態へと姿を変えたニコラ・クローディア(世界を渡る龍賢者・f00091)の方を見る。
「時既に遅し、とならないのがグリモア猟兵による予知の強みだな!」
 自分にも重ねているのか自らの掌に拳を当てニコラが不敵に笑えば、彼女の背後に円を描く形で数十の矢が出現。
「ほう、やる気満々じゃの、それじゃあいくとするかのぅ!」
 ルルティアはニコラのその様子にニヤリと笑みを見せれば、大鎌を舞うように振るい、遠心力を高めていく。後は交わす言葉は不要。
「いくらオレサマの魔術が肉体強化に寄っているとはいえ、これくらいならできるんだぜぇ!」
 ニコラは飛び上がると魔術銃杖をアウラウネの集まった場所へと構え、召喚した火矢を凄まじい速度で解き放った。アウラウネは叫び声によってその矢の火をかき消そうとするも、消すよりも多く勢いよくニコラの背後から円形に次々と火が放たれ、その餌食となったアウラウネ達が悶え苦しむ。
「往くぞ!」
 ルルティアが激しい火の粉を散らしながら大地を削り、赤く燃え上がった凶鳥の翼の遠心力に身を任せ、ニコラの矢に続く形で高速でアウラウネに飛びかかった。ルルティアよりも遥かに大きく重いはずの刃は彼女の意思に従うかのように舞い、弱ったアウラウネ達の根本を切断し、同時に炎上したその部位から上部をも焼き切っていく。その舞は1体や2体では止まることはなく、次々とアウラウネ達を薙ぎ払っていき、最後に――大きく横になぎ払い。
「黒竜の息吹にて全てを爆砕せしめん! 黒竜爆砕刃ッ!」
 その炎の闘気を宿した荒々しくも華麗な一撃は、『燃やし損ねた』アウラウネ達を一瞬の内に灰燼へと化していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イクス・ノーハート
あっはははぁ!かぁわいらしい植物さぁんでぇすねぇ!

「焼いてくれ」って言ってる様に私には、聞こえるんですよぉ!アッハハハ!

まず、機骸を武器改造で大きな槌の形に変化、次にエンチャントジュエルで「炎属性」を付加させましょうかぁ。

敵陣でおもいきり地面を殴り、衝撃波と共に炎で周りを攻撃、焼きましょう(衝撃波+属性攻撃)

相手が錯乱したら、炎属性を乗せた黒キ慟哭ノ波動で攻撃しーましょ(属性攻撃+衝撃波+恐怖を与える)


シエラ・アルバスティ
「あれは……」

 遠くから今の状況を観察
 話に聞いていた木がにょっきにょっき沢山生えてるね!

「あれは……あれは……かわ・いい!!!!」

 本体の木の姿の女の子は勿論、幼生もヤケにかわいい
 あの子たちを退治するっていうの……?

「どうすればいいんだよゴッド……」

 パートナーのイヴちゃんなら喜んで斬りまくるだろうなぁと思いつつ覚悟を決める私
 ユーベルコードを起動し、風を纏って【ダッシュ】で特攻
 大気の翼を一枚ずつ消費して加速し、『天狼牙』を構え両側の刃で胴を両断しに行く

「私は猟兵! あれはオブリビオン! そして私のスピードは絶望さえ置き去りにする!!!!」

 ↓

「かわいいものを斬ってしまった……しのう」



アウラウネ達は勢いこそ衰えたものの、更に次々と大地から顔を現していく。
「わあ……話に聞いていた木がにょきにょき沢山生えてるね!」
 シエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き人狼・f10505)はつま先立ちをしてその光景を眺め……率直な感想を一言。
「あれは……あれは……かわ・いい!!!!」
 そのキューティクルな瞳、緑のツインテール、頭の生い茂った葉や髪飾りの様についた実。そして彼女の周りを飛び回るマンドレイク達。その全てが愛くるしい。
「あんなにかわいいあの子たちを退治するっていうの……? どうすればいいんだよゴッド……」
 私には彼女達を倒す事はできない、悩みに悩んだシエラは手を合わせ神頼み。そんな彼女の隣に現れた者は……。
「あっはははぁ! ほんとうにかぁわいらしい植物さぁんでぇすねぇ!」
 フードの下から高笑いを挙げるイクス・ノーハート(無望の大禍・f06772)。これにはシエラも目が点状態。
「『焼いてくれ』って言ってる様に私には、聞こえるんですよぉ! アッハハハ!」
「言ってないよ!?」
 唖然とするシエラも何のその、イクスはどす黒いスクラップを変形させると、それは激しい炎を纏い、赤の輝きを放つ黒の槌となる。
 イクスはそのまま敵陣へと飛び込むと、大きく事前動作をかけ、驚き飛びかかったマンドレイク達を巻き込み大スイング!辺りは一体火の海となり、激しい炎が牧草地帯に巻き上がる。
「牧場主に怒られてしまうでしょお? この代償は高くつきますよぉ!」
 イクスは恐れおののくアウラウネ達の真ん中で高笑いを開けながら自らの本体たる棺桶をゆっくりと開け放った。直後、放たれる怨唆に塗れた慟哭の波動がアウラウネ達へと襲い、その肉体を粉々に破壊していった。
「そうだ……あれはオブリビオンなんだよね、敵なんだよね……!」
 パートナーのあの子ならイクスの様に喜んで戦うだろう、そうシエラは自分に言い聞かせると――加速。
「私は猟兵! あれはオブリビオン! そして私のスピードは絶望さえ置き去りにする!!!!」
 ロケットエンジンの様に次々と加速の羽をもやし、天狼牙を構え、残ったアウラウネ達へと狙いを定め、一刀両断!
 シエラの覚悟を込めた光速の一閃は、アウラウネ達を苦しめる間すら無く両断。ボトリ、ボトリと地に落ちるその亡骸を一つシエラは抱きかかえ、ゆっくりと地にうずくまった。
「かわいいものを斬ってしまった……しのう」
 絶望を一度は置き去りにすれども、後からそれはやってくる。オブリビオンとはいえ自らが愛する可愛い者を殺めてしまった罪悪感からゆっくりと涙を流すシエラにイクスが歩み寄り。
「素晴らしい腕前でしたよぉ! あの植物さん達も悦んで――」
「ないよ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

浜栗・あさみ
狼退治って聞いて軽いアルバイト感覚で来たのに話が違うんですけどーー!
ん~~~まぁなしよりのあり?
まぁサイキョーのあたしにとって狼もアルラウネも大差ないっしょ!
おっけーおっけー!

【POW】
近くにいるアルラウネから片っ端から「最強拳」をつかってぶっとばしていきます。
猪突猛進タイプの性格なので羊飼いの人の安全についてはあまり頭にありません


アレンジ・アドリブ歓迎 NGなし



火の中、アウラウネ達は踊り、体をよじらせ叫び声を上げ続ける。最後の一体になるまで彼女達は決して留まることはない。
「狼退治って聞いて軽いアルバイト感覚で来たのに話が違うんですけどーー!」
 その想像していた光景との余りの乖離ぶりに浜栗・あさみ(最強女子高生(自称)・f01376)は驚愕の声をあげた。狼退治と聞いて来たらアウラウネ達がいたので無理もないのだが、あさみはそれでも前向きに。
「ん~~~まぁなしよりのあり? まぁサイキョーのあたしにとって狼もアルラウネも大差ないっしょ!」
 サイキョーの自分の前に立つ敵ならばどの様な敵であろうと地に伏すのみ。少しの溜めの後、全力ダッシュ。利き腕をぐるぐると回し、アウラウネ達へと飛びかかり、一見冗談でやっているかのような動作で大きく振りかぶり――
「とっておきのとっておき~!」
 次の瞬間、発光、爆発。だまし撃ちの如く放たれた神速の拳はアウラウネを目にも止まらぬ速さで消し飛ばす。
「おっけーおっけー! 次いっくよー!」
 自らの強さに自信満々といった様子で目を歓喜の表情で輝かせ、ただ単純に近くのアウラウネから次々消し飛ばしていこうと再び腕をぶんぶんまわしてはアウラウネ達へと飛びかかっていく。
「くらえー!」
 あさみの猪突猛進、剛速の一撃は討ち漏らしたアウラウネ達へ無慈悲に襲いかかり、その全てを吹き飛ばしていく。
 自信満々で飛びかかるあさみに対しては、狂気の叫び声など歓声にしか聞こえない。そうしてあさみは全霊の拳で最後の一体を消し飛ばすと、「よっしゃーー!」とガッツポーズを挙げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サザレ・ヘリオドール
なるほど
森で狼を追い立てるほどのモノが増えている……ということでしょうか

そして、この羊飼いさんを囲んでる連中は……その仲間か手下でしょうね
私は後方から、ヘリオドールの祝福で傷付いた仲間を癒し、戦いを支えつつ新手の襲来や羊の群れ、羊飼いさんの動きに注意

できれば羊達と一緒に、羊飼いさんにも少し離れたところへ避難して欲しいですけど、無理なら敵の動きに注意して……敵を近づけさせないようにしますね

複数の敵が特定の仲間を狙ったり、敵が私を狙うようならメイスで気絶攻撃を狙ってみます
当たらなくても、敵の注意が逸れれば……仲間が付け入る隙になります!

もちろん、羊さんが狙われるなら敵をメイスでぶん殴って邪魔します



アルラウネ達は燃え尽き、その発端となった牧草地の木もまた燃え尽きた。
「等しく降り注ぐ太陽よ。闇に抗う者達に……再び立ち上がる力と勇気を与え給え』
 サザレ・ヘリオドール(ヘリオドールの巫女・f06264)は猟兵達を傷ついた羊達や羊飼いの倒れたところへ集め、癒やしの魔力を込めた祈りの言葉を捧げていく。
「なるほど、森で狼を追い立てるほどのモノが増えている……ということでしょうか」
 戦いの疲れが取り除かれ、戦闘で受けた傷から回復した猟兵達の中、サザレは考える……そうしている内に、羊飼いは呻き声をあげ、目を覚まし――。
「う、ううぅぅ……ひ、ひぃっ! 植物人間んん!」
「安心してください、全部私達が倒しましたよ」
 怯える羊飼いをゆっくりと落ち着かせ、事情を説明するサザレ。羊飼いは大体の経緯を聞くと、深く頭を下げて。
「そ、そうだったのかあ……冒険者様、ありがとなあ」
「更にアウラウネ達が来るかもしれません、羊飼いさんは一度安全な所へ避難してください……狼退治も私がしておきますから」
 サザレの言葉に羊飼いは再び頭を下げると、羊達に乗ってトコトコと妙に早く畜舎へと帰っていく。彼が畜舎へ入っていった時、サザレはぽつりとつぶやいた。
「……これで本当に狼だけであればよかったのでしょうが」
 彼女の背後の、焼け焦げた土から再び牧草が、花が、そして木が異様な速度でメキメキと生え育ちだす。瞬く間にサザレの背後は森と化し、怒りの咆哮と共に四足の何かが飛び出した!
「みなさん、いきましょう、羊飼いさん……羊さんや狼さんのためにも」
 サザレは立ち向かう覚悟を決めると、森を守護する魔物へとメイスを構え、ゆっくりと息を整えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●木よ森よ
 その四足の魔物は憤怒に満ちた表情で猟兵達を睨みつける。
『ヒューレイオン』。森の守護者たる彼の領域に於いて、森に危害を加えることは小枝一本たりとも許されない――ましてや木を燃やしアウラウネ達を殺した君達に対しての殺意は言うまでもないだろう!
折原・司
森の守護者、ですか…確かに領域に立ち入った者へは相応の対応をするべきでしょう

しかし、それがオブリビオンだというのなら、見過ごすわけにはいきません

「私のすべては信仰の為に。貴方を倒し、牧草地と森の平和を取り戻します」

【WIZ】
左手にバスタードソード、右手は素手の状態で挑みます
ヒューレイオンの注意を引くように正面に立ち、相手の目を見据えます
右手の親指と人差し指で拳銃のような形を作り、ジャッジメント・クルセイドを使用します

こちらに注意を引く分、上への警戒はある程度薄くなるのではないでしょうか

相手の蹄に対しては、バスタードソードを構え近づかれないように警戒します



「森の守護者、ですか……確かに領域に立ち入った者へは相応の対応をするべきでしょう」
 一歩、また一歩、折原・司(この身はただ信仰の為に・f04471)が手を組みながらゆっくりとヒューレイオンへと歩み寄る。今に殺してやると言わんばかりに睨みつけるヒューレイオンの瞳を司はじっと見つめるとその手を組むのをやめ、バスタードソードを左手で引き抜く、
「しかし、それがオブリビオンだというのなら、見過ごすわけにはいきません……私のすべては信仰の為に。貴方を倒し、牧草地と森の平和を取り戻します」
 司が森の守護者たるオブリビオンへ静かに死を告げるように宣告する、両者の敵意が次第に高まり頂点に達した時……守護者が先に吠えた。
 守護者は司の持つ得物から司が近接戦闘を得意とすると推理し、自ら手を出さないと決めたのだろうか。突如吹き荒れる強い風が木々の葉を散らし、守護者の周囲に次々と集まると徐々に人型を形成しようとする。その隙を司は見逃すことは無かった。
「――ばきゅん」
 即座に司はヒューレイオンへあるものを突き付ける……それは左手に持っていた剣などではなく、素手の右手。それも銃の形に親指と人差し指を突っ張っただけの右手――当然指から弾丸が放たれるというわけでもない。ヒューレイオンは一度その動作に身構えるも、子供騙しと知ると……怒りに満ち足りた様子で再び強く吠える。その様子を見て、司は再び手を組み憐れんだ。
 今の行動は子供騙しなどではなくしっかりとした攻撃であるのだと。ヒューレイオンが出来上がった植物人間をけしかけんと再び睨みつけようとした瞬間――突然天から一筋の光柱が突き刺さり、ヒューレイオンを完成間近の植物人間ごと焼き焦がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ランディス・ティンバーウルフ
ガウ、コイツ、デテキタ!!
デカイ『ヤギ』、キ、ダケ、ノバス。
コレ、チガウ!!
ボク、タタカウ!!
フツウノ、モリノ、タメニ!!

という訳で、森の仲間のためにゲフェン(狼)を呼び出して、山羊じみた魔物に襲いかかる。
時として、ゲフェンに跨って接近、呼び出す植物人間や半透明の妖精を蹴散らしながら接近して山羊に攻撃を仕掛ける。
「ガウ、ゲフェン、「ヨコ」カラ、イク!!」
巨大な草食獣は後ろ足や角が強いのを知っている。
だからこそ、ランディスとゲフェンは分かれて横から挟み撃ちして攻撃する。そして、狙うは首もしくは無防備な腹部をダガーや牙で打撃を与える。
「モリ、ミンナノ、モノ!!
オマエ、ドクダン、ヨクナイ!!」



自らの繰り出した攻撃ごとその表皮を焦がされ、焦るヒューレイオン。そこにランディス・ティンバーウルフ(狼少年・f04939)が飛び出し、その皮を手に持っていたダガーで斬りつけた。
「ガウ、コイツ、デテキタ!! デカイ『ヤギ』、キ、ダケ、ノバス。コレ、チガウ!!」
 本物の『森の守護者』であるならば植物だけでなく、そこに集い憩う動物達に対しても『優しい』存在でなくてはならない。植物だけを偏愛し、動物達をないがしろにするどころか森の領域を広め、動物達の住処を壊すこの『暴君』が守護者であってはならない。
「ボク、タタカウ!! フツウノ、モリノ、タメニ!!」
 ランディスは獣奏器を奏でると狼『ゲフェン』を呼び出し、その背に跨る事でオブリビオンの反撃を回避し続く半透明の妖精を、五感を研ぎ澄ませ察知すると、勢い良く斬りつけ撃退。妖精が受けたダメージによりオブリビオンが怯んだ隙にランディスはゲフェンと二手に分かれ、敵の急所を叩こうと走る。
「ガウ、ゲフェン、『ヨコ』カラ、イク!!」
 ランディスは獣の長所を知っていた。長所を知るという事は、すなわち弱点を知るという事でもある。ランディスが狙った部位は……ヒューレイオンの無防備な腹部。そこへゲフェンは牙を、ランディスはダガーを突き立て、勢いよく襲い掛かる。
「モリ、ミンナノ、モノ!! オマエ、ドクダン、ヨクナイ!!」
 ランディスとゲフェンの思いを込めた一撃は、ヒューレイオンの両側の腹部へと深く突き刺さった――!

成功 🔵​🔵​🔴​


「……!」
 ヒューレイオンの体表は焼けただれ、その裂傷からは血が流れ落ちる……だがこの森の守護者たる魔物は森を異様な速度で成長させた程の強力なオブリビオン。この程度で倒れる存在ではない。
 ヒューレイオンは闘気を高め傷口を見る見ると塞ぐと同時に頭部に生えた角を奇怪な角度で急速に伸ばし、彼に纏わりつく『不届き者』を薙ぎ払う。更に、その重い重量を活かし体当りするべく勢いよく突進攻撃を繰り出しす。
 塞がった傷口からは淡く輝く葉を付けた枝が芽生えており、その本体の生命力の高さを暗示しているようであった。
メルフローレ・カノン
ボスであるヒューレイオンを倒して、
ここ一帯のオブリビオンを駆逐しましょう。
森を守るという相手の行動理念は邪悪ではないかもしれませんが、
オブリビオンであれば私は容赦なく殲滅します。

生半可な攻撃では通じないと思われるので、
[力溜め]で力を込めて攻撃します。
召喚される精霊などはメイスを振り回して吹き飛ばしましょう。
ボス本体は、[鎧砕き]で硬いところを叩いて衝撃を与え
衝撃で動きを鈍らせましょう([気絶攻撃])
「全力で行きます」

強力な攻撃は【無敵城塞】で耐えきります。
また、羊飼いや他のピンチの方がいたら守るようにします。
[武器受け]は生かして防御します。
「ここは持ち堪えます!」


ルルティア・サーゲイト
「ボスのお出ましか」
 心底お怒りのようじゃが、領域侵害と言う話ならそもそもそっちが先に入って来たのじゃろうに……などと言うても聞く耳を持つはずも無し。第一、
「過去は過去に還れ、オブリビオン」
 アブリビオン相手に説得が無意味である事は知っている。
「森の守護者ならやはり、炎には弱いじゃろう」
 十分な遠心力を加え火の粉を散らしながら大鎌を振り、狙うは蹄の一撃へのカウンター。一度見せた横薙ぎの攻撃をフェイントに使い、
「黒竜の息吹を受けよ、黒竜爆砕刃ッ!」
 本命は縦に切り替えた大上段。この技は本来、地面に叩きつける様に振るい、爆発したかのように地面を巻き上げる。故に、爆砕刃なのである。



「ここは持ち堪えます!」
 迷うことなくオブリビオンの攻撃に咄嗟に応じたのはメルフローレであった。メルフローレはメイスを構えると、魔物の角を受け止め、続く蹄による蹴り上げを自らの術式で防ぎきる。魔物は森を守るべく、メルフローレが抑えている角を一気に伸ばすと、その肉を切り裂くべく角の角度を変え彼女へと迫らせる。
「あなたの行動理念は邪悪ではないかもしれませんが。オブリビオンであれば……」
 だが、メルフローレはその威圧に負けることなく、魔物の角ごと魔物を押し出すと、メイスを両手で握り、流れるように全身全霊のフルスイング。
「全力で行きます!」
 それが世界を滅ぼす存在であるというならば容赦なく滅ぼすのみ。痛々しい音と共に輝くオブリビオンの両角は粉砕され、推進力を失ったその先端部分はわずかにメルフローレの肌を切り裂いただけで勢いよく大地へと突き刺さる。
 角から衝撃が伝わり脳を揺さぶられたのだろうか。ヒューレイオンは一瞬頭をぐったりと下げ、一歩下がるも。間髪入れずこちらを睨みつけ、再び角を伸ばしメルフローレを切り裂かんと蹄を尖らせ襲い掛かる――だが。
「貴様の相手は妾じゃ、オブリビオン。」
 ルルティアが即座に魔物とメルフローレの間に割って入ると、大鎌を構え、その蹄目掛けて横払いの会心の一撃を振るう。蹄はその凶暴な先端を失い、刃の軌跡が美しい紅に染まると次第にそれは荒れ狂う炎となり、魔物の前脚とその大地の草木を焼き払う。
「心底お怒りのようじゃが、領域侵害と言う話ならそもそもそっちが先に入って来たのじゃろうに……」
 オブリビオンへ呆れ気味にツッコミを入れるルルティアの後ろ姿にメルフローレは驚きの声を投げかける。
「ルルティアさん!」
「ちと力の回復に時間がかかったようじゃが、お主のお陰でなんとか間に合った様じゃ」
 礼を言うぞ、後は妾に任せよ。そう言い残すと、ルルティアは大鎌を踊るように振り遠心力を高めると突撃。再び大地を焦がし怯んだオブリビオンへ盛大に薙ぎ払いの一撃を叩きこむ。だが相手は凶悪な魔物、一度見た大振りな攻撃を二度も連続して受けるはずもなく、即座に身を翻し、後ろに飛びのいた――。
「貴様、躱したな? ならば過去に還れ、オブリビオン!」
 が、その回避行動は全てルルティアの読み通りであった。遠心力を活かし軽々と『凶鳥の翼』の向きを変えると、オブリビオンの着地点目掛け――。

「黒竜の息吹を受けよ、黒竜爆砕刃ッ!」
 大鎌による無慈悲なる斬り上げの一撃を叩き込んだ! 腹部の下に即死級の深い火傷と裂傷を負ったオブリビオンは宙へと浮かび上がると――大炎上。
「森の守護者ならやはり、炎には弱いじゃろう……ほれ、良く燃えておるわ」
 哀れな鳴き声を上げ、燃え上がった炎と共に落下するヒューレイオンの姿を満足げに確認するルルティアの姿がそこにあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


地に伏した魔物はよろよろと立ち上がり、怒りの咆哮を上げた。
 再び起こる激しい嵐。オブリビオンは嵐に乗り舞い散る葉で自らの火を即座に消し、同時にその焼け焦げた葉で植物人間と木霊の妖精を召喚し続ける。
クロ・ネコノ
うわぁ、大物が出てきたね、しかもかなり怒ってる。
まぁとりあえずアーチャーらしくお仕事しようか。
【SPD】[援護射撃2][2回攻撃4] 
どうせ相手のテリトリーなんだし、隠れる必要はないよね。
堂々とオブリビオンに弓矢を射るよ。
他の猟兵さんが接近戦を仕掛けるつもりなら、攻撃する前にとりあえず数を射って[2回攻撃]相手の撹乱を狙ってみようか、オブリビオンがこっちに攻撃してくる場合は「ゴム体質」を使って体を伸ばし、木々に飛びつこう。
<アドリブ・他PCとの絡み歓迎!>


サザレ・ヘリオドール
森の守護者……と言うには禍々しいですね
真に守護者たるなら、植物の新芽を食べる鹿等を狩り、森を守る……共存すべき狼を追い立てる必要なんてない

偽りの守護者を討ち、森に真の安寧を

私は後方から、ヘリオドールの祝福で仲間を癒しつつ、新手への警戒や、敵が優位な地形に誘い込まれないように警戒
足場が悪くて木々が多い斜面なんかは、敵に都合がよくても私達は動きづらく不利です

なるべく足場がよく、木々が少ないところへ敵を追い立て、こちらが不利にならないよう警戒します
敵が私を狙うなら、メイスでぶん殴って気絶攻撃を狙って

ヘリオドールの祝福の光で、光の当たった箇所が歪むなら、敵の使い魔が潜んでるかも
敵の不意打ち等に警戒して



「何と恐ろしい叫び……森の守護者……と言うには禍々しいですね」
 サザレは植物人間や妖精と闘う猟兵達に祈りの言葉を捧げながら、おぞましいオーラを放つその魔物をじっとその瞳に捉え続けていた。
「等しく降り注ぐ太陽よ。闇に抗う者達に……再び立ち上がる力と勇気を与え給え」
 サザレが杖を掲げ、祈りの言葉を投げかけると、その言葉に応るかの如く天から暖かい光が降り注ぎ、猟兵達を照らし出す。それはオブリビオンと闘い傷ついた戦士達を癒し、更なる活力を引き出させるための物。
「真に守護者たるなら、植物の新芽を食べる鹿等を狩り、森を守る……共存すべき狼を追い立てる必要なんてない……皆さん、偽りの守護者を討ち、森に真の安寧を」
 その言葉に応じる様に、サザレの後ろで猟兵達が再びその瞳に光を取り戻し、オブリビオンを追い詰めるべく向かって行く。
「サンキュー、とりあえず木の少ない所に連れてけばいいんだよね?」
 その一人、クロがロングボウへと矢をつがえながら魔物の方へと走り、すれ違い様にサザレへと問いかける。
「はい、敵が優位な地形に仲間を追い込まない様にお願いします」
「オッケー!」
 他の仲間がサザレへと向かう植物人間や精霊達と取っ組み合いになる中、クロは素早くこっそりと、射程内へと忍び込むべく駆けていく。それでも植物人間の一人がクロを視界に捉え滅ぼすべく襲い掛かれば、クロの身体はゴムの様に弾み、異様なポーズでその攻撃を避け。その反動で木の一本への枝へと大ジャンプ。
「面白い体質だろう? ……さてと、とりあえずアーチャーらしくお仕事しようか!」
 クロはクスリと笑い、捕まった木の枝をもう一本掴みへし折れば案の定交戦中のオブリビオンは戦いをやめ、クロの方へおぞましい憎悪を込めて向き直る。
「うわぁ、かなり怒ってる……まあ、どうせ相手のテリトリーなんだし、隠れる必要はないよね!」
 半透明の妖精がクロの言霊を繰り返すように木霊し、その手を斬りつけんとすべく襲い掛かる。クロは機敏に手を放し木から飛び降りると弓を構え、他の猟兵がオブリビオンへと攻撃をしかけた直後に矢を複数本同時に放つ!
「……!」
 正面と側面からの攻撃にヒューレイオンがとった行動は――そのどちらでもない方へと逃げる事。つまり、後ろに飛び退いた。
「よし、どんどん逃げてきなよ!」
 クロは再びロングボウを手に取ると、次の矢を弦に当てがい、敢えて正面から弓矢を放つ事で木々から離れた開けた場所へと華麗に誘導していく。
 魔物は気が付いていなかった。自分がもてあそばれている事に。そして自分が不利となる開けた牧草地帯へと導かれていることに――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サザレ・ヘリオドール
うまく敵が乗ってくれたようです
クロさんに感謝します

では……牧草地帯に出たことに気付いて、敵が引き返す前にジャッジメント・クルセイドで一撃をお見舞いしましょう!
天からの光は、合流を目指す仲間にも目立つでしょうし……集結し、一気に押し切りたいですね

もう……あなたの庭には帰しません
森をあるべき姿に戻すために、ここであなたを滅ぼします!

隙あらばジャッジメント・クルセイドを敵に叩き込み、森に逃げようとするのを阻止し、向かってくるならメイスで気絶攻撃狙い

仲間が敵の注意を引き付けてくれるようなら、全力魔法・誘導弾でジャッジメント・クルセイドを叩き込みだめ押し
さあ、あなたの愛する森の……芽吹きの糧になりなさい


モモイ・ヴァライス
牧草地に誘い出されて来たとな?そりゃいいね。
あのナリだと狼と違って草地に紛れ込むには不向きだからなあ。パーティー帰りかい?その角……。

ということで身をかがめながら相手を伺い、【フォックスファイア】に[全力魔法]とかでもつけて、牧草地を燃やさず敵やトループのたぐいだけ焼きにいこう。そぉらいい具合に燃えてくれたまえ……。

こちらに気づいて向かってくるならフォースセイバーの[二回攻撃]でその脚刈り取ってくれるわ。

「ヒトも自然の一部だからねえ、それを否定するならばまた別の自然の一部からのしっぺ返しもくる。そんなもんさ。世界と折り合いがつかないくせに、世界を先に進められもしないやつは滅ぶものさ。」



弓矢は止んだ……幾秒か後、クロの弓矢の追撃が来なくなった事に疑問を感じ、辺りを見回す森の守護者。そこでようやく自らの状況に気づき、慌てて戻ろうとした瞬間――突如牧草から火球が幾つも飛び出し、ヒューレイオンの角へと着火した!
「いいねぇ。そのナリだと狼と違って草地に紛れ込むには不向きだからなあ……」
 仲間がこの地点に誘導してくれる事を期待し魔力を溜め、牧草の中で身をかがめ待ち伏せしていたモモイ・ヴァライス(日曜日よりの使者・f04217)がゆらりと姿を現し、燃え盛るヒューレイオンの角をニヤつきながら指差す。
「パーティー帰りかい?その角……」
 魔物の角は更に強く燃え盛り、魔物はそれを消そうと頭を大きく振って消そうとするも……既にそれは手遅れ、火はより大きく燃え上がるだけでただ悶え苦しむ。そこに仲間の治療を終えたサザレが歩み寄り、エレメンタルロッドを持った手をオブリビオンへと向け、その人指し指をゆっくりと開く。
「うまく敵が乗ってくれたようです……クロさんには感謝しないと、ですね」
 直後、浄化の光が太陽より収束し、直後、頭を振り有るはずもない木の葉で火を消そうとするオブリビオンへと降り注いた。
 燃え盛ったモモイの火はサザレの浄化の光と合わさり、その火は全身へと広がり、今度こそその皮膚を焦がし、火傷を不可逆な物へと変えていく。
「おーおー、こいつの体ならこれのいい素材になりそうだと思ったけど、これじゃあ無理そうだねえ」
 手に持った長めの棒を操り、モモイは火が牧草地帯へと広がる前に消すと、魔物はどさりと地べたへと倒れ込んだ。
ヒューレイオンは十数秒ほど荒い息を吐き、よろよろと立ち上がると、疲労困憊といった瞳でただ猟兵達を見据え続ける。既にその魔物はモモイとの交戦により自らが不利な地へと降り立ったことを理解していたのだろう。だが、彼の焼け焦げた全身と腹部の傷が、元の森へ戻ろうとする意志を妨げた。それに元より、その森の守護者気取りの魔物に『異物を一人も排除せずに森へ戻る』という考えなどはもはや浮かんでいなかった。だが、万全の状態の彼らを排除する事はもはやかなわない。
 ならばと蹄で前がきを行うと、ヒューレイオンは牧草地の草や自らの葉を全て散らし、作り出した僅かな植物人間達と共にサザレ達の背後――負傷兵達の場所へと全速力で向かい出す。今こそ、猟兵達の全身全霊を以て、その魔物を過去へと還す時!
「もう……あなたの庭には帰しません。森をあるべき姿に戻すために、ここであなたを滅ぼします!」
 サザレは指先を向けること無く、エレメンタルロッドを強く大地に当てると、棒高跳びの原理で高く舞い上がる。ヒューレイオンが驚き突進するのをやめ、空を見上げたその瞬間――サザレのメイスが彼の頭蓋骨へと命中した!
 ヒューレイオンは呻き声をあげると……サザレの顔を口惜しそうな目で睨みつけ――そのままどさりと、目を瞑り地面へと崩れ落ちた。
「はは、もうそいつは終わりだね!」
 モモイはにかっと笑うと、狐火を放ち、力の供給源を失った植物人間達を即座に焼き払っていく。他の猟兵達も妖精や他の植物人間たちを打ち払うと、武器を仕舞い、サザレの元へと駆け寄っていく。
「さあ、早いところトドメを刺してやろうぜ」
 そう猟兵達の一人がサザレを声にかければ、サザレは頷き。落ちていたエレメンタルロッドを手に取ると、体に残った魔力を絞り出した。
「さあ、オブリビオン……あなたの愛する森の……芽吹きの糧になりなさい」
 次の瞬間、太陽は激しく、力強く光り輝き――。
●牧場の一本樹は何も言わない。
「ヒトも自然の一部だからねえ、それを否定するならばまた別の自然の一部からのしっぺ返しもくる。そんなもんさ」
 数分後。その牧場の風景からは魔物も、魔物が生やした森も消え失せ。再び元気な牧草達が羊の餌にされるのを知ってか知らずか天へと伸び続ける。そんないつもの風景へと戻っていた。なぜか猟兵達が焼いた牧草も、周囲のアウラウネ達の残骸も消えていて、そこは一面の緑――猟兵達は知らないが、これが『本来』 の光景なのであろう。ただ一つ――
「世界と折り合いがつかないくせに、世界を先に進められもしないやつは滅ぶものさ、なあ?」
 唐突に現れ、牧場に不釣り合いに残った1本の木に対し、モモイがぺちぺちと手のひらを叩きつける。
「この木はオブリビオンが……? 斬るべきなのでしょうか?」
 首をかしげるサザレに対し、モモイは私はその必要は無いと思うけれどねとクスクスと笑った。
 かくして森の守護者たるオブリビオンは散り、過去へと再び還ったのである……不可思議な置き土産を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『中世のお仕事!(羊飼い編)』

POW   :    威圧感で狼を追い払ったり心を通じ合わせる

SPD   :    狼から羊を守る装置を作ったり素早く羊を避難させる

WIZ   :    羊を守る魔法や狼を追い払う魔法を使う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●羊もふもふ……もふもふ……
「本当にいいのかぁ? 魔物退治して貰ったのに、更に狼用の柵まで作る時間をくれるなんてぇ」
「はい。私達冒険者はその為に来たのですから」
 見事オブリビオンを撃破したサザレ達は、羊飼いへ起こったことの顛末を話す……森を広めていた魔物は滅び森が本来有るべき広さに戻ったこと。怪しい木が残ったがそれからは怪しい魔力は感じ取れないこと。……できれば木は斬らないでいて欲しいという事。
「この木が在り続ける限り……この地にあの魔物は戻ってこない気がするのです」
 牧場主である羊飼いの男はその牧場に残された大きな木をしばらく眺めると……『いい日陰になるかぁ』と呟きながら背中を向け。
「そうかぁ……まあ、そういうことならいいかぁ……それじゃあ冒険者さん……柵作りの間、羊達の相手、よろしくなぁ……狼達も自分の家がもとに戻ったって気づくまで時間かかるだろうしなぁ……」
羊飼いの男は羊達を残すと、ゆっくりとのこぎりを手に、自らの作業小屋へと歩いていくのであった。
 そんなわけで猟兵達よ……戦いの疲れを羊達で癒やしながら狼達を追い払い、何とか冒険者ギルドの依頼を達成して欲しい……もふもふ。
●すみません、もふもふが出てしまいました。
 狼を追い払う役目があると言え、彼らも一度オブリビオンに住処を奪われていた被害者。言葉が通じずとも、ある程度の働きかけをしてやればきっと去ってくれるだろう。
 猟兵達にとって、この羊飼いの仕事代行は絶好の休暇日和でもあった。
クロ・ネコノ
(アンジェリカ(f11144)とセットでお願いします)
いやぁ、あとは柵が出来上がれば終わりだね。(と言いながら地面に横になる)
これは少し休憩するだけで日向ぼっこじゃないよ、うん。(と言い訳しつつも、しばらくすると寝息を立てだす)
(アンジェリカに追い立てられた羊達がクロを踏み潰しながら奥へと走っていく)
「ぐぇっ」
地面にのびながら見上げたらアンジェと目が合ったんだけどどう見ても怒ってるね、やばいね。
「いやほら、オブリビオンとの戦闘では割と頑張ってたし、私達以外にも猟兵さん着てるし、いい天気だし、・・・」
(と言い訳を言いながらアンジェに連れて行かれます)

<ギャグ的なノリの行動です、アドリブ歓迎!>


アンジェリカ・ヘインズビー
(クロ・ネコノさん(f06406)と一緒にして下さい)
オブリビオンは撃退できましたがまだお仕事は終わっていません、最後まで頑張りましょう。
手持ちのウォーハンマーを羊達に当たらない様大きくゆっくりと上に振って羊達を奥のほうに追い立てます。
「こっちは危ないです、向こうに行きなさい」
と羊達を追い立ててる最中にサボっているクロさんを見つけて額に皺を寄せます、
「・・・」
ハンマーを地面に叩き付けて羊達をクロさんの所に走るように追い立てます。
羊に轢かれて地面にのびてるクロさんを氷のような視線で見下ろしながら、
「・・・何してるんですかあなたは」と何かしら言い訳をするクロさんを引きずりながらお仕事に戻ります。


サザレ・ヘリオドール
では、狼さん達にも「森が元に戻った」と早くわかって貰うための魔法を使ってみましょうか
元に戻った森の入り口付近に向かい、エレメンタル・ファンタジアで木属性のそよ風を呼び起こし、牧草地側の茂みや岩山等、狼さんが隠れてそうな場所に風を届けて

風に乗った木の香りで、森の異形が姿を消したことをわかってくれるといいんですが
狼さんは人の何倍も鼻がいいそうですし、わかって貰えるよう願いましょう

狼さんが自分から森に帰ってくれるようなら、追い立てたりせず見送って
さあ、次はひつじさんのお世話と言う名目で……もふもふしましょう!

星宮さん、こひつじさんが母さんひつじからはぐれたようです
一緒に母さんひつじを探しませんか?


メルフローレ・カノン
オブリビオンを退治したので、
本来の仕事である羊の相手をしていましょう。
羊があまり遠くに行くと狼とかに遭遇するかもしれませんから
その辺も気をつけて、真面目に羊の番をしていましょう。

それにしても、羊毛はもふもふしていて気持ちいいですね……
少しくらいなでなでしたりもふもふを楽しんだりしても
バチは当たらないでしょうか
気を抜き過ぎないように気をつけて……
気をつける努力はしますか。

羊飼いさんが柵を作り終わった後
羊をお返しして、お仕事は終わりですね。
皆さんにもお疲れ様でしたと声をかけましょう


ルルティア・サーゲイト
「冒険者、か」
 感傷に浸りながらここに来た当初の目的を思い出す。自分の原点である冒険者に立ち返ると言う事を。
「あれからどれほどの時が立ったのか、妾には分からぬ。数える気も起きん。しかし、こうして冒険者は必要とされておる」
 それがいい事かどうかは分からない。だが、
「妾が必要とされていることは嬉しく思ってよいのじゃろう」
 さて、そろそろ依頼を果たすとするか。斬り捨てても良いが、ここは
「殺さず生かして返した方が理解できる、と言う物じゃろう」
 ただの狼程度、素手で十分。ぶん殴って蹴り飛ばし、力の差を分からせる。問題は狼をおびき寄せる方法だが、
「ま、何とかなるじゃろう」
 まさかのノープランだった。


折原・司
【WIZ】
羊に寄り添いもふもふしながら、襲おうとする狼はジャッジメント・クルセイドで追い払います

たまに狼の見えないところから撃って、【羊に近づけば痛い目に合う】ということを身体で覚えていただこうと思います

「あぁ…羊の毛って、こんなに気持ちいいんですね…」
手近な一匹を抱きしめ、すりすりと顔を埋めて堪能しています


ランディス・ティンバーウルフ
今回はPOW対応で

ガウ!!
アノ、モリ、モウ、ダイジョウブ。
チカイ、ウチ、ドウブツ、モドル。
オイシイ、エモノ、ジキ、モドル!!

現状で、厄介なことをしてくれた山羊の化物を退治したから、森も元に戻って、本来の姿に戻るであろうことから、森が本来の姿に戻ったことを話しておく。
まぁ、現状利かなくても、オオカミたちとは戯れて遊び相手にでもなっておこうとする。

念のため、ゲフェンも呼んでいる。
最終手段はゲフェンに何箇所かマーキングさせて、牧場から引かせるのも手。

ガウ、コレデ、ナントカ、ナル。
ア、オナカスイタ。
ボク、ニク、タベタイ…(羊を見ている)



「ああ……気持ちいいです……」
 メエメエと鳴く羊達の1匹に埋もれ、もふもふする司もまたその一人である。
 すりすり……もふもふ……。羊の暖かい体温と毛は司の学園服ごと包み込み、癒やしパワーを与えていく。司はその幸福感に浸るあまりに思わず表情が緩み。
「あぁ……羊の毛って、こんなに気持ちいいんですね……」
 すりすりすりすりもふもふもふもふ。メルフローレはそんな気が緩みまくっている相方の姿をじっと眺めていた。真面目に羊の番をし、オオカミたちを追い払い戻ってきたら司がこんな見るも無残(?)な姿になっていた事に思わず、メルフローレは動揺し、問いかける。
「も、もふもふしていて気持ちよさそうですね……」
「気持ちいいですよ? ご一緒にどうですか?」
 司の即答、そして勧誘。同じクレリックの勧誘に思わずメルフローレも、心が揺らぐ。
「少しだけ……少しくらいなでなでしたりもふもふを楽しんだりしてもバチは当たらないでしょうか……」
「ええ、当たりませんよ。当たりません」
「当たりませんか、それなら……気を抜きすぎないように気をつけて……」
 少しだけ、少しだけ。恐る恐る転がる羊の横腹に……もふり。
「これは……!」
 包まれる幸福感。羊の匂い、そして暖かさ。不思議と羊達はそれを嫌がることはなかった。
「これは気をつけないといけませんね……気をつける努力はしますか……」
 メルフローレもまた羊の中へと沈んでいった――。
 二人が羊毛に包まれ、見えなくなるほど、盛大にモフっている最中、一匹の狼がその羊達を見つけ、ゆっくりとよだれを垂らしながら迫っていたが――突如、
その毛玉の中から司の指が飛び出すと……ぴしゃり。
「ワオン!?」
 天から放たれた光が突如狼を貫き、狼は恐怖に慄き逃げ出した。

「……おや」
 その姿が視界の隅に入ったのだろう。牧草に横たわり、鼻歌を歌い日向ぼっこを満喫していたクロが顔を転がすと、そこには大地を駆ける複数の狼が。
「オオカミさん達も満喫したいんだね。うん、これは休憩してるだけ。日向ぼっこじゃないよ、うん」
 そう言いながら、猫のような鳴き声をあげながらノビをするクロ。してる、絶対日向ぼっこしてる。
「あの様子じゃ羊を襲うって雰囲気じゃないし、もうちょっと寝てもいいよね、うん、来てから仕事するよ」
 そんなクロとは正反対に狼の姿に危機感を覚えたのはアンジェリカ・ヘインズビー(寡黙でサイボーグなバーバリアン少女・f11144)。アンジェリカはウォーハンマーをゆっくりと振り上げると、それを上下させ、シッシッと羊達を避難させていく。
「こっちは危ないです、向こうに行きなさい」
 羊達はゆっくりと歩き、めえめえと鳴きながら……クロの方へと向かっていった。
「あれれ~? 向こうに行けって言ったのにこっちにきたよ~?」
 眠気で思考が乱れているのか、そんなうわ言をいうクロの声で、アンジェリカは同僚が牧草の中に眠っていることを悟り――。
「――!」
 静かな怒りと共に、ハンマーを大地へと振り下ろした!
「「メェェエエエエエ!?」」
「ぐぇえっ」
 命の危険を感じ、羊達は必死にアンジェリカの方から猛ダッシュで逃げていく、当然。障害物であるクロもお構いなしに、1頭1頭が彼女の体重を超える羊の群れが次々と通過していく。
 当然、羊達が立ち去った後に残ったものは、ハンマーが叩きつけられた大地の跡地と、その近くに羊毛と足跡まみれになり、文字通りゴムのように延びるクロの姿――。
 そして、険しい表情で、クロを見つめるアンジェリカ。
「や、やあ、アンジェ……」
「……何してるんですか、あなたは」
「そ、そうだね……休憩だよ! いやほら、オブリビオンとの戦闘では割と頑張ってたし、私達以外にも猟兵さん着てるし、いい天気だし……それにオオカミさんも逃げてるだけで興味ない感じだったし……」
「……狼、見えてたんですね?」
 静かに凍りついたまま、ハンマーを地面に当て、ゴルフクラブの様に振り上げるアンジェリカ。
「あ、地雷踏んだ――」
 直後、悲鳴を上げ、ゴム毬の様に飛び上がるクロの姿がそこにあった。

 遠く離れた場所、高く跳ね上がるクロの姿を見ながら、考え事に浸るサザレ。
「狼の姿が増えてきましたね……」
 サザレは時折こちらを伺う狼達へ、ユーベルコードにより『本来の森の』香りのそよ風を届け悟らせる事で戦いを避けていた。だが狼達は減るよりも多いペースで現れ続け、それはサザレの前へ大群となって現れる。
「森の異形が姿を消した事をわかってくれるといいんですが……」
「臭いはわかっても、何があったのかまでは理解できないのじゃろぅ……それに」
 ルルティアはサザレの疑問に応えるように後ろから現れ、大鎌を地面へと突き刺す。
「一度『うまい』と知った以上、少々痛い目を見ないとわからんじゃろ……ちとお主にとっては不服な方法じゃろうがの」
「ルルティアさん、何を?」
「『ここは楽には行かない』と言う事を教えるのじゃ。何、いつか集まるとおもっていたからな、この機会を逃すわけには――」
 ルルティアは少し屈伸をすると、空を蹴り、狼達の元へと素手で急接近。
「いかんじゃろ!」
 派手に飛び膝蹴りをぶちかまし、迫る狼に正拳突きをぶちかました!
 キャインキャインと鳴き、一部の狼が逃げ出していく。だが、一部の大きなオスのオオカミたちは、逃げ出した狼達を庇う様に、ルルティアへと襲いかからんと牙を剥き、唸り声を挙げる。
「大人しく逃げだしておれば、手を出さぬというのに……」
 受けて立つと言った表情で、自信満々にルルティアが自らの拳をもう片方の手のひらへと当てた瞬間――。
「ガウ!! トマル!!」
「ぬ……!?」
 そこに割って入ったのは、ランディスの姿。その下には、彼がまたがっている狼の兄弟、ゲフェンも見えた。
「アノ、アオイ、ヤギ、タオシタ! モウ、ココ、コナイ!」
 大狼達はその言葉に何かを感じたのか、一歩、一歩、ルルティアやランディスから下がっていき――止まった。
「ガウ!! アノ、モリ、モウ、ダイジョウブ。チカイ、ウチ、ドウブツ、モドル。オイシイ、エモノ、ジキ、モドル!!」
 両腕を振り、狼達へと呼びかけるランディス。その言葉に感銘を受けたのだろうか、狼達はゆっくりと離れると、振り返り、帰っていく――。
「おお、便利じゃの、狼少年! お陰で手間が省けたのぅ!」
「ランボウ、シナイ!」
 怒るランディス。そんなルルティアに対して、ルルティアは「ま、妾のやり方も間違ってなかったじゃろ」とにかっと笑うのであった。

●羊と狼と牧場と
 羊達と戯れ、狼を追い払い、時には仲直りをして。
 夕刻、日が沈む時間が猟兵達の『仕事納め』の時間であった。
 羊飼いと最後の別れをし、皆が皆不思議と羊毛まみれの姿で。次々と帰還場所である『あの木』があった場所へと集まっていく。
 かつては森の守護者と呼ばれていた、オブリビオンの置き土産の場所へ。
「少し遅くなってしまいましたね……」
「いやいや、お母さん羊が見つかってよかったよー」
 最後に、日没から少し遅れ親子の羊を連れたサザレと亜希がトコトコとやって来た所で、この依頼は完了となる。
「皆さん、お疲れ様でした」
 メルフローレが集まった猟兵達へ、労いの言葉をかける。
「ま、なんとかなってよかったじゃん! さっすが『冒険者さん」!」
 一体何があったのか。土埃まみれのクロが楽しそうに声をかける。
「クロさんもここでは冒険者では……?」
 その言葉に疑問に思いながらも、さきほどまでの快感が忘れられないのか、若干恍惚気味の司。
「オオカミ、マモッタ!」
 同じく何があったのか、若干牧草まみれのランディスが楽しそうに応える。
「冒険者、か……」
 クロの言葉に何か懐かしい響きがあったのか、一人微笑みながらオブリビオンの木を眺め深く考え込むルルティア。冒険者として旅立ち、ルルティアにとってどれだけの時がたったのか。それは彼女自身ですら覚えてはいない。
「冒険者の仕事……大変でしたけれど、羊飼いさんや羊さん達、そして狼さんたちにも犠牲がでなくてよかったです」
 そしてみなさんにも、胸に手を当て、ゆっくりと息を吐くサザレ。彼女達7人を始め、ここに集まった全員が誰一人描けること無く、この地域のオブリビオンの驚異を鎮めることができた。あとは帰って、凱旋をするだけだ。
「……帰りましょう」
 アンジェリカがゆっくりと提案をし、その言葉に皆が頷く。これから先、牧場は別の業者の手によって作られた柵はその敷地の外周によって並べられ、今とは変わった姿になるのだという。
 一体その姿はどういったものなのだろうか。狼との関係はどうなるのだろうか。猟兵達はそんな事を考えながら、結界へと歩き、この世界を一旦去るのであった――。
「……ところで……皆さん……どうしてそんなに羊毛が……」
「羊が気持ちよくて……」
「司さんに誘われて……」
「一仕事が終えたので亜希さんと少々……」
「アンジェのせいだよ……」
「羊に飛びついたランディスを止めておったのじゃが……」
「ニク、タベタカッタ……」
「いやぁ、よく寝ました……」
「…………目的、わすれてませんでしたよね?」

 ……。
 ……まあ、何はともあれ、めでたし、めでたし!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト