#アリスラビリンス
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●巨大キャベツ畑にて
「助けてぇー!」
「逃げろ、こっちだ!」
牛ほどもありそうな巨大なキャベツが実る畑で『愉快な仲間』たちが逃げまどっている。
追いかけているのはこれまたキャベツと同じくらいの大きさがある、巨大な芋虫型のオウガ『グリードキャタピラー』の群れだ。
「それっ、キノコ毒目つぶしをくらえ!」
「バンビキーック!」
愉快な仲間たちは逃げるばかりでなく、それぞれの個性を生かしたユーベルコードを生かして反撃しているが、何せ敵は大軍勢、彼らの力だけで倒しきれるものではない。
グリードキャタピラーたちは、キャベツ畑を荒らしながら、
『そこの子鹿はキャベツと煮込んでポトフにしてしまえ』
『キノコも入れてしまおうぜ』
『その3匹の豚はロールキャベツがいいんじゃないか』
愉快な仲間たちをどんどん追い詰めていく。
どうやらこのオウガ一味は、愉快な仲間たちと畑のキャベツを食材とし、キャベツ料理を作るつもりのようだ。
『主様がいらっしゃるまでに、キャベツ料理をたくさん作っておくのだ』
『主様はキャベツがことのほかお好きだからな!』
●グリモアベースにて
「これまで平和だった不思議の国にも、とうとうオウガの侵略の手が伸びてきてしまったようでね」
集った猟兵たちを、ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)は険しい目で見回した。
「アリスラビリンスの巨大野菜の国で、キャベツ畑を侵略しようとしているオウガ一味を撃退してほしいんだよ」
オウガ一味はキャベツ畑を手始めに巨大野菜の国を侵略し、愉快な仲間たちを狩り、野菜と共に食材として料理してしまおうとしているのだ。
「愉快な仲間たちも、愉快なユーベルコードで、一生懸命にグリードキャタピラーと戦ってる。けどね、彼らの力じゃ押し戻しきれなくてね」
愉快な仲間たちと、グリードキャタピラーとの力は互角だが、何せ数が多いので押し戻すところまではいかないのだ。
「手下であるグリードキャタピラーをどんどん倒していけば、ボスも出張ってくるだろうと思うんだ」
グリードキャタピラーの軍勢と激突し、猟兵の力でボスに至る活路を切り開け、ということだ。
「ボスが出現したら、グリードキャタピラーの方は、愉快な仲間たちに任せて、あんたらはボスを倒すことに集中しておくれ」
愉快な仲間たちは、加勢にきてくれた猟兵たちに感謝し、一生懸命に戦ってくれるはずだ。
「平和に暮らしている国を侵略し、野菜畑を蹂躙するオウガ一味なんて、断じて許しておけないね! さあ、あんたたち、頑張っとくれよ!」
ヤーリは気合い漲る表情で、掌の上のピーマンを緑に光らせはじめた。
小鳥遊ちどり
猟兵の皆様、ごきげんよう。
メルヘンな新ワールドで、メルヘンな住人たちとの、巨大キャベツ畑での戦いはいかがでしょうか。
●シナリオの目的
キャベツ畑に侵攻してきたオウガ一味の撃破。
●シナリオの構成
1章:グリードキャタピラーの大軍勢との集団戦(愉快な仲間たちとの共闘)
2章:ボス戦(愉快な仲間たちがグリードキャタピラーの足止めをしてくれますので、猟兵はボスに集中できます)
3章:愉快な仲間たちとのお茶会(日常)
●1章の目的
グリードキャタピラーの群を蹴散らして、ボスを引きずり出す。
●敵戦力
・グリードキャタピラーは、個々は弱いです。猟兵なら一対一で容易く倒せますし、愉快な仲間でも2,3人でかかれば倒せる程度です。ですが、とにかく数が多いです。
・ボスは現時点ではまだ謎です。
●『愉快な仲間』について
このシナリオでは童話的な、且つ、食材になりやすそうなキャラが多く出てくる予定です。
こんなキャラと一緒に戦いたいな、とか、こんなユーベルコード使ってほしいな、というアイディアがありましたらお書き添えください。
ではでは、楽しいプレイングお待ちしております!
第1章 集団戦
『グリードキャタピラー』
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POW : キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
自動・販売機
ーー自動販売機である。
何故これがこのようなメルヒェンな世界に現れたのか分からない。
だが猟兵としての機能がそうさせたのは想像に難くない。
「お金を入れて下さい」
果たしてこの世界に金銭という概念はあるのかどうか謎ではある。しかしこの存在にとって価値取引というのは重要な要素ではあるのだろう。
ともかくこの自動販売機との財産の取引が成立すれば、戦闘モードに変化し無銭飲食を図る青虫を迎撃するだろう。
火砲を展開し、迫るオウガの頭部を正確に撃ち抜いていく。愉快な仲間たちではないこのマシンは独自のシステムによった価値基準で動く。
もしかしたら、何かを必要とする者の前に現れる傾向があるのかも知れない。
巨大キャベツ畑で逃げ惑う、童話のキャラクターのような『愉快な仲間』たち。それを追う巨大虫の群……。
とてもメルヒェンなこの世界に、忽然と現れたのは――自動販売機であった。
この自動販売機、実は猟兵である。名は自動・販売機(何の変哲もないただの自動販売機・f14256)、23歳だそうである。
何故販売機がこのメルヒェンな世界に現れたのか分からない。だが猟兵としての機能がそうさせたのだろうというのは想像に難くない。もしかしたら、何かを必要とする者の前に現れる傾向があるのかもしれない。
「え、何、このひと……?」
芋虫から逃げてきた愉快なおむすび3兄弟が、彼に目を留めた。上から、梅、鮭、ツナマヨである。
「この世界の人じゃなさそうだけど」
「でも、どこかで見たことあるよね?」
販売機を囲んで珍しげにながめるおむすび三兄弟に、
「お金を入れて下さい」
無機質な声が要求した。
果たしてこの世界に金銭という概念はあるのかどうか。しかし販売機という存在において、価値取引というのは重要な要素であることは間違い無い。
「お金? お金入れると、何かしてくれるの?」
梅おにぎりの問いに答え、自動販売機のボティの胸のあたりが光り『戦闘サービスプランを起動してください』と点滅した。
「えっ、戦闘できるんだ」
「僕らの味方をしてくれるってこと?」
「お金払えばってことは、そういうことなんじゃない?」
「お兄ちゃん、お金持ってる?」
さすがおにぎりだけに(?)三兄弟には貨幣概念が存在しているようで、3人分の小銭を急いで集めると、じゃらじゃらと自動販売機のコイン投入口に入れた。
「このくらいの料金だと、どのくらい戦ってくれるのかな?」
三兄弟が固唾を呑んで、ガシャガシャとコインを呑み込む販売機を見守っていると、
『こんなとこにもいやがったな~!』
ずおおおっ、とキャベツ越しに3体のグリードキャタピラーが、彼らを見下ろしていた。
「しまった、見つかった!」
『おにぎりはキャベツにいまひとつ合わんなあ』
『腹も減ってきたし、この場で弁当にしちまおうぜ』
『それがいい。いただきだぜ~』
無数の歯の生えた大口がおにぎり三兄弟に迫る……!
その時。
「取引契約に基づき行動を開始します。無銭飲食は許しません」
ドウッ、ドウッ、ドウッ!
火を吹いたのは、お金の投入によりユーベルコードが発動され、戦闘モードに変化した自動販売機の火砲であった。砲弾は敵の頭部を正確に撃ち抜き、芋虫はくたくたと崩れ落ちた。
「わあっ、すごい!」
「ありがとう、君、強いんだね!!」
おにぎり三兄弟は大喜びで販売機を取り囲んだ。
「ねえ、僕らも必殺技『おむすびころりん』で、芋虫と戦うから、君も一緒に戦ってくれる?」
ツナマヨの問いに、販売機は相変わらずの無機質な声で、しかし真摯に答える。
「取引契約中でしたら」
『愉快な仲間』ではない彼は、独自のシステムによった価値基準で動くが、とてもたよりになる仲間なのは間違い無いようだ。
成功
🔵🔵🔴
黒鵺・瑞樹
キャベツ料理か。
個人的に出汁で煮て卵とじしたやつ好きだな。
ま、戯言はこのぐらいにして。
今回は乱戦つーか正面切って戦うことになりそうだし、いまいち俺の技能使いにくいかもな。
メイン武器は「胡」を右手に、左手はいつでも自分自身「黒鵺」を抜けるようあけておく。
相手の隙を狙えるようであれば【目立たない】ように移動して【暗殺】の【剣刃一閃】を叩き込みたい。
しかし危ない状況の愉快な仲間がいるのであれば【かばう】【おびき寄せ】で自分に引き付ける。
その時は複数で当たるように伝えておく。
【第六感】【見切り】で相手の攻撃を回避、可能なら黒鵺で【カウンター】を叩き込む。
アリスラビリンス、今日は気分転換になればいいな。
「キャベツ料理か」
黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)は、見渡す限りの広大なキャベツ畑を見回した。キャベツは一人では抱えきれないほど巨大だが、その葉は意外に柔らかくて美味しそうだ。
「個人的には、出汁で煮て卵とじしたやつ好きだな」
キャベツは用途が多く栄養価も高いし、旬ならばコスパもよいし、なかなか偉い野菜である。
「ま、戯言はこのぐらいにして……と」
瑞樹は戦場を見回した。まずは『愉快な仲間』たちを助けて、グリードキャタピラーの数を減らさねばならない。
「む……あそこが危ない」
打刀・胡を右手に瑞樹は駆けだした。少し離れたキャベツの陰で、黒雌鳥が1匹の芋虫に追いつめられようとしているのを見いだしたのだ。しかも雌鳥は3羽の雛を庇っている……!
「今回は乱戦気味で、いまいち俺の技能使いにくいかもしれないけど……」
それでも最短距離を心がけながらも、芋虫の隙を狙えるように身を屈め、キャベツに隠れながら目立たないよう接近していく。
『へっへっへっ、鶏肉とキャベツなら色々作れるなぁ。しかも若鶏のおまけもついてる』
芋虫はいやらしく体をくねらせながら鶏の母子を見下ろしたが、雌鳥はキッと敵を睨みつけ、
「なめんじゃないわよ、黒い雌鳥は悪魔の使いとも、金を産むとも言われてんだよ!」
肝っ玉母さんらしく啖呵を切り、芋虫の方にぷりっとお尻を向けた。
「金の卵を喰らうといいよ!」
母鶏のお尻からぽんっと産み出された金の卵が、
『ぎゃっ』
見事に芋虫の眉間に命中した。
「ナイス!」
芋虫が卵攻撃にのけぞっている間に、瑞樹は敵の背後のキャベツによじ登り、開けておいた左手に愛用のナイフ・黒鵺をも抜いた。
『いてえな、なにしがやる、生意気なアマめ!』
芋虫は卵攻撃で一瞬ひるんだが、瑞樹には気づかないまま無数の足を蠢かせ、しかも脱皮して身を軽くしての突進で、鶏母子に襲いかかっていこうとする。
だがすかさず、
「鶏のお母さん! ひとりで戦おうとしちゃ駄目だ、みんなで力を合わせて倒そう!」
瑞樹は敵の注意を引きつけようと、大声で呼びかけた。
すわ、新手かと芋虫は振り返ったが、その時にはもう、
「剣刃一閃!」
完全に瑞樹の間合いに入っていた。鋭く振り下ろされた刃が、スッパリと芋虫の首を斬り落とす。
見事に敵を倒し、キャベツから降り立った瑞樹に、鶏母子が揃って礼をいう。
母鶏の足下でぴよぴよするひよこたちのかわいらしさに瑞樹は相好を崩し、
「アリスラビリンス、楽しそうな世界だな……早く決着をつけて、お茶にしたいな。気分転換になればいいなあ」
成功
🔵🔵🔴
月・影勝
腹ペコの青虫の団体さまとは、壮観じゃな…
大口を開けて迫り、今にも噛み付いてきそうじゃ。
しかし青虫殿、噛み付く前に暫し待たれよ!
かつておった徳の高き兎が、自ら火に飛び込み我が身を差し出す事で…月の永住権を入手したという話を知っておるか?
儂はいつか火に飛び込み、月に行ってみたいと思っておってな
何より…既に焼けてる肉であればお主らも調理が楽じゃろう?
と、いうことで【火産霊燧石】で火をおこす…と見せかけ、こっそり青虫にUCで火花を散らし着火のおすそ分けじゃ
不思議とこの炎は付いてることに気が付かんからのう…よく燃えるじゃろう。
ん、パチパチ音がする?それはあれじゃ、キャベツ畑名物パチパチ鳥の鳴き声じゃな!
キャベツ畑の真ん中で、6頭のタヌキ型『愉快な仲間』の一群が、5匹ほどのグリードキャタピラーとにらみ合っていた。
『キャベツと煮込んで狸汁にしてくれるわ!』
「へんっ、虫ケラこそ俺たちの餌じゃねーか!」
双方攻撃のタイミングを窺っている状態だが、数からすると芋虫の方が優勢であろう……と、そこに。
「腹ペコの青虫の団体さまとは、壮観じゃな。大口を開けて迫り、今にも噛み付いてきそうじゃ」
悠々と、お年寄りめいた口調で割って入った和装の時計ウサギがいた。月・影勝(かちかち山の玉兎・f19391)である。
「しかし青虫殿、噛み付く前に暫し待たれよ! タヌキ殿も旨いじゃろうが下処理に手間がかかる分、ウサギの方が食べやすかろ?」
しかもあろうことか、自分おいしいよアピールをしはじめた。
「まあきいておくれ。かつておった徳の高き兎が、自ら火に飛び込み我が身を差し出す事で、月の永住権を入手したという話を知っておるか?」
仏教説話にあるのだ。
「儂もいつか火に飛び込み、月に行ってみたいと思っておってな……そなたらも、既に焼けてる肉であればお主らも調理が楽じゃろう?」
なにいってるんだこのウサギ、と両軍呆然としている前で、
「えっ!?」
『わっ、マジで自分を燃やすつもりかこのウサギ?』
影勝は火打ち石を取り出して、カッ、カッと火花を散らし始めた。
しかし実はこの火打ち石【火産霊燧石】という武器である。火花は芋虫へと飛んでいっているのだ。しかもユーベルコードと組み合わせることにより、燃やされている本人がなかなか気が付かないときている。
なるほど芋虫たちは着火されてることに気づかず、
『へっ、火花ばっかり景気よくとんで、火がつかねーじゃねーか』
『ん? なんかパチパチ音がするぞ』
影勝はすっとぼけて、
「それはあれじゃ、キャベツ畑名物パチパチ鳥の鳴き声じゃな!」
『パチパチ鳥? なんじゃそりゃ……って』
『うわわうわわ、あっちーーー!』
『いつのまにか焦げてるぞ!』
芋虫は見えない炎にいよいよ本格的に燃やされだした。
「ほっほっほっ、貴様の罪を炎で洗うがよい!」
影勝は高笑いし、タヌキたちも勢いづく。
「よし、ウサギさんの炎が燃えてるうちに、俺たちも攻撃だ!」
「いっくぞー! 食らえ、必殺腹鼓!!」
ポンポコポンポコポンポコポンポコ……!
タヌキたちが揃って叩く腹鼓の音波が、燃える芋虫たちに次々とトドメを刺していく。
影勝も手を叩いて大喜び。
「いいぞいいぞ、なんとも景気のよい攻撃じゃなあ!」
大成功
🔵🔵🔵
ウルフシャ・オーゲツ
これ絶対ボスじゃのうてお主がキャベツ好きなだけじゃろうキャタピラー君。
しかし、キャベツにはきっとこういう害虫から身を守ってくれる益虫を召喚できる技を持つものがいるはず!
「巨大雀蜂、これは、強烈じゃな」
芋虫の天敵と言えばこいつじゃが、敵には回したくないのう。
さて、雀蜂さんに仲間じゃということをアピールするためにもうちも張り切るとしよう!
助けた人から分けてもろうたキャベツを糧にパワーアップ!
さぁいくぞ、うちの二本の箸ですべて平らげてくれようぞ!
えっ、雀蜂さん芋虫食べたい?
そっかー、おいしいよねこいつら。
仕方ないから差し上げるのじゃ。
「これ絶対ボスじゃのうて、お主がキャベツ好きなだけじゃろう……キャタピラー君」
ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)は、巨大キャベツの陰にしゃがみ、グリードキャタピラーの群がキャベツ畑を蹂躙する様を観察していた。
ただ隠れて観察しているわけではない。彼女は待っているのである。芋虫に対抗できる、頼もしい助っ人を。
その助っ人とは……。
「……お、きたきた」
ウルフシャは助っ人たちがキャベツの間をこちらにやってくるのを見つけた。
「こんな時じゃなけりゃ、お前の頼みなんぞきくもんかね」
「へっ、俺は別に頼んでなんかいないぜ。この世界の一大事だっていうのに、隠れてるだけでいいのか、って言っただけだろ?」
言い争いながらやってくるのは、一頭の立派な熊と、雀蜂の群であった。
現場に到着したウルフシャはまず芋虫と戦っていた熊に加勢して親しくなった。そして熊に、熊の永遠のライバル・雀蜂を挑発するなりなんなりして参戦させるように頼んだのである。
「おお、やはり大きいのう。巨大雀蜂、これは、強烈じゃな。よく来てくれたのう。雀蜂は芋虫の天敵じゃろ? うちの敵には回したくないぞ」
ウルフシャは雀蜂たちの到着に喜び、礼を言った。しかし雀蜂は、
「で……でけえ芋虫だな」
「いくら天敵ったってこの大きさ、あたいらで倒せる?」
芋虫の大きさにビビリ気味である。
この世界の雀蜂は当然大きくて人間ぽい手足が生えてたりするが、それでも鳩ほどの大きさだ。巨大芋虫に対抗できるだろうか……?
「任せておくのじゃ! うちも共に戦うのじゃ」
ウルフシャはシャキーンと二本の箸を取り出すと、熊に予めわけてもらっていた巨大キャベツをもりもりと食べ始めた。ちゃっかりマヨネーズやドレッシングなど用意してきたので、飽きずに美味しくいただける。
あっという間に半玉ほどもたいらげると、
「キャベツを糧にパワーアップ!」
ユーベルコード【カロリック・バーニング】を発動した。
「燃えろ燃えろ~!」
今食べたキャベツや、腹回りのぷるんぷるんが体内でどんどん燃えて、ウルフシャを強化していく。シェイプアップにもなるらしい。
「燃えてきたんじゃ! ウチのなんかすごい一撃をくーらえーい!」
身体から湯気が上がるほどパワーアップしたウルフシャは、隠れていたキャベツの陰を飛び出すと、視認できる範囲にいた芋虫5体ほどを、次々と殴り、蹴り倒した。
「さあ、雀蜂さんたち、今じゃ! 得意の集団攻撃で殺るのじゃ!」
「おお、これなら!」
「みんないくぞー!」
ブウウウウーーーーーーンーーーーーンンンン……。
雀蜂の群は猛烈な羽音を立て、ウルフシャに倒されて目を回している芋虫に襲いかかる。雌は鋭い針を刺して毒を注入し、雄が丈夫な顎で齧り付く。
「ふふふふふ、戦略通りじゃ」
芋虫は集団攻撃に次第に弱って動けなくなっていき、雀蜂たちにも段々余裕がでてきたようで、
「おい、この芋虫、喰ってもいいのか?」
「えっ、雀蜂さん芋虫食べたい? そっかー、おいしいよねこいつら。仕方ないから差し上げるのじゃ」
仕方ないからって……ウルフシャも食べるつもりだったのだろうか……。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
キャベツは食卓にかかせない
まつりん(双子の兄)にも一玉位一気に食べさせてあげ……(牛並みの大きなキャベツ見た)
食べさせてあげたい野菜(こくん)
ここの皆もキャベツも守る
カエルさん達いる?
後ろから歌って応援お願い
その歌を聞くだけで皆に力がみなぎる(こく)
蜂蜜を守るミツバチのおねえさん達、皆で刺しちゃえ
蜂は青虫の天敵だから、キャタピラーも苦手かも
わたしも負けずに【鎌鼬】
突進はうさみみメイドさん(30cm程の人形)、怪力で受け止めてぶん投げて
キャベツさん、起きてる?
皆がピンチ
ごろんしてキャタピラーに体当たり
食べられそうになればキャベツさん達に灯る陽光のオーラ飛ばして防御する
……カエルさん、音外れてる
木元・祭莉
でっかいキャベツに、でっかいあおむし!
それ、害虫だよね、退治退治!!
愉快な仲間を募集しまーす♪
おいら狼だから……あ、赤ずきん被った羊さんだー!
得意技はなんですかー……へ、ちくちくウールで密着する!?
そこのネコミミつけた白兎さんも、一緒にどうー?
あー、ネコミミがくるくる回って……ドリルミサイル!? なんでー??
えっと、キミは……キレイなみどりいろ、だけど……
ゆーぐれな? 戦えるの? え、ボクをお食べって、食べられるのー!?
というわけでー、害虫軍団をやっつけにいこー!
おいら? おいらはねー。
昨日の敵は今日の友!
出でよ、メカたまこ!(40体がコケコケコケ)
行けー、今回はキャベ…青虫食べ放題だぞー!!
「キャベツは食卓にかかせない」
木元・杏(微睡み兎・f16565)は、優れた野菜であるキャベツを守ろうと、張り切って戦場へと乗り込んできた。
双子の兄にも一玉位一気に食べさせてあげたいものだ……と、いざ巨大キャベツを目の前にした杏は、そっと目を逸らし、
「うん、まつりんにも食べさせてあげたい野菜」
こくん、と気まずげに頷いた。
まあ牛大のキャベツをひとり1玉はさすがに大変だろう……それはおいといて。
「ここの皆もキャベツも守る」
と、改めて決意を固めたところに、
「おーい、杏!」
元気に駆け寄ってきたのは。噂の双子の兄、木元・祭莉(木元村のヒマワリわんこ☆・f16554)である。
「今ちょっと見てきたけど、でっかいキャベツに、でっかいあおむし! 完全に害虫だよね、退治退治!! がんばろー!」
ふたりはまず、一緒に戦ってくれる『愉快な仲間』たちを集めることにした。
まず杏は、
「カエルさん達、後ろから歌って応援お願い」
呑み込むには大きすぎる芋虫を前にあたふたしているカエルたちに声をかけ、次に、
「蜂蜜を守るミツバチのおねえさん達、皆で刺しちゃえ。蜂は青虫の天敵だから、キャタピラーも苦手かも」
巣を死守していたミツバチの一隊を借り受ける。
祭莉はというと、
「愉快な仲間を募集しまーす♪ みんなで害虫退治しよー! おいら狼だから……あ、赤ずきん被った羊さんだー! そこのネコミミつけた白兎さんも、一緒にどうー?」
可愛らしくも頼りになりそうな『愉快な仲間』をどんとん誘っていく。
そんな中で出会ったのは。
「えっと、キミは……キレイなみどりいろ、だけど……」
透明感のある緑色の楕円形のぷりっとしたボディで、頭がどこかもわかりにくいような『愉快な仲間』であった。
「ボク、ユーグレナ」
「ゆーぐれな? 戦えるの?」
「ボクをお食べ」
「え、キミ食べられるのー!?」
「こう見えて身体にいいんだよー?」
さあいよいよ戦いだ。
杏のお供はカエルにミツバチ、祭莉は羊にうさぎにユーグレナと、至って牧歌的な顔ぶれだが、堂々と5体のグリードキャタピラーと対峙した。
そののどかさを芋虫たちは嘲笑う。
『食材が団体さんできてくれたぜぇ』
『各種食肉にハチミツに、ミドリムシまで揃ってるとはご親切に』
杏がサッと手を挙げた。
「カエルさん、歌お願い」
ケロケログアッグアッコロコロと、カエルたちが一斉に鳴き出す。応援の歌に力が漲ってくるようだ。
こく、と頷いた杏はもう一度手を挙げた。
ブウウウウーーーーーーンーーーーーンンンン……。
ミツバチ隊が飛び出し、
「キャベツさんたちもお願い」
杏のオーラに包まれて、目覚め守られた巨大キャベツがごろんごろんと転がりだし、芋虫に体当たりする。
『うひゃっ、キャベツって動けたのか!?』
意表をついた攻撃に芋虫たちが陣容を崩したのを見て、祭莉はユーベルコード【守護神降臨】を発動する。
「昨日の敵は今日の友! 出でよ、メカたまこ! 毎日が修業っ!」
召喚された40羽ものニワトリ型ロボが、ミツバチと息を合わせて芋虫に飛びかかっていく。
「行けー、今回はキャベ……青虫食べ放題だぞー!!」
コケーコケコケコケコケ……!
ニワトリロボは芋虫に群がり、情け容赦なくつつきまくる。
『ぎゃあ、いてえ、いててて!』
『穴があくぅ~!』
「今だ、羊さん、ウサギさん! そしてユーグレナさん!」
ぴゅるんとユーグレナが飛び出し、芋虫の目に貼り付いて視界を塞ぐ。
『見えない、見えないいぃ~』
芋虫は何とか引き剥がそうと暴れるが、ユーグレナはぴたっと貼り付いて剥がれない。そこへ羊がウールの身体で密着!
「ちくちく攻撃だー!」
嫌がらせ感満載の連続攻撃にケリをつけたのは、ネコミミの白ウサギであった。
「いっくぞー!」
頭上の可愛らしいネコミミがくるくるっと高速回転したと思ったら、
チュドーン!
ドリルミサイルとなって発射!
「わあ、すごい!」
驚く祭莉の目の前で、ネコミミミサイルは芋虫の胴体に大穴を空けた。
兄と愉快な仲間たちの活躍でどんどん敵が弱っていく中、
「わたしも負けない……キャベツさんもお願い」
杏も満を持してユーベルコード【鎌鼬】を発動した。
「たあっ」
まずは30センチほどのうさみみメイドさんの人形を、先頭の芋虫に突進させる。
『うわっ』
眉間に当たったうさみみにひるんだところに、ごろんとキャベツが転がり込んで踏みつぶす。潰れた芋虫からは何だかキモチワルイ汁が滲み出てきたが、杏はひるむことなくその死骸を軽やかに越え、
「逃げないで?」
うさ印の護身刀で、奥の一体の首に一撃、返す刀ですぐ隣に転がっていた、仲間にやられて瀕死の敵にも引導を渡す。
3体の芋虫を鮮やかな手並みで屠った杏が、さあ次は、と鋭い視線を振り向けると、残りの2体も兄と愉快な仲間たちの活躍ですでに倒されていた。
いいぞいいぞ、とカエルもますます高らかに鳴いている。
「……カエルさん、興奮しすぎで音外れてる……ま、いっか」
――と、杏が肩をすくめた時。
『待ちくたびれたニャ~~! キャベツ料理はまだかニャ~~!!』
耳を覆いたくなるようなダミ声がキャベツ畑に響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『チェシャ猫』
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POW : キャット・マッドネス
【殺戮形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : チェシャ・スクラッチ
【素早く飛び掛かり、鋭い爪での掻き毟り攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ストレンジ・スマイル
【ニヤニヤ笑い】を向けた対象に、【精神を蝕む笑い声】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●2章
現れたのは、ニヤニヤ笑いを顔中に浮かべた、全然可愛くない巨大猫であった。身長が5メートルほどもあるので、ますます可愛くない。
『お前らが遅いから、腹ぺこニャー!』
『す、すいませんボス!』
などと猫が残った芋虫たちを叱りつけている間に、猟兵と愉快な仲間たちは、手早く戦術を立てる。
「ボス猫は強そうだから、あたしら猟兵が集中して倒すよ」
「わかった、俺たち愉快な仲間は、グリードキャタピラーを何とか食い止めておくぜ」
手強そうなボス猫は猟兵が、大分数を減らしたグリードキャタピラーは愉快な仲間たちが担当することになった。
さあ、楽しいお茶会までもうひといき。キャベツ畑からオウガを撃退しよう!
●2章補足
グリードキャタピラーの方は愉快な仲間にお任せで大丈夫ですので、チェシャ猫退治に集中してください。
チェシャ猫は芋虫と違って普通に強いですのでご注意を。
黒鵺・瑞樹
共闘・アドリブ可
仮にも猫ならもうちょっと猫っぽい造形して欲しかったな。
猫はそんなにあばらが浮いてない。
…もしかして、嫌もしかしてなくても飢えてる?
ここは確実に倒すためにも真の姿解放して。
とは言ってもまだ十分に御しきれてないから、見た目は瞳の色が金色に変わるだけだが。
本体で【暗殺】のシーブズ・ギャンビットで攻撃。
【傷口をえぐり】ダメージを確実に与える。
敵の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避できたならその隙に攻撃を仕掛ける。
回避しきれないなら胡で【盾受け】。
何も宿っていないとはいえ、今後も頼りたいし折れても困るので実際は受け流すようにする。
「仮にも猫ならもうちょっと猫っぽい造形であってほしかったな……」
黒鵺・瑞樹はやっと出てきた親玉を、とっても嫌そうに見やった。
先ほどまで共闘していた黒雌鳥の親子がとても可愛らしかったので、落差もひとしおだ。
「猫はそんなにあばらが浮いてないよ……もしかして、いや、もしかしてなくても飢えてる?」
確かに一ヶ月くらいくらいロクに食べていないようなあばらの浮きっぷりである。
『アタシが来たからには、キャベツも愉快な仲間も、あっという間に一網打尽ニャ~! みんなまとめて食べてくれるニャー!!』
手下のグリードキャタピラーへの説教が終わったらしく、チェシャ猫は舌なめずりして巨大キャベツ畑を進軍してくる
「そうはいくか!」
瑞樹はチェシャ猫の進もうとしているルートを予想しながら、巨大キャベツの間に身を隠して近づいていく。
「ここは確実に倒すためにも……」
真の力を解放し、瞳の色を金に変化させた。とはいえまだ彼は自らの秘めた力を制御しきれていないので、ほんの一部ではあるが。
巨大キャベツは芋虫に食い荒らされたり、戦いに巻き込まれたりして、傷が入ったり、つぶれてしまったものがいくつもある。瑞樹はそれらのキャベツから、
「1枚もらうね」
はがれかけていた外側の大きな葉を拝借した。
チェシャ猫が攻撃の間合いに入ったところで、
「シーブズ・ギャンビット」
呟くようにユーベルコードを発動し、上着を一枚脱いで身を軽くした。手には自らの本体でもある黒鵺が鋭く光る。
暗殺者の忍びやかさでキャベツの大きな葉に身を隠し、一気に距離を詰める。
『ニャッ!?』
気配に気づいてチェシャ猫が振り向き、いやらしいニヤニヤ笑いを向けたが、もう瑞樹はすぐそこにいる。
「せいっ!」
瑞樹はキャベツの葉を敵の顔に投げて回避し、足下に滑り込む。筋張った脚に黒光りする刃が深々と突き立ち、
『ギャッ!』
チェシャ猫は巨体を支えきれず膝をついた。
大成功
🔵🔵🔵
月・影勝
向こうは狸の衆にまかせておけそうじゃな。
では儂は黒幕の相手を…
…無理無理!5mとかでっかすぎじゃろう!?
儂が悪かったー!と、ダッシュしたりキャベツの影に隠れたりしつつ、平謝りしながら逃げ回り
そして落ち着いたら詫びとして月の兎の餅を振る舞おう、と持ちかけようぞ。
餅を知らぬとも、食えばほっぺたが落ちるほどのものと言えば食いついてくるのではないのかのう?
では今直ぐ月の民が杵と臼を持参し披露するが故、そこで待たれよ
そう、そこじゃ…そこから一歩も動いてはならぬぞ
なにせ月から送られてくる竪杵は一寸の狂いなく、そこに着弾するのだから。
到着したら反撃じゃ、でっかい竪杵で衝いて衝いて猫餅にしてくれようぞ!
「向こうは狸の衆にまかせておけそうじゃな。では儂は黒幕の相手を……」
共に戦っていたタヌキたちが、張り切ってグリードキャタピラーの足止めに向かったのを見て、月・影勝はおもむろにボスであるチェシャ猫の方に向き直った……のはいいが。
「……無理無理!5mとかでっかすぎじゃろう!?」
敵の巨大さと、猫とは思えぬ悪相にビビりまくり。5メートルもあるのだから、猫というより、もはや怪獣だし。
「儂が悪かったー!」
なにせウサギなので、肉食獣からは反射的に逃げ出したくなるのだ。
影勝はとりあえずキャベツの影に隠れながら、ダッシュかまして凶悪巨大猫から遠ざかった。
一旦逃げて距離を取り、少し落ち着いた影勝は、ぴょこっとキャベツの間から顔を出して改めて敵を観察した。ちょうど仲間の猟兵がチェシャ猫に果敢に攻撃を繰り出していた。仲間の刃は敵の脚を見事に抉り、膝をつかせている。
「む、巨大なだけで、やってやれぬ敵ではないか」
自分ができる作戦はないかと素早く思案を巡らせる。
「よし」
躊躇っている暇はない。振り向けば『愉快な仲間』たちが勇敢に芋虫と戦っている。
影勝は勇躍、いてててと脚をさすっているチェシャ猫の目の前に躍り出た。
「お主、腹ぺこなんじゃろう? 月の兎の餅を振る舞おう!」
『餅? 餅はいいニャー。旨いニャー!』
ウサギが月の餅を振る舞おうというのだ、がっついた猫が食いつかないわけがない。
「では今直ぐ月の民が杵と臼を持参し披露するが故、そこで待たれよ」
『待たせるのかニャ!?』
「直ぐ、すぐじゃからちょっと待て。そう、そこじゃ……そこから一歩も動いてはならぬぞ」
『早くするニャ!』
「おお、始めるぞ、これぞ世に言う玉兎の餅つき、一瞬たりとも見逃しちゃダメじゃぞ!」
影勝が空を仰いで発動したユーベルコードは【兎の餅つき、とくとご覧あれ】。
『ニャ? なんか落ちてくるニャ?』
つられて空を見上げたチェシャ猫めがけて、何かが一直線に落ちてくる。その何かはみるみる大きくなりーー。
ドーーーーン……!
『ギニャーーーー!』
巨大な竪杵が、狙い違うことなくチェシャ猫を押しつぶした。
「わははは、でっかい竪杵で衝いて衝いて猫餅にしてくれようぞ!」
成功
🔵🔵🔴
自動・販売機
…契約は続いているらしい
新たに現れたオブリビオンに対し、自動販売機は先程の芋虫と同じように砲撃を再開する。
いつもの設置されている状態とは違い、ホバーのように水平に移動しながら的確に偏差射撃をしていく
それは自動販売機がその名前通りの性質と形状を持っていたとしても、その本質がウォーマシンで有ることを示している。そして今要求されているサービスはそれである
自動販売機は顧客である愉快な仲間たちとは反対側からの砲撃を続けており、射程も絞っている。それは必要以上の損害を出させない為と、意識をこちらに向けさせるためなのだろう
機械である自動販売機は笑い猫の声など通じない。それを機会と容赦なく光線を撃ち込んだ
ボスとの戦いに入っても、自動・販売機の戦闘サービスプランは継続していた。
契約主であるおにぎり三兄弟は、彼に、
「ボスは頼んだよ!」
と言い残して芋虫との戦いへと再び身を投じていった。
ならば販売機としては、おにぎり三兄弟を含む『愉快な仲間』たちにこれ以上の損害を与えぬよう動かねばなるまい。今彼に要求されているサービスはそれである。
『よくもやったニャ……』
猟兵仲間の召還した巨大竪杵に危うく猫餅にされかけたチェシャ猫は、怒りで真っ赤に目を血走らせ、巨大キャベツの間に見え隠れする猟兵たちを睥睨した。
『ちょろちょろしても無駄ニャ! ストレンジ・スマイルニャー!!』
ニャーーッハッハッハッハッ……!
チェシャ猫の笑いに中てられ、猟兵たちの動きが鈍る。しかし販売機はそれを機会と容赦なく光線銃を撃ち込んでいく。
『ニャッ? お前はなぜ効かないニャ!?』
それは彼が機械だから。
いつもは当然ながらあるべき場所に設置されている販売機だが、今はホバーのように地から僅かに浮き上がると、なめらかに水平に移動しながら的確に偏差射撃を行っている。顧客である愉快な仲間たちとは反対側の位置からの攻撃だ。射程も慎重に絞り、顧客サービス第一の姿勢がよく現れている。
『いてててっ、笑いが効かないならこうニャ!』
光線銃に撃たれつつも、チェシャ猫がその妙に長い腕を伸ばした。
ガリリリッ!
鋭い爪が販売機の塗装を剥ぎ、鋼鉄ボディに傷をつけたが、彼は動じることはない。顧客のためにただひたすら光線銃を撃ち続ける。
その職務第一の姿は、自動・販売機が名前通りの性能を持っていたとしても、その本質がウォーマシンであることを、如実に示していた。
成功
🔵🔵🔴
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
ニヤニヤ笑いしても猫かわいくない(むう)
チェシャ猫はアリスの味方なのに
なんで皆を攻撃するの?
笑い声は気持ち悪い
心が泥に落ちていくような
真っ暗に独りでいるような
でも、まつりんの姿が目に入り
ん、大丈夫
わたしは独りじゃない
まつりんとおかあさんの歌声がいつも一緒
(おとうさんは音痴だから今日は除外)
猫の笑い声をかき消すように
まつりんがいつも歌う懐かしい歌を一緒に口ずさみ
そして【華灯の舞】を猫の脳天目掛けて
怯んだ隙を狙って
うさみみメイドさん(30センチ位の人形)、行って
小ささを活かして猫をじゃらすようにジャンプでぴょんぴょん跳び跳ね
フェイント混ぜながら肉弾戦
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)とー。
にゃんこ、凶悪な顔だなあー。
アンちゃんと目が合って。
どしたの?
だいじょぶ、恐くない恐くないー♪(集い花の歌を歌い始める)
みんなも頑張ってるし、コッチはおいらたちで倒さなきゃね!
凶暴には凶暴、出でよメカたまこ!
(コケコケコケーっと41羽)
フォーメーション壱!
八方からの時間差攻撃ー。騒ぎまくって、気を散らせー。
(嘴で全身を啄むロボ)(的を分散させる)
正面はメカたまこに任せ、おいらはにゃんこの背後へ接近。
(つんつん) へへへー♪ (よいえがお)
にゃんこの飛びかかりポーズは、野生の勘で察知。
左の拳で打ち払い、右の拳でカウンター。
おいら狼だから。
にゃんこには負けないよっ♪
「なんて、かわいくない猫……むう。気持ち悪い……」
チェシャ猫のニヤニヤ笑いが、木元・杏のやわらかな心を苛んでいく。
心が泥沼に落ちていくような。
真っ暗に独りでいるような。
そんな気分にさせられていく。
耳を塞いでキャベツの陰にしゃがみ込む。でも、嘲笑う声は耳から離れないし、剥き出した歯や不自然に見開かれた真っ赤な目も瞼に焼き付いたままだ。
「チェシャ猫はアリスの味方なのに、なんで皆を攻撃するの?」
アリスの世界では、チェシャ猫は悪者ではなかったはずなのに……!
その時。
「にゃんこ、凶悪な顔だなあー」
のんきな台詞を吐いて、ニカッと杏に笑いかけたのは、双子の兄、木元・祭莉であった。
「どしたの? だいじょぶ、恐くない恐くないー♪」
彼にだってニヤニヤ笑いのダメージはあるだろうに、祭莉は歌を歌い始めた。懐かしい『集い花の歌』だ。
その歌声と笑顔に励まされ、杏も声を揃える。
「ん、大丈夫、わたしは独りじゃない。まつりんとおかあさんの歌声がいつも一緒……」
おとうさんが除外されているのは音痴だからであって、他意は無い。
2人の歌声は猫の笑い声をかき消すように、段々大きく元気になっていく。
そうして耐えている間にも、ニヤニヤ笑いに耐性がある仲間の猟兵の正確で根気の良い銃撃が続いていて、猫は根負けしたかのように笑顔を消した。
「よし、今だ。アンちゃん、おいらたちもやるぞ!」
まずは祭莉がユーベルコード【守護神降臨】を発動した。召喚されたのは40羽を越えるニワトリ型ロボ。
「フォーメーション壱! 八方からの時間差攻撃ー。騒ぎまくって、気を散らせー! 毎日が修行だぞー!」
コケーコケーコココココ……!
『ニャニャ!? 大量のニワトリが襲ってきたニャ……ふんっ、猫がニワトリに負けるもんかニャ!』
チェシャ猫は沸いて出たニワトリ部隊に一瞬驚いたようだったが、所詮ニワトリと強気に迎え撃とうとする。だが、ニワトリといっても侮ってはいけない。ニワトリロボットのモデルは祭莉と杏のペットのたまこ。世界一凶暴な雄鶏なのだ。しかも41羽もが、四方八方からツンツン啄みまくるのだからたまらない。
『イテッ、イテテテニャ! お前ら、踏みつぶしてやるニャ! イテッ!』
加えて、
「うさみみメイドさんも、おねがい」
杏が人形を出動させた。30センチほどの大きさのうさみみメイドさんは、小ささを活かして、猫の目の前をぴょんぴょんと跳びはね、時々からかうようにフェイントをかけ猫の鼻面にパンチを入れたりする。
『ニャッ! なんだこの人形、うっとうしいニャー!』
うさみみメイドは跳ね回り、ニワトリロボットは全身をつつきまくって、猫の集中を妨げる。その隙に、双子はそっと背後へと回った。陽動への対処で精一杯で、チェシャ猫はふたりの動きに気付いていない。
首尾良く背後に入った祭莉は、つんつん、と猫の尻尾を引っ張った。
『ニャッ!?』
思わず振り向いたチェシャ猫に、
「へへへー♪」
祭莉はよいえがおを向けた。
『しまったニャ!』
完全に後ろを取られていることに気付いて、チェシャ猫は鋭い爪を繰り出してきたが、想定内。祭莉は左の拳で突き出された猫の手を打ち払い、その腕を足場にして高く跳び上がると、
「おいら狼だから――にゃんこには負けないよっ♪」
右の拳で、賤しげな顔に、鋭いアッパーカットを見舞った。猫の顎に、小さいけれど堅い拳がめきりと食い込む。
そしてそれと同時に、巨大キャベツの上にすっくと立った杏が、チェシャ猫の頭を指さして。
「討て」
ユーベルコード【華灯の舞】。降り注ぐのは、桜の花弁を思わせる白銀の光。
メルヘンな舞台に相応しい幻想的な技だが、白い光はチェシャ猫の脳天を情け容赦なく直撃した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイ・エルビス
★連携台詞等
アドリブ大歓迎
POW
戦闘中は常に素早くフィールドを駆け回ったり
地形の利用で隠れたりして
その都度戦況を把握
遠距離では
仲間を早業の援護射撃やかばうで
サポート
敵に範囲攻撃にフェイント入れて
アサルトウェポンとブラスターで銃撃
仲間のチャンスを作り時間稼ぎ
近距離になって攻撃されたら
見切りや野生の勘
オーラ防御や武器受けで
回避や防御しながら
カウンター狙いで相手を
怪力のグラップルで捕まえて咄嗟の一撃
UCで隠し持っているナイフを素早く抜き
抜刀や返す刀で攻撃を試みる
銃より動作が少ない分
至近距離じゃ速くて確実だぜ
「大概すばしっこい野郎だな。
でも、いつかは攻撃する為に
近づいてくるって思ってたぜ!」
仲間の猟兵が降らせる美しい光に脳天を直撃され、チェシャ猫が白目になってよろめくのを見て、
「……今だ!」
ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)は、隠れていたキャベツの陰から飛び出した。
ここまでも、多方向に発されるニヤニヤ笑いを堪え忍びながら、仲間の援護になるようにアサルトライフル『キャプテン・ジャック』で、遠距離から射撃を行っていたのだが、ここは攻め時だ。
敵への最短距離は把握済み、巨大キャベツの間をすりぬけ、あっという間にチェシャ猫を見上げる位置まで近づいた。ブラスター『スタリオン』を抜き、まずは牽制の一発。
『ニャッ!?』
足を光線に焦がされ、目を回していたチェシャ猫はその痛みにハッと我に返ったようで、接近してくるケイに気付いた。
『ニャー! お前らもう許さんニャ!』
チェシャ猫は怒りを漲らせ、殺戮形態へと変貌していく。血走った目はさらにギラギラと光り、牙や爪が鋭く伸びていく。そして、
『ギニャーーーー!』
まっしぐらにケイに飛びかかってきた。
「……!?」
その動きはここまで観察してきたよりも、数段速くて鋭い。
「すばしっこくなりがやって……!」
飛び退きながら咄嗟にオーラ防御を発動し、ブラスターで受けたが、それでもざっくりと腕に爪痕が印された。
「ヤバイか……?」
このスピードでは敵わないかもしれない……と、キャベツの陰に一旦退避した時。
「こっちだこっち!」
「やーい、化け猫めー!」
遠く近く、キャベツの陰から幾つもの声が聞こえ、ちょろちょろと見え隠れする人影が見える。仲間の猟兵と、愉快な仲間たちだ。
殺戮形態に化したチェシャ猫は、理性を失い、素早く動くものに無差別に襲いかかってしまうので、その習性を利用して囮になってくれているのだ。
「ウニャーーー!」
仲間たちの動きに目を引かれ、チェシャ猫が、ターゲットを変えたと見た瞬間、ケイはユーベルコード【アウトレイジ】を発動した。
隠し持っていたナイフを抜いて、巨体に飛びかかる。仲間たちにこれ以上の被害を出す前に、ケリをつけなければ!
シャッ、シャッ。
素早くナイフを二度滑らせ、両脚の腱を斬り跪かせたところで、キャベツを足場にジャンプして、髭に飛びつきぶら下がる。
「…………あばよ」
滑らせた刃は、猫の頸、頸動脈をしっかりと捕らえていた。
返り血がかかる前に、ケイはひらりと着地し、それから数秒遅れて、重たいものが地に伏す音が聞こえた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『愉快なお茶会』
|
POW : 素敵なものを大いに食べて飲んで、お腹いっぱいになる
SPD : お茶会のお菓子や軽食を自分で用意し、差し入れる
WIZ : 謎かけや言葉遊びなど、テーブルを囲みながらのちょっとした遊戯を楽しむ
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●3章
チェシャ猫が斃れたのを見て、愉快な仲間たちは歓声を上げ、まだ生き残っていたグリードキャタピラーは、慌てて逃げにかかる。
「あとは雑魚だけだよ、一気にやっちまいな!」
俄然意気の上がった愉快な仲間と猟兵の連合軍は、あっという間に芋虫を掃討し、巨大キャベツ畑に平和が戻った。
笑顔が戻った愉快な仲間たちは、せめてものお礼にと猟兵たちをお茶に誘う。
「ここのキャベツはでっかくて大味そうに見えるけど、実は美味しいんだ。自慢のキャベツ料理を振る舞うから、ぜひ食べていってくれよ!」
●3章補足
どのような愉快な仲間と、どんなお茶会がしたいかなど、自由に書いてください。
具体的な指定がなかった場合は、巨大キャベツ料理を振る舞わせていただきます。
ご用命があった場合のみ、ヤーリも登場します。
皆さんでメルヘンで楽しいお茶会に致しましょう!
ケイ・エルビス
言動アドリブ歓迎
学食でいつもお世話になっているヤーリさんと
キャベツ料理を頂くのを
希望します
他にも希望する仲間がいたら一緒に仲良く
食べましょう
「このキャベツ料理、
凄く美味しいですねヤーリさん。今度学食でもヤーリさんお勧めのキャベツ料理が頂けたら幸いです♪」
愉快な仲間は
妖精や小人などの
可愛らしい
女性タイプを希望
お茶会の内容は
お任せしますが
普段あまり飲まない
ハーブティーと
何か美味しそうな
スイーツを頂けたら
幸いです
黒鵺・瑞樹
【POW】
アドリブOK
いい案があるのであればヤーリと話しもあり。
腹いっぱいごちそうに、と言いたいところだが程々にしておく。
動けなくなるのはちょっと避けたいし(無意識に避けるレベル)
それよりも料理方法を知りたい。
寺じゃ料理の手伝いはしてたからな、基本は一応できる。
まぁ、酒飲みなんで今はつまみにもできる系が多いがな。
ここのは春キャベツとかの区別はあるんだろうか?
トントントントン……包丁の音が響く。
黒鵺・瑞樹は、ヤーリと共に、ゆかいな仲間の家の厨房を借りて、巨大キャベツの料理を作っているのだ。
「なかなか手つきがいいじゃないか」
瑞樹の包丁さばきをヤーリが褒める。
「寺じゃ料理の手伝いはしてたからな、基本は一応できる。まぁ、酒飲みなんで今はつまみにもできる系が多いがな」
「キャベツは用途が広くていいやね。学食でも大助かりさ」
「ところで、この大量の千切りキャベツを、これからどうするんだ?」
「ザルに入れておくれ。そして熱湯を回しかけて湯通しするんだよ」
大ザルに山盛りの千キャベツに、ヤカンで沸かしたお湯をゆっくりと回しかけていく。熱を加えられたキャベツは、見る間にしなしなと嵩を減らしていった。
「次は、蒸し鶏を裂くよ」
ヤーリが作っていたハーブ蒸しの鶏胸肉を、筋に沿って細く裂いていく。
「キャベツとチキンの蒸しサラダ、ハーブ仕立てってとこかな?」
瑞樹の問いにヤーリは頷いて。
「夏のキャベツはにちょっと堅めだったりするけど、軽く熱を通すと嵩が減って食べやすくなるのさ」
そうしている間に冷めたキャベツをぎゅっと絞って水分を取り、蒸し鶏に塩胡椒、オイルとビネガー、お好みのハーブを加えて混ぜる。
「もう出来た。簡単だし旨そうだ」
「それこそ酒のつまみにもいいんだよ」
2人は顔を見合わせてニイッと笑った。
巨大キャベツに囲まれた、畑の一角がお茶会会場であった。
瑞樹とヤーリがサラダを運んでいくと、ケイ・エルビスは、色とりどり、形も様々な可愛らしい帽子をかぶったキノコの妖精たちとデーブルを囲んでいた。
「この大きなロールキャベツ、凄く美味しい!」
巨大キャベツの葉でくるんであるので、ロールキャベツ1個がラグビーボールくらいある。
「うふふ、そうでしょう、私達が作ったの」
「キノコがたっぷり入っているのよ、うふふ」
共食い……などと言ってはいけない。キノコの妖精さんは、キノコ使いにも長けているのだ。
「これも食べてみてくれよ」
瑞樹が作りたてのキャベツサラダのボウルをテーブルに載せ、ヤーリが取り分けてやる。
「うふふ、いただきまーす」
「うふふ。すごく美味しい」
妖精たちにもサラダは好評のようだ。
ケイはどや顔のヤーリを見上げ、
「学食でもヤーリさんお勧めのキャベツ料理が頂けると嬉しいです♪」
「ああ、巨大キャベツを分けてもらえるそうだからね、しばらく学食はキャベツ三昧になりそうだよ」
ヤーリはガハハと嬉しそうに笑う。
妖精たちが、瑞樹とヤーリにも席をすすめ、森の香りのハーブティーを注いでくれる。
「キャベツと木の実のビスケットもあるのよ、うふふ」
「うふふ、私たちが焼いたのよ」
「えっ、キャベツをスイーツにしちゃったのか!? いただきます……」
ケイがおそるおそるビスケットを口に入れて、目を丸くする。
「あ。うまっ」
「でしょ。でしょ? うふうふ」
「うん、本当だ、旨いな。歯ごたえもいい」
瑞樹も不思議そうに、でも美味しそうにクッキーを味わっている。
「どれも旨いから、腹いっぱいごちそうに、と言いたいところだが程々にしておかなきゃな」
満腹でいざというときに動けなくなるのは、猟兵として避けたいところなのだろうが、このメルヘンな雰囲気は、お腹いっぱい楽しみたいところだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月・影勝
……あー、いやな?茶会は嫌いではないんじゃ。
ほら、皆が真面目に戦ってる中敵から逃げ回っておったし?
それに狸と一緒か…狸かぁ…
いやな、ちょっと幼馴染の狸と因縁があってじゃな…
などとまごまごしておったら捕まってもうたぞ
ああえい、分かった分かった参加するから一張羅を引っ張るでない!
キャベツ料理は嫌いではないと言うか、寧ろ好きな部類であるぞ
それに折角じゃし、あの見事な腹鼓をまた拝見したいものじゃのう
楽しくおかしく食事をするは儂も望むところじゃ。
あと、儂も緑茶と三色団子をお出しするとするかのう?
こう見えて時計うさぎ、給仕の所作は習得しておる
特に【秘伝の貉饅頭】は狸の衆には喜んでもらえるじゃろう。
「……あー、いやな?茶会は嫌いではないんじゃ」
楽しそう&おいしそうなお茶会の席に入るのを、微妙にためらっているのは月・影勝。
「ほら、皆が真面目に戦ってる中敵から逃げ回っておったし? それに狸と一緒にお茶をせぬわけにもいかぬしな……狸かぁ……」
幼馴染の狸との因縁を思い出してしまったらしい。
などと、まごまごしていたら。
「あっ、影勝ハッケン。こんなところでなにをしている」
「用意ができたぞ、一緒にお茶をしようではないか」
狸さんたちに見つかってしまった。見事敵を退け、テンションのあがっている狸たちは、影勝をお茶席へと強引に連れて行こうとする。
「わっ、捕まってもうたぞ。ああえい、分かった分かった参加するから一張羅を引っ張るでない!」
つれていかれた席には、おいしそうな巨大キャベツ料理が並んでいた。
「影勝、キャベツ好きか?」
「キャベツ料理は嫌いではないと言うか、寧ろ好きな部類であるぞ」
「それはよかった。おれの作った回鍋肉を食べてみろ」
「シンプルなお浸しも旨いのだぞ。添えるのは、オカカ醤油かニンニク味噌か、どっちがいい?」
狸たちは戦うにもよい仲間であったが、お茶をするにも愉快な仲間であった。飲み食いしはじめれば、たちまち場も、影勝自身も和んでいく。
「キャベツ料理の礼に、儂も緑茶と三色団子をお出しするとするかのう?」
ちょっと待っておれ、と影勝は狸の家の厨房を借り、手早くお茶の用意をした。
「お待たせしたの」
戻ってきた影勝はびしっと給仕の用意を調えている。
「ふふん、こう見えて時計うさぎ、給仕の所作は習得しておる」
緑茶とお団子、特に【秘伝の貉饅頭】は狸には大好評であった。なにしろ口にすれば10年は長生きするという饅頭なのである。食べると活力が湧いてくること請け合い。
「旨い饅頭だなあ。おれたちも何か礼をしたいぞ」
「いや、キャベツ料理だけで充分じゃが……そうじゃ、折角じゃし、あの見事な腹鼓をまた拝見したいものじゃのう」
「おう、任せろ!」
ポンポコポンポコポンポコポンポコ……!
三匹の狸が立ち上がり、今度はおかしな踊りつきで腹鼓を披露してくれた。狸たちも影勝も大いに笑う。
「おお、楽しいおかしい。愉快に食事をするは儂も望むところじゃ!」
ポンポコポンポコポンポコポンポコ……!
――キャベツ畑にはいつまでも愉快な腹鼓が鳴り響いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵