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開場は朝十時からです!!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●蠢く深夜の不届者
 其処は極寒の地であった。
 気象予報で年末にかけて大寒波に晒されると言われているその埠頭にぞろぞろと夥しい影が蠢めく。地を埋め尽くす勢いで今尚増殖を続けるそれらは、全て人型をしていた。
 肌を刺す様な凍てつく寒風にも負けず、ギクシャクと奇怪な動きで彼らは目指す。
 その道行きの先には……神殿だろうか。足の生えた逆三角形の様なモニュメントがそびえ立っていた。

●徹夜組は消毒だ!
 年末の為か人もまばらなグリモアベース。その一角に小さな少女のミイラが転がっていた。
「ハァイ、オーディエンス......新年の準備はバッチリな感じ......?」
 違った。
 ヨロヨロと起き上がりながら掠れた声で猟兵達に声をかけるのはグリモア猟兵、ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)。
 いや、そもそも君は生きて新年を迎えられるのか……?
 彼女の余りのやつれ方に思わず質問に質問で返してしまう猟兵達。
「あはは…アタシはだいじょぶ。ちょおっと〆切がヤバくて二徹とかしちゃったけどお陰で原稿も間に合ったし、これで安心してコミフェスも……あーーーーーーーーー!!!!!」
 手を力無くヒラヒラと振っていた彼女が突如ドスの効いた叫び声を上げた。皿の如く見開かれた血走った眼球がギョロリと猟兵達を睥睨している。
 怖すぎる。
「そーよこんなとこで干からびてる場合じゃないんだった! そのコミフェスが大変なんだって!」
 復活した? 彼女が言うには、【キマイラフューチャー】と言う世界のとある港で開催されるお祭りで事件が起こるのだとか。
「コミックフェスタって言ってね。アタシも参加するんだけど、毎年夏と年末に開催されるお祭りなのよぉ。まぁ……簡単に言うとちょー巨大なフリマって感じ? キマイラの人達が自分で作った色んな物を売ってたり、コスプレして歩き回ったりね」
 しかし、と一度言葉を切り、彼女はホログラムウインドウに会場に押し寄せる夥しい数の怪人の映像を映し出す。
「みんなの出番はどっちかって言うとお祭りが始まる前ね。実はこのままだとコミフェスが始まる前日の深夜……会場はこうなっちゃうわけ。こいつらのやる事は会場の前にたむろするだけ。その辺をウロウロするだけで何もしないんだけど……如何せん数が問題でね、朝になるまでどこからか知らないけど、どんどんどんどん増え続けて会場の周りを彷徨こうとするの」
 そんな状態で朝を迎えてしまえばキマイラ達は大迷惑だ。正しくイナゴの大群の如く会場の商品が根刮ぎ食い荒らされてしまうに違いない!
「ルールにもちゃんと書いてあるんだよぉー、前日は来ないでくださいってぇー、もぉミアちゃん激おこぷんぷん丸ー!」
 これ見よがしに頰をぷくーっと膨らませて憤慨アピールをするミア。
 しかし君、それでさっきの顔芸のインパクト消せると思ったら大間違いだぞ?
「まぁ、と言う訳で今年最後のご奉仕をしてってちょーだいな。終わったらお祭で遊んできていいからさっ」


龍眼智
 おはようございます、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい起きてーーーーーー!!!
 龍眼智です。

 さて、恐らくこのシナリオが公開される頃には平成最後の冬コミも開催されている頃でしょうか。2回目となる今回のシナリオは一転してギャグ寄りです。
 ズバリ、
  キマイラフューチャーで!
    徹夜組をぶっ殺して!!
      コミケに行こう!!!
 第1章の状況は深夜の会場周辺からスタートしますが、周辺には一般人のキマイラ達が少数ではありますが住んでいます。余りに騒々しくしてしまうと彼らを起こしてしまうかもしれません。対応としては、例えばですが以下の様な感じが考えられるでしょう。
 POW:正面から突撃してとにかく怪人を潰して回る。
 SPD:闇に紛れて少しずつ怪人を間引く。
 WIZ:デマ情報や巧妙な心理作戦で怪人を扇動し会場から遠ざける(これでも倒した事になります)。

 第3章では朝を迎え、コミフェスが開催されます。
 薄い本をお求めになるも良し、コスプレをするのも良し、出店を回って食べ歩きをするのも良しです。
 ご希望があればミアのサークル「神聖湯呑屋帝国」の様子も分かるかもしれません。

 それでは、お忙しい年末年始の最中ではありますが、宜しくお付き合い下さい。
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第1章 集団戦 『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』

POW   :    恨みのローソク
【ケーキの飾りのロウソク 】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ふかふかボディ
自身の肉体を【スポンジケーキ 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    生クリームブラスト
【両掌 】から【生クリーム】を放ち、【ベトベト感】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レンズ・リンド
「ひひひっ、暗闇での隠密なら得意ですよ。小さくて黒いフェアリーが...死角からそっと近づいて.....。ひひっ、イベントの邪魔をする子は...どんどんしまっちゃおうね~」

と小さい身体と暗い外見を活かして近づき、相手に気づかれる前に壷を使ってフェアリーランドへ送ります。
ある程度しまっちゃったら、遠くへ離れてから開放してあげましょう。


フルム・サーブル
徹夜組を合法的に抹殺できるときいてやってきたよ
今朝まで徹夜で原稿や製本してた子は頑張った、そっちは褒めてあげよう

危険物の持ち込みは禁止されているであろうことを踏まえて
灰燼拳でひとつひとつ徹夜組の頭部をつぶす

30cmという短い射程に近づく方法は、先に野営道具などの荷物をフェアリーランドへ収納して
「整列してるのを崩せば列の後ろへ回らざるを得ない」という状況を作ろう
盗んでるんじゃなくてこれは会場の治安維持のための没収だ

万が一任務が深夜までかけても終わらない場合、僕は徹夜組にならないように
夜明け前には一旦宿(ベース?)へ戻って始発タイムでもう一度来るよ



人口湖ア・リアーケ。
 キマイラフューチャー内に存在するウォーターフロント型リゾートであり、夏は泳ぐ事は勿論、各種マリンスポーツも楽しめる一大スポーツ施設だ。
 とは言っても、今は寒風さざめく年の瀬の、しかも深夜だ。勿論人影なぞある筈も無いのだが、今日だけは様子が違った。

 首から上が崩れかけたホールケーキになった怪人達がゾロゾロと、ゾロゾロと、コミフェスが行われるイベントホールを目指して歩いてくる。
 既に到着して目的地前に坐り込む集団、暖を取る為なのだろうか、ガスコンロに鍋をセットすると自らの頭を千切って鍋パーティーを始める集団、拠点設営とばかりにテントを広げ始める集団、行動は様々だ。
 そんな集団の上を音も無く飛び回る二つの小さな影がある。

「ひひひっ、暗闇での隠密なら得意ですよ。小さくて黒いフェアリーが...死角からそっと近づいて.....。ひひっ、イベントの邪魔をする子は...どんどんしまっちゃおうね~」

 凛烈たる闇の中、風の音に微かに混じるはレンズ・リンド(陰鬱なフェアリーのUDCエージェント・f05600)の声だ。彼女は最後尾に向かって進む一つの集団に背後から近付くと一人の怪人の耳元にそっと囁いた。
「ひひっ……夢の国へご招待ぁぃ……」
 瞬間、集団の最後尾を歩いていた怪人の一人が、忽然と音も無く消えた。
 否、レンズの持つ壺に吸い込まれたのである。
 一人、また一人と集団の中から次々と虫喰いの様に怪人が消えていく。
「ひひひっ……大漁、大漁、さてと……」
 二、三十体は吸い込んだだろうか、レンズは怪人達から離脱すると壺を持って湖の沖合までやってきた。手にした壺を逆さにしてバーテンダー宜しく激しくシェイクする。
「ご利用ありがとうございました……終点夢の国です……ひひひひひひ」
 壺から吐き出された怪人達が漆黒の水面目掛け次々と放り出されていく。
「ブヒョアアアア!!wwwwな、ななな何が起こったでござるwwww拙者は待機列を歩いていた筈ではwwwwあっwwwヤバスwwクリームwwクリーム溶けちゃうのほおおおおおおおおおwwww!」
 怪人達は自らのクリームでドロドロになりながら極寒の水面に沈んでいくのであった。

 一方、怪人そのものは狙わず彼らの荷物に目を付けた者もいる。会場を飛び回るもう一人のフェアリー、フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)だ。
 彼は待機列に点在するテントに狙いを付けると怪人達がその場を離れた隙を見計らって野営道具を次々と壺の中に納めていく。

(うん、これは盗んでるんじゃ無い。会場の治安維持のための没収だ)

「ファッ!?た、確かここに我らのベースを作っていた筈でござるが……4号氏? 留守番の4号氏は何処に!?」
 怪人達が戻ってきた時には、既に彼らが陣取っていた場所は既に他の怪人達で埋め尽くされていた。他の怪人達によって列から放り出された彼らはブツブツ言いながらも再び最後尾を目指す。
 その道すがらで待ち構えていたのはフルムだ。
「探し物はこれかな?お兄さん達」
「むっ! 何奴dヒデブッ!?」

_______ユーベルコード【灰燼拳】
振り返った怪人の集団は、フルムの小枝の如き細腕から発せられた殺戮の拳風によって、彼の姿を見る前に次々と頭部を粉砕されていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

初神・ザラメ
●混みフェスはなァ……ザラメのかっこみどころでもあるんだよ
ナニをどうかっこむかは詳しくゆわないけど、とにかくイイ感じなんだよ
ザラメふくむみんなのお楽しみをジャマするヤカラはタヒね

●群れ(?)あるいは集団から何かしらの理由で離れた怪人を狙い、
SPDを活かしてお命とかいろいろ頂戴します
何か良さげなモノがあればそれを
特になければ金目のモノっぽいのを

また怪人への威嚇作戦の一環として
仕留めた怪人の身体もしくはそばに
『HACK†YOU』の電子ビラを表示しておきます

「"悪の十字架"に呪われろ、キヒ……」

邪気はないけど悪意はたっぷり
他者を害することへの躊躇いがありません



そして……ここにもまた野営道具が謎の消失を遂げ、最後尾へトボトボと戻って行く怪人の姿があった。
「おかしいでござるなぁ……コミフェス熟練兵の拙者ともあろう者がまさか待機列を間違えると言う初歩的なミスをするわけが……」
 ブツブツと脳裏で状況をシミュレートするケーキ怪人。
 故に彼は気付かなかった。

 今正に、自分に天敵が迫ってきているのだと言う事実に。

 丁度雲の隙間から顔を出した月が、闇の中から一人の女の姿を浮かび上がらせる。
 褐色の肌に金髪、目が痛くなりそうな真紅のスカジャンとネイル。
 そして何よりも……獲物を物色する肉食動物の様な鋭い目付き。
 
 名前を、初神・ザラメ(探命・f02625)と言う。

「コミフェスはなァ……ザラメのかっこみどころでもあるんだよ。ナニをどうかっこむかは詳しくゆわないけど、とにかくイイ感じなんだよ……だからよ、ザラメふくむみんなのお楽しみをジャマするヤカラはタヒね」

 つまり……アレですね? カツをフライドしちゃう系の奴ですね?
 
「ヒッ!? こ、コミフェ狩り!?」
 
 説明しよう! コミフェ狩りとは、コミフェスに集まる参加者を狙ってタカリ強請りをしちゃう怖いお兄さんやお姉さん達の事だ!特に深夜に一人でウロウロしている人が狙われ易いらしいぞ!

 ザラメの存在に気付き息を飲むケーキ怪人。戦慄に慄く怪人の視線を正面から受け止めると、彼女は嗜虐的な笑みを浮かべた。

「ぬ、ヌオオオオオオ! こんな所で弾薬を失う訳にはいかないでござる! 拙者に
は魔法少女チーズケーキたんの新刊を手に入れると言う崇高な使命があるのだあああああ!!!」
 パニックに陥った怪人が頭に刺さっているローソクを投げつけてくる。

「は? ウルセェし」

 しかし、その時ザラメは既に怪人の懐に切り込んでいた。如何にも面倒くさそうにそう言い捨てると手にしたダガーを一閃。
 怪人は、呆気なく地に膝を付くと、地面に生クリームの飛沫を上げて倒れ伏した。
 ザラメは怪人のポケットから財布を取り出すと中を物色して舌打ちをした。

「チッ……こんだけかよ、シケてんなぁ」

そのまま電脳ゴーグルを装着すると、倒した怪人の周囲にホログラムウインドウを展開させた。

「『HACK†YOU』……っと。"悪の十字架"に呪われろ、キヒ……」

 次なる獲物を求めて彼女は闇へと消える。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と

徹夜組死すべし、慈悲はありませんわ!
わたくしはお行儀よく、ちゃんと開場時間を守って
女主人×男従者の薄い本をたくさん手に入れるのです
全年齢対象ですから、大丈夫、健全ですわ
そのためにも…

当然【POW】突撃しますわ
わたくしの歌を聴かせて感動の涙と共に改心…というのも考えましたが
歌はご近所迷惑になりますわね
では…

怪人にメンチをきりつつ
徹夜はいけませんわ、早く撤退しないと、怖いお兄さんがあなた方をボコボコにいたしますわよ?
というわけで、後はお任せいたしますね冬夜さん!
あ、ちゃんと回復はしますので!


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と

お前、こういうの詳しいのか?
あとその薄い本とやらは絶対俺には見せるなよ
まあでも、ルールを守れない奴にはご退場願おうか

って、はぁ!?ちょっと待て!
何で俺だけっ!?
ったくしょうがねえ、さっさと片付けるぞ!
アサルトウェポンを構えて一斉掃射
そぉら怖いお兄さんだぞ!

無理やり押し通ろうとする奴には眼前に【ガジェットショータイム】
巨大なカタログ型ガジェットで上から叩き潰す



周囲で頻発する不穏な事態。流石に怪人達の間にも何かが起こっていると言う空気が広まりつつあった。
 そんな中、石畳を踏み締める硬い音と共に、待機列目掛けて歩みを進める二人組がいる。
 銀糸を思わせる長い髪をゴシックドレスの裾と共に翻すのは、マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)。月光を反射し、闇の中に浮かび上がる白皙の肌は宛ら冬の妖精を体現しているかの様だ。楚々と歩みを進めるその所作は可憐の一言、BGMにショパンでも流れ出しそうな彼女の脳裏に渦巻くのはしかし、およそ外見から見当も付かない内容だった。

(徹夜組死すべし、慈悲はありませんわ!)
「わたくしはお行儀よく、ちゃんと開場時間を守って、女主人×男従者の薄い本をたくさん手に入れるのです……」
ダダ漏れになる思考と共に、思わず口元からも粗相をしそうになる表情筋を手で押し留めると、彼女は眼前に見渡す限り広がる怪人の群れを見渡した。
 
 その様子に横から引き攣った顔で応じるのは黒木・冬夜(玄冬・f06002)だ。マヒルのボディーガードを勤めると言う彼は油断なく周囲に視線を配りながらも彼女に釘を刺す。
「お前、こういうの詳しいのか? まぁ、でもその薄い本とやらは絶対俺には見せるなよ?」
「大丈夫、健全ですわ。全年齢対象ですから」
「いやそう言う問題じゃねぇよ!?」
「まぁまぁ、そのためにも……」
 嗜めるマシロを尻目にアサルトウェポンを担ぎ直すと、彼の表情から遊びが消えた。

「あぁ、ルールを守れない奴にはご退場願おうか」

 怪人達の訝しげな視線を全身に感じながら二人は待機列の最前列に辿り着く。

「んんぅwwwwそれは何のコスプレでしたかなぁwwwwラブドル第一クールのクリスマス回の沙彩たんwwwwあぁいや、プリハピの可能性もwwwwwおっと失礼wwwwwwいきなり考察に入るのは悪い癖ですなぁwwww」
 自分に何か用があるとでも思ったのだろうか。眼前でクネクネしだす怪人にマシロはゴミを見る様な視線を投げ掛けた。

「徹夜はいけませんわ、早く撤退しないと、怖いお兄さんがあなた方をボコボコにいたしますわよ?」

 冬夜が、ん? 怖いお兄さん? とでも言いたそうな疑問を顕にする。
 怪人は理解が追いつかないのか数秒間フリーズしていたが、突如堰を切った様に嗤い出し始めた。
「ブフォwwwwwwDQNキタコレwwwwwwwww良いですかなwwwwコミフェスとは戦場であるからしてwwwwwフォカヌポォwwwww時間の利を捨てるなぞアフォのする事ですぞwwwwwコミフェスバージンの新兵でもあるまいにwwww」
 マシロは目を閉じると溜息を一つ。

「そうですか……では宣言通り、実力行使に移らせて頂きますわ。冬夜さん! やっちゃって下さい!」
「ってやっぱ俺の事かーい!? ったくしょうがねえ、さっさと片付けるぞ!」
 
嫌な予感的中とばかりに冬夜のツッコミが寒空に冴え渡る。今や怪人達の視線は冬夜に一身に注がれていた。彼は舌打ちを同時にアサルトウェポンのロックを解除。ノータイムで眼前の怪人達に一斉掃射を叩き込んだ。

硝煙と共に、石畳に無数の生クリームの花火が散る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『いいねリス』

POW   :    強いっていいね! いいね!ボム
【いいね! 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【いいね!ボム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    足がはやいんだね! いいね!ビーム
レベル分の1秒で【いいね!ビーム 】を発射できる。
WIZ   :    いいね!って思ったらみんなあつまれー!
戦闘用の、自身と同じ強さの【共感者】と【いいねリスの分身】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠青景・黒影です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あーー!! 僕のファンネルくん達がーー!!」
 猟兵達の作戦によって既に騒然となっている待機列に素っ頓狂な叫び声を挙げた者がいる。
 丸々とした恰幅の良いシルエット、全身を覆うフサフサした毛皮はこの寒空ではさぞ役に立つ事だろう。果たしてそこにいたのは……リスだった。そう、人間大の。なんかもう分かり易く「御奉仕価格」なんて文字の入った帽子を被っている。どんなだ。
 彼? は生き残った怪人と猟兵達の間に割って入ると、シュビッと音がしそうな勢いで猟兵達を指差すと文句を付けだした。
「困るなぁ君達、皆ちゃんと並んでるんだからさぁ、ルールは守ってもらわないと。僕だってちゃんと目当てのサークルさん達の量を鑑みて人数を割り振ってるんだから、勝手に数を減らされちゃ困るんだよ! あぁ…不味いな、このままじゃ年明けの初売りに欠品が出ちゃうかも……どうしてくれるんだ!」
 正に逆ギレここに極まれりである。
 転売ヤー許すまじ、深夜の第二ラウンドの始まりである。
マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と

どうやらあの方が徹夜組のボス?のようですわ
ちゃっちゃと倒して、もう一度始発で出直しましょう
夜更かしは戦果に深く関わってきますからね

前衛は冬夜さんにお任せして、わたくしは後ろから支援ですわ
【シンフォニック・キュア】で回復しつつ
いいね!で集まって来たっぽい共感者を歌唱技術で気を引いてみましょう
綺麗に装飾した歌詞で『早く帰って寝ろ』を表現します
それでは聴いてください、マヒル・シルバームーンで『有明の月』

銀の月 全てを照らす
正しきもの達は気付くでしょう
今はただ ぬくもりの中で瞼を閉じて

分身?は、冬夜さんにお任せしますね


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と

いい加減眠くなってきたので手早く終わらせたい
しかしすごい執念だな…
絶対前日寝てから来た方が体力的にもいいのに
一対何が奴をそこまでさせるのか…

【絶望の福音】でいいねビームを予測して避けつつ接近しアサルトウェポンを撃つ
こんなイベントのために徹夜とか絶対賛同できないからいいねを押したくない
仲間だとか思われたくないもんな
逆に通報して凍結させてやりたいな

瀕死になったら【戦場の亡霊】
徹夜がたたってこんな姿になってしまった戦場(コミフェス)の亡霊君だ
今こそ恨みを晴らすんだ



「いや、どうしてくれるんだっつってもな……」 
 黒木・冬夜(玄冬・f06002)は重力に負けそうになる瞼を擦りながら眼前でいきり立ついいねリスを面倒くさそうに見つめる。
「しかしすごい執念だな…絶対前日寝てから来た方が体力的にもいいのに、一対何がアンタをそこまでさせるのか…」
「何がだって!? 決まってるじゃないか神サークルの神本の為だよ!! 彼らは解っていないんだ、僕がいいねを付ける様なサークルの頒布物はここで売っている様な値段で売っていい物じゃあない!! もっと適正な値段で売ってあげないと!! そう、言わば僕にはその使命があるのさ! 凡百の一般ピーポーと一緒にしてもらっちゃ困るね!」
 大仰な身振りを加えながら熱弁を奮ういいねリスに周りの怪人達がやんややんやと声援をおくる。
 マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)は付き合っていられないとばかりに溜息を一つ付くと隣の冬夜に声を掛ける。
「まぁ、どうやらこの方が徹夜組のボス?のようですわ。ちゃっちゃと倒して、もう一度始発で出直しましょう。夜更かしは戦果に深く関わってきますからね」
「そうだな……何かもう眠くなってきたし手早く終わらせたい」
 冬夜が欠伸をしながら応じる。

 広場の中央にそびえ立つ柱時計がカチリと音を立てて深夜一時を示した。
 確かに猟兵と言えども庶民派な彼にはそろそろ起きているのはキツい時間帯だ。
 
 彼らの反応に熱弁をぶった斬られたいいねリスがずっこけた。
 心なしか頭に怒りマークが浮かんでいる気がする。
「ぬぬぬぬ……適正価格を理解しない奴らめーー!」
 怒りの形相のいいねリスがグッと親指を立てた手を掲げる。
 指先が眩い光を放ったのと冬夜が頭を右に傾けて光線を避けるのはほぼ同時であった。
 
 ユーベルコード【絶望の福音】。
 彼は今、避けたのではない。予め【攻撃が来ると解っていた】位置から退いたに過ぎない。
 
 いいねリスが目を見開く。
「何で避けるの!? いいねできないじゃん!!」
「いや、だって仲間だとか思われたくないもんな。っつーか逆に通報して凍結させてやりたいわ」
「く、くっそー! みんなー! やっちゃえー!」
 激昂したいいねリスが周囲の怪人達をけしかけてくる。
 ボスの号令はひ弱なオタク怪人達を瞬く間に暴徒へと変えた。
 
 嗚呼、見よ! うず高く積み上がる怪人、怪人、怪人!!
 これぞコミフェス名物、漢波!!

 冬夜はアサルトウェポンで波を切り崩そうと試みる。
 
 しかし、しかし足りない! それは宛ら蝗の大群に殺虫スプレーで立ち向かう様なもの。一匹一匹には絶大な効力を発揮するものの単純な物量差は覆しようがない。
 異臭さえ漂ってきそうなむさ苦しさにさしもの冬夜も顔を顰めた。

 そこに凛とした一陣の清涼な風が吹き抜けた。
 雲の切れ目から差し込む月光がスポットライトの如く照らす地に立つのは白皙の妖精マヒル。歴戦の舞台女優とてこうは行かぬであろう、堂々とした佇まいは守護者たる彼女の有無を言わせぬ迫力を言外に物語っている。
「それでは聴いてください、マヒル・シルバームーンで『有明の月』……」
 
 銀の月 全てを照らす
 正しきもの達は気付くでしょう
 今はただ ぬくもりの中で瞼を閉じて

 寒風吹き荒ぶ深夜の広場が一転、神聖な空気に包まれる。
 猛り狂っていたケーキ怪人達が次々と足を止めるとマヒルの歌に耳を傾け出した。
「んん……何だか拙者……眠くなってきたでござるな」
「6号氏もでござるか……拙者もでござる」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フルム・サーブル
親玉のお出ましかい?
もしや、大量の配下に企業や壁サーのアイテムを購入させて
転がすことで大儲けしようとしてたんじゃあるまいね……
知り合いにお使い頼むレベルをはるかに超えた代理購入も僕は厳しく見るよ

まぁ、それは兎も角立ちはだかるというのなら倒すまでだ
【怪力】【力溜め】を活用してボムに対抗しよう
【残像】も活用して避けられれば良し、避けられなくとも僕は【カウンター】を仕掛けるよ
他にも仲間がいるし、全体的には、まぁ【気合い】で何とかなるはずさ

もしその……本人が欲しいだけの強欲な子だったら
ちょっと悪い事したかな
あ、でもやっぱりあり得ない量のファンネル飛ばすのは僕的にはナシかな



「…………そうかい、安心したよ」
 ぼんやりした顔でぞろぞろと家路に着き始める怪人達。
 その流れに逆らう様に闇から現れたのはフルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)。
 彼の涼やかなその声音は確かに優しかった。
 
 しかし、言の葉に込められた大気を震わせる程の威圧感に気付かない者はこの場にいないだろう。
 何より、彼の眼が全く笑っていない。
 では何に安心したというのだろう。
「もしその……本人が欲しいだけの強欲な子だったら、ちょっと悪い事したかな、と思っていたんだ」
 吐き出した呼気が寒空に白の色を描き霧散する。
 両手の指関節をゴキリと鳴らし、戦闘準備は完了だ。
「だが、大量の配下に企業や壁サーのアイテムを購入させて転がすことで大儲けしようと企む輩だと言うのなら遠慮する必要はない。思いっ切りぶっ飛ばして良い相手だ。安心したよ」
 対するいいねリスは、やれやれとばかりに肩をすくめると悪びれもせずに言った。
「そりゃそうさ! 僕だって慈善事業でやってるわけじゃないんだよ。これだけの怪人達を招集して彼らそれぞれに相応の報酬を渡さないと行けないんだ! 儲けが出ないと困るのさ!
 それに僕が販路を広げてあげる事で神絵師達は名前が売れて在庫も捌ける!
 怪人達は戦利品が手に入って嬉しい!!
 僕も中間マージンで儲かって嬉しい!!
 Win-Win-Winじゃないか!」

 フルムが両手で手刀を形作った。
 フェアリーと言えどその身は格闘家。
 筋肉と練り上げた内功、そして渾身の気合いを込めたその手は、既に名工の業物にも匹敵する肉の刀と言っても過言ではない。
「却下だ。何故ならその図式には一つ考慮されていない物がある」
「へぇ? 何それ」
「それはな………コミフェスを楽しみにしている一般参加の皆さんだ!!」
「知らんねそんな有象無象!!」

 フルムの叫びがいいねリスのばら撒いたハートマークに押し流される。夜闇にボムの炸裂音が響き渡った。
 良い仕事をしたと帽子を脱いで額の汗を拭ういいねリス。

 そこに、隙が生まれる。

「唐竹のように割れるがいい」
 耳元に響くはフルムの声。

「ッッッ!?」

全身の毛皮が総毛立ついいねリスの視界に映ったのは果たして何か。

 鮮血の尾を引き、リスの片耳が宙を舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・テミルカーノヴァ
徹夜は……勘弁してください。
おかげで警備費用が上がって、そのあおりでサークル参加費が跳ね上がっているんですから!
だからこそ、会場には、始発以降に着けるようにしましょうね。

ということでいいねリス対策には、つくりのよくないプログラムにはお馴染みのNullPointerExceptionことぬるぽを投げることで対応します。
いいね!はうまくかわすつもりですが、最悪「ガッ」になることも覚悟してます。

伊達に技術系同人書いているわけではないのですよ。
絶対に「いいね!」とはいえないだろうバッドプラクティスの山で、「いいね!」を言えないようにしてみせます!



「うっ……くっ……よくも……僕の耳を」
 いいねリスが耳のあった場所を抑えながら猟兵達を見返すと巨大な門歯を剥き出しにした。
 平衡感覚にも支障をきたしてしまったのか、少しばかりふらふらしている。
「戦場に突入する前に乱闘で負傷だなんて大問題だ。このハートマークに傷が付かなかったのが不幸中の幸いだよ」
 その様子を少々痛々しい表情で見つめるエルフの女性がいた。
 名を、マリア・テミルカーノヴァ(電子の海を彷徨う光・f00043)と言う。森を故郷に持つ心優しい彼女からすれば、例え人語を解し、そのサイズが明らかに異常だとしても、やはり動物が目の前で血を流して苦しんでいる光景には思う所があるのかもしれない。
「それでも……徹夜は……勘弁してください。おかげで警備費用が上がって、そのあおりでサークル参加費が跳ね上がっているんですから!」
 いいねリスとはベクトルが違うものの、これもまた血を吐く様な呻きであった。
「だから、それを回収できる様にしてあげようって言ってるのさ。サークル参加費が上がる事は僕は賛成だよ! 参入障壁が上がって妙なクソサークルが入ってこなくなるからね! サークル参加費値上げ、いいね!」
 
 いいねリスが広場に再びハートマークの嵐を起こす。
 それは舞い散る桜の花びらの如く猟兵達に降り注ぐ。しかし、風に乗って舞うその全てが、飛来した謎の文字によって撃ち落とされた。

「妙なクソサークルで悪かったですねぇ……どうやら技術系同人の素晴らしさを教えて差し上げなければならないようです……」
 再び驚愕に目を見開くいいねリス。
「今のは……まさか「ぬるぽ」!?」

 知っているのか、いいねリス!?
 
「そう、NullPointerException。Java言語で発生する実行時エラーの一種です。これはnull値の参照型変数を参照しようとした時に発生するものですが、java.lang.RuntimeException クラスのサブクラスであるため、try-catch節による例外処理を書かなくてもコンパイルエラーは発生しないんです。だから、いっつも実行時に発覚して……ふふ、ふふふふふふふふ」
 ぬるぽを放った張本人、マリアは先程の柔和な美貌から一転、目元に暗い影を落としたままブツブツとぬるぽの技術解説を行なっている。
 これはマナーの問題だが、他人が好きなものを貶してはいけない。
 いいねリスは今正に、彼女の地雷を踏み抜いてしまったのだ。
 
「私、ちょっと怒りましたよ? 絶対に「いいね!」とはいえないだろうバッドプラクティスの山で、「いいね!」を言えないようにしてみせます!」
 瞬間、彼女を取り巻く虚空にジジッと雑音を立てて出現する無数の「ぬるぽ」。
 その全てがいいねリスに向かって殺到する!
「いいね……やってみなよ!」
いいねリスも負けじと大量のハートマークを取り出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

初神・ザラメ
●「うるせー! 知らねー!」
おまえらみたいなのがハバ利かせるとこーゆー場所に
カモじゃねーやみんなよりつかなくなるっつってんの
ちょっと考えりゃワカるだろ?
食い尽くしたらハイ次とかイナゴかよ
おまえらマジ脳ミソインセクツだわ

※自分は棚上げ
恫喝や挑発、クライミング(登攀)ならぬクライミング(犯行)あたりで

●「ふぁぼれよ、好きなだけ」
エレクトロレギオンを展開し
たくさんの"フォロワー"とともにリアル炎上(?)させます
自身も攻撃する合間にちょこちょこ撮影し
『恥知らずなカイジンがいた!』とでも

「ザラメのオモチャすげーべ、ふぁぼってイイよ」
「公開処刑、リアルでかネットでかどっちがイイ?」
ギヒャヒャヒャ



宙を埋め尽くすハートマークとぬるぽAAの乱舞。
 それは雪の様に、嵐の様に、広場の至る所で衝突を繰り返し、連鎖する小規模な爆発の明かりが、猟兵達に今は深夜だと言う事実を刹那の間忘れさせる。
 その時、よりによって両者のど真ん中に割り込んできた影がある。
「うるせー! 何ドンパチやってやがる!」
 背後に背負った爆風と赤光が、女のギラ付いた赤と金のシルエットを浮かび上がらせた。
 先程まで怪人達からカツア……基、募金を募っていた初神・ザラメ(探命・f02625)である。
 いいねリスが怪訝そうに目を細める。
「なんだい? ヤンキーに用はないよ?」
 
 刹那、
 いきなりザラメの電脳ゴーグルからシャッター音が鳴る。

 彼女は良いねリスには目もくれずホログラムキーボードを操作すると、
タン…...
と何かが完了したとでも言う様にエンターキーを叩いた。
「あのなぁ、おまえらみたいなのがハバ利かせるとこーゆー場所にカモ……じゃねーや、みんなよりつかなくなるっつってんの。ちょっと考えりゃワカるだろ? 食い尽くしたらハイ次とかイナゴかよ」
「今カモって言った!?」
「言ってねーよタコ、つまりあれだぁ」

「テメェの公開処刑はリアルかネットかどっちがいいか選ばせてやるって話だ……あ、ごめんごめん、ネットはもうやっちまったんだったわ。後ぁリアルしか残ってねぇなぁ!ギヒャヒャヒャヒャ!」
 額に手を当て、電脳の道化師は狂ったように嗤う。
 同時、彼女の背後に滝でも出現したかの如く大量のホログラムウインドウが一斉にその眼を開けた。
 映し出されているのはキマイラフューチャーに存在するありとあらゆるSNSや動画投稿サイトだ。そこに一様に同じタイトルの動画が投稿されている。

【恥知らずなカイジンをボコってみた】

 いつの間に撮影したのだろう。
 いいねリスがこの場に現れてから今この瞬間まで、猟兵達との一問一答の中で彼の転売計画が悪意百%の編集でバッシングされていた。
 ご丁寧に動画の最後は、カメラ目線のザラメが満面の笑みで、
「はぁーい❤️ じゃあこれからぁ、このヴァカ!を、みんなでリンチしてみたいと思いマァース」
 と言う悪趣味な犯行声明で締めくくられている。
 画面上のRT(リツイート)といいねの数を示すカウンターは止まるところを知らず、瞬く間に数千を超えた。
 今尚勢い衰える事なく増え続ける数字にいいねリスがたじろぐ。
「なんで……なんでだよ! なんでそっちにいいねが付くんだよ!」
「わかんねーのかよ……おまえマジ脳ミソインセクツだわ」

 良いねリスが舌打ちをしながらザラメを指差す。
「チッ……要するに君も良い子ちゃん気取りのお節介野郎か! そろそろ僕もうんざりだよ!」
 激昂するいいねリス。
 その身体から無数の分身が生み出されると一斉にザラメに襲いかかる!
「ハッ! 流石脳ミソインセクツ野郎は言う事が違げぇな! とっととミートパイにでもなりやがれってんだ!」
 ザラメはエレクトロレギオンを召喚すると凶悪な笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フルム・サーブル
リスらしく尻尾を巻いて退散する…わけでは、ないんだね
尚立ち向かう意思は褒めてあげないでもない

しかし、往生際の悪さはかえってエレガントさに欠けるね
なるべく少ない手数で終わらせたいところだ

そうだね、実況もあるようだから、残酷な戦いにならないようにしよう
妖精さんのたしなみでこの条件に従うことで能力強化
今度は一撃で仕留める――!(※結局殴る)

もし次があるのなら、君自身の作品で勝負するべきだったね
無駄に沢山の手下も要らない、お金はその場でやりとり
君自身の承認欲求も満ちる、一般参加の人も嬉しい
win-win-win-winぐらいまでありえるんじゃない?



 猟兵達の猛攻もさる事ながら、ネットを介した一般キマイラ達からの総攻撃はさしものいいねリスも堪えたのだろう。
 額に輝くハートマークの光に、徐々に陰りが見え始めた。
「バカな……だって、みんな僕のところから買っていくじゃないか……僕は……感謝されて然るべきじゃないのか……?」
「そろそろ認めたらどうだい。実は……自分は傍迷惑な存在じゃないのかって」
ザラメの展開した画面を前に、フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)は再度、いいねリスに苦言を呈した。
 
「うるさい……五月蠅いうるさい煩いうるさあああああああいいいい!!!! どいつもこいつも誰のお陰で大した苦労もせずに目当ての新刊が手に入ると思ってるんだ! 僕がどれほど苦労してここに来ているかも知らずに文句だけは一丁前に付けやがって!」

 はじまりは、とあるサークルの本が、偶々被ってしまった事だった。
 既に観賞用と保存用は揃えてある。
 余ったもう一冊をどうしよう……同人ショップに持っていっても大した値段にならないし……そうだ、オークションに出せばいいんだ!
 
 これが、あくまのささやき。

 本を探す楽しみは、商品を物色する仕入れに変わった。

 一緒に行く友達は、効率良く回収する為の駒に変わった。

 掘り出し物を見つけた喜びは、値段を釣り上げる策略に変わった。

 全て、全て、自ら踏み入った修羅の道。
 気付けば周りには………だれもいない。

 つぶらな瞳に狂気じみた怒りを滲ませ怒鳴り散らすいいねリス。
 最早狙いなどない、手当たり次第に撒き散らされたハートマークが夜空をこれでもかと埋め尽くす。
 フルムは、哀れな物を見るような目で肩を竦めた。
「往生際が悪いね……全く、エレガントさに欠ける。そろそろ可哀想だ、今度は一撃で仕留めてあげるよ……」
 彼は思う。
 それは、やはり歪だと。
 フェアではないし、自分だって楽しくない。
 そんな【効率主義】はだいっきらいだ。
 
「ガフッ!?」

 ハートマークの合間を縫い、再び標的に突き刺さらんと全体重を乗せ突撃したフルムの拳がいいねリスの鳩尾に突き刺さった。門歯の隙間から咳き込むように血霧が噴き出す。
「もし次があるのなら、君自身の作品で勝負するべきだったね。
 無駄に沢山の手下も要らない、お金はその場でやりとり。
 君自身の承認欲求も満ちる、一般参加の人も嬉しい。
 win-win-win-winぐらいまでありえるんじゃない?」

 既に、彼は虫の息だった。

 夜明けは、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・冬夜
眠いしめんどくさいしアイツ先に帰っちまったし…
しょうがねえ、とどめさしてやるか

【ガジェットショータイム】で敵の眼前に小型爆弾のガジェットを出してビームに当て爆発させる
何がいいねだ!去ねやオラァ!!

最後にSNSにアクセスして、サークルからのネット通販や増刷、再販、転売禁止のお知らせ等をたくさん表示
こういうのって、単純な利益だけじゃなくて好きなものを同士と共有するのが一番の目的なんだろ?
道を踏み外した時点でこうなるんだよ

ふわぁ…寝よ…帰る…



 黒木・冬夜(玄冬・f06002)はやる気がなかった。
 まずは時間だ。なんと時刻はもうすぐ四時を回る。
 彼にとってはもう夜ではなく明け方だ。
 当然、終電等逃して久しく、最早近場で寝床を探すしかない。
 因みに先程までいた相方の少女は既に帰りの途についていた。
 つまり、既に彼がこの場に留まる意味は一切無い。

 故に。
 茫然自失とした様子で、それでも最後に残った新刊への執念を胸に、こちらへ向かってくるいいねリスにも最早何の興味もないのだが、
「はぁぁ〜……しょうがねぇなぁ、トドメぐらい刺してってやるか」
 欠伸をしながら、首の骨をゴキリと鳴らした。

 クモの巣状のヒビが入ったハートマークが激しく点滅を繰り返す。
 足が棒のように重い。
 視界は千々に乱れ、最早どっちに歩いているのかすら解らない。
 しかし、これだけは解る。
 自分は目的を達しておらず、それを邪魔する奴がまだ残っている。

「はぁ……はぁ……どけよ……僕は新刊を手に入れなくちゃいけないんだ……」

 目の前の男は此方に見向きもせずにスマホでSNSなんぞ見ている。
 ふと、男が此方に視線を向けると気怠げな動きでスマホの画面を向けてきた。
 表示されているのはサークルからのネット通販や増刷、再販、転売禁止のお知らせ。
「俺は良く分かんねぇけどさ。こういうのって、単純な利益だけじゃなくて好きなものを同士と共有するのが一番の目的なんだろ? 道を踏み外した時点でこうなるんだよ」
「いいから……どけって言ってるだろおおおおおおお!!!」
 いいねリスのひび割れたハートマークが広場を真昼の如き明るさで照らした。
 渾身の力を振り絞ったいいねびーむが冬夜に発射されようとした刹那!
 
 いいねリスの眼前、ほぼゼロ距離に爆弾が出現した。
 いいねボムではない。
 冬夜の召喚したガジェット爆弾である。
「ぁ……」

 時、既に遅し。
 何が起きたかすらも解らずに、ビームがガジェット爆弾を貫き、爆炎と共に粉々に砕け散ったいいねマークが空に吹き上げられ、明けの明星へと光って消えた。

「へっ、何がいいねだっつーの。ふわぁ…寝よ…帰る…」

 薄闇の中、ちらほらと始発電車の準備が始まる駅に向けて、ようやく冬夜は帰途に付くのだった。
 
 さぁ! 祭りの始まりだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『レッツ☆キマイラ流パーティー!』

POW   :    おいしいものを食べるぞー!!(壁から出てきた食べ物を食べる)

SPD   :    インスタント・ファッションショー(壁から出てきた衣服で遊ぶ)

WIZ   :    キマイラリゾートを満喫(リラックスしたり、キマイラと遊んだりする)

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「只今より、2018年度、冬のコミックフェスタを、開催致します」

 ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!

 晴れ渡る年末のア・リアーケに無線を通じて準備会から開催の通知が成された。
 昨夜の激闘が嘘の様に、会場には夥しい数のキマイラ達が押し寄せている。
 列整理の準備会スタッフに連れられて、ぞろぞろとまた新たな待機列が生成された。
 屋台を広げて美味しそうな匂いを漂わせる物も居れば、ダンボール満載の商品を運び込むサークル関係者もいる。
 会場の中でも、そろそろ設営の準備が整っている頃だろう。
 勿論その中には猟兵達も混ざっているはずだ。
 一般参加として待機列に混ざる者。
 コスプレイヤーとして更衣室で準備に余念がない者。
 或いはサークル参加として会場内で待ち構えている者。

 さぁ、君はどうする?
フルム・サーブル
一度帰って始発でまた来たよ
僕が帰ったあとに親玉も討伐されたみたいで、良かった良かった

さて、僕は創作系のSPを回るよ
故郷のアックス&ウィザーズを思い出す幻想系もいいけど
今僕の中ではサムライエンパイアがアツくてね
何かそういう感じのイラストや小説の本があるといいなぁ
あとはドール雑貨のところで日常品を買おう
40cm級用のは僕らでも使えたり着られたりするからね
(出会えたアイテム詳細はお任せします)

僕みたいな小さな体躯でこういう即売会系は鬼門に見えるかもしれないけど
妖精さん標準装備のフェアリーランドがあれば万事解決!
たくさん買っても、帰ってから取り出せば大丈夫だよ



「いやぁ、無事親玉も討伐出来ていた様だし、よかったよかった」 
 大勢のキマイラ達が行き交う東ホールの一角。
 キマイラ達の合間を縫う様に飛び回るのはフルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)
 因みに今日はちゃんと始発で来ている。
 睡眠時間はほぼ無いに等しいが、フェアリーサイズだと網棚で寝れたりもするのでそこは抜かりがない。
 最も、考えることはみんな同じなので雑魚寝もいいところなのだが……
「さて、創作系のサークルは……あぁ、もう少し向こうだな」
 どうやらお目当てはオリジナル系の本らしい。
 故郷のアックス&ウィザーズを彷彿とさせる幻想系も勿論捨て難いのだが、最近の彼のマイブームはサムライエンパイアだ。
 取り敢えず目を付けていた壁サークル【歩く奉行所の会】で「東海道五十三次絶景ウキヨエ総集編」をゲット。近くの【め組の筋肉】では小説「仁義なき剣客商売」の新刊も手に入れた。
 
 あーっと! しかしここで問題発生!
 フェアリーの体格で持ち歩くにはちょっと本が大きすぎるぞ!
 どうするフルム選手!
 おっと、しかし何やら秘策があるようです。徐に壺を取り出すと……何と戦利品を次々と吸い込んでいく!! これなら持ち運びにも困りません!

 え、っていうかズルくねそれ? コミフェス最強装備じゃね?

「そうだ、ドール雑貨の所にも行くんだった。あの辺なら僕でも着れそうな服がありそうだしね」 
 彼は次のサークルへと足を進めるのだった。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マヒル・シルバームーン
始発で来ました
今回は一般参加ですわ

冬夜さんはかさばるので…もとい、お疲れのようでしたので置いてきました
ぼっち参加ですが、他に参加者の方がいれば一緒に回るのも楽しそうですわね

混雑するでしょうが、ゴスロリ(私服)で【存在感】をアピールしつつゴージャス&ファビュラスに参りましょう

わたくしのお目当てはもちろん女主人×男従者の本ですわ
創作、二次問わず探します
騎士と姫、執事とお嬢様…色々な主従の形がありますわね
時にはロマンスに発展したりして…!
ああっ、原作も良かったですが、二次創作ならではのこんな関係も尊いですわっ!
漫画も小説も、良い本に出会えることを【祈り】ましょう

本が買えたらホクホクで帰ります



「はい列通りまぁぁぁーーーす!!列通りまぁぁぁーーーす!!!」
「すいませんD-34の最後尾ってどこですか?」
 広大なホールは何処もかしこも大盛況だ。場所によっては足の踏み場すらない所も珍しくない。珍しくないのだが……マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)の周りだけはその限りではなかった。
「お、おい……おい、あの子めっちゃ可愛くね?」
「ほんとだ……あれ何のコスプレだっけ……」
「さぁ……そもそもあんなキャラいたっけ? 俺見た事無いぞ」
 キマイラ達の扮するコスプレイヤーとは一線を隠す、滲み出る存在感に自然と目の前の人集りが割れ道ができていく。
 豪奢な漆黒のゴシックドレスの裾を揺らし、楚々と歩みを進めるその挙動には一切の迷いはない。

 無論である。彼女にとっては正に今日こそが天王山。

 どれだけ効率よく、最短のルートで、より多くのサークルを回れるかが勝負なのだ。
 情報を制すものは戦いを制す。その為のリサーチだってバッチリだ。 

 いざ行かん、【主人(♀)×従者(♂)カップリング】の楽園へ!!
 
 まず目を付けたのはサークル【インスタント魔王】の新刊。政略結婚として嫁ぐ先の若き国王と幼馴染の新鋭騎士団の騎士との間で揺れる姫の葛藤を描いた小説だ。
 続くサークル【マントヒヒ工務店】では老執事と幼いお嬢様のほのぼのとした日常が描かれているシリーズ4コマ「爺日記3」も手に入れた。
 その時、マヒルの眼が尋常ではない速度で一つのブースに吸い寄せられた。
(こっ……これは!? 去年の【キマフューこのコミックがすごい】でランキングを総嘗めにした【プリンスが大渋滞】!? しかも姫×料理人カップリングですって!)
 予定にはないが勿論速攻でお買い上げである。
 宵越しの銭は持たないではないが、コミフェスで財布の紐を締めるべきではない。(嗚呼っ、原作も良かったですが、二次創作ならではのこんな関係も尊いですわっ!)

 まだまだお嬢様のお買い物は終わりそうにない。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

リダン・ムグルエギ
【GOATia】のお友達と
バーガーコーラに山盛ポテトとザラメちゃんの好物を買って合流
労いの食べ歩きよ
「あの炎上攻撃は酷かったわねー
実に過激でザラメちゃんらしいわ」

自分の目的は衣装アクセ系
普段アース式の服をデザインしてるからA&Wとかのは凄く惹かれちゃうの
でも折角友達と来たんだし普段見ないものも見たいわ
おススメは何かある?
変T…宇宙ネコT…ダサ良いわね

「お、ネオンちゃんだ。やっほー、何を買っ…」
隠した…ここは聞かぬが花ね
助けを求める視線を受けたら
「あ、アタシが買うようお願いしたの。それより向こうにネオンちゃんに似合うヘアピン売ってて……
と庇って、後であらぬ疑いをかけられたりしちゃうわ

アドリブ歓迎


初神・ザラメ
【GOATia】
ぶっちゃけザラメこーゆうフェスあんま興味ねーんだけど、
なんかゲームとかもあるらしーじゃん? 守護らなきゃって。
他意なんか(あっても口に出さ)ないない。
ファッション系あっちか、行こーぜ行こーぜ。
変Tでイイのねーかな。
(道すがらキマイラたちが何を買ったのか"盗み見(盗み/早業)"。
基本的に他人の趣味には頓着しないので、
笑ったり引いたりしつつもすぐに掏り戻します。
気分で趣味が反対っぽい者同士のアイテムを入れ替えるテロ)

●ネオがなんか大事そーに抱えてる薄いのが気になるんで、
ザラメは全力でおっかけたり奪ったりしたい。
ナゼユエにって、そりゃネオが逃げるからだよ。
だからゆえに。(理由が薄い)


ネオン・スクアーロ
【GOATia】の人達と
コミケ…ずっと来てみたかったんですよね。誘ってもらえて嬉しいです。
せっかく来たからにはその…やっぱり…薄い本をいっぱい買って帰りたいです…っ。
・行動
海系キマイラの薄い本を重点的に買いに行きたいです。(内容お任せ)
恥ずかしいのでこっそりと買いに行きます。
エッチな牙や尾びれが見えたら表紙買い。ホクホクです
無事に買えたら皆と合流して色々見たり買ったり楽しみたいですね。

戦利品は見られないように必死に体や尻尾で守る
ゲ、ゲームの攻略本です…などと言い訳。
逃げ…たいけど走ったら迷惑に…うう…。
近くに察してそうな人がいれば泣きそうな視線で助けを求める
アドリブ歓迎


マリア・テミルカーノヴァ
サークルで参加します。(WIZ使うと思います)

サークル「Code for You」というサークルで技術系同人誌を出します。
このジャンルは縁の無い人にはわからないかもしれませんが、それ専門のイベントが開かれるなどわかる人にはわかるジャンルです。

今回の新刊は「スマホアプリ作ってみた」本です。
この本を書くためにいろいろプログラム書いて、スマホアプリを審査に出して何回もリジェクトされて、そして原稿書いてと大忙しでした。
無事アプリも本もできてよかったです。

完売は難しいかもしれませんけど、20部ぐらいは出てほしいですね。
この本を買いに来てくれる人がいることを祈っています。



●チーム【GOATia】

 毎年数万と言うサークル、何十万と言う一般参加者が訪れるコミフェスには実に様々なものが売っている。
 本と言うカテゴリーに絞ったとしても、小説、漫画、写真集、画集、評論本、実用書、暴露本と実に多種多様だ。
 その中でも同人であるが故の魔境。そしてそれ故の激戦区というのもまた存在する。
 そう、巷では「薄い本」だの「ウス異本」だの様々な異名を持つ禁忌の書物。
 エロ本である。

 ここにもまた、そんな魔境へと赴く事を夢見、満を持してア・リアーケの土を踏んだ者がいる。
 名前を、ネオン・スクアーロ(芋スナザメ🦈・f12521)と言った。
(コミケ…ずっと来てみたかったんですよね……せっかく来たからにはその…やっぱり…薄い本をいっぱい買って帰りたいです…っ)
 普段はオンラインゲームの中に生息していると言ってもいい出不精な彼女。この日は旅団のメンバーに誘われて来ていた。
 しかし、まさか皆の目の前でエロ本を買う訳にはいかない。
 これは極秘ミッションなのだ。失敗は許されない。
 迅速に目標物を回収した後合流し、バレずに自宅まで帰投する事。
 以上だ。健闘を祈るネオン軍曹!
 Sir、yes、sir!
 脳内会議をそう締めくくると丁度目当てのサークル付近まで来ていた。
 まずはサークル【シジミ様を崇める会】で人気ソーシャルゲーム「マーメイドマスターズ」の二次創作本をゲット。新刊は人魚のアイドルがタコとイカのプロデューサーに枕営業を強制されて触手責めにされるニッチ全開な内容の様だ。
 序でにその並びにある別のサークル【煮こごり大明神】でシャチ怪人とイッカク怪人から調教を受けるジンベイザメキマイラの本も手に入れた。此方はオリジナルシリーズ。
 彼女の財布が瞬く間に軽くなり、代わりにどんどん荷物が増えていくのだった。

 一方その頃、別の【GOATia】メンバーはと言うと……外周部の屋台通りで休憩中だった。
「はーいザラメちゃんお待たせ。バーガーコーラと、山盛りポテト」
 整然と並んだキッチンカーの前、縁石に腰を下ろして待っていた初神・ザラメ(@thuglife-zlm・f02625)に声を掛けたのはリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)。
「おぉーサーンキューリダンー。え? マジでオゴリ?」
「まぁね、労いよ。労い」
「ッシャ! ゴチなりやぁーす!」
 喜色満面でバーガーに齧り付くザラメを横目にリダンはコーラを一口。
「それにしても、私も昨日……あぁ時間的に今日か。動画見たけど、あの炎上攻撃は酷かったわねー。実に過激でザラメちゃんらしいわ」
「へっ、あれぐらいで丁度いいんだよ、あーゆうバカは」
「でも意外ね。コミフェスに興味があったなんて」
「いや? ぶっちゃけザラメこーゆうフェスあんま興味ねーんだけど、なんかゲームとかもあるらしーじゃん? 守護らなきゃって」

 一応彼女の名誉の為に言っておこう。他意はない………らしいです。
 
「ふーん……ま、そういう事にしておくわ。さて、そろそろ中に戻りましょうか」
「あぁ、ファッション系見にいくんだっけ。行こーぜ行こーぜ」

●不幸な遭遇
 再び会場内へと戻ってきたリダンとザラメは服飾雑貨サークルの集まるエリアに来ていた。
 サムライエンパイアの着物に大胆な現代風アレンジを取り入れたドレス、スペースシップワールド製のクリスタルアクセサリー、A&W原産の植物で染めたスカーフ。
 ここでも並ぶ商品は様々だ。
「ザラメちゃんおススメある?」
「変Tイイのねーかな」
 ザラメが物色するのは変Tと呼ばれるネットスラングやネタ画像等がプリントされたTシャツを扱う、その名もサークル【Tシャツ紳士】。
 リダンが宇宙をバックに瞳孔を限界まで開いた猫がプリントされたTシャツを手に取った。
「…………宇宙ネコT………ダサ良いわね」
 どうやらお気に召したようである。

 ふと、そこでザラメが何かに気付いた。
「お、あれネオンじゃね?」
 見ると向こうから別行動を取っていたネオンが歩いてくるのが見えた。
 戦果は上々らしく、トートバックを重そうに持っている。
「お、ホントだ。やっほー、何を買っ…」

「ヒッ!? リ、リリリダンさんザラメさん!?」

 はんのうがおかしかった。

 ネオンは持っていたトートバックを胸に抱えると二人の視線に触れないようにする。
(隠した……)
(隠したな……)
「え、えぇっとですね……これは、その、ゲームの攻略本で……」
 ザラメが悪魔の笑みを浮かべるとネオンににじり寄る。
「へぇ〜〜…ちょっと見してみ?」
 後ずさるネオン。
 にじり寄るザラメ。
「こ、これだけはダメなんですぅぅぅぅぅぅ!!」
 ネオンは、逃げ出した!
 しかし、回り込まれてしまった!
「だぁ〜いじょうぶだって。ちょっとだけだから」
「う、うぅぅぅぅぅ」
 切羽詰まったネオンが周囲を見渡す。
 何か、何かないのか。この修羅場を切り抜けられる何かが。
 彼女の視界に、一つのサークルが目に入った。

●サークル「Code for You」
 マリア・テミルカーノヴァ(電子の海を彷徨う光・f00043)はサークル側として参加していた。晴れていいねリスから「妙なクソサークル」と酷評された汚名も返上し、後は今回の新刊を頑張って捌くだけだ。
 因みに今回の新刊は「スマホアプリ作ってみた」本。
 スマホアプリのコードを一から書き、マーケットの審査を通すまでの一連の流れが詳細に書いてある。
(さて……買いに来てくれる方がいれば良いのですけど。完売は難しいかもしれませんけど、20部ぐらいは出てほしいですね……)
 そんな彼女の願いを知ってか知らずか。
 早速サメのキマイラの女性がマリアのサークルを訪れた。
 何故か物凄く息を切らしている。
「あのッ!! 新刊全種類下さい!!」
「は、はいっ!」
 つられて此方も慌てた感じで返答してしまう。
 彼女は代金を払うと新刊を引ったくる様に受け取り、持っていたトートバックに入れた。
 そそくさとサークルを離れていってしまう。
 後には何が起きたのか分からずポカーンとしたマリアだけが残された。

●苦肉の策
 ネオンは今し方買った技術系同人で自らの薄い本の束をサンドした。
 そして追い付いてきたザラメに向き直ると、カムフラージュした薄い本の束を掴み、タイトルだけが見える様にトートバックから取り出した。
「はい……こういう奴ですけど」
 訝しげなザラメの視線が痛い。
「ふぅ〜〜ん……スマホアプリねぇ……」
 一頻り表紙を眺めると溜息を一つ。
「ま、この辺で勘弁してやるか。オラ、リダンのとこ戻んぞ」
 目を閉じ肩を竦めたその様子に、ネオンは心底安堵した表情を浮かべた。
 
やった……守りきった!
 
思えばそう油断したのが良くなかったのだろうか。
 此方に背を向けたザラメを追おうとしたネオンの足が、通りすがりの一般キマイラの足と絡んだ。
「ッ!?」
 バランスを崩し転倒してしまうネオン。
「…………………ネオン、お前」
 頭上からザラメの嗤い声が降ってくる。
「意外と激しいの好きなんだなぁ」
「へ………?」
 果たして顔を上げたネオンが見たものは……床に散らばる今日の戦利品(薄い本)達だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日
宿敵 『いいねリス』 を撃破!


挿絵イラスト