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無邪気な問いかけ

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●無邪気な問いかけ
 少女の姿をしたものが問う。
「人は何故、死を恐れるの?」
 知りたいと、興味があるのだと、瞳を輝かせて無邪気に問いかける。
 上段の間でくるくると回り、花色の衣装を靡かせ、どうして? どうして? と自分に酔った様子で言葉を繰り返す。
「人はどうして、涙を流すの?」
 問いかけられたのは下段で控える首から上の無い狐たち……否、狐の妖だろうか。命あるものすべてを呪ってやらんと、どす黒い気配を漂わせている。
 首から上のない狐は主の問いかけに答える口を持たないが、くるくると回る少女は気にした様子もない。
「人はどうして、憎しみに身を焼くの? 嗚呼、どうしてだろう? どうしてだろう? 知りたい、知りたいわ」
 くるくると回っていた少女は不意に止まると天を仰ぐ。
 ただ知りたいと、知るためにその様を見たいと、天を仰ぐ。
 そんな主の願いを叶えるために、狐の妖たちは立ち上がる……人々を襲い、殺し、奪い、跪かせるのだ。
 それが自分たちに出来る唯一つのことであり、主の願いを叶える唯一の方法なのだから。

●相容れぬもの
「知りたいことっていっぱいあるわよね?」
 グリモアベースに集まっていた猟兵たちへ、八幡・茜は問いかける。
 知りたいこと……それは人それぞれに色々とあるだろう。明日の天気、気になるあの子の心、人気の取り方、そう様々だ。
「でも、その知りたいことの為に誰かが犠牲になるのなら。放って置けないわよね!」
 知りたいことを指折り数えて考えている様子の猟兵たちに大きく頷き、茜はぐっとこぶしを握る。
「そんな訳で、サムライエンパイアで村一つが滅びる事件が起こるわ!」
 何がそんな訳なのか、それは分からないが、こんなことを言い出したのなら何かを予知したと言うことだろう。
「オブリビオンである『妖狐』小町の願いを叶えるために、彼女の配下である狐の妖たちが村を襲い、その村を支配下に置いてしまうみたい」
 支配下に置く方法はもちろん、虐殺と恐怖をもってだ。
 それだけが狐の妖ができることであり、小町の願いを叶える方法でもあるのだから。
「幸い、狐の妖が行動を起こす前に現地にたどり着くことができるわ」
 しかし、当然そんなことをさせる訳にはいかない……何とかならないのかと問う猟兵の視線ににっこりと応えて茜は子細を語りだす。
「そして小町が支配する城へ侵入する方法もすでに考えてあるの! ふふふ、皆には旅芸人の一座に扮してもらうわ!」
 胸を張って自信満々に城へ侵入する方法を茜は語る。
 小町は好奇心が強いので旅芸人に扮せば簡単に城へ入れるだろうと言うのだ。
 しかし、ただ扮するだけでは城へは入れない……城の手前、配下の狐の妖の前で小町に見せるに値する芸であることを証明しなければならない。
「認めて貰えれば、城の中に招き入れてもらえるわ。中には入れたら配下の狐の妖を倒しつつ大広間を目指すといいわ!」
 城に入った後は狐の妖を倒しながら小町が居る場所を目指すことになる。
 狐の妖は数が多いが、奇襲に対して準備ができていない……相手の体制が整う前に確実に仕留めながら大広間を目指すと良いだろうと茜は言う。
「それで、最後に小町と戦って勝てばすべて解決よ!」
 小町は勿論強敵だ。
 だが、オブリビオンが一体だけであれば猟兵たちが負けるはずがないと、茜は笑顔を向けた。


八幡
 舞台はサムライエンパイア。時間は昼間、天候は晴れです。
 城門で狐の妖を前にしたところからスタートします。

 各章二日くらいで返却できれば良いなと思っています。

 第一章では芸人に扮して芸を披露します。
 同じような芸があればまとめて描写しますが、共同プレイングでない限りは個別に描写したいと思います。

 第二章では狐の妖を相手に戦闘を行います。
 まとめたほうが輝きそうなプレイング単位でまとめて描写したいと思います。

 第三章では『妖狐』小町との戦闘となります。
 なるべく全員まとめて描写したいと思います。

 皆様のプレイング次第ですが傾向としては冒険活劇風だと思います。
 ただ、ボス戦のみダーク方面によるかもしれません。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『芸は身を助く』

POW   :    居合い抜きや演舞、怪力などの芸。

SPD   :    手妻(手品)や曲独楽、軽業などの芸。

WIZ   :    話芸や動物使い、神通力などの芸。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『妖狐』小町が支配する城の門へとたどり着いた一行は、首から上のない狐の妖を前に足を止める。
 狐の妖は一行を警戒するように低く構えるも、旅芸人のような一行の姿に躊躇いを見せる。
 優れた芸を持つものならば主の願望を僅かばかりでも満たせるかもしれない。
 仮に……敵であれば自分がこの場で討たれたとしても、場内の仲間が後の始末をつけてくれるだろう、最悪城門さえ開かなければ何とかする自信はある。
 いずれにしても、相手の出方を伺おう。
 そう考えたのか、狐の妖は相変わらず低く構えたまま、一行の出方を観察する。
御剣・神夜
POW行動

演舞を披露して皆の気を引く
武と舞は共通する部分があるんですよねぇ。演舞、演武なんて言葉があるくらいですから
一応巫女服着てますし、舞えないことはありません
緩急や行動の代償を使って臨場感豊かに舞いましょう
舞い終わったらぺこりとお辞儀して下がる
アンコールを要求されたら、みんなの出し物が終わるまで待ってね。と答えて終わった後、もう一度舞う



狐の妖の前に一歩を踏み出した御剣・神夜は片手を正眼に構え、ゆったりとした足運びで舞い始める。
 神夜は笑顔を崩さぬまま、流れるような動きで拳をつき、次の瞬間には風のごとく身を翻して手刀で空を切る。
(「武と舞は共通する部分があるんですよねぇ。演舞、演武なんて言葉があるくらいですから」)
 武術は芸に通じる。
 時に力で圧倒し、時に誘い込み、時に相手の力を利用する。そのための動き一つ一つを洗練してゆくと所作そのものが美しく見えるのだ。
 ましてや、神夜は戦巫女……となれば、舞のように技を組み立てた武たる演舞はお手の物といえよう。
 事実、緩急をつけ後ろで結んだ黒く長い髪を揺らしながら臨場感豊に舞う神夜の姿は、神に捧げる舞として満足できるものだった。
 勢いをつけ、上半身を捩じった勢いで放った手刀を最後に、徐々に緩やかに足を運び……最後に完全に静止したところで神夜の舞は終わる。
 それからゆっくりと息を吐くと、幾ばくか警戒の解けた様子の狐の妖へ向かって頭を下げる。
「出鼻は上々のようです」
 そして神夜は踵を返すと、仲間たちのもとへ戻りながら笑顔を見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローディア・マシュー
芸は、歌を歌いましょう
親が子を愛するような優しい歌を、関心を引けるような歌を沢山、沢山。

WIZ
【歌唱】で歌を歌います。【時間稼ぎ】と【学習】で狐の妖の様子を見て、反応があった歌の内容に似た歌を歌いましょう。
他の方も歌を歌うのなら一緒に歌えたら嬉しいです。(共同プレイング可)



フローディア・マシューは歌を歌う。
 フローディアが歌う親が子を愛するような優しい歌は、遠い昔に母親から聴かされたようなどこか懐かしい……聞くものの郷愁を呼び起こすものだ。
 目を閉じれば、母の背中を、あるいはその腕の暖かさを思い出せたかもしれない。
 しかし、目の前にいる狐の妖はフローディアの歌に心を揺らされている様子はない。
(「これも駄目ですか」)
 いくつかの歌詞、いくつかの曲調……歌を変えて時間を稼ぎながら、注意深く狐の妖を観察すればするほど、自分の歌が狐の妖の心を動かさないという事実を痛感させられた。
 だが、それでも狐の妖が辛抱強くフローディアの歌を聴いているのは、狐の妖の好みなど関係なく、それが主の興味を引くかどうかで判断しているからだろう。
 フローディアは狐の妖の態度からそこまでを読み取って……最後の歌を歌い終える。
 自分の歌は狐の妖のお気に召さなかったようだが、例えそうであっても主のためなら行き成り襲ってくることはない……そこがわかれば十分だろう。
 フローディアは一礼すると、仲間たちへ振り返って小さくうなずいた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

白寂・魅蓮
旅芸人の一座に、か。こういう事なら普段からやってるから得意分野だよ。
その小町に気に入ってもらえれば城へ入れるんだろう?
こちらの舞踊を見せて魅了できるよう、十分に働いてみせるよ。

小町の前で踊るのは狐を題材にしたものを披露しよう。
「貴女の果て無き好奇心の一つに、是非我が舞を入れてくださいませ」
そうすればより向こうがこちらに抱く印象もある程度動くはずだ。
せっかくだし、舞の最中は小町に対してもそっと笑顔を向けておこう。



こういうことなら普段からやっているから得意分野だよと、白寂・魅蓮は笑顔を見せる。
 目の前にいる狐の妖に認められれば、狐たちの主にお目通りが叶う……ならば舞踏を見せて魅了して見せようと魅蓮は言うのだ。
「是非我が舞を、あなたたちの主に献上したい」
 狐の妖に丁寧にあいさつをした魅蓮は、ゆっくりと舞い始める。
 魅蓮が舞うのは狐を題材にした舞だ。
 時に楽しく、時に悲しく、時に奮い立ち、様々な感情を魅蓮は舞の一つで表現する。
 狐を題材にした舞であれば狐の妖の印象も良いかと魅蓮は考えていたのかもしれないが、狐から見た解釈と人から見た解釈ではものの見方が違うだろう。
 如何に魅力的な舞であろうと、表現するものの印象までを変えることは出来ない。
 それでも狐の妖が何もせずに見物しているのは、主に見せる価値があるかどうかだけを判断基準としているからに違いない。
 魅蓮は舞い終えた後にもう一度狐の妖に笑顔を見せるも、狐の妖の態度が変わることはなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シノア・プサルトゥイーリ
あらまぁ困ったお嬢さんだこと。己の欲のため、貴方に失われて良い命などないというのに。

まずは城への侵入ね。私は歌を披露しましょうか。故郷に伝わる歌。創作言語で作られた歌は騎士の旅路の歌を。話芸と共に遠くを歌えば、少しは興味を持っていただけるかしら。
「これより披露するは、最果てに至った騎士の物語」

念の為、警戒されぬように仮想の土地を使って、配下の狐の妖の数も覚えておきましょう
周辺の警戒も忘れずに。



狐の妖が守る城門の先……青空の中にそびえる城へシノア・プサルトゥイーリは目を向ける。
(「困ったお嬢さんだこと。己の欲のため、貴方に失われて良い命などないというのに」)
 予知に聞いた城の主の姿。それは無邪気なお嬢さんのようだった……だが、その主のために狐の妖が人の命を奪うというのならば、それを放っては置けないだろう。
 シノアは狐の妖の目の前に出てから、大きく息を吸い込み、
「これより披露するは、最果てに至った騎士の物語」
 故郷に伝わる歌を歌い始める。
 それは創作言語で作られた騎士の旅路の歌。
 遥か遠く、未知の世界で繰り広げられる旅路の歌。
 シノアは狐の妖の興味を引くように、時に囁くように、時に大げさに抑揚をつけて騎士の物語を歌として紡いでゆく。
 それは歌を聴きながら、おとぎ話を聴いているような、不思議な感覚にとらわれ……狐の妖の興味を引くに十分だった。
 最後の言葉を紡いだ後に、シノアは一礼をして狐の妖の奥……城の中の敵がこちらを見ていないか警戒するが、特にそんな様子はなさそうだ。
 そのことを確認したシノアは、そのままゆっくりと仲間たちのもとへ戻ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水無月・篝
【WIZ】
疑問を持つこと、それ自体は悪いことではありません。
ですがその答えを得る為に、何も知らない村人が犠牲になることは、
防がなければなりません。

その為の最初の手段が、芸事の披露ですか。
ならば私は、歌を披露しましょう。
御方々に捧げ奉る為に鍛えた【歌唱】技能が、
このような場面で役に立つとは、不思議なものです。

こちらの狐の妖は、どのような歌が好みなのでしょうか?
反応を伺いつつ、様々な歌を披露して、
最も反応の良かった種類の歌で盛り上げましょう。


カチュア・バグースノウ
知りたいことなんて山ほどあるわよ。
全部知りたいって思うことが欲張りなの!人だったら好きなタイプだけどね

衣装は黒で花柄のキモノを着ていくわ
どう!似合うかしら!

黎の剣で剣舞をするわ
桜の葉を切るような、無駄のなく凛とした剣舞
一心集中して、息を1つ
(さぁ、やるわよ)
あたしが目指すのは繊細でいて豪胆な剣舞よ
敵はいない。ただ桜の葉を切る静かな舞

居合ではないから、静かに舞を終えるわ
一礼して、終わり
…練習してきたけど、どうかしら
思わず仲間や周りの様子を伺ってしまう

先に舞が終わったら、ほかのメンバーの手伝いに向かうわ!


千桜・エリシャ
WIZ
なるほど…
ここで素晴らしい芸を披露すればお城の中に入れてもらえる――というわけですわね
そういうお話ならばお任せを
私、芸事なら得意ですもの

ごぎげんよう
私がお見せするのは春宵の舞――皆様を春夜の夢へご案内いたしますわ
花時雨を閉じて、開いて、くるり、くるり
私が舞うごとに纏う桜花が舞い散って、常夜蝶もひらひらと戯れ踊りますわ
ああ、観客へのサービスも忘れてはなりませんわね
流し目でウィンク、誘惑して差し上げましょう
でも触れさせない
私、そんなに安い女ではありませんから

最後の極めつけ――散華繚乱を予め用意していた杭に当てて、花吹雪を起こしてみせましょう
まあ演出ですわよ
こういうものには驚きも必要でしょう?



疑問を持つこと、それ自体は悪いことではない。
 しかしその疑問を解決するために、何も知らない村人が犠牲になるなど見過ごせるはずもない。
 狐の妖の前に出た水無月・篝は、大きく息を吸い込んで……、
(「必ず防ぎましょう」)
 想いを込めた歌声を披露する。
 まずはゆったりとしていて空に抜けるような声色の歌を。
 続いて、荒々しくも悲しい声色の歌を。
 さらには、願いと感謝とこめた囁くような歌声を。
 千とも万とも言われる妖たる神に捧げるために鍛えたという篝の歌声は確かなもので、耳を傾けるものの心をつかんで離さなかった。
 様々な歌声で狐の妖の様子をうかがっていた篝は一通りの歌声を披露した後で、狐の妖がもっとも気に入った様子だった囁くような歌声でもう一度歌う。
 そして歌い終わった後にたっぷりと余韻を残してから、
(「このような場面で役に立つとは、不思議なものです」)
 どこでどんな技能が役に立つかわかりませんねと目を閉じた。

 漆黒の闇に色とりどりの花が咲く……そう思わせるほどに印象的な着物を身にまとって前に出たのはカチュア・バグースノウだ。
「どう! 似合うかしら!」
 などと先に仲間たちに聞いていたカチュアだが、彼女自身の白さと着物の黒さの色合いは絶妙で、ため息が出たほどだ。
 仲間たちの反応に照れたように頬を色づかせるも多少自信に繋がっただろうか、カチュア涼やかな青色の瞳で狐の妖をとらえ、朝を待つ夜を思わせる剣を構える……それから一つ息をついて、
(「さぁ、やるわよ」)
 微かにほほ笑んでから剣を横に一閃すると、剣舞を開始する。
 カチュアが振るう剣の一閃一閃は武骨ともいえる太刀筋だが……桜の葉を切るかの如く無駄なく振るわれる剣は、凍り付くような冬の朝ような清廉さを感じさせる。
 何より腕を振るうたびにカチュアの揺れる髪の毛は、真っ白な風のごとく着物の花にかかり……その花弁を揺らしているかのようで見るものの目を奪うに十分なものだった。
 カチュアは最後に剣を縦に振るうと、そのまま剣を鞘にしまい一礼する。
 それから踵を返して……「練習してきたけど、どうかしら」と仲間たちへ視線をやるも、彼女たちの反応は聞くまでもなく良好そうだった。

(「なるほど……ここで素晴らしい芸を披露すればお城の中に入れてもらえる――というわけですわね」)
 番犬のように自分たちの前で身構える狐の妖を前に、千桜・エリシャは一つ頷く。
「私がお見せするのは春宵の舞――皆様を春夜の夢へご案内いたしますわ」
 それから「私、芸事なら得意ですもの」と薄く笑い、肩に担ぐようにさしていた花時雨を閉じて正面に降ろす。
 そして狐の妖の視界を遮るように、花時雨を開くと……紫紺の夜闇に桜花が舞う。
 開いた花時雨をくるくるまわし、エリシャ自身もくるくると舞う。舞うたびに纏った桜と蝶が風に揺れ……このよく晴れた日の寒空の下にあって、エリシャの周りだけ春の夜桜が咲き誇っているようだった。
 それはあまりにも幻想的で、思わず手で触れて確認したくなるほどのものだったが……そんな願望を持ったものへエリシャは片目を閉じる。
 幻想は幻想であるからこそ美しく、手を触れてしまえば消えてしまうのだと、その蠱惑的な瞳が語っているようだった。
 最後にエリシャは狐の妖の前で花時雨を開いて見せると――仕込んでいたのか桜の花びらを周囲に舞い散らせ、
「さぁさ、これにて終演、御仕舞でございます。満足されましたでしょうか、お客様」
 どこか芝居がかった口調で終演を告げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


狐の妖が城門に手を当てると、城門がゆっくりと開きだす。
 城門が完全に開ききるのを待ってから狐の妖城門の中へ入り……大廊下で振り返って一行が到着するのを待つ。
 一行を待つ狐の妖の居る大廊下には、他にも何体かの狐の妖の姿が見えている、さらに奥にも狐の妖が居るのだろうが、今はまだ出てくる様子はない。
 狐の妖は一行を完全に旅芸人の一座だと思い込んでいるようだ……だがなぜ、この場に旅芸人などが現れたのか。
 人間に対して圧倒的優位を疑わない狐の妖は失念していたのだ。
 主を想うあまりに、主を討ちうる毒を見落としたのだ。
 ――重い音を立てて城門が閉じるのを合図に、一行は行動を開始した。
カチュア・バグースノウ
ふん、後ろには引かせないっていうのね
いいわよ、やってやろうじゃないの!
今度の舞は痛いわよ!

前衛、攻撃手で戦うわ
アックスソードブレイクで攻撃していく
敵の行動で、心眼が気になるわね
あたしの攻撃が避けられたら、仲間に合図をするわ
「今よ!」
逆に仲間の攻撃を避けた直後に注意する
すかさず攻撃するわ
「隙あり!」

見えない波動はどうしようもないかしら…
常に移動しつつ、攻撃を欠かさずにしていく


御剣・神夜
騙し討ち、のようで気が引けますが鬼道も兵法の一つ
油断を突くのは武術でも戦略の一つです。気にする必要はありませんか

神通力、鬼火と遠距離からの攻撃が得意そうなので一気に間合いを詰めて相手に何もさせないで倒すことが理想ですね
まぁ、難しいでしょうが。
心眼で此方の動きを読んでいるかのように避けたとしても、剣術には弐の太刀があります
逃げた方向に野太刀を素早く切り返して追撃しましょう
だてにこんなものを振っているわけではないのです。急停止、急加速させるくらいの筋力は身に着けています
「さて、では今回は剣舞をお見せしましょう。お代は貴方たちの命です」


水無月・篝
無事に城の中に入ることができましたね。
とは言え、まだ作戦は第一段階が終わったばかり。
それに、第二段階は時間との勝負です。
如何に素早く首無し狐を排除できるかが肝要です。
同時に、消耗も最小限に抑えねばなりません。

攻撃は他の方との連携を主眼に動き、
個人としては薙刀による薙ぎ払いにより首無し狐に傷を負わせ、
他の方が安全に止めをさせるようにします。

また戦場全体を把握し、傷を負う方が多くなった場合は、
シンフォニック・キュアで回復をします。
メインを前に、倒れる者を出す訳には参りません。


白寂・魅蓮
どうやら無事に中に入れたみたいだね。
流石にこのまま旅芸人だと押し切るのは難しそうだし、皆の行動を合図にこちらも攻めに転じるとしよう。

狐達が攻めてきたら、【英傑の舞「月下剣麗」】で攻撃を開始しよう。
侍の亡霊を前線に出して斬り払いつつ、大蛇の死霊は自分の周りを徘徊させて、狐達の攻撃に備えるよ。
自身の周囲に味方がいるなら、それも大蛇で守ってしまおう
「人を脅かす狐は、狼に喰われてしまいなよ」

向こうの攻撃は警戒して距離を取りたいところだが、あまり離れすぎても向こうに有利にしかねない。
神通力に気をつけながら距離をつめて、攻撃に移ろう。



大廊下で一行を待つ狐の妖。
「騙し討ち、のようで気が引けますが鬼道も兵法の一つ」
 その狐の妖へ向けて仲間の一人が大道具箱を放り投げれば、その中から各々の得物が姿を見せる。
 ――何が起こったのか?
 それを狐の妖たちが理解するより早く、カチュア・バグースノウは一歩、二歩と足を踏み出すたびに加速し、己の着物と同じ色の斧剣を手にする。
 そしてさらに三歩目を踏み込んで勢いよく狐の妖の目の前に飛び出すと、良く手に馴染んだ黒い斧を振り上げる。
「よいしょ!」
 それから力任せに黒い斧を振り下ろす……が、真正面から突っ込んできたカチュアを、狐の妖は見えない波動を放って吹き飛ばした。
 唐突に正面から突風を受けたかの如く後方に吹き飛ばされるカチュアだが、その口元には薄い笑みが浮かんでいる。
 何故か? その疑問を狐の妖が持つより早くに答えはもたらされた。
 後方に飛ばされるカチュアの左から水無月・篝が月光をかたどったようななぎなたを手に、右から御剣・神夜が彼女の身の丈ほどはある野太刀を手に迫ってきていたからだ。
 篝が三日月を払えば狐の妖の前足が折れ、続けざまに踏み込んできた神夜が野太刀を真直ぐに振り下ろすと、案内役となった狐の妖は真っ二つに割れた。

「これより踊りまするはとある剣士の英雄譚――」
 一体目を仕留めたところで、廊下にいた何体かの狐の妖が迫ってくる。
「鬼夜叉となった一人の無双の剣舞をご覧あれ」
 自分をめがけて突っ込んできた狐の妖を威嚇するように篝が三日月を払うが、狐の妖をそれを読んでいたように飛んで避け、お返しとばかりに爪を振るう。
 しかし……その狐の妖の腹を篝の後ろから突き出された刀が貫き、貫かれて動きが止まったところを真横から現れた大蛇に飲み込まれた。
 篝が一瞬だけ後ろへ視線をやれば、そこには刀を構える侍の死霊の姿があり、さらにその後ろには、それらを呼び出したであろう白寂・魅蓮の姿が見えた。
「やってくれたじゃないの! 今度の舞は痛いわよ!」
 吹き飛ばされたカチュアは召喚した死霊の維持のために舞い続ける魅蓮の真横あたりで、黒い斧を地面に突き刺す。それから黒い斧を持つ手に力を籠めて、己が体を弾丸のように前へ押し出すと姿勢を低くして駆ける。
 そしてゆらりゆらりと緩やかに舞うような動きで狐の妖の見えない波動を避けていた神夜の真横をすり抜け、神夜へ波動を放っていた狐の妖の目の前で黒い斧を振り上げ、
「隙あり!」
 力任せに振り下ろした。
 神夜に集中していた狐の妖はカチュアの一撃に反応すらできず……単純で重い一撃は違わず狐の妖を肉塊へと変えた。
 カチュアの黒い着物に咲いた花が赤く染まり、廊下ごと砕いたその一撃に周りの狐の妖が思わず意識をやる。
「さて、では今回は剣舞をお見せしましょう」
 その一瞬を神夜は見逃さない、緩やかな動きの中で身を低くし――次の瞬間には矢のごとき鋭さで波動を放っていた狐の妖の一体との距離を詰める。
 そして狐の妖に己の愚を後悔する暇も与えずに、豪刀・牙龍を真下から切り上げて……その体を泣き別れにし、
「お代は貴方たちの命です」
 重い音を立てて床に落ちる狐の妖の躯の音を背中に聞きながら神夜は大見得を切った。

 鉱石によって作られた鈴形のネクロオーブを手に魅蓮が舞う。
 腕を振るうたびに、足を運ぶたびに、黄泉の道を開かせるかのような音色が周囲に響き、その音色に呼応するように侍の死霊が斬撃を重ねる。
 だがその侍の死霊とて完全ではない、魅蓮が操る侍の死霊を避けて何体かの狐の妖が魅蓮へ接近し、その内の一体の爪が魅蓮の眼前に迫り……寸前で身を守るように配置した大蛇が狐の妖を真上から飲み込んだ。
「人を脅かす狐は、狼に喰われてしまいなよ」
 狐の妖が大蛇に食われる様に、魅蓮は張り付いたような笑顔を見せる。だが、一体が大蛇に食われている間に、別の狐の妖が再び魅蓮へと迫り、
「まだまだ先があるのだから、消耗も最小限に抑えねばなりませんよ」
 今度は篝が三日月で、その狐の妖をなぎ払った。
 なぎ払われた狐の妖は廊下を転がり、起き上がろうとしたところを侍の死霊の突き殺される。
「お姉さんを信じていたんですよ」
「冗談はさておき、素早く首無し狐を排除できるかが肝要です。油断無くいきましょう」
 篝は、どこか芝居がかった言い方をする魅蓮を軽くあしらってから、妙なる調べを風に乗せて歌を歌う。
 共感したもの全てを治療する篝の歌は、仲間たちを癒し更なる活力を与えるに十分だった。

「信じていたのは本当だけどね」
 魅蓮は舞を続けながら小さく肩をすくめる……奇襲を仕掛けられた形となった狐の妖たちの反撃は散発的で自分たちにとって致命的となるような攻撃はない。
 何より、
「そっち……今よ!」
 可憐ともいえる見た目に反して豪快に斧剣を振り回すカチュアと、
「承知しました」
 流れるような太刀筋で敵を葬り去る神夜の連携は対照的ではあるがうまくはまり、次々に狐の妖を葬ってゆく。
「こちらは任せてください」
 それに加えて歌で仲間を癒しつつ、その死角を守るように動く篝……実に頼もしいお姉さんたちだ。故に、先ほどの魅蓮の言葉は嘘ではない。
「あと一息か、僕も負けてられないな」
 そして魅蓮が階段を下りてきた狐の妖を侍の死霊の刀で切り裂くと……それを最後に狐の妖は現れなくなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『妖狐』小町』

POW   :    妖狐の蒼炎
【青白い狐火】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    クイックフォックスファイア
レベル分の1秒で【狐火】を発射できる。
WIZ   :    コード転写
対象のユーベルコードを防御すると、それを【巻物に転写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


階段を駆け上り、ふすまを開ける。
 ふすまの先には大きな部屋があり、部屋の奥の方で一段せりあがった場所に一人の少女が立ち尽くしていた。
「嗚呼、こうやって人は涙を流すのね」
 少女……『妖狐』小町は天井を仰いで涙を流し、苦しそうに胸元を押さえている。
 こんな思いがあるなんてと、苦しそうに、嬉しそうに、涙を流しながら胸元を押さえている。
「嗚呼、こうやって人は憎しみに身を焼くのね」
 それから一行へ憎しみに満ちた目を向ける。
 己の体を抱きしめるように両手で抱えながら。憎しみ、悲しみ、何よりも嬉しそうに一行を見つめる。
「嗚呼、この先にどんな想いがあるのだろう? 知りたい、知りたいわ。あなたたちが苦しみにもがき、死に直面したとき、どんな感情が芽生えるのかしら?」
 知る喜び。
 その先にある新たなる疑問。
 何より、新たな知識を得るための生贄が目の前にいるのだ……『妖狐』小町は嬉しそうに、本当に嬉しそうに一行へ両手を広げた。
御剣・神夜
知る喜び、なるほど。抑えられない知識欲ですか
貴方は子供と同じなのかもしれませんね。知りたいが故に狂気に走り、純粋であるが故に止まらない
ですが、無法は通りません。それを教えてあげましょう

蒼炎で攻撃してきたら野太刀でさばきつつ距離を詰める
狐火は避けられないなら野太刀を盾にして受け止める
距離を取られての撃ち合いは此方が圧倒的に不利なので一度距離を詰めたらその距離を離されないように立ち回る
零距離から蒼炎、狐火を打たれたら避けられないならダメージを無視して相手を攻撃することを優先する
「女と言えど、一人の武芸者です。死ぬ覚悟は戦場に立った時にできています!!」


水無月・篝
まさか、自身の欲求を満たす為に、配下の首無し狐が倒されるのを放置したのですか?
だとしたら、あまりにも身勝手が過ぎます。
改めて思います。
貴女と私は相容れない、と。
死に直面した時の感情を知りたいのなら、
その身で味わわせて差し上げます。

心は熱くなっていますが、頭では一筋縄ではいかないと理解しています。
なので、御同業の方々との連携を心がけ、
私は牽制に努めたいと思います。
そして、不意の一撃にも耐えられるよう、
全員の体力を高く保つ為に、
合間合間にシンフォニック・キュアで回復を入れます。

全員無事に、この場の小町を滅しましょう。



とても嬉しそうな『妖狐』小町を前に、水無月・篝は軽い眩暈を覚える。
「まさか、自身の欲求を満たす為に、配下の首無し狐が倒されるのを放置したのですか?」
 それから三日月を構え、冷静に……努めて冷静に小町へと問いかけると、小町はとても悲しそうに首を横に振る。
「助けようと思ったの。けれど、あの子たちの悲鳴が聞こえるたびに足を止めてしまった。あの子たちが討たれる度に湧き上がる想いの正体を、その先を知りたかったのよ」
 嬉しそうに答える小町に、篝は小さく息を吐く。
 その回答を聞いて改めて思う――相容れないと。
 この娘は、妖狐の姿をした何かだ。人知の及ばない、人の理解の外にある別の何者かだ。なまじ可憐であるが故に性質が悪い、言葉を発するだけの異形など、醜悪以外の何物でもないのだから。
 だが、だからこそ、一筋縄でいく相手ではないだろう。篝は三日月を持つ手に力を籠めて駆けだすと、
「貴方は子供と同じなのかもしれませんね」
 並走するように、御剣・神夜もまた駆ける。
 あの子たちと呼ぶ狐の妖を見捨ててまで小町は知識を優先した。狂気と言ってもいいほどの知識欲……その欲は純粋が故に止まらないし、抑えが効かない。そして、その純粋さ故に小町は多くの犠牲を出すのだろう。だが、その純粋さは無法を通す理由にはならない。
 だからこそ場で討つと、豪刀・牙龍を下段に構えた神夜は、踏み出すたびに速度を上げる。
 二歩目を踏み出したあたりで篝よりも前に出て、豪刀・牙龍を持つ量の手を大きく後ろへ引く……と、その動きを待っていたかのように、小町の手元に青白い炎が集まりだす。
 集まりだした炎は徐々に大きさを増すが……神夜の方が一瞬早い。左足を大きく踏み込むと同時に引いていた手を一気に眼前まで振り上げた。
 神夜の豪刀・牙龍は違わず小町の体を捉え、右脇腹から左肩までを切り裂き、続けて踏み込んだ篝の三日月が小町の左腕に食い込んだ。
「嗚呼、痛い! 痛いわ!」
 胸元と腕を裂かれた小町は悲鳴を上げる。痛そうに、嬉しそうに……そして悲鳴を上げた次の瞬間、小町を中心に青白い炎の渦が広がった。
 眼前に迫る蒼炎……だが攻撃した直後を狙ったかのように放たれたそれを防ぐ手立てはなく、神夜と篝はとっさに顔を覆うことすら許されずに、蒼炎に包まれた。
「……痛いのは、当たり前です」
 しかし、身を焼き尽くすほどの痛みを受けても篝が膝を折ることはない。痛いのは当たり前だと、その痛みを貴女は仲間と、罪もない人々に強いろうとしたのだと、赤い瞳で小町を見据え、蒼炎を振り払うように三日月を一振りする。
 それから大きく息を吸い込んで……仲間たちを支えるために、歌を紡ぐ。
「ええ、痛いです。死ぬかもしれません。けれど私は――」
 意識を持っていかれそうなほどの痛みの中、篝の歌声によって何とか豪刀・牙龍を構えなおした神夜は小町に向かって一歩踏み出す。
 篝とは対照的な青い瞳で自分を見据え……決して引かないという意思を持って近づいてくる神夜の姿に、小町は思わず後ろへ飛んで……、
「女と言えど、一人の武芸者です。死ぬ覚悟は戦場に立った時にできています!!」
 小町とほぼ同時に踏み込んだ神夜は、まっすぐに腕を伸ばして……小町の腹へ豪刀・牙龍を突き刺した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白寂・魅蓮
尽きる事のない知識の欲、か。大したストイックさだね。
敵ではあるけれどそういうのは嫌いじゃないよ。
だけども君は色々と食べ過ぎた。これ以上迷惑かけられるとこっちも困るし、最後に色々と教えてあげるとするよ。猟兵という存在をね。

蒼炎は上手く距離を取っていなしつつ、狐火は発射される前に距離を詰めよう。
今回は距離を詰められると不利になりかねないから、短期決戦で勝負を決めよう。
【刹那の舞「白夜公」】で距離を詰めつつ、剣舞で一気に勝負を決めに行こう。
「この舞を、君の手向けとしよう」



 腹を裂かれた『妖狐』小町はさらに大きく下がり……猟兵たちと距離をとると、腹から徐々に広がる赤い染みを興味深そうに眺めている。
(「尽きる事のない知識の欲、か。大したストイックさだね」)
 そんな小町の様子を見た、白寂・魅蓮は感心したような、呆れたような息を漏らす。
 敵ではあるけれど、欲を狂気じみたところまで昇華させることは嫌いじゃない。何かを極めたいと願うのならば、少なからず正気を捨てる覚悟が必要なのだから。
 けれども……と、再び魅蓮は息を漏らし、それから意を決したように大きく吸い込むと、
「どうか白夜の闇へと――消えて」
 自身にかつて夜叉と呼ばれた凶悪殺人鬼の魂をまとい、小町へと向かって一気に駆け寄る。
 自分へ駆け寄ってくる魅蓮に気づいた小町は、魅蓮を指さすと指先に作り出した狐火を放つ。
 小町の指先より打ち出される狐火の数は秒間数回、しかし遠目に見れば連なる炎にしか見えないそれを、魅蓮は時に風のように時に柳のように避け、
「?! 凄いわ、全部避けるのね!」
 舞うように小町の懐へ入り込むと、剣舞による剣閃で小町の太腿を削る。
「この舞を、君の手向けとしよう」
 それからさらに眼前に突き付けられた小町の指先……その手首をつかんで宙を舞うと同時に首筋へ一撃。そのまま小町の頭上を越えて背後に回りながら背中へ一撃を加える。
 魅蓮は小さく悲鳴を上げながら前によろめく小町の姿を油断なく見つめ、
(「君は色々と食べ過ぎた。これ以上迷惑かけられるとこっちも困るし、最後に色々と教えてあげるとするよ。猟兵という存在をね」)
 肺に貯めていた息を少しずつ吐きだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

掻巻・紙衾
「何でも知りたい気持ち、知る喜び……僕もわかるよ」
初めての依頼で緊張するけどなぎなたで斬りかかるよ。
「猟兵として色んな世界を見る機会を得た興奮は、どんな本よりも新鮮で楽しいからね!」
僕はまだ6歳だけど『妖狐』小町さんの疑問に、沢山あるだろう答えの一つをあげられると良いな。
「人はどうして、憎しみに身を焼くのか……それはね。人は人の事が羨ましいからだよ」
「羨ましくて妬ましい。人は自分の欲しいものを持っている人を羨んで、嫉妬して、嫉妬の炎で自分を焼いてしまうんだ。過ぎた嫉妬は憎しみに変わってしまう」
僕の話で少しでも小町さんの意識を引いて、その隙にUCで攻撃するよ。
「なんて。母からの受け売りだけどね」



 前によろめいた『妖狐』小町の眼前に、掻巻・紙衾が躍り出る。
 それからなぎなたを一閃しようとするも、小町は紙衾にのしかかるように前のめりに覆いかぶさり刃を避けた。
「っ!」
 刃を避けたとはいえ、柄部で脇腹を強かに打ち付けられ思わずうめき声をあげる……が、それも一瞬のこと。小町はすぐさま青白い狐火を作りだそうとするが、
「何でも知りたい気持ち、知る喜び……僕もわかるよ」
 顔のすぐ横にある小町の耳に向かって紙衾は囁くように、独り言のように言葉を綴ると、小町の肩が小さく揺れた。
「猟兵として色んな世界を見る機会を得た興奮は、どんな本よりも新鮮で楽しいからね!」
 一瞬狐火を作る判断に迷った小町を柄で押し返し、紙衾は再びなぎなたを構える。
 紙衾の言葉に嘘はない。
 色々な世界……本当に存在する世界を見ること。
 それは、本の中で描かれるどんな文字よりも新鮮で、文字だけでは、想像の中では得難い興奮を与えてくれるものだった。
「それは興味深いわね」
 自分の言葉に興味を示した小町に紙衾はさらに続ける。
「人はどうして、憎しみに身を焼くのか……それはね。人は人の事が羨ましいからだよ」
「……羨ましい?」
 己が知らない世界のことを知っている紙衾の言葉は、小町にとって耳を貸す価値のあるものなのだろうか、反芻するように呟いて深く思考するように視線を落とす。
「そう、羨ましくて妬ましい。人は自分の欲しいものを持っている人を羨んで、嫉妬して、嫉妬の炎で自分を焼いてしまうんだ。過ぎた嫉妬は憎しみに変わってしまう」
 そして紙衾は言葉を紡ぎながらも、なぎなたを上段に構え……対象の攻撃を軽減する神霊体に変身しつつ、なぎなたを勢いよく振り下ろした。
 思考の海を泳いでいた小町は、なぎなたから放たれた衝撃波をまともに受けて、
「嗚呼、だから私はあなたのことを憎いと思っているのかしら」
 肩口から裂かれた自分の体を押さえながら、紙衾を見据える……自分の知らない世界を知る紙衾が妬ましいのかもしれないと。
(「なんて。母からの受け売りだけどね」)
 先ほどまでの余裕はなくなってきているのか、笑うこともない小町を前に紙衾は心の中でつぶやいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
キャラシ補足:穏やかさはただの処世術
敵を欺き、煽り、屈辱に染めることに喜びを感じるのが本性


なによりも知ることを大切にしてしまうんだね
いいよ、教えてあげる
死に直面するとどんな感情が芽生えるか
配下と同じ体験すればすぐわかるよ

まずは武具と一体化
黒基調の赤いラインが入った全身甲冑姿へ変身

解放・夜陰を使用し多数の水晶で攻撃
流石に全部防がれたら癪だけど
転写されるのは構わない
これは冥途の土産だよ
人のものを奪う気持ちってどう?俺は楽しくなるんだけど

彼女が浸ってる間に
【怪力】を発揮しながら【先制攻撃】
以降は【見切り】を駆使して【フェイント】かけつつ【2回攻撃】
そうだ、【傷口をえぐ】ってさらに痛みを教えてあげるよ



「なによりも知ることを大切にしてしまうんだね」
 表情に余裕のなくなってきた『妖狐』小町を値踏みするように観察してから、サンディ・ノックスは口を開く。
「いいよ、教えてあげる」
 それからサンディは友人のように、或いは理解者であるような口ぶりで、穏やかに優しく小町へ語り掛ける。
「……何を?」
 あたかも何某かの回答を持ち合わせているかのように話しかけてくるサンディに、小町は荒い息を吐きながらも聞き返すが、
「死に直面するとどんな感情が芽生えるか、配下と同じ体験すればすぐわかるよ」
 サンディは表情も口調も変えないままに言い放つと、刀身、柄、鞘全てが漆黒の両刃剣を小町へ向ける。
「っ!」
 サンディの言葉の真偽は不明だ。だが、サンディの周りに発生した漆黒の水晶は確実に自分を狙うものだろう。小町は反射的に巻物を広げるが、
「残念、これが見えちゃったんだね? 気付かないほうが幸せだったろうに」
 反応が遅い。
 小町に突き刺さった、闇属性の漆黒の水晶の数は百に近い。その一本一本は致命傷となるものではないが、針の筵にされれば話は別だ。
「これが貴方の言う死? 嗚呼、どうなるの? 私はどうなるの?」
 夥しい量の血で床を汚しながら小町はふらふらと後ずさる……だが、どうなるの? と問うその口調は、どこか自分に酔ったように楽し気だ。
「そう。そして、これは冥途の土産だよ」
 死というものを知れてよかったねと、温和な口調を崩さずにサンディは語り掛け、友人のように歩み寄る。
 それから未知の感覚に浸るように自分の手を見つめている小町の目の前まで進むと、
「人のものを奪う気持ちってどう? 俺は楽しくなるんだけど」
 小町の腹、最も傷の深い場所へ小型の黒剣を捻じ込み……その耳元で小さく囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
「人が何故、死を恐れるのかって?
死ねば全てが無駄になる。貴女の積み重ねてきた知識も。
でも安心して。貴女は私と永遠になるの。この子達のように!!」

『リザレクト・オブリビオン』で死霊騎士と蛇竜を召喚。
彼らは私と同じ強さ。つまり技能も使える。
2体に【呪詛】を唱えさせ、小町の精神を削り取るわ。
私と死霊には【呪詛耐性】があるから
この攻撃を転写されても大丈夫。

小町が地に膝を着いたら
悲愴の剣で手首を切って自傷し
死霊の召喚を解除。

最後は私自ら【呪詛】を唱えつつ接近。
呪詛の苦しみで狐火の早撃ちも鈍るはず。
【見切り】からの【衝撃波】でかき消し
抱きしめて 尻尾を撫でながら【吸血】するわ

「これで貴女は私のモノ……❤」



 引き抜かれた小型の黒剣を追うように、腹から黒い血が零れていく。
 『妖狐』小町は思わずといった様子で腹に手を当てるが……血とともに力も零れていくのか、両の脚は自らの重みを支え切れずに折れた。
「人が何故、死を恐れるのかって? 死ねば全てが無駄になる。貴女の積み重ねてきた知識も」
 自分自身の血によって作られた血だまりの中で両膝を折る小町に、ドゥルール・ブラッドティアーズゆっくりと近づく。
 死とは無であり、無の先には何もない。
 それ故に人は恐れる……積み重ねてきたものすべてが無に帰すことを。
 ドゥルールは血だまりの手前で足を止めると、嬉々とした表情で両手を広げて、
「でも安心して。貴女は私と永遠になるの。この子達のように!!」
 死霊騎士と蛇竜を呼び出す。呼び出された死霊騎士たちはドゥルールの指示により呪詛を唱え始め、
「……何を……」
 小町は、対抗すべく巻物を広げようとするが……それを持つ力も既にないのか、巻物はぴちゃりと音を立てて血だまりに落ちた。

 もう手を上げる力も無いのか、だらりと両手を下げて成すがままになっている小町の姿に、ドゥルールは満足そうに頷き……悲愴の剣で自分の手首を切る。
 それから一歩二歩と血だまりの中へ踏み入れば、ドゥルールの血もその中に加わってゆく。
「教えてあげるわ、永遠を」
 ドゥルールが近づいてきても小町は微動だにもしない……口元を微かに緩めて項垂れているだけだ。
「これで貴女は私のモノ……❤」
 ドゥルールはそんな小町を抱きしめるように手をまわして、裂かれてはだけた小町の肩口……先ほどまで荒く上下していたその白い肌に牙を立てた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト