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濃い闇の中、ゆらり、ゆらりと松明の灯りが夜風に揺れた。
静寂の中、緊張した空気が張り詰めている。
砦を構えた侍たちは、今か今かと敵を待つ。敵は強大な信長の軍。
空を覆う黒い雲が退き、静かな地上に月光が差す。
光に照らされて光るのは、白狼の艶やかな毛並み。かすかな唸り声が響き渡る。
「敵襲ーッ!!敵襲ーッッ!!構えろ!!!」
物見櫓の侍が狼を確認するや否や、鐘を鳴らして合図をした。同時に、絶望した。
「虎………まさか、あんなに沢山」
敵は狼だけではなかった。後ろに従うのは、首のない白虎たち。ひぃ、ふぅ、みぃ………と一匹一匹数えていられないほど多い。戦力の違いなど、一目瞭然であった。
人間と対峙するのは、山の神と崇められし獣。
強大な信長軍と山神様、自然を操る精鋭たち。ちっぽけな人間を食い潰すなど容易い。
砦に燃え広がり、輝きを増す松明とは裏腹に、侍たちの命の灯火は今にも消えそうであった。
●グリモアベース
「信長軍の動きを予知いたしました」
集まった猟兵たちに、氷雨・燈華(花鳥風月の伝道者・f15066)は呼びかけた。
なりを潜めていた信長軍が最近活発に進軍を始めたのだ。敵の軍勢は全てオブリビオン。その力は無尽蔵で強大。
「砦には数百の侍たちが防衛についているようですが、信長軍の総員はそれをゆうに上回っています。このままでは、陥落は免れないでしょう」
攻めてきたオブリビオンは知能の高い獣たちの軍勢。身体能力の差でも圧倒的不利であるが、それに加えて、信長軍には強力な二体が、一番槍と指揮官として配属されているようだ。彼らの前では一般兵士など塵も同然、砦はあっという間に攻め落とされてしまうだろう。
「………ですが、猟兵の力を持ってすれば、勝てない相手ではありません。寧ろ、向こうからやってきてくれるだけ親切というものです」
燈華は転移の準備をしつつ、振り返って、きっと大丈夫です、とだけ付け加えた。
ツムギとカナメ
こんにちは、ツムギとカナメです。暑い。
今回の舞台はサムライエンパイア。戦って戦って戦う。それ以上でもそれ以下でもないですよ?
侍たちはうまく指揮を取ってやると、集団的くらいは相手できますが、ボス級のオブリビオンには手も足も出ないかと。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ホロケウカムイ・オーロ』
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POW : 汝らを生かしてはおかぬ
【怒り 】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : 森の嘆きと苦悶を知れ
自身に【 森の生物たちの怨念】をまとい、高速移動と【負の感情による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 黄泉の国より甦れ戦士たち
レベル×5体の、小型の戦闘用【 白狼の亡霊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:星野はるく
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「マリス・ステラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
秋穂・紗織
それが、山の神と崇められるものだとしても
決して人の未来という暖かな光を奪うことは許されないのです
戦いという命を懸けたものであるのだというのなら、尚更に
追い求めたいもの、守りたいものの為、この妖刀を抜きましょう
怨魂の葬送に、飾り紐の鈴を舞いて鳴らし
血と夜を斬り散らして
「皆で朝日を迎える為に」
まずは一番槍と駆ける狼を止めなければですね
牽制として殺気と共に衝撃破を放ち、まずは注意を引いて、狼が陣地深くに斬り込むのを止めましょう
当たらずとも、この憤怒の獣神を止められば、それだけで救える命がある
侍の方々にはこの狼は私達、猟兵が相手取ると告げ
常に高速移動で間合いを取り、敵の攻撃は見切りで避けて足止め専念を
たとえそれが、人を統治するために崇め奉られた神であっても、過去が未来を食い潰すことは許されない、と、秋穂・紗織(木花吐息・f18825)は言う。
既に時空の彼方に葬り去られ、冷え切った歴史。今流れ、動きを持つ現在、そして未来から光を奪うなど言語道断である。
戦となれば尚更に。戦いは時に殺生を好む。命を懸けること、即ち、何者かの未来を奪わずして、戦いは成立しない時もある。
だからこそ、彼女は戦う。光を掴むために。
沙織は鞘から刀を抜いた。呪われし妖刀は月明かりを受けて妖しく輝いている。
そして、彼女は刀に飾り紐をそっと結ってやる。ちり、と小さな鈴の音が鳴った。
「……皆で朝日を迎える為に」
ふんわりとした沙織の纏う雰囲気が引き締まる。見据えるは、白い歯を剥き出しにして唸る一匹の狼。
沙織が殺気を放つと同時に妖刀を一振り。狼は発生した衝撃波をひらりとかわすと、眼前の少女による己への明らかな殺意に、全身の毛が逆立つ。
「………神に刀を振るうとは。その冒涜、その身で償ってもらおうぞ」
狼は話しながら顎で合図をする。こちらへ来い、まずはお前からだ、と。
「この狼は私が……いえ、私達、猟兵が引き受けます。手出しは無用です」
近くの侍に一言告げると、刀を構えて一気に間合いを詰める。
「ほう、面白い。我と怨念比べしようと言うのか」
憎悪が神の毛並みの上を滑り、纏わりつき、闇に溶けた。
「さぁ、死、交えようぞ」
大きな遠吠えと共に放たれた衝撃波に、沙織の肢体がびりびりと震える。が、畏怖などしていられない。刀を振るった。
衝撃波を互いに放ち、打ち消し、鈴がちりちりと忙しなく鳴り響く。
時折織り交ぜられる咬合をみきりで避け、獣の鼻先に傷をつけた。艶やかな血が赤黒く光る。
高速の戦闘は常人の目で捉えることはできない。決定打はないものの、凸兵の侵攻を上手く抑えている。防衛戦の要となるだろう。
散るのは鈴の音、紅い華。怨を断つのもまた、怨であったのか。
成功
🔵🔵🔴
比良坂・逢瀬
何時の時代も人間が文明を築く以上、自然との対立は避けられないという事なのでしょうね
貴方達の怨嗟も嘆きも理解は出来ます
しかし過去の存在が蘇り、現在に対して牙を向けるのは世の摂理に反しているでしょう
数多の生命を踏み躙り、其の骸を糧に歴史を紡ぐのが、貴方達とは決して理解し合えぬ人間の宿業であると識りなさい
怨嗟に荒ぶる獣たちの爪牙を<見切り>、<ダッシュ>と<残像>で翻弄します
私の得手とする一瞬の裡に間合いを奪う神速の歩法《地ヲ疾走ル》
怒れる野生の獣の疾駆にも引けを取るものではありません
新陰流の太刀の業をもって過去から還りし獣達の報復の牙を斬り捨てます
獣との闘争が繰り広げられる中、もう一人、刀剣を使う者、此処に。
戦乱の世ではほぼ見かけることのないセーラー服を見に纏った比良坂・逢瀬(濡羽色の令嬢・f18129)。右手に握られた太刀はすらりと美しく。
目の前で行われている、人と自然の闘争。これは人が文明を築く上で、避けては通れない道であろう。
口先ばかり、自然の保護を謳っても、人の衣食住とためには自然を殺す他ない。
もちろん、逢瀬にも自然の怒りや嘆きを理解することはできる。だが、彼女も人間である以上、自然の屍の上に立っているのは必然。
「貴方達の御心も理解できます。………ですが、人間は貴方達とは決して理解し合えないと識りなさい」
それに、ここにいる獣たちはオブリビオン。本来干渉してはいけない存在。
以上を踏まえて、彼らと人間はやはり、相容れない宿命だと。
御託ばかり並べていても仕方がない。逢瀬は逢瀬なりに、ヒトとしての宿命を背負って戦うのみだ。
山の神と距離を詰めていく。走ることはせず、ゆったりとした歩調で。
じりじりと間合いが縮まるり緊張した空気の中、先に仕掛けたのは狼だった。
白く細い脚が地を蹴ったかと思えば、刀を持つ右手を噛みちぎらんと口が開いていた。
その後素早く顎が重たく閉じられた。が、その牙が少女の肉を捉えることは出来なかった。
獣の歯が捉えたのは残像。逢瀬はただ一歩引いた。彼女にとってはそれだけのことだった。
反射的に飛び退いた狼。間合いを取ろうとした獣の判断は正しかった。あのまま留まっていれば首が飛んでいただろう。まぁ、首を飛ばそうとした少女はもう既に横にいるのだが。
逢瀬が会得している神速の歩法によって、距離を開けた狼に合わせて移動。上品で淑やかに。それでいて強く。
一瞬、たった一瞬の出来事。逢瀬が間合いを詰めて太刀を振り下ろしたのは。
太刀筋は見事、獣の首筋を斬り払い、散った毛が夜風に流されていった。
しかし、血を流しながらも、狼の瞳は未だ憎悪に燃え、敵を睨む。
成功
🔵🔵🔴
デナイル・ヒステリカル
ホロケウカムイ……山の神、ですか
確かに強力な個体のようですが、あの一体のみに注力し過ぎてもいけませんね
今回の目的は信長軍による砦陥落の阻止
総数で此方が劣っている以上、亡霊として召喚される小型の狼を野放しにしておくのは得策ではないと判断しました
本体は他の猟兵へと任せ、僕は僕の勤めを果たしましょう
UC:レギオンを召喚
どちらも同じく一撃で倒される耐久力しかないのならば、射程の長い方が有利
野性動物特有の機敏な動きで多少は弾丸を避けられるかもしれません
しかし射程が長いということは、それぞれがカバーし会える範囲が広いということ
弾幕を張って遠距離から確実に数を減らしていきます
山の神との戦いが激しさを増す中、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)の瞳も狼を見据えていた。
だが、彼の意識は本体には集中していない。
「確かに強力な個体のようですが……あの一体のみに注力し過ぎてもいけませんね」
負のオーラを纏った辺りから感じていた。ゆらゆらと揺らめく怨念から、何かが生み出されていることを。
遠いものの、目を凝らせば見えてくる。
召喚されているのは小さな狼だ。『親』と同じく、美しい白の毛が全身を覆っている。
猟兵たちが本体に気を取られている間に、子狼たちをけしかけようとでも言うのだろうか。
真意はわからないが、ともかく、此方の総数が劣っている以上、彼方の手数を増加させるわけにもいかない。
幸いにも、山神の相手は今のところ、他の猟兵がやってくれている。自分は厄介そうな亡霊を始末すべきと判断した。
そうと決まれば早速実行だが、猪突猛進に突っ込んで直殴りにするわけではない。
相手は狼。ボスクラスならともかく、召喚された亡霊は小型なので、近接で応戦してくるのだと思う。もし怨念の塊とか飛ばしてきたら、それはそれで考えるとしよう。
デナイルが召喚したのは、『電子精霊』と呼ばれるもの。頭上にはリング、背中からは羽が生えており、まさに精霊。
精霊たちはデナイルの指示を受け、各々が携えた武器を子狼に向けたかと思うと、次々と射撃を始めた。
亡霊と精霊。どちらも一撃で消滅してしまうと言うならば、先手必勝。先に攻撃してしまえばよい。
射程の差ではこちらが有利。遠距離から確実に数を減らせるだろう。
大狼は狙撃主を確認すると、亡霊たちに鼻先で指示を出した。すると、子狼たちが全速力でデナイルの元へ駆けてくる。
走ってくる途中で普通に撃ち抜かれて消滅する個体が多いが、流石、狼と言うべきか。射線からうまいこと外れて迫ってくるものもいる。
だが、射程が長いことのメリットは、単に遠くから射撃できるだけではない。個々の攻撃範囲をカバーし合うこともできるのだ。
先ほどまで弾丸を避けてきた個体もちらほらと消え始めた。一つの弾を避けようとして、別の角度から放たれた弾に被弾しているよう。
電子精霊は200以上いる。正面だけから撃ち続けるのも芸がない。気づけば精霊は狼の群れの横に回っており、多方からの弾幕で場を制圧していた。
黄泉から呼び戻された霊魂は、虚しくも再び黄泉へと帰る。
目の前の強大な敵にばかり集中していると足元を掬われがちだが、デナイルの広い視野はそれすらも見逃したりはしない。
的確な着眼が戦況を優位にすることは、確実だった。
大成功
🔵🔵🔵
梅ヶ枝・喜介
出遅れちまったか!遅参功少なんて事になったら男の恥ヨ!
こいつァ気合いを入れてかからにゃあならんぜ!
しっかし相手の犬っころもなかなかの気迫!ありゃあ狼か?
さぞかし名の有る山のヌシと見た!
勝つも負けるも生きるも死ぬも"いくさ"の習わしだが
相手の呼び名すら分からんままじゃあ始末に悪いだろう!
おれァ猟兵!梅ヶ枝・喜介!
忘れんじゃねぇぞ!アンタを討ち果たす男の名だゼ!
アンタの理屈は知らん!だがおれや日ノ本の人間に並々ならぬモノがあるのは分かる!
だからこれから行われるのは生きるための殺し!
墓を作って手のひとつでも合わせてやるから、その名を置いていきな!
啖呵を切って突撃し、木刀を大きく上段へ構え振り下ろす!
猟兵たちが戦うところに、梅ヶ枝・喜介(悩む若人・f18497)が少し息を切らしてやってきた。
「ちょっと出遅れちまったか!?遅参功少なんて事になったら男の恥ヨ!」
遅れた、といっても、狼は抑えられているが決着は付いていない。
服の乱れをさっと直して眼差しに力を込め、気合いを入れた後、例の狼を見やる。
「しっかし相手の犬っころもなかなかの気迫!ありゃあ狼か?」
少し遠いが、月明かりが明るくて白毛がよく映えている。
ここからでもわかる迫力。喜介にも相手が山の信仰対象であることは容易にわかった。となれば、尚更燃えてくる。
ぐっと、木刀を握る拳に力を込めて、思いっきり腹に息を溜めると、言葉とともに一気に吐き出した。
「あれァ猟兵!梅ヶ枝・喜介!忘れんじゃねぇぞ!アンタを討ち果たす男の名だゼ!!」
己の名を名乗る。宣戦布告のようなものか。これが、彼の武士道であり、戦人としての心持ちなのだろう。
狼は声の主に反応して、少女二人から飛びのくと、武士の男を睨め付ける。
「………何者だ?全く、取らぬ狸の皮算用とは、まさにこの事よ、愚かな………」
相手も倒される気は毛頭ないらしく、喜介に対して強気な姿勢。
「だが、中々面白い人の子よ。良い。………我の名は、オーロ!!山を統べ、山に仇なすものに審判を下す者である」
猛き獣の咆哮は夜の闇にびりびりと響く。
喜介に山の神の理屈も指針もわからない。だが、己や、この国にある人々に、並々ならぬモノがあるのは承知しているつもりだ。
これから行われるのは、己らが生きるための殺し。己の信念を、使命を貫き通すため殺生なのだ。
「お前を討ち取ったら墓を作って手のひとつでも合わせてやるから、その名を置いていきな!」
そう言って、喜介は強く地を蹴る。
迫る喜介に、山の神の怒りが増幅していく。同時に、獣の体を徐々にサイズを増していく。
喜介の自慢は振り下ろし。自分より大きくなられたらどうしようもなくなる。
その前に、その前に。急かす心に身を任せ、一気に距離を詰めると、自分とともに鍛え上げられた木刀を全力で振り上げて、下ろした。
木刀は額に命中。狼は脳天を割られるとは思ってもいなかったようで、もろに直撃。頭蓋が割れそうな痛みに悶える。相当痛い、では済まされなさそうである。
神だとか信仰だとか、そんなことはどうでもいい。喜介は己の信念を貫き通し、猟兵としての役目を全うし、我流でも良い、己を鍛え、いつか、英雄になるのだから。その為に、神殺しの称号くらいあっても良いだろう。
成功
🔵🔵🔴
白川・美依
使用能力:WIZ
ここは…へぇ、ここがサムライエンパイアの世界なのね
何だか時代劇の登場人物になったみたいね?
相手はワンちゃんか。小物の亡霊も鬱陶しいわね…範囲攻撃で処理しましょうか。【ディヴァイナリィ・ホワイトフレイム】を発動して、亡霊共々ワンちゃんを燃やしてあげましょうね。亡霊は一撃で消せるみたいだし、生み出した炎の一つは自分で操作して亡霊の除去をしようかしら。自動追尾の炎は本体のワンちゃんを宜しくね?
さあ、犬畜生らしく…地べたに這いつくばりなさい?
こめじるし
グリモア猟兵の転移を受けて、白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)は新たな世界へと足をつけた。
「……へぇ、ここがサムライエンパイアの世界なのね」
周囲の情景に目をやる。まるで時代劇の世界に入り込んでしまったような、そんな感覚に囚われた。ここでは自分も、劇中の人物となるのだろうか。
中々情緒のある世界かと思いつつも、今は目の前の敵に集中しなければ。相手はワンちゃん……といっても、神とも呼ばれし狼なのだが。
美依にはそんなことは重要ではなかった。ただ少し厄介なだけであろう。
あの亡霊。かなりの数を減らされているようだが、まだ何匹か残っているし、ちょこまかと鬱陶しい。各個処理していくのも面倒くさいだろうし、本体もろとも火葬してやるのが良い。
美依の周囲に、揺れる炎が浮かびはじめると、彼女の目線の先の対象に向かって飛んでいった。
追尾式の炎は子狼たちを次々と焼き、そのまま大狼へ迫る。
炎は時に野を焼き、山を焼き、自然を滅ぼすこともありうる因子となれば、狼の木に触れないはずもなく、美依を睨め付けて一目散に駆けてくる。
炎を飛び越え、舞う姿は美しい炎舞のようで、夜を華やかに彩る。
だが、どれだけ炎を躱そうとも、火はしつこく追尾して離れない。
ちり、と毛先が焦げた。
獣の脚がもつれる。
神は、炎と共になった。
狂おしく吠え、嘶き、叫びながら悶える山神の姿はどこか哀しく。
灰はそのうち、煙にのって空高くへと昇っていってしまった。
残念ながら、神が頭を垂れるところを見ることはできなかったが、やはり獣は炎に弱かったのか。
燃える朱色に畏怖するのは、生命の宿命であったのだろうか。
少し暑くなった戦場で、美依は小さく息をついた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『堕ちた白虎』
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POW : 旋風
自身の身長の2倍の【3つの竜巻】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : 飄風
【触れるものを切り裂く暴風を纏った突進】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 凱風
自身に【相手の動きを読む風の鎧】をまとい、高速移動と【かまいたちによる遠距離斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●風、纏し
一番槍の狼を倒すと、後ろに控えていた白虎隊が前に出る。
山神と同じく、白く流れるような毛並み。引き締まった肉体とすらりと長い脚。二又に割れた尾っぽ。
それらはとても美しく、見る者を魅了すらしそうであった。一つ、首から上が無いことを除けば。
そう、虎には頭が無いのだ。切り口はもう血が固まって赤黒く変色している。
纏うのは風。絶え間なく獣の体を撫でるように吹く風は鋭く、荒々しくもなめらかで。
敵の数は多い。大量の敵をいかに正確に倒せるか。力の波に飲まれるか否かが勝負の雌雄を決するだろう。
秋穂・紗織
今度はまさしく、妖魔の群れ
或いは、霊格と名のある者達の墜ちた末路でしょうか
どちらにせよ、彼らは過去の残骸
生きる光を斬り裂く爪は認められず、牙は亡く
喪った首と同様に、黄泉路へと葬りましょう
妖剣解放での高速移動で常に距離を保ちつつ、一撃離脱の繰り返しを基本に
敵群の動きを衝撃波で掻き乱すと共に、追い掛けようと深追いして孤立した個体は確実に仕留めていきましょう
挙動、隙を伺い、隙を作る為にフェイントを織り込んだ動きで、一瞬の隙へと斬撃を
風を纏っているならば、流れるその向きにも注意を
暴風であれ逆らわず、その流れを見切って乗り、私も更に加速して
旋風のようにふわりと、くるりと、されど凜然たる刃を振るいましょう
虎たちは妖魔そのもの。
元から妖であったのか、それとも霊格を失い堕ちたものなのか、秋穂・紗織(木花吐息・f18825)は知らない。
だが、どちらにしても倒さねばならない。一番槍を倒しても、勢い衰えぬ信長の軍勢。彼らは全て、世界の歴史に葬られた残骸であるのだから。
そして、彼らには牙は無い。いや、亡い。
その爪にも、牙にも、毛皮にも、それは認められずに。
「喪った首と同様に、黄泉路へと葬ってあげましょう」
沙織は妖剣解放を維持したまま、いざ、白虎の海へ。
まずは一振り、宙を切る。刃から飛び出した衝撃波が、敵の群れを分断し、乱れさせた。
そこへここぞとばかりに踏み入れば、太刀筋はなめらかに、毛並みの黒筋模様を薙ぐ。
虎には口がないので噛み付くことはできない。そのため、攻撃には風か爪を使わねばならない。虎が足を振り上げる隙に、沙織は飛び退いて攻撃を躱し、再び獣の群れを斬りにかかった。
一匹、また一匹と斬られるうちに、虎の数匹が群れを抜け出し沙織へ迫る。風の力で加速した虎は速い。まるで豹と獅子を組み合わせたような、それほどまでの力強さと速度、そして威厳があった。
沙織はぐっと地を強く踏みしめ、好機を待つ。
虎に目があれば、きっと真っ直ぐに自分のことを見ていたであろう。
獣の肢体にまとわりつく風が一層強くなる。………来る。
思い切り飛びかかってきた虎。沙織は虎の進行方向を空けるように横へ避けると、敵のボディラインに沿って太刀を滑らせた。
風を切るのではなく、風に乗った刀。肉を一瞬で断ち切った。
流れるままに、次々と突進してくる虎たちを断つ。
ヒットアンドアウェイの戦法で、着実に数を減らしていく沙織。
敵の風に抗うのではなく、寧ろ利用して戦い舞うその姿は、月下の白虎に劣らない美しさであった。
大成功
🔵🔵🔵
比良坂・逢瀬
荒ぶる山神の次に控えるのは風を纏う白虎の群れですか
美しい毛並みに雄々しい体躯
かつては、さぞや気高い姿で山野を駆けていた事でしょうね
しかし今の魔性に堕ちた姿は見るに堪えません
私の愛刀、三池典太を以て骸の海に還しましょう
貴方達が風を纏うならば、私は其の風を踏み、空を自在に駆ける業を持って迎え撃ちます
獣の爪牙を、其の身に纏う風の流れを心を研ぎ澄ませて<見切り>ます
獣の大勢を相手に一瞬でも脚を止めるは、此の身を引き裂いて欲しいと投げ出すようなもの
<ダッシュ>と<ジャンプ>を駆使して絶えずに動き回り、電光石火の<早業>で振るう太刀の業を持って仕留めていきます
狼に続くは虎。獣に獣、この部隊は獣づくしである。
堕ちてもなお、美しい毛並み、体躯。かつては気高き姿で山野を駆け、獲物を喰らい、己の月に照らし出してでもいたのだろうか。
比良坂・逢瀬(濡羽色の令嬢・f18129)は彼らの過去の姿を想像すると同時に、現在の姿、魔性へ堕ちた体、醜悪な獣は見るに堪えないと、そう思っていた。
その醜きもの、刀術を以って、骸の海へと還す。
相変わらず、彼女の愛刀、三池典太は月明かりに照り、艶やかで。
逢瀬は刀を握りしめた。
逢瀬の戦意を感じたのか、虎たちの視線が一気に集まる。いや、頭が無いのだから視線が集まるはずはないのだが、虎の首元が確かに彼女の方を向いたのだ。
二本の尾がゆらりと揺れれば、くるりくるりと舞う旋風。その中を踊り、虎は駆けてくる。鎌鼬もこんな感じなのだろうか。まあ、あの虎に切られれば、痛みを伴って出血するだろうから、違うのかもしれない。
対して逢瀬は、動かない。ただ敵の来襲を待つのみ。
微かな音、肌を撫でる気流、運ばれてくる匂い。ほんの些細な感覚で、彼女は風を読む。止水を乱すものを見切るために。
その間は酷く長いようで、短かった。風を纏った虎が飛びかかる寸前、獣の獲物は一瞬で眼前から姿を消した、かと思えば、地面が映った。
逢瀬は虎の群れの上で、風を踏み、戯れ、そして刀を振り下ろしていた。風で撒き散らされた蕾が、四方八方に赤い花を咲かす。
止まらない、止まれない。脚を止めれば彼女の体は虎へ真っ逆さま。骨の髄まで残るかも怪しい。
だから彼女は斬る。自分が地に足を下ろすことができるようになるまで。
目にも留まらぬ早業と、風を踏む跳躍。いくら風を放とうとも、逢瀬はそれを踏み越え、さらに高くへと舞い昇ってしまう。
時折叢雲が月を覆っても、黒洞々たる闇の中、彼女の姿は不思議と映えて見えた。
成功
🔵🔵🔴
梅ヶ枝・喜介
おう!見事な毛並みの四聖白虎!
それなのに揃いも揃って頭がねェ!どういうカラクリだ!?
首も無いのに動くとなれば、怪異やモノノケの類いか!!
西の白虎は金気の獣!
金克木とくれば木刀じゃあちくと分が悪い!
ここは同じ鋼のコイツの出番だ!
おう妖怪刀!力を貸してくんな!
鍔鳴りの音を残し、腰の打刀を抜き放つ!
見えねぇ斬裂たぁ厄介!
しかし見えねぇだけで確かにそこに在るものならよ!掲げた刀で受けれねぇ道理は無い!
つってもおれァ達人じゃあねぇ!刀で全部を受けきれないのは先刻承知!覚悟の上よ!
一度や二度斬り付けられた程度で膝を屈するものか!
ここで倒しきらねば泣く民草がいる!
がむしゃらになってでも刀を振るい続けるぜ!
「おう!見事な毛並みの四聖白虎!」
後続の虎たちの姿を見据え、梅ヶ枝・喜介(悩む若人・f18497)は思わず言葉が漏れた。
頭が無くても彼らは戦場を駆け続ける。カラクリうんぬんというより、やはり怪異の類なのだろう。妖魔に人の理屈など通用しないのだ。
さて、相手は白虎。五行の金を司るものとなれば、木製の刀では分が悪いだろう。
木刀は喜介の相棒であるが、何も木刀一本だけで戦ってきたわけでは無い。
「おう妖怪刀!力を貸してくんな!」
勢いよく鞘から抜き放たれたのは、一本の太刀。出所不明、されど確かにこの掌の内にある。他者の刀とも負けず劣らず、鋭く輝いている。
対して妖虎、周りの風が虎の肉体を程よく締め付け、流れる大気の鎧を作り出した。こうなれば、虎はより一層速い。
向こうの虎が地を蹴ったかと思った次の瞬間には、もう眼前に迫る勢いであった。
「速いッ………!おらァ!!」
喜介が反射的に払った太刀筋に虎は大きく後ろに跳び退き、風を放出する。
…………。
喜介がいつのまにか出来た切り傷に気づいたのは、鎌鼬に襲われてから何秒か後だった。
不可視の一撃。なんたってそれは風なのだから。微かな音がするだけである。
だが、見えないだけでそこにはある。エネルギー体と考えれば刀で受け止めることも可能かもしれない。
まだ鎌鼬は飛んでくる。喜介は刀を立てて走り出した。
風を受け止め、払い、多少強引ながらも虎との間合いを詰め、刀を振るう。
そんな喜介の動きを読んで、虎は刀をひょいひょい避けながら風を放ち続ける。
喜介の体には無数の切り傷が浮かび、痛々しくもあるが、当の本人は決して屈したりはしない。
剣術に長けているわけでは無い。師の下で剣技を受け継いだわけでも無い。だが、彼には信念がある。彼は己を信じ、がむしゃらに太刀を振るうのだ。
的は多く、刀を振るえばある程度の個体を斬りつけることができる。
喜介の心は確かに強い。肉体もそれについてきている。
だが、闇雲に相手をするだけで彼らの多くと相手できるかと言われれば、それは無理な話であった。
苦戦
🔵🔴🔴
デナイル・ヒステリカル
無数のオブリビオンによる高速の突撃。
少しでも接触してしまえば大ダメージは免れないでしょう。
大きく迂回して避けようにも、僕らの後ろには守るべき人々が居る。
多少強引ですが、正面から迎え撃つべきだと判断します。
UC:オーバークロックをスタート
高速で踏み込む敵の動きに対応するため、こちらもスピードを上げます。
常に敵との距離を30cm以上離して行動すれば、理論上は相手を制することも可能なはず。
格闘能力の向上効果を腐らせることになりますが仕方ありません。
高速度下、雷撃による中距離戦闘で確実に一体一体処理していきましょう。
大量の虎を眼前に、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は思考回路を稼働させていた。
今度は一匹狼とは訳が違う。数が多くて速い。直接攻撃を喰らわなくても、少しでも接触しただけで吹き飛ばされそうだ。
かといって、避ける訳にはいかない。猟兵が退いたら、背後に控える砦は、侍達は、一体誰が守れるというのだ。
此処を遠く離れられないとなると、こちらに駆けてくる虎と正面からぶつかって処理するほかない。多少強引だが、やらなければ砦陥落。
敵の速さと対等にやりあうには、彼らに匹敵する速度まで加速する必要がある。
風に対するは稲妻。デナイルの体は青白い電撃を纏い始めた。
光は風なんかより遥かに速く、それでいてパワーも十分。
そんなデナイルに怯むことはなく、虎はその肉体をぶつけようと加速する。
普通の人ならば目で追うことすら難しいその動きに、彼は対等にやりあっている。
突進は接近し過ぎなければ当たることはないはずなので、敵との間合いに常に注意しながら機を伺い、見極めたタイミングで纏った電気の一部を放射して攻撃。
無駄がないといえば嘘になるが、速度とそれなりの射程を得るには多少のロスも致し方ない。
相手を近づけさせない。自分から距離をあけ、危険因子はなるべく排除する。間違っても飛び込んでまとめて吹っ飛ばそうなど思わないように。
デナイルの作戦は功を成したようで、彼は攻撃を避けて体力の消耗を抑えつつ、各個撃破で緩やかながら確実に数を減らしていった。
月とはまた別の、稲妻が走る青白い光が、まるで闇を裂くように敵を貫く。
戦場を舞う風と雷はまさに風神雷神の如き闘争であった。
成功
🔵🔵🔴
白川・美依
使用能力:WIZ
あらあら…頭が無いなんて、残念なオブリビオンね。風の精が見せる苦悶の表情…どんなものだったんでしょうね?
でも見えないのではつまらないわね、【ディヴァイナリィ・ホワイトフレイム】でそのまま焼き払うわ。
私の動きを読む積もりでしょうけど…炎はどうかしらね? 風の鎧ごと燃える様を見せてちょうだいな。
鎌鼬には【オルタナティブ・スケープゴート】で対応。先行している猟兵のご活躍で傷ついた個体も残っているんじゃないかしら。折角だから有効活用しなくちゃ…ねぇ?
※何でも歓迎
己の心情は身振り手振りである程度表すことができる。目は口ほどに物を言うともいうが、虎達には目どころか口すらもないのだから、彼らの感情を読み取ることは難しい。となれば、苦悶も知ることができないなんて、残念だ、と白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)は思った。
心無きものと刃を交えても、熱くなれるかどうかと言われればなりにくいだろう。仕事において私情はいらないが、どうせなら面白い方がいい。見えないのでは『つまらない』、と。
相変わらず風の鎧を纏う虎達に、先程山の神を焼き尽くした炎が襲いかかる。
対峙する生命の声を聞くことができる風、だが、炎なら果たしてどうか。
炎は追い払おうにもしつこく追跡する。虎は駆け、火を振り切ろうとしながら美依へ迫る。
だが、炎は一つではないのだ。ちょいと囲んでやれば避ける術などなくなってしまう。
加えて彼らは風の所有者。風は炎に空気を送り込み、むしろその勢いを増させるものだから、火が少しでも鎧に触れた途端、激しく火の粉を散らしながら、その肢体はごうごうと燃え始める。
仲間が燃やされる中、追尾炎がじれったくなったのか、何個体かが遠くから鎌鼬を放った。
美依が虎が風を放つような動作を見るや否や、その意識を別の虎の集団へと切り替えた。
美依から放たれたもの——魔力の類だろうか? がなんと、数匹の虎を捕縛したのだ。
そのまま虎の塊を己の眼前への持ってくる。つまりは肉壁である。
物理的な壁は風のエネルギーを受け止め、人柱ならぬ虎柱となった。
「戦場に残っているんだし、折角だから有効活用しなくちゃ……ねぇ?」
美依は一人笑みをこぼすと、引き続き虎を焼き、盾とする作業を続ける。
………少しは面白くなっただろうか?
大成功
🔵🔵🔵
梅ヶ枝・喜介
"かまいたち"が頬を切り裂く!
口の中まで鉄の味が染み、ペッと血反吐を吐き捨てた!
こりゃあ分が悪い!おれひとりだけ白虎隊に圧されているのだもの!
功名を競う気は無ェが!いくさ働きで劣るってことは!
他の連中に"おんぶに抱っこ"されているってぇこと!
肩を並べて戦う仲間がそんなんじゃあ申し訳ねェよナ!
だからテメェの劣等は人一倍頑張ってどうにかする!
それに陰陽だ相性だとおれァ前提からして間違った!
おれが研ぎ澄ましてきたのはそんなもんじゃあねぇ!
妖怪刀を地面に突き刺し、腰の木刀を抜き放つ!
構えは馬鹿の一つ覚え!大上段!
不利も無謀も覚悟の上ヨ!
それでもおれァ!暴風を上から叩っ潰す!
これだけは絶対負けねぇ!!
虎の群れの中、刀を振るう梅ヶ枝・喜介(悩む若人・f18497)の頰を、鋭い風が掠めた。
鉄の味がする。思わず口の中のものを吐き捨てると、地面に僅かな赤色が輝いたのを一瞬見た。
ふと、冷静になって周りを見る。自分の周りの個体だけあまり減っていないのではないか?他の猟兵達は各々、確実に数を減らしているのは事実だった。
別に功名を競うとか、そういうことではない。だが、どうだ?戦場に立つ者として、戦場で成果を上げられないのは。
それはつまり、他の人のお世話になっていることを意味する。今の自分はおんぶ抱っこ状態なのではないか、と喜介は自責の念を感じた。
偶然出会ったとはいえ、他の連中も今は背を預け、肩を並べて戦う仲間だ。自分がこんなザマでは申し訳ない。
そして、その心は喜介を奮い立たせることとなる。
突然、彼は妖刀を地面に突き刺し、木刀を抜き放った。
思えば、相性などといって勝手に思い込んでいた自分がいけなかったのだ。
別に、妖怪刀が悪いわけではない。ただ、思う。自分が今まで培って来たものは風水か?占いか?陰陽か?違う。己の覚悟、気合い、力だろう?
自分の手には相棒が握られているではないか。ならば、こいつを信じてやらずしてどうとする。
大きく天に掲げる木刀。大上段の構え。
不利でもいい、無謀でもいい。そんなこと分かっている。だが、喜介は己と、己と歩んできたモノを信じて刀を振るうのだ。
刀をひたすらに打ち下ろす、打ち下ろす。
見た目はさっきまでのがむしゃらの様子となんら変わりはない。しかし、その太刀筋は先ほどより多くの獲物を仕留めていた。
胴を打ち、背を打ち、風の勢いをまるで破壊するかのように、いや、実際、叩っ潰していた。
「これだけは、絶対負けねぇ!!!」
思考、技量、知恵………どれも重要なものではあるが、研ぎ澄まされ、身に染み付いたモノはその域を超越した存在であった。
喜介もまた、その業を成し、無駄な思考を極限まで削ぎ落とした今、彼は何者にも止まることはない。ただ、己を信じて。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『少女妖怪』大鯰』
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POW : 大江戸マグニチュード7.0
【揺れのパワーを圧縮した高エネルギー弾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【図を書き換える様な大地震を引き起こし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : ヘル・オーブン
【周辺環境の分子の揺れを最大まで高める事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【中心に物質が蒸発して気体になる様な超高温】で攻撃する。
WIZ : スノーボールエンパイア
【全身】から【分子の揺れを極限まで抑えた絶対零度の冷気】を放ち、【広範囲の環境を極低温で凍結させる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:ALEC
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●鯰の乙女、現る。
大量の虎を捻り、砦の侍もホッと一安心していた時、突然、地面が暴れ始めた。
足元がぐらぐらと揺れる。地震だろうか。安堵は一気に不安に変わった。
その揺れの中、涼しい顔で下駄を鳴らしながら、一人の少女が歩いてくる。
「あれれ〜?おっかしぃなぁ………落とす砦、ここじゃなかったっけ?」
ぶつぶつと呟きながらこちらへ来る者。猟兵達は知っている。彼女が信長軍指揮官として配属されたオブリビオンであることを。
おつむが強そうにはとても見えないが、周りに浮遊する要石が纏う霊力の大きさ………相当なものだ。
揺れが収まる。少女は砦の前に佇む、この戦乱の世に馴染まぬ服を着た者たちを見て、妖しく笑みを零した。
彼女は鯰の力を宿す妖怪。地震予知とかではなく、実際に振動を操り、地を揺らすどころか空気中の原子までも操って来る強者。
敵の攻撃はどれを取っても、フィールドをぶち壊すような規模の大きいものばかり。
この場を制し、見事信長軍を返り討ちにすることはできるのか?
秋穂・紗織
この少女が敵勢の指揮官
震の力を持つ妖魔ですか
確かにとても強烈な霊力ある存在の様子
ですが、結局は悪夢のような過去の残滓
戦乱を震わすなら、斬らせて頂きます
範囲、空間への攻撃は避けづらく
何処にいても関係ないのでしょうね
ならば、私の持つ刃で斬れる間合いを常に
天峰白雪に加え天花祈刃も抜き放ち、躊躇わずダッシユで踏み込み
避け辛いように見切りで隙を見つけ、二刀流による2回攻撃を合わせ最大連続の斬撃を
烈風の如く迅く、鋭く
変わらず結った鈴、鳴り散らして
相手の攻撃をしよう察知したのなら、更に踏み込んで捨て身の一撃とカウンターでの剣閃を
避けられず、防げないなら
それを放つ相手を削って怯ませ、少しでも威力を抑えましょう
敵は少女のようだが、侮るなかれ。秋穂・紗織(木花吐息・f18825)も強烈な霊力を直に感じる。
先ほどの地震、いや、それ以上のものが来ると思って良いだろう。
とはいっても、やはり、オブリビオンは過去の残滓のようなものなのだから、沙織が斬らない道理はない。
新たに刀をもう一本抜き放ち、両手に握る。片や刀身白く、片や水晶の如き美しさ。輝きは仄かに闇を照らし、それでいて何処か物悲しげに佇むのみ。
沙織は強く地を蹴り出した。多少の地面の荒れ具合などものともせず、一気に間合いを詰める。
二つの太刀がきらりと煌めくと共に腕を振るえば、それは人を超えた速さで敵を切り刻もうと轟く。片手18、合わせて32の斬撃が、敵を滅するのだ。
「ちょっと、この人速すぎ………痛ッ」
少女は要石を操りながら斬撃を防ごうにも、手数が多すぎる。着物の裾は布切れとなり、顔に生温い液体が伝う。
ちり、ちり、と鳴る鈴は決して静かではない。だが、自然と煩いわけでもなく、太刀筋に合わせて音を奏でる。
艶やかな剣舞。それはあまりにも速く、そして、使用者の時を早く進めてしまう代物。流石に味方を合意なしに斬るわけにもいかないだろう。大事なものが、縮む心地がする。
「もう、じれったいなぁ………これでも喰らえ!」
ぐぐ、と霊力が集中していく。周囲の気質が変わり始めるのを感じる。
大きいのが来る………!
沙織はここで、避けるのではなく更に一歩踏み込み、刀を振るった。
攻撃は最大の防御。少しでも、少しでも敵の勢いを削ぐことができれば。その一心で、己の身を賭ける。
「嘘………!まあいいや、ここで退かなかったこと、後悔するといい!!」
間も無くして、少女の周囲が一気に熱を帯びる。沙織とて、例外ではない。
芯から熱されるような感覚。身体中の水分が持っていかれ、意識はたちまち薄くなる。
人が電子レンジで温められるときは、きっとこんな感じなのだろう。
熱い、暑い………しかし、止まるわけには……!
朦朧とする意識の中、それでも沙織は再び鈴を鳴らし始める。
気を抜けばたちまち死んでしまいそうな獄熱、その中で彼女が動けるのは、捨て身で放ったあの斬撃のおかげである。
もし、あそこで霊力の集中を少し妨げていなければ、今頃どうなっていたことか……。
成功
🔵🔵🔴
デナイル・ヒステリカル
広範囲に影響を及ぼすUCの使い手ですか…
早急に打倒しなければ、僕たちがかろうじて守った人々、引いてはこの地に生きる全ての命が危険に晒されます。
しかし幸いにして雷は冷気と相性が良い。
慎重に、かつ時間を掛けずに倒してしまいましょう。
UC:轟く雷鳴をチャージ
絶対零度に限りなく近い低温状態になると原子はほとんど動けない
すなわち停止に近い状態になるので電気の通りの邪魔をせず、100%に限りなく近い効率的運用が可能になります
これが超電導状態です
今すぐその効果を体験することになるでしょうから、講義のお代は結構ですよ。
「広範囲に影響を及ぼすUCの使い手ですか……」
デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は後方の砦をちらりと見て呟く。
地震はあの規模だ。相手の攻撃はいちいち範囲が広すぎる。彼女の意思一つで未曾有の大災害を起こすことも容易いのだ。
奴を放置しておくわけにはいかない。早急に打倒しなければ、守ってきた砦も、人も、この世界も、全てが危険に晒されかねない。
振動を操ると判断したデナイルには、一つプランがあった。まずは自分が狙っている敵の攻撃を引き出さなければならない。
拳を強く握りしめると、そこに電気エネルギーが溜まっていく。
電気はどんどん強く、強く、蓄積されてゆき……そのまま少女へと歩み寄っていく。
まだ熱が残っているようで、ちりちりと肌が熱い。それでも、デナイルは出方を疑うように慎重に進む。
対して少女はからからと笑いながら、再び霊力を集中させていく。
「へー、近づいて来るなら………氷漬けにしてあげる!」
「そこです!」
少女が冷気を放出した、まさにそのタイミングで、デナイルも溜めに溜めた電気を放出。
稲妻はほぼ真っ直ぐに高速で少女の体を貫いた。冷気は止まり、体を痙攣させている。
「………絶対零度に限りなく近い低温状態になると原子はほとんど動けない」
ぽつりと零す。
「すなわち停止に近い状態になるので電気の通りの邪魔をせず、100%に限りなく近い効率的運用が可能になります。あなたは今、周囲を極低温にしましたね?そのおかげで僕の電気がよく通りました」
少女は、目の前の男が一体なにを言っているのかよく分からないようだ。
物体を冷却して電気抵抗を極限まで小さくする手法。雷は空気中を伝うのだから、応用できるとデナイルは踏んだのだ。
「これが超電導状態です。分かりましたか?ああ、お代はあなたがその現象を体験したこと、それで結構ですよ」
デナイルは地にへたり込んで動けない少女を一瞥する。
鯰には何を言っているのかさっぱりだった。だが、悔しかった。何故かよくわからないが、とても悔しく、奥歯を強く噛み締めた。
成功
🔵🔵🔴
梅ヶ枝・喜介
おう!見た目はその辺のガキだがよ!その要石の纏う妖気は誤魔化せん!
狼に虎の次は地揺れの神サンかい!隨分と歌舞いた登場をしやがる!天晴!
しかし何度も地が震えりゃあ家が崩れる!山が崩れる!
そうなると困るのは日ノ本の民だ!好き勝手をさせるワケにゃあいかんぜ!
おれァ天下自在の猟兵!梅ケ枝喜介!悪成す怪を断ちに来た!
名乗れよ女将!今が"いくさ"の決する時ぞ‼
おれの剣は近寄らにゃあ当たらん!しかし相手は飛び道具を持つ!
ならばどうする!?尻尾巻いて逃げるか!?
否!
飛び道具も叩っ斬る!要石も叩っ斬る!
元よりそれしか能が無ェ!
死地へ踏み込む覚悟なんざ、とうの昔に済ませてきた!
この身がどうなろうと、それは二の次!
見た目はどこにでもいそうな普通の女の子、しかし隠せぬその妖気。並々ならぬ気配に梅ヶ枝・喜介(悩む若人・f18497)は少し高揚していた。
獣神に虎ときて、次は地揺れ、災害ときた。なんだか、天晴、と賞賛したくもなる。
だがしかし、地震が起きれば家も、砦も、城も、さらには山や森、自然すらも破壊しかねない。
そうなってしまうと困るのは、この世界の住人たちだ。災害はいつでも恐ろしい。自然の怒りだと信仰しても、くるときは容赦なく襲いかかってくる。
だからこそ、好き勝手やらせるわけにはいかない。この世に理不尽な蹂躙はいらない。秩序ある破壊と創造の繰り返しが必要なのだから。ならば、喜介が立ち上がる。
「おれァ天下自在の猟兵!梅ケ枝喜介!悪成す怪を断ちに来た!名乗れよ女将!今が"いくさ"の決する時ぞ‼」
声高らかに、喜介は叫ぶ。
「えー、名乗れと言われても………あ、鯰とは呼ばれてるけど」
少女の応答に喜介は満足げに頷くと、その木刀を握りしめ、震源へと駆け出した。
喜介は遠距離攻撃を行えるわけではない。無論、彼の刀は近寄らないと当たらない。
敵は災害の元凶のようなもの。見た目は小さくとも中身は大きい。
ここで畏怖して逃げるか、尻尾を巻いて背中を向けるか。そんな考えなど、喜介の頭には初めっからない。行くと決めたら行くのがこの男。
少女は呆れたように首を横に振ると、手をかざす。それを合図としていくつかの要石が喜介めがけて飛んでくる。
「おらぁぁァァ!!」
走りながら木刀を振り上げ、タイミングを合わせて思いっきり振り下ろす。
鉄刀ともやりあうことのできる木刀は、石の塊を真っ二つに叩き割る。縁起も怒りも知ったことか、と言わんばかりに。
「何あの木刀、石割る普通!?」
今度は掌を合わせて霊力を集中させ、圧縮したエネルギー弾を放つ。
迫る無数の弾にも、喜介は怯まず刀を振るう。叩くたび、大きな振動が刀を伝い、弾いた攻撃は地を揺らし、足元を乱れさせる。
揺れと地面の凹凸に足を取られそうになりながらも、喜介は足を止めない。少女めがけて突っ走る。
「これで、どうだ!」
何度目か、木刀が天を指す。
喜介にできるのは、正面からぶつかり合うこと。回りくどいやり方は彼の流儀ではない。
恐怖を捨て、懸念を捨て、己の覚悟でここまで来た。この身がどうなろうと、依頼をこなす。肉体は二の次!
パァァァン、と気持ちの良い音が周囲に響いた。木刀が少女の天を捉えたのだから。
少女の足元が深く凹む。それほどの衝撃がかかった証拠である。
山の神と同じく、恐ろしい頭痛に苛まれる少女。そりゃあ、痛い。
地震がなんだ、神がなんだ。どれだけ周囲が揺れ、壊れても、喜介の信念が震え崩れることは一度もなかった。
成功
🔵🔵🔴
比良坂・逢瀬
獣の群れを統率するのは大地を震わせる大鯰の化生ですか
先の獣達も荒ぶる自然の化身でしたが成程、此れは規模が桁違いですね
流石は淡水域の食物連鎖の上位に位置する貪欲な肉食魚です
小魚はおろか海老や亀ですらも捕食対象にするとか
実に恐ろしい相手ですね
新陰流の剣士として全霊を尽くして相手をしましょう
相手が大地を震わせるならば私の得意とする脚運びを地上で十全に発揮するのは難しそうですね
私は<ジャンプ>を駆使して空中から強襲を仕掛けましょう
影を斬る事で其の者の実体を同様に断つ異能の業《影ヲ斬ル》
真の強敵は初見、初太刀にて仕留めるべしが鉄則です
神速の<早業>を持って愛刀を振るい大鯰の化生を仕留めます
さっきまでの獣たちをまとめ上げていたのはこの少女、大地を震わせる大鯰の化生であった。
一番槍の狼も大量の虎も凄いものではあったが、流石統司令、規模が桁違いだ。
鯰といえば、亀や甲殻類ですらも獲物にしてしまう、とか聞いたことがあったか、と比良坂・逢瀬(濡羽色の令嬢・f18129)はふと思い出した。実に恐ろしい。
さて、相手は地を震わせる化物となれば、地上を脚で行くのは少々困難だろうか、と逢瀬は判断。なんせ、地形が変わるほどの地震なのだから、普通は立ってなどいられるまい。
ならば、空中から行けばいい。ただ、それだけだ。
ひとつ、ふたつ、みっつ………とん、とん、と宙を蹴って、夜に紛れてそっと、接近する。
敵が強大ならば、長期戦に持ち込むのは不利と見た。初撃で決定打を叩き込むのが鉄則。
気づかない少女を見下ろして、逢瀬が狙いを定めているのは、少女自身ではない。彼女の足元から伸びるもの。
空を見る。叢雲が絶え間なく流れ行く空。そして、刀をゆっくりと構え、その時を待つ。
………………。
……………………。
……………………………。
雲の切れ間から月光が差した。その時、逢瀬は急降下して、現れた影を狙う。
高速で、隙なく、その黒い影を削ぐように、刀が薙ぐ。
その人の影を斬って肉体をも斬る剣技が決まった。狙いは頭から胸部にかけてだったが、僅かに光が逸れたのか、肩のあたりをざっくりと抉り取ったようだ。
突然、触れられることなく斬られた肩から留めなく溢れる赤色が、着物を変色させてゆく。
大きな傷を与えることに成功したようだが、流石に気づかれてしまったようだ。鯰は不意打ちの主を睨め付け、地を踏み鳴らす。
影、対象の存在を切断する刀は鋭く、正しく、獲物の肉を捌いてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
白川・美依
使用技能:WIZ
この魔力…どうやら実力は本物みたいね。
熱に冷気に地殻変動…地形をも破壊する力、とっても素敵よ?
でも、この砦を破壊されると困るみたいだから…ちょっと、貴女は隔離させてもらうわね?
【ストレンジ・ホワイトフィールド】を展開し、戦場を白い魔力の迷宮に変化させるわ。魔力で構成されているから地震でも破壊不可、視界が迷宮の壁で阻害されるので熱攻撃も不可。極低温による反撃は通るかもね? 私は【ディヴァイナリィ・ホワイトフレイム】を周囲に展開して防ぐけど。
迷宮を徘徊する怪物は倒せるでしょうね。でも、全てを倒し、迷宮の出口にたどり着くまでどれだけ魔力を消耗するのかしらね?
※何でも歓迎
白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)の肌を撫でる霊力……実力は本物のようだ。
熱を操り、地殻変動を起こすその力、美依は素敵とまで思っていた。が、だからといって放置するわけにもいかない。
「この砦を破壊されると困るみたいだから……ちょっと、貴女は隔離させてもらうわね?」
美依を中心に魔力が展開されると、戦場はたちまち複雑な迷路と化した。内部には不気味な白い怪物が闊歩している。
少女は突然現れた壁を不思議そうにまじまじと見つめたり、叩いたりしている。
美依の目的は相手の力を削ぐこと。確かに敵は強大だが、霊力を少しでも減らしてやれば、なんとかなるかもしれない。
一方、鯰はじれったく、エネルギー弾を壁にぶつけた。振動が伝わってくるも、迷宮の壁にはヒビ一つ入らない。
「あーもー、面倒くさいなぁ………」
ぶつぶつと呟きながら、少女は歩き始めた。
異変が起こり始めたのは、迷宮が展開されてから数分か経った頃。
少し気温が下がったように感じる。肌寒い。
美依は炎を展開して暖をとる。何故だか炎が不安定だが、暖かいのでよしとした。
その時、迷宮内は極寒の地となっていた。遊園地とかに度々見かける、中の気温が低いアトラクションとか比にならないほど。一歩でも足を踏み入れたら、身体中の水分が一瞬で凍結しそうな、そんな感じ。
元凶はもちろん、あの大鯰。怪物の処理が面倒くさいのか、冷気を常に垂れ流しながら迷宮を散策していた。
彼女の周辺にはいくつもの白い氷像ができているのは言うまでもない。
そして、事件は起きた。
少女は未だ迷宮の中だが、外まで漏れ出た冷気が恐ろしく影響を及ぼしていた。
最初は暖を取れていた炎。その形が上手く保てないのだ。
何故なら、原子の活動が不活性化しているからである。
炎は熱を発生させるものだが、極悪な冷気はその熱振動ですらも強制的に奪い取り、炎の姿を保たせない。だから、火は消えてしまう。
寒い、震えが止まらない、というか、そもそも生き物が生きれるような気温ではない。そして………
「はー、やっと抜けられた………」
すっかり疲れた様子で迷路を脱出した鯰。辺りには霜が降り、どこか遠い北国を訪れたような。
少女の霊力は、現れた時と比べて随分小さくなっている。冷気を放ち続けていたのだから、霊力を出しっぱなしにしていたようなものだ。
美依はというと、魔力で半ば強制的に消えてゆく炎を起こし、寒さと戦っていた。
力を消耗させる、という目的は達成したが、こちらも限界。己の魔力を引き換えに、相手の霊力を削る形となった。
苦戦
🔵🔴🔴
アララギ・イチイ
お久しぶり、又は、初めましてかしらぁ?
まぁ、どっちでもいいわぁ。十分な成果を得られたのだから、貴女はお休みなさいの時間よぉ(意味はアララギのみが知る的な
UC【Q.E.D・骸還し】を使用、攻撃に特別な自壊因子を付与よぉ
同時にUC【特殊武装・超振動~】を使用、浮遊砲台システム2の垂直発射装置の【誘導弾】の弾頭に上記のナノマシンを封入、【2回攻撃】の連続発射、敵の周辺で爆発させて爆風による【範囲攻撃・吹き飛ばし】でダメージを与えつつ、ナノマシンを散布よぉ
このナノマシンも敵と同じ能力である振動操作能力があるから、【念動力】で補正しつつ、敵の振動を相殺するわぁ
敵の攻撃を無効化出来たら、射撃武器で攻撃ねぇ
「お久しぶり、又は、初めましてかしらぁ?」
この災害地域に、突如として現れたアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)。着物に白衣を纏って、此処に。
“久しぶり”と言われて、鯰はきょとんと目を丸くする。身に覚えがないのだもの。
「まぁ、どっちでもいいわぁ。十分な成果を得られたのだから、貴女はお休みなさいの時間よぉ」
イチイはくすりと微笑み、浮遊砲台をスタンバイ。その言葉の真意を知る者は、きっと彼女しかいない。
対して鯰。彼女とて、まだお休みなさいをしたいわけではない。己を滅ぼそうとするならば、また敵である、と白衣の女性をねめつける。
そんな少女を待つはずもなく、イチイの準備は整った。砲口が真っ直ぐに少女を捉える。
「うふふふふ、今までご苦労様ぁ。次の機会まで海の底で微睡みなさいなぁ♪」
その言葉を合図に、砲台から二発、弾が発射された。
弾丸は少女を標的とした誘導弾であるため、避けようにもどうしようもない。高エネルギー弾で弾き飛ばそうとした、その前に、弾は爆発を起こした。
爆風は少女を軽く吹き飛ばすも、彼女はまだ立ち上がる。
「このぉ、これで!」
要石に霊力が集中し、辺りはたちまち高温になる………はずだった。
「なんで!どうして!?」
いくらやっても、イチイが熱さに苦しむ様子はない。
秘密は弾頭に封入されたナノマシン。イチイの操作で周囲の振動を操る代物。
熱そうにも冷やそうにも、ナノマシンが全てを相殺してしまう。手も足も出ない。まるで、己の弱点が露呈しているかのよう。
もう相手はただのサンドバック。イチイが取り出す数々の射撃武器で一気に制圧していく。
痛い、だが、それだけではない。体が朽ちてゆく。
「なに、なにこれぇ!おかしい、おかしいよこんなの!!」
自壊因子、己を己で滅ぼす自滅を誘発させる因子が、イチイの射撃には付与されていた。悲しくも、少女は死を迎えるしかない。オブリビオンとて、滅びる、と。
銃声が止み、現場には何も残らなかった。あるのは荒れた大地。そして、少女の記憶が、イチイの手に。
●秩序
無事に信長軍を迎え撃ち、砦の防衛を成功させた猟兵たち。
砦の内側では、地震の復興作業が行われている。幸いにも、城が崩落することはなかった。
それは、自然の怒りだったのだろうか。いや、ただ信長軍の刺客だっただけだろうか。どちらにせよ、彼らは滅するべき存在であったのかもしれない。
オブリビオンは骸の海へと帰り、再び常世へ還る時もある。が、過去は増え続けると同時に、清算されるもの。
妖怪少女の歴史は、ひとりの竜の手の中に。
東の空に、光が漏れ始めた。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年07月02日
宿敵
『ホロケウカムイ・オーロ』
『『少女妖怪』大鯰』
を撃破!
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