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朝焼けの襲撃

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 冬、冷たい空気がその農村に満ちていた。まだ、夜明け前だ。夜が明ければ、冬を無事に超えられるようにと雪まつりが始まるのだが――ソレは、その時まで待つつもりはなかった。
 村を遠く望む廃寺、そこにいたのは鬼の面を被った武僧であった。仮面の武僧は、寂れた山門から見える村を見て、喉を鳴らした。笑ったのだ。
「おるわおるわ、生きておるだけで何の価値も意味もない愚民どもが。仏の教えも理解できぬと言うのならば、いっそ冥府に堕ちるがよいわ」

 ――チリン。

 そう澄んだ音がした。夏であれば涼しい心地にしてくれるだろう音は、冬の廃寺にあってはただ心の底から冷えさせる音色でしか無い。

 ――チリン。
 ――チリン。チリン。
 ――チリン。チリン。チリン。

 音色が増えていく。仮面の武僧は振り返る事なく、背後に現れた彼岸の兜風鈴の群れへと命じた。
「さぁ、存分に冥府へと誘ってやるがよい」
 その命令を受け、彼岸の兜風鈴の群れが石段を下っていく。やがて、彼岸の兜風鈴の群れは農村へとたどり着き――存分に命を貪った。


「まったく、目も当てられる話じゃな」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、ため息混じりにそう切り出した。
「サムライエンパイアのとある農村が、オブリビオンによって壊滅させられるのじゃ。おぬし達には、それを止めてもらいたい」
 まだ夜明け前の山道で、まずは彼岸の兜風鈴の群れを倒す必要がある。一体でも通せば、それだけで農村は滅んでしまう。確実に処理する必要があるだろう。
「夜の山じゃからな。光源の用意は忘れぬようにな。量はそこそこ多いが、おぬし達なら駆逐するのは問題ないじゃろう」
 ただ、問題は廃寺に潜んでいる仮面の武僧だ。このオブビリオンを倒さなければ、根本的な解決にはならないだろう。
「ただ、まずは雑魚の駆逐してからじゃ。この村では、雪祭りというものがあるらしい。村の者たちが祭りが出来るよう、おぬしらの活躍を期待するぞ」


波多野志郎
サムライ、いいですね。どうも、波多野志郎にございます。
今回は農村を襲おうとするオブビリオン達と戦っていただきます。

まずは、彼岸の兜風鈴の群れ。その後に仮面の武僧との決戦。それが終われば、雪祭りで楽しむ、というのが大体のシナリオの流れになっております。


まずは、集団戦闘となります。皆様のふるっての参加をお待ちいたしております。
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第1章 集団戦 『彼岸の兜風鈴』

POW   :    風鈴の音が響き渡る
予め【風鈴の音を響かせ続ける 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    風鈴の音が共鳴する
【共鳴振動となる甲高い風鈴の音 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    風鈴の音が死者を呼ぶ
【黄泉の国 】の霊を召喚する。これは【悲鳴】や【武器】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

京条・響
雪まつりか。どんなものか見てみたいな。
そのためにも、村人たちを救わないとね。

現場は真っ暗なんだね。
生憎ライトの類いは持っていないんだけど……暗視でなんとかならないかな?
必要なら、エニー(バイク)のヘッドライトを使おうか。

戦闘は血統覚醒で自己強化して、銃で戦おうかな。
一体ずつ撃ち落としていくよ。


シャルル・クレティエ
木陰に身を隠し、ユーベルコードの射程の範囲内で距離を取りながら索敵
風鈴の音が聞こえるって話だから、周囲の音にはしっかり聞き耳を立てておかねぇとな
敵を見つけたら集中、よく狙ってすばやく連射
撃ったらその場から移動してまた身を隠し、またある程度の距離を取った状態ですばやく攻撃を撃ち込む
この調子でヒットエンドランを繰り返して敵の殲滅を狙うぜ
生きてる意味とか価値とか、そんなこと考えたこともねぇしあるとも思わんが、そんなんでもとりあえず生きてりゃ腹は減るんでな
食ってから考えっから、とりあえず俺の飯の種になってもらうぜ


鈴鳴・藜
どうやらあの村で祭りがあるらしくてな。
それなのに水を差すような真似をしちゃあダメだろ?

準備としてハンズフリーの光源と山道でも大丈夫な靴を用意しておくぜ
光源よりも暗視ゴーグルのほうが役立つならそっちを使うが…。
それは他の猟兵との要相談だな。事前に打ち合わせができる時間があればいいんだが。

まずはあの喧しい風鈴をどうにかしねぇとな。
つっても一体ずつ倒してちゃキリねぇな…。
『衝覇』である程度削ってやりゃ他の猟兵たちも倒しやすかなるんかね。
愛刀を引き抜いて倒し損ねた敵も斬り捨てていくぞ。


鏡島・嵐
戦うのは怖ぇけど……村の人たちの命がかかってるんだ、後には退けねぇよな。
それに、雪祭りってのもおれとしちゃあ興味があるし、見てみてぇ。


【WIZ】とりあえず、明かりは何かしら用意して持っていこう。
戦闘はユーベルコード《二十五番目の錫の兵隊》を使用して、彼岸の兜風鈴の相手をさせる。
他の猟兵の皆と攻撃の歩調を合わせて、数を減らすことを優先するぞ。
風鈴どものナリは小せぇみたいだから、攻撃するときはちゃんと狙って当てねぇとな。
あと、向こうの悲鳴やら音やらは衝撃波でかき消せねぇかな? 試す価値はありそうだし、余裕があるならやってみよう。


テスアギ・ミナイ
チリン、チリン
好きです、この音。
嫌いに、なりたくないです。

暗闇で光るものを攻撃するだけなら雑作もないことですが……、
おぼつかない足元は足枷、
他の猟兵の視界を害さない程度に有用な光源を持ち込みます。

風鈴を農村方面へ向かわせない様、立ちはだかる動きで。
さぁゆきなさい、私のサモニング・ガイスト。
ひとつひとつ丁寧に、確実に。燃やして割ってしまいなさい。
最期の音が消えるまで、目も耳も背けません。
こう見えて私、しつこいんです。


壥・灰色
「壊鍵、起動。術式装填、撃殺式」
両手のナックルガード――『衝拳』に、魔術回路「壊鍵」で生み出した「衝撃」を装填

数だけはやたらと多いな
……まあ、密集していてくれるならやりようもある
遠距離から、脚に「衝撃」を装填
跳躍と同時に炸裂させ、長距離を跳び、上方から奇襲
斬り込みを担う

衝撃を装填した拳による二回攻撃――最早弾幕じみた拳の連打て、兜風鈴の群れの中を叩き割りながら駆ける。時折、敵が固まっているところがあれば、「全力魔法」で衝撃の威力を高め、思いっきりぶん殴って、他の連中とカチ合わせやる
「ストライクだ」
ボーリングの要領さ
さあ、続けていこうか

さあ、掛かってこい
おれが身体を温めるまで、全滅してくれるなよ


神山・琥珀
【WIZ】
集団戦闘ならお任せ下さい。
「皆さんの後方から、攻撃支援をします」
後方からの攻撃をメインにしますが、こちらに『彼岸の兜風鈴』が接近されましたら『白銀ノ守護』を『破魔』と『でなぎ払い』で攻撃をします。
「こう見えても、武道もかじってします。読みが甘かったですね」
『風鈴の音が死者を呼ぶ』で霊を召喚されましたら、フォックスファイアで燃やしてしまいましょう。
「ごめんなさい。でも、黄泉の国から無理矢理召喚されたならば、私の狐火で送り返してあげますね」
彼岸の兜風鈴の群れへ、合体した狐火で焼き払います。


芥辺・有
冬に風鈴の音とは余計寒くなりそうでやだね……。

基本的には一匹ずつ倒していきたいね。先制攻撃や2回攻撃を行いつつ、もし村に向かいそうな奴を見つけたらそいつを優先的に攻撃するよ。
もし複数を相手取らなきゃならなくなった場合は、武器飾りの鎖で杭を振り回して薙ぎ払うことで範囲攻撃を仕掛けたり、蹴りの衝撃波でいくらか弱らせられるといいんだけど。

敵の攻撃で傷を負うようならそれを利用してユーベルコードを使うよ。もし傷を負ってないなら掌辺りに傷をつけて。


陰白・幽
ゆきまつり~♪すごく楽しそうだよね。それを邪魔をするのはだめだよね~

最初は【忍び足】で、暗闇に紛れて隠れたり動こうと思うよ。【暗視】があるがら明かりがなくても大丈夫だよね。「かくれんぼみたいなもんだよね、見つからないようにきをつけよーっと」
敵は何だか明かりがついてるみたいになってるよね、それをまとにして攻撃を仕掛けるよ。
暗闇からドラゴニックチェインを当てて引っ張り込んでガントレットで思いっきり叩いて倒していくよ。倒したら反撃とかを受けないように一回距離をとって暗闇に紛れてから攻撃をする、それを繰り返すよ。
「うーん雪が降る季節だから寒いな~、早く終わらせてお祭りを楽しみたいなー」



●闇の彼方から
 シンシンと、森の中に雪が降っていく。音はない、獣さえ息を潜める冷たい夜気の中、陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)は忍び足で駆けていた。
「かくれんぼみたいなもんだよね、見つからないようにきをつけよーっと」
 体の芯まで冷える山道を、幽は白く弾む息をこぼす
「見えるもんだね」
 深い雪の森を、京条・響(サウンドライダー・f00344)は目を凝らして見つめ、響が呟いた。響が、暗視を持っているからこそだ。響がanywherewolfを走らせる中、ふと止まった。
「あれは――」

 ――チリン。

 冬の山に似つかわしくない、涼しい音色が確かに聞こえた。本来ならあるはずない物が、あってはならない事をするためにやって来ているのだ。
「好きです、この音。嫌いに、なりたくないです」
 その涼やかな音を聞いて、テスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)は小さくこぼす。風鈴の音色だ、それが森の奥から聞こえたのだ。

 ――チリン。
 ――チリン。チリン。
 ――チリン。チリン。チリン。

「数だけはやたらと多いな……まあ、密集していてくれるならやりようもある」
 次々と迫る風鈴の音に、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は両手のナックルガードを胸の前で打ち合わせた。
「壊鍵、起動。術式装填、撃殺式」
 破砕型・撃殺回路(インザカルネージ)――灰色が、『衝拳』に、魔術回路「壊鍵」で生み出した「衝撃」を装填した。
 山を下ってくるのは、炎の灯った兜を模した風鈴の群れだ。彼岸の兜風鈴――そのオブビリオンの群れが真っ直ぐに村へと向かっていった。

●涼やかな音色の戦い
 ダン! と足に込めた『衝撃』を加速に利用して、灰色が斜面を駆け上る。彼岸の兜風鈴の群れへと、灰色は拳を振りかぶり――渾身の力で、拳を振り抜いた。
 ガゴン! と先頭の彼岸の兜風鈴が吹き飛ばされ、後ろに続いていた群れへと叩き込まれる。
「ストライクだ」
 ボーリングのピンのように吹き飛んだ彼岸の兜風鈴に、灰色は『衝撃』を宿した『衝拳』の拳を向けていった。
「さあ、掛かってこい。おれが身体を温めるまで、全滅してくれるなよ」

 ――チリン。チリン。

 彼岸の兜風鈴の群れが、黄泉の国の霊を召喚していく。それは、三間半の長槍を構えた骸骨の足軽達だ。骸骨の足軽達が、長槍を構えて前に出る――そこへ、銃弾が連続で撃ち込まれた。シャルル・クレティエ(炎獄の銃雇兵・f04530)の、木陰に隠れての狙撃だ。「主よ御手もて引かせ給え」
 シャルルはSilver orbitを構え、魔弾の射手を発動。ダンッ! と放たれたライフル弾が、正確に骸骨の足軽の頭蓋骨を撃ち抜き、撃ち倒していった。
「生きてる意味とか価値とか、そんなこと考えたこともねぇしあるとも思わんが、そんなんでもとりあえず生きてりゃ腹は減るんでな」
 撃ち込んだ次の瞬間には、シャルルは次の狙撃ポイントを探して走り始めている。撃ったら走る、戦場における狙撃手の基本をシャルルは忠実に守っていた。
「食ってから考えっから、とりあえず俺の飯の種になってもらうぜ」
 シャルルはそのまま、夜の森を遮蔽物に利用して、狙撃を繰り返す。だが、彼岸の兜風鈴達もそれを許すつもりはない。骸骨の足軽達をそちらへ送り込もうとするも、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)がその前へと立ち塞がった。
「戦うのは怖ぇけど……村の人たちの命がかかってるんだ、後には退けねぇよな」
 敵の殺意が、槍の切っ先が、心と体を殺しに来る――嵐は震える拳を握りしめて、言い放つ。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
 ドン、と嵐が己の胸を拳で叩いた瞬間、凄まじい雷撃が骸骨の足軽を打ち砕いた。嵐の勇気を代弁するかのように、戦場に立ったのは片脚が義足の武装した兵士だ。二十五番目の錫の兵隊(フェモテューヴェ)、その兵士は銃剣を構えると迷い無く足軽達へと挑みかかる。
「さぁゆきなさい、私のサモニング・ガイスト――ひとつひとつ丁寧に、確実に。燃やして割ってしまいなさい」
 そして、義足の兵士と共に古代の戦士の霊が骸骨の足軽達を槍で貫く。嵐とテスアギ、二人の意志を受けた兵士と戦士の霊が足軽達へと挑みかかるのに合わせ、神山・琥珀(白銀の妖狐・f01799)が薄紅色の狐火を踊らせた。
「ごめんなさい。でも、黄泉の国から無理矢理召喚されたならば、私の狐火で送り返してあげますね」
 いっそ優しく、琥珀が告げ狐火を次々と操っていく。雷が、炎が、瞬く間に、骸骨の足軽達を駆逐していった。

 ――チリリリリリリリリッ。

 その一方的な蹂躙に、彼岸の兜風鈴の群れが止まる。その隙を、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は見逃さなかった。
「逃がさない」
 ガガガガガガガガガッガガガガガガッ! と己の血を対価に、彼岸の兜風鈴の群れを無数の赤い杭が貫いていく! 有の列列椿(ツラツラツバキ)と同時、仲間達もタイミングをはかって彼岸の兜風鈴の群れへと迫っていった。

●音色の果てにあるものは――
「ゆきまつり~♪ すごく楽しそうなんだから、それを邪魔をするのはだめだよ~」
 幽が木を足場に、跳躍する。ジャララララララララララ! と伸びたドラゴニアン・チェインが、一体の彼岸の兜風鈴を絡め取った。
 ヂリリリリッ! とけたたましい音色と共に、幽の鎖に彼岸の兜風鈴は引き寄せられる。幽はそのまま、ガントレッドの一撃で彼岸の兜風鈴を粉砕した。
「さすがに、数が多いね」
 響はanywherewolfを走らせながら、器用にBlack Princeで彼岸の兜風鈴に銃弾を撃っていく。命中する度に、火花が散る――それを目印に、シャルルも追撃の銃弾を放っていった。
 木々を白く染めていた雪が、足場にも積もり始めた頃。戦いの趨勢は、大体が決まっていた。彼岸の兜風鈴側からすれば数で押し切りたいはずだが、攻撃手段にはしっかりと対策が取られている。個々の戦力で劣るからこそ、数で押し切ろうとしていた彼岸の兜風鈴の群れにとっては、致命的と言ってもいい後手だ。

 ――チリン。

「一体ずつ倒してちゃキリねぇな……」
 鈴鳴・藜(宵暁・f00576)は言い捨てるのと同時、囀吏を手に走り出す。散開しようとする彼岸の兜風鈴に、その暇を与えずに藜は仄かに紫色を帯びた刀身を振るった。
「渾身の一撃、ってね。逃がさねぇぞ」
 藜の力任せの大上段の斬撃が、彼岸の兜風鈴を両断する。それだけでは終わらない、羅刹の力で振り下ろされた囀吏が地面を穿ち、その衝撃で周囲の彼岸の兜風鈴も吹き飛ばしたのだ。
「いい位置だね」
 藜の衝覇(ショウハ)に雪と地面が舞い散る中を、滑るように駆けたシャルルが銃弾を撃ち込んでいった。カン、カカカカカカン! と正確無比なシャルルの狙撃が、彼岸の兜風鈴を蜂の巣にする。
「――最適化、完了」
 そして、即座に衝撃の加速で突っ込んだ灰色が彼岸の兜風鈴を掴んだ。掴んだ瞬間に放たれた『衝撃』が、彼岸の兜風鈴を粉々に粉砕した。

 ――チリン。チリン。チリン。

 状況の不利を悟ったのだろう、彼岸の兜風鈴達は体勢を立て直そうとする。だが、そこに古代の戦士が上から飛びかかった。
「こう見えて私、しつこいんです」
 テスアギの言葉を実行するために、古代の戦士は炎を宿した槍を一閃する。断ち切られた彼岸の兜風鈴が、炎に飲まれていった。
「行かせない」
 そして、有は蛇の尾を模した黒い鎖状の武器飾りに杭を巻き付け、薙ぎ払う! ゴォ! と彼岸の兜風鈴達を豪快に有が薙ぐと響はanywherewolfを走らせジャンプ。空中でハンドルから手を離すと、Black PrinceとSilver Knightを抜いて零距離で二体の彼岸の兜風鈴を撃ち抜いた。
 残りは、三体。三体は真っ直ぐに、琥珀の方へと向かった。先行した一体が鈴の音を鳴らそうとした刹那、琥珀の白銀ノ守護を横回転で遠心力をつけて振り抜く!
「こう見えても、武道もかじってします。読みが甘かったですね」
 真っ白な薙刀で切り裂かれ、炎を撒き散らしながら彼岸の兜風鈴が落ちていく。そして、残り二体へ幽と嵐の代わりに駆けた兵士が迫った。
「寒いから、終わらせるよ?」
「頼む、やれ!」
 幽の上から振り下ろすガントレッドの打撃が、兵士の銃剣の刺突が、彼岸の兜風鈴達を捉える。

  ――チリ……ン。

 その音色が終わるまで、テスアギは目も背けず、耳を塞ぐ事はなかった。好きな音色だからこそ、嫌いにならないように戦った、その事をテスアギは己の心に刻む。
「うーん、雪だから寒いな~、早く終わらせてお祭りを楽しみたいなー」
 はあ、と白い吐息をこぼして、幽は見上げる。その先にあるのは、廃寺だ。仮面の武僧も、そう遠くない内に異変に気付くだろう――そうなれば、あのオブビリオン自身が動く事になる。
 そうなる前に、終わらせなくてはならない。猟兵達は、廃寺に向かって進み出した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『仮面の武僧』

POW   :    末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●山門にて
「……さすがに、おかしいの」
 仮面の武僧は、小さくこぼす。山村には、何の異変もない。もう着いて、虐殺を始めていてもおかしくない頃合いだった。
「さて、何が起きたのやら……」
 考えられる可能性は、二つ。まず、まだ彼岸の兜風鈴どもが村に着いていない場合。これは、考えにくい。そんな役立たずではないはずだ。
 だとすれば、もう一つの可能性は――。

「何者か、戦える者がおったか」

 仮面の武僧が笑い、錫杖を手に取る。このような腑抜けた夜に、それだけの猛者がいる――ならば、良し。無聊の慰めとしては、最上の結果と言える。
「その者が強ければ良し、弱ければ期待した分、あの山村で気晴らしするまで」
 だから、仮面の武僧は石段の前にて待つ。しばし、日が昇るまではここで待とう。もしも、日が昇るまでに現れなければ、あの村を焼き払って呼び寄せるまでの事。
「クククッ、今の世も、心躍らせるは戦いだけよ」
 仮面の武僧は仮面の下でそう笑い、戦う価値のある者を待った……。
京条・響
風鈴は片付いた。
あとは、廃寺の武僧を倒すんだったね?
さっさと行って、さっさと終わらせよう。

転ばないよう注意しながら、バイクで廃寺に向かおうか。
風鈴のときと同じく、銃とバイクを駆使して戦うよ。
阿吽を召喚されたときは、本体を狙ってみるね。
(パフォーマンス5、騎乗3、地形の利用3、踏みつけ1、クイックドロウ5、2回攻撃1、武器落とし3、援護射撃4、零距離射撃3、視力1、暗視3)


鏡島・嵐
他の皆はともかく、おれは強くなんかねぇぞ。
逃げて後悔すんのがイヤだから、弱くても怖くても戦ってる。それだけだ。

【WIZ】引き続き攻防は《二十五番目の錫の兵隊》をメインに行うぞ。
相手の攻撃のクセは「見切り」で看破して、防御面を少しでも優位に立てるように。
金剛力士を召喚されたら、武僧本体に攻撃を仕掛けることを狙うために「フェイント」で相手に隙を作り出すようにする。他の皆の攻撃のチャンスにも繋げられたらしめたもんだな。

向こうさんが隙を見せるまで粘り強く耐え続け、フェイントで隙を作り、チャンスが到来したら他の皆と協調してダメ押し。
おれは戦い慣れしてる方じゃねぇけど、とにかくやれるだけやってみるさ。


テスアギ・ミナイ
チリン、チリ……と耳に残る音を聞いていました。

このあと雪まつりが行われるそうです。
あなたがしようとした事もまた、一種のお祭りなのかもしれませんが。
お祭りというのは、多くの人たちのあたたかい思いが集まるもの。
あなたひとりのための悲しいお祭りは、……いいえ、
それはお祭りではありません。
火も血も、雪を溶かしてしまう。

さて……見るからに戦いを好みそうな風貌です。
私のユーベルコードはいかがですか。
私の落雷はあなたの錫杖を好むと言っていますが。
……痺れてくださいますか。

猟兵が必要としている場面では、
クイックドロウからの援護射撃を。

※アドリブ歓迎


ジャスパー・ジャンブルジョルト
げっぷ! 湯漬けを十杯もかき込んでたから、すっかり遅くなっちまった。
戦ってのは高く翻げるものがないと寂しいから、旗を持ってきたぜ。雪国を表す「ゆ」の字の下にいくつかの「○」と一つの「△」を描いた旗だ。この△は(猟兵の誰かを気分で選んで)おまえな、おまえ。
さーて、湯漬け十杯分の満腹感を糧にして『JOYFUL JET』を発動! 愛用のツィターを火炎放射器に変形させて、クソ坊主を炙り焼きにしてやるぜ! ……でも、なるべく距離をあけて戦おうっと。べつにビビってるわけじゃねえけど。ホント、ビビってるわけじゃねえけど。

他の猟兵の引き立て役や敵の強さを知らしめる噛ませ犬役など、お好きなように扱ってください。


街風・杏花
うふ、うふふ、うふふ
あぁ、あぁ――これはとっても、分かりやすい。貴方、強いですね? 強いんですね?
読経。なんて、滑稽なんでしょう。過去の残滓に神も仏もありはしないでしょうに!
ええ、ええ、けれど邪魔なんて致しません。そんな無粋はするものですか。どうぞ一巻、最後までお読みになって。
読めば読むほど、強くなるのでしょう、貴方。私はそれが、見たいのです。

――そうして、待てば待つほど、私も、強くなる。大振りの動きをかわして、この刀で、その素っ首を切り裂いてみせましょう。
かわし損ねれば、私、死んでしまうかもしれませんね
うふ、うふふ。でも、だから戦いは楽しい。でしょう?
さぁ――存分に死合いましょう

アドリブ歓迎


芥辺・有
さて、お前が大将首ってやつ?

全力魔法と属性攻撃で強化を図った厳つ霊を使うよ。
毒牙や雷纏った尾の薙ぎ払いで奴の動きを鈍らせられるようにしたいね。
敵に巻き付いて動きを止められれば尚良し、ではあるけど出来なくても盾になるだろうしね。
私も2回攻撃をしつつ手数勝負で攻撃を。傷があるようなら傷口をえぐるで深手を追わせられるよう狙ってみるよ。

もし奴が金剛力士を召喚したら、フェイント等も使いつつ、死角や隙を窺って衝撃波や範囲攻撃で攻撃を届かせられるといいんだけど。

敵の攻撃については動きをよく注視しつつ見切りで避けられるよう心掛けるよ。


シャルル・クレティエ
夜が明ける前に一気に攻め込む
戦えるやつがいるってことを知らしめるように
敢えて明かりをつけ、夜道を進
もうこそこそする必要もない、思いっきり暴れるまでだ
「さあ、遠慮無しでやろうぜデカブツさんよぉ!」
挑発とともに血統覚醒
ありったけの銃弾を相手にぶち込む
派手に立ち回っていれば味方が隙をつきやすくなるかもしれん
好戦的な相手のようだから戦意を隠すことなく出していく
どうせ長くは生きられん。だったら全力でやって、さっさと燃え尽きて灰になってやる
ま、それは今すぐここじゃあねぇけどな!


壥・灰色
「壊鍵、再起動」

武僧が何を言うか、どんな口上を述べるか
名を名乗るか、名乗らないか
一切合切に興味がない

おれはただ、このくだらない、悲劇的な結末を破壊する
そのためだけにここに来た

仲間が攻撃を加えるその隙を縫い、近接格闘を仕掛ける
「二回攻撃」による手数の多さに加え、魔術回路「壊鍵」による「衝撃波」を纏った打撃を繰り出し、敵の手持ちの武器のリーチの内側に入ることで至近距離格闘を優位に運ぶ狙い

フィニッシュブローは最近覚えた一手
敵の喉輪なり、顔面なりを掴み、壁や大木に叩きつけ、「衝撃」を激発、激発、激発、激発、激発、激発、激発ッ!!!!
生まれてくることを後悔するまで叩き込んでやる。覚悟しろ


クルル・ハンドゥーレ
さてもさても。
御仏の教えすらあんたの業には届かんかったんかね?



WIZ
金剛力士に近接される前になぎ払い+吹き飛ばし+範囲攻撃で地面の雪を吹き上げ敵の視界を奪う
すぐさま吹き飛ばしを加えた幻月夜行で力士を攻撃
邪魔はさせへん!
僧までの射線を確保し幻月夜行にて僧を攻撃
目の前すぐを炎に横切らせるなどし新たに力士を召還しにくくなるように翻弄も

もう一度、地獄で修行し直してき!
(薙刀突き付け

近接されれば見切りで対応しつつ
吹き飛ばしでできるだけ
対応しやすいよう距離を取る

他の猟兵と協力
こちらに余裕があれば幻月夜行で気を引くなど周りの手助けも
アドリブ歓迎


陰白・幽
雪祭りまであと一歩~……しっかりとお祭りを楽しむために気を引き締めてこの戦いを終わらせるよ/
雪祭りを楽しむ邪魔をしている人を発見だよ……なんでこんなことをしたんだろうね、暇なのかな?
敵に対しては腕や尻尾を使った接近戦をするようにして攻撃のチャンスを伺うよ、敵が読経を始めたらこっちもUCを発動してガントレットを強化しておいて、敵の動きを冷静に見て【野生の勘】をいかして動きを見破ってぎりぎりで躱して相手にカウンターを狙っていくよ~、全力で振り抜くつもりだよ。/
体を動かしたら暖かくなったけど、終わるとさむくかんじるね……いい感じに頑張ったから~、あとはお祭りを楽しんで~ゆっくり寝よ~っと



●廃寺へと続く石段にて
 いつの頃からか、雪が止んでいた。夜明けまで、もう少し。ふと、腰掛けていた仮面の武僧が立ち上がった。
「来おったか」
 森から響くバイクの音、現れた京条・響(サウンドライダー・f00344)が山門の前にいる仮面の武僧に呟いた。
「あれだね」
「さて、お前が大将首ってやつ?」
「大将首?」
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)の問いに、石段をゆっくりと降り始めながら仮面の武僧は笑う。その巨体が震えるのは寒さからではない、歓喜からだ。
「ガハハハハハハハハハ! 大将首! なるほどなるほど、合戦が所望か!」
 上機嫌で笑い、シャリン、と錫杖を鳴らして仮面の武僧は
「太平の世、などと腑抜けが多い中で、なかなかどうして! 良い、良いぞ! 強者どもよ! 死合おう! それでこそよ、それでこそあの乱世に意味がある!」
「他の皆はともかく、おれは強くなんかねぇぞ。逃げて後悔すんのがイヤだから、弱くても怖くても戦ってる。それだけだ」
 こちらも寒さではなく、しかし恐れで震える鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)に、仮面の武僧は仮面の下で目を細めた。

「――それを強いと言わず、何を強いと言うかうつけが」

 仮面の武僧が、殺気を放つ。吹雪よりもなお体の芯から凍てつかせる殺気を前に、テスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)が口を開いた。
「チリン、チリ……と耳に残る音を聞いていました」
「……それで?」
「このあと雪まつりが行われるそうです。あなたがしようとした事もまた、一種のお祭りなのかもしれませんが。お祭りというのは、多くの人たちのあたたかい思いが集まるもの。あなたひとりのための悲しいお祭りは、……いいえ、それはお祭りではありません。火も血も、雪を溶かしてしまう」
 真っ直ぐに自分に向けられるテスアギの言葉と視線に、仮面の武僧は短く答える。

「――だから何だ?」

 仮面の武僧が、巻物を広げる。歩きながらも流暢に流れる読経に、街風・杏花(月下狂瀾・f06212)が口元を綻ばせた。
「うふ、うふふ、うふふ。あぁ、あぁ――これはとっても、分かりやすい。貴方、強いですね? 強いんですね?」
 仮面の武僧は、読経を止めない。その事実に、杏花が上気した頬で言葉を続けた。
「読経。なんて、滑稽なんでしょう。過去の残滓に神も仏もありはしないでしょうに! ええ、ええ、けれど邪魔なんて致しません。そんな無粋はするものですか。どうぞ一巻、最後までお読みになって。読めば読むほど、強くなるのでしょう、貴方。私はそれが、見たいのです」
 その一部を除いて小さな体の内側で膨れ上がるのは、欲望だ。己より強い者と斬り結びたいという欲、それが杏花の力を引き上げる!
「――そうして、待てば待つほど、私も、強くなる。大振りの動きをかわして、この刀で、その素っ首を切り裂いてみせましょう。かわし損ねれば、私、死んでしまうかもしれませんね。うふ、うふふ。でも、だから戦いは楽しい。でしょう? さぁ――存分に死合いましょう」
「おうよ!」
 一巻読み終えた仮面の武僧が、加速する。巨体が人の形をした突風になれば、シャルル・クレティエ(炎獄の銃雇兵・f04530)が言い放った。
「さあ、遠慮無しでやろうぜデカブツさんよぉ!」
 シャルルは血統覚醒を発動、真紅の瞳を輝かせヴァンパイアと化すとありったけの銃弾を撃ち込んだ。

●死ぬという事、死に損ねるという事
 無数の銃声が一つの轟音となって、仮面の武僧へと着弾していく。だが、シャルルのSilver orbitの銃弾で、仮面の武僧は止まらなかった。
「壊鍵、再起動」
 壥・灰色(ゴーストノート・f00067)が、一気に石段を駆け上がる。振り下ろされる錫杖を、灰色は衝拳の打撃で迎撃。ガゴン! と、互いに弾きあった。
「おれはただ、このくだらない、悲劇的な結末を破壊する。そのためだけにここに来た」 
弾かれた勢いを利用して、足から放つ『衝撃』で跳躍。灰色の裏拳が、武僧の仮面を強打した。ドン! と打ち抜く『衝撃』、しかし、仮面の武僧は小揺るぎもしない。
「それで良し!」
 仮面の武僧の岩のような拳が、空中の灰色を薙ぎ払った。灰色は逆らわず受け止めたまま、後退。入れ替わりで陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)が、踏み込む。読経の間にブラッド・ガイストによって殺戮捕食態となったガントレッドで殴打した。
「雪祭りを楽しむ邪魔をしている人を発見だよ……なんでこんなことをしたんだろうね、暇なのかな?」
「おう、暇で暇で仕方ないのよ!」
 幽の一撃を左手で受け止めた武僧は、そのまま錫杖を振り上げようとする。しかし、幽はそれを尾で受け止めるとクルリと錫杖を中心に回転、踵を武僧の脇腹に叩き込んだ。
「器用なヤツよ!」
 武僧が、顔を上げる。そこには大きくanywherewolfで跳んだ響が、Black Princeの引き金を引いていた。幽が横に跳んだ直後、錫杖を振り上げて武僧は銃弾を叩き落とす。
「さてもさても。御仏の教えすらあんたの業には届かんかったんかね?」
 クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)がKalmia latifoliaを構え、振るう。薄紅と白の花が舞い乱れる中を、武僧も錫杖で受け止めてた。
「おう! 乱世の業は、例え御仏でも晴らせぬものよ!」
 ガ、ガガガガガガガン! と薙刀と錫杖が、火花を散らす。
「乱世とは死と生が混在していた時代。死とは身近であり、生とは遠きものであった。それがどうだ!? あの安穏に暮らす連中の様は!?」
「シャア!!」
 武僧が吼え、巨大な白蛇が襲いかかる――有の厳つ霊(イカツチ)だ。
「動くなよ」
 電撃を帯びた尾と、武僧の錫杖が交差する! そして、白蛇を駆け上がって、杏花が踊りかかった。
「嗚呼、嗚呼、嗚呼――強いですね、貴方! 強いんでしょう!? ねえっ!!」
「そうとも! 強さこそ、戦いこそ全てよ!」
 杏花の無銘の打刀が踏み込んだ仮面の武僧の肩口を切り裂くが、浅い。武僧の頭突きに杏花が吹き飛ばされ――。
「私の落雷はあなたの錫杖を好むと言っていますが……痺れてくださいますか」
 ズドン! とテスアギの傍らに立つ目隠しのシャーマンが放った雷が、武僧を貫いた。

●朝焼けはついに――

「阿! 吽!」

 仮面の武僧の前へ、二体の金剛力士が降り立つ。放たれる拳をクルルはKalmia latifoliaで受け止め、吹き飛ばされた。
「さあ、どう突き崩す!?」
「これが目的やったんやね……!」
 仮面の武僧が石段を戦場に選んだ理由に、クルルは気付く。石段なら、常に上を取り続ければ金剛力士の壁が出来上がる――それを見越した上での位置取りだったのだ。
「くそ!」
 嵐が、拳を握る。武僧と同等の実力を持つ敵が、更に二体――絶望的ともいうべき戦力差だった。武僧に一撃を入れれば消せるとはいえ、それを許してくれる金剛力士ではない。
 だったら、どうすればいい――そう嵐が悩んだその時だ。
「げっぷ! 湯漬けを十杯もかき込んでたから、すっかり遅くなっちまった」
 ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)が、おっとり刀で駆けつけたのだ。その手には、旗が担がれている。
「戦ってのは高く翻げるものがないと寂しいから、旗を持ってきたぜ。雪国を表す「ゆ」の字の下にいくつかの「○」と一つの「△」を描いた旗だ。この△は――」
 キョロキョロと見回し、ジャスパーは嵐の足を叩いた。
「おまえな、おまえ」
「は!? おれ!?」
「一発カマすから、頼んだぜ」
 ジャスパーの言葉に、状況についていけなかった嵐は――しかし、しっかりとうなずいた。
「さーて、湯漬け十杯分の満腹感を糧に――クソ坊主を炙り焼きにしてやるぜ!」
 ジャスパーは名琴〈猫の爪研ぎ〉を凶悪な形状の火炎放射器へと変え、一気に炎を噴き出した。しかし、金剛力士達は止まらない。真っ直ぐと猟兵達へと――その横を、炎を隠れ蓑に駆け抜けた者がいた。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
 二十五番目の錫の兵隊(フェモテューヴェ)、片脚が義足の武装した兵士が駆けていく。金剛力士は気づき振り返ろうとするも、テスアギのクイックドロウに阻まれ、身動きできない!
「――グ!?」
 兵士の銃剣を武僧は肩口に受け、金剛力士がかき消えていく。それと同時、杏花が跳んだ。
「うふふ! この一撃で――超えますわ!」
 空中で前転するほどの勢いをつけた大上段の斬撃を、武僧は錫杖で受け止める。しかし、完全に受け止めきれない。傷を負った肩口へ、更に刃が深々とめり込んだ。
「ん~、よいしょっと……」
「な!」
 踏ん張っていた武僧の足を払ったのは、幽の尾だ。体勢を崩した武僧へ、響がBlack PrinceとSilver Knightを、シャルルがSilver orbitを構え、同時に引き金を引いた。
「が、は! は、はは、はははははははははははははは!!」
 銃弾を受けて、武僧はのけぞる。笑いながら、バク転。間合いを開けた。
「ここまでだよ」
「頼むぜ」
 響とシャルルの言葉に、有が愛無を投げ放つ。黒い杭は、深々と武僧の腹部へ突き刺さり、その場に縫い付けた。
「時間だね、悪夢はもう終わりだよ」
 白む空に、有が言い捨てる。杭に刺されてなおも動こうとする武僧へ、灰色とクルルが駆け込んだ。
「生まれてくることを後悔するまで叩き込んでやる。覚悟しろ」
 灰色が武僧の首元を掴み、石段へと叩きつける! そして、「衝撃」を激発、激発、激発、激発、激発、激発、激発ッ――!!!! 渾身を込めて、衝撃を連続で叩き込み――クルルが、Kalmia latifoliaを突き放った。
「もう一度、地獄で修行し直してき!」
「か、は……ッ、はは、は……は……」
 ドン! と胸を貫かれ、武僧が仮面の下で吐血する。朝日に染まっていく空を見上げ、武僧は小さく満足げな笑みを浮かべ、消え去った……。

●そして、平穏へ
 ゆっくりと、雪に埋もれた農村が朝日を浴びていく。山と麓、高低差があるからこそ見れた光景だ。
「体を動かしたら暖かくなったけど、終わるとさむくかんじるね……いい感じに頑張ったから~、あとはお祭りを楽しんで~ゆっくり寝よ~っと」
 幽はそう呟き、石段を下り始める。他の猟兵もまた、オブビリオンの脅威が去った、小さな村へと歩き始めた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『季節の行事』

POW   :    体力が尽きるまで全力で楽しむ

SPD   :    イカサマを辞することなく楽しむ

WIZ   :    効率よく無駄なく全てを楽しむ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●小さな村の雪祭り
 雪祭りは冬の間に、次の稲の豊作を願うために行われるものだった。今は休んでいる田んぼには手作りの雪像が立ち、これは誰でも作りたいなら作って参加してよい催しだ。
 村の中央では炊き出しが行われ、具は少ないものの体から温まる汁物も提供される。料理に覚えがあれば、振る舞う側に回ってもいいだろう。
 また、村の者は見飽きていても、そこから見える景色はとても美しいものだ。それを鑑賞するもの悪くない。

 猟兵達が勝ち取った平穏だ、存分に楽しむと良いだろう……。
京条・響
こうして知らない土地でのんびりするのも悪くないね。
バイクは置いて、村の中を歩いて回るよ。

少し寒いけど、炊き出しを貰って温まったり、歩いていたら暖かくなるかな。
一面の雪が陽の光を反射して、キラキラ輝いて。
雪に馴染みがないからかな、すごく綺麗だって思えるよ。

雪像って初めて見るけど、すごいね。
細部まで凝っていて、職人技って感じがするよ。
俺は凝ったモノは作れないけど、小さな雪だるまでも作って置いておこうかな。
村人たちの楽しそうな笑顔を見たり、普段訪れないような土地を眺めたり、こういうの、好きだな。

――来年も、この光景が失われませんように。



●勝ち取った風景
 日が明け、いくらか経った頃。農村では、合図もなく雪祭りが始まっていた。
「こうして知らない土地でのんびりするのも悪くないね」
 京条・響(サウンドライダー・f00344)は、バイクは置いて村の中をのんびりと歩いてみた。
 村の人は、50人をいくらか超えたぐらいか。華やかさはないが、活気に満ちている。そんな喧騒を聞きながら眺める光景は、一面の雪化粧で飾られていた。夜明け頃に止んだ雪雲は残っておらず、雲ひとつ無い冬の空に登った太陽の光が反射して、キラキラと輝いていた。
「……うん、すごいね」
 すごく綺麗だ、と響は思う。自然の脅威と美しさ、その両方をまざまざと教えてくれる光景だ。
「雪像って初めて見るけど、すごいね。細部まで凝っていて、職人技って感じがするね」
 春になれば田んぼになる、今は空き地にいくつもの雪像が立っていた。毎年の事だからだろう、農民が作ったにしてはしっかりと芸術品に見える出来栄えのものもある。凝ったものではカカシの雪像などもあり、思わず簡単の声が漏れた。
「村人たちの楽しそうな笑顔を見たり、普段訪れないような土地を眺めたり、こういうの、好きだな」
 響は微笑みながら、小さな雪だるまを作る。――来年も、この光景が失われませんように、その想いを込めて……。

成功 🔵​🔵​🔴​

テスアギ・ミナイ
【WIZ】
汁物をひとつ、はい、少なめにお願いします。

いただきながら、ひっそり、多くを眺められる場所に座って眺めます。
喧騒は好きです。けれども、喧騒に包まれるのは得意ではないのです。

私はこのお祭りを知りませんでした。
田んぼが休むことも、間近で見る雪像の美しさも。

……おかしいですね。
取り戻してから、取り戻したものが何なのかを知るなんて。
でもああいう時はいつも、そうしなければならないと思うのです。
ステキなものでよかった。ほんとうに。

※アドリブ歓迎



●終わったからこそ、気づく事
「汁物をひとつ、はい、少なめにお願いします」
「はいはい」
 テスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)に、村の老婆は笑みでお椀を手渡した。味噌で味付けされたその汁物は、よく味の染みた大根や豆腐が具として入っているものだ。特にこのあたりの農民にとって豆腐は特別な日にしか食べられないものだ。それが具として振る舞われている事が、この雪祭りが彼らにとって特別な意味を持つ事を表していた。
「私はこのお祭りを知りませんでした。田んぼが休むことも、間近で見る雪像の美しさも」
 喧騒から少し離れた場所に腰を下ろして、テスアギは呟く。体の奥から温まりながら、小さく微笑む。
「……おかしいですね。取り戻してから、取り戻したものが何なのかを知るなんて。でもああいう時はいつも、そうしなければならないと思うのです」
 もしも自分達が戦わなければ、この穏やかで尊いと思える光景は無かったのだ。失われなければ気づかないものが、この世にはある。それでも、失わずに気づける事の方が、きっと良い事なのだ。

「ステキなものでよかった。ほんとうに」

 白い吐息と共に、心の底からテスアギはそうこぼした……。

成功 🔵​🔵​🔴​

鏡島・嵐
【WIZ】
村の子供たちと一緒に、雪像作りとか雪合戦でもやってみっか。
雪像はまあ……凝ったモンは作れねぇけど、素人なりに頑張ってみる。
雪合戦の方は遊びだからって手は抜かねぇぞ~……あ痛てッ! 

あとは、やっぱり雪景色をちゃんと楽しまねぇとな。
雪は珍しくねぇだろうけど、祭は年に一回だけ。
だからこそ、雪も綺麗に見えんのかな。



●逃げなかったから、見られた光景
 農村にも、子供達はいる。普段は家の手伝いを言いつけられる子供達も、祭りの日は朝から番まで遊ぶ事が許されている――子供達にとっては、待ちに待った大切な日なのだ。「雪合戦の方は遊びだからって手は抜かねぇぞ~……あ痛てッ!」
「いやったー! 直撃!」
 少年が喝采を上げ、顔面にまともに雪玉をぶつけられた鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)がうずくまった。
「思ったより、冷たい!?」
「この程度で情けないぞ、兄ちゃん!」
「なー!」
 唸る嵐に、村の少年達が笑う。子供は四人ほどだが、次々に雪玉が量産されていく。役割を決めて、効率的に攻撃してくる――小さな村だからこその、チームワークがそこにあった。

 ――よーし、雪合戦なら俺が相手してやる!

 子供達の雪合戦の相手を買って出た嵐だが、子供達に容赦はない。否、子供だから容赦がないというのが正解か。もちろん、嵐だって負けるつもりはない。一発投げる度に五発はぶつけられるが、手数の差は根性でカバーした。
 そんな子供達の笑顔に、大人達の視線も優しい。普段、手伝わせてしまう事に罪悪感もあるのだろう――いい村だ、と嵐は思う。
「雪は珍しくねぇだろうけど、祭は年に一回だけ。だからこそ、雪も綺麗に見えんのかな」
 ただの自然の光景ではない、人の営みがあるからこそ、嵐にとってその光景は美しいと心の底から思えるものだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

芥辺・有
雪祭りね。
別に器用な質でもないし、散策がてら雪像でも見ながらぶらぶら村ん中を歩いて回ろうか。
初めて見るようなモンだけど、ふうん、中々。……寒い中、よく作るもんだ。
こういう雪景色、ってヤツもそうそう見たことなかったんだけど。……寒いだけって訳でもないんだね。

こうやってゆっくりするのも、まあ、……悪くないね。



●暖かな光景
 ゆっくりと、村の中を歩きながら芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は雪像を眺めていった。
「初めて見るようなモンだけど、ふうん、中々。……寒い中、よく作るもんだ」
 いくつもの雪だるまや子供が作ったのだろう何かもわからない雪像もあるが、凝った作品も少なくない。近づくだけで雪の冷たさが肌に感じられるだけに、有は感心したようにこぼす。
 夜には気づかなかったが、戦った山もすっかりと雪化粧していた。落葉樹には雪が積もり、まるで白い葉が木々を着飾ったかのような真っ白な光景がそこにはあった。
「こういう雪景色、ってヤツもそうそう見たことなかったんだけど。……寒いだけって訳でもないんだね」
 有は、暖かいと思う。それはそこに生きる人々の笑顔が、息吹があるからこそだ。寒さの中でも楽しく生きている、それを見れば心の奥から、暖かくなれた。
「こうやってゆっくりするのも、まあ、……悪くないね」
 喧騒に耳を傾けながら、有は歩く。これがオブビリオンとの死闘の対価なのだとすれば、有は決して悪い気はしなかった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰白・幽
よーし、無事に問題も解決したし、全力で雪祭りを楽しむぞー!
……雪像か~、面白そう、ボクも作らせてもーらおっと。
やるからには全力だよ、1番大きな雪だるまを目指して雪をコロコロっと回して大きくしていくよ~
/雪だるまを作ったらおなかが減ったかも……お~、何だかいいにおいがする、何かあるのかな~行ってみよっと。「とっても美味しそう、頂きまーす…………!!はふい……熱いけど、とっても美味しい~体も温まるし、どんどん食べれそう」
//ふぁ~、今日は~頑張ったし~楽しかったし~美味しかったな~……ちょっとだけ寝たら……また明日も……頑張ろっと…………zZ



●明日のために夢を見る
「わーい、大きい……!」
 陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)は、自分が作った雪だるまを見上げて歓声を上げた。子供達も物珍しそうに、幽の雪だるまを見にやってきていた。
 やるからには全力、そう決めた幽は手加減しなかった。ゴロゴロを小さな雪玉から始め、大人でさえ見上げるほどの大きな雪だるまを作って見せたのだ。
「お~、何だかいいにおいがする、何かあるのかな~行ってみよっと」
 大きな雪だるまに満足した幽が次にやって来たのは、村の中心で配られていた汁物だ。老婆は、幽を見ると、ニッコリと微笑んで椀を差し出した。
「はい、どうぞ。熱いから、気をつけてな?」
「とっても美味しそう、頂きまーす…………!! はふい……熱いけど、とっても美味しい~体も温まるし、どんどん食べれそう」
 味噌味に、味がよくしみた大根。ほくほくと暖かい豆腐は、豪勢ではないが胃の中から温めてくれる。ホっとする、そんな美味しさだった。
 幽の笑顔に、老婆も嬉しそうに微笑む。夜からずっと起きていたからだろう、胃が満たされて襲ってくる眠気に、幽は目をこすった。
「ふぁ~、今日は~頑張ったし~楽しかったし~美味しかったな~……ちょっとだけ寝たら……また明日も……頑張ろっと…………」
 こくりこくり、と船を漕ぎ始めた幽に、村人達は家の縁側に寝かせてあげた。
「ゆっくり眠りな、坊や」
「うん……」
 ぽんぽん、と老婆が幽が寒くないようにと、猪の毛皮を被せてくれた。人々の楽しげな声が、どこか遠くで聞こえる。その心地の良い騒がしさを子守唄に、幽は明日を夢見て眠りに落ちていった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルル・クレティエ
おーし、いっちょ雪像を作ってみるか
つってもそんな器用じゃねぇし…雪だるまくらいならできっかな?
耳をつけて、目を書いて…クマみたいだろ?
え、わからん?失礼だなー。どっからどう見てもかわいいクマちゃんじゃねぇかよーっ!
まぁいいわ…あったかいもんもらって元気出すわ
いい村だな、ここは。なんか自分の田舎を思い出すぜ
どうせ戦うならやっぱ何かを、誰かを守って戦う方が、やってよかったって思える
救ったのは俺達かもしれないが、どこかすくわれたような気分だ
これからもこの祭り、続けられるといいな


ジャスパー・ジャンブルジョルト
湯漬け十杯分のエネルギーを一気に消費しちまったから、めちゃくちゃ腹が減ったぜ。
(炊き出しで供されている汁物等をかったぱしからかき込んでいく) うーん、胃の腑に染みるぅ~! はふはふ! うまうま! ふみゃあぁぁぁ~ん!(猫の遠吠え)
いかん、いかん。あまりにも美味すぎて一瞬だけ野生にかえっちまった。

さて、腹も膨れたことだし、ちょいと芸術活動に勤しんでみっかな。カッチョいい侍の雪像を作ってみたりなんかして。(ケットシーなので雪像の高さも50センチ足らず)
よし、完成! あの旗を横に立てとこうっと。さっきも言ったが、この『ゆ』の字は雪国を表してたんだ。で、△は(また誰かを気分で選んで)おまえな、おまえ!



●そして、今年の祭りは終わっていく
「湯漬け十杯分のエネルギーを一気に消費しちまったから、めちゃくちゃ腹が減ったぜ」 ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)は、しみじみと呟きながら受け取った汁物に口をつける。
「うーん、胃の腑に染みるぅ~! はふはふ! うまうま! ふみゃあぁぁぁ~ん!」
 ジャスパーが不意に、猫の遠吠えを上げた。猫に遠吠えがあるのかは不明だが、少なくとも本人――否、本猫はそう思っていた。
「いかん、いかん。あまりにも美味すぎて一瞬だけ野生にかえっちまった」
「いい食いっぷりだね、もっとお上がりよ」
「おう、ありがたくいたたくぜ」
 しゃり、と噛んだ大根が口の中でほぐれてとけていく。雪の中でしっかりと寝かした大根は、味噌の味が染みてたまらなく美味かった。

「何これ?」
「耳をつけて、目を書いて……クマみたいだろ?」
 会心の出来た、と笑うシャルル・クレティエ(炎獄の銃雇兵・f04530)に、子供が小首を傾げる。
「……クマ?」
「え、わからん? 失礼だなー。どっからどう見てもかわいいクマちゃんじゃねぇかよーっ!」
 シャルルはガクリ、とうなだれるが、ふと近くで上がった感心の声にそちらに視線を向ける。
 そこにあったのは、50センチ足らずの小さなサムライの雪像だ。小さくはあるが、よく出来ている。作成者であるジャスパーは満足げにうなずいた。
「よし、完成! あの旗を横に立てとこうっと。さっきも言ったが、この『ゆ』の字は雪国を表してたんだ。で、△はおまえな、おまえ!」
「いや、いくなり言われても」
 唐突に巻き込まれたシャルルは、苦笑する。広場で汁物を受け取り、村を眺めてシャルルは言った。
「いい村だな、ここは。なんか自分の田舎を思い出すぜ」
 どうせ戦うならやはり何かを、誰かを守って戦う方が、やってよかったと思いたい――シャルルは小さく笑った。
「救ったのは俺達かもしれないが、どこかすくわれたような気分だ。これからもこの祭り、続けられるといいな」

 今年の雪祭りは、外からのお客さんもあり盛況の内に終わった。冬が終われば、春が来る。来年もまた、楽しめるように――次の雪祭りを楽しむために、村の人々は頑張って生きていく事だろう……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト