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その瞳に牙は宿る

#UDCアース

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#UDCアース


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 オカアサマ……オカアサマ、どうして、私を、―――――ユルサナイ。


 髪が伸びる人形、とはよく言ったものだ。
 都市伝説や呪い、噂の影に潜む在り来たりな存在と言える代表格のようなソレ。
 あらゆる角度から何故髪が伸びるのか日夜検証さえされているそれだが、たった一体の髪が伸びるならまだしも、例えば人形店の敷地内に入ったら、どんな人形でも髪が伸びてしまうとしたら、どうであろうか。

 実際に、店内に人形を置いておけば、髪が伸びてしまう人形店というものが、ある。

 ある――と言っても、此処最近の話であり、噂は瞬く間に広まり今ではその人形店には多くの人々が興味を刺激されて、訪れているばかりである。
 どの人形も皆、愛らしく、それぞれの表情をしながらちょこんと座っていたり、硝子ケェスの中でおりこうさんに立っていたりとするのだが。
 不気味なほどに、それぞれがどれも髪の毛が伸びている。
 誰かがその人形店を、呪われているといった。
 誰かがその人形店を、何かよからぬものがあるのではといった。
 誰かがその人形店を、インチキだと罵った。
 しかしその人形店は、噂が栄えれば栄えるほど、人の足は忙しく通い、どちらかというと地域は活性化され喜ばれていた。
 されど店主は言うのだ。
「自分は何もしていない。本当に、何もしていないのだ――早くこの騒動をどうにかしてくれ。だって……だって」
 だって、怖いじゃない。髪が伸びる人形店なんて。

 この人形の噂話の影に、こんなうわさまであった。
 小さな少女のような呼び声がすると、人が忽然といなくなる。そんな噂が。


「―――っていう怖い話だから早くなんとかしてくれ!!」
 身体をぶるぶる震わせながら、早乙女・輝夜(f10158)は嘆くような頼りない声色で言った。
「とある人形店に異変が起きてるんだ、え、もっかい言わないと駄目!? だから!」
 涙目の輝夜は言った、人形の髪が伸びるお店を調査して欲しいとの事。
「今そこは一種の名物みたいなものになっているから、人でごった返してる!
 正直邪魔なくらい。もみくちゃにされるから、気をつけろよ!
 んでもって、店主からは事態が解決するなら、ちょっとくらいお店の物品に被害が出てもいいって言ってた。
 まあそうだよな、こんな汚名みたいな形で店、営業できなさそうだしな。
 何とかしてやって欲しいんだ、よろしく頼んだぜ!
 あ、そうだ。もう一つなんか……関係があるかわからねぇけど、行方不明者がこの地域で多発している。ちょっとそっちも意識してくれると嬉しいぜ!」
 そう言いながら輝夜はエンガチョエンガチョと言っていた。


羽鳴ゆい
 二度目まして、羽鳴ゆいと申します。以後よろしくお願いします。

●状況
 髪が伸びる人形とは単体の事ですが。
 この人形店では、人形店の中の全ての人形が髪が伸びるという現象が起きております。
 それの原因を調べて頂きたいと思います。
 また、別の噂で行方不明になる人が多発しております。同時にこちらとの関連(があるのか現時点ではわかりませんが)を調べて頂きたいと思います。

●内容
 店主:どこにでもいそうなおじさんですが、ホラー系のものに弱く、今回の事件を早くどうにか欲しいと思っております。話を聞くことはできます。
 野次馬:たくさんいます。ごった返しております。話を聞くことはできますが核心に迫るような情報は少ないと言えます。
 人形:あらゆる国の人形が揃っております。
 民族衣装風、煌びやかなドレス風、着せ替え系、動物を模したもの(これは髪の毛というより毛が伸びる形です!)があります。
 最近、民族衣装風の人形を仕入れたらしいです。

●場所
 店です。人がいっぱいです。
 時刻は昼間であり、夜も調査可能です。

 それではプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『髪が伸びる人形』

POW   :    人形を破壊する

SPD   :    人形を解体する

WIZ   :    人形を調べる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

髪塚・鍬丸
人形を解体して調べてみよう。
「すまねぇが二、三体買い取らせて貰うよ。ばらして調べてみてぇんだ。」
と店主に断りをいれて代金を払う。種類は、まぁ無作為に違う種類を選ぶ。

俺らの国の人形だと、長い髪の毛を二つ折りにして人形の頭に植え付けてるから、櫛で髪をとかしてると止めた部分から片方に引っ張られてバランスが偏って、髪が伸びていくように見える、って事があるんだが。一応その辺を調べとこうか。

問題が無ければ解体して異常が無いか調べる。文字やら印やらの類、傷跡や変化など。あれば、そういうのに詳しそうな知性派の同胞に見せて調べて貰うのが得策かね。

何も無ければ外的な要因、って事でそれはそれで収穫だ。




 髪が伸びるんですって。
 なあにそれ、呪い?
 呪いだなんて! でも怖いものほど、見てみたい。
 怖いものほど、興味が出る。
 見に行こう、見に行こう。
 何かが起きるならそれも面白い!
 ざわざわ、がやがや。事件が発生してから猟兵たちが来るまでに、人々の群れと話題が闇鍋のように入り混じっていた。
 世の噂とは怖いものだ。
 ひとつ火が点けば津波のように人々は押し寄せ、一目見んと興味が解放される。稀にそれは、個人の理性というものが集団となれば書き消すくらいに。

 人口密度の高い店前で、「通るよ、通るから少し退いてくれねぇか、通るよ」という声がひとつ浮いていた。
 野次馬にもみくちゃにされてから、ある意味逃げてきたかのように店内に入ってきたのは、髪塚・鍬丸(人間の化身忍者・f10718)だ。
 見回せば、一番最初に此処に来た猟兵なのだろう。表の喧噪とは違い、店の中はしん……と静寂が落ちている。
「思った以上に凄い人の量だった」
 はあ、とひとつため息をつきながら、鍬丸はよれた服を元に戻す。
「悪いねえ、ほんと……前まではこんな事は無かったのだけど」
 店主が鍬丸に温かいお茶を持ってきながら、遠慮気味の表情で独り言のように言った。
 早速、鍬丸は仕事に取り掛かる。
 一周――視界を回してみたが、これは凄い。妙に不気味だ。
 皆、一様に髪の毛が伸びているのは勿論の事であるし、まるで鍬丸を監視するように見つめている気さえするのだ。
「店主、此処でよく仕事ができるな」
「そうかい? 私は可愛い商品であるんだけどね」
「すまねぇが二、三体買い取らせて貰うよ。ばらして調べてみてぇんだ」
「悪いねこんな所まで。期待しているよ、なんて言ったって猟兵が来たのだから」
 快く店主は鍬丸の代金を受け取りながら、『何かあったら言ってくれ』と邪魔にならないように、店の奥へと消えた。

 鍬丸曰く。
 鍬丸の国では人形は、長い髪の毛を二つ折りにして人形の頭に植え付けてるから、櫛で髪をとかしてると止めた部分から片方に引っ張られてバランスが偏って、髪が伸びていくように見える事がある。
 手に取ったロリータ風の愛らしい人形の髪の毛を引っ張ってみてから、解体してみた。
 丁寧に解体したにも関わらず、人形のガラスのような瞳が落ち、床をころころ這って、止まった。
 眼球の瞳孔は、鍬丸を見つめている――。
「どうやら髪の毛や人形に、術や神秘的な作為は見当たらない。が……」
 コロコロ転がった瞳をつまんだ鍬丸。少し力を込めただけで、瞳は潰れるように粉々に壊れた。
「ちと瞳が気になるな」

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアータ・ベルトット
呪いとか祟りとか…アホらしすぎて話にならないわ
所詮は枯れ尾花だってこと、私が証明してやる

まずは店主に聞き込み
髪が伸び始めた具体的な時期について、そして、同時期にこの店に起きた変化があれば、どんな些細な事でもいいから話してもらうよう頼む
もしその変化が今この時も目で見て確認できるような物なら不審な挙動を取っていないかチェックよ

と同時に、店内の客たちにも注意を向ける
大半は暇を持て余してる野次馬でしょうけど…何かしらの事情を知る者が紛れてる可能性もある
例えば変化のあった個所だけをやたらに注視・観察してるようなヤツがいたらその立ち振る舞いを密かに眺めて確認
怪しかったら他の猟兵にも情報共有して注意を促すわ




 昔から、大事にされてきたものには魂が宿るという。
 この世界にも、そういった種族が存在するし、受け入れられている。
 そして伝説の中で見え隠れする化け物の類がひどく知られている。呪いや、そして感情の具現化――それらが与える負の出来事。そういったものを人は祟りや厄災と呼ぶのだが。
 ネガティブなものを跳ねのけるように 攻撃的な赤髪が、店の扉が閉まるときに吹いた僅かな風にふわりと揺れた。
 鍬丸が人形を調べている間に、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)が店内へと入ってきたのだ。
 ベアータとしては、呪いや祟りなどは彼女の感性にはフィットしない貌で、所詮は枯れ尾花である事を証明せんと、強気な瞳はすぐさま行動を開始した。
「店主はどこ?」
「はい、此処にいますよ」
「早速だけど、話を聞かせて頂戴。髪の毛が伸び始めたのはいつ頃?」
「そうだなあ、正確には一週間ほど前だったか……最初は驚いて2、3日店を飛び出してしまったよ」
「そう。その時に何か店や周囲に変化はあったかしら? どんな小さな情報でもいいの」
「いやそれが無いんだよ。そういえば……」
 周囲の状況を観察しながら、ベアータは店主の話を聞いていた。
 どうやら周囲で怪しい行動をする者は、いない。
 ふと、そこで店主の話は止まっていた。どうしたのだろう、と不思議にベアータは怪訝そうに店主を見ていた。すると店主は一度店の奥へと消えていき、一枚の写真を持ってきた。そこには濡れたような黒髪に黒い瞳を持った少女が立っているだけの写真。
「この店によく来ていた子なんだ。けれどパッタリこなくなってしまって気になっていたんだ。
 毎日来ていたよ。この日は彼女がカメラを持ってきたから撮ってやったんだ。
 そのことを誰かに話たかったんだけど……、まあ常連も離れるような状況だし、私みたいなおじさんが少女を気にしてもねえ?」
「ありがとう、その写真、いただいても?」
「ああ、でも後で返して欲しい。その子の思い出はそれしかなくてね」
 娘のいない店主であるからこそ、その娘の事を大事に思っていたのだろう。
 恐らく店主の話には嘘や偽りは無さそうだとベアータは判断した。また、この店主が事件の原因と関わりが無いのも、店主の優しい瞳から物語っている。
「ありがとう、その少女についても調べられたら調べてみるわね」
「すまないね」

 ベアータは鍬丸と集めた情報を交換した。
「人形の瞳……そうね、確かに生きているように見られている気配はするわね」
 そういえばと少女と黒髪のおかっぱが伸びたような人形を見た。着物を着ていて、古臭い服装だが……どことなく愛らしい表情をしている。
 その人形が写真の子と似ているような気がした。
「認めないわ、呪いや祟りなんてそんなものは無い。あるとしたらこの現実の、オブリビオンの仕業――それ以外に、何があるというの!」

成功 🔵​🔵​🔴​

シュクルリ・シュクルグラッセ
人形を調べます

店主には最近入った人形がどれか問いますです
同時にそれを購入、もしくは見ていた人物に憶えがないかどうか情報収集です
同時に、行方不明者と特徴が一致するかも調査しておきますです

先行者の感覚では瞳が気になると言うので、新しい人形から瞳を調査です
私自身が機械人形ですが、瞳は人同様、外部を知覚するもの
何者かが人形に影響しているなら、人形の視覚を通して見ているのでは、と考えますです
瞳のガラスに何か変質など痕跡があれば分かりやすいものですが
先行者の話では、粉々に壊れたと言いますが、そこまで脆いものでしょうか?

一つ一つ確認し、店主には仕入れた人形の話を聞いて、何か変質・変化が無いか調査しますです




 少しずつ猟兵たちは連携し、真実へと近づき始めている。
 その先に待つものが、魔と出るかどうかは――まだ、解らないけれど。
 猟兵とは一人では無く、いつだって複数人が同時に同じ現場を奔走する。一人一人が手繰り寄せた糸が重なり、その先の未来を切り開いていく。
 また一人の猟兵、シュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)が店主と相対していた。
 幼い瞳に、大きな店主を映しながら純粋な眼差しは純粋に問う。
「店主さん……、最近入った人形は、どれでしょうか?」
「最近ね……これだよ」
 店主が取り出したのは、赤色の着物を着た長いおかっぱ髪の人形である。
「これ、貰ってもいいですか?」
「いいよ」
 お代を渡したシュクルリは、ベアータが見ていた写真と照らし合わせてみる。確かに、写真に写る黒髪の少女に似ている気がした。
 だがそれは杞憂かもしれない。ひとつのヒントではあるかもしれないが。
 既に鍬丸が言っていた通り、人形の瞳を気にしてみてみる事にしたシュクルリ。
 影のように漆黒なそれは、何も映す事はない。機械人形たるシュクルリが持つ銀色の瞳とは真逆の存在のようにも感じられた。
 瞳は人同様、外部を知覚するもの。
 何者かが人形に影響しているなら、人形の視覚を通して見ているのでは――成程、この瞳は一種の盗撮のような役割を果たしている、シュクルリはそう考察した。
 鍬丸が瞳に触れた時、それはまるで泥団子が砂に戻るかのように壊れてしまった。
 さて、シュクルリの場合はどうであろうか。同じ機械『人形』としては気が引けるものだが、シュクルリの指は人形の瞳を突こうとした。
 その時、人形の瞳が縦に一回転、ぐるりと廻る。
「わっ」
 思わずシュクルリはその人形を手放した。
 地面に落ちた人形は痙攣の如く動き出してから、再びその瞳は砂のように崩壊して散らばる。そして、同時に動きは止まった。
「人形じゃない、何か、瞳に何かが、いるような気がします」
 もう少しで、元凶へとたどり着く――その一歩手前まで詰められたところだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・柚希
店主さん、自分は何もしていないのにこんな事に。
……なんだか、他人事に思えないな。
猟兵としてはこれが初仕事。出来る範囲のことをするのみだ。

人形をひとつ、解体して調べさせてもらいたい
瞳に何かがいるらしいと聞いて、その何かはどの条件で外に働きかけるのだろうか
夜が来るまでに、噂の出始めた時期に仕入れたあたりの人形について聞いて置き、
時間帯を変えて、夜に人形の様子を確認
解体前に目視で変化が無ければ、瞳の変化に注意して調査をするよ
変化がどのタイミングで起きたか、何か発見があるといいんだけれど


楠瀬・亜夜
髪の伸びる呪いの人形か……よくある怪談話、とは
いかないのが今のご時勢なんですよね

ともあれ他の方々の調査報告を聞く限りですと
この異変の元凶は人形の瞳にほぼ間違いないですかね
……であれば異変を直接確認してみますか。
こっそりと深夜に店に侵入し、人形達の視界外であろう物陰から
人形達の様子を監視してみましょう。
一応【聞き耳】で不審な物音がしないか気を配っておきます。

「……深夜の人形店はやっぱ不気味ですね」

数時間監視を続けてみてなにも起きないようであれば
直接、報告にあった写真の少女に似た人形の瞳を調べてみます。




 探索もいよいよ終盤となってきた。
 ここまで猟兵たちが集めた情報もそうだが、人形店よりは人形に何かがあることは確かである。
 人形が見つめる店内で、空亡・柚希(玩具修理者・f02700)は生唾をごくりと飲んだ。
 これが柚希にとって初依頼であるのだ。
 こういった事件を請け負うことは話に聞いているが、これから何が起こるものか。
 それはそれとし、店主は何もしていないのにこんな事になってしまい、玩具屋を任されている身の柚希としては他人事とは思えなかった。
 運が悪ければ。
 もしかすれば。
 自分の店さえ同じ事が起きてもおかしくはない世の中であるからこそ、探索する柚希の指先に力が入る。
 同時に楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)も探索を始めていた。
 よくある怪談話で終われば可愛いとさえ思えるくらいの世界である。気を許せば、すれ違った人間がオブリビオンである可能性さえ孕む世界だ。
 先に調査している面々から聞けば、人形の瞳に仕掛けか、またはそれに値するものが秘められているのは間違いはない。
 昼の調査では、今まで出ていた情報以上のものは出なかった。舞台は時間をずらし、夜へと移る。

 二人は打ち合わせもせず、夜に鉢合った。

 柚希が軽く礼をした先で、亜夜は会釈をする。
「そちらも夜に、かな?」
「偶然ですね……深夜の人形店はやっぱ不気味ですね」
「あはは、確かに慣れていないと不気味に思えるかもしれないね」
「玩具屋を経営していらっしゃるのでしたっけ」
「はい。だから、慣れている風景では……ありますが。気のせいか刺すような視線を感じます」
「お気をつけて」 
 言葉を交わしながら、二人は件の店の手前まで来た。夜はあの人集りも嘘のように存在せず、只しっとりと冷たい冬の空気が流れているだけだ。
 柚希は店主から借りた鍵で中へ入り、亜夜は外から店内を眺めている。
 昼間に聞いておいた人形を柚希は手に取った。どうやらまだ変化はないようだ――だが。
「うわっ!!」
 空前絶後という言葉が似合う程、それは突然であった。
 突如人形の髪の毛が伸び、柚希の腕を伝い、首へ、胴体へと、その身体を拘束しようと螺旋のように上ってくる。
 その時、亜夜は変化に気づき立ち上がった――なのだが、すぐに柚希を助けに行くことが難しくあった。
「何か……来そうですね」
 藍色の瞳が銀髪の中で揺れた。最小の動きで武器を取る亜夜。そして――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『邪悪な占い師を追え』

POW   :    占い師に会う、悩み相談をする

SPD   :    占い師を追跡して行動を調べる

WIZ   :    祭具の出所を調べる、ばら撒かれた祭具の回収

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 金切り声のような笑い声が響いた。
 柚希は咄嗟に人形を手放し、絡みついた髪の毛を引きはがす。
 ぐるんと一周回転した人形の瞳が、ただの硝子玉から人間と同じそれのような肉感を持っていた。
 店中の人形が挙動不審に動き出す。
 ひとつは微動しながら棚から落ちて地面を這い、ひとつは震えながら叫んでいた。
 ひとつは髪の毛を柚希へ伸ばし、ひとつはこう言う。
『オカアサン』
「僕、男だけどな!!」
 店を飛び出した柚希。そこで亜夜とすれ違う。
 そこでは亜夜は黒髪に瞳の黒い――ベアータが入手した写真の少女を捕まえていた。
「人形たちに何をしました?」
「……」
 少女は何も言わず、しかし胸元からころりと堕ちた硝子玉があった。それは何やら異様な雰囲気を放ちつつ、見ていると精神の奥底がかき混ぜられるような闇を孕んでいる。
 柚希はそれをつまみ、悲しい顔を零した。指に力を入れれば、硝子玉は弾けるように砕け。すると店の人形が動きを止めた。
「これを、どこで」
「人形に見せると、動くって、言うから」
 亜夜は言う。
「これは祭具。何か、良くない儀式に巻き込まれるところでしたよ?」
「でも占い師さん……が、ち、ちがうの、だっていっぱい人形に見せたら、私のお母さん帰ってくるっていうから」
「占い師……」

 少女が言うには、街には占い師が1週間前に来たそうだ。
 母を不慮の事故で失った少女が、自暴自棄、興味本位でその占い師に相談したら、その弱みに付け込んで占い師は祭具を渡した。
 人形の瞳に感染していく祭具――それを渡し、それを使う、その意味はまだわからないが、猟兵たちは件の占い師を探すことにした。
「その占い師さん、私のほかにも、硝子玉、渡していたよ――」
ベアータ・ベルトット
写真の子と会って話をするわ
死んだ母を思う気持ちは酌みつつも、弱さを晒して悪意持つ者に狙われる隙を作っては駄目だと伝える
店主が気にかけてくれてた事も説明し、きちんと謝るべきだともね

そして、店主みたいな人を救う為にもアンタの力が必要だと協力を持ちかけるわ

少女の知己の伝手、およびSNS(出来たら地域コミュニティとか)を利用して、一被害者を装って髪の伸びた人形の写真をアップ
件の店以外でこんな人形を見聞きした事はないか、拡散と情報提供を呼び掛けて貰う
可能なら、占い師から硝子玉を貰った人についても情報を集めたいわね

返信を貰えたら、相手に直接メッセージを送って詳細を確認
私が現地へ赴いて硝子玉を回収して回るわ




 さて事態は先へと進む。
 猟兵は硝子玉と少女の言葉を頼りに、件の占い師―――その前に、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は少女に相対していた。
 黒髪に黒目。
 その瞳は、光を通さないように薄汚れていて、とり憑かれたかのように淀んでいる。
 名前は、黒澤花(くろさわ・はな)。
「あのねえ……」
 ベアータは灼熱のような赤髪を手で払ってから、見上げた少女の怯えている瞳を凝視した。
 花の瞳と視界が接した瞬間、それは途切れる。花がベアータに怖気づいてしまったように、かんばせを横にずらしたからだ。
 しかしベアータは、ある意味攻勢に強い語りをさらけ出すのでは無く、花に言い聞かせるように言うのだ。
「貴方の事情はわからなくはないわ。貴方のせいじゃないし、……同情している訳ではないのよ?
 でもね。弱さを晒して、悪意持つ者に狙われる隙を作っては駄目よ」
「え……」
「人形の店の店主も、貴方を気にしていたわ。あまり心配させないことね、あと、心配させたんだから謝りなさい?」
「う……」
 強い口調だが優しさを秘めており、一言一言が染み渡るように花の心を溶かしていく。
 下を向いた花であったが、それは悲しさでは無い。そこまで思ってくれる相手がいる事に気づき、嬉しいのだ。
「アンタの力が必要だわ。今回の案件――」
 救いを求めるものに、手を差し伸べるように。ベアータは強きの瞳を花へと差し出した。
 その心は通じ合う。いつだって面と向かって話をしてみれば、その想いはわかりあえるはずだから。
「わか……った」
 薄暗い闇に一筋の光が差し込むように、花の瞳に光が灯った。その光は小さいけれど温かく。ベアータの髪の色にも似ていた。
 ベアータと花は行動を起こす。彼女が持っている人伝を辿って、似たような硝子玉や占い師や人形に接触した人物を探すのだ。
「怒ってないの……? 私、怒られたりしないの?」
「反省している相手を怒ってどうするのよ。さあ行くわよ、ガラス玉全て、このアタシが破壊してやるんだから」

成功 🔵​🔵​🔴​

斉藤・彩矢
「ホラーはちょっと勘弁してほしいんだけどなー…」

【SPD】を使用。
占い師を探し出して【影の追跡者の召喚】を使用、【影の追跡者】に占い師の後を追わせます。
私自身は【影の追跡者の召喚】の使用後、しばらく待ってから後を追います。
追跡がばれないことを優先。
相手が通ったルートは使わないようにし、回り道などを使って万が一にも相手が見まわしたりした時に視界に入らないよう、距離を大きく保って後を付けていきます。
行動を追いつつ、第三者に接触した場合は会話内容を記憶、大雑把にでもメモ。
もし同じような再びガラス玉を渡すようなら、後で渡された人に接触して【コミュ力】【言いくるめ】で説得し何とかガラス玉を回収しますよ。




 斉藤・彩矢(一般人+1・f10794)は一人ごちる。
「ホラーはちょっと勘弁してほしいんだけどなー……」
 言いたい事は、とてもよく理解できるものだ。
 ホラーが好きな人間は、物好きか、怖いもの見たさにストレスを発散か、それとも元よりそういった闇が好きなものか。
 エンタメには程遠いそれへの拒否感に理由は色々あれど、好き好んでホラーに飛び込む感覚は、彩矢の感性にはフィットしにくいものであった。
 とはいえ仕事は仕事。
 割り切ることにワンクッション必要なくらいだけれども。
 さて彩矢は件の占い師の近くへ来ていた。とは言え見つからないよう距離を置き、そしてビルの角に隠れつつだ。
 どうやら占い師はまだ気づいていないようだ。最後の客の相手を終わらせ、店仕舞いをしながらどこかへと向かおうとしている。
「……最後のお客さんにも硝子玉渡していたような。占い師も客も、どっちも追わないと……おねがいね」
 彩矢の影がうねる。
 スライムのように形を変えながら、最終的に作り出されたのは彩矢の分身だ。
 影たる彩矢は占い師を、彩矢本人は客を追っていく。
「あの」
 暫くして、彩矢は客である男性へと声をかけた。
「私は猟兵です。その硝子玉は危険なものですので、こちらに渡してくださいませんか?」
「え……ぁ」
 こういう場合、男が取る行動の選択肢は限りある。
 ひとつは快く承諾してくれる。
 ひとつは理由を聞いてから行動に分岐がある。
 ひとつは逃げる、だ。
 刹那、男は彩矢がいる方向から逆に走り出した。3番目の選択肢をした男に、彩矢は即座に対応する。
 男を追いながら、しかし彼女は捕まえるという選択を取るよりも、追いながらも己の言葉の力を駆使して彼に自ら止まってもらうのを選んだのだ。
「待ってください! 私は、貴方が不幸な事になるのを止めたいんです!!」
 普段はさばさばしている彩矢であるが。幸先が悪い相手を理解していて逃す程無関心ではない。
 その心は男に通じたのか、男は止まった。互いに荒い息を吐きながら、少しずつ彩矢は彼へと歩みを進めた。
「それは、悪いもので」
「す、すみ、ません……猟兵に、捕まると思ったら怖くて」
「いえ、私はしが無い高校生です。罪もない人を捕まえる権限なんて」
 彩矢は硝子玉を手に入れ破壊する。
 さて、彩矢の影の方はどうなったか――それは、後で語るとしよう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

髪塚・鍬丸
「まだ動くには情報が足りてねぇかな……?一つ、接触してみるかね」

猟兵とばれない様に服装等を偽装
占い師が仕事中に接触出来れば、普通に客として相談を持ち掛ける
「最近彼女の態度が冷たいんだよ。浮気でもしてんじゃねぇかな、って……」と恋愛占いを頼む。不信感や怒りといった、負の感情や悪意を滲ませる態度を見せてみる
仕事中の接触が難しければ「くそっ、あの女ふざけやがって……」等と独り言を言いながらイラついた態度で近くを歩いてみる。目的があるなら向こうから声をかけてくるんじゃねぇかな

何かを持ち掛けられても優柔不断な態度で、なるべく相手の手の内を多く引き出せる様試みる。次手の為に、少しでも多くの情報を持ち帰ろう


シュクルリ・シュクルグラッセ
【WIZ】祭具の回収と調査を行います

祭具の回収は、噂には噂を、です
人形店と同じく、人形が動く、髪が伸びた、という噂をネットワークなどを使い、調査します
範囲は人形店を中心に、行方不明者が出ている場所を

同時に、ドッペルゲンガーのような、誰かに似過ぎている人形の噂を、話好きな女性を中心にネット、あるいは聞き込みで、吹聴。情報を探りますです

少女と人形の類似。原因と結果より、同様の事象が人形店に隠れて、他でも起きていると推測するです

聞き込みと先行した猟兵の情報をあわせて硝子玉の持ち主を探ります

回収は偶然を装い接触、顔色を心配する素振りから、呪いの硝子玉と人形の話を、行方不明者の噂を交えて話し、説得です




「まだ動くには情報が足りてねぇかな……? 一つ、接触してみるかね」
 ここで髪塚・鍬丸(人間の化身忍者・f10718)は、はじめて占い師との接触を試みた。
 可能な限り猟兵である己を表に出さない為に、寒さを理由に厚着をし、長いマフラーで口から下を隠してみた。
 さて、占い師の手前に座る鍬丸。
 さほど周囲に人はおらず、占い師と鍬丸はまるで世界から切り離されたかのように、通行人は二人に気に留めない。
 件の占い師も、まるで占い師であると身体中で体現しているように、身体を覆い隠す黒いローブと、フードで正体が見えない。
 わずかに鼻から下がフードから覗いているだけであり、それに占い師から発された声は意外とハスキーで男女かの見分けもつかなかった。
「占って欲しいんだ」
「安くしておくよ、今日はもう店仕舞いかと思っていたからね」
「最近彼女の態度が冷たいんだよ。浮気でもしてんじゃねぇかな、って……」
「浮気ねえ……」
 鍬丸が、占い師の瞳を捕らえた。淀んだような黒目が鍬丸の顔を映していた。
 鍬丸の声はどこか怒りや負の感情がこもり、語尾に濁点が着くように力がこもっている。
 占い師からの返答次第では、まるでこれから彼女を問い詰めにいき、あわよくば一事件が発生しそうな雰囲気さえ孕んでいるが、占い師は慣れているのか落ち着いている。
 意味を成しているか不明だが、占い師は小さなテーブルのうえに鎮座する水晶玉をじっと見つめていた。
「人を殺してみる前に、ひとつ、運気を上げてみる事だ。このビー玉のような珠を、反射するものにかざしてみるんだ。今なら安くしておくよ」
 売るのかよ、と心の中で独りごとを終えた鍬丸。
「いくらだ?」
 意外と、高かった。


 という経緯で、猟兵は硝子玉をひとつ手に入れた。
 それを覗き込んでみると、心の奥底がぐるぐるとかき混ぜられるような気分さえ感じるもの。
 シュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)はその形状を覚えてから、それの回収作業へと移る。
 鍬丸曰く、特に人形の目玉ではなくていいようだ。その硝子玉が映すものであれば、祭具としての力は発揮されるかもしれない――との事で。
 少女が人形を選んだのは、『人形は魂を宿しやすい』からであるかもしれない。
 ともあれ、シュクルリはネットを使い、同じような被害や、同じような行方不明事件が起きている場所を探してみた。
 このご時世だから、行方不明というものは残念にも少なくはない。どこから信仰集団や邪神、オブリビオンが人々を狙っているかわからないからだ。
 だが人形と絡めれば、現時点の事件と関連性は高くなる。
 そこに一滴の毒のように、己から発信するウワサ――誰かに似ている人形――を流し込んでみる。
 人形店に通っていた少女と類似した人形が存在している点を加味して、シュクルリは他にもそのようなものが存在するのを予測してみた。
 そこで一つの情報と出会う。
 その結果は――、また後で語るとしよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

空亡・柚希
人形の瞳に感染する祭具。硝子玉。
あの子は、見せるとお母さんが帰ってくるって言っていたような。
でも少なくとも、占い師さんは本心から再会して欲しくて勧めた訳じゃないだろうね。動いた後が怖い事は身を以て知った訳だし。
小さい子を唆して、人形を動かして、どうするのか。

元凶に繋がる糸口を掴みたい。
占い師の場所について情報を得たら、追跡を試みる

見つからないよう、【目立たない】よう、追う際には用心を。
店じまいを終えたらどうするのか。減った祭具は何処で補充するのか。
情報があれば極力覚えて、余裕あれば次に繋がる記録もとっておきたい。
一先ず情報を得ることに集中、折を見て一旦退きたいところだけれど……どうだろう、ね。


楠瀬・亜夜
うーん……その占い師とやらの拠点が分かれば
祭具についても何か分かる……気がしますね。
オカルト記者でも名乗って怪しまれないように聞き込みしてみますか

まずは【情報収集】技能で聞き込みやネット情報を調べて
占い師の位置を調べ、占い師を見つけ出しましょう。

発見したら見つからないように細心の注意を払い距離を取り
占い師を尾行します。【追跡】技能で占い師を見失わないよう努めます。

占い師が拠点の戻らない場合はそのまま行動を監視しますね。
拠点に戻った場合は位置などを記録し
内部を調査できそうな状況であれば軽く内部を探索して
祭具について調べてみます。




 さて、探索や情報収集も終盤へと差し掛かってきた。
 楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)はオカルト記者として、占い師の拠点を掴むべく行動を始めた。
 頼りになるのは、矢張りこのご時世、ネットやSNSの類だ。それも、それなりに成果や興味をそそられるものに対しては、何かしらの情報は載る世界である、例えそれがちいさな情報であっても、だ。
 使い慣れたかのように滑らかに動く指は、すぐにスマフォのSNSから情報をはじき出す。
 そして見つけたのが、元凶の占い師であった。そして、偶然にも空亡・柚希(玩具修理者・f02700)と鉢会った。
 視線だけで語り合った二人。
 二人は件の占い師が、店じまいしたのをはからって、その後ろを追ってみたのだ。もちろん、目立たなかったり、気づかれないように細心の注意を払ったうえで。
 柚希としても、あの占い師が少女に善意で助言やアーティファクトを渡しているようには、当然思えなかったのである。
 そこに潜んでいる悪意や思惑は、けして少女を幸せにするような。そう、それこそシンデレラに対する魔女のような夢物語では全くないのだ。
 少女を利用する目的とはなんであろうか。柚希の頭の中ではじき出される答えもまた、楽しいものではない。
 故に、手を伸ばしたくなるのだ。その真実というところに。
「無理はしないよう」
 無意識に拳を握りしめ、唇をかんでいた柚希に、亜夜は静かに諭した。
 普段は少々抜けているのかもしれない亜夜も、身体の中にはあの吸血鬼の血が流れている。故に負の感情やその類には、敏感に反応してしまうのか。
 まるで悲しむように亜夜の瞳は寒色を色濃くしていた。確かにあの占い師は、許せぬとばかりに。
 さて占い師は行動を起こした。
 彼、いや彼女? がたどり着いたのはなんの変哲もないマンションの一室であった。
 占い師の拠点とやらはここであろうか。しかしマンションという狭い場所では中々調査は難しいものがある。
 二人は、改めて、占い師が外を出歩いている間に調査をしようと一度解散をすることになったのだが――どうにも気になる。

 血生臭い、生々しい香りが。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『牙で喰らうもの』

POW   :    飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 さあ、どうした事か。
 闇夜に食うか喰われるかの追いかけっこも終盤へと移る。
 斉藤・彩矢(一般人+1・f10794)の仕掛けた影は、ビル壁に移った妙な影が租借するような音を聞いていた。
 蠢く影は何かを捕まえて捕食する蟷螂のような、それでいて巨大な牙が隠す事無く鋭さを顕し。
 そして叫び声は租借の音が重なるにつれて消えていく。
 シュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)は言う。
 恐らくアーティファクトたるガラス玉は、ひとつの通路として機能しているのだと。
 電波やアンテナのように、呪いを伝番させ受信し、ウイルスのように硝子玉に呪魂を宿す。
 人形店の人形に異変が起きたのは、呪われた硝子玉が『視る』という行為から呪いが拡散し、呪魂を宿しやすい人形は最良の媒体であった事だろう。
 さて髪が伸びたというのは。きっと魂の宿った人形が、生物として機能してしまったひとつの顕れである。
 魂を宿す機械種がこの世界にあるように、魂を宿す人形が生物ではない限りはない。
 そこまでたどり着き、楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)と空亡・柚希(玩具修理者・f02700)はもう一度あの部屋を調べた。
 鍵の開いていた部屋で、呪詛の資料から上記の事柄を抜粋したとき、玄関から物音が鳴る。
 恐らく家主が帰ってきてしまったのだろう。
 そして彼等を見つけて、逃げたのだろう――猟兵は、それを止める為に、次の行動へと移る。

 さあ、出てきたのは巨大な顎を持つ敵だ。
 占い師に擬態していたそれは、呪詛を受けた人形を操り、そして人間を一人一人闇に引きずり込んでは喰っていた事であろう。空亡・柚希(玩具修理者・f02700)が多量の人形に攻撃を受けそうになったように。
 口より滴る粘液。
 殺し過ぎた証の赤色の手が。
 寒空の空を切り裂くように仰いだ。
空亡・柚希
人形……硝子玉を伝いに餌を探していたという感じかな。手段は複雑だけれどそのぶんしっかりしているね。
まあ何にせよ、真実が……事の仕組みが知れたんだ。
後はその根っこを絶てば、終わる。機械を解体して、傷ついた部位を外すように。

「SPD」の能力値を重視。精度と速さを以て戦闘に挑もう
錆び付いた金属塊を機械手で握り、と或るUDCの残滓を呼び起こす(「Repair;Snow Queen」)
持てる技術を使い、少しでも命中率を上げたい。〈追跡3〉〈誘導弾2〉〈だまし討ち1〉
厄介な攻撃ひとつでも封じられたら。そうでなくても、これで力だけでも削げるのならば……

僕は錆に塗れているからね、食べてもきっと美味しくない




 振り切られた牙は、掠りでもすれば重篤な傷口に創造する程の威力を秘めている。
 それを紙一重で躱した空亡・柚希(玩具修理者・f02700)は、暴食を絵にかいたような敵と交差してから、道の傍らに忘れ去られたように捨てられていた金属片を手に取った。
「随分と複雑に仕組んで私腹を肥やしていたようだけど……、今日で終わりだよ」
 柚希にとって、けして他人事では無かった事件である。
 金属片を握る手に、自然と力が籠った。
 ゆっくりと振り返った大顎が、己の唇を一度舐めてからコンクリートを蹴る。
 コンマ数秒で柚希と距離を詰めた大顎は、柚希の肩口を抉り取るように飛び込んで来たのだ。
 再びの交差かと思われた。
 大顎のシミュレーションでは柚希の肩口を大きく抉り取り、二秒先では美味しく彼の肉を租借していた事だろうが。
 ギシ、と音をたててその妄想は儚く崩れ去った。
「僕は錆に塗れているからね、食べてもきっと美味しくない」
 『?』と頭に浮かんだ大顎に。柚希の瞳が微笑むように形を変えた。
 大顎の身体が、先程の金属片の即席で組まれた鎖によって拘束されていたのだ。
 バランスを崩した大顎はそのまま地面へと滑り込むように倒れ、悔し気な咆哮が柚希との至近距離で唸る。
「残念だったね。もう……これ以上好きにさせる事は――看過できないんだよ」
 怒りを含むのか、それとも柚希の優しい心が強さを生んでいるのか。低く、そして力の籠った声色が大顎を震えさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小鳥田・獅生
「助力を頼まれてな。参戦させて貰う。」
悠然と現場に表れ、それだけ言って敵に攻撃を放つ。調査には加わっていない身だ、語る事は皆に任せる。

無数の呪符をばら蒔き
「火行を以て炎の尖と為す、貫け」
と唱えると、符が燃え上がり無数の鎗と化して敵に四方から襲いかかる。

喰われる等して効かなければ物陰に退避だ。なるほど、強敵だな。七星七縛符での拘束で皆の援護に回るか。



「――助力を頼まれてな。参戦させて貰う」
 月の明かりをバックに、住宅街の屋根を飛び越えて。
 小鳥田・獅生(人間の陰陽師・f12658)は鎖に拘束されている大顎より遥か上空で、呪札を投げた。
 獅生の円周を囲むように整列した札は一斉に光輝き、赤焔を生む。
「火行を以て炎の尖と為す、貫け」
 槍の如く大顎を突き刺す炎たち。
 柚希の拘束もあることながら、直撃した大顎は大きく咆哮を上げた。
「また奇妙なオブリビオンだな」
 獅生は新しい呪符を取り出しながら、構える。
 調査をしてきた猟兵より先陣へと出て、戦闘こそ己の本領発揮の場であると君臨するように。教え込まれえ来た技術は、今、ここで、惜しみなく繰り出す為に備えてきたようなもの。
 再び動き出した大顎。
 拘束していた鎖を引き千切り、燃ゆる焔を振り払ったかと思えば大顎は炎の矢を投げ返した。それは獅生が生み出した炎と同等の価値を孕み、彼の足下へと突き刺さった。
「成程、俺の力を――よくも、下らない真似をしてくれたな」

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアータ・ベルトット
小賢しい真似を…!
弱みに付け込み弄び、身も心もしゃぶり尽くそうってワケ?
アンタの奸計も下らない因縁話も、今ここで終わらせたげるわ!

真の姿開放

コイツとは一度接近戦でやり合って痛い目見てる
同じ土俵には立たず「餓獣を撃つ狩人」として対峙するわ

機腕に内蔵した銃火器で応戦
距離を置いて、命中を重視した狙撃に努める
銃弾や誘導弾をありったけ敵の口内目掛けてぶち込むわ
反撃には見切りや野生の勘で対応

噛みつきに注意するよう他の猟兵に呼びかけ
前線に出る人がいたらサポートの為に眼帯を外し、BEBを放つ
上手く絡め取ったら後方からの援護射撃を

戦闘後、可能なら花の負った辛い記憶を消してあげたい
UDCの事も、猟兵の事も全部ね…



己と獣の違いとはなんぞやと、問われればベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は、口元の血をぬぐいながら曖昧な笑みを浮かべるのだろうか。
己さえ、血を貪らねば明日の空腹に勝てぬと言うのに。

されどしかし。

眼前の大顎とベアータは完全に別物だ。
一緒にするなと願うように、ベアータの少女のかんばせは、今、一人の猟兵として覚悟を決めた。
「終わらせてあげるわ」
何より許せなかった。
人の心を弄び、最後には嗤いながら堕ちた獲物を貪り食べてしまう暴食の魔が。ベアータの心に残る正義の……いや、人の心が、今、彼女に力を与えた。
とは言え、黙って見ているほど大顎は優しくはない。悪食は悪食らしく、そのアイデンティティ(ユーベルコード)さえ飲み込むように突進してした。だが遅い、宙空にベアータの眼帯が飛んで落ちた。翻したベアータの機腕は今、形を変えて暴力を解き放つ。
願ったのは一人の少女の笑顔と、多くの者たちの救いと、救えなかった者達への鎮魂。想いを乗せたベアータの最終解放された砲撃のような一撃は、大顎の身体を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小鳥田・獅生
「さて……一仕事はこなした。後は皆に任せてこの辺で引いてもいいんだろうが……」
伝え聞いた犠牲者の数が頭に浮かぶ。仕事量分にはもう一太刀、ってとこか。

「単純な攻撃は喰われて撃ち返される、か。なら、これならどうだ」
ユーベルコード【太刀神召喚】使用。荒ぶる神の宿っていた刀、その御霊のみを手元に召喚し正眼に構える。
周囲に呪符を展開し、【オーラ防御】の障壁を展開しながら真っ直ぐ敵に切り込み攻撃。刃に【破魔】の力を込め、何度も切りつける。
例えまた能力を複製されても、質量を持たない刀の扱いには修練がいるぜ。下手に使おうとすればかえって隙が出来る。そこを狙う。
一太刀とはいかなかったか。釣りはいらん、取っとけ。




 強力な攻撃を受け、よろめいた大顎。
 敵に隙を与える暇はなく、小鳥田・獅生(人間の陰陽師・f12658)は即座に動き出す。
「さて……一仕事はこなした。後は皆に任せてこの辺で引いてもいいんだろうが……」
 確かに獅生は飛び込みの参加であった。だが猟兵の力は重なれば重なる程、その力を発揮しやすい状況に変える事ができる。
 あらゆる戦力の可能性のひとつが幾重にも重なり、また獅生もその一人として黒髪を戦火に揺れるこの場で揺らした。
 獅生が弾き出した答えとしては、大顎の体力もあと微量であろう。尚且つ、敵は学習能力――いや、コピー能力が高いらしい。
「単純な攻撃は喰われて撃ち返される、か。なら、これならどうだ」
 大顎は獅生の気配を察して、迫る。
 獅生は敵の接近に気づきながらも静寂を極めた。
 今、一太刀の剣術に、己の力を込める。修行者として培った力を、解き放つ為。
 居合のようであった――瞬時に放たれた剣風は嵐のように大顎を巻き込む。鎌鼬を含むような嵐は大顎の身体を傷つけ、痛めつける。
 だが敵の奔る勢いは止まらない、ここでカウンターだ。
 嵐を食いちぎる大顎は腕に台風のように風を回転させ獅生へと返したのだ。
「俺の技さえコピーするか。忌々しい事だな――だが、俺の技であるからこそ、見切った」
 獅生が一歩早いが攻撃の打ち合いはまるで、クロスカウンターのようであった。
 しかしオーラで滑った敵の攻撃は、獅生の頬に一筋の傷をつける程度で終わる。背後に回った敵、獅生はすぐさま振り向き――。
「釣りはいらん、取っとけ」
 荒神の宿りし刀身を振り抜き、振り切り、力を惜しまず攻撃を重ねた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアータ・ベルトット
真の姿継続

不意に、花の暗く淀んだ瞳を思い出す

眼前には未だに血肉を求め、浅ましくも生き延びようとする手負いの獣…
嗚呼、なんて醜い…醜い!醜いッ!!

餓獣機関フル活性

今の私は獣か人か?そんな事は考えない
取り繕ったって結局…私に出来るのはこれだけなのだから

接近戦に移行

機脚の加速機能で一気に距離を詰め、機餓獣爪による斬撃を。
2回攻撃を活かした速攻で敵の肉を細断
腕から吸収し、機装の動力に変換する
喰われる側の気分はどう?
反撃は覚悟の上。構わずオーバーヒートするまで捨身の攻撃を継続
敵が弱ったらBEAで貫く
コイツが奪ってきた全てを取り返すつもりで、一気に生命力吸収を。

花…強く生きなさい。「人間」として、確りとね




 ――ベアータの攻撃は継続する。
 脳裏にフラッシュバックのように過ぎったのは、花――不意に利用されていた少女の仄暗い泥水のようだった瞳だ。
 嗚呼。
 不意にベアータの心に燻る怒りは、灯から爆発するように巨大なものへ移り変わった。
 大顎への攻撃は続行した。
 攻撃の弾丸が重なれば重なる程、ベアータは己を嘲笑うような失笑を薄く口元に浮かべる。どうせ、だって、自分には戦うしか結局無いのだから――。
 ギリッ。
 ベアータの歯奥が鳴る。
 僅かな時間であった。瞬きの時間でベアータは遠距離の攻撃から、狼狽える大顎へと接近した。
 攻撃が重なる。クロスカウンターのように大顎の攻撃とベアータの爪は交差しお互いに傷を交換。
 混じりあう鮮血。すぐ振り返るベアータ。怒りの一発が、今、ベアータかた放たれた。
(花……強く生きなさい。『人間』として、確りとね)
 大顎が奪ってきた全ての命に報いるように、ベアータは何より重い一撃を繰り出し――。

 声が聞こえた。

 ――お姉ちゃん!!! お願い、そいつをやっつけて!!!

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクシア・アークライト
 牙を食らうもの。
 人の言葉を話したり、人に化けたりするのは初めて見たわ。
 是非捕まえて調べたいところだけど、さすがにちょっと無理かしら?

 こんな人目に付きそうなところで本性を現すだなんて、少しはこっち(UDC)のことも考えてほしいわね。
 ボスはボスらしく、採掘場で暴れてくれればいいのに。

・相手は近接戦が得意であり、敵を喰らうことで回復する力もあるため、遠隔戦を基本とする。
・建物に影響を与えないよう、そして人が集まる前に倒すように、敵の動きを封じてから一気に攻撃する。[念動力、捨て身の一撃][本気の一撃]

 死体が消えるから、後掃除をしないで済むってとこだけは、楽でいいわね。




「助太刀するわね」
 天より舞い降りるように顕れたのは、灼熱の髪を月明りに灯すアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)だ。
「今まで状況を見ていたけれど、初めての部類の大顎ね」
 薄く笑いながら、しかしアレクシアはその拳に力を込めた。大顎はアレクシアの存在に気づき、敵意を向けるように唸る。
 しかし大顎は前衛を務める猟兵に阻まれてアレクシアまで近づく事は不可能だ。
 あえてアレクシアは安全な間合いを取り、攻撃へと転じる。アレクシアの攻撃モーションを確認した前衛の猟兵たちは一斉にその場を離れた。
 あの大顎が、アレクシアの白い肌を傷つけられない為か、悔しそうな唸り声は突如――苦しむような断末魔へと変わる。
 アレクシアの攻撃方法は至って珍しい。
 息を込め、力を込め、目の前の対象を殴るように動作を起こしたアレクシア。
 すれば、衝撃が大顎へと放たれた。
「やり過ぎちゃたかしら?」
 コンクリートが割れ、周辺の廃屋の硝子が粉々に砕ける。その衝撃の中心には大顎が潰されたカエルのように地面に伏せている。
 それによって倒壊した建物などは無いが、このアレクシア・アークライト。派手な攻撃方法に、照れくさそうに唇の間から舌先を出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベアータ・ベルトット
…聞き届けたわ、花
全部、私に任せなさい

私の中に巣食う餓獣。アンタにも聞こえた筈よ
今一度…力を貸せ!!

真の姿覚醒

次撃を確実に当てる為、敵の逃げ足を封じたい
機関銃で脚部を狙撃し再接近

続いて狙うは敵の大口
噛みつきを見切りで躱しジャンプ
上顎を思い切り踏みつけ、その勢いで再び垂直に高く、高くジャンプ
空中で体を反転
機脚のブースト+機腕内蔵銃弾の一斉発射による噴射力で落下加速度を増強
その勢いの侭BEAを発動し敵を串刺しにしてやるわ!

餌?傀儡?…違うッ!これが…牙を剥いた「人間」の力だッッ!!

逃げる暇なんて与えない。一瞬で決めてやるッ!
たとえ大口開けて待ってたとしても
激痛に耐える覚悟を決め、敵目掛け落ちる…!



 ベアータの耳に響いたのは、数百メートル離れた所で感極まって身を乗り出していた花の声である。
 その声に、ベアータの口元は三日月のような形を作った。
「……聞き届けたわ、花。全部、私に任せなさい」
 背中で語るベアータ。その声が花にも届いたのか、花は祈り手を作りベアータの背中を祈りで推した。
「私の中に巣食う餓獣。アンタにも聞こえた筈よ。今一度……力を貸せ!!」
 既に覚醒を極め、その身体が限界を貫こうとも再びの解放を突破する。
 まさか大顎も追い詰められて尚、更にその窮地を確実に追い込まれるとは思わなかったであろう。
 瞬間的に接近したベアータ。
 それに大顎は気づけない。何秒も遅れた攻撃が放たれる、大顎の粘液が絡みつく牙がベアータの身体を狙った。しかし余裕さえ残してベアータは牙を回避する。
 嗚呼。大顎に表情というものがくっきり表れた。それは絶望の表情だ。
 大顎はこの表情には見覚えがあった。何故なら、大顎が捕食者であるときは、何度も乏しい視界に移した被捕食者の表情であるからだ。
 それが今捕食者と被捕食者の立ち位置が逆転した。
 顎を踏みつけ、跳躍したベアータ。
「もう、誰も喰わせない」
 上空で体勢を変える。
 銃口を下に、大顎を狙う。大顎はその口を開けた。
「餌? 傀儡? ……違うッ!」
 しかし刹那、銃弾は放たれた。大顎の下顎を砕くように何度も何度も爆音は響き渡る。
 最後の一発が放たれたとき、大顎は体勢を揺らした。もはやベアータを飲み込むはずだった顎は、壊れ果て崩れかけている。
 そして――。

 花は誓う。その戦神の姿に。もう、悲しみに負けぬ力をつけると――。

「これが……牙を剥いた「人間」の力だッッ!!」

 ベアータの「身体」が、下降する勢いに任せ大顎の脳天から足先まで突き刺した――。

 ありがとう。

 最後にそんな声が聞こえたような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月19日


挿絵イラスト