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イケナイ☆パパ活邪神教団♪

#UDCアース

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#UDCアース


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●パパと彼女の待ち合わせ
 某地方都市の主要駅の構内には、待ち合わせスポットとして有名な大時計がある。その針は十九時を指そうとしていた。
「……約束の時間はもうそろそろっ……!」
 五十代に差し掛かりそうなサラリーマンは、落ち着かない様子で額の汗を拭う。
 挙動不審な彼に道行く人々は怪訝な目を向けるが、わざわざ立ち止まって観察する者までは流石に居なかった。何せ、皆他人には無関心なことで定評がある現代日本人なのだから。
 ……だが、直後にそんな奇特なことをする者がほんの数人、現れる……。
「――●●さん、ですか?」
「っ!? ……え、ええ、そう、です……」
「良かったぁ。お待たせしてごめんなさい」
 ……背広はヨレヨレで、頭頂部は髪が薄く、近くに居ると加齢臭が漂ってきそうな冴えない中年サラリーマンなのに――そんな彼に、笑顔で女性が駆け寄ったのだから。
 十人の男とすれ違えば八人は振り返るほどの顔立ち。半袖のセーラー服の胸元を押し上げる膨らみが目立ち、股下ギリギリのスカートから覗く脚線美が眩しい。
 ――芸能人でもなければなかなか見られない美少女である。
 さらに、その美少女は中年サラリーマンに親しげに腕を絡めたのだ。量感ある乳房を肘に押し付けられ、アラフィフ男の頬がだらしなく緩む。
「……じ、実際に顔を合わせると、画像よりずっと可愛いね……。君みたいな綺麗な娘が僕みたいなオジサンと……なんて、信じられないよ」
「あたし、オジサンが大好きなんです。だって……年上だから包容力があって……経験値がある分、『あっち』も上手だから……きゃっ☆」
「……経済力がある分、『こっち』も期待出来るし?」
 照れたように笑う美少女に自虐の籠もった笑みを浮かべ、中年男は指で円を作る。美少女の方はそれに唇を尖らせた。
「……もう。それは否定しませんけど……頂くもの以上に楽しませますよ? いっぱいご奉仕します。あたし、仲間内でも献身的だって評判なんですから」
「それは本当に楽しみだ。……そ、それで、まずはどうしようか……?」
「一緒にご飯……が定番ですけど。実はあたし、●●さんに会うのが楽しみ過ぎて、もう我慢出来なくて……。食事は簡単に済ませて、早く本番、したいなぁって……♪」
 意味深に微笑む美少女に、明らかに男のスラックスの股間は膨張を増していた。
「そ、それじゃあ……行こうか?」
「はいっ……♪」
 親子ほども歳が違う男女が、密着するほど寄り添って駅構内から出て行く……。それを見送って、観察していた者たちは誰もが悟るのだ。
 ああ――『パパ活』だ……と。

●ぶっちゃけると円&交
「……皆は『パパ活』っちゅうもんをご存じやろか……?」
 グリモアベースに集った猟兵たちを前に、灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJC・f04167)は頬を赤らめて問うた。
 短いプリーツスカートから伸びるカモシカのような脚がもじもじと擦り合わされるが……いくら何でもその程度ではスカートの中が覗けるはずも無い。
「……知らん人に説明すると、まあ――UDCアースの日本で、女の子が男ん人……主に年上の人と仲良ぅなって……その代わりにお小遣いを貰う、みたいな……?」
 ……ぶっちゃけて言おう。ニュアンスを多少変えただけで、要は『援助交際』だ。
「……その、ある都市のパパ活の界隈でな? ちぃと気になる噂が流れとるんよ……」
 簡単に言えば、凄まじく可愛く、サービスも満点な少女たちがパパ活をしていると。
「……ええと、何や皆の目が凄い呆れたもんになってっとる気がするんやけどっ。問題はその女の子たちが、うちも知っとる顔やったってことなんよ!」
 焦り顔のころなが猟兵たちの前に叩き付けたのは、数人の少女たちの写真だ。全員十代の半ばから後半と見て取れる。
「……彼女たちは皆UDCエージェントや。うちも事件で何度か顔を合わせたことがあるんやけど……現在、全員行方不明になっとって、UDCも所在を掴めとらんかったらしいんや……」
 そんな彼女たちが、何故か今はある街でパパ活に精を出している……と。
「……この子たちは皆、行方不明になる前にある邪神について調査しとったそうや。そいつはいわゆる『淫魔』に属するもんやったらしくてなぁ……」
 それらの点を踏まえると、ある程度の予測が成り立つ。――UDCエージェントの彼女たちは、その邪神を調べる内に逆に魅入られてしまったのではないかと。そして、その邪神の特性を鑑みれば、彼女たちが行っているパパ活も邪なる儀式の一環なのではないかと。
 ……活動資金を稼ぐ意味もあるのかもしれないが。
「ちゅうわけで、皆にはこの一件を調査してほしいんや。……具体的には、な……」
 ころなはおずおずとスマホを取り出し、画面を猟兵たちへ見せた。何やら怪しげな雰囲気のサイトが映っている……。
「うちの予知、それにUDCから提供してもろうた情報によると、問題のUDCエージェントの子たちはこのパパ活斡旋サイトを利用しとるらしいんよ。……皆にもここに登録してほしいんや」
 即ち――女性猟兵にはこのサイトを介して実際に行方不明のUDCエージェントたちとパパ活した男性たちと接触、情報を聞き出してほしいと。……男性猟兵たちも、パパとしてパパ活を行っている少女たちと接触し、情報収集に努めてほしいそうだ。外部からは知れない、実際にパパ活をやっている少女たちしか知らない情報もあるかもしれないからと……。
「……せ、せやけどな。パパ活っちゅうのは明確に、日本の法律に違反しとる行為なわけやよ。如何に猟兵でも、オブリビオンをどうにかする為でも、越えてはあかん一線は絶対にあると思うんや!!」
 なので、そこは本当に肝に銘じて公序良俗を順守するようにところなは訴える。
「ちゅうわけや! 色々とアレな事件やけど……皆、お願いするで!!」
 ……それにしてもころなちゃん、パパ活についてやけに詳しいですね?
「うちは全然こんなもんやっとらんから! 変な疑い掛けんといて!!」


天羽伊吹清
 どうも、天羽伊吹清です。

 まず、始めに申し上げますが、パパ活だの援助交際だの名前を変え手を変えたところで、売春・買春は明確な犯罪です。
 それを肯定したり、ましてや賛美する意図は一切ありません。
 そこはきちんと宣言しておきます。

 さて、シナリオの補足と致しまして。
 第一章はお色気的な展開もあり得る調査パートを予定しております。
 ですが、あまりに公序良俗に反し過ぎたプレイングは採用出来ませんので、そこはご了承下さい。
 第二章は、調査で判明させたUDCエージェントの居所へ猟兵たちが急襲を掛ける形になるかと思います。彼女たちは既にれっきとした邪神の眷属――オブリビオンですので、躊躇わず始末を付けて下さい。
 第三章では不完全ながら復活した邪神との決戦となります。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『噂の真実を突き止めろ!』

POW   :    スタミナ・腕力を使って調査(物理的手段を使う、聞き込みを行う相手を脅すなど)

SPD   :    スピード・技術を駆使して調査(速やかに情報を集める、聞き込み相手を買収するなど)

WIZ   :    知性や精神面に訴える手段で調査(情報の分析、聞き込み相手を懐柔するなど)

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、連携絡み歓迎、色気もOK)
(WIZ系)
…金を得たいからって、何考えてるんだUDCアースの女性は。…エルフ社会なら懲罰もんだぞ。
(依頼内容を聞いてあきれ顔の青年)

…しかし邪神復活となると無視できんしな、まずは事の真相の調査だ。
…パパって年じゃないが、とりあえずそのサイトに登録させてもらう。

…で、登録後に女性に会う訳だが、なんか多くないか?
(やけに見せて(魅せて)来る女性達に少し困惑し)
…だが情報は多いに越す事なし、パパ活の深い所とかを聞いてみよう。
…例えば、『パパ活の拠点とかあるのか?』とか、主に場所がらみで。

…危険を感じたら『選択UC』で「俺に手を出すな」と宣告し、退散するぞ。



「……金を得たいからって、何考えてるんだUDCアースの女性は? ……エルフ社会なら懲罰もんだぞ……?」
 ――今回の事件の説明を聞いての、ルトルファス・ルーテルガイド(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)の弁である。……彼自身は人間だが、生まれて間も無くエルフに引き取られて育った身だ。エルフ文化が心身に根差しているルトルファスにとって、パパ活はカルチャーショックが大きかったのだろう。
「……しかし、邪神復活となると無視出来んしな。まずは事の真相の調査だ――」
 17歳、パパという歳ではないルトルファスだが、グリモアベースで教えられたパパ活サイトへと自身を登録する。その結果……。
『わたしと会いませんかー?』
『15歳です。会ってもらえると嬉しいです』
『19歳、あたしの方が年上だけどパパになってほしいな♪』
『私、むしろお兄ちゃんて呼びたいです♪』
『わたしじゃダメですか?』
 ……他、多数。
「……何か多くないか?」
 ずらっと並ぶ自分とのパパ活希望女子たちに、ルトルファスはスマホを複雑な顔で眺めた。
 しかし、これも当然の結果。パパ活に身を染める女性たちは、金銭の為ならば体脂肪率も頭髪の減少率も高い、父親や……下手をすれば祖父のような年齢の男とも身体を重ねるが――同じ行為をして同じ金額が貰えるなら、ルトルファスのような若い美男子を相手にする方がいいに決まっていた。それ故に、彼は群がられたのである……。
「……だが、情報は多いに越したことは無し、か」
 ルトルファスは、自分に誘いを掛けてきたパパ活女子たちに順次会ってみることにしたのだった……。

 ――そして、ルトルファスは今、ラブホテルに居る。
 薄桃色のシーツのベッドに腰掛けた彼に、ショートカットの小柄な女の子がすり寄っていた。この街でそこそこ有名な高偏差値の高校の制服を着ているが、顔立ちは中学生で通じそうなほど幼げである。……反面、リボンタイを緩め、ボタンをいくつか外したブラウスの襟元からは深い胸の谷間が覗いていた……。
『――アカネと言います。よろしくお願いします』
 駅前で待ち合わせた彼女は、最初こそ表情が硬く淡々としていたが――少しだけお高めのファミレスで一緒に食事をし、それを終える頃には、無邪気な笑顔を見せるようになっていた。
 ……ここで、援助交際の中でも『パパ活』と呼ばれるもののシステムを解説しよう。多くの場合、本格的なパパ活を開始する前に『顔合わせ』の段階を踏む。要は、『まずは会ってみてお互いの相性を確認。大丈夫そうだったら次回からパパ活の本番。無理そうだったら今回でお終い』……そういうことである。その為、ルトルファスも本来なら、アカネを名乗った相手の少女と食事を終えたところで一旦お別れ――になるはずだったのだが……。
『もう少し、付き合ってもらえませんか?』
 そんな風に言い出した彼女に、ルトルファスは少々考えて了解したのである。
(まだ、目ぼしい情報を聞き出せてないしな……)
 ――で、気付けばラブホテルの一室でアカネと二人きりになっていた己に、ルトルファスは戸惑う。
(どうしてこうなった……!?)
 これはルトルファスが甘かった。前述した通り、彼はパパ活女子たちにとって『上客』の部類に入る。逃して他のパパ活女子たちに奪われては堪らないほどに……。故に、アカネという少女は今日の内に勝負を懸けてきたのだ。
 さりげなくルトルファスの左手を取り、アカネは自らの太股の上に乗せる。極めて短いプリーツスカートから伸びる彼女の太股は意外に肉付きが良く、心地好い弾力をルトルファスの指に伝えてきた。
 ……それよりももっと心地好い弾力も、ルトルファスの肘を包み込んでいて……。
「――会ってすぐの時は距離があったのに、今になってやけに積極的だな?」
 内心の動揺を押し殺し、ルトルファスはアカネに疑念を持って問うてみる。それに、彼女はころころと笑った。
「パパ活の顔合わせでは皆そうですよ。特にルトルファスさんは条件が美味し過ぎましたから。――罠じゃないかと疑っていましたし」
 警察などの囮捜査や、パパ活女子を囲い込んで上前を撥ねる目的のその筋の人間ではないかと――そう語るアカネに、ルトルファスは彼女の計算高さを垣間見る。
(……いや、逆にそういう人間だからこそ――)
「――アカネはこの手のことを始めて長いのか?」
「ええ、まあ。内緒ですけど、始めたのはまだ小学生の頃ですし」
 ……UDCアースの乱れ切った風紀に心中で戦慄しつつ、ルトルファスはアカネへ問いを重ねる。
「つまり、なかなか情報通ということだな? なら――パパ活の拠点とかあるなら、知らないか?」
 ルトルファスの質問に、アカネは再び疑わしげな顔をした。
「……そんなこと訊くなんて、やっぱりルトルファスさん、何か調べています?」
「ただの興味だ。……それで、どうだ?」
 暫しルトルファスを見詰め――アカネは緊張を解いて悪戯っぽく笑った。
「ルトルファスさん、やっぱり警察やその筋の人には見えませんし、教えてあげます。――パパ活に拠点なんて無いですよ。そんなもの無くても、サイトやSNSを使えば事足りますから」
「……うっ」
 アカネに言われてルトルファスも理解した。例えば、猟兵たちにとっての拠点はグリモアベースだが、仮に全ての世界の何処に居ても瞬時に繋げられるSNSのようなものがあり、全猟兵がそれを利用出来るなら、グリモアベースの拠点としての意義の多くは失われ、本当に各世界へ転移する為のポータル以上のものではなくなってしまうだろう。
 言ってしまえば、ルトルファスも登録したあのパパ活サイトこそがパパ活女子たちのグリモアベースなのだ。
「――あ、でも、『あの子たち』には拠点があるって聞きましたね」
「……あの子たち?」
 怪訝な顔をするルトルファスへアカネが頷く。
「最近この街に流れてきてパパ活をやっている……多分、家出してきた子たちです。どうやったのか、何処かのラブホテルのVIPルーム……乱交パーティーとかで使われる大部屋を借り切って、そこで集団で寝泊まりしているとか」
「……何?」
 アカネの語ったその話が、ルトルファスの中で例のUDCエージェントの少女たちと重なる。
「普通、家出中の子はパパ活はしないんです。パパじゃなく神様を探すのが常識ですから――」
「――そのホテル、何処か解るか!?」
「……は、はいっ?」
 キョトンとするアカネから問題のラブホテルの名前と場所を聞き出したルトルファスは、意気揚々と部屋から出ようとして――思い出してアカネの前に舞い戻る。
「情報、助かった。そういえば、パパ活だから渡さなければならないんだったな。受け取れ」
「……え? え?」
 アカネに数枚の紙幣を手渡したルトルファスは彼女に背を向け――ようとして、外套の袖を掴まれた。
「……何だ?」と胡乱な目を向けたルトルファスは、微笑しながらも目が笑っていないアカネに凍り付く。
「……中にはこれ幸いと貰っちゃう子も居ますけど、私はそういうのはプライドが傷付くんですよ、少し」
 言って、アカネはベッドに仰向けに倒れた。反動でスカートがふわっと舞い――紫色の逆三角形が顔を出す。
 反射的に目を逸らしたルトルファスの耳を、アカネの甘えた声が舐めた。
「一回だけ、シていきませんか? 私、結構抱き心地いいですよ?」
 ――身の危険を感じたルトルファスは、思わず『デュエリスト・ロウ』を使ってしまう。アカネの寝転んでいてもなお存在感のある胸の上に、彼の手袋が落ちた。
「俺に――手を出すな!」
 そのルールがアカネの身を縛る――縛ったはずだったが、彼女は妖しげに囁いた。
「私がルトルファスさんに手を出すんじゃなくて、ルトルファスさんが私に手を出すかどうか、ですよ……?」
「……!?」
 まさかの一般人にユーベルコードを破られる事態に、ルトルファスの背に冷や汗が浮かぶ。
 そして、パパ活少女はとうとう決定的な言葉を告げたのだった。
「大サービスで――生でもいいですよ♪」

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
自分から好みの子を堕としたりするのは好きだけど、こういうのは気乗りしないわねぇ…。

接触した相手は即座に【魅了の魔眼・快】【誘惑、催眠術】魅惑のフェロモン等を利用して魅了・虜にして、人気の無い路地やホテルへ移動。
魅了した相手からエージェントの子達と接触時の様子や知ってる限りの情報を聞き出すわ。

情報聞き出したら、後はもう用はないわね…。相手が可愛い子とかなら情報のお礼に可愛がってあげたりもするんだけど…。

【虜の軍勢】で「セクシーヒーローズ・トラブル!」で僕にした「ぽんこつ女王様」でも呼び出して任せてみるかしら?嫌がるかもしれないけど…。

はぁ…こんな依頼だから雪花は置いてきたけど、雪花が恋しいわ…



 ……今回の事件、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は気乗りがしない様子だった。
「自分から好みの子を堕としたりするのは好きだけど、こういうのは気乗りしないわねぇ……」
 だからこそか、此度のフレミアの調査活動に遊びは入らない。問題のパパ活斡旋サイトに自身を登録し、自分からのパパ募集の呼び掛けに声を上げた男の中から件のUDCエージェントの少女たちと関係を持ったことがありそうな相手を見付け出すと、即座にその男との顔合わせにOKを出す。
 ……なお、容姿端麗、小柄で細身ながら出るべき所は出ているフレミアのパパ募集に挙手した男は数多く、選別に相応の時間が掛かった彼女はそこにも辟易としていた。
 ――なので、実際に男と待ち合わせてからはもっと迅速である。
「き、君がフレミアたんかい!? ぼ、僕は――あうっ!?」
 某駅近くのモニュメントの前で男と対面したフレミアは、鼻の下を伸ばす男の挨拶が終わるよりも早く、ユーベルコードを仕掛けたのである。
「『わたしの僕になりなさい……あなたはもう、わたしのトリコ♪』」
 強烈な快楽を伴う『魅了の魔眼・快』を軸に、研き上げた誘惑や催眠術の技能、さらにはフェロモンも駆使すれば……男が完全にフレミアの虜になるのに掛かった時間は十数秒である。
「場所を変えるわ。もっと人気の無い場所に……ねぇ?」
「は、はい~!」
 男はフレミアに言われるままに、ヘコヘコと移動を開始する。駅からやや離れた一角に立ち並ぶ、妖しいネオンの休憩・宿泊施設……内の一つの一部屋で、フレミアと男は向かい合った。
 クッションが微妙なベッドに仕方なく腰掛けたフレミアを、男は床に正座して潤んだ瞳で見上げる。
「単刀直入に言うわ。この子たちと接触した時のことを洗いざらい全部教えなさい。知ってる限りの情報を余すところなく全て……ね」
「お……仰せのままにぃ~!」
 UDCから確保した行方不明の少女エージェントたちの写真を見せ付けるフレミアへ、男は平身低頭の姿勢でペラペラと口を回す。
「……へぇ……ふぅん…………ふぅぅん……?」
 ……それを聞けば聞くほど、フレミアの眼光は温度を下げていった。
 まあ、要点をまとめれば――彼のUDCエージェントの少女たちはなかなかの床上手だったとか、パパ活をやっている女子でもほとんどの娘は嫌がる避妊具無しの行為をむしろ積極的に望んだとか、あれだけサービス満点だったのに受け取った金額はこの界隈では割と良心的だったとか……。
 ……フレミアならずとも、目前の男の男性の証を踏み躙ってやりたくなる衝動に駆られたかもしれない。
 実際に踏むのは靴を汚すのが嫌だった為に自制したフレミア――聞き出した情報から重要そうな部分を洗い出していく……。
(……避妊具無しの行為は、何かしらの儀式の一環っぽいわねぇ。古今東西、男の精は血液と同じくらいその手のものの触媒として用いられるし……)
 そもそも、男女の交合を儀式に組み込む事例も多いのだ。UDCエージェントの少女たちが、儀式的な意味合いでパパ活を行っていた可能性はますます高くなったと言える。
「……他には何か気になったことは無いの?」
「そういえば……他のところは文句無しなんですけど、やけに会う時の時間や場所への注文は多かったです……」
 約束の時間にやや遅れて待ち合わせ場所まで行ったら、デートや食事の予定を切り上げて速攻でホテルまで連れて行かれたとか。他には、「今日は外でシたい!」と強く主張され、怖々とある公園の木蔭でスる羽目になったとか……。
(……特定の場所で特定の時間に行うことで、何かしらの基点を作ってるみたいね……。それぞれの時間と場所を照らし合わせることで、これから先のエージェントの子たちの動きを先読み出来るかも……?)
 少々面倒な作業ではあったが、フレミアは男からエージェントの少女たちと行為に及んだ場所と時間を改めて聞き出して、それを記録していく……。
「……あ、あの、それから、思い出したんですけど……」
「……何? 早く言いなさい」
 おずおずと手を上げた男へ、フレミアは鷹揚に促す。
「……彼女たち、何か近々イベント的なことをやるって言ってました。良くしてくれたパパたちを集めて、仲間たち皆と一緒に楽しみたいって……」
「……何ですって?」
 男の話にフレミアは目を見張った。聞き出した情報によれば、今までUDCエージェントの少女たちは、男と一対一でしか会っていなかったらしい。それがここに来て、多対多で……。何か、儀式の決定的な局面を行おうとしているとしかフレミアには思えなかった。
「それはいつの話? 何処で?」
「い、いえ……詳しい話は、実際にその時が来たら、としか……」
「ああ、もう、使えないわねっ」
 苛立たしげに言ったフレミアに、男は余計に頭を低くする。
(この男から聞き出せることはもう無さそうだわ。後は用は無いわね……)
「……相手が可愛い子とかなら、情報のお礼に可愛がってあげたりもするんだけど……はぁ」
 フレミアの眼前の男は、身長は日本人男性の平均を下回り、体型もメタボリック。髪だけはふさふさだが……ちょっと脂っぽくて、フレミア的にはアウトどころかスリーアウトでゲームセットだ。
 なのに、微かな期待を籠めて見上げてくる男に、フレミアは深々と溜息を吐いて口ずさむ。
「『わたしの可愛い僕達……さぁ、いらっしゃい♪』」
 ……最後の『♪』は、何処かヤケクソ気味だった。
「――んほぉぉおおおおおおおおおおっっ!?」
 男が鼻息荒く雄叫びを上げる。それもそのはず、フレミアがユーベルコード・『虜の軍勢』で召喚したのは、銀の髪を結い上げ、金の瞳を悪戯っぽく煌めかせた美少女だったのだから。豪奢なドレスのスリット入りスカートから覗く脚線には、魅惑の網タイツが似合っている……。
 かつてフレミアが関わったヒーローズアースの事件で虜にしたぽんこつ女王様であった。彼女は目の前の変態的息遣いの男に「ひっ!?」と声を上げる。
 ……フレミアは流石に申し訳なさそうな表情で、ぽんこつ女王様へ頼んだ。
「……本当にごめんね。ちょっとその男の相手をしてあげてくれない?」
「…………。えぇ……?」
 困惑を瞳に宿すぽんこつ女王様だが、今や彼女はフレミアの忠実なる僕。敬愛する主人に命じられた以上、それをこなすのは当然の務めであった。
「――ご褒美よ☆」
「ぶっひぃぃいいいいいいいいいいっっ♪」
 ぽんこつ女王様の鞭で打たれた男が、豚のような……というのは豚に対して失礼な気持ちの悪い悲鳴を上げる。
 それをBGMに、フレミアはアンニュイに遠くを見詰めるのだった。
「はぁ……こんな依頼だから雪花は置いてきたけど、雪花が恋しいわ……」

成功 🔵​🔵​🔴​

月宮・ユイ
アドリブ◎※NGなし、ご自由にどうぞ
犯罪行為とはいえ、調査対象は悪党ではなく一般の人ですよね
逆に警戒心が強く難しい面もありそうです
猟兵間での情報共有もしっかりしましょう

《機能強化》電脳魔術<呪詛型ハッキング>
サイトから<情報収集>接触を持ったパパ特定+パパの端末調査
背景設定
・お小遣い欲しい・学校厳しくバイト難しい
・調査対象の子からの紹介

会うだけでは無理そうね。罪の共有が必要ですか…
肉体面は修復で初々しい状態
なら、それに合わせた精一杯の奉仕で<誘惑>
未熟な子を自分で…男の人好きでしょう?
なんて、《精神干渉》で見せた幻想か否か…秘密です
記憶情報は十分…やりすぎたかしら(渡された多量の連絡先見て)



 色とりどりのネオンが夜を照らす、この街でも特に妖しげな一角……。
 そこに佇む、男女の睦事を主目的とする休憩・宿泊施設の一軒――その部屋の一つに、月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は居た。
 マゼンダピンクの室内の中央に座す、クイーンサイズのベッドの上……ユイの小柄な身体が仰向けに横たわっている。潤んだヘテロクロミアの瞳が見上げる先には、身長140cm台半ばの彼女より30cm以上大柄な男の姿があった。
「私に全て任せておけばいい。ふふっ、まさか『初めて』とはね……」
「はい……よろしくお願いします……」
 巌のような顔に隠し切れぬ興奮を浮かべる男に対し、ユイは怯えたような声音で従順に返事をした。男は満足げに頷くと、40は過ぎているだろうに衰えを見せぬ筋肉に包まれた太い腕を、ユイの華奢な首元へ伸ばす。
 白いブラウスのボタンを引き千切られるように外されながら、ユイは昼間のことを思い返していた……。

「犯罪行為とはいえ、調査対象は悪党ではなく一般の人ですよね?」
 確認するようにユイは呟いてみる。
 確かに、パパ活を行う女性もパパとなる男性も、一概に悪党には分類出来ないだろう。……だが、『真っ当』ではないのも事実である。
「……だからこそ、逆に警戒心が強く難しい面もありそうです」
 完全に悪の道に入っていない中途半端な者だからこその臆病さ……それをユイは問題視する。
 分析しつつ、ユイの首飾り型の電脳デバイス・『マーレ』が高速で明滅していた。――他の猟兵たちも、ユイ自身も登録したパパ活斡旋サイト……そこをハッキングしているのである。マーレを介し、彼女の中に求めていた情報が流れ込んでくる。
「捜索対象と接触を持ったパパ……特定。サイトから該当のパパの端末へ経路を構築……完了。該当のパパの端末から情報抜き出し開始――」
 一連の作業をこなしながらも、ユイの表情は冴えない。
「……これで手に入る情報だけではやはり不充分よね……。パパたちが捜索対象のUDCエージェントの子たちと接触して、そして見聞きした情報……それも必須になるわ」
 ……けれど、それは問題のパパたちと直接会わないことには入手出来ない情報となる……。
「……ううん、会うだけでも無理そうね。……『罪の共有』が必要ですか……」
 自分の属するコミュニティの外の人間に、コミュニティ内部の情報をペラペラと喋る者は少ない。そこに、何かしらの『後ろめたさ』があればなおさらだ。ユイがパパたちから情報を引き出すには、ユイもまた彼らの『同類』とならねばならない。
「……それ故にこそ――」

 ――ユイの、今のこの状況がある。
 カットソーのブラウスも黒のスカートも剥ぎ取られた彼女は、自分の清楚な白のブラとショーツを見て呼吸を荒くする男の顔を眺め、唾を飲み込む。
 行方不明のUDCエージェントの少女たちと接触したパパたちの中から、今夜の予定が空いていたことから選出した男。見ず知らずの少女からの急なお誘いに当初は困惑気味であったが、ユイが事前に組み上げておいた自身の背景設定――お小遣いが欲しいものの、学校が厳しくてバイトが難しいこと。何より……『捜索対象のUDCエージェントの子たちから紹介してもらった』という主張が、男の警戒心を下げたようだった。
 彼女たちがこの街のパパたちを相手に築き上げてきた信頼の地盤を、逆に利用してしまったわけである。
 そうして男と会う約束を取り付け――実際に対面し――本来なら踏むはずの顔合わせの工程すらすっ飛ばして、ユイはラブホテルのベッドの上であった。
 ……そもそも、パパ活の顔合わせの工程は女性側に寄ったシステムである。男性側は、省略出来るなら望むところなのだ。ユイが「可能なら、今日にもまとまったお小遣いが欲しいんです」と訴え、「……覚悟は出来ています……」としおらしく囁けば、男をここまで誘導することは容易であった。
「それにしても……本当に経験が無いのかい? 『こんなもの』を入れておいて?」
 ここに来て男が若干疑わしそうにしたのは、ユイの下腹部の『宣誓刻印』を見たからだ。正体はとある兵器の制御核のヤドリガミであるユイの、その特性故に浮かび上がっているものだが、見た目は『淫紋』と称される……性的な意味合いを含むタトゥーに近い。性経験が無い者が施しているのは不自然な代物だ。そこからの男の疑念なのだろうが……。
「本当に、経験は無いです。いくらでも確かめてもらって構いません……」
 ユイのその言葉に嘘は無い。
(あくまでも『今の肉体では』……ですけど)
 ヤドリガミのユイは、猟兵として事件を解決するごとに自身の肉体を新品の状態へ作り直す。その為、現在の肉体の純潔がまだ保たれているのは事実だ。
(未熟な子を自分で……男の人、好きでしょう?)
 今回ユイは、それを情報収集の為に最大限に利用するつもりだった。――が。
「……なら、遠慮なく確かめさせてもらおうか。『こいつ』でね」
「……っ!?」
 告げて、既に上半身裸だった男は下半身の衣類も全て脱ぎ捨てる。お目見えした男の分身は……ユイの想定よりも大き過ぎた。
 年齢不相応に鍛え抜かれた男の体格に相応しい、否、それ以上に立派な剛直。天を向いて脈打つ様は神話の大蛇を連想させた……。
 男はユイの最後の砦たる下着も脱がせると、前戯などもどかしいとばかりに己が腰のうわばみをユイの入口に宛がう。
「ま……待って下さいっ。そんな、いきなり……!?」
 兵器の制御核として長い年月を戦い抜き……しかし、実のところ精神的には未成熟なユイは、心の内に弱さを抱えている。そんな弱気が一気に噴出してきた。
(まだ新品のこの身体で、あんなモノを挿入されたら……壊れちゃう)
 演技ではない怯えに表情を強張らせるユイに、男の方は嗜虐心をそそられたようだ。
「シていれば自然に濡れてもくるさ。さあ――お望み通り、本当に初めてか思う存分確かめてあげよう!」
「ひっ……いぃっ……!?」
 ――男がユイへ突入を開始した。反射的にユイは枕元のシーツを掴み、握り締める。
 ユイは自分の体内で、未踏領域がこじ開けられる音を聞いた。強引に押し退けられ、引き裂かれる純潔の断末魔……。ユイの喉からも喘ぎとも呻きとも取れる声が上がる。
 ……一度、ユイの最奥まで埋め尽くした後、男の肉杭は律動を始めた。突き入れた感触でユイの、少なくともこの身体での純潔に偽りは無かったと解ったはずだが……それに配慮する様子無く、彼女の全身がガクガク揺れるほど激しく出入りする。
「あ、あっ、あぁっ……ああっ……!?」
 目尻から涙の粒を飛ばし、ユイが悲痛に啼いた。彼女の全身に汗の珠が浮かび、白い肌の上を幾重にも滑り落ちていく……。
 ……が、男とユイの肉体がぶつかり合った回数が増すにつれ、様相は変化していった……。
「あっ、はっ、ひゃっ、ひぁぁっ……♪」
 ……ユイの悲鳴に、鼻に掛かった甘い響きが混ざり始める。
 表情も、涙をポロポロと零しつつも瞳は膜が張られたようにとろんとして、頬どころか耳の先まで上気していた。
 何より……ユイと男の結合部から淫らな水音が鳴ることが証明である。
「初めてだったのは間違いないようだがね……! それで早くもここまで乱れるとは……大した淫乱じゃないか!!」
「ああっ……いやぁぁんっ……♪」
 男に罵られてもユイは反論出来ない。……ユイは刺激に敏感な気質を生まれ持っていたのである。さらに、自覚はしていないが攻められたり責められたりすることに昂る素質も内包していた。無自覚Mの敏感少女という本質に付け込まれたユイは、今や男に何の抵抗も出来ないほど興奮と快楽の極致にある。
 そして――ユイはイクところまでイカされてしまう……。
「っ……私もいい加減限界だ。その胎で受け止めろ、いいな!?」
「はぃっ……!? あっ、ああぁっ……!!」
 ……実際には、ユイは忘我の最中で男の言葉など聞いていなかったが――勝手に了承と判断した男は、己が生殖器をユイの側のそれの奥底まで押し込む。
「……っ、うぐぅっ……!!」
「……ぁぁああああああああああひぃああああああああ~~~~~~~~っっ!?」
 ヤドリガミの仮初めの肉体とはいえ、一応は存在するユイの子を育む為の聖なる宮殿……その門を打ち破って、男の『精』鋭なる兵『子』が内部へ雪崩れ込む……。
 男に腰をしかと抱え込まれて逃れる術の無いユイは、背筋を弓なりに反らせて痙攣を繰り返すしか出来なかった……。

 ……ユイがそのラブホテルを後にしたのは翌日の夕方だった。
 最初は『休憩』の予定がいつの間にか『宿泊』に変わっており、さらに翌朝のチェックアウト時間以降も延長を繰り返して……今の時間である。
 ――とはいえ、ユイは充分に目的を果たしていた。
「記憶情報は充分……『精神干渉』が上手くいきました」
 ユイのユーベルコード・『催眠術:精神干渉』は対象の記憶や思考を読み取れる。それによって男から引き出したUDCエージェントの少女たちの情報は、猟兵たちの捜査の大きな助けとなるだろう。
「他の猟兵との情報共有もしっかりしましょう」
 その為に端末を弄り始めたユイの顔は、いつも通りの彼女のもので……。
 ……ユーベルコード・『催眠術:精神干渉』は、相手の脳の認識を書き換えて幻想を見せることも出来る。
 或いは、男に弄ばれたユイはそれによる幻想だったのか……?
 ……真実はユイ自身にしか解らない。
 ただ、言えることは……。
「……やり過ぎたかしら?」
 ――相場よりもかなり多めの諭吉さんを手に、ユイは困ったように独り言ちる。
 この後、同じ手口で他にも多くのパパから情報を集めたユイは、その都度渡された多量の現金とパパたちの連絡先に困ってしまうのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カリッサ・クルス
まあ元UDCエージェントで今は多分邪神の眷属になってる娘達からよりはただの買春してる男からの方が情報を引き出しやすそうか。

まずは斡旋サイトに登録、買春してる男と接触、食事に誘って話を聞きましょ。
両親がいなくてお金が必要で~みたいな話で同情を引きつつ商売敵の情報を聞きたい、という名目で噂になってる少女達の情報を引き出すわ。居所を推察するために待ち合わせ場所や行為に及んだ場所、儀式の内容と関係があるかもしれないその子達のサービスの内容について聞いておきたいわね。

情報を得られたら買春してる男と体を重ねるのは御免だし適当に暗がりに誘い込んでワイヤーで縛り付けて転がしときましょ。



 緑色の瞳に呆れ気味な光を宿し、カリッサ・クルス(組織のエージェント(きどり)・f19088)は溜息を吐く。……まだ15歳の彼女は、今回の事件については思うところも多いようである。
「……まあ、元UDCエージェントで今は多分邪神の眷属になってる娘たちからよりは、ただ買春してる男からの方が情報を引き出し易そうか」
 どうにか気持ちを割り切ったカリッサは、他の猟兵の何人かも既に登録したというパパ活斡旋サイトへ自分も登録する。清潔な身なりに誠実そうな顔立ちのカリッサは、あまりスレていなさそうに見えるのが好印象だったのか、サイトに集うパパたちからの人気は上々であった。瞬く間に顔合わせしたいというメッセージが殺到する。
 カリッサはその中から適当な相手を見繕い、接触することにした……。

「――私、両親が居なくて。保護して育ててくれた人も、もう死んじゃってて……。だから、生きていくにはどうしてもお金が必要で……」
「うんうん、苦労したんだね……」
 瘦せぎすで軽薄そうな顔で、若い頃はさぞナンパな男だったのだろうなと推測出来る中年が、カリッサの真実もいくらか織り交ぜた身の上話にさも同情したと言わんばかりに頷いた。……だが、実際のところは、流行の周回遅れとなっているスーツで装われた身をカリッサの黒いワンピースに包まれた肢体と触れ合わんばかりの距離に腰掛けさせ、彼女の意外に短いスカートから伸びる健康的な脚線美に視線を釘付けにさせている。
(というか……二人連れで四人席に案内されたからって、こちらの対面じゃなくて隣に座るとか……)
 ファミレスよりはいくらか敷居が高い飲食店でそのような所業だ。馴れ馴れしいにもほどがあるとカリッサは内心憤っていたが、どうにかその感情を顔には出さずに自制する。そのまま、少なくとも形だけでもこちらに同情してきた相手に、彼女は本題をぶつけることにした。
「……でも、この街では私なんかよりも可愛くて、パパたちに人気がある娘が何人も居るって聞いて……どんな娘たちか、パパは知ってる?」
 商売敵の情報を聞きたい――そんな名目を滲ませて、カリッサは隣の男に問うてみる。
「カリッサちゃんも彼女たちに負けないほど魅力的だと思うけどなー?」
 ……その台詞は、逆を言えば件の『彼女たち』――邪神の眷属に身を堕としたと思われるUDCエージェントの少女たちと関係を持ったことがあると匂わせていた。当たりを引いたと確信したカリッサは、男の方へ少しだけ身を乗り出す。
「その娘たち、どんな所を待ち合わせ場所に使ってるの? あと、どんな所で……どんなサービスをするのかしら……? 私も参考にしたいなって」
 根掘り葉掘りカリッサが訊くのを、男は特に不自然には感じなかったようだ。まだパパ活に慣れていない少女が、必死に経験値を積もうとしていると捉えられたのかもしれない。男は何度も首を縦に振り、勿体ぶりつつ語り出した。
「待ち合わせは、そうだね。解り易い場所がやっぱり多いかな。○○駅の大時計とか、●●百貨店の正面の出入口の前……とか」
(……言われた場所、しっかり憶えておかないと……)
 男が次々に述べていく場所名を、カリッサは何とか頭に刻み付けていく。後でこの街の地図と照らし合わせることで、UDCエージェントの少女たちの行動半径を絞り込むつもりなのだ。それは、彼女たちの普段の居所……拠点を推察するのに役立つはずである。
「――それで、彼女たちにしてもらったサービスは……こんな感じかなっ?」
「……えっ?」
 男の言葉を記憶することに集中していたせいで、カリッサは反応が遅れた。――男がカリッサの肩に手を回し、抱き寄せてきたのである。驚きで目を白黒させるカリッサの耳元へ口を寄せ、男は囁いた。
「ほら、こうしてオレの肩に頭を預けて。なでなでしてあげるよ……」
「……っ!?」
 自分の赤茶色の髪を指で梳いてくる男に、カリッサは鳥肌が立った。思わず相手を張り倒したい衝動が沸き上がるが、まだ欲しい情報を聞き出し切っていない状況である。頬を引き攣らせつつも、彼女はギリギリで我慢した。
(……UDCアースのこの国は、もう夏が間近だって聞くけど……長袖の服にしておいて良かったわ)
 半袖だったら、恐らく鳥肌を隠し切れなかったから。
 とはいえ、こちらの太股に伸びてきた男の手は、カリッサもきっちり掴んで止める。素肌を触られたら流石に鳥肌がバレる……というだけでなく、そこまでされたら今も腸を煮えくり返らせている憤激を抑え込めなくなるのが目に見えていたからだ。
 それでも男は諦め切れぬように手を伸ばしたり引っ込めたりしていたが――店員がそれとなくカリッサたちの席へ近付いてきた為、慌てて彼女から身を離す。
(……頃合いね)
 店側の様子から、カリッサはそう判断せざるを得なかった。店員や他の客の何人かが、カリッサと男に不審なものを感じているのが伝わってくる。そもそも、中年男性と少女が一緒に居るだけで疑わしい目で見られるのがこの国の今の常識なのだ。カリッサと男はむしろ長く持った方である。
「……もう出よう? 彼女たちのサービスのことは、それをした場所に案内してくれたらそこで……」
「っっ!? ……あ、ああっ、そうだねー」
 カリッサからの提案に、がっかりしていた男は一転してウキウキした雰囲気になる。いそいそと席を立ち、男の財布から会計を済ませて、二人は店を出た。
 今にもスキップしそうになるのを必死で堪えている男と腕を組みながら、カリッサは微笑みを浮かべた顔の裏で黒い思考を渦巻かせる。
(UDCエージェントの娘たちが行為に及んだ場所が解ったら、今度こそこの男を張り倒そう)
 暗がりに連れ込んで、ワイヤーで縛り上げて転がして……その後で一発か二発殴ったり、二、三度踏み付けたりしても許される気がした。
 袖の内に隠したワイヤーの射出装置を確かめながら、カリッサは鬱憤を晴らすその瞬間を待つ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

臥待・夏報
※お色気ゼロで!

任務任務…って、UDC頭大丈夫か?
どう考えても夏報さんは年齢が際どいだろ。
ほらパパの人完全にハズレ引いたムード出してるよ居たたまれないな!?

【WIZ:情報収集、コミュ力】

あーわかります!
年下の上司ってやりづらいですよ!
何がアジャイルだ死ね!って、本当そう思います。はは、若者っぽくないですかね僕。
でもその上司が責任取ってくれるんでしょ、いっそ肩の力抜いてみては?
職場で見栄張ったって、奥さん帰ってこないですよ。

いや、男の人の事情ってぶっちゃけわかんないですけど、やっぱりこれ、いつもやっちゃうんですか?
何回くらい…あぁ、やっぱり若い子?
え、アウトじゃないですか。もうやめときましょ…?



 ……可能なら多くの人にご意見を乞いたい。
 ――果たして、これはパパ活の光景なのだろうか?
「あー、解ります! 年下の上司ってやりづらいですよ!」
 場所は日本のサラリーマン御用達の居酒屋。……日夜戦うビジネスマンの心のオアシスだ。
 そのカウンター席の隅で、哀愁漂う50代の男の肩を励ますように叩く女性が一人……。
 ――臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)である。
「何がアジャイルだ死ね! って、本当にそう思います。はは、若者っぽくないですかね僕? はははは……はあっ……」
 自分で言っていて少し気が滅入り、夏報は溜息を吐いた。
 事情は、数時間前に遡る……。
「任務任務……って、UDC頭大丈夫か!?」
 グリモアベースで話を聞き、UDCの方からも今回の任務への着任が要請された時、夏報は素でそう叫んだ。
「どう考えても夏報さんは年齢が際どいだろ? 夏報さんを何だと思ってるんだ、おい!?」
 臥待・夏報、現在華の23歳。
 ……一応、フォローしておくと。パパ活に身を染めている女性の中には、彼女と同年代、場合によってはもっと年上の女性も居る。また、『援助交際』の括りで視界を広げれば、世の中には『熟女援交』と呼ばれる、夫や子供も居て家庭もあるような女性たちが行っている事例もあったりするのだ。
 まあ、つまり、夏報さんだってまだまだ現役でイケる! ……そう言いたいのであるが……。
「――ほーらみろ、ほーらみろ! パパの人完全にハズレ引いたムード出してるよいたたまれないな!?」
 ……件のパパ活斡旋サイトに登録した夏報がどうにか顔合わせをすることになった気が弱そうな中年男性のパパさんは、待ち合わせ場所で夏報を見た途端にガックリと肩を落としたのであった。
 ――それでも、夏報はUDCエージェント。毎日必死で働く戦う女性! どういう形であれ、担当することになった事件を投げ出すことは出来ないのである。
 夏報なりのコミュ力を駆使してパパと繋がりを持とうとした結果――居酒屋での今に至る。……いや、これ、サラリーマン同士で愚痴を零し合っているようにしか見えん……。
 散々パパの人の上司であるというまだ20代の男をディスった夏報は――しかし、ここで一転して優しい声音になった。
「……でも、その上司が責任取ってくれるんでしょ? いっそ肩の力を抜いてみては? 職場で見栄張ったって、奥さん帰ってこないですよ?」
 この店に入ってから二時間(ちなみに、二軒目である)、お互いに愚痴を零すに零し合った夏報は、相手の男性の事情も色々と訊き出していた。
 職場に今年度から配属された若い上司、それとどうにも馬が合わないということ。それで溜まったストレスから、些細なことで奥さんを酷く怒鳴ってしまい、そこから始まった喧嘩をこじらせて別居してしまったと。……子供たちも既に家を出て行ってしまっており、帰っても誰も居ない自宅で募った寂しさから、ついついパパ活斡旋サイトへ登録してしまったと……。
 けれど、話を聞くに、この中年男性も彼の若い上司も仕事を良くしようとそこは本当に頑張っており、お互いに歩み寄れるのなら歩み寄りたい様子であった。奥さんの方も一週間に一度くらいではあるが、自宅の留守電に何だかんだで男を心配する声を残しているらしい……。
(……この人はまだ、真っ当な道に戻れる場所に居るんだよね)
 だから、夏報は言葉を尽くす。
「いや、男の人の事情ってぶっちゃけ解んないですけど、やっぱりこれ、いつもやっちゃうんですか?」
「……実のところ、一ヶ月くらい前に登録したばかりで、まだそんなにはやってないんだけどねぇ……」
 白状し始めたパパの人に、夏報はさらにやんわりと追及する。
「何回くらい?」
「実際に会ったのは君を含めて三回……かな」
「あぁ、他の二回はやっぱり若い子?」
「……どちらも高校生って言ってたかな。片方の子とはホテルの前まで行ったよ……」
「え、アウトじゃないですか。もうやめときましょ……?」
「……そうだよなぁ……!!」
 ――酒の勢いもあったのかもしれない。しかし、それ以上に何時間も親身になって話を聞いてくれた夏報の言葉だったからだろう。男はスマホを取り出すと、すっぱりとパパ活斡旋サイトへの登録を削除する。
(……何か、本来の任務はまるで進んでないけど、一仕事終えた感あるなぁ……)
 笑い合った夏報と元パパは、焼酎の入ったカップを打ち合わせる。
 そして、暫し杯を傾け合ったところで――ふと思い出したように男は口を開いた。
「……ああ、でも、ホテルの前まで一緒に行った……というか、やけに強引にホテルまで誘われたんだけど、こちらが怖じ気付いて逃げちゃった……その相手の子、多分本当は高校生じゃなかったんじゃないかと思うんだよ」
「……え? それはどうして?」
「手が、やけにゴツゴツしていてね。力仕事をやってるか、何か道具を長年使い込んでないとあんな風にはならないと思うんだよ。そこがどうにも学生らしくなくてねぇ。まあ、見た目は本当に高校生くらいに見えたんだけど――」
 ――夏報も思い出す。UDCエージェントにもそういう手を持つ者は多い。……銃を使うから。そこに考え至るが早いか、夏報は男性の前に行方不明のUDCエージェントたちの顔写真を並べた。
「その子、この中に居ませんか!?」
「え? ――あ、ああ、この子だ」
 内の一人を指差した男へ、夏報は彼女と会った時のことを逐一問う。そして……。
「そういえば、この子をその後に偶然見掛けたんだ。パパ活中ではない様子だったね。確か……ああ、あの辺りだ。友達なのか、同じくらいの歳の子――あ、この写真の子だよ。二人で連れ立って歩いていたね。それで、そう、こういう建物の方へ……」
 具体的な駅名や建物の形状を挙げて説明する男に、夏報は何度も頷く。……意外な所で意外な人物が、有力な情報を掴もうとしていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ローゼンベルグ
はぁ、男ってなんでこうなのかしら?
理解できないわ……
と少し呆れ気味

●WIZ使用
とりあえず怪しまれないようにいつもの少女姿に【変装】・変形
清楚な少女を演じてパパ活の男性と接触するわ

「あの……実は私の友達が行方不明になってしまって……」
「噂だとこのサイトを使っていたらしくて……だから、私……」
眼に涙を浮かべて訴えかけ、さらに
「お願いします。何か知ってる事があれば教えてください!」
「お礼はします!そういう事も……あまり上手くないかもしれないけど、やりますから……」
と男性に半ば縋りつくような形で【誘惑】し情報を聞き出す
まあ、本当にするつもりなんてないけど、ね



「……はぁ、男って何でこうなのかしら? 理解出来ないわ……」
 心底呆れた風に呟いたのは、イリス・ローゼンベルグ(悪を喰らう蠱惑の薔薇・f18867)であった。見た目はゴシック的な雰囲気を漂わせた10代半ばの少女であるが……その正体は薔薇の因子と人の少女が融合して生まれたバイオモンスターである。
 今の姿は擬態。これから会う約束を取り付けたパパ……件のパパ活斡旋サイトに登録している男性に怪しまれないようにする為の、イリスなりの工夫であった。
 この街の主要駅の改札口の一つの前で佇んでいた彼女に、皺一つ無いスーツを身に着け、髪も整髪料で撫で付けた、見た目だけはキッチリとした中年が声を掛ける。
「イリスさん、だね? 初めまして。今日お世話になる――」
 堅苦しく挨拶しつつも、眼光は獲物を見定めるように煌めいているその男に、イリスは伏し目がちに頷いてみせた。
「イリスです。今日はよろしくお願いします」
 丁寧にお辞儀をするイリスに、男は満足そうに笑うのだった……。

 ――まあ、そんな清楚で礼儀正しいイリスの様は、男を手玉に取る為の演技なのだが。
 駅前の百貨店を手を繋いで見て回りつつ、頃合いを見てイリスは切り出す。
「あの……実は私の友達が行方不明になってしまって……」
「……ほぅ?」
 百貨店内のカフェで紅茶のカップに指を添えつつ、イリスはテーブルを挟んで対面に座る男へそんな風に話した。
 ――もちろん嘘であるが。
 興味を持った様子の男に、イリスは目に涙を浮かべつつ続ける。
「噂だと、私と●●さんも登録しているあのサイトを使っていたらしくて……だから、私……」
「……なるほど。君みたいな子がどうして……と思っていたけど、そんな事情があったわけか」
「お願いします。何か知ってることがあれば教えて下さい!」
 訴えながら、イリスは一枚の写真を男に差し出す。――猟兵たちが捜しているUDCエージェントの少女の内の一人の写真だ。他の猟兵が先立って行った調査により、目の前の男が彼女と関係を持ったことがあるのは判明している。
 写真を見て眉をピクリとさせた男のさらなる反応を、イリスは窺う……。
「……さて、どうだったかな? 見覚えがあるような、無いような……? 私も色々な女の子と会ったからね……」
 明らかに憶えていて惚けている様子の男にイリスはやれやれと内心で思いながら、自分の側からアクションを起こした。――テーブルの上に置かれていた男の左手に自分の両手を重ね、弱々しくも切実な感じを滲ませる絶妙の力加減で握る。男がはっとした顔でイリスを見詰めた。
 ここでは何か言うべきではない……むしろ、喋らない方が相手が勝手に自分の都合の良いように解釈してくれる……そう判断して唇を引き結んだイリスと男が一分……二分と見詰め合い続け……やがて男の方からそっと囁いた。
「……場所を変えようか」

 ――男は付近の路地に入り込んで何度か曲がりくねり、一軒のラブホテルまでイリスを誘った。
「思い出したよ……。確か、君のお友達とは、そう……このホテルに入ったんだ。それ以上は……ああ、思い出せない。でも――あの時のことを一つ一つ再現していけば、思い出すかもしれない……」
(いや、それ、憶えてるって言ってるわよね?)
 胸中でツッコミつつ、それを口に出すと台無しなのでイリスは黙っていた。
 イリスの沈黙を肯定だと解釈したらしく、男は彼女の肩を抱き寄せて、まだ陽も沈み切っていない今からラブホテルに入っていく。連れ立ちながら、イリスは心中でこれ幸いと感じていた。
(私、夜はついつい不機嫌になるしね。そうなる前に済ませられるなら僥倖だわ)
 ――一見すると清潔感はあるものの、何となく染み付いて取れない汚れの雰囲気を感じさせる室内に入ったところで、男はイリスと正面から向き合い、彼女の両肩に両手を置く。
「……さて。君のお友達とはここから、そう……どうだったかな……?」
 中空を見ながら考えているふりをする男の胸へ、イリスは自分から飛び込んだ。
「お礼はします! そういうことも……あまり上手くはないかもしれないけど、やりますから……」
 すがり付いて必死そうに囁いてみせるイリスに、男の唇の端が勝ち誇ったように吊り上がった。
「そうか! そうそう、思い出してきたよ。さあ、こちらへおいで……」
「はい……」
 イリスの手を引いた男は枕が二つ並んだベッドの前まで来ると――イリスをその上へ突き飛ばした。
「きゃっ……!?」
 と、さも驚いた風に悲鳴を上げてやるイリス。……本音は、少々面倒臭くなってきていた。
 シーツの上に仰向けに倒れたイリスの上に、スーツの上着を脱ぎ捨てた男がネクタイを緩めつつ覆い被さってくる。
「君のお友達は、そう、実に従順に私に奉仕してくれたよ。寝転がった私の腰の上に、自分から跨ってね……。ふふっ、腰を上下させる度に豊満な乳房が弾んで、なかなか見応えがあった……!」
(そういうのはいいから、もっと建設的な情報をくれないかしら? 今何処で寝泊まりしている……とか、これからどんな事件を起こそうとしている……とか)
 キスしようと迫ってくる男の唇をのらりくらりと避けながら、「あの……」とか「それで……」とか、巧みに相槌で促して、イリスは断片的に情報を引き出していく。
 何でも、この男はイリスの友達(嘘)からの紹介で、他のUDCエージェントの少女たちとも何度か関係を持ったことがあるらしい。イリスも薄々感じていたが、この男、意識高い系を気取ってはいるものの、その実、頭が割と緩くてチョロい。UDCエージェントたちも、利用するのにちょうど良かったのだろう。
「何でも、今度私以外のパパも多く誘って乱交パーティーのようなものをやるらしいよ、君のお友達は! 何なら君も連れて行ってあげようか? 日取りはそう――」
「――あ、うん。もうそれで充分ね」
「……はうっ!?」
 決定的な儀式と思われるイベントの実施される日を自慢げに語ったところで、イリスは男の顎を騙し討ち気味に弾き上げた。脳を揺らされた男はカクンッと脱力し、イリスの上に倒れてくる……が、倒れ切る前に彼女は男の身体を横へ蹴り飛ばす。
 ベッドから起き上がったイリスは乱れた髪と衣装を整えると、やっと肩の荷が下りたような足取りで部屋のドアから出て行った。
 ……男を振り返ることは、一度も無かったのである……。

成功 🔵​🔵​🔴​

イングリッド・カッセル
WIZ

ふむ、パパ活やらの内容は承知した
世界が違えど娼婦の仕事というものはあるものだな

つまり良い気分にさせて情報を引き出せということだな?
適当にプロフィールは(UDC職員に)書いてもらうとして…何を書かれてるかわからないが

仮に売…パパ活しに来た男だとしても【礼儀作法】は忘れずに接する
食事をしつつ胸の谷間や、短いスカートから脚を見せ付けて【誘惑】しつつ
「友達もあなたに世話になったとか。失礼はなかったですか?」と情報を聞いてみる

…しかし、いつ頃切り上げるのが正解なのだろうなこれは
ホテルの予約がしてある?
そうか……旅行者なので部屋があるのはありがたい…うん?同室?

(アドリブ歓迎・流されがちな性格です)



「ふむ、パパ活やらの内容は承知した。世界が違えど娼婦の仕事というものはあるものだな」
 一人納得し、うんうんと頷くのはイングリッド・カッセル(血の権利・f17781)。
 ……いや、その認識はどうなのか? 他の世界でその道に入っている女性たちは、UDCアースの日本でパパ活やら援助交際やらに身を染めている女性たちと一緒にされたら、怒る気がする……。
 何にせよ、イングリッドも他の猟兵たちと同様に問題のパパ活斡旋サイトへ登録した。
 ……ただ、イングリッドは面倒だったのか、その辺りの作業は適当なUDCの人に押し付けてしまう。頬を引き攣らせていたUDCの人、果たしてどんなプロフィールをイングリッドにでっち上げたのか……? 瞬く間に彼女にパパたちからのお誘いが殺到する。
「……つまり、この男たちを良い気分にさせて情報を引き出せということだな? 任せろ」
 自信満々なイングリッドであるが、何故だろう……不安が拭い切れないのは……?

 イングリッドは、アプローチを掛けてきたパパの一人ととあるカフェで待ち合わせをした。
 やって来たのは、ニコニコと笑みを絶やさない人の良さそうな中年男性。自分よりも20歳以上年下に見えるイングリッドに対しても腰が低く、ペコペコと頭を下げる。
「イングリッド・カッセルだ。今日はよろしくお願いする」
 わざわざ席を立ち、スカートを摘んで淑女の礼をするイングリッド。……今、彼女が穿いているスカートは裾が案外短い為、そうするとかなり大胆に太股が覗いた。日に焼けたことが無いかのような真っ白いイングリッドの脚に、相手の男はゴクリと唾を飲み込む。
 これも、情報を効率良く引き出す為のイングリッドの工夫。誘惑して、男の心も口も開かせようというのである。
 改めてカフェの二人掛けの席で向かい合ったイングリッドとニコニコ顔のパパ。注文したメニューが届いたところで、イングリッドから口火を切る。
「友達もあなたに世話になったとか。失礼は無かったですか?」
「……ご友人、ですか?」
 思い当たらない様子でキョトンとする男性へ、イングリッドは行方不明のUDCエージェントの一人の特徴を挙げる。……別の猟兵が先立って成功させた調査で、眼前の男がそのUDCエージェントの少女と関係を持ったことがあると把握出来ていた。その少女との友人関係を装うことで、その少女自身の情報を聞き出そうというイングリッドの策である。
「ああっ、彼女とご友人なのですかっ。はいっ、はいっ――」
 男は何度も頷き、件の少女とパパ活した時のことを細かく語っていく。……今日は、襟ぐりが大きく開いた服を着用するイングリッド、興味深そうにやや身を乗り出してみせた。深い胸の谷間が覗き、男の目を奪う。
 男はハッスルして喋りまくった。重要そうな話だと、UDCエージェントの少女たちは、幾人かのパパを誘って乱交パーティーのようなものを企画しているらしい。……恐らくは邪神召喚の儀式の決定的な局面だ。それに目の前の男も招待されているそうである。
 そんな風に目ぼしい情報は聞き出したイングリッドだが……ここで一つ問題が起こっていた。
(……いつ頃切り上げるのが正解なのだろうな、これは?)
 ……このパパ活を終わらせるタイミングを、イングリッドは見出せなかったのである。
 適当なところでお手洗いに行くふりをして逃げ出すなど、やりようはあったはずだが……流されがちな性格のイングリッド、昼のカフェから始まったパパ活でとうとうディナーまで終えてしまう。……となると、この後は……。
「――ホテルの予約がしてある?」
 男が告げたその言葉に、イングリッドには微笑が浮かんだ。
「そうか……旅行者なので部屋があるのはありがたい……」
 違う、そうじゃない! ……他の猟兵がこの場に居たらツッコんでくれたかもしれないが、生憎と今のイングリッドは満面の笑みのパパと一対一だ。彼に促されるまま、イングリッドはディナーを食べたレストランが入っているホテルの、なかなかお高い部屋へチェックインする……。
「……うん? 同室?」
 一緒にその部屋に入ってきたパパにコクコクと頷かれ、ようやくその事実を把握するイングリッド……。
 ……それにしても、イングリッドが本日会ったこのパパは強者だった。本来は顔合わせに過ぎなかったはずの今日のパパ活において、待ち合わせのカフェこそそれなりの場所だったが――その後にもう少しだけと拝み倒して連れ出した街中デートでは、UDCアースなら多くの人が名前を知っている超高級ブランドの直営店を回り、ディナーでは高層階のレストランから夜景を見つつの創作イタリア料理フルコース……。極め付けに、泊まるなら一夜で諭吉さんが二桁の人数は去っていくはずのホテルの部屋を事前に予約済みだ。
 ……ここまでやられたら、大概のパパ活女子たちは使われた金額の膨大さに怖くなってしまうだろう。そして、相手から予定外にカラダを求められたとしても、本来その気が無かったとしても、拒む度胸など発揮出来ないはずである……。
 このニコニコ顔の中年、それを計算して、どれだけのパパ活女子を食い物にしてきたのか……?
 ――まあ、イングリッドにその策自体は全然通じていなかったのだが。
 ……ヴァンパイアを父に持ち、かつてはダークセイヴァーで貴族として生きてきたイングリッドに、この程度でプレッシャーを掛けられるはずがなかったのだから。
 なのに、この元お嬢様のダンピールは……。
「――はぁっ……。ん、んっ、んっ、んんっ……!」
 ……二時間くらい後、件のホテルの彼の部屋のキングサイズのベッドの上には、お互いに一糸纏わぬイングリッドと笑顔輝くパパが睦み合う光景があった……。
 ――イングリッド、この期に及んでもパパ活を切り上げるタイミングを見出せなかったのである……。
 彼女の衣類は、『宵闇の蝶』と名付けられた黒いレースの下着さえも、ベッドの下の床と友達になっていた。拘束から解き放たれたイングリッドの美麗な巨乳を、パパは笑顔でこね回している。
 仰向けでも型崩れせず、ツンッ……と上向くイングリッドの乳房にパパの五指が喰い込んで、淫らにその形状を歪めた……。
「あ、あっ、あぁ、あぁっ、ん、んっ、ぅんっ、ぅうんっ……!」
 左右に大きく開かれたイングリッドの両脚の間に、パパの腰が割って入っていて……それが『の』の字を描くように蠢くと、イングリッドから悩ましげな吐息が漏れる。
 ……ちなみに、ここはラブホテルではない為、当然避妊具など常備されてはいない……。
『だから、着けられないんですよ! そのせいで仕方なく……!!』
『それなら……んっ……仕方がないな……』
 ……流されたイングリッドは、生での行為に及んでしまっていた。
 やがて……男の腰の蠢きは段々と速く、激しくなり――彼とイングリッドの腰がぶつかり合う音が軽快に部屋に響き渡るようになってくる。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ……!?」
 真上から覆い被さってきたパパの背中に、イングリッドは流されて繊手を回す。彼の腰に両脚さえ絡めた彼女の赤い双眸は、とろんと焦点も定まらなくなっていた……。
「イングリッドさん……! あなたの、あなたのお腹の中に出しますよ!! いいですよね!?」
「あ……ぅ……? で、も……?」
「こんなに気持ちいいのに外に出すなんて拷問です! 仕方ないんです!!」
「あ……仕方がない、なら……仕方、が、ない、から…………あれ……?」
 思考の焦点も定まらなくなってきているイングリッドは、男の主張に首を傾げながらも了解してしまう……。
「は、はっ――はぁぁっ……!!」
「あ、あっ……ふわぁぁああああああああああ~~~~~~~~っっ!?」
 ……少し運命が違えば、ダークセイヴァーで支配階級の姫として人々に、下手をすればオブリビオンたちにもかしずかれていたかもしれないイングリッド。そうであったなら、その高貴なる血筋の世継ぎを宿すはずだった器官に、血統的に考えれば彼女の影を踏むことすら許されないはずの他世界の下賤な男の子種が注ぎ込まれる。
 ……万が一、その種が根付いてしまっても……流されがちな彼女は「仕方がない」で済ますのだろうか……?

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「身内の不始末と言う訳ですか……狂気に堕ちる危険とは背中合わせですし、彼女らも覚悟はしていたと、そう思いましょう」

■行動(WIZ)
年の近い、けれど成人しているDクラス女性職員と行動を共にします
ペアでのパパ活をアピールし、サイト利用の多い男性の興味を引きましょう
可能なら4人での、つまり男性2人と一気に接触したいですね

『変装』と『コミュ力』で女子校生を演じます
上手く男性を釣れたらホテルまで行き、『誘惑』で期待させながら情報を聞き出しましょう

特徴的なイベントや、よく利用されるホテル等から主催者の拠点を割りだせるかも知れません

最終的には短針銃の『催眠』で記憶消去させて貰いますが


アドリブ、色気、絡み可



 他の猟兵たちと同様に問題のパパ活斡旋サイトへ登録して……火奈本・火花(エージェント・f00795)はやるせなさそうに溜息を吐いた。
「身内の不始末というわけですか……。狂気に堕ちる危険とは背中合わせですし、彼女らも覚悟はしていたと、そう思いましょう」
 UDCエージェントとして、恐らくは『元』同僚となってしまったはずの行方不明のUDCエージェントの少女たちへ、火花は祈りを捧げる。
 ――そして、彼女は半袖のブラウスの上にスクールベストを着て、膝上20cmのプリーツスカートを穿いた格好で、とある駅前の独特な表情の像の前に立っていた。実年齢は20歳でも、身長は150cm台半ばとそこまで高くない火花。普通にJKっぽくなっている。
 ……隣で同じ格好をした、同じく20歳のDクラスUDC職員の女性は、顔を真っ赤にしてかなりいたたまれない様子だったが。
 火花は、より効率的にサイトのパパたちの興味を引く為、ペアでのパパ活をアピールしたのだ。それは功を奏し、UDCエージェントの少女たちと接触したことがあるという二人のパパと、こちらも二人で会う約束を取り付けたのである。
 ……そこまではいいのだが、同時に火花はプロフィールをJKと偽っていた……ペアの分まで。高校卒業後の制服コスプレは普通の女性の感覚ならばキツい。火花はもう少し巻き込んだDクラス職員の気持ちを考えてほしかった……。
 ――しかし、そんなDクラス職員など置き去りにしてその時は訪れる。
「あ、君が火花ちゃん? わっ、可愛いね♪」
「そっちの子がお友達の……俯いてないで顔見せてほしいなー?」
 やって来た背広姿の二人のパパたちは……あのサイトのパパたちの中では若い部類だろうか? まだ30代前半のようである。パパ活というよりは、『少し変わった出会い系サイト』と思ってあのサイトに登録したのかもしれない。
「――火花です☆ 今日はよろしくお願いしますね、パパ♪ ……それとも『お兄ちゃん』の方がいいですか?」
「はは、お兄ちゃんかっ。そりゃいいね!」
 普段の礼節ある態度はしまい込み、朗らかな10代の少女を演じる火花。男の片割れが嬉しそうに彼女の提案に喰い付いた。……Dクラス職員の女性は、いつもの火花とのギャップに戦慄している……。
 その様を横目で見た火花は、胸の内で溜息を吐いた。
(人員は必要でしたが――彼女があの調子では、そんなに時間は掛けられませんね)
 火花からはともかく、Dクラス職員の方からボロが出る危険性がある。火花はコミュ力を駆使し、手っ取り早く目的を果たす為に動き出した……。

 ――で、あれよあれよという間にラブホテルの一室である。
 本来は顔合わせだけの予定でも、女性の側からそれ以上のお誘いがあれば拒むパパは少ない。火花たちが釣り上げたパパたちもそうだった。
 割と面積が広めの一室。それは『複数人』で楽しむことを主眼に置いた部屋だからだ。そこに火花たちは四人で入室している。
(……彼女は男と二人きりでは無理でしょうから)
 JK制服コスプレでラブホテル……その事実だけでDクラス職員の彼女はいっぱいいっぱいに見える。ここからの本格的な情報収集は自分が頑張るしかないと火花は気合いを入れた。
「――それじゃあ、まず『俺たち』からシャワー浴びてくるなー?」
「はぇっ!?」
 ……パパの片方が、Dクラス職員の肩を抱いて備え付けのシャワールームへ歩き出した。Dクラス職員の方も案外パパたちに気に入られていたのかもしれない。本人はそれが心外らしく、火花をチラチラと見てくるが――火花はそちらはそちらで任せることにした。
(私はこちらの男から情報を引き出します。その間、そちらはお願いしますね)
 アイコンタクトを受け取ったDクラス職員は、絶望的な表情でガラス扉の向こうに消える……。まあ、この手のホテルのシャワールームはガラス張りで透け透け、中の様子は火花にも把握出来るから大丈夫だろう。……大丈夫なのか……?
(とにかく、私はもう一人の方を)
 火花は軽い足取りで、デカデカと鎮座する二つのベッドの片方まで近付いた。その縁に飛び乗る感じで腰掛ける。クッションで二、三度、火花の肢体は弾み……結果、短いスカートが舞い踊って下着が男に見えたはずだ。一瞬息を呑んだ彼に、火花はポンポンと隣を叩いてベッドに一緒に座るように促す。
 火花のそれぞれの仕草は、男の期待感を充分に煽ったようだ。いそいそと火花の横に腰を下ろした男は早くも背広の上着を脱ぎ、ネクタイも解いて丸める。
 ワキワキと自分の肩に手を伸ばしてきた男を、火花はピクンッと震えてみせながら上目遣いに見詰めてやった。
「シャワー、浴びないでいいんですか?」
「あっちのシャワー、長く掛かりそうだしさ。後でいいだろ?」
 ……シャワールームでは、いつの間にか下着姿にされてしまっているDクラス職員が、全裸のもう一人のパパに壁ドンされていた。ガラス越しに必死で救援要請を送ってくる彼女を――火花は自分も忙しいので無視する。
「あなたは、私以外の子と何処でどんなことをしましたか? 私も同じことをしてあげますから」
 そんな風に言って、UDCエージェントの少女たちとの特徴的なイベントや、彼女たちとよく利用するホテルを男から聞き出そうとする火花。
(特にホテルの位置情報からは、向こうの拠点を割り出せるかもしれませんし……)
「他の子とは……あの駅の辺りのホテルに行ったな。したのは――こんなこと♪」
「あっ……」
 男は火花をベッドに押し倒すと、彼女の太股を撫でてきた。それは上へ上へと這い……直にスカートの中に侵入する。
「んっ……待っ……あっ……!」
 下着越しに敏感な亀裂をなぞられ、火花にも少し焦りが生まれる。咄嗟に、自分の方は彼女を見捨てたことも忘れ、火花はDクラス職員の方を見るが……。
「……っ……っっ……っ、っ……!」
 ……シャワールームは立ち込める湯気でガラスが曇り、中がうっすらとしか窺えない状態に変貌していた。ただ、漠然と二人分の肌色の人影が見え……それが絡み合い、揺れている。くぐもった泣き声のようなものも聞こえた……。
「向こうもお楽しみのようだぜ? なっ♪」
「んっ――」
 火花が何か言い掛けるも、男の口付けによって塞がれる。
(……。仕方ありません。これも必要経費なら――)
 火花は脱力し、男へと身を任せた……。

「ぅんっ……それでっ……はぁっ……その子たちとは……っあ……どうなったんですか……?」
「実は、その後会ってないんだよ。何か怖くなってさ……。最近は是が非でもって感じで向こうから行為を迫ってきて、変な感じだったしな」
 当初の予定の『休憩』の間には情報を聞き出し切れなくて――『宿泊』に突入して二時間、ようやく火花は情報収集を一通り終えることが出来た。
 男の話では、ここしばらくのUDCエージェントの少女たちはやけに焦っていたようである。毎日のようにパパたちを誘い、デートも食事もそっちのけでとにかく行為に及ぼうとしていたと。
(……猶予が無かったのかもしれませんね……)
 邪神に関わる儀式は、星辰などの関係で日時も極めて重要な場合も多い。その日その時を逃せば、次の機会は十年後……とか。UDCエージェントの少女たちのパパ活が儀式の準備段階だったのなら、肝心の儀式本番を迎える前にそれを済ませられなくなりそうで焦っていたのかもしれない……。
(逆を言えば、その決定的な儀式の日はもう近そうですね……)
 下手をすれば明日か明後日か? 考え込む火花の耳に、男のポツリとした声が滑り込む。
「明後日……いや、もう明日か? その子たちから乱交パーティー的なイベントをやるんでぜひ来てほしいって連絡が来てたんだよ。俺は行かないつもりだけど……結構行く奴多いみたいだな」
 会場とされるラブホテルの名前や住所、部屋まで教えてくれた男に、火花も少しだけ感謝の念を抱く。だから……。
「……んっ……今度は、中で……いいです……あぁっ……」
「おっ、いいのか? そら、そらっ!」
「ん、んっ、あ、あっ……!?」
 スカートだけの姿で自分の腰の上に跨った火花を、男は下からさらに激しく突き上げた。火花の細身がガクガクと揺れる。ずれた黒縁の眼鏡が愛嬌を醸し出していた。
 一度、二度、一際強烈な突き上げがあった後――男のマグマが火花の最奥にて噴火する。下腹の内で生じた灼熱感に、火花の華奢ですらある背筋が反り返った。薄い乳房の先端で、それでも尖って自己主張する突起がピクッ、ピクンッと震える……。
「――おやすみなさい」
「っ!?」
 次の瞬間、火花が後ろ手で抜いていた短針型記憶消去銃が火を噴き、男はそのまま意識を喪失した。……目覚めれば、火花と会ってから今までの記憶が全て消え失せているはずである。
「思ったよりも時間を掛け過ぎてしまいましたね。失敗です……」
 男からもベッドからも降りた火花は、この部屋のもう一つのベッドに歩み寄る。そこで寝息を立てているもう一人の男にも記憶消去剤が塗られた短針を撃ち込んだ。
「それで――この人はきちんと自分の仕事をこなしたんでしょうね……?」
 火花の眼鏡の奥で、瞳が疑わしげに細められる。見下ろすのは、男の腕を枕にぐっすりと眠るDクラス職員。……結局、シャワーをご一緒した男とあの後もイタしまくっていた彼女を、朝まで問い詰めたい火花だった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
アドリブ・お色気OK

…さすがに、こうゆうのはよくないっすよ
早く止めないと…犯罪に手に染めてはいけないっす

年齢的にもそんな年じゃないっすけどサイトに登録
少なくともおじさん相手にできやしないんで…登録も男性っす

女性と思われたら男ですと反論します
と言うか露出多いし、胸当ててくるし…鼻血我慢して真っ赤になっているっす

色々お金使っておごりながら雑談交じりに色々聞いてみます
拠点とかいつもこんな事やっているのか
もし悩みがあったら打ち明けて欲しいなって(微笑みUCが勝手に発動)

(がしっと腕掴まれ)

ぇ?(なんか気づいたらアレなホテルに)
ちょぉ!?(服破られ色々めちゃくちゃにされます)
そんな所舐めちゃだめー!?



 ――後から思えば、久遠・翔(性別迷子・f00042)は最初からいっぱいいっぱいだった。
「……流石に、こうゆうのは良くないっすよ。早く止めないと……犯罪に手を染めてはいけないっす」
 パパ活の何たるかを説明されてから、翔は終始真っ赤だった。
 それでも情報収集を他の猟兵たちばかりに任せておくのも気が引けると、翔も件のパパ活斡旋サイトへ自分を登録する。
 ……もっとも、現在の肉体的性別とは逆の『男』として、だが。
「少なくとも、俺はオジサン相手に出来やしないんで……。年齢的にもパパなんて歳じゃないっすけど……」
 ……うっかり、『かつての自分』がオジサンと絡み合う場面を想像してしまったのかもしれない。翔がガクガクと震え上がった。
 ところで、先に他の猟兵の行動の中でも言及したが――若くて見た目が良い『男性』は、パパ活女子たちにしてみても上客である。……若い美男子と寝ても不細工なオジサンと寝ても貰える金額が同じなら、前者の方が絶対いいのだから。
 そんなわけで、翔にもパパ活女子たちからのアプローチが殺到した。
「う、うっ? おおっ……?」
 戸惑い、迷いつつも、翔はどうにかその内の一人と顔合わせにこぎ着けるのだった……。

「――ふーん、君が翔くんかー」
 翔が世界的にチェーン展開するコーヒーショップの前で待ち合わせたパパ活女子は、黒のロングヘアは艶やかで、化粧もナチュラルなものを少々するだけに留めており、容姿だけならむしろ真面目そうな感じに見えた。
 ……まあ、スカート丈は股下ギリギリで、翔は凄く目のやり場に困っていたのだが。
 名前は『メイ』というらしい彼女は、対面した翔をまじまじと眺め――問う。
「……君、本当に男の人? 髪も顔立ちも凄く綺麗だし、背だってわたしより低いし……?」
「――男っすよ!!」
 心外とばかりに翔は吠える。……肉体的には男じゃないけどな。
「ま、いっか。それじゃ行こっか?」
「~~~~っ!?」
 メイが翔の腕に自分の腕を絡ませてきた。学校の制服らしいポロシャツ越しに押し付けられてくる胸の感触は、ボリューム感満点で。
(距離近いっす! 胸、柔らかいっす! しかも、ええ……? 何でこんなに柔らかいっすか、この子……!?)
 自分の肘に吸い付いてくるようなメイの乳房の感触に、翔は鼻が早くもムズムズしていた。
 それでも、どうにか使命を果たす為、翔はメイと近くのファミレスに入る。四人掛けの席に案内された後、「ここは奢るっす!」と自信満々に言った翔にクスクスと笑い、メイはフライドポテトやパフェなどを頼んでいく。
 翔が男性としては綺麗過ぎることを除けば、割と普通に健全な高校生デートに見えた。メイの側も、そんな感じである種の肩透かしを喰らったのかもしれない。逆にそれが幸いして緊張感が解けたのか、翔とメイの会話は弾んでいった。
 その中で、翔はさりげなくメイに訊いてみる。
「パパ活って拠点とかあるっすか?」
「現実の拠点は無いよー。あのサイトがわたしたちの拠点! みたいな感じ?」
 その辺りは、前に他の猟兵が別のパパ活女子から聞き出した内容と変わらない。
「でも、最近この街に来てパパ活やってる子たちの中に、あるラブホのVIPルームを借りて集団で寝泊まりしてる子たちが居るんだけどねー。……パパたちの人気が高くて、ちょっと嫌だけど……何か不気味な感じもするから、わたしたちは関わらないようにしてるかなー」
(……そういう意味では、あくまでも巻き込まれそうなのはパパたちであって、女の子たちは安全圏に居るみたいっすね……)
 メイが語る相手が自分たちの捜しているUDCエージェントの少女たちだと察し、翔はひとまず一般人の女の子たちが危害に遭う可能性は低そうだと胸を撫で下ろす。――何かあった場合でも、巻き込まれるのはあくまでもパパたちの一部になるだろう。
 ……ただ、そこで、そもそもパパ活自体が危ない橋なのではないかと翔は思い至った。
「……メイさんは、いつもこんなことやっているっすか?」
「まあねー、中学生の頃から。ほら、中学生ってバイト出来ないし。でもお金は必要だからー」
「……金銭的に困ってるっすか?」
「……。うん、困ってる、困ってるよー。欲しいブランド物のバッグがあるんだけど、高くてねー。普通のバイトじゃ何ヶ月働けばいいか解んないし。その点、パパ活なら二、三回パパと一緒にホテル行けば――」
 ……翔は、そんな『よくある不真面目JKの事情』を語り出したメイが、寸前に苦しげな表情を浮かべたことに気付いていた。
 翔は、テーブルの上に投げ出されていたメイの手をそっと握る。はっと顔を上げた彼女へ、心を籠めて微笑んだ。
「もし悩みがあったら打ち明けてほしいなって思うっすよ。話すだけでも結構楽になるっす」
 ――そう翔が言った途端、メイはがしっと翔の腕を掴み返した。そのまま翔を引きずるようにファミレスの外に向かう。慌てながら翔は、レジに紙幣を数枚置いた。
「お、お釣りは要らないっす! メ、メイさーん!?」
 店を出てからもズンズン進むメイに引っ張られ、気が付けば翔は――ラブホテルに居た。
(こ、これは――いつものやつ!?)
 ……『無自覚の魅了』。うっかり漏れ出す翔の魅力がユーベルコードの域に達し、男女問わず虜にしてしまうのだ……。
 ――が、今回は少し様子が違う……。
「……わたしさー、パパ活やる前にやってた『プチ援交』で、ドジっちゃったんだよね……」
 ……プチ援交とは本番無し、手や口でだけ……という条件で行われる援助交際だ。本番ありよりも貰える金銭は少ないが、本番無しであるが故に比較的気軽にやれてしまう……。
 ――が、それはきちんと相手の男を見定めて見繕える女子だからこそ出来ることで。
「プチって条件でこのホテルまで来たら、強引に……。わたし、初めてだったのに……! しかも、その時に動画撮られて、それで脅されてその後も何度も! あいつ……避妊なんて全然しないから、いつデキちゃうか、怖くてっ……!!」
 ……メイがパパ活に身を染めているのは、『いざという時』の為にまとまった金銭を貯める為なのだと。ただ……。
「……パパ活は安全だっていうから選んだけど、やっぱりこれも援助交際だもん! あいつみたいに強引に求めてくる男、いっぱい居て! でも、そういう人相手にしないと全然稼げなくて……! もうやだ……本当はやめたいよ、こんなのー……」
「メイさん……」
 吐露されたメイの事情と本音に、翔は胸が痛くなる。自分の迂闊な言葉がメイの心の柔らかい部分を刺してしまったと気付き、いたたまれなくなった……。
「……メイさんの事情も知らず、俺……無責任なこと言って、申し訳ないっす! でも、そういう事情なら……俺にも何か出来ること無いっすか!? お手伝いしたいっす!!」
 心の底から目の前の少女の力になりたいと感じた翔の熱弁に、メイは淡く微笑んだ。
「……優しいね、君。君は、他の男と全然違うね……」
 メイが翔に弱々しく寄り添ってきて……。
「――じゃあ、慰めて! 今だけでも嫌なこと全部、忘れさせてー!!」
「んぇぇええええええええええっっ!?」
 ……やっぱりただの『無自覚な魅了』だった!
 メイにベッドへ押し倒された翔は、その拍子にベッドサイドの棚に上着を引っ掛けて――それが裂けてしまう。同時に巻いていたさらしも解けて……ぼゆんっ!
「……って、え? やっぱり女の子じゃない!!」
「違――あぁんっ!?」
 零れ出たGカップを隠そうとした翔だが、それより早くメイに乳房を鷲掴みにされてしまう。
「わ……凄い……指がこんなに沈むよー……」
「あっ、揉まないで……あぁっ、摘んじゃ駄目っすー!!」
 胸部の双峰を天辺までメイに弄り回され、襲い掛かってくるピンク色の刺激に翔は悶える。
「……こっちはどうなってるのかなー?」
「……あっ!?」
 メイが翔のベルトを解き、ズボンの中へと繊手を滑り込ませてきた。下着の中にまで潜り込んで……翔の割れ目をなぞる。
「あぅっ!? あ、あっ、あぁっ……!?」
「……敏感なんだねー。ね、ここいいでしょ? 女の子は皆、ここが弱いんだー。……教えてくれたのはあいつだけど……」
「――ああっ!?」
 メイの細い指が、翔の中へと侵入してきて……内側の一部分を執拗に擦り回す。想定外に大きな刺激が来て、翔は一瞬意識がトんだ。
「可愛いー♪ もしかしたらわたし、女の子の方が好きかも……♪」
「そんな所舐めちゃ駄目ー!? こ、こんなのもう、パパ活じゃないっす……!!」
「大丈夫ー。世の中には『ママ活』ってのもあるから……♪」
 翔の耳たぶを舐めたり甘噛みしたりしながら、メイは制服を脱いでいく……。ちなみにノーブラで、翔ほどではないが大きかった。
「あっ、はぁっ……ま、待つっすぅ……」
 翔の方も一糸纏わぬ姿にされ、アレなホテルのベッドに巨乳の全裸美少女が二人揃った。仰向けの翔の両脚を開かせ、メイは自分も両脚を開き、お互いの両脚の付け根部分を徐々に接近させる……。
「ね……下のお口同士でキス、しちゃおっか?」
「そ、それは……限りなくヤバい気がするっす堪忍してぇええええ!!」
「駄目ー♪」
「ああぁぁああああああっっ……!?」
 翔の下のお口とメイの下のお口がチュッとキスを交わす。お互いを馴染ませ合うように幾度か擦り合わされ……やがて、湿った音を響かせて、翔とメイの下半身は絡み合い、溶け合っていくのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「パパ活?
きっと立派な父親になるための育児の勉強のことですね!」(勘違い

早速、斡旋サイトに登録し男性と会ってお食事をします。
育児に熱心なんて良いパパさんですね!

「パパになるためのお勉強でしたら私が手取り足取りお教えしますね」

育児書は読み漁ってきてますから任せてください。

「って、ここでお勉強するんですかっ!?」

男性に連れてこられたのは何故かホテルの一室。

さすがに違和感を感じ、電脳空間で『パパ活』の意味を調べ真っ赤になります。

で、ですが、仕方ありません。
これも任務です!

パパ活のふりをしながら情報収集をおこない、脱出を試みます。

もし男性に捕まったら非力な私では抵抗できません。

アドリブ大歓迎
NGなし



「――パパ活? きっと立派な父親になる為の育児のお勉強のことですね!」
 ……グリモアベースでの説明を何も聞いていなかったのか……? 大きな勘違いをしているアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は、この時点で既に後から大変な目に遭いそうなフラグを乱立していた……。
 勘違いしたまま、早速例のパパ活斡旋サイトへ自分を登録するアイ。……何も知らぬまま、憐れなウサギが虎やライオンの檻に入り込んだようにしか見えない……。
 それでも、外見は華奢で可憐な美少女のアイ。登録して数時間で顔合わせ希望のパパたちからの連絡が止まなくなった。
「育児に熱心な良いパパさんが多いですね!」
 迂闊にもアイは、その内の一人と会う約束を取り付けてしまうのだった……。

 ――で、もうお解りかと思うが……ラブホテルである。
「……って、ここでお勉強するんですかっ!?」
「そうなんだな。アイちゃんにもしっかりお手伝いしてほしいんだな……!」
 戸惑うアイと部屋の出入口の間に仁王立ちするその男は、縦にも横にもかなり大きかった。……何でも、学生時代は相撲をやっていたという。彼こそ、アイと本日顔合わせをしたパパである。年齢は中年で間違いないものの……恵まれた体格からは、今でも強烈なぶちかましを放ちそうな圧力を発散していた。
 ……これでも、この街のパパ活界隈ではそれなりに良いパパとして通っている男なのである。体型と愛嬌がある顔立ちから『えびすさん』と言われ、パパ活女子の一部から親しまれている程度には。
 ……ただ……。
『パパになる為のお勉強でしたら、私が手取り足取りお教えしますね』
 ……待ち合わせ場所で出会い頭に、満面の笑みのアイからそんなことを言われてしまっていた。その言葉は、パパ活の内容を勘違いし、さらに予習として育児書も読み漁ってきたアイにとっては額面通りのものだったが……本来のパパ活のつもりで来ていたパパの側からすれば、意味深なものに聞こえたのである。つまり……。
『私の、カ・ラ・ダ・で☆ パパになるお勉強――子作りの実践をしませんか?』
 ……そんな具合に。
 まあ、最初のそれだけだったなら、まだ相手も「自分の勘違いかも?」と疑っただろうが……張り切っているアイは、食事中も街を一緒に歩いている間もことあるごとに口にしたのだ。
『子供の為にパパは体力も大事です。いっぱい食べて元気を付けて下さいね(子作りには体力が必要ですよ☆)』
『わぁ、大きい手ですね。これなら赤ちゃんもしっかり抱いてあげられますね(私との赤ちゃん、しっかり抱いて下さいね☆)』
 ……こういう具合に。
 おかげもう、えびすさんも「アイちゃんからこんなにも積極的に誘われているんだな!?」と勘違いしまくりであった。それでとうとう理性もプッツン切れて――ラブホテル直行の流れである。
 ……ここに至って、ようやくアイも何か変だと気付き始めていた。育児の勉強でホテル……それも壁紙がどピンクで備え付けのお風呂が何故か全面ガラス張りの部屋に入って……など、違和感極まりない。
(……私、何か大きな誤解をしている気がします……)
 本当に遅ればせながらそれを悟り、アイはえびすさんに気付かれないように電脳ゴーグルを掛け、ホロディスプレイとホロキーボードも展開。電脳空間へのアクセスを開始する。
(検索・『パパ活』――え? えっ? ……ええええっ!?)
 ……やっと、パパ活の本当の意味を理解するアイ。一気にその首から上が灼熱色に染まった。
 ここで、踵を返してえびすさんの横を駆け抜けて部屋の出入口へ……など、脱出を試みるだけ試みていれば、まだ運命は変わった可能性があったが……。
(……で、ですが、仕方ありません。これも猟兵としての任務です!)
 今からでも本当のパパ活のふりをしながら情報収集を行う――逃げるのはそれをやるだけやってから。アイは妙な真面目さを発揮してそんな選択をしてしまったのだ……。
 それを決意した段階で、アイの悲劇は決定事項となる。
「――アイちゃんっっ……!!」
「ひゃわぁっ!?」
 えびすさんがアイを背後から抱き締めたのである。……実のところ、パパ活の検索を終えてから動揺真っ只中だったアイには、彼の接近を察知することが出来なかった。容易く捕まってしまう。
「離して下さい! 離して――」
 咄嗟にえびすさんを振り解こうとするアイだが――彼の腕はびくともしない。身長150cm台前半、身体つきも繊細なアイでは……えびすさんほどの巨漢にしかと抱きすくめられてしまえば抗う術は無いのだ。
 だからこそ、格闘技などでは体重によって階級が細かく分けられているのである……。
「アイちゃん、アイちゃん……! うん、一緒にパパになる勉強、するんだなっ。アイちゃんで子作りの実践、するんだな……!!」
「す、すみませんっ。私、それ、勘違いで……んんっ!?」
 必死で事情を説明し、誤解を解こうとしたアイの小さな口を、えびすさんの分厚い唇が塞ぐ。……彼の肉厚な舌がアイの口内へ侵入し、彼女の舌を絡め取ってしまえば、アイが言葉を発することは最早出来なかった……。

 東方・えびすさん関と西方・アイ関の取り組みの結果――えびすさん関の寄り倒しでアイ関は土俵に沈む……そんな表現をしたくなる光景が広がっている。
 ……現実には、土俵ではなくベッドの上で。
 キングサイズはある重厚なベッドだが、えびすさんの体重が乗るとギシギシと大きく軋む。……否、軋んでいるのは体重だけが理由ではなく、えびすさん自身が激しく揺れているからだ。
「あぁっ、ああっ、駄目、駄目っ、駄目駄目駄目駄目駄目ですぅっ!!」
 仰向けの姿勢でそのえびすさんの下敷きになったアイが、白いロングヘアを振り乱して泣き叫んでいた。
「ふん、ふんっ! ア、アイちゃん……物凄く狭くて、きついんだな……!!」
「いやぁっ! ああっ、あんっ、あぁ、あぅぁっ!!」
 黒のニーソックスだけの姿にされたアイは、現在進行形でえびすさんと下半身で繋がり、出入りされていた。体格相応に長く、太くもあるえびすさんのモノは、アイの体格相応に小さな女性的器官をギチギチ満杯に埋め尽くす。
 ……ベッドの周りには、アイが身に着けていたベスト、プリーツミニスカート、ブラウス、ショートブーツなどが散乱し、彼女がこうならないようにどれだけ頑張って抵抗したかが窺い知れる。――けれど、その中に交ざった青と白のストライプの下着が、それが無駄な抵抗だったことを雄弁に語っていた。
「い、いっ、ひっ、ひぃっ……!? や、やめて下さっ……わ、私、こ、壊れちゃい、ますっ……!」
 下腹部が内側から裂けてしまいそうな圧迫感を覚え、アイは息も絶え絶えに懇願した。それに流石に罪悪感を覚えたのか、えびすさんの腰のグラインドが若干緩む。
「アイちゃんが壊れるのは……困るんだな。アイちゃんには――ボクの赤ちゃんを産んでもらうんだからなっ」
「っっ!?」
 えびすさんの台詞に、アイの背筋を悪寒が駆け上がった。
 ……アイは、スペースシップワールドの技術で人工的に生み出された少女であるというが、肉体的には人間と変わらない。即ち――14歳の今、『妊娠自体は充分可能』と言えた。
(きょ、今日初めて会ったばかりの、親子ほども歳が違う男性の、そ、その子供を宿す……です、か……!?)
 それは、『ある理由』からアイにとって、決して越えてはならぬ一線だった。
「……ぅ、ぅあ、ア、アイちゃんん……! ボク、もう、出るんだなっ。いっぱいアイちゃんのお腹の中に、出してあげるんだな……!!」
 アイの側が壊れそうなほど強烈な律動は収めたえびすさんだったが、代わりに震えるような小刻みの律動を繰り返して……限界が間近であるとアイに言い含める。それに、アイは絶叫した。
「ぃいやぁああああああっ!! 待って、待って下さいお願いです!! 本当に赤ちゃんデキちゃいますからぁっ!! それだけは絶対に許して下さいぃぃ!!」
 どうにかえびすさんから逃れようと、アイは身をくねらせるが……絶対的な体重差をもって完璧に組み伏せられている今の状態からは、1mmとて這いずることは出来ない。
 アイは感じる……自分の中に埋め込まれた相手の男の生殖器が、徐々に、さらに大きさと硬度を増していくのを。熱量も上がり、脈動も増大していた。
(このままじゃ本当に……!?)
 恐慌寸前に陥ったアイは、涙をポロポロと流して告白した。
「私――気になる人が居るんです! だから……それ以外の人との赤ちゃんなんて本当に、絶対に駄目なんですぅぅううううううううっっ!!」
 まだ幼くさえある少女の、純粋な想いが発露した叫び。それは……。
「――他の男とアイちゃんが……なんて、それこそ絶対に駄目なんだなっ!! 他の誰かにそうされる前に! ボクがっ、今日絶対にっ、アイちゃんに赤ちゃんを宿すんだなぁぁああああああああああっっ!!」
 ……悲劇を盛り上げるスパイスにしか、ならなかったのである。
「いぃやぁぁああああああああああ~~~~~~~~!?」
 この段階になって、アイへの配慮すらかなぐり捨ててえびすさんは腰を荒れ狂わせる。性欲に基づいて快楽を貪る為……ですらなく、牝を孕ませる為……生物的本能に基づいた繁殖の為の交合に移行したことを感じ取って、アイの悲哀は頂点に達した。
 希望を探すには短過ぎて、絶望に浸るには充分過ぎる秒数が経過し――その瞬間を迎える。
「う、うほぅっっ……!!」
「あ、あ、あ、あ、ああああぅぅああああああああああぁぁああああああ~~~~~~~~~~!!」
 ……えびすさんがアイを押し潰すように真上から圧し掛かった体勢……俗に『種付けプレス』と呼ばれる形になったのは、何とも皮肉だった。まさに直上から、急転直下の濁流となってえびすさんの遺伝子のエキスがアイへと流れ込む……。
 ……アイは、それを一滴すら零さずに、自分の体内の赤子が生まれ育つ為の場所へと受け入れることになった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧沢・仁美
件のパパ活サイトに登録して、行方不明の人達とのパパ活経験のある男の人と接触。
…あたしがやると本当のパパ活に思われそうで怖いけど。

接触できたら、ひとまずデートと称してカフェなりファミレスなりに入って話を聞く。
行方不明の人達の顔写真を何枚か、最近連絡が取れない友達とでも言いつつ見せて、知ってる範囲のことをできるだけ教えてもらう。
パパ活した時に気になったこととか、近況とか、今後の予定とか…何かしら、彼女達の拠点的な場所に繋がる情報が得られればと。

一通り話が聞けたら、…このまま肩透かしさせるのも悪いし、お礼も兼ねて健全な範囲でデート。
一線は越えないつもりだけど…拝み倒されたりしたら断りきれないかも。



 霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)もまた、今回の事件の調査に勤しむ猟兵である。
 他の猟兵たちと同じく、件のパパ活斡旋サイトへと自らを登録した仁美。ひとまずはパパたちからの連絡を待つ……。
「……あたしがやると本当のパパ活に思われそうで怖いけど」
 まあ、それは仕方がない。仁美は紛う方無き現役JK。半袖のセーラー服だってこれ以上ないほど似合っている。……にもかかわらず、セーラー服の胸元をスカーフごと押し上げる膨らみは極めてご立派。その上、運動好きな質ゆえか、腰回りも適度に引き締まりつつも女性的な丸みを充分に帯びていて……。
 そんな、恵まれた肢体のJK・仁美とパパ活が結び付くと――何というか、妙なリアリティがある。
 それもあってかどうかは解らないが、直に仁美にもパパたちからの顔合わせ希望の連絡が殺到した。
 仁美はその中から、事前に別の猟兵が行方不明のUDCエージェントの少女たちと接触があったと判明させたパパを選び、対面までこぎ着ける。
 この街のとある駅の東口で待ち合わせたそのパパは、オーダーメイドのスーツを粋に着こなし、髪も髭も丁寧に整えられた、仁美から見てもなかなかの美形中年であった。体型だってスタイリッシュである。
(で、でも、サイトのプロフィールで見た年齢……)
 ……仁美の父親よりも年上だった。何やら複雑な思いが彼女の中に沸き立つ。
 ともかく、彼に案内され、仁美は近くの小洒落た喫茶店の扉を潜ったのだった。そして、飲み物と軽食を味わいつつ、暫し雑談に興じる……。
(……そろそろ、いいよね?)
 タイミングを見計らい、仁美は数枚の写真を男の前に差し出した。
「あの、実はこの子たち、最近連絡が取れない友達なんです。あのサイトも、先に利用してたこの子たちから教えてもらって。何か解らないですか?」
 見せた写真は、当然行方知れずのUDCエージェントの少女たちのもの。内の一人と目の前の男がパパ活をしたことがある事実も、仁美は既に把握済み。ここで男は惚けるか、それとも……?
「……この子とは、前にパパ活をしたことがあるよ。他の子については……全然知らないね、申し訳ないけど」
 男が指差した写真の少女は、以前に男と接触があったと仁美たちも把握している少女。そこについては、男は正直に話している。
(他の子と接触が無いというのも、なら本当かな? 嘘は感じないし)
「それじゃあ、彼女とパパ活した時に気になったことはないですか?」
「……家出をしてきたと言っていたけど、その割にお金に執着していないことは気になったかな。こちらがお小遣いを少し多めに渡そうとしても断ったし」
「近況……というか、近頃の彼女、どんな様子でしたか?」
「近頃といっても、私が彼女と最後にあったのは半月くらい前だからね。その時は元気そうだったよ。ああ、ただ、ここ二、三日頻繁に連絡が来るようになったね。何でも、明後日に友達と一緒にイベントみたいなものを開くから来てほしい……と。もしかすると、他の子たちもその時に来るかもね?」
 仁美の矢継ぎ早の質問にも、男は嫌な顔一つ見せずに丁寧に答えていく。……UDCエージェントの少女たちが明後日のイベントの会場に指定したという、あるラブホテルのVIPルームまで解ったところで、仁美が男から入手出来る情報は尽きたと感じられた。
 ……今日のこの男との対面は、あくまでも顔合わせである。ここで切り上げて仁美が席を立ち、はいさようなら……でも構わないはずだが。
「君と話すのは楽しいよ。……良かったら、もう少し一緒に居ないかい? ……駄目かな?」
 遠慮がちにされた男の提案に、仁美は考え込んでしまう。……それは、彼女の不躾とも取れる質問攻めに、男が終始真摯に対応してくれたからかもしれない。
(……このまま肩透かしさせるのも悪いし、お礼も兼ねてデートくらいしてもいい……かな)
 仁美は、男に向けて首を縦に振る。それに「ありがとう」と微笑む男へ、仁美は「でも、今日のところは健全な範囲でおねがいします」と予防線を張るのだった……。

 そんな昼過ぎから、陽が傾いて夕刻となり……すっかり夜の帳も降りた頃。
 ――仁美は男と一緒にラブホテルの部屋に居た。
 クリーム色の壁紙をシャンデリアっぽい照明が照らし、キングサイズのベッドの正面には大型のディスプレイが備え付けられた、結構広めの部屋。設置されているソファーやテーブルも作りが良く、ラブホテルと言えどお高い部類に入るようである。
 ……その部屋に入った段階で仁美は固まっていた。
(あ、あれ……? これ、もう……健全な範囲のデートじゃないよね!?)
 その明白な事実をようやく認識する仁美。
(何で? どうしてこんなことになってるの……!?)
 思い返そうとする仁美……その肩を、彼女をここまでエスコートした男が抱いた。
「部屋の入口で立ち止まって、どうしたんだい? さあ、もっと奥へ行こうか。……それとも、嫌かい?」
「あ、そんなことは……」
 男に促され、仁美は彼と並んでベッドの前へ……。
(――って、ああ、そうなのっ。ずっとこんな感じで……!)
 仁美は何故こうなったかやっと自覚する。
 本日彼女が会ったパパ……特にグイグイ押してくるというわけではないのだ。対応は丁寧で、紳士的ですらあって、きっと他のパパ活女子たちにも同様で彼女たちが本気で嫌がることはしないのだろう。
 ただ、彼の方から何もお願いをしてこないというわけではなく、実際に仁美にしたように「もう少し一緒に居たい」などの言葉を口にする。
 ……その後に、「……駄目かな?」とか「……嫌かい?」とかの相手の気持ちを窺うような台詞を付け加えて。
 ――それが、仁美にとってはまずいのだ。
 他の者でも、そんな風に訊かれて、その上で彼の頼みを断ったら少し罪悪感を抱く。それが積み重なれば、彼の頼みを多少無理をしても聞いてしまうようになるだろう。……そんな絶妙な話術を、元来お人好しであり頼まれると嫌とは言えない性格である仁美が喰らってしまったら……。

『そろそろ夕食の時間だけど、良かったら一緒に食べないかな? ……君が嫌なら仕方がないけど……』
『(嫌……というわけではない、よね? デートも少し楽しかったし、そのお礼も兼ねて――)はい、ご一緒します』

『日も暮れてきたけど、もう少し、もう少しだけ一緒に居たいんだ。……無理なら、いいんだけど』
『(ええと……ご飯も美味しかったし、そのお礼もしたいから――)いいですよ、もう少しだけ』

『この時間に私たち二人で入れるような場所は……。いや、流石に、断ってくれても構わない……』
『(そういう顔をされると胸が痛い――)あたしは大丈夫です』

 ……そんな感じで、何でもかんでも男の頼みを聞いてしまい、今に至る。
 けれど、ここから先はそういうわけにはいかないのだ。
(一線は、一線だけは越えないつもりなの。あたしはそんな、軽い女の子じゃないんだから……!)
 遅ればせて……かもしれないが、仁美は強く決意を固めた。この後、相手の男から何かお願いがあってもきっぱりと断ると。そして、この部屋を出て行くのだと……。
 ――そのタイミングで、仁美は男に背後から抱き締められた。
「……ごめんね。健全な範囲でと言われていたのに……私の方はもう、我慢出来ないみたいだ」
「え? あ……あのっ……!?」
 耳元で男に囁かれて、仁美は焦った声を上げる。……それは、抱き締められて、囁かれただけだからの反応ではない。
 ……当たっているのだ、仁美の腰の後ろに。
 セーラー服越しに――硬いモノが。
 それの正体が解らないほど、仁美も初心ではなくて……。
「……実は、今日はずっとこうだった。君みたいに可愛くて、身体つきも女性的な女の子を前にして、駄目だとは思っても……言うことを聞かなかったんだよ。それが苦しくて、苦しくて……。後生だ……お願いだ。もう、解放させてほしい――君で」
「あ、あのっ……それは……!?」
 男の切実な、真に苦しげな言葉。それは、寸前に仁美が固めた決意に容易くひびを入れていく。稲妻のような亀裂が走り、グラグラと揺れ始めた自分の意志を、仁美は補強する手段を探す。
(だって……ここで断らないと一線を越えて……! それは、それだけは譲れないってさっき決めたはずよね……!! だから――)
 拒否の言葉を紡ごうと、仁美が唇を開く。彼女が喉を震わせようとしたところで――その台詞は、魔法のように仁美の耳へ滑り込んだ。

「……駄目かな?」

「――大丈夫です」

(……あ、え……!?)
 反射的に口から滑り出た了承の返事に、仁美は目を見開いて口元に両手を当てた。
「――ありがとう」
 男のお礼の言葉に仁美がはっとした時には、彼女のスカートのホックは外され、ファスナーも下げ切られていた。重力に引かれたスカートは仁美の下肢を滑り落ち……空気を孕んで広がって……ふぁさっと床へと着地する。
 ……それは、花弁が散り落ちる様にも似ていた……。

 ……結局、仁美がその部屋を出たのは翌朝、チェックアウト時間ギリギリのことだった。
「それじゃあ、出ようか? 駅までも送るよ。……いいかい?」
「はい、じゃあ、そこまで……」
 セーラー服もキッチリ身に着け、髪も丁寧に梳かしてポニーテールにした仁美は、男に肩を抱かれてラブホテルの廊下を進む。
 やや俯きがちなその顔は、ほんのりと紅潮していて……。
 ……頼まれたら嫌とはいえない仁美は、パパの切実なお願いをあのまま聞いてあげたのか? それとも、決意を新たにして断固拒否したのか? その答えを知っているのは、この世に仁美とパパのたった二人だけである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『邪神の女エージェント』

POW   :    素敵でしょう? 見て、私の子供たち
【身体に宿したUDCの幼生 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ありがとうございます、わが主
対象のユーベルコードに対し【敬愛するUDCの息吹 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    これが私のご主人様の恩寵よ
【憤り 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘つく触手を持ったUDCの棲む壺】から、高命中力の【抵抗の意志を喰らう触手】を飛ばす。

イラスト:えんご

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの活躍……そう、『身体を張った』活躍により、行方不明となっていたUDCエージェントの少女たちの動向は掴めた。
 彼女たちは、やはり残念ながら邪神の眷属へと堕ちてしまったらしい。
 そして、そんな彼女たちがこの街でやっていたパパ活は、邪神の復活か召喚の儀式の一環だったのだ。
 元UDCエージェントの少女たちがパパたちと事に及んだ場所……それを地図上に記し、繋ぎ合わせると、巨大な魔法陣染みた図形が浮かび上がったのである。
 これほどの陣を敷いて呼び覚まされる存在……完全な形でとなればどれほどの被害を生むか……?
 それを防ぐ為に猟兵たちは、陣の最重要基点と思われる地点――一軒のラブホテルに向かった。そこの最上階に位置するVIPルームこそ、元UDCエージェントの少女たちが拠点として使っていた場所であり……本日、彼女たちが催しているはずの乱交イベント――邪神に関わる決定的な儀式の現場であるはずだった。
 ……各猟兵たちが集めた情報の分析と統合、その後の周辺の人々の安全の確保などに時間を取られたせいで、突入が当日の夜になってしまったことが痛い。
 UDCのバックアップを受け、件のラブホテルの最上階に辿り着いた猟兵たちは、問題のVIPルームへ急いで踏み込む……。

 ――そこには、女と男の体臭が入り混じった淫らな匂いが充満していた……。
「あっ……あっ……あっ……あっ……♪」
「凄いぃ……パパ、上手ぅー☆」
 ラブホテルの最上階のフロア、そのほぼ全てに至る彼の部屋のそこかしこで、元UDCエージェントの少女たちとパパたちがイタしている真っ最中であった。
 ベッドの上でパパに覆い被さられている少女も居れば、ソファーで獣の交尾のような姿勢で交わっているパパと少女も居る。ガラス張りのシャワールームの中でも、幾名かの少女とパパたちが身体を洗いっこしているのが見えた。
 ――だが、扉が蹴破られ、そこから雪崩れ込んでくる猟兵たちの姿を捉えた瞬間、この部屋に居た少女たちの顔は一斉に切り替わる。
 ……淫ら可愛いパパ活少女から、危険なアンディファインド・クリーチャー……UDCのエージェントの顔へ。
 UDCエージェントの少女たちは、自分たちと繋がっているパパたちをその四肢で絡め取り、転がって……彼らを残らず組み伏せた。
「……え? な、一体どうし――ひぃっ!?」
「何、何? これどんなプレイ――うぎゃあっ!?」
「はーい、大人しくしててね、パパ☆ 大人しくしててくれれば、引き続き気持ち良くしてあげるから」
「でもぉ……少しでも暴れたら命の保証はしないよ! きゃは♪」
 少女たちは、ある者はナイフを、ある者は拳銃をパパに突き付けて彼らの行動を抑制する。……それでも、その状態でもなお、UDCエージェントの少女たちの女性はパパたちの男性を呑み込み、咥えて離そうとしない……。
 ゆっくりと腰を上下させながら、一人の少女が代表して猟兵たちを振り向く。
「彼らの命が惜しければ、下手な真似はしないことね、猟兵さんたち。そこで見物していなさいな。私たちとパパたちがイッて――『あの方』がご降臨されるのを」
 急転する事態に戸惑って顔を蒼くし、けれど引き続き少女たちから与えられる快楽に悩ましげな呻きを上げるパパたち。……内の何名かの顔は、一部の猟兵たちにも見覚えがあったかもしれない……。
 パパたちが人質に取られたこの局面で、猟兵たちはどう動くべきか……?
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ・PC絡み・色気歓迎、受け側)

(あらすじ:アカネとヤりました)
…逃げれる気がしなかった。
…しかも1回で済まないとは、女って怖い。
…幸い避妊具は使えた(生は回避)し、当人は満足そうだ。
(アカネに案内され、最短ルートで到着した模様)

…この場所も酷い、アカネがマシに見える。
…しかも俺を見る目が怖い、明らかに狙ってる?
…なら好機かも知れん、自分が囮になる。
…力ある猟兵故、数人分の生贄になると思わせれば多分俺に群がる。
…で、人質は猟兵達に頼んで救出をしてもらう。

…俺はまぁ、捕食(意味深)される運命は避けられないだろうな。






…余談だが…あの場で断ってたら、アカネも奴等の仲間になったのだろうか?



 ……紫色の逆三角形は、やや丸まった状態でベッドの隅に転がっていた。
 剥き出しになったアカネの秘められていた入口に、ルトルファス・ルーテルガイド(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は自らの分身を慎重に宛がい、ゆっくりと埋没させていく……。
「あ、あっ、ル、ルトルファスさ……くぅんっ……!」
 アカネがルトルファスの侵入に合わせて身を打ち震わせる。
「くっ……案外抵抗が……あるな……」
 ……初めてではない、それは間違いないようだが……経験豊富と称していた割に、アカネのそこは濡れそぼっていてなお、きつく、狭かった。気を抜くと喰いちぎられそうになる締め付けを解すように、ルトルファスは腰を前後させていく。
「くぅ……くぅっ……くぅんっ……」
 仔犬の鳴き声のような声を上げ、アカネがルトルファスにしがみ付いてきた。ブラウスの前を開き、ショーツとお揃いのブラも上にずらしてお目見えしていたアカネの豊乳が、ルトルファスの胸板で潰れ、心地好い弾力を演出する。
 そのままアカネはルトルファスへ唇を重ねてきた。続けて二度、三度と啄むようなキスを交わし、その間もルトルファスに大事な部分を掘削されていたアカネは、熱っぽい口調で呟く。
「くぅんっ……気持ちいいです、ルトルファスさん……。こんなに気持ちいいの、くぅん……初めてかも……♪」
「俺も……気持ちいい、な……」
 ルトルファスも、そこは認めざるを得なかった。アカネは本当に抱き心地が良い……ふとすればいつまでも抱いていたくなるほどに。
「あはっ、相性いいですね、私たち♪ くぅんっ……パパ活抜きで好きになっちゃいそうです……」
 何やらただならぬ言葉が囁かれた気がしたが、生憎それ以上にルトルファスの方が限界だった。アカネの奥へ、奥へと分身を押し込んで、そこで溜まるに溜まっていたものを解き放つ……。
「くっ、くぅっ……くぅぅぅぅんっっ……♪」
 ルトルファスの頂点を感じ取り、アカネの方もまた共に果てていくのだった……。

 ――そんなことがあったらしい。
(……逃げれる気がしなかった)
 あの瞬間、ルトルファスは確実に捕食される側だった。
(……幸い避妊具は使えた)
 アカネはそれでも満足そうだったという。
(……だが、一回で済まないとは女って怖い)
 それは、情報収集の為にアカネとパパ活をしたあの日のことだけではなく……実はルトルファス、今日もアカネと会っていたのだ。そればかりではなくシていたのである……複数回。
 おかげでこの現場への突入に遅刻しそうになり、アカネに近道を案内してもらって何とか間に合ったという体たらくだ。
 ……というか、アカネにそんなにも借りを作ってばかりだと、後が怖いのではないだろうか……?
(……この場所も酷い、アカネがマシに見える)
 不安は頭の隅へ追い遣って、ルトルファスは眼前の光景に集中する。パパたちを組み伏せ、その上に跨り腰を揺らすパパ活少女たち……否、邪神に魅入られた元UDCエージェントの少女たち。
 彼女たちの内の幾名かが、ルトルファスへやけに粘つく視線を向けている……。
(……俺を見る目が怖い、明らかに狙ってる?)
 一応は件のパパ活斡旋サイトに登録し、実際にパパ活も行った身であるルトルファス。細かい条件は未だ解らないが……もしかしたら、彼にも他のパパたちと同様にこの場での儀式に参加する資格があるのかもしれない。
(……なら、好機かもしれん。俺が囮になろう)
 ルトルファスは他の猟兵たちへハンドサインで意思を伝えると、動いた。
「『……精霊よ……この声に耳を傾け、その力を剣に示せ!』」
 ルトルファスの十八番であるユーベルコード・『精霊剣』。彼愛用の柄だけの剣にこの地の精霊の加護を宿し、刀身を具現化するのだ。……場所柄か、ピンク色なのは少し気になるが……強い力を渦巻かせた刃が、ルトルファスの掌中より現出する。――が……。
「――下手な真似はしないようにって言ったのに」
「くっ……!?」
 ルトルファスの精霊剣は、邪神のエージェントの少女たちが召喚した壺……そこから這い出た触手により弾かれる。……本来なら、狙う対象が憤りの感情を持っていないと弱体化するその触手だが……流石に今回のルトルファスのユーベルコード発動はあからさまに過ぎた。真の力を発揮出来ない触手でも、充分に迎え撃てるほどに。……けれど……。
(……それでいい……!)
 ルトルファスはそのことなど織り込み済みだった。先の精霊剣は攻撃の為ではなく、自身が力ある猟兵だと示す為に用いたのだから。
(これで、数人分の生贄にでもなると思わせられれば……奴らは多分、俺に群がるはずだ)
 その隙に、他の猟兵たちに人質たちを救出してもらおうという腹なのだった。実際、そのタイミングで他の猟兵の何名かが動いた気配をルトルファスは察する。……しかし……。
(……俺はまぁ、こうなる運命は避けられないだろうな)
 腕と脚を幾重にも触手で拘束されたルトルファスは、それを振り解こうという己の意志が弱まっていくことを自覚した。触手からの精神への侵食……なのだろう。
 ぐったりと床へ仰向けに倒れたルトルファスは、そんな自分を見下ろす幾名かの元UDCエージェントの少女を視界に捉える。
「んもうっ、パパが何人か奪われちゃったわよ? 私たち、代わりにこいつとシとくからねー」
 少女の言葉を聞いている内に、ルトルファスの下半身に冷たい外気が触れた。
「くっ……うっ……!?」
「……んー、ん、んっ……ぷはっ、わはっ、元気元気♪」
 己の股間を襲った生温かく湿った感触……恐らく口と舌……にルトルファスが呻くこと暫し……。あれだけ事前にアカネと身体を重ねていたにもかかわらず、ルトルファスの分身は硬く起き上がってしまった。
「そ・れ・じ・ゃ・あ――猟兵のモノがどれだけの一品か、試させてもらいましょうか♪」
「うっ……ぐぅっ……!?」
 自分の腰の上に跨り、腰を下ろしてきた少女……彼女はアカネに負けぬほど強烈な締め付けのモノをお持ちだった。
「あ、あっ……結構凄いかも……♪ 奥まで届いちゃうっ」
「待ってる娘が居るんだから早く済ませてよねー?」
「じゃあ、皆でこいつをどれだけ早くイカせられるか、勝負ね」
「それ、最初のアンタが一番有利じゃん!!」
(……好き勝手いってくれるな)
 そして、自身と繋がって淫らな腰振りダンスを始めたその少女を前に、ルトルファスの胸に微かに罪悪感と似た感情が過ぎる。
(……アカネとは避妊具をしてだったのに、こいつらとは避妊具無しで……)
 そこに何となく申し訳なさを覚えてしまうルトルファス。連想して、アカネと初めて関係を持った時のことまで思い出した。
(……あの場で断ってたら、アカネもこいつらの仲間になったのだろうか?)
 ――『邪神の眷属』という意味でなら、その可能性は低いだろう。アカネとこちら側の世界の接点はほぼ無いのだから。
 ……だが、『男を食い物にする魔性の如き女』という意味では……どうだろうか?
 アカネの方はまだ外れていないタガが、元UDCエージェントの少女たちの方は外れている。……両者と交わった経験がある者として、ルトルファスはそう感じるのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

カリッサ・クルス
今までの情報から儀式には特定の時間と場所で性行為を行う必要があることが分かってるわ。そしてこの状況で尚性行為を続けてるということは儀式にはこのタイミングでの性行為が必要ということ。つまり、こいつらが死んで困るのは彼女達の方だわ。

だから逆に脅してあげましょ。
「それが脅しになると思っているの?こいつらが死ねば儀式の邪魔ができる上に社会のゴミまで掃除できて一石二鳥よ」と儀式の内容を把握していることと男達の命をいとわない事をちらつかせつつ、男達に「火器召喚」で狙いをつけるわ。
彼女達の意識が男達から逸れたら狙いを彼女達に変えて攻撃するわ。

情報収集の時に相手した男がいれば私が本気だって思ってくれるかもね。



 他の猟兵が場の均衡を破った。
 それを察知するなり、カリッサ・クルス(組織のエージェント(きどり)・f19088)も動く。彼女には一つの推測があった。
(今までの情報から、儀式には特定の時間と場所で性行為を行う必要があることが解ってるわ。そして、この状況でなお性行為を続けてるということは、儀式にはこのタイミングでの性行為が必要ということ――)
「――つまり、あいつらが死んで困るのは彼女たちの方だわ。だから、逆に脅してあげましょ」
 VIPルーム全体に視線を走らせたカリッサは、その中に見知った軽薄そうな男を見付ける。……情報収集の折、彼女が接触を持ったパパだ。一瞬不愉快そうに眉をひそめたカリッサだが、彼女の策にはあの男を利用するのが効率が良い……。
「『他の世界の武器って素敵よね』」
 ――唐突に、カリッサの腕の中にアサルトライフルが出現する。彼女のユーベルコードにより召喚された物だ。手品の範疇を超えたこの世あらざる現象を目撃し、周囲のパパたちが瞠目する。
 ……そして、カリッサはアサルトライフルの銃口をあの軽薄そうなパパへと向けた。
「彼らの命が惜しければ、とか……それが脅しになると思っているの? そいつらが死ねば儀式の邪魔が出来る上に、社会のゴミまで掃除出来て一石二鳥よ」
 冷酷なカリッサの弁に、パパたちの表情が凍り付く。特に、つい先日この後お楽しみ☆ と思ったところで彼女にワイヤーでふん縛られ、散々な目に遭わされた例の軽薄パパは、顔中に冷や汗を浮かべている。……カリッサなら本当にやると、そう感じているのかもしれない……。
 パパたちと比べれば、元UDCエージェントの少女たちはまだ冷静だった。
「……私たちはUDC……猟兵の協力組織の構成員だった人間よ?」
「そうね。それで?」
 言ってきた少女の一人に、カリッサは冷たく返す。相手は、さらに彼女に言い募ってきた。
「……猟兵にお人好しが多いのは理解してるってこと。人質を見捨てることなんて、猟兵には出来ないでしょう?」
「そういう猟兵は多いけど、私もそうだという根拠はあるの?」
「……本当にパパたちを何とも思ってない、儀式の阻止の為なら殺害も仕方ないと思ってるなら、口を開く前に撃ってるんじゃない?」
「それは盲点だったわ。じゃあ、今からでも遅くないから撃つわね」
 邪神のエージェントからの問い掛け全てに淡々と返したカリッサは、アサルトライフルの引鉄に掛けた指へ力を籠める。殺気がプレッシャーとなって押し寄せるほどに……。その圧力に、元UDCエージェントたちの視線が微かに、けれど間違いなくパパたちの方へ向いた。
 ――その刹那、カリッサは銃口をパパたち……ではなく彼らに跨る少女たちの方へ照準し直す。彼女たちがはっとした時には、アサルトライフルからは驟雨の如き弾丸の群れが吐き出されていた。
「――騙され切ってはいないわよ……!!」
「……ちっ」
 UDCエージェントの少女の一人が吐いた強がりに、カリッサは舌打ちする。
 アサルトライフルの弾丸は、幾発かは確かに邪神の少女エージェントたちに喰い込んだ……が、相当数が彼女たちの髪の中やら口内やらから飛び出した虫のようなものとぶつかり、相殺されたのである。芋虫とナメクジの中間のようなそれは……邪神の眷属の幼生体。恐らくはUDCのエージェントの少女たち自身が母体となって産んだもの。それに、飛び来る弾丸自体を攻撃対象と命じて対応させたのだろう。
「この女……本気で猟兵のくせに一般人を撃つかと思ったわよ!?」
「本当のところ、撃たなかったのは気紛れよ。私は割と本心で喋ってたから」
 本当に本当のところはカリッサ自身にしか解らないが……挑発の意味も込めて、彼女はそううそぶいてみせる。
 ここで手を緩めるつもりはカリッサには無かった。
(邪神の幼生体が邪魔でも、それを上回る数の弾丸で潰せばいいわ)
 ユーベルコード・『火器召喚』を再度使用するカリッサ。今まで使っていたアサルトライフルは右腕だけでの保持に切り替え、空いた左腕の方にもう一挺のアサルトライフルを顕現させた。……一見華奢なカリッサだが、その実意外に怪力である。二挺の銃火器を両手に構えても小揺るぎもせず、連射、連射、連射を重ねる。
「う……ちょ……やぁっ!?」
 邪神の幼生体たちを削って突き進む弾丸の豪雨に、何人かの元UDCエージェントの少女の顔が引き攣って……思わずといった風に彼女たちは跨っていたパパたちの上から飛び退いた。そこに向かってカリッサはさらなる弾丸を放ちつつ前進、より少女たちを後退させ……解放されたパパたちの前に仁王立ちする。
 人質を奪われたUDCエージェントの少女たちは、苦々しい顔をカリッサへと向けていた。……もっとも、カリッサの方の顔も苦々しい。
「……全員は流石に無理だったわね……」
 カリッサが救出したパパたちはあくまでも一部だ。多くのパパたちは、一旦繋がりを解いたUDCの少女たちに抱えられる形で一緒に後退させられてしまっている。……パパ活などというものをやっていただけのことはあり、相手にはしたたかな少女の方が多かった。
 まあ……カリッサの表情が苦々しい理由はもう一つあって……。
「カ――カリッサちゃん! きっと助けてくれると信じてあひぃっ!?」
「黙って」
 今のやり取りで救出されたパパの中に、件の軽薄男も居たのである。馴れ馴れしく喋り掛けてきたそいつへ、カリッサは左腕のアサルトライフルの銃口を突き付けた。
「このまま大人しく部屋の外まで逃げてなさい。私にそこまでの義理は無いから」
「……そ、それが、腰が抜けてて……」
「……本当に鬱陶しいわね」
 吐き捨てたカリッサだが、もうそれ以上その男と関わっている暇が彼女からは無くなった。――敵が、反撃とばかりにUDCの幼生体の群れを飛ばしてきたのである。今度は逆の立場で、アサルトライフルにてそれを迎撃するカリッサ。
 硝煙を纏い、連射の振動で赤茶色の髪を踊らせるカリッサは、その凛とした表情も相俟って戦場に立つ戦乙女を連想させた。
 その雄姿に、パパたちも目を奪われる……。
 ――ダンッ、ダンッ!!
「……そんな元気があるなら、いい加減自力で逃げられるわよね?」
「ひ、ひぃぃっ!?」
 UDCエージェント側の攻撃の一瞬の間隙に、カリッサはアサルトライフルを背後のパパたちへ向けて、今度は本当に撃ってみせた。自分たちの足元スレスレに穿たれた弾痕を前に、パパたちは這う這うの体で部屋の外へ向かう。
 ……アサルトライフルの反動で揺れる自分のスカートにも目を奪われていたパパたちを、カリッサはしかと認識していたのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「人質か……しくじったな」

■戦闘
見ているだけでは手遅れになるか
UDCエージェントとして、彼女らと同じような「堕ちかけ」の状態を装う事で近づけないだろうか

会場の匂いに当てられたようにジャケットやシャツを脱ぎながら
「本当は、話を聞いた時からずっと貴女達が羨ましかったんです」
下着姿になって
「枷から解放されて、奉仕する喜びと肉体の悦びを享受していて」
疑われるなら、何も纏わぬ状態まで行こう

捕らえれたパパに近付き、彼女達のようにして油断させてから
『先制攻撃』で『気絶攻撃』や『目潰し』をして人質への攻撃を防ぎ
インカムで指示して狙撃させよう

一応、パパの目は何かで塞いでおいてやりたいが


アドリブ、色気、絡み可



「人質か……しくじったな」
 踏み込んだVIPルームの現状を把握し、火奈本・火花(エージェント・f00795)の表情は苦いものになっていた。
 火花のかつての同僚……元UDCエージェントの少女たちが各々のパパたちと交わりつつ、人質として利用している。迂闊なことをすれば、パパたちの命も危うくなるかもしれない有様だった。
(……だが、見ているだけでは手遅れになるか)
 敵の目的はあくまでも『邪神の降臨』。その為の時間稼ぎをしているのがこの状況なのだ。そこで猟兵側が二の足を踏んでいてはあちらの思う壺である。
(……ならば――)
 ……ラブホテルでも、夜景を売りとする高層階の部屋にははめ込み式の窓がある場合もある。このホテルの最上階に位置するこの部屋にも、その為か窓があった。それを見て取った火花の中でいくつかの算段が組まれたところで――別の猟兵が決死の行動で膠着状態に亀裂を入れる。
(ここが勝負どころですね――)
 火花もその機に動き出す。……混迷の中、いくつかの集団に分散した元UDCエージェントの少女たちと、人質のパパたち。その内の一つに火花は歩み寄った。向こうも即刻それには気が付く。
「っ、止まりなさい、猟兵! 下手な真似をするとパパたちが…………えっ?」
 警告の言葉を紡いだ、今や邪神のエージェントたる少女が、その叫びを唐突に途切れさせたのは――火花がいきなり着ていたスーツのジャケットを脱ぎ捨てたからだ。それどころかネクタイも緩め、ワイシャツのボタンもちぎるように外していく……。隙間から、黒くセクシーな布地がチラリと見えた。
「な、何のつもり!?」
「本当は……話を聞いた時からずっと貴女たちが羨ましかったんです」
 困惑を滲ませる邪神の眷属の少女たちへ、熱を帯びた声で訴える火花。彼女は熱病に罹ったような足取りで一歩、また一歩と歩みを進めた。
「枷から解放されて……奉仕する喜びと肉体の悦びを享受していて……本当に、なんて羨ましいんでしょうか……」
 スラックスすら床に落として、火花はブラジャーとショーツだけの姿になる。スレンダーな彼女の肢体をキャンバスに、真っ白な肌と黒い下着が鮮やかなコントラストを演出した。あまりに妖艶な火花の様に、少女たちもパパたちも息を呑む……。
 ――当然のことながら、これは火花の作戦の一環であった。
 彼女は、自分がUDCエージェント――邪神の虜となった目の前の少女たちと元々は同僚であったことを最大限に利用しようとしているのである。
 即ち――自分も『堕ち掛け』を装うと。
 UDCエージェントは、常に己が体内のUDCに精神を削られ続けている身。この現場に満ちる、むせそうなほどの淫靡な匂いに当てられ、火花の心も一線を越えてしまったのだと……そう思わせようというのだ。
「マ、マジかな……?」
「このタイミングで……? いくら何でも都合が良過ぎるわ! 演技に決まってる!!」
 少女エージェントたちの意見は綺麗に二分されているようだった。
(……もう一押しですね)
 頭の中で小さく呟き、火花はブラジャーのホックも外した。拘束を解かれた乳房は決して大きくはないが……形状の美麗さは抜群である。それを、火花は自らの手で撫でるように揉み上げた。
「私……もう我慢出来ないんです。早くこの身体を無茶苦茶にされて、気持ち良くなりたくて……あぁっ」
 悩ましげな息を吐く火花に、パパたちの何名かがゴクリと喉を鳴らした。そんな彼らに見せ付けるように、火花は我が身に最後まで残ったショーツを摘み、引き下ろす……。
 ……股間とショーツの間に、淫らな糸が引いた……。
 全裸になった火花に、UDCの眷属の少女たちは気圧される。その隙に、彼女は一人のパパの前に跪いた。
「私も気持ち良くして差し上げますね……」
「んおっ!?」
 躊躇なく、火花は男と唇を重ねた。最初は軽く触れ合う程度、徐々に触れ合う時間を長くして……やがてお互いの舌を絡め合う水音を響かせる。「ん、んっ、ん、んっ……」と喘ぎながら、火花は手で自分の股間や乳房の先端部も弄り始めた。
「――ず、ずるいぞ! わしも混ぜろっ!」
「えっ? きゃっ!?」
 UDCのエージェントの一人と繋がっていたメタボリックなパパが、彼女の下から這い出した。その目は爛々と輝いて火花を見ている。……彼女の痴態に、パパたちの方が心奪われたのだ。
 床に仰向けの姿勢で邪神のエージェントの少女に組み伏せられていたパパにキスする為、火花は必然的に四つん這いに近い姿勢になっている。彼女の引き締まったお尻がやや高く上げられ、ふりふりと揺れていた。――それに辛抱堪らんとばかりに、腹の出た中年男のパパは圧し掛かっていく。
「そぉりゃっ!!」
「んんっ!?」
 遠慮なく、その男は火花の女性へ自らの男性を突っ込んできた。火花のその部分はすっかり濡れ切っており、抵抗無く彼の突入を受け入れる。
 ……火花と男の腰がパンッ、パンッとぶつかり合う音が響く中……他のパパたちも火花のカラダに向けて這い始めた。
「俺はこの、ちっちゃいおっぱいもーらいっ」
「わ、わしは、手でいいからシてくれんかっ?」
「替われっ。私だって彼女とヤりたいんだ……!」
「んっ……んっ……んあっ……♪」
 幾人ものパパたちに群がられ、火花の肢体は彼らに好きなように弄ばれる。下半身は前の穴を抉られながら、後ろの穴にまで突き入れられた。乳首はつねられ、吸われ、舐められ、甘噛みされ、真っ赤に腫れ上がっている。両手でそれぞれ別のパパの男根をしごき、口もキスを求めるパパたちを相手にして休む暇が無い……。
 そこまでの火花の状態を見て、ようやくUDCの少女エージェントたちも警戒を解いたようだった。
「……堕ち掛けだったのは嘘じゃなかったみたいね」
「まあ、流石に正気であそこまでのことは出来ないっしょー」
「……でも、パパたち皆あの女に取られた……」
「人質として利用出来るなら別にいいでしょ。そもそも、あたしたちは全員『済んでる』し」
(……? 今、何が『済んでいる』と……?)
 パパたちに埋もれながらも耳を澄ませていた火花は、どうにか元UDC構成員の少女たちの会話を聞き取る。何か、不穏な予感が胸を過ぎり……。
(頃合いですね――)
「――『これが我々のやり方だ』」
 ……火花は、それに背中を押されるように『合図』を送った。
 ――途端、この部屋の窓を貫いて幾発かの銃弾がUDCエージェントの少女たちに飛来する。彼女たちがはっとした時には、音速を超える弾丸は既に邪神の眷属の少女たちの身を貫いていた。
「狙撃……!? ど、何処から……?」
「いいから、早くパパたちを人質に――」
「――それはさせません」
 何名かの少女はその狙撃――火花が要請した機動部隊・『四葉のクローバー』からの支援射撃で絶命したようだが、運良く生き延びた者がパパたちを盾にしようと彼らに迫る。……その前に、パパたちからするりと逃れた火花が立ち塞がった。
「あんた……まだ正気で!?」
「演技には自信がありまして」
 怒りを燃やす邪神のエージェントの少女たちを、火花は先までのフラフラとした様子からは信じられない切れのある動きで捌く。一人の顎を掌底で撥ね上げて脳を揺らし、一人の眼球を指先で薙いで視力を奪った。
「……っ。皆、一旦退くわよ!」
「…………っ!?」
 この場の少女たちのリーダー格らしい者がそう言って、口から薄桃色の息吹を吐いた。火花は咄嗟に鼻と口を手で覆うが……毒の類いではなかったらしい。それを煙幕代わりにして敵が後退していくのを火花は察する。
「……これでは迂闊に追撃は出来ませんね。まあ、こちらも少し助かりましたが……」
 自分の後ろのパパたち数名を一瞥して、火花は呟く。呆然自失としている彼らの目と鼻の先に、骸となったUDCの元エージェントの姿もあるのだ。それを一般人たるパパたちの目から隠せたことは、確かに火花にとっては僥倖であった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

イングリッド・カッセル
……なんとはなしに、父のことを思い出してしまう光景だな
まさか異世界で見ることになるとは思わなかったが…

下手な手出しは一般人の死を招くならば、そうだな
我ながら芸がないというか、過去使った手なのだが
「見物だなんて、ひどいこと言うな。私の分はないのか?」
雰囲気にあてられた振りをしてUDCエージェントを【誘惑】する
釣れたなら顎を持ち上げ、口づけをし…「深紅の支配」で魅了して無力化するとしよう

パパ達はお預けくらった状態になるだろうが
まあ、流石に事態は飲み込めているだろう?
女同士の絡みを見せて盛り上げようとしたわけじゃないのだ
昨晩世話になったあなたも……わ、わかってるよな?

(アドリブ・ひどい目歓迎)



「……何とはなしに父のことを思い出してしまう光景だな。まさか異世界で見ることになるとは思わなかったが……」
 他の猟兵と共に踏み込んだ邪神に関わる儀式の場……某ラブホテルのVIPルームの状況を見て、イングリッド・カッセル(血の権利・f17781)は複雑そうに呟いた。……まだ少女と言ってもよい年齢の元UDCエージェントたちが、親子ほども歳の違うパパたちと乱交する様は、彼女の中の秘められた記憶を刺激したらしい。
 猟兵たちの襲撃を察した、今や邪神のエージェントである少女たちは、そのままパパたちを人質とする方向へ移行する。それを冷静に観察していたイングリッドは――そこで自分の冷静さを揺るがせる存在を目撃してしまう。
「……え? あ……え……?」
 ――その後、他の猟兵が決死の行動で事態の膠着を破った刹那、イングリッドがそちらへ向かったのは……或いはそれも理由だったのかもしれない。
 そちらでは、一人のUDCエージェントの少女により一人のパパが人質にされていた。イングリッドはそのパパの救出に動こうとするが……。
(……下手な手出しは一般人の死を招くな……)
 向こうの少女は、既にイングリッドの接近を察知していた。警戒心も露わに、早くも邪神の眷属を内に潜ませる壺を召喚している。……それに、イングリッドは内心で溜息を吐きつつも、対応策についてはとうに考え出していた。
(我ながら芸が無いというか……過去使った手だからな)
「来るな、猟兵! アンタたちは大人しくそこで、アタシたちが目的を果たすのを見物してなさい!」
「――見物だなんて、酷いこと言うな。私の分は無いのか?」
「……え?」
 強い口調で脅してきた元UDCエージェントの少女に、イングリッドは熱に浮かされたような声音で返した。この場の異様な雰囲気に当てられた風を装って、彼女は己の身に着けるコルセットスカートをするりと床に落とす。剥き出しになった黒のストッキングに包まれた脚線美は、女性の目から見ても妖艶で……戸惑いつつも元UDC構成員の少女はこくっと喉を鳴らした。
 少女が自分の脚に目を奪われている隙を突き、イングリッドは彼女との距離を0にする。少女がはっと顔を上げた時には、もう遅い。イングリッドは彼女の顎を指で持ち上げ、その唇を奪っていた。そんな状態から、イングリッドは真紅の……吸血鬼の瞳で少女の目を覗き込む。
(『私に従え、ただ私の言葉を聞き、私だけを見ていれば良いのだ。安心しろ、私は優しい……そうだろう?』)
「ん……んっ……ん、んっ……んんんんっ~~~~!?」
 イングリッドのユーベルコード・『真紅の支配』。対象を魅了する吸血鬼の魔眼……。それに囚われた元UDCエージェントの少女は、イングリッドと舌を舐め合う濃厚な口付けを交わしつつ、彼女の肩をギュッと掴み、彼女と脚を絡ませ合って……絶頂したようにビクビクッと震えて、脱力した。
「う、にゅぅ……おねぇさまぁ……」
「ふぅ……他愛もない、な」
 魅了されたばかりか、少々気を遣ってしまったらしい邪神の眷属の少女。最早彼女は無力化したと判断したイングリッドは、少女の肢体をそっと床に横たえる。――そして、打って変わってやや早口で、言い訳染みた言葉を紡ぎ始めるのだった。
「ま、まあ、流石に事態は呑み込めているだろう? 女同士の絡みを見せて盛り上げようとしたわけじゃないのだ。あなたも……わ、解ってるよな?」
 やや頬を赤らめてイングリッドが振り向いた先には、彼女が無力化した少女に人質にされていたパパ。お預け状態でポカーンとしていた彼の表情が、相手がイングリッドだと認識した途端に輝くような笑顔に変わる。
 ――その、とても笑顔が良く似合う中年男性こそ、つい先日にイングリッドがパパ活をしたパパだった。……あの日、このラブホテルとは比べ物にもならない高額のホテルで、一晩中彼に可愛がられ続けた記憶が甦り、イングリッドはますます熱くなる頬の温度を止められない。
 そんなイングリッドを尻目に、ニコニコ顔のパパの方は感激した様子で彼女との距離を詰めてきた。
「ああ、ああっ、イングリッドさん! まさかこんな所で再会出来るなんてっ。しかも、あなたに助けて頂けるなんて! はいっ、凄く運命を感じてしまいます!!」
「いや、私はそんな風には感じていないのだが……多分」
 パパの笑顔から目を逸らしつつ、イングリッドはぽそぽそと反論する。……とはいえ、彼の姿を見付けたからこそ、イングリッドはこちらへと向かったわけであり。彼の歓喜する顔を見ていると満更でもなくなってくるのは、流され易い彼女の悪い癖であった。
 とにかく、パパの肉迫を阻もうと手を壁のように上げたイングリッドだが、逆にその手を彼にガシッと掴まれてしまう。そして、お互いの息が掛かるまで顔を近付かせられた。
「イングリッドさん……イングリッドさん! はい、はいっ、この昂り……私はあなたに本当の恋をしてしまったのかもしれません!!」
「え? えっ? ええっ……?」
 全裸で笑顔の中年に真剣に愛を囁かれ、イングリッドの側は混乱の極致となる。……明らかに、パパの側はこの場の空気に蝕まれ、正気を失っていた。流石にこれはまずい、振り解こうとイングリッドも動き掛けるが……。
 ――ぬるっ。
「きゃっ!? ……え……?」
 足首に何か粘つく冷たいものが触れた途端、イングリッドは思考に靄が掛かってしまった。……それは、UDCエージェントの少女が召喚していた壺、そこより這い出た一本の触手の力。彼の触手には触れた対象の抵抗の意志を奪う能力があるという……。
 主が制圧され、自らも送還されていく中、最後の悪あがきとしてその触手が繰り出した一撃――というのも弱々しい一撫では……しかし、今のイングリッドには致命的だった。
 彼女はクラッとした拍子に、笑顔のパパの胸の中に倒れ込んでしまう……。
「イングリッドさん! イングリッドさんも同じ気持ちなんですね!! はい、はいっ、感激です……!!」
 パパの感極まった笑顔に、「違う」と反論することすらもうイングリッドには億劫だった……。

「はっ、はっ、はぁっ、はっ、あっ、あふっ、あんっ、あぁんっ……♪」
 ……他の猟兵たちと元UDCエージェントの少女たちの交錯がなおも続くVIPルーム。その隅の方の物陰で、イングリッドのリズミカルな吐息が響く。
 イングリッドが着ていたブラウスとストッキングは付近のソファーに掛けられ、黒いレースの下着は近くの壁際で丸まっていた。……コルセットスカートについては、何処に行ったのやら……。全裸に剥かれたイングリッドは、床へと敷かれた自身のマントの上に仰向けに転がされ、ニコニコ笑顔のパパと情事の真っ最中である。
「あっ、あんっ……! こんなことをしてる暇は……あんっ、無いのに……」
 とっくに触手による抵抗意志の剥奪は解けているイングリッド。他の猟兵たちはまだ、戦っている……そんな中で自分はナニをヤッているのかと彼女は奮い立とうとするが……。
「いつだって、男と女がお互いの愛を確かめ合う行為以上に大事なことはありません! だから、仕方ないんです……!!」
「……あぅんっ、し……仕方がないのなら……あひゅんっ、仕方がない……な……あっ、あっ……♪」
 自分に覆い被さるパパからの情熱的な説得……それの前に、流されがちなイングリッドはまた流されてしまう。
 あの夜のように、パパの背中に繊手を回し、両脚すらも彼の腰に絡み付かせてしがみ付くイングリッド。……その体勢が俗に『大しゅきホールド』と呼ばれるものであることを、多分彼女は知らない。
 こんな状況であるから当然、避妊具も用意出来るはずがなく……何も隔てる物が無いまま、イングリッドと笑顔のパパは繋がっていた。もう、パパの方は、イングリッドと子作りをする気満々である。
「イングリッドさん、イングリッドさん……! 私の子供を産んで下さいっ! 男の子でも女の子でも、きっとイングリッドさんに似て可愛い子になります、はいっ……!!」
「え、あ……子供……? そ、それは……」
 快楽に蕩けていたイングリッドの瞳に、一瞬冷静な光が戻り掛けるが……。
「イングリッドさんの子宮、きゅうきゅう疼いてるのが伝わってきます! イングリッドさんの身体が子供を欲しがってるんですっ! なら、仕方ありません……!!」
「ああ……私自身が欲しがってるなら……仕方がない……な……♪」
 ……男にその疼く器官を何度も突き上げられ、イングリッドの赤い双眸はまたも意志薄弱に流されて……快楽に塗り潰されてしまう。
「ああ、ああっ、イキますよイングリッドさん! 全部子宮で受け止めて、きちんと受精して下さいねっ!? ――は、はぁぁああああっ……!!」
「ひゃっ!? あ、あっ……ふぅぅああああああああぁぁああああああああああ~~~~~~~~~~んっっ♪」
 ニコニコ笑顔のパパの子種を、全身を痙攣させて我が身の奥底で受け止めるイングリッド。……前回の分も含めれば、これで何回目のことだったか? 彼女とて21歳の健康的な女性である。ここまで避妊を考えずに行為を繰り返せば、本当に、遠からず、『その時』が訪れてしまうかもしれなかった。
 ――いや、或いはもう既に……?
「……? 今、何か聞こえたような……?」
 己の下腹に手を当て、ぼんやりと首を傾げるイングリッド。けれど、深く考える時間は彼女には与えられない。
「さあ、こんなものでは終わりませんよ! イングリッドさん、きちんと赤ちゃんデキるまで、やめませんからね……!!」
 笑みを絶やさず、パパが引き続きイングリッドを可愛がっていくのだから。
「あぁっ! ……あんっ、あっ、あっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ……あぁっ……♪」
 他の猟兵たちとUDCエージェントの少女たちが巻き起こす喧噪も、今のイングリッドには何処か遠い。
 ……イングリッドの胎に新たな命が宿るのは、もうそう遠くはないかもしれなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火奈本・火花
「まさかパパ達が此処まで食い付くなんて……ともあれ、まずは成功か」

■戦闘
「『済んでいる』か……行為と関係がある事は想像出来る、早く場を鎮圧した方が良いな」

衣服を着る間もないが、グローブだけは嵌め直す
再び人質に取られないよう背中にパパ達を庇いつつ、鋼糸を振るって攻撃し、UDキャプチャーで『行為にやけに必死な相手』を拘束しよう

……しかし、元同僚を此処まで堕とされた事への憤りは隠しきれないな
触手に捕われても、彼女らの動きを封じている分、攻撃される事はないが
私が庇っていたパパ達に襲いかかられた時、抵抗の意思が持てない、か

(彼女らに捕まらなかった分、大事には、至りませんが――)


アドリブ、色気、絡み可



 元UDCエージェントの少女たちの何名かを撃破し、彼女たちに人質にされていたパパたちの幾名かも救出した火奈本・火花(エージェント・f00795)は、一糸纏わぬ姿で一息吐いた。
「まさかパパたちがあそこまで喰い付くなんて……ともあれ、まずは成功か」
 身体中を濡らす汗と……それ以外の体液も、火花は手近な所にあったタオルで雑にではあるが拭き取った。……元UDCエージェントの少女たちを油断させる為、パパたちと交わった残滓ではあるが――流石に『名誉の汚れ』とは火花にも思えなかったらしい。
(ともかく、またパパたちが人質にされたら元も子も無い――)
 自分の背後にて状況が呑み込めない様子でポカンとしているパパたちを一瞥し、火花は両手にグローブを嵌め直す。――当面の目標は元UDCエージェントの少女たちが全員制圧されるまで、自分が確保したパパたちを守り通すこと……そう定めて、火花は臨戦態勢へと移行する。
 ……本音を言えば、きちんと下着もスーツも着用し直したいところだったが……そこまでの時間は火花には無かった。――彼女に人質のパパたちを奪われ、一度は退いた元UDCエージェントの少女たちが、態勢を立て直して取って返してきたからである。
「よくもやってくれたわね……!」
「…………」
 怒りに燃える彼女たちを、殊更冷静に火花は見遣る。感情の昂りで動きが直線的になっている少女たちへ、火花はカウンターの要領で仕掛けた。
「『捕獲任務はエージェントの得意分野だ――舐めるなよ』」
 火花が両手のグローブを左右へ一閃――途端、その指先から合計10本の鋼糸が射出された。艶が消され、視認性が下げられているそれらは、海中の海蛇の如く宙を泳ぎ、迫り来ていた元UDCエージェントの少女たちを残らず絡め取る。
「あっ……!?」「くぁっ!?」「きゃあっ!?」
 バランスを崩し、壁やら床やらにその身を衝突させた少女たちへ、火花は順次一撃を入れて昏倒させていく。……しかし、一連の作業を終えても、火花の表情は硬いままだった。
(……全く……元とはいえ同僚をここまで堕とされたことへの憤りは抑え切れないな……)
 現役のUDCエージェントとして、火花の胸中を満たす感情は複雑の一言に尽きる。同時に、彼女にはどうしても引っ掛かっていることがあった。
(……『済んでいる』か……この場で行われていた行為と関係あることは想像出来る、が……)
 眼前の、昏倒させた元UDCエージェントの少女たちが、ふとした拍子に漏らしていた言葉である。それが何を意味するのか、火花にはまだ解り切ってはいないが……。
「早く場を鎮圧した方がきっと良いな…………ん?」
 その時、火花の視界の端に何やら蠢くものが掠めた。そろそろワタワタし始めたパパたちに「しっ」と指を立てて牽制すると、火花は身を低くしてそちらに視線を向ける。
「……はっ、はっ、はっ、はぁっ……!」
 ……火花を含めて、既に何人かの猟兵が本格的に戦端を開いているこの状況下。その中にあって、ソファーの陰に潜むようにしてメタボリックな中年男としつこく性交渉を続けている少女が一人……。
「…………?」
 彼女も元同僚であることは、火花も当然理解した。だが……それが儀式に何かしらの関わりがあるにしても、やけに行為に必死過ぎると火花の中に違和感を生む。
「……何かの『鍵』に繋がるかもしれない、か」
 火花のエージェントグローブが、再度無数の鋼糸を伸ばす……。
「……あっ! あ、あ、あ、あ……ああぁぁっ……♪ ――きゃあっ!?」
 徐々に声が切羽詰まり……行為のクライマックスに至ろうとしていた少女を拘束するのは、火花にとっては赤子の手を捻るようなものだった。鋼糸で雁字搦めにしたその少女を、相手をしていた男から強引に引き剥がす火花。
「やっ、駄目っ! わたし、まだ……! あの方を喚ぶには、まだ数が足りてないのに……!!」
 行為を邪魔された元UDCエージェントの少女の暴れっぷりは、火花をして舌を巻くレベルだった。それでも、何とか怪力で少女を押さえ込んだ火花は、彼女へ詰問する。
「一体、何がまだなんだ? 済んでいる者も居るらしいが、何が済んでいる? 答えろ――」
 凄みを効かせた火花の恫喝だったが、相手の少女はキッと火花を睨み返した。……同時に、少女は口の中で小さく文言を唱える……。
「しまっ……くっ!」
 それが何かの召喚の為の呪文であることを察した火花は、即座に掌底を少女の頭へと落とした。その一発で少女は気絶するが……ギリギリで召喚は為されていたらしい。火花の傍らにゴトンッと落ちてきた古めかしい壺から、ヌメヌメと照り光るおぞましい触手が飛び出す。反射的に壺を蹴り倒す火花だが、触手はその程度では止まらなかった。彼女の滑らかな肌へ、粘液が糸を引く触手が次々と喰い込む……。
「くっ……うぅ……!?」
 触手に身体のあちらこちらを締め付けられる度、火花のクリアだった思考に靄が掛かっていく。対象の抵抗の意志を奪っていく触手の魔力……。内心の憤りで、実は根っこの部分での冷静さを欠いていたせいか、火花はそれを退けることが出来ない……。
(……だ、だが、この周辺の元同僚たちは残らず昏倒させたはず……。敵が居ない以上、大事には――え?)
 そう考えた火花に、甘いとばかりに運命は悪戯を仕掛けた。……彼女の目前に、目を爛々と輝かせたメタボリックな中年男。寸前まで、あのやけに行為に必死な少女と繋がっていた男だ。……火花がクライマックス直前で少女を拘束した為、男の方もあと少しのところでお預けを喰らった形である。その狂的な欲情状態故に……男は今最も手近な異性=火花へと己が熱を向けた。
(……!? これに対する抵抗の意志も――)
 ……火花は持てない。為す術無くメタボリックな中年に押し倒され、覆い被さられ……火花は、突き込まれる。
「あああぁっ……!」
 男の方もさることながら、火花の方も少し前まで、他のパパたち数名を相手取り交わっていた身だ。その時の火は、未だ火花の奥底で燻っていたのである。
「は、は、は、は、はっ、はっ、はっ、はっ……!」
 仰向けの火花へ、ガスガスと腰を打ち付けるメタボリックなパパ。その単調だが荒々しい攻めに、火花の細身は急速に上気していく。小ぶりな胸の頂点で突起がまた鏃のように尖り始め、股間からは湿った音も鳴り始めていた。
「んっ、んっ、ん、ん、んん、んんっ、んぁっ、あぁっ……!?」
 火花の喘ぎに甘いものが含まれ出した頃――男の方が先に果てた。彼女の中に、ドクドクと溜め込んでいたものを放出する。……けれど、男の方は出して満足がいっても、火花の方はそうはいかない。情欲の炎が燃え上がり始めている中、今さらやめられてもそれは拷問である。
 そんな、もの欲しそうな火花の前からメタボリックな中年を押し退けて――火花が元同僚たちから救出したパパたちが、にじり寄ってきた。
「……な、なぁ、やっぱりまだ、シ足りないんだ……!」
「それであんなもん見せられたら……なぁ?」
「頼むっ。もう一回、もう一回だけ……!!」
「……あっ……♪」
 口々に言って、火花のカラダへ群がるパパたち。彼女もそれを受け入れる……。
「んっ、んちゅっ、んっ、ぅんっ、ぷはっ、んっ、ちゅっ、んちゅっ……♪」
 ……やがて、真っ当な前の穴も、本来は排泄用の後ろの穴も、上の口さえもパパたちの男根で満たした火花が、発情した甘い体臭を振り撒いてその身を幾度も痙攣させる光景が展開した。
 他の猟兵たちが火花の元同僚たちを残らず鎮圧するまで、この淫らな宴は暫し続くのである……。

成功 🔵​🔵​🔴​

月宮・ユイ
アドリブ◎※NGなし酷い目も○
※身に<呪詛>宿す《機能強化》維持
まったく……教え込もうとする人ばかりで、業が深い事です

踏み込みましたが不味い状況ね
反応が速い…優秀な方が敵に回ると本当に厄介です
見知った人もいるパパ達は自業自得ですけど、
敵に堕ちたとはいえ彼女達に命奪わせたくはないのですが…

彼女(猟兵)達も参加させたら、とパパの内から
こんな時に何を!?まさか精神的にも何か
ぁ、不味い、この感情は…っ触手が
脅し含め抵抗上手く出来ず拘束される可能性も。
捕まろうと《不死鳥》秘かに起動、捕食吸収能力活性化
儀式の糧とならない様発生する力喰らい力溜め
隙伺いつつ耐え、隙見て呪詛で強化し対象選別頼り周囲へ一斉発射



「全く……教え込もうとする人ばかりで、業が深いことです」
 先のパパ活を装ってのパパたちからの情報収集……月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)の総評はそんな感じだった。ユイが接触したパパたちは、初心そうに振る舞った彼女を自分好みに染め上げようとする者ばかりだったという……。
 そんな結果だったからこそ、この邪神復活の最終儀式の場……某ラブホテルのVIPルームにて開催中の乱交パーティーへと踏み込んだユイは、少々食傷気味であった。……参加者の中に、自分が接触を持ったパパたちも数名居たからである。
(……正直、彼らは自業自得ですけど――)
 自分たち猟兵が踏み込むと同時、元UDCエージェントの少女たちに人質に取られたパパたちへの同情をユイは持ち合わせていない……が、それを実行した彼の少女たちには、ユイもいくらか舌を巻く。
(反応が早い……優秀な方が敵に回ると本当に厄介です)
 そして、元UDCの少女エージェントたちには、ユイも少しばかりの同情心を持ち合わせていた。
(敵に堕ちたとはいえ、彼女たちに命を奪わせたくはないのですが……)
 ……ただ、或いはその甘さがユイをこの後の状況へ叩き落としたのかもしれない……。

「――あ、あ、あ、あ、あっ、あっ、あっ、あっ……!」
「どうした!? このくらいで参ってもらっては困るぞ……!
 ……VIPルームのほぼ中央、キングサイズのベッドの上で――ユイは男に騎乗位で跨っていた。相手の男は180cm近い上背のある中年で、40代にそぐわない鍛えられた筋肉を纏う……。
 ――ユイがパパ活をしたパパの一人だった。
 ……何故こんな状況に陥ったのといえば、猟兵の一人が決死の行動で膠着状態を破った直後に遡る。ユイ自身もその機に乗じ、邪神のエージェントの少女たちへと迫ったのだが……。
『――彼女たちも参加させたらどうだ?』
 今、ユイが跨るこの男が、人質にされていたはずの彼が、邪神の少女エージェントたちへそう言い出したのである。
『こんな時に何を!?』
 ユイも流石に面を喰らった。少なからず『憤り』を籠め、男を睨んでしまったほどである。……しかし、元が聡明なユイはすぐに気が付く。男の瞳に揺らぐ狂気に。
『まさか、精神的にも何か――あっ!?』
 男の心があまりの混沌に破綻を来たしつつあるのだと理解した時には――ユイは失敗していた。
 邪神の眷属と化した少女エージェントたちが召喚した壺……そこから飛び出した触手たちによって、腕も脚も拘束されていたのである。……これも邪神の眷属である触手たちは、『憤り』の感情を抱いている相手にはより強大な能力を発揮するのだった。それに、ユイは抗うことが出来ず……今に至る。
「あ、あ、あ、あ、あん、あん、あん、あんっ……!?」
 ユイの肢体は、男に直下から突き上げられてガクガクと揺れる。たわわに実ったユイの胸部の膨らみが、大地震の如く弾んで男の目を楽しませていた。
 ……パパ活の折、敢えて無抵抗を演じた時とは状況が違う。ユイとて歴戦の猟兵、本来ならばいくら体格に勝る相手とはいえ、ここまでいいようにされることはないはずだが……今はユイと男の行為を周囲で見守っている元UDC構成員の少女たちが狡猾だった。……ユイの両腕は、後ろ手に回されて触手によって拘束されている。彼の触手に触れている者は、何事に関しても抵抗の意志が弱められてしまうのだ。
 故にユイは、男の腰の上から降りる意志さえ持てなくなってしまっている……。
「あく、あく、あくっ、あくぅっ……!? ふ、太いのっ……届くのぉっ……あぅぅっ……!!」
 また、ユイが今繋がる男の分身はサイズが桁違いだった。膣内にそれを埋め込まれているユイの下腹に、時折その存在感が浮かび上がるほどに。下腹部を内側から突き破られてしまいそうな圧迫感……それに、無自覚M気質のユイはついゾクゾクと感じてしまう。
「あっ、あっっ、ひゃっ、ひゃぅっ……! お、奥……ゴリゴリしちゃ……ぃやぁぁっ……♪」
 とうとう声に甘い響きが混じり、自らの腰もくねくねと悩ましげにくねらせ始めたユイに、他のパパも我慢し切れなくなったようである。
「お、俺も混ぜろ! これ以上見てるだけなんて耐え切れん!!」
「なら、『こちらの穴』を使ってはどうかね? ちょうど空いている」
 鼻息荒くユイへ背後から迫った新たなパパへ、既に彼女と繋がっている男はそんな提案をし――ユイの尻肉を掴んで、その割れ目を大きく広げる。ユイがその意図を察した時には、新たなパパは己の猛る肉棒を彼女の『後ろの穴』へと宛がっていた。
 ――突入は一息にされた。
「はぁうっ……!?」
 新たに行為に加わったパパのイチモツは、ユイの前の穴を占拠する男のソレよりは小さかったものの、充分平均以上のサイズだった。それが、ユイの本来は排泄の為の器官を押し広げ、刺し穿つ。……そのまま、男たちはユイを一段と激しく犯し始めた。
「はぅ、はぅ、はぅ、はぅっ、ひゃぅ、ひゃっ、ひゃぁっ、ひゃああっ!?」
 前後の穴を交互に抉られ、ユイの肢体が狂おしく乱舞した。黒髪が振り乱され、ヘテロクロミアの目尻から涙の粒が弧を描いて飛ぶ。獣の交尾の方がまだ穏やかだと思える激しさで、一人の少女と二人の男の身体が衝突を繰り返した。
「あ、あ、あ、あ、はぁ、はぁっ、あ、あ、あっ、あっ、あんっ、あぁっ……♪」
 男の肉体に強烈にサンドイッチされつつ……しかし、ユイの表情は次第に蕩けていく。双眸はとろんと潤み、開かれた口からは絶え間なく桃色の吐息が漏れ出した。耳まで真っ赤になった顔色はそのまま融解してしまいそうなほどである。……ただでさえMの気質を秘めるユイだが、その上で彼女の身は刺激に非常に敏感なのだ。こんな荒々しい交わりでも、いや、むしろこんな荒々しい交わりだからこそ、神経が焼き切れそうな快感を覚えてしまうほどに。
「男二人に前後から攻められてイキそうなのか!? 君は淫乱の気質があるな!!」
「変態め! この変態娘め……!!」
「あっ、あっ、あぁっ、あぁんっ♪ あぅ、あぅっ、あぅん、あぅぅんっ……♪」
 男たちから言葉で責められても、ユイには最早反論する余裕も無かった。
「さあ、イケ! 私たちの種を子宮と尻で受け止めて――イッてしまえ!!」
「くっ……おおぉっ……!!」
「あっ――――ひゃぁぁああああああああぁぁああああああああああ~~~~~~~~~~~~んんっっ!! ……っ…………っ……♪」
 ユイの前後の穴、そのそれぞれの奥で、男たちは欲望の丈を爆発させた。自分の体内で起きた生命の噴火に、ユイは小刻みに痙攣を繰り返す。
 ……ひとしきりその様を眺めていたUDCエージェントの少女たちは、お互いに目配せし合った。
「……あの子も上手く利用出来るかしら?」
「解らない。そもそも、最短でも一時間は掛かるって聞くし……」
「それに、根本的に『その日』かどうかも解らないでしょう? 薬を使った方が良かったんじゃないの?」
「わたしらの手持ちの分はもう無いわ。他の子たちはまだ持ってるかもしれないけど……他の猟兵を掻い潜って貰いに行くのは骨ね……」
 ……その会話は、ユイの耳にも届いていた。
(……どうにも『力を喰らえない』、『喰らうべき力がそもそも発生していない』と思ったら……どうやらこの場の儀式、私たちが思っていたものとは大分意味合いが違うようね……)
 過度の凌辱で力が抜け切った様相の見た目とは逆に、ユイの頭は冷静に状況を分析していた。
(……なら、もう『反撃』に出ても良いかしら――)
「ふふっ……この程度で済むと思ったら大間違いだよ? さあ、第二ラウンドだ――ひょわぁっ!?」
「うぎゃあっ!?」
 意気揚々と、再びユイの身体に手を掛けようとしたパパたちが素っ頓狂な声を上げる。それに異常を察した邪神のエージェントの少女たちが顔を上げるが――もう遅い。
「『(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。無限連環具現化術式起動。概念制御、効果・対象指定、具現)舞え……』」
 ユイがゆらりと起き上がり、その身から尋常ならざる炎が噴き上がる。それは火の鳥が翼を広げるように舞い踊り、周囲を席巻した。
「ぎゃああっ!? ……あ?」
「……あ、あれ……?」
 ――けれど、パパたち一般人は焼かない。部屋にも備品にも焦げ跡一つ付けること無く、UDCエージェントの少女たちのみへ牙を剥く。
「こ、の……!!」
「こちらの隙を窺ってたってわけ……!?」
「ええ、その通りよ」
 我が身を焦がされ、苦々しげな顔をする邪神の眷属の少女たちへ、ユイは淡々と返す。その両腕を縛っていた触手もとっくに灰になっていた。……もっとも、触手自体の生命は灰になる前……ユイと男たちの行為の途中で実は尽きていたのだが。――ユイが事前に発動させていた、捕食と吸収を旨とするユーベルコードによって。如何に対象の抵抗の意志を奪う力があろうと、その意志を奪われる前に発動させておいたユーベルコードの効果を消せるわけではないのだ。
 そして、ユイはそのユーベルコード――『不死鳥』と名付けられた概念兵装の本質である変幻自在なる炎をさらに具現化する。
「……何だか、あなたたちには色々と問い詰める必要があるみたいね? この場の儀式について――洗いざらい吐いてもらうわ」
「「「「「っっっっ……!?」」」」」
 嵐の如く襲い来る不死鳥の炎に、元UDCの少女たちが声にならない悲鳴を上げた。
 この戦いの、事件の趨勢は、安定せずに傾きを激しくする……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「うう、酷い目に遭いました……」

私が悪いとはいえ、あんなことになるなんて……
もう絶対に油断しませんからねっ!(フラグ

「ここが邪神復活のためのパーティが開かれているホテルのVIPルームですね」

『祝・邪神復活』と書かれた豪華な部屋で料理を囲んで談笑する男女を想像しながらVIPルームへ突入し……
想像とかけ離れた光景に思考が停止します。

素早く【チューリングの神託機械】を発動し
乱交パーティーという言葉を検索して真っ赤になります。

「と、とにかく止めないとっ!」

【アインシュタイン・レンズ】を撃とうとしますが……

「なっ、えびすさんっ!?」

顔を合わせづらい相手を盾にされて
触手に襲われるのでした。

アドリブ大歓迎



「うう、酷い目に遭いました……」
 先のパパ活を装ってのパパたちへの情報収集で、最も酷い目に遭ったのが誰かと言えば……間違いなくアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)だ。
 若干14歳、華奢で可憐な美少女である彼女は……身長差50cm近く、体重差に至ってはどれほどになるかも解らない巨漢に、種付けを目的としたガチ交尾を強いられたのである……。
「私が悪いとはいえ、あんなことになるなんて……」
 ……確かに、発端はアイの勘違いだったが……それでも、あれだけの目に遭って相手ではなく自分の方が悪いと考えるなど、アイは純粋過ぎるのかもしれない。
「――もう絶対に油断しませんからねっ!」
 ……そのせいか、この台詞もフラグとしか感じられなかった……。

 ――やっぱりフラグでした。
「………………はっ!?」
 アイが自身を再起動させる為に要した時間は相当に長かった。
『ここが、邪神復活の為のパーティーが開かれているホテルのVIPルームですね』
 そう言い、他の猟兵たちと共にその部屋へ踏み込んだアイだったが……実は彼女、また勘違いをしていたのである。

『祝・邪神復活』
 デカデカと書されたそんな一筆が飾られている、豪奢な大広間。
 白いテーブルクロスが掛けられた無数のテーブルが並び、その上にはバイキング形式で世界各国の料理が湯気を上げている。
 テーブルの周りでは、着飾った男女たちが優雅に談笑していた……。

 ……『元UDCエージェントの少女たちが、パパたちを招いて行う乱交パーティー。その実、邪神復活の為の最重要儀式』――そんなイベントだと聞いていたはずなのに、アイが想像していた現場の光景は上記のような感じだったのだ……。
 結果、現実の光景を目の当たりにしたアイは、その瞬間に思考停止へと陥ったのである。
「……で、『電脳空間への接続を確認。万能コンピューターへログイン。オペレーションを開始します』っ」
 フリーズ状態から復帰したアイは、直ちにユーベルコード・『チューリングの神託機械』を発動、電脳空間の申し子たるアイの演算能力がさらに強化される。その上で彼女が検索したのは……。
 ――『乱交パーティー』。
 ……数瞬後、その言葉の意味をしかと理解したアイは、首から上が炎上する。
「は、はわぁー!? ら、乱交パーティーってそういぅ……!?」
 ようやく、またも犯していた自分の勘違いを自覚するアイ。ワタワタと踊るが……そうそう動揺もしていられない状況だった。
 ――他の猟兵たちは、もうそれぞれ事態への対応に動き出していたのだから。VIPルームの各所へ散った元UDCエージェントの少女たちから、人質にされているパパたちを救い出す為に奮闘していたのである。
「と、とにかく止めないとっ!」
 邪神の本当の復活だけは防がなければ――その一心で、アイも付近に居た邪神のエージェントの少女たち数名へと立ち向かう。
「『重力レンズ生成。ターゲットロック。光線発射準備――』」
「――待ちなさぁい!!」
 アイの攻撃用ユーベルコード・『アインシュタイン・レンズ』は、あと少しのところで完成しなかった。
「わわっ、だなぁ!?」
「……なっ、えびすさんっ!?」
 まるで力士のような巨漢のパパを盾にされたからである。……しかも彼、アイにとっては絶対に無視が出来ない人物で……。

『ボクがっ、今日絶対にっ、アイちゃんに赤ちゃんを宿すんだなぁぁああああああああああっっ!!』
『あ、あ、あ、あ、ああああぅぅああああああああああぁぁああああああ~~~~~~~~~~!!』

 ……冒頭で述べた、アイがガチ交尾を強いられた相手である。あの晩の徹底的な……本当に徹底的な行為を思い出し、アイの顔が真っ赤に染まり、目尻には涙が浮かんで、全身がプルプルと震え出す……。
 ――だが、それがまずかった。
「……えっ? やっ、きゃああああっ!?」
 その隙に死角から迫っていた触手たち……えびすさんを盾にしたUDCエージェントの少女たちが召喚した邪神の眷属がアイの足首へと巻き付き、彼女の脚線を這い登ってきたのだから。
 アイのニーソックスへねばねばとした液を塗り付け、触手の群れは彼女のスカートの中へ……。さらに留まることなく這い上がり、アイの上半身にまで登り詰める。
「やっ!? いやっ、あっ、あぁっ……!!」
 アイの服の内側で幾本もの触手が蠢くのが解った。その動きに合わせ、アイの細身がビクン、ビクンッとしなる。
「あっ……駄目です、そこっ……! あっ、あぁっ……摘んじゃ、ほじっちゃ……駄目ぇ……ですっ……!!」
 直接目にすることは出来ずとも、何本かの触手がブラジャーの中にまで潜り込み、自分の小ぶりな胸の天辺をつねり回すのをアイは感じる。他に、ショーツの中へ滑り込んだ触手が、後ろのすぼまりや前の割れ目を先端でなぞり上げるのも……。
「――ひぃああっ!?」
 敏感なお豆まで捻り上げられ、アイは背を仰け反らせた。
(……な、何とか……しない、と……)
 そのように考えるアイだが、元々筋力に乏しい彼女では己の全身を絡め取る触手を振り解くことは難しい。……しかも、触手の粘液が肌にすり込まれるにつれ、思考に靄が掛かってきた。抵抗する気力が段々と奪われていく……。
 ぐったりとしたアイの身体が触手によって持ち上げられる。両手首を頭上にて拘束され、両脚をM字に開かれたはしたない格好だが……スカートがまくれて丸見えになった青と白の縞パンに恥じらうことすら、今のアイには億劫だった……。
 ――それを見るまでは。
「……だ、だなぁ……!!」
「……ふぇ? ……っっっっ!?」
 アイの眼前に、彼女と同じように全身を触手に絡め取られたえびすさんが持ってこられた。……それはまだいい。問題なのは、彼の股間ではアイを先日散々に犯しまくった日本人離れした剛直が、その時以上にギンギンに勃ち上がっており……それの切っ先が、アイの青と白のストライプに包まれた大事な部分に向けられていたのだ。
 えびすさんの傍らでは、元UDCエージェントの少女たちがニマニマと嗤っている……。
「な……何の真似ですか!?」
 トラウマを刺激されたアイが、心臓をバクバクさせながら邪神の眷属の少女たちへ詰問する。それに、彼女たちは朗らかに語った。
「えー、だって、貴女このパパとラブラブなんでしょ?」
「パパの赤ちゃんを産んであげるって約束したそうじゃない?」
「パパってば『アイちゃんを離すんだなっ、アイちゃんはボクの赤ちゃんを産んでくれる大切な人なんだな!!』って凄い剣幕で私たちを説得してねー」
「だから、それに感銘を受けたあたしたちが、僭越ながら――お手伝いしてあげようかって♪」
 ……その言葉の意味を悟って、アイの顔から血の気が引いた。
「……ま、待って下さい! それ、誤解なんです!! 私、本当はそんなこと――きゃああああぃいやああああああっ!?」
 アイの弁明など聞く耳持たず、UDCの少女エージェントたちは触手を繰り、アイの下半身から縞々の布地を破り取ってしまう。そして……アイの肢体はえびすさんの怒張の真上に運ばれた……。
 アイの股間の一本筋が触手によって左右にくぱぁ……と広げられ、晒されたローズピンクがえびすさんの巨根とクチュッと触れ合う。
「む……無理です、無理、無理っ、無理ですからぁぁああああああああああ~~~~っっ!?」
 ず、ずっ……ずぷっ、ずぷぷぷっ……!
 ……アイの主張とは裏腹に、彼女のソコはえびすさんの規格外のモノを容易に呑み込んだ。
「……すっごーい! あんな大きなモノが根元まで入っちゃったー!!」
「……アレ、私でも絶対無理。間違いなく入らないんだけど……」
「あんな華奢な身体なのに……パパの為に本当に健気だねー♪」
「……あ、あ、あぁぅ……」
 好き勝手に言う邪神の少女エージェントたちへ、アイは何も言い返せなかった。……前の時、初めはあんなにも苦しくて受け入れ難かったえびすさんのモノが、今はこうもすんなりとアイの中へと入ってしまっている……。あの晩の行為で、アイのソコはえびすさんのイチモツにすっかり馴染まされてしまっていたのだ。
 触手たちに身体を揺さぶられ始めると、その感覚はより強くアイを蝕む。
「あ、あっ、あっ、あっ、あぁ、あぁっ、はぁっ、ぁはぁっ……!」
「ああっ……だなぁっ……!」
 触手たちによってアイの身体は持ち上げられ、下ろされ……その動作に連動し、彼女の秘孔をえびすさんの肉棒が出入りする。それによって起こる摩擦が、突き上げが、アイの背筋に違えようのない甘美な電流を迸らせた。
「や、やっ、やん、やんっ、は、はっ、はぁっ、はぁぁんっ……!!」
「うわぁ……この子、本当に気持ち良さそうな顔してる……。声だってこんなにも甘々に蕩けちゃって……♪」
「パパのおっきいのに、完全に参っちゃってる感じ? もう他の男の人のじゃ満足出来ないんだろうねー♪」
「自分からも、腰をあんなにエッチにくねらせてるよ♪ お股から溢れる蜜も泡立ってクリーム状になって……『本気汁』っていうんでしょ、アレ?」
(違うんですっ! 違うんですぅっっ……!!)
 元UDCエージェントの少女たちが自分を揶揄する声を聞き、アイは否定するように首を横に振るが……彼女たちの観察は実に的確だった。アイのカラダの方は、明白にえびすさんとの交合に悦びを覚えている。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっっ……あぁっ、あぁんっ……!!」
 アイの身の奥で、キュンキュンと疼く部分があった。そこが熱を帯び、ドロドロに熔けた鉄のような何かを渦巻かせている感覚がある。
「う、うっ、ぅ、ぁうっ、あ、あっ、あぅ、あぅっ……!?」
(いや……いやぁ……私……こんな……)
 アイ自身がどれほどその事実を拒絶しようと、決して覆らなかった。……何せ、仕方がない。否応なく、じっくりと仕込まれてしまっていたのだから。
 ――アイの女性器は、えびすさんの男性器にピッタリと合致する形に変貌させられてしまっていたのである。
「あん、あん、あん、あん、あん、あん、あんっ、あぁんっ……!!」
 アイの身体を本人の心を無視して上下させる触手たちが、徐々にその速度を上げていった。伴い、アイの中のえびすさんの分身がますます硬く膨れ上がり、脈動を激しくする。……それが彼の発射の前兆であることを、アイはとっくに知ってしまっていた。
(ま、また出されちゃいます……。あの夜みたいに……!)
 絶望感に浸るアイの耳に、その時UDCエージェントの一人がポツリと問い掛けた。
「そういえばー、アナタ、前に生理来たのいつ?」
「はぁっ……? えっと――」
 意表を突かれたアイは、ほとんど無意識にその日付を答えてしまった。
 それを聞いたUDCエージェントの少女は、スマホを操作して……「まぁっ♪」と瞳を輝かせる。
「だとするとアナタ、今日がちょうど『危険日』よ。このままイクと本当に赤ちゃんデキるわねー♪」
「……………………えっ!?」
 言われたことが理解出来ずに目を白黒させるアイへ、その少女はスマホの画面を見せた。
「コレ、危険日測定スクリプトー♪ 便利よねー、今はこんなものもあるんだから」
 ……数秒が過ぎて、我が身の真に危機的状況を悟ったアイの顔色が蒼と赤を往復する。
「……やっ! だ、駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目ですぅぅっっ!! お願いですっ! 何でもしますからっ!! 抜いて下さいっ! 今度こそ本当に赤ちゃんデキちゃいますぅぅううううううううっっ!!」
「だからー、私たちはそのお手伝いをしてるのー♪」
「望むところなんでしょ? パパだってきっと大喜びだよー♪」
「おめでとー。新米ママにおめでとー♪」
「いやぁぁああああああああああっっ!?」
 恥も外聞もなく泣き叫ぶアイをさも面白そうに眺め、非情なる邪神のエージェントたちは触手の群れにラストスパートを命じた。
「あんあんあんあんあんあんあんあんやんやんやんやんやんやんやんやんふわふわふわふわふわふわふわふわぁっ……!?」
 アイの肢体がガクガクと踊り、その全身から汗が飛び散る。涙に暮れる彼女の心とは真逆に、肉体の方は壮絶な快感に焼かれ、歓喜に打ち震えていた。
 そして――運命的瞬間は来訪した。
「うっ……だな、ぁ……!!」
 えびすさんが呻きを上げ、その巨躯を痙攣させる。
「ふぁっ!? あっ、あぅっ――ぃぃひゃぁぁああああああああああぁぁああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ!?」
 次いで、アイの頭頂部から手足の爪の先までがビクビクビクンッ!! と跳ね回った。その喉からは断末魔染みた絶叫が上がり、刹那、このVIPルーム中の者たちが何事かと視線を向けたほどである。
 その様を、アイの心身を弄んだ邪神の眷属の少女たちは目を爛々とさせて見守っていた。
「凄い、凄いわっ。私、実際に『受精アクメ』する子なんて初めて見たもの!」
「……じゅ、せ……あ……?」
 意識も定かではない様子のアイは、その単語にぼんやりと首を傾げる。
「『妊娠しながらイッちゃった』ってことー。なかなか出来ない体験だよー?」
「あ……ぁ……わ、私……」
 絶頂の余韻で脱力したアイは、そのまま意識も遠のかせる。
 ……実のところ、たとえ危険日であっても妊娠するとは限らない。その確率は10%を下回るという。……たかが10%、しかし、されど10%。アイにとって、それは希望が持てる確率だったのか、それとも絶望的な確率だったのか……?

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
…個人的には転がされてる男達は別にどうでも良いのだけど…。
そんなにイイコトがしたいなら、わたしが与えてあげるわ…♪

視界内の子達の動きを【念動力】で拘束する等、男から引き剥がした上で【魅了の魔眼・快】を発動。…下手に繋がった状態だと行為の後押しになりかねないわね…。
【魔眼】【誘惑、催眠術】魅惑のフェロモンを使って魅了し、更に【吸血姫の魔愛】と快楽を伴う【吸血】で一人ずつ完全に蕩けさせ、後はイロイロ可愛がってあげたりして堕としていくわ♪

邪神討伐後に人に戻れるなら元の生活に帰してあげたり、責任もって引き取るなりするわ。
仲間だった子達を容赦なく殺すのも忍びないし、殺さずに済むならそれで良いじゃない?



 このラブホテルの最上階、そのフロアのほぼ全てを占めるVIPルーム……。猟兵たちと元UDCエージェントの少女たちの(色々な意味での)激闘が繰り広げられる中、とある一角のみ雰囲気が大きく違っていた。
「あぁ……ああぁっ……おねぇさまぁ……♪」
「素敵ですぅ……♪ もっとわたしを可愛がってぇ……!」
「ずるいぃ……私が先よぉ……」
「♪」
 キングサイズのベッドの上でメロメロに蕩けた元UDCエージェントの少女たちをはべらせて、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)がご満悦に微笑んでいる。
 ……ちなみに、この近辺に居たパパたちは、壁際の隅っこに雑に転がされていた。まあ、生きてはいるし、他の猟兵たちや元UDCエージェントたちからの流れ弾が届かないように最低限の遮蔽物の陰に入れられていることから、保護はされているといえば保護はされているのだろう。
(個人的には転がされている男たちは別にどうでも良いの)
 ……いっそ清々しいフレミアの本音である。そして、そんな彼女のもう一つの本音はこれに尽きた。

「そんなにイイコトがしたいなら、わたしが与えてあげるわ……♪(ただし可愛い女の子限定)」

 ……それを実現させたのが今のこの状況だった。
 持ち前の念動力によって元UDCエージェントの少女たちをパパたちから引き剥がしつつ拘束(ついでにパパたちは前述のように適当に放置)したフレミアは、そこから『魅了の魔眼・快』を惜しみなく使用。快楽を強制する魔の瞳で、元UDCエージェントの少女たちを自身の虜としてしまったのである。……それだけでも充分なはずだったが、今宵のフレミアはさらに『吸血姫の魔愛』も大盤振る舞い。強烈な快楽を伴う魔眼に発狂するほどの快楽と幸福をもたらす抱擁、脳が蕩けるほどの快楽に酔う口付けの三連コンボを少女たち一人一人に丹念に振る舞ったのだ。……結果、元UDCエージェントの少女たちは、邪神のエージェントとしても『元』が付き……今や邪神ではなくフレミアを狂信する有様である。
 この一角は、とうにフレミアのハーレムだった……。
「にゃぁ……にゃあ……ふにゃああああっ……♪」
「ふふ、そんな仔猫みたいな声で鳴いて……そんなにここがいいの?」
 ツインテールの、ちょっと幼げな元UDCエージェントの少女を横抱きにしたフレミアが、その少女の可憐な花弁を掻き分けて蜜を指先で掬い取る。その蜜を、フレミアの白魚のような指が花弁の上部に隠れた真紅の真珠へと塗り込んでいった……。
 少女はピクン、ピクンッと震えてフレミアの腕の中で気を遣る。
 次いでフレミアは、やや長身で凛々しい顔立ちの少女を仰向けに寝転ばせて、その上に覆い被さった。相手のメロンのような乳房を、根元からやわやわと揉みしだいていく。
「あ、あっ、おねぇさ、まぁ……♪ 先っぽ、ムズムズするよぅ……」
「じゃあ、わたしがムズムズを抑えてあげるわ。……ちゅっ♪」
「はぁぁんっ♪」
 切なげに震える少女の乳房の先端のクランベリーへ、フレミアは優しげに口付けた。ちゅ、ちゅっと吸い立て、舌先で転がし、甘噛みして歯触りを楽しむ。
「あっ……はぅんっ……ひゃぅぅんっ……♪」
 甘々な声を上げる少女のむっちりとした太股とフレミアのすらっとした太股が絡み合い、双方の爪先がピク、ピクッと震えた。
 少女の首筋に優しく牙を突き立てて芳醇な血液を味見しながら、実のところフレミアの思考は高速で回転している。
(……この子たちにはもう、こちらと争う意思は無いわね……)
 それなら、命まで奪うことは無い――生命を不当に奪う者、虐げる者を嫌うフレミアはそのように結論付ける。
(邪神討伐後にこの子たちが人に戻れるなら、元の生活に戻してあげたいし。……元々仲間だった子たちを容赦なく殺すのも忍びないし、殺さずに済むならそれで良いじゃない?)
 ……とはいえ、フレミアのその考えは難しい部分もある。一度、一時とはいえ邪神の眷属へと身を堕とした者が、改心したところで再び堕落しない保証はあるのかと。……野放しには出来ない、しかと始末を付けるべきだと主張する猟兵も多いだろう。
(……それなら、わたしが責任を持って引き取るわ)
 フレミアは、過去にも自分の虜として改心させたオブリビオンを己の魔城へと引き取ってきた経緯がある。今回のUDCエージェントの少女たちも、彼女は可能な限りそうするつもりだった。だから、フレミアは今この段階で少女たちにその意思を伝える。
「あなたたち、この事件が終わったらわたしの城に来なさいな。そこで一緒に暮らしましょう? 他にも色んな子たちが住んでるけど、大丈夫。きっと仲良くやれるわ」
 フレミアのその誘いに、何人かの少女たちは明らかに心惹かれた様子だった。彼女たちはそれを受け入れるかもしれない。――だが、幾名かの少女ははっとした様子で顔を伏せ……残念そうに首を横に振った。……フレミアが今組み伏せている少女も、その一人である。
 フレミアは微かに眉根を寄せて、けれど責めるような口調にはならないように気を付けて、目の前の少女を諭す。
「それはどうして? 何か理由があるの? 大丈夫よ、わたしが何とかしてあげるから、話してみて――」
「――駄目、駄目だよぅ……。だって、もうあたしは『済んでる』から……」
 鼻を啜り、目尻から涙をポロポロと零して、少女はフレミアに答えた。……その手が、自身のへその下辺りにそっと宛がわれている……。
 ――それを目撃して、フレミアの脳裏に天啓のように一つの推測が思い浮かんだ。
「……え? ちょっと……まさか、まさか……!?」
 フレミアの赤い双眸がVIPルームを一巡りした。その過程で飛び込んできた他の元UDCエージェントの少女たち……内の少なくない数が、他の猟兵との衝突の中で、明らかに自分の下腹部を守る仕草を見せている……。
 自分の推測の裏付けが取れて――フレミアはやっと、今回の儀式の完璧な全容を把握した。
「――皆! 急いで元UDCエージェントの子たちをこの部屋から引きずり出して! 人質の男連中は……多分どうでもいいわ! そいつらはもう、儀式に直接は関わってこないから! そいつらは生贄ですらないの!!」
 フレミアの絶叫がVIPルームを席巻する。それを聞き、今も他の猟兵と刃を交える元UDCエージェントの少女たちの表情が焦りに変わったのを見て、フレミアは自分の辿り着いた答えが本当に的中しているのだと確信してしまった。
 乱れた自分のドレスを整える間も惜しみ、フレミアは念動力で自分の周りに居る元UDCエージェントの少女たちを持ち上げ、VIPルームの出口へ駆ける。
(この子たちが、この街の特定の場所、特定の時間にパパ活をしていたのは、この街に巨大な邪神降臨の陣を敷く為――)
 それは既に判明していた事実である。だが、その為にパパ活という手段を選んだことには、もう一つ意味があったのだ。
(『避妊をしない』……ヒントはあったのに!)
 本日の最後の儀式においてもそうだ。乱交パーティー……儀式の最後の場を整える為にしても、何故こうも執拗に性交渉にこだわっていたのか? その答えは、この一点だったのである。
(元UDCエージェントの子たちが儀式を執り行う祭司たちで、男たちが単に場を整える為の道具……香炉とか蝋燭とか、そんな程度のものでしかないのなら――この儀式の場には絶対に必要なものが欠けていたのよ!)
 そう――『生贄』や『触媒』が。しかし……それは目に見えていなかっただけで、最初からこの場にあったのである。だから、フレミアは声を張り上げた。
「元UDCエージェントの子たちの何人かは――『妊娠してる』わ! そこまでいかなくても……『受精』してる子も何人か居るかも!? その子たちをこの場に、儀式の最終的な基点に居させては駄目! 今回の邪神降臨の儀式は……妊娠してる子たちのお腹の中の胎児を生贄に、受精してる子たちの宿してる受精卵を触媒にして果たされるものなのよ!!」
 フレミアが明確にした真実に、猟兵たちの間に戦慄が走ったのが解る。――同時に、その瞬間だった。
「あっ……!?」「うっ……」「い……痛いっ……!!」
 フレミアが運ぶ少女の何人かが、全く同じタイミングで下腹を押さえたのである。……普通に考えて、こんな1秒のずれもなく同様の反応を起こすのはおかしい。見れば、他の元UDCエージェントの少女たちにも、似た反応を見せている娘が居た。
 自分たちはVIPルームから駆け出して……フレミアは理解してしまう。
(『その時』が近いんだわ……!!)
 ――おぞましき邪神が現出する、その時が。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ローゼンベルグ
いつもの少女姿に【変装・変形】銃を持ち、ホテルの部屋に乱入
「くっ、これでは攻撃ができません……!」
と人質にされているパパたちに戸惑い、攻撃できないでいる風を装いつつ【狂乱の触葬】を発動
触手をスカートと足で隠しながら床に潜行させて静かに敵の近くまで接近【だまし討ち】をする
そのまま変態親父と一緒に【串刺し】にしてもいいけど……
私は優しいから今回だけは助けてあげる

触手の1本を敵武器の牽制・防御、残り全てを死角からの攻撃に使用
敵が怯んだら一気に変形を解き、態勢を立て直す隙を与えず【マヒ攻撃】【毒使い】を用いた【茨の触手】で拘束
「私の抱擁は少し刺激的よ」
と嗜虐心に満ちた表情で敵を締め上げていく



 邪神降臨の最終的な儀式の場、某ラブホテルのVIPルームに突入したイリス・ローゼンベルグ(悪を喰らう蠱惑の薔薇・f18867)は、波打つ豊かな白髪が飾る可憐な容貌を悔しげに歪めていた。
「くっ、これでは攻撃が出来ません……!」
 元UDCエージェントの少女たちに人質に取られているパパたちを前に、心優しい彼女は攻撃が出来ずに歯噛みする……。
 ――まあ、そんな『設定』であった。
(ああ……本当に面倒ね)
 内心で呟いた本音はそんな感じである。
 可愛く可憐なゴスロリ美少女は仮の姿、その正体はヒーローズアースで生まれた薔薇の因子を宿すバイオモンスターであるイリス。彼女に言わせれば、自身の欲望の結果で自業自得の状況に陥っているパパたちなど同情の余地は無い。……では、今のように攻撃を躊躇するふりをしている理由は何かと問われれば簡単だ。
 ――仕込みの為の時間稼ぎ。
 ……やがて、別の猟兵が決死の行動で膠着状態に亀裂を入れたタイミングで、イリスはその仕込みを発動させる。
「『さあ、踊り狂いなさい!』」
「――えっ!?」「なぁっ!?」「うぁぁっ……!?」
 ――イリスが相対していた元UDCエージェントの少女たちの足元から、突如として蠢く茨の大群が床を突き破って飛び出したのだ。完全に隙を突かれた彼女たちは、反撃に自分たちも触手を召喚することすらままならない。構えようとした銃やナイフも踊り狂う茨に弾き飛ばされて……さらに、イリス自身の肉体もまた解けるようにして膨大な量の茨へと変貌したのだ。VIPルームの一角に茨の津波が氾濫する……。
「あぁっ……!?」「いやっ、いやぁぁっ……!?」「痛いっ、助けて――」
 元UDCエージェントの少女たちの姿が、お伽話の『茨姫』に登場する城のように茨の中へと呑み込まれる……。
「――私の抱擁は少し刺激的でしょう?」
 数秒後、一部の茨が一箇所に集まり、絡み合って……黒のゴスロリドレス姿の人形のように愛らしい少女を形作る。『作戦』が上手くいったイリスは「ふふんっ」とほくそ笑んだ。
 先にも述べた通り、イリスの本質は薔薇の因子を持つバイオモンスターである。本来の姿は茨の如き触手の集合体だ。今見せている美少女の姿形は擬態に過ぎない。……彼女は、その擬態によって生み出したゴスロリドレスのスカートの陰で、自身の触手を床下へと伸ばしていたのである。そして、敵の真下まで潜行させたその触手の群れを、折を見て襲い掛からせた……単にそれだけのこと。
 しかし、ここまでの騙し討ちを難なくやってみせたことは、イリスの潜在能力の高さを窺わせた。
「ひ、ひぃっ……!?」
「に、人間じゃ、ない……!?」
 一連の出来事をはっきりと目の当たりにしたパパたちは、人質状態から解放してくれたイリスに対してむしろ怯えた目を向ける。……まあ、UDCアースの一般人としては当然の反応だった。そんな彼らに、イリスはとびきりの笑顔を返す。――ついでに、パパたちのすぐ横の床を茨の触手が鞭のように打ち据えた。
「別に、あなたたち変態親父も一緒に串刺しにしても良かったのよ。でも、私は優しいから今回だけは助けてあげたの。――解ったかしら?」
 ……それは、逆を言えば次は無いということ。パパたちは揃って正座をし、壊れたように激しく首を縦に振るのだった。
 そこまで見届けると、もうパパたちはどうでもいいとばかりにイリスは彼らに背を向ける。代わりに、自分の茨の触手の中に埋もれた元UDCエージェントの少女たちへと視線を向けた。……イリスの唇の端が、嗜虐心に満ちた様子で吊り上がる。
 イリスは己の茨の触手に麻痺毒を帯びさせていた。それが効き始めている少女たちは、如何に邪神の眷属とはいえ最早動くのも難しい状況である。故に、ここからイリスが自身の愉悦を満たす為に嬲って嬲って嬲って嬲って嬲って嬲って嬲って嬲って嬲って嬲り回しても抵抗など出来ないはずであった。
(悪は苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて徹底的に苦しめて殺すのよ。ああ、きっと楽しい時間になるわ――)
 それを実現すべく、イリスが我が身の一部たる触手たちへじわりじわりと力を籠め、元UDCエージェントの少女たちを締め上げようとした――その時だった。

「――皆! 急いで元UDCエージェントの子たちをこの部屋から引きずり出して!」

「……え?」
 別の猟兵が上げた切羽詰まった声に、イリスはキョトンとして思わずそちらを向く。その猟兵は、焦った様子で自分の周りの元UDCエージェントの少女たちをこのVIPルームの外へ連れ出そうとしていた。
「元UDCエージェントの子たちの何人かは――『妊娠してる』わ! そこまでいかなくても……『受精』してる子も何人か居るかも!? その子たちをこの場に、儀式の最終的な基点に居させては駄目! 今回の邪神降臨の儀式は……妊娠してる子たちのお腹の中の胎児を生贄に、受精してる子たちの宿してる受精卵を触媒にして果たされるものなのよ!!」
「……なっ……!?」
 その猟兵がもたらした情報に、流石にイリスも絶句する。
(だけど……確かに理に適っているわ……!)
 胎児にしろ受精卵にしろ、それは人がまだ生命として芽吹いたばかりの状態である。ある意味では、最も純粋で無垢な生命力に富んでいる頃だと言えなくもない。……考えようによっては、これ以上生贄として使うに最適な存在は居ないと言えた。
 ……そこまで考えてイリスははっとする。今、自分が茨の触手で拘束している元UDCエージェントの少女たち……その中にもまた、妊娠や受精を既に遂げている者が居るかもしれないのだ。彼女たちをこのVIPルーム内に置いておくのは間違いなくまずい……。
「………………くっ……!!」
 数秒の黙考の後、イリスが選択したのは――現状の茨の触手による拘束状態のまま、元UDCエージェントの少女たちをVIPルームの外へ運び出すことだった。……この場で即刻彼女たちをくびり殺すこともイリスには出来たが……そうすることが本当に理に適った判断か、イリスには確信出来なかったのである。
(……母体を殺したところで、そのまま一瞬の間も置かずに胎内の赤子や受精卵も死ぬわけじゃない。しばらくの間は間違いなく生きているはずよ……。その間に邪神の甦るタイミングが来たら、どのみちアウトじゃないの!)
 確実性を期すなら、少女たちの腹を引き裂いて……という工程を経ねばなるまい。少女たち一人一人にそれを実行する手間暇を考えれば、殺すか殺さないかは後回しにして、一旦VIPルームの外へ運び出した方が絶対に早かった。
「ああ、もうっ……!!」
 戸惑って右往左往するパパたちなど完全に無視し、直線上にあるソファーやら何やらの調度品も茨の触手で薙ぎ払って、イリスはVIPルームの外へと元UDCエージェントの少女たちを引きずり出す。……振り返ったVIPルーム内では、残された元UDCエージェントの少女たちが、下腹部を押さえて蹲り始めていた。
 幸いと言っていいのか……イリスが運び出した少女たちは、その兆候を見せ始めた者も居たが、段々と落ち着いていく。……けれど、室内の少女たちは逆にどんどん苦しげな様子になっていって……。
「……タイムリミットじゃないのよ……!!」
 イリスも否応なく悟る。――忌まわしき邪神の降臨の時が、もうすぐそこまで迫ってきている事実を……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠・翔
ここに来る前にメイさんには書置きと数十万のお金を置いておいたっす
ホテルの代金も払っておいて、何かあった時に携帯の番号も記載しておきます
機械に強い使役獣に頼み、メイさんみたいな境遇の人が登録されてたら男を特定を頼むっす



で、突入したのはいいっすけど人質いるから動けない…って、なんか数人熱っぽい視線向けてくるんっすけど?(誘惑40)
そ、そうだ…お、俺が身代わりになるので気絶した人達は解放してくださいっす!

警戒されますが…敵の何人かは誘惑されて承諾
そして服を剥かれ、裸にされあちこちを弄られ何度も絶頂します
その内周囲の敵も誘惑され…UCがしみ込んで使役獣化

他の人に頼み、い、今の内に避難させてくださいっす



 このラブホテルのVIPルームに来る前に、久遠・翔(性別迷子・f00042)は一仕事済ませてきていた。
 翔がパパ活を介しての情報収集の折、接触した少女・メイ。彼女は色々とワケありだったのである。
 ……何だこうだでメイとこことは別のラブホテルで一夜を共にした翔は、そこを去る時に眠る彼女の枕元に数十万円に及ぶ金銭と、自分の携帯電話の番号を記したメモを残してきた。当然、ホテルの代金も翔持ちである。
 ……そして、翔自身のユーベルコードによって誕生する『使役獣』なる存在の中で、特に機械や電子方面に強い者に頼み込み、件のパパ活斡旋サイトをハッキングしてもらうことにしたのだ。……メイのように男に食い物にされている女性が居たら、その相手の男を特定してほしいと。
 ……特定して翔がどうするつもりなのかは、ここでは記さない。ここで語られるのはあくまでも『猟兵』の物語であり、翔のその行動は『猟兵の範疇』からは明らかに逸脱しているのだから。

 ――そんなわけで、本題たる猟兵の物語へと戻ろう。
(突入したのはいいっすけど人質居るから動けない……って、何か数人熱っぽい視線向けてくるんっすけど?)
 このラブホテルのVIPルームに突入した直後から、翔は自分へと向けられる熱視線を感じて止まなかった。……翔お得意の、無意識の誘惑である。普段はそれに振り回され、酷い目に遭うことが定番の翔であるが……今回はこの段階で翔に閃くものがあった。
(そ、そうだ……これを上手く利用すれば――)
 やがて、別の猟兵が決死の行動で膠着状態を破ったタイミングで、翔は自分へ熱視線を向けていた者たちの方へ駆けた。走り込んできた翔へ警戒の色を見せるその場のUDCエージェントの少女たちへ、翔は声高に訴える。
「お、俺が身代わりになるのでパパたちは解放して下さいっす!」
「……はあっ? あなた、何言って――」
「――いいじゃないの。この子結構可愛いし、味見くらいさせてよ♪」
 不躾極まりない翔の提案に、元UDCエージェントの少女たちは馬鹿にするような眼差しを向ける者が大勢を占めたが――ごく一部、翔の無意識の誘惑で心奪われたらしい少女たちがその提案を勝手に受け入れる。
「じゃあ、こっち来なさいよ。可愛がってあげるわ……♪」
「うぅ……はいっす……」
 食虫植物に囚われる虫はこんな気持ちなのかと想像しながら、翔はキングサイズのベッドの上へと乗るのだった……。

 ――が、はっきりと述べさせてもらえば、今回の翔のこの策は見通しが甘かった。
「……やっ、嫌っす! 駄目……離せっすぅぅ!!」
 上着を剥ぎ取られ、ズボンも抜き取られ、下着も……Gカップの爆乳を押さえ込んでいたさらしさえ奪われた翔は、ベッドの上で仰向けに押さえ込まれようとしていた。
 元UDCエージェントの少女たちに――ではなく、欲望に目を爛々と輝かせたパパたちに。
 ……途中までは確かに、元UDCエージェントの少女たちが翔の相手をしていたのだ。翔の豊かな乳房を散々こね回し、立ち上がってきた先端の突起をつねり回して、翔の肢体を跳ね回らせたのである。さらには、翔の秘められた部分の花弁を掻き分けて、その奥にある泉から甘い蜜を何度も何度も掻き出した。翔は幾度となく背を仰け反らせ、痙攣を繰り返し、意識も朦朧として――気が付いた時には、相手がパパたちへ入れ替わっていたのである。
 鼻息荒く、粘つく視線で翔の爪先から頭頂部まで睨め回すパパたち……。そう、パパたちだって翔の無意識での誘惑に心惹かれていたのだった。
 流石に、翔もそこで正気に返る。翔は、今でこそ女の身体になっているが、元々は男だった身だ。今でもその心は男のままであり……だからこそ、我が身に男が欲情している事実、それに触れようと迫ってきている事態に直面し、とんでもない悪寒が背筋を駆け上がる。
 真っ青な顔を巡らせた翔は、ベッドの脇でニタニタしている元UDCエージェントの少女たちを見付け、叫ぶ。
「な、何でパパたちが!? 解放するって約束じゃないっすか!?」
「……誰かしたかしら、そんな約束?」
「してないー♪ あの子が勝手に勘違いしただけ☆」
「なっ……!?」
 元UDCエージェントの少女たちの言い分に、翔は呼吸が止まるほど絶句した。
 ……翔の意識の外で、無自覚に発動しているからこそ、翔がしっかりと把握出来ていなかったのは仕方がないかもしれないが――翔の誘惑関連のユーベルコードは、『対象を翔の虜とする』というのが本質なのだ。
 ……『虜とする』というのは、あくまでも『心奪われ、離れられない気持ちになること。魅力に取り付かれること』であり、『相手の願いを何でもかんでも聞いてくれる状態』ではないのである。
 ある種の具体例を挙げるなら『ストーカー』。あれもまた、『ストーキングの対象の虜となっている状態』に他ならないのであるからして。
 つまり、今の元UDCエージェントの少女たちがどういう状態であるかと言えば、翔の虜にはなっている。だが、その結果彼女たちが選択したのは、『翔の側に自分たちが近付いて一緒に居ようとする』ことではなかった。真逆の、『翔を自分たちの側に堕として一緒に居ようとする』ことだったのである。
「いや、だからって……何でパパたちとこんなことをしなきゃいけないんすかー!?」
 翔の心からの疑問に、元UDCエージェントの少女たちはクスクスと微笑み合う。
「だって――『私たち皆パパたちの子供を妊娠してる』んだもの♪」
「……………………え?」
 ……自分の危機的状況も一瞬忘れるほど、翔はその言葉に呆けた。
 そして――次の瞬間、別の猟兵の必死の訴えに耳を奪われる。

「――皆! 急いで元UDCエージェントの子たちをこの部屋から引きずり出して!」

「元UDCエージェントの子たちの何人かは――『妊娠してる』わ! そこまでいかなくても……『受精』してる子も何人か居るかも!? その子たちをこの場に、儀式の最終的な基点に居させては駄目! 今回の邪神降臨の儀式は……妊娠してる子たちのお腹の中の胎児を生贄に、受精してる子たちの宿してる受精卵を触媒にして果たされるものなのよ!!」

「…………………………え?」
 ……もたらされたこの場での邪神降臨の儀式の真実に、翔は揺れる瞳で自分に誘惑されているはずの元UDCエージェントの少女たちを見た。彼女たちは瞳を輝かせて……瞳を『狂気』に輝かせて、翔に語り掛ける。
「あなたも、赤ちゃん作りましょう?」
「その赤ちゃんを、『あのお方』に捧げましょう?」
「私たちの血を引く命が『あのお方』の糧になる……それはとても光栄なことなのだから♪」
「………………ぅぅぁああああああああああああああああああああっっ!?」
(気持ち悪いっ、気持ち悪い! 気持ち悪いっすっっ!!)
 邪神の眷属たちの真の狂気を目の当たりにし、翔は喉から血が出そうなほど絶叫した。
 ――その刹那、翔のユーベルコードが真価を発揮する。
「……え?」「何だこりゃ!?」「な、何? 何事?」「はぅー、動き難いっ」
 元UDCエージェントの少女たちも、翔を襲おうとしていたパパたちも、全員揃ってSD二頭身のチビキャラへと変じたのである。……これが、前述した『使役獣』。こうなった対象は、一時的にだが満足に動けなくなるのであった。
 使役獣化したパパたちを撥ね飛ばし、翔はベッドから転がり落ちる。そして、声の限りに叫んだ。
「だ、誰か! 今の内に避難させて下さいっす!!」
 その声を聞き付けた他の猟兵たちがこの場へ走り込み――『翔を』抱え上げて退避する。
「お……俺じゃないっす! パパたちを――」
 ……しかし、取って返す余裕は最早猟兵側には無かったのである。VIPルームの各所で、まだその場に残っていた元UDCエージェントの少女たちが蹲り、或いは倒れて、己の下腹部を押さえて身悶え始めていた。同時に、VIPルーム全体に妖しい光が満ちて、脈動するように明滅を開始する。
 もしも、窓を破って外を見る者が居れば、街の各所から同様の妖しい光が柱となって立ち昇り、それがこの場へと集束していっているのが解っただろう……。
 ――時は来たれり。
 ……今、猟兵たちの足掻きで生贄と触媒の数が圧倒的に足りず、不完全なものとはなったが――邪神降臨の時がここに訪れたのである……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『堕落を誘う淡朱の踊り子』

POW   :    パッショネイトダンス
【情熱の篭った振り付けのダンス】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    閃光百裂拳
【両方の拳】による素早い一撃を放つ。また、【リズムに乗る】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    ディーヴァズメロディ
【全身】から【伝説の歌姫を思わせる神秘的な歌声】を放ち、【催眠】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:夜神紗衣

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は片桐・公明です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 某ラブホテル、その最上階のフロアをほぼ全て占めている乱交パーティー用のVIPルーム……。そこには今、この世ならざる光が満ちていた。
 直視し続けていると脳の奥が歪むような……そんな感覚に囚われる光の中で、細くしなやかな少女たちのシルエットが踊り狂っている。……いや、実際には踊っているのではなく……見ているだけではどれほどのものか想像すら出来ない苦痛にのたうち回っているのだ。
 元は、UDCの構成員だった少女たち。とある邪神を追っている内にその存在に逆に魅せられ、それの配下に下ってしまった人類の裏切り者。だが……それであっても今のその姿は惨過ぎた。
 ある少女の股座から伸びるその影は、女の繊手に見えた。またある少女の両脚の付け根からは、三本目の脚が生えている。はたまたある少女の股間から垂れ下がっているのは……何かしらの内臓器官かもしれない……。
 それらは、元は少女たちの胎に宿った新たなる命だったモノ。何事も無ければ十月十日後、40週280日後に産声を上げていたかもしれない生命。……しかし、そうなる前に……よりにもよって母たる少女たちによって、邪なる神への供物として捧げられてしまったのである。
 ――その結果がこれだ。
 恐らくは邪神の……その肉体の一部へと変じた嬰児たちは、その形で母の胎より這い出したのである。まだ開き切っているはずも無い産道を母体の骨格すら押し曲げてこじ開け、胎盤を強引に引きちぎり、いや、それどころか……母たちの内臓を引きずり出して。
 そんな出産の光景は、如何に生まれてもいない我が子を生贄に差し出した罪深き母たちの末路とはいえ……あまりに惨たらしく、救いが無かった。
「……違う……私……私たちは……こんな風になるなんて聞いてなかった……! ここまで酷いなんて知らなかった……!!」
 ……猟兵たちによって此度の邪神降臨の儀式の基点中の基点、眼前のVIPルームより引きずり出されていた元UDCエージェントの少女の一人が、自らの顔を両手で覆ってガタガタと震えている。彼女は言う。自分たちに声を掛けてくれた『あのお方』は、少なくとも自分たちの身に危険は無いと言っていたと。自分たちの子供たちの魂も『あのお方』と一つとなることで永遠の救済を得、事実上『あのお方』の母となった自分たちは限りない栄光と幸福に包まれるのだと言っていたと……。
 ここに来てようやく正気に返った元UDCエージェントの少女たちは、犠牲になった仲間たちへの、取り返しの付かない行為に手を染めてしまったことへの罪の意識に泣きじゃくる。
「は、ははっ……へへははひゃひゃひゃひゃっ……!?」
 ……同じく猟兵たちによって彼のVIPルームより引きずり出されていたパパの一人は、もう目の焦点が合っていなかった。狂ったようにではなく、もう完全に狂ってしまった笑い声を上げて身体を前後に揺らす。
 そんな中、VIPルームの光が弱まって……そこの中央にとうに骸となった元UDCエージェントの少女たちの胎から零れ出た肉塊たちが集合する。それらはぐちゃぐちゃとおぞましい音を立ててより集まり、繋がりあって――一人分の人影を形作った。
 ……誕生の経緯の気持ち悪さが信じられぬほど、その『女』は美しい。
 伸びる腕や脚は水中で揺らめく珊瑚のようであり、細い腰は百合の茎のよう。反面、胸や尻は南国の果実のように瑞々しく実っており、悩ましく弾んでいた。長い赤毛はルビーを糸にして束ねたようであり、その顔立ちは天才彫刻家が一命を賭して彫り出したかの如く整っている……。
 何も知らぬ者ならば、『美の女神』と確信したかもしれない……。
 けれど、猟兵たちは知っている。グリモアベースで言われた通り、あれは『淫魔』に属するモノだと。……さて、では淫魔とは何なのか?
 ……エッチで可愛い小悪魔というのが昨今の常識かもしれないが、違う。断じて違う。
 例えば、UDCアースの伝承の中には『サキュバス』、『インキュバス』という有名な淫魔が居るが……この二種が本来は同じ存在ということはご存じだろうか?
 同じ悪魔が女の姿の時はサキュバス、男の姿の時はインキュバスと呼ばれるのである。
 この悪魔はまずサキュバスの姿で男の前に現れ、性交渉を介して男の○○を奪い取るという。次にインキュバスの姿で女性の前に現れ、男から奪った○○を使って女性を孕ませるのだ。
 そうして、女性の側は何処の誰の子とも知れぬ赤子を産むこととなる。……それが、社会においてはどれほど後ろ指を指され、肩身の狭い思いをするのか……想像に難くない。
 生まれてきた子供も不幸だ。父親が何処の誰かも解らない存在だと、ずっと陰口を叩かれていくのだから。
 そして……その子の父親である男は、実の子供がそのような目に遭っていることに気付くことすら出来ず、のうのうと生きていくことになる。無自覚ながら、何とも罪深く……。
 サキュバス=インキュバスは、そんな父母子を眺めて嘲笑うのである。
 ……淫魔とはそういう存在だ。本来は何よりも尊く、誰からも祝福されるべき生命の営みを、貶め、踏み躙り、玩具にして、自分たちはほくそ笑む……そんな存在。
 そういう意味で考えたのであれば、今、ここに姿を現した彼の女邪神は、何処までも、限りなく正しく淫魔であった。
 彼の淫魔――『堕落を誘う淡朱の踊り子』は、自身が降臨したこの場の惨状を一通り眺め、朗らかに笑う。
 ――人類の、新たな生命を育むその行為など、自分が楽しみ、飽きれば壊す程度の玩具に過ぎないと言わんばかりに。
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ・PC絡み・色気歓迎)
(あらすじ:少女達に散々に弄ばれた、力ある「種」を絞り取られて)

(WIZ)
…迂闊だった、人質救出の囮が…愚策だったとは。
(歯噛みする青年、一体何人の女性が彼の「種」で孕んだか)

…最低限の衣類と剣は取り戻し、邪神に応戦しに行く。
…が、先の消耗は激しく、長くは持たん。
…特に俺は(前章時点で)唯一の男性猟兵だ、不足している精気を奪いに邪神が俺を襲う事は容易く想像できるが、抵抗の間もなく堕ちる。

…だがせめて、最悪でも一矢は報いる。
…【選択UC】発動し、俺の体から発現した「猛毒クラスの霊圧」を邪神の体内に流しこみ、精霊の怒りで…体の内より破壊する。(属性攻撃+全力魔法)



 ……邪淫の女神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』の朗らかな――けれど吐き気を催すほど邪悪な笑顔を目にするなり、ルトルファス・ルーテルガイド(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は震える脚を叱咤して立ち上がった。
 最低限の衣類のみを身に着けたルトルファスの身体には重い疲労がこびり付いている。それは、人質となっていたパパたちを救出する際に、元UDCエージェントの少女たちに我が身を捧げて囮となったが故のもの。その結果、幾人かの猟兵がパパたちを救出する一助となったはずだが……彼の顔には極めて強い後悔の念が浮かんでいた。
「……迂闊だった。人質救出の囮が……愚策だったとは」
 ルトルファスが歯噛みしたのも致し方がない。実のところ、人質とされていたパパたちは邪神降臨の儀式の最終局面においてそこまで重要な存在ではなく……実際に最重要な存在だったのは、元UDCエージェントの少女たちの胎に宿っていた胎児や受精卵だったのだから。
 ……そう、受精卵。囮として元UDCエージェントの少女たちと交わり、その子種を絞り取られていたルトルファス。或いは、邪神を呼び覚ます為に用いられた受精卵の中には、直前に自分の精と結び付いて誕生したものもあったのではないか……? そんな想像がルトルファスの頭からは離れない。
 ――結論を言えば、その可能性は相当に低いのだが。男性の精子が女性器内に入り、そこにちょうど卵子が存在していたとしても、受精に至るには最速でも一時間は掛かるという。猟兵がこのラブホテルのVIPルームに突入し、邪神の降臨が為されるまでの時間経過を顧みれば、ルトルファスの子となるかもしれなかった存在が眼前の女邪神の降臨の犠牲となった可能性はかなり低いこととなる。
 ……けれど、きっと、そういう確率論の問題ではないのだ……。
 長い漆黒の髪をなびかせて、ルトルファスが『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ疾駆する。その手に携えるのは、黒く、鈍く輝く大剣。その重々しい切っ先が、彼の女邪神へ牙を剥いた。
「……Aha♪」
 だが、淫魔の女神は微笑みを崩さない。むしろ、ますます深くした。まさに踊り子の如く華麗に舞ってルトルファスの斬撃を躱すと、その喉――否、全身を震わせて旋律を紡ぎ上げる。
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuuRaaaaaaaa―――――――♪」
「……っっ!?」
 水晶で出来た鈴を黄金の鐘と共鳴させたような……透き通り、荘厳で、しかし全身に針のように突き刺さってくる歌声がルトルファスを捉えた。瞬く間に彼の膝から力が抜ける。冷や汗が滝のように流れ落ちた。どうにか『守護者の大剣』と名付けられた刃を手のひらから零さないようにするのが精一杯である。
 相手が曲がりなりにも邪神そのものだから……というのもあるが、元よりルトルファスの消耗が激し過ぎるのだ。……考えてみれば、囮役を担った時に元UDCエージェントの少女たち複数人とイタしただけでなく、その前にアカネともシていたのだから。
 真面目にテクノブレイクが心配されるルトルファスだが……くずおれた彼にはさらなる受難が襲い掛かる。――女邪神が、ルトルファスの身に淫靡に絡み付いてきたのだ。
(予想は、出来ていたが……)
 ルトルファスは苦しげに、悩ましげに息を漏らす。……『堕落を誘う淡朱の踊り子』は顕現こそ果たしたものの、胎児=生贄と受精卵=触媒の不足で万全な状態とは言い難い。その不足分を補う為に、猟兵から精気を奪い取ろうとする事態は充分に推測出来た。……特に、現状この場で唯一の男性猟兵であるルトルファスは、女性型の淫魔でもある彼の邪神には都合が良い捕食対象であったのだろう。
 下半身に申し訳程度に穿いていたズボンを、動きを封じられたルトルファスは容易く下ろされてしまう。そして……邪神の踊り子は、その弾むような豊乳でルトルファスの分身を挟んできた。
「くっ……あっ……あぁっ……!?」
 ……まるで乙女のような声を上げ、背を仰け反らせるルトルファス。柔らかくも張りのある感触が、彼の男の象徴を包み込んだ。陶磁器のように滑らかで、そのくせ餅のように吸い付いてくる柔肌が、過労を訴えていたはずの彼の男性器へ見る見る内に血を集めていく。
「かっ……はっ……!?」
 血を吐きそうな表情で、それでもルトルファスは勃ち上がらされてしまった。脳に回る血液が不足し、彼の視界に靄が掛かる。
 仰向けに倒れたルトルファスの腰の上に、『堕落を誘う淡朱の踊り子』は跨ってきた。羽衣のような衣装の奥に隠された女神の下の口が、ゆっくりとルトルファスの怒張を頬張っていく……。
「あ、ああぁぁああああああああっっ……!?」
 ルトルファスの腰がビクンッ、ビクンッ! と跳ね上がる。……何と形容すればいいのか? 赤く燃える溶鉱炉に己の中心部を突っ込んだようでもあり、何億匹もの軟体動物が自らの根幹を這い回っているようでもあり……。とにかく、聖母のように慈しみに満ちていると同時に、野獣の如く乱暴なまでの快感と悦楽の暴風。それがルトルファスを襲った。
(ま……ずいっ……!!)
 ルトルファスは確信した。ただ、挿入しただけでこの有様なのである。もしも、このまま自分の上の紅玉の髪の女邪神がその腰を淫らにくねらせれば……恐らくそれがもたらす快楽によって、彼は狂気の世界へと旅立つ。
 ……だから、その前に……。
(――せめて、最悪でも一矢は報いる……!!)
「『……荒ぶる精霊よ、我が身を依り代……命を導に、今ここに刹那の力を示せ!』」
 ルトルファスが振り絞るように唱えた文言に呼応して、彼が最後まで手離さなかった『守護者の大剣』が凄絶な魔力を迸らせる。
「……喰らえっ……!!」
 ルトルファスが発動させた全身全霊の魔法は、性的な結合を介して『堕落を誘う淡朱の踊り子』の体内へと流し込まれた。
「A――AhhhhhhhhOhhhhhhhhhhAHaaaaaaaaaa~~~~~~~~~~!?」
 ルトルファスの上で、女神たる淫魔が絶頂したように身体を震わせた。背筋をピンッと反らし、喉元を晒して天を仰ぎ、痙攣を繰り返す。……その実、己が内部で荒れ狂う精霊の怒りを伴う魔法に、肉と骨を焼かれているのに他ならない。
 その様を見上げながら……ルトルファスは呟く。
「……この、妖婦めっ……!!」
 瞳から血涙を、唇から血煙を零しつつ、女邪神はその苦痛が刺激的だと言わんばかりに笑っていたのだから……。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「そうか。行為の回数や一定量を集めるのではなく――胎児達そのものを、生贄にしたのか」

まずは発狂したパパに記憶消去ペンライトを
『催眠術』で寝ていて貰おう

■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている
裸だが、根が際どい所を隠す

■戦闘
機動部隊を突入させ
9mm拳銃による『クイックドロウ』と『先制攻撃』で銃撃しよう

『2回攻撃』で、踊りに乗じられる前に攻撃を叩き込んでやる
もし、可能なら『UDCスピーチ』も使って機動部隊や仲間の戦闘力を引き上げたい
必ず終了させる

「胎児は踊らない。それでもお前が踊るというのなら――私達が、その夢を見させてやる」


アドリブ等可


霧沢・仁美
いくらなんでもこんなの…酷すぎるよ…!こんな酷いモノは…ここで、倒さないと…!

パパ達(正気の有無は無関係)・まだ息のある元エージェントの人達を安全そうな処まで退避させた後、戦闘に突入。

【衝撃波】、サイキック・ワイヤーロープの【投擲】、これらを組み合わせた【2回攻撃】で主に攻撃。
直接的にダメージを与えるよりも、相手の行動のリズムを乱し動きを制限することを主眼とする。
これによって隙が生じたところに念動光弾を撃ち込む。

相手の誘惑や催眠は【狂気耐性】と、目撃した彼女の誕生過程に基づく嫌悪感と憤りで克服を試みる。
「こんなの…美しくなんてない…!」
(アドリブお色気表現可)


カリッサ・クルス
理由はともかく正気に戻った子がいるのは不幸中の幸いね。元の生活に戻れるかは知らないけど。

発狂してる男は縛り上げときましょう自殺とかしかねかないし。生きてればその内正気に戻るかも知れないし。

あとは邪神を片付ければ事件解決ね。
「絶望の福音」で攻撃を回避しながらナイフで切りつけていくわ。リズムがあるなら攻撃の予測はある程度やり易いはずだわ。私だってちょっとはリズム感に自信があるのよ。

降臨前にUDC組織のエージェントを堕として手駒にしてたくらいだし、精神操作の類いが得意なのは予想がつくわ。精神操作への耐性はあんまり自信ないし、頭をおかしくされる前に一気に決めるわよ。首を切り落として終わりにしてやるわ。



 他の猟兵が顕現した邪神――『堕落を誘う淡朱の踊り子』に仕掛けた隙を突いて、霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)はVIPルーム内に取り残されていたパパたちを部屋の外へと引っ張り出していた。……彼らの表情は一様に正気を失ったもので、仁美の胸に痛みを走らせる。
「いくら何でもこんなの……酷過ぎるよ……!」
 いつもは快活に輝く仁美の双眸が、今は涙を零しそうに揺れている。……本当は、室内に取り残された元UDCエージェントの生存者も避難させたかった仁美だが……それは必要が無かった。VIPルーム内には、生存している元UDCエージェントの少女は居なかったのだから……。
 ……彼女たちの腹部から股間に掛けての有様、原形を留めていないその姿を思い出し、仁美は奥歯を噛み締める……。
「……へ、へへへっ……ひゃひゃひゃっ……♪」
「――あっ……!?」
 そんな仁美へ躍り掛かったのは、正気を彼方へ置き去りにしたパパの一人だ。涎を撒き散らし、何処を見ているかも解らぬ眼差しで、仁美の豊満な肢体に手を掛ける――その寸前。……カーテンか何かを引き裂いてより合わせた物か? 即興の縄がその男へと巻き付いた。瞬く間に腕も脚も雁字搦めにされ、男は床へと転がされる。
「……あ、ありがとう」
「大したことじゃないわ」
 おずおずと礼を述べた仁美に、男を縛り上げた少女は何でもないことのように返す。……彼女、カリッサ・クルス(組織のエージェント(きどり)・f19088)は他のパパたちも一瞥した。
「……残りも縛り上げときましょう。下手すると自殺とかしかねないし。……生きてればその内正気に戻るかもしれないし――」
 ――が、カリッサがそれを実行に移すよりも早く、一瞬の閃光がパパたちの目を焼いた。次の瞬間にはバタバタと意識を失って倒れるパパたちの前に、火奈本・火花(エージェント・f00795)が歩み出る。……先の閃光は、彼女が手にする『記憶消去用ペンライト』によるものだった。
「……今回の件に関わる記憶を彼らから消しました。正気を失うきっかけとなった記憶も消した以上、次に目が覚めた時には彼らも正気に戻っているはずです。……何かしらの後遺症は残るかもしれませんが……」
 火花の説明にほっと胸を撫で下ろす仁美だが――直後に顔が強張ったのは、火花が既に真の姿を晒していたからだろう。……胸から左腕に掛けて樹木へと変貌し、それ以外の部分にも根が血管のように張り巡らされている火花の肉体……。きわどい部分は根によって辛うじて隠されているが、実に煽情的な姿である。
 ……今は、それ以上に緊迫感を醸し出しているのだが。火花の赤い眼は、VIPルームの中央にて先陣を切った猟兵を組み伏せた淫魔たる女邪神を射抜く。
「……そうか。行為の回数や一定量を集めるのではなく――胎児たちそのものを、生贄にしたのか」
 底冷えした火花の声には、UDCエージェントとしての、そして女性としての怒りが籠められていた。
 とっくの昔に臨戦態勢の火花の横に、こちらも臨戦態勢へ移行したカリッサが並ぶ。
「……理由はともかく、元UDCエージェントの子たちに正気に戻った子が居るのは不幸中の幸いね。元の生活に戻れるかは知らないけど。だから――後はあの邪神を片付ければ事件解決ね」
 ナイフを抜き放ち、緑の瞳を細めるカリッサ。その淡々としていながらも決意を籠めた言葉に、仁美も自らの頬を両手で張って意識を戦闘へと切り替えた。
「こんな酷いモノは……ここで、倒さないと……!」
 恐らくは、この場の全猟兵の思いを代弁した仁美の呟き。それを合図に――火花もカリッサも、再びVIPルームへと足を踏み入れた。
「『我々は、我々の総力を持って戦う!』」
 意思表明の如き火花の叫びは、それ自体が合図だった。先の狙撃でいくつかには亀裂が入ったVIPルームの窓――そこを突き破り、完全武装の特殊機動部隊の兵士たちがなだれ込んでくる。
 先陣を切った男性猟兵を組み伏せていた女邪神も、その人数には脅威を感じたのか? 踊り子染みたその風袋に相応しい身軽さで後方へ飛び退く。……が、火花の方が一瞬早い。手品のように彼女の手の中に現れた自動拳銃が、連続して9mm弾を吐き出した。
 火花の射撃に続けと、機動部隊からも雨あられの銃弾が『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ降り注ぐ。しなやかに、柔らかく肢体をくねらせる邪神の美女だが、全ての弾丸は躱し切れず、その柔肌が裂かれ、穿たれる。
 その、豪雨の如き銃撃の中を掻い潜り、カリッサの細身が邪神の美身へ肉迫した。これ幸いと彼女を鉛弾からの遮蔽物として使おうとする女邪神……だが、そうはいかないとばかりに首を傾けるカリッサ。カリッサの赤茶色の髪を掠めて、火花の放った9mmの弾丸が邪神の踊り子の肩口へ突き刺さる。
 ……カリッサは、ユーベルコードにて予知能力染みた予測力を発揮していた。まるで10秒先の未来を見てきたかの如く、火花と彼女率いる機動部隊『四葉のクローバー』の射撃を回避し、それどころか自分の身体を隠れ蓑として、彼女らの弾丸を『堕落を誘う淡朱の踊り子』へと誘導する。さらに、カリッサ自身のナイフも旋風のように邪なる女神へと襲い掛かっていた。
「Iyahhhhhhhh!」
 女神の両の拳が蜂のように鋭く、或いは蝶のように変幻自在にカリッサに向けられるが、それを紙一重で彼女は避けてみせる。逆に、反撃として相手の手首へ刃を閃かせた。『堕落を誘う淡朱の踊り子』の動作の中に潜む、独特のリズム。小さく口ずさみ、カリッサはそれを読み取っていた。
(リズムがあるなら、攻撃の予想はある程度やり易いはずだわ。私だってちょっとはリズム感に自信があるのよ)
 それによって、ユーベルコードによる先読みの精度もますます増加させるカリッサ。……けれど、如何にリズムがあるとはいえ、それにノリ始めた踊り子邪神の動きは速度を増しつつあった。カリッサが少しでも集中を欠けば、痛打を受けるのは彼女の方である。
 ……その上、カリッサの側には多少焦る理由もあった……。
(このオブリビオン……降臨前にUDCのエージェントを堕として手駒にしてたくらいだし、精神操作の類いが得意なのは予想が付くわ――)
 ……なのだが、実はカリッサ自身は精神操作の類いへの耐性にはあまり自信が無いのである。故にこそ、それを使われる前に勝負を決めたいというのが彼女の本音だった。
(頭をおかしくされる前に一気に――!?)
 ――その刹那、カリッサが恐れていた事態が起こる。『堕落を誘う淡朱の踊り子』の全身が震え……それがある種の旋律を持って大気を震わせたのだ。
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuuRaaaaaaaa――――――――♪」
(まず――)
 それこそが、元UDCエージェントの少女たちも操った精神操作系の能力――そう予想出来ても、カリッサにはそれを防ぐ手立てが無かった。彼女は、意味があるかも解らないまま、顔の前に両腕を交差させて翳す……。
 ――が、あわやというところで、カリッサの身は大きく後方へ引き戻された。その腰に巻き付くのは一本の『サイキック・ワイヤーロープ』。……仁美が念動力で操る難燃素材の縄が、カリッサを邪神の呪い歌の影響範囲から救ったのである。
 ……しかし、当の仁美と火花、及び『四葉のクローバー』の兵士数名が女邪神の魔性の歌声に囚われた。
「う、くっ……っぁあっ!! 『我々は邪悪にも狂気にも屈しない。光の影に闇はあれど、光のある限り闇は出でず。諸君、勝利しよう!』」
 自身の精神の水面を激しく揺らす魔の歌を、火花はUDCエージェントとしての強固な覚悟で跳ね除けた。今や半身を覆う『ヤドリギ』……火花を宿主とする吸血植物も、それに呼応してビキビキと鳴る。同時に、火花は己がユーベルコードを演説に乗せて放った。『四葉のクローバー』の面々も、それが叱咤となったのか膝を突きそうになるのを持ち直す。
 ……だが、仁美はその場に力無く崩れ落ちた……。

「――あ……?」
 ……気が付けば、仁美は少々お高めのラブホテルのベッドの上に仰向けに横たわっていた。そんな仁美の上に覆い被さっているのは、彼女がパパ活した紳士的ながらお願いの仕方がとても上手なパパ……。
 夏服のセーラー服姿の仁美の腰に、スカートは既に無い。直前に、パパの手により床へと落とされたことを仁美は思い出した。それと同じように、スカーフも解かれて抜き取られてしまう……。
「上着も脱がせていいかい? ……恥ずかしいなら、無理強いはしないよ?」
「は、恥ずかしいですけど……脱がせても、大丈夫です」
 セーラー服は上も下もベッドの脇へと滑り落ち、仁美は下着とソックスだけの格好になる。17歳とは思えぬほどに肉感的な肢体が、父親よりも年上の男の目の前に晒されて……。
「胸を触ってもいいかい……? 拒否されても仕方がないけれど……」
「平気ですから、触って下さい……」
「下着も脱がすよ……? 今ならまだ、やめてしまっても――」
「やめないで、いいですから……」
「……君の……中に……」
「は……い……」
(……あれ……?)
 ……何か大事なことを忘れている気がして、仁美はふと首を傾げた。自分の熱っぽい息遣いが、まるで他人のもののように遠くに聞こえて……微かに別の音が聞こえてくる。……澄んでいて、とても綺麗で……それなのに何故か、猛烈に不快感を覚えるその音は、誰かの唄う歌のような……。
 ――ズキンッ……!!
 痛んだのは頭の奥と、胸の底。途端、そこから溢れ出してくる光景の数々。……生まれてこられなかった幼い……幼いという表現すら適切ではないほど小さく、か弱い命たち。それを蝕み、弄び、踏み躙り、形作られた美女……。その姿は美の神の化身といって過言ではないほどなのに、それでも、それでも仁美は、それを圧倒的なまでに醜悪だと思う。
「………………?」
 ……パパが何か言っていたが、もう、それは仁美には届かない。まやかしだと、はっきりと悟っているから。
 仁美が今見ているものに亀裂が走り――その亀裂の向こうに向けて、彼女は戦意を解き放つ。

「――Ahhhhu!?」
 稲妻のように宙を翔けたサイキック・ワイヤーロープが、『堕落を誘う淡朱の踊り子』の首へ巻き付いた。……全身で歌うとはいえ、やはり喉が重要なファクターなのか、結果として心を惑わす邪神の呪歌が止まる。首を絞め付ける縄をどうにか外そうと邪神の踊り子が四苦八苦するが、そうはさせるかとばかりに仁美の手から衝撃波が飛んだ。
「Au……Aguuuu……!?」
 仁美の攻撃、その一つ一つの威力は弱いが、それらは絶妙に女邪神の動きのリズムに不協和音を生じさせていた。大いなる淫魔の切れのあった体捌きが、徐々に、徐々にその鋭さを無くしていく。
 ――その隙を見逃すほど、火奈本・火花は甘くなかった。
「総員――撃て!!」
 火花自身は元より、彼女の号令の下に機動部隊『四葉のクローバー』も残弾よ尽きろというほどに銃火器の引鉄を絞る。流星雨の如き弾丸の嵐が、邪神の羽衣のような衣装を破り、その向こうの肉へと喰い込んだ。
「胎児は踊らない。それでもお前が踊るというのなら――私たちが、その夢を見させてやる」
 憎々しげな火花の宣告の通り、銃で撃たれる衝撃で淫魔たる邪神の肢体が踊るように揺らめいた。その、外面だけが美しい存在へ、仁美は吐き捨てる。
「こんなの……あんなのは……美しくなんてない……!!」
 仁美の渾身の力と思いが籠められたサイキックエナジーが、火花たちに負けぬ弾丸となって邪神の腹を貫通する。
 ――そこへ、カリッサも走り込んでいた。
 その手にしかと握り締めたナイフは、カリッサの母の形見。それには聖なる力が宿っていると、カリッサは母から聞いていた。
 真実は不明……だが、今はそれを信じ、カリッサは邪神の首元目掛けてナイフを一閃させる……。
 ――深く肉を裂く感触を覚えながら、カリッサは邪神の脇を駆け抜ける。そして……。
「……っ、吸血鬼でも普通なら死んでるわよ……!?」
「……やはり、一筋縄ではいかないか……」
 首を頸椎が覗くほど切り裂かれながら、それでも『堕落を誘う淡朱の踊り子』が微笑してみせたことで、カリッサと火花は舌打ちをする。
 引き戻したサイキック・ワイヤーを念動力で蛇のように蠢かせながら、仁美はさらなる戦意とサイキックエナジーでポニーテールを揺らした。
「それでも、こんな酷いモノは……ここで、倒さないと……! ――倒すんだよ……!!」
 美しくも醜悪な淫魔の邪神と猟兵たちの戦いは、熱量と流す血の量を加速的に増やしていっていた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アイ・リスパー
「うう、赤ちゃんができてしまいました……」(思い込み)

けど、こうなった以上、お腹の子供とパパであるえびすさんは守らないとっ!
母は強し、ですっ!

【チューリングの神託機械】で情報処理能力を向上。
【アインシュタイン・レンズ】を邪神に放ちます。ですが……

「こ、この歌声はっ!?」

神託機械で聴覚を強化してしまったため、催眠効果を強く受けて幻覚に堕とされ……

『お帰りなさい、あ、な、た♪』

いつの間にかエプロン姿でえびすさんを出迎えていて……
私の手には小さな赤ん坊が。

『ご飯にします?
お風呂にします?
それとも……この子に弟か妹を作ってあげます?』



後日、妊娠していないことが分かり、この日の記憶を封印するのでした。



 あまりにも非人道な儀式で己を顕現させた邪神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ、幾人もの猟兵が強い感情をぶつける中――それとは別件で強烈な感情を胸に渦巻かせている少女が居た。
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)である。
 目尻から大粒の涙を零し、下腹部へと手を添えた彼女は、自分の身に起きたはずの決定的な変化に動揺していた。
「うう、赤ちゃんがデキてしまいました……」
 アイがパパ活を装って情報収集を行った折、誤解からガチ交尾を強いられてしまった巨漢のパパ・えびすさん……。アイはこの場において再び、彼の子種をその華奢な肢体へ受け入れることになってしまったのである。
 しかも――元UDCエージェントの少女の一人が持ち出した危険日測定スクリプトによると、アイは本日危険日真っ只中。それを聞かされたアイは、自分がとうとうえびすさんの子供を宿してしまったのだと確信してしまっている。
 ……まあ、真面目な話をすると、危険日に避妊せずに行為をイタしたとしても、その女性が妊娠する確率は一割を下回る上に、上記の危険日測定スクリプトも所詮は専門家ではない者が作ってネット上で公開していた代物。アイが本当に妊娠しているかどうかなど、実際のところはこの時点では解らないのだが。
 それでも、自分がえびすさんの子を妊娠したのだと思い込んだアイは、良くも悪くもそれをきっかけに奮い立つ。
「……こうなった以上、お腹の子供とパパであるえびすさんは守らないとっ! 母は強し、ですっ!」
 紆余曲折を経て、そうしてアイも降臨した邪悪なる女神へと立ち向かっていくのだった。
「『電脳世界への接続を確認。万能コンピューターへログイン。オペレーション開始します』」
 電脳世界の申し子たるアイが、その真価を発揮すべくユーベルコード・『チューリングの神託機械』を発動する。アイの周囲に無数のホロキーボードが展開し、宙に表示されたホロディスプレイの中を無数の記号が超高速で走り抜けていく。……猟兵としての本来の実力は決して低くはないアイ。それが今、満を持して淫魔たる女神へ矛先を向ける。
「『重力レンズ生成。ターゲットロック。光線発射準備完了です』」
 元UDCエージェントの少女たちの相手をした時は、えびすさんを人質にされたせいで発動が叶わなかった攻撃用ユーベルコード・『アインシュタイン・レンズ』。今度はしかと成就された。アイの眼前で変動した重力が空間を歪め、そこに周辺の光が急速に集束していく……。
「――行きますっっ!!」
 集束された光は、圧倒的熱量を秘めた光線と化して邪神の踊り子目掛けて突き進んだ。反射的に身を捻る『堕落を誘う淡朱の踊り子』だが、如何に邪神とて光速で放たれた攻撃を躱すのは困難である。電脳の天使が導いた裁きの光は槍となり、悪しき女神の胸を貫いた。
「AhhhhhhhhUriiiiiiiiii――――――――!?」
「どんなものですかっ! ……えっ? あ……」
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuuRaaaaaaaa――――――――――♪」
「こ、この歌声はっ……!?」
 アイの攻撃で胸に風穴を開けられながら、その前に他の猟兵に喉笛を裂かれていながら、それでもなお、女邪神は禍々しき歌声を響かせた。……『チューリングの神託機械』で自身のありとあらゆる感覚……聴覚すらも強化していたことが、アイの首を絞める。邪なる女神の催眠の歌声が、鼓膜を介してアイの脳へと深く、深く沁み込んだ……。

「――ただいま、なんだなぁ♪」
「あ! お帰りなさい、あ、な、た♪」
 玄関の扉が開閉する音と、聞こえてきた旦那様の声に、アイは弾むような足取りでそちらへと小走りした。旦那様……関取のような巨漢の中年男性・えびすさんは、自分より30歳近く年下の若妻を迎える為、その両腕を広げている。もちろんアイは、その中へ躊躇なく飛び込んだ。
(まあ、本当はまだ内縁の妻なんですけどね)
 エプロン姿が大分似合うようになってきたと自負するアイだが、その年齢は未だ16歳には達していない。えびすさんと正式に入籍する日はまだもう少し先だ。けれど、法律的には赤の他人であっても、既に自分とえびすさんの間には確固たる夫婦の絆が、家族の結び付きがあるとアイは確信する。
(だって……)
 えびすさんに抱き締められるアイの腕の中には、彼との愛の結晶である玉のような赤ちゃんがキャッキャッと笑っているのだから。顔立ちはアイに似て、髪と瞳の色はえびすさんのものを受け継いだその子を見ていると、アイの胸の奥にさらなる欲求が芽生えてきた。だから、彼女は旦那様へ甘えた声を出す。
「ご飯にします? お風呂にします? それとも……この子に弟か妹を作ってあげます?」
「そんなの――三番目に決まってるんだなぁー!!」
「きゃー♪」
 我が子をベビーベッドに寝かせて、アイとえびすさんはその横のキングサイズのベッドの上へ。お互いに生まれたままの姿になって……アイはもうすっかり受け入れ慣れてしまったえびすさんの巨根を、今夜も下のお口で咥え込む。
「あっ、あっ、あんっ、あっ、あぅっ、あぅんっ、あんっ、あふぅんっ……♪」
 対面座位でえびすさんに抱え込まれたアイは、自分の側も負けじとえびすさんの首に両腕を、彼の腰へ両脚を巻き付かせる。かつてよりも大きさと張りを増した乳房のツンツンに尖った先端がえびすさんの胸板で擦れると、甘い電撃をアイに走らせると同時に白い液体が染み出してきた。
「んっ、あっ、ちゅっ、んちゅっ、はっ、はぁっ、ちゅっ、んっ……♪」
 何度も何度もえびすさんと口付けを交わすアイ。その体内の奥底では子を育む尊き器官の入口とえびすさんの亀頭もキスを繰り返していた。キュンキュンと疼くお腹の最奥で、いずれ赤ちゃんとなる細胞が排出されたのをアイは感じ取る。
「はっ、はぁっ、えびすさん……。またちゃんと私を、ママにして下さいね……♪」
「するんだなっ、アイちゃんをもう一度ママにするんだなっ! 任せるんだなぁ!!」
「ふふっ、『もう一度』じゃ嫌ですよ。二人目を産んだら三人目、その後は四人目……私は何度でもママになって、赤ちゃんを産みたいんですから♪」
「ああ、何人でも、十人でも百人でも、赤ちゃんを作ってあげるんだなっ! 子だくさん万歳なんだなぁっ!!」
「よろしくお願いします、旦那様♪」
 また、一際深いキスを交わして――そこでアイもえびすさんも急激に高まっていく。自分の内側で硬さと大きさを増し、脈動もどんどん強くするえびすさんの男性器を、アイは意識して自分の女性器で強く抱き締めた。
「イク……イクんだなっ! アイちゃぁぁああああああんっっ!!」
「あ、あっ、あ、あ、あ、あ――ひゃぁぁああああああぁぁああああああああああ~~~~~~~~~~っっ♪」
 アイの中にえびすさんの種子がぶちまけられ……この夜、アイは生涯二度目の受精を経験することとなった。けれど、それで終わりではない。三度目、四度目と妊娠・出産を繰り返し、アイはえびすさんと大勢の彼との子供たちに囲まれ、明るく笑いに満ちた家庭を築いていくのである……。

 ――という夢を、アイは見た。
「つぎのこどものなまえはなににしましょうかー?」
 そんな寝言を呟くアイの表情は、何だかとても幸せそうで……。
 ――ちなみに、後日しっかりと調べたところ、アイの妊娠は無事に否定された。それを受け、アイはこの日の夢で見た記憶を脳の奥底へと封印することを決定する。
 ……だが、しかし――アイの心に、何よりもカラダに、この一連の事件での出来事は消しようもなく焼き付いてしまっているのは事実だった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
【催眠術】で魔力を言葉に乗せてエージェント達に「落ち着きなさい」と一括。
罪を感じるなら、仲間達や嬰児達の分まで生きて罪を償いなさいと諭すわ。
わたしは自分の眷属を絶対に見捨てない…わたしの下で、または人の中で罪を償いなさい。

さて…覚悟しなさい。あのコ達に罪が無いわけではないけどね…利用した合貴女が利用されたコより罪が軽いなんて事はないのよ。あの子達や子供の命まで糧にしたオマエは絶対に許さない…!

【吸血姫の覚醒】で真の姿解放。
【念動力】で敵の動きを要所で阻害し、覚醒で得た速度と【残像】、膂力と【怪力、早業】による魔槍の連撃を叩き込むわ!

最後は全魔力を【神槍グングニル】に込めて消し飛ばしてあげる!


イリス・ローゼンベルグ
本来であれば命を生み出す行為
それを利用し、逆に命を奪って生まれる存在に嫌悪を隠さず告げる
「あなた、悪趣味なのよ」
私と同じくらい、ね……

もう擬態は必要ない、頭を除く体の大半を触手に戻し戦闘開始
相手は歌や踊りで敵を幻惑して攻撃するタイプ……なら先手必勝よ
私は【漆黒の庭園】を発動
槍のように尖らせた触手で【串刺し】を狙う
でも、これはあくまで牽制、本当の狙いは触手についた薔薇の花からまき散らされる毒花粉の方
屋内であれば毒から逃れる術はない
歌と踊りが好きなあなたには最高のプレゼントでしょう?
【マヒ攻撃】【毒使い】を併用したこの花粉で相手の動きを鈍らせ一気に攻め立てる
「今度はあなたが玩具になる番よ」



 猟兵たちと『堕落を誘う淡朱の踊り子』の激突音がこだまする中……それでも戦場たるラブホテルのVIPルームから一歩でも出れば、元UDCエージェントの少女たちの啜り泣く声の方が大きく聞こえた。
 ……どうにか正気を取り戻した彼女たちだが……今度はそのせいで、自分たちが引き起こしてしまった事態への罪悪感と後悔が胸を押し潰しているのである。如何にかつてはUDCのエージェントであった身でも、まだ10代の少女たち。心は途轍もなく重いそれらに耐えられるほど強くはない……。
 再び心を壊してしまいそうになっている彼女たちへ――フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は凛とした声を響かせた。
「――落ち着きなさい」
 刃のように鋭く、けれど同時に木漏れ日のように温かに、フレミアの声は元UDCエージェントの少女たちの胸に滑り込んだ。怖々と泣き顔を上げた彼女たちへ、フレミアは優しく、力強く言い切る。
「罪を感じるなら、仲間たちや嬰児たちの分まで生きて罪を償いなさい。そして、わたしは自分の眷属を絶対に見捨てない……。わたしの下で、または人の中で罪を償いなさい。……それを、目を離さないで見守ってあげるから」
 フレミアの言葉に、また何人かの元UDCエージェントの少女たちが涙を零し始める。だが、今度のその涙の中に僅かばかりの前向きさを感じ取って、フレミアは少しだけ胸を撫で下ろした。
 ――即座に気を引き締め直して、フレミアはその真紅の眼差しでVIPルームの中を、そこで舞い踊る踊り子姿の女邪神を睨む。彼女の喉は、自然と言葉を紡ぎ始めていた。
「さて……覚悟しなさい。あのコたちに罪が無いわけではないけどね……利用した貴女が利用されたコたちより罪が軽いなんてことはないのよ――」
 一歩、また一歩と邪神に向けて歩むにつれ、フレミアの放つプレッシャーが加速的に増大していく。真紅の眼はますます燃え上がり、金髪が嵐の風を孕んだように激しく踊り狂った。
 真の力を覚醒させた吸血姫は、高位の竜ですら逃げ出すほどの怒りの眼光で邪なる女神を射抜く。
「……あのコたちや子供たちの命まで糧にしたオマエは、絶対に許さない……!!」
 次の瞬間、空間転移と見紛うほどの速度で突っ込んだフレミアの真紅の槍が、『堕落を誘う淡朱の踊り子』に炸裂した。爆風に煽られたように吹き飛ぶ邪神の女……その肢体が向かう先に、白髪のゴスロリ少女が回り込む。
 ――イリス・ローゼンベルグ(悪を喰らう蠱惑の薔薇・f18867)だ。
(本来であれば命を生み出す行為。それを利用し、逆に命を奪って生まれる存在なんて……ね)
「……あなた、悪趣味なのよ」
 ――私と同じくらい、ね……。
 言外でそう自嘲的に呟いたイリスは、瞬く間にその可憐な姿を変貌させた。愛らしい頭部のみそのままで――首から下は解け、拡散し、茨の触手の群体としての正体を晒す。
「『私の庭園(にわ)へようこそ……』」
 イリスを中心に、VIPルームの一角が茨の園へと変容した。そこへ、邪神の舞姫は為す術無く落下する――否、落下するよりも早く、槍の如く変じた茨の触手たちがその均整の取れた肢体へ殺到した。ドスドスドスドスドスドスッ……! と、身の毛のよだつような貫通音が女邪神の身体より鳴り響く。
(相手は歌や踊りで敵を幻惑して攻撃するタイプ……なら先手必勝よ)
 幻惑される前に、圧倒的物量と攻撃力で蹂躙する。それがイリスの立てた戦略だった。
 フレミアの側も、その判断は同じであったらしい……。
「UuuuuAhhhh――Gaha!?」
 我が身の各所に刺さったイリスの触手を抜こうとした『堕落を誘う淡朱の踊り子』が――しかし、逆により深くイリスの触手へと押し込まれた。フレミアの念動力。見えざる手で邪神の妖婦を押さえ付けた彼女は、残像を帯びるほどの速度で紅の魔槍を突き出す。イリスが響かせたものに勝るとも劣らない貫通音が連続し、踊り子邪神の肢体から血煙が立ち昇った。
「こんなもので、オマエの罪が雪がれたとは思わないことね!!」
 それでもまだ足りないと、フレミアが『ドラグ・グングニル』の名を冠する魔槍を振り翳すが――『堕落を誘う淡朱の踊り子』は、その踊り子の名の面目躍如とばかりに強引に……その身の一部をイリスの触手から引きちぎってまで、腰を、肩をくねらせた。妖艶で情熱的なダンスのリズムに乗って、フレミアの槍の穂先を蹴り弾く。
「……っっ!!」
「Ahhhhhh!!」
 吸血姫と邪神が視線で斬り結んだ。
「私を放っておかないでよ。寂しいじゃない」
 ――そこへ、再度イリスの茨の触手の槍が押し寄せる。フレミアは女邪神を足場として蹴り付け、その範囲から脱した。邪神の側は体勢を崩しつつも、全身から何度目かの魔の旋律を奏でようとする。触手を操るイリス自身を催眠に掛けてしまえば、この凶悪な茨の園より逃れられると気が付いたのであった。
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuu――!?」
 ……だが、歌おうとした邪神の舞姫は、それ以上に歌声を紡ぐことが出来ずに墜落した。墜落地点で待ち構えていた茨の触手の槍衾が、邪神の四肢を縫い付ける。
「悪かったわね。茨の触手の槍は実は牽制。本当の狙いは……『こちら』なのよ」
 ほくそ笑んだイリスが示したのは、彼女の触手の要所にて咲き誇る薔薇の花。そこからは、音も無く花粉が零れて宙を舞っている……。
 ――猛烈な麻痺毒を含む花粉が。
「屋内であれば毒から逃れる術は無い。歌と踊りが好きなあなたには最高のプレゼントでしょう?」
 サディスティックに微笑んだイリスの種明かしに、邪神の双眸が怒りに燃えるが、それをむしろ心地良さそうに受け止めて、イリスは自らの触手を渦巻くようにしならせた。
「今度はあなたが玩具になる番よ」
 一見デタラメ――その実、非常に的確にイリスの触手が鞭となって邪神の全身の急所を打ち据えた。茨の棘が邪神の女の柔肌を裂き、噴き上がった血がVIPルームの天井まで赤く染める。……イリスの薔薇の毒花粉は、イリス自身には強化をもたらしてくれた。それによって底上げされた触手の威力で、心は醜悪な美貌の邪神を嬲って嬲って嬲り回す。
「……Ah……Ahhhh……!!」
 ……それでも、瞳は死なない女邪神。業火の如き憤怒を双眸へ宿し、イリスへ憎々しげに唸るが、当のイリスは何処吹く風だ。
 何せ――もっと強大な怒りの炎を纏う存在が、彼女の視界には映っていたのだから。
「『我が血に眠る全ての力……今こそ目覚めよ!』」
 VIPルームの天井まで跳び上がり、そこを足場にして力を溜めるフレミア。その繊手に握られたドラグ・グングニルには、重く激しい魔力が纏わり付いて咆哮の如き音を上げている。
「『全てを滅ぼせ、神殺しの槍……。消し飛びなさい……! 神槍グングニル!!』」
 流星のように、フレミアが身体ごと『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ突撃した。イリスはフレミアの纏う暴威を感じ取り、即座に自身も茨の触手たちも女邪神の周囲より退避させる。直後――隕石の落下に匹敵する衝撃がVIPルームを……否、ラブホテル全体を揺るがせた。最上階にあるVIPルームから、その下の全フロアを貫き、ドラグ・グングニルは地下の駐車場へと邪神の肢体を串刺しにする。……余波が、地下駐車場のコンクリートの床に無数のひび割れを走らせた。
 そこまでやって――戦慄を感じたのはフレミアの方である。
「これだけやって、まだ原形を留めてる……!?」
 それどころか、イリスの触手が退き、毒花粉も吹き飛ばされたことで息を吹き返したように、邪神は己が鳩尾に刺さったフレミアの魔槍を力ずくで引き抜き、飛び退った。……流石に、その動きにはかなりの消耗が感じられたが……。
「……いいじゃない。まだまだ玩具に出来るってことでしょう?」
 フレミアが開けた穴を通り、触手を駆使して地下駐車場まで降りてきたイリスが、まだ楽しめるのだと無邪気で残酷な笑みを浮かべる。
「……そうね。一回で消し飛ばしても、わたしの気は治まらないし」
 真紅の魔槍をぶれなく邪神へと突き付け、フレミアもうそぶいた。
 猟兵たちと『堕落を誘う淡朱の踊り子』の決戦は、さらなる深度へと潜っていく……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
アドリブ◎※NGなし酷い目も○
※身に<呪詛>纏う《機能強化》維持
見た目は美しくとも、随分と悪趣味な召喚法ですね

呪詛を薄く広げ知覚拡大強化、敵や周囲等の情報収集
<生命力吸収の呪詛>で強化《捕食兵装》槍剣、杭等武装圧縮成形
<オーラ防御に破魔の呪詛>混ぜ纏い防御・耐性強化
杭複数生成:呪殺・誘導弾とし射出、援護射撃や行動阻害。
パパや助かったエージェント達を背に護る
状況次第では護る為の盾生成。

気持ち良く踊り歌わせはしません、徹底的に邪魔してあげます
その邪悪さを知り、耐性も上げている以上、どれだけ美しくとも私に魅了(催眠)が通じるとは思わないで下さい。
命糧に生まれたその存在、今度は私が喰らい尽してあげます



 ラブホテルの最上階のVIPルームから、最下層――地下の駐車場へと戦場を移し、猟兵たちと邪神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』の激闘はなおも続いていた。
 彼の邪神へ追撃を掛ける為、月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は地下駐車場のコンクリートの床へ舞い降りる。次いで、他の猟兵の渾身の一撃で開通した、最上階からここまでの直通の大穴を見上げ、ユイは少しだけ胸を撫で下ろした。
(戦場がこの地下駐車場へ移ったから、パパたちや助かった元UDCエージェントたちが戦闘に巻き込まれる心配はもう無いわね)
 元々は、非戦闘員を庇いつつ戦闘を行うつもりだったユイ。そのような心配が無くなったからには、持てる力の全てを殲滅目標のオブリビオンへぶつけるのみである。
 その目標たる踊り子の如き姿の邪神へ、ユイは辟易とした表情を向けた。
「見た目は美しくとも、中身は随分と悪趣味ですね。……召喚法もそうでしたが」
 他の猟兵たちの尽力でかなりの傷を負っているが……確かに、それでもなお問題の女邪神は美しかった。流れる血でさえ、その美貌を彩る化粧に思える。……けれど、その性根が腐り切っていることをユイはとっくに理解していた。だからこそ、たおやかな外見に惑わされて油断などはしない。
「『(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。情報読取蓄積更新……各技能へ反映継続、最適化……機能強化)適用……』」
 ……ユイの身体に、その中枢たる制御核に宿る呪詛が、水へと注がれた墨のように地下駐車場全体へ広がっていく……。拡散した呪詛を媒介に、ユイは戦域である地下駐車場の全てを、ごく些細な情報に至るまで認識した。
 今、ユイは、この戦場の全容を、チェスや将棋の盤面を見下ろすように遥か高みから見通している……。
 ……ユイが広げた呪詛を、敵邪神も何かしらの感覚で捉えたのかもしれない。その呪詛を吹き飛ばそうとするように、喉から手足の指先までを震わせて、澄み渡りながらも何処かノイズを感じさせる歌声を紡ごうとする。
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuu――」
「『(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。並列処理、知覚拡張)ロックオン……(捕食吸収能力制御、圧縮成形)喰らいつけ……』」
 ――が、邪神の呪い歌が旋律を成す前に、ユイの周囲に次々と槍や剣、杭などが出現した。ユイのユーベルコードにて形作られたそれらが、猛禽類の如く飛翔して歌を紡ごうとする邪神へ殺到する。『堕落を誘う淡朱の踊り子』は歌を中断し、アクロバティックに肢体をくねらせてそれらを回避しようとするが……創造の段階で必中の概念が付与された武装群は、その程度では避け切れるわけがなかった。完全な直撃こそどうにか防いだ邪なる女神だが、繊手や脚線にさらなる傷を刻まれる。
「Ahh……Uaa……!」
 苦々しげに手足の傷を睨む女邪神へ、ユイは先程の倍を数える杭を新たに生み出しながら、淡々と述べた。
「気持ち良く踊り歌わせはしません、徹底的に邪魔してあげます」
 そう宣言したユイの瞳が据わっているように見えるのは、勘違いではあるまい。……彼女とて女性である。あのような、女性の尊さを地へと堕とす儀式でもって己を召喚させた悪しき女神に、思うところが無いわけがないのである。
 ユイの憤りに呼応するように、スタイル良好な彼女の肉体からオーラが立ち昇った。さらに、そこにも制御核からの呪詛が絡み付く。……なおも奏でられた淫魔の女神の催眠の魔歌は、一瞬だけユイの頭を揺らしたものの、即刻オーラの守護と、そこに混ぜ合わされた破魔の力を持つ呪詛にて払い除けられる。目を細めたユイは、軽蔑し切った視線で女邪神を睨め付けた。
「……その邪悪さを知り、耐性も上げている以上、どれだけ美しくとも私に催眠が通じるとは思わないで下さい。そして――命糧に生まれたその存在、今度は私が喰らい尽くしてあげます」
 ユイの背後に整然と並んだ剣が、槍が、杭が、稲妻の如き不規則かつ鋭利な軌道を描き、『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ進撃を開始する。それぞれの切っ先が淫魔の妖婦の柔肌へと突き立ち、その肉を深々と抉った。……だが、それだけではユイは済まさない。剣にも槍にも杭にも、突き刺した対象から生命力を奪取する呪詛が織り込まれているのだから。
「Ah――AhhhhhhhhhhAhhhhhhhhhhh!?」
「……くっ!? はぁっ、あ、あ、ああぁぁああああっ……!」
 自らの中から逃げていく命に、魔性の踊り子が苦しげに声を上げた。……ユイの側も、自分へと還元されてくる邪神の生命力に切なげに喘ぐ。何故なら……考えてみれば当然だった。
『『『『『~~~~~~~~~~っっ!!』』』』』
 ……全く言葉にもならない、悲痛な、聞くだけで涙が溢れそうになる泣き声。それが、ユイへと流れ込んでくる生命力の本質だった。おのずと解る。それは目前の邪神の降臨の為に費やされた生命力……生贄にされた胎児たちの、触媒にされた受精卵たちの、生まれることすら出来なかったことへの悲しみの叫びだ。
 ……彼らは、せめて帰ることを、還ることを望んでいる。母たちのその中へ。しかし……彼らの母たちは既にこの世には居ない。『堕落を誘う淡朱の踊り子』が顕現した際に、その命を終えている……。
(……彼らの願いは叶うことは無い……)
 ならば、せめて……。
「……私の中で、よろしければ……。――あっ、くぁっ……!!」
 ……かつて、生まれることも出来なかった新たな命たちが、元の形を見失い、最早漠然とした生命力となってしまったそれらが、ユイの奥底へと流れ込んできた。……男の精を注がれた時に似て、だがそれとは決定的に違う感覚……。「あっ……あぁっ……!!」と嬌声を漏らしながらも、ユイは涙が出そうだった。
 ……自分の最奥で渦を巻く、心地好くも哀しい生命を感じながら、ユイはヘテロクロミアの眼差しで膝を突いた邪神の女を貫く。
 彼のオブリビオンの息の根は何としても止めなければならない。その存在は、血の一滴、肉の一欠片に至るまで限りなく罪深いのだから……。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
…メイさん達も、一歩間違えば…
子供を…命を冒涜するな!!!(真の姿を開放し、純白のドレス姿に変わる)
UCで全身から雷撃とオーラを出して目立たない・迷彩・暗殺・忍び歩き・地形の利用・2回攻撃・残像・ダッシュを組み合わせ一気に敵に接近しククリナイフを振るい、斬りつけると同時に電撃を流し込みます

命を冒涜する者はどんな姿になろうと醜いっす
人を、命を馬鹿にするな!!!
滅べ邪神が!


戦闘後、亡骸に布をかぶせ生きている一般人はUDC構成員に任せるっす
使役獣が指示通り色々終わらせてくれたのでその場を後にします

こっからは猟兵でなく友人として…メイさんを脅した相手を証拠全てを揃え警察に連絡
他のデータは全部破壊します



 淫魔にして邪神たる『堕落を誘う淡朱の踊り子』……その降臨とそれに伴う惨劇を目の当たりにした時から、久遠・翔(性別迷子・f00042)の憤怒は頂点に達していたのかもしれない。
 他の猟兵の渾身のユーベルコードが開通させた、このラブホテルの最上階のVIPルームから最下層の地下駐車場へと至る大穴。そこを飛び降りつつ下った翔は、地下駐車場にて荒い息を吐く踊り子の如き邪神へ咆哮する。
「子供を……命を冒涜するな!!!」
 声と共に爆発した感情が翔の姿を真のそれへと変える。普段から身に纏う男性用の衣服は弾け飛び、代わりに染み一つ無い純白のドレスが翔の身を包んだ。
 見た目こそ戦闘用とは思えぬ格好に変貌したが……高まるユーベルコードの気配は、通常時の翔の比ではない。溢れ出す膨大な力に任せ、翔の身は稲妻と化す。
「Ahh……!?」
 目を見張った女邪神の肩口が大きく裂けた。同時に紫電が閃き、その傷口を焼き焦がす。
 それだけでは終わらない。次いで、邪神の頭部から伸びる二本の角の片方がへし折れ、さらに右の太股が深く抉られる。
 それを為したのは翔……だが、その姿は目で追うことが最早困難だ。全身を稲光と昂るオーラで覆った翔の速度は、音すら置き去りにして加速を続けている。その上で、翔が培ってきた隠密系の技能をユーベルコードで増強し、ますます認識を難しくしていた。
 まさに、不可視の雷霆が周囲を飛び回っているようなもの……。
「はああああああああああっっ!!」
 翔が両手に握ったククリナイフが、雷光を纏った竜巻となって邪神の舞姫に刃を剥く。他の猟兵たちの猛威で数え切れぬ傷が刻まれていたその肢体に、新たな傷が次から次へと発生していった。
「AhhhhhhhhAhahhhhhhhhhh~~~~~~~~!!」
 ……それでも、邪なれど神たる者の意地なのか、情熱的に腰をくねらせた『堕落を誘う淡朱の踊り子』の踊るような蹴りが、肘打ちが、カウンター気味に翔の身体を捉える。蹴られた脇腹が痛み、打たれたこめかみから血が滲むが、それを気力と怒りで抑え込んで翔は吠えた。
「命を冒涜する者はどんな姿になろうと醜いっす。人を、命を馬鹿にするな!!! 滅べ邪神が!」
 おぞましき妖婦の神の周りを乱気流の如く駆け回り、翔の二刀は羽衣のような衣装と共に女神の生命を削っていく。脳が圧迫されるような超高速戦闘に集中しながらも、翔の脳裏には一人の少女の面影が浮かんでいた。
「……メイさん……」
 この一連の事件を通じて、翔が知り合ったその少女は、パパ活に身を染めている少女たちの中でもワケありの部類だった。……自分の迂闊が原因とはいえ、心無い男に脅され、弄ばれ、苦しみの渦中でそれでも金銭を必要とし、パパ活へと己を沈めていたのである。
「……メイさんたちも一歩間違えば……」
 眼前の邪悪なる淫魔に利用されていたかもしれない。そう想像してしまえば、翔の敵オブリビオンへの殺意は留まるところを知らなかった。
「ああああぁぁああああああああああぁぁああああああああっっ!!」
 四方八方から縦横無尽に襲い来る翔という名の嵐に、邪神の女は今や反撃することもままならず、身を丸めて耐えるしかない。
 残っていたもう片方の角も吹き飛び、ルビーの糸の如き髪も千々にちぎれ飛ぶ女淫魔の惨状になおも攻めの手を緩めない翔は、胸の内でもう一つの誓いも立てていた。
(メイさんを脅し、弄んだ男も決して許さないっす……!)
 翔は、事前に自分に従う使役獣……己のユーベルコードによって誕生するそれらに、件の男の特定とその所業の証拠集めを頼んでいた。それが上手くいっていたのなら、翔は証拠と共にその男の存在を警察に連絡、法の裁きを受けさせるつもりだったのである。
 余分な、メイの尊厳に関わるデータも、残らず破壊するつもりだった。
 ……生憎、そんな翔の決意の行動が如何なる結末を迎えるのか、成功したのか失敗したのかさえ、この場では語ることは無い。
 前述した通り、『これ』は『猟兵の物語』であり、『猟兵』とは『オブリビオンを倒し、それに苦しめられている者を救う存在』だ。
 それがどれだけ醜い悪党であっても、オブリビオンではない……分類的には『一般人の悪』である以上は、それを倒してそれに苦しめられている少女を救う物語は『猟兵の物語ではない』。
 ……ここで語られるべきものではないのである……。
「――くっ……!?」
 ……メイに思いを馳せ過ぎた刹那の隙を突かれたか、『堕落を誘う淡朱の踊り子』が後方宙返りをしながら放った蹴りが、翔の顎を捉えてその動きを一瞬だけ止める。
 その間に距離を開いた女邪神は、膝を僅かに震わせながらも、それでも両腕を妖艶にくねらせて舞った。
「……まだ終わりじゃないっすか? いいっす。付き合ってやるっすよ――滅ぶまで!!」
「Ahhhhhhhhhh!!」
 交差する猟兵と邪神の雄叫びが夜の大気を震わせる。……その遥か彼方、東で、徐々に空が白み始めていた……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
盛大に出遅れたけど、飛び入り参加させていただくわ。
パラサイトテンタクルやワンダートイボックス♪を用いた2回攻撃のアブセナティダンスで薄い本みたいな酷いことをしてあげる♪更に、大食いの念動力でエナジーを盗み攻撃して生命力吸収するわ♡
寿命が減らないように触手の一本と玩具の一個は私のスカートの中へ♡
更に、念動力と毒使いとマヒ攻撃で精製したサイキックマヒ毒を触手の先端から一斉発射して浴びせましょうか。
あ、自分が受けるダメージは悦楽の狂宴で快楽に変換してるので、我々の業界ではご褒美よ♡状態になっているわ♪


エイプリル・フール
破滅願望のあるエイプリルさんは、淫魔に敢えて性魔術で対抗しその上で破滅を回避してこそ自らの計画性が実証される、と考えました。
そして『こんなこともあろうかと!』体得していたケイオスマジックには性魔術も含まれていてしまったのです。もっともケイオスマジックは既存の技術からのサンプリング、ミックス、DIYで構成されるものなので、含まれるというか自分で組み込んだものですが。
さて、計画性はないが破滅を回避する『悪運』持ちのエイプリルさんは、無事破滅を回避し淫魔をしてあたまおかしいと言わしめるマジックを体現するのか?はたまたここでとうとう『悪運』が潰えるのか?その運命や如何に!

『人生の墓場より愛を込めて』



 ――突然ですが、ここで闖入者です。
 ……乱入者と言っても良いかもしれない……。
「盛大に出遅れたけど、飛び入り参加させて頂くわ」
「誰もが認める凄い人に褒めてもらうべく、ぼく参上!」
 ――アリス・セカンドカラー(不可思議な腐海の笛吹きの魔少女・f05202)とエイプリル・フール(承認欲求の嘘破棄アホ娘・f18169)である。
 邪神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』と猟兵たちの決戦の場、某ラブホテルの地下駐車場へ意気揚々と踏み込んできたこの二人、素直に受け止めるなら猟兵側の援軍ということになるのだろうが……。
「薄い本みたいな酷いことをしてあげる♪」
「ぼくは、淫魔にあえて性魔術で対抗し、その上で破滅を回避してこそ自らの計画性が実証される、と考えたよ。だから、『こんなこともあろうかと!』」
 ……触手型のバイオモンスターをうねうねさせ、禍々しい形状の子供用では断じてない玩具を手にするアリスと、トンチンカンなことを言い出して何かの準備を始めるエイプリル……。『堕落を誘う淡朱の踊り子』からすら「何、こいつら?」的な視線を向けられていた。
 ……当シナリオの第一章や第二章までなら雰囲気に合っていたかもしれないが、急速にシリアスさを増した第三章においては場違い感が半端ない二名である……。
 それでも、一応は邪神と戦い撃破しようという意思はあるらしいアリスが、彼の踊り子姿の邪神へと突っ込んだ。
「『さぁ、アリスと遊びましょ?』」
 赤み掛かった瞳を妖しく輝かせ、アリスのユーベルコードが発動した。そこから供給された力を受け、アリスと共生する触手型バイオモンスター・『パラサイトテンタクル』が表面に血管を浮き上がらせる。
 ……流石に、淫魔たる邪神でも嫌な予感がしたのかもしれない。数度ステップしてリズムに乗った邪神の舞姫は、それによって挙動を加速させて距離を取る……。
「駄目よ、逃がさないわ♪」
「……!?」
 ――が、縦横無尽にしなるパラサイトテンタクルは、その加速をもってしても逃れ切れぬ立体的な動きで邪神の肢体を拘束した。……アリスやパラサイトテンタクルの能力のみでなく、他の猟兵たちが事前に与えていたダメージも大きいのだろうが……。
 そこから嬉々としてアリスが行ったのは、宣言通りの『薄い本みたいな酷いこと』である。踊り子染みた女邪神の均整の取れた肢体……他の猟兵たちの猛攻でかなり傷だらけにはなっているものの、未だ充分にセクシーさを保つそれに、パラサイトテンタクルの触手を這わせたのだ。
「Ah……Hah……!?」
 羽衣のような衣装から零れ落ちそうになっている邪神の巨乳をパラサイトテンタクルの触手が掬い上げ、そこに蛇のように巻き付いた。お椀のように綺麗な形をしていた乳房が、触手の圧迫で淫らに歪む。アリス自身も邪神へと歩み寄り、その手に握る数珠をねじり上げた如き形状の棒……モーター音と共にぐねぐねと蠢くそれを、邪神の下肢に纏われた羽衣の内へと差し込んだ。
「Ah……Ahh……Uahhhh……!?」
 邪なる女神の喉から悩ましげな喘ぎが漏れ、その腰を中心にビクン、ビクンッと痙攣が走る。
「こんな凄いモノ根元まで咥え込めるなんて……流石だわ♪ それに加えて、こんなのは如何かしら?」
 アリスが笑みを深くすると、パラサイトテンタクルの触手の何本かがブルブルと震え始めた。それらの触手が先端を美貌の邪神へと向け、一際大きく膨らんだ直後――その全てから一斉に汚濁が噴射される。
「Ahhhhhhhh……!?」
 ……やけに男性のあの液体に近い色と粘度を持ったそれを全身に浴び、『堕落を誘う淡朱の踊り子』が背筋を弓のように反らせた。その身体から、また一段と力が抜ける。
 ……一応言っておくと、それはアリスが精製した一種の麻痺毒であった。それでますます邪神の動きを封じたアリスは、満を持して舌なめずりをする。
「それでは生命力……頂くわ♪」
 アリス・セカンドカラー――その本質は『サイキックヴァンパイア』だという。他者に寄生し、そのエナジーを奪い、喰らう……。今彼女は、それを目の前の邪神からも行おうというのだ。
「魂まで吸い尽くしてあ・げ・る♪」
 ――そして、すぐ後に苦しげな絶叫が上がった……。
「……っっぶふっ!? げふごほがふがほがはっっ……!?」
 ……邪神ではなくアリスの方から。
 彼の女邪神の降臨の直後、及び他の猟兵の行動の中でも幾度か描写したが……邪神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』のこの場での肉体を構成しているのは、元UDCエージェントの少女たちが孕んだ胎児、もしくは宿していた受精卵である。彼の女神の肉体の保有する生命力だのエナジーだの呼ばれるものは、元をただせば彼らのものであった。故に、彼らの断末魔の影響を非常に強く受けている。
 アリスは、生命力を吸収する過程でそれらを真正面から受け止めてしまったのだ……。
 アリスとて歴戦の猟兵であるし、それ以前にサイキックヴァンパイアとして生きてきた経験は豊富である。きちんと『そういうもの』だと認識して吸収したのであれば問題は無かったのであろうが……。
 ……此度のアリスは、あからさまな表現で恐縮だが――死にたての水子たちのあまりに鮮烈かつ剥き出しな悲哀を受け止め切るには、肚の据わり方が足りなかったのである。
 アリスは事前にユーベルコードで己が受けるダメージを快楽へと変換するように仕込んでいたが……これは厳密な意味ではダメージとは言えなかった。正直、こういう表現はあれだが……『食べた料理があまりに自分の想像していた味と掛け離れて不味かった』というようなものである。その為、無効化も出来なかったのだ……。
 ここまでの楽しげな表情から一転、真っ青になってくずおれたアリスの変調を受け、パラサイトテンタクルも猛りを萎えさせてしまう。
 その隙に、女邪神は這う這うの体でアリスたちから距離を取るのだった。
 ……が、そんな消耗激しい『堕落を誘う淡朱の踊り子』へ、もう一人の闖入者にして乱入者・エイプリルが肉迫する。
「ぼくが『こんなこともあろうかと!』用意していた『ケイオスマジック』を喰らえー!」
 自信満々なエイプリルのユーベルコードの高まりに、今なおアリスの麻痺毒で動きが鈍い女邪神の顔が引き攣る。
 ……さて、知らない人の為に少し『ケイオスマジック』なるものについて解説しよう。これは、1970年代後半に英国にて生まれた魔術の一潮流である。語弊を恐れずに物凄くぶっちゃけた説明をすると、既に存在している魔術やら神話やら伝承やらから体系や様式を借用し、ごちゃ混ぜにし、時には自分の思い付きさえも混ぜ込んで独自の魔術理論や体系を作り出そうというものだ。
 ――筆者の解釈からすれば、厨二病患者がオリジナルの魔術を考えて大学ノートに記すのとあまり変わらない。
 とにかく、そんなわけなのでエイプリルのいうケイオスマジックも実際のところは彼女の『自作』である。が、だからといって侮ってよいものではない。一般人がやったのならば後の黒歴史として本人を身悶えさせるだけの代物でも、猟兵たるエイプリルがやったのならユーベルコードによって現実に効果ある力と化すのだ。
 そして、前述のエイプリルの発言を思い出してほしい。『淫魔にあえて性魔術で対抗する』――彼女の使うケイオスマジックには、性的な行為を儀式の一環とする魔術体系も含まれているのだ(というか、自分で組み込んだのだ)。
 古来より、『性』と『魔術』は結び付きが強い。それは双方の相性の良さの証拠に他ならない。
 果たして、エイプリルが見出したそれの実際の成果は……?
「……………………?」
「……ふふっ」
 ……身構えていた邪神は、いつまで経っても繰り出されてこないエイプリル側のアクションに眉をひそめる。エイプリルの方は不敵に微笑んでいるが――よく見れば頬を一筋の冷や汗が伝っていた。
 さて、ケイオスマジックだの性魔術だの、そういったものはひとまず脇に置き、もっと根本的なユーベルコードについての解説をしたいと思う。
 今回エイプリルが使ったユーベルコード・『こんなこともあろうかと!』は、『いま戦っている対象に有効な【こんなこともあろうかと用意しておいたナニカ】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い』というものである。
 ……もう一度言おう。
『使い方を理解できれば強い』
 さらにもう一度……。
『 使 い 方 を 理 解 で き れ ば 強 い 』
 ……はてさて、エイプリルはこのユーベルコードにて『堕落を誘う淡朱の踊り子』に有効であると判断されたケイオスマジックを、性魔術を、具体的にどう使って彼の邪神に対抗するのか?
 ――その一番重要な部分が、エイプリルの頭からは完全に抜け落ちていた。
「………………」
「――ぐふぅっ!?」
 いい加減、アリス特製の麻痺毒も身体から抜けてきた踊り子邪神が軽やかにステップを踏み、ボクシングの世界チャンピオンでもここまでの者はそうは居ないだろうという華麗なワンツーをエイプリルの顔面に叩き込む。……吹き飛んだエイプリルは、地下駐車場の冷たいコンクリートの上に大の字に倒れ、KOされた。
「あ、あ、あ、あ……♪」
 その光景を、アリスは快楽に打ち震えながら目撃する。……実は彼女、使用したユーベルコードの副作用を避けるべく、自身のスカートの中にパラサイトテンタクル触手の一本と玩具(大人用)の一つを忍ばせていた。それにより、『味方を1回も攻撃しないと寿命が減る』という制約を回避しようとしたのである。
 ……ただ、残念なことに、『味方』というのは厳密に定義すれば『自分を支持・応援してくれる相手』を示す。その為、『アリス自身はアリスの味方には含まれない』のだ。
 よって、彼女の寿命は生憎減少している……。
 まあ、それでも、アリスとエイプリルの行動が『堕落を誘う淡朱の踊り子』の消耗を(精神的な疲労も含めて)ますます大きくしたのは事実だった。
 ……そんな中、エイプリルがヤンデレ男の娘ダンピールの押し掛け現地妻の霊にお持ち帰りされていったのは、きっと些細なことだろう……。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

火奈本・火花
「我々の同僚を狂気に落とした事はもちろん、彼女達すら騙して儀式を行っていたのは狡猾だな。虫唾が走る」

■戦闘
9m拳銃での射撃を行いながら、私の『狂気耐性』『呪詛耐性』を信じて『捨て身の一撃』で接近する
リズムを崩すように足か、歌う口を狙って攻撃を少しでも緩和させよう

弾が尽きたらヤドリギの蔦を振るって絡みつかせ、そのまま『怪力』で締め上げて攻撃する。骨が折れても肉体が千切れても、このUDCはまだ根を挙げまい
完全に無力化するまで根競べだ

ヤドリギの力で完全に無力化出来たら、蔦が奴を折り畳んで丸めて、植物の種子に変えるだろう
種を潰すか、エージェントとして捕獲・収容するかは、その時の判断だが


アドリブ等可



 ……様々な紆余曲折を経た『堕落を誘う淡朱の踊り子』と猟兵たちの死闘も、とうとう最終局面に差し掛かろうとしていた……。
 真の姿をなお晒し、裸身の各所に吸血植物・『ヤドリギ』の根を張り巡らせた火奈本・火花(エージェント・f00795)が、自動拳銃から9mm弾を連射しつつ彼の邪神へと突貫する。
「RuuuuuuuuLiiiiiiiiLuuuuuuuuRaaaaaaaa――――――――――♪」
「くっ…………!?」
 もう何度目になるか……耳朶から沁み入ってくる女邪神の催眠の歌声を、火花は舌を歯で傷付けた痛みで振り払う。
 口の中に広がる錆びた鉄の味を噛み締め、火花は口の端から血の雫を垂らしながら吐き捨てた。
「我々の同僚を狂気に堕としたことはもちろん、彼女たちすら騙して儀式を行っていたのは狡猾だな。虫唾が走る」
 さらなる歌を紡ごうとする邪神の口へ弾丸を叩き込み、リズムを刻もうとする淫魔の脚を銃弾で撃ち抜いて、火花は一歩、また一歩と悪しき女神への距離を詰める。
 だが、火花の戦術にはどうしようもない問題点があった。銃を使って戦っている以上、避けられない……残弾の問題が。
「――っ!?」
 最後の弾倉に籠められた最後の9mm弾が銃口から飛び出し――ついに火花の拳銃はその身をただの金属塊へと変える。……銃という武器の構造を把握しているのかまでは解らないが、舞姫の姿の邪神も、火花の手にする武器から攻撃能力が失われたことは理解したらしい。
「Aha……♪」
 一転して、邪神の方から火花へ肉迫してきた。情熱的なダンスのように淫猥にくねる腰を起点に、カモシカの如き脚線美が弧を描く。
「――舐めるな……!」
 瞬間、火花の素肌の上を這っていたヤドリギの根の幾本かが、彼女の皮膚を引きちぎりながら蛇のように鎌首を持ち上げた。それらが女邪神の廻し蹴りを受け止め、そのままそこに絡み付く。
「!?」
「へし折れろ……!!」
 ヤドリギの蔦は邪神の脚を這い登りつつ、恐るべき圧力でそこを締め上げる。邪神の踊り子の軽快な動きを支えてきた脚の片方が、鈍い音を上げて粉砕された。
「Ahhhh!? Uriiiiiiii!!」
 悲鳴を上げながら、邪神はその美貌を歪めて火花の顔に反撃の手刀を閃かせる。頬が裂け、鮮血が滴り落ちるが――火花は己に巣食う異形の植物に力を緩めさせはしなかった。
 邪神の腰まで這い進んだヤドリギの蔦が、そこの骨盤を軋ませる。
(骨が折れても肉体がちぎれても、このUDCは音を上げまい――)
 華奢ですらある見た目とは裏腹に、それだけのタフネスと胆力をこの邪神は有していると火花はこれまでの戦闘から確信していた。
(ならば、こちらも捨て身で全てを懸けるしかあるまい)
 自分の方が守りに入っていては、眼前の敵は攻め落とせない――故に、火花は自分に残された全ての力を攻撃に注ぎ込む決意を固める。
「――完全に無力化するまで根競べだ」
 邪神の掌底打を胸に受け、喉の奥からせり上がってきた血を吐き捨てながら、火花は己を鼓舞する。
 ヤドリギが、邪神の女の胸元にまで侵食した。流石に、その異様な植物の危険性をはっきりと認識したのだろう。『堕落を誘う淡朱の踊り子』はヤドリギの蔦を掴んで我が身から引き剥がそうとする。しかし、火花は相手がヤドリギを掴んだ瞬間、逆にその手を蔦で巻き取らせた。一気に肘まで縛り上げ、折り、砕く。
「……Ahhhhhhhh! RuuuuuuuuuuLiiiiiiiiiiLuuuuuuuuuuRaaaaaaaaaa――――――――――――!!」
 最早、自由になるのは首から上だけになった邪神たる淫魔は、最後に残された呪いの歌声にて火花を堕としに掛かる。火花は、自らが鍛え抜いてきた狂気への、呪詛への耐性を信じ、ヤドリギの蔦へ己の力を流し込む。
「ああああっ……!! 『お前を捕獲し、収容する事。それが我々の使命だ』……!!」
「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh~~~~~~~~~~!?」
 邪神の上げた絶叫が、その顔まで伸びたヤドリギの蔦に覆われ、呑み込まれ、掻き消される。ビキビキと音を立て、ついに『堕落を誘う淡朱の踊り子』の全身を捕らえたヤドリギは――次の瞬間、その内の女邪神ごと急速に自らを圧縮し始めた。
 肉が潰れ、骨が粉砕される異音が断続的に鳴り響き、それが一分……五分と続いて――やがて、ついには、ヤドリギも邪神も火花の左の手のひらの中へと消える。
 ……さらに数秒待って――火花はそっと握り込んでいた左手を開いた。そこに転がるのは、本当に小さく儚い……植物の種。
「……捕獲、収容完了……」
 火花が膝を突き、天を仰ぐ。ふと、視界の端で、地下駐車場の出入口のスロープから人工のものではない光が射し込んでいることに彼女は気が付いた。
 ……元UDCエージェントの少女たち、そして邪神・『堕落を誘う淡朱の踊り子』……それらとの激闘は夜を徹して行われ、ここにようやく終焉を見たのである。
 ――猟兵たちの勝利として。
「……ですが、ここからが大変ですね」
 世界に殉ずる戦士としての口調から、UDCのエージェントとしての口調に戻りつつ、火花は溜息を吐く。
 生き延び、正気へと返った元UDCエージェントの少女たちをどうするのかとか。一連の記憶を消去したとはいえ、一度は狂気に堕ちたパパたちをどうするのかとか。今回の戦闘で大被害を被ったこのラブホテルをどうするのかとか……UDCは組織として考えなければならないことが多過ぎる。
 彼の組織のエージェントとして、火花も色々と駆り出されることになるだろう……。
 それでも、今は……今だけは、勝利の美酒に酔ってもばちは当たらないはずだった。
 パパ活から始まった、何人もの猟兵が色々な……本当に色々な経験をすることとなった今回の事件。火花なりに総評すると――この一言に尽きると思えた。

「やはり、女として――自分を安売りするものではありませんね」

 言って、火花は――邪神の成れの果てである植物の種を、指先で挟み潰すのであった……。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年07月07日


挿絵イラスト