7
汝は吸血鬼なりや?

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0





 ――震えて眠る夜が日常だ。

 大人たちの瞳は疲れ果て、子供たちの純粋な瞳にさえ光が通らない。
 安寧という言ノ葉は、遠い世界のもの……それこそ、御伽噺の中での出来事であると信じてしまう程に、村は巨大過ぎる闇に怯えている。

 ……今夜も誰かの叫び声が、闇に響く笑い声と混ざった。
 嗚呼、明日の朝、『また』死体が出るのだろう。
 村で毎夜毎夜繰り広げられているのは、圧倒的な支配者が有利な戯れ(ゲェム)だ。
 支配者は言った。
「村人にすり替わったこの俺を見つける事だな。それまで毎晩、1人殺す」
 それから日が出ている内は、村人が村人を疑い合い、時には暴力と怒号が繰り出され、誰しもが疑心暗鬼を生じた状態で、何も手がかりが掴めないまま、夜を迎えるのを繰り返した。
 此処まで、何人が犠牲になった?
 あの子も、あの人も、皆、血のスープにされた。
 背後で嗤う影が近くにいるというのに、実体さえ掴めぬまま。
 虚空に向かって拳を繰り出すその手は、力無く怯えて震えるだけ。


「みんな、俺からの案件だ! 宜しく頼む!」
 早乙女・輝夜(f10158)は集まった猟兵たちに資料を配りながらそう言った。
「とある村で、吸血鬼が許せねえゲームを始めたんだ。それは村人に扮した自分を見つけない限り、毎晩村人を殺していくっていうゲームなんだぜ」
 詰まる所、吸血鬼の戯れで村がひとつ軽く破壊されようとしている。
「そんな理不尽で村が破壊されてたまるかよ! だからこのゲーム、勝ってやろうぜ!
 まずは情報が欲しい。
 村人はみんな疲れ果ててるし、誰しもが誰も信用できない状態だ。
 でも中にはちょっとした情報を持っているかもしれない人たちをピックアップしておいたぜっ!
 あっ、外から来た猟兵は、絶対に吸血鬼じゃないから、村人も少しは心を開いてくれるかもしれない! だから、みんな、頼んだぜ!」


羽鳴ゆい
 初めまして、一度目ということで、どきどきわくわくしております!
 羽鳴ゆいと申します。
 以後、よろしくお願いします。

●状況
 とある吸血鬼が村ひとつを使ってゲェムを開催しております。
 それは、村人と入れ替わった己を見つけるまで、毎晩一人を殺していくというもの。
 村人がゲェムを長く続ければ入れ替わった村人を見つけられるかもしれませんが、
 それまでの犠牲というものが多大なものになってしまいます。
 それは食い止めなければなりません。
 まだゲェムが始まって間もない頃、猟兵がこのゲェムに挑みます。

 残りの村人の人数は、50人です。

●第一章
 今回は、村を歩き回って情報を集めて欲しいです。
 輝夜がピックアップした情報は以下です。

 誰しもが疑心暗鬼になっている為、村人は村人を信じていない(猟兵は限りではない)
 双子の姉妹は不思議なことを言っている。
 ゲェムに怯えて精神的に限界を迎えそうな村人は多い。
 数組の家族は夜を固まって過ごしているが、そうでは無い家庭もある。
 こんな時でも普通の精神性で暮らしている恋人同士がいる。
 吸血鬼がすり替わったのは一人であり、別の人物になることは無い(これは吸血鬼が敷いたルールなので絶対です)

 もちろん上記以外にも村人は存在しております。
 その辺りは想像と博打気分でプレイングに示していただければ、好意的に解釈します。

●現場の情報
 猟兵が行動できるのは基本昼です。
 敵は高度な隠ぺい技術を敷いている為、夜の発見は不可能です。

 それではプレイング、お待ちしております!
14




第1章 冒険 『疑心に潜む暗鬼を照らせ』

POW   :    怪しい人物に直接尋問する

SPD   :    村の中を虱潰しに調べる

WIZ   :    村人たちのアリバイ・不審な行動を検証する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルセリア・ニベルーチェ
【POW】直接聞いて回りましょうかね。

勿論昼に行動するわ、夜は不可能って言われましたし。

こんな時の為に用意しておいた黒剣ちゃんを活躍させるわ!
『情報収集11』『コミュ力11』でピックアップされた人物を中心に。

特に双子の姉妹辺りが何を言っているのか気になる、気になるわね。

吸血鬼では無さそうな子が居たら、夜の間は護ってあげるわ。
もし運よく吸血鬼さんが、その子を襲いに来たら狩人の時間ね。



●双子の悲鳴
 猟兵が来た。その噂は瞬く間に広まった。
 希望がこの村に舞い降りたのだ。村人が村人を信用できぬ世界で、救世主と言っても良いほどに歓迎された猟兵たち。
 喜んでいないのは吸血鬼ひとりであろうか、いや、もしかしたらその吸血鬼はそれ込で楽しんでいるのかもしれない。

 集まってきた村人の表情を、ルセリア・ニベルーチェ(f00532)は品定めするように見回した。どうやら喜びと歓迎の表情の中に、猟兵を忌々しく思うようなものは見当たらない。
(上手く隠れているつもりでしょうけど、私の12の剣は貴方を絶対に許さないわよ)
 未だ天高く太陽があり、ルセリアにスポットライトを当てるかのように光は降り注ぐ――と。
「きゃっ」
 ルセリアの背後に、半ばぶつかるように、そして抱き着くようにして二人の女の子――双子の姉妹が訪れた。
 双子の背の低い目線に合わせるように、膝を折ったルセリアはいつも以上に優しい表情を向ける。
「私は貴方たちの味方よ」
「「猟兵さま。助けて。夜にね、うろうろしてる怖い影がね。おうちに来たの」」
「!! それ、詳しく聞かせて頂戴」
「「うん、あのね――」」
 ルセリアが手にした情報は、後程開示されるが重要な手がかりであった。
「ありがとう双子ちゃん。私、今夜は貴方たちを守って見せるわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​



 ――月の光をスポットライトにして。踊る影は嗤っていた。

 ボクはネ? この世界をもっと面白おかしく生きていたいのサ!
 命の重ミ、世界の倫理。成程面白くなイ!
 ボクはネ? そういう鎖は嫌いなのサ。
 なんなら己の命を賭けてでもサ。一大イベントをしたいじゃなイ!
 ようこそこんばんハ、ボクに狩られる為に生きてきた方々!
 大事に育てたあの子も、結婚予定だった花嫁モ。
 みんなみんなボクの為に生きていてくれてありとうネ!
 でも殺せるのは一日一人。なんでそんなルール作ったかナ?
 じゃあ、また明日ネ。

 そんな声をBGMにして。
 動かぬ母親を奥にして、双子の姉妹はクローゼットの中で震えていた。
 次の晩、双子は震える夜を過ごすはずだった。が。

 ――私、今夜は貴方たちを守って見せるわ。

 残りの村人は――50人。
マヒル・シルバームーン
さあ冬夜さん【f06002】行きますわよ
猟兵COですわ!

【WIZ】
まずは情報収集をいたしましょう
昼間、村人に聞き込みをして、アリバイや怪しそうな人を検証しますわ
演技でない限り、怯えている大多数の村人達は白と考えていいでしょう
【シンフォニック・キュア】の歌声で傷を癒したり安心させたりしたら
少しは落ち着きますでしょうか?

わたくしが気になるのは、普通に過ごしているらしい恋人です
どちらかが吸血鬼、という線は薄いかもしれませんが、何か手掛かりになるものがあればいいのですが…
聞き出せたら…あるいは、分からなければ。次は直接恋人達の所へ向かうのもいいでしょう


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と同行
こういうゲーム聞いたことある
ゲームと違って、なるべく犠牲者を出さずに吸血鬼を探さねえとな

【WIZ】
マヒルが村人達と話している間は護衛を兼ねて周囲の様子を見ておく
吸血鬼は村人に化けて潜伏している以上、昼間は滅多な行動はとらないはずだ
だから昼間に問題を起こしたり、突出した怪しい行動を取ったり…
まあ騒いでる奴は逆に白だろうなっていうのが俺の推理だ

周囲に特に変わったことがなければ、マヒルと話している村人に注目
協力者を疑うのも心苦しいが演技だという可能性もないわけじゃないからな
話に矛盾がないかを特に注意して聞いておく
気になった点があれば、村人と別れた後に猟兵の仲間にのみ伝える


リーヴァルディ・カーライル
…ん。推理とか、苦手なんだけど…
それに、ヴァンパイアの言う事を真に受ける気は無い
吸血鬼は1人だけど、奴の協力者がいないとは言ってない
…だから、頑張って“嘘吐き”を探してみましょうか…

…現状で一番不審に感じる“恋人”達を直接訪ねてみる
村人には無い『存在感』を放ち『礼儀正しく』挨拶
この状況でも普通に暮らしているのは、何故?
お互いが偽物では無いことを知っていようと不安ははずなのに…
ヴァンパイアの標的にされない何かがあるの?

…理由やアリバイ等、一通り聞いた後、家を退出
他の場所に聞き込みに行ったと思わせて【見えざる鏡像】を発動
『目立たない』ように恋人の会話の聞き耳を立てる

…本命か、あるいは単なる狂人か…




 猟兵たちがこの村を訪れてからというもの、村人たちの顔色は以前よりもほんの少しばかり明るくなったようにも見えた。
 それもそのはずか。この村には未来を守るだろう救世主が訪れているのだから。

「どうか、お守りください……猟兵様」
「落ち着いて……そうですわ、歌を」
 マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)は、縋りつくように地面に膝を着けて祈り手を結んだ女性の肩にそっと指先で触れた。
 女性の袂を掴んでいるのはマヒルに似た小さな少女だ。幾ばくか、その瞳も夜を怯えて過ごしているのか、瞳の下の色濃いクマに憤りを感じ、マヒルは拳を強く握った。
 その時、マヒルが歌うのは勇気と希望を乗せた調べ。
 彼等吸血鬼が尽く散らかす闇を祓うように、マヒルの歌が村中に響いていく―――女性や少女も、その子守歌にも似た音色に一瞬の安堵と安寧を夢見るのであった。
 ――その姿を黒木・冬夜(玄冬・f06002)は見守るように見つめている。
 普段は真昼月の館で、マヒル相手に冬夜は手を焼いているようだが、今日の彼女の雰囲気はいつものそれでは無かった。その理由を知るか知らぬかは置いておき、冬夜という騎士は周囲の存在へ警戒を始めた。緊張する冬夜の指先が、己の武器に触れる。
 誰が吸血鬼でもおかしくはない。
 例えるならば丘中の三つ葉の中から、四つ葉をどう探すというのか。いや、四つ葉という幸運の象徴とは真逆の存在である吸血鬼だ。
 必ず、違和感があるはずである。

 その頃、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はこのような状況でも普通に生活をしている恋人に会っていた。
 初めましての挨拶から自己紹介まで、流れ作業のように行ってからリーヴァルディの言葉は核心を狙う。
「この状況でも普通に暮らしているのは、何故?
 お互いが偽物では無いことを知っていようと不安ははずなのに……、ヴァンパイアの標的にされない何かがあるの?」
 リーヴァルディの言葉に眉の間にシワを寄せたのは恋人の片割れ、女のほうだ。
「いいえ! 怖いわよ、でもそれ以上に彼が守ってくれるから」
「そうだよハニー、吸血鬼なんてボクが追い払ってあげるさ!」
 とか言いながら眼前で熱烈なキスをした二人に、リーヴァルディの瞳が半目に薄っすらとなっていく。
「ええと……、つまりお熱い事で?」
「いいえお嬢さん。でも実際怖いわよ、怖がっても仕方ないと割り切ったの」
「そうだよハニー。もし吸血鬼が僕らを刺しに来たら、一緒に死のう?」
 ため息を吐いたリーヴァルディは、足早に恋人たちの家から出た。
「時間の無駄だったかな……ううん、でも手がかり、探す。推理は、苦手だけど……」
 刹那、リーヴァルディは背筋が凍るような視線を感じ周囲を忙しく見回した。
 リーヴァルディが知る冷たい監獄の、貫くような寒さのような視線を。
(――いる、吸血鬼が近くに。そういえば……)
「どうしてあの恋人は……」
 『嘘つき』を見つけた。
 違和感に気づいたリーヴァルディは、次の行動へと移る。

 リーヴァルディが行動する数分前、マヒルと冬夜は恋人たちを訪ねていた。
 話はリーヴァルディがしたものとほぼ同じ結果ではあったが――。
「お話、ありがとうございました。有意義な時間でしたわ」
「ん? なんかわかったのか?」
 マヒルはお道化る冬夜の足を強く踏んだ。
 顔が痛みに歪んだ冬夜であったが、すぐさまマヒルに腕を掴まれて外へと連行されていく。
「離せって、そして話せって!」
「元よりこの限界的な状況で普通に暮らす精神性が、おかしいものであると思っておりましたけれども」
「? あの恋人の二人だろ。俺から見たら演技っぽさは何一つ感じ無かったぜ?」
「そうですわ。だって演技する必要が無いですもの。吸血鬼ではないのですから」
「だったらなんだよ」
「吸血鬼に対して怯えない余裕があるのでは無く、吸血鬼に殺されても構わないと思う者がいたとしたら」
「……狂信者か」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ナーシャ・シャワーズ
ほーお、随分と趣味のいい吸血鬼じゃあないか。
さて、ゲームが始まってからこれまでいくつの夜を迎えたのか…
まあ、こんな状況じゃ互いに信用なんざできんよな。
誰か一人は必ず吸血鬼なんだからさ。

まずはここまでにやられた人間の立ち位置の確認だ。
まあ、なんかのヒントにはなるだろう。
こんだけ人数が居ればまだ法則なんてものはないかもしれんが。

さてその上で…そんな中で普通にしてられるなんて大したもんだ。
恋人のことをそこまで信じているのか
それとも、何か理由があるのかね。
まあ、いきなり当たりくじを引けるとも思わんが
そういうのは確かめておかんと据わりが悪い。
少しばかり話を聞かせてもらおうか。


花宵・稀星
ゲームの犯人「黒」……を見つけ出すには、アリバイのある者、すなわち「白」である者を見つけ出すことも大切です。

幸い、吸血鬼が1度変身した村人から他の村人に成り替わることはないというルールが敷かれているです。このことを利用すれば、今まで事件があった夜、一晩アリバイがあった者は犯人ではないことになるです。自分がアリバイを証言できる者を村人達どうしに証言させるです。

また、吸血鬼は1人しかいないというのも不幸中の幸いでした。
黒ではなく白を探る方法なら、吸血鬼が嘘をついて誰かを貶めようとすることもできないです。

村人達を白で埋め尽くして潜伏先を圧殺してやれば、おのずと犯人は炙りだせることでしょう。


鞍馬・景正
◆方針
【POW】
迅速に解決すべき事件です。直接情報収集に回りましょう。

とはいえ50人全員に当たるのは時間的に不可能。

私が吸血鬼であり、横紙破りもしないなら……。
入れ替わった人間の家族や恋人に些細な違和感から見抜かれぬよう、そういう間柄の人間はいち早く始末するでしょう。

よって、現在は一人だけで過ごしているという人に絞って聞き込みに当たります。

◆聴取
事件当夜はどうしていたか。
そして慰めや余談の態で故人、または現在生存中の家族や友人などの思い出や人となり等も聞き出します。
技能の【情報収集】【コミュ力】も有効であれば駆使。

もし不審な点があれば、容疑者として注意せねば。




 真相は近い。
 どうやらこのゲェムの元凶が姿を現すのも時間の問題となってきたか。
 しかしゲェムマスタァはいつだって余裕だ。何故かって、その盤面がひっくり返ること(予想もしない出来事)こそ、楽しめる余韻のひとつであるからだ。
 今回の相手は、そういった……ある意味、純粋な子供の心を持ったものなのだ。時として、子供の純粋さは捕まえた虫の翅や足を、一本一本手で毟る残酷さも、持ち合わせているのだが――。

 互いに互いを信頼しないからこそ、いざこざが起きる事がある。
 掴みかかった村人同士、それを間から引きはがすようにしてナーシャ・シャワーズ(復活の宇宙海賊【スペースパイレーツ】・f00252)は……、ため息を吐いた。
 仕方ないものなのだ、こういった亀裂が生じるのは、生きている弱きものとしては当たり前の行動に違いない。
 しかし此度の吸血鬼、随分と良い趣味をしている。
 超えた夜の数だけ、密に笑って過ごしてきた事であり。きっと、こう言った村人同士の衝突も楽しんでいる一環に過ぎないのだろうが。
 さて、とナーシャは情報を集め始める事にシフトした。
 煌びやかな金髪のウェーブが静かに風に揺れたが、そこに感じる厳かさは事件解決の覚悟を潜めているようだ。

 此度のゲェム。
 50人中、必ず49人は白である。
 即ち、確定の白を増やして黒を追い詰めていく方法もある、という事を花宵・稀星(置き去り人形・f07013)は曰く、語っている。
 ある意味、良心的な吸血鬼だ。
 己が敷いたルールには絶対破らぬ法則「一度すり替わったら二度とすり替わらない」というものがある。
 それは吸血鬼が不利になるはずのルールであるし、いやしかし、当初吸血鬼が猟兵が来る事を予想しただろうか。村人だけなら余裕の譲歩ルール敷だったかもしれないが、猟兵が来たらばどうだろうか。
 そんな疑問が螺旋のように心を巻きながら稀星は足と聞き込みで勝負した。
「お兄ちゃんとは昨晩ずっと一緒だったもん!」
「そうですか。では貴方と、貴方のお兄さんは吸血鬼じゃないですね」
「違うよ!」
 そんな会話を重ねつつ、稀星のメモ帳は地道に白を増やしていくのであった。
「きゃっ」
 不意打ち。
 稀星はメモに夢中になって歩いていた時、一人の青年とぶつかった。
「あ、ごめんネ」
(あ、あれ……さっきまでここら辺には、誰もいなかったような……)
「いえ、こちらこそ……申し訳ございません」
「いいヨ、飴ちゃんあげるネ!」
「ありがとうございます。じゃなくて、あの……昨晩はどちらに?」
「ボク? それが一人でネ。他の村人にも疑われちゃって悲しんでたとこロ!」
「1人暮らしさんですか?」
「ううん、ボクの家が最初の犠牲者が出た家なんだよネ」
「それは……」
「悲しんでないんダ、だってボクの家の犠牲は父親だけど、毎日飲んだくれテ、暴力振るってきたからネ。むしろいなくなって爽快、というカ?
 あ、こんな話しちゃうかラ、疑われちゃうんだけどネ?」
「はぁ」
 それから10分ほど話に付き合わされた稀星は、飄々とした不思議な雰囲気の青年に――白、とは書けなかった。
 その一部始終を見ていた、鞍馬・景正(竜胆の剣・f02972)。稀星に絡む男が笑顔で彼女と別れた後を追い、彼の家までたどり着いた。
「少し話をいいでしょうか?」
「さっき死ぬほどしたけド、いいヨ」
 つまりこういう事だ。
 景正は己の置き換えて、すり替わるならばどうするかを考えた。詰まる所、すり替わるならば己の関係性が深い相手が即気づく可能性が高い。
 故に、先に殺すのだ。
 幸いまだ、この村は殺された人数が一桁であった。故に、その一桁を地道に当たってきたのだ。その最後がこの青年であった話。
「事件当夜はどうしていましたか?」
「寝てたヨ。デモさ、一番最初の犠牲だったからネ。本当に何も教えられなイというカ、いきなりの事でどうしたらいいかト!」
「父親との関係は? 母親は?」
「母親はボクを生んだ時に既に。父親は毎日飲んだくれてて、暴力振るってきた―――」
 そこは稀星が聞いていたものと同じ話であった。
 しかしだ、景正には気になることがあった。それは彼の情報収集能力が優れていたからこそ見切った点であろう。景正は本能的に勘づき、己が得物に指先を触れる。
「そうか、殺されたのが数日前。ならば何故、親に振るわれた暴力の痕跡が貴様には無いんだ――?」
「嗚呼、全く。猟兵というものはせっかちでイヤだね」

「恋人の卓というのは此処だね」
 ナーシャは玄関の扉を開く――その瞬間だ、香ったのは濃い血の香り。
 本能が警戒という文字を出す中で、ナーシャは勢いよく、それこそ家の中へ飛び込むようにして入っていく。
「なんだ、これは」
「うん。犯人を見つけたよ……でも」
 稀星は黒と書かれた男の名前と住所を、集まった猟兵たちに分けた。
 恋人宅にはリーヴァルディや冬夜やマヒル、そしてルセリアも集まっていた。
 リーヴァルディ
 詰まる所、恋人たちはフェイク。いや、狂信者であった。
 その証拠が、無残にも首が切り裂かれ、その血で『Game Set』と壁に描かれていたのだが、恋人たちは嗤って死んでいた事。
「」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:トギー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ちんけな劇場の役者は一人

 ―――残りの村人は47人(吸血鬼と狂人2名が退場)。

 いやあ、まさかネ? 猟兵がこんなにも早く来るとは思わなかったヨ?

 そんな声が日が沈んで行く茜色の空から、降り注ぐように聞こえた。
 その茜色も、今日は一段と赤みが増して見えるようなのは吸血鬼の存在があるからだろうか。
 夕日から隠れるように踊る影がひとつ――。
「最初は誰でもよかったんダ、唐突に思い浮かんだゲェムじゃあないんダ。
 一世一代の大勝負。命を賭けて遊んでみたくなっちゃってネ。
 勝ったらそれでいいんダ、でも負けるリスクは無いとゲェムにならないデショ?
 景正? 稀星? ウーウン、全ての猟兵たちに告ぐ。
 遊ぼう? どちらかが潰れるまでの、ゲェムをさ。どうせなら楽しんでよ、遊びって、そういうものデショ?」
 くるくるくる、踊る影は闇に消えた。

 代わりに這い出るようにやってきたのは、恐らくこれまで吸血鬼に殺されたであろう亡者たちだ。
 まるで夜闇に蠢く黒い波のようなそれが迫ってくる。
 あの敵の数――勿論、この村だけじゃない。元凶の繰り出したゲェムに犠牲になったのであろう者たちの総力だろう。
 村はその破滅の波に畏れ成して震えた。
 肩を寄せ合うなんて呑気な事はできない。怯え、震え、一人叫び声をあげた瞬間に、命永らえる為に村人は津波のように逃げていく。だが間に合うか?

 猟兵たちは一斉に武器を掲げた。
 落ち切った夕日は味方してくれない。夜とは、そう吸血鬼が何より好む時間帯。
 フィールドは村全体。もちろん逃げ遅れた村人や、動けぬ者も多いだろう。
 全ての亡者を倒し尽くし―――元凶を、追え。
鞍馬・景正
あの場で吸血鬼を逃したのは失策――否、私だけでは返り討ちか。
過ぎた事より、今の最善を為さねば……!

◆行動
まずは村人たちの安全確保を。
子供や女性、老人や病人を優先して【救助活動】に回ります。

なるべく大きな建物に集合して出入り口を塞いで頂きたい。

亡者の攻撃に晒されそうな村人は【かばう】で盾に。
火に炙られようと【火炎耐性】が多少は役に立ってくれよう。

そして狙いは此方に集めるべく、気声にて【おびき寄せ】ましょう。

避難が済んだと判断すれば……刀と脇差も抜いて二刀となり、撫で斬りに奔る。
【2回攻撃】【なぎ払い】も駆使し、まず数を減らさねば。

元は哀れな犠牲者とて、この身にはこれしか供養の方法を知らぬ――!


ナーシャ・シャワーズ
あれま、回りくどい事をしていた割に堪え性がなかったようだ。
ま、奴にとってはしょせんゲームだったという事か。
遊びで殺られた上にこんな事させられてるお前さん方には悪いが
墓は後で生き延びた奴らにでも作ってもらってくれ。

ほおう、こっちの動きを読んだな動きをする…
そういう手合いを相手にする時には私の場合、手があってな。

一つは予測不能な隠し玉…
ワイヤーガンを使った空中戦や
ソウル・ガンの誘導弾を使った軌道を読ませない射撃なんかだ。
特に空中に影はできない。その条件は満たせんだろう?
まあ一度見せたら2度は使えんがね。

もう一つはシンプルだ。
先を読んだところで意味のない早さで撃つ。
来ると知っていても、避けれないさ。




 亡者たちは炎をその手に、闇世界を彩っていた。
 静寂を極めていた村は一変、今では金切り声や悲痛の声色のオンパレードである。
 遠くからは件の吸血鬼の笑い声が、ケタケタ響く。まさに、彼にしてみれば役者は勢揃い、豪華絢爛の宴なのだ。
「待て――!!」
 鞍馬・景正(竜胆の剣・f02972)はその影を追わんとした。
 ――あの場、あの時。それは景正が吸血鬼を見つけた時の話だ。
 吸血鬼はいとも容易く撤退をした。だが景正はそれを許さない。武州下原はその身体に一閃の傷さえ刻もうと吼えたのだが、その切っ先は虚空に線を描いただけであった。
 故に過ぎた過去より今・未来である。見据えた藍色瞳は、感情に流されず最善を常に探し出すのだ。
 老人や女、子供を中心に亡者とは反対側へと逃げるよう呼びかけ、それが間に合わぬ者たちには大きな建物へ入り、その出入口を塞ぐ。転倒した少女に手を伸ばし、泣き狂う女は抱き上げて避難させた。
 しかしそれでも、たった一人では手には負えぬ広範囲の村だ。
 景正が見えた遠くのほうで、今、亡者に女が焼かれ――景正の歯奥が軋む音を立てる。

 ふわり。

 避難を行う景正の横から金色の風が通り過ぎた。女性特有の色香を残して――ナーシャ・シャワーズ(復活の宇宙海賊【スペースパイレーツ】・f00252)のワイヤーガンが吼える。
 亡者の一体に直撃したそれは、その亡者をあえて引き寄せてから、集団の亡者たちへ投げつける。一瞬の隙、亡者たちが怯んだその真ん中へと飛び込んだナーシャ。
 まさに零距離からの連射である。回転の軌道にも似て、360度の敵相手にこれでもかと弾丸を押し込んでいく。気づけばナーシャを中心に、爆発でも起きたかのような形で亡者の身体が倒れていた。
 そして遠くに見える炎の山。恐らくあれも、亡者であろうか。
「遊びで殺された上に、再び私たちに殺される運命ってね――お前さん方には悪いが、墓は後で生き延びた奴らにでも作ってもらってくれ」
「まいる」
「先に行くんだね、すぐ追い付いてみせるさ」
 景正が先に走り出し、その後銃弾の補填を行ったナーシャは3秒遅れても、追いついた。
 あえて敵をおびき寄せた景正に、背中合わせにナーシャは立つ。
 景正の刀と脇差が腕を開くようにして振るわれ、衝撃を起こし、ナーシャは適格に、そして常人には不可能な速さで亡者の身体に蜂の巣を作っていく。
 腐臭と焦げ臭い香りが漂った。亡者の持っていた灯が、動かなくなった別の亡者に引火して燃え広がる。
 その中心で、景正とナーシャは手を止めた。成程、気が付けば山ほど倒していた――が、同じように身体に傷を作っていた二人だけが生存し、立っていた。
 これが全て吸血鬼の犠牲の量か。あまりの醜悪さに反吐が出るものである。
 その中には小さな子供さえいた。這いながら、その小さな手は景正とナーシャを喰らわんと手を伸ばしたのだが、ある意味それは助けを求めている姿にさえ似ていた。
「元は哀れな犠牲者とて、この身にはこれしか供養の方法を知らぬ――!」
 刀の一閃に次いで、弾丸が発射された轟音が響いた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と

吸血鬼を吊る前に亡者達を何とかしなければなりませんね
わたくしはまず、これ以上犠牲を増やさないよう、村人の避難を手伝いますわ
動けない方がいれば【生まれながらの光】で回復と激励を
他の動ける村人の方と協力して、皆で逃げてください

もちろん、冬夜さんや他の猟兵達が倒れて亡者にされてしまってはいけませんから
彼らにも回復をいたしますわ
一人ならば【生まれながらの光】
複数ならば【シンフォニック・キュア】で

もし皆が倒れてしまったら、最後の手段です
【血統覚醒】でヴァンパイアに変身して自ら戦いましょう


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と

村人の避難を邪魔させないよう立ちはだかり
先手必勝、【ガジェットショータイム】
かっこいいディテールの投票箱を出現させ、敵の意表をつく
開票!と叫ぶと中から投票用紙が出てくるぞ、ざざーっと
満場一致で例の吸血鬼に吊り決定だ
なお投票口の部分はいったん噛みつくと離さない

こっちに向かってきた奴はちゃんとまともに戦う
【絶望の福音】で攻撃を予測しつつ、決められれば2回攻撃
もし自分が瀕死になった場合は、亡者にされる前に【戦場の亡霊】と化す




「逃げてください、こっちですわ!」
 混乱した戦場で、少女の声はよく響いた。
 希望の導のようなその声に導かれ、多くの村人は落ち着きを取り戻しながらマヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)の呼びかけに従っていた。
 しかし亡者も無い頭でよく鼻がつくものだ。人が多ければ多いほど、そちらを狙って亡者たちの足は動く。心の中でマヒルは、彼の名を呼んだ。
 黒木・冬夜(玄冬・f06002)だ。
 村の屋根を伝い、次から次へと戦場を渡る彼。
 それはマヒルを中心に、彼女が行う避難を手助けするように行われていた。故に、マヒルの先導と非難はかなりの精度で村人たちを守っている。
 亡者の群れに飛び込んだ冬夜の身体。先手必勝――その銃火器が唸る唸るの連続で亡者をなぎ倒していく。
「開票!」
 という声が聞こえた。
 亡者の亡骸の上に片足を乗っけながら、冬夜が取り出したのはアンティークのようなボックス。その箱の調べによると、吸血鬼は満場一致で吊り決定とのこと。
 詰まる所、人狼ゲームにも似た、吸血鬼ゲームはチェックメイト目前という事だ。
「ちょっと、遊んでいるんじゃございませんこと?」
「遊んで無いぜ!? いやほら、ゲームはゲームらしく終わらせないとな……って思って、さ!」
 戦闘を行う冬夜が、避難の要でもある。マヒルはそれを理解しているからこそ、彼への治癒は欠かさない。暖かな光が冬夜を包み、背中を押すように傷を塞いでいく。
「ほら、また次が来ましたわ」
「避難は?」
「この辺りはほぼほぼ完了しておりますが……避難した人々を追ってくる可能性は大きいですわね」
 いざとなれば、このマヒル――ぞわ、と真の姿を解放せんと瞳の色が飢えたように光ったのだが。
「任せておきな」
 冬夜はそれを腕ひとつで制した。優しい声色が、普段のマヒルを取り戻させる。
「すぐ終わらせる、そしたらあの吸血鬼に引導を渡しに行くってな! てことで回復よろしく」
「ええ。貴方が亡者にされたら、明日の紅茶は誰が淹れるの」
「そりゃ困ったな」
 冬夜とマヒルは、互いに気取られない程度の微笑をした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花宵・稀星
貴方が言いだしたゲームなのですから、黒を引かれたら大人しく断罪されておけばよいものを、往生際が悪いのです。
結局は、貴方は一方的な殺戮を楽しみたかっただけでしょう?
しかし私たちを容易にその牙にかけられるとは思わないことです。

さて、まずは手下が相手ですか。
これまでの吸血鬼の所業への怒りで、私も真の姿……普段の人形のものとは異なる、人間に近い思念体の姿に近付いているです。

白の属性を操るために用いる装備<ダイヤモンド>を媒体にユーベルコード<月光>を発動するです。
宙高く昇った私の宝石の輝きは、全ての闇を打ち払う月の光となるです。
これ以上の犠牲のない、平和な朝をこの村に取り戻すです。


リーヴァルディ・カーライル
…ん、吸血鬼の遊興に付き合う義理は、ない。
これ以上、村の人間は誰一人傷付けさせはしない
最後に狩られるのは自分だという事を思い知らせてあげる…

…事前に【常夜の鍵】で自身の装備に血の魔法陣を刻んでおく
私は、村人たちの『救助活動』を主軸に行動
…村人が恐慌に陥る前に猟兵として『存在感』を示し、
【常夜の鍵】の事を伝え異空間に避難するよう指示

「あの亡者は、猟兵が吸血鬼を追い詰めた証拠」
「今も皆を護る為に戦っている…だから落ち着いて」

『第六感』で逃げ遅れた村人がいないか『見切り』『暗視』を頼りに探し回る
敵と遭遇した場合は『怪力』任せに大鎌を『なぎ払い』『生命力を吸収』して『力を溜め』る

「…ん、もう大丈夫」




 遊ぼう? って言われたって―――花宵・稀星(置き去り人形・f07013)の瞳が憤りに揺れた。
 ゲェムマスタァが、ゲームに負けたのなら。大人しく断罪されておけばよいものを、往生際が悪い。
 思い返してみれば、このようなゲームなんて単なる言い訳で。只々、一方的にマウントを取った殺戮を楽しみたかっただけなのでは。
 その答えは真相にも近い。しかし断言という反応は返っては来なかった。そこに吸血鬼の姿は、影の中に隠れて見えぬ故。
 表情が動かぬ稀星であったが、肩のあたりがぞわりと人間では無い形に一瞬、ブレた。
 それは真の姿が近いという事か。それとも稀星の憤りに人間らしい姿が保ち辛くなってしまったのか。それほどまでに、少女は隠れもさせぬ感情を顕わにしている。
 一方。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は避難を終えて、稀星に追い付いた。
「お疲れ様です。他の場所も大体は避難が終わったと見えます」
「了解した。では此方も戦闘へと移行する」
「すぐ終わらせます。あの吸血鬼に――逃れられるのは、なりません」
「あの亡者は、猟兵が吸血鬼を追い詰めた証拠。大丈夫だ、もうすぐ終わる。なにも、かも」
 言葉を交わした二人は一斉に別方向へと散開する。
 最早これ以上、吸血鬼の遊興に付き合う義理は、ない。リーヴァルディの抜刀、弓月のようにそった大鎌を横一閃――刻む。
 第六感で逃げ遅れている村人を探しながら――ではあるが、その大鎌は亡者の胴体を二つに別ちながら戦場を駆けていく。
 反対方向では、月明かりのような。それか、まるで太陽のような光が放たれた。
 稀星の放つ宝石が天高く舞い上がるとき、亡者たちはその光に畏れを成すかのように倒れていく。まさに、闇を打ち払う月の光。それは安寧の朝を導く高貴なる存在。
「これ以上、好きにはさせません――!!」
 宝石を持つ片手を夜空に掲げている稀星の覚悟は、比例するように亡者を屈服させていく。
 狩り、手下を多く増やしてきた吸血鬼――だが、最後に狩られるのは吸血鬼だ。好きにさせまいと願うのは稀星も、リーヴァルディも同じ。
「ん……もう大丈夫」
 リーヴァルディは大鎌を置いて、手を差し伸べる。その先に、幼い子供が泣いていた。もしリーヴァルディが見つけなければ救えなかった命が、またひとつ救われる。
 混乱を極めたこの戦場で、月明かりと、死神の鎌は、元凶を追い詰めるその軌跡を作る最大の成果を産んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:神手みろふ

👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 狂える夜に、王手が伸びる。
 溢れだすように沸いていた亡者が、猟兵の活躍によって一掃されたとき、夜闇にぽっかりと紅い月が浮かんでいた。
 そこから舞い降りるようにして出現し、落ちるように舞い降りたのは此度の厄災にして元凶―――1人の青年(ゲェムマスタァ)であった。
 見た目は普通の人間であったのだが、べり、べり、と音を立て、顔の半分の皮が剥がれたかと思えば、その奥に潜んでいたのは血のように赤い瞳であった。
「舐められたものだネ」
 べり、べり、べり。
「随分とゲェム盤をひっくり返してくれたものだけド」
 べりべりべりべり―――。

「此処から先は、僕が狩る側だ」

 剥き出しの殺意と悪意。
 1人の青年の皮が剥がれ落ち、吸血鬼は吸血鬼らしく姿を変えてその剣を解放する。衝撃に空気が振動し、木々が葉を零し、眠っていた鳥たちでさえ一斉に羽ばたき逃げた。
 亡者の掲げていた火が猟兵たちの逃げ場を塞ぐように燃え、この一帯は正に、どちらかが潰れるまで逃れられぬ檻と化す。
「一方的な殺戮だけじゃツマラナイ。精々被捕食者は、『らしく』足掻くのも一興さ」
 かくれんぼと鬼ごっこを経て――今、終止符が穿たれようとしていた。

 狂える夜に、王手が伸びる。
 溢れだすように沸いていた亡者が、猟兵の活躍によって一掃されたとき、夜闇にぽっかりと紅い月が浮かんでいた。
 そこから舞い降りるようにして出現し、落ちるように舞い降りたのは此度の厄災にして元凶―――1人の青年(ゲェムマスタァ)であった。
 見た目は普通の人間であったのだが、べり、べり、と音を立て、顔の半分の皮が剥がれたかと思えば、その奥に潜んでいたのは血のように赤い瞳であった。
「舐められたものだネ」
 べり、べり、べり。
「随分とゲェム盤をひっくり返してくれたものだけド」
 べりべりべりべり―――。

「此処から先は、僕が狩る側だ」

 剥き出しの殺意と悪意。
 1人の青年の皮が剥がれ落ち、吸血鬼は吸血鬼らしく姿を変えてその剣を解放する。衝撃に空気が振動し、木々が葉を零し、眠っていた鳥たちでさえ一斉に羽ばたき逃げた。
 亡者の掲げていた火が猟兵たちの逃げ場を塞ぐように燃え、この一帯は正に、どちらかが潰れるまで逃れられぬ檻と化す。
「一方的な殺戮だけじゃツマラナイ。精々被捕食者は、『らしく』足掻くのも一興さ」
 かくれんぼと鬼ごっこを経て――今、終止符が穿たれようとしていた。
花宵・稀星
さて、自らの定めたルールを破るという愚行を犯した哀れな吸血鬼はここですか。ゲームのルールを守らない人は、誰も遊んではくれなくなるですよ。もっとも、もうあなたの遊び相手はもういなくなるですが……あなたがこの世界から消え去ることによって。

とはいえ、その戦闘力はあなどれないです。
特に、多対一の戦闘において、周囲を薙ぎ払える範囲攻撃の存在はやっかいです。

ここは敵の放つ<フォーリングローゼス>を見切り、<ミレナリオ・リフレクション>で相殺するです。私の放つ薔薇の花弁が、敵の放つ花弁ひとつひとつにぶつかっては打ち消していくのです。

さあ、薔薇を手折る準備は整いました。
後はみなさん、やっちゃってくださいです。


マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と

いよいよ決戦ですわ
村のことがなくても、吸血鬼は守護者たるシルバームーンの血統を穢した忌まわしい血
到底許せるものではありません
さあ覚悟なさい!

亡者戦と同じく、皆さんを支援、回復します
敵から距離を取り、攻撃役の邪魔にならないようにして
後方から歌で皆さんを癒し、励まします

敵に近づかれたら、歌声を破壊の力に変換…
【超絶歌唱】の衝撃波をお見舞いします、ボエ~♪

【血統覚醒】は最後の手段


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と

普段はマヒルには振り回されているが
こういう時の真剣な顔や苛烈さを見ると
根は真面目に守護者やってんだなと思うな…
なんだかんだで護衛を請け負ったままなのも、そういう部分が気に入ってるからかもしれない

マヒルを守るように前に出て【ガジェットショータイム】
敵との間に棺型のガジェットを出現させる
開けた状態で突撃させると同時に、その陰からアサルトウェポンで射撃し2回攻撃を狙う

敵の攻撃は【絶望の福音】で予測し回避
自分が瀕死になった場合は【戦場の亡霊】




 村の形状が、本来の村とは様変わりしていた。家屋は倒壊や半壊、道は荒れ果て、田畑は引き裂かれ――戦闘の激化を伝えている。
 ユーベルコード同士のぶつかり合いは、時として人間の常識を当たり前のように超えるのだ。
 勝つか負けるかの戦いは紙一重の争い。少しでも気を抜けば、そこを突かれ、村の壊滅より先の己の崩壊を招く。
 今この瞬間、吸血鬼の召喚せし軍馬が漆黒の空に吼えた。
 吸血鬼に突き飛ばされ地面を転がった黒木・冬夜(玄冬・f06002)。唇の端を切ったその血を拭う暇無く見上げれば、軍馬は跳躍していた。
「くっ」
 その着地点は凡そ冬夜の顔面を押し潰さんとするもの。
 地面を横に転がるようにして回避する冬夜に、軍馬が着地した瞬間に生まれた爆風に再び冬夜の身体は浮いた。
 体勢を整えるのに時間はかからない。銃弾の補填もすぐだ。
 そして彼の背には、マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)が立ち。回復の歌声を響かせている。
 彼女が本気で戦うならば、冬夜もまた、同じかそれ以上の闘志を示さねばならない。彼女の守護意識が向かう敵は今――冬夜の瞳の中では、余裕そのもので笑っていた。
「まるでよく出来たシナリオだよネ。悪さをすればそれを正す者が出てくル。まるで終わらないいたちごっこ」
「もう終わりますわ」
 冬夜と入れ替わり、花宵・稀星(置き去り人形・f07013)が動き出す。
 軍馬をスルーして、吸血鬼を見据えていた。今、まさに吸血鬼は次の攻撃へと移るところだ。長く伸びた禍々しいオーラを放つ刃を、横に掲げれば、吸血鬼の眼前は半月のように切り裂かれるであろう。
 なんとなくであるが、稀星の勘は未来を手繰るように読んでいた。
「憐れな吸血鬼よ」
「憐れ? ボクが?」
 稀星のエレメンタルロッドと吸血鬼の剣が、全く同じモーションで重なった。
 空気と空気が擦れ合い、稀星の産んだ赤薔薇の花びらが戦闘を彩るかのように舞っていた。
 小さな台風同士の衝撃と衝撃が十字に切り裂き合う。僅かな風の隙間から吸血鬼の赤い瞳が稀星のものと繋がった――。
「杞憂サ。今夜ボクは再び勝つ。挑戦者を全て葬れば、どうあがいたッてボクの勝ちだろう?」
「また、ルールを破りますか」
「ボクがルールだ。ゲームマスターだかラ」
「もっとも、もう貴方の遊び相手はいなくなる、そう貴方が此の世から消え去ることで」
 不敵に笑う吸血鬼。答えは『それはどうかな?』である。しかし稀星の覚悟の籠った言葉は、吸血鬼の思考を苛立たせていた。
「攻撃を相殺させるとは面倒な特技をもっているネ。……稀星から退場して貰うべきだったかナ?」
「いいえ、そうはさせないわ」
 沈黙を極めていたマヒルの小さな口が、ここで開いた。
 傷を歌で塞ぐ手を休めぬまま、白銀の髪は凛々しく戦場に君臨している。
 同時に冬夜が放つ棺桶が軍馬の行動を一瞬遅らせた。その隙は大きい、棺桶の影より飛び出した冬夜が吸血鬼目掛けて銃口を向け、即座にトリガーを躊躇いなく引いた。
 射出の音に重なるマヒルの声は、吸血鬼の耳に吸い込まれるようにして入っていく。
「例え村のことが無くとも、吸血鬼は守護者たるシルバームーンの血統を穢した忌まわしい血」
「ははァ、一々汚した相手の事なんて憶えていないサ。ボクも、他の吸血鬼だってさァ!!」
 高貴な血筋を持つマヒルの瞳が、一瞬だけ吸血鬼の瞳よりも紅く煌めいていた。
 吸血鬼と同じ牙で対抗するマヒルに応えるように、冬夜の手は止まらない。攻撃を稀星に妨害され、冬夜の弾丸は吸血鬼の頬に一筋の傷を作った。
 猟兵の背後をマヒルが歌で鼓舞をする。嗚呼、敵ながらなんて皮肉(良い)なパーティだろうか。
「侮るなよ!! 猟兵風情が、ボクに勝とうだなんテ!!」
 吸血鬼の咆哮がこだました、稀星はロッドを地面に刺すように立て宣言する。
「さあ、薔薇を手折る準備は整いました。後はみなさん、やっちゃってくださいです」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ナーシャ・シャワーズ
ゲームに勝てないからって
盤をひっくり返すような子供相手にいうのもなんだが…
ここからもお前さんが狩られるゲームだ。
ついでに言えば、ここでゲームセット。
それじゃあ盛り上がる演出って奴を入れていこうか。

そっちが馬ならこっちはスペースサーファーのスピードでお相手しよう。
騎乗戦と洒落込もうじゃないか。
馬のパワーは大したもののようだが…乗り手の方はどうかな!

相棒を信じてその力を託す…
そういう乗り方がお前さんはできるか。
ソウル・ガンは魂の力で魂を撃つ銃。
人馬一体…いや、人機一体かな?
この一発をその馬の魂は受け止め切れるか!


リーヴァルディ・カーライル
…いいえ。狩られるのはあなたよヴァンパイア
報いを受けろ、とは言わない。罪を償え、とも言わない
…過去は過去らしく、疾く消え去れ

…私は敵味方の位置関係を常に『見切り』つつ行動
常に敵を挟み撃ちにでき、背後が取れる位置取りを維持できるように動く
敵が正面にいる間は防御重視。背中を向けたら『力を溜め』た大鎌で『傷口を抉る』ように攻撃
圧倒的に人数が多い以上、他の猟兵と連携して囲んで叩くのが最適解

…何らかの範囲攻撃や増援、『第六感』が危険を感知したら
一瞬だけ吸血鬼化した『怪力』で大鎌を『なぎ払い』
『生命力を吸収』する血色の『呪詛』を周囲に放つ【限定解放・血の波濤】で迎撃

「…チェックメイト。ゲェムはこれで終り」




 猟兵。
 未来を守る正義の味方だからとは言え、纏うオーラが聖なるものとは限らない。
 此の世界には、どちらかといえば毒を毒で制するように、闇たる力を己のものとし敵に対抗する事が多い。
 吸血鬼には吸血鬼を。
 色濃く魔的な黒と、純粋な黒とでは意味合いも変わるだろうが、ぶつかり合うオーラは完全に黒と黒で間違いは無い。
「甲斐甲斐しく腰でも振って逃げてくれたほうが、ボクの好みではあるのだケド」
「……いいえ、狩られるのは貴方よヴァンパイア」
 吸血鬼の背後を取ったリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の短剣が、腹部を切り裂いた。その傷口を押し広げるように、短剣は嫌らしくも回転させて肉を抉る。
 例えばこの吸血鬼。
 いくら罪を重ねたからとは言え、リーヴァルディはそれを償えとか、反省しろだなんて、『優しい』事は言わない。
 早々に此の世界から、あの絶望的な海へと還り、二度と姿を顕すなと――リーヴァルディの攻撃の手は語る。
 リーヴァルディと吸血鬼の間を裂くように黒馬が走り抜けた。
「――待て!」
「……ッ!!」
 黒馬に跨った吸血鬼が、リーヴァルディに抉られた腹部を抱えながら苦い顔をする。此処で終わってしまえばもうゲームが不可能と思うと、征服主義と快楽主義の彼には耐えられぬ苦痛だ。
 次の一手、次の切り替えしを考える吸血鬼に、その時間を与える寛容さを猟兵は持ち合わせていない。
 黒馬の疾走をナーシャ・シャワーズ(復活の宇宙海賊【スペースパイレーツ】・f00252)は追い、並走可能であった。
「カーレースでもしようか。どっちも、カーじゃないけどさ。騎馬戦と洒落込もうじゃないか」
 ニカ、と笑ったナーシャの表情に吸血鬼は心底嫌な表情で返す。
 ゲームに勝てなければ盤をひっくり返す子供を相手に、ナーシャは容赦をしない。まだこれがなんの命もかかっていない子供の遊びならば笑って許せるかもしれないが、積み重ねた犠牲の数が大きすぎる。
 残念ながら、今日限りのゲェムだ。
「これは、お前さんが狩られるゲームだ」
「違う!!」
 焦りに吸血鬼の表情が歪み、大上段から振り落とされる刃の起動を、ナーシャはコンマ数秒で予想した。一瞬の出来事であるが、スペースサーファーはかわす為に黒馬から離れ、再び同じ位置へ戻る。
 空ぶった刃の勢いが吸血鬼のバランスを崩し、ナーシャの魂の力で魂を撃つ銃が解放されんとしていた。
「相棒を信じてその力を託す……そういう乗り方がお前さんはできるか」
 解答はひとつ。
 爆音と共に黒馬の胴体が弾ける――中空に飛ばされた吸血鬼が無様に瞳を見開いた。
 その先。
 リーヴァルディの弓月に剃った大鎌が、口を開けた獣の牙のように――。
「……チェックメイト」
 ――撓りながら、獲物の身体を捕らえた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マヒル・シルバームーン
冬夜さん【f06002】と

あと一息ですわ
皆さん、最後まで頑張りましょう

冬夜さんや皆さんを信じて、支援、回復に回ります
敵から距離を取り、攻撃役の邪魔にならないようにして
【シンフォニック・キュア】で後方から歌で皆さんを癒し、励まします
敵に近づかれたら、真の姿を解放
紅い瞳と長い牙を持つ吸血鬼の姿となって迎え撃ちます
…が、戦闘は不得手なのです、守ってくださいね冬夜さん?

届けて祈りの歌を
届けて希望の歌を
光絶えたこの世界で
私は歌う

冬夜さんや仲間の猟兵達だけでなく、村や世界全体に響かせるように…


黒木・冬夜
マヒル【f03414】と

ゲームっつうのはプレイヤーとゲームマスター双方が楽しむためにするもんだ
お前のやってるのはゲームじゃねえ、ただの殺戮だ

戦法はさっきと変わらず
ガジェットの陰からアサルトウェポンで射撃し2回攻撃を狙う
【絶望の福音】で軍馬の軌道を予測し敵に接近し至近距離から撃つ
とどめが刺せそうなら遠慮なくもらう

マヒルが狙われるか、とどめの際は真の姿を解放し、体と武器に光る紋様が浮かび上がる

ラストコールだ、分かりきったことを問うが…
「汝は吸血鬼なりや?」




 いやネ、畜生。
 人間で……いやぁ、命で遊ぶのが好きだけどね――聞いてないよ、猟兵の存在に怯えなければならないなんて。
 畜生、畜生、許さないぞ猟兵。我が高貴なる肉体にこのような辱めを――!!

 薔薇の花弁が空間を切り裂く――。
 吸血鬼は獣のように唸り声をあげ、彼を中心に爆風が起き猟兵たちを切り裂いた。
 冬夜は背中でマヒルを守っている。冬夜の背を掴むマヒルは、強烈な向かい風に抗うように瞳を半分ほど開けた。
「冬夜さん、あと一息ですわ。頑張りましょう――皆様も」
「ああ」
 マヒルを中心に猟兵たちは武器を持つ。
 既に傷つき、そして限界に近い彼等ではあるが。ここまで誰一人として倒れたものはいない。
 一歩間違えれば死にゆく己の未来を否定し、幸福ある未来の選択肢を守る。それが猟兵たちだ。
 それを否定する吸血鬼。
「舐めるなよ!! 群れなければ何も出来ぬ、弱小の存在如きが!! このボクを、このボクは!!!」
 研いでいた牙さえ剥きだしにし、吸血鬼は己の感情を最大限に顕わにしている。しかし吸血鬼は冷静さを欠いていた。それは猟兵たちは暗黙化で共有する一つの隙であると、誰しもが理解している。
「マヒル」
「大丈夫よ」
 冬夜の一番優しい声がマヒルに降りかかった。
 少しずつ腹の中の魔を解放せんと無意識に行っているマヒル。それを、冬夜が気づかないはずがない。
 二人で過ごしている時間が長いからこそ、少しの変化でも敏感に感じてしまうものだ。
「大丈夫よ、行って。貴方は私が守るから」
「キミは俺が守る」
「減らず口があああああああああああああ!!!」
 吸血鬼の言葉と共に黒馬が前へと出る。
「お前の相手は俺だ!!」
 冬夜はぶつかり合うように飛び出し、銃口を向けた。ガシェットを出現させ、黒馬の視界を一瞬鈍らせた直後、ガシェットの影から飛び出した冬夜の攻撃は始まる。
 弾丸をテンポよく打ち出す中で、ナーシャのスペースサーファーが黒馬を横からぶつけた。憤怒の雄たけびを上げつつ、瓦礫の中に倒れる黒馬。
「終わりだ」
 体勢を立て直す前に、黒馬の頭に銃口を当てる冬夜。その時冬夜は恐ろしい顔をしていた事だろう、それを見上げる事が叶ったのは黒馬の野性的な瞳だけだが。
 黒馬が怯えた。
 ガン、ガン、ガン、ガン!!
 数度聞こえたその音で、黒馬の命を確認する必要性はないだろう。
「ゲームっつうのはプレイヤーとゲームマスター双方が楽しむためにするもんだ。お前のやってるのはゲームじゃねえ、ただの殺戮だ」
 冬夜が次に銃口を向けた先で、しかしその時吸血鬼の刃が冬夜の腹部を貫いた。
 鮮血が舞う。
 マヒルの視界で、赤い、赤い、彼の、血が、ゆっくりと、スローモーションのように、飛んでいるのが、見えた。
 銀の瞳がその赤に、染まるように。
 冬夜の身体を放り投げた吸血鬼。そこに再び風穴をあけられたいか? とリーヴァルディが飛び込んだ。
 数度の切り合いが発生した後、リーヴァルディが後退。吸血鬼は大上段の構え。
「任せて!!」
 稀星のモーションが再び吸血鬼のそれと重なった。
 放たれた黒と赤薔薇の花びらが衝突――攻撃は相殺。ドス黒い闇が消え、血臭のした風が弾けるように消えた。
 さあ、終わらせましょう。
 マヒルの瞳が薄っすらと開く。瞳は血のように紅く染まり、少女には似合わぬ牙が伸びる。
 真の姿を見た吸血鬼の足が止まり、妙な汗が噴き出していた。本能が逃げろと吸血鬼の脳裏に警告している。
「な!? そ、その瞳の色は――失われた都の――何故、お前は、そちら側(猟兵)についているんだ!!?
 ま、待て、待ってくれ――!!!」

 届けて祈りの歌を。
 届けて希望の歌を。
 光絶えたこの世界で。
 私は歌う。

 あの日、故郷が滅んだ。
 もう大切なものを失くすのは、嫌だから。
「マヒル!! ラストコールだ!!」
 少女(マヒル)は力を解放する。昼よりも明るく、白よりも眩しいひかりが、村全てを包み込んだ―――。

 ――「汝は吸血鬼なりや?」


「ありがとうございます。村の被害は多いけれど、命があればなんとか」
 事後、村人は瓦礫や砂埃塗れの村を復興しなければと力を合わせていた。
 悲劇はあったとしても、この村から逃げて二度と帰ってこない村人は一人としていなかった。
 猟兵が救った村をなんとしてでも再び取り戻し、平和と安寧を謳歌するのだと。村人は未来ある輝ける瞳で語っている。
 冬夜の両腕に抱えられて眠るマヒルは、その事を後から聞かされた訳だが。
「猟兵と、心優しい吸血鬼に、称賛と感謝を」
「ああ、伝えておくよ。まあ吸血鬼じゃなくて、ダンピールだけどさ!」
 冬夜は村人に笑いながら、少しずつ朝日が上る村の空を見上げた。

 ――村人の人数、残り37人。村人側の勝利です。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月01日


挿絵イラスト