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僕等は静かに、息を止め、メルシーなどと

作者：にゃあら

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●こぽりこぽり
　水槽が嗤う――牢獄が歌う。
　かつて、此処には数多の患者が在った。
　かつて、此処には地獄が在った。
　拘束具。薬品。悲鳴。殺してくれ。
　何度も何度も、何度も何度も。
　毎々と、誰かの求める声が。
　だからこそ。総ては廃れたに違いない。
　切断された脳髄が、きっと慈悲（メルシー）を召喚するのだ。
　此処は楽園。僕等は素晴らしさに歓喜した。

●グリモアベース
　ロバート・ブレイズ（冒涜翁・f00135）は何処か懐かしいものを視るような貌で、資料の束を猟兵達に渡した。其処に在るのは廃病院の写真と、埃を被った道具の乱雑。クカカッと笑い声が響いて、翁は口を開く。
「如何だ。此れは病院と説くよりは牢獄と吐いた方が好ましい。貴様等にはUDCアースにて使われなくなった『楽園』を探索してほしい。『楽園』は貧しい人々、政治家などのお偉いさん。心を病んだ人々が人知れず入院『させられた』空間だ。今では腐り果てても空っぽだが――UDC眷属の貌を視た。少女とも少年とも呼べる群れが、此処を占拠したようだ。おそらくは院内の『何処か』で神を召喚する儀式を行うだろう。此れを阻止するのが貴様等の仕事だ。常の如く不完全な召喚に成し、邪神を滅ぼして終うのだ」
　簡単に説明するならば【院内を探索し】【眷属の行う儀式を止め】【不完全な復活を成した邪神を滅ぼす】か。翁はからからと笑みを浮かべ。
「院内を探索する際は気を強く持て。如何なる『モノ』が置かれて在るのか思考し難い故に。宜しく頼む」
　グリモアが輝いて。

第1章 冒険 『廃病院探索』

POW   :    開かない扉はぶち破る。通れない柵は乗り越える。ひたすら突き進め！ SPD   :    怪しい部屋や薬棚、普段触れないものがたくさんあるぞ！　いろいろ探してみよう。 WIZ   :    昔この部屋は病室だった？　情報を集めて推理しよう。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　がらりと戸口は開かれた。
　楽園の底へと這入るには、暗がりの中を探索する他にない。
　もはや人影はなく、悲鳴や嘲笑の貌も失われた。

　されど頽廃は死に在らず、彼等の苦痛は現も残る。
　君達には、楽園を創る為に企てる。
　僕等を見つけてもらいたい。

　※※※
　マスターより。
　第一章では廃病院を探索してもらいます。
　何を見つけて、どんな反応をするのか。
　プレイングに記載してくだされば嬉しいです。
　宜しくお願い致します。


　このような場所に『紳士』が迷い込むとは奇妙だろうが、村井・樹（Ｉのために・f07125）たる己に妥協は赦されない。独特な匂いが脳髄に這い寄って、嫌悪よりも――現世との隔たりを感じる香と言うか――『僕』が保護されたのは組織の息がかかったような場所で、恵まれていたと。マシと称するべきだろう。『僕』は『僕』で異常な経験を得た『守るべき』もの――さて、私達は思い出に浸りに来たわけではない。探索の後に儀式の場を暴き、神の僕（しもべ）と不完全を滅ぼさねば成らぬ。
　邪神を呼ぶ無知なる者が居るなら、その手を止めさせなければ――暗がりの廊下を歩む。右にも左にも戸口は存在するのだが、果たして何れが情報と成る。過去の貌を読めたならば誰かの足跡も解せるだろう。総ての人間が犠牲者だが、巣食う存在の痕も――例えば。新しい手足。埃の積もった場所を探れば、何物の、何者の『正体』も判断出来る筈だ。私達のものより、大きいでしょうか、小さいでしょうか――小さかった。それは、子供の掌だった。何かに縋りつくような。憑かれたような。
　メメ君も、その跡を残した主を辿ったり――紫色の輪郭がふわふわと『何か』を追跡し始める。如何やら、的中したようだ。小さな掌は這うように、戸口の先へと続いている。

成功 🔵​🔵​🔴​

　小鳥田・古都子（サイボーグのサイキッカー・f16363）は悪の組織に改造させられた、記憶すらも『無い』生命体――懐かしい……のかな――一部の脳味噌すらもそれは掘り出せず、暗がりには己の姿が『映って』在るのか判断し難い。過去に悩んだり、トラウマに苛まれたり、負の感情に捕縛されたならば『あたしも少しは可愛げがあるんだろうけど』仕方がない。わからないのだ。特に何もない。
　永劫とも思える廊下を覗き込む。眼球に装着された光が、戸口の情報を――資料室――がらがらと音を立てて解放し、埃が宙へと舞い落ちる。人体実験とかされてたなら、その資料が……棚に詰め込まれた一冊（ファイル）を手に、捲り捲って巡る廻る――可笑しい。記憶は無い筈だ。
　苦痛。恍惚。錯乱。涙で歪み、最期の時を迎える誰かの写真。おそらくは小鳥田と
同年――それを投げ棄てて蹲る。肺の中身が全部抜け、胃液がこんこんと上る酸。世界が木馬の回転で、疑問がぐにゃりと嘲笑う。ああ。そうか。過去とか心の傷とか脳の欠損とか関係なく、単純に今のあたしが――呑み込む。頭を振る。この程度で気を失う『慈悲深さ』は組織に無かったのだ。うん。

　だったら我慢して頑張ろう。

　次の一冊（ファイル）に手を伸ばす。

成功 🔵​🔵​🔴​

　溜息が漏れる。佐々・真子（無個性派女子（主張）・f12501）の耳に戸口のぎぃぎぃ開く音。なんともはや――明らかに訳あり物件だ。売る事も壊す事も出来ない類の、死者満載のパレードとも言えよう。グリモア猟兵が『懐かしい』と吐いた時点で非常に不穏だと、心の中で思いながら想いを辿るように足運ぶ。
　その前に。組織の面々から情報を洗いざらい貰うべきだ。過去、絶対に何か在ったと確信容易。現地に乗り込むのは――『楽園』は精神病患者、特に子供を集めていた病院です。肝試しだと訪れた人々は何度も何度も悲鳴を聞いたという。最も、数十年も前の事柄だ。今現在、そのような病院は――想像以上の異常は無い。確かに『訳』はありそうだが、邪神の企てとは言い難く。
　狩人を影に潜ませて、先に向かわせる追跡者。組織の数名から貰った事前情報が役に立つのか否かは不明。やはり現地でのイレギュラーは咄嗟に対処せねば成らない。危険ですっごい嫌ですけど重要な部屋に勇気を持って――院長室には数多のファイル。子供の歪んだ貌写真。資料保管庫には患者への『対処』の方法。この病にはこの道具とこの薬品。手術室には拘束具と注射器に、べっとりと赤色の……幻覚だ。第六感が警鐘を鳴らす。最後に、何故か存在した霊安室。

　棺が並んでいた。中を覗き込めば。
　力が抜けるだろう。気が遠退くだろう。
　医術の訓練を受けたならば尚更に。

　丁寧に並べられた彼等、彼女等は、とても健康体だったのだ。
　ただ、魂が無い、微笑み。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　邪神様のお通りだ・f12350――御形・菘はカメラ目線で舌を垂らし、ちろちろと院内を『舞台』と見做した。『廃墟に突撃、幽霊を探せ！　見つけ次第ボコる！』と、某世界で大人気な動画の番外編――否。異世界特別編よ、楽しく怖がってくれ！　怖がるのか意識を持っていかれるのか、視聴者全員が狂気に陥るのは確定だろう。此処はUDCアースの中でもとびきり『厄』な一種類だ。
　では院内を探索しようかのう――蜿蜒と進む姿は『邪神様』らしく、楽園に潜む存在以上に活気あふれる怪異的。兎角。怪しいものは下に在ると、舌に触れる瘴気の味。螺旋する階段を見つけたならば、他の神を冒涜するように堂々と『這』入り。幽霊となって出てくるだけの気概があるなら大いに結構！　執念や根性は大好きだ。螺旋を終えて真正面、大きな扉が佇んで――アクション！　物理で殴れば何も問題は無い。
　開かない扉は抉じ開けるが――錆と施錠以外の感覚が在った。触れた両腕が妙に痺れるが、些細な障害にも成らない。少し振ってしまえば治るものだ。とはいえ。首を傾げるべきは肝心の部屋。中には何もない。何も無さすぎる。埃も塵も死臭も……魔術の痕跡ならば、存在したかもしれないが。そっち系の才能が無い妾には分からん――だが。邪神様として。蛇神様として。無辜の民の声は聞こえるだろう。

　私達は『楽園』に到達する為、それを望んだ。
　だから放っておいて。『僕』には近付かないで。

成功 🔵​🔵​🔴​

　認識する。それが果たして救済や慈悲に成るのか、レイチェル・ケイトリン（心の力・f09500）は戸口へと身を投げるように――楽園。こどもだとお菓子とかオモチャとか絵本があるとことかかな――心を浸すように廃れを進む。暗がりに響くのは寂しい『静』で、何処かの霧を思わせる。眩暈の如く満ち溢れる、埃の渦が視界を覆う。されど第六感が働いたのだろう。小さな掌を発見した。取り除かれた灰色――そういうのがすきな想いを利用するのもけっこういるみたいだし。
　扉が在った。如何にも『おばけ』が好みそうな部屋だ。ありふれたお守りを送り込んで中を探る――『僕』の邪魔をするのかい。楽園の『僕』の邪魔をするのかい――此処で『正解』らしい。UDCは既に『猟兵』に気付いていたのだ。
　わたしもとじこめられてたこども――語り掛けるように。扉へと触れる。語り掛けるように念動力を傾ける。心を抉じ開けるように。扉が軋む――いちばんほしいのは自由――響く開放。されど、解放が在るとは莫迦げている――そんなのはここにはなかったとおもうしね。

　何を言っているんだい。ここには自由が。
　本当に自由が在るんだよ。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 集団戦 『楽園の『僕』』

POW   :    かあさまのいうとおり 【手にした鳥籠の中にある『かあさま』の口】から【楽園の素晴らしさを説く言葉】を放ち、【それを聞いた対象を洗脳する事】により対象の動きを一時的に封じる。 SPD   :    とおさまがしたように 【相手の首を狙って振るったナイフ】が命中した対象を切断する。 WIZ   :    僕をおいていかないで 【『楽園』に消えた両親を探し求める声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　楽園を泥で汚したな――『僕』が現れる。
　とおさま。かあさま。『僕』もそっちに。
　わかっている。わかっている。
　そんなことが無理なのは、わかっている。
　だけど。だけれど。
　今更じゃないか、と、『僕等』は微笑む。

　だから楽園は素晴らしく、誰もが行くべき場所なんだ。


　我々は元々、一個の肉体だった。第三とは者を示す言の葉で――お前も『ぼく』と同じように、置いていかれた子供か？――『不良』が問い掛ける。果たして『僕等』は何なのか。それとも、漫然と彷徨うだけの『しもべ』か？――『僕等』が首を傾げて【村井・樹】を観察する。とおさまがしたようにナイフを片手に、ゆらり。
　グラり……何れにせよ、村井樹の心身が、『僕』が傷付かないために――それは自分だった。もはや『僕等』は『俺』で『私』で【アンタ】は居ない。揮う刃も見透して、何が欲しいのかと問い詰める――『僕』としての役目を全うする為に、力を尽くそう。そう『僕等』も想う筈だ。思う他に道は無い。俺と私は、些か大人になりすぎたが……『僕』ならば『僕』を理解出来るだろう？　痛いほど分かる筈だ。
　首が欲しい。噴き出す飛沫が、楽園への道を染めてくれる。甘い言葉が欲しい。飛び出す優しさが、楽園への光を魅せてくれる。ちょうだい。ちょうだい……案内してくれるんでしょう？
　メメ、これを苦しめるな……慈悲（メルシー）は一瞬だった。絡み取られた足、視界がくるりと反転し、それが落っこちた――うたた寝でもしてる間に『そこ』に着くくらいで丁度良い。かあさまのいうとおり。

成功 🔵​🔵​🔴​

　楽園の『僕等』だ。僕の存在は薄れるように引き伸ばされ、かあさまの言葉は強く――楽園は素晴らしくなくてはならないのでしょうね――置いていかれた。放置されてしまった。其処に楽園が在るのに、かあさまは『僕』には未だ早いと告げた。きっと今なら。既に滅んだ現なら。過去と成り果てた――そうでなければ――悪夢や幸福が『現実』だと。楽園こそが真実だと認識しなければ。思い込まなければ救われない。安楽とは『そういう』ものだ。でも――酷い事に巻き込まれて、身を置いて。ぐちゃぐちゃな道に棄てられても、楽園に住みたいとは思いません。
　僕には語らなかった。投影された輪郭が、かあさまの貌を覗き込む。先程『視』た以上の美しさに、吐き気や眩暈が――激しい感情が成り立たない。起立する事すらも赦されない『楽園』なんて、生きているとは思えない。だから。人間で在るべきだ。負の感情が抜け落ちて、それが人間と呼べる筈がない。その中で楽しいと思うことに巡り合いたい――『僕』に伝えてくださいと、かあさまに声を掛ける。
　子供に対して誇れる今――『楽園』は安楽で到達出来るもので、私は僕等に伝えねば成らない。あなたも此方側に到達して終えば、きっと温かなスープにありつける――確かに。語り掛ける事は可能だった。応えは在った。洗脳も、見栄と強がりと微かな勇気で退けられた。されど【留まる】結末は在り得ない。言いくるめでは足りない。おそらく、説得も不可能だ。何故かって。

　既にかあさまは居ないのだから。
　空っぽの笑顔に違いない。とても、冷たい。
　この世は地獄だ。慈悲（メルシー）が要る。
　死（メルシー）が要るのだ。

　隙は出来た。次の猟兵に繋げられる。

成功 🔵​🔵​🔴​

　かあさまの言葉は届かない。洗脳する言葉は届かない。届くのはいいねだけだ――お主らのかあさまの主張、最後まできっちり聞いてみたが――邪神様が嗤う。此れは笑顔とは言えない、視聴者の為の『蛇神』様だ。自らの在り方を魅せてこそ配信者で在り、生主の証明。故に毒を吐いてやろう。最も効果的な一言を――気の毒になるほどさっぱり楽園への興味が湧かんな――納得する筈がない。そもそもかあさまに話し合う魂など無いのだ。『僕等』が震える。そんな酷い事言わないでよ。お願い。
　前口上は終えた。早々に『ボコる』べきだ。視聴者の皆が期待している。物理的に楽園に連れて行くのを試みてはどうかのう――儀式は左に宿る。異形の鉤爪が暗黒に染まり、ぐぃぃと構えて腕を揮う。悪の怨嗟が絶叫し『僕等』の頭部を殴り潰した。それは正しく邪神の所業で、画面の向こう側から歓声が響く。されど隙の大きい一撃だ。あっという間に囲まれる――妾がひたすらに乞い願うのは歓喜、喝采、歓声よ！
　楽園とは皆で創造するものだ。最優先すべき映像作成も一種の楽園と呼べるだろう。自らの手で盛り上がる逆境を招いたのだ。此処からは純粋な戦闘物で在る――助言であるが、プレゼン能力が残念すぎるぞ？　素敵な眩い笑顔など、過去の過去に放棄した。今頃は海の底で腐って……。

　自らの切望大望を、無理だ辿り着けぬと諦めるその態度が気に入らんわ！――異形の腕で薙ぎ払う、かあさまが地面に落ち、慈悲（メルシー）は平等に訪れる。だからこそ。邪神様の怒りに触れた。興味には触れなかった。蟻のように。

成功 🔵​🔵​🔴​

　微笑みが諦めなのか。歓びなのか。疑う事なく望んだ結果なのだ――あんな目にあってきたのに――小鳥田には判らない。解らない。わかる必要などない。わかってしまったらお終いだ。『僕等』の楽園に惹き込まれる。先程の眩暈が遠い昔のようで、現のようで、未来の己のようで――とうさまがしたように、刃が揮われる。複数の『僕』が乱雑に。羅列に。無意味に。思考回路は精神感応に触れられた。何度も何度も振り回しても、刃が中る事は無く。溜める力は精神のエネルギー。内部に集中する、異常なまでの……楽園って何かな？　ここがそうなの？　それとも――流れてくる記憶は『楽園』の説。それは安楽。滅ばぬ慈悲（メルシー）。誰もが望むべき無。かあさまのいうとおりだった。でも『僕等』は結局、置いて逝かれた――やっぱりよく分かんない。
　でも、憶えておくね――左腕を掴んで引き抜いた、銃身。精神の在り方を注ぎ込んだ『もの』が爆発する。放出される。臨海まで充填された精神力（エネルギー）を――それは、望まれた、楽園への誘いに近い、消滅。

成功 🔵​🔵​🔴​

　こどものまえでおとうさんがナイフをふるってたたかうこともあるとはおもうよ――心こそが力と説くならば『僕等』の力は強烈な筈だ。信じて疑わぬ精神に宿る、絶対に『挫折』など在り得ない――心のなかで――時間は停滞した。正確には、人形の体感時間が減速した。其処で為される精密さは、最も早くて最も遅い範囲への念動力。嵐のような超越性（エネルギー）が『僕等』の血肉を吹き飛ばし、残った個体が壁に叩き付けられる。刃も共感も掻き消えて、鳥籠のだらりが呻き出す。囁き始める。かあさまの言葉こそが真実――うごかされた空気が真を真で遮った。違う。殺し尽くした。真空を成した状態で、音など伝わる筈が無い。
　此処がダークセイヴァーやアックス＆ウィザーズならば人形は頷いただろう。されど此処は――UDCアースの世界じゃ、そんなのあたりまえにあることじゃない――異常だ。可笑しな光景だ。そもそも、とうさまは誰にナイフを揮った。傷付けた。殺したのだ。そんなこともかんがえないでかたる「楽園」……「自由」
　ふつうの意味じゃないよね。

　かあさまの声が空しく、響かない。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ナイ・デス（本体不明のヤドリガミ・f05727）は『僕等』を視て、笑みを――大切な人を求める気持ち、わかる気がします――名と希望を貰った。何とも無かった時よりはナイ現実の方が温かい……貴方達はオブリビオン。一度、滅びた。死んだ存在。既に居ないものだ。故に、本当は既に楽園に存在する筈だ。話を聞いていれば、外れかもしれませんが、どういうことか――光が漏れる。生命を吸収する、恐ろしいものが。宿った本体は不明だが、此処にナイ・デスの存在は証明される。故に『僕等』の存在も証明される――楽園に逝きましょうか。私は今で、であえたので、逝けませんが――両親は先に逝ってしまった。今にはいない。現には。心の中に押し込む言の葉――本当に出会えるかどうかは、わかりませんが――口を閉じたと同時に溢れ出す、大丈夫、加減は難しいだけだ。出来るのだ。ゆっくりと、眠る事が。
　どうか、何時かと違い――最後の『僕』が瞳を閉ざす。魂を解放される。慈悲（メルシー）に誘われる。有難うと呟き――首がさかれても、私は逝けない。親すらも解らないが、何度も経験したのだ。何時しか慣れた。耐性できた。首は落とさなかった。共鳴した事で、光は更なる強烈と成った。僕の意識が静かに。

　それが安楽を呼ぶ。

成功 🔵​🔵​🔴​

第3章 ボス戦 『三四四『デビルズナンバーあんらくし』』

POW   :    悪魔の慈悲(デビルメルシー) 【慈悲の祈り】を向けた対象に、【異次元から現れるギロチンカッター】でダメージを与える。命中率が高い。 SPD   :    悪魔の後光(デビルヘイロー) 対象のユーベルコードに対し【禍々しい後光】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。 WIZ   :    悪魔の信者(デビルビリーバー) 戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身の信者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　僕等は導かれた。誘われた。
　楽園へと沈んで逝った。
　悪魔の数字（デビルズナンバー）、あんらくし。
　赤色の涙を垂らしながら、祈りを捧げる美しさ。
　神々しくも禍々しい、慈悲（メルシー）の掌が。

　君達にも伸ばされる。


　あなたがここの核ですか――禍々しい女神が眼を開かず、ただ、祈りを捧げる。もはや慈悲は万人に注ぎ込まれ、おぞましい『死』以外の何物でもない。あなたが振るう慈悲は未来を見失った人――現実が苦痛だけの人間には『楽園』そのものだろう。されど現実を苦痛に変え、盲目の羊を作り続けた『最悪』が在るのだ。総てを奪った邪悪に相応しい番号を与えねば成らない――惑わせ、迷わせ、殺された誰か。
　見栄と強がりと微かな勇気、精神を投影すればギロチンは無慈悲だ。最初に立つ猟兵が惹き付けたならば次に繋がるのは確実。異次元の刃は首を断せず、通り過ぎたのは地の崩壊。素振りに気付いた『悪魔』が憤怒の形相で再度……衝撃が走る。彫像じみた輪郭に罅が入り、存在そのものに傷が付く。媒介を通した、アストラル体を通した、サイキックが染み込んで――それの祈りは冒涜された。それの慈悲は否定された。拒絶の意思がメルシーの化けの皮を剥がす。此れは結局【UDC】だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ふつうの意味じゃない楽園、ふつうの意味じゃない自由――人形には心が宿る。オブジェクトには独り善がりが宿る。そんなとこでの「あんらくし」や「いのり」、「慈悲」、うん――如何でもいい。既に慈悲は破綻した。元々が本当の愛だとしても、現実は『死』以外の何でもないのだ。停滞する滑稽な思いに、刹那の想いをぶつけよう。精密な念動力が広範囲に及び、禍々しい後光を吹き飛ばす。不可視のエネルギーを視る術など無い。故に衝撃はオブジェクトにも通用し、罅割れを加速させた。勿論、かばう事も思考に置いて、放たれるギロチンも領域内だ。慈悲深い死は退けられる。
　人知れず入院『させられた』――他者が危険に陥るならば強制入院も仕方がない。だが。現実は如何だ。「人知れず」なんかじゃない。社会から嫌悪された『人物』を楽園に堕とす。現実から嘲笑された『人物』を楽園に堕とす。無理に連れ去られた人物に、慈悲など不要だとわからないのか――かってにきりはなされたとこでのことばなんて何の意味もないんだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

『僕達』を導いてくれたお礼に、俺達も楽園に招待してやろうってか？――泣けてくるな。反吐が出る。『不良』の貌に笑み。やっと遭えた敵に『有難う』と告げそうな勢いだ。面白く。不愉快な――だって、先に死ぬのはアンタだ――一番最初に『あんらく』する存在が、果たして誰を楽園に導けよう。連れてこうって言うんだ？
　ERROR……警告：収容違反が発生しました。直ちに終了処分を行って……絡繰りが起動する。投擲した紫が後光に消えて、禍々しい慈悲が浮かび上がる。されど『偽り』だ。本命は『こっち』に居る。フェイントは呆気なく通り、此処からが『不良』の束縛だ。放たれた強靭な鋼糸、後光を終えたと同時に四肢を定める。絡め取ってしまえば『メメ』のものだ。あんらくしを盾に本物が牙を剥く。
　アンタにとっての慈悲が何かは知らないが――女神の貌をした悪魔に容赦など要らない。悪魔の貌をしや女神など、まるで『楽園』のようだ。『僕』の為に還れ――取り戻す為にお前が死ねと。

成功 🔵​🔵​🔴​

　浅『墓』で身勝手な正義と希望――此度の場合は楽園への誘い――此れを蔓延らせて如何に成る。成す事柄は無にも至らず、慈悲は忌々しくも――望む者に与えるだけに留まらず、誰彼構わず誘い込むのであろう？　視聴者に対する熱心な活動、此れは評価に値するが、女神と偽った悪魔はやってしまった。強引な勧誘はNGが出るのが当然よ。邪神様のお通りは地上だけに留まらない。跳躍は天蓋にも届きそうなもので、身体能力は正しく辰（りゅう）だ。ばさりと翼を広げたならば、対象の位置を把握する。ボコってみたの始まりだ。
　せっかくだから教えてやろう――妾のこの必殺技は。宙で一回転。蛇神様の尻尾が凶器と成り、破壊すべき『楽土』へと向けられる。裁断すべきは恵まれた、力持つ者が作った楽園。叩き壊すのだ――気の済むまで強く祈ってみろ！――邪神が叫ぶ。蛇神が煽る。其処が貴様の楽園（墓場）だと。全く。浅く掘られた墓だ。首を落とせたなら、お主の慈悲が為した奇跡と誇るがよい！――ギロチンが降る。
　確かに血は噴いた。しかし一撃、首が健在。頑丈な首輪が刃を退けたのだ。そして――二度目の祈りは始まらん！　蛇が舞い落ちる。慈悲が地と共に爆ぜた。

成功 🔵​🔵​🔴​

　何処かの橋のように、慈悲（メルシー）が落ちた。小鳥田に断頭を齎す為に、祈りは未だ止まらない。切れたロープが嘲笑し――瞬間、刃は掴まれた。埒外たる所以は『此れ』だ。精神力と超怪力。如何なる『もの』だろうが構うものか。遅いのだ。女神の歪んだ異次元は――知ってるよ――一撃で、苦痛も無く行われる慈悲深い処刑道具。引き裂かれた慈悲が地面を転がる。否定された女神の、悪魔の貌が怒りで震えた。もはや慈悲は紙屑だ。改造人間に不可能は無い――もう一つ知ってる――ロープを切断するだけで首が落ちるのだ。処刑人に手応えが無い。気が楽なんだって。だけれども。あの子達の言う事、結局よく分からなかったけど――迫る拳は顔面を狙う。彫像を撲る為に疾走するのだ。あなたを見たらそれでいいんだと思えたよ。
　めしょり、と、潰れる音色。全開に至った怪力（パワー）が発揮され、悪魔の数字が吹き飛んだ。狂った歯車の如く回転し、終えた時の衝突は再生するのに困難だ。息を止めて傍観する事すらも赦せない。

成功 🔵​🔵​🔴​

　あなたは慈悲をというけれど――そのようなものは既に無い。修復不可能なまでに壊された貌に、慈悲（メルシー）の影は残らない。確かに未だ存在するが、誰に向けても『それ』は――ノーマーシィ、あなたに向ける慈悲はありません。女神は欠けた表情で、吐き気を堪えるように『僕等』を起こそうと。だが。追跡者が出現した。二重の影が影を覆い、彼女の輪郭すらも呑み込んで。媒介までも蠢き始める。
　信者の影も移動の糧で、女神の覚られる事無く走り出す。暗黒に対抗する為の漆黒が、クラブのマークを浮き出した。その間に己は逃れるが如く狩人を成し、目立たぬ深淵へと解放――衝撃が迸る。超越性（サイキック）が女神の胴体を抉り、其方に貌を向けた。其処に貌を晒す追跡者が構え――弾丸が駆けた。毒々とした漆黒が、慈悲の胸部を貫いて、無慈悲の影（シャドウ）どもが哄笑する。

　悪い夢は、ここで終わりです――壊れるには至らないが、存在の根元から滲み堕す遅延性。死に絶える慈悲は無慈悲に狂える、三四四。

成功 🔵​🔵​🔴​

　疑問は尽きない。既に『死んだ』だろう女神の苦痛。オブリビオンになる前から、ここにいた人ですか？　人ではない。呼ばれて現れた、ここの過去とは関係のない人、ですか？　人ではない。ナイにはわからない『貌』だが、楽園を望む人は、もういません――女神と呼ばれる悪魔が絶え絶えと『僕等』を目覚めさせる。おやすみはおはように変わって、慈悲は無慈悲の血涙と化した。お呼びでないので、おかえりください。そこが楽園というのなら、あなたもそこへ――眠った子等を起こした悪魔は、自らの在り方を歪ませた。哀れだと微笑みように、光が放たれる。
　もう一度、眠りましょう。望むものは枕に包まれ、真の楽園（骸の海）に還らねば成らない。助けてと泣き出した『僕等』の死体を、眠るように逝かせ――向き直る。独りに成った悪魔へと、加減など、慈悲など無く。あなたには、安らかにと、思えません――魂の一滴まで、苦痛と踊らせるように。光線が満ちる。念動力が抱擁し、吹き飛ばしが上下左右から。圧し潰す。消し尽くす。可能な限りの無慈悲を尽くして。

　僕等は静かに、息を止めた。有難うなどと、微笑んで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年06月18日