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叛逆の日

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 希望はない。示される道もない。
 そこにあるのは果てしなく繰り返される悲嘆と死と絶望だけ。
 光は消えた。救いという概念も薄い。
「新年を祝う闘技会で頂点に立てば、取り立ててもらえるそうだ」
「そりゃあ楽しみだ。この中の誰が勝っても怨みっこナシだぜ」
 『闘奴』なんて名前を付されているのが笑ってしまうほど、牢中にひしめく奴隷達は貧弱だ。それもそうだ、実際のところまともな武器を携えまともに戦えるのは闘奴牢の看守達だけで、いわゆる『ただの闘奴』はていのいい獲物でしかない。
 新年を祝う宴で牢から引き出され、そして何人かの闘奴牢看守に一方的に狩られて死ぬだけの。

●叛逆の日
 空気さえ重力を持っているかのような、暗く陰鬱な空。やな空、と呟いて水衛・巽(鬼祓・f01428)は短く溜息を吐いた。
「ダークセイヴァーで、辺境の村を支配する領主館へ攻め込むチャンスがきたわ。しかも隙ができる理由がなかなかふるってる」
 闘奴、周辺の村から集めた奴隷をいわゆる剣闘士奴隷にして闘わせる、血生臭い道楽を好む領主の館。そこで、新年を祝う闘技会が開催されるという。
「闘技会と言えば聞こえはいいけど、実質は闘奴を管理する闘奴牢看守による殺戮ショーよ。闘奴は身体ひとつで放り出され、一方的に狩られるだけ」
 たまに気概のあるものが死に物狂いの抵抗を見せるのを高みの見物で楽しむ、趣味の悪い娯楽だ。
 しかし会場を整備する都合で、闘奴牢看守は牢内から闘奴を出して敷地を造成させている。館の中には少数の闘奴牢看守と、領主である『異端の騎士』しか残っていない。本来なら頻繁に警備が巡回しているはずだが、闘奴が逃げ出さないようそちらの監視に回っているため、館内は驚くほどに手薄だ。
「このチャンスを逃す手はないわ」
 巽は集まった猟兵達へ館内の見取り図を手渡す。
「闘奴の牢へ続く裏口の鍵があいたままになっているから、そこから地下一階に侵入して。転送タイミングは完璧だから、着いてまっすぐ走ればそこが裏口よ」
 地下一階はある程度の区画分けがされているものの、牢と闘奴牢看守の休憩室しかない。数体の闘奴牢看守が休憩室でのんきに談笑しているはずなので、そこを強襲すればよいだろう。
 あとは館内のどこかでくつろいでいる『異端の騎士』を探し出して倒せばよい。
「自分の居室か、大広間か。3階のテラスで奴隷の様子を眺めているかもしれないし、正確な位置はわかりかねるけど……何かの手段でおびき寄せる手もあるかもね」
 領主さえ討ち取れば警備の兵士は逃げ出すので、追討の必要はない。
 むしろ絶望に染まりきった、周辺の村人を励ますほうが大事だ。
「一緒に畑を耕したり、布を織ったり、子供に歌を歌ってあげるだけでも喜ばれると思う。まだこの世界は見捨られていないってことを、皆の行動で示してほしい」


佐伯都
 こんにちは、佐伯都です。海外ではクリスマスと年末年始がセットの所が多いようですね。
 それではさっそく、以下補足とおさらいです。

●館周辺および内部
 すべてOP通りです。
 そのほか、巽から見取り図を渡されているので迷うことはありませんが、探索系の技能やユーベルコードをうまく使えばショートカットが期待できるでしょう。

●戦闘および章移行に関して
 戦闘が発生する章では、敵オブリビオンのユーベルコード一覧や外見が参照できます。
 章移行時は一度状況説明をはさみますので、そちらをご確認のうえプレイングをかけていただくのがおすすめです(移行後、状況説明が出るまでタイムラグがある場合があります)。

●第三章について
 開墾を含む荒れた農地の整備・水路などのインフラ補修(POW)や、裁縫・糸紡ぎや料理など手仕事(SPD)、子供達へ読み書きを教えたり娯楽で人々の心を癒す(WIZ)ことができます。プレイング内容によっては能力値が低めでも良い結果を狙えますので、ぜひ色々考えてみて下さい。
 また、このパートではお誘いいただいた場合に限り水衛・巽(鬼祓・f01428)が参加します。特に指示がなくとも巽なりに最善を考えて行動しますので、細かい指定は不要です。

 成功条件は『異端の騎士』の撃破。

 それでは皆様の熱いプレイング、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『闘奴牢看守』

POW   :    ボディで悶絶させてからボッコボコにしてやるぜ!
【鉄製棍棒どてっ腹フルスイング 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鉄製棍棒による滅多打ち】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チェーンデスマッチたこのやろう!
【フックと爆弾付きの鎖 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖についてるフックを肉に食い込ませること】で繋ぐ。
WIZ   :    嗜虐衝動暴走
【えげつない嗜虐衝動 】に覚醒して【『暴走(バイオレンス)』の化身】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


掘り返されたばかりの湿った土の匂いとかすかな腐臭。太陽は見えないが、ものが視認できないほど暗くもない。
 転送後すぐに、猟兵達は走る。ただまっすぐに走れば、目指すべき裏口はすぐそこだ。邪魔者などどこにもいない。
 巨大なかんぬきが下がっている分厚い鉄の扉が見えた。圧政で人々の心を折った慢心の表れだろうか、やや錆が目立つ鍵はかんぬきの真ん中に刺さったままになっている。一瞬誰かが笑ってしまったのも無理ない事かもしれない。
 鉄の扉の向こうは、そのまま斜め下へのびる通路になっている。見取り図通り、地下一階へ繋がっているようだ。淀んだ空気を感じながら猟兵達は歩を進める。
 ぽつぽつと並んでいる蝋燭の明かりで、足元に不安はなかった。
イェルクロルト・レイン
ギド(f00088)と

へえ、あんたも来てたんだ
おれの邪魔すんなよ、オッサン

獲物を狩ってる間に邪魔が入られても興醒めなんでね
おれは看守をヤるぜ、アンタは?
探索は他のヤツらに任せる。得意でもないからな

案内はギドに一任
狼の耳なら拾える音も多いだろう。不審音は警告を
炎が見えれば戦闘開始

炎に怯んだ様子もなく、凶悪に笑えば高々吼えて。懐に潜りこんで前衛を張る
敵も味方も関係ない――が
掟破りは余計な敵も作るからな、多少は気を遣ってやる
ノロマじゃないなら避けれるだろ?
態度は変わらずクソ野郎のまま

どこか懐かしいような死臭は胸糞悪い
遺言はあるか? 聞かないけどな

まだいるんだろ? 足りないな
アルゴフィリアは止まれない


ギド・スプートニク
イェルクロルト(f00036)と

>ふん、駄犬がよく吠える
怪我をしてみっともない姿を晒さねば良いがな

>賛成だ
騒ぎに気付いて騎士が現れるのなら、こちらから探す手間も省けるしな

見取り図に従い休憩室へと向かい看守を強襲
特に声を掛ける事もなく、炎の魔術で先制攻撃
騎士道精神を気取る気もない
ただ駆逐するのみ

炎はイェルクロルトの鼻先を掠めるほどの軌道を取るが、誤射はしない
前衛は彼に一任し、もしもの時は拷問具にて応戦
だが私の手を煩わせるようならば罵声を飛ばす

相変わらず生意気な口を聞く小僧だ
文句は言いつつ背中は預け、魔術も的確に彼の支援を

退屈凌ぎにもならんな
所詮は人間相手に粋がる事しか出来ぬ、能無しどもの集まりか


戦場外院・晶
この度の戦に臨むにあたって私の【祈り】は一つ、人面獣心の敵の顔を見て、私の殺意が鈍らない事、です……ええ、ええ

走ります
矢になったつもりで走ります

敵を見定め、駆け寄りましょう
【オーラ防御】で固めて間合いを詰めます
言葉もなく奇襲の利を活かしましょう

「……そこです」

敵の抵抗を【奥義・不生】で封殺
その隙に【手をつないで】もう離しません
持ち前の【怪力】と【グラップリング】技術を存分に発揮し、崩し、打ち、、極め、効率的に壊して差し上げます……丈夫そうな方ですので抵抗するでしょうし時間はかかりましょうが……容赦はしません
命乞いも泣き言も黙殺で御座います……何故なら

「コレの楽しさ、貴方が一番ご存知なのでは?」


ロカジ・ミナイ
マヌケで趣味の悪いヤツはどこだい?
……確かまっすぐ走ればいいって言ってたよね。
大丈夫大丈夫、見取り図ならちゃぁんと頭に入ってる。

んー、……多分こっちの方が近い。僕の第六感がそう囁いた。
ああ、もちろん迷子になったっぽかったら早めに引き返すよ。
迷子放送なんてされたら恥ずかしいしねぇ。

闘奴牢看守とエンカウントしたら棒で殴る。
先手必勝って言うでしょ。
特に筋肉バカとのバトルにはコレが重要なんだ。

そのあとは咎力封じで色々と封じて、うん、
真っ向勝負……はちょっと顔が怖いから避けたいなぁ。
上手いこと同士討ちとかしてくれないかなぁ。


シノ・グラジオラス
【POW】選択

見張りって事だから態度デカそうだし、痕跡はあるだろ
それを追跡を使って追って休憩室を探す
牢の見渡しが良さそうなトコが狙い目か?

休憩室強襲前に、聞き耳で人数くらいは知っておきたいかね
強襲するが、逃げられると厄介だ
入って来た入口は塞いで、
別の出口があるなら仲間に確保してもらえるように要請する

攻撃は2回攻撃を使って1体ずつ集中攻撃して確実に落としつつ、
生命力吸収も使って自分のダメージも累積しないよう注意

腹に一撃もらうと厄介だ
回避を狙うが、無理そうなら黒剣で腹をガードして続く攻撃を避けられるようにする

条件を満たしたら戦場の亡霊発動
残念、お前らをボコりたいのは俺だけじゃないみたいだな?



多分こっちのほうが近い、というロカジ・ミナイ(きまってない・f04128)の呟きに、それでいきましょうと戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)は首肯した。
 館内の見取り図は規則的にならぶ牢の存在を示しているが、ロカジのあやかしの本能が近道を告げているのだろう。いわゆる第六感というものだ。
「へえ、あんたも来てたんだ。おれの邪魔すんなよ、オッサン」
「駄犬がよく吠える。怪我をしてみっともない姿を晒さねばいいな」
 突っかかるようなイェルクロルト・レイン(叛逆の骸・f00036)の軽口に、ギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)もまた軽口を返す。
「獲物を狩ってる間に邪魔が入られても興醒めなんでね、おれは看守をヤるぜ、アンタは?」
「賛成だ。ここの騒ぎに気付いて騎士が現れるのなら、探す手間も省ける」
 もともと光など望めぬ世界の地下牢、内部はすえた悪臭が漂い空気もひどく淀んでいた。衛生状態が劣悪であったことは火を見るよりも明らかで、闘技会へ引き出される前に落命した奴隷も多かったに違いないと推測できる。
 叛逆の嚆矢となるべく晶は仲間と共に走った。そう、これは弑逆ではない。不敬でもって闇に葬るのではなく、正しく悪政に叛くためのもの。
 晶がこの度の戦に臨むにあたり、祈るのはただ一つ。人面獣心の敵の顔を見て殺意が鈍らない事。決して容赦などしてはならない。彼等が『楽しい行為』であるとした鏖殺が、どれだけ『楽しい』ものなのかをぜひとも経験してもらわなければならない。
 ロカジが示す道行きは、結果的に闘奴牢看守達がいる休憩室への最短距離だった。昼間っからたんまりアルコールでも入っているのだろうか、イェルクロルトの鼻孔へ安酒の匂いが届く。
 おそらく大きな牢を改造したものなのだろう。そこは休憩室とは名ばかりで、ほかより比較的天井が高いが、猛獣の檻よろしく格子に囲まれた素通しの空間になっている。
 看守としての務めを果たすには他の牢がよく見えるに越した事はないので、これはこれで便利な構造なのかもしれない。まさしくシノ・グラジオラス(火燼・f04537)が想像していた通りの場所だった。何から何まで、文字通りに。
「見張りって事は態度デカそうだし、見渡しが良さそうなトコが狙い目かとは思っていたんだが」
 調子っ外れの歌らしきものと野卑な笑い声。シノの耳は数名、多くても6名という数字をよりわける。自分たちの後に続いているほかの猟兵もいるので、入ってきた裏口から逃走されるという心配はないだろう。
 地下牢という物理的条件もあり、出入り口は裏口の他にはただ一つ、一階へあがる階段がフロアの隅にあるだけだ。ならばシノ達が最低限達成すべきは、休憩室にすべての闘奴牢看守を足止めする事のみ。
 結局、走り寄る猟兵の気配に闘奴牢看守達は直前まで気付かなかった。それこそギドによる【ウィザード・ミサイル】が紅蓮の矢となって降り注ぐまで。
「騎士道精神など知ったことではない。敵はただ駆逐するのみ」
 周囲に突き立った炎矢で敵襲を悟ったのだろう、看守がそれぞれ自分の鉄製棍棒を手に取る。しかし、もう遅い。
「あっぶねーなオッサン!! おれまで巻き込むんじゃねええよ!」
「誤射などするものか。射線上にお前が入ってくるのが悪い」
 一番槍とばかりにイェルクロルトが休憩室の扉を蹴破った。がっしゃん、と鉄格子の扉が凄まじい金属音をたてるが構う気もないらしい。鼻先を掠めた【ウィザード・ミサイル】への抗議だということはわかっているので、ギドのほうも涼しい顔で黙殺した。
 看守6体のうちいくつかの身体がびきびきと耳障りな音と共に膨れあがり、筋肉がより大きく太く隆起する。ただでさえ屈強な肉体がさらに戦闘力を増したのを見てとり、水晶は眉をひそめた。しかし。
「……そこです」
 同僚に続こうとしたのだろう、鉄製棍棒を振り上げ雄叫びをあげた看守の背後、晶が影のように無音で迫る。死角からの【奥義・不生】をまともに喰らった看守が自己強化を果たせずに大きくよろめいた。
 獣じみた叫びをほとばしらせて、イェルクロルトへ看守が群がってくる。
「敵も味方も俺にゃ関係ないが、多少は気ィ使ってやるよ」
「……おい!」
 不穏な呟きに何かを察したのだろう、ギドが制止しようとするも一瞬遅い。
「ノロマじゃないなら避けられるだろ?」
 目の前に迫る看守を睨み上げるようにして笑い、咆哮する。
 イェルクロルトが発したのは人狼特有の、激烈とも表現すべき【人狼咆哮】のものだった。その声は彼自身の言葉通りに敵味方の区別なく、かつ容赦なく打ちのめすものでもある。その暴威に巻き込まれた猟兵のうちシノ以外に目立つ負傷はなかったが、その行為にギドは相当おかんむりのようだ。
「大した事はない。だが、あちらからもらいすぎると後々厄介そうだ」
 しかし、シノは自ら攻撃しながら相手の生命力でもって傷を癒やすこともできるので大事には至らない。さりとてあまり看守に殴られすぎてもそれはそれで本末転倒なので、シノは早々に決着を狙うことにする。
 イェルクロルトは休憩室内で暴れてもらうことにして、シノにロカジと晶を加えた3名はそこから溢れた看守を相手取った。
「特に腹へ、は避けたいが」
 野球のフルスイングに似たモーションの、看守のユーベルコードは凶悪の一言に尽きる。
「真っ向勝負……はちょっと顔が怖いから避けたいなぁ」
 そう言って苦笑したものの、ロカジにはまるで怯む様子がない。
「でも筋肉バカとのバトルにはコレが重要なんだ――先手必勝!」
 言うなりぶちかまされた擂粉木での一撃。筋骨隆々の看守が軽く吹っ飛んでいったのを、晶は完全に他人事の顔で見送った。おやよく飛びますね、くらいの。
 今や【咎力封じ】で完全に反撃を封じたロカジの前には、たとえオブリビオンとて敵ではない。うまいこと同士討ちとかしれくれないかな、と多少面倒そうにひとりごちつつ、妖狐は鮮やかに軽やかに、地下牢を駆ける。
「丈夫そうな方々ですので時間はかかりましょうが、容赦はしませんよ」
「っるせえええぇぁあぁァァア!!?!」
 雄叫びの後半は、こんなはずではない、という無様なものに聞こえた。
 しっかりとオブリビオンを捕らえた晶の握力は凄まじいもので、ふりほどきたくともびくともしない。
「容赦はしません」
 短く囁かれた言葉の通り、看守を打ちすえる晶の動作に迷いはなかった。罵倒する叫びも何もかも黙殺する。
「なぜならコレの楽しさ、貴方がたが一番ご存じなのでは?」
 ただ凪いだ、静かな口調へ晶は怒りをにじませない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルガーレ・マリノ
奴隷…道楽…殺戮ショー…何故でしょう
凄く胸が落ち着かない…
既視感…いえ、そんな筈は!
マリノ家は…お父様はそんな事…
…今は任された事を全うしなければ!

闘奴らしい≪変装≫をして
地下へ足を踏み入れたら闘奴らしく動き機を計り看守を強襲
≪ブラッド・ガイスト≫は早い段階で使用します
攻撃の振りは出来るだけ小さく、隙なく≪2回攻撃≫を繰り出します
『異端の騎士』について何か知っているでしょうか…
あまりこういうのは得意ではないですが
訊く方がいなければ問いてみます

…その気迫…ゾクゾクしマス…
野蛮に暴れる事しか出来ないのデスネ…貴方も『ワタシ』も…!
アア…でも倒してはダメ…?大事な事をご存じかも…
ガマン…しなキャ


テラ・グゥスター
命は消えるのを眺めて楽しむ様なちゃちなモンじゃあ断じてねぇ、輝きを尊び称えるべきモンだぜ……それがわからねんなら、あぁ、死ぬしかねぇよテメェらは。

【SPD】
奇襲とは言え地の利は相手にあるしなぁ、多数を同時に相手取らないに越したこたねぇだろう。フィンガーレーザーの「暗殺」でまず1体、休憩室で呑気にしてる奴を消したいな。狙うはド頭か首、一撃での致命傷狙いだ。殺せんでも運動量が落ちりゃあ上々って事で。
後は対峙した奴にユーベルコードをぶつけて戦うだけだな。なぁに、何も一人で全員殺らにゃならんワケでもなし、味方猟兵を精々頼りにさせて貰うぜ。


メドラ・メメポルド
無理矢理戦わせるなんて、ひどいわ
戦うって生きるため、食べるために行うことよ
ちゃあんと教えてあげなくちゃ

【使用:ブラッド・ガイスト】
聖痕をメドの血で、赤く染める
そうするとね、すごぉく、おなかが空くのよ
くらげの腕もたくさん伸ばすわ
毒もたくさんあげましょう

おなかが空いたら、ごはんを食べなきゃ
ごはんがないなら、狩りをしなきゃ
弱いものは強いものに食べられる
それが当たり前のことなのだもの

……ねえ、あなた
戦うことは、楽しいことではないとわかったかしら?
でも、もう、わたし、お腹がぺこぺこだから

いただきまぁす

……だいじょうぶ、怖がらせるだけよ
ほんとは食べたいけど、今はそれより大事なことがあるもの
前菜は我慢するわ


エステシア・プライド
余も統治者なれば、此の地の領主の非道は捨て置けぬな。
よかろう。黄金竜の女王が非道の所業は相応の報いを持って誅されるということを此処に、手ずからに示してくれようぞ。

まずは雑兵どもを蹴散らすとしようか。

王者たるに相応しく超然と、しかして強襲なれば事は迅速に為さねばならぬ。

余のユーベルコードを開戦の狼煙として、暢気な看守たちに見舞ってくれるわ。

相手側が未だ己が狩りたてられる側であると信じて疑わずに油断している手合いならば、攻撃力を重視した一撃を初撃に選択しても命中るであろう。

余の召喚する三頭黄金竜の吐き出す引力光線の威力に、雑兵風情が耐えられようものか。


オリヴィア・ローゼンタール
POW
人狩りで新年を祝うなど、度が過ぎた悪趣味ですね
狩られる側になる気分、その身で味わわせてさしあげます

【トリニティエンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力を強化
通路を駆け抜け(【ダッシュ】)、看守の休憩室を強襲します
扉を蹴破り(【怪力】【踏みつけ】【鎧砕き】)、
反応される前に槍を投げつけ(【槍投げ】【投擲】【怪力】)ます
間髪入れずに残った敵にはガントレットで殴りかかる(【グラップル】【鎧砕き】)
棍棒の直撃を受けないようにガントレットで防御(【見切り】【オーラ防御】【武器受け】)して反撃する(【カウンター】)
生き残りがいれば、【踏みつけ】て騎士の居場所を吐かせる


馬駒・つの
そんな闘技会さげみざわだよ💭
つのがもっとおもしろくしちゃう🙋🌼

奇襲のために【迷彩】でしゅばばって休憩室へ😎
ぱーぱぱーぱっぱー(野球的なbgm)つの選手ー!
【びにがさ🌂】で看守の後頭部を【先制攻撃】かっきーん!⚾
看守さん、ウォーミングアップにつのとも遊んでよお🐰💖

先攻できなくても一回裏でみんなと協力して
【串刺し】で【傷を抉る】とかできるかな?
ぴんちには【敵を盾にする】!

むろーん【飛んでく君✈️】で動画もばっちり🤗
ねえねえつのけっこー強くない?
動画映えのためにスカートちょっと短くしてきたし🍓
見えないけどねっ🙅🙅
お互い笑顔になれたら【#つのかわ】きめちゃお!💘

アドリブ🆗♥️



「余も統治者なれば、この地の領主の非道は捨て置けぬのでな」
 第二陣として地下牢に突入したエステシア・プライド(黄金竜の女王・f02772)がかざす王錫、そこに稲妻状の光が凝った。
 民を支配するということには、自動的に権力者としての責任も生じるのだとエステシアは理解している。ただ搾取し虐げる者など、そんなものは施政者とは呼ばないし民を統べる資格もない。
 そんな痴れ者が領地の守護者を自称するなど片腹痛いし、ましてや施政者を語るなど百年早い。
「ゆえにこの黄金竜の女王が、非道の所業は相応の報いをもって誅されるという事を示してくれよう――『我が太祖。三頭黄金竜よ。宇宙の理を破壊する金星の業火よ』!」
 どこか傲然と、しかし超然とした女王の風格をもって命じられた【三頭黄金竜引力光線】は、狙いあやまたずに猛然と闘奴牢看守へ襲いかかった。角持つ竜頭に似た稲光に蹂躙される看守達の絶叫が地下牢を揺らす。
 奇襲もとい強襲とは言え地の利があちらにある事はまちがいないので、テラ・グゥスター(生存こそ正義・f04573)は休憩室の混乱に乗じてフィンガーレーザーを構えた。
 頭か頸への致命傷こそ逃したものの、さすがに急所付近を撃ち抜かれてなお元気いっぱいでいられるほど頑健ではない。テラが狙い撃った個体は早々にオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の聖槍の露となって消えた。
「人狩りでもって新年を祝うなど、度を超した悪趣味としか言い様がありません。狩られる側の気分を味わわせてさしあげましょう」
「ああ、命なんて苦しめたり潰したり消えるのを眺めて楽しむ様なモンじゃあねぇ、輝きを尊び称え、守るべきモンだ……」
 決然としたオリヴィアの声にテラは首肯する。
 こんな風にただ消費されてよいもののはずがない。
 オブリビオンに支配されるとはこういう事なのか。
 過去が牙をむくとはこういう事なのか。
 ならば猟兵である自分たちは、全力でそれに抗い覆さなければならない。
「そう、無理矢理戦わせるなんてひどいわ。戦うって生きるため、食べるために行うことよ、それをちゃあんと教えてあげなくちゃ」
 うふふっ、と肩をすくめるように笑ったメドラ・メメポルド(フロウ・f00731)の周囲に赤い霧のようなものが散った。生々しい匂いでそれが彼女自身の血であることが知れる。
 それにメドラは自分より弱ければ食べてもよい、と教わっている。常に腹を空かせているのでいつだってイタダキマスはそれこそ大歓迎だった。
「ふふふ、聖痕をメドの血で、赤く染めるとねぇ……そうするとね、すごぉく、すっごーくおなかが空くのよ? おなかが空いたらごはんを食べなきゃ。ごはんがないなら、狩りをしなきゃ」
 色白の肌にあおい髪、どこかぼんやりとしたような眼が嬉しげに細まる。
 そのおさない外見から語られるにはさすがに不気味だったのだろう、看守達の中にも一瞬ひるむ者が出る。しかしそうして生じた隙を見逃すほどヴォルガーレ・マリノ(天真なるパッツォ・f03135)もまた甘くない。
「なるべく早くに済ませましょう」
 しかし、奴隷に道楽に殺戮ショーと、ひどく不穏な単語の並びにヴォルガーレの心はざわめく。なぜか既視感を覚えるのは何故なのだろう。おかしい。おかしい。こんなひどい事を、自分が知っているはずがないのに。
 ……いや、そんなはずは。マリノ家は――『お父様』はそんな、こんな、事は……。
 覚えている、なんて自分が考えているのはどうしてだろう。唐突な動揺に一瞬看守への対応が遅れるが、凶悪な重さとフォルムの鉄製棍棒の直撃は避けた。
 お返しとばかりに【ブラッド・ガイスト】で強化済みの戦斧を振るうと、負傷が折り重なった看守の一体がどっと音を立てて沈む。
「新春人間狩り闘技会ー、なんてさげみざわだよ?? つのがもっと面白くしちゃう!」
 迷彩で自らの存在をカモフラージュした馬駒・つの(◊♛タッタ・ラッタ♛◊・f00249)の底なしに明るい声が響く。プロ野球の登場曲か何か、ぱーぱぱーぱっぱー、と自分で歌いながらつのはびにがさ🌂を振り回した。華麗な一本足打法で打ちすえられた闘奴牢看守が吹っ飛ぶ。
「先制攻撃かっきーん! 看守さん、ウォーミングアップにつのとも遊んでよお」
「そうね、くらげの腕もたくさん伸ばすわ。毒もたくさん、あげましょう」
 うっそりと笑うメドラと、この状況が楽しくて仕方がないといった様子のつのの破壊力はなかなかだ。そして闘奴牢看守はこの状況から逃走してしまうのではなく、徹底抗戦すべしと判断したようだ。
 逃走する気がなくなったのはそれはそれで喜ばしい、とテラは内心ほっとする。
「なぁに、何も一人で全員殺らにゃならんワケでもないしな。お味方サンら、精々頼りにさせて貰うぜ」
 的確に看守を削りながらテラは言い放った。
 次々と数を減らしていく看守の頭上、場違いとも思えるドローンが飛び回っている。搭載された小型カメラが狙うのはつのの姿だ。
「先攻できなくても一回裏でみんなと協力して、串刺しとか傷を抉るとかできるかな?」
 軽薄に聞こえるつのの台詞は、それでいて妙に本気を感じさせるあたりが恐ろしい。ねえねえつのけっこー強くなーい? とピンク色に染められた指先を口元に添えて、軽くポーズを決めて。どこからどうみても動画映えや他人の目しか気にしていないいまどきJKの姿でしかないが、それでいてつのの実物はどこにも存在してなどいない、というあたりがふるっている。
「余が召喚する三頭黄金竜の引力光線に、雑兵風情が耐えられようものか!」
 オリヴィアが縦横に駆けるその横、エステシアは勝ち誇って笑っていた。
 為す術もなくほぼ一方的に倒れていく看守の襟首を引き、ヴォルガーレとメドラ、そしてオリヴィアは『異端の騎士』の居場所を吐かせようと試みてみる。
「……ねえ、あなた。戦うことは、楽しいことではないとわかったかしら? でも、もう、わたし、お腹ぺこぺこだから」
「ふふふ、……その気迫、ゾクゾクしマス。しかし野蛮に暴れる事しか出来ないのデスネ、貴方も『ワタシ』も……!」
 ナリは普通だがその言動から異様な雰囲気を感じ取ったのだろう、看守は『異端の騎士』は階上のテラスで外を眺めていることが多い、と語った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


つい先ほどまで闘奴牢看守であった物体を肩越しに振り返り、猟兵達は先を急ぐ。『階上のテラス』と言えば、見取り図を確認するかぎりグリモア猟兵も触れていた3階のテラスが該当するだろう。
 奴隷とした人々を虐げ、ただ一方的に搾取するだけの圧制者らしい行動、とも言えるかもしれない。
 地下1階から3階までの間に明確な、障害らしい障害はないはずだ。もしあればグリモア猟兵が指摘しているはずなので、少数と表現された看守が地下1階のそれで全部だったのかどうか、という点だけだろう。
 素早く館の3階フロアまで駆け上がった猟兵達は、建物の南側壁面を背にする形で大きく扇状に張りだしたテラスを目指した。
エステシア・プライド
テラスか。
狩猟場の造成の様子を監督するには打ってつけの場所であるな。
しかし、人員を投入して整地した狩猟場が、その役目を果たすことは最早無いぞ。

異端の騎士、その暗愚極まる統治の負債は己が生命で支払うと知れ。

余のユーベルコード、三頭黄金竜の暴威をもって骸の海に還してくれる。

召喚した三頭黄金竜の攻撃と、余自身の武装たる竜創神器・第一位『竜帝』での連携をもって、異端の騎士に相対するとしよう。

余の魔導の業は竜を召喚び、剣技の冴えは一太刀をもって二回の斬撃を可能とする。

頑丈そうな鋼で肉体を鎧っているようだが、生憎と余は属性を操る術にも堪能でな。
金属であれば剣に纏わせた雷を阻める道理はあるまい。


ヴォルガーレ・マリノ
看守の口にした「テラス」を目指しましょう
別の場所にいる可能性や少数とはいえ館内に
看守もいますし、探索は慎重に…
看守との戦闘は避けたいですが
どうしてもという場合は【誘き寄せ】て【先制攻撃】します

…ごめんなサイ
アナタじゃもうワタシの熱を抑えられないんデス…

ボス戦≫
お相手する数が多い戦いも楽しいデスガ…
たった一人の強者との戦いも…凄く…良いデスネ…!
アァ…胸の高鳴りが…抑えられまセン…!

回避し辛い攻撃は無理に避けまセン
【激痛耐性】で耐え【捨て身の一撃】で向かいマス
熱い…フフ…素敵…!
【生命力吸収】でもっと長く
この時を楽しみたいデス…
【深紅の返礼】は命中率を重視
【2回攻撃】や【鎧砕き】で威力を上げマス


戦場外院・晶
「何か面白いものは見えますか?」

【祈る】は必殺
心を一つところに向けるが祈りなれば

私に出来る事など多くはなく、
相手は甲冑、長物、……とはいえ
「手はあります。掴めばどうとでもして見せましょう」

【オーラ防御】を頼りに突っ込みます
「……そこです」
【奥義・不生】で相殺を試みながらも足を止めずに突貫に御座います

「捕らえました……」
もしも肉薄出来たなら、私は素早く【手をつなぎ】ます
これのみを研鑽してきたのです

そうなれば、もう逃がしません
【怪力】をもって握りしめ、【グラップル】で崩し、極め

「戦い、殺される事すら、楽しんで下さいまし……っ」

【破魔】の拳で砕きましょう

最後には冥福を祈ります……同じ穴の狢、ですもの


シノ・グラジオラス
POW選択
権力を笠に着た悪趣味は腹立つな
煙と何とかは高い所が好きって言うが、本当っぽいな領主サマ?
バカ騒ぎはテメェ一人で寂しくやんな

『追跡』と『聞き耳』で索敵と周囲の警戒つつ、
手早く領主のいるであろうテラスを目指す
※テラスに不在の場合は同方法で索敵

領主戦に看守がいるなら狙いはそっちから
こっちの血液さえ流れなきゃどうにかなる…はず
攻撃は『武器受け』で流血は避ける
領主が逃走しないように警戒して取り囲むように配置

あとは『2回攻撃』で手数を増やして『鎧無視攻撃』、
【紅喰い】は領主には牙(攻撃力)、看守らは爪(回数)で攻撃
『生命吸収』で長く立って前線を保つつもりだが、
邪魔になるなら素直に下がろうか



「まったく、煙と何とかは高い所が好きって言うが……」
「まあ狩り場の様子を見物、ないし監督するのにうってつけの場所ではあるな。それに圧制者が無様な終焉を迎えるにも適した舞台だ、と言えなくもない」
 念のため標的以外の何者かがいないかどうか聞き耳をたてつつ慎重に進むシノを先頭に、エステシアやヴォルガーレがその後に続く。殿を守るのは晶だ。
「なぜテラスが、最期を迎えるのに適しているのでしょう?」
 純粋な疑問だったのだろう、背後へ注意深く目を凝らしながら晶が囁く。どうにも音が響きやすい気がしてならない。天井の高さや調度品の材質が影響しているのだろうか。
「王侯貴族のセレモニーではテラスで民衆に披露目をするのが慣例よな」
 エステシアが含み笑いつつ、王族の結婚式の様子を思い出せ、と付け加える。
「テラス下の広場を埋め尽くす民衆へ手を振る――まさしくそのテラスが、この討伐の舞台。最高の演出とは思わぬか?」
「なるほど、そういう事か」
 物陰から廊下の先を伺っていたシノが口角を上げた。
「では仕上げは、テラスから『異端の騎士』を突き落とす、って所までですね」
「然り」
 我が意を得たりとヴォルガーレに首肯してみせて、エステシアは眼を細める。
 ここまで慎重に進んできたこともあり、騎士以外の何者かと鉢合わせることはなかった。妙におどろおどろしい曲がり角の装飾を越え、シノはそっとテラスへ続く扉へ指をかける。
 意外にも軋む音すらなく軽く開いていく、観音開きの扉。
 扇状に虚空へせりだしたテラスは、大きい。異変を悟った配下が駆け寄るテラス下へ騎士の亡骸を突き落とす、そんなフィナーレを思い描いてはいたが、これなら猟兵達と切り結んだ結果主人が敗北する過程も見せつけられそうだとエステシアはほくそ笑む。
「……何か面白いものは見えますか?」
 しずかにそんな問いを口にした晶へ、『異端の騎士』は素早く振り返った。
 兜の中で炭火のように輝いている目の赤さが強まったような気がして、シノは反射的に身構える。侵入者を許すとは、と篭もった低い声が聞こえた。
「バカ騒ぎはテメェ一人で寂しくやんな。権力を傘に着た悪趣味領主サマ」
「聞くがよい、そこな異端の騎士。暗愚極まる統治の負債、今ここで己が生命で支払うと知れ」
 無言で長大な剣を抜いた異端の騎士が放つ戦意に、ヴォルガーレが軽く胸を押さえる。
「アァ……お相手する数が多い戦いも楽しいデスガ……ごめんなサイ、看守ごときじゃもうワタシの熱を抑えられないんデス……!!」
 ほかでもない戦闘行為に快感を覚えるヴォルガーレの呼吸が徐々にはやく、浅くなってきた。重い金属音と共に一歩前へ踏み出してきた騎士を、エステシアと晶が迎えうつ。
「『我が太祖、三頭黄金竜よ。宇宙を統べる偉大なる翼の主よ』――!!」 
 エステシアのユーベルコード【三頭黄金竜顕現】、さらにそこへ竜創神器・第一位『竜帝』の追撃が迫った。金色の電撃を纏った斬撃で騎士の鎧の表面が焦げつく。
 たまらず咄嗟に距離を取ろうとした騎士の左手へ、音もなく晶の手が迫った。
「――そこです」
 拘束具かと錯覚しそうなほどきつく絡み合った晶の指と騎士の指。もう逃がしません、といっそ恐ろしく聞こえるほど低い声音が続く。
 みしりと金属製のはずの手甲が悲鳴をあげた。
「捕らえました」
 みしり、ぎしり、と手甲の悲鳴が重なっていく。白い頭巾の下の赤い瞳が笑みに細まり、確信をもって晶はさらに己が右手へ力を込めた。
 これのみを研鑽してきたのだ。その手をとらえ離さず、そこから体勢を崩し極めることで相手を砕く。愚直なまでに、ただそれだけの。
 晶の意図を知った異端の騎士が吼えるように唸った。
「小賢しい真似を……!」
「そりゃ悪いな、こちとらお上品な育ち方はしていないもんでね――『目ぇ反らすなよ? スコルのお出ましだ』」
 晶に腕を極められすぐには退くこともできない騎士の喉笛を、シノの牙が喰い破る。【紅喰い】の牙は凄惨を極め、テラスの床へどろどろと墨色の鮮血が流れた。
「アァ、熱い……フフ、素敵……! この時を、もっともっと楽しみたいデス……!!」
 苦しげに膝をついた騎士が見上げたものは、右手の爪を狼のそれへと変えたヴォルガーレの紫色の眼。
「『ワタシの熱を感じてくだサイ……鮮明に……その身をもッテ!』」
 夢の中のに似た緩慢なモーションで迫る狼爪を、騎士は真正面から受けた。
 迸るような、吹き上がるような。
 そんな苦悶の声が、曇天の暗い空に響き渡る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ギド・スプートニク
イェルクロルト:f00036

本命との対面か
だが、その前に―
相変わらず小僧の動きが目に付く
少し灸を据えてやらねばなるまいか

二度目は無いと言った筈だぞ、小僧

魔眼によってイェルクロルトを束縛
力に振り回されるだけの狂犬が、そこで頭を冷やしていろ

足を引っ張るだと? 馬鹿を抜かすな。足を引っ張っているのは貴様の方だ

よく見てみろ、仲間の戦い振りを
彼らは弱者か? 己よりも格下に映るか?

貴様が犬死するのは構わん
だが、馬鹿に巻き込まれて死ぬのは御免被る

イェルクロルトの本気の抵抗を受ければ束縛は破れる

――莫迦者が。いつか必ず痛い目を見るぞ
舌打ちをし後は支援に徹する

彼が憎い訳ではない
その行く先を案じながら

アドリブ歓迎


イェルクロルト・レイン
ギド(f00088)と

アンタが大将?
バカと煙は高いところが好きっていうけどそんまんまだな

変わらず咆哮で無差別攻撃
自身の武器はその体、獣化させた手足で肉弾戦
トドメが刺せそうなら[捨て身の一撃]で急所を狙う
噛み切る首でもありゃいいんだが
脳天ブチ抜けば大体死ぬだろ
必要ならそこらのもので[串刺し]に

ヘマするようなら突き飛ばす
足引っ張るぐらいなら引っ込んでろ
怪我して盾にでもされたら面倒だ

ギドの魔眼に束縛されれば舌打ちして
実力主義だろ、それ以上があるか?
巻き込まれるバカが悪い
世界が拒絶しようが関係ない――支配するのはおれだ
魔眼を打ち破り攻撃へ

敵の攻撃は多少掠っても構わない
鈍い痛覚にはこれぐらいが丁度いい



「アンタが大将? バカと煙は高いところが好きらしいが、そのまんまだな」
 そう言うなり騎士へ向かって突進を仕掛けたイェルクロルトに、ギドは目元を覆った。
「……二度目はないと言ったはずだぞ小僧!!」
「うるせえ足引っ張るぐらいならそこで引っ込んでろ! 盾にでもされたら面倒だしな。騎士にしろ頭ついてんだから脳天ブチ抜きゃ大体死ぬだろ」
 作戦を共にする他の猟兵の存在などまるで頭にないどころか踏み台にしてもかまわないとでも言いたげなイェルクロルトの言動に、ギドが苦りきった顔になる。この知己が憎いわけではない、憎いわけではないのだが――だとしても、敵味方関係なく無差別に傷を与えようとする行為は猟兵の振るまいとしてどうなのか。いや、むしろ猟兵以前の問題だ。
 確かに猟兵はオブリビオンを討つ希有な能力をそれぞれ備えている。しかし彼は、グリモア猟兵が仲間を募る理由を理解しているのだろうか。猟兵が単独でオブリビオンに対抗しうるなら、そもそも全部がグリモア猟兵だけで完結しているはずだ。これまでもこれからも。
 猟兵は希有な存在であってオブリビオンに抗しうる存在、それは間違いない。しかし一人きりでそれを成せるほど絶対ではない、イェルクロルト当人はもちろん、ギドでさえ。それをもう少しだけ理解してほしいと願うのは、それほど難しいことだろうかとギドは思う。
 テラスの真ん中へ我先にと飛び出したイェルクロルトの咆哮が曇天の空をつんざいて響き渡った。しかし居合わせた猟兵達にとって二度目のそれはある程度想定内だったのかもしれない、元々それほど高くない精度もあいまってダメージを被った猟兵はいない。
「足を引っ張る? 馬鹿抜かすな、引っ張っているのは貴様の方だろう――『私が貴様を拒むのではない。世界が貴様を拒むのだ』!!」
 これ以上は看過できない、とばかりにギドの眼が金色の輝きに満ちる。【意志無き者の王(アルカード・グラムゲイズ)】により身体の自由を奪われたイェルクロルトが膝を折った。
「貴様がどこで犬死にしようが一向に構わんがな、馬鹿の所業に巻き込まれるのは一切御免こうむる。そこで頭を冷やしていろ!」
「くそッ……魔眼か」
 ギドの一喝にも、イェルクロルトはまるで耳を貸す様子がない。
「そもそも巻き込まれるバカが悪い。猟兵にしろオブリビオンにしろ実力主義だろ、それ以上があるか?」
 この期に及んでもなお鼻で笑ったイェルクロルトに、処置無しとギドは無言で首を振った。
「世界が拒絶しようが関係ない。――支配するのはおれだ」
「馬鹿者。いつか必ず痛い目を見るぞ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
POW
いましたね、異端の圧制者よ
あなたを滅ぼすことで年明けの祝いとしましょう

【血統覚醒】により戦闘力を爆発的に増大
【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎の魔力を纏い攻撃力を強化

【ダッシュ】で駆け寄り近接戦闘を仕掛ける
【怪力】にて【なぎ払い】、槍の間合いで戦う
鎧で守りを固めようとそれごと粉砕(【鎧砕き】)する
狩られる側になる心地、存分に味わうがいい――!

攻撃は強化された【視力】で【見切り】、槍で受け流す(【武器受け】【オーラ防御】)
仲間がピンチの時は【かばい】、盾になる(【オーラ防御】【激痛耐性】【呪詛耐性】)
大丈夫ですか、皆さん、生きて帰りましょう


ロカジ・ミナイ
アレが親玉かい?ハハッ、随分と……、暑苦しい。
黒い鎧に身を包んで、何から身を守っているのやら。
何を恐れているのやら。
騎士の見てくれってのはそういうものなのかもしれないけどさ、
全く圧政が者笑わせてくれる。

さあ、やっつけてしまおう。
猟兵諸兄へのアシストに回れる時は、
フェイントにだまし討ち、毒にマヒと
お役に立てる行動を取る。よく狡いって言われるけど、その通りだね。

真っ向から対峙したなら、正々堂々と立ちはだかるのが男だ。
懐から抜き出した柄の長い簪。
ちょっとした借り物でね。とっても便利なんだ。
使い方は、こう。お前の化けの皮を切り裂く様に。
静かなる斬撃、奇稲田をお出ししておきます。
よく効くと思うよ。


テラ・グゥスター
いよいよ親玉か。呑気にテラスで寛いでるなんざよっぽど危険に晒されねぇって自信があんのかね…まぁ何でもいいか、殺すだけだ。

【SPD】
騎士か…このタイプと正面きって戦うのは俺じゃあ無理だな、味方の援護に徹するとしようか。
ネイルガン「スナイパー」で遠距離から攻撃。味方前衛の接近援護と敵攻撃の阻害・意識散らしが目的だ。UCは積極的に封印まで狙っていきてぇ所がだなぁ。
馬召喚したら馬を優先で攻撃。将を射んと欲するならば…って奴な。馬自体がUCの産物なら刻参釘決まりゃあ生命力無視して打ち消せるかもしれんしなぁ。



やや異様な空気になったテラスを見渡し、仕切り直しですね、と金色の眼を瞬かせてオリヴィアはシスター服の裾を払った。
「闘奴達の殺戮ではなく、あなたを滅ぼすことで年明けの祝いとしましょう――異端の圧制者よ」
 槍を下段へ下ろしてからオリヴィアは深く息をつく。身体の奥、心臓の秘められたところが熱くなるような錯覚を覚えた。ぶわりと槍の穂先から手元まで、爆発的な勢いで魔力が視覚化された炎が燃えあがる。
「あなたの支配はここで潰えるのです」
「だいたい、騎士ってもんはそういうものなのかも知れないけどさ、そんなご大層な鎧着込んでまで何から身を守ってるんだ?」
 圧制者が笑わせてくれる、と言葉を重ねたロカジに、異端の騎士は大剣を杖代わりに立ち上がろうとした。
 素早く数歩の間合いを詰めたオリヴィアが槍を一閃させる。ボッ、と空気を両断した音は女性の膂力とは思えぬものだった。
 このタイプの敵と正面きって渡り合うのは荷が勝つ、と判断したテラはオリヴィアやロカジを間に挟む立ち位置を選びながらネイルガンを構える。こちらと違いすでに消耗を重ねている異端の騎士は、猛然と打ち込みにいくオリヴィアにすっかり押されていた。
「暢気にテラスで高みの見物なんざ、よっぽど危険に晒されねぇって自信あったようだが――それも今日ここで終わりだ」
 テラは本体内に収納されたネイルガンの引金を引く。
「『古き呪詛の儀、その一端を顕現せよ』」
 やや重く、そして乾いたような射出音が続く。放たれたのはユーベルコード【刻参釘(コクサンテイ)】、三色に塗られた釘が吸い込まれるように暗色の鎧の胸元へ消えた。
 決してクリーンヒットだけではない、テラにそんな確信を抱かせる苦悶の声が漏れる。
「やってくれたな……!」
「馬召喚までは行かず、か。将を射んと欲するならば、をやりたかったんだがな」
 ユーベルコードを封じられ、騎士は喉の奥で忍び笑ったテラを斬り殺さんと歩を進めようとする。その行く手をロカジが阻んだ。
「さあてお立ち会い。懐から取り出しましたるは――」
 右手に握られているのは柄の長い簪。一般的なそれより柄が長いくらいでそれ以外にこれといった特徴はないように見える簪を口元で構え、ロカジはほくそ笑む。
 ぎりぎりで、猟兵の手に握られている以上ただの簪ではありえない事に思い至ったのだろう、騎士が身構えようとした。しかし、もう遅い。
「『その時どんな音がするのかな』――よく効くと思うよ」
 そんな台詞を囁いたロカジの声音は、どこか祝福にも、それでいて呪いにも似ていた。【奇稲田(クシナダ)】による斬撃は金属質のはずの鎧を、まるで紙か何かのようにあっさりと切断する。
 自らを守らせるように掲げた大剣の鞘で多少軽減されたはずだが、それでも戦いの趨勢がもはや覆りようのないことは明白だ。
「生きて帰りましょう。あと一押しです」
「その通り。猟兵稼業は命あっての物種、ってな」
 オリヴィアの言葉に同意し、ロカジは右手の中の簪をくるりと回す。テラのネイルガンの銃口は騎士の頭部に狙いをつけており、いつでも撃てる状態だった。
 ぎらぎらと異端の騎士が被る兜の中、赤い眼が光っている。
 悪足掻きは十分に予測できる事だったとは言え、むしろ裁きを待つように動かないのはオリヴィアにとって驚きだった。すっかり存在の根本が歪んでしまったとは言え、騎士道精神のほんのひとかけらが彼の中に残っていたのだろうか。
「良い覚悟です。もし武士であったなら辞世の句でも尋ねたい所でしたが」
 喉元に槍の穂先を当ててオリヴィアは呟く。
「それじゃ、……サヨナラ」
 ロカジの右手の簪が今一度、振り下ろされる。
 断末魔の叫びはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『すくわれたものたち』

POW   :    収穫や畑の手入れなど男衆の仕事を手伝う

SPD   :    糸紡ぎや洗濯など女衆の仕事を手伝う

WIZ   :    己の持ちうる知識を子供たちへ教える

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


3階テラスでの一部始終は、造成作業にかりだされている闘奴はもちろん、彼等を厳しく管理していた闘奴牢看守のすべてが知るところとなった。
 兜と鎧が泣き別れになった異端の騎士の亡骸がテラスから落とされ、闘奴牢看守達が逃げ出していく。
 闘奴達はしばらくの間、事態の急変についていけなかったようで茫然としていたが、徐々に圧政を敷いていた領主が打倒されたことを理解すると手に手を取って喜びあった。
 館内部に残留者がいないかの調査を経たのち、猟兵達はオブリビオンから解放された村々へ向かうことになる。
 世界はまだ、彼等を見捨ててはいないのだから。
オリヴィア・ローゼンタール
WIS
忙しい大人の方々に代わって子供たちの面倒を見ましょう
もう圧制者を恐れることなく大手を振って歩けるのですから

今日の糧を得る【料理】を、
圧制者を讃える歌ではなく父母への感謝の歌(【歌唱】)を、
【礼儀作法】を、戦う術を(【戦闘知識】)を
……私の持ち得る知識を総動員して子供たちに教えます(【学習力】)

過去の怪物に負けないように、現在を生き、未来を目指すことができるように
ここに灯る開放の火を、決して絶やさないように【祈り】を籠めて


戦場外院・晶
【WIZ】さあ、お手伝いも魅力的ですが、元聖職としては説法などしてみるべきかと


よくいらっしゃいました。
お忙しい中時間を割いて下さった、あなた方のお母様やお父様へ感謝を……さて

言いたいことは二つ
友達をつくりなさい
自由を愛しなさい

自由という言葉を知っていますか?

自分で考えること、そしてその考えに従って生きることです

人は、自分に従って生きるべきです
自分を殺して生きるのは楽でしょう、安全かも……しかし決して良いものではない

楽しくは、ないのです

頑張って考えなさい
そして納得いかない時は戦いなさい

負けることもあるでしょう

そんな時は、友達の事を思いだしなさい
孤独ではないことを思い出して


勿論、私もお友達ですよ


エステシア・プライド
悪政をしいた領主は骸の海に還した

しかし解放された民たちが真に試されるはこれからよな

他者に庇護されるだけの存在は人とは呼べぬ
艱難辛苦を自らの力で乗り越えてこそ、それらは真に人たり得るのだ

解き放たれてなお、未だ先の見えぬ暗闇の大地を、これからも歩み続ける民らに、余から僅かばかりの贈り物をしよう

叡知という名の贈り物を

日射しの時の少ないダークセイヴァーの土地でも、作物が豊作となるように、木灰や石灰、獣骨など原始的な材料だけ作れる科学肥料の作り方を教えるとしよう

植物の生育の必須要素や、土壌のペーハー値の問題などの専門的な理論は伝えずとも良いであろう

作物の実りを豊かとなる魔術の業とでも説明するとしようか


ヴォルガーレ・マリノ
私、また戦いの時、悪い癖を出してたんですよね…?
あぁ…はしたない…我慢しなくちゃって思ってるのに…
と、とりあえず反省は後で…まだやるべき事が残ってますもんね!

お手伝いは…手が足りてないところに向かおうかと思います
男性のお仕事(POW)にしても女性のお仕事(SPD)にしても
私はお恥ずかしながら殆ど経験がありません…
パフォーマンス(WIZ)も自信が…
何を行うにせよ最初の内は【怪力】でシンプルな力仕事位しか
お役に立てないかもしれません
ですが、お手伝いをする中で学んでいきたいんです
生きる為に働くという事、何かを作り出す事、人と手を取り合うという事を
…お手伝いに来てるのに学ぼうなんて調子が良いですかね?


シノ・グラジオラス
腕っぷしくらいしか自慢がないんで、男衆を手伝う
そう言えば、元々は新年を祝う宴になるはずだったんだよな
新年早々あの領主から解放されたって事か
まさに新しい年ってヤツだな

明るく『コミュ力』で周囲の人に話しかけて手伝えそうな仕事を貰う
率先して動いて、とにかく周囲を盛り上げる
土臭いのは慣れてるし、嫌いじゃない

もし働いてる人がいないなら
アンタらがやらんのなら素人の俺が弄るぞ?後は知らんからな!って炊きつけてみるか
1人でも動かせりゃ御の字だが、誰もいないなら誰か動くまで俺1人でもやる

タバコ欲しがるなら、今回だけって笑いながら大人には大盤振る舞いしようか
村人にとってはめでたい日だし、ケチケチする理由がないだろ


テラ・グゥスター
アフターフォローなぁ…どうにも苦手分野だ。とはいえ敵だけ倒してハイお終いってぇのも無責任か、できる事を考えてみよう。

そうだな…圧政を敷いてる領主なんて館にたんまり金目のモノやら食糧を溜め込んでんじゃねぇのか?元は村から巻き上げた物かもしれんし、そうでなくとも腐ってくよりは有意義に使えた方がいいだろ。
てなワケで館を探索。怪しいのは領主の部屋や鍵のかかってる部屋全般か。サイバーアイ「鍵開け」で片っ端から開けて回る。開かなきゃ壊してみるだけだ。食糧でも金品でも現金でも、とにかく価値がありそうなら根こそぎ持ってくとしよう。
量があれば鵺を呼んで乗せて村へ。村長にでも渡して分配して貰うかね。


ロカジ・ミナイ
……女衆の方も気になるけど、
……実際家事も得意だし、
……いやいや、ここはより得意な分野で株を上げる方が、
…………。

【WIZ】
さぁ、ちびっ子達。僕の話を聞いていきなよ。
自由に遊んで美味いものたらふく食って、
これからの君らにはそういう日々が待ってるだろう?
それってことは、転んで怪我したり腹を壊したりなんてのも
日常になるだろうよ。

そんな時どうするか。ちょっとした知恵の話をしよう。

使える道具、使える草……ほら、君の足元のそれだって。
この世界は宝で溢れてる。
クソみたいな日が戻ってきて足元しか見れない時に
猫背でも歩ける様に、この話をしよう。
もしかしたら役に立つかもよ?懐から落ちた古いメモみたいに。



雲が厚く垂れ込めた、曇天の色は未だ変わりない。それはこの世界が真の解放を見るまで変わらないものなのかも知れない――と、オリヴィアは目を細める。
 土は硬く、陽もあまり射さぬというのになぜか水気も少なかった。それでも人々は懸命に用水路や灌漑を掘り、古ぼけた農具を振るっている。
 圧政を敷く領主が斃れた今、地の実りはもはや他のものではなく自らのもの。あるいは困窮する近隣の村々で分けあうべきもので、理不尽に奪われるものではなくなった。
 畑を起こす農民の顔にはかつて徒労と諦めばかりが目立ったが、それもやはりもう過去のもの。闘奴として館に連行されていた人々も解放され、自分の家に帰還した。皆が持つものはつましく乏しいが、立ち上がろうという気運が芽をふいている。
「……まあ、解放された民草が真に試されるはこれからよな」
 小高い丘の上、エステシアの独白にヴォルガーレとオリヴィアは胸の中で同意した。
 いくつかの村を睥睨するように丘の上へ建っていた館はもう存在していない。二人の背後にうず高く積まれた瓦礫の山へと変貌を遂げている。
 館にあった金属のたぐいは鉄や銅なら溶かして農機具や建築材料に、金や銀などの宝飾品は村々の共通の資産として運用される事になった。まだ使えそうな材木や石材はやはり村々の家や納屋の修繕にまわされ、使えそうにない材木なら燃料、石材は細かく砕いて舗装用にと、余すところなく活用されるに至っている。
 もちろん食べられるようなものは老人と女子供を最優先に配給済みだ。
「しかしアレはなかなかに壮観であったな。いかな大盗賊とてあそこまで大胆に開けて回る者はおらぬであろうよ」
 その日の様子を思い出してエステシアは含み笑う。かたやヴォルガーレは一瞬遠い目になった。
「サイバーアイを使いながらの館内全鍵開け、ですものね……壮観と言うか怒濤と言うか」
 館内部の利用できそうなものを村人へ分け与えるという発案はテラのものだったが、状況と立場が違えばとんでもない大強盗の所業だ。まあこの場合持ち主が命を何とも思わぬ圧制者であり、そもそも館を築くための資材も労力もなにもかもの出所が虐げられていた民であるので、正統な所有者に戻すための行為であり何ら問題はない。
「敵だけ倒してハイおしまい、ってぇのも無責任だからな。どうせ建物中に金目のモノやら食糧なんかもたんまり溜めこんでるだろうよ」 
「シンプルな力仕事しかできませんが、何かあればお手伝いしますよ」
 ヴォルガーレの申し出をいいことに、テラは館内の扉という扉を片っ端から開けていく。騎士の寝室の宝箱はもちろん武器庫に書庫、ワインセラーに食料庫まで。
 何に与えるためかも不明な、そもそも何の肉かもわからぬ肉塊に至ってはさすがに廃棄処分としたが、ろくな食事も与えられていなかった闘奴や痩せ細った子供達へオリヴィアとその手伝いを行ったヴォルガーレの手による温かいシチューがたっぷり振る舞われるくらいには、食料庫には肉も野菜も揃っていた。
 竈へくべる薪にも事欠き、一度作ったスープを温め直す事さえ行われていなかったようだ。素朴なパンと温かいシチューだけで、子供達の青白い頬が本来のバラ色に戻っていく様子を、晶がひどく痛ましいものを見る目で眺めていたことをヴォルガーレは覚えている。
「さあちびっ子達、今晩は僕の話を聞いていきなよ」
 村人達にとっては苦い思い出しかない館ではあるが、大勢が一度に雨露をしのげて、かつ食事をともにできる場所はここしかない。領主が斃された日の夜、ロカジは晶と共に村々の子供達を大広間に集めていた。
 大理石の床はじかに座れば冷たく堅いだけだったが、敷物用の毛皮も足首まで埋まりそうな毛足の絨毯も、この館には揃っている。
「圧制者は消えた。これからは自由に、したいようにする事ができる。そんな時に君らの役に立つだろう知恵の話をしよう」
 銀の燭台片手に、興味津々といった子供達を見回してロカジは身振り手振りを加えて語り出した。
 日光すら乏しい世界でも逞しく葉を茂らせる薬草や、あるいは食べられる草。もしくは決して口に入れてはならない毒草の見分け方。転んで膝をすりむいた時に血止めになるものや痛み止め、煎じれば腹痛や整腸薬となるもの。薬師としての豊富な知識を授けることは、子供達自身はもちろんその家族をも助けるものになるだろう。
「あれ、食べられるんだ……」
「サラダにするといいよ。新鮮な野菜を食べるようにすると、転んで怪我をしても腐りにくくなる」
 抗炎症作用だのビタミンだのの話をしても理解できないだろうと考え、ロカジはそんな言葉で簡単にくくった。
 こんな風に光さえ乏しい世界でも、もしまた圧制者が現れて地面を見つめながら歩かなければならない日が来ても、猫背でも歩けるように。少しでも役に立つように。
「少しだけでもいい、覚えていくといいよ。役に立つ日が来るかもしれない――」
 そう、懐から落ちた古いメモを拾い上げて読むように。
 一方晶が子供達に授けたのはロカジとは少し意味の違う、生きていくための知恵だった。
「私からお伝えしたいのは、二つです」
 ひとつ、友を作る事。
 ひとつ、自由を愛する事。
「自由とは自分で考え、そしてその考えに従って生きることです。無責任で無軌道なことが自由ではありません」
 好き勝手に振る舞うことが自由ではないのだと晶が噛み砕くと、子供たちの表情がずいぶん神妙なものになる。
 あまり子供らしい楽しみや生活をしていなかったはずだが、それだけに苦しいときは親の一助となるべきことを自覚しているようだ。
「人は自分に従って生きるべきです。自分をなくし、自分を殺して生きるのは楽なことでしょう、安全である事さえあるかもしれません。しかし決して良いものではない」
 自分を殺すというフレーズが難しかったのか、顔をしかめて黙り込んでしまった子供に、晶は柔らかく笑いかける。
「頑張って考えなさい。今は理解するのが難しいこともあるでしょう、しかし、いつかわかる日が来るはずです。そして、生きるとは決して楽しいことではないのです」
 たとえ圧政から解放されたとしても。
「納得がいかないことが起こったなら立ち向かわなければなりません。このたびは私達が闘いましたが、次はみなさんが闘う番なのです」
 村の立て直しはもちろん、荒れ放題の畑の再建も必要だ。
 横暴な領主を除いただけではめでたしめでたしの結末にはほど遠い。彼等が闘わなければならないのはめでたしめでたしの無責任なハッピーエンドではなく、生きるという幸福と患難が半々の現実である。
「あるいは――それに、負けることもあるでしょう。でもみなさんは独りではありません。友達のことを思い出して。きっともう一度立ち上がれます」
「……おねーさんはもう助けてくれないの?」
 純粋な疑問だったのだろう、どこか寂しそうに晶の法衣の裾をつかんでいた子供が泣きそうな顔で尋ねてくる。
「……いいえ、もちろん私も皆さんのお友達です。皆さんが本当に困った時には、また助けに来ます。友達ですから」
 そんな問いに晶は曇りのない笑顔で応えた。
「……そう言や、アレはもともと新年を祝う宴になるはずだったんだよな」
「ひどい話さ」
 大人達の顔は暗い。畑仕事を手伝いながらシノはふと手を休め、闘奴であった男の顔を盗み見る。
「解放されても、畑がこうじゃ」
 館から奪った鉄で作られた農具を手に、男は嘆息した。
 彼の畑であるそこは、小石が多く混じり鋤き返すのも容易ではない。
「今度はずるずるゆっくり殺されていくのかも知れないな」
 いずれ遠くないうちに自分達も死ぬんだ、とでも言いたげな口調にシノは眉根を寄せた。
「そんな辛気くさいこと言うもんじゃない。新年早々あの領主から解放されたって事じゃないか、まさに新しい年ってヤツだろ」
 村人に紛れて作業を手伝いながら、シノは言葉の端々に希望へつながりそうな話題を織り込む。コミュニケーション能力は人々の心を鼓舞するのに有用だ。
 館の食料庫が開かれたせいで大人から子供まで、しばらくは日々食いつなぐに困ることはない。それまでに次の作物を実らせばよいのだと根気強くシノが繰り返すと、ようやく村人達の表情に明るさが戻ってきた。
「おおおい、ここ、アンタらがやらんのなら俺が弄るぞー、後は知らんからなー、素人だぞ俺はー」 
「ああ、待て待て!! 勝手に畦を崩さない!」
 そんな様子を、エステシアはヴォルガーレと共に見ていた。シノには木灰や石灰、獣骨など原始的な材料から作れる肥料や土壌改良材のレシピを渡してある。エステシア自らが出張るよりかは、自然に話題へ溶け込ませてくれるだろう。
 ……生きるとは、容易なことではない。それはこの地に生きる無辜の民だけの事ではない。
「他者に庇護されるだけの存在など、人とは呼ばぬ。艱難辛苦をみずから乗り越えその足で進んでこそ、人は真に人たり得るのだから」
「民を導く叡智の一端ですか、それも」
「さてな」
 声もなく笑ったエステシアに、オリヴィアは微笑を返した。色々小難しいことを言ってはいるが彼女の言動は終始賢王のもの。
 猟兵達は曇天の空の下にひろがる、小高い丘を後にする。瓦礫から薪をとるためだろう、背負子を背負った子供が彼等を見つけて手を振っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日


挿絵イラスト