奇門遁甲封鎖戦線~幸福の先にあるものは
#UDCアース
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「皆、大変よ、よく聞いて」
真剣な眼差しで小高い丘の上に立つ瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)。
背後のホワイトボードには、既に資料が張られていた。
「UDCアースの各所で、隕石の落下が確認されたわ」
それはかなり大事だといくつかの猟兵達が驚く。一方で、それは猟兵が動くことなのかと疑問を持つものもいた。
「安心して、ちゃんとオブリビオン絡みよ。予知してるからね」
そんな疑問を持つ猟兵達に苦笑して見せると、ホワイトボードに視線を向けた。
そこに張られてる資料には、隕石が日本の南端、沖縄に落ちてることを示している。
「どうもこの隕石、邪教徒達が呼び寄せたものらしいのよね」
隕石自体が邪神を封じているのか、それとも邪神を呼び寄せるための媒介か。どちらにせよ、儀式の要になっているのは間違いない。儀式を阻止するには破壊することが必要となるだろう。
「どんなものなのかの調査を行っても構わないけど、破壊することは忘れないようにね」
そこは絶対行わなければならないことを念押しする。儀式を阻止することが大前提なのだ。隕石の破壊にはユーベルコードを使えば容易く壊せるはずである。
「まずはその儀式に使われることになる隕石を探してもらうことになるわ。私が把握してる限りでは、特にパワースポットと呼ばれる地域が怪しいのだけれど……厳密な位置はわからないわ」
隕石周辺では既に儀式場が展開されていることだろう。規模も決して小さなものではなく、中規模以上であることが想定される。見つけることはそんなに難しくはないはずだ。
難点があるとすれば、周囲には一切に人気がない事。更にそれに追い打ちをかけるように、ほとんどの人が寝静まる、夜も深まる頃だ。人伝に怪しいものがなかったかなどを聞くことは期待できない。また、月明かりが照らす以外の明かりはないため、必要ならば明かりなども確保しておきたい。
「おそらく、儀式の阻止に成功しても召喚されようとした邪神とは戦うことになるわ。完全体ではないとは思うけれど、油断は禁物よ」
具体的な敵の情報は得られていない。隕石を媒介とする以上、隕石に関係したオブリビオンであることは確かだ。
「どう倒すかは現場のあなた達のほうがよく分かるはずよ、判断は任せるわ。それじゃ、健闘を祈るわね」
そう言うと、未来は水晶玉に念を込め、魔法陣を展開した。
るっこい
はい、新人マスターるっこいです。今作は合同作となります。他マスターさんとの共通お知らせはこちら。
====================
●今回のシナリオについて
総勢9名のシナリオマスターによる合同大型連動シナリオになります。
本シナリオは他MSのシナリオへ参加しても、時系列的矛盾は発生しないものとなりますので、お気軽にご参加していただければと思います。
●参加MS一覧(担当地区)
・屋守保英(北海道)
・LichT(東北)
・不知火有希哉(関東)
・桃園緋色(中部)
・雪宮みゆき(近畿)
・オノマトP(中国)
・小風(四国)
・Parmigiano(九州)
・るっこい(沖縄)
(以上9名敬称略)
●シナリオ結果について
本シナリオの結果は、後日リリース予定の決戦シナリオ(七転十五起MS)へ反映されます。
====================
という感じです。
続きまして各章解説。
●第1章
隕石を見つけ出し、破壊するが必要となります。
見つける方法、破壊する方法は猟兵達の自由ですが、暗い地域であること、聞き込みの類は行えないことにはご注意くださいませ。
また、プレイング内で破壊が指定されていない場合でも採用は行いますが、一人でも破壊を行うプレイングがない場合は全プレイングを流す、あるいは失敗となりますのでご了承ください。
●第2章・第3章
オブリビオンであること以外の一切の情報がありません。適宜章開始時にオブリビオンに関する描写を行います。
●プレイングについて
同行者の方がいる場合は1行目にお相手さんのお名前とID、もしくはグループ名をお書きください。お名前の場合はフルネームでなくて構いません。
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎の方、字数に余裕があればお書きいただけると助かります。ステシでもOKです。とてもとても書きやすくなります。
また省略文字もご利用いただけます。詳しくはマスターページを御覧くださいませ。
まだまだ不慣れな部分が多く拙い文章になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
第1章 冒険
『危険な流れ星の真相』
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POW : 気合で隕石を見つけて調査する。あわよくば破壊する。
SPD : 自身の持っている技能を用いて調査する。あわよくば破壊する。
WIZ : 落下地点に何か関係がないか調査する。あわよくば破壊する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夕闇霧・空音
沖縄旅行…いずれしたいのだけれど…
特に妹と一緒に…
【アドリブ歓迎・共闘OK】
レンズアイを起動させて暗い中を探ってみるわ。
暗い中でわずかにでも明るい光があればそこが儀式場で間違いなさそうね。
それから、念のために【第六感】を働かせて大まかな位置を発見してみるわ。
儀式場にいるのは信者あたりかしらね。
一応彼らが襲ってくるようなら
オブリビオンではない以上は手加減して気絶させるに留めるわ。
隕石は当然破壊するわ。ユーベルコードでね。
かけらでも持ち帰りたいけど、それが危険なのかは一応調べておくわ。
エメラ・アーヴェスピア
また広範囲に事件が展開しているわね
ただ、何とかしないといけないというのは判るわ
猟兵として、私も仕事を遂行しましょうか
…それにしても暑いわね…手早く探しましょう
探索範囲に『ここに始まるは我が戦場』を広範囲展開
暗視モードにて上から探しましょうか
あ、幾ら多くても処理は出来るから安心してちょうだい
それと並行して今回参加している同僚さん達と連絡を密にして【情報収集】
それぞれの情報から、範囲を狭めていきましょう
当然その情報は他の同僚さん達にも共有…私が作戦本部代わりをやってしまうわね
見つけたのならば一番近い同僚さんに連絡して破壊してもらおうかしら
それじゃ、始めましょう
※アドリブ・絡み歓迎
「沖縄旅行……いずれしたいのだけれど。特に妹と一緒に……」
転送された場所で残念そうにそう言いながら、夕闇霧・空音(凶風・f00424)は周囲を見回す。が、月明かりである程度の範囲は見えるが、広域を見渡すことはかなわない。
沖縄といえばバカンスの地。やはり来るならば、仕事としてではなくプライベートで来たいという意志が強いのだろう。それも、可能なら溺愛する妹と共に。しかし、今回は旅行ではない。
「……ひとまず隕石を探さないとかしらね。阻止しないことには、いずれも何もない訳だし」
そう言って気を改めると、風魔謹製戦意増強レンズアイを起動し、視界を確保、再度周囲を見回す。先程よりも広い範囲を見ることができるように成り、探索効率は上がったと言えるだろう。
「また広範囲に事件が展開しているわね。ただ、何とかしないといけないというのは判るわ、猟兵として、私も仕事を遂行しましょうか」
共に転送されたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)はそう意気込む。
「手分けしたほうが良さそうだから、私はこっちを探すわ」
エメラに対しそう告げ、空音進行方向に指を向ける。
「ええ、お願いするわね」
頷いて応じると、空音は言った方向へと向かっていった。
「……それにしても暑いわね。手早く探しましょうか」
その場に残されたエメラは、転送されて早々、即座に《ここに始まるは我が戦場》にて200体にも及ぶ缶型機械を展開。変形したドローン達に、広域を空から探索させ始めた。
「こっちかしら……?」
感覚を研ぎ澄まし、何となく大まかな位置を探りながら、歩みを進めていく。
今のところ、それらしい明かりは見えていない。木々が生い茂るその場所は、沖縄本島にあるものではないことを伺わせる。猟兵一人が目視のみで探索するには些か範囲が広すぎるか。沖縄といえど、離島の存在も含めれば広さはそこそこある。
『そちらはどうかしら?』
「見つからないわ。そっちは……?」
虚空から声が聞こえた。その思わぬ声に少し驚きつつも、平静を装いながら声の主エメラへと答え、聞き返す。
『こっちもまだね』
数の暴力で広い範囲を広域探索するエメラもまた、その存在を確認できていないようだ。
「情報が少なすぎるわね……もう少し、何かあればいいのだけれど」
あるとすれば、パワースポットである場所、なのだが。
「パワースポット、かしらね」
『そうね。この場所のパワースポットは、どこかしら?』
ふたりとも同時にその事を思い出したのか、それに関して調べ始める。
『……ここ、離島みたいね。一応パワースポットではあるみたいだけれど、他の場所を当たったほうが良さそう。ここ以外にも多数パワースポットがあるみたいだし』
「ということは、別所に転送された猟兵さん達が頼りかしら?」
『そうなるわね。……幸い、時間はあるわ。別のパワースポットも当たってみましょう』
エメラの言葉に頷いた空音は、エメラの元へ合流すると、次なる場所へ向かった。
次の場所も、離島。
先程より更に広い範囲であるようだったが、空音の第六感とエメラの数の暴力で相対した時間はかからず、またたくまに探索を終えてしまい。
「これ、何かしら」
第六感を頼りに念の為とパワースポットとは関係ない地域を探索していた空音が、なにかに気づいた。
「石……にしては随分黒く焦げているわね」
空音が拾い上げる、一つの石。エメラもそれを確認して、気づいた点を述べる。一見、何の変哲もないただの石なのだが、他の石と比較すると、やけに黒い。
「それに、この地形……少しおかしいわね」
更にエメラは、その石が落ちていた周辺地域のおかしさに気づく。見上げれば、葉が生い茂るその場所には、ポッカリと穴が。
「隕石の破片……?」
「……ありえなくはないけれど、だとしたら、儀式は……?」
隕石は落下中に空中分解することもありえる。爆発するものも中には存在するため、その可能性は否定出来ないのだが、だとすれば、儀式はどうなるのか。
「他、見てみましょう。もしかしたら、これと同じようなのがあるかも」
空音の提案に、エメラは頷く。
もう一度、今度は地面と葉の生い茂る部分を重点的に見て探してみると、数カ所で同じようなものが確認できた。
「割と直線状ね。仮に空中で爆発四散してるのだとしたら、破片の落ちる中心地点に落ちてる可能性も……?」
落下地点と地図と照らし合わせ、確認し、考えを述べる空音。
「……さっきの島も、確認してみましょうか。私のドローンがあれば、そう時間はかからないはずよ」
エメラの提案に頷いて、再び戻ることにする。
戻った先で同じ様に探索してみると、やはり同じようなものが点在する位置で確認できた。この分だと、海の中にも落ちてる可能性は否定できない。
「さっきとはちょっと違う角度で直線……」
「この2つを合わせると……本島のほうかしらね?」
2つの場所から直線を引き、交わる場所。その場所は、沖縄本島のある地点を示している。とは言え、落ちていた破片も厳密には直線のものではなく、かなり曖昧に見て直線、と判断できる程度だ。その交点にあるパワースポットも多数確認できる事を考えると、より正確に求めるために他の場所を見つける場所があるだろう。
情報としては十分な成果。他の猟兵達の協力も得るべく、エメラたちは連絡を入れるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
月守・咲凛
【ワンダレイ】で参加。
あれ?……あれ?
尾守さんからバカンスだと聞いて、ワンピース型の水着とひよこさん浮き輪を装備して来た私ですけど、夜の海に入るのは流石に怖いのです。……ちょっとだけ怖いのです。
とりあえず気を取り直して武装ユニットで空を飛びながらユーベルコードのレーダーを発動して、番長さんの指示した場所を対象【隕石】で探索します。
みつけたら周りの儀式用の設備ごと、武装ユニットからミサイルの一斉発射でドカーンです。
レイ・アイオライト
【ワンダレイ】で参加。
……嘘、これ観光じゃなかったの?あーもう仕方ないわね……(パンフレットをしまう)(流石にアロハ感はないがパンフレットを見てにやにやしていた)
詳しく聞いたらなんかヤバそうな感じだし、すぐに邪神倒してソーキそば食べに行くわよ!
夜の闇はあたしの領域下。【変幻ナル闇ノ曙光】で暗闇に同化、夜の帳と完全に同化すれば、全方位にある情報すべてを的確に読み取れる。(情報収集)
闇の中にいれば全員あたしの声は聞こえるわ。他のメンバー、他の猟兵たちにも情報を連携するわよ。
隕石を見つけたら影の刃で微塵に切り刻む。ソーキそばのため……!!
須藤・莉亜
【ワンダレイ】で参加。
「夜野からバカンスって聞いたから、アロハ着てきたんだけど…」
普通にヤバげな依頼じゃんか(だがアロハは着とく)
眷属の腐蝕竜さんを召喚。彼に乗って空から隕石探しをしよう。【暗視】で暗闇の中を見て、【第六感】でヤバげな気配を感じ取ってみよう。
腐蝕竜さんに番長を乗せて、彼のサポートをするのも忘れずに。
「番長なんか見えるー?僕はヤバげな気配はどっかから感じるよ。」
他の仲間たちと連絡を取り合い、とっとと見つけ出そうか。待ってて、僕の泡盛。
隕石を見つけたら、腐蝕竜さんにぶっ壊してもらおうかな。
尾守・夜野
【ワンダレイ】で参加。
即効解決して何とか遊ぶ時間を確保してぇ沖縄絶対遊ぶ犬。
赤いアロハシャツと水着でGO。
番長の【目】が届きにくい森の中や障害物の多い所担当。
月守や須藤と手分けして捜索。わんこーずに探索は任せ何かあればレイに通じるよう軽く吠えるように指示
信者等にばれんようそっとな。
スレイに乗って森の上から辺りは見渡す…が
「夜だしほとんど見えねぇんだが。くそっ!ガンガラーの谷とか見たかったのに!」
隕石見つけたら急行してブラッドガイストで壊す。
欠片は悪用される危険があるし【俺の世界】に隔離。
携帯等を持ち連絡は密に取り無駄を出さないようにする
「これが終わればバカンス出きるだろうし嘘はいってないぜ?」
星群・ヒカル
【ワンダレイ】で参加
えっ夜野先輩、これワンダレイ修学旅行じゃなかったのか!?
(沖縄の観光ガイドを持ちつつ)
邪神絡みとはいただけないな
この美しい島を邪神のシマにしようだなんて、このおれが容赦しないぞッ!
まずは「パワースポット」を丁度よく持ってきていた観光ガイドやインターネットであたりをつけよう
儀式は密かに行われているだろうし、人里離れた所や廃れた所が怪しいな
莉亜の兄貴が呼び出した『腐蝕竜』の背中に乗り
その「パワースポット」周辺に怪しい場所がないかどうか
『視力・暗視・第六感』、ならびに【超宇宙望遠鏡・衛星形態】で探索だ
周りと違う場所があれば、携帯で仲間に知らせて実際に調べてもらうぞ
「あれ? ……あれ?」
その声を上げるのは、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)。
月明かりの照らすその場所に転送された彼女の手には、ひよこ柄の浮き輪が手にされている。
「……嘘、これ観光じゃなかったの?」
転送された場所は海ではなく、何やら木々が生い茂る地域。レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は服装こそ普通なものの、手にはパンフレットが保たれており、その表情といい楽しみにしていた様子が伺える。
「バカンスって聞いたから、アロハ着てきたんだけど……」
アロハな服装に身を包み困惑する須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
「えっ夜野先輩、これワンダレイ修学旅行じゃなかったのか!?」
この場に誘った張本人であるその人の名前を上げながら注目する星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。その手にはしっかり観光ガイドが握られている。ヒカルの言葉に、全員が残る一人、尾守・夜野(墓守・f05352)に視線を向けた。
「これが終わればバカンス出来るだろうし嘘はいってないぜ?」
なにせここは沖縄である。夜という時間帯、そして厄介な依頼があるということを除けば、バカンスできることに間違いはないだろう。当然ながら、彼らの服装にツッコミが入らなかったわけではないが、事がうまく運べば、実際に終わった後遊ぶこともできるのかもしれない。
「あーもう仕方ないわね……」
その事実を知らされ呆れながらも、パンフレットをしまい込むレイ。
「普通にヤバげな依頼じゃんか」
「本当にヤバそうな感じね……すぐに邪神倒してソーキそば食べに行くわよ!」
莉亜の見る依頼内容を一緒に確認したレイはどうしてもソーキそばが食べたいらしい。その勢いは世界の果てまで行ってしまいそうなほど。
「そうと決まれば早速行かなきゃな。隕石がありそうなのは……」
言いながら番長ことヒカルは手にしていた観光ガイドを開く。パワースポットとされる場所は観光地点にされやすく、そうした本にも乗っている。携帯端末を用いてインターネットでもそうした場所を見つけると、いくつかが浮かび上がる。
携帯端末に備わるGPSのおかげで、転送されたその場所も沖縄本島からは離れた小島であることがわかった。
「ちょうどパワースポットが点在する島にいるみてぇだし、ここから探索してみようぜ」
「そうですね、それでは私は空から……」
ヒカルの言葉に、咲凛は武装を展開して宙に浮かび上がる。
「じゃあ僕も。番長の目があれば広い範囲を見れるだろうし」
「お、そう言う事なら任せてくれッ!」
莉亜も《眷属召喚【腐蝕竜】》を使い腐蝕竜を呼び出すと、広範囲を視認可能なヒカルと共にその背に跨る。
「なら、オレは地上を見て回ろう」
ヒカルの見ることの出来ない範囲をカバーすべく、夜野は触媒を媒介に《黒妖犬召喚》を行使、わんこーずを召喚。
「あたしも地上ね。連絡役も兼ねるわよ」
そしてレイは闇に同化した。《変幻ナル闇ノ曙光》だ。
それぞれ己の役目を取り決めた5人は、手分けして隕石を探し始めた。
「――索敵対象隕石、レーダーアクティベート。周辺の探査を開始します」
空に飛び上がった咲凛は、莉亜と分かれ南側へ。《ロングレンジレーダーアクティベート》で視覚とともにレーダー探索を行いながら、めぼしい場所を探る。
「暗くて流石に見えないです……」
最も、実際に視認することによる探索は厳しいものだった。月明かりに照らされているとは言え、空中では木々の生い茂るその場所の探索は困難を極めた。唯一の救いは4km先まで探索できるレーダーなのだが、飛べども飛べども、それらしい反応はない。
「あれは……民家ですかね」
全く光がないわけではなく、光が見える場所も目につく。が、その方向は民家が立ち並ぶ場所であり、そちらの方向はありえないだろうと考えた。仮にそちら側に隕石が落ちていれば、今頃騒ぎになっていて場所がわからないということはないはずなのだ。
たまたまその民家は夜遅くまで起きているか、明るいままの環境で寝ているかなのだろう、そこ以外には明るいところは見られない。やはり夜も深いせいか。念の為そちらの方にも向かい、レーダー反応を見るも、確認できなかった。島自体の大きさはそこまででもないため、探索にはさして苦労はしていない。
「レイさん、こちら側はなさそうなのです」
『了解よ、あたしにもこっち側は確認できないから、伝えるわね』
南側の探索を終えた咲凛は、その旨をレイに伝えると、北側の探索へと向かおうとした、その時。
「今、何か……」
一瞬、レーダーに何かが反応したように聞こえた。前進状態から一転、再びホバリング状態で周辺を確認する。
『何かあったの?』
その声を確認してか、レイは報告を中断したらしい。
「ちょっと、待ってくださいね……」
意識を集中させ、注意深くレーダーの範囲を僅かに僅かに変えていく。すると――
「反応、ありました。微かですし、パワースポットとは関係のないところなのが気になりますが……」
『……それは確かに気になるわね。ひとまず、報告してくるわ』
「お願いします」
レイに報告を任せ、咲凛は反応のあるその場所へ向かう。
そこには、小石と言うには少し大きめの、黒ずんだ石。民家からは少し離れており、地面も窪んではいるが、被害は殆ど無いことが伺えた。
「番長なんか見えるー? 僕はヤバげな気配はどっかから感じるよ」
莉亜とヒカルのペアは、北側の探索を行っていた。北側は南側と異なり、木々が生い茂る地域が多く、怪しい地点がありそうな雰囲気だ。
「木が多くてなかなか見えないぜ……」
しかし、空からならばわかりやすいのではと考えてのことだったが、あまり効果は見られない。半径41kmという超広範囲を見渡すヒカルの目に映るのは、木、木、道、木、岩。そして時々建物。
《超宇宙望遠鏡・衛星形態》は視覚を超強化するユーベルコードだが、遮蔽物を見越して見ることは出来ない。
夜風が吹いているため、葉と葉の僅かな隙間から地面が見えることもあるが、本当にごく短時間、地面や枯れ葉などが落ちているのが見えるくらいでそれらしきものは見受けられない。
「その気配ってのがある方向には行けないのか?」
「うーん……微弱すぎて厳密な位置がわからないな」
時折見える道に降り立って地上から木々の隙間を見てもらうが、やはりそれらしい物は見受けられず、研ぎ澄ます感覚もその微弱さ故か厳密な位置が特定できない。
『南側はなかったみた……いや、ちょっと待ってね』
そんな折、闇の中から2人にその連絡が届く。
「お、手応えあり?」
レイの報告が中断され、聞き返すヒカル。
『あったみたいよ。けど、反応も微かで、パワースポットとは異なる位置らしいわ』
「どういう事だい? 貰ってる情報とは全く違うじゃないか」
疑問符を浮かべる莉亜。
「どうする、合流してみるか? それとも他にもないか探してみるか?」
「手応えがないわけじゃないのが難しいところだね。ひとまず、まだこっちはパワースポット周辺を探索しきれてないし、そっちを見てみよう」
「了解だぜッ!」
咲凛と違って視認による確認なため、時間がかかる。見えない範囲は地上に向かった夜野に期待するとして、見える範囲は確実にしておこうと、2人は探索を再開した。
地上探索を選んだ夜野は、わんこーずに簡単な指示を下すとスレイプニールを呼び出すし、その背にまたがり空へ。
「夜だしほとんど見えねぇんだが。くそっ! 亜熱帯の森にあるっていう谷とか見たかったのに!」
しかし、その事実にすぐ諦め、地上に戻った。有名観光スポットの一つを見たかったようだが、夜ではその場所も見れない。
『南側で隕石見つけたみたいよ』
「お、マジか、それなら合流しないとな」
『ええ。けど、儀式場自体は確認されてないし、そもそも反応が微弱、パワースポットじゃないっていう話よ』
「何だそりゃ?」
レイの報告を聞いて困惑の表情を浮かべる夜野。
「しかし、わんこーず遅いな。この島、そんなに広かったか?」
『いえ、そんなには。あ、ちょっと待って』
「……なんか見つけたんだな、そっち向かうか」
『ええ、そのほうがいいわね』
スレイプニールを駆けさせ、レイの案内でその方向へ向かうと、夜野を確認して控えめに吠えるわんこーずの一体。
「何だこりゃ?」
そこは、咲凛と同じくやはりパワースポットとは関係のない森の中。かなり歪な形状の黒ずんだ石がそこにはあり、周辺を凹ませている。明らかに隕石であることは確かだ。
「ワンッ!」
別のわんこーずの鳴き声が近くから聞こえた。
ひとまずその石を拾い上げ、その場を離れてそちらに向かうと、そちらにも同じような地形になってる場所が。
「あっちこっちにあるんだな……?」
軽いクレーターを作られたその場所には、おそらく当たった衝撃でへし折れたのだろう、自然に落ちてきたものとは思えない大きさの木の枝が、まだ緑色のままの葉をつけた状態で落ちている。
『気になるわね……』
「空中分解でもしてるのか? もしそうだとしたら、パワースポットとは無関係な場所に落ちてるってのも頷けるが」
『……どうやら、そのようね。別の猟兵さんから連絡が入ったわ。同じようなのが、別の島でも確認されてるみたい』
「だとしたら、この分解した欠片に用はねーってことになるのか」
言いながら夜野は、《俺の世界》を展開してその中に拾って持ってきた欠片と落ちていた欠片をそれぞれ放り込む。
『このままこの島の探索を続けても無駄そうだけど……どうする?』
「無駄でもないだろ。これだけ怪しい感じがしてんだ、少なからず危険因子であることには違いないし、回収しておく」
そう言って、わんこーずに指示を出してより注意深く探索させる。
「あ、夜野先輩!」
そんな折、ちょうど近くに居たヒカル達が地上に降りてきた。
「そっちは何かあったか?」
「ああ、見つかったよ。これがね」
そう言って莉亜が見せてきた、黒ずんだ石。
「やっぱあちこち落ちてんだな」
「ということは、この島ではないのですね……」
咲凛も合流してきて、見つけた隕石を夜野に手渡す。
「アイオライト、その連絡を入れてきた猟兵からの他の情報は?」
『地図と照らし合わせて、島の直線上に落ちてなかったかって言ってるわね』
「……地図に記してないな」
「レイならわかるんじゃねぇの?」
その言葉に、闇の中から姿を表すレイ。
「だいたいこんなところじゃないかしら」
ヒカルの差し出した観光ガイドに記していく。報告の通り、概ねではあるが直線上であることが伺える。
「あと、こことこっちにもあったみたいね」
さらに2つ追加される記し。程なくしてわんこーずが戻ってきたあたりを見ると、島内に落ちている欠片は探しきったことになるのだろう。
「報告を受けた他島の隕石落下状況はこんな状態よ」
更に観光ガイドに記していくと、概ねの場所が浮かび上がった。
「……本島?」
そこには、ある一つの場所が浮かび上がっていた。
沖縄本島、南側やや東の、端っこ。
「聖地の中の聖地じゃねーか、ここ」
夜野が声を上げる。そこは、沖縄でも名のしれた有名な聖地。
「すぐに向かおう。既に儀式は始まってるのかもしれない」
莉亜の言葉に、一同頷き、レイは他の猟兵たちにも連絡を入れながら、その場所へと向かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
イヴ・クロノサージュ
◎アドリブ大歓迎
――
『全国規模の隕石の落下。……流石に、防げなかったですか。
亡くなった人々には御冥福を祈ります……。』
●心情
記憶が飛んでも思考は変わらず
助け出したい気持ちが強い子です
――
●調査
『隕石の落下箇所の……調査ですね
パワースポット、魔力のようなものでしょうか―?』
広範囲に探知できない、でしょうか?
おっと、暗いですね。戦艦からライトアップを試してみます
◆クロユニで魔力探査を試みてみます。光源は戦艦で確保
(M)猟兵さんの援護を得られた場合は、感謝の言葉を
――
●破壊
隕石の破壊は等身大のサイズで撃破出来ないような
巨大のサイズを優先破壊
◆UC重力波砲撃/出力弱
(技能:全力魔法、衝撃波、範囲攻撃)
佐久間・嶺滋
何故にこの時期に?
何も知らない人らにすれば怪奇現象とか珍事で片づけられそうな話だが……。
【影の追跡者の召喚】を利用しつつの【情報収集】。
問題は沖縄という地理上パワースポットとか慰霊碑とか
その辺りに事欠かなそうなのが怖いんだが……
その辺りを重点に外からの目撃情報も合わせて探しに行くしかなさそうか。
破壊に関しては有効そうな技能は無いが善処するか。
(効率よく破壊できそうな黒剣の形状を色々検討してみる)
※アドリブ・連携可
※アドリブ・連携可
雛菊・璃奈
【視力、暗視】と光源として持ってきたLEDランタン等で視界を確保…。元々わたし、暗いところでも良く見えるしね…。
後は【呪詛、高速詠唱、全力魔法、情報収集】の呪詛を用いた探知術式で儀式場と予測されるパワースポット地点周辺を探知し、儀式や隕石落下に使った魔力・呪力を感知して隕石破壊に向かうよ…。
凶太刀の力と【ダッシュ】で高速移動で向かうかな…。同行者がいて、移動手段が無ければその人も抱えて移動…。
到着次第、【unlimited】で周辺の敵を一掃・牽制しつつ、【呪詛、衝撃波】を纏った【力溜め、鎧砕き、早業、鎧無視】のバルムンクによる剛剣の一撃で隕石を叩き斬って粉砕するよ…!
※アドリブ等歓迎
(『全国規模の隕石の落下。……流石に、防げなかったですか。亡くなった人々には御冥福を祈ります……』)
転送されたその場所で、静かに黙祷するイヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)。
記憶を失いながらも、人を助けたい思いに代わりはない。
「何故にこの時期に? 何も知らない人らにすれば怪奇現象とか珍事で片づけられそうな話だが……」
佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)は疑問符を浮かべる。
全国的に落ちればニュースにもなろうが、しかし短期的に複数箇所で落ちるなど、誰が信じようか。実際、既に隕石が落ちているはずの沖縄では不思議と静まり返っている。邪教団の陰謀なのかは定かではない。
「沖縄のパワースポット、かなり多いはずだが……見つけられるか?」
「広範囲の探知、できないでしょうか……少し試してみますね」
嶺滋の言葉に答え、イヴはスマホを用いて戦艦からの超広域探索を行う。
「……検知あり。ですが……どういうことでしょう、あちこちに見られます」
イヴの見るスマホには、無数の箇所が表示されている。
「具体的には、どこ……?」
雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)の言葉に、イヴは静かにスマホを見せた。
「離島も含めた沖縄南側ほぼ全域だな……なぜこんな状態に」
璃奈と共にその画面を見た嶺滋は困惑する。
これだけ広い範囲に落ちていれば、いよいよ騒ぎになっていないのが怪しくなってくる。
そんな折、一機のドローンが3人のもとに降りてきた。
どうやら、別の猟兵のものらしい。他の猟兵達の協力でおおよそ沖縄本島、南側であることが告げられる。
「報告、感謝します」
イヴが代表してドローンに別れを告げると、3人はその内容を纏め、考える。
「ということは、俺達が近いってことか」
他のメンバーは離島から移動し始めているが、本島にいるのはイヴ達3人のみ。
「確かに……近いとは言えませんが、この位置なら離島よりは近いですね」
スマホで現在位置を確認したイヴ。そこは沖縄でも比較的パワースポットの集中する区域だ。
それを聞いてか、璃奈は目を閉じ、意識を集中する。
「ん……微弱だけど、魔力の残滓……多分だけど、隕石を呼ぶための魔法か呪術か……なにかした後」
「この辺りを探索すればいい感じか?」
「……いや、そこまで近くはない」
嶺滋の言葉に、否定する。
「この近くのパワースポットは……5箇所でしょうか。暗いですし、戦艦からライトアップを……」
「いや、待った。それはやめたほうがいい」
嶺滋の制止に、イヴは首を傾げる。
「戦艦からってことは、空からだろう。いたずらに邪教徒達を煽ることにも成りかねない」
それほどの規模のライトアップ。広い範囲を視覚的に探索しやすくなるだろうが、隠れて儀式を行っている邪教徒たちにも気づかれかねない。そうなってしまえば、邪教徒たちはどうにかして隕石を移動させ、別の場所で儀式を行うか、強引にでも儀式を成功させるかどちらかの手段を取るはずだ。隕石で騒ぎになっていない辺りを見ても、目立った行為は避けるべきだろう。
「わかりました」
嶺滋の言葉に納得し、頷くイヴ。
その傍らで、璃奈は魔力の残滓を頼りに方角を確認していた。
「……この方向、何がある?」
イヴに確認する璃奈。その方向は、東側。
「この地で一番有名な聖地のようですね」
「なら、そこが探索地域ってことになるな、まずはそこに行こう」
嶺滋の言葉に、頷く2人。
3人は、共に沖縄における最も有名な聖地に向かった。
「……うん、当たりだね。この辺りの力が、何処かに流れてる。吸い取られてる感じ……」
聖地の近くまで来てみれば、その感覚はどんどん強くなるのがわかった。
その横で、嶺滋は《影の追跡者の召喚》を行い、シャドウチェイサーを向かわせる。
「明かりが見えるな。なにかしてるのは間違いない」
「誰だ!」
突然、離れた位置から声。その方向を見てみると、怪しい装束に身を包んだ人がそこにはいた。
気づかれた、そう声をあげようとした次の直後。
「ぐっ……!?」
僅かなうめき声を上げて、倒れ伏す。
「気をつけて……邪教徒達が結構いる」
見れば、いつの間にか璃奈が邪教徒の側に移動し、伸していた。
直ぐに嶺滋たちのもとに戻り、注意を促す。
「全国的に大規模なもの……邪教徒達も多いのも頷けます」
「切り込んだほうが早いか?」
「結構大きい隕石。結界みたいなもので隠してるみたい。でも、わたし達には見える」
言って、茂みの中から顔を覗かせる璃奈。その視線の先には、普通ならばどうあがいても隠しようがないほどの大きさの岩。いや、隕石。
「あれならば、戦艦の重力波砲撃で……」
「ん……それが手早いかもしれない」
「大丈夫なのか……?」
「問題ありません……」
そう言って、イヴはスマホを取り出し、指示を下す。
「――《宇宙戦艦》クロノトロン=ユニットから通達、砲撃を行います。射程から退避して下さい。――出力弱、クロノトロンブラスト発射」
小声で告げられる司令。その司令を受け、クロユニの戦艦は程なくしてイヴの支持するその地点へ、出力を下げた砲撃を繰り出す。
「な、なんだ!?」
「空から襲撃だ!」
「崩れるぞ、逃げろ!」
またたく間に騒ぎになるその場所。降り注いだ砲撃は、確かに隕石を貫いた。
「……ダメ、力は失われてない。あの隕石、粉々にしないと」
騒ぎにかき消されないよう、声を張って2人に促し、駆け出した璃奈。騒ぎになっているのだ、もう隠れる必要はない。
「戦艦からは引き続きより低出力の砲撃を行います、お気をつけて……!」
イヴは2人にそう告げると、クロユニに司令を下し続ける。
嶺滋が取り出したのは『千変万化の葬影』。手始めに大鎌形態で目についた隕石を斬りつけるが、軽く割れる程度で余り手応えはない。
「鎌じゃやはりダメか、ならこれなら……」
岩をただ砕くだけなら、刃物よりも鈍器のほうが優れる、そう考え槌形態へと変化させると、もう一撃。今度は確かな手応えを感じた。
「よし、いけるな……」
それを確認できただけでも十分。近づいてきた邪教徒を素早い動きで伸しながら、次なる隕石へと向かう。
一方、璃奈は《unlimited curse blades》を展開、最も力を蓄えているおそらく核部分であろう隕石に目をつけていた。
それが最も重要なのだろう、邪教徒達も璃奈を取り押さえようと、隕石を奪取しようと迫るが、展開される195本もの武器を前に、為す術はない。邪教徒たちは、あくまでも一般人。どんなに悪あがきしようと、ユーベルコードを展開する猟兵をどうこうすることは出来ない。璃奈もまた、それを理解した上であくまでも牽制に留めている。
隕石に迫りながら、手にするバルムンクに力を蓄える。そして射程に入ると同時に、その剣を大きく振り下ろした。
力を込めた割に、それは、呆気なく。勢いあまりすぎて地面に剣が刺さってしまうほどに、それは脆かった。
身の危険を感じ、すかさずバルムンクを引き抜いた璃奈は、勢い殺さずそのまま前へ。
程なくして、背後をいくつかの砲撃が貫いた。それは、嶺滋のもとにも降り注いでおり、どんどん隕石を粉微塵にしていった。
「……これだけ粉々にすれば、十分か?」
側に避難してきた嶺滋が聞く。璃奈は静かにそれに頷いた。
「力の集束が霧散した。儀式阻止成功ね……」
「ということは……これで邪神も……」
イヴも集合してきて、結果を聞き届け何処か安堵した表情を見せた。
――しかし。
「おお、邪神よ、邪神様よ……この不届き者達をどうか、どうか……!」
邪教徒達は何故か崇めていた。まるでそこに、邪神が召喚されているかのような――
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『シアワセハコビ』
|
POW : またうたえる、しあわせ
【嘴から鳴き声の代わりに歪な金属音 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : またとべる、しあわせ
【自ら動く錆塗れの無線機 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : しあわせ、あげる
【翼を戦闘機のものに組み替える事 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【機銃】で攻撃する。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の働きで、隕石の破壊に成功、無事儀式は阻止――したように思われた。
猟兵達がその場にいることも構わず、崇め称える邪教徒達。
その先にいるのは――
「空に、何かいる?」
誰かが声を上げる。
空には、無数の影。まるで鳥のように、しかしそれでいて、羽ばたく様子はまるで見えない存在が、無数に見えた。
シアワセハコビ。その邪神の眷属が、そこに集まり始めていたのだ。
イヴ・クロノサージュ
◎アドリブ大歓迎
――
『あの鳥は…泣いて、いる?
機械の軋む音だけど。私には…わかる、悲しい音色』
●心情
沖縄
零式艦上戦闘機が鳥に変わり羽ばたいている
この地は戦争で深い悲しみを負った土地なのよ
あの鳥を見ただけで悲しい想いをする人がいるから
夜明けが来る前に
必ず終わらせましょう
――
●戦闘
戦艦に素早く搭乗、誰よりも早く
海寄りに戦闘を仕掛ける
戦艦を鳥よりも高度を取り、自分の周囲に無数の弾幕を張る事により
周囲には近づかせない、攻撃は最大の防御
技能:空中戦、範囲攻撃、拠点防御
『皮肉な事ね、私の戦い方はまるで…』
殲滅したらUCを使い次のポイントへ援軍に向かう
『サトウキビ畑は無事かしら…?』
最後にそう、ぽつりと呟く
夕闇霧・空音
【アドリブ・共闘歓迎】
あれは邪教の兵器類かしらね…?
いや、儀式に呼ばれて現れたのかしら
【戦闘】
上空に飛んでいる相手に戦闘は流石に難しいわね。
ならどうするか…
とりあえず挑発気味に敵に対して攻撃を仕掛けて見るかしらね
サイボーグ腕からの射撃をすれば乗ってくれそうね
当たらなくともこっちに乗ってくれればよし
ユーベルコードで発生させた氷壁で
相手の仕掛けてきた攻撃を跳ね返して仕留めてやろうかしらね。
雛菊・璃奈
ただの鳥じゃないね…。空からなんて厄介な…。
【視力・暗視】と持ってきた光源で視界確保…。
黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】で空中の広範囲を纏めてなぎ払い攻撃…。
叩き落とせれば良し、落とせなくても敵が回避するか耐えるかして隙を作った瞬間を狙い、【狐九屠雛】で凍結させて仕留めるよ…。
敵の機銃は【見切り、第六感】で回避し、金属音等の広域攻撃は魔剣アンサラー【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け】で仲間を守りつつ反射・逆利用して攻撃する…。
イヴさんがいて戦艦使うなら、甲板とかに乗せて貰って空中戦とかも良いかも…。
至近距離に取りついた敵を中心に叩き落として援護できるし…。
※アドリブ、連携歓迎
そこは、沖縄の南東。無数にひしめく戦闘機だか鳥のような存在に。
イヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)は一人、空を見上げ思案する。
(「あの鳥は……泣いて、いる? 機械の軋む音だけど。私には……わかる、悲しい音色」)
その音は、羽ばたく音ではない。明らかに人工的な機械音。鳥のように見える存在は鳥ではなく、戦闘機なのだろうか。イヴには、その音がまるで彼の世で嘆く人々の声に聞こえるようだ。
「あれは邪教の兵器類かしらね……? いや、儀式に呼ばれて現れたのかしら」
その隣で、夕闇霧・空音(凶風・f00424)は呟く。
「ただの鳥じゃないね……空からなんて厄介な」
その言葉に答えるかのように、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は返した。
「あれは……零式艦上戦闘機が鳥に変わって羽ばたいています」
沖縄という地で、そのような鳥。いや、戦闘機が現れるのは、過去にその地で起きた戦争を想起させるためか。
「あの鳥を見ただけで、悲しい想いをする人はたくさんいます。……夜明けが来る前に、必ず終わらせましょう」
イヴは、この地で起きた過去を思い出させるかのようなその存在の出現に、そう言って強い意志を示す。
「どちらにしても、あの数は放っておけばこんな小さな島、一溜まりもないことは確かね」
「うん……絶対仕留めよう」
彼女のその言葉に、その場に同伴した二人は強く頷き返した。
それを確認したイヴは、スマホを取り出してクロユニと通信を取ると、素早い跳躍を伴い、機械天使の翼《エンジェリィア》を羽ばたかせ、空へと飛び出す。
「イヴさん……!」
が、璃奈の呼びかけに、空中で留まり、イブは振り返る。
「相手が空じゃ、あまり戦えない……よかったら、乗せて貰える……?」
「あ、それなら、私も同伴してもいいかしら?」
その言葉に、イヴは静かに頷き、一旦二人の元へ戻ると、二人を連れて再度空へ。
幸い、鳥たちはまだ召喚の段階なのか大きな動きはなく、空中をゆっくりと集団で旋回しているだけだ。
戦艦クロユニへと行き着いた3人は、それぞれの位置へ移動する。
『高度上昇、殲滅ポイントへ移動します』
操縦室へと移動したイヴは、クロユニへ指示を出すと、高度を上げ始める。
「まだ攻撃してこないのね……敵とは思わないのかしら?」
甲板の先頭に璃奈と共に陣取った空音は、空を見上げながら言う。
まだ距離はそこそこ離れており、こちらから仕掛けるには遠い位置。クロユニの高度が低い位置にあるのは、イヴ達3人を乗せるためだ。とは言え、それほどの大きさの戦艦を前に攻撃をしてこないことに怪訝に思うのだろう。
「まだ射程外、だからとか……?」
攻撃してこない理由を考え、その言葉に返す璃奈。
「……なら、近づけばいいだけじゃない。あそこになにかあるのかしらね?」
ゆっくり旋回するその動きは、まるでその場所を守るためのようにも見える。だとすれば、攻撃してこない説明もつくが。
「……仕掛けてこないなら、仕掛けるだけね」
そう言って、空音は両腕を空に向ける。突然、手首から先が引っ込み、その両腕が太い砲身と化した。
その両腕は、風魔衆によって改造された、ユーベルチタニウム製サイボーグアーム。その方針以外にも、様々な武器を収納している。
「当たらなくともこっちに乗ってくれればよしよ。あれだけ多ければ、当たりそうだけれど、ねっ――」
そう言って、両腕から放たれた光線。そのパワーの凄まじさから、軽く身体が後ろに滑るが、同じく改造された両脚が倒れることを許さない。
空音の言葉通り、圧倒的な数故だろう、空でいくつかの爆発が起きた。どうやら命中したらしい。
そこでようやく敵と認識したか、ゆっくり旋回していた鳥たちは、次々とその動きを機敏な物へと変えていく。
「来たわね……」
シアワセハコビたちは、数に物を言わせた機銃を放って来た。一体一体がその行動を取れば、どうなるかは目に見える。瞬く間に形成される弾丸による弾幕。
「――防御兵装展開……絶対氷壁発動!」
戦艦を狙ったか、自分たちを狙ったかはその位置からでは定かではない。だが、攻撃を放ってくるのであれば、どちらでも良かった。
大きく展開された氷壁に、いくつもの弾丸が刺さる。
刺さるが、まるで飲み込んだ弾丸を吐き出すかのように、次々と反射されていく。
空音の《絶対防御氷壁「コキュートスウォール」》は、ただ防御するだけのユーベルコードではない。寧ろその逆、攻撃するためのユーベルコード。
鳥たちが挑発を行った空音に向けて放ってきた弾丸は、その全てが反射され、次々と個体を落としていく。
「ふっ――」
更にその氷壁から跳躍して顔を出した璃奈は、呪槍・黒桜を手に、呪力を解放、呪いの言葉を口ずさみながら、まずは一撃、大きく横一文字に振り払う。
とてつもなく巨大な黒い鎌鼬。放たれる機銃を物ともせず、その一閃が、空を駆ける、その刹那――
鉄同士がぶつかりあう音が響き渡る。
黒い桜の花びらような残滓が残るその周辺では、翼を切り裂かれ、或いは真っ二つにされた個体が他の鳥にぶつかり連鎖的に爆発していた。挙げ句、放った機銃が他の個体に当たる始末。
だが、それを避ける個体のほうが多く、圧倒的な数を前にはあまり効果が見られない。己等の危険を感じてなのか、まるで全てが同一個体に操作されているかのように、機銃の嵐も止んだ。
「そこ……!」
璃奈の狙いは寧ろそこ。槍を振るうと同時に展開していた《九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】》による40もの炎が、同時にそのポイントへと放たれた。
開いた隙間を埋めるように他の個体が入り込んできたその場所へ、炎が迫ったその瞬間。
複数体を巻き込み、かなり広範囲を凍結させた。
『殲滅を開始します!』
気がつけば、シアワセハコビ達より高い位置まで高度を上げていたらしい。
館内放送でイヴからその言葉が告げられると、戦艦が保有する無数の武装が、大きく弾幕を展開した。
それは、シアワセハコビ達が作り出す弾幕の比ではない。
だが、どんなに弾幕を作っても、穴は出来る。
次々と落とされていく鳥たちに紛れ、そして盾代わりにし、或いは自ら盾になりながら、優れた個体なのだろういくつかが弾幕の作れない内側へと入り込んでくる。
「出る幕なさそうかと思ったけど、そうでもなさそうね!」
そう言いながら、入り込んできたいくつかを両腕から放つ光線によって撃ち落とす。
「別の個体を利用して突っ込んでくるあたり、知能はある……」
敵の動きをよく見て考えを口にしながら、璃奈も黒桜による一閃を繰り出す。
弾幕の外に比べれば、内側に入ってくる数はかなり少ない。戦艦の大きさに対して2人という数でもカバーしきれるほどだった。
(「皮肉な事ね、私の戦い方はまるで……」)
操縦室でその光景を見るイヴは、一人思案する。その光景は、見るものが見れば気づくだろう。かつて、敗北を喫した戦争の一部を想起するものだと。
次々と落ちていくシアワセハコビ。その落下先は、殆どが海だ。それは、そうなるよう戦艦の位置を調整しているからこそ。地上にいる人々に、決して被害を被らせない、そう考えるが故の判断。
(「数が減ってきましたね。別のポイントへ移動しましょうか」)
次のポイントの目星は付けていた。別の場所から迫ってくる個体もいる以上、そのポイントの殲滅は無理に等しい。場所を変えることで、より効率的に鳥たちを叩き落とそうと考えたイヴは、司令を下す。
『《宇宙戦艦》クロノトロン=ユニットから通達、異空間ワープ移動を行います。皆さん衝撃に備えて下さい!――ミュスティカァ・ジャンプ!』
戦艦に乗る璃奈、空音もろとも、ごく短い範囲を空間転移。抵抗する鳥たちを転移させることは出来なかったが、同高度の別ポイントに移動したことで、鳥たちも自ら戦艦の移動した先に迫ってきた。
「サトウキビ畑は無事かしら……?」
弾幕戦が繰り広げられる中、呟かれた一言は、沖縄の人々を思う心か。沖縄のさとうきび畑が失われれば……どうなるかは目に見えたことだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
エメラ・アーヴェスピア
…どうやら隕石は破壊できたようだけど…
当然、これで終わらないのが猟兵の仕事よね…
…速く向かったほうがよさそうね
『蒼穹翔るは我が箒』、小型の機関砲と操縦席部品を呼び出して変形合体
小型のホバーバイクのようになった大砲に乗って現場まで移動(一名同乗可能)
…何とか間に合ったようね、このまま戦闘を開始するわ
【騎乗】【操縦】で機動力を生かして飛び回り
機関砲で他の同僚さん達が攻撃しやすい場所に追い立てるように【援護射撃】よ
一応、私も手が届きそうにない所にいる奴は撃墜を狙いに行くわね
手早く片付けましょう、どうにも嫌な予感がするわ
※アドリブ・絡み歓迎
須藤・莉亜
【ワンダレイ】で参加。
「ハトねぇ…。喰らっても微妙かな?」
シアワセだがなんだか知らないけど、喰われたらお終いだよね。
世界喰らいのUCを発動。強化された腐蝕竜さんに全て喰らってもらおうかな。
腐蝕竜さんには仲間達が落とした敵さんを優先的に食べてもらう。
僕は飛んでる敵さんをLadyで狙撃していく。
「まぁ、僕が吸うまでもないか。腐蝕竜さん頼んだよ。」
レイ・アイオライト
【ワンダレイ】で参加。
鳥……かと思ったら翼が違うのね。……悪趣味なオブリビオン。
空を飛んでいるのなら、【白雷纏う影葬の狼王】でガルンを召喚する。
『雷竜真銀鋼糸』の雷撃とガルンの雷撃、合わせてシアワセハコビの集団に放電する。
鳥である以上、雷に撃たれたら飛行なんてできないはずよね。
落としたら後は夜野たちの仕事よ。あたしもガルンと一緒に雷撃と鋼糸の『範囲攻撃』で一掃していくわ。
眷属の大群……それなら、その邪神本体もどこかであたしたちを見ているはず。闇に紛れながら『情報収集』するのも忘れない。
月守・咲凛
【ワンダレイ】で参加、SPDで戦います。
「鳥さんですか、なんか私と似てるのです」 機械の翼を身に付けた鳥になんとなく自分を重ねてしまいますけど、それはそれとしてちゃんと撃ち落とさなきゃなのです。
基本的には羽根を狙って、ガトリングとミサイルで殲滅なのです。アジサイユニットもチェーンソーモードで飛ばして切り裂いていくのです。多数の敵相手の空中戦なら対空戦闘機の私の得意分野ですから暴れまわりますよー。
地上に落とした敵に関してはみんながいるので気にしません。
あらかた片付いたら、フフーン、と地上に落ちた敵をドヤ顔で見下ろします。私の勝ちなのです。
(普段から対空戦闘機を自称する、空中戦に拘る子です)
星群・ヒカル
【ワンダレイ】で参加。
「あれはなんだ?鳥か?飛行機か?まぁいい、眷属は眷属のようだからなッ。皆、連携作戦でいくぞ!」
レイの雷攻撃で明かりが確保されて、夜闇の中でもしっかり敵影が視える瞬間があるだろう。
愛用の宇宙バイク銀翼号に《騎乗》した状態で、その瞬間を見計らい《視力・第六感・暗視》で敵をしっかり狙い、『超宇宙・強襲流星撃』で、レイとガルンの攻撃を逃れた敵の羽を狙い撃ちにしていくぞ!
無線機を見つけることができたら、それも遠距離からUCで破壊していこう。
「敵を地上に落としたぞ!頼んだ!」
落とした後はみんなを援護射撃でサポートだ!
味方には当たらないように気をつけよう。
尾守・夜野
【ワンダレイ】で参加。
地上に落ちたのを叩く係だな。
一応スレイが飛べるが…ここで飛んだら目立つから地をかけるに留めさせる。
レイ、月守、番長(f01648)の後ろから【挑発】し【おびき寄せ】落としてもらおう。
そうすれば落ちてくる時は真ん前に落ちてくるだろうし。
スキットルの中身を煽りUC発動。
「3度目の奇跡はねぇんだよ。幸せはおしまいだ」
可能な限り痛みなく一瞬で終わらせる為強化に強化を重ねた一撃を放とう。
これが幸せであって良い訳がない。
自分の声も翼もなくし生き返る事が幸せとは思えない。
故に俺に与えられるのは終わりだけだ。
どうか良い終わりを。
…終わったらスキットルで補充
佐久間・嶺滋
しっかしよりによってこういう形態の相手とはなぁ……
嘗ての戦地でもあるし、現在も色々あるが、
少なくともこういう形で『飛べる』ようになってるのは頂けない、な?
【サイキックブラスト】で纏めて攻撃と動き封じを。
電光で【目潰し】しながら【マヒ攻撃】【呪詛】まで乗せておく。
機銃の掃射に関しては【第六感】活かしつつも
【敵を盾にする】などで捌きつつ、
自身の位置取りは【忍び足】を利用してなるべく消していく。
色々揉めている事も多いだろうが、少なくともこの地(沖縄)には
お前みたいな戦闘機はお呼びでないのさ。還ってくれないか?
※アドリブ・連携可
「隕石は破壊できたようだけど……」
破壊された隕石から、空へと視線を移す。
「当然、これで終わらないのが猟兵の仕事よね……」
空をゆっくり旋回する鳥たちの姿を見て、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は呟く。
エメラは既に、《蒼穹翔るは我が箒》で小型の機関砲と操縦席の部品を呼び出し、変形合体させた小型のホバーバイクのような乗り物に乗り込み、隕石が破壊されたその場所まで来ていた。
「それにしても、すごい状態ね。まるでそこに何かがあるみたいな……」
空にいる、無数のシアワセハコビ。それらは、まるで何かの周りを旋回するかのような飛び方をしている。ちょうど、エメラ達のいるその地点を中心点としているかのような飛び方だ。東側を見れば、既に戦闘を繰り広げようと戦艦が飛び上がっている状況。
「しっかしよりによってこういう形態の相手とはなぁ……」
そう声を上げたのは、エメラより先にその場に居た佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)だ。
「嘗ての戦地でもあるし、現在も色々あるが、少なくともこういう形で『飛べる』ようになってるのは頂けない、な?」
その形状はこの地にはとても縁の深いもの。一部のマニアならば喜ぶものだろうが、これらはそのような喜べるものではない。まず間違いなく、この地で何かをしようとする敵、オブリビオンであり、そしてその事実は、この地においてはとてつもなく非道なものだ。
「あれはなんだ? 鳥か? 飛行機か!?」
別方向からの声。星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)が驚きと疑問に満ちた声を上げる。
「鳥じゃねぇ……?」
その疑問に答える、尾守・夜野(墓守・f05352)。だが、答えた夜野自身も、何処か疑問が残るようでその言葉は少し曖昧だ。
「鳥さんですか、なんか私と似てるのです」
「鳥……かと思ったら翼が違うのね……」
夜野の言葉に月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)とレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)が反応を示す。どうやら、夜野の曖昧な言葉の意味に気づいたようだ。
「ハトねぇ……」
一方、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は一人違う回答を出していた。
「いや、ハトかどうかはわからなくね……?」
夜野の言う通り、その暗さも相まって曖昧に鳥なのか飛行機なのかの形状がギリギリわかるくらいだ。
「喰らっても微妙かな?」
「どうかしらね……? 生き物と無機物の中間、という感じな気もするのだけれど。悪趣味なオブリビオンよね……」
莉亜の続く言葉に、そう返すレイ。
「まぁいい、眷属は眷属のようだからなッ。皆、連携作戦でいくぞ!」
ヒカルの言葉に、一同頷く。敵は敵。鳥だろうが飛行機だろうが関係ないのだ。
遠くで銃声が聞こえる。その方角を見れば、戦艦目掛けいくつもの戦闘機もどき達が迫っているのがわかる。それを機としてなのか、変化はエメラたちのところにも。
「こっちも来そうね……?」
訝しげな表情で仲間たちに危機を告げるエメラ。
その遠くの音より近い位置で、上空から機械的な駆動音が響き渡る。その方向、頭上を確認してみれば、いくつかが垂直落下しこちら目掛けて迫ってる様子が伺えた。
「空なら任せて――来なさい、白雷の狼王! アンタの出番よ!」
そう言って、レイは率先して前へ、《白雷纏う影葬の狼王》によって使役する雷を纏う狼、ガルンを呼び出す。間髪入れず、ガルンと共に腕に装備する雷竜真銀鋼糸を通して雷撃を天空に放った。
最初に迫ってきた一体を起点に、連鎖的に雷撃が広がり、一気に十数体を飛行不能にさせる。
それでも十数体。あれ程の密集度でありながら、それだけしか落とせなかったのは、雷撃という危険因子を回避するべく個体同士が離れたためか。地上からでもその様子くらいはかろうじて見て取れた。
だが、その個体同士の学習能力も即座に覆される。
「色々揉めている事も多いだろうが、少なくともこの地にはお前らみたいな戦闘機はお呼びでないのさ。還ってくれないか?」
それは、別の雷撃。嶺滋の《サイキックブラスト》だ。ここ沖縄においては絶対に居てはならない存在。存在するだけで人々を悲しませる要因になりかねないからこその言葉なのだろうが、その嶺滋の思いとは裏腹に、シアワセハコビたちは動揺する素振りは見せない。
かわりに見られるのは、嶺滋の攻撃を受け、空中で次々と互いにぶつかり始める様子だった。まるで統率を失ったかのように次々とぶつかっては墜落していく。その間に、嶺滋は敵に位置取りを悟られないよう素早くその身を隠した。
更には、上空で爆撃音が響き渡る。見れば、咲凛が空へと舞い上がっていた。空中戦、それも対多数が相手ならば、自分に負けはない、そう自負している彼女には、それだけの数を前にしても、恐れる道理はないのだろう。
しかし、数で勝る敵からしてみれば格好の餌食だ。ゆっくりとした動きから一点、次々とその動きを機敏なものへと変えながら、無数の個体が迫ってきた。
「――武装ユニット全開放、撃ちます!」
それに対し、咲凛は両腕に装着するトマラナイアシオトからガトリング砲を展開させると、それを放った。
同時に、肩部分のウガツツブテ、脚のナガレルシズクからは誘導ミサイルをいくつも撃ち出す。更に、咲凛の攻撃はそれだけに留まらない。
咲凛の周囲を飛び回る、いくつかの円盤。鋭い刃をいくつも生やし、高速回転しながら飛んでいるそれは、時には咲凛を守る盾にもなるユニット群、アジサイ。
背後にいるのは、咲凛の仲間のみで、敵は全て咲凛の正面だ。軽く人型の搭乗戦闘機レベルの弾幕を作り出す《コード・アクセラレーター》を前に、シアワセハコビたちは為す術もなく撃ち落とされていく。
更には、レイの放った雷撃で空が閃いたその瞬間――
「――超宇宙望遠鏡ガントバス、融ッ合! ……『視えた』ぜ、てめぇの姿!」
追い打ちをかけるように、別方向から無数の弾丸が、レイの雷撃を逃れた鳥もどき目掛け襲った。ヒカルの《超宇宙・強襲流星撃》だ。
雷撃によって空が明るくなったのは、ほんの一瞬。その一瞬で捉えることが出来たのは、ヒカルと、ヒカルの持つ曰くつきの鏡を組み込んだ反射型望遠鏡、ガントバスがあってこそか。持ち主に寄生するというこの武装に、自ら神経融合を施し、魔眼を強化することで、ほんの僅か、ほんの一瞬の光でもあれば、捕捉することは不可能ではなくなるのだ。
更に追い打ちをかけるように、レイが雷撃を放つのに合わせ、銀翼号を巧みに操作してガトリングガンを繰り出していくヒカル。普通の人間であれば、無重力下と比較すれば、重力下であるその場所での宇宙バイクの操作は、機動力の低下に顔を顰めるだろうが、ヒカルは一人の猟兵。過去何度となく重力下でも銀翼号を乗ってきていることもあり、物ともしなかった。
4人の攻撃が一挙に空中に放たれ、空中の統率は乱れに乱れきっていた。
だが、咲凛やレイ、ヒカル、嶺滋がそれぞれ攻撃できる範囲は、やはり限られる。展開範囲で言えばシアワセハコビたちのほうが圧倒的に広く展開しており、攻撃の範囲外から攻め込まれれば一溜まりもないのはレイ達の方だろう。そうはいうものの、現実にはそうなっていない。その理由とは。
咲凛、レイ、ヒカルの背後で、うごめく影。それは、夜野のスレイプニールだ。まるで、当てられるものなら当ててみろと言わんばかりに敵に背を向けている。咲凛以上に格好の餌食を行動で体現してみせるスレイプニール。それが効果あるのかはともかく――少なからず要因であることは確かだとは言えるが――大きい要因となっているのは、
「援護は任せて頂戴ね」
機動力に優れるホバーバイクのような乗り物に乗ったままのエメラによるものだろう。
外側からの攻撃を行うと推測される鳥もどきたちの動きを先読みし、その動きを取らせないよう威嚇射撃を繰り返している。その結果、まるで吸い寄せられるように、レイや咲凛達の攻撃範囲に移動せざるを得なくなっていたのだ。
「――僕の敵を滅ぼせ」
レイと咲凛が戦闘を繰り広げ始めた場所からは少し離れ、世界という力を奪い召喚する腐蝕竜へ喰わせる莉亜。
その体躯は、探索していたときの比ではなく、とんでもないレベルで大きくなっている。その体長、実に410m。
そんな体躯の腐蝕竜が、空へ舞い上がる。たったそれだけで、暴力的なまでの突風が周囲を薙ぎ払う。が、不思議と被害がないのは、それが莉亜という猟兵のユーベルコードであるが故か。
人の目では近くで見れば戦闘機レベルで大きいシアワセハコビたちも、《世界喰らい》によって巨大化した腐蝕竜からしてみれば、小鳥どころかもはや雛鳥と言っていいほどに小さく。腐蝕竜は巨大なアギトを開いて落ちていくシアワセハコビ達を纏めて丸呑みしていく。
その背に乗る莉亜は、その位置から白き対物ライフル、Ladyを構え、的確に羽を狙って鳥もどき達を撃ち落としていた。
「……地上に落ちたのを叩こうかと思ったが、今のところはまだいらなそうだな」
一方、夜野はと言えば、隕石の落ちたであろうそのポイントを陣取り、静かに空を見上げていた。
落ちてきたシアワセハコビにトドメを指すつもりだったのだが、思った以上に呆気なく倒され、次から次へと腐蝕竜に捕食されていくため、何も出来ない状態が続く。咲凛たちと共にスレイプニールに騎乗し空から攻撃を選んでいればそうはならなかっただろうが、目立つことを避け地上を選んだ宿命と言えるか。
だが、全く何もしていないわけではない。
「……奴ら、攻撃が一辺倒だな。機銃攻撃とかして来ないのが気がかりだ」
その位置から、敵を観察し、その後の動向を探っていた。
数は、数えられるほど少なくはない。自分たちがいるその地点の空を埋め尽くすほどの数。範囲で言えば、沖縄で最も有名な、夜野達が現在いるそのパワースポット全体を覆うほどの範囲だ。
数の暴力で空にいる全てが一挙に地上や東の空の戦艦に襲いかかれば終わるものを、そうしてこないのはやはり、同士討ちを避けるためか。だとしても、明らかに射程内にいるであろうはずの近くで撃ち落とされていくシアワセハコビがあるはずの機銃を撃ってこないのがやはり気になるのだ。
「……いつでも動けるよう警戒はしておこう。こいつらの中にも親玉みたいなのがいるのかもしれねぇ」
言うなれば、部隊を率いる部隊長。その後ろに軍師とか総帥とかそう言うポジションになる邪神本体、という構図か。夜野は静かに、警戒心を巡らせ、その時を待った。
ようやく数の減りが見え始めたころ、敵の動きにも変化が現れ始めた。
それまで統率を取りまるで本体が体当りするかのように攻撃してきていた鳥たちが、再び空中を旋回するようになっていたのだ。
「気になるわね、あの行動……」
まるで一旦退いているようにも捉えられるその行動に、攻撃の手を止めずにレイは訝しむ。
「無線機があるはずだけど、未だ見つからないのはなんでだ……?」
ヒカルも同じく、攻撃の手を緩めずに、気がかりな点を告げる。
既に数えることを諦めるレベルで撃ち落としているはずなのだが、召喚しているであろう無線機の存在が見られない。
「やっぱ、裏に何かいるのかもな。統率を取るための部隊長的な親玉みてぇのがな」
地上で観察を続け、そう決断を下した夜野は、仲間たちへ告げる。
「……攻撃の手を変えてきそうだ。気をつけたほうがいいだろう」
敵からは見えず、仲間から見える位置に姿を表した嶺滋は、そう告げる。なにか来る、直感がそう告げているのを感じていた。
「空中戦は私の得意分野、負けないのです」
自信満々に真っ向勝負を挑むつもりの咲凛は誇らしげに告げる。
「腐蝕竜さん、大きいから的にされるかもしれないね……」
「カバーしきるのは難しいかもしれないけれど、最善は尽くすわよ」
莉亜の心配する様子に、エメラはそう告げる。
「……来たな。援護も来てくれたようだし、ここからが本番だな」
空がより暗くなったことに気づいた夜野が、空を見上げる。そこには、次元転移してきたらしい戦艦が飛んでいた。一方で、シアワセハコビたちも、転移してきた戦艦と、自分たち、それぞれの方向に攻撃をするつもりらしく、それぞれの方向へ飛ぶ様子がそれとなく見えた。
「やっぱ、撃ってくるよな……!」
夜野の予想通り、それまでしてこなかった機銃による攻撃が地上に向けて無数に降り注ぐ。
「ちょ、その抜け方はありですか!?」
咲凛達の繰り出す弾幕に、別個体を盾とするようにして強引に突破口を開き、咲凛目掛け突っ込んでくる鳥もどき。これには流石の咲凛も驚かざるを得ない。そんな方法、普通はとらない。それまでも見られなかった行動なだけに、対処が一瞬遅れる。
「っくぅ……このくらい……!」
危ういところで回避するも、機銃が頬を掠め、更には頭上スレスレをシアワセハコビが通過していく。首を引っ込めてなければ確実に当たっていた辺り、捨て身の特攻とも見て取れる。
「そんな方法に、私が負けるわけないのです!」
そのような方法をとってくるならば、対処も相応のものに変えるだけだ。チェーンソーモードで飛ばしていたアジサイユニットのいくつかを自分の元へ引き戻し、捨て身の行動を仕掛ける個体へ的確にぶつける。それでも手が足らない場所へは、優先的に誘導ミサイルを放った。
「捨て身の特攻なら、逆用させてもらうだけね!」
「落とされる前に落とすだけだッ!」
個体数が多く、咲凛一人では対処しきれないものの、それを見ていたレイ、ヒカルも対処を変更する。
咲凛が対処しきれない範囲は、レイとガルンの雷撃が、それでもカバーしきれない範囲をヒカルが対処する。
「誘導の手間が省けるだけね……」
外側の誘導を担っていたエメラは、誘導の手を少し変え撃墜へと変更する。自ら盾になってくれるならば、対処は容易いものだ。
「狙う個体がわかりやすいね……」
腐蝕竜の背で莉亜も狙う対象を絞る。腐蝕竜に迫ると思われていた無数の弾幕は、その背に戦艦という援護があってかあまり激しいものではなかった。
(「まだ何かある……? 胸騒ぎが止まないな……」)
嶺滋もまた、狙う対象をレイやヒカルと同じく特攻してくる対象に絞り、サイキックブラストを放っているが、その表情は晴れていない。
「気をつけてくれ……まだなにかある気がする」
その身を隠しながら、他のメンバーへ再び注意を促した、その刹那――
「おいおい、マジかよ……!」
ひときわ大きな個体が、超高速で他の個体を突き飛ばしながら、夜野のいるその地点に突き刺さった。
まるでそれは、降り注ぐ一つの巨大な砲弾。
身の危険を感じた夜野は、咄嗟にスキットルを開け中身を一気に煽る。
それは、突然だった。
「――っぐぅ!?」
ほぼ飲み干すのと同時。その“音”は、周囲に響き渡った。
「み、耳がぁっ……」
「何、ですか、この、音……」
「だ、誰か、この音止めろッ!」
「この、音はっ……!」
「な、何という高音……」
「っ……胸騒ぎは、これか……!」
レイ、咲凛、ヒカル、莉亜、エメラ、そして嶺滋。その場に居た全員が、その突然の音に、耳を抑える。
最も近くでその音を聞いた夜野に至っては、悲鳴をあげることくらいしか出来なかった。しかし。
身の危険を感じてスキットルの中身、血を飲み干したことで、《強化式【累】》の条件は整っており、発動できていた。
「どんなに、願おうと……3度目の奇跡はねぇんだよ、幸せはおしまいだ!」
戦闘力が向上したことで、鼓膜を破壊しかねないほどの耳に刺さる高音による攻撃を強引に切り抜け、音を放つ本体、降り注いだひときわ大きなシアワセハコビに強烈な一撃を放つ。
「と、止まった……?」
その一撃で、音を放っていた個体は、黒い靄となって消え去った。
鳴り止んだことに気づき、周囲状況を確認するためか、他のメンバーも周囲を見回している。
「まだ、終わっちゃいねーのか」
耳鳴りのような音が収まり始めれば、まだ上空からは爆発音や銃声が聞こえる。どうやら、この集団戦はまだ終りを迎えてないようだ。
「また来るわよ……!」
挙句の果てに、先程の攻撃を行おうとするためか、ひときわ大きな個体が何体か落ちてくる様子が伺え、それに気づいたレイが忠告する。一回で終わるわけがない。当然だった。
だが、そのような行動を取るのがひときわ大きな個体と明確にわかった7人の前に、既にその攻撃は無意味と化していた。エメラの誘導でまず1点に集められ、その上からレイ、ガルン、嶺滋の3人が雷撃で感電。咲凛、ヒカル、莉亜が銃撃による深手を追わせ、トドメに夜野が一撃打ち込めば、ついにその攻撃の手も止む。
「……攻撃が、止んだ?」
それで終わりだとは思っていなかっただけに、訝しむレイが、空を見上げ、そして気づく。
「何か、違うのが来るわ……!」
その位置は、それまでシアワセハコビ達が、まるでそこに何かがいるかのように旋回している様子を見せていた、中心点。そこに居たのは――
成功
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第3章 ボス戦
『コンダクター『叶』』
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POW : 「あなたが幸せになれる『唯一』の道はこちらです」
【無数の『唯一の幸せライフプランの契約書』】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 「私にはあなたの心は手に取るようにわかりますよ」
【まるで相手の心をトレースしたように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 「大丈夫、あなたの幸せな人生はまだまだ続きます」
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【『私は幸せです』と連呼する人格崩壊した屍】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:瓶底
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠九泉・伽」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
空から現れ、ゆっくりと降りてきたのは、一人の“女性”だった。
「幸せ、入りますか?」
猟兵達の近くまで降り、ある程度の中空で止まった女性の第一声は、それだった。
どうやら、この女性こそが今回の邪神らしい。
幸福への道を案内するというこの女性。その言葉に、猟兵達は――
____________________
●MSより
戦闘位置は沖縄有数の有名なパワースポットとなります。
猟兵の皆様も適宜該当地域へ移動した状態から戦闘が始まりますので、その位置へ移動するようなプレイングは不要です。
また、今回は事後描写を行いたいと思います。プレイング文字数との戦いになると思いますが、ご希望がある場合にはプレイングにご記載いただければと思います。
ダイジェストにはしませんが、本来存在し得ない部分の描写でもありますので、あまり長い描写は期待しないでいただけると助かります。(多くても本編と合わせて一人あたり1500文字前後以内で収めるつもりです)
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月守・咲凛
【ワンダレイ】で参加、SPD使用。
「幸せはまにあってます」
過去は覚えてませんけど、今はべつに不幸だとは思ってないのです。
契約書攻撃にはアジサイユニットを飛ばして味方ごと防御、回避には思考があまり関係ない誘導ミサイル、復活には射撃兵装の一斉発射でまとめて倒して、それぞれ対処。
基本的には援護射撃で味方を援護したりアジサイユニットで防御する方を優先します。
戦闘後は水着のまま仲間の行動に付いて回って一緒に騒ぎますが、食が細いので食べ物はあまり食べられません。美味しそうなのです!と騒ぐ方で楽しみます。
須藤・莉亜
【ワンダレイ】で参加。
「幸せより、血が欲しいんだけど。」
そういうプランは無いわけ?
UCでケルベロスを召喚。彼と連携して、敵さんを攻撃していこう。
僕は敵さんの動きを【見切り】ながら、血飲み子と悪魔の見えざる手で攻撃、ケルベロスは噛みつき、体当り、爪での引っ掻きなんかで攻撃。
仲間が作った隙を逃さずに、深紅で縛り上げてからの全力【吸血】も。
さっきの敵さんの屍が残ってるようなら、ケルベロスに食べてもらっとこう。
終わったら泡盛でも飲んでのんびりしようかな。
尾守・夜野
M【ワンダレイ】別人格を呼んで二人がかりで挑む。
「はん?心が分かる?…これでもかな?」
互いに常に人格切り替えながら動く。
人格はいっぱい(口調等お任せ。女性人格、僕っ子腹黒、目立ちたがり、ナルシスト…etc)
「あのさぁ「唯一の」が沢山ってどういう事」
喋る時人格ごとに口調が異なる為、カオスな言葉使いに。
屍は仲間に任せ相手の動きを封じる事に注力。
相手の意識が仲間に向きかけたら【存在感を出し恐怖を与え】
俺から視線を反らさせない。
それでも抜かれそうなら【縲絏呪毒】で動きを止めよう。
契約書は突っ込みいれつつ切り裂く。
//バカンスは日が昇るまでは海遊び、昇ったら観光&食べ歩き…かな?
レイ・アイオライト
【ワンダレイ】で参加。
幸せ?誰かに享受されて叶うものが幸せだって言うのならこっちから願い下げよ。
契約書の束は【斬空ノ型・虚断】の迅風で裁断、押し返す。
あたしの殺気で一撃入れてやるわ。 連続攻撃する夜野たちに意識がいったら、あたしは闇の中に同化、『暗殺』する機会をじっと待つ。
……その隙、見逃さないわよ。
終わったらソーキそば食べに行って……後はおみやげ買っていきましょうか。
うーん…男の子ってどういうおみやげが嬉しいのかしら。
(アドリブ等歓迎です)
星群・ヒカル
【ワンダレイ】で参加。
幸せ幸せと言う割には皆してシケた面してんじゃねぇか
シャバい邪神連中には退場してもらおう!
倒した連中が復活するだろうから対応しよう
「このおれの超宇宙的幸福に、てめーら如きが敵うかよ!」
『存在感・パフォーマンス』でひきつけてから 『超宇宙・真眼光波動』を使い、向かってくる連中を一掃だ
ボスに対しては夜野先輩が作った隙を利用
『存在感・パフォーマンス』を出しながら宇宙バイク銀翼号に『騎乗』して突っ込み
『超宇宙・真眼光波動 』で攻撃
回避されても、また他の仲間の攻撃の隙を作る布石になる
一人で戦ってるわけではないんだぜ!
後は沖縄名物料理を次々頂こう。 ゴーヤチャンプルうめー!
佐久間・嶺滋
仕方ないな。距離を取らざるを得ないのは業腹だが……
『影葬楔』を苦無状にして投擲しつつ、
【暗殺】の技術を用いて死角を探る感じで。
回避は【忍び足】と【残像】、【第六感】を併用しつつ。
もし相手をそのまま苦無で狙い撃てるなら
【冥婚の花嫁】まで繋げてしまおう。
ほら、幸せなプランを勝手に提案するぐらいなら
此方からも勝手に提案させてもらうよ。『愛されて』死ね。
【生命力吸収】【呪詛】【マヒ攻撃】は全攻撃に使用。
牽制から持久までしっかり持ち堪えられるように。
「――幸せか」
「……勝手に人の道に粘つくだけの蜘蛛の糸を垂らさないでくれるか」
あの日、失った幸せを救ってくれるのは、お前なんかじゃない。
※アドリブ・連携可
エメラ・アーヴェスピア
…また、変わった邪神ね
こんなものを隕石を使って呼び出そうとしたのかしら…?
何か引っかかるけど…今は仕事ね
面倒なくらいに紙をまき散らし、避け、敵を増やす、と
なら、一撃にかけるより弾幕を張った方が【援護射撃】になるかしら?
『我が砲音は嵐の如く』
同僚さん達に当てない様にだけは気を付けて、とにかく広範囲にばら撒きなさい
照準は基本的にオート…一機だけ私がコントロールするわ
これで心を読んでくるようでも、囮にはなるでしょう
紙も敵も、数の力で撃ち抜くわ
…これで仕事は完了よ
でも何故かしら、いまだに嫌な予感が消えないのだけれど…
まだ、何かあるのかしら…?
※アドリブ・絡み歓迎
イヴ・クロノサージュ
◎アドリブ大歓迎
◎真の姿
――
『機械と融合された鳥さんを扱う、貴女に……
人の幸せが満たせるとは思いません。』
●心情
幸せは自分で掴み取るもの
このような邪神に誰も惑わされませんよね?
●戦闘
『詩は全ての源 想いは全てを奮わせ
そして詩は成される』
周囲に無数の魔法陣を作り出し詠唱
迫り来る攻撃からUCで超常現象を起こし
巨大な花(オオゴチョウ)を伸ばして
バリア(拠点防御、オーラ防御)を作り、皆さんを守ります
◆UC台詞内プログラム訳
人々の祈りに応える為
私クロノサージュが謳います
次元の超えて来て!地球《想い》の力よ!
●事後行動
あの鳥さん達のぐるぐる回る動きは
もしや奇門遁甲の…?
考察した後、戦艦の上で祈りを捧げて〆
雛菊・璃奈
わたしには家族も友達もいる…幸せの押し売りなら間に合ってるよ…。それに、邪神に案内して貰わなくても幸せは自分の手で掴んでみせる…。
凶太刀の力で高速化。【呪詛、衝撃波】を込めた凶太刀と神太刀の二刀で一気に踏み込み、【早業】で連続の高速斬撃を加えていくよ…。
連続の斬撃と高速移動で敵の逃げ場を潰していき、最後は敵に回避の余地を与えない様、【UnlimitedΩ】の面制圧による一斉掃射で仕留めるよ…
こちらの考えが読めても、対処のしようがなければ意味がない…消えると良いよ
…それにしても、複数で同時に事件が起きてるんだよね…、この邪神を呼び寄せる為…?それとも、もっと大きな…?
調てみる必要があるかも…。
夕闇霧・空音
「幸せ幸せねぇ…正直不幸だと思ったこともないけど…
妹とずっと一緒にいられるなら別にいいなって思ってるしねぇー」
今が幸せなんだ!と必死で思っているつもりだ。
敵の動きは自分の持つ目で用心深く観察するわ。
敵の攻撃に対してはすばやくユーベルコードで対処。
氷漬けにしてもろともに粉砕するつもりよ。
追い詰められればいよいよ真の姿を発動(一人称が俺になり、言葉がかなり乱暴になる)
もっかいユーベルコードを使って倒す。
クリアした後は、せっかくだから沖縄に妹を連れてこようかなーと
考えつつ観光してみようかな。
お土産は沖縄のお菓子よ。
「……また、変わった邪神ね」
宙に浮いた状態でこちらを見下ろすその存在を見据え、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は呟く。
「こんなものを隕石を使って呼び出そうとしたのかしら……?」
邪神と言うにはその姿はかなり人間らしい。おかしく思うのはその辺だろう。
「何か引っかかるけど……今は仕事ね」
複数地点に隕石を呼び出すという大掛かりな儀式といい、気になる点は尽きないが、今は目の前に集中しなければならない時だと、エメラは目の前の敵に集中する。
「幸せ、幸せねぇ……」
その存在――召喚されし邪神、叶。彼女の言葉に、夕闇霧・空音(凶風・f00424)は答えを返す。
「正直不幸だと思ったこともないわ。妹とずっと一緒にいられるなら別にいいなって思ってるしねぇー」
その言葉の真意。今が幸せであると思いたい強い思いが、彼女を不幸とは無縁の存在にさせているのだろう。
空音のその言葉に、僅かに眉をひそめる様子が見えた。
「わたしには家族も友達もいる……幸せの押し売りなら間に合ってるよ」
空音に続き、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)もそう告げる。
「それに、邪神に案内して貰わなくても幸せは自分の手で掴んでみせる……」
続く言葉に、叶の額が、引きつり始めた。
「幸せより、血が欲しいんだけど」
一方、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は血に飢えていた。敵を、それもそこにいるだけで只者ではない事を伺わせる存在感を前にして、封じていた吸血衝動が露わになったのだろう。
「そう言うプランは無いわけ?」
案内が書かれた資料があるわけでもないため――仮にあったとしても読むことは愚か見ることすらないだろうが――、単刀直入に聞く。
「残念ながら、取り扱っておりません。あなた方に提示できるのは、唯一の道のみ」
ややトーンの下がった声。明らかに怒りの感情を抱いているようだが、まだ冷静さを保っているらしい。
「幸せはまにあってます」
単刀直入に叶の言葉を拒否するのは、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)。
「過去は覚えてませんけど、今はべつに不幸だとは思ってないのです」
まだ年端も行かず、記憶も失っている彼女がそう思えるのは、現状に満足し、充実しているからだろう。咲凛と行動を共にする仲間達もいるのだ。
「幸せ? 誰かに享受されて叶うものが幸せだって言うのならこっちから願い下げよ」
レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)もまた、叶の言葉を突っぱねた。
他人に与えられる幸せなど、まがい物。ましてや、その相手が邪神――オブリビオン。他でもない、自分達の敵だ。何を教え込まれるのかその詳細まではわからないが、世界を崩壊に導くものであることに違いはないだろう。
「……あなた方の思いはわかりました。ですが、その思いは本物でしょうか?」
猟兵達の言葉を聞き届け、叶は口を開く。
「命を賭けて戦いに投じるあなた達に、幸せがありますか? 妹がいると言ったそこの貴方。家族や友達がいると言ったそこの貴方。貴方達が戦いで死んだ時、遺された人は、幸せになれますか?」
視線を向けるは、空音と璃奈。遺されたものは幸せになるのかという問い。言葉はそこでは止まらず。
「間に合っていると言ったそこの貴方。過去を幸せが謳歌できると?」
咲凛に向けられ、過去があるからこそ今があるのではと問い、終いには。
「他者から授けられたものなんていらないというそこの貴方。誰かと居ること、楽しいと感じるその一時は、他者から授かったものではないのですか?」
レイにも向けられる。その幸せは分かち合うもの、すなわち、少なからず受け取ってるものではないのかと。
その言葉に返したのは、指摘を受けた四人ではなく。一人が、一歩、前に出る。
「機械と融合された鳥さんを扱う、貴女に……人の幸せが満たせるとは思いません」
それはイヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)。その内心では、安心していた。この場にいる誰もが、幸せとは自身の手で掴み取るものと理解し、その言葉に惑わされているものが一人として居ないことに。
「……そうですか。では、わからせて差し上げます。あなた方が幸せになれる道は、ただ一つなのだということを」
そう言って、叶はその場から無数の紙をばら撒いた。
――詩は全ての源。
「私謳う――! この詩を! Fordern->{große}=>Call{Kurono_Nosurge!}=>Auf{earth};」
降り注ぐ紙を見たイヴは、祈るように両手を合わせ、目をつむり、言葉を紡ぐ。それは、ただの詠唱などではない。内なる力を開放させ、その姿をより高位の存在へと変貌させながら、言葉を紡ぐ。
一つの物語を語る旋律に合わせ、イヴのいる場所を起点に、次々と魔法陣が展開され始めた。その詩には、森羅万象が宿ると語るように――
「仕方ないな。距離を取らざるを得ないのは業腹だが……」
イヴが何かをし始めたのを視界の端に入れながら、佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)は退く行動を取る。
傍目何かが書かれた紙にしか見えないが、先の言葉といい、なにかしてくるのは確実だろう。そう考えた嶺滋は、苦無型に変形させた影葬楔を周辺に舞い散る紙と叶本体を狙うようにして放ちつつ、同時に動き出した仲間達に紛れるようにその姿を眩ました。前に出て目立つ道理はないのだ。
叶めがけ放った苦無は、そのまま当たりそうにも見えたが、しかし紙が簡易的な遮蔽物となるためか、当たることなく地に落ちる。
「それじゃ、お片付けと行くわよ。仲間には気をつけて、とにかく広範囲にばら撒きなさい――《我が砲音は嵐の如く》」
エメラもまた、嶺滋と同様に大きく飛び引きつつ、浮遊型魔導蒸気ガトリング砲をいくつも召喚する。
ガトリング砲で弾幕を放ち、無数に舞い散ってきた紙を撃ち抜き細切れにしていく。
その殆どを自動射撃に任せながら、一つだけは自身で照準、叶を狙って放つ。
「あなたの心、手に取るようにわかりますよ?」
だが、エメラの狙いは尽く当たらなかった。二手三手先を狙った偏差射撃、物理弾幕すらも、まるで、その動きを全て知られているかのように。
そんな二人にの動きとは真逆の動きを取る、二つの影。
「はん? 心がわかる? ……これでもかな?」
それは、《オルタナティブ・ダブル》で二人になった尾守・夜野(墓守・f05352)だ。
「な、なんです!?」
心をトレースし、夜野の動きを知ろうとしたことで、困惑と驚愕の入り混じった表情を見せる叶。
それは――
「唯一なのか沢山あるのかはっきりしてよ!」
「こりゃー参ったねぇ、こんなに沢山の中から一つを選ぶのかい?」
多重人格者であるが故の、多数の人格の存在。一人の中に複数人が存在することにほかならず、それはつまり心も多数あることを意味する。《オルタナティブ・ダブル》によって二人が同時にその人格を次々と切り替える者の心をトレースしようとすれば、どうなるかは想像に難くなかった。
「なら、あなたに意識を向けないだけです」
「ええんかの? 儂らを放置したら」
「あとが怖いんだぜ?」
視線を集中させようと図る夜野だが、叶は無数にばら撒く紙をそれとなく夜野に集中させるくらいで、夜野の思惑通りにはならなかった。
「チィッ……あの高さじゃ《縲絏呪毒》も届かねーじゃねーかよぉっ!」
視線を集中させられない場合も考えていた夜野だが、相手は地にではなく中空に浮いている。いくら広域散布出来る毒煙でも、大気中では重さがあり空には無力になりうるいえる毒煙では、“高さ”という弱点までは補いきれなかった。
――想いは全てを奮わせ。
降り注ぐ紙は、遂にイヴの元へと降り注ぐ。だが、それらは決してイヴに届くことはない。それは、エメラの展開したガトリング砲が阻止していたためだ。叶もただ見ているわけではなく、イヴの展開するその無数の魔法陣を訝しみ、意識を集中させているものの、夜野の猛攻は決して無駄ではないようで、気を散らせることには一役買っている。
更に広い範囲に展開されるイヴの魔法陣。それはやがて、空を塗り替え始める――
一方、注意深く叶の動きを観察していた空音は、紙が撒かれたのを確認すると同時には、その両手を変形させていた。
「――フリーズゼロ、発射!」
その両腕から放たれた光線は、瞬く間にばら撒かれた紙を焼き尽くす――否、次々と氷らせた。それは、叶も巻き込むつもりではなった一撃だったが、未完成と言えど、流石は邪神というべきか。その意識は後方に退いたエメラに向いているにもかかわらず、容易く回避してきた。
「甘いです」
やはり、こちらの心を見透かしているのだろう、そのままの状態では攻撃を当てることすら厳しいようだった。
「――フッ!」
その隙を突くように、人間離れしたとんでもない速度で叶に迫る、一筋の黒い光。それは、あまりの速さ故に発生した音の大きさに周辺の植物が薙ぎ払われるほどの速度であり、それを繰り出したのは璃奈だ。
呪いの言葉を口ずさみながら、それぞれの手に九尾乃凶太刀と九尾乃神太刀を持ち、一閃。叶のトレースよりも早く攻撃できればと考えた攻撃だったが、やはり避けられた。
ただ突っ込むのではなく、目にも留まらぬ高速斬撃を織り込んだ攻撃だったのだが、周辺に散る紙が細切れになったくらいで、肝心な本体には当たらなかったのだ。
「如何に速かろうと、同じです」
そう言う叶の髪がやコートが、それまでとは異なる方向に靡いた。風の流れが変わったかのように、周辺の紙の動きも変わる。――その直後。
「ただの風ではないのは気づいていましたよ?」
涼しい顔でレイの《斬空ノ型・虚断》による鋭い迅風を躱してきた。
だが、その迅風の影響で周辺の紙の殆どが細切れになる。
「やっぱり、当たらないわね……」
予想はしていたが、そうも涼しい顔で回避されては顔をしかめるしかなかった。
――そして詩は成される。
やがて佳境を迎え、それまで祈るような姿勢から一転、人々の祈る力を捧げるように、両手を広げ、イヴの詩、《アース・クロノサージュ》は――
「では、今度はこちらから行きますよ」
舞い散る紙があまり脅威になっていない様子を意に介す様子もなく、ただ不敵に笑う叶。
次の瞬間、ただ空気抵抗を受けながら舞うだけだった紙が、意志を持ったように猟兵達に襲いかかった。
「させません!」
だが、その攻撃は咲凛の素早い判断によって阻まれる。
無数の紙は、しかし所詮紙だ。咲凛のアジサイユニットの前では、無に等しい。
しかし、咲凛のアジサイユニットは、数に限りがあり、全員を守ることは叶わないと言えた。厄介なことに、数が多すぎる。それこそ、先刻戦ったシアワセハコビ達よりも。
咲凛の守りも、エメラ達の弾幕も間に合わない、そう思われた――
しかしそれは、地面から生えてきた何かによって、阻まれた。
「これは……」
その思わぬなにかに、ようやく叶はその表情を困惑の色へと変わる。
狙われた空音と璃奈は、救われた。いや、仮にそれがなかったとしても、対処は試みていた。だが、少なくとも被弾は避けられなかっただろう。もはや大きさA4サイズの紙吹雪といっても過言ではないその攻撃は、しかし人間大の大きさを優に超える巨大な花を前に無力化する。
猟兵達を守ったのが、巨大とは言えただの花だという事実に、驚きを隠せないようだ。
見れば、周辺地域も、その姿を大きく変えている。空は不思議と明滅し、地面はや岩は別のもの――歯車へとその形を変容させ。
「まだ終わりませんよ。さあ、安心して起きてくださいね、あなた方の幸せな人生は、まだまだ続くのですから」
しかし、関係ないと言わんばかりに、再び不敵な表情に戻ると、両手を上げて高らかに宣言してみせる叶。――その油断が、後に命取りになるとも知らずに。
すると、猟兵達の周囲で次々と何かが起き上がってきた。
「私は幸せです、私は幸せです……」
たどたどしい足取り。今にも倒れそうで居て、しかし両手を前に出しながら、ゆっくりとした動きで猟兵達に向けて歩き出すそれらは、端的に表現するならば、ゾンビ。
だが、明確にゾンビとは言えない。屍ではあるが、五体満足な上腐敗部分が少ない個体がほとんどだ。
「幸せ幸せと言う割には皆してシケた面してんじゃねぇか。シャバい邪神連中には退場してもらおう!」
そう言うのは、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。
「このおれの超宇宙的幸福に、てめーら如きが敵うかよ!」
ゾンビもどき達を引きつけるべく、ヒカルはわざと目立つ行動を取る。それは、叶にも目をつけられることになるが、そっちに関しては咲凛や他の猟兵がカバーしてくれるだろうと信じ、自身はそちらに集中する。
幸せ度合いならお前らなんかより遥かに勝る、その言葉にゾンビもどき達は吸い寄せられるようにヒカルの元へと集まる。
その横で、突然地面から禍々しい何かが生えてきた。
「――開門、第三圏へ直結」
莉亜の《地獄招来【第三圏・貪食者を喰らうモノ】》だ。
現れた地獄門は、ひとりでに開くと、そこから一体の犬が現れた。いや、犬というのは些か失礼というものか。地獄の番犬で知られる、三つの頭を持つ怪物、ケルベロスだ。
「流石莉亜の兄貴、頼りになるぜっ!」
正直その数に若干気圧され気味だったヒカルだったが、心強い仲間を前に、調子を上げる。
「――その目に焼き付けろ。これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
最も近くに来た数体が、突然機敏な動きになって襲いかかってきた、そのタイミングを見計らい、その瞳に星が浮き上がり、その刹那。周辺に眩い光が迸る。《超宇宙・真眼光波動》を繰り出したのだ。
「なっ、こいつら……!」
自身を中心とした直径84mのエリアを一度に焼き払ったものの、その外からはゆっくりだが、大挙して迫ってくるゾンビもどき。
「あなた方が先程相手にしたもの、覚えてないとは言わせません」
「なるほど……あの鳩達か。ケルベロス、食べていいよ」
まだ残っている個体があったのかと呆れながら、莉亜はケルベロスに指示を出し、自身も白い大鎌、血飲み子と悪魔の見えざる手で纏めて薙ぎ払った。
攻撃は心を読まれて躱され、無数の紙が弾幕の如き勢で迫り、更には外側から無数のゾンビもどきが迫ってくるという状況。多勢に無勢という状態は、たった一体である叶ではなく、寧ろ猟兵達がされているジリ貧の状態。それは、唐突に終りを迎える。
「何故、ですか……!」
いや、唐突ではなかった。それは必然。定められた宿命。
一枚一枚が驚異的な弾丸と見紛うほどの速度だった猟兵達に迫る無数の紙は、気がつけば容易く躱し、あるいは受けることが出来るほどにまで減速しており、ゾンビもどき達の動きも、大きくその動きが鈍くなっていた。
叶が声を上げる、その目の前の状況は、確かに、猟兵達を押していたはずだった。だが、長く続けば続くほど、その結果はどうだ。寧ろ押される側になっているではないか。その原因がわからないのだろう、声を上げる叶。
「この世界では、貴女の思うようには行かないことでしょう」
叶の叫びに、その世界を作り出した猟兵、イヴ。曇りなき青く染まる双眸で、叶を見た。
もはや、邪神たる叶とその存在を対となる形で同格レベルにまで引き上げられているイヴに、叶は。
「……貴女ですか、この原因は」
猟兵達のいるその場所が、猟兵達にとって有利に働く世界になっていることに、ようやく気づいた。
ならば、その元凶を叩くまで。怒りの形相を隠す素振りすら見せず、叶は紙とゾンビの攻撃をイヴに集中させ、より激化させる。
「人々の想いの力が、人々の過去を、幸せを踏みにじるような貴女に負けるはずはありません」
だが、その紙の攻撃の大部分は、花に阻止される。ゾンビもどきの攻撃の大部分は、いっそ体が軽くすら感じるだろう猟兵達が阻止する。イヴに届く攻撃は一つたりとてなかった。
圧倒的優位な状況が、たった一手で、ひっくり返る。その現実を受け入れたくないのだろう、遂には複数の紙を織りなしてゾンビもどき達を運び、或いは攻撃をサポートさせ始めるが、届かない。
「やっほー、調子はどー?」
「キャハハ、マジウケるんですけど、怯えてね?」
「流石にもう、ミーたちを無視することもキャントのようですねー?」
そこへ、もう何回目かもわからない人格の切り替えを行う夜野が迫る。意識を向けさせるべく何度となくそうしてきたが、焦りの色を見せ始めている辺り、夜野を意図的に無視するという行動は出来なくなっていると見た。
「うるさい、黙れ……!」
遂に耐えきれなくなったか、叶は声を荒げ、そう告げる。そしてその視線を夜野へ。それが命取り。
「……その隙、見逃さないわよ」
他の猟兵達が一時的にでも視線を集中させてくれれば、隠れる機会はいくらでもあった。
突然、闇の中から叶目掛け放たれる、一閃。それは、機を見て闇の中に同化したレイが放った一撃。
無数の紙やゾンビもどき諸共、一刀両断しながら叶に迫る。
「――ッ!」
夜野が気を引いたその確実な瞬間を狙って放たれた不意の一撃に、叶はいち早く気づいた。回避では間に合わない、そう考えたか、防御姿勢を取るが、それも無意味に終わる。遂に一撃。
「くっ……」
「アタシの『覚悟』は、生半可な防御じゃ守れないわよ?」
潜影ノ衣を纏っていることもあり、レイが闇に紛れれば、見つけることは困難極まる。それでもいち早く気づけたのは10人いる猟兵全員を認識し、確認できないものに対して警戒を怠っていなかったためだろう。
続けざまに狙われる叶。次に動いたのはヒカルと咲凛、莉亜、そしてエメラ。
「番長さん、援護します!」
「おう、頼んだぜッ!」
攻撃を受けたことで一時的にとは言えその弾幕が手薄になった、その隙を狙う。咲凛はヒカルの為に動き、ヒカルはそれを頼りに銀翼号に乗り込み、ゾンビもどき達の気を引きながらも叶へと迫る。
無数の紙のうち、いくつかががイヴの花を掻い潜り、ヒカルへと迫るが、咲凛のアジサイユニットがそれをさせない。数が少なければ、対処事態は難しくない。さらにその周辺をエメラのガトリング砲が飛んでいるのを見れば、もはやヒカルを狙う攻撃はなく。
「おめぇも、その目に焼き付けろ――」
――閃光。
迸る白き輝きに、叶は堪らず目を瞑る。だが、目を瞑ったごときで逃れられるほど、ヒカルの攻撃は甘くはない。
「ぐぅっ……!?」
ほんの一瞬。だが、とてつもない痛みが全身を襲ったのだろう、苦悶の声を上げながら、全身を強張らせた。
その隙を狙い、動く影が二つ。
「キミの血、頂くよ――」
ヒカルの攻撃に合わせ、紅く閃く鎖、深紅を放ちながら、鋭い跳躍で叶の背後に取りつく。放たれ紅き鎖は強ばる叶の身体をそのままの体勢で雁字搦めに縛り上げた。それを確認した莉亜は、敵の血を一滴残らず吸い尽くすつもりでその首筋に齧り付いた。
「はぐっ……ぅ!」
首筋に走る鈍痛と、吸い取られる感覚に、嫌悪感すら覚えたらしい叶は、振りほどこうと身動ぎするが、鎖がそれを許さない。
程なくして、蒸気音とモーター音、そしてそれ以上の大きさで聞こえる砲身からの連続で放たれる火薬の破裂音が唸る。
それを確認した莉亜は、巻き込まれることを危惧してか離れた。待ってくれては居たようだが、物足りなさを感じつつ口元を拭う。底なしの吸血衝動を全力で震えば邪神の血すらも吸い付くせはするだろうが、おそらく他でもない叶自身がそれをさせないだろう。
「っ!?」
その身に降りかかる弾丸の嵐に、縛り上げられる叶の身体は為す術もなく撃ち抜かれ、文字通りの蜂の巣になっていく。その威力で四肢が吹っ飛ばないのが不思議なほどに。
「こ、の程度……!」
体中に穴を開け、どす黒い何かを垂らしながらも、叶は諦めず、紙を放つ。なおも弾丸を放つエメラと、さらなる追撃を入れようと迫る、空音と璃奈目掛け。
「――ほら、幸せなプランを勝手に提案するぐらいなら」
だが、余裕がなくなったことで生じた、完全なる隙が一つ。
「此方からも勝手に提案させてもらうよ。『愛されて』死ね」
それは、叶の死角。背後から放たれた、一つの苦無、影葬楔。
紙を放つより一歩早く、背中に突き刺さる嶺滋が放ったそれは、次の瞬間、叶の目の前に、黒い花嫁衣装に身を包む一人の女性。――《冥婚の花嫁》。
目元が隠れ、口だけが怪しく微笑むその姿。本能が告げる、やばいという警告からか。叶は咄嗟に大きく身を退いたが――
「――っ!?」
動くことが出来なかった。まるで、金縛りにでも襲われたかのように。女性はゆっくりとその距離を縮め、そして静かに、叶を抱きしめた。
「あ、がっ……!?」
――但し、尋常ならざる力で。穴だらけの身体に追い打ちをかけるように、身体自体が悲鳴をあげるほどの強力過ぎる抱擁は、遂には叶の体内から、鳴ってはいけない音を鳴らして、そしてふっと静かに消える。
まるで人形の糸が切れたかのように動かなくなった叶。いや、生きてはいる。その視線は次の行動を取る狙っていた空音と璃奈に向けられている辺り、嶺滋のマヒ攻撃と強力な抱擁が効いており、なおも身体が動かせないのだろう。
これ以上とない好機に、璃奈と空音は、一気に踏み込む。
空音はその位置から両手を換装、砲身へと変換すると、エネルギーを充電。
その間、璃奈は高速移動迫るゾンビもどきを切り払い、紙を素早い動きで飛び跳ね回避してしながら肉薄する。
どうにか動こうと身じろぎしようとする様子は見える。あの状態、長くは続かないだろう。
「全ての呪われし剣達……わたしに、力を……立ち塞がる全ての敵に終焉を齎せ……! ――《unlimited curse blades》……!!」
避けられないよう攻めるつもりだったが、既に避ける余地自体がない。ならば、制圧する必要性もないだろう。
今使っている九尾乃凶太刀と九尾乃神太刀を始め、自身の保有する魔剣や妖刀の類の現身を、呪力を限界まで強化した状態で召喚し、叶へと放つ。そしてそれらは、抵抗すら出来ず突き刺さる。
「これで終わりよ――《フリーズゼロ》、発射!」
そして、エネルギー十分、充電したその砲を、躊躇いなく発射した。
途中に舞う紙を次々と氷結させ、地面に落としながら氷結の光線は、遂に叶に直撃し――
●
「終わったん、ですね……」
イヴは、寿命を削るその大規模なユーベルコード、超越次元想界詩を締めくくりながら、叶を始め、空へと黒い靄となって消えゆく無数の影を見送る。
「ええ、貴女がいなかったら、勝ち筋は見えなかったかもしれないわね。これで仕事は完了よ」
そのイヴの隣に立ち、彼女を讃えつつ共に空を見上げるエメラ。イヴの《アース・クロノサージュ》は、味方の動きを大きく好転させるきっかけとなった。天変地異、超常現象をも引き起こすその世界の中で、自分達に勝利という運命を手繰り寄せ、敵の思惑は阻止するという成果を上げたのだ。それは何も、運命という要因だけではない。敵の攻撃を減速化させ、味方の攻撃を加速化させる。そんな要因が、その運命を必然足らしめたのだ。
援護に回っていたからこそ、エメラにはそれが理解できた。
しかしその内心では、胸騒ぎにも似た何かを感じている。――まだ終わっていない、と。
(あの鳥さん達の動きは、もしや、奇門遁甲の……?)
エメラの言葉に感謝を返しつつ、天空を見上げつづけるイヴは、考察する。
奇門遁甲。それは、方位術の一つであり、時間と方角によってその運命が決まっている占いの一種。
それが何を意味するのかを考え、そして。
力を貸してくれた人々に、そして隕石によって亡くなった人々に。戦艦の上で静かに、祈りを捧げる。
「……それにしても、複数で同時に事件が起きてるんだよね……、この邪神を呼び寄せるため? それとも、もっと大きな……?」
その隣で、エメラの内心を汲み取ったかのように言う璃奈。
「そうですわね……」
気になるエメラも、やはり熟考する。
「……調べてみる必要があるかも」
隕石の降り注いだ数は、全国で九つ。同時多発的に起きたこれが、無関係とは思えない璃奈は、そう考えるのだった。
「――幸せか」
空へ登っていく黒い靄に告げるように、嶺滋は一人呟く。
「……勝手に人の道に粘つくだけの蜘蛛の糸を垂らさないでくれるか」
その言葉に込められた思い。それは、想い人に対する、捨てきれない心か。骸の海へと帰るであろうその敵の、最初の言葉。それに返すかのように、ただ一人、空を仰ぎ、呟く。
平和が戻ったかのように、静まり返る、夏の海の星空。潮の匂いが鼻をくすぐり、駆け巡る。
既にその空に飛ぶ存在はない。怪しく掛かっていた雲も、今ではすっかり晴れてしまい、明るすぎる月明かりが猟兵達のいるその場所を照らす。戦闘の余波で草木が多少薙ぎ払われてしまっているが、それ以外の被害は皆無。この世界においては、これ以上とない戦果と言えた。
●
「ここ、あの子ならどう思ったのかな……」
有名スポットの一つで、溺愛する妹のことを思いながら、一人観光を続ける空音。
そこは、最後に戦場となったその場所と同じ場所。
神が降りた地とされるその場所で、静かにその雰囲気を堪能する。
「あ、ここ……」
その場所は観光ガイドなんかにもよく乗ってる場所。トンネルのような場所をくぐり抜けたその先には、絶景が広がっていた。
「凄いわね……」
その絶景に、思わず言葉を漏らす。
十分にそれを堪能した空音は、また一人帰路につき、その途中。
「お土産、買って帰ろうかしらね」
お土産屋に立ち寄り、商品を吟味。いくつかのお菓子を選んで、購入して帰るのだった。
●
すっかり日が登り、まだ誰もいない浜辺で、夜野、咲凛、ヒカル、莉亜、レイの5人は、既にいくつか開いてる店のうちの一つに入っていた。
「はぁ、疲れた……」
椅子に腰掛け泡盛を煽りながら、そういう莉亜。腐蝕竜やケルベロスを使役して負担を軽減していたとは言え、かなりの集中状態で戦いっていた為に、あまり遊ぶ余裕はなさそうにも見えた。
「ゴーヤチャンプルうめー!」
その隣では、ヒカルがガツガツとテーブルに並ぶ沖縄料理をあれこれ取り皿にとっては食べている。あれだけの戦闘を繰り広げていながらよくもまぁ元気に食べられるもの
「ソーキそば、いいわね」
スペアリブがトッピングされるという沖縄そば。麺を啜り、スープを啜り、そしてスペアリブを口にしてその味を堪能するレイ。
「この、ヒラヤーチー、というのですか、食べやすくて美味しいのです」
沖縄風のお好み焼きとも呼ばれるその料理を口にしながら、咲凛も料理を楽しむ。
「んだなー。こっちも美味いぞ」
ジーマミー豆腐を口にしながら夜野も食事を楽しんでいた。
「さ、食べる物も食べたし、そろそろ遊びに行こうぜ、時間もいい頃合いだしな」
そう言って立ち上がる夜野に、他の4人も頷いて合わせる。なんと言っても沖縄だ。楽しみは食事以外にもたくさんある。
海である程度遊んだ後、夜野達はそのまま戦場にもなった沖縄有数のパワースポットへと再度やってきていた。
「ここ、こんなにも綺麗な場所だったんだなっ!」
記念碑がある場所から、自然の生い茂る道をくぐり抜け、進んだ先にある階段を登ると、まず目に入るのは海。
「わぁ、綺麗です……」
「そうね……これは凄いわ」
夜はあまり見えなかったその場所も、日が昇ってみてみればこれほどに広がる絶景。
「こっちはどうなってんだろうな?」
暗かったその場所は、今では陽の光が程よく差し込み周囲の景色がよく見える。
何やら不思議な雰囲気を漂わせる岩がそこにはあり。
「不思議な感じのする岩だね……」
莉亜のその言葉に一同また頷く。更に奥地へ進んでいくと、自然の中に案内板がいくつか出てきた。それに従い、更にいくつかの場所を回って聖地を堪能するのだった。
一同は最後に、沖縄のお土産屋で、どんなお土産を買って帰るか悩んでいた。
「うーん……男の子ってどういうおみやげが嬉しいのかしら」
様々なお土産を目に入れながら、どれを買って帰るか悩むレイ。
男の子であればかっこいいものがいいのだろうと、シルバーアクセサリーコーナーを見てみたりもするが、これでいいのだろうかと悩む。レイがお土産を贈ろうと考える相手に、シルバーアクセサリーは果たして似合うのか。
「うん、これかしらね」
悩み悩み抜き、手にしたのは――
「よし、皆買ったかー?」
「わたしはバッチリですー」
「ええ、私もよ」
「おうッ! こんなのとかどうだ?」
「いや、今見せる必要はないと思うよ……?」
一同買ったことを確認した夜野。見れば、空は既に紅く染まり始め、日が暮れようとしている。
沖縄を満喫した一同は、そのままグリモアベースへと帰還していく。
大成功
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